阪神(★2対3☆)ソフトバンク =日本シリーズ4回戦(2025.10.29)・阪神甲子園球場=
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ソフトバンク
0100110003931
阪神
0000000202600
勝利投手:大津 亮介(1勝0敗0S)
(セーブ:杉山 一樹(0勝0敗2S))
敗戦投手:髙橋 遥人(0勝1敗0S)

本塁打
【ソフトバンク】山川 穂高(3号・2回表ソロ)

  DAZN
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◆ソフトバンクが3連勝で日本一に王手をかけた。ソフトバンクは2回表、山川のソロが飛び出し、先制に成功する。その後は5回に柳町の犠飛で加点すると、6回には代打・近藤が適時打を放ち、試合を優位に進めた。投げては、先発・大津が5回3安打無失点。敗れた阪神は、打線が8回に1点差とするも及ばなかった。

◆阪神は勝負強さを取り戻せるか。1-2で敗れた第3戦はチャンスの連続。4回からは実に6イニング連続で得点圏に走者を置いたが1点も取れなかった。得点圏では14打数無安打。佐藤輝明内野手(26)の敬遠が1つあるだけだった。相手エースと勝ちパターンの3人をあと1歩のところまで攻めたが、最後は力でねじ伏せられた格好だ。5番打者の大山悠輔内野手(30)がシリーズ11打数無安打と、らしさを発揮できていない。大山は「紙一重とかそういう問題ではない。流れを全て止めてしまっている。全部、僕の責任。なんとかしないといけないし、するしかない。何とかするために、何とかできるようにしっかり準備したい」と強い言葉で責任を口にした。

◆阪神は1勝2敗となり、甲子園での日本一決定が事実上消滅した。甲子園では残り2試合。うち1つ勝てば、決着をみずほペイペイドーム(第6戦、第7戦)に持ち越せる。日本シリーズは4戦先勝。引き分けがあって、第7戦で決着しない場合は翌日に同じ球場で第8戦を行う。第8戦までもつれたのは86年の西武-広島だけ。西武が4勝3敗1引き分けで勝った。もし第8戦まで3勝3敗2引き分けなら第9戦が行われる。移動日をはさんで今度は甲子園が会場になる。日本シリーズの引き分けは多くないが、最近では22年のヤクルト-オリックスが第5戦まで2勝2敗1引き分けの大接戦。第8戦の開催が現実味を帯びたが、オリックスが第6、第7戦に連勝した。

◆阪神木浪聖也内野手(31)が試合前の練習中に「一塁」でノックを受けた。今季は遊撃、三塁を守っているが、練習でも一塁に入ることはなかった。過去には公式戦で守ったことがあるが、22年が最後となっている。一塁レギュラーの大山悠輔内野手(30)が日本シリーズ3試合で無安打と当たりが止まっている。

◆ソフトバンクのスタメンが発表された。山川穂高内野手(33)が2試合連続で「4番一塁」で先発出場。前日28日の第3戦では2戦連発の同点ソロを放った。今シリーズはここまで打率5割、2本塁打、6打点をマークする。先発はプロ3年目の大津亮介投手(26)。同シリーズでの先発は初めてとなる。チームは2連勝中で2勝1敗。勝って、5年ぶりの日本一へ王手をかけにいく。

◆2連敗で1勝2敗となった阪神は甲子園での2戦目に臨む。前川右京外野手(22)が「6番左翼」で日本シリーズ初出場。左翼とDH、投手以外はは5試合連続で同じ選手となっている。高橋遥人投手(29)が先発する。DeNAとのCSファイナルステージ(甲子園)では、第3戦に先発し7回2/3を3安打無失点でポストシーズン初勝利。自身初となる日本シリーズのマウンドに上がる。前日28日の同戦からは、中川勇斗捕手(21)、ラモン・ヘルナンデス内野手(29)がベンチ入りメンバーから外れた。

◆ソフトバンク今宮健太内野手(34)が、ベンチ入りメンバーから外れた。この日は球場入りするも、別メニューで調整した。前日28日の第3戦では「6番遊撃」で先発出場。6回2死一、二塁の遊撃守備で左前へ落ちそうな小飛球を背走で追い、最後はジャンピングキャッチした。着地した際に右足を痛めた模様で、9回の守備からは途中交代していた。この日は、野村勇内野手(29)が「6番遊撃」でスタメン出場する。

◆ソフトバンク山川穂高内野手(33)が3試合連続となる先制アーチを放った。 「4番一塁」でスタメン出場。0-0の2回先頭の第1打席だった。カウント2ストライクからの4球目、外角148キロ直球を強振した。高々と舞い上がった打球は、バックスクリーンへ飛び込んだ。「少し(バットの)先でしたが、いい見え方でしっかり自分のスイングができました」と振り返った。同一シリーズでの3戦連発は史上タイ記録で16年の広島エルドレッド以来6人目の快挙となった。球団ではダイエー時代だった00年の城島健司以来となった。CSファイナルステージは打率2割2分2厘、1本塁打、2打点だったが、今シリーズここまで同5割7分1厘、3本塁打、7打点の大暴れ。山川のバットが止まらなくなってきた。

◆阪神大山悠輔内野手(30)に日本シリーズ4試合目で初安打が飛び出した。2回1死からの初打席で大津亮介投手(26)の落ち切らないフォークをとらえ、三遊間を抜いた。11打数無安打となった第3戦のあと「流れを全て止めてしまっている。自分の責任。何とかしないといけないし、するしかない。落ち込んでいるヒマはない」と悔しさをあらわにしていた。一塁塁上では表情ひとつ変えなかった。直前に先制弾を放っていた山川穂高内野手(33)から一言、二言、声をかけられていた。

◆ソフトバンク野村勇内野手(28)が好守備を披露した。1-0の2回、先頭の佐藤輝が左翼ファウルゾーンに飛球を上げ、遊撃手の野村が猛追。最後はスライディングキャッチでアウトをもぎ取った。前日28日の第3戦では遊撃手の今宮が超ファインプレー。6回2死一、二塁で坂本がバットを折りながら上げた飛球が左前に上がったが、今宮が背走しながら半身でジャンピングキャッチ。2夜連続で遊撃手が鉄壁の守備を見せた。

◆甲子園が静まり返った。2回、山川穂高内野手(33)の3試合連発となるアーチがセンターバックスクリーンに吸い込まれると、大きなため息。異様な静けさの中、ビジター席からの「どすこい」が球場に大きく響いた。

◆阪神佐藤輝明内野手(26)の登場曲が話題となっている。甲子園での日本シリーズ初戦となった前日28日から、第1打席でMobyの「Flower」を使用。昨季まで阪神に所属していた、シェルドン・ノイジーがかつてNPB時代に用いていた曲だ。ノイジーは23年の同シリーズでは、最終第7戦で先制3ラン含む2安打4打点など日本一に貢献した。ファンはSNSで「伝説のシリーズ男のノイジーさんの登場曲にしています」、「ノイジー!?と思ったけどサトテルか」、「ノイジーの登場曲!」などと投稿した。

◆ソフトバンク大津亮介投手(26)が"プロ初安打"をマークした。1-0で迎えた3回1死の第1打席だった。この日はDH制のないセ・リーグの本拠地開催。プロ入り後初めて左打席に立ち、阪神高橋から遊撃への内野安打をマークした。ボテボテのゴロで遊撃の正面を突くも、まさかの快足ぶりで一塁ベースを駆け抜けた。

◆阪神は命拾いした。0-1の3回2死一、三塁で柳町達外野手(28)の打球は左翼ポール際のスタンドに飛び込んだ。柳町が一塁を回ってガッツポーズをしたほど微妙な打球だったが、左翼外審の有隅昭二(57)は大きく両手を広げてファウルとした。ソフトバンクがリクエストしたが、場内にリプレー映像が流れるたびに阪神ファンはファウルを確信して大盛り上がり。判定はやはり変わらなかった。有隅は元ヤクルト投手のベテラン。今年4月に通算500試合出場を達成している。

◆ソフトバンク柳田悠岐外野手(37)が左腕に死球を受けた。3回の第2打席、阪神高橋の149キロ直球を受けてもん絶の表情を浮かべたが、手当を受けてプレー続行した。

◆阪神高橋遥人投手(29)がアクシデントに見舞われ降板した。1点を追う5回1死一、二塁で、ソフトバンク周東が低めカットボールをはじき返した打球が、高橋の左腕の肘付近を直撃した。ベンチから急いで安藤投手チーフコーチ、トレーナーが駆けつけると、そのまま1度治療のためにベンチへ。しばらくした後、2番手畠への交代が告げられ、高橋はここで降板となった。周東の打球は投手強襲の内野安打となり、1死満塁から試合は再開となった。高橋は5回途中まで、山川のソロ本塁打による1点のみと粘投を続けていた。

◆ソフトバンク柳町達外野手(28)が5回1死満塁から左犠飛を打ち上げ、貴重な2点目を奪った。前日28日の右翼線への適時三塁打に続く2戦連続打点となった。直前に周東佑京内野手(29)の打球が阪神先発高橋を直撃(記録は投安)。2番手畠の代わりばなの初球カットボールを左中間へ深めに打ち上げ、三塁走者の大津亮介投手(26)がタッチアップで生還した。3回2死一、三塁での2打席目は左翼ポール際の打球がファウル。ソフトバンクのリクエストも判定は変わらず、その後空振り三振していた。

◆阪神近本光司外野手(30)が自身の球団記録をさらに伸ばす日本シリーズ9試合連続安打を記録した。2点を追う5回2死走者なしからの第3打席。2ボールからの3球目を正面にはじき返し中前打とし、この日の初安打となった。近本は計14安打でMVPに輝いた23年の日本シリーズでは、第1戦と第3~7戦に安打を記録。今年の同シリーズでも初戦から安打を放ち続け、前日28日の同戦で球団新記録の8試合連続とした。これまでの球団最長は62年の吉田義男、05年と14年の2度にわたった鳥谷敬の7試合だった。

◆阪神畠世周投手(31)がピンチでの緊急登板で大きな仕事をした。先発遥人投手(29)が1点を追う5回1死一、二塁で、ソフトバンク周東の打球を左腕の上腕の肘寄りに直撃するアクシデントが発生(投手内野安打)。当初は2番手には桐敷、湯浅がスタンバイしていたが、畠がブルペンで急きょ肩を作り出した。高橋は治療でベンチに下がったが、そのまま畠に交代。畠は1死満塁のピンチで登板することになった。先頭柳町には左犠飛を許し、山川には四球を与え、2死満塁。続く栗原には2球で2ストライクと追い込むと、カウント1-2から144キロ直球でファウルチップでの三振を奪った。右腕は、ほえながらガッツポーズ。ピンチを最少失点で切り抜けた。昨オフに現役ドラフトで巨人から移籍。右手中指の故障で出遅れ、9月3日中日戦で1軍初登板。レギュラーシーズン終盤を12試合無失点で終えた。日本シリーズ2試合目も無失点で終えた右腕は、タテジマを来た日本シリーズでも存在感を発揮した。

◆ソフトバンク近藤健介外野手(32)が代打で登場し、貴重な適時打を放った。2-0の6回2死二塁。5回59球で無失点だった投手の大津に代わって打席へ。阪神桐敷のツーシームを右前に運び、二塁走者の牧原大をホームに生還させた。「守りができない中で、代打でのひと振りで絶対に仕事をしようとしました。この代打起用に結果で応えることができて良かったです。みんなで勝ちをつかみ取って王手をかけたいと思います」とコメントした。近藤は左脇腹痛から日本シリーズで復帰。小久保監督はDH制がないセ本拠地では「守らせない」と話しており、代打待機を明言していた。

◆阪神打線がソフトバンク先発の大津亮介投手(26)に5回を0封された。安打は大山悠輔内野手(30)、森下翔太外野手(25)、近本光司外野手(30)の3本だけだった。阪神はラインアップに左打者5人(投手の高橋はのぞく)を並べたが、実は今季の大津はデータ上、右打者を苦手としている。今季の被打率は対右が2割9分3厘。対左が2割6厘。打たれた本塁打6本はすべて右打者だった。

◆ソフトバンク先発大津亮介投手(26)が5回59球、3安打無失点と好投した。6回2死二塁で打順がまわり代打近藤健介外野手(32)と交代し降板となった。登板前には「初めての日本シリーズでの先発なので緊張もありますが、それ以上に楽しみの方が大きい」と話していた。1点リードの3回は2死走者なしから味方の失策などで2死一、三塁のピンチを背負ったが4番佐藤輝をカットボールで中飛に仕留め切り抜けた。打っても左打席から3回は遊撃内野安打。5回は四球を選び柳町達外野手(28)の左犠飛で三塁走者として生還。肌寒い甲子園でグラウンドコートを着て長時間走者として塁上にいたことも苦にしなかった。23年6月18日、甲子園での阪神戦でリリーフし1球でプロ初勝利を挙げた思い出の地で、最高の投球を見せた。

◆阪神佐藤輝明内野手(26)が初戦からでは日本シリーズ球団最長となる4試合連続で打点を挙げた。3点を追う8回1死一、二塁。二遊間を破る鋭い当たりで中前適時打を放った。これで初戦から全4戦で適時打を放ち打点をマーク。85年バースの記録を超えて球団最長となった。

◆阪神が終盤の追い上げもあと1歩及ばず、土俵際に追い詰められた。第1戦で白星を挙げた後3連敗を喫し、1勝3敗。日本一へもう負けられない状況となった。先発の高橋遥人投手(29)は5回途中6安打2失点。2回先頭のソフトバンク山川に先制ソロ本塁打を浴び、その後粘投を続けたが、5回1死一、二塁で、周東の打球が左腕を直撃。そのまま降板となった。1死満塁からスクランブル登板となった2番手畠世周投手(31)は、柳町に左犠飛を許すも最少失点にとどめた。6回に登板したのは、3番手桐敷拓馬投手(26)。1死から牧原大に投手強襲安打を浴びると、2死二塁から代打近藤に3点目の右前適時打を献上した。打線は7回まで散発4安打に抑え込まれるも、8回に反撃に出た。先頭近本光司外野手(30)が中前打を放つと、中野が四球で出塁。1死一、二塁から、佐藤輝明内野手(26)が中前適時打。1点をかえすと、続く大山の二ゴロの間に2点目を入れ、1点差に詰め寄った。しかし、反撃もあと1歩及ばず。打線の奮起を次戦につなげて、甲子園胴上げは阻止したい。

◆ソフトバンクが3連勝で3勝1敗とし日本一へ王手をかけた。2回、先頭の4番山川穂高内野手(33)が中堅へ3試合連続となる3号ソロで先制。5回には1死満塁から柳町達外野手(28)が2試合連続打点となる左犠飛で2点目。6回2死二塁では代打近藤健介外野手(32)が右前適時打で3点目を奪った。日本シリーズ初先発の大津亮介投手(26)が5回、59球で3安打無失点と好投。6回の打順で代打近藤を送られ降板したが役目は十分に果たした。大津は「絶対に点を与えないという強い気持ちを持ってマウンドに上がりました。良い緊張感の中で集中して投げることができたし、自分らしい投球ができて良かったです」とコメントした。6回からは継投策に入り、8回は松本裕樹投手(29)が2失点も、何とかリードを守り切った。

◆阪神にとって久しぶりとなる得点圏での安打が出た。3点を追う8回1死一、二塁から、佐藤輝明内野手(26)が中前適時打を放った。最後の得点圏での安打は26日の第2戦の初回1死二、三塁から、同じく佐藤輝が放った先制の右前適時打。その後は同日の試合で3打席、28日の第3試合で14打席、得点圏での安打がなかった。この日も直前の8回無死一、二塁で森下翔太外野手(25)が見逃し三振し、そこまでは6打席無安打。得点圏では24打席ぶりの安打となった。

◆ソフトバンクが3連勝で3勝1敗とし、日本一へ王手をかけた。2回、先頭の4番山川穂高内野手(33)が中堅へ3試合連続となる3号ソロで先制。5回には1死満塁から柳町達外野手(28)が2試合連続打点となる左犠飛で2点目。6回2死二塁では代打近藤健介外野手(32)が右前適時打で3点目を奪った。8回に2点を返されたが、1点差で逃げ切った。ソフトバンクが<2>戦から3連勝で日本一へ王手をかけた。シリーズで先に王手をかけたチームは過去75度のうち優勝が64度。今回のように2勝1敗から王手は21年ヤクルト以来26度目。過去25度のうち55年南海を除いて24度優勝しており、V確率は96%。シリーズでは2勝0敗から王手(V確率85%)よりも2勝1敗からの方がV確率は高い。ソフトバンクが2勝1敗から王手は6度目で、南海時代の55年はV逸も、その後は99、14、15、18年と次の試合も勝って日本一を決めている。

◆ソフトバンクが3連勝で3勝1敗とし、日本一へ王手をかけた。2回、先頭の4番山川穂高内野手(33)が中堅へ3試合連続となる3号ソロを放ち先制した。3点リードの8回に2点を返されたが、1点差で逃げ切った。山川が<2>戦から3試合連続本塁打。同一シリーズの3試合連続本塁打は16年<1>~<3>戦エルドレッド(広島)以来6人目のタイ記録で、球団ではダイエー時代の00年<1>~<3>戦城島以来25年ぶり2人目。この3試合は3連勝したが、3戦連発ですべて白星は58年<5>~<7>戦中西(西鉄)03年<3>~<5>戦金本(阪神)に次いで3人目。山川は<2>戦が初回に勝ち越し二塁打、<3>戦が4回に同点弾で、この試合は先制弾。シリーズで3試合続けて肩書付きの殊勲安打を記録したのは今年の<1>~<3>戦佐藤輝(阪神)に続いて6人目の最長タイ。ソフトバンクでは初めてになる。

◆阪神大竹耕太郎投手(30)が大役を担う。1勝3敗の土俵際で迎える第5戦の予告先発が発表された。古巣相手となり、試合前練習後には「どの打順でも得点できる打線なので、つながらないようにしたい。(古巣への意識は)無ですね。集合体として見ない、1人1人、チームとして見ないようにする」ときっぱり。現役ドラフトで阪神に移籍してから、ブレークした左腕は、古巣に成長した姿を見せつける。

◆阪神石井大智投手が短期決戦でも失点していない。1点ビハインドの9回に登板し、海野、川瀬を2者連続三振。柳田に中前打を浴びるも最後は周東を中飛で無失点に抑えた。23年から続くポストシーズン無失点記録を14試合連続に伸ばした。日本シリーズでは4試合中3試合に登板。レギュラーシーズンではNPB最長50試合連続無失点を記録した右腕は「あしたも頑張ります」と力を込めた。

◆阪神畠世周投手(31)がスクランブル登板で持ち味を発揮した。1点ビハインドの5回途中で先発高橋が打球を受けて降板。1死満塁からマウンドに上がった。26日第2戦以来2度目の登板。柳町に左犠飛を許し、続く山川は四球で2死満塁とするも栗原を空振り三振。「なんとかゼロでいきたかった。与えられたところをゼロで帰ってくることが目標なので」と笑顔はなかった。

◆阪神が終盤の追い上げもあと1歩及ばず、土俵際に追い詰められた。第1戦で白星を挙げた後3連敗を喫し、1勝3敗。日本一へもう負けられない状況となった。試合後、阪神藤川球児監督(45)は「あした、まず1試合、しっかりとチャレンジしていくことですね」と立ち向かう姿勢を強調した。「振り返っても一緒ですからね。3つ勝つということだけなんで。あしたまず1つを取りに行くと。これしかないんで」と切り替え、最後に力強く「やります」と口にした。

◆タイガースの不死鳥が、痛恨のアクシデントに見舞われた。日本シリーズ初登板の阪神高橋遥人投手(29)がソフトバンク周東の打球を左肘付近に受け、5回途中2失点で降板した。超満員の甲子園が絶叫し、その後、水を打ったように静まりかえった。0-1の5回1死一、二塁。初球を捉えた周東のライナーが、高橋の利き腕を襲った。痛みに顔をゆがめながら高橋は懸命に打球を追ったが、一塁・大山が処理。二塁に送球もセーフで満塁のピンチが残り、頼みの左腕はトレーナーらに付き添われてベンチへ。そのまま姿を見せることなく、藤川監督が球審に交代を告げた。「もっとしっかり投げたかった。もっと...ふがいないです」。試合後の高橋は、何度も自省を繰り返した。接戦の第1戦を制しながら連敗し、1勝2敗と阪神の形勢は不利に。左肩、左肘など5度の手術を経て再びチームを背負える投手としてよみがえり、DeNAとのクライマックスシリーズ・ファイナルステージ第3戦で8回1死まで無安打無得点投球を続けた高橋は苦境打破の希望の星だった。2回、先頭の山川に148キロストレートを中堅バックスクリーンにたたき込まれた。先制を許すも、追加点は許さず粘り抜いた。だが5回1死から相手先発の大津を歩かせて一、二塁のピンチを招き、打球直撃による降板。「(ソフトバンクは)強いとは思います。強いとは思うんですけど。自分の問題もあるかなと思います」と振り返った横顔に悔しさがにじんだ。ポストシーズンに入り、キャッチボールの軌道に手応えを感じていた。ファイナルステージの快投も、次戦への力になった。満を持して臨んだ初の日本シリーズ。だが不運に見舞われ、阪神が誇る左腕は、底力を見せる前にマウンドを降りた。【堀まどか】

◆阪神森下翔太外野手(25)がこの日本シリーズ初のマルチ安打をマークした。3回は2死一塁から好機を広げる右前打。6回には先頭右前打で存在感を見せた。23年のオリックスとの日本シリーズでは猛打賞を含む2度のマルチ安打。「どんな状況でも勝つしかないので」。ソフトバンクにリーチをかけられた甲子園での日本シリーズ最終試合を見据えた。

◆阪神大山悠輔内野手(30)は試合終了直後、次戦へのファイティングポーズを強調した。日本シリーズ第4戦は1点差まで追い上げながらの惜敗。ソフトバンクに日本一王手をかけられ、「もう明日なので。負けたら終わりですし。明日のためにしっかりやりたいと思います」と力を込めた。長いトンネルを抜けた。1点を追う2回1死走者なし。ソフトバンク右腕・大津の外寄りフォークを振り抜き、しぶとく三遊間を破った。今秋の日本シリーズ13打席目での初安打。打球が左翼へ転がる間、甲子園の大半を埋め尽くした虎党から割れんばかりの大歓声が響き渡った。ただ、3点を追う6回1死二塁では相手の好守に阻まれた。1ボール2ストライクから痛烈なライナーを三遊間に放ったが、遊撃手・野村勇にダイビングキャッチされて思わず天を仰いだ。8回は2点差に迫ってなおも1死一、三塁、詰まりながらも一、二塁間に二ゴロを転がして今シリーズ初打点もマークした。前日28日の第3戦終了後に「流れを全て止めてしまっている。なんとかしないといけないし、するしかない」と巻き返しを誓っていた主砲。まだ挽回の機会は残されている。【佐井陽介】

◆ソフトバンクが3連勝で3勝1敗とし日本一に王手をかけた。

◆崖っぷちに立たされても、試合後の阪神佐藤輝明内野手(26)は淡々と次戦を見据えた。2日続けて1点差での惜敗。これでソフトバンクに3連敗で1勝3敗と王手をかけられ、追い込まれた。それでも4番としての仕事はこれまでの試合と変わらない。キッパリと言い切った。「昨日も言ったように、もう1点、2点じゃないですか? 切り替えるというか、やることは変わらないので」この日も役割を果たした。3点ビハインドの8回。近本、中野でつくった1死一、二塁の好機に、甲子園は異様な空気に包まれた。今季何度も見せてきた得点パターンで、打席には4番佐藤輝。割れんばかりの声援を背に、松本裕の146キロフォークを捉えた打球は二遊間を抜く中前適時打となった。右中間への決勝二塁打を放った25日の初戦から、これで日本シリーズ4試合連続の打点。前試合時点で並んでいた85年のバースを超え、球団歴代最長の記録となった。40本塁打、102打点でセ・リーグ2冠を獲得した今季。シーズン同様に好調のバットで、チームの窮地を救いたい。チームにとっても、長いトンネルを脱する大きな一打となった。同シリーズで阪神が得点圏で安打を放ったのは、26日の第2戦以来。自身が放った先制の右前適時打以来、打線全体でも24打席ぶりの安打となっていた。前夜の第3戦でも打線全体では14打席あった好機ですべて凡退。これまで遠かった「あと1本」。主砲自ら、逆襲へのキッカケを生み出した。DeNAとのCSファイナルステージから、ここまでポストシーズン全7試合で安打をマーク。日本シリーズでも変わらず打率3割3分3厘と好調を維持している一方、いまだ本塁打は打てていない。今季何度も試合の流れを変えてきた、4番の豪快な1発。日本一への期待を一身に背負い、まずは甲子園での胴上げを全力で食い止める。【波部俊之介】

◆きょう甲子園で舞う! ソフトバンクが5年ぶりの日本一に王手をかけた。「SMBC日本シリーズ2025」で黒星発進から3連勝。小久保裕紀監督(54)が6回に近藤健介外野手(32)の代打策を的中させるなど執念采配で勝利をもぎ取った。昨年のDeNAとの日本シリーズでは2連勝後まさかの4連敗で敗退。雪辱を果たすまであと1勝に迫った。第5戦は中4日で有原航平投手(33)に先発を託す勝負手で一気に決める。鷹が虎を追い詰めた。初戦黒星からの3連勝。敵地甲子園の大アウェーを物ともしない。小久保ホークスが5年ぶりの日本一まであと1勝に迫った。「一戦必勝です。やることは変わらない。しっかり準備します」。勝利監督インタビューで小久保監督は隙を見せなかった。勝負手が実った。2-0の6回2死二塁。5回3安打無失点と好投していた先発大津の代打に近藤を送った。「(大津を)続投させるか迷ったけど」。決め手は得点圏に走者がいたこと。「(走者が)一塁ならいってない。スコアリングポジションなら近藤と決めていた」。近藤は左脇腹痛から再起し、今シリーズの第1戦で復帰。DH制がないセの本拠地では「代打の切り札」としてベンチに置いていた。その近藤は「勝負どころの決断だと思った」と指揮官の采配を重々理解して右前適時打。貴重な3点目。最終的に1点差に迫られただけに、勝利に大きく貢献した一打になった。継投に入った6回は「7回の男」藤井を繰り上げた。森下、佐藤輝、大山のクリーンアップ相手に無失点。「6回の藤井は先にいいピッチャーから出そうと。出し惜しみはしない」。下位打線だった7回はヘルナンデスでつなぎ、8回は松本裕が2失点でしのぎ、9回は杉山が1点リードを守り切った。「今年はこの形なんでね。最後も信じて送りだした」。冷静な采配で阪神との接戦を制した。いよいよ日本一に王手をかけた。小久保監督の執念は予告先発にも表れた。右のエース有原を中4日で第5戦に投入。シリーズ第1戦は黒星を喫したが6回2失点と粘投。2年連続最多勝右腕で一気の頂を目指す。「有原で決める? もちろん。その気持ちでやります」。初戦黒星から3連勝は、前回阪神と日本シリーズを戦った14年と全く同じ流れ。同年は4連勝で一気に決着をつけた。2連投中の守護神杉山は「明日(30日)も投げます」と3連投に気合十分。総力戦で甲子園胴上げを決める。【只松憲】

◆ソフトバンクの遊撃が、連日の好守備連発で勝利に貢献した。6番で出場した野村勇内野手が1点リード2回、先頭で佐藤輝の左翼ファウルゾーンへの飛球を猛追。スライディングしながらポケットキャッチを決めた。「とんでもなく難しかった。風もだし、普段やり慣れていない球場なんで」。好調の相手4番からアウトをもぎ取ったのは、これぞプロのビッグプレーだった。3点リードの6回1死二塁では、大山の三遊間へのライナーに横っ飛びで食らいついて間一髪好捕。抜けていれば適時打の打球だった。「球種を見てたら飛んできそうやなと思って準備はしていた。抜けていたら結構ピンチだったので、いいプレーだった」とこちらも会心だった。前日28日の第3戦では今宮が背走しながら半身でジャンピングキャッチ。今宮はそのプレーで右かかとを痛めてこの日欠場したが、代わって出場した野村も負けじと美技を連発。守り勝ちも際立つ3連勝となった。

◆日本シリーズ初先発のソフトバンク大津亮介投手(26)が5回59球、3安打無失点で勝利投手になった。1点リードの3回は、2死走者なしから味方の失策などで2死一、三塁のピンチを背負ったが、4番佐藤輝をカットボールで中飛に仕留めた。「絶対に点を与えないという強い気持ちを持ってマウンドに上がりました。良い緊張感の中で集中して投げることができたし、自分らしい投球ができてよかった」としっかり役目を果たした。

◆ソフトバンク今宮健太内野手(34)が右かかとを痛め、日本シリーズ第4戦(甲子園)を欠場した。試合前練習はグラウンドに姿を見せ、別メニューで調整した。28日の第3戦は「6番遊撃」でスタメン出場。6回2死一、二塁のピンチで、左前に落ちそうな坂本の飛球を背走しながらジャンプして好捕した際に負傷。9回守備から途中交代していた。村上打撃コーチは「きょうは様子を見る」と説明。今宮は「大丈夫です」と話した。

◆ソフトバンクが「SMBC日本シリーズ2025」第4戦を3-2で制して3連勝、5年ぶり12度目の日本一へ王手をかけた。2回に山川穂高内野手(33)がシリーズタイ記録となる3戦連発のソロで先制。2点リードで迎えた6回は代打近藤健介外野手(32)の適時打で3点目を奪うなど終始優位に進めた。先発大津亮介投手(26)が5回0封、野村勇内野手(28)が再三好守を見せるなど投打がっちり。きょう30日は中4日で先発に有原航平投手(33)を立て、敵地甲子園で一気に決める意気込みだ。痛烈な打球が一、二塁間を抜けていく。ソフトバンク近藤の視線の先で二塁走者の牧原大がホームを駆け抜けた。生還を見届け、一塁ベース上で右こぶしを甲子園の夜空へ高々と突き上げる。ひと仕事を果たした表情は満足げだった。「代打での一振りで絶対に仕事をしようと。起用に結果で応えることができてよかった」1打席にすべてを懸けた。2-0で迎えた6回2死二塁。1点がほしい場面で、満を持して代打で送り込まれた。カウント1ボールからの2球目だ。左腕桐敷の内角低め、145キロのツーシームに反応した。見逃せばボール球でもお構いなし。コンパクトに振り抜き、右前にリードを3点に広げる貴重なタイムリーを運んだ。左脇腹痛の影響のため、守備に就くことはできない。DH制のないセ本拠地開催では打撃に専念する背番号3がここ一番で勝負強さを発揮。手負いも、なんの。小久保監督の勝負手にひと振りで応えた。「勝負どころの(小久保監督の)決断で、プレッシャーはありましたけど、いい結果になった」開幕直後に腰を手術するなど、今季は度重なる故障離脱に苦しんだ。出場75試合は、移籍後最少だった。日本ハムとのCSファイナルも欠場したが、阪神との頂上決戦に間に合わせた。本拠地開催の第1戦、第2戦は「4番DH」でスタメン出場し、2試合連続タイムリーを放つなど、高い打力で鷹の日本シリーズを引っ張っている。懐も深い。リハビリ期間中だった5月、SGLでの2軍遠征期間中のこと。打撃不振で苦しんでいた阪神前川からアポなしで教えを請われた。「お互いに切磋琢磨(せっさたくま)しながらなので。前川くんは次の世代を担うバッターだと思う。そこには期待している」。面識はなかったが、惜しみなく技術を伝授。今回の日本シリーズでも再会すると、簡単な打撃レッスンを行った。チームは黒星発進後の3連勝で、5年ぶりの日本一に王手をかけた。「まだまだ簡単には終わらないと思うので。自分たちのやることを徹底したい」。圧倒的に優位な状況だが油断は一切ない。足元を見つめ、ホークス移籍後初の日本一に力を尽くす。【佐藤究】

◆底力を見せる時が来た。阪神藤川球児監督(45)は、短い言葉に決意を込めた。「振り返っても一緒ですからね。3つ勝つということだけなんで。あしたまず1つを取りに行くと。これしかないので」そして最後に、力強く口にした。「やります」。余計な言葉はいらない。あとは勝利という結果で示すだけだ。第1戦を接戦でものにするも、第2戦は2ケタ失点で敗戦。前夜28日に本拠地甲子園に戻ってからも流れを変えられず、まさかの3連敗となった。初戦から2点、1点、1点、2点と、猛虎打線が本来の力を見せられていない。それでも兆しは見せている。2回に山川のソロ本塁打で先制を許すも、直後の2回、3回と得点圏まで走者を進めた。この日は3点を追う劣勢が続く中で、終盤の8回に1点差まで追い上げた。あと1本が出れば、流れはガラリと変わるはずだ。指揮官が「チームの心臓」と誇るリリーフ陣の頼もしさも健在だ。この日は9回に石井がマウンドに上がり無失点。最後まで勝利を諦めなかった。前夜は6回途中から勝ちパターンの及川、岩崎、石井がバトンをつなぎ無失点リレーとブルペンの安定感は抜群。歯車さえかみ合えば、自然と勝機が見えてくる。試合後の会見場に現れた藤川監督は、気持ちを落とすでも、声を荒らげるでもなく、いつもと変わらぬ様子だった。「明日、まず1試合、しっかりとチャレンジしていくことですね」。まだ、日本一の可能性が消えたわけではない。一戦必勝で、怒濤(どとう)の3連勝へ。史上最速のリーグ優勝を成し遂げた強さを誇りに戦うだけだ。【磯綾乃】

◆阪神前川右京外野手(22)が日本シリーズ初出場も、快音を響かせることはできなかった。「6番左翼」で先発出場し、プロ初の同シリーズ。4回の第2打席は死球で出塁したが、他の打席は凡退し3打数無安打に終わった。1点差に詰め寄った直後の8回2死一塁の第4打席では二ゴロ。「1試合を通して結果が出なかった」と反省した。

◆阪神・木浪聖也内野手(31)が試合前練習に参加し、一塁のポジションでノックを受けた。打撃練習や遊撃でのノックをこなしたあと、左手に一塁用ミットを装着し、ノックや打球捕などを行った。一塁は2022年9月12日の中日戦(甲子園)を最後に守っていないポジションで、木浪にとっては一塁でのノックも久々。田中秀太内野守備走塁コーチ(48)は「人数的なものもあるから準備だけしておこう、と。木浪も、熊谷も、糸原も、全員ね。何かあったとき(のため)にね。きのうのドジャースの延長戦じゃないけど、(NPBは)十二回までだけど、人数的なところもあったという、準備だけですね」と説明した。

◆第3戦に1-2で敗れ、1勝2敗で迎える阪神はここまで全試合でベンチ外だった前川右京外野手(22)を「6番・左翼」で起用。今季は69試合に出場して打率・246、1本塁打、15打点。ソフトバンクの投手陣に2試合連続で1得点に抑え込まれている打線の起爆剤になれるか。先発は高橋遥人投手(29)。17日のDeNAとのクライマックスシリーズ・ファイナルステージ(甲子園)では八回2死まで無安打投球を披露した。

◆先発した阪神・高橋遥人投手(29)が痛恨の一発を浴びた。0-0で迎えた二回。先頭の4番・山川を2球で追い込むも、カウント0-2からの4球目、真ん中148キロを完璧に捉えられた。打球はバックスクリーン方向にぐんぐん伸び、中堅・近本の頭の上を超える先制ソロに。相手主砲の3試合連続本塁打に、甲子園は虎党からのどよめき交じりのため息に包まれた。それでも、左腕は続く栗原をフルカウントから142キロのツーシームで、続く野村を内角高め148キロ直球で連続三振に斬ると、牧原大は三ゴロに仕留めて、最少失点で切り抜けた。

◆ソフトバンク・山川穂高内野手(33)が、今シリーズ第3号となる先制のソロ本塁打を放った。0-0の二回の先頭。阪神先発・高橋がカウント0-2から投じた4球目、148キロの直球を振り抜き、中堅バックスクリーンに運んだ。26日の第2戦、28日の第3戦に続き、3試合連続の本塁打。日本シリーズでの最多タイ記録となった。

◆「5番・一塁」で先発した阪神・大山悠輔内野手(30)に待望の日本シリーズ初安打が生まれた。0-1の二回1死で打席に立つと、カウント1-0から先発・大津の外角へのフォークを捉えた。打球は三遊間を破り、日本シリーズ4戦目、13打席目での初安打。「H」ランプを灯し、甲子園は大歓声に包まれた。1-2で敗れた第3戦の試合後には「流れをすべて止めてしまっている。こうなっているのも全部、僕の責任ということもあるので、何とかしないといけない」と話していた。この一打をきっかけに、悩める主砲が目を覚ますか。

◆ソフトバンクの今宮が右かかとを痛めて欠場した。先発出場した28日の第3戦で、2―1の六回2死一、二塁のピンチで坂本の左前へ落ちそうな打球を、背走しながらジャンプして好捕した際に痛めた。試合前練習ではグラウンドに姿を見せ、別メニューで調整した。村上打撃コーチは「きょうは様子を見る」と説明した。

◆ソフトバンク・山川が第2戦から3試合連続本塁打。1シリーズでの3試合連続本塁打は最多タイ記録で、1958年第5-7戦の西鉄・中西太、85年第1-3戦の阪神・バース、2000年第1-3戦のダイエー・城島健司、03年第3-5戦の阪神・金本知憲、16年第1-3戦の広島・エルドレッドに次いで9年ぶり6人目。ソフトバンク(前身を含む)では00年の城島以来25年ぶり2人目。

◆阪神の先発・高橋遥人投手(29)がピンチを招くも、粘りの投球で切り抜けた。1点を追う三回、1死から投手の大津に内野安打で出塁を許すと、続く柳田に死球を与えて得点圏に走者を背負った。周東を一ゴロに打ち取り、2死一、三塁。3番・柳町を迎え、カウント2-0からの3球目を左翼ポール際に運ばれた。左翼の線審・有隅がファウル判定も、ソフトバンク・小久保監督がリクエストを要求。判定は変わらず、フルカウントから外角低めへのカットボールで空振り三振に斬って、無失点で切り抜けた。

◆先発の阪神・高橋遥人投手(29)がアクシデントに見舞われた。0-1の五回、1死一、二塁で周東のライナー性の打球が左腕に直撃。内野安打となり、満塁のピンチを招いた。顔をしかめた左腕のもとに駆け寄った安藤優也投手チーフコーチとトレーナーに付き添われてベンチへ。そのまま負傷交代となり、2番手・畠がマウンドに送られた。第2戦(みずほペイペイ)では岩貞に打球が直撃し、左肩の打撲と診断。阪神の投手陣にアクシデントが相次いでいる。

◆阪神が中盤に追加点を奪われた。0-1で迎えた五回、先発の高橋遥人投手(29)が1死から投手の大津に四球を与えると、柳田に左前打、周東に投手強襲の内野安打を浴びて1死満塁。高橋はライナー性の打球が左腕に直撃し、負傷交代。代わってマウンドに上がった2番手・畠世周投手(31)が柳町に犠飛を許して1点を失った。4番・山川に四球を与えて再び満塁のピンチを背負うも、5番・栗原を会心の内角高め直球で空振り三振。レギュラーシーズンから15試合連続無失点とし、ガッツボーズでチームを鼓舞した。

◆ソフトバンクは2-0の六回に代打・近藤健介外野手(32)が右前適時打を放ってリードを広げた。1死から牧原大の投前内野安打と海野の犠打で2死二塁とし、大津の代打で近藤が登場。決して万全ではない左脇腹の状態などを考慮し、守備にはつかず福岡での2試合はDHで出場。小久保監督はDHが採用されない甲子園では代打での起用を前提にベンチスタートとする方針を示唆していた。桐敷のツーシームを引っ張り、鋭い打球が一、二塁間を抜けた。「守りができない中で代打での一振りで絶対に仕事をしようとしました。この代打起用に結果で応えることができてよかったです。みんなで勝ちをつかみ取って王手をかけたい」とチームを盛り立てた。

◆阪神のラファエル・ドリス投手(37)がパーフェクトリリーフを見せた。0-3で迎えた八回に4番手で登板すると、先頭の栗原を遊ゴロ。野村から外角低めのスライダーで空振り三振を奪うと、続く牧原大を全球スプリットで空振り三振。甲子園での日本シリーズデビュー戦で圧巻の投球を披露した。

◆ソフトバンクの大津は、先発として初めて上がった日本シリーズのマウンドで持ち味を存分に発揮し、白星を挙げた。多彩な変化球を制球良く投げ分け、5回3安打無失点の好投。「良い緊張感の中で、自分らしい投球ができた」と大舞台で役目を果たした。1―0の三回は2死から失策と安打で一、三塁のピンチを背負ったが、好調の佐藤輝を内角に食い込む変化球で詰まらせた。慣れない打席で2度出塁した後のマウンドでも乱れなかった。六回に代打策で早めの交代となったが「一球一球を丁寧に、チームが勝つための投球をするだけ」と話していた通り、気持ちのこもった59球でしっかりと試合をつくった。

◆阪神がついにチャンスをものにした。前日28日の四回から数え、8度の得点機をふいにした。そして迎えた9度目の得点圏のチャンスで、重たい扉を開いたのは主砲・佐藤輝明内野手(26)だった。0-3で迎えた八回、4番手・松本裕から先頭の近本光司外野手(30)が中前打で出塁すると、続く中野拓夢内野手(29)も四球で続いて無死一、二塁。森下が見逃し三振に倒れたが、4番・佐藤輝がカウント0-3からの外角フォークを中前にはじき返した。これで日本シリーズで4試合連続となる適時打。1点差に迫り、なおも1死一、三塁で大山悠輔内野手(30)の二ゴロで1点を追加。続く前川は打ち取られたが、九回を残して1点差に詰め寄った。

◆ソフトバンクが3連勝で5年ぶりの日本一へ王手をかけた。先発の大津亮介投手(26)が5回を無失点と好投した。大津は力強い直球に変化球を織り交ぜ、阪神打線を翻弄。ピンチでも集中力を切らさず、粘りの投球を見せた。打線は二回に山川が日本シリーズ最多タイ記録となる3試合連続本塁打を放ち、1点を先制した。五回には1死満塁の好機を作り、柳町が左犠飛で1点を加え、リードを広げた。六回には2死二塁から代打・近藤が右前適時打で3点差とし、八回に1点差に詰め寄られたが、逃げ切った。昨年はあと少しで手が届かなかった日本一まで残り1勝とした。

◆阪神が競り負けた。第1戦を白星でスタートしたが、第2戦から3連敗でソフトバンクに王手をかけられた。阪神先発の高橋遥人投手(29)は二回、先頭の山川に日本シリーズ最多タイ記録となる3戦連発の先制ソロを浴びると、五回には1死一、二塁で周東のライナー性の打球が左腕に直撃。満塁のピンチを招き、負傷降板した。代わってマウンドに上がった2番手・畠が柳町に犠飛を許して1点を失った。さらに六回には3番手の桐敷が代打近藤にダメ押しタイムリーを浴びて0-3となった。阪神は八回に佐藤輝の4試合連続打点となる適時打などで2点を返したが、あと1点が届かなかった。1勝3敗となり後がなくなった。

◆阪神が3連敗で、ソフトバンクに王手をかけられた。二回、山川穂高内野手(33)に日本Sタイの3戦連続本塁打を浴びた高橋遥人投手(29)が五回1死から大津亮介投手(26)への四球と柳田悠岐外野手(37)の左前打で窮地を招き、周東佑京内野手(29)の打球を左肘付近に受けて、降板。畠世周投手(31)が柳町達外野手(28)の左犠飛で、2点目を失った。六回には桐敷拓馬投手(26)が2死二塁から代打近藤健介外野手(32)の右前打で3点目を与えた。第1戦からの得点が「2」「1」「1」の打線は八回1死一、二塁、佐藤輝明内野手(26)の球団初の日本S4試合連続打点(最長は24年DeNA・桑原将志の第2戦からの5試合連続)となる中前打、二回に13打席目で初安打を記録した大山悠輔内野手(30)の内野ゴロで1点差に迫るも、反撃は2点止まり。

◆ソフトバンクが逃げ切った。二回に山川の3戦連続本塁打で1点先制し、五回に柳町の犠飛、六回は代打近藤の適時打で加点した。大津は5回3安打無失点。阪神は八回に佐藤輝の適時打などで反撃したが及ばなかった。阪神のデータは以下のとおり。?阪神が第4戦に敗れ、対戦成績は1勝3敗と後がなくなった。日本シリーズで1勝3敗から逆転優勝したのは、1955年の巨人(○●●●→○○○、対南海)、58年の西鉄(●●●○→○○○、対巨人)、86年の西武(△●●●○→○○○、対広島)、89年の巨人(●●●○→○○○、対近鉄)の4度。阪神のように初戦白星から3連敗して逆転で日本一となったのは55年の巨人だけ。?佐藤輝が第1戦から4試合連続打点。1シリーズで4試合以上続けて打点を挙げたのは、昨年第2-6戦のDeNA・桑原将志(5試合)を筆頭に14人目で、阪神では85年第1-3戦のバースら4人を抜く新記録。第1戦からの4戦連続打点は最多タイ記録で、1990年の西武・デストラーデ以来35年ぶり9人目、日本選手では84年の広島・山本浩二以来41年ぶり8人目。

◆ソフトバンクが逃げ切った。二回に山川の3戦連続本塁打で1点先制し、五回に柳町の犠飛、六回は代打近藤の適時打で加点した。大津は5回3安打無失点。阪神は八回に佐藤輝の適時打などで反撃したが及ばなかった。ソフトバンクのデータは以下のとおり。?ソフトバンクが第4戦に勝利。対戦成績を3勝1敗とし、日本一に王手をかけた。日本シリーズで先に王手をかけたチームは過去75度のうち日本一が64度、優勝確率は85・3%。2勝1敗から3勝目を挙げて王手をかけたケースは過去25度中、日本一が24度、優勝確率は96%。ソフトバンクのように初戦に黒星を喫してから3連勝で王手をかけたケース(引き分けを含む)は過去12度中、日本一が11度、優勝確率は91・7%。逃したのは1955年の南海だけ。?山川が第2戦から3試合連続本塁打。1シリーズでの3試合連続本塁打は最多タイ記録。58年第5-7戦の中西太(西鉄)、85年第1-3戦のバース(阪神)、2000年第1-3戦の城島健司(ダイエー)、03年第3-5戦の金本知憲(阪神)、16年第1-3戦のエルドレッド(広島)に次いで9年ぶり6人目。ソフトバンク(前身を含む)では00年の城島以来25年ぶり2人目。?山川の殊勲安打(先制、同点、勝ち越しなど)は第2戦が勝ち越し、第3戦が同点、第4戦が先制。シリーズで3試合連続で殊勲安打をマークしたのは、第1-3戦の阪神・佐藤輝明に続く6人目。パでは62年第3-5戦の岩下光一(東映)、95年第2-4戦のD・J(オリックス)に次いで30年ぶり3人目。

◆中日、西武、阪神で通算1560安打を放ち、楽天初代監督を務めたサンケイスポーツ専属評論家の田尾安志氏(71)は、「下位打線」で得点できない阪神の層の薄さについて言及した。短期決戦はどうしても相手と比較してしまう。打線を見比べると「役者の差」を痛感する。4番・佐藤輝は4試合連続適時打で健闘しているが、相手の山川はひと振りで決めてくる。3試合連続本塁打を見せつけられると...。代打の1打席だけでタイムリーを放つ近藤。柳田がいて、周東がいて、下位打線にも首位打者・牧原大がいる。実はこの「下位打線」が、追い詰められた原因のキーワードでもある。阪神のリーグ優勝の要因は「1番から5番まで固定」が定番として言われてきた。その通りだが、5人に続く打者が、誰も思い浮かばない。実は層が薄かった、という結論になってしまう。このシリーズは、下位打線で全く得点できていないのが、層の薄さの証明だ。申し訳ないが、下位は誰がスタメンに出ても、誰が代打で出てきても、戦力アップになりそうに見えないのだ。強力な上位打線を組みながら、さらに牧原大が下位にいるソフトバンクとは明らかに得点力に差があった。ただ、王手をかけられた以上、開き直るしかない。幸いにして八回に2点を返した。これは明るい兆しと受け取るべき。一番状態を心配していた森下に2安打が出て、ノーヒットだった大山にも初安打が生まれ、いい当たりも戻り始めている。近本、中野が出てクリーンアップでかえす。もう、5人で点を取るしかない。

◆ソフトバンクの柳町が2試合連続で打点を挙げた。1―0の五回1死満塁で、初球を左翼に打ち上げ犠飛とした。28日の第3戦で勝ち越しの適時三塁打を放ったのに続き、連日主軸の役目を果たし「何とか1点をという思いで打席に入った。しっかり初球からいいスイングができたのが良かった」と力強く話した。5年ぶりの日本一へあと1勝。「できれば明日(30日)決められるように。集中して臨みたい」と表情を引き締めた。

◆日本シリーズ初登板の高橋は無念の緊急降板となった。0-1の五回1死一、二塁。周東のライナーが左腕を直撃。治療のためにベンチに下がり、交代が告げられた。「(左腕は)大丈夫だと思います。ふがいないです」試合後、悔しさをにじませた。二回、山川に被弾。三回、四回と走者を得点圏に許し、五回にアクシデント。2番手の畠が左犠飛を浴び、高橋は4回?を投げて6安打2失点という内容だった。3勝0敗(アドバンテージの1勝を含む)で迎えた17日のDeNAとのCSファイナルステージ第3戦で、八回1死まで無安打投球。日本シリーズ進出に貢献し、今回は連敗ストッパーとして期待されたが...。「(ソフトバンク打線は)強いとは思うけど。自分の問題もある」とうなだれた。(三木建次)

◆阪神・森下は今シリーズ初のマルチ安打。三回2死一塁で好機を広げる右前打を放つと、六回先頭でもライナーを右中間方向にはじき返す単打をマークした。ただし、チームは日本一へ、土俵際。「どんな状況でも勝つしかない。その状況は変わらない」と言葉少なにクラブハウスへと引き揚げた。

◆阪神・大山が0-1の二回1死から大津のフォークを左前に運び、4試合13打席目で日本シリーズ初安打を放った。だが六回1死二塁では、相手の好守に阻まれて遊直に。佐藤輝の適時打で1点を返した八回は1死一、三塁で二ゴロ。三塁走者は生還したが、痛恨の打席となった。試合前は木浪が一塁の守備練習を行った。大山は「もう明日なので。負けたら終わりですし。明日のためにしっかりやりたいと思います」と悔しさをにじませた。

◆日本一に王手をかけて臨む第5戦で、ソフトバンクは有原が先発する。25日の第1戦(みずほペイペイ)では6回2失点で黒星。五回まで無失点も、レギュラーシーズンのイニング別で最も失点数(16)が多かった六回に逆転を許した。中4日でのリベンジ登板へ「前回同様、一人一人集中して、粘り強くチームが勝てるような投球をしたいです」とコメントした。

◆五回1死満塁。打球が直撃し、緊急降板した阪神・高橋に代わったのは畠だ。柳町の犠飛で追加点を献上したことに「ゼロでいきたかった」と唇をかんだが「最少失点でいけたのは及第点」とも振り返った。現役ドラフトで加入した今季は故障で出遅れたが、レギュラーシーズンから、これで15試合連続無失点。「長打だけはダメだと思って投げました」と話した。

◆「SMBC日本シリーズ2025」第4戦が29日に行われ、パ・リーグ2連覇のソフトバンクが阪神に3―2で勝利。3連勝で対戦成績を3勝1敗とし、5年ぶり12度目の日本一へあと1勝とした。二回に「4番・一塁」で出場した山川穂高内野手(33)が、シリーズ記録に並ぶ3試合連続本塁打となる先制ソロを放った。「シリーズ男」襲名の勢いだ。2試合連続で4番に座った山川が、先制ソロを放って日本シリーズ記録に並ぶ3試合連続本塁打。パワーを見せつけて日本一へ王手だ。「(打った感触は)どうかな?という感じ。伸びてくれてよかった」0-0の二回先頭。2ストライクと追い込まれながら高橋の直球を仕留めた。阪神ファンの悲鳴とともに打球はバックスクリーンへ飛び込んだ。「自分の打撃の技術面に集中できている。配球はそんなに読まず、雰囲気を感じる程度」駆け引きなしで、好球必打。23本塁打止まりだったレギュラーシーズンからCSにかけて不調にあえいできたが、日本シリーズに入って打撃の感覚をつかみ、まさに充実の時を迎えた。「シーズンでは〝すっとこどっこい〟だった。その中で最後こうやって打てるのが一時でもきたのはうれしく思う」。過去にシリーズで3試合連発を記録した打者は、中西太(西鉄)、バース、金本知憲(ともに阪神)ら5人。「なかなかいかついメンバーですね」とニヤリと笑った。

◆ひと振りで仕留めた。ソフトバンク・近藤が代打起用に応え、貴重な追加点を奪った。「チャンスになったらいくと言われていたので、しっかり準備をして、いい結果になってよかった」2-0の六回2死二塁で、先発・大津の代打で登場。「流れが変わる勝負どころの決断だなと思って、プレッシャーはありました」。桐敷が投じた内角低めのツーシームをうまくさばき、一、二塁間を破った。レギュラーシーズン終盤は左脇腹痛のため戦列を離れ、25日の第1戦(みずほペイペイ)に「4番・DH」で実戦復帰。患部の状態は万全ではなく、DH制がない28日の第3戦は出場機会がなかった。それでも出場3戦連続打点で「打撃だけでも貢献できるなら、とやっている」。5年ぶりの日本一をつかむために、気合でバットを振り続ける。(西垣戸理大)

◆阪神・石井が2-3の九回にシリーズ3試合目のマウンドへ。海野、川瀬を空振り三振、柳田に中前打を浴びたが、最後は周東を中飛に打ち取り、2023年からポストシーズン14試合連続無失点とした。日本一へ、王手をかけられたが「明日も頑張ります」と負けん気をみせた。

◆リードオフマンのバットからは快音が響く。それでも、日本シリーズは甘くない。もう負けることは許されない。接戦を落として崖っぷちに立たされた阪神・近本は、絞り出した言葉に力を込めた。「明日は明日なので。また全員で自分たちらしくやるしかないかなと思います」敗戦の中でも近本の躍動は甲子園を沸かせた。2打席連続三振で迎えた五回は2死から大津の高め145キロ直球を中前にはじき返してHランプを点灯。後続が倒れて得点にはつながらなかったが、リードを広げられた直後に見せた反発力に虎党は期待を膨らませた。3点を追う八回には、シーズン防御率1・07の松本裕から先頭で中前打を記録。中野が四球で続き、4番・佐藤輝の中前適時打でホームを踏んだ。2点を奪うも反撃及ばず2試合連続で1点差で敗戦。それでも鷹の強力救援陣を、あと一歩のところまで追い詰めた。報道陣から次戦につながるかと問われると「明日は勝っていたら(勝ちパターンは)投げることはないので、そんなに(つながらない)。勝っていることしか(頭にない)」と思い描いた。大舞台で、より勝負強さを発揮する。計14安打を放ち、シリーズMVPの活躍で球団38年ぶりの日本一に輝いた2023年の日本シリーズは、第2戦を除く6試合で安打を記録。28日の第3戦で九回に左前打を放ち、吉田義男、鳥谷敬(ともに7試合連続)を抜いて球団新記録となる8試合連続安打とすると、この日、9試合に更新した。30日のソフトバンクの先発は最多勝右腕の有原。第1戦で2安打を放った近本の頭の中には打ち勝つイメージはできている。「勝ちにつながるように明日も頑張ります」。何度も逆境を乗り越えてきた。近本のバットが、栄冠に導く3連勝を呼び込む。(萩原翔)

◆ソフトバンク・大津は縦横の変化球を駆使して相手を翻弄し、5回59球を投げて3安打無失点。日本シリーズ初先発で初勝利を挙げた。「自信を持ってマウンドに上がった。寒かったが、自分の投球ができた」と大舞台での好投に胸を張った。三回の打席では50メートル6秒0という快足を飛ばして遊撃内野安打をマーク。その後の投球では「息はちょっと上がっていたが、何とか落ち着いて投球をしよう」と丁寧に投げてチームを勝利に導いた。

◆28日の第3戦に先発し、6回1失点と好投したソフトバンク・モイネロ。試合後に「球場が小さいので高めに浮いて長打にならないように、と意識していた」とコメントした。左腕にとって、甲子園は「小さい」のか...と驚いた。甲子園は両翼95メートル、中堅118メートルと記載されている。12球団の本拠地で、両翼は本塁打が出やすいといわれる横浜スタジアムの94メートルに次ぐ短さ。ただ、左中間、右中間は広い方だと思う。28日の試合前の打撃練習では強打者である柳田が、何度もスタンドインを狙ってフルスイングしていた。だが、あと少し届かず「なぁ~にぃ~」とお笑いコンビ、クールポコ。のネタのような言葉を何度も発していた。「小さい」ようで、広い甲子園。それぞれの立場で見方は変わる。だからこそ、さまざまなドラマが生まれる、と感じた。(西垣戸)

◆日本シリーズ全戦チェック中のサンケイスポーツ専属評論家・江本孟紀氏(78)は、第1戦勝利のあと3連敗の阪神に、思わず嘆き節。バッテリーの余裕のなさを指摘した。なぜ、早急に、あっさり、勝負するのか。阪神推しのエモトとしては、嘆くしかない。六回2死二塁。左腕の桐敷が代打・近藤に対し、カウント1-0から内角低めのシュートを完璧に打たれ、右前タイムリーとされた局面だ。簡単に打たれるような球ではなかったけれど、近藤の方が1枚も2枚も上。DH制ではないのでベンチスタートになっただけ。球界で「天才」とも称される。まず、そのレベルの打者だと、強く認識しないといけない。なんといっても、一塁は空いている。必然的に、ストライクゾーンで勝負しようなどと欲を出してはいけない。四球でもいい。それくらいの余裕を持ち、厳しいボールで、くさいコースを突きまくらないといけない。その結果、歩かせたとして、続く柳田、周東の左打者2人までかけて、つまり満塁にしてでも、なんとか、あと1アウトを取る。余裕に加えて、粘りも必要だった。先発の高橋が二回、山川に先制アーチを浴びたときも、似たようなことがいえる。カウント0-2と追い込みながら、真っすぐが真ん中へ入り、バックスクリーンへ運ばれた。まだボール球を3つ投げられるではないか。間違っても甘くならないよう、インハイ、アウトローなどの対角線投球を徹底すべきだった。今シリーズの阪神バッテリーは全般的に、勝負を急いでいる。普通に勝負して、打たれている。投手力自慢のチームが、余裕を失っている。それはつまり、気後れしている、ということだろう。試合を重ねれば重ねるほど、ソフトバンクの強さが見えてきた。日本ハムとの激しいV争いを制した地力が、浮かび上がってきた。阪神はもはや、総力戦を挑むしかない。(サンケイスポーツ専属評論家)

◆柳町の打球が左翼ポール際へ。三回2死一、三塁。入った? 入っていない? 左翼線審・有隅はファウルのジャッジ。甲子園の99%近い虎党は大喜び。だが、ソフトバンク・小久保監督はリクエスト。審判団は控室に戻って、ほどなく戻ってきた。判定変わらずファウル。阪神ファンは大拍手&ホッ。何気ない、いつも通りの光景だが、改めてリクエストの制度に感謝だ。1978年日本シリーズ第7戦。阪急とヤクルトの決戦は3勝3敗の第7戦にもつれこんだ。阪急・足立光宏、ヤクルト・松岡弘の投げ合いは、五回にヤクルトが1点を先制。迎えた六回1死。ヤクルト・大杉勝男の打球が左翼ポール際に伸びた。線審はホームランのジェスチャー。阪急の名将・上田利治は血相を変えてベンチを飛び出した。「完全に外れている」猛抗議は、今では信じられないことだが、1時間19分に及ぶ。想像できます? 1時間19分の抗議ですよ。当時のコミッショナーが懇願しても、ウエさんは引き下がらなかった。わが社の先輩記者は何度も左翼スタンドに取材に走った。観衆はほぼ全員が「ファウル」と断言したそうだ。運命の7戦目。日本一をかけた大一番。引き下がれなかったのだろう。さすがにホコを収めたウエさんだったが、好投・足立は中断時間が長すぎて続投できず、救援投手が打ち込まれ、阪急は敗れる。そして、ウエさんはその日に辞任。たった1本のポール際の打球が、あまりに多くの人生を左右してしまった。今は、映像という〝決定打〟があるから、小久保監督もすぐに引き下がった。もし、リクエスト制度がなかったら、いつ1時間19分の抗議が飛び出すか。それは困る。

◆風は全てソフトバンクへ...。大空を悠々と舞い、日本一の頂に舞い降りる鷹を虎はただ見つめるしかないのか。地元甲子園の虎党と風の後押し(ホークスはファウルフライを2つポロリ)がありながら連敗ってど~いうこっちゃ!!(怒)所詮、弱い弱いセ・リーグの『井の中の蛙(かわず)』だったんかいな!! とにかく納得いか~ん!! 確かに藤川阪神は投手王国を確立したかもしれないけど、例えば1点を追う最終回、鷹の守護神杉山に対して高寺、小幡、代打の木浪って...。そんなん、ほぼ白旗やんか~!!若虎を切磋琢磨(せっさたくま)させて、その成長に賭ける采配はある意味美しいと共感すれど、プロ野球は結果が全て。補強をどこかおろそかにした、しっぺ返しに見えたのだ。そして、それ以上に阪神は強いけど、どこかに感じる時代遅れ感あり!! カクテル光線に映える土のグラウンドに天然芝は、誰もが認める芸術だけど、断腸の思いで人工芝、さらにはMLBの大谷に見る野球の華ホームラン!! つまりラッキーゾーンを復活させることが令和の打撃になると思うのだ!! でも、まだ終わっていない! 球史に残る逆転日本一は捨てとらんでェ!!