| 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 | 安 | 失 | 本 | |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
ソフトバンク | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 2 | 6 | 2 | 1 |
阪神 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 6 | 0 | 0 |
|
勝利投手:モイネロ(1勝0敗0S) (セーブ:杉山 一樹(0勝0敗1S)) 敗戦投手:才木 浩人(0勝1敗0S) 本塁打 | |||||||||||||
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◆ソフトバンクは1点を追う4回表、山川のソロで同点とする。そのまま迎えた6回には、柳町の適時三塁打が飛び出し、勝ち越しに成功した。投げては、先発・モイネロが6回1失点の好投。その後は3人の継投でリードを守った。敗れた阪神は、打線が再三の好機を生かしきれなかった。
◆阪神とソフトバンクの日本シリーズ第3戦が28日、阪神の本拠地・甲子園で行われる。ソフトバンクのホーム・みずほペイペイドームで開幕した同シリーズは、ここまで1勝1敗。今日の第3戦は、阪神が才木、ソフトバンクはモイネロが先発する。第4戦以降、両チームはどのような先発ローテーションを編成するのだろうか。日刊スポーツの両球団担当記者が予想した。
◆生き返れ、大山! 「SMBC日本シリーズ2025」の第3戦が今日28日、甲子園で行われる。敵地で1勝1敗だった阪神だが、大山悠輔内野手(30)はノーヒット。CSファイナル初戦から5試合で1安打と調子が気がかりだ。ソフトバンクの先発はリバン・モイネロ投手(29)。大山は交流戦で唯一の得点となる適時打を放っている。日本一へ、5番打者の活躍は不可欠。難攻不落の左腕を再び打って勢いづきたい。数日ぶりに戻った甲子園はすっかり秋の気配だった。午後3時からの練習が終わるころには涼しい風が吹いていたが、大山はいつものようにしっかりと汗をかいて引き揚げてきた。福岡からの移動疲れも感じさせず、いつも通りのルーティンをこなした。一塁でノックを受け、フリー打撃では入念にスイングと打球方向を確認した。みずほペイペイドームでの2試合は8打数無安打と本来の姿ではなかった。DeNAとのCSファイナル3試合も含めて計5試合で19打数1安打、1打点。エンジンがかかっていない。阪神の得点源となる強力クリーンアップの一角だ。ソフトバンクも相当の対策をしてきたことがうかがえた。第2戦の初回は1点先制してなお1死一、三塁のチャンスだったが、上沢の外角低めに落ちるフォークに空振り三振。厳しい攻めだった。打線の本格機能には5番打者の働きが欠かせない。前を向ける材料がある。第3戦の相手先発はモイネロ。12球団屈指の名左腕だが、大山は今年の交流戦でチーム唯一の得点となる一時同点の中前打を放っている。自身もチームも上昇気流をつかむには、うってつけの相手といえる。本人は「それはそれです。レギュラーシーズンと日本シリーズは違う。もう1戦1戦ですから」と冷静だが、復調へ期待は高まる。23年のオリックスとの日本シリーズは打率1割台ながら、第4戦のサヨナラ打など効果的な4打点を挙げた。ここぞの場面で得点に絡むのが大山の真骨頂だ。「今年は今年なので。昨日までは昨日で終わりましたし、また今日は今日、明日は明日ですから。しっかりリセットして、明日の試合はしっかり頑張りたいです」と表情を引き締めた。短期決戦では1球、1プレーで流れが変わる。第2戦は10失点の大敗を喫したが、敵地で1勝1敗は御の字。甲子園のアドバンテージも間違いなくある。モイネロ打ちで、頂上対決のビッグウエーブをつかまえたい。【柏原誠】
◆阪神才木浩人投手(26)が強力ソフトバンク打線の勢いを止める。28日の日本シリーズ第3戦に先発予定。1勝1敗で迎える甲子園での同シリーズ初戦に向け、気合は十分だ。「1人ずつ、1イニングずつがすごく大事。長いイニングを投げる意識より、1人ずつしっかり切るイメージで。結果は自ずと付いてくると思うので、いい流れを持ってこれるようなピッチングができたら」ソフトバンク戦は過去、交流戦で2度先発。甲子園で戦った23年は5回無失点、敵地での24年は7回1失点で白星を挙げた。計12イニングを1失点と好相性を誇るが、油断はできない。26日の第2戦では先発デュプランティエが立ち上がりから集中打を浴び、2回途中を7失点。計10得点を挙げた強力打線の本領を目の当たりにし、才木も気を引き締めた。「シンプルに強いなと。打線もつながり始めたら本当に止まらない。上位打線に、すごく塁に出たら嫌な選手が多いので。誰をとかはあれですけど、しっかり1人ずつ切れるように」さらに日本シリーズの勝敗がもつれこめば、才木は11月2日の第7戦に中4日での登板が可能。これまでキャリアで1度も経験のない先発登板間隔となるが、託される心の準備はすでにできている。「もつれたら全然行くつもりでいますし。そこは監督とコーチがどう判断するか分からないですけど、とりあえず自分はどこでも行けるように明日を終えて。その次のところまでしっかり気持ちと体の準備はしていきたい」今季防御率1・55をマークしたセ・リーグの最優秀防御率右腕。特に甲子園は9登板で同1・47と得意にしてきた。ホームの大歓声と地の利を生かし、タカの勢いを食い止める。【波部俊之介】
◆阪神の3、4番コンビは甲子園3連戦に自然体で臨む。第3戦のソフトバンク先発は2年連続で最優秀防御率を受賞した難敵モイネロ。今年6月20日交流戦(甲子園)では2人とも3打数無安打に封じられた。日本シリーズ2戦連続適時打と好調を維持する佐藤輝明内野手(26)は「いいピッチャーだなと思う。(対戦は)1回だけなので何とも言えない。(ソフトバンクに)いい選手がそろっているのは本当に感じている。まあ、こっちもいい選手がそろっているんでね。いい試合をしたい」とハイレベルな戦いへ気合十分。2試合連続で長打を決めている森下翔太外野手(25)は「特に深いことは考えず。いつも通りやるだけ。甲子園なので、なかなか点は入りづらい。ワンチャンスじゃないかな」と力を込めた。第1戦 阪神は6回、近本、中野の盗塁などで無死二、三塁とし、森下の遊ゴロで同点。佐藤輝の右中間二塁打で勝ち越した。村上は7回1失点。石井が8回のピンチをしのぎ、9回も続投して締めた。第2戦 ソフトバンクが14安打。1回に栗原、山川の連続長短打で3点を奪い逆転。2回は山川の3ランなどで6点を加えた。山川は5打点、周東はシリーズ新記録の5安打をマークした。
◆ソフトバンク山川穂高内野手(33)が27日、自身初の日本一へ気合を入れた。「SMBC日本シリーズ2025」は第3戦から敵地甲子園開催。陸路で関西入りし、野手練習では特守やフリー打撃など精力的に汗を流した。西武時代を含めて過去3度リーグ優勝経験があるが、日本一は果たせなかった。「景色を見てみたい」と意気込み、代打待機になる近藤健介外野手(32)に代わって打線の軸になる。肌寒い薄暮の甲子園に山川の元気な声が響いた。「本多コ~チ、お願いしま~す」。まだ野手練習のウオーミングアップ前。ナインも全員そろっていない。一足早く汗を流していた山川は、一塁で本多内野守備走塁兼作戦コーチから15分弱、ノックを受けた。普段は試合を行わないナイターの甲子園だ。山川は「特守っていうレベルでもないですけど」と謙遜しながら「土のグラウンドですし、風とかもあるので。せっかく暗い時間にやるんでチェック。ここで3試合ですよね。しっかり準備しました」と決戦に備えた。甲子園は西武時代の22年交流戦以来、3季ぶり。当時は阪神西勇から左翼越え本塁打を放っている。「(雰囲気に)のまれるとかはないんじゃないですかね。ないことはないと思うんですけど集中しているので。打席に入った時もそうですし、守備で守っている時も」。日本シリーズの甲子園はシーズン以上の大アウェーの雰囲気が予想されるが、イメージもバッチリだ。いまだ見ぬ景色を見る。山川は西武時代を含めて過去3度のリーグ優勝経験があるが、いずれも日本一を逃してきた。今季が4度目の挑戦。「僕自身、日本一を取ったことがない。日本一の景色はどんなものかっていうのが分からない。取るために目の前の1試合をやる。取った先にどういうのが見えるのかっていうのは、みてみたい」。改めて初の日本一へ気合。大津のマウンド投球で打席に立ち、フリー打撃では広角に大飛球を放つなど快音を響かせた。第3戦~第5戦はセ本拠地のためDH制がない。左脇腹痛から復帰したばかりの近藤は代打待機になる。上昇気配の山川は「スタメンで出ればしっかりできることをやろうかなってところ。頑張りたいです」と頂点を見据えた。【只松憲】日本シリーズ第1戦 阪神は6回、近本、中野の盗塁などで無死二、三塁とし、森下の遊ゴロで同点。佐藤輝の右中間二塁打で勝ち越した。村上は7回1失点。石井が8回のピンチをしのぎ、9回も続投して締めた。日本シリーズ第2戦 ソフトバンクが14安打。1回に栗原、山川の連続長短打で3点を奪い逆転。2回は山川の3ランなどで6点を加えた。山川は5打点、周東はシリーズ新記録の5安打をマークした。
◆ソフトバンクのリバン・モイネロ投手(29)投手が第3戦の先発を任された。CSファイナルステージ第6戦から中7日。十分な休養期間を確保し「日本シリーズという特別な舞台だけど、自分の投球に集中して、ひとりひとりしっかり抑えていきたいね」と意気込んだ。対阪神は今季の交流戦で先発し、6回1失点。8安打を浴びたが粘りの投球でチームを勝利に導いている。「タイガースはいい打者が多いので丁寧に攻めていきたい。チームの勝利に貢献できるよう、全力を尽くすよ」と虎狩りへ気合を入れた。さらにモイネロはスイッチヒッター。DH制がない甲子園で打席に立つ。昨年の日本シリーズでは右打席で犠打、左打席で左飛を放つなどプロ野球ファンを沸かせた。本職のピッチングとともに、打席でのモイネロ劇場にも期待がかかる。
◆阪神熊谷敬宥内野手(29)がリベンジを誓った。第3戦は左腕モイネロが先発のため遊撃で初スタメンの可能性がある。第2戦は途中出場したが無安打。「ビハインドの展開だったけど、独特の緊張感だった。次に試合に出たときに生かせると思う。いい投手ですが、もし出られたら、しっかり楽しめるようにやっていきたい。すごい応援も力に変えたい」と静かに闘志を燃やした。
◆投打の「モイネロ劇場」に期待だ。1勝1敗のタイで迎える日本シリーズ第3戦。ソフトバンクのリバン・モイネロ投手(29)が中7日で先発する。マウンド上もさることながら、打者モイネロにも注目が集まりそうだ。DH制のないセ・リーグの本拠地開催のため、この日は打席に立つことになる。昨年のDeNAとの日本シリーズ第2戦(横浜)は2回に右打席で犠打を決め、3回には左打席で左飛を放った。まさかのスイッチヒッターでスタンドを沸かせていた。当時は「バントは右(打席)の方が自信があった」と笑顔だった。今季は交流戦の6月6日の敵地ヤクルト戦で中前打を放ち、先発転向した24年から2年連続で安打を記録している。モイネロの一投一打に注目したい。
◆日本シリーズは第3戦からセ本拠地に舞台が移る。ソフトバンクは前日27日に甲子園でナイター練習を行った。慣れない球場や甲子園特有の浜風も警戒だが、気温も気がかりだ。この日の甲子園付近は試合が行われる午後6時で気温約16度の予報。試合が終盤にさしかかるであろう20時以降は14度の予報になっている。昨年のDeNAとの日本シリーズでは、第1戦と第2戦が屋外球場の敵地横浜だった。気象庁によると、第1戦が行われた10月26日の横浜は、午後6時時点で気温20・7度、午後8時は気温20・3度。第2戦の10月27日は午後6時で21・1度、午後8時で20・1度という観測データが残っている。昨年よりも約4度低い気温で試合をすることになりそうだ。小久保監督もジャンパーかグラウンドコートで防寒対策を練ると話していた。
◆阪神原口文仁内野手(33)、前川右京外野手(22)が1軍日本シリーズメンバーに合流した。2人とも40人のメンバー入りはしていたが、敵地での第1戦、第2戦はSGLに残留して調整を続けてきた。また投手では、島本浩也投手(32)、伊藤将司投手(29)、ニック・ネルソン投手(29)が合流。前日27日には、26日の第2戦で打球が直撃した岩貞祐太投手(34)が「左肩打撲」と診断されたと発表されていた。原口は今季限りでの現役引退を発表。残留調整中には「(野球)人生の最後に、戦力になれるチャンスをもらったので、いい集中力持って取り組みたい」とプロ16年の集大成へ意気込んでいた。前川は今季左翼定着を期待されたが69試合出場、1本塁打。クライマックスシリーズでは6打数無安打3三振で、第2戦までベンチメンバーから外れていた。
◆阪神前川右京外野手(22)がシリーズ開幕後初めて1軍に合流した。試合前の練習中、さっそくうれしい出来事があった。ソフトバンク近藤健介外野手(32)とのプチ野球教室が実現した。打撃不振に苦しんでいた今年5月にSGLで、2軍調整中だった近藤に思い切って声をかけ、教えを請うていた。面識は一切なかったが、惜しみなくアドバイスをくれた球界の大先輩に前川は感激していた。それから5カ月、頂上決戦での再会。「敵に塩」という形になったが、コーチらの"仲介"もあって、再び簡単な打撃レッスンが行われた。
◆阪神藤川監督が、豊田寛外野手(28)を6番左翼に抜てきした。甲子園でのシリーズ初戦となる第3戦。相手先発の好左腕モイネロに対し、右打者の豊田が日本シリーズ初出場初スタメンで起用した。阪神先発は才木浩人投手(26)が2年ぶりの日本シリーズ登板に臨む。
◆ソフトバンクのスタメンが発表された。「4番一塁」で山川穂高内野手(33)が先発出場。山川の4番はは今シリーズ初でCSファイナルステージ第3戦以来となった。先発はリバン・モイネロ投手(29)。登録は左投げ左打ちだが、昨年の日本シリーズでは両打ちを披露した。バッターモイネロも要注目だ。
◆ソフトバンクが先制を許した。先発のリバン・モイネロ投手(29)が1死から中野に右前打を献上。2死一塁で4番佐藤輝に右翼越え適時二塁打を浴びた。モイネロはCSファイナルステージ第6戦から中7日登板となっている。日本シリーズは1勝1敗のタイで第3戦を迎えた。
◆阪神佐藤輝明内野手(26)が最強左腕リバン・モイネロ(29)をいきなりたたいた。初回2死一塁。2ストライクから浮いたカーブを強くたたき、低い弾道で右翼手の頭上を超した。スタートを切っていた一塁走者の中野拓夢内野手(29)は余裕をもってホームに帰ってきた。佐藤輝は第1戦で決勝の右中間二塁打。第2戦はこの日と同じように初回に先制右前打。日本シリーズで初戦から3試合連続打点は阪神では85年のランディ・バース以来、史上2人目。
◆阪神小幡竜平内野手(25)が守備で見せた。3回1死一塁で今宮健太内野手(34)の打球は三遊間へ。遊撃の小幡は素早く正面に入り、難しいバウンドで捕球。すぐに二塁送球し、中野拓夢内野手(29)が一塁に転送して、ぎりぎりで併殺を完成させた。才木浩人(26)、リバン・モイネロ(29)の両リーグ最優秀防御率のハイレベルな投げ合い。バックも懸命にもり立てた。
◆阪神佐藤輝明内野手(26)がソフトバンクのリバン・モイネロ投手(29)から、鋭い打球で右越えの先制適時二塁打を放った。初回の2死二塁。左腕の甘く入ったカーブを捉えて、日本シリーズ開幕から3試合連続打点とした。NPB公認アプリ「NPB+」によると打球速度は175・7キロ。プロ選手の平均は150キロ程度ともいわれており、打球はぐんぐん伸びて1度足を止めかけた相手右翼手の頭上を越えた。
◆ソフトバンクのリバン・モイネロ投手(29)が3回、右打席に立ち右翼ポール際へ野手顔負けのライナーでのファウルを放ち、甲子園をどよめかせた。3球目のフォークで三塁ゴロに倒れたが、2打席目以降も大注目だ。打撃は大好きで、登録は「左投げ左打ち」だが、どちらでも打てるスイッチヒッターだ。DH制のないセ・リーグの本拠地開催のため、この日は打席に立つことになる。昨年のDeNAとの日本シリーズ第2戦(横浜)は2回に右打席で犠打を決め、3回には左打席で左飛を放った。CS突破時には地元KBCテレビの情報番組「アサデス」のインタビューで、「日本シリーズでは打てますよ」と問われると「たぶんバントやない?」と流ちょうな博多弁で答え、SNSでも話題となっていた。
◆ソフトバンク山川穂高内野手(33)が2戦連発の同点ソロを放った。「4番一塁」で出場し、0-1の4回1死で才木のスライダーをバックスクリーン左に運んだ。「打つべきボールを整理し、甘く入ってきたスライダーをひと振りで仕留めることができました。思い切って自分のスイングができた結果だと思います。このあとも勝ちにつなげられるバッティングができるように集中していきます」と振り返った。山川の4番は今シリーズ初めて。1、2戦目で4番に入った近藤健介外野手(32)は左脇腹痛から復帰したばかりで代打待機となっており、代わって4番の仕事を果たした。
◆阪神才木浩人投手(26)がソフトバンク柳田悠岐外野手(37)と好勝負を繰り広げた。1点リードの3回2死二塁でフルカウントから迎えた7球目。外角への153キロ直球の回転数は、NPB公認アプリ「NPB+」によると驚異の毎分2725を計測し、ファウルとなった。2600で一流クラスとも言われる中で2700を超える1球となった。続く8球目も152キロ直球でファウルを奪ったが、9球目の落ち球を見逃され四球となった。
◆ソフトバンクのリバン・モイネロ投手(29)が味方のミスをカバーする粘りの投球を見せた。1-1で迎えた4回。1死から佐藤輝が放った一塁へのゴロを、一塁手の山川穂高内野手(33)が弾いて出塁を許した(記録は一塁内野安打)。続く、大山を三塁への凡打に打ち取るも、三塁手の栗原陵矢内野手(29)がファンブル。併殺でチェンジかと思われたが、1死一、二塁のピンチを招いた。それでも、モイネロは6番熊谷を空振り三振、最後は坂本を中飛に仕留めた。後続をきっちり抑え、この回を無失点に抑えた。
◆ソフトバンクが拙攻で勝ち越しのチャンスを逃した。1-1の5回。先頭の牧原大が右翼越え二塁打を放ち、無死二塁。続く海野はバントの構えからヒッティングに切り替えるで揺さぶりをかけたが、これが阪神一塁手の大山の真正面に転がった。二塁走者の牧原大が三遊間で挟まれアウト、さらに二塁進塁を狙った海野もアウトになった。公式記録は「併殺打ではありません」とアナウンスされた。
◆阪神ファンとして知られる人気レゲエグループ「湘南乃風」の若旦那こと新羅慎二(49)が、君が代独唱を務めた。甲子園は試合前から期待感が充満し、ベンチ前は集中力を高める選手たちが整列。「あまり見ないようにしていました。のまれないように。見ちゃうと選手の並々ならぬ気迫が伝わってきて。力が入ってしまうんじゃないかと思って。自分に集中してやりました」と緊張感を明かした。
◆阪神及川雅貴投手(24)が火消し成功で大ピンチでの追加点を防いだ。6回に先発才木が勝ち越し点を許し、なおも1死一、三塁。左の5番栗原を迎えたところで、登板が告げられた。フルカウントまでもつれての6球目。直球で詰まらせた打球は二塁ベース付近に力なく転がり、中野がベースを踏んで一塁に送球。併殺を完成させ、3アウトでピンチをしのいだ。及川は第1戦に続き、2試合連続での日本シリーズ無失点投球となった。
◆ソフトバンク牧原大成内野手(33)がパ首位打者の本領を発揮した。「7番二塁」でスタメン出場。1点を追う3回無死から左翼二塁打、1-1の5回も先頭で右越え二塁打を放った。CSファイナルステージでは15打席連続無安打と不振に苦しみ、打率1割1分8厘と低迷した。それでも日本シリーズではここまで同3割3分3厘と結果を残している。
◆阪神藤川球児監督(45)が試合序盤から動いた。この日「6番左翼」で起用したのは、日本シリーズ初出場となった豊田寛外野手(28)。しかし、3回の守備で牧原大の左中間への打球を追い切れず、中堅近本とお見合いとなる形で二塁打にした。すると直後4回の守備から左翼を熊谷に交代。負けられない短期決戦で序盤からカードを切った。
◆阪神才木浩人投手(26)とソフトバンクのリバン・モイネロ投手(29)が、両リーグ最優秀防御率同士の投げ合いを繰り広げている。才木は6回途中2失点、モイネロは6回まで1失点だ。状況の違いもあり、単純に比べられない部分もあるが、NPB公認アプリ「NPB+」による直球の回転数を比較。4回の最後の打者2人へ、才木は直球を6球、モイネロは3球投じた。これらの才木の平均は毎分約2575、モイネロの平均は毎分約2312。直球では才木の回転数が上回ったが、モイネロはカーブの回転数で序盤から毎分2900超えの高い数値を出すこともあった。
◆阪神が3連続三振で終盤のチャンスを生かせなかった。1点を追う7回、先頭の小幡竜平内野手(25)が敵失で出塁。続く代打・高寺望夢内野手(23)はバントの構えで見逃し、バントファウルと2球で追い込まれてから強攻策に。そこからファウルで必死に粘った。8球目のフォークを空振りして三振となったが、捕手が後逸。スタートを切っていた小幡が一気に三塁まで進んだ。記録は盗塁と捕逸。1死三塁の大チャンスで上位に回ったが、近本光司外野手(30)と中野拓夢内野手(29)がともに藤井皓哉投手(29)の落差の大きなフォークをバットに当てられず、空振り三振に倒れた。
◆阪神の「6番」に、4打席すべて違う打者が立つという珍事が起きた。「6番左翼」で先発したのは豊田寛外野手(28)。2回の打席で中飛だった。その後、4回の守備から熊谷敬宥内野手(29)が入り、その裏の打席で空振り三振。6回のチャンスでは熊谷の代打でラモン・ヘルナンデス内野手(29)が登場したが一邪飛に倒れた。次の守備からは島田海吏外野手(29)が左翼に。8回2死一塁の打席で右前打を放ち、チャンスを広げたが得点にはつながらなかった。
◆阪神森下翔太外野手(25)が完璧な二盗を決めた。1-2の6回先頭で四球を選んで出塁。佐藤輝明内野手(26)のカウント2-1からの4球目、左腕リバン・モイネロ投手(29)のモーションを完全に盗む好スタート。余裕で二塁に到達した。場内も驚いたようなリアクションだった。入団3年間で盗塁はわずか6。日本シリーズ用の研究のあとが見えた。
◆阪神が奇襲を防ぎ"変則ダブルプレー"でピンチを脱した。同点で迎えた5回の守り。先頭牧原大に右翼フェンス直撃の二塁打を浴び、無死二塁で、8番海野を迎えた。バントの構えを見せる海野は、投球モーションと同時にバットを引いてバスター。打球は一塁手大山のもとに転がり、大山は即座に三塁へと送球した。二塁走者の牧原大は挟まれ、粘りながらも「3-5-6」でタッチアウト。挟殺プレーの間に打者海野は二塁進塁を狙ったが、間に合わずタッチアウトとなった。ここぞの連携プレーが決まり、勝ち越しの大ピンチを脱出。記録は併殺打とはならなかった。
◆ソフトバンク今宮健太内野手(34)がビッグプレーでチームの窮地を救った。1点リードで迎えた6回2死一、二塁の場面だった。坂本が打ち上げた飛球に、遊撃の今宮が半身姿勢で追う。最後はジャンピングキャッチ。決死のスーパープレーで1点リードを死守した。14年阪神との交流戦でも、甲子園で同様のプレーを見せていた。ネット上では「11年前も同じような美技を見た」。「11年前の再現かのようなプレー」などとコメントが寄せられた。
◆また重要な場面で、ライン際に微妙な打球が転がった。ソフトバンク1点リードの8回1死一塁。周東佑京内野手(29)がセーフティーバント気味に三塁線に絶妙に転がした。阪神の三塁手・佐藤輝明内野手(26)がチャージし、ライン際で素手でつかんだが、一塁には投げられなかった。ここから2死満塁までピンチが広がったが、岩崎優投手(34)が無失点で抑えてことなきを得た。第1戦では1点を追う阪神の6回の攻撃で、1死二塁から中野拓夢内野手(29)が三塁線にバントを転がした。三塁手の野村勇内野手(28)はファウルになることを狙ってスルーしたが、ボールはラインの内側で止まった。ここから阪神が逆転し、初戦を勝利した。
◆阪神が本拠地初戦で逆転負けを喫し、連敗で1勝2敗となった。先制は阪神だった。初回2死一塁、佐藤輝明内野手(26)がソフトバンク先発モイネロの浮いたカーブを強くたたき、右越えの先制適時二塁打を放った。しかし、4回1死から先発才木浩人投手(26)が山川にバックスクリーン左横へ同点ソロを献上し、試合は振り出しへ戻った。そして6回、先頭の柳田に右前打を許すと、1死二塁から柳町に右翼線へ勝ち越しの適時三塁打を献上。才木は続く山川に四球を与えたところで、左腕及川にスイッチとなった。阪神は7回、8回と三塁まで走者を進めるも、あと1本が出なかった。阪神は第2戦で2ケタ失点の大敗。本拠地で流れを変えたいところだったが、連敗で1勝2敗となった。
◆ソフトバンクが敵地甲子園で先勝し2勝1敗とした。先発のリバン・モイネロ投手(29)が初回に1点を失ったが、その後は追加点を与えなかった。中盤以降はピンチの連続も粘った。6回無死一、二塁では5番大山を中飛、代打ヘルナンデスは自身がファウルラインの向こうまで走って、珍しい投邪飛。坂本にはバットを折る小飛球。背走した遊撃手今宮健太内野手(34)がダイビングキャッチで切り抜けた。バンザイして喜んだモイネロは「少し寒かったですが、粘り強く投げることができました。良い投球だった」とコメントした。打っては1点を追う4回に山川穂高内野手(33)が2試合連発となる2号ソロを放ち同点。6回1死二塁で3番柳町達外野手(28)が右翼線へ適時三塁打を放ち勝ち越した。「もう打つのはここしかないと自分にプレッシャーをかけて、必死にいけた結果がタイムリーに結びついてくれました」と喜んだ。7回からは継投策に入り、7回は2番手藤井皓哉投手(29)が1死三塁のピンチも近本、中野をいずれも得意のフォークで連続空振り三振に仕留めた。8回も松本裕樹投手(29)が2死一、三塁のピンチも坂本を遊ゴロに打ち取った。
◆ソフトバンクのリバン・モイネロ投手(29)が先発し、6回4安打1失点で勝利投手となった。4回には味方の守備が乱れ1死一、二塁とされたが、後続を断った。モイネロが6回1失点で、24年<2>戦以来のシリーズ2勝目。シリーズで2年続けて勝利は22、23年宮城(オリックス)以来で、ソフトバンクでは南海時代の52、53年柚木、ダイエー時代の99、00年吉田、14、15年武田、19、20年の千賀と石川に次いで6人目になる。また、外国人投手で2年連続勝利は92、93年の郭泰源(西武)以来32年ぶり2人目。
◆阪神高橋遥人投手(29)が、自身初となる日本シリーズのマウンドで、連敗ストップを託される。予告先発が発表され、29日第4戦(甲子園)に先発する。27日には「どのバッターもスイングが強くて、大きいのも打てるのかなという感じですけど。甲子園とドームでまた違うかもしれないですけど、そういうイメージです」とソフトバンク打線への警戒心を明かしていた。高橋は8回1死まで無安打投球を見せた、17日のCSファイナルステージDeNA戦(甲子園)以来の登板。プロ8年目で初の大舞台となる。
◆ソフトバンクが逆転勝ちで対戦成績を2勝1敗とした。1勝1敗で迎えたシリーズは今年で36度目だが、過去35度は先に2勝したチームが27度優勝し、V確率は77%。ソフトバンクが勝って2勝1敗にしたケースは55、99、14、18年に次いで5度目で、南海時代の55年を除く3度は日本一。また、今年のシリーズは3試合とも初回に1点先制されたチームが逆転勝ち。シリーズで<1>~<3>戦がすべて逆転決着は57、80年に次いで3度目。過去2度は<3>戦を逆転勝ちした57年西鉄、80年広島が優勝したが、今年のソフトバンクは?
◆阪神大山悠輔内野手(30)が責任を背負い込んだ。初回、1点先制後の2死二塁で一飛。6回の無死一、二塁では中飛に倒れた。4回に三ゴロ敵失、8回に死球をもらって塁に出たが、いまだ快音は響いていない。日本シリーズ3試合で11打数無安打。「流れを全て止めてしまっている。何とかしないといけないし、するしかない。落ち込んでいるヒマはない」とくちびるをかんだ。
◆両リーグの最優秀防御率投手の投げ合いで先にマウンドを降りたのは、セの右腕だった。阪神才木浩人投手(26)が6回途中、ソフトバンク打線に逆転を許して降板した。1-1で迎えたこの回、先頭の柳田に右前打。周東に送られ、続く柳町に適時三塁打。この1点が決勝点になった。「2点目がちょっと悔しい感じで取られてしまった。最初の1点を守りきれなかったので、それがすべてですね」立ち上がりは圧巻だった。対決前から警戒していたソフトバンクの上位打線を、全7球ストレートで圧倒。柳田は初球で二塁ゴロに打ち取り、26日の第2戦で5安打を放った周東を3球三振。柳町は遊ゴロと3者凡退に抑えた。佐藤輝の先制打で1点の援護をもらい、粘りに粘った。3回2死一、二塁で周東を空振り三振。ソフトバンク戦は過去2度、交流戦で先発し、計12イニングを1失点。相性通りの粘投も、ソフトバンク打線はやはり手ごわかった。4回1死で打席に迎えた山川にスライダーを捉えられ、バックスクリーン左に飛び込む同点ソロにを浴びた。「ちょっと真ん中ぎみに行っちゃって。自分の投げミスというか、実力不足というところかなと思います」。打球の行方を見送り、悔しさをかみ殺した。それでも5回無死二塁のピンチもしのいで勝ち越しは許さず。だが6回は粘れなかった。6回1死三塁から山川を歩かせ、1死一、三塁で降板した。ベンチの最前列で大きく目を見開き、才木はホークスナインのハイタッチを見つめ「打たれたことに対してすごく悔しいと思いますし、しっかりやり返せるように準備していきたいと思います」と前を向いた。仮に最終第7戦に投げるにしても、登板間隔は中4日。それでも才木は「しっかり準備して」と繰り返した。次回登板こそ、勝って終わらせる。【堀まどか】
◆ソフトバンクが敵地甲子園で阪神に1点差で競り勝ち、2勝1敗とした。
◆阪神が本拠地初戦で逆転負けを喫し、連敗で1勝2敗となった。初回に佐藤輝の適時二塁打で先制するも、4回に先発才木が山川に同点ソロ本塁打を献上。6回に柳町に勝ち越し適時三塁打を浴び、これが決勝点となった。反撃もあと1歩及ばず敗戦も、阪神藤川球児監督(45)は「勝負は続きますからね。また明日もしっかりと戦うと。それですね」とすぐに切り替え。「短いようで長いですから。明日、また勝負をしっかりと、勝ちがこちらに向くように、また精いっぱいやるのみですね」と続けた。
◆敵地甲子園で会心の鷹祭りだ! ソフトバンクが「SMBC日本シリーズ2025」第3戦を2-1で制して2連勝、白星を1つ先行させた。初回に1点を先行されたが4回に山川穂高内野手(33)が2戦連発の同点ソロを放ち、6回に柳町達外野手(28)が勝ち越しタイムリー。6回には今宮健太内野手(34)の美技で同点を防ぐなど、鮮やかに2戦連続の逆転勝利を決めた。29日の第4戦も勝って一気に王手をかける。柳町が雄たけびを上げた。普段はクールな男も、高ぶる感情を抑え切れなかった。三塁ベース上。右こぶしを何度も握る。沸き立つ自軍ベンチに目を向け、ガッツポーズもつくった。値千金の一打に、くしゃくしゃの笑顔で表情は崩れた。「本当に(打球が)『切れるな!』と思って走っていました。勝利に導くヒットを打ててよかった」一振りにすべてを込めた。4回に山川のソロで追いつき、1-1で迎えた6回1死二塁の第3打席。相手はセ最優秀防御率右腕の才木だった。「強い集中力を持って打席に入った」。カウント2-1からの4球目。真ん中高め147キロ直球をシャープに振り抜く。ライナー性の打球が右翼線上で弾む。ボールが転々とする間に、勢いよく二塁も蹴った。勝ち越し決勝の適時三塁打。完全アウェーの甲子園に動じず、敵地で勝負強さを発揮した。「打った時の(ホークスファンの)歓声がとても響いていた。その声援で打てたのかな」。ヒーローインタビューで左翼の鷹党に頭を下げた。プロ6年目。今やチームに欠かせない存在となった。転機は昨年8月8日の敵地ロッテ戦。佐々木朗希(現ドジャース)から3安打をマークし「本当の自信がついた」。剛腕からの固め打ちに、確かな手応えをつかんだ瞬間だった。「自信」はあっても「慢心」はない。常に努力する姿勢を忘れない。「反省点をその日のうちに、っていうのはあるので」。レギュラーシーズン中から、本拠地のナイター終わりでも居残りで打ち込む。トレーニングも欠かさず、日々の修正を忘れない。打球音、感覚で自身の調子も分かるようになった。今季は自己最多の131試合に出場し、初の規定打席にも到達し、打率2割9分2厘はリーグ2位。出塁率3割8分4厘で初タイトルの最高出塁率も獲得した。妥協なき姿を貫き、トッププレーヤーへの階段を駆け上がっている。日本シリーズ2戦は打率1割6分7厘だったが、ここ一番で大仕事。2戦連続の逆転勝ちに貢献した。5年ぶりの日本一まで、あと2勝だ。「1打席にできることに集中できたら」。頼もしい3番が一気の王手を導く。【佐藤究】
◆阪神2番手の及川雅貴投手(24)が負の流れを断ち切った。6回に先発才木が柳町に勝ち越し適時三塁打を許し、山川に四球を与え1死一、三塁としたところで登板。栗原にボールが先行しながらも、フルカウントから最後は低め直球で詰まらせ二ゴロ併殺。見事な火消しを見せた。「勝てなかったけど、1点でしのげるかしのげないかというところでは、最後までどっちかわからないゲームが続いたので良かった」。回またぎで7回もマウンドに上がり3者凡退だった。
◆阪神岩崎優投手(34)が日本シリーズ3戦目で初のマウンドに上がった。1点ビハインドの8回に登板。先頭の代打ダウンズに四球を与え、周東には三塁線へのバントヒットを許し1死一、二塁のピンチを背負った。続く柳町は中飛に抑え、山川は申告敬遠で2死満塁。栗原をカウント2-2から投ゴロとして無失点で、9回を3者凡退に抑えた石井につなげた。「(失点が)ゼロということで、また明日も頑張ります」と力を込めた。
◆阪神小幡竜平内野手(25)が攻守で貢献した。5回無死二塁から一ゴロを二、三塁間で挟殺。小幡はタッチすると、振り向きざまに二塁を狙った打者走者もアウトにした。「(佐藤)輝さんが追ってくれて、指示も出してくれた。(挟殺を)長引かせず早くアウトにできてよかった。引き続き貢献したい」。2回には遊-二-一の併殺を決めた。打撃でも内野安打と盗塁をマークした。
◆ソフトバンク山川穂高内野手(33)が2戦連発の特大アーチを放った。17日のCSファイナル第3戦以来の4番に座り、0-1の4回1死からバックスクリーン左に同点ソロ。才木の変化球を完璧に捉え「打つべきボールを整理し、甘く入ってきたスライダーをひと振りで仕留めることができました」と胸を張った。甲子園での本塁打は西武時代の22年5月31日に阪神西勇輝から放って以来、1246日ぶりの快感だ。沖縄・中部商時代はたどり着けなかった甲子園。「憧れていた場所」ながら「オープン戦やシーズンでも何回かやった場所。普通にビジター球場っす」と日本シリーズは平常心で臨んだ。阪神ファンの大声援は想定内。「声がデカい、すげぇ。関西人ってすげぇなって思う」。熱狂的なファンに感心しながらも「だからどうとかっていうのは別にないです」と達観していた。2四球に申告敬遠も含めて全4打席出塁。大砲が乗ってきた。
◆ソフトバンクのリバン・モイネロ投手(29)が6回を4安打1失点にまとめ、チームの勝利に貢献した。粘った。初回に先制点を許すも、2回以降は無失点投球。4回には味方の失策も重なり、1死一、二塁のピンチを招いた。それでも、後続を空振り三振、中飛に打ち取る。6回は無死一、二塁と走者を背負ったが、追加点は許さなかった。「(ストライクゾーンの)四隅にしっかりボールを集めることを意識しながら投げてました。全体的にまとまったピッチングができた」。3者凡退は2イニングのみ。それでも投げミスはなく、要所をきっちり締めた。「寒さがちょっと影響はあったかなとは思うんですけど...」。この日は屋外のマウンドで冷え込んでいた。寒さ対策として「塗ると温かくなる。全身にベビーオイルを塗って投げました」と、ぬかりのない準備で先発の役目を果たした。
◆阪神坂本誠志郎捕手(31)が山川への1球を悔やんだ。1点リードの4回1死無走者で相手4番と真っ向勝負。1ボールから才木の2球目スライダーをバックスクリーン左に運ばれた。「(山川は)状態もいい。ほぼスライダー空振りしてるのがないので、空振りになるような攻め方をしないといけない」と猛省。本拠地に戻っての連敗に「1つ負け越しただけで何も悲観することもない。いい材料がいっぱいあるので、明日(29日)頑張りたい」と前を向いた。
◆ソフトバンク小久保裕紀監督(54)が中継ぎ陣の奮闘を勝因に挙げた。7回藤井皓哉投手(29)、8回松本裕樹投手(29)、9回杉山一樹投手(27)の勝ちパターン3人が無失点リレー。特に2番手藤井は味方の失策とパスボールなどで1死三塁のピンチを背負ったが、近本、中野を連続三振に斬ってリードを守った。小久保監督は「よう勝った。藤井さまさまでしょ。1死三塁から連続三振。しかも近本、中野」と絶賛した。
◆阪神が逆転負けし、1勝後に2連敗となった。日本シリーズで第1戦から○●●になったケースは過去18度あるが、ひっくり返して日本一となったのは5度(55年巨人、64年南海、83年西武、08年西武、23年阪神)だけ。日本一確率は28%と厳しい状況となった。ただ、5度のうち阪神は23年に1度経験があり、今回と同様に3~5戦は本拠地だった。23年は○●●で始まって○○●○と挽回して日本一になった。
◆ソフトバンク今宮健太内野手(34)が超ファインプレーで同点ピンチを救った。1点リードの6回2死一、二塁の守備。坂本がバットを折りながら上げた飛球が左前に上がった。同点か...。だが次の瞬間、遊撃今宮が背走しながら半身でジャンピングキャッチ。「最初は余裕でいけるのかなって思ったんすけど、なんかフワフワ、フワフワあっちに行ってんな、みたいな感じ...で。最後、なんとかグラブに収まってくれてよかった」と笑った。再現VTRのようだった。11年前の14年6月8日交流戦阪神戦、同じ甲子園でまだ22歳だった今宮は同じような曲芸キャッチを見せた。7回、上本の後方への飛球にジャンプ。1度はボールがグラブからこぼれたが空中で再びつかみ取り、顔面を芝生に打ちつけたが、ボールは離さなかった。「一発で取れば何ともなかったんですけどね」と当時のこともしっかり覚えていた。5年連続ゴールデングラブ賞の日本を代表する遊撃手も今季は度重なる故障で3度の離脱。9月27日、リーグ連覇の胴上げ時も姿はなく、2軍中日戦でポストシーズンへ調整していた。同郷の後輩川瀬に第2戦までスタメンを譲っていたが、今シリーズ初のスタメン起用に応えた。"守備で決めた"打点1"。衰え知らずの美技で今宮ここにありを示した。【石橋隆雄】
◆阪神島田海吏外野手(29)が途中出場から躍動を見せた。7回の左翼守備から出場し、8回2死一塁の初打席。松本裕の直球を右前にライナーで運び、一、三塁と好機を拡大した。敵地での第1戦、第2戦は先発出場。シリーズ初のベンチスタートとなったこの日も結果を出した。「勝ちたかった。それだけです。次につなぐことだけ考えていた。シーズン全然ダメだったのに使っていただいている。意気に感じてチームのために頑張りたい」と次戦を見据えた。
◆阪神森下翔太外野手(25)が日本シリーズでは初の盗塁を決めた。4打数無安打に終わったが、1点を勝ち越された直後の6回に先頭打者として四球を選び出塁。4球目にスタートを切り、スライディングしながらそれた送球とグラブを避けてあおむけになりながら、二塁への盗塁を成功させた。得点にはつながらなかったが、チャンス拡大。「サインが出れば思い切っていくだけなので」。今季はレギュラーシーズン中も自己最多の5個決めている。
◆ソフトバンクのリバン・モイネロ投手(29)が才木とのセパ最優秀防御率対決を制した。投げては6回1失点。打っては0-1の3回1死二塁の第1打席で右翼ポール際へ野手顔負けのライナーファウル。あわや同点打の当たりに球場がどよめいた。「少し寒かったですが、粘り強く投げることができました。いい投球だったと思います」と会心だった。
◆阪神中野拓夢内野手(29)が日本シリーズ3戦連続の安打をマークした。初回1死の第1打席で、ソフトバンク・モイネロのカーブをはじき返し、右前打。佐藤輝の右翼への先制適時二塁打でホームを踏んだ。第1戦はバント安打、第2戦は中前打を放っており、本拠地でも安打をマーク。「まだまだ試合はある。あっさり終わらないということも大事かなと思いますし。相手にプレッシャーを与え続けるというのが大事」と前を向いた。
◆7回に2番手で出たソフトバンク藤井皓哉投手(29)が踏ん張り、流れを渡さなかった。失策と捕逸などで1死三塁のピンチを迎え「失策があったので、特に抑えたいという思いが出てきた」と奮起。近本、中野をともにフルカウントからフォークボールで空振り三振に仕留めた。「僕からフォークを取ったら何も残らない。自信を持って投げている」と胸を張った。小久保監督は「藤井さまさま」とたたえた。
◆ソフトバンク牧原大成内野手(33)がパ首位打者の貫禄を示した。「7番二塁」でスタメン出場し、3回無死の第1打席で阪神才木浩人投手(26)から左翼二塁打。5回も先頭で右越え二塁打を放ち、2打席連続長打を決めた。日本ハムとのCSファイナルは15打席連続無安打もあり、打率1割1分8厘に終わった。それでも「積極的にということを心がけて」と前を向き、持ち味を発揮。チームの連勝に大きく貢献した。
◆阪神近本光司外野手(30)が日本シリーズの連続試合安打を8に伸ばし、球団新記録とした。第5打席で待望の1本が飛び出した。1点を追う9回1死一塁。守護神杉山に追い込まれたが、フォークをうまくとらえてライナーで左前にはずませた。サヨナラ勝ちの望みをつなぐ技あり打だった。これまでの球団最長は62年の吉田義男、05年と14年の2度にわたった鳥谷敬の7試合。近本は23年の日本シリーズでは第1戦と第3~7戦で安打を記録。23年は初戦にいきなり3安打。計14安打を放ってMVPに輝いたが、第2戦だけノーヒットだった。
◆2年前のアレ再びだ! 「SMBC日本シリーズ2025」第3戦で、阪神佐藤輝明内野手(26)が3試合連続タイムリーを放った。初回2死一塁の好機で、ソフトバンク先発モイネロから右翼手の頭を越える適時二塁打。球団では85年バース以来となる、日本シリーズ初戦から3試合連続打点となった。チームは競り負けて甲子園胴上げは消滅。ただ、悲観することはない。○●●から日本一に駆け上がった2023年シリーズの再現を狙う。甲子園に帰ってきた猛虎がいきなり牙をむいた。初回だ。2回一塁から4番佐藤輝がいきなり魅せた。パ・リーグの最強左腕モイネロの直球を2球見送ってカウント2ストライクに追い込まれても動じない。3球目、高めのカーブを強振すると打球は右翼へ一直線。右翼の頭上を越える先制適時二塁打で3試合連続タイムリーを決めた。「ちょっと浮いてきたんで良かったです」モイネロの決め球、カーブに狙いを絞った会心の一撃だった。日本シリーズ開幕から3試合連続打点は85年のランディ・バース氏(71)以来、2人目。当時のリーグ優勝、チーム初の日本一をけん引したレジェンド3冠王の記録に並んだ。バース氏とは誕生日が同じ縁を持ち、球団創設90周年のイベントで同氏が来日した際には2人で記念撮影に収まった。今季86年のバース氏以来の本塁打、打点の2冠を獲得すると同氏からメッセージが届くほど注目される存在になった。10月2日、レギュラーシーズン今季最終戦のヤクルト戦(甲子園)は39本塁打、99打点で迎えた。5回にダメ押しの40号2ランを決め大台に乗せ、打点も102打点まで伸ばした。球団生え抜きでは、85年の現役時代の掛布雅之OB会長以来となる40-100の大台をクリア。85年の猛虎打線をけん引したレジェンド2人の記録を1年にトレースした。1点差の僅差で敗れ、初の本拠地甲子園での日本一胴上げは霧散した。それでも佐藤輝は、4回にはモイネロの初球スライダーを捉える一塁強襲の内野安打でチーム唯一のマルチ安打で打線を鼓舞。「もう1点、2点取れるように頑張りたい。(好機で)あと1本なんで。その1本のためにみんなで準備したい」と力を込めた。日本シリーズ○●●の流れは日本一確率が28%に下がる。ただ、希望はある。23年には劣勢からオリックスに連勝して38年ぶりの2度目の日本一を決めた。熱すぎる秋の戦いはまだこれから。虎の主砲がバットで流れを変える。【伊東大介】佐藤輝が初回に先制の二塁打を放って3試合連続打点。シリーズで<1>戦から<3>戦まで3試合連続打点は19年柳田(ソフトバンク)以来で、阪神では85年バースに次いで2人目になる。佐藤輝は<1>戦が6回に勝ち越し、<2>戦が初回に先制の適時安打。肩書付きの殊勲安打を<1>戦から3試合連続で記録したのはシリーズ史上初めてだ。
◆甲子園で待っていた虎党の大歓声が、しぼんでしまった。26日の第2戦で2ケタ失点を喫し、迎えた本拠地で逆転負けで連敗。阪神藤川球児監督(45)は「明日、また勝負をしっかりと、勝ちがこちらに向くように、また精いっぱいやるのみです」と話し、第4戦こそ聖地のファンを沸かせるつもりだ。チャンスはつくったが、あと1本が出なかった。1点を追う7回、敵失で小幡が出塁し、盗塁と相手の捕逸で1死三塁の絶好機。しかし近本、中野が連続三振に倒れた。8回も2死から大山が死球で出塁し、島田の右前打で一、三塁としたが、最後は坂本が遊ゴロ。4回から6イニング連続で得点圏に走者を進めるも、まさかの11残塁。最後までホームを踏むことはできず「スミ1」に終わった。打線の粘りは次戦につながるかと問われた指揮官は「全てですね。短いようで長いですから。あした、しっかりと戦うと。それに尽きますね」と答えた。この日は序盤から迷わず策を打った。この日「6番中堅」で起用したのは、日本シリーズ初出場となった豊田寛外野手(28)。しかし、3回の守備で牧原大の左中間への打球を追い切れず、中堅近本とお見合いする形で二塁打にした。直後の4回の守備からは、左翼を熊谷に交代。負けられない短期決戦で、すぐにカードを切った。6番にはこの日、豊田から熊谷、ヘルナンデス、島田とすべて異なる4人が打席に入った。スタメンも第1戦から島田、高寺、豊田と異なる顔ぶれが続く。ここにはまる「ラッキーボーイ」は出てくるか。藤川監督は「勝負は続きますからね。またあしたもしっかりと戦うと。それですね」と強調した。まだ1勝2敗。虎の底力を見せる。【磯綾乃】
◆楽天ドラフト6位の王子・九谷瑠投手(25=大阪大谷大)が28日、愛知・春日井市内で指名あいさつを受けた。昨年までクラブチームの矢場とんブースターズでプレーしていた、異色の経歴を持つ右腕は「正直、プロ野球選手になる実感はまだ湧いていないのですが、ようやく1歩進んだのかなと感じています」と話した。移籍1年目の王子で、いきなり活躍した。今夏の都市対抗野球で大会MVPにあたる橋戸賞に輝き、チームを21年ぶりの優勝に導いた。楽天でも即戦力として期待されるが「1年目から、1日でも早く活躍できるように準備をしていきたいと思います。チームが苦しい時にこそ勝てるピッチャーになれるように頑張ります」と力を込めた。
◆きょう一気の王手だ! ソフトバンクが「SMBC日本シリーズ2025」の第3戦に勝利し、2連勝で白星を先行させた。日本ハムとのCSファイナルでも奮闘した先発リバン・モイネロ投手(29)が、強力阪神打線相手に魂の6回1失点。打席では右翼線にライナーファウルを放つなど投打で敵地甲子園を沸かせた。盤石の「勝利の方程式」も無失点リレー。阪神を振り切り、きょう29日の第4戦に勝てば5年ぶりの日本一にグッと近づく。モイネロの打棒に甲子園がざわついた。0-1の3回1死二塁。左打ちの左腕が右打席に入ると、2球目にコンパクトなスイングを仕掛けた。打球は右翼ポール際へ一直線も、わずかに切れる。野手顔負けのライナーファウル、あと少しで同点打の当たりに虎党も驚きを隠せなかった。陽気なモイネロは「真っすぐだったらホームランだったと思うね。変化球が多かったんだ」と苦笑い。過去にも打撃好きを公言してきたが、日本シリーズという大舞台でもワクワクは尽きない。同打席は三ゴロに終わったが、本職の投球もノリノリだった。球速を抑えて制球を重視。6イニングで4三振はモイネロにしては少ないが、打たせて取る投球で虎打線を封じた。「球場が小さいので、高めにボールが浮いて長打にならないように意識をしたんだ。全球種なるべく低めに集めたいっていうのは考えてたね」。108球で4安打1失点。宝刀カーブの制球は苦しんだが、カットボールやチェンジアップでカバーし、才木とのセパ最優秀防御率対決を制した。「ずっとカーブがうまく使えなかったんだけど、他の球種が何とか動いてくれたね」。小久保監督も「いつものモイネロとは違うスタイルでしたけど、それでもしっかり抑えるのがモイネロ」とうなずいた。今後11月2日の第7戦にもつれた場合、中4日でモイネロが先発する可能性もある。10月29日の第4戦は大津。勝敗次第では第5戦と第6戦は好調を維持する有原と上沢が登板間隔をつめる可能性も浮上した。最大2回投げられる日本シリーズ。今年の交流戦でも6回1失点に抑えており、阪神打線に嫌なイメージを植えつけたことは間違いない。気温15度を下回った寒さ対策も「ホットクリームとベビーオイルを塗ると温かくなるんだ。全身にベビーオイルを塗って投げたね」と対策バッチリだった。これで2勝1敗。初戦こそ敗れたが、2連勝で1歩前に出た。第4戦に勝利すれば5年ぶりの日本一に王手をかける。小久保監督は「一戦必勝でずっとやっています」と手綱を締めた。【只松憲】
◆阪神・前川右京外野手(22)が甲子園の1軍本隊に合流した。「状態は徐々によくなってきていると思うのでできることを頑張ります」。今季は69試合の出場で打率・246、15打点、1本塁打。DeNAとのクライマックスシリーズでは、無安打に終わり、21日はみやざきフェニックス・リーグのロッテ戦(都城)に出場し、4打数2安打だった。
◆今季限りで引退を表明している阪神・原口文仁内野手(33)が1軍本隊に合流した。原口はDeNAとのクライマックスシリーズ・ファイナルステージでは出番がなく、日本シリーズでも出場資格の40人には入りながらも第1、2戦は福岡に帯同せず残留で調整。虎党も最後の花道を期待する中で「ベンチ入る入らないは僕にはどうにもできない。いつも通りしっかり準備をしてやっていきたい」と力を込めた。
◆阪神の先発・才木浩人投手(27)が圧巻の立ち上がりだ。一回先頭の柳田を1球で二ゴロに仕留めると、26日の第2戦で日本シリーズ記録となる1試合5安打を放った周東は153キロ直球で3球三振。最後は柳町を遊ゴロに仕留めた。オール直球勝負。わずか8球で三者凡退の立ち上がり。一回からギアを上げている。
◆阪神は一回、佐藤輝明内野手(26)の3試合連続となる適時打で先制に成功した。パ・リーグの最優秀防御率・モイネロに襲い掛かった。1死から中野が右前打で出塁すると、2死一塁となって佐藤輝。直球2球でカウント0-2と追い込まれながら、高めに入ったカーブを仕留めた。大飛球は右翼の頭を越え、一塁走者の中野が生還。初戦から3試合連続の適時打となり、球団では1985年のバース以来となる初戦から3戦連続打点となった。
◆湘南乃風のメンバー・若旦那(新羅慎二)が国歌独唱を行った。直前まで小さなハーモニカで音を合わせ、超満員の甲子園のグラウンドに立ってアカペラで国歌を独唱。「飲まれないように、(スタンドは)あまり見ないようにしました。いつもは六甲おろしを歌わせていただくんですけど、君が代も少し似ていて、『ろーっ』と歌い出しそうになりました」と振り返った。歌唱後には藤川球児監督から会釈をもらったといい、大の虎党である若旦那は「心が躍りました」と笑顔。「ドジャースの試合を見ていると、日本シリーズも行ってこいになると思う。きょうは勝つと思っています」とナインにエールを送った。
◆阪神は一回、佐藤輝明内野手(26)の3試合連続となる適時打で先制に成功した。「打ったのはカーブ。初回に先制できたのはよかったと思います。良いスイングができたので、次の打席も頑張ります」。佐藤輝は広報を通じてコメントを残した。チームはパ・リーグの最優秀防御率・モイネロに襲い掛かった。1死から中野が右前打で出塁すると、2死一塁となって佐藤輝。直球2球でカウント0-2と追い込まれながら、高めに入ったカーブを仕留めた。大飛球は右翼の頭を越え、一塁走者の中野が生還。初戦から3試合連続の適時打となり、球団では1985年のバース以来となる初戦から3戦連続打点となった。
◆阪神の先発・才木浩人投手(26)は四回、ソフトバンク・山川穂高内野手(33)に本塁打を浴びて同点に追いつかれた。1-0の四回1死から山川を迎えると、2球目の高めに浮いたスライダーをとらえられた。白球は長い滞空時間でバックスクリーン左へ叩き込まれ、1-1の同点に。第2戦でも本塁打含む5打点を許した敵の主砲に2戦連発を浴び、試合は振り出しに戻った。
◆ソフトバンク・山川穂高内野手(33)が、今シリーズ第2号となる同点本塁打を放った。1点を追う四回1死。阪神先発・才木が投じた1ボールからの2球目、135キロの変化球をとらえ、バックスクリーン左へ運んだ。山川は26日の第2戦(みずほペイペイ)でも豪快な本塁打を含む5打点と大活躍。この日は「4番・一塁」で先発出場し、今シリーズ6打点目をマークした。
◆阪神が好プレーでピンチを脱した。1-1の五回、先発の才木は、先頭の牧原大に2打席連続となる二塁打を浴びて無死二塁とピンチを背負った。しかし続く海野がバスターを試みた打球を一塁の大山が捕球して三塁へ送球し、二塁走者を挟殺に持ち込む。佐藤輝から小幡にわたって二、三塁間で二塁走者をアウトにすると、二塁ベースに入った中野が二塁を狙ったバッターランナーをタッチアウト。3-5-6-4の変則ダブルプレーで一気に走者をなくすと、才木がモイネロを3球三振で3アウトとし、好守で試合の流れを引き寄せた。
◆敵地でもおなじみの「どすこいポーズ」を決めた。ソフトバンクは0-1の四回に「4番・一塁」の山川がバックスクリーン左へ飛び込む同点ソロを放った。「打つべきボールを整理し、甘く入ってきたスライダーをひと振りで仕留めることができた。思い切って自分のスイングができた結果だと思います」1死走者なしで迎えた打席で、阪神・才木の外角スライダーを振りぬくと、乾いた音を残して高々と上がった打球が中堅フェンスを越えた。第2戦で放った左中間越えの3ランに続くアーチでチームをもり立てた。敵地でも泰然自若でプレーし、力を発揮した。前日に甲子園のグラウンドに入った際には「高校の時にあこがれていた場所ではあるけど、オープン戦やシーズンで何回か試合をやってきた。普通のビジター球場です」と気負いなくプレーし、結果を出した。ホークス打線は26日の第2戦で14安打10得点。日本シリーズでは巨人と対戦して日本一となった2020年の第2戦(13-1)以来となる2桁得点で勢いづいた。村上打撃コーチは「みんな本当にいい調整をしてくれたので、いい方向に出ている。だが〝水もの〟でもある。浮かれることなく自分のやるべきことをしていくのが大事」と引き締めを図り、フォークボールなどの目付けが難しい才木の対策として「いいピッチャーになればなるほど広げすぎず、芯をもった中でいくことが大事」と好球必打を求めた。その指示通り、甘い球を仕留めた山川を筆頭に鷹打線が意地をみせた。(上阪正人)
◆ソフトバンク・柳町達外野手(28)が、勝ち越し打を放った。1-1の六回。柳田の安打、周東の犠打で1死二塁とすると、柳町が右翼線へ適時三塁打を放った。この打席の前まで今シリーズでは8打数1安打、打率・125と苦戦していた男が、ここぞの場面で勝負強さを発揮した。
◆阪神の先発・才木浩人投手(26)は六回に失点を許し、イニング途中で降板になった。先頭の柳田に右前打とされると、周東に犠打を決められて1死二塁とピンチを招く。続く柳町に内角の直球を右翼線に運ばれ、適時三塁打で勝ち越しを許した。さらに山川を四球で歩かせたところで安藤投手コーチがマウンドへ。六回途中84球、5安打2失点で降板となった。後を受けてマウンドに上がった及川は1死一、三塁のピンチで併殺を奪い、最少失点で切り抜けた。
◆ソフトバンクの先発、リバン・モイネロ投手(29)は6回を1失点で降板した。モイネロは一回に2死一塁から佐藤輝に右越え適時二塁打を浴び、先取点を奪われるが、その後は粘りの投球。打席でも三回の第1打席ではファウルになったが右翼線へ鋭い打球を放つなど、スタンドを沸かせる場面もあった。
◆6番遊撃で今シリーズ初先発したソフトバンク・今宮健太内野手(34)が"神プレー"でピンチを救った。2-1でリードの六回2死一、二塁で、遊撃後方にふわりと上がった坂本の飛球を背走しながら追い、最後はいっぱいにジャンプしてキャッチ。回転して受け身を取りながら着地し、アウトに仕留めた。ベンチからナインが飛び出し、ベンチに戻ってきたベテランをたたえた。数々の好捕をみせている今宮だが、甲子園の阪神ファンにも既視感があるプレーだ。今宮が若かりし2014年6月8日の交流戦、阪神ーソフトバンクの七回の遊撃守備。上本博紀(現阪神打撃コーチ)のレフト前への打球を懸命に追いかけ、後ろ向きにダイビングキャッチ。白球がいったんグラブから出たが、空中で再度逆シングルでつか見直して離さないという超ファインプレーをみせた。その際顔面をグラウンドに打ち付け、グラウンドに体を打ちつけた衝撃でしばらくうずくまって動けないほどのハードなプレーだった。今回の日本シリーズはシーズン中に痛めた左ふくらはぎの状態も気になる中、超越した動きで不安を払しょく。大分・明豊高時代から活躍してきた甲子園で輝い再び輝いた。
◆1勝1敗で迎えた日本シリーズ第3戦は、セ・パ両リーグの最優秀防御率投手の対決となった。阪神・才木は六回途中5安打2失点で降板。試合は作ったが、日本シリーズ初勝利とはならなかった。「打線はつながり始めたら本当に止まらない感じ。本当にシンプルに強いなっていうイメージでした」26日の第2戦(みずほペイペイ)ではデュプランティエが二回途中7失点で降板。1-10で大敗した。才木も「柳田さん、周東さんは塁に出たら足もある。塁に出たらすごく嫌だなと」。警戒を強めていた。2試合で柳田は打率・556(9打数5安打)、周東は同・667(9打数6安打)。この1、2番コンビを封じ込めることを重要課題に挙げていた。「行けるところまでいく」と語っていた通りに、才木は一回から全力投球で強力打線に立ち向かった。柳田を1球で二ゴロに打ち取ると、周東は153キロ直球で空振り三振に。打者3人をオール直球の8球で仕留める最高のスタートを切った。二回以降は変化球を交えながら強力打線をゼロに封じていく。しかし、甘くはなかった。四回1死走者なしで、第2戦でも3ランを放っていた山川にスライダーをバックスクリーン左に運ばれ、同点に追いつかれた。2023年のオリックスとの日本シリーズ。才木は第4戦(11月1日)に先発して試合中に右手親指を出血するアクシデントに見舞われながらも5回5安打1失点の力投。自身に勝ち星はつかなかったが、九回に大山のサヨナラ打でチームは勝利した。それでも「2年前のことはあんまり覚えてません」と語ったように、才木にとっては消化不良の初舞台だった。あれから2年。体調万全で臨んだマウンドだったが...。暗転したのは1-1の六回だ。先頭の柳田に右前打を許すと、1死一塁から柳町に右翼線に適時三塁打を浴びる。勝ち越しを許し、続く山川に四球を与えたところで降板。日本シリーズ初勝利とはならなかった。(三木建次)
◆阪神は七回、1死三塁の好機を作るも無得点に終わった。1-2と1点を追って、2番手・藤井から先頭の小幡が敵失で出塁。代打・高寺は三振に倒れたが、小幡の盗塁と相手の捕逸が重なって1死三塁とチャンスを作る。ここで上位に回ったが、近本がフォークに空振り三振。中野もフォークに空振り三振を喫し、連続三振で得点とはならなかった。
◆阪神は1点差ゲームを落とし、1勝2敗と一歩後退した。一回に佐藤輝明内野手(26)の適時打で幸先よく先制。初戦からの3戦連続打点は1985年のバース以来となる一打で試合を動かしたが、ここからホームが遠かった。先発の才木浩人投手(26)は三回まで無失点で立ち上がったが、四回に山川に2試合連続となるソロ本塁打を浴びて同点。さらに六回には柳町に勝ち越しの適時三塁打を許し、六回途中2失点とリードを守りきれなかった。攻撃陣も四回以降6イニング連続で得点圏に走者を進めるも無得点。日本シリーズ3試合でわずか4得点と抑え込まれているが、第4戦から巻き返すしかない。
◆ソフトバンクの先発、リバン・モイネロ投手(29)は6回を1失点で降板した。モイネロは一回に2死一塁から佐藤輝に右越え適時二塁打を浴び、先取点を奪われるが、その後は粘りの投球を見せた。打線は1点を追う四回に山川がバックスクリーン左へ同点弾。26日の第2戦(みずほペイペイ)から連発となる一撃で、試合を振り出しに戻した。六回には1死二塁から柳町が右翼線へ勝ち越しの適時三塁打を放ち、1点リード。リリーフ陣が逃げ切り、連勝とした。
◆阪神が2試合連続の〝スミ1敗戦〟で、対戦成績は1勝2敗となった。一回2死一塁、リバン・モイネロ投手(29)から佐藤輝明内野手(26)の二塁打で先制。しかし才木浩人投手(26)が四回、山川穂高内野手(33)に中堅左へ2試合連続本塁打を運ばれ、六回1死二塁では柳町達外野手(28)に勝ち越し二塁打を許した。打線は六回、四球出塁の森下翔太外野手(25)が二盗。佐藤輝の申告敬遠で無死一、二塁としたが、大山悠輔内野手(30)らが凡退。四回から6イニング連続得点圏に走者を進めながらも、ホームが遠く、11残塁だった。才木は日本S初黒星でCS3試合を含め、PS5戦2敗。佐藤輝は球団では1985年ランディ・バース以来の日本S初戦から3試合連続打点を記録した。大山は敵失と死球で出塁したが、3戦12打席連続無安打。
◆ソフトバンクが逆転勝ち。四回に山川の本塁打で追い付き、六回に柳町の適時三塁打で勝ち越した。モイネロは6回1失点。藤井―松本裕―杉山の継投で逃げ切った。阪神は一回に佐藤輝の適時二塁打で先行したが、四~九回の好機で決定打が出なかった。阪神のデータは以下のとおり。?阪神が第3戦に敗れ、対戦成績は1勝2敗。シリーズで1勝1敗(引き分けを含む)から2敗目を喫したのは過去35度。そのうち逆転で日本一になったのは8度で、優勝確率は22・9%。阪神は2023年のオリックスとのシリーズで1勝2敗から逆転で日本一に輝いている。?佐藤輝が第1戦から3試合連続打点。日本シリーズで第1戦から3試合連続で打点を挙げたのは、19年のソフトバンク・柳田悠岐以来6年ぶり。阪神では1985年のバース(全て先発3番)以来40年ぶり2人目で、先発4番打者がマークしたのは初。?阪神は一回の1得点のみで敗戦。シリーズでチームの得点が一回の1点のみだったのは第2戦の阪神に続く通算17度目。1シーズンで2度記録したのは阪神が初めて。
◆?ソフトバンクが第3戦に勝利し、対戦成績を2勝1敗とリードした。日本シリーズでは1勝1敗(引き分けを含む)から先に2勝目を挙げたのは過去35度のうち、日本一に輝いたのが27度で、優勝確率は77・1%。ソフトバンクのように黒星から2連勝したケースは2023年のオリックス(日本シリーズ敗退)以来2年ぶり21度目。過去20度のうち、日本一が15度で、優勝確率は75%。?第1戦は阪神、第2、3戦はソフトバンクが逆転勝ち。シリーズで第1戦から3試合続けて逆転試合だったのは、1957年(第1-3戦・西鉄=逆転勝ち)、80年(第1、2戦・近鉄、第3戦・広島=逆転勝ち)に次いで45年ぶり3度目。
◆試合開始の午後6時4分の時点で、気温は14度。肌寒い甲子園で、ソフトバンク・モイネロが快投した。6回1失点で勝利投手。スタンドを埋め尽くす阪神ファンを黙らせた。「寒さもあってボールが抜ける感じがあったので、力を入れるというより四隅を狙った。(慣れない)球場より寒さの影響があった。そのなかで全体的にまとまった投球ができたので良かった」一回に先取点を奪われるが、その後は粘りの投球。「球場が小さいので高めに浮いて長打にならないように、と意識していた」と低めに制球し、打線の反撃を呼んだ。虎党の大声援にも「特に気にならなかった。投げているときは物音も聞こえない」と動じず、打者に集中。血流をよくし、体を温める効果があるとされるベビーオイルを全身に塗り、ホットクリームを併用して寒さも対策。敵地で大きな白星をつかんだ。(西垣戸理大)
◆阪神・岩崎優投手が八回のマウンドを託され、今シリーズ初登板を果たした。先頭の代打・ダウンズに四球を与えるなど2死満塁のピンチを招いたが、最後は栗原を投ゴロに仕留めて無失点。「内容は(課題が)ありますけど、ゼロで帰ってこられたのでよかった。またあしたも頑張ります」。レギュラーシーズンでは守護神を務め、31セーブをマーク。日本一に向け〝八回の男〟としても腕を振る。
◆1-2の九回に登板した阪神・石井大智投手は、打者3人をピシャリと抑えた。「いつも通り頑張ろうと思って入りました。いろんな反省はありますが、またあした頑張ります」。チームは敗れて言葉少なだったが、1回?を無失点に封じた第1戦に続いての好投。ポストシーズンの無失点記録を13試合に伸ばした。
◆阪神は打線がつながらず、対戦成績は1勝2敗となった。現役時代は阪神、南海で活躍し、引退後は阪神で投手コーチやフロントでも尽力したサンケイスポーツ専属評論家の上田二朗氏(78)は日本シリーズの行方は大山の復調にかかっていると指摘した。両軍の投手が好投して、緊張感のあるいい試合だった。が、裏を返せば、あと一本が出なかった試合ともいえる。敗れた阪神には、その思いが強いだろう。振り返ると、やはり大山が気になる。決して大山一人の責任にするつもりはないが、クリーンアップの3人が機能して、ここまで勝ち進んできたのが阪神。大山の不調が得点力に影響しているのは事実だ。打席内容を見るとタイミングが合っていない。表情からも悩んでいるように思える。その結果、普段なら絶対に手を出さない投球にバットが出てしまっている。六回無死一、二塁からの中飛はその典型例。シーズン中の大山なら、狙い球をしぼって右方向へ、悪くても進塁打という打撃をしたはずだ。投手目線で言えば「どこへ投げても打ち取れそうな打者」が今の大山だ。捕手も同じことをすぐに感じる。こうなると、打者は苦しい。打開策は、大山自身が乗り越えることしかない。この打順で戦ってきたのだから、大山を信じるのみ。大山が機能しなければ、森下、佐藤輝も厳しくなる。シリーズの行方は大山の復調に尽きる。頑張れ!
◆阪神の中野拓夢内野手(29)は一回に右前打で出塁し、佐藤輝の適時打で2戦連続となる先制のホームを踏んだ。しかし五回2死三塁、七回2死三塁、九回1死一、二塁と終盤は好機で凡退。七回には藤井のフォークに三振を喫し「頭にはあったがそれまでに来たフォークと最後のフォークの軌道が違った。いいところに投げられた」と唇をかんだ。1勝2敗となったが「他の選手を信じながらみんながやっていけば、おのずといい結果につながる。みんなであした勝てるように頑張りたい」と前を向いた。
◆阪神・豊田寛外野手は今シリーズ初めてベンチ入りし「6番・左翼」で先発したが、ホロ苦い日本シリーズデビューとなってしまった。二回の第1打席は中飛に倒れると、三回の守備では先頭・牧原大の左中間への飛球を中堅・近本とお見合いするような形となり二塁打としてしまった。この守備が響いてか四回の守備から途中交代。「迷ったというか判断ミスというか。抜けるかなと思ってちょっと膨らんでしまった」と反省し、肩を落とした。
◆先発した阪神・才木浩人投手は5回?を投げ5安打2失点で降板した。「(山川には)真ん中にいっちゃった。自分の実力不足。2点目をちょっと悔しい感じで取られた」。1-0の四回に山川にスライダーをバックスクリーン左に運ばれ、六回1死二塁からは柳町に右翼線に勝ち越しの適時三塁打を浴びた。第7戦(2日)までずれこめば、中4日で先発のチャンスもあるだけに「自分では(登板の)可能性があると思っているので準備はします」とリベンジに燃えていた。
◆第1戦に続く登板となった阪神・及川雅貴投手(24)が回をまたいで打者4人を封じ込めた。六回に先発の才木が2―1と勝ち越しを許し、なおも1死一、三塁で登板すると、栗原を二ゴロで併殺に切って火消しに成功。七回も三者凡退と相手打線を寄せ付けなかった。六回の場面に「あそこで1点でしのげるか、しのげないか、というところでは、試合は勝てなかったですけど、最後までどっちか分からないゲームが続いたのでよかった」とうなずいた。
◆第4戦に先発する阪神・高橋遥人投手はランニングメニューなどをこなして調整した。全体練習に参加した27日には「その回の先頭バッターは大事にしたい。思いっきり攻めたい」と強力打線を封じる青写真を描いていた。登板はDeNA相手に八回1死まで無安打投球を続けた17日のCSファイナルステージ第3戦以来。今回も重要な一戦で大きな1勝をもたらす。
◆ソフトバンクは、遊撃・今宮が好守でピンチを救った。2-1の六回2死一、二塁。坂本が放った飛球を背走しながらジャンピングキャッチ。反撃の芽を摘んだ。「最初、余裕でいけるのかなと思ったですけど...。最後は捕れてよかったですね」。2013年から5年連続でゴールデングラブ賞に輝いた名手も、今年で34歳。色あせぬ堅実な守りに助けられた先発・モイネロも「すごくいいショート。いつも通りのいいプレーをしてくれた」と感謝した。
◆29日の第4戦で先発するソフトバンク・大津亮介投手は甲子園でダッシュなどを行い準備を整えた。「初めての日本シリーズでの先発なので緊張もあるが、それ以上に楽しみのほうが大きい」と気持ちを高ぶらせた。19日の日本ハムとのCSファイナル第5戦では3点リードを許して四回途中で降板と悔しいマウンドだっただけに、今度こそ力の見せどころ。「これまでやってきたことをすべて出し切る」と日本一へ王手をかける。
◆今季、最高出塁率のタイトルを獲得したソフトバンク・柳町が同点の六回1死二塁で右翼線への決勝三塁打を放った。「山川さんが本塁打を打って気持ちも楽になった。チャンスで回ってきたので絶対に勝ち越したいと思った」。福岡での2試合では1安打のみに終わっていた。中軸の役割を果たし「勝利に導く一打が打ててよかった」と大きく息をついた。
◆夜空に高々とアーチをかけた。ソフトバンク・山川穂高内野手(33)が、甲子園でもおなじみの「どすこい」を響かせた。四回に放った2試合連続弾となる同点ソロが勝利につながった。「思い切って自分のスイングができた結果だと思う。最初のストライクを、ということで、頭の中に入っていた」今シリーズで初めて4番で起用され、迎えた二回の第1打席はストレートの四球。だが次はしっかり〝獲物〟を仕留めた。1死走者なしで才木の2球目スライダーを振り抜き、中堅バックスクリーン左へ放り込んだ。第2戦に左中間へ3ランを放ったのと同様、打線をもり立てる価値ある一打となった。甲子園での本塁打は西武時代の2022年5月31日の阪神との交流戦で左中間へ先制ソロを放って以来2本目だ。「久しぶりだった。打ててよかった」と喜んだ。高校球児の聖地にきても「高校のときにあこがれた球場が、いまは普通のビジター球場。打席での景色は普通の球場とそんなに変わらない」と気負わずプレー。本塁打で才木をぐらつかせたことが、六回の柳町の決勝三塁打につながった。昨年不動のポジションだった4番に大舞台で返り咲いたが「今年は打順はあまりもう、気にしていない。(大事なのは)自分のリズムとか、打席で注意している部分をやっていくこと」と一喜一憂せず、自身初の日本一までバットを振り続ける。(上阪正人)
◆大歓声に乗って、白球は甲子園の夜空に舞い上がった。右翼手のグラブをかすめて、外野芝生を転々。日本シリーズの大舞台で、阪神・佐藤輝明内野手(26)がまた球団史に名を刻んだ。悔しい連敗も、虎の主砲は前を向いた。「先制できてよかった。ちょっと(球が)浮いてきたので。(カーブは)もちろん、頭にありました」一回2死一塁の第1打席。モイネロの決め球、カーブが高く浮く。目を光らせ、ファーストスイングで仕留めた。白球は右翼・柳町の頭上を越えて、一走・中野が一気にホームへかえってくる。強敵からもぎ取った先制の適時二塁打に、4万1594の観衆が揺れた。第1戦は決勝の適時二塁打、第2戦は先制の右前適時打、そしてこの一打で3試合連続タイムリー。日本シリーズ初戦からの3試合連続は、球団では1985年のバース以来の快挙だ。四回の第2打席は一塁強襲の内野安打。チームトップの同シリーズ打率・364と勢いは止まらない。試合を重ねるごとに熱気を帯びる日本シリーズ。ただ、佐藤輝自身は平常心をぶらさない。「日本シリーズだから、とかはないっすよ。いい意味で普段の試合と変わらないですね」。自然体で試合に臨んでいるからこそ、結果がついてくる。「あ、いつもより人(記者)が多いっすね」。今はこの周りを見れる余裕すらも頼もしい。
◆2年ぶり3度目の日本一を目指すセ・リーグ覇者の阪神は、5年ぶり12度目の頂点を狙うパ・リーグ2連覇のソフトバンクに1-2で競り負け、対戦成績を1勝2敗とした。六回には佐藤輝明内野手(26)が申告敬遠され無死一、二塁となったが、続く大山悠輔内野手(30)が中飛に倒れるなど反撃できず。ここまで11打数無安打の大山の奮起なくして、逆襲はない-。頂上決戦に帯びる熱気の陰で、虎の大黒柱がもがいている。虎党がスタンドを埋めた甲子園に帰ってきたものの、あと1点が奪えなかった。他の選手から一人遅れて試合後の通路に現れた大山は、厳しい結果を受け止め、現実からも目をそらさなかった。「紙一重とかそういう問題じゃないですし、流れを全て止めてしまっているということはあって。こうなってしまっているのも全部、僕の責任ということもあるので。何とかしないといけないし、するしかないと思うので」福岡に乗り込んだ第2戦までで8打数無安打。舞台をホームに移した第3戦を転機にしたかった。だが、1点を先制した一回2死二塁で一飛。同点とされた直後の四回は三遊間への当たりを三塁・栗原がはじいたが、失策での出塁となった。そして六回。先頭・森下が四球で出塁したあとに二盗を決めると、佐藤輝がカウント3―1となったところで申告敬遠。「大山勝負」を選ばれた。燃えるような場面だったが、外角高めのボール球に手を出して中飛。大チャンスを生かせなかった。2年前のオリックスとの日本シリーズ第4戦では直前で2者連続申告敬遠で勝負されながらサヨナラ打を決めただけに、期待は高まったが...。八回の第4打席では死球を食らい、これで3戦で計12打席無安打。甲子園初戦で光をつかむことはできなかった。四回以降は走者を毎回得点圏に置いただけに、あと1点の遠さは歯がゆい。前を打つ佐藤輝は3戦連続打点と好調。博多でスタメンになりながら同じく安打がなかった小幡は快音を響かせた。鷹を打ち落とすためには、やはり大山の復活は不可欠だ。四回、そして六回と、大山が呪縛を払うのを助けるようにエールに似た大声援が送られた。ファンは苦しむ姿を理解し、何より喜ぶ姿を待っている。
◆みずほペイペイドームから甲子園へと会場が移り、試合前練習が始まった午後2時ごろから肌寒い風が吹きつけていた。日本シリーズ開幕前には上着など必要ないくらいだったのに...。ただ、そんな急な気温の変化にも、選手はきちんと対策をしている。勝利の方程式を担う及川は、手袋をつけてランニングをしていた。「寒いです! 手袋をつけるのは今年3回目くらいですかね。外で練習中につけるのはなかなかなかったです」突然寒くなったのに、用意周到だ。指先をしっかり守るために怠りはない。急に用意したのか尋ねると「自分、常にカバンに入れているんです。寒がりなので」と意外な一面を教えてくれた。ちなみに、伊藤将はこの日も半袖。及川は「人それぞれですよね」と笑っていた。一人一人が自分のペースで準備を重ね、ベストの状態で試合に入っていく。(中屋)
◆ウゲ~ッ! 日本シリーズ、わが阪神がソフトバンクに王手をかけられたー!! なに、まだ1勝2敗で王手じゃない? アホかァ!! 3試合でわずか4得点。しかも5番・大山以降はバットを持ってるんだか、持ってないんだかの貧打ぶり。こんなん、どないして勝てって言うんやー!!(怒)まず本日の試合。1点先制したのに四回、山川に同点アーチを許す。あのね、2戦目も山川に一発浴びとるやろー!! てか、ワールドシリーズ史に残る延長十八回を、阪神バッテリーは見てなかったの? 2本塁打の大谷に対し、相手はその後に4連続敬遠したやんか~! 君子危うきに近寄らずで、山川から逃げたらええやん!!てか結局、シーズン中にレギュラーを決められなかったショート、レフトのツケ(打てない)が回ってくるとは、今さら泣きごと言っても遅いよねェ...。とにかく日本シリーズ史上最大のジタバタをしたれー! 打てないなら打たれないで、先発石井で2番手岩崎、この2人で三回までは無失点に抑えてもらい、本来の先発をつなぐ。虎の最大の牙である投手陣に、全てを託すしか日本一は見えんわ!!
◆日本シリーズ全戦チェックのサンケイスポーツ専属評論家・江本孟紀氏(78)は、第1戦と同じく2-1とロースコアの決着となった第3戦で、意外なところにフォーカス。それは両軍のスイングだ。山川の一発が、流れをソフトバンクへと根こそぎ、持っていったよ。DH制ではないため、ベンチスタートとなった近藤に代わって、4番に座ると、2打席目の四回。この試合の初スイングで、高めのスライダーをバックスクリーン左まで飛ばした=写真。これで打線全体が、伸び伸びとスイングするようになった。荒々しく振って、阪神を威圧していた。得点は2点だけなのに、大量リードかと勘違いするくらいのムード。山川のソロ本塁打には、何点も取ったようなイメージすらあった。打線だけではない。チーム全体の動きも、格段によくなった。明らかに勢いを呼び込んだね。阪神打線はそれに、飲み込まれた感がある。四回以降、毎回得点圏に走者を置きながら、あと1本が出ない。チャンスでのバッティングが、縮こまっていたわけだ。言うまでもなく、気になるのは大山。シリーズ3戦で11打数ノーヒットとは、予測できるものではないよ。したがって、六回無死一、二塁の同点機では、大山に送りバントをさせてもよかった。状況によっては、バントも堂々の勝負手になるからね。その意味では、ベンチもまた、縮こまったかな。第1戦は阪神がベンチワークで接戦を制した。第2戦は阪神先発・デュプランティエの炎上によるワンサイドゲーム。そして3戦目。当然のことながら、流れは微妙な傾き方でソフトバンクへ。さらに、ふと気付けば阪神は、3戦合計でも、わずか4得点。いまの打線に、かけるとしたら、次の言葉。「明るく、気持ちよく、振り回してきなさい」-。(サンケイスポーツ専属評論家)
◆6時間26分という日本プロ野球最長試合を記者席で眺めたのは1992年9月11日、阪神-ヤクルト(甲子園)でのこと。試合の長さを感じることなく、深夜0時26分のゲームセットを迎えた記憶がある。「締め切りは間に合うのか?」開口一番、激闘を振り返るより先に、原稿の締め切りを心配してくれた中村勝広監督は、今思えば、すごく新聞記者の味方だった。午前2時を過ぎて球場を出たら神戸ナンバー、大阪ナンバーのタクシーが周辺道路を埋め尽くしていた。最終の電車もバスもなくなって、タクシー運転手さんには、格好の〝長距離のお客〟が集まる場所だったわけだ。長い長い試合なのに、読者に喜んでもらえる、感動的な思い出があまり出てこない。それに比べたら、ドジャーブルーに染まったスタジアムの選手、ファン、関係者の興奮、感動は、テレビ画面ごしにも十分に伝わってきた。日本最長をさらに超える6時間39分の死闘。エンドレスに続くかもしれない延長に備えて、2日前に完投したばかりの山本由伸がブルペンへ向かう姿に涙した人もいた!?「なんか、誇らしかったです」日本シリーズ取材班に加わっているカープ番・西垣戸理大も、感無量の様子だった。オリックス担当時代の2021年はリーグ優勝、翌22年は日本一。その原動力となったのが山本だった。無敵ヨシノブの原稿を書きまくった男は、彼の秘めたる男気をサンスポで一番知っている記者だ。海を渡っても変わらないなぁ...。心の中でエールを送っていた。死闘18回。現地で取材したメディアも、きっと一生の思い出だろう。日本時間でいえば、お昼のドジャーブルーの次は、夜のタイガースイエロー。甲子園は予想通り、圧倒的な阪神ファンで埋め尽くされた。



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