阪神(☆2対0★)DeNA =クライマックスシリーズ1回戦(2025.10.15)・阪神甲子園球場=
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DeNA
0000000000810
阪神
00000200X2610
勝利投手:及川 雅貴(1勝0敗0S)
(セーブ:岩崎 優(0勝0敗1S))
敗戦投手:東 克樹(0勝1敗0S)
  DAZN
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◆阪神は0-0で迎えた6回裏、森下の適時打で1点を先制する。なおも2死一三塁の場面で小野寺の適時打が飛び出し、貴重な追加点を挙げた。投げては、先発・村上が5回無失点。その後は及川、石井、岩崎の継投で完封リレーを飾った。敗れたDeNAは、打線が再三の好機を生かせなかった。

◆阪神は大観衆を味方につけられるか。DeNAは本拠地横浜スタジアムで戦ったCSファーストステージで、ビジター席を通常の左翼席から、さらに上側の「ウィング席」に移し、スタンド1周ほぼすべてを青に染めたことが話題になった。今度は逆になる。CSとはいえ、甲子園に割り当てられたビジター席はレギュラーシーズンと同数、左翼上段の2ブロックだけ。今季の甲子園のビジター席は巨人と広島が3ブロック、その他は2ブロックの割り当て。CSはたとえ巨人が勝ち上がってきていても2ブロックだった。三塁側に少しの「青」が交じるだろうが、ほぼスタンド全体が黄色に染まると予想される。CSファイナルは最長6日連続で甲子園で行われる。もちろん前売りで6試合とも完売。もつれるほど、阪神のホームアドバンテージが効いてくるかもしれない。

◆初戦は阪神打線とDeNAのエース東克樹(28)のマッチアップ。今季2度の対戦で1勝1敗。ともに好投を許し、対戦防御率は1・50だ。レギュラー陣は不動だが、左翼のスタメンがどうなるか注目される。候補に挙がる右の中川勇斗捕手(21)、左の前川右京外野手(22)と高寺望夢内野手(22)の若手3人はいずれも対戦経験がない。足があって守備力も高い熊谷敬宥内野手(29)も有力候補。東には5打数1安打。阪神は左翼手が「6番」に入ることが多く、ここが打線のカギになりそうだ。ちなみに捕手の梅野隆太郎(34)がこの2年間、9打数6安打と東キラーぶりを発揮している。

◆阪神小野寺暖外野手(27)が1軍に合流した。

◆"乗ったら怖い"を見せつける。DeNA三浦大輔監督(51)が第1戦に向けた練習を前に取材に応じ、「先にね、主導権を握っていくっていう、進めるっていうのはね、どの試合でもそうですけどもね。特にね、うちの選手たちは、もう1回乗ってしまえばいい形でね、どんどんプラスに転がっていきますから」と期待を込めた。短期決戦では定石の先制点の大事さは、ハマの男たちには一層当てはまる。今季は先制した試合は51勝16敗4引き分けで勝率7割超え。阪神も7割を超えているが、指揮官は「そういう風にもっていけるようにチームをしていかないと」と策を練る。いかに先制点を与えないか、では先発に送り込むのはDeNA東克樹投手(29)。最多勝を獲得したエースは、巨人とのCSファースト第3戦に先発予定も、2連勝で終えたため登板ができた。「経験ある投手ですしね。今年もね、レギュラーシーズンもプレッシャーのかかる場面もいっぱいもありましたしね。少しでも間が開けて、今日の登板を迎えられたのは良かったかな。早く、まずね、自分のリズム、ペースに持ち込めるようにしてもらえたら」と虎打線を封じ込める。「相手がどうこうっていうより、まず自分たちがしっかりやれることを。初回から全力で出し切れるように、出し切っていけるようにね、全力でいけるようにと思ってます。もう強いチームなのわかってますから」。大差でリーグを制覇した強敵に、勢いでぶち当たっていく。

◆CSファイナルステージ第1戦に臨む、阪神の全26選手が出場選手登録された。レギュラーシーズン全日程を終えた2日に、登録されていた31人が一斉に登録抹消されていた。CSまで10日以上空く場合は自動的に全員抹消となる。

◆15日付の公示が発表され、阪神は31人枠を埋めず、ベンチ入りメンバー分の26人だけ出場選手登録した。レギュラーシーズン最終戦からCS初戦まで10日以上空くため、自動的に全員の出場選手登録が抹消されていた。CSの期間中の登録・抹消ルールはレギュラーシーズンと同じ。1度抹消すると再登録が可能になるのは10日後。数日で復帰できそうな体調不良や負傷があった場合に備え、初日の登録人数は必要分にとどめた。今後、状況を見て増員、入れ替えを行っていく。先発要員で登録されたのはこの日先陣を切る村上頌樹(27)だけ。16日は先発予定の才木浩人投手(26)が加わる。抹消された選手はCSには出場できない。日本シリーズでは改めて出場資格選手40人が選定される。ベンチ入り枠は同じ26人。試合ごとに40人の中から選抜する。CSファイナルステージの主なルール 6試合制。先に4勝したチームが日本シリーズに進出。シーズン優勝球団には1勝のアドバンテージが与えられる。引き分けが生じた場合、引き分けを除く勝利数が同じならシーズン優勝球団が進出する。悪天候などにより日本シリーズの3日前までに所定の試合を消化できなかった場合、その時点の勝利数で勝者を決定。延長は12回まで。12回表終了時や12回裏の攻撃中に後攻の勝ち上がりが確定した場合、その時点でコールドゲームとなる。

◆DeNAのスタメンとベンチ入りメンバーが発表された。先発は東克樹投手(29)が務める。今季は24試合に登板して14勝8敗、防御率2・19。最多勝を獲得したエースが満を持してCSのマウンドに上がる。先発投手以外は、CSファーストステージと同じ顔ぶれで臨む。

◆日本一を目指すポストシーズン初戦の"開幕スタメン"が発表された。クリーンナップはシーズン中から不動の3番森下、4番佐藤輝、5番大山。6番左翼には中川勇斗捕手(21)が抜てき。ポストシーズンでは初の出場となる。先発は、14勝で今季セ・リーグ最多勝の村上頌樹投手(27)。同じく14勝をマークしたDeNA東との、最多勝投手対決に臨む。

◆阪神才木浩人投手(26)が最優秀防御率の実力を見せる。CSファイナル第2戦で先発を任され、「楽しんでいけたら。今すごくいい緊張感に入れている。ゼロでいくことが大事」と無失点を誓った。ファーストステージを勝ち抜いた相手だが、「チャンピオンになっているのは自分たち。受けて立つくらいの気持ちでいいかな」と落ち着いた様子。今季のDeNA戦は5戦4クオリティースタート(QS、6回以上自責3以下)で2勝1敗、防御率1・82。昨年ファースト第1戦で敗れた相手へのリベンジも期す。

◆阪神が初回から浮き足だった。村上頌樹投手(27)は2死一塁から筒香嘉智外野手(33)に四球。さらに牧秀悟内野手(27)の打ち取った打球を遊撃手の熊谷敬宥内野手(29)が取り損ねた。一塁セーフの判定を巡って藤川球児監督(45)がリクエストしたが判定は変わらず2死満塁。なかなか試合が落ち着かず、甲子園の阪神ファンも次第に静かになっていった。救ったのは佐藤輝明内野手(26)だった。続く山本祐大捕手(27)の三塁線への打球を、体を後ろに倒しながらバウンドを合わせて好捕。落ち着いて一塁送球して、流れをようやく止めた。

◆阪神村上頌樹投手(27)のDeNA林琢真内野手(25)への死球に球場がどよめいた。2回1死無走者で打席には林。12日のCSファーステージ巨人戦では19球粘って四球を選んでいた。この日も、初球145キロ直球を見逃してストライクを奪われると、そこから3球連続ファウル。村上は64キロの超スローカーブでタイミングをはずそうとしたが、痛恨の超遅球での死球になった。初回2死満塁のピンチを切り抜けた右腕にとっては痛恨の一塁進塁。しかし、その後は後続を打ち取り、2イニング連続でのピンチを脱した。

◆阪神佐藤輝明内野手(26)が立ち上がりに好守でチームを救った。初回2死一、二塁からDeNA牧を遊ゴロに打ち取ったかに思われたが、熊谷敬宥内野手(29)がファンブル。2死満塁とピンチが広がった。2死満塁から、山本の痛烈な三塁線への打球を、佐藤輝が片膝をつきながらバックハンドでキャッチ。そのまま一塁へ送球し、三ゴロに。初回のピンチを無失点で切り抜けた。佐藤輝のファインプレーに甲子園は大きく湧いた。NHKBSで解説を務めた元ヤクルトの宮本慎也氏(54=日刊スポーツ評論家)は「すごい嫌なバウンド。本当にうまく距離を取って、捕ったと思います。ナイスプレーですね」とたたえた。

◆これは痛く...ない?村上頌樹が投げた64km/hのスローボールまさか林琢真の背中に直撃珍しいデッドボール?CSファイナルステージ第1戦 (2025/10/15)??阪神×DeNA#クライマックスシリーズDAZNで全試合配信!#オレをみろ #阪神タイガース #baystars #だったらDAZN pic.twitter.com/JIxYD31HSe

◆阪神村上頌樹投手(27)のスローボール死球に、甲子園がどよめいた。両チーム無得点で迎えた2回1死、DeNA林に投じた5球目。64キロのスローカーブが林の背中に直撃。まさかの珍事に、村上も苦笑いするしかなかった。X(旧ツイッター)では「スローボール」がトレンド入り。「スローボール死球は初めて見た」「避けられないのかな...」「林に粘られたくなかったのか」「予想外すぎた」などのコメントが並んだ。

◆阪神村上頌樹投手(27)の超スローボール死球を巡って、野球ファンの間で賛否両論が飛び交った。2回1死で林琢真内野手(25)に1ストライクから3連続ファウルと粘られた。5球目は得意の超スローボールを選んだが、内角にそれた。林は山なりのボールをぎりぎりまで引きつけて、その場でくるっと背中を向けて投球を背中付近に受けた。球速表示は64キロだった。SNSでは「林、よけられるだろ」「確かにスローボールはカットしづらいけど」「審判も迷っただろうな」とさまざまな意見が書き込まれた。林は巨人とのCSファーストステージ2戦目に1打席で19球投げさせるなど驚異の驚異の粘りが話題になっていた。「粘られて球数を食うより、こっちの方がマシだったかも」の意見もあった。村上は後続を抑えて無失点だった。

◆DeNA筒香嘉智外野手(33)の守備を、NHKBSで解説を務めた元ヤクルトの宮本慎也氏(54=日刊スポーツ評論家)が称賛した。3回、先頭熊谷の三塁線への鋭い打球をダイビングキャッチ。素早く一塁へ送球し、見事にアウトにした。宮本氏は「(内野の守備が)うまいんですよ。外野のイメージとは全然違って、結構動けますし。スローイングが良いんですよね」とコメント。「守備でも貢献できてるんじゃないですか」と筒香を評価した。筒香は宮崎敏郎内野手(36)の負傷離脱の影響で、8月終盤から三塁を定位置にしている。

◆阪神ファンの演歌歌手、丘みどり(41)が試合前に君が代を独唱した。レギュラーシーズンでは経験があるが、ポストシーズンでは初めて。「雰囲気がいつもの甲子園球場じゃない感じがしました」と独特の緊張感の中で美声を響かせた。CSのキーマンには佐藤輝を挙げ、「ホームランを打ってもらいたい。絶対に日本一になってもらいたいです」と期待を寄せた。

◆阪神藤川球児監督(45)がCS仕様のタクトをふるった。両エースの投げ合いで0-0のまま迎えた5回の攻撃。中川勇斗(21)が右前打で出塁。初めてイニング先頭が塁に出ると、すかさず代走に小野寺暖外野手(27)を送り込んだ。東克樹投手(29)に対してチャンスは何度もないと判断。2死三塁となると村上頌樹投手(27)に代えてラモン・ヘルナンデス内野手(29)を代打に送って先制点を取りにいった。結果は無得点だったが、レギュラーシーズン中ではあまりないスピーディーな選手交代だった。

◆阪神村上頌樹投手(27)が毎回走者を背負いながらも、5回5安打無失点でDeNA打線を封じて降板した。初回四球と味方の失策も絡んで2死満塁のピンチを背負ったが、山本を三ゴロに打ち取り危機脱出。3回には1死一、三塁で牧を130キロのチェンジアップで打ち取ると雄たけびを上げた。続く山本も空振りの三振で3回を終えた。4回にも2死二塁を背負ったが、蝦名を空振りの三振。5回2死一、三塁三塁も山本を三ゴロに封じた。5回裏に2死三塁の先制機が訪れ、2度目の打席には代打ヘルナンデスが送られ、出番を終えた。「後ろにリリーフのすごい人たちがいるので初回からやっていきたい」と話していたように、5回までに103球を投じて、無失点でブルペンにバトンを渡した。

◆途中出場の阪神小野寺暖外野手(27)が起用に応えた。5回に代走から出場。6回、1点を先制してなお2死一、三塁の場面で最初の打席が回ってきた。DeNA東克樹(29)のカウント3-1からのチェンジアップを得意の右打ち。打球は右前の芝生にはずみ、貴重な2点目が入った。この一打で東をマウンドから引きずりおろした。今季わずか7安打の伏兵が大仕事をやってのけた。

◆DeNAは阪神に敗れ、CSファイナルステージの初戦を落とした。最多勝を分け合った両チームの先発が、初回からスコアボードに0を並べた。DeNA東克樹投手(29)は打線の援護がない中で、5回まで無失点の粘投も、6回に試合が動いた。1死二塁から近本に三盗を許し、1死三塁。森下に先制の適時打を許した。なおも2死一、三塁から小野寺に適時打を浴び、2失点目。東は6回途中で無念の降板となり「調子は良かったと思いますが、先に先制点を与えてしまいチームに勢いをつけることができませんでした」とコメントした。打線は初回から何度も得点圏に走者を進めるも、好機を生かせず。阪神投手陣を前に、あと1本が出なかった。

◆セ・リーグ王者の阪神が初戦を制し、アドバンテージを加えて2勝とした。試合は中盤まで投手戦。ともに最多勝となる14勝を挙げた阪神村上頌樹投手(27)とDeNA東克樹投手(29)の投げ合いとなった。村上は初回、先頭の蝦名に右前打を浴び、四球と味方の失策がからみいきなり2死満塁のピンチ。ここでDeNA6番山本を三ゴロに仕留めると、毎回走者を背負いながら5回5安打無失点と粘投した。打線は東を前に、5回まで散発2安打無得点。0-0のまま迎えた6回、先頭の近本光司外野手(30)が遊撃への内野安打で出塁すると、中野の犠打で1死二塁。迎えた森下翔太外野手(25)への初球で、近本は果敢に三盗に成功。1死三塁と好機を広げ、森下が待望の先制の中前適時打を放った。4番佐藤輝が中前打でつなぐと、なおも2死一、三塁から途中出場の小野寺暖外野手(27)が2点目の右前適時打。好投を続けていた東をチーム一丸でノックアウトした。6回からは盤石のリリーフ陣が無失点リレー。及川雅貴投手(24)が回またぎで1回2/3を無失点。7回2死一塁から登板した石井大智投手(28)も回またぎで1回1/3を無失点。最後は守護神岩崎優投手(34)がきっちり締めた。阪神はあと2勝で2年ぶりの日本シリーズ進出が決まる。

◆阪神石井大智投手(28)がポストシーズンでも連続無失点を9試合連続に伸ばした。7回2死一塁で2番手及川からバトン。牧には左前打を許し一、三塁にピンチは広がったが、代打フォードを直球で空振りの三振に打ち取った。レギュラーシーズンの5月23日中日戦以来の回またぎで8回も登板。3者凡退でDeNAの反撃機会を断ち切った。石井は今季NPB新記録の50試合連続無失点のままシーズンを終えていた。

◆阪神佐藤輝明内野手(26)に一瞬ヒヤリとするアクシデントが起きた。2-0で迎えた8回、先頭の森下が四球で出塁すると、続く佐藤輝が併殺崩れで入れ替わる形で一塁へ。ここでDeNA佐々木のけん制球が、一塁へ頭から戻った佐藤輝の右脇腹付近を直撃した。佐藤輝は痛みに顔をゆがめ、グラウンドにあおむけに転がった。球場は一瞬どよめくも、その後問題ない様子でプレーを続行した。

◆試合の責任審判(クルーチーフ)は左翼の「外審」真鍋勝已(57)が務めた。レギュラーシーズンでは審判4人制だが、CS、日本シリーズでは全試合が6人制。左翼と右翼のライン近くに「外審」がつく。試合の責任審判はキャリア、役職が上位の審判が務めることが基本で、外審でも関係なく指名された。序盤から両軍のリクエストがあったが、判定結果を場内に伝えたのはともに真鍋。左翼から映像を確認する部屋まで、長い距離を走って往復した。ちなみに真鍋は阪神OB。87年から91年まで投手、外野手としてプレー。引退後、審判の道に進んだ。

◆セ・リーグ王者の阪神が完封勝ちで初戦を制し、アドバンテージを加えて2勝とした。また、ソフトバンクは延長サヨナラ勝ちでアドバンテージを含め2勝0敗とした。16日に勝利すれば早くも2年連続の日本シリーズ進出に王手がかかる。阪神とソフトバンクが勝ち、アドバンテージの1勝を含め対戦成績2勝0敗。日本シリーズ出場をかけたプレーオフ、CSで2勝0敗は過去31度あり、30度が進出。突破率97%と断然有利になった。敗退したのは17年広島(対DeNA)だけで、パ・リーグでは20度全て進出の100%。

◆DeNA先発の東克樹投手(29)は「調子は良かったと思いますが、先に先制点を与えてしまいチームに勢いをつけることができませんでした」と悔恨極まった。5回まで2安打無失点。6回に先頭の阪神近本に内野安打を許すと、踏ん張れず6回途中2失点で降板した。上半身のコンディション不良で9月26日巨人戦以来の実戦で奮闘したが「(阪神のアドバンテージ1勝を含め)1勝1敗にすることでチームも勢いにさらに乗る」との願いはかなわなかった。

◆阪神近本光司外野手(30)が足を生かして先制点に貢献した。0-0の6回先頭で三遊間への打球を放ち、快足を飛ばして一塁セーフをもぎ取った。犠打で二塁に進むと、森下翔太外野手(25)への初球、左腕・東克樹投手(29)の背後で完全にモーションを盗む好スタート。場内から大歓声が上がったが、東は気づかず本塁に投球し、余裕の三盗に成功した。DeNAは前進守備。森下は痛烈な打球を中前にはじき返して、先制の1点を奪った。近本が6回に三盗を決め、CSで通算6盗塁。プレーオフ、CSの通算盗塁は西岡(ロッテ)の12盗塁が最多で、セ・リーグでは荒木(中日)の6盗塁に並ぶ最多タイ。また、CSでの三盗は24年ファイナルS<4>戦の増田大(巨人)以来で、阪神では初めて。日本シリーズでも62年<1>戦の並木だけで、ポストシーズンでは球団63年ぶりだった。

◆阪神森下翔太外野手(25)が先制点をたたき出した。0-0の6回。内野安打、犠打、盗塁の近本光司外野手(30)を三塁に置いて、東克樹投手(29)の甘いシュートをとらえて火の出るようなセンター返し。大歓声の中、一塁に走りながら何度もこぶしを握りしめた。昨年までCS通算打率3割8分9厘と短期決戦に強い。昨年はCSファーストステージ第2戦で先制ソロを放ったが、逆転負けで敗退。同じ甲子園でDeNAへのリベンジを誓っていた。

◆一瞬の隙が悔やまれる。両軍無得点の6回、DeNA東克樹投手(29)が1死二塁のピンチを招いた。ベンチはタイムをとって大原チーフ投手コーチがマウンドへ。捕手の山本もジェスチャーで警戒度を高めた...はずだった。しかし、直後の森下への初球、東は二走の近本に完全にモーションを盗まれて三盗を許した。三浦監督は「徹底させられなかったのはベンチの責任」と背負い、大原コーチも「けん制だったり何かしら必要だった。ベンチ含めて反省すべきところ」と悔やんだ。東は振り返る。「(三盗の)意識はありましたけど、初球からしてくるとは思ってなかった。意表をつかれたかなと思います」。そのまま1死三塁から森下に前進守備の内野を抜ける先制適時打を許し、これが決勝点となった。さらに1死一、三塁から、三塁へのゴロを筒香が好捕して三本間で三走の森下を挟むも、粘られた。一走の佐藤輝に三塁まで進塁され、その流れで小野寺に右前へのポテンヒットを浴びて2点目を失った。東は捉えられた当たりは森下の2安打のみだったが、6回途中6安打2失点でリーグ王者・阪神を抑えきれず。「阪神の勝負強さが出たのかなと思います」と悔しがった。完全アウェーの甲子園で出ばなをくじかれる1敗。アドバンテージをあわせて0勝2敗となった。「内容どうこうより勝たないといけない試合だった」と言葉を絞り出した指揮官。勝利のために全神経を研ぎ澄ませる。【小早川宗一郎】▽DeNA桑原(3安打も悔いるのは初回の犠打失敗)「終わってみればあそこが痛かった。村上君は初回の立ち上がり慎重に丁寧に投げてるなと思ったので」

◆DeNAは完封負けを喫し、CSファイナルステージの初戦を落とした。三浦大輔監督(51)は「内容どうこうより、勝たないといけない試合だった。東はよく粘りながら投げていた」と振り返った。最多勝を分け合った両チームの先発が、初回からスコアボードに0を並べた。DeNA東克樹投手(29)は打線の援護がない中で、5回まで無失点の粘投も、6回に試合が動いた。1死二塁から近本に三盗を許し、1死三塁。森下に先制の適時打を許した。なおも2死一、三塁から小野寺に適時打を浴び、2失点目。東は6回途中で無念の降板となり「調子は良かったと思いますが、先に先制点を与えてしまいチームに勢いをつけることができませんでした」とコメントした。打線は初回から何度も得点圏に走者を進めるも、好機を生かせず。阪神投手陣を前に、あと1本が出なかった。三浦監督は「押してたんですけどね、最後押し切れなかった。チャンスを作ってたんですけど、なかなか点を取らせてもらえなかった」と唇をかんだ。

◆阪神近本光司外野手(30)が、自慢の足で東攻略に大きく貢献した。0-0の6回1死二塁。二塁走者として、3番森下の初球に走った。投球モーションを盗み、虚を突かれた捕手の送球すら許さない完璧な三盗。好機を広げ、直後に森下の中前適時打で先制決勝のホームを踏んだ。東のリズムを崩した"チカの一刺し"は効果てきめんだった。「勇気が必要でした。盗塁とか走塁は流れが変わるものなので、そういう走塁ができたらいいなと思いながら」本領を発揮した今季の盗塁王は、その直前の打席も足で魅せた。回の先頭で146キロ速球を捉えた打球は三遊間へ。逆シングルから目いっぱいの送球が一塁へ送られた中、快足を飛ばしてセーフをもぎ取った。先発東は今季7打席で対戦し、無安打に抑え込まれていた。この試合でも初回から2打席凡退していたが、特長を生かす泥臭いヒットでKOへの突破口を開いた。「先頭で、流れ的にも向こうがどんどん押してる流れだったので。結果的にそれが点につながったのでよかったです」今季、138試合で「1番中堅」を務め、リーグ制覇を引っ張ったリードオフマン。CSでも自身の出塁から好機を広げる必勝得点パターンで、大きな1勝を呼び込んだ。「(初戦勝利は)めちゃくちゃでかいと思いますよ。でも、そのでかさは(ステージ)突破してから分かることだし、また明日も試合なので。全員で楽しくやっていけたら」シーズン通りの戦い方を貫いて、あと2つ勝利を重ねる。【波部俊之介】近本が6回に三盗を決め、CSで通算6盗塁。プレーオフ、CSの通算盗塁は西岡(ロッテ)の12盗塁が最多で、セ・リーグでは荒木(中日)の6盗塁に並ぶ最多タイ。また、CSでの三盗は24年ファイナルS<4>戦の増田大(巨人)以来で、阪神では初めて。日本シリーズでも62年<1>戦の並木だけで、ポストシーズンでは球団63年ぶりだった。▽阪神筒井外野守備走塁チーフコーチ(近本の三盗に)「あれでちょっと流れ変わったと思うんでね。ああいった準備を、これからも引き続きやります。近本がよく頑張ったなと思います」

◆阪神及川雅貴投手(24)が横浜高の先輩斬りでポストシーズン初白星を手にした。0-0の6回から先発村上からバトン。6回を無失点で切り抜けると、7回1死一塁から筒香を141キロのカットボールで見逃し三振に仕留めた。「シーズンで対戦がなかったので、(投手に)アドバンテージがあって有利だった。どんどん勝負していけた」。絶好調の先輩を抑え、石井にバトンをつないだ。CS登板は4年ぶり。今季日本記録の18試合連続ホールドをマークした成長を大舞台でも発揮した。

◆DeNAは阪神に敗れ、CSファイナルステージの初戦を落とした。左手親指の靱帯(じんたい)手術から復帰し、CSファーストステージから戦線に戻った主将の牧秀悟内野手(27)は「5番一塁」でスタメン出場。4打数1安打も好機で1本が出なかったことを悔い、「自分を含めてチャンスで打てなかったところが、今日勝てなかったところなのかなと思います」と振り返った。それでもチームの安打数は相手を上回り、3者凡退で終わったイニングは8回と9回のみ。牧は「回の先頭が出塁する場面が多かったので、相手にはプレッシャーがかかっている。明日は自分が打てばいいですし、打てなくても次のバッターに回せるように工夫しながら打席に立ちたいと思います」と主将らしく前を向き、2戦目を見据えた。

◆阪神村上頌樹投手(27)が粘ってほえた。大事なCSファイナル初戦の先発。毎回走者を背負って103球を要したが、本塁は踏ませない。5回5安打無失点。「初戦だったので慎重にいきすぎたところもありましたけど、そういう部分でも5回でしたけど0で帰ってこられたのはよかった」。勝利を呼び込んで会心の笑顔をみせた。再三のピンチも気迫の投球で切り抜けた。初回は四球や失策も絡み、23球を要したが最後は山本を三ゴロに打ち取り無失点。3回には1死一、二塁から牧と山本を連続で空振り三振に仕留めて雄たけびをあげた。5回にも1死一、二塁を招いたが、再び牧と山本を連続で三ゴロに仕留めてガッツポーズ。「(1勝1敗の)タイになるのか2勝になるのかは本当に違うと思うので、まず頭を取れるように」。そう意気込んでいた3冠右腕が、有言実行を果たした。【林亮佑】

◆阪神熊谷敬宥内野手(29)が初回の失策を猛省した。8番遊撃でポストシーズン初先発したが、2死一、二塁でDeNA牧の打球をファンブル。拾って送球したが打者走者はセーフに。藤川監督がリプレー検証を要求も判定は覆らず、2死満塁にピンチが広がった。村上が無失点で切り抜けると、その後は堅守で投手陣を支え、試合を終わらせる打球(佐野の遊邪飛)もスライディング好捕した。「初回、僕がしっかり捕っておけばリズムよくもっといけたと思う」と引き締めていた。▽阪神中川(プロ4年目でCSに初出場し第2打席で初安打の右前打)「うれしかったです。自分の結果というより、出塁するとか後ろにつなぐとかが大事になってきますね」

◆眼光鋭く戦況を見つめていた阪神藤川球児監督(45)が、一気にはじけるような笑顔に変わった。「タイガースらしく全員でやると。そこに尽きる」。自身が途中起用した"ラッキーボーイ"が、見事に応えて貴重な追加点。一塁ベース上で喜ぶ姿をベンチから指さし、感情をあらわにした。6回に森下の適時打で1点を先制し、なおも2死一、三塁。絶好機で打席に立ったのは、途中出場した小野寺暖外野手(27)だ。カウント3-1から、DeNA東の130キロチェンジアップをしっかりミート。右前に弾む2点目の適時打で、好投を続けていた相手エースをノックアウトした。初采配のCSで迷わず積極采配をふるった。「6番左翼」に抜てきしたのは、ポストシーズン初出場の高卒4年目の中川勇斗捕手(21)。1軍通算15安打と実績のない若虎を、臆せず送り込んだ。その心意気に応えるかのように、2回の第1打席は相手遊撃の失策を誘い出塁。先頭で迎えた5回の第2打席で、右前打を放った。ここで指揮官が代走に送ったのが、小野寺だった。投手戦が続く中で、指揮官は早くも勝負に出た。この回は5回0封の村上に代えて代打ヘルナンデスも出したが、得点にはつながらず。それでも、回ってきた次の好機がピタリとはまり、小野寺が見事に仕事を果たした。レギュラーシーズン19試合出場の小野寺にとって、これが今季初適時打。前日は2軍のSGLで練習を行っていたが、この日1軍に再合流。「僕らしい汚い間に落ちるヒットだと思います」。与えられたチャンスで、泥臭く、必死に結果を残した。指揮官は「タイガースらしい」と繰り返した。「チーム全員の力というか。やっぱり集中力が非常に高いですから。このあたりはタイガースの野球という感じですね」。この日登録した26人だけでなく、全員が戦力。アドバンテージを含む2勝とし、先手を取った。【磯綾乃】

◆阪神石井大智投手(28)がポストシーズンでも無失点を継続した。2点リードの7回2死一塁で登板。牧に左前打で好機を広げられたが、直後の代打フォードを空振り三振に仕留めた。続く8回もまたいで3者凡退。今季日本新の50試合連続無失点記録をつくった右腕は、ポストシーズンでも23年から9試合連続無失点だ。「たくさんの本当に大きな声援をいただきながら。牧選手にいいバッティングをされたけど、その後しっかり抑えられて、ゼロを重ねられて良かった」と笑顔だった。

◆阪神の守護神岩崎優投手(34)が3人で9回を締めた。先頭の好調DeNA蝦名はチェンジアップを4球続けて空振り三振。「先頭を取れたので。いいプレーをしていた選手だったので」。自らペースをつくると、続く桑原も空振り三振。最後は佐野を直球で遊邪飛に打ち取った。わずか13球で仕事を完了してセーブもマーク。「いつものようにタイガースらしい試合というか。取れたと思うので、また明日頑張ります」と引き締めていた。

◆阪神坂本誠志郎捕手(31)が村上の粘投をアシストした。村上は5中、4イニングで先頭を出す展開。だが坂本も懸命のリードで引っ張り、初回1死一塁では佐野の即飛球に反応し、フェンスに体をぶつけながら好捕した。「初戦の入りは誰がいっても難しい。頌樹が粘ったのがすごい大きかった。初戦の入りでしっかり粘ってくれたので今後につながると思います」と村上をたたえた。

◆阪神4番佐藤輝明内野手(26)がつなぎの一打を放った。6回1死一塁。DeNA東のスライダーにバットを折られながらも中前に運んだ。「いいところに落ちてくれたと思います」。続く大山の三ゴロで三塁走者の森下が挟殺されたが、一瞬の好判断で三塁へ進塁。小野寺の右前適時打で2点目のホームを踏んだ。快勝発進に「しっかり準備して、(明日も)頑張ります」と気合十分。一気の"3連勝"を目指す。

◆DeNAは好機を逃し続け、1点が遠かった。桑原が「村上君は初回の立ち上がり慎重に丁寧に投げてるなと思った」と感じた1回。四球、失策が絡み2死満塁を作ったが先制点を奪えない。得点圏で3度凡退の牧は「相手もリズムに乗ってしまいますし、チームにいいリズムを持ってこられなかったので、そこが今日の敗因」。同じく得点圏で3度凡退の山本は「自分にすごく腹が立ちます。ボール球を振って自分を苦しめているだけ」と怒りの矢を自身に向けた。

◆DeNAが阪神に完封負けを喫し、ファイナルステージ初戦を落とした。山本祐大捕手(27)は「3回もチャンスで回してもらって打ててない自分にすごく腹が立ちます」と率直な気持ちを吐露した。ここまでのCS3試合すべてに「6番捕手」として先発出場も、11打数1安打。試合後には、NHKBSで解説を務めた元ヤクルトの宮本慎也氏(54=日刊スポーツ評論家)が「もうちょっと後ろで捕手として集中できるようにっていうところに(打順を)動かした方がいいかもしれませんね」と山本の打順について言及した。山本は「ボール球振って自分を苦しめているだけなので、甘い球を仕留める準備をしたい。今から特別うまくなる、急激にうまくなることはないと思うのでやれることやリながら明日を待ちたいです」と前を向いた。

◆じっと戦況を見つめていた阪神藤川球児監督(45)が、感情を爆発させた。「タイガースらしく全員でやると。そこに尽きる」。自身が起用した選手が、初戦の快勝発進を呼ぶ"ラッキーボーイ"になった。6回に森下の適時打で1点を先制し、なおも2死一、三塁。打席に立ったのは、途中出場の小野寺暖外野手(27)だ。カウント3-1からDeNA東の130キロチェンジアップに食らいついた。右前に弾む2点目の適時打で、相手エースをKO。「僕らしい、汚い間に落ちるヒットだと思います」。一塁上で両手を上げて喜ぶ姿に、指揮官もベンチからの指さしで応えた。CS初采配で初勝利。迷わずふるった積極采配が的中した。「6番左翼」に抜てきしたのは高卒4年目、捕手登録ながら外野を守る中川勇斗(21)だった。今年初めて1軍のグラウンドに立ったばかりの若虎を、臆せず大舞台に送り込んだ。背番号68も期待に応え、2回の第1打席は相手失策を誘って出塁。そして先頭で迎えた5回、CS初安打となる右前打を放った。ここで代走に送ったのが小野寺だった。さらに、5回無失点の先発村上にも代打ヘルナンデスを送るなど、早々に勝負を仕掛けた。この回は得点にならなかったが、回った次の好機で小野寺がピタリとはまった。今季シーズン19試合出場で打点0だった小野寺にとって、これが25年の初適時打。「ポストシーズンはどういう出番がくるか分からないので、代走も守備も代打も、すべて準備して試合に入っていました」。待っていたチャンスを必死にものにし、お立ち台で宣言した。「1年間、シーズン男にはなれなかったんで、シリーズ男になります!」。森下や近本、佐藤輝らの主力だけではない。起用即、次々に活躍する選手たちが頼もしい。指揮官は「チーム全員の力というか、ファンの方を含めてすごくタイガースらしいゲームになった」とうなずいた。タテジマの全員が戦力。総力戦で取った先手に大きな価値がある。【磯綾乃】

◆阪神森下翔太外野手(25)が"短期決戦の鬼"ぶりを発揮して初戦快勝に導いた。「2025 JERA クライマックスシリーズ セ」のファイナルステージ第1戦のDeNA戦(甲子園)で、0-0で迎えた6回に先発東から先制決勝タイムリー。過去2年のCSで打率3割8分9厘、23年の日本シリーズでも新人記録の7打点をマークした勝負強さをここ一番でさく裂させた。藤川阪神が1勝のアドバンテージを含めて2勝0敗とし、日本シリーズ進出に大きく前進した。火の出るような打球が二遊間を一瞬で抜けていった。一塁に走り出した森下は何度もこぶしを握り、声にならない声を上げた。「チカさんが三盗してくれて、すごく楽になりました。犠牲フライでOKの気持ちでいけました。苦しいゲームでもワンチャンスをものにできれば、タイガースの投手陣だったら勝ち切れる自信があるので」14勝で最多勝を分け合った阪神村上とDeNA東の意地のぶつかり合い。これぞCSファイナル初戦という緊迫感。0-0の6回。1死二塁の好機で打席が回ってきた。その初球、近本が完璧な三盗を決めた。相手内野陣が前進守備に変わった。「強引にならずにいけた」。東との今季対戦打率も5割ジャストの好相性。背番号1は冷静だった。生粋の野球小僧は25歳になり、チームを勝たせる仕事を突き詰めるようになった。打撃と同様にこだわるのが守備の指標。ひそかなライバルは、東海大相模時代にしのぎを削った横浜高出身の同学年、日本ハム万波だ。NPB随一の爆肩で知られるが森下も今季、スローイング数値が飛躍的に改善した。正確さ、抑止力などは万波に匹敵する12球団トップ級。右翼手として防いだ失点は数知れない。バットに比べて語られることは少ないが、走塁&守備でも有機的に動く。この日は好判断の三塁進塁や、三本間の挟殺で粘って走者を三塁に進める好走塁があった。6回の打席のように、状況に応じてやるべき仕事を胸に刻んでいる。短期決戦の鬼だ。23年の日本シリーズでは新人記録の7打点をマーク。昨年まで2年間のCS通算打率3割8分9厘もすごかったが、この日の2安打で4割2分9厘まで上げた。「自分の打席、守備、走塁にいかに自信を持って試合に臨めるか。絶対に不安を持ちながらやりたくなかった。勝利だけを一番においていた」。ここ一番の集中力は準備のたまものだ。昨年はCSファースト第2戦で先制ソロを放ったが、DeNAに2連敗して敗退した。同じ甲子園で悔しさを晴らすつもりでいる。アドバンテージの1勝を含めて2勝0敗とし、2年ぶり日本シリーズまであと2勝と前進した。「アドバンテージを生かせるのは今日勝つことだった。この勢いのままやっていきたい」。9月7日の史上最速優勝から38日、2日のシーズン最終戦から13日。心配されたブランクもなんの。背番号1の会心の一撃で、王者阪神が走り出した。【柏原誠】

◆阪神はDeNAを迎える決戦を前に、甲子園で試合前練習を行った。計35人が参加し、投手はキャッチボールなど、野手はフリー打撃などでおのおのに調整し、森下翔太外野手(25)は右翼のポジションでノックも受け、ノッカーを務めた筒井壮外野守備兼走塁チーフコーチ(50)とは季節柄、普段の浜風とは異なる吹き方をする秋風の流れなどを確認。同コーチから飛球の流れ方などを尋ねられた森下は「新しい風です」と答えるなど、自然の変化に対応するための準備も整えた。

◆阪神がCSの出場選手26人を登録した。投手3冠を獲得して初陣を任された村上頌樹投手(26)や、本塁打、打点の2冠に輝いた佐藤輝明内野手(26)ら主力がそろって登録された。シーズンでは17試合に先発したドラフト1位ルーキーの伊原陵人投手(25)は中継ぎでのベンチ入りとなった。この日の試合前練習に参加していた選手では、16日以降の先発投手のほか、工藤、糸原、島田、豊田の4選手が登録されなかった。

◆阪神が2年ぶりの日本一を目指す戦いが始まる。初戦を任されたのは、最多勝、最優秀防御率、最多奪三振の3冠に輝いた村上頌樹投手(27)。エースとして、初戦の白星を呼び込む。好左腕のDeNA・東攻略へ、中川勇斗捕手(21)が「6番・左翼」、熊谷敬宥内野手(29)の右打者2人がスタメンに抜擢(ばってき)された。

◆16日の第2戦に先発する阪神・才木浩人投手(26)は甲子園の試合前練習に参加。キャッチボールなどで汗を流した。「ちょっとずつ試合の雰囲気が出てきている。昨日(14日)、監督も言っていたように、楽しんでいけたらいいんじゃないかなと思いますし、今すごくいい緊張感に入れていると思います」レギュラーシーズンでは、村上とのダブルエースとしてチームをけん引した。24試合に先発し、12勝(6敗)、防御率1・55。自身初タイトルとなる最優秀防御率を獲得した。8日のフェニックスリーグ・西武戦(南郷)でも6回無安打無失点と快投し、順調な調整ぶりを披露した。才木自身、DeNAとは今季5度対戦し、2勝(1敗)、防御率1・82。7月26日の15回戦(甲子園)では完封勝利を収めた。巨人とのファーストステージ第2戦では、逆転サヨナラ勝利でファイナルステージ進出を決め、勢いに乗る相手だが、「(DeNAと巨人の)どっちが上がってきても自分はよかった。別に構える必要はないと思いますし、リーグ優勝して、チャンピオンになっているのは自分たちなので、受けて立つくらいの気持ちでいいかなと思う」と頼もしく意気込んだ。

◆DeNAのドラフト1位・竹田祐投手(26)=三菱重工West=が、16日の第2戦に先発する。キャッチボールやダッシュで調整し「気持ちで負けたら、どんどん押されると思う。気持ちを強く持ってマウンドに立ち続けるということは、ぶれずにやっていきたい」と気合を入れた。8月にデビューした今季は6試合で4勝1敗、防御率1・69。9月20日に阪神と初対戦し、7回1失点の好投で勝利投手となった。「(相手は)優勝が決まった状態だった。明日はガチガチにやってくると思うので、作戦面や打者の反応を見て投げていければいい」と気を引き締めた。

◆阪神の先発・村上頌樹投手(27)は一回にピンチを背負うも、佐藤輝明内野手(26)の好プレーで無失点で切り抜けた。先頭の蝦名に安打を許したが、桑原のバントを自ら二塁で封殺。佐野は捕邪飛に打ち取って難なく2死までこぎつけた。しかしここから筒香を四球で歩かせ、牧も味方の失策で2死満塁に。山本には2-1とバッティングカウントから直球を三塁線へ強い当たりを許したが、佐藤輝が膝をつきながら逆シングルでキャッチ。そのまま一塁へストライク送球でファインプレーを完成させ、立ち上がりの失点を許さなかった。

◆阪神の先発・村上頌樹投手(27)が気迫のこもった投球でゼロを重ねた。0-0の四回、先頭の石上に内野安打とされ、この日3度目となる先頭打者の出塁を許す。それでも慌てることなく、林を空振り三振で1アウト。東の犠打で2死二塁と得点圏のピンチを背負ったが、蝦名からフォークで空振り三振を奪い、マウンド上で大きく吠えた。初戦を任されたエースとして、四回まで5つの三振を奪う好投を続けている。

◆阪神・森下翔太外野手(25)が四回に待望のチーム初安打を放った。好投を続ける東の145キロシュートをとらえた。打球は中前で弾み、阪神ファンは大歓声。レギュラーシーズンで今季東との対戦打率・500(6打数3安打)と好相性を誇っていた3番打者がデータ通りの快音を響かせた。森下に続きたい阪神打線だったが、四回1死一塁から4番・佐藤輝は、見逃し三振。大山も三ゴロに倒れた。

◆阪神の先発・村上頌樹投手(27)は五回に招いたピンチをなんとか切り抜けた。先頭の桑原に三遊間を破られて、この日4度目の先頭打者への安打を許す。続く佐野は投ゴロに打ち取ったが、筒香に右前に運ばれた。1死一、二塁で迎えた5番・牧は三ゴロ。併殺崩れで2死一、三塁となるも山本は外角低めのカーブを引っかけさせて三ゴロに打ち取った。村上はアウトを確認すると、マウンド上で大きく吠え、右手でガッツポーズ。重要な初戦を任されたエースは、序盤から何度も窮地を迎えながら要所を締めるピッチングを見せている。

◆阪神は五回にこの試合初めて得点圏に走者を進めるも、代打で登場したラモン・ヘルナンデス内野手(29)は空振り三振に倒れ、先制点を奪えなかった。先頭・中川がこの日チーム2本目の安打となる右前打で出塁。代走に小野寺が送られた。続く坂本が見事に送りバントを決めて1死二塁の好機を作る。この試合初めてのチャンスにスタンドは大熱狂。しかし、熊谷が三ゴロ、代打・ヘルナンデスは外角低めのチェンジアップを振らされて空振り三振に斬られた。猛虎打線はDeNAの先発・東に対して五回までわずか2安打に封じられている。

◆阪神の先発・村上頌樹投手(27)は5回無失点で降板となった。5イニングのうち4イニングで先頭に出塁を許して再三ピンチを招きながらも、エースの力を見せた。一回2死満塁では佐藤輝の好プレーで山本を三ゴロに打ち取ると、三回1死一、二塁では牧、山本を連続三振。五回も2死一、三塁で再び山本を三ゴロに打ち取り、気迫でホームを踏ませなかった。5回103球、5安打5奪三振と踏ん張り、五回の打席で代打が送られてお役御免。しっかりと試合を作り、救援陣に託した。阪神・村上 「丁寧にという気持ちが強く慎重になりすぎてしまい、球数が多くなってしまいました。ランナーも出しながらでしたが0点で粘れたところはよかったです。みんなでこの試合を取れるように応援します」

◆阪神・森下翔太外野手(25)が「3番・右翼」で出場。六回に先制タイムリーを放った。先頭の近本が自慢の快足を飛ばして遊撃への内野安打で出塁。中野が完璧な犠打で送り、1死二塁で森下に打席が回ってきた。その初球、二走の近本が三盗を狙うと、不意を突かれたDeNAの捕手・山本は三塁に投げられず1死三塁に。この絶好機を逃すまいと、森下が3球目の変化球を中前にはじき返し、貴重な先制点を奪った。森下は第2打席にも中前打を放っており、この適時打が2本目の安打。今季のレギュラーシーズンで東との対戦打率・500(6打数3安打)と好相性を誇っていた若き主砲が、短期決戦でもキラーぶりを見せつけた。その後、2死一、三塁とチャンスを広げると、五回から代走で途中出場した小野寺暖外野手(27)がこの日初めての打席で右前への適時打を放ち、貴重な2点目を奪った。

◆DeNAの先発・東克樹投手(29)が六回途中2失点で降板した。五回まで無失点の快投を見せたが、六回に阪神打線に捕まった。無死から1番・近本が遊撃内野安打で出塁すると、続く中野が送りバント。3番・森下の打席で近本に意表を突かれる三盗を決められると、その後、森下に先制の中前適時打を許した。さらに佐藤輝に中前打でつながれると、2死とした後、小野寺に右前にしぶとく運ばれて2失点目。三浦監督から交代を告げられた。

◆左翼席の一角からDeNAファンが声を張り上げた。横浜スタジアムで行われたCSファーストステージは左翼の通常ビジター席がホーム席となり360度が青に染まったが、甲子園は一転して圧倒的なアウェー。三浦監督は試合前日に「(雰囲気が)逆転することになる。でも、たくさんのファンの方々が応援してくれていますから」と言い切った。横浜スタジアムでは、ファイナルステージに合わせてパブリックビューイングが実施される。入場無料で内野スタンドを開放。飲食物の販売もあり、球団マスコットのDB.スターマンらも駆け付ける。現地に足を運べないファンを思ってのイベント開催なのだろう。「全国にDeNAを応援してくれるファンがいますから。その人たちと一緒に戦っていきます」と指揮官。その声は確かに届いている。(慎)

◆DeNAの先発・東克樹投手(29)が六回途中2失点で降板した。五回まで無失点の快投を見せたが、六回に阪神打線に捕まった。無死から1番・近本が遊撃内野安打で出塁すると、続く中野が送りバント。3番・森下の打席で近本に意表を突かれる三盗を決められると、その後、森下に先制の中前適時打を許した。さらに佐藤輝に中前打でつながれると、2死とした後、小野寺に右前にしぶとく運ばれて2失点目。ここでマウンドを降り、「調子は良かったと思いますが、先に先制点を与えてしまいチームに勢いをつけることができませんでした。この後もチームが逆転勝利できるようにやれる事をしていきます」とコメントした。

◆DeNAが拙攻に泣き初戦を落とした。初回から七回までに6度得点圏に走者を置いたが、あと1本が出ず。好投するエースの東を援護できなかった。東は五回まで無失点も六回に阪神の上位打線につかまり、六回途中2失点で降板。反撃したいDeNA打線だったが、その後も阪神の中継ぎ陣の前に沈黙した。アドバンテージを含めて阪神が2勝。DeNAはあす16日、ルーキーの竹田が先発する。

◆レギュラーシーズンを制した阪神が2位のDeNAに先勝。アドバンテージを含め2勝とした。先発した村上頌樹投手(27)は、幾度も窮地を招きながら5回103球を投げて5安打無失点と粘投。5イニングのうち4イニングで先頭に出塁を許し、二回以外は得点圏に走者を置いたが、要所を締める投球でホームを踏ませなかった。六回以降は、及川、石井、岩崎の無失点リレー。12球団随一の鉄壁ブルペン陣が短期決戦でも力を発揮した。打線は相手先発・東に五回までわずか2安打と苦しんだが、六回に火を噴いた。近本光司外野手(30)が1死二塁で三盗を決めると、森下翔太外野手(25)が中前への適時打を放ち先制。さらに、五回から代走で途中出場した小野寺暖外野手(27)の右前への適時打で貴重な2点目を奪った。

◆DeNAが拙攻に泣き初戦を落とした。初回から七回までに6度得点圏に走者を置いたが、あと1本が出ず。好投するエースの東を援護できなかった。アドバンテージを含めて阪神が2勝。DeNAは16日、ルーキーの竹田が先発する。

◆ゼロ封で先勝した阪神がアドバンテージを含み、2勝0敗とした。六回、東克樹投手(29)から内野安打で出塁した近本光司外野手(30)が犠打で二進後、森下翔太外野手(25)への初球に三盗成功。森下が前進守備の二遊間を破って先制。さらに2死一、三塁で途中出場の小野寺暖外野手(28)が右前に運んで、2点目を加えた。5回降板の村上頌樹投手(27)は二回を除いて得点圏に走者を背負いながらも、無失点でしのいだ。2番手及川雅貴投手(24)が勝利投手。七回途中から石井大智(28)、岩崎優(34)の両投手がつないだ。

◆DeNAは打線が好機を生かせなかった。「5番・一塁」で先発した主将の牧は「自分含めてチャンスで回ってくることが多かったが、やっぱり先制点(が欲しい)という所で打てなかったことが、きょう勝てなかった所」と肩を落とした。七回までに6イニングで得点圏に走者を置いたが、1本が出なかった。牧自身も一、三、五回と3度にわたり一、二塁で回ってきたが、タイムリーが出なかった。2点を追う七回こそ2死一塁から左前打でポストシーズン2安打目を放ち反撃のムードを作ったが、続く代打・フォードは空振り三振。阪神の強力リリーフ陣の前に苦しんだ。牧は「3回待ってきたところで1本も結果を出せなかった。やっぱり相手もリズムに乗ってしまうし、チームにもいいリズムを持ってこれなかった。そこがきょうは本当に敗因」と語り、「なんとか次は打てるように明日やっていきたい」と視線を前に向けた。

◆DeNAは15日、ローワン・ウィック投手(32)がカナダに帰国したと発表した。ウィックは球団を通じ「まずはこの2年間、ベイスターズのユニホームを着る機会をいただけたことに心から感謝しています。横浜スタジアムで僕の名前を叫んでくれたファンの皆さん、本当に愛を感じました。そして僕も皆さんのことが大好きです」とコメントした。来日2年目の今季は40試合で4勝1敗5セーブ、防御率0・84。9月下旬に上半身のコンディション不良で離脱し、ポストシーズンでの復帰はかなわなかった。「毎日努力を重ねてくれたチームメート、コーチ、トレーナー、スタッフの皆さん、本当にありがとうございました」と感謝を示した。

◆?レギュラーシーズン1位の阪神が第1戦に勝利。アドバンテージの1勝を含めて対戦成績を2勝0敗とした。日本シリーズ出場をかけたプレーオフ、CSで2勝0敗となったケースは過去31度のうち、日本シリーズに進出したのが30度。逃したのは2017年の広島だけで、突破率は96・8%。?阪神のCSでの無失点勝利は14年ファーストステージ(S)第1戦(○1-0広島)、17年ファーストS1戦(○2-0DeNA)、22年ファーストS第1戦(○2-0DeNA)に次いで3年ぶり4度目。そのうち3度がDeNA戦で、スコアも同じ2-0。?救援の及川が勝利投手。阪神の投手のCSで年少勝利で、及川の24歳5カ月は14年ファイナルS第1戦の藤浪晋太郎(先発)の20歳6カ月、23年ファイナルS第3戦の桐敷拓馬(救援)の24歳4カ月に次ぐ年少3番目。

◆現役時代は南海、西武に所属し、引退後は西武、ダイエー、阪神の3球団でヘッドコーチを務めたサンケイスポーツ専属評論家・黒田正宏氏(77)は、DeNA打線に決定打を許さなかった阪神・村上頌樹投手(27)、藤川球児監督(45)の短期決戦仕様の継投について言及した。絶好調で乗り込んできたDeNA打線をどう止めるかが、このシリーズの行方を左右するとみていたが、村上がその大役を見事にこなした。毎回のようにピンチを招いたが、それはDeNA打線の状態が素晴らしいから。それでも、決定打を許さないのがエースの真骨頂。ピンチで迎えた打者に対して、切れのいいストレートと絶妙の変化のチェンジアップで抑え切った。対策も明確だった。最もマークする筒香には、際どいコースを攻め続けた。2四球は逃げたのではなくギリギリを攻めた結果だから、それはバックにも伝わったはず。筒香に出塁されても、3番・佐野、5番・牧は完全に封じた。打線を寸断したことが勝利に直結したといえる。藤川監督の短期決戦用の継投も見事だった。村上を五回で降ろして、どうつなぐのかと注目したが、及川、石井の2人にイニングをまたがせた。初戦を一番いい投手の継投で取りにいく。救援陣の駒が豊富だからこそできる継投だ。多人数の小刻み継投をしなかったおかげで、2戦目以降は投げなかった投手が万全の状態で登板できる。収穫だらけの初戦になった。

◆DeNAが阪神投手陣の前に零封負けを喫した。得点圏に再三走者を置きながらも、あと1本が出なかった。「2番・中堅」で先発した桑原将志外野手(32)は3安打と気を吐きながらも険しい表情。一回に無死1塁から送りバントを失敗したことを悔やみ、「(3安打)打ったことは気にしていない。やっぱり初回のバントをしっかり決めないと。終わってみればあそこが痛かったなと思う。得点圏に進められたら、なんか攻略の糸口があったかなと思った」と振り返った。

◆DeNAは相手の三盗を起点に先制点を奪われた。0-0の六回1死二塁。二塁走者の近本は、森下の1球目に隙を突いて東のモーションを盗んだ。東が「意識はあったけど、初球からしてくるとは思っていなかった。意表を突かれた」と明かせば、警戒しながら送球できなかった捕手の山本は「その中でいいスタートを切られたのは、やりようがあった」と反省した。好機を広げられた東は、森下に浮いた速球を中前にはじき返され、先制点を許した。打ち取った当たりが安打になる不運も重なり六回途中6安打2失点で敗戦投手となった。三浦監督は「徹底させられなかった。こっちのミス」とバッテリーを責めなかった。

◆勢いを携えて甲子園に乗り込んできたDeNA打線を、いきなりの執念継投でピタッと止めた。またがせて、さらにまたがせて、会心の零封勝利だ。この一戦は絶対に取るんだという気迫が、阪神・藤川監督のタクトに乗り移った。「チーム全員の力というか、ファンの方を含めて、すごくタイガースらしいゲームになったと思います。やっぱり集中力が非常に高いですから。この辺りはタイガースの野球という感じですね」全幅の信頼を寄せてファイナルステージ開幕のマウンドを託した村上が、多くの球数を要しながらも5回零封と粘ってくれた。あとは、指揮官の腕で白星を持ってくるだけだった。六回から及川を投入すると、直後に攻撃陣が2点を先制。さらなる継投に入るのかと思いきや、6月以来の回またぎを命じた。及川も見事に応える。先頭・桑原に中前打を許しながらも佐野、そして横浜高の大先輩・筒香と左打者2人から連続三振を奪ってみせた。2死となったところで、将はまたベンチを立つ。ここで、レギュラーシーズンを世界新記録の50試合連続無失点で終えた石井を投入した。牧に左前打を浴び一、三塁とされるが、ここからがこの無失点男の強さ。代打フォードを150キロ直球で三振に仕留め、切り抜けた。石井もイニングをまたいで八回も三者凡退に仕留め、九回の守護神・岩崎へとスムーズにつないで逃げ切った。「またあした(16日)も同じように戦うのみですね。またあしたですね。頑張ります」言葉こそいつも通りだったが、2人の回またぎに、この日に懸けるすべての思いが表れていた。全員が同じ方向を向き、会心の一勝だ。(須藤佳裕)

◆DeNA・山本が悔しさをかみしめた。一、三、五回といずれも得点圏で打順が回ってきたが、いずれも凡退。七回には2死一、三塁のチャンスで代打フォードが送られベンチに下がった(結果は空振り三振)。「3回もチャンスで回してもらって、打てない自分にすごく腹が立ちます」と唇をかんだ。六回には1死から二塁走者の近本に三盗を許して先制点に?がった。昨季ゴールデングラブとベストナインを獲得した扇の要は、「警戒している中、そういうジェスチャーも送りあっていた。その中でいいスタートを切られてしまうのは、やりようがあると思う」と振り返った。昨年は9月の死球による右尺骨の骨折で出場機会がなかったポストシーズン。「まだ終わったわけじゃないんで。明日また切り替えやりたい」と必死に前を向いた。

◆意地の一打が、ここぞの場面で出た。レギュラーシーズンを0打点で終えた阪神・小野寺が、途中出場で適時打を放ち貴重な2点目を生み出した。「ハナから四球は意識せず、ストライクが来たら、すべて振るくらいのつもりで打席に立ちました。僕らしい汚い、間に落ちるヒットだと思います」森下のタイムリーで均衡を破った直後の六回2死一、三塁。カウント1―3から、5球目のフォークをしぶとく右前に運んだ。「ポストシーズンはどういう出場の仕方をするかわからないんで、代走も守備も代打もすべて準備していました」五回に中川の代走として途中出場。そのまま左翼守備に入り、大きな仕事をやってのけた。前日の14日に藤川監督が「おもしろい選手が活躍するんじゃないですか。そういう戦いだと思いますから」と語っていた中で、いきなり〝おもしろい存在〟に立候補だ。「一年間、シーズン男にはなれなかったんで、シリーズ男になります」高らかに宣言した。今季はほとんどを2軍で過ごし、19試合の出場にとどまった悔しさを、ここからぶつける。(渡辺洋次)

◆光の速さで阪神・近本がグラウンドを駆けていく。DeNAも、スタンドのファンも目を丸くした。これが虎のリードオフマン。その足が難敵・東を?き回し、勝利への道を切り開いた。「(三盗は)勇気が必要でした。盗塁や走塁は流れが変わるもの。そういう走塁ができたらいいなと思っていた」六回1死二塁。二走で迎えた好機で、相手の虚をつく好判断と俊足が光り輝いた。森下の初球でスタート。この大舞台でこの大胆な決断は「バッチリはまりました」と準備のたまもの。悠々セーフで会心の自身ポストシーズン初三盗を決め、森下の中前打で先制のホームを踏んだ。その先制劇も近本の足から。六回先頭の第3打席、東の146キロに食らいついた。三遊間深くで弾んだ打球に全力疾走。前日14日の全体練習後、「バットに当てること。それを頑張ります」と話していたリードオフマンは宣言通り、執念の遊撃内野安打で難敵左腕に風穴を開けた。犠打で二進し、そして衝撃の三盗-。己の足でもぎ取った1点に天を見上げて白い歯をこぼした。今季も32盗塁で4年連続6度目の盗塁王を戴冠した。今年11月で31歳。当然、足自体に衰えはくるが走塁技術は円熟味を増す。今季のレギュラーシーズン最終戦となった2日のヤクルト戦(甲子園)でも学びがあった。青柳から一回に二塁打を放つも三盗をためらったことに「ああいうので僕らはびびる。投げられなくても、無意識に止まっちゃう。それでもいっちゃえっていうのが、結構大事。ヤギ(青柳)さんのときにそれが分かった」。貪欲に高めてきた意識、そして準備がここ一番での三盗へとつながった。勝負のターニングポイントともいえる三盗。藤川監督は「よく分かりませんでしたね。驚いた? そうですね」と勇気ある決断を振り返った。DeNAの勢いを止め、虎を勢いづかせた切り込み隊長の足。リードオフマンは冷静に次戦を見る。「(初戦勝利は)めちゃくちゃでかいと思いますよ。でも、そのでかさは(CSを)突破してから分かること。またあしたも試合なので全員で楽しくやっていけたらなと思います」このまま日本一まで突っ走る。猛虎打線の先頭に立つ近本の足は止まらない。(原田遼太郎)

◆阪神・佐藤輝が好守で村上の窮地を救った。0―0の一回2死満塁で山本の三塁線への痛烈な当たりを膝をつきながら逆シングルでキャッチ。即座に立ち上がり、一塁へストライク送球で先制を許さなかった。「よかったですね」。先制直後の六回1死一塁ではバットを折られながらも中前打をマーク。その後の2点目につなげ「いいところに落ちてくれたと思います」とうなずいた。

◆DeNAは相手の三盗から流れを失った。先発した東克樹投手(29)が「意識はあったけど、初球からしてくるとは思っていなかった。意表を突かれた」と悔しそうに振り返ったのは、0-0の六回1死二塁だ。二塁走者の近本は、森下の1球目に隙を突いて東のモーションを盗んだ。送球できなかった捕手の山本も警戒していたというが「その中でいいスタートを切られたのは、やりようがあった」と反省。三浦監督は「徹底させられなかった。こっちのミス」とバッテリーを責めなかった。三盗で好機を広げられた東は、森下に浮いた速球を中前にはじき返され、先制点を許した。さらに打ち取った当たりが安打になる不運も重なり、六回途中6安打2失点で敗戦投手となった。上半身のコンディション不良から約3週間ぶりの復帰戦で「調子はよかった」と手応えを感じていた。丁寧な制球で四回1死まで無安打。捉えられた安打は少なかっただけに「変な感情」と気持ちの整理がつかない様子だった。打線は相手を上回る8安打を放ちながら零封負け。得点圏に再三走者を進めながら決定打を欠き、東を援護できなかった。1勝のアドバンテージがある阪神に2勝とされた。東は「負けは負け」と声を振り絞り、三浦監督は「よく粘りながら投げた」とかばった。(鈴木智紘)

◆「8番・遊撃」で先発起用された阪神・熊谷が好守で試合を締めくくった。九回2死で佐野が放った飛球はファウルゾーンへ。風に流される難しい打球に追いつき、最後は飛びながらグラブに収めた。しかし一回の牧の打球をファンブルしたことを反省。「みんなで勝ち取った勝利。しっかり捕っていれば村上ももっとリズムよく行けたと思うので、次は捕れるようにしたい」と、チームを救うプレーで恩を返す。

◆21歳の阪神・中川がポストシーズン初出場にバットで応えた。「6番・左翼」で先発。五回の第2打席で右前打を放った。「自分の結果というよりは出塁すること、つなぐことが大事になる。いい投手だったので何とか塁に出ることだけ意識しました」。高卒4年目の今季は外野守備にも挑戦し、25試合の出場で打率・268、2本塁打とブレークの兆し。ポストシーズンのラッキーボーイに名乗りを上げる。

◆阪神・岩崎は緊迫の局面でも難なくゼロで締めた。2―0の九回に4番手で登板。1番からの好打順だったが、蝦名、桑原をチェンジアップで連続三振に斬ると、佐野は熊谷の好守にも助けられ遊邪飛に打ち取った。「先頭をとれたので(よかった)。いつも通り、タイガースらしい試合ができた。明日も頑張ります」と言葉に力を込めた。

◆これが史上最速Vの強さや! プロ野球のクライマックスシリーズ(CS)はセ、パ両リーグのファイナルステージ(6試合制)が15日開幕。「2025 JERA クライマックスシリーズ セ」は2年ぶりにリーグ王者となった阪神が甲子園で、2位から勝ち上がったDeNAに2-0で先勝した。押され気味の展開で迎えた六回に、森下翔太外野手(25)が値千金の先制打。ポストシーズン(PS)にすこぶる強い男の躍動で、1勝のアドバンテージを加えて2勝とした。チームメートが、ファンが祈ったとき、いつも最高の結果を出す。森下が、またも短期決戦の初戦で虎を勢いづける一打を放ち、勝利を呼び込んだ。「近本さんが三盗を決めてくれたので、気持ちとしても一つ重心(重荷)がおりましたし『絶対に打ってやろう』と。その気持ちを強く出しながら打席に立つことができました」リーグ最多勝左腕・東の前に、四回まで二塁も踏めず。それでも3巡目で猛虎打線が牙をむき、六回1死二塁で迎えた森下の打席の初球で近本が三盗に成功した。1死三塁と舞台が整うと、カウント1-1から前進守備の二遊間を鋭く破って先制点をもたらし、ベンチに向かって力強くガッツポーズ。「打点というところにこだわりながら、このCSをやっていきたい」とうなずいた。2年前の広島とのCSファイナルステージ初戦でも本塁打でチーム初得点を生んだ。日本シリーズでは新人新記録となる7打点を記録した〝ポストシーズン男〟だ。「短期決戦は自分の中でもやりやすい。チームの勢いに乗っかりながらできた」。シーズンで両リーグトップとなる20度の決勝打を放った勝負強さを存分に発揮した。

◆DeNAの東と最多勝対決となった阪神先発の村上は、再三のピンチを招きながらも5回無失点と踏ん張り、勝利を呼び込んだ。「初戦だったのでちょっと慎重に行き過ぎたところもありましたけど、ゼロで帰ってこられたのでこういう試合になったと思う」。4イニングで得点圏に走者を背負いながらも、103球と球数をかけながら、要所では5つの三振を奪う好投。投手3冠の貫禄を見せ、初陣でエースの役割を果たした。

◆イニングの先頭打者の出塁が5度で、12残塁の無得点。CSファーストステージまでのDeNAらしい攻撃力は、どこへいったか。上位からまんべんなく安打を放っているので、3番・佐野に1本出ていれば、打線もつながったかもしれない。ただし、ここはやはり、阪神の野球に敬意を表したい。まず投手陣。先発からリリーフまで、いい投手が並んだものだ。藤川監督のイニングまたぎの継投策も、短期決戦ならではの妙手。抑えの左腕・岩崎も完璧な締めくくり方。真っすぐと変わらないようなチェンジアップが効果抜群で、右打者の蝦名と桑原を泳がせ、空振りさせていた。レギュラーシーズンを上回る内容とさえいえる。攻撃でも相変わらずソツがない。特に驚いたのが六回、2得点の先駆けとなった近本の三盗だ。1死二塁で打席には3番・森下。バッテリーと二遊間が打者との勝負に集中する状況で、東が投球モーションに入る前から、スルスルとスタートを切り、悠々セーフ。けん制は来ないとわかっていたのか、東の癖を見破っていたのか。いずれにしても、盗塁技術と意識の高さを見せつけた。さすが大独走で優勝したチーム。素直に脱帽だ。(サンケイスポーツ専属評論家)

◆やっぱり阪神は強え~!! 当たり前やろ! 2位・DeNAに13ゲーム差をつけ、リーグ優勝しとんのや! もしこれで日本シリーズに行けなかったら、藤川監督は自民党の総裁になったのに総理大臣が怪しい高市さんと同じやんか~。でも、正直言うと先発・村上はとても最多勝投手とは思えないコントロール...。5回103球で無失点に抑えたけど、捕手・坂本の構えたミット通りの球は3球くらいしかなかったやんかー!!! それを見事に導いてくれた坂本のリード(ほとんど変化球で、相手が手を出してくれたら良しの大謙虚配球スゲ~!!)勝敗のポイントは、六回1死二塁から三盗を成功させ、森下の先制打を呼び込んだ近本の走塁なのだろうけど、俺としてはまだ1イニング早いかな?の六回に及川をつぎ込んだ場面(俺は伊原だと思った)。そして、2死二塁、蝦名の打席での2ストライクからの3球目、低いと思ったストレートに勢いがあったので、球審の手が挙がっての三振! 耐えるときはグッと耐える、攻めるときは一気に攻める、これが勝負の分かれ道の教科書のような試合、お見事でした!!

◆ようやく、この日はやってきた。リーグ優勝を決めたのが9月7日。シーズン最終戦が10月2日。怒とうのように進行するメジャーのポストシーズンと比べたら、なんという進行速度だ。何でもアメリカのまねをする日本の野球が、この10月の戦いだけは全然変わろうとしないのは、なぜなんだろう。まあ、ここで文句を並べても仕方がない。始まったら、そんな不満は吹っ飛んだ。最高すぎる「まず1勝」だった。頂上決戦の日本シリーズの雰囲気も好きだが、CSには、独特の空気が漂う。「ここで負けたら、今までの苦労が水の泡」感は半端ない。切迫感はあるが、乗り越えて勝てば、こんな気持ちのいい日々はない。昨年は2位でシーズンを終えて、この甲子園で3位DeNAに連敗した。無性に腹が立ったのを覚えている。担当記者でもそんな思いになるのだから、選手はもっと悔しい。村上が粘り、勝利の方程式が機能し、森下が快打。負けたくない...。みんなの思いが結実した。「CSといえば、原口のハーフスイングを思い出すんですよ」当番デスク・長友孝輔が、今季限りでユニホームを脱ぐ男の、意外な一面が明らかになった記憶を明かしてくれた。苦労してきた時代のトラ番は、いい思い出のCSばかりではない。それは仕方がないこと。2022年のファイナルステージ。阪神はヤクルトに挑んだ。第1戦の二回のこと。原口は〝ボール球だ! 四球だ!〟と確信して一塁ベースに向かって歩き出した。ことしの流行語(?)の1つ、確信歩き。ところが、一塁塁審がまさかのスイング判定。「振ってない!」あの原口が激高した。「あの笑顔で優しいイメージが定着していますが、熱い一面を持ってる選手です」長友が力説する。阪神の反撃ムードが一気にしぼんだシーンでもあった。そこからズルズル連敗。一つのハーフスイングで流れが遠のく。短期決戦ならではだ。引退セレモニーで1つの区切りは終えた原口だが、日本一への戦闘要員として名を連ねる。長友は「最後の雄姿」がCSでも、さらに日本シリーズで、見られることを願っている。「最後」は一度である必要もない。そんな会話の後、球場内でウロウロしていたら、CSの記憶には欠かせない人物に遭遇した。NPBの杵渕和秀セ・リーグ統括。こっちが話題に出すより先に、「またあの話ですか」と語りかけてきた。2017年のファーストステージは、この日同様、阪神vsDeNA。雨中の激闘、と書けば今となっては美しいが、泥沼の中での死闘だった。スイングして転んだ筒香はユニホームが泥まみれ。梅野がバントを決めたと思ったら、打球は泥の中にズボッ。止まってしまった。もはや野球とはいえない惨状。試合後、報道陣は杵渕統括のもとに殺到した。「まあ、忘れられない試合です」苦笑いの〝当事者〟。あの時、ノーゲームの判断があったら、阪神はファイナルに勝ち進み...。やめておこう。ことしは実力でサッサと勝ち抜くんで。えっ、16日は雨模様。〝あの日〟よりは降らない予報から大丈夫だろう。