1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 | 安 | 失 | 本 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
DeNA | 0 | 0 | 0 | 3 | 0 | 1 | 2 | 0 | 0 | 6 | 7 | 1 | 2 |
阪神 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 7 | 0 | 0 |
勝利投手:東 克樹(13勝8敗0S) 敗戦投手:伊藤 将司(4勝2敗0S) 本塁打 |

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◆DeNAが3連勝。DeNAは1点を追う4回表、筒香の3ランで逆転する。その後6回にオースティンのソロで加点すると、続く7回には蝦名が2点適時打を放ち、リードを広げた。投げては、先発・東が5回1失点で今季13勝目。敗れた阪神は、投打ともに振るわなかった。
◆阪神楠本泰史外野手(30)が1軍に合流した。出場選手登録される見込み。昨季限りでDeNAを戦力外になり、阪神に移籍。ここまですべて代打出場で10打席(9打数)ノーヒット。5月21日を最後に出場機会がなかった。原口文仁内野手(33)も甲子園に姿を見せた。豊田寛外野手(28)が2軍に合流した。
◆7日に2年ぶり7度目のセ・リーグ優勝を決めた阪神は、5試合ぶりの黒星を喫した。完封負けは7月16日中日戦(甲子園)以来、今季6度目となった。この日は難敵DeNAケイに苦戦。7回散発3安打に抑えられた。いやなイメージを植え付けたかったかの問いに、藤川球児監督(45)は「いいとか嫌だとかはないですね。野球ですから。ヒットの出てる選手もいますしね」と淡々と話した。18年ぶりリーグ優勝を果たし、日本一にも輝いた23年も、リーグ優勝翌日の9月15日は5-6で広島に敗れている。「負ければまたそれはいい糧として、勝てば何が良かったのか、課題として出る分にはいいんじゃないですか」とこの先の戦いを見据えた。この日は1~8番まで、7日のリーグ優勝決定日と同じオーダーを組んだ。「(前日は)月曜日で休みですからね。みんな選手は自分の技術を上げるために日々戦っていますから。疲れました、という選手がいればそう(変更)しますけれど、そういうふうには感じない。試合に出たい、打席に立ちたい、登板したい選手たちが集まってるということですね」。頼もしい選手たちへの信頼は変わらない。
◆優勝を決めている阪神は中野拓夢内野手(29)がベンチスタートとなった。「2番捕手」で梅野隆太郎(34)が先発マスクをかぶる。二塁には植田海内野手(29)が入る。高卒3年目の井坪陽生外野手(20)が今季3度目のスタメン出場。相手投手は東克樹(29)。阪神の才木浩人(26)と12勝で並び、最多勝のタイトルを争っている。CSで対戦する可能性も十分ある。前日9日は苦手のアンソニー・ケイ投手(30)に抑えられた。今回も意味を持つ一戦になる。
◆阪神坂本誠志郎捕手(31)は「休養日」となった。ベンチ入りメンバーから外れた。出場選手登録はされている。ここまで10年目で最多の104試合に出場。一気に出場機会を増やし、攻守で2年ぶり優勝に大きく貢献した。練習には参加していた。この日は梅野隆太郎捕手(31)が先発出場した。
◆阪神梅野隆太郎捕手(34)がバットで存在感を見せた。先発マスクは今季30試合目。昨年4月14日以来の「2番」に入り、初回1死の打席でさっそく東克樹投手(29)から左翼フェンスまで飛ばす二塁打を放った。佐藤輝明内野手(26)の二塁打で先制のホームを踏んだ今季、メインでマスクをかぶってきた坂本誠志郎捕手(31)は休養のためベンチ登録を外れた。
◆阪神伊藤将司投手(29)が強烈なピッチャーライナーを好捕した。2回1死、DeNA佐野恵太外野手(30)の打球が伊藤将の顔面付近へ。とっさにグラブを出して好捕したが、そのまま背中からマウンドに落ちた格好になった。打った佐野も心配そうに見ていた。伊藤将はしばらく、マウンド上に倒れ込んでいたが、立ち上がり、治療のためベンチへ下がった。約1分後、再びマウンドへ。スタンドから拍手が送られた。
◆阪神井坪陽生外野手(20)が貴重なチャンスを生かした。「7番左翼」でプロ3度目のスタメン。2回1死の第1打席でしぶとく左前に落とした。8月19日のプロ初安打に続く2本目。春のキャンプで主力組に抜てきされるなど期待が高い高卒3年目。優勝が決まり、ライバルひしめく左翼争いも過熱している。
◆阪神佐藤輝明内野手(26)が甲子園の空を味方につけるラッキーな先制適時打で、通算400打点に到達した。初回2死二塁で、高々と右翼定位置付近に飛球を打ち上げた。落下点に入っていたと思われた右翼の蝦名達夫外野手(27)はボールを見失い、後方にぽとりと落ちた。記録は二塁打。佐藤輝はリーグトップの打点を90に伸ばした。23年の自己最多92が近づいてきた。5年目で通算400打点。初の年間100打点を完全に射程圏内にとらえている。午後6時15分ごろの甲子園はいわゆる「薄暮」でボールが見えにくい状態だった。風は通常通り右から左への「浜風」がやや強めに吹いていた。
◆不安定な投球が続いていたDeNA入江大生投手(27)が、無失点投球で意地を見せた。今季ここまでチーム最多22セーブをあげるも、直近8試合で11失点。5日ヤクルト戦では村上に3ランを被弾しており、同戦以来5日ぶりのマウンドとなった。3点リードの6回、95球を投げて降板した東克樹投手(29)に代わって2番手で登板。最速は158キロを計測するなど、直球は平均156・6キロと球威は抜群。先頭の阪神熊谷に粘られながらも158キロ直球で空振り三振に斬ると、井坪を三ゴロ、代打中野を一直に討ち取った。ここまでは2試合続けてセーブシチュエーションで伊勢大夢投手(27)が登板しており、三浦大輔監督(51)は前日9日、守護神について問われ「(伊勢が)多くなると思いますけどね。7、8、9回、全員でゲームを締めくくれるようにと思ってます」と伊勢を中心とした総力戦を強調していた。
◆阪神佐藤輝明内野手(26)が球団初の快挙を達成した。初回、適時二塁打で先制の1点を奪った。これが今季90打点目で、通算400打点。5年目で400打点は阪神では初めて。球界全体でも原辰徳(巨人)清原和博(西武)ら過去8人しかいない快記録。1年目から平均80打点。大きな故障や離脱がなく、主力として数字を積み重ねてきた証しだ。
◆阪神伊藤将司投手(29)が横浜高校の先輩に逆転3ランを浴びた。立ち上がりから丁寧な投球で3回までパーフェクトに抑えた。しかし、1-0で迎えた4回、DeNA先頭蝦名達夫外野手(27)に中前打を許すと、続く桑原将志外野手(32)の三塁側へのバントは犠打野選となり、無死一、二塁とされた。ここで5学年上に当たる横浜高校の大先輩・筒香嘉智外野手(33)と対戦。カウント2-1からの4球目を左翼へ運ばれた。「筒香さんも状態がいいので、筒香さんの前にランナーをためずに、1人1人抑えられたらいいなと思います」。前日9日に警戒していたが、結果は走者をためて対戦し、逆転アーチを献上する形になった。今季ここまで12試合に登板し、4勝1敗、防御率1・87。この日が13試合目の登板だった。チーム内ではポストシーズンでの先発枠争いもあるため、残り少なくなったシーズン、気持ちに緩みはない。ところが、6回、タイラー・オースティン内野手(34)に左中間への9号ソロを浴びた。CS進出争いをしているDeNA打線の集中力に飲み込まれてしまった。7回1死一、二塁の場面で無念の降板。7回途中6失点、防御率も2・38となり、2点台に。7月13日ヤクルト戦以来、約2カ月間、勝ち星から遠のいたままだ。
◆阪神は7日のリーグ優勝決定後に連敗を喫し、15カードぶりの負け越しとなった。先制は阪神だった。初回1死から、2番で先発した梅野隆太郎捕手(34)が左翼フェンス直撃の二塁打でチャンスメーク。2死二塁から佐藤輝明内野手(26)が右翼へ先制適時二塁打を放った。しかし、3回まで1人の走者も出さない好投を続けていた伊藤将司投手(29)が、4回につかまった。蛯名の中前打と、三塁佐藤輝の犠打野選で無死一、二塁とピンチを広げ、筒香に逆転3ランを献上。6回も1死からオースティンに左中間へソロ本塁打を浴びた。1-4で迎えた7回1死一、二塁で降板。2番手グラント・ハートウィグ投手(27)も暴投で二、三塁とし、蛯名に2点中前適時打を浴びた。伊藤将は7回途中、今季ワーストとなる6失点。連敗で2敗目。7月13日ヤクルト戦を最後に白星が遠ざかる。一方で、佐藤輝はこの日の打点で今季90打点とし、通算400打点に到達。5年目での到達は球団初の快挙という明るい材料もあった。
◆DeNAがリーグ王者阪神に今季初の3連勝を収めた。投打で圧倒して貫禄の白星でCS圏内確保に1歩前進した。雲行きの怪しい立ち上がりだった。1回2死二塁、阪神佐藤輝の大飛球を右翼・蝦名が試合開始直後、薄暮の青い雲と重なって見失った。記録は安打となる不運な一打で先制された。それでも先発の東克樹投手(29)は動じなかった。3回には林の失策が絡んで1死二、三塁のピンチを招くも、佐藤輝をスライダーで空振り三振。大山を四球で歩かせ、熊谷を左飛に打ち取った。球数もかさみ、95球で5回6安打1失点7奪三振で降板。リーグ単独トップとなる13勝目をマークした。打線では好調の主軸が援護した。1点を追う4回無死一、二塁、筒香嘉智外野手(33)が横浜高の後輩でもある阪神伊藤将の高めカットボールを押し込んだ。高く舞い上がった打球は浜風にも乗って左翼ポール際への逆転16号3ラン。「自分のできる事を精いっぱいやった結果です。チームにとって勢いに乗るきっかけになればうれしいです!」と静かに喜んだ。甲子園での本塁打は米挑戦前の19年4月9日以来、6年ぶり。さらに昨季、今季と甲子園で安打はなかったため、甲子園での安打も6年ぶりとなった。この時点で8月の1軍再昇格後は50打数14安打で10本塁打とした。さらに6回1死には4番のタイラー・オースティン内野手(34)の9号ソロで追加点。「良い感じでスイングできました!さらに良い流れになれば良いね!」と好調な3、4番のアベックアーチでリードを広げた。終盤もさらに得点を重ねて阪神相手に3連勝。CSファイナルまで勝ち進めば対戦する甲子園での阪神にも2連勝となった。
◆DeNA東克樹投手(29)が粘り強い投球でリーグ単独トップの13勝目を挙げた。1回2死二塁、薄暮の空で右翼手の蝦名がボールを見失う不運な形で先制点を献上したが、丁寧な投球でイニングを進めた。95球で5回6安打1失点7奪三振。「丁寧に行き過ぎて球数を要してしまって短いイニングになってしまったのですが、大きく壊すことなく試合を作ることができました」と勝利を呼び込んだ。
◆阪神梅野隆太郎捕手(34)が「東キラー」ぶりを見せつけた。昨年4月14日以来の「2番捕手」で出場し、初回1死の打席でさっそく東から左翼フェンスまで飛ばす二塁打。5回には鋭い左前打でファンから大喝采を浴びた。リーグ屈指の左腕には昨年から10打数6安打。対戦の可能性があるCSファイナルステージに向けて、背番号2の存在がクローズアップされた。「優勝したあとだけど、応援してくれるファンがたくさんいる。負けてしまって反省点はあるけど、変わらず集中したいです」と表情を崩さずに話した。東との好相性については「誰が来ても何とか結果を残すというか。それがたまたま。やられると相手も考えてどんどん変わってくるだろうから」と冷静だった。最近出場した4試合で7安打と、持ち味の力強い打撃で貢献している。先発マスクは今季30試合目。この日は坂本が休養のためベンチ外だった。藤川監督は「打撃の状態も非常にいいので、2番で攻撃的にいった方が梅野の良さも出るのかなと」と打順の意図を明かした。短期決戦に向けた選択肢のバリエーションがまたひとつ加わったようだ。試合は筒香に浴びた手痛い1発で逆転負け。梅野は悔やみながらも、次を見据えた。「バッテリーとして反省。でもここで終わりじゃないので、しっかり立て直したい。反省して、前を向いて、やるべきことをやるのみ」と引き締めた。【柏原誠】
◆DeNA筒香嘉智外野手(33)の放物線が聖地に帰ってきた。1点を追う4回無死一、二塁、横浜高の後輩でもある阪神伊藤将の高めカットボールを押し込んだ。高く舞い上がった打球は浜風にも乗って左翼ポール際への逆転16号3ラン。「うまくいい感覚の中で打てたかなと思います」と静かに喜んだ。甲子園では昨季、今季と無安打で、安打、本塁打ともに米挑戦前の19年以来6年ぶりとなった。かつては横浜高の4番として名をとどろかせ、17年のCSでは泥だらけになりながら初の日本シリーズ進出への足掛かりとなった甲子園。「何か起きるんじゃないかという独特な雰囲気がある。そういった球場で勝ちにつながる一打を打ててよかった」とうなずいた。8月の1軍再昇格後は、51打数14安打で10本塁打。ヒット3本に2本が本塁打という異次元の長打力で牧、宮崎らの不在を感じさせない爆発力を生み出している。直近3試合は無安打も「どうしようもできない感覚は全くなかった」と、つかんだ手応えは逃さない。CSファイナルまで勝ち上がれば再び戻ってくる聖地甲子園で2連勝。阪神に今季初の3連勝と右肩上がりにチーム状態は上がってきた。「(阪神は)今年優勝したということはリーグで一番強いチーム。甲子園という独特な雰囲気の中でこの2試合勝てたのはまた違う見え方があるのかなと思います」。2位巨人とは1・5差。右肩上がりのままシーズンを走り抜ける。【小早川宗一郎】▽DeNA三浦監督(筒香について)「いい形で決めてくれました。いいところで打ってくれますし、状態も上がってきていると思います」
◆阪神楠本泰史外野手(30)が待望のタテジマ初安打を放った。最終回に左前打。この日、1軍に再昇格したばかりで途中出場し、今季12打席目で移籍後初ヒットを決めた。「とりあえず1本出た。甲子園で打てて良かったです。今季、優勝というものに何一つ貢献できていない。自分には余裕なんてない。必死にアピールしていきたいです」。古巣からの安打は格別。同時に拾ってくれた球団への感謝の気持ちを募らせ、残りシーズンでの奮起を誓っていた。
◆阪神伊藤将司投手(29)はまたも勝てなかった。1点リードの4回無死一、二塁で3番筒香に左翼ポール際に逆転3ランを被弾。浜風にも乗ってしまい「あっちに飛ぶのは分かっていたこと。自分の投げる球が高かった。そこが反省点」と振り返った。6回にも4番オースティンに左中間ソロを浴びるなど、7回途中5安打、今季ワースト6失点で降板。2回には佐野の投直に、もんどり打って真後ろに倒れながら好捕する場面もあったが、これで約2カ月7試合、白星から遠ざかる。
◆阪神佐藤輝明内野手(26)が、タテジマ新記録を打ち立てた。初回2死二塁で高々と打ち上げた飛球を右翼手が見失うラッキーな先制二塁打。今季90打点とし、田淵幸一や掛布雅之、岡田彰布ら歴代主砲がなし得なかった球団初、NPB史上9人目の「プロ5年目で400打点」を達成した。本塁打もキング独走の36本で今季は残り15試合。阪神では86年バース以来39年ぶりとなる2冠を、40発100打点超えの好成績で獲得する夢がふくらんできた。佐藤輝は打球を見上げ、一度はバットをたたきつけた。右翼の定位置付近に高々と上がった飛球。だが、球場に漏れかけたため息は次の瞬間、歓声に変わった。薄暮の夕暮れで、打球が最も見えにくい時間帯。DeNA蝦名は一向にグラブを構えることなく、打球はその後方にポトリと落ちた。「ラッキーでしたね」と振り返る先制の適時二塁打となった。0-0の初回2死二塁。先発東の129キロスライダーを振り抜いた。今季90打点に伸ばし、プロ5年目以内では球団初の通算400打点を達成。球界全体でも長嶋茂雄や原辰徳、清原和博ら8人しか成し遂げていない。プロ入り即、主軸を担い、何人もの仲間をホームにかえしてきた強打者の勲章だ。運も味方に、23年にマークしたキャリアハイの92打点にもあと2に迫った。緩むことなく「あまりそういう風には思っていないです」と引き締めた。両リーグ2冠を独走する36本塁打&90打点。シーズン換算で、ちょうど40本塁打100打点ペースだ。今春季のキャンプで明かした目標のひとつが「30本、100打点くらい」。残り15試合。2冠を獲得すれば球団では86年バース以来だが、当初の自己想定を超える40発100打点での達成にも期待がふくらんできた。難敵左腕からは実に2年ぶりの安打だった。東とは今季2度目の対戦。前回8月27日は3打数無安打に抑えられた。昨季もCSを含めた5試合13打席でノーヒット。相性の悪かった左腕からともした23年8月18日以来のHランプで気分も乗った。5回2死一塁の第3打席では左前打。東からは5年目で初のマルチ安打で「結果はよかったんじゃないですか」と次回以降への手応えもつかんだ。チームは7日にプロ野球史上最速のリーグ優勝を決めてから白星なしの2連敗。それでもCSで対戦する可能性もあるDeNA左腕との対決で、主砲が存在感を発揮した意義は大きい。「しっかり、やることをやって。それだけです」。次なる目標の日本一に向け、本塁打も打点も積み上げる。【波部俊之介】
◆阪神のベテラン原口文仁内野手(33)が代打で出場した。8月16日に出場選手登録を抹消されて以来の1軍再昇格。9回に代打で出場したが佐々木の前に、フルカウントから見逃し三振に倒れた。「いいところまでは持ってこれたんですけど、最後、思い切りがなかった。もったいなかったなと。しっかり修正してやっていきたいと思います」。今季は10打席無安打で初ヒットが遠い。次回こそ、「代打原口」のコールで沸き返ったスタンドの大歓声に応えたい。
◆高卒3年目の阪神井坪陽生外野手(20)が甲子園初安打を記録した。「7番左翼」でプロ3度目のスタメン。2回1死でDeNA東のカットボールに詰まりながら左前に落とした。8月19日中日戦(京セラドーム)で初安打を記録したが本拠地では初安打。「うれしいです。1日1日結果出せるように準備してやっていきたいです」。初めて甲子園で外野守備にも就き「ライトがかぶって見にくかったけど、ボールはSGLより見やすかったです」と冷静に振り返った。
◆阪神楠本泰史外野手(30)が待望のタテジマ初安打を放った。9回に5番手佐々木から左前へ。再昇格即、途中出場し、今季12打席目で移籍後初のHランプを古巣相手にともした。「とりあえず1本出た。甲子園で打ててよかったです」とほっとひと息。「優勝というものに何一つ貢献できていない。自分には余裕なんてない。必死にアピールしていきたいです」。拾ってくれた球団への感謝を込め、残りシーズンでの巻き返しを期した。
◆3位DeNAとはCSで対戦する可能性があるだけに、痛い2連敗かと思われた。7日の優勝決定後は、18イニングで1点止まりで、負け越しは実に15カードぶり。だが、藤川球児監督(45)は敗戦を受け止めながらも、もっと先のポストシーズンを見ていた。「最後、勝つのが難しくなると(ファンが帰って)スタンドに空きが出てしまって、勝負師としては悔しいですけど。向かう方向があるということで。もう1回、(チームを)つくり上げていくところですね」中野と坂本を休ませ、打線を大幅入れ替えた。今季初めて2番に捕手梅野を入れて、二遊間は植田と熊谷。高卒3年目の井坪も「7番左翼」でプロ3度目のスタメンで起用した。初回に早速、梅野の二塁打と佐藤輝の適時二塁打で先制。だがその後は"フレッシュ打線"がつながらず、先発東に単独の13勝目を献上してしまった。並んでいた才木の最多勝を援護できなかったのは残念だが、指揮官はしっかり狙いをもって、このゲームに臨んでいた。「勝ち負けがあるんですけど、自分たちが向かうところはこの向こう側。そこに向けて、しっかりとチームを1回、洗濯して、それからまた強いチームに仕上げていく」。リーグの頂点に立った今、次の目標はCS突破と日本一だ。「洗濯」という表現を用い、戦力の洗い直し、掘り起こしでさらに強固なチームをつくり上げる考えを明かした。「次は勢いが必要になるステージが待っている」。短期決戦を勝ち抜くために必要な「勢い」をこの日確かに感じた。「楠本なり、井坪なり、今日の梅野のように。今まで出ていた選手が少し休養を取りながら、この1カ月、すごい勢いできた選手が出てくれば、非常にその時に心強い」。大きく引き離されたセの2位以下は、CSに捨て身でくる可能性がある。はね返すためには、もっと強くなっていないといけない。期待する戦力は9・7の優勝メンバーだけでない。「1、2軍というか、SGL含めて全部使って、探しに入る。仕上げにいくという作業ですから」。頂点を奪うべく、残り15試合で最強チームを作り直す。【磯綾乃】▽阪神畠(8回に3番手で登板。満塁とされたが、4戦連続無失点)「ビハインドでいって、ああいう感じはよくないです。無失点でも、いい流れをチームに持ってこれなかったのは反省です」
◆阪神は7日のリーグ優勝決定後に連敗を喫し、15カードぶりの負け越しとなった。この日は打順を大幅変更。2番には今季初めて梅野隆太郎捕手(34)が入り、二塁は植田海内野手(29)スタメン。高卒3年目の井坪陽生外野手(20)も「7番左翼」で今季3度目のスタメン出場となった。藤川球児監督(45)は梅野の起用について「バッティングの状態も非常にいいですしね、梅野を6番以降に行くより、2番で攻撃的に行った方が、6番に熊谷がいますから、梅野の良さも出るのかなと思った」と説明した。「最後、勝つのが難しくなるとスタンドにどうしても空きが出てしまって、それが勝負師としては悔しい」と黒星を受け止めながらも、ここからの試合はさらに強いチーム作りの場と捉えた。「しっかりとチームを1回、洗濯してですね、それからまた強いチームに仕上げていく。(代打で安打の)楠本なり、井坪なり、今日の梅野のように、グーッと勢いが出てくるとね、それが一番必要なシリーズになってきますから。今まで出てた選手が少し休養を取りながら、勢いで来た選手が出てくれば、これは非常にその時に心強い」。意味のある1敗だ。
◆この日に27歳の誕生日を迎えたDeNA山本祐大捕手(27)が甲子園の温かい拍手と歓声に包まれた。2点を追う7回先頭、代打で登場。左翼席からバースデーソングが流れると、関西出身の捕手に向けて阪神ファンからも温かい拍手と歓声が送られた。マウンド上の阪神大竹もバースデーソングに気づき、プレートを外して時間を稼ぐ"粋な計らい"を見せた。結果は空振り三振に倒れたが、甲子園が温かいムードに包まれた。
◆阪神の原口文仁内野手(33)と楠本泰史外野手(30)が1軍の試合前練習に合流した。原口は今季開幕1軍でスタートしながら、1軍では未だ7打数無安打。ファームでは9月に入って打率・600と状態を上げており、8月16日の抹消以来今季4度目の昇格となる見込み。今季から加入した楠本も、1軍では9打数無安打と未だノーヒット。2軍では打率・308を残している。5月22日に抹消されて以来となる1軍の舞台に向け、「自分はもう結果を出すしかない。それだけを考えて一生懸命アピールしたい」と力を込めた。リーグ優勝を果たしてもポストシーズン、そして来季に向けても熾烈(しれつ)なメンバー争いとなりそうだ。
◆阪神・原口文仁内野手(33)と楠本泰史外野手(30)が出場選手登録された。原口は開幕1軍スタートも代打で7打数無安打と結果を残せず、8月16日に今季3度目の2軍降格。ウエスタン・リーグの直近5試合では打率・600(10打数6安打)と調子を上げていた。原口は「下(ウエスタン)の試合で、かなり打席に立たせてもらった。頑張ります」と力を込めた。楠本は今季10試合に出場して9打数無安打とアピールできず、5月22日に1軍登録を外れて以降は、2軍暮らしが続いていた。代わって豊田寛外野手(28)が出場選手登録を外れた。
◆阪神は梅野隆太郎捕手(34)が「2番・捕手」で出場する。2番を打つのは今季初めて。「7番・左翼」には9日に1軍昇格した井坪陽生外野手(20)が入った。9日の同戦では八回に代打で登場するも、三ゴロに倒れた。1軍定着に向け、猛アピールのチャンスだ。先発は伊藤将司投手(29)が務め、約2カ月ぶりの白星を目指す。
◆DeNAの2年目、石上泰輝内野手(24)が右手小指の剥離(はくり)骨折から戦列復帰し、「8番・遊撃」で先発メンバーに名を連ねた。試合前練習で精力的に汗を流し「最初に比べたら、もうほとんど痛みはない」と状態を説明した。8月29日の中日戦の走塁で負傷し、その後もプレーを続けてプロ初本塁打を放っていた。再登録が可能となる最短10日での復帰。「抹消された期間も、すぐに(1軍に)上がって活躍できるようにと考えながらやっていた。しっかりチームに貢献したい」と気を引き締めた。
◆阪神・佐藤輝明内野手(26)が「4番・三塁」で出場。一回に先制打を放った。1死から2番・梅野が左翼フェンス直撃の二塁打を放つと、2死後に打席へ。カウント1-2から変化球を振り抜き、打球を高々と打ち上げた。落下点は右翼の守備範囲だったものの、右翼の蝦名は両手を横に広げるようなジェスチャー。薄暮の中に〝消えた〟この飛球を見失い、ボールが芝生で弾んだ。この間に梅野が悠々、先制のホームを踏んだ。佐藤輝にとってはこれが通算400打点目。大歓声を巻き起こすラッキーな一打(二塁打)で決めた。
◆11日の22回戦に先発する阪神・大竹耕太郎投手(30)は、前回5日から中5日の登板に向けてキャッチボールやメディシンボールを使ったトレーニングで調整した。「まだ今年しっくりくる球はほぼないに等しいので、『うわ、この感覚だ』みたいなものを得られるように、その中で結果も求めながら質的なところも求めていきたい」。今季14試合目にして初対戦となるDeNA打線に挑む。開幕こそ出遅れたもののここまで7勝を挙げて3年連続の2桁勝利も視野に入るが、「経験上、数字に対して追い求めてあまりいいイメージがない。2年前とか規定(投球回)投げなきゃっていうので、あと何イニングだとか意識し始めて急に失速しちゃったので。目の前の試合を一試合一試合投げていって、結果的に規定に到達したとか、10勝いったとか、そういう順序立ての方がいいのかなと思って。投げさせてもらえる一試合一試合に全力でいくだけ」と冷静。目の前の打者に集中して積み重ねる。
◆DeNA・石田裕太郎投手(23)が11日の阪神戦に中11日で先発する。7月2日以来の白星となる3勝目を目指す右腕はキャッチボールで調整し「すごくいい打線。一人も気が抜けない」と表情を引き締めた。直近3試合はいずれも好投しながら勝ち星に恵まれていない。それでも「そこは気にしていない。試合をつくるということに集中して投げられている」と冷静に語った。
◆阪神・伊藤将司投手(29)にヒヤリとするシーンが訪れた。二回1死での佐野との勝負だった。カウント1-1からはじき返されたのは痛烈なライナー。この打球を、左腕はすさまじい反射神経で見事にキャッチ。スタンドからはどよめきとともに歓声が起こった。捕球後はグラウンドに突っ伏すような形になり、治療のためにトレーナーを伴って一度はベンチに下がったが、すぐにマウンドに戻って続投。続く山本を左飛に打ち取り、2イニング連続で無失点という立ち上がりだった。
◆首脳陣の期待の表れといえるだろう。DeNAの2年目、石上泰輝内野手(24)が右手小指の剥離(はくり)骨折から戦列に戻り、「8番・遊撃」で早速先発メンバーに名を連ねた。再登録が可能となる最短10日での復帰。攻守ともに影響を感じさせず「最初に比べたら、もうほとんど痛みはない。できるという判断でやっている」と状態を明かした。8月29日の中日戦の走塁で負傷し、その後もプレーを続けてプロ初本塁打を放った。「痛かったのは事実」と振り返るが、それを我慢して翌30日も代走で出場。8月末に出場選手登録を外れ、2軍戦で状態を確認して1軍に帰ってきた。本職の遊撃に加え、三塁も守る。確実性が増している守備のみならず、機動力も持ち味。守備固めや代走で出場機会を増やし、三浦監督が「少しずつ対応できるようになってきた」と評価する打撃でも成長の跡を示してきた。リーグ3位のチームはクライマックスシリーズ(CS)進出争いのさなかにあり、横浜スタジアムでの試合開催をかけて2位浮上を目指す。三浦監督が「疲れていない選手はいない」と繰り返す通り、ナインは気力を振り絞ってプレーしている。石上は「すぐに(1軍に)上がって活躍できるようにと考えながらやっていた。最短で戻ってこられたのは良かったけど、順位争いの中でもある。チームに貢献したい」と自覚十分だ。(鈴木智紘)
◆阪神・伊藤将司投手(29)がDeNA・筒香に逆転3ランを浴び、逆転を許した。三回までパーフェクトに封じるも、1―0で迎えた四回だった。先頭の蝦名に中前へはじき返され、この試合初安打を浴びる。続く桑原が試みた犠打を、三塁手・佐藤輝の野選でアウトを一つも取れず無死一、二塁で筒香に打席が回った。4球目の高めに浮いたカットボールを完璧にとらえられ、左翼への16号3ラン。一気に試合をひっくり返された。伊藤将は7月13日のヤクルト戦(甲子園)以来、約2カ月ぶりの白星を目指していたが、手痛い失点となった。
◆DeNA・筒香嘉智外野手(33)が「3番・三塁」で先発し、1点を追う四回に逆転の16号3ランを左翼ポール際に運んだ。阪神先発の伊藤将に打者1巡目を完璧に抑えられた中、四回は先頭の蝦名がチーム初安打を中前へ。続く桑原の三塁前へのセーフティーバントは犠打野選を誘い、無死一、二塁の好機で打席を迎えた。外寄り高めの速球を捉えた打球は高々と舞い上がり、右翼から左翼方向に吹く甲子園特有の浜風に乗ってフェンスを越えた。「自分のできることを精いっぱいやった結果。チームにとって勢いに乗るきっかけになればうれしい」と汗を拭った。
◆高く舞い上がった打球は薄暮の空に消えた。DeNAの右翼手・蝦名が見失った打球は芝生にポトリと落ちた。阪神・佐藤輝が一回、ラッキーな先制の適時二塁打を放った。藤川監督は打撃オーダーを入れ替えた。「2番・捕手」で出場した梅野が左翼フェンス直撃の二塁打。森下は見逃し三振に倒れたが、ここで終わらなかった。佐藤輝は先発・東のスライダーを打ち上げ、悔しそうな表情を浮かべたが、甲子園の空が味方した。梅野が二塁から生還し、佐藤輝はリーグトップの打点を「90」に乗せた。これで通算400打点。日本選手では史上9人目となる入団5年目での到達で、球団では初となった。チームは7日に2リーグ制以降、史上最速での優勝を決めた。甲子園での歓喜のセレモニー後、佐藤輝はビールかけで仲間と喜びを爆発させ、深夜はテレビ局の特番出演で大忙しだった。「まだ終わっていないですけど、シーズンを通していい活躍ができた。残り試合は一打席一打席、楽しめればと思います」個人記録を意識しながら打席に立つことを明かした。この日の試合前時点で36本塁打をマークし、日本選手では2005年の金本知憲(40本)以来のシーズン40本塁打も視界にとらえている。「もちろん、打ちたいですね。そこも楽しみながらやっていきたい」優勝決定後の初戦となった前夜は難敵ケイの前に快音は聞かれず、4打数無安打だった。「どないなっているんですかね」。甲子園の浜風を見てつぶやいた。例年なら9月に入ると、風向きは左翼から右翼に変わる。左打者には有利とされている風が吹くが、歴史的猛暑の影響で〝追い風〟がいっこうに吹かない。それに対する不満だが、今年の佐藤輝なら関係なく打ち続けてくれるだろう。2打席目は1-0の三回の1死二、三塁。打点を稼ぐチャンスだったが空振り三振に倒れた。それでも、五回2死一塁から左前打を放った。一方、四回無死一塁の守備では、桑原の送りバントを処理し、二塁へ送球したが、判定はセーフ(野選)。直後に、伊藤将が筒香に逆転3ランを浴びた。(三木建次)
◆阪神・伊藤将司投手(29)がDeNA・オースティンから9号ソロを浴び、リードをさらに広げられた。1―3で迎えた六回。第2打席に16号ソロを浴びた筒香は空振り三振に斬った。しかし4番・オースティンから、高めに浮いた初球のツーシームを左中間スタンドへ運ばれた。伊藤将は前回登板の3日の中日戦(バンテリン)でも、細川と石川から本塁打を浴びており、2試合連続での1試合2被弾となった。約2カ月ぶりの白星を目指して上がったマウンドで、苦しい投球が続いている。
◆阪神・伊藤将司投手(29)が先発し、七回途中5安打6失点で降板した。三回までの3イニングはパーフェクト投球を披露するも、1点リードの四回は蝦名に中前へ初安打を打たれると、桑原の三塁線へのセーフティーバントは三塁・佐藤輝が二塁へ送球するもセーフ(記録は野選)。このピンチで横浜高の先輩・筒香には左翼ポール際への3ランを浴び、逆転を許した。六回にはオースティンにも左中間ソロを打たれ、七回に安打と四球で1死一、二塁となったところで降板した。代わったハートウィグが暴投で二、三塁とピンチを広げ、蝦名にしぶとく中前2点打を浴び、左腕は今季ワーストとなる6失点。7月13日のヤクルト戦(甲子園)を最後に白星から遠ざかっており、登板7試合ぶりに勝利投手となることを目指したマウンドだったが、2試合連続の5失点以上と悔しい結果が残った。
◆阪神はDeNAに連敗を喫し、15カードぶりの負け越しとなった。初回、今季初めて2番に座った梅野隆太郎捕手(34)の二塁打でチャンスを作り、佐藤輝明内野手(26)の通算400打点目となる適時二塁打で幸先よく先制に成功。しかし、三回までパーフェクトに封じていた先発の伊藤将司投手(29)が四回に筒香に16号3ランを浴びて一気に逆転された。その後、オースティンにも9号ソロを打たれるなど、今季ワーストの6失点を喫した。打線は初回以降、目立ったチャンスを作れず、才木と最多勝争いを演じる東に、リーグ単独トップに浮上する13勝目を献上した。
◆DeNAが3連勝。東は要所を締め、5回1失点でリーグ単独トップの13勝目を挙げた。0―1の四回に筒香の3点本塁打で逆転し、六回はオースティンのソロで加点。好機で東を畳みかけられなかった阪神は伊藤将が粘れずに2敗目。
◆DeNA・東克樹投手(29)が先発し、5回95球を投げて6安打1失点でリーグ単独トップの13勝目を挙げた。一回は味方の守備の乱れもあって先制点を献上。その後も得点圏に走者を背負ったが、要所を締めて追加点は与えなかった。「初回からランナーを出しながらの投球となり、丁寧に行き過ぎて球数を要してしまい、短いイニングになってしまったけど、試合をつくることができた」と振り返った。
◆阪神が7月15、16日中日戦(甲子園)の連敗以来、15カードぶり負け越し。才木浩人投手(26)と最多勝を争うDeNA・東克樹投手(29)に単独トップの13勝目を献上した。2024年4月14日中日戦(バンテリンD)以来の「2番」に入った梅野隆太郎捕手(34)が一回、左越え二塁打で出塁。2死後の佐藤輝明内野手(26)の平凡な右飛を蝦名達夫外野手(27)が薄暮で見失う二塁打で先制した。しかし伊藤将司投手(29)が四回に筒香嘉智外野手(33)に3ランを浴び、六回はタイラー・オースティン内野手(34)にソロ本塁打を左中間席へ運ばれた。7回途中6失点の伊藤将は7月13日ヤクルト戦(甲子園)での無傷の4勝目後は7戦2敗。90打点の佐藤輝は入団5年目で通算400打点。森下翔太外野手(25)は三回の二塁打で自己最長に並ぶ11戦連続安打。3度目のスタメン外の中野拓夢内野手(29)は六回の代打から守備に就いた。昇格した原口文仁内野手(33)は九回、代打で見逃し三振に倒れ、今季9打席8打数無安打1四球。
◆DeNAが3連勝。東は要所を締め、5回1失点でリーグ単独トップの13勝目を挙げた。0―1の四回に筒香の3点本塁打で逆転し、六回はオースティンのソロで加点。好機で東を畳みかけられなかった阪神は伊藤将が粘れずに2敗目。
◆現役時代は阪神、南海で活躍し、引退後は阪神で投手コーチやフロントでも尽力したサンケイスポーツ専属評論家の上田二朗氏(78)は、2カ月近く勝ち星から遠ざかっている阪神の先発・伊藤将司投手(29)について言及した。伊藤将は絶妙な制球で打たせて取る軟投派であり、同時にカウント0-2からでもストライクゾーンで勝負する攻撃型の一面も持ち合わせている。時に一発を浴びてしまうが、それだけを責めたくはない。この試合では、やはり四回無死一塁からの佐藤輝の野選がポイントだ。投手はたった一つのミスでリズムが狂う。一塁で一つアウトを取っていれば、1死二塁で3番、4番。攻め方も変わった。伊藤将は表面上、平静を装っても、内心は「あれっ」と思ったはず。三回まで完璧な投球だったが、一つの野選から崩れた。こういうことが起こるのが投手。だから、しっかり守ってあげてほしかった。ことしの伊藤将は2カ月近く白星から遠ざかっているが、大半の試合は少ない失点で仕事は果たしている。だからこそ、勝たせてやりたくなる。もう一点、気になるのは藤川監督の〝お試し采配〟。選手を大きく入れ替え、今後に向けて試しているのだろう。否定はしないが、力の落ちる選手を起用して、相手が快勝したら、勢いを付けさせるだけ。DeNAもCSで戦うかもしれない。シーズン終了まで隙を見せてはいけない。(本紙専属評論家)
◆?DeNA・東がリーグ単独トップとなる今季13勝目(8敗)。2023年から3年連続で13勝以上(16→13→13)をマーク。3年以上続けて13勝以上したのは、21-23年のオリックス・山本由伸(3年=18→15→16)以来2年ぶり。セでは11-13年の巨人・内海哲也(3年=18→15→13)以来12年ぶり。?DeNA(前身を含む)では1956-64年の秋山登(9年=25→24→17→14→21→20→26→13→21)、69-74年の平松政次(6年=14→25→17→13→17→15)、82-87年の遠藤一彦(6年=14→18→17→14→13→14)に次いで38年ぶり4人目で、左投手は初。?東は23年に最多勝利のタイトルを獲得。球団で2度なら、平松(70、71年)、遠藤(83、84年)と並ぶ最多回数となる。
◆外野へ伸びていく打球の行く先は、またもフェンスの向こうだった。快投から一転、阪神・伊藤将に待ち受けていたのは悪夢の中盤戦。6回?を投げて5安打、今季ワーストの6失点で2連敗を喫した。「長打で試合をひっくり返されてしまいました。勝負どころの一球が甘くなってしまい、悔しいです」三回までは淡々と腕を振り、32球でパーフェクト投球。滑り出しは文句なしだった。しかし、1点リードの四回は蝦名の初安打となる中前打と三塁手・佐藤輝の野選で無死一、二塁を背負い、横浜高の大先輩・筒香との勝負。高めの変化球をはじき返され、白球をそのまま左翼ポール際へとたたき込まれた。一気に形勢を逆転されると、「『この3点で抑えよう』と思って投げていた」と自らを奮い立たせるも、六回にはオースティンにも左中間へのソロを被弾。1死一、二塁とピンチを残した七回途中で無念の降板となった。チームは優勝決定直後の試合では2リーグ制以降球団初の連敗。7月15、16日の中日戦(甲子園)以来、15カードぶりの負け越しとなった。ただ、選手のコンディションも考慮しながら選手起用されていることもあり、藤川監督は「チームを一回、洗濯して、また強いチームに仕上げていく」と説明。7日に果たした史上最速でのリーグ優勝の輝きが色あせることはない。それでも、気になるのは伊藤将の投球。7試合連続で白星に見放され、1試合2被弾は3日の中日戦(バンテリンドーム)から2試合連続で、直近4試合で計6発を献上という結果が残る。一戦一戦がレギュラーシーズン以上に重要となるクライマックスシリーズ(CS)が控えていることを考えれば、ひと振りで流れを変えられてしまうホームランは何としてでも避けたいところ。成績を昨季からV字回復させた伊藤将が短期決戦でも戦力に残っていくためには、〝一発病〟の克服が必要だ。「この反省を生かして、やっていけたらいいなと思います」左腕の言葉は前向きだった。目の前の課題にも向き合い、次回のマウンドに自信を持って上がる。(須藤佳裕)
◆DeNAを戦力外となり、今季加入した阪神・楠本が待望の移籍後初安打を古巣相手に放った。七回に代打で登場し、第1打席は一ゴロに倒れるも、九回に三遊間を抜ける安打をマーク。「なんとか一本出したいと強く思ってファームでやっていた。とりあえず一本を甲子園で打ててよかった」。藤川監督も「楠本にヒットが出たのは非常に大きい」とたたえ、ポストシーズンに向けて大きなアピールになった。
◆阪神・梅野が指揮官からの期待に応えた。2024年4月14日以来の「2番・捕手」で出場し、マルチ安打をマークした。「ファーストストライクから振れるように準備をして、1打席目からしっかりできた。優勝した後も、前を向いて結果を残せるようにやっていくだけなので、集中してやっていきたい」DeNAの先発・東から一回に左翼フェンス直撃の二塁打を放つと、五回にも左前にはじき返した。リーグトップの13勝目を挙げた左腕に、今季5打数4安打と好相性を見せている。ポストシーズンに向けても、アピールの2安打となった。藤川監督は2番起用を「バッティングの状態も非常にいい。6番以降にいくより、2番で攻撃的にいった方が梅野の良さも出るのかな、と思いました」と説明。狙い通りの活躍で、短期決戦に向けてアピールした。(中屋友那)
◆「7番・左翼」で出場した井坪が、甲子園初安打を放った。二回、東の変化球を詰まりながらも左前へ運び、歓声に包まれた。「左投手だから出してもらえたと思う。1打席目で出たので、それはいい準備ができていたのかな。一日一日、結果を出せるように、準備してやっていきます」と気を引き締めた。
◆阪神・佐藤輝明内野手(26)がDeNA戦の一回に先制の適時二塁打を放って今季90打点とし、通算400打点に到達した。新人から5年目までの通算400打点以上は球団初で、巨人・長嶋茂雄や西鉄・中西太らに並ぶ史上9人目。チームは1-6で逆転負けし、最速リーグ優勝を決めてから2連敗となったが、虎の4番がマルチ安打で甲子園を沸かせた。高く舞い上がった打球は薄暮の空に消えた。DeNAの右翼手・蝦名が見失ったボールは芝生にポトリ。佐藤輝が一回、ラッキーな先制の適時二塁打を放った。会心の当たりではなかったが、球史に残るレジェンドたちに肩を並べる一打だった。「ラッキーでしたね。(東から2安打にも)結果はよかったんじゃないですか」2番・梅野が左翼フェンス直撃の二塁打。森下は見逃し三振に倒れた。佐藤輝は先発・東のスライダーを打ち上げ、悔しそうな表情を浮かべたが、甲子園の空が味方した。リーグトップの打点を「90」に乗せた。2023年の自己最多まで、あと「2」となったことについては「いやあ、あんまり、そういう風には(節目とは)思っていないですけど」と通過点を強調したが、これで通算400打点。入団5年目までの到達は、日本選手では長嶋茂雄(巨人)、張本勲(東映)、中西太(西鉄)らに並ぶ史上9人目で、球団では初の快挙だ。チームは7日に2リーグ制(1950年)以降では史上最速での優勝を決めた。「まだ終わっていないですけど、シーズンを通していい活躍ができた。残り試合は一打席一打席、楽しめればと思います」。佐藤輝は個人記録も意識しながら打席に立つことを明かした。36本塁打は2位の森下(20本)を大きく引き離して独走状態。打点も2位の森下(80打点)とは10差に広げた。2冠を大きく近づける中、次なる目標は球団の日本選手では2005年の金本知憲(40本)以来のシーズン40本塁打。さらに、1985年の掛布雅之以来となる球団の生え抜き選手の40本塁打&100打点も見据えている。
◆セ・リーグ3位のDeNAは10日、阪神21回戦(甲子園)に6-1で快勝し、3連勝を飾った。「3番・三塁」で先発した筒香嘉智外野手(33)が、1点を追う四回にチームトップに並ぶ16号の逆転3ランを左翼席に運んだ。甲子園では米大リーグ挑戦前の2019年以来、6年ぶりの一発で打線を活気づけた。リーグ王者の阪神相手に同一カード3連戦の勝ち越しを決め、クライマックスシリーズ(CS)進出へ、また一歩前進した。打球が左翼ポール際に吸い込まれると、驚き交じりの歓声が響いた。ざわめく観衆とは裏腹に、筒香の体には確かな感触が貫いていた。1点を追う四回。逆方向に描いた逆転の16号3ランに力強くうなずいた。「打った瞬間の手応えはあった。いい感覚の中で打てた。勝ちにつながる一打を打てたのはうれしいですね」阪神先発の伊藤将に打者1巡目を完璧に抑えられた中、四回は先頭の蝦名がチーム初安打を中前へ。続く桑原の三塁前へのセーフティーバントは犠打野選を誘い、無死一、二塁の好機で筒香は打席を迎えた。外寄り高めの速球を捉えた当たりは高々と舞い上がり、右翼から左翼方向に吹く甲子園特有の浜風に乗ってフェンスを越えた。前半戦から苦戦が続いたものの、8月は出場11試合で8本塁打と量産。9月に入っても状態を維持し、5日のヤクルト戦に続く左方向へのアーチを放った。好調の一因は足裏の感覚にある。両足のかかとに重心がかかっていたというが、地道に体の使い方を見直した成果もあって8月中旬に解消。下半身の粘りが増し、復調のきっかけをつかんだ。
◆この日、出場選手登録された原口は、九回に代打で登場するも見逃し三振に終わった。「最後、思い切りがなかったので、そこはもったいなかった」。今季、ウエスタンでは打率・280を残しているが1軍では9打席に立っていまだ無安打。「四球なりヒットなり出ないと厳しいと思うので、しっかりと修正していきたい」と気を引き締めた。
◆山形で生まれ育ち、千葉の大学に進み、何の因果か、大阪が社会人最初の勤務地となった「サンスポのAKB」こと秋葉元。未知との遭遇だらけの日々だが、このほど関西で暮らし始めてMAXの衝撃があったという。それは、阪神優勝翌日から始まった「スポーツ紙5紙セット販売」。スポーツニッポン、日刊スポーツ、デイリースポーツ、スポーツ報知、そしてわがサンケイスポーツが阪神優勝を報じた9月8日付の新聞を、セットで購入できるという、虎党にとっては、たまらない〝記念品〟だ。過去にも阪神が優勝するたびに実施されてきたから、関西人には当たり前の光景だが〝別世界〟からやってきた人には、信じられないらしい。「こんなことが、ほかの快挙が起きても実施されるんですか? たとえば、サッカーW杯で日本が優勝しても...」サッカー大好き少年だったAKB秋葉ならではの例えをしてきたが、おそらく〝そんな日〟が来ても、5紙セットはあり得ない。たぶん。阪神だから! 阪神でなければ、絶対に起こらない。「阪神は別格」であることを、関西文化を知らなかった男から、改めて知らされた感じだ。優勝が決まって、球場の雰囲気は確かにホンワカしている。9日の試合中には、トラ番・萩原翔が「選手も、観衆の雰囲気も、全然変わりましたよね」と驚いていた。宴の後の〝消化試合〟ムードが漂ったのは事実。でも、優勝決定試合の観衆が4万2649人。嵐が過ぎ去って、9日が9人減って4万2640人。10日が10人減って4万2639人。優勝が決まっても、お客さんは変わらずやってくる。もちろん、はるか昔にチケットを購入しているからでもあるが、阪神ファンの熱気は、V決定後も衰えない。選手だって絶対に手を抜けない。
◆優勝したんだから、この連敗なんか全く関係あるかいなー!! その気持ちも分かる!! でも、ここ一番に弱い阪神を知っているジジイファンとしては、前日クライマックスシリーズで当たるかもしれない苦手のケイをつぶせなかったことや、本日才木、村上と最多勝争いをしている東をなぜ打てなかったのか? 勝てないまでも白星つけさせず援護したれやー!!優勝が決まるといろんなことが起きてくるよ~! 本日、2番に梅野って? 正直、阪神の監督なら喉から手が出る打順なのだ!! 送りバントは一番うまいし、右に打たせたら天才!!(ちょっと言い過ぎ?) だけど、普通に下位打線に入れたらホームラン狙いのブンブン丸!! 梅野のリードがもっと繊細なら、こーいう打順を組みたかったんだろうなぁ...。藤川監督のどこか夢だったと俺は思ったのでした。そんな中、今季初ヒットの楠本は自分のことのようにうれしかったー!! 短期決戦の秘密兵器と俺は期待しているので、本日が2025年開幕や! 遅れてきた暴れん坊になったれー!!
◆筒香の打撃は見るたびに良くなっている。(2020年に)渡米する前の姿に戻ったようだ。四回の逆転3ランは、左腕・伊藤将の高めの変化球を、無理なく逆方向の左翼席へ運んだもの。この一発にも表れているように、タイミングの取り方が変わった。米国では、日本よりスピードも重さもある球に対応するため、前で打つことを意識せざるをえなかったはず。その分、落ちるボールに泳がされるなど、苦労してきたと思う。DeNAに復帰した昨年も引きずっているように映った。それが今や、球を手元まで呼び込んで打てている。中堅から逆方向への一発は、まさにその結果。もちろん、本塁打の出にくい甲子園。普通の打者なら左飛や中飛か。パワーが根底にあるのは言うまでもない。同時に、甲子園の特性も頭にあったのでは。右翼から左翼へ強く吹く「浜風」に乗せれば十分スタンドに届く-と。横浜スタジアムでも中堅方向への本塁打が目につく。グラウンドに合わせたバッティングも、ベテランならではの妙技だ。(サンケイスポーツ専属評論家)

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