阪神(☆2対0★)広島 =リーグ戦23回戦(2025.09.07)・阪神甲子園球場=
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広島
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阪神
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勝利投手:湯浅 京己(4勝4敗0S)
(セーブ:岩崎 優(1勝2敗31S))
敗戦投手:アドゥワ 誠(0勝2敗0S)
  DAZN
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◆阪神が2年ぶりのリーグ優勝を決めた。阪神は2回裏、高寺の犠飛で1点を先制する。そのまま迎えた6回には、1死三塁から近本が犠飛を放ち、貴重な追加点を挙げた。投げては、2番手・湯浅が今季4勝目。最終回は守護神・岩崎が3人で締め、今季31セーブ目を挙げた。敗れた広島は、打線が5安打無得点と振るわなかった。

◆阪神才木浩人投手(26)が優勝決定戦でハーラー単独トップ13勝目を目指す。最短Vが決まる7日広島戦(甲子園)に先発する。才木は2年前のリーグ優勝を決めた23年9月14日巨人戦(甲子園)も先発。マジック「1」で迎えた重圧の中で、7回3安打1失点と好投してチームを18年ぶりのリーグ制覇に導いた。今回も大注目の一戦に出番が回ってきて「ラッキーだなと思います。そういう時に1発で決めたい」と力を込めた。甲子園は試合開始前から熱狂の渦。真っさらなマウンドに上がる時から大歓声が包む。「雰囲気がやっぱ変わると思う。雰囲気にのまれないように。経験済みっちゃ経験済みなんで。しっかり自分のやるべきことやって、そういう雰囲気も楽しめたらいいかなとは思います」。最多勝争いはDeNA東と12勝で並走中で、防御率1・66はリークトップに立つ。節目の試合で自身のタイトルも引き寄せる。

◆阪神の最強ブルペン陣にまだ隠れた新戦力がいた。畠世周投手(31)が6日の広島戦(甲子園)で移籍後初ホールドをマークした。3-1の7回に4番手で登板。先頭を安打で出したが併殺に打ち取り、結果3人で片付けた。昨年12月の現役ドラフトで巨人から移籍。4月に指を痛め、実戦復帰まで時間を要した。9月3日の阪神デビュー後から3試合無失点。力強い直球が目立ち、シーズン最後に来て存在感を示している。今季阪神でホールドを記録した投手は畠が18人目。リーグでは断トツの人数だ。いかに多くの投手が活躍の場を得ているかが分かる。

◆阪神が2年ぶり7度目のリーグ優勝へ、優勝マジック1で9月7日を迎えた。決まれば日付の上では90年巨人の9月8日より1日早い、2リーグ制後最速の優勝決定となる。阪神の「9・7」といえば05年が思い出される。優勝を争っていた中日との天王山第2ラウンドはナゴヤドームで開催。5時間1分の死闘の末、岡田彰布監督率いる阪神が制し、優勝に大きく前進した伝説の試合だ。3-1の9回裏、守護神・久保田智之が大ピンチを招いた。二ゴロでの本塁セーフをめぐって阪神が猛抗議。平田勝男ヘッドコーチが監督の身代わりになって暴力行為で退場した。岡田監督は選手を守備位置からベンチに戻し、18分間も試合が中断した。球団社長の必死の説得で再開したが、その後同点とされ、なおも1死満塁。サヨナラ負けの絶体絶命ピンチで、岡田監督が就任2年目にして初めてマウンドに向かった。久保田にマウンドで「打たれろ。めちゃくちゃしたれ。俺が責任をとる」と強烈にハッパをかけた。久保田が怒濤(どとう)の2者連続三振。延長11回、中村豊の阪神移籍3年目での初アーチで勝利を収めた。久保田は最後まで3イニングを投げ抜いた。この年、セットアッパーとして大ブレークした藤川球児監督(45)も出場した。先発下柳剛のあと、6回から2イニングを投げて1失点。本来なら7回の1イニングというところだが、シーズンの勝負どころでリリースエースを前倒しで投入する必殺継投だった。岡田阪神はそれから3週間後、9月29日に2年ぶりのリーグ優勝を決めた。

◆阪神が3連勝を飾り、DeNAも敗れ、ついに優勝マジックは1となった。7日にも2年ぶりの優勝が決定する。歓喜の瞬間を目前にしても、藤川球児監督(45)はいつもと変わらなかった。「今、監督ですから。ちょっと試合が終わったばかりで頭がそんなに動いてないですけど、監督という立場で見届けていますから『さあ、行くか』というところですね」。7日に優勝が決まれば、90年9月8日の巨人を抜いて、2リーグ制後のプロ野球史上最速優勝となるが、意識はしない。「全く、それを考えてスタートしていないので。そういうものには興味がないです。それは運であったり、たまたまそういうところに通りかかることが人生ですから」。どこまでも気持ちを揺らさず、いつも通りの戦い方を見せる。

◆阪神は7日、公式ホームページを更新し「試合観戦に関するお願い」と題して、注意喚起を行った。優勝マジック1で迎える試合。大盛り上がりが予想されているが「阪神甲子園球場での紙ふぶき、紙テープなど物の投げ込みは、試合進行の妨げとなり、固く禁止されておりますのでおやめくださいますよう皆様のご協力をお願いいたします」と呼びかけた。また、混雑を見越して、チームショップアルプス、ファンショップダグアウトおよび球場内タイガースショップは試合途中で閉店する可能性があると周知した。

◆阪神は優勝マジック1で広島戦を迎える。午後6時開始。この日の優勝マジック対象チームは巨人とDeNA。デーゲームで巨人が勝った場合は「他力」ではマジックが減らない。7日に優勝を決めるには、阪神が勝つしかない。DeNAの結果は関係なくなる。巨人が勝ち、阪神が負けると9日以降に持ち越し。8日はセ・リーグの試合がない。2リーグ制後では90年巨人の9月8日が最速優勝。

◆阪神は優勝マジック1で広島戦を迎える。午後6時開始。優勝マジック対象チームは巨人とDeNA。デーゲームで巨人が勝ったため、この日優勝が決まる条件は、DeNAの結果に関係なく「阪神勝ち」だけに絞られた。SNSでは「勝てば優勝、負ければ持ち越し。分かりやすい」「阪神が負けて胴上げのパターンがなくなったのはよかった」と好意的な受け止めもあった。阪神が広島に負けると9日以降に持ち越し。9日からDeNA3連戦(甲子園)がある。8日はセ・リーグの試合がない。2リーグ制後では90年巨人の9月8日が最速優勝。持ち越しだと記録更新できない。

◆阪神の目前での胴上げを阻止したい広島の先発はアドゥワ誠投手(26)が務める。今季ここまで2試合に登板し、0勝1敗、防御率8・00。1軍戦登板は6月12日ロッテ戦以来、約3カ月ぶりとなった。打線は「3番二塁」に羽月隆太郎内野手(25)、「4番遊撃」に小園海斗内野手(25)を起用した。小園の4番は7月15日DeNA戦以来、今季5試合目だ。また「6番右翼」にベテラン広島秋山翔吾外野手(37)が名前を連ねた。

◆優勝マジック1の阪神が独特の雰囲気でプレーボールを迎えた。日曜日ということもあり、プレーボール時点ですでに空席が見当たらないほどの客の入り。初回、2死から森下翔太外野手(25)が左前打で出塁すると異様な盛り上がりを見せた。続く佐藤輝明内野手(26)がヘルメットが脱げるほど強振すると、大きなどよめきが起きた。

◆優勝マジック1の阪神が先制した。2回、先頭の大山悠輔内野手(30)が左翼線二塁打。木浪聖也内野手(31)が右前打でチャンスを広げ、高寺望夢内野手(22)が左翼に犠飛を打ち上げた。木浪も二塁をおとしいれる好判断があり、早くも球場のボルテージは最高潮になった。続く坂本誠志郎捕手(31)も左前打を放った。

◆阪神木浪聖也内野手(31)が起用に応えた。「6番遊撃」で先発。2回無死二塁から鮮やかな右前打でチャンス拡大。その後の先制点につなげた。4回は先頭で中前にクリーンヒットした。1試合2安打は5月28日のDeNA戦(甲子園)以来。今季は4月中旬から小幡竜平内野手(24)にポジションを奪われる格好になり、チームが調子を上げた7月を含む長い2軍生活を過ごした。優勝マジック1で迎えた試合できっちりアピールした。

◆阪神藤川球児監督(45)が危険球を巡って、広島サイドに謝罪した。好投していた先発才木浩人投手(26)が1-0の5回、石原貴規捕手(27)の頭部に死球を当てた。球審は才木の危険球退場を宣告。すかさず藤川監督が心配そうにベンチを出た。ホームベース付近まで来て、広島ベンチに向かって帽子を取って謝意を示した。そのまま投手交代を球審に告げた。4月20日、甲子園での対戦で広島岡本駿投手(22)が阪神坂本誠志郎捕手(31)に頭部死球。藤川監督がベンチを飛び出し、両軍入り乱れて、あわや乱闘の騒ぎになっていた。

◆好投していた阪神才木浩人投手(26)が5回に危険球退場した。4回終了時点で6奪三振3安打無失点と快投。だが1点リードの5回表、先頭の8番石原への初球ストレートがすっぽ抜けて頭部死球に。球審の山村審判がすぐに危険球退場をコールした。チームは試合前時点で優勝マジック1。広島戦に勝利すれば2年ぶりのリーグ優勝が決まる。才木は2年前の23年9月14日巨人戦(甲子園)でもマジック1の状態で7回1失点と快投し、チームをリーグ優勝に導いていた。

◆阪神湯浅京己投手(26)が緊急登板で快投した。1-0で迎えた5回表、先発で好投していた才木浩人投手(26)が先頭の8番石原に頭部死球を当て、危険球で退場。まさかの緊急事態でマウンドに上がり、1イニングを無安打無失点で切り抜けた。無死一塁から代打矢野から犠打アウト。1死二塁で1番中村奨を一邪飛に打ち取ると、2死二塁では2番ファビアンを捕邪飛に仕留め、感情を爆発させた。チームは試合前時点で優勝マジック1。広島戦に勝利すれば2年ぶりのリーグ優勝が決まる。>

◆阪神佐藤輝明内野手(26)が弾丸二塁打で沸かせた。勝てば優勝という異様なムードの試合。5回1死の第3打席で、左腕テイラー・ハーン投手(31)のスライダーをジャストミート。強烈なライナーが左中間の真ん中を抜けていった。阪神ファンの大歓声を浴びながら二塁に走った。この時点で36本塁打、89打点とぶっちぎりの2冠。MVP最有力候補が大事な試合でも役者ぶりを見せた。

◆阪神中野拓夢内野手(29)が今季何度もチームを救ってきた好守を披露した。6回1死で小園海斗内野手(25)の打球は二遊間へ。中野は二塁の定位置から速い出足で打球の正面に入ると、踏ん張りながら一塁に素早くストライク送球。余裕を持って小園をアウトにした。今季も「2番二塁」で故障なく安定稼働。広い守備範囲で安打性の当たりをいくつもアウトにしてきた。犠打はこの時点で2位の倍以上の41をマーク。打率もトップを争う高水準。選手会長は走攻守でチームの要となって活躍している。

◆優勝マジック1で迎えた大一番で好投していた阪神才木浩人投手(26)の危険球退場を受けて、SNS上では、胴上げに参加可能かを気にする声が上がった。広島戦に勝利すれば、2年ぶりのリーグ優勝が決まる大一番の1点リードの5回表、先頭の8番石原への初球ストレートがすっぽ抜けて頭部死球に。球審の山村審判がすぐに危険球退場をコールした。「危険球退場」がSNS上にトレンド入りし、「もし優勝したら、胴上げに参加できるの?」「退場だけども、胴上げになったら参加できる? ビールかけは?」と優勝決定時の才木の動向を気にする声が上がっていた。

◆阪神近本光司外野手(30)が貴重な2点目を挙げた。追加点がほしい1-0の6回。1死三塁から栗林良吏投手(29)のフォークをとらえて中犠飛。大歓声の中、ベンチに戻り、笑顔で仲間からの祝福を受けた。中堅の守備につくと、大きな近本コールが起きた。8月中旬から続いた自己最長のスランプを脱した。4回には内野安打を放ち、4試合連続安打とした。

◆阪神が2年ぶり7度目の優勝を決めた。優勝決定後には祝勝会(ビールかけ)を予定。23年に優勝した際のビールかけは大きな話題を呼んだ。今回も名場面、名せりふが生まれるか。リーグ優勝時は岡田彰布監督が、「本日の主役」のたすきをかけて大はしゃぎするヨハン・ミエセスに、マイクを通して「ミエちゃん、主役ちゃうよ。今日は。成績にちなんだ暴れ方をしてくださいね」と言って笑いの渦に包んだ。ミエセスは、お気に入りのギャグ「そんなのかんけいねー」で応戦した。また日本シリーズ制覇のビールかけでは、中締めのあいさつで平田勝男ヘッドコーチが「宴も竹中直人ですが、日もたっぷり暮れたところで、中締めみゆきとさせていただきます。全国の野球ファンのみなさん、おつかれ生です。コマーシャル待ってます!」とやって、大ウケ。その後、本当にCMに起用される展開となった。平田氏は現在、2軍監督として若手の指導にあたっている。

◆8年目で"ブレーク"を果たした阪神熊谷敬宥内野手(29)が、代打から途中出場した。5回のチャンス。高寺望夢内野手(22)の代打で出たが、あえなく三振。そのまま左翼の守備に入った。見せ場は7回。1死から佐々木泰内野手(22)の詰まった飛球が左翼前に飛んだ。俊足を飛ばして前進すると最後はダイブしてキャッチ。芝生を転がったがボールは離さなかった。この日、頭をさっぱり丸刈りにして登場。シーズン途中から「長かったからさっぱりしたかった」と思い切って丸刈りに。今回は夫人に刈ってもらいといい、仕上がりも完璧だった。今年はユーティリティーの役割を脱して、スタメン出場を一気に増やした。軒並みキャリアハイを更新し、プロ初本塁打もマークした。

◆阪神が2年ぶり7度目のリーグ優勝を飾った。就任1年目の藤川球児監督(45)は、80年生まれ。横浜高から西武に進み、メジャーでも活躍した松坂大輔氏(45=野球評論家)ら、「松坂世代」では初の優勝監督になった。昨オフに、NPBでは19年に楽天監督として指揮を執った平石洋介氏(45=日刊スポーツ評論家)以来、同世代2人目の監督に就任。平石氏は楽天時代にCSに進出したが、リーグ優勝はならなかった。藤川監督は、現役時代に日米通算245セーブ、164ホールドを挙げた。特例での承認で同世代では初の名球会入りも果たしている。今季の指揮を執るにあたり、藤川監督は同じ世代で、オリックスコーチ時代に3連覇経験のある小谷野栄一氏(44)を1軍チーフ打撃コーチ、2軍に梵英心打撃コーチ(44)を招聘(しょうへい)。現役時代にJFKを組んだ久保田智之2軍投手コーチ(44)、江草仁貴同投手コーチ(45)、工藤隆人2軍外野守備走塁コーチ(44)ら「松坂世代」のサポートもあり常勝チームを構築した。

◆阪神が2年ぶり7度目のリーグ優勝を決めた。6日に優勝マジックを「1」とし、一気にゴールテープを切った。90年巨人より1日早い、2リーグ制後最速の優勝決定になった。藤川球児監督(45)は就任1年目。新人監督が優勝に導くのは、球団初の快挙だった。頂点までの道は、藤川監督の視野の広いマネジメントが光った。昨季の1、2軍総入れ替え数134回に対し、今季はここまで199回。現時点でシーズン225回ペースと、大きく上回る。選手の状態を繊細に見極め、積極的に入れ替えを行った。リリーフ投手出身だけに、特にブルペンの整備には隙がなかった。「ブルペンはチームの心臓」と語り、主力にも休養を取らせながら戦った。その分、若手らにもチャンスが巡ってくる好循環が生まれた。野手も新戦力や新たに台頭した選手を加えた。複数ポジション制をとり、選手起用の幅を広げた。左翼のレギュラーを決めず、登録ポジションにこだわらず何人もの若手を参戦させたのが象徴的だ。バイプレーヤーで控えていた熊谷敬宥内野手(29)は先発でも積極起用。もともとの高い能力を余すことなく発揮。現役で一緒にプレーした選手たちも多く、コミュニケーションを取りながら適材適所で起用した。20年に引退した藤川監督は、コーチ経験がない状態で球団に白羽の矢を立てられて1軍監督に就任。球団90周年の節目に期待に応えた。恩師である岡田彰布氏(67)からチームを引き継ぎ、強固な軍団を作り上げた。藤川球児(ふじかわ・きゅうじ)1980年(昭55)7月21日、高知県生まれ。高知商2年夏に甲子園出場。98年ドラフト1位で阪神入団。05年、ウィリアムス、久保田との救援トリオ「JFK」の中核を担いリーグ優勝に貢献。06年途中から抑えを務め、07年の46セーブはセ・リーグ最多タイ。12年オフにFAでカブス移籍。15年にレンジャーズへ移籍し、自由契約となった後は独立リーグ四国IL・高知に加入。16年に阪神復帰。20年限りで引退。NPBでは782試合に登板し、60勝38敗、防御率2・08。通算243セーブは歴代6位。引退後は球団本部付スペシャルアシスタント(SA)を務め、25年から1軍監督。185センチ、90キロ。右投げ左打ち。今季推定年俸8000万円。

◆阪神が2年ぶり7度目のリーグ優勝を決めた。6日に優勝マジックを「1」とし、一気にゴールテープを切った。90年巨人より1日早い、2リーグ制後最速の優勝決定になった。開幕から上位を争い、5月17日に首位に返り咲くと、最後まで1度も譲らなかった。交流戦で7連敗と足踏みしたが、6月28日から7月10日まで11連勝で5球団を置き去りにした。7月30日に優勝マジック39が初点灯。勢いを落とすことなく勝ち続け、リーグの貯金を独占(7日現在)。歴史的な圧勝劇で、昨年は最後まで競り合った巨人から覇権を奪い返した。今季就任した藤川球児監督(45)の下、選手が十分に力を発揮した。23年の優勝メンバーがベースになった。彼らが成熟し、故障なくシーズン通して働いたのが大きかった。特筆すべきは佐藤輝明内野手(26)の活躍だ。開幕は3番。4月に4番に移り、同月までに9本塁打。状況に応じた打撃で打点を稼ぎ、40本塁打、100打点も射程圏内。5年目でついに大器が花開いた。MVP確実とも言われる主砲が、強さの象徴となった。3年目の森下翔太外野手(25)も成績を大きく伸ばし、勝利打点リーグトップと勝負強さが目立った。投手陣は村上頌樹(25)や才木浩人(26)らを中心に豊富にそろった。リリーフ陣では石井大智(28)が連続無失点の日本記録を大きく更新する大活躍。ブルペンは戦いながら厚みを増した。7月上旬からの約1カ月間はチーム防御率が驚異の1点台を記録。この時期にチームも勝ちを重ねて独走態勢を固めた。守備面も捕手の坂本誠志郎(31)、二塁の中野拓夢(29)、中堅の近本光司(30)とセンターラインが柱となり、三塁の佐藤輝も大きく守備力が改善。投手も含めたディフェンス力が安定した戦いを支えた。23年と同じく、ほぼ全員がドラフトで入団した生え抜きだ。近本、佐藤輝、森下に大山悠輔内野手(30)とドラフト1位もずらりと顔を並べる。外国人やFA補強に頼らないチーム編成の勝利でもあった。藤川監督はまだ45歳。20年限りで引退後、コーチ経験もなく重責を担うことになったが、繊細なマネジメントでチームを統率した。阪神の新人監督では初の貯金30を突破。初年度の優勝も初めてだ。今年は球団創設90周年。OBを球場などに招いたイベントを定期的に行い、ファンも含め、伝統球団の歴史を再認識するシーズンだった。節目の年に、次世代リーダーが最高の結果を導いた。球団にとっても大きな意義のある1年となった。藤川球児(ふじかわ・きゅうじ)1980年(昭55)7月21日、高知県生まれ。高知商2年夏に甲子園出場。98年ドラフト1位で阪神入団。05年、ウィリアムス、久保田との救援トリオ「JFK」の中核を担いリーグ優勝に貢献。06年途中から抑えを務め、07年の46セーブはセ・リーグ最多タイ。12年オフにFAでカブス移籍。15年にレンジャーズへ移籍し、自由契約となった後は独立リーグ四国IL・高知に加入。16年に阪神復帰。20年限りで引退。NPBでは782試合に登板し、60勝38敗、防御率2・08。通算243セーブは歴代6位。引退後は球団本部付スペシャルアシスタント(SA)を務め、25年から1軍監督。185センチ、90キロ。右投げ左打ち。今季推定年俸8000万円。

◆広島が今季5度目の4連敗を喫した。阪神のリーグ優勝の瞬間を目の当たりにする悔しい敗戦。昨年9月28日には本拠地マツダスタジアムで巨人の胴上げを許しており、2年連続で屈辱を味わった。先発アドゥワ誠投手(26)は2回無死一、三塁から阪神高寺望夢内野手(22)に先制の左犠飛を許した。その後は粘って4回1失点で降板も、打線の援護がなかった。6回に登板した3番手の栗林良吏投手(29)が1死三塁から近本光司外野手(30)に中犠飛を許し、0-2。打線は阪神リリーフ陣に抑えられた。昨年は9月に5勝20敗で大失速したが、今年もここまで1勝5敗。CS争いの中、痛い連敗となった。

◆阪神が2年ぶり7度目のリーグ優勝を決めた。過去の優勝決定シーンを振り返る。★2023年9月14日巨人戦(甲子園)9回に抑えの岩崎優が登板。同年に脳腫瘍で亡くなった同期入団の横田慎太郎さんの登場曲である、ゆずの「栄光の架け橋」でマウンドに上がった。最後は二飛を中野拓夢が捕球した。★2005年9月29日巨人戦(甲子園)藤川球児監督もその一角を担った勝利の方程式「JFK」が3人とも登板。9回は主に抑え投手を務めていた久保田智之が投げて、最後は左飛を4番左翼の金本知憲がつかみグラブを突き上げた。★2003年9月15日広島戦(甲子園)1-2とリードされた展開から8回に同点。9回裏に赤星憲広がサヨナラ打を放ち、この時点でマジック1とした。試合終了から2時間8分後。対象のヤクルトが敗れた瞬間、ナインはベンチから飛び出した。★1985年10月16日ヤクルト戦(神宮)9回に5-5の同点に追いつくと、守護神の中西清起が登板。延長10回、投ゴロを捕球し一塁に送球。引き分けで21年ぶりのリーグ優勝が決定した。★1964年9月30日中日戦(甲子園)優勝マジック1で迎えた、中日とのダブルヘッダー第1試合に12-3で勝利し2年ぶりのリーグ制覇決定。第2試合終了後、ファンがグラウンドへなだれ込み、監督、選手を次々と胴上げした。★1962年10月3日広島戦(甲子園)シーズン最終戦で小山正明が、3安打完封勝利。同年に沢村賞を受賞した右腕が、初回から歓喜の瞬間までマウンドに立ち続けた。

◆阪神が2年ぶり7度目のリーグ優勝を決めた。投手も野手も、脂ののった30歳前後の選手らが躍動。3シーズンで2度の優勝を果たし、昨季も終盤まで首位の座を争った2位と、強さを見せ続けている。投手では才木浩人投手(26)が勝利数リーグ1位で、3位に村上頌樹投手(27)。同学年のエース格2人が、白星を多く積み重ねている。野手は本塁打1位が佐藤輝明内野手(26)で、2位は森下翔太外野手(25)。打点では1位佐藤輝、2位森下、3位が大山悠輔内野手(30)と、虎戦士が3位以内を独占中だ。投打ともに、今後の活躍継続に期待がかかる世代の選手が、リーグ内でもトップクラスの成績を残している。

◆阪神畠世周投手(31)が、「1人2連覇」を達成した。阪神が2年ぶり7度目のリーグ優勝が決定。昨オフの現役ドラフトで阪神から指名を受け巨人から移籍してきた畠にとっては、自身2連続となるリーグ優勝となった。移籍1年目の今季は開幕直後に「右中指のコンディション不良」からリハビリ調整を続け、マジック1桁台の優勝へのカウントダウンに入った9月3日中日戦(バンテリンドーム)で初登板。前日6日の広島戦では本拠地甲子園で移籍後初のホールドも手に入れた。「あと数試合しかないですけど、1試合でも多く投げたいなと思います」。巨人時代の18年はCSで、20年優勝時は日本シリーズでソフトバンクとも戦った。リーグ優勝の先に控える戦いでの出番はまだまだありそうだ。

◆阪神は2年ぶりのリーグ優勝を飾った。優勝マジック1で迎えた試合を2-0で勝ち切った。2点リードの9回。栄光のマウンドに指名されたのは今回も岩崎優(34)だった。中飛、空振り三振で2死。盛大な「あと1人コール」が鳴り響く中、秋山翔吾外野手(37)を中飛に打ち取った。近本光司外野手(30)が余裕を持って飛球をつかむと、ベンチから一斉に選手が飛び出し、岩崎を中心にあっという間に喜びの輪ができあがった。ブルペンからも選手が駆けつけた。大きな輪に向かって藤川監督が拍手しながらゆっくりと近づき、岩崎と抱擁をかわした。満面笑顔のまま、マウンド付近で監督の胴上げが始まった。岩崎は藤川球児監督(45)の現役時代の登場曲だったLINDBERGの「every little thing every precious thing」をバックに登場した。観客も大声で歌った。藤川監督は現役当時、セットアッパー、クローザーとして大活躍。阪神ファンは雄姿をこの曲とともに記憶に刻んでいる。前回優勝時の23年9月14日は岩崎が、ゆずの「栄光の架橋」で9回のマウンドに上がった。同年7月に脳腫瘍(しゅよう)のため、28歳の若さで亡くなった横田慎太郎さんが愛用していた登場曲。同期の岩崎は「横田の思いも背負っていこうと思って変更をお願いした」と明かした。横田さんの背番号24のユニホームを手に胴上げされた。

◆阪神嶌村聡球団本部長(57)が、就任1年目からチームをリーグ優勝に導いた藤川球児監督(45)の手腕を絶賛した。「岡田顧問の教え子である藤川監督が指揮官になって、それでまた優勝できたというのは時代をつないでいるという感覚が非常に強い。チームの連続性は僕は非常に大事だと思っているので、そういう意味では2年前とは違う喜びがまたある」と今回の優勝の意義を分析。その結果を導き出した要因は「監督の仕事は人作り、チーム作り、そして当日の試合作り。1年目から的確にされていると思う」と評価。「阪神タイガースは連続性があって永続していくものであるというとらえ方でやってる気がするし、それはありがたい話」と小幡、高寺らを1軍戦力に育てた功績にフロントとして感謝した。

◆阪神が4連勝で、2年ぶり7度目のリーグ優勝を果たした。2位巨人に17ゲーム差、貯金33と圧倒的な強さを見せた独走優勝だった。90年巨人より1日早い、2リーグ制後最速の優勝決定。また就任1年目の藤川球児監督(45)は、新人監督として優勝に導く球団初の快挙を成し遂げた。先制は2回。先頭の大山悠輔内野手(30)が左翼線二塁打で出塁。木浪聖也内野手(31)が右前打でチャンスを広げ、高寺望夢内野手(22)が左翼に先制犠飛を打ち上げた。5回にはまさかの事態が起きた。4回終了時点で6奪三振3安打無失点好投を続けていた才木浩人投手(26)が、石原への直球がすっぽ抜けて頭部死球。危険球退場となった。それでも2番手湯浅京己投手(26)が無死一塁から、無安打無失点と好リリーフ。球場のボルテージは最高潮に高まった。1-0のまま迎えた6回。坂本誠志郎捕手(31)の二塁打で好機をつくり、1死三塁から近本光司外野手(30)が貴重な2点目となる中犠飛を放った。完封勝ちは今季26度目。8回に登板した石井大智投手(28)はこの日も無失点に抑え、自身の日本記録を更新する48試合連続無失点。連続無失点イニングは47とし、小山正明に並ぶ球団2位となった。最終回に登板したのは、岩崎優投手(34)。藤川監督の現役時代の登場曲LINDBERGの「every little thing every precious thing」で登場。見事に完封リレーを完成させ、2年前に続く胴上げ投手となった。

◆阪神の史上最速優勝を中心でけん引したのは、間違い無く佐藤輝明内野手(26)だった。今季3月28日、広島との開幕戦では初打席初本塁打。12球団の今季最速弾となる、1号本塁打で最高の幕開けを決めた。直後に17打席無安打と不振に陥るも、脱却して以降はすさまじかった。4月終了時点で9本塁打をマーク。シーズン51発ペースでアーチを量産していった。6月5日の日本ハム戦(エスコンフィールド)では、自身通算100号本塁打も達成。8月8日ヤクルト戦(京セラドーム大阪)では、初の大台となる今季30号にも両リーグ最速で到達した。開幕当初は3番での出場が続いていたが、4月15日ヤクルト戦(松山)で配置転換。同戦以降は出場全試合で4番に座り、「3番森下」、「4番佐藤」の並びが定着した。昨季23失策を犯した守備面も、大幅に改善。投手を助ける好守はあっても、ピンチを広げるミスはほとんどなかった。23年、24年の2年間は三塁で固定されてきた中、今季は開幕前から藤川監督に外野での起用も示唆されていた。26試合で右翼手として出場し、自身初となる左翼も1試合守った。ブランクを感じさせない身のこなしを見せた。まさに自身の殻を打ち破る1年となっている。4球団競合の末、20年ドラフト1位で阪神に入団。1年目から24本塁打を放つなど、期待に違わぬパワーを見せてきた。一方で同年の24本塁打が自身のキャリアハイとなっていた。今季のセ・リーグは巨人岡本やヤクルト村上、DeNAオースティンの離脱などもあり、本塁打レースを常に独走し続けた。球団では86年のバース以来39年ぶりとなる本塁打王獲得も、ほぼ確実と言っていいだろう。「大器」と言われて迎えたプロ5年目。とうとう完成のときを迎えた。

◆阪神はクライマックスシリーズ(CS)に10月15日開始のファイナルステージ(甲子園)から出場し、リーグ2位と3位の勝者と対戦する。4戦先勝方式で、阪神は1勝のアドバンテージでスタート。岡田前監督が率いた23年以来、2年ぶり3度目の日本一を目指す。阪神の貯金33に対し、現時点で2位以下の全チームが借金を抱えており、どのような状況でCSを迎えるかも注目される。

◆阪神が2年ぶり7度目のリーグ優勝を決めた。 6日に優勝マジックを「1」とし、一気にゴールテープを切った。90年巨人より1日早い、2リーグ制後最速の優勝決定になった。阪神の球団創設から90年の戦いを一覧で振り返ります。

◆阪神が2年ぶり7度目のリーグ優勝を決めた。 6日に優勝マジックを「1」とし、一気にゴールテープを切った。90年巨人より1日早い、2リーグ制後最速の優勝決定になった。阪神の2025年シーズンの戦いぶりを一覧で振り返ります。

◆甲子園球場に、藤川球児監督(45)が現役時代の登場曲、LINDBERGの「every little thing every precious thing」が流れ、SNS上が沸いた。2点リードの9回に岩崎優投手(34)の名がコールされると、同曲が流された。球場内では、観客たちが熱唱する様子もあった。SNS上では、「岩崎、球児の登場曲使ってるのガチエモいな」「こんなん泣くわ」「イイ登場曲」などと書き込まれていた。LINDBERG渡瀬マキ、優勝した阪神藤川監督を称える「こんなすぐ実現となるとはさすが!」

◆広島が今季5度目の4連敗を喫した。阪神のリーグ優勝の瞬間を目の当たりにする悔しい敗戦。昨年9月28日には本拠地マツダスタジアムで巨人の胴上げを許しており、2年連続で屈辱を味わった。新井貴浩監督(48)は優勝した阪神について「軸となる選手がしっかりしている。層が厚いというのにもつながるし、純粋に強い。中心選手に脂ののった選手がたくさんいる。顔ぶれを見ても、この強さはしばらく続くと思わせるぐらい」と実力を認めた。

◆甲子園にウエーブが起きた。2年ぶり優勝を決め、藤川球児監督(45)の場内インタビューを待つ間に、右翼席あたりから自然発生。一塁側を通って、バックネット裏、三塁側へと移ったところで、藤川監督が登場し、さらに大きな歓声へと変わった。

◆阪神が4連勝で、2年ぶり7度目のリーグ優勝を果たした。2位巨人に17ゲーム差、貯金33と圧倒的な強さを見せた独走優勝だった。90年巨人より1日早い、2リーグ制後最速の優勝決定。勝利が決まると、選手たちはマウンドに集結。藤川監督はその後ゆっくりと、拍手しながら歩み出した。ナインの手で5度、甲子園の空を舞った。藤川監督は第一声で「いやあ、選手たちは強いわ」ときっぱり。「胴上げは、ファンの皆さまを代表して上がっているような気持ち。本当に皆さんの応援があってここまで来ました。最高の気持ちです」。充実の表情の指揮官に、ファンも割れんばかりの大歓声で応えた。

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◆阪神が2年ぶり7度目のリーグ優勝を決めた。6日に優勝マジックを「1」とし、一気にゴールテープを切った。90年巨人より1日早い、2リーグ制後最速の優勝決定になった。独走Vの中心にいたのは「神ドラフト」の選手たちだった。20年ドラフト指名選手で、現在1軍登録されているのは7人。4球団競合で1位指名された佐藤輝明内野手(26)は、今季4番に君臨。12球団トップの本塁打、打点をマークし打線をけん引した。同5位の村上頌樹投手(27)は11勝3敗と、才木とともに先発ローテの柱として活躍。2位の伊藤将司投手(29)もここまで4勝1敗と貢献している。中でも特筆すべきは、下位指名となった選手。6位の中野拓夢内野手(29)は二塁のレギュラーとして、首位打者争いにからむ。20年の12球団支配下ラスト指名となった石井大智投手(28)は、8月22日のヤクルト戦(神宮)で日本記録に続いてメジャー記録も超える、41試合連続無失点を達成した。この年唯一の高卒選手となった高寺望夢内野手(22)は、キャリアハイを大幅に更新する54試合に出場し、優勝がかかるこの日も「7番左翼」でスタメン出場。それぞれの持ち場で輝きを見せた。阪神2020年ドラフト指名選手1位 佐藤輝明内野手(近大)2位 伊藤将司投手(JR東日本)3位 佐藤蓮投手(上武大)4位 栄枝裕貴捕手(立命大)5位 村上頌樹投手(東洋大)6位 中野拓夢内野手(三菱自動車岡崎)7位 高寺望夢内野手(上田西)8位 石井大智投手(四国IL高知)育成1位 岩田将貴投手(九産大、現DeNA)

◆阪神坂本誠志郎捕手(31)が万感の思いで優勝の瞬間を迎えた。ファンの間で「坂本が陰のMVP」の声が上がっている。今季も梅野隆太郎捕手(34)との併用でスタート。打撃の好調さもあって、先発マスクをかぶる割合が増えていった。研究と緻密なコミュニケーション、観察力に感性をかけ合わせて、若手から実績組までの投手陣を導いた。一時期はチーム防御率が1点台になり、投手の奮闘が注目された。だが、目の前の数字に惑わされず、チーム防御率にはこだわらなかったという。「本当に突き詰めれば、最後の27個目のアウトの時に1点勝っていたらいい。チームが勝つことが一番大事だから」と言い切る。試合の中だけでなく、1シーズンを見通す策略もあった。バットも好調で、6月には4年ぶりの本塁打。打順は6~8番だが四球はリーグ上位。つなぎの役割をこなしたかと思えば、得点圏打率も3割中盤。規定打席未満ながら、下位打線のキーポイントとなった。試合数も打席数もキャリア最多を更新した。昨オフ、FA権を行使せずに残留。4年契約を結んだ最初の年にベストシーズンを迎えた。兵庫県出身で小学校時代からの生粋の捕手。プロ10年目で、まばゆく輝いた。

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◆阪神が2年ぶりのリーグ優勝を決めた。藤川球児監督の場内インタビューが行われたあと、グラウンド上に選手が整列し、優勝セレモニーが行われた。日本プロ野球の榊原定征コミッショナーから藤川球児監督に優勝ペナント、優勝トロフィーが授与された。藤川監督は高々とトロフィーを掲げ、360度回ってファンに誇らしげに見せた。その後、監督と選手会長の中野拓夢内野手が先頭になって、大きく広げたペナントとともに、ゆっくりとフェンス沿いを1周。全員での記念撮影も行った。ファンは「六甲おろし」を大合唱した。最高のムードに酔いしれた。

◆阪神の前監督、岡田彰布オーナー付顧問(67)も優勝の瞬間を甲子園で迎えた。スーツ姿で来場。グラウンド上での優勝記念撮影では他の球団関係者とともに、選手との記念撮影におさまった。岡田顧問は1度目の監督だった05年に藤川球児監督(45)をセットアッパーに据えて優勝。監督復帰した23年にもリーグ優勝、日本一を達成。24年限りで退任し、藤川監督に引き継いだ。

◆広島が今季5度目の4連敗を喫し、2年連続で目前胴上げの屈辱を味わった。先発アドゥワが4回1失点の粘投。その後、ハーン、栗林、島内、森浦と勝ちパターンの投手を起用した。新井貴浩監督(48)は「諦めないぞという起用。日曜ということもあったし、逆転するぞという起用です」と説明。だが、打線がつながらずに完封負け。9月に入って1勝5敗。3位DeNAと4ゲーム差に開いた。

◆虎党を公言するパリオリンピック(五輪)レスリング女子76キロ級金メダリストの鏡優翔(23=サントリー)が、自身のSNSに優勝マジック1の甲子園で現地観戦したことを明かした。インスタグラムのストーリーズ機能には、「私の夏休み最終日」とつづり、続けて、「山形→東京→甲子園」と投稿。撮影した球場内の写真も掲載した。昨秋には、甲子園で始球式を行い、今年2月には阪神・宜野座キャンプに訪れていた。なお、2年前の23年のリーグ優勝決定日は、鏡の22歳の誕生日だった。

◆リーグトップタイ12勝と引っ張ってきた阪神才木浩人投手(26)は、まさかの緊急降板となった。5回に広島先頭石原への頭部死球で危険球退場。それまでは快調だった。初回と2回に2者連続三振など、4回までに毎回空振り三振があり6つの三振を奪った。前回の優勝が決まった、23年9月14日巨人戦(甲子園)も先発。2回連続の勝利投手とはならずも「うれしい。このチームは強い」と喜んだ。相手ベンチには一礼。「申し訳ない。何もなく喜ぶのはできないし違う」と明かした。

◆広島が今季5度目の4連敗を喫した。阪神のリーグ優勝の瞬間を目の当たりにする悔しい敗戦。昨年9月28日には本拠地マツダスタジアムで巨人の胴上げを許しており、2年連続で屈辱を味わった。先発アドゥワ誠投手(26)は2回無死一、三塁から阪神高寺望夢内野手(22)に先制の左犠飛を許した。その後は粘って4回1失点の粘投。その後、テイラー・ハーン投手(31)、栗林良吏投手(29)、島内颯太郎投手(28)、森浦大輔投手(27)と勝ちパターンの投手を起用したが、打線が阪神リリーフ陣に抑えられて完封負けを喫した。昨年は9月に5勝20敗で大失速したが、今年もここまで1勝5敗。CS争いの中、痛い連敗。3位DeNAとは4ゲーム差に開いた。

◆阪神が4連勝で、2年ぶり7度目のリーグ優勝を果たした。2位巨人に17ゲーム差、貯金33と圧倒的な強さを見せた独走Vだった。90年巨人より1日早い、2リーグ制後最速の優勝決定。藤川球児監督(45)が「この143試合はペナントレース。ペナントをとる、1チームだけがチャンピオンですから。我々がチャンピオンです!」と力強く言うと、割れんばかりの拍手が起こった。史上最速優勝について問われたると「何が強かったかということが、皆さまにまだ分からない。そのあたりが本当の強さだと思います。1つのアウトをとるために、見えないところでいろんなことをやってきました。私は本当に何もしてないですね」と話した。次はCS、日本シリーズへ。「3月にはドジャースとカブスに勝ちましたから。タイガースの伝統を次につないでいただいて、世界に誇れるタイガースにしていきましょう!」。高らかに宣言した。

◆阪神が2年ぶりのリーグ優勝を決めた。36本塁打、89打点で打撃2部門をぶっちぎる佐藤輝明内野手(26)は藤川球児監督(45)と抱き合い、会心の笑みで仲間と歓喜の輪に加わった。「いやもう、最高です。シーズン通してね、まだ終わってないですけど、ここまでいい活躍できたので。このためにやってるようなもんなんで、今日は最高です」と笑った。

◆阪神森下翔太外野手(25)は新人だった23年に続く2度目の優勝となった。「とりあえずうれしいです。ほっとしています。この瞬間のために頑張ってきたので。ずっと首位争いするのはきついものがありますし、自分が結果を出せなかった時もあった。結果的に優勝をみんなで分かち合えたのでよかった。(前回は)1年目でがむしゃらにやっていたのもありましたけど、今回の優勝はチームとして動けて、貢献できた。より優勝メンバーの中心にいられたのかなと思います。来年は追われる身になる。より厳しい戦いになる。うまくはいかないと思う。こうやって最後の最後まで粘り強くいきたいと思います」

◆阪神が4連勝で、2年ぶり7度目のリーグ優勝を果たした。2位巨人に17ゲーム差、貯金33と圧倒的な強さを見せた独走Vだった。90年巨人より1日早い、2リーグ制後最速の優勝決定。藤川球児監督(45)が優勝決定直後のインタビューで心境を語った。-甲子園のマウンドで5度胴上げ「胴上げは、ファンの皆さまを代表して上がっているような気持ち。本当に皆さんの応援があってここまで来ました。最高の気持ちです」。-ここまでの道のりを振り返って「毎日が非常に長く感じていたんですけど、今考えてみると、昨日まであそこ(放送席)で解説をしていたような、それだけ一瞬で過ぎ去ったような。それはやっぱり選手たちが強いから。本当に心強い選手たちです」-岩崎が藤川監督の現役時代の登場曲を使った「後ろで隠れてました(笑い)。現役の時は5年前になるんですけど。ただ5年前に現役でともにプレーした選手たちがいるので、時に選手側の気持ちに戻りそうになるんですけど、それをぐっとこらえて、この仕事を務めていたので、本当にとにかく選手たちに助けられました」-史上最速優勝「何が強かったかということが、皆さまにまだ分からない。そのあたりが本当の強さだと思います。1つのアウトをとるために、見えないところでいろんなことをやってきました。私は本当に何もしてないです」-この優勝の経験を今後にどう生かしていく「この143試合はペナントレースという競技。ペナントをとる、1チームだけがチャンピオンですから」

◆阪神石井大智投手(28)が8回の1イニングを無失点に抑え、自身の日本記録を更新する48試合連続無失点を達成した。「2年前と違う。達成感もある。でも2年前よりはドキドキしなかったですね。去年優勝を逃した時からそこだけを見てやってきたので。そこは素直に喜びたい。まだ5年目ですけど、また来年もすごく自分にとって苦しいことがあると思うんですけど、そこはどんなことがあっても前を向いて。自分なりに自分の進むべき道を頑張っていきたいなって感じですね」無失点記録は継続中。「試合」に続いて、イニング数でも大記録が迫る。この日で球団2位の小山正明の47イニングに並んだ。球団1位は藤川監督の47回2/3。これで「王手」となった。記録についても語った。「もう野手の皆さんのおかげです。休ませていただく時は徹底的に休ませていただいて、その次の日を迎えることができる。本当にコンディショニングが整えやすかった。それがなかったら、やっぱりしんどい。監督のアドバイスや管理がなければ、30試合いかないぐらいで今シーズンは終わったかなっていう気持ち。すごくありがたいなと思います」

◆阪神の5番大山悠輔内野手(30)は優勝決定ゲームも効果的な働きを決めた。2回先頭で左翼線二塁打。無死一、三塁から7番高寺の先制犠飛で決勝のホームインだ。今季は3番森下、4番佐藤輝の後ろで「縁の下の力持ち」を体現。得点圏打率3割2分3厘、リーグ3位の66打点で打線の潤滑油となった。優勝後は「もっと良くなる方法がある。チーム全員で見つけていきたい。まだまだシーズンは続く。喜んだあとはメリハリをつけて準備したい」と力を込めた。

◆阪神中野拓夢内野手(29)は藤川球児監督(45)に続いて胴上げされた。選手会長として初の優勝。プレーでも引っ張った。「率直にうれしい。本当に、全員が喜んでいる姿を見て、1年間、まだ終わっていないですけど、ここまで頑張ってきて良かったなと思います。自分(の体重)が軽かったかもしれないですけど、だいぶ上まで上がっていたので、なんかすごく気持ちいいなと思って。初めての感覚だった。みんなが自分の名前を呼んでくれて、すごくうれしかったですね。2年前は近本さんが会長。自分が会長になって優勝はうれしい。引っ張ってこられたかは分からないけど、いい役割ができて優勝できたので、良かった。今のチームは強いと、一緒にやっていても思います。そのチームの選手会長ができて、幸せだなってすごく思っています」

◆阪神近本光司外野手(30)が優勝のウイニングボールをつかんだ。貴重な2点目となる犠飛も打った。1番打者として今季もけん引。8月に自己最長の38打席ノーヒットの期間があったが、無事に優勝を勝ち取り「本当にホッとしてます」と切り出した。「僕らはいつも通り。球場も浮足立った感じはなかった。9回はいい雰囲気になりましたけど、それまでも、いい雰囲気で試合運びができていたんじゃないかなと思います。焦らず、雰囲気にのみ込まれず、自分たちの野球ができたんじゃないかな。(今季は)野球人生の中ですごく意味のある1年になるのかな。これが野球人生の分岐点になるかもな、と。すごくいい1年でした。しっかりけがなくシーズン最後までやれるよう意識しながら頑張っていきます」

◆阪神岩崎優投手(34)がまた胴上げ投手になった。9回を3人切り。坂本と抱き合い、仲間の中心で喜んだ。藤川監督の現役時代の登場曲、LINDBERGの「every little thing every precious thing」で登場するとファンも大合唱。「(選曲は)いろいろな思いがある。それについて監督と話さなかった。2年前と比べるものじゃないが、このために1年間やってきたので最高」とかみしめた。

◆2年ぶりのリーグ優勝を果たした阪神は、優勝記念グッズの発売概要を発表した。販路によって販売開始日が異なり、購入できる数にも限りがある。詳しくは球団公式ホームページで。

◆阪神が4連勝で、2年ぶり7度目のリーグ優勝を果たした。2位巨人に17ゲーム差、貯金33と圧倒的な強さを見せた独走優勝だった。ニッカンコムでは、選手や監督だけでなく、虎党著名人の喜びコメントから恒例の道頓堀ダイブまで優勝関連の記事、写真をまとめました。阪神ファンのみなさん、おめでとう!【阪神】2年ぶりリーグ制覇 球団90周年に史上最速Vの圧勝劇 生え抜き選手の成熟際立つ【阪神】最高や!藤川球児監督トロフィー掲げる 優勝ペナント広げ甲子園1周 六甲おろし大合唱【阪神】独走Vの藤川球児監督高らかに宣言「我々がチャンピオン」「世界に誇れるタイガースに」【動画】阪神史上最速V決定の瞬間 近本がセンターフライを捕り大歓声の中岩崎に駆け寄るナイン【動画】阪神2年ぶり7度目リーグV!本拠地甲子園の大歓声の中、5回宙を舞う藤川球児監督【阪神】MVP有力候補の佐藤輝明が興奮「もう最高。このためにやっているようなもの」【阪神】森下翔太「1年目はがむしゃら。今回は貢献できた。より優勝メンバーの中心にいられた」【阪神】危険球退場の才木浩人は胴上げに加わるも...「何もなく喜ぶのはできない」広島ベンチに礼【阪神】守護神・岩崎のコールで...藤川監督の現役時代の登場曲 SNS「ガチエモい」「泣く」【阪神】また胴上げ投手!岩崎優が登場曲で9回締める 2年前は「栄光の架橋」今回も特別版で【阪神】「陰のMVP」坂本誠志郎 先を読む策略家「27アウト目で1点勝つ」防御率への考え【阪神】阪神過去の優勝決定シーンは? サヨナラ打の後に待機...引き分けで歓喜も【阪神】藤川球児監督の手腕を絶賛「人作り、チーム作り。1年目から的確」嶌村球団本部長【阪神】クライマックスシリーズは10・15ファイナルステージから出場 2年ぶり日本一目指す【阪神】藤川球児監督が現役時代のリンドバーグ登場曲に照れる「後ろで隠れてました」/一問一答【阪神】石井大智、無失点記録のイニングにも王手「監督の管理がなければ30試合で終わってた」【阪神】選手会長の中野拓夢も胴上げされる「今のチームは強い、一緒にやっていても思います」【阪神】さすがの勝負強さ!5番大山悠輔が先制点の口火「もっと良くなる方法を全員で...」【阪神】近本光司はホッと一息「野球人生の中ですごく意味のある1年。分岐点になるかも」【阪神】2年前に続き岩崎優が胴上げ投手「いろいろな思いある」...藤川監督の登場曲を選曲【阪神】優勝記念グッズ発売へ 販路によって販売開始日が異なり、購入できる数にも限り【阪神】大山悠輔、FA権行使して残留初年度の優勝に思い「1つ目標を達成できましたけど...」【阪神】坂本誠志郎「石原君には申し訳ない」優勝直後に謝罪...才木が石原に頭部死球で危険球退場【阪神】湯浅京己が祝勝会中締め「おつかれ生です」ドリスは「タイガースヤバスギ!」感謝も【阪神】優勝決定打は高寺望夢「最低限の仕事はできたかなと」スーパーサブが輝く【阪神】2年ぶり7度目リーグV!2位巨人に17ゲーム差 貯金33 史上最速の圧倒的強さでV【阪神】セ界最速優勝の藤川球児監督が5度甲子園の空舞う「いやあ、選手たちは強いわ」【阪神】光った藤川球児監督のマネジメント 総入れ替え数は199回 昨季134回すでに上回る【阪神】佐藤輝明が歩んだ殻打ち破る25年 12球団最速弾に100号...「大器」完成の1年に【阪神】「黄金時代」や!直近3シーズンで2度V 才木浩人、佐藤輝明...投打で脂のる選手が躍動【阪神】独走Vの中心は「神ドラフト」!佐藤輝、中野、石井ら7人が1軍で優勝の瞬間迎える【阪神】畠世周「1人2連覇」現役ドラフト移籍1年目 出遅れも9月初登板、初ホールドも記録【阪神】岡田彰布前監督が来た!スーツ姿で全体記念撮影におさまる 2度Vのレジェンド監督【広島】新井監督 優勝の阪神に脱帽「純粋に強い。この強さはしばらく続くと思わせるぐらい」【中日】井上監督、独走Vの阪神に「いいお手本...佐藤輝明の急成長は認めざるを得ない」【山田久志】阪神藤川監督のゲームの流れ、先を読んだ選手起用 3番森下、4番佐藤輝が大ヒット【梨田昌孝】阪神、新人藤川監督の功績 石井大智、及川雅貴がブルペン救世主 佐藤輝明の4番も【今岡真訪】阪神Vは意識の高さの継続が生んだ結果 大転換だったと思わせる優勝になるかも【阪神】史上最速リーグ優勝決定の瞬間に!若者2人が「道頓堀Vダイブ」決行山本彩「とらほーー !!   !!  リーグ優勝や」阪神2年ぶりリーグ優勝6秒後に祝福LINDBERG渡瀬マキ、優勝した阪神藤川監督を称える「こんなすぐ実現となるとはさすが!」有働由美子、大ファン阪神の優勝が石破首相辞任と丸かぶり「有働Times」序盤は政界報道一色「とにかく"最高!"のひとことです」グラドル塩見きら、阪神優勝に激アツコメント発表賀集利樹、阪神タイガース最速優勝祝福しつつも「道頓堀には飛び込むなよ」ロッチ中岡、阪神史上最速Vを甲子園で見届け動画投稿も「興奮しすぎてちゃんと撮れてないやん」夏木マリ、2年ぶりV祝福「いいチーーーーーム」阪神90周年記念グラフィックTシャツモデル「石破→阪神→月食」情報量多い1日にX「今日のトレンド 布陣が強すぎる」「デカ盛り定食」熱狂的阪神ファン月亭八方が阪神優勝喜ぶ「優勝は采配上手最速虎」「みんなで六甲おろし」に出演の加藤清史郎「獣王の意気高らかに」人生2度目の阪神V「明日の一面」あなたなら「阪神優勝」「石破辞任」どっち??? SNSで意見活発に

◆2年ぶりの優勝を果たした阪神の祝勝会が兵庫県内で行われた。藤川球児監督(45)は壇上あいさつで「2年前にテレビで見ていて、岡田監督の素晴らしい言葉がありました。『活躍に準じたビールかけにしてください』」。選手はこれで一気にテンションMAX。かがみ開きに続いて、選手会長の中野拓夢内野手(29)が乾杯の音頭をとった。フライング気味の選手が続出して収拾がつかなくなり、中野が「優勝最高!」と叫んで祝宴が始まった。特製Tシャツに身を包み、ゴーグルをつけた選手、コーチ、スタッフらが、用意された3500本のビールを次々に開け、2年ぶりの美酒に酔いしれた。大山悠輔内野手(30)は「本当にうれしいです。みんなが頑張ってくれたので、それについていくだけでした。いろいろな人に感謝すています。最高です」と言うと、後輩たちに一斉にビールをかけられた。

◆阪神大山悠輔内野手(30)は残留初年度の優勝に満面の笑みだ。昨オフは国内FA権を行使した上で、悩み抜いた末に残留。「残留の理由として監督、コーチ、裏方さん、そしてチームメートともう1回優勝したい気持ちが強かった」と喜んだ上で「1つ目標を達成できましたけど、まだまだシーズンが続く。これはこれでしっかり喜んで次の準備もしないといけない。そこのメリハリもしっかりしたい」と強調した。今季は不動の5番打者として3番森下、4番佐藤輝の後ろで「縁の下の力持ち」を体現。現時点で得点圏打率3割2分3厘、リーグ3位の66打点で打線の潤滑油となった。

◆阪神坂本誠志郎捕手(31)は優勝直後でも危険球への謝罪を忘れなかった。1点リードの5回表、才木が広島先頭の8番石原に頭部死球に当てて危険球退場。マスクをかぶっていた坂本は試合終了直後、「石原君には申し訳ない」と力を込めた。今季は正捕手として強力投手陣を牽引。藤川監督からはインタビュー中に梅野も含め「本当に2人が精いっぱいやってくれた。どんな投手が出ても素晴らしい成績を残せたのはキャッチャーのおかげ」と最大限の褒め言葉をもらった。昨オフは国内FA権を行使せず残留。「僕は個人的には(FAで)残って1年目でなんとか監督を胴上げしたいと思いがずっとあった。でも1回じゃなく、何回でもやりたいと思うし、これが始まりだって思えるようにやっていきたい」と力を込めた。

◆前回に続いて優勝決定試合に先発した阪神才木浩人投手(26)はホッとした表情だった。粘りながら無失点を続けていたが5回に危険球で降板となった。昨年に並ぶ13勝目はならなかったが、ここまで大車輪の活躍で投手陣を支えてきた。「自分だけじゃなく、村上含め、先発みんなで重ねてきたことなので、やっぱりうれしいですね。雰囲気は想像ついていましたけど、やはり特別な日。周りの雰囲気がいつもと少し違うなと感じていた。でも自分の投球ができたらいいなと思ってマウンドに上がりました。先発もリリーフも本当に強いと思う。リリーフの方に任せても安心感があります。本当に『強いな』という言葉が似合うと思います。こういうチームの中で戦えているのは誇らしい。CS、日本シリーズと続きますが、ワクワクするようなプレーを続けたいと思います」

◆阪神藤川球児監督(45)が選手だった05年以来20年ぶりのビールかけを堪能した。次々と選手やコーチ、スタッフに美酒のシャワーをかけられ、驚きながらも、お礼を言いながら「お返し」を続けた。テレビのインタビューでは「世界中にいるタイガースファンの方の期待に応えたい。恩返ししたい、それだけでした。自分もチャレンジしないといけない。言葉に責任を持って、さらに強いメッセージを出しながらみんなと戦っていきたい」と興奮気味に話した。史上最速でのV決定を果たした選手たちに「記録を作ったわけですから。大記録を。あっぱれです。素晴らしい」と、たたえた。

◆プロ野球・榊原定征コミッショナー 岡田彰布監督からバトンを受けた藤川球児監督は、就任1年目の指揮官とは思えない見事な采配で、チームをリーグ優勝に導かれました。投打ともに充実した戦力を誇り、球団フロントと現場が一体となってつかんだ勝利であったと思います。

◆2年ぶりの優勝を果たした阪神の祝勝会が7日、兵庫県内で行われた。特製Tシャツに身を包み、ゴーグルをつけた選手、コーチ、スタッフらが、2年ぶりのビールかけを楽しんだ。中締めは、この日の試合で5回に緊急登板しチームを救った、湯浅京己投手(26)が担当。前回優勝時の23年にヘッドコーチを務めた、平田勝男2軍監督(66)が日本一の祝勝会で放った、「おつかれ生です」を使った。「皆さんおつかれ生です」と呼びかけた後、湯浅は「平田2軍監督見ていますか? おつかれ生です」とカメラ目線で語りかけた。その後「ユアサ!」と叫んだ、ラファエル・ドリス投手(37)を「ドリ! ちょっと来い」と呼び寄せた。7月に6年ぶりの球団復帰を果たした右腕。「ドリス! ドリス!」というコールと拍手の中で壇上に向かった。湯浅の代わりにあいさつを担当。「緊張しているので時間をください」と時間をつくった。ヘリウムガスを吸って声のトーンを変え、「阪神タイガースヤバスギ!」と日本語で話し笑わせた。通訳を介して「21年間プロとして野球をしてきたんですけど初めて優勝して、こういう経験をさせてもらった。僕をここに戻らせてくれて感謝の気持ちでいっぱいです」と感謝。前回優勝時にチーム内で流行した「バモス!」で締めた。

◆阪神優勝の決勝打は5年目高寺望夢内野手(22)だ。0-0の2回無死一、三塁。広島先発アドゥアの131キロのチェンジアップをとらえて先制の左犠飛を運んだ。「最低限の仕事はできたかなと。自分的には貢献できなかったっていう思いの方が強いですけど、優勝できてうれしいです」。初の開幕1軍入りを果たし、本職内野だけでなく左翼でスタメン出場してきたスーパーサブが輝いた。

◆阪神が2リーグ制後のNPB最速で優勝を決めた。才木浩人投手(26)が、同学年でともにエース格としてチームを支えた村上頌樹投手(27)とともに活躍したことについて言及した。両右腕とも主にカード頭を投げ、村上は開幕投手を務めここまで11勝。才木はリーグ1位タイの12勝を挙げている。優勝に「すごくうれしく思う。自分と村上で、なんとか2人で10勝しながらまわってこられた。そこに関してはすごくうれしいし、しっかり継続して続けていきたい」と話した。この日先発し、4回まで無失点に抑えるも、5回先頭の広島石原への頭部死球で、危険球退場。「リリーフにも負担かけましたし、石原さんにも申し訳ないですし、広島カープの皆さんに申し訳ないなと思います」と謝罪の念を明かし、胴上げの前には相手ベンチに一礼した。

◆阪神が4連勝で、2年ぶり7度目のリーグ優勝を果たした。2位巨人に17ゲーム差、貯金33と圧倒的な強さを見せた独走優勝だった。藤川監督の日課は、監督室にあるホワイトボードに、日々の星取りを自ら記すことだ。6月中旬の交流戦では7連敗。「ロード中だったので負けて帰ってきて、黒星を自分で貼るんですけど、めんどくさいなと思って」。そこには「梅雨休み」とユーモアたっぷりに書いた。「達観して物事を見すぎるところがあるので、そこは申し訳ない。つまらなく映ってしまう部分もあるかもしれない」。揺れ動かない強さはチームにも波及。ビジターの帰りのバスの車内は、いつでも空気が同じ。「『わーい!』もないし『明日、明日!』ということもない。ただ着替えて、切り替えて。マグロみたいに、そんなチームになってきました」。いつも前だけを見る。藤川イズムは浸透している。【磯綾乃】

◆高く上がった中飛が近本のグラブに収まるのを見届けると、阪神佐藤輝明内野手(26)は大山と熱く抱擁した。円の中心でもみくちゃにされて、満面の笑みはほどけない。「このためにやっているようなものなので。今日は最高です」。重ねてきた取り組みが報われた、幸せの時間だった。36本塁打89打点の両リーグ2冠という圧倒的な数字でチームをけん引。シーズン中、連絡を取った近大時代の恩師・田中前監督から質問を受けた。「好調の要因は?」。返信は至ってシンプルだった。「バッティングに関する理解が深まってきました」。きっかけは前回優勝後の23年オフ。大学時代から師事する高島茂誉トレーナー(45)に訴えた。「もっと上を見たい。中途半端なことをやらず完全にシフトチェンジしたい」と。24発を放って優勝しても物足りなかった。着手したのは確実性などの向上が見込まれる、スイング軌道の本格改造。肩を回さず、脇腹を傾けるような「縦回転」で上体を動かす形を目指した。もちろん染みついたフォームは簡単に変えられるものではない。リスクも大きく、翌24年は初めて20発にも届かなかった。それでも、目指す形を信じた。「今までの積み重ねが生きてここまで来られた。変わる時はきっかけひとつで変わるけど、積み重ねが絶対に必要。いろいろやってきてよかった」昨オフの自主トレでは3時間ぶっ通しで打ち続けることも日常。一緒に練習した後輩の手が赤く腫れ上がっても、平然と振り続けた。食事中も打撃の会話。1日の最後に行う治療中も、打撃映像を見てトレーナーと分析し合った。議論が白熱すると、その場でスイングチェック。気づけば深夜1時や2時になったこともある。過去には「練習嫌い」とも誤解されたが、真の姿は全くの別物。「面白い本を買ってみたんですよね」と解剖学の本を手にするほどの探究心だ。数年単位で積み重ねてきた努力が結実した1年だ。球界屈指の4番打者となった飛躍の年。一方で夢を与えるプロ野球選手としての信条は変わっていない。仁川学院野球部の4学年後輩、槙原葵人さん(22)は勇気をもらった1人だ。5年前、当時高校2年の槙原さんは一度乗り越えた急性骨髄性白血病を再発した。絶望の淵で励ましに来てくれたのが、阪神入団直前の佐藤輝だった。「バットは何使ってた?」「身長何センチ?」。初対面ながらたわいもない会話を交わし、退院時にはバットもプレゼント。今も大切な宝物に変わりない。槙原さんは言う。「佐藤さんのおかげで僕は毎日頑張れていますと伝えたい。打席や活躍を見るのが生きがい。明日も頑張ろうという気持ちになれるんです」。現在は大学4年生となり、当時から夢だった理学療法士に向けて勉強中だ。近況を伝え聞いた佐藤輝も語り合った夢を覚えている。「ちょくちょく言っていたと思うので。夢をかなえてほしいです」。今年8月にはSNSで「頑張っているみたいやね」と連絡。甲子園での8月30日巨人戦に招待し、2安打1打点の活躍でエールを送った。活躍が誰かの活力に変わる特別な職業。かつてイチローに憧れた野球少年は、夢を与える立場となった。「そういう数少ない職業だと思う。そこは誇りに思っています。他の人にはできないことなのでね」この日の甲子園には今季最多4万2649人が来場。一生忘れられない1日になったに違いない。誰かの希望につながる一打を、打ち続ける。【波部俊之介】▽仁川学院・中尾和光部長(佐藤輝の2年時まで監督)「今年はコンスタントに本塁打が出て、試合を決める本塁打も多かったですね。不安なく、ワクワクしながら見せてもらいました。今年残している数字は、ようやく球団の期待に応えられたのかなと感じます。2年ぶりの優勝おめでとう」▽城北中元監督の上田修身氏(藤川監督を指導)「秋季キャンプの時に電話で『けがをさせないように、スタッフが選手を守っていかないといけない』と言っていました。中学生の時に『僕らも先生に守ってもろうたし』と。長く続けられる監督になってほしいです」▽甲東ブルーサンダース・高嶋年之代表(コーチとして小学1年時から佐藤輝を指導)「心から『おめでとう』と言いたいです。非常にデリケートで、小さいころから真面目でストイック。チームを引っ張る姿を見てとても成長したなと感じます。真の阪神の4番の顔になってきたと思います」

◆阪神が2年ぶり7度目のリーグ優勝を決めた。 6日に優勝マジックを「1」とし、一気にゴールテープを切った。90年巨人より1日早い、2リーグ制後最速の優勝決定になった。▽阪神OBランディ・バース氏(85年優勝時メンバー)「今の阪神タイガースは、我々のいた85年のチームとはまったく違う阪神を作り上げてきたと思う。阪神ファンは長い間『勝てない阪神』に慣れていたかもしれないが(笑)。常に阪神を応援してきてくれたすばらしいファンは、ついに『常勝阪神』に慣れてきたんじゃない? 素晴らしいね! その姿を見るのが何よりうれしいね。本当におめでとう、阪神タイガース!」

◆25年セ・リーグは、7日にマジック1だった阪神が広島を2-0で下し、2年ぶり7度目のリーグ制覇を成し遂げた。球団史上初となる新人指揮官Vを決めた藤川球児監督(45)が、超満員の甲子園で5度舞った。9月7日のV決定は2リーグ制後の最速記録で、貯金33、2位に17ゲーム差をつけての独走優勝だった。敗れたセ・リーグ5球団の指揮官が、今季の阪神との戦いぶりを振り返った。▽巨人阿部監督 投打のバランスが素晴らしい。クリーンアップの3人もそうだし、レギュラーがしっかり固定されているのが一番の強みかな。CSでやり返すチャンスがあるので、出られるように頑張ります。▽DeNA三浦監督 打線と投手陣、ほぼ固定のメンバーが明確な役割を果たしていた。いいところで打たれた。(藤川監督は)けが人を出さずに1年間、貫いていた。(強さの要因は)総合力じゃないですかね。▽中日井上監督 でっかい故障者がいなかった。投打の軸がしっかりして、みんな脂がのっている。あとはやっぱり佐藤輝明の急成長。個々の実力、個々の選手のレベルアップは、うちの若手のいいお手本。▽広島新井監督 軸となる選手がしっかりしている。層が厚いというのにもつながるし、純粋に強い。中心選手に脂ののった選手がたくさんいる。顔ぶれを見ても、この強さはしばらく続くと思わせるぐらい。▽ヤクルト高津監督 一番は投打のバランス。投手も右左で非常にバランスの取れたチームだった。主力が試合に出続け、ローテーションやリリーフもね。1年間同じメンバーで戦い続けた強さをすごく感じた。

◆阪神近本光司外野手(30)の笑みがはじけた。不動の1番として走攻守でけん引。入団から7年連続ハイレベルな成績を残し、チームの全Aクラス入りに貢献している。1点リードの6回1死三塁では中犠飛で貴重な追加点。最後は9回2死からウイニングボールをつかんだ。「最後飛んできてゲームセットでホッとした。野球人生の中ですごく意味のある1年。分岐点になるかも」。8月中旬に38打席無安打の不振があったがそれも経験の1つ。「引退する時にあの経験がよかったな、あの年は優勝して、こう感じてたなと振り返るのはたぶん楽しい」。充実の野球人生に珠玉の1ページが加わった。

◆2年ぶりのリーグ優勝を阪神湯浅京己投手(26)がしみじみとかみしめた。1-0で迎えた5回、才木浩人投手(26)が先頭石原に頭部死球で危険球で退場。緊急登板でマウンドに上がり、1イニングを無安打無失点で切り抜けた。24年に国指定難病「胸椎黄色靱帯(じんたい)骨化症」の手術を受け、4月下旬に戦列復帰。37試合に登板し、4勝4敗20ホールド、防御率2・43でブルペンを支えてきた。「もう全然チームに貢献できてなかったですけど。今日こうやって投げられてますし、ほんとに少しでもチーム貢献できたんじゃないかなって思えるんで、そこは良かったです。本当にやっぱりいろんな人に支えてもらって、やっぱりここ(マウンド)に立ててると思うんで。感謝しかないです」長いリハビリを経た先に届いたリーグ優勝に素直に喜んでいた。

◆藤川球児監督(45)が超満員の甲子園で5度舞った。阪神が優勝マジック1で迎えた広島戦に2-0で快勝し、2年ぶり7度目のリーグ制覇を決めた。9月7日のV決定は2リーグ制後の最速記録。元最強守護神の藤川監督はコーチ経験なく就任したが、球団史上初めて新人指揮官Vも果たした。「成し遂げる人は理解されない」。故郷高知の偉人の生き様に重ねた信念を貫き、貯金33、2位に17ゲーム差をつけての独走優勝につなげた。"球児維新"で球団創設90周年を飾り、次は日本一の頂を目指す。笑顔でマウンドに向かったのは、初めてかもしれない。藤川監督はゆっくりと、先に待つ阪神ナインのもとへと歩いた。「いやあ、選手たちは強いわ。我々が、リーグチャンピオンです!」。甲子園の夜空を5度舞いながら、自信たっぷりに拳を突き上げた。2リーグ制後の最速優勝を成し遂げ、阪神新人監督の優勝も球団初。虎の最強守護神として君臨し続けた聖地で頂点をつかんだ。「成し遂げる人は、理解されないんです」。愛するふるさと高知の偉人に、自分の生きざまを重ねた。阪神で現役を引退して約1年半が過ぎた22年3月、高知県立牧野植物園へ足を運んだ。そこは「日本の植物学の父」と称される、牧野富太郎博士の業績を顕彰する施設。幼い頃は近くに住んでいて、よく知る場所だ。23年のNHK連続テレビ小説「らんまん」のモデルにもなった牧野博士。大好きな植物学に没頭したが、多大な借金も抱え、周囲の理解を得られず、研究仲間と対立することもあった。功績をたどるうち、1人で寡黙に戦う姿が目に浮かんだ。静かに心に響いた。「それがいいんです。理解者がいない方がいい」。無条件にうなずいてくれる人は時として、決断をにぶらせる存在に変わる。道なき道を歩む人は、いつも1人だと知った。ユニホームを脱いでもなお、熱いものがこみ上げてきたという。「また、反骨精神が出てきました」。振り返れば現役時代も、それが原動力だった。大リーグに挑戦したがケガに苦しんで志半ばで帰国。四国IL高知でプレーしながら、タテジマでもう1度、花を咲かせると決めた。「周りはもう無理なんじゃないかと。見返したらやめようと思っていた」。ふるさとはいつも、覚悟を決める場所だ。理解されなくてもいい。常識、慣例、実績...。何にもとらわれず、新人監督は信念を貫いた。就任直後の秋季キャンプでは「選手の可能性を広げてください」とコーチ陣へ大号令。代走が主戦場だった熊谷、わずか8試合の出場だった高寺らを臆せず先発起用した。三塁に固定していた佐藤輝を5月は外野で起用。就任直後に決めた「4番森下」もスパッと変えた。「朝令暮改です。僕が決断しなければいけないので、簡単に変えます」。柔軟な発想で勝利への最善を求めた。長いシーズンを見据え、近本、大山ら主力も積極的に休養させた。周囲から批判や疑問の声が聞こえても、ぶれなかった。「孤独でいいんです。嫌われていていい」。試合前に恒例だった円陣の選手声出しも今は行っていない。綿密なミーティングを毎日行う分、試合中の円陣も必要ない。決断の後は、口癖のように「僕が責任を取ります」と周囲に言い切った。「コーチもしてなくて急に監督なんて、という声はもちろんある。これも自分の心の置きよう次第」。周囲の雑音も、しがらみも、新時代の指揮官にとっては無意味。頂点への歩き方は自分だけが知っていた。次は85年吉田阪神、23年岡田阪神が成し遂げた球団3度目の日本一が目標だ。「3月にはドジャースとカブスに勝ちましたから。世界に誇れるタイガースにしていきましょう!」。理想のゴールはまだまだ、もっと先にある。【磯綾乃】牧野富太郎(まきの・とみたろう)1862年(文久2)5月22日、土佐国(現在の高知県)生まれ。「日本の植物学の父」と称される。日本人として国内で初めて新種「ヤマトグサ」を命名するなど、1500種類以上の植物に学名を付け、40万枚超の標本を収集。日本の植物分類学の基礎を築く。1940年(昭15)『牧野日本植物図鑑』を刊行。57年1月18日死去。文化勲章受章。23年は牧野をモデルにしたNHK連続テレビ小説「らんまん」で神木隆之介が主演した。▽元阪神投手コーチの山口高志氏(現役時代に指導、現在は関大アドバイザリースタッフ)「あっけないと思えるぐらいの優勝、おめでとうございます。投手の継投もうまくいっていて、言うことがありませんね。また、連絡くださいね」▽城北中元監督の上田修身氏(藤川監督を指導)「秋季キャンプの時に電話で『けがをさせないように、スタッフが選手を守っていかないといけない』と言っていました。中学生の時に『僕らも先生に守ってもろうたし』と。長く続けられる監督になってほしいです」藤川球児(ふじかわ・きゅうじ)1980年(昭55)7月21日、高知県生まれ。高知商2年夏に甲子園出場。98年ドラフト1位で阪神入団。05年、ウィリアムス、久保田との救援トリオ「JFK」の中核を担いリーグ優勝に貢献。06年途中から抑えを務め、07年の46セーブはセ・リーグ最多タイ。12年オフにFAでカブス移籍。15年にレンジャーズへ移籍し、自由契約となった後は独立リーグ四国IL・高知に加入。16年に阪神復帰。20年限りで引退。NPBでは782試合に登板し、60勝38敗、防御率2・08。通算243セーブは歴代6位。引退後は球団本部付スペシャルアシスタント(SA)を務め、25年から1軍監督。185センチ、90キロ。右投げ左打ち。今季推定年俸8000万円。阪神タイガース 1935年(昭10)12月、阪神電鉄を経営の基盤に、巨人に次ぐ老舗球団の「大阪野球倶楽部」(大阪タイガース)として設立された。プロ野球が始まった36年から参加し、初代監督は早大出身の森茂雄。1リーグ時代に4度優勝。セ・リーグでの優勝は今回で2年ぶり7度目。吉田監督の85年、岡田監督の23年に日本シリーズ制覇。永久欠番は藤村富美男の10、村山実の11、吉田義男の23。オーナーは秦雅夫氏。

◆2年前は号泣...今年は笑顔! 阪神大山悠輔内野手(30)が7日、日刊スポーツ独占コラム「走姿顕心」のリーグ優勝特別版で、苦悩に満ちた1年間を赤裸々に振り返った。昨オフは国内フリーエージェント(FA)権を行使した上で、悩み抜いた末に残留。覚悟を胸に戦った5年契約初年度はシーズン序盤に魚雷バットも試すなど、試行錯誤の日々が続いた。新たな打順「5番」でエゴを捨て、打点にこだわり続けた1年。その舞台裏を本音で明かした。【佐井陽介】優勝できて本当にうれしいです! 国内FA権を行使した昨オフ、覚悟を持って残留を決断しました。監督、コーチ、裏方さん、そしてチームメートともう1回優勝したい気持ちが強かった。1つ目標を達成できて本当に良かったです。今年は藤川監督から「5番で打点にこだわってほしい」と期待してもらい、バッティングに変化をつけました。場面によって打ち方やアプローチを変えながら丁寧に。ただ、特にシーズン序盤は仲間の足を引っ張るばかりで...。僕が4番を打ち始めた頃の5番は福留孝介さんでした。今年は3番森下、4番(佐藤)輝明の2人が活躍してくれるけれど、当時の僕はまだ全然で。福留さんにどれだけ負担をかけていたのかと、今あらためて申し訳なく感じています。今年、僕の前を打つ2人は本当にすごかった。開幕前は「僕が2人を支える」と言ったけれど、実際は2人に引っ張ってもらいました。「輝明の後ろ」という役割にはやりがいを感じています。輝明が申告敬遠された時に僕が何もできないと「じゃあ歩かせたらいいやん」となってしまう。特に輝明の四球直後は相手に嫌な印象を与えなければと必死でした。3、4番が凡退した後も打点にこだわりました。点を入れることで2人の凡退を薄めたかったのです。とはいえ、なかなか2人を支えられない日々が続いていたので、8月26日のDeNA戦ではつい感情が爆発してしまいました。9回表2死から逆転2ランを打った時、思わずガッツポーズしてしまって...。「まだ試合が終わっていないのに何やってんだ」と猛省しました。実は僕には去年までの苦い記憶がありました。ガッツポーズした直後は必ずと言っていいほどピンチを招いたり自分がエラーしていたのです。実際、今回も9回裏にピンチがありました。8月の巨人戦で高寺が先制打を打ってガッツポーズした後、藤川監督が「まだ早い」とやんわり指摘していた言葉を、もう一度肝に銘じました。藤川監督は常日頃からコミュニケーションを取ってくれる方です。コンディションにも気を使ってくれて、今季初めてスタメンを外れた7月4日DeNA戦の前も「この日はちょっと休もうか」と声をかけてもらっていました。この試合では8回に代打出場。気持ちの作り方など、後から出る選手の大変さを再認識させられました。そんな日もあったから余計に、あの試合を忘れられずにいます。5月18日の広島戦。僕は一塁走者として打球判断を誤り、代打糸原さんの右前打を右ゴロにしてしまいました。本当に落ち込みましたし、しばらく引きずりました。糸原さんは「気にするな」と慰めてくれたけれど、ヒット1本を消したのは事実。自分のエラーや三振であれば「自分が悪い」で済みますが、仲間に迷惑をかけた時は本当につらくて...。そんな時はいつも家族の存在に救われました。どれだけ悔しい結果に終わっても、甲子園から帰宅する車中で気持ちを切り替えるように心掛けています。もちろんいつも完璧にはできませんが、玄関の扉を開けると猫2匹が駆け寄ってきてくれる。奥さんが猫を抱っこして出迎えてくれる。その瞬間だけは頭の中から野球をパッと消すことができます。今年も家族、そしてファンの皆さんに支えられて優勝できました。ただ、シーズンはまだ続きます。開幕前は「『残ってくれて良かった』と1人でも多くの方に思ってもらえるように」と言葉にしました。これからも叱咤(しった)激励の声がなくなることは絶対にないと思いますが、どれだけ打てなくても応援してくれる人がいる限り、勝利のために全力を尽くし続けるつもりです。(阪神タイガース内野手)走姿顕心 かつての師匠、元阪神打撃コーチの広島新井良太2軍打撃コーチが大切にする言葉。「走る姿に自分の心や資質が出る」との信念を、大山は今も大切にしている。

◆2年ぶりのリーグ優勝を決めた阪神の選手たちがビールかけを終えて、深夜まで特番を行脚した。毎日放送の「またリーグ優勝やねん みんなでお祝いしよんSP」にも順番に主力選手が出演。同学年コンビとして近本光司外野手(30)と大山悠輔内野手(30)が2人で出演したパートでは、一般のファンからの質問コーナーがあった。「一番話した選手と、さしつかえなければ内容も」と質問を受けた近本は「大山とは『今後』についての話もしました。でも、熊谷かな」とぶっちゃけ。大山は昨オフに国内FA権を行使して迷った末に阪神に残留。今年取得した近本は、同じようにオフの去就が注目されている。OBの能見篤史氏(46)から「来年いないかもね」といじられると、口に指を当てる「しー」のポーズをして、出演者を笑わせた。近本は日本シリーズに向けた意気込みを、パネルに「出塁」と書いた。「進化」と書いた大山は「もっともっとレベルアップして、後輩たちにもそういう姿を見せることがチームの力になると思う」と、真剣な表情で話した。

◆巨人阿部慎之助監督(46)がリーグ優勝した阪神について言及した。阪神は7日の広島戦(甲子園)で勝利。2リーグ制後最速での優勝を果たすなど、年間通して強さが際立ったライバル球団に対し、阿部監督は「とにかく投打のバランスが素晴らしい。クリーンアップ3人もそうだし、レギュラーがしっかり固定されてるというのが阪神の一番の強みかなと思います。ピッチャーはもちろんみんないいし」と話した。今季の巨人は、阪神との直接対決24試合で7勝17敗と大きく負け越した。だが、そのうち14試合(6勝8敗)は1点差。僅差の試合をモノにできなかったことについては「細かいミスがちょっと多かったのかなと思います。失策もそうだし」と分析した。やり返すチャンスは残されている。巨人は現在リーグ2位で、CS出場圏内。阿部監督は「短期決戦になったらまた変わるはずなのでね。なんとかいい流れを持ってこれるように。シーズンの反省をして、短期決戦に臨めればなと思います」と意気込んだ。残り17試合。9日からは広島との3連戦(東京ドーム)が控えている。CSで阪神と対戦するためにも、負けられない戦いが続く。

◆日刊スポーツでは、2年ぶりのセ・リーグ制覇を果たした阪神タイガースのリーグV記念グラフ「球児虎 史上最速の舞い」を10日から発売します。A4判84ページ、オールカラー。価格は税込み990円です。歓喜のV決定日写真集、勝利の軌跡や投打で圧倒した猛虎戦士の選手名鑑、虎番記者の深掘り記事などでVロードを振り返ります。また30人に当たる猛虎グッズプレゼントも実施します。近畿2府4県のコンビニエンスストアと主要駅売店、書店(紀伊國屋書店梅田本店、ジュンク堂書店大阪本店、ブックスタジオJR大阪駅店、同新大阪店、同JR姫路駅店、ブックスタジオアルデ新大阪店、ブックスキヨスクJR森ノ宮駅店、同尼崎店)、球団直営店のほかASA(朝日新聞販売所)など日刊スポーツ取扱いの新聞販売店でお取り寄せ可能、日刊スポーツショッピングとAmazonで通信販売もいたします。郵送でご希望の方は1冊あたり990円と送料(1冊410円、2冊610円、3冊以上は宅配便代一律1100円)を加算した料金分の未使用の切手とともに住所、氏名、電話番号、ご希望冊数を記入のうえ〒530・8334住所不要、「阪神リーグV記念グラフ」係へ。問い合わせは日刊スポーツ新聞西日本販売部電話06・6229・7384(平日午前10時~午後6時)。

◆阪神森下翔太外野手(25)は歓喜の輪の真ん中で、とびきりの笑顔を見せた。「うれしい。ほっとした。この瞬間のために頑張ってきた。今回はより優勝の中心にいられた」。1軍で戦い続けてつかんだ2度目の栄冠。グラウンドを1周して虎党と共有した喜びの味は、前回とひと味もふた味も違った。たゆまぬ努力でキャリアハイの20本塁打、80打点につなげた。12試合アーチが出なかった8月4日。東京から名古屋への移動前、オフに自主トレを行う野球トレーニングジム「Rebase」へ足を運んだ。研究され攻め続けられた中で狂いが生じた、打席内の立ち位置や動きを修正。休日の猛特訓で「なるほどな」と手応えをつかんだ。同月中旬も同施設を訪れ、試合前に猛練習。そこからの20試合中19戦で安打を奏で、4本塁打も放って本来の調子を取り戻した。「1年間戦えたと、3年間で一番実感できる」。1年目もリーグ優勝、日本一を経験したが、前半は2軍で過ごすことも多く、貢献した実感は薄かった。2年目の昨季も、7月に2軍で調整を経験。1週間以上試合に出ず、室内練習場で黙々と打撃練習を続けた。「やっと1軍にいることが当たり前になった」。苦い経験を力に、初の年間フル1軍で優勝に貢献した。「納得感は50%くらい」。両リーグ最多18度のV打でV奪回貢献も、まだまだ満足しない。次は"100点"の躍動で日本一に導く。【塚本光】

◆日刊スポーツアドでは阪神タイガース優勝を記念して「阪神優勝記念ロゴ入り胴上げカラーパネル」木製額入り(額サイズ 天地35×左右40センチ 6700円=料金はパネル1点分の料金で送料・消費税込み)を販売します。今回、購入いただいた先着100名様に「阪神優勝号外」をプレゼントします!【申し込み方法】郵便局所定の払込取扱票の通信欄に「阪神優勝記念ロゴ入り胴上げカラー写真パネル」と必要点数をご記入いただき、「ご依頼人」の欄に送付先の住所、氏名、電話番号を明記の上、代金を下記口座にお振り込みください。【口座番号】01700-6-140433【加入者名】(株)日刊スポーツアド問い合わせ 電話 06・6232・0280(平日午前11~午後5時)

◆実は坂本誠志郎、すっかり定着した"聖人キャラ"にやや困惑している。「マジでやめてほしいっす...。いい人だと思ってくれている人はみんな、僕のことをよく知らないんだなって思っちゃいます」好結果が出れば必ず投手を立てる。4月の広島戦で頭部死球を受けても「相手は新人投手なので」と激高する藤川監督を止めにかかる。中日ルーキー金丸がエルボガードの装着に手間取っていると、そっと手を差し伸べる。試合後はベンチのゴミを片付ける。もちろん人格者には違いないのだろうが、ただの"聖人"が弱肉強食の世界で生き残れるはずがない。坂本誠志郎の正体を教えてくれないだろうか-。自己分析をお願いすると、扇の要は「ふふっ」と不敵にほほ笑んだ。「なんか僕ね...なめられたくないんすよ。年齢とか歴に関係なく、それはずっと思ってきました。なめられないためには結果を出すしかない。なめられたくないから、めちゃくちゃ準備に時間を割くんです」プロ10年目の31歳。2学年上の梅野隆太郎との併用を経て、1年間フル稼働は今季が初めてになる。8月上旬には1試合2捕逸や4打席連続三振も経験した。「ある時から疲れが全く抜けなくなって」。布団に入っても1時間以上眠れない。それでも「休ませた方が...」との論調には「正直、腹が立ちました」。「自分で言うのは嫌ですけど、僕...全然試合に出られていない時からずっと剣を研ぎ続けてきた自負はあるので」梅野の背中がまだ遠かった頃から毎日、人知れず体をいじめ抜いてきた。大先輩、鳥谷敬の晩年に影響を受けたのだという。「トリさんは試合に出られなくなった時もずっと、出た時と同程度の疲労感を練習で作っていた。それが1年間出続ける体力をキープするためだと教わって、自分もまだ30、40試合しか出られていない時期からポール間を走ったりバッティング練習の量を増やすようになりました。開幕直後なんかは『あと100日以上も走り続けなあかんのか』って心が折れそうな時もありました。でも、いつか1年間出続けるために...と」9年間、来る日も来る日も剣を研ぎ続け、ようやくつかんだ正捕手の座なのだ。「譲る気はないですよ」と目をギラつかせるのも当然なのかもしれない。当日の反省に相手打者の研究に...。四六時中、脳をフル回転させる中、最近はナイター後の「アイスタイム」で心身のクールダウンに成功しているらしい。「寝る前に嫁さんとアイスを食べる瞬間が至福のひとときで。つい何度も冷凍庫を開けては怒られています(笑い)。最近はスイカバーかメロンバー。食べた翌日に勝ったら、また同じものを食べて...」家に帰れば、最年長が6歳の3児を愛するパパでもある。朝方にソファで寝落ちから目覚めると、ポケットモンスターのぬいぐるみやフィギュアが頭の周りに並べられている。「負けた後も子供たちの寝顔を見たらいったん全部忘れられるんです」そして自宅の玄関から飛び出した瞬間、勝負師の仮面を装着する。昨オフは国内FA権を行使せずに残留。4年契約の1年目は「ぶっちぎりで優勝したかった」という。「貯金30ぐらいで優勝すれば、さすがに『他球団にケガ人が出ただけやん』とか『ヤクルトの村上くんや巨人の岡本(和)くんがケガしてなかったら分からなかった』とか言われずに済むかなって。それに1回優勝しただけで満足したくない。4連覇するためにタイガースに残ったので」その闘争心がナインを勇気づけ、猛虎を頂点に導いた。確かに坂本誠志郎を"聖人"の一言で片付けてしまうのは、少しもったいない気がする。【野球デスク=佐井陽介】

◆藤川監督が誇るチームの心臓! 日刊スポーツ特製「虎の最強リリーフ相関図」をもとに、リーグ優勝にフル回転した石井大智投手(28)が仲間の「すごさ」を紹介してくれました。【取材・構成=波部俊之介】★岩崎 常に1軍のマウンドに立ち続けているところ。そこがやっぱり一番すごいと思う。考えていることもそうだけど、すごさで言ったらそこが一番。リーダーシップとかは僕が言うのは、めっちゃおこがましい(笑い)。★工藤&木下 剛腕ルーキーズですね、はい(笑い)。球が速い。すごい。すんごい速い。★岩貞&島本 ブルペンにいてくれるだけですごく盛り上がる。おふたりは視野がめちゃくちゃ広いから。本当にちょっとしたことに気付いてくれる。僕らのこともそうだけど、バッターの反応を見て『今こんな感じだったよね』みたいなことを、ぽろっと。若い選手がいるところで言ってくれるから。じゃあどうやって攻めたらいいのかな、とか思えます。★99年世代 湯浅とトレーニングの話は結構よくしますね。(桐敷、岡留も含めた3人は)思ったより若い!(笑い)。若さを感じさせない、しっかり者!★ネルソン グッドシンカーね。エグい。僕のイメージではアメリカのシンカーと日本のシンカーって違う。自分の理想は、もうちょっと遅くしたいというか、変化量と奥行きを出したい球。それをスピードもあるのに、両立しているところがもうめちゃくちゃすごいなと。投げ方も、握りも聞いたけど、たぶん(オールスターで話を聞いた広島)島内さんと一緒だった。★ドリス うるさいですね(笑い)。本当にムードメーカー。なんかずっとしゃべってるけど、自分が登板ありそうだなって思うとピタってしゃべらなくなるから。めっちゃかわいいなって(笑い)。★ハートウィグ 自分から話すわけじゃないけど(周りの会話に)めちゃくちゃ反応してる。「イエス、イエス、イエス」みたいな。★リリーフ全員 数字もありますけど、バッターを抑える過程だったり、僕以上にすごい選手がたくさんいる。自分でできるようにならなきゃという部分もあるし、できないことを許容しているからこそ出せている結果もあると思う。本当に、勉強になっています。

◆阪神の2年ぶりリーグ優勝で阪神百貨店梅田本店で恒例の優勝記念セールが8日、幕を開けた。午前10時開店予定だったが、23年の1・5倍の約3000人が開店を待ったため30分繰り上げて午前9時30分に開場。地下1階の食品館の記念ロゴ入り商品、2階の雑貨アクセサリー売り場でのワゴンセール、7階リビング用品など、多くの来場者がセール品などに列をなした。開店後には、入場制限も実施。球団公式マスコットのトラッキーが一日店長として、ラッキー、キー太、コラッキーとともに売り場に登場。来場客と触れ合う場面もあった。広報担当者によると「2年前に優勝を経験したことで、各店舗が準備できました。前回は18年ぶりで店舗の7割ほどだったが、今回は8割の店舗がセールに参加できた」と説明。前夜7日に史上最速でのリーグ優勝を決めたが、記念セールは対応十分で初日に臨めた。

◆阪神が誇る最強ブラザーズが、優勝記念のプレミアムトークを繰り広げました。佐藤輝明内野手(26)は森下翔太外野手(25)をどう見ているのか。森下から見た先輩スラッガーの姿とは。今年は本塁打、打点、勝利打点など主要部門でワンツーフィニッシュが濃厚。大活躍の裏にあった知られざる事実を披露しました。【取材・構成=波部俊之介、柏原誠】チームウエアに身を包み、リラックスモードで対談が始まった。少し遅れて到着した佐藤輝。「遅いですよ」とばかりにニコニコ笑う森下。一瞬ででき上がった空気感だけで「アイブラック兄弟」の関係性が分かる。グラウンドでの勇猛な姿とはまるで違う雰囲気でクロストークがはずんだ。森下 強い。強いっすね。強いと思います。負けが続いていない。1回負けても、すぐ次の日に勝つことが、今年は多いのかなと思いますね。佐藤輝 それは自分たちが1戦1戦やってきて、ここまで来たということなので。うん。そこはすごく自信を持っていいと思う。-お互いの打撃はどう見ていますか森下 輝さんが後ろなんですが、まあ、すごいっすよ。相手も嫌なんだろうなという感じもするし、四球を出す機会も多いし。やっぱり警戒心というのは自分より強いんじゃないかなって思っています。自分が四球とかで出ればめっちゃ重圧がかかると思う。出塁は、追い込まれてからは考えています。それまでは自分のスイングをしっかりしようと思っていますけど。佐藤輝 常に一番近くで見てるので。集中力というか、そこは最初の1年目から変わらず持っていますし。甲子園だと(森下が)レフトに打つことが多いので(ネクスト・バッタースボックスから)打球が見えて、すごいいい光景ですね。打ってくれっていう場面で、もう何回も打ってるんで。「うわあ」と思いながら見ています。こう、左翼のポール際に、低い打球が行くことが多いというイメージ。きれいに見える。すごいきれいな光景ですね。-逆に佐藤輝の好きな姿は森下 「確信」する姿。自分はなかなか確信するような形でスイングができない。どうしても右打者というのもあって、走り始めてしまうので。けど、バッターボックス内で止まって、ボールを見るっていうのはすごいかっこいいです。-野球の会話は増えたか森下 去年よりかはしてるかなと思います。佐藤輝 まあまあ。普段あんまりしないんで。ちょっとですけどね。する機会は今年はちょっとあったかなと思います。森下 自分が教えてもらうというか、アドバイスをもらうというか。そういう時はありました。-4月中旬から3番・4番を交代。何か変化は森下 結構、序盤で変わったので、あまりその差は感じなかったです。佐藤輝 僕もそんなに変わる部分はないのかなと思います。そんなに変わらないのかなと。どっちにしろ、3番でも(後ろに)翔太がいるし。今も大山さんが後ろにいる。2人ともいいバッターなので。勝負を避けられたりみたいなのは、そんなに感じないです。-後ろには大山がいる森下 自分は3番で、絶対に順番でいけば最初にチャンスが回ってくるポジションでもある。無死二、三塁とかだったら外野フライでも1点が取れる。けど、やっぱり4番、5番になるつれてアウトカウントが増えたりして、2死とかで大山さんに回ってきて、打つか打たないかで点が入るか入らないか、という場面が多い。やっぱり大山さんがいなかったら、ここまでチームとしてうまく回ってないんじゃないかなっていうのは思います。佐藤輝 もちろん大きい存在ですね。本当にチャンスで僕が凡退して、大山さんが打ってくれたっていうのもあるし。何とかしてくれるんじゃないか、っていう存在です。-後ろにいてくれるから思い切っていける部分も森下 試合中はそんなことは考えていないですけど、存在としては無意識のうちにそうなっていると思っています。(2に続く)

◆阪神が誇る最強ブラザーズが、優勝記念のプレミアムトークを繰り広げました。佐藤輝明内野手(26)は森下翔太外野手(25)をどう見ているのか。森下から見た先輩スラッガーの姿とは。今年は本塁打、打点、勝利打点など主要部門でワンツーフィニッシュが濃厚。大活躍の裏にあった知られざる事実を披露しました。【取材・構成=波部俊之介、柏原誠】-今季は2人でエルボータッチをしている。どちらから?佐藤輝 僕が言ったっすね。なんか2人でやりたいなというのはあったんで。とりあえずやろうかというのから始まって。ずっと来てますね。(3日の本塁打では少しタイミングが合わず)翔太が走者でいる時にホームランを打つのが久々すぎて。ちょっと忘れてました(笑い)。-ネーミングはあるのか佐藤輝 名前とかはないっすよ。なんて言うんすかね、あれは。森下 なんでもいいですけどね。佐藤輝 アメリカでよく見るので、そういう感じかなっていう。とりあえずやってみよう、ぐらいの気持ちで始まりました。森下 塁上から戻ってきて、ホームベースの方が単純にやりやすいっす。広さ的に。ベンチ前は結構狭くて、勢いがつかないので。(自分が)塁にいた方がいいっすね。佐藤輝 いや、僕は特にないけど(笑い)。-他の選手からも希望はあるのか佐藤輝 たまにヘルナンデスとかが待ち構えてる時ありますよ。やりましたよ。-「アイブラックタッチ」はダサいか。佐藤輝 ダサいっすね~。森下 ダサい(笑い)。-お互いの印象的なホームランはある?森下 。もうなんか、いっぱいありすぎて...。何も思いつかない。何がありました? どんなところで打ちました?(笑い)佐藤輝 え、俺が?(笑い)-東京ドームの上段に佐藤輝 あ~延長のね。森下 確かに。でも、いろいろなのがあるので。どれか1つっていうのはね。ずっと試合やっているんで、正直、なんか分からなくなります。めっちゃ打っているし。-お互いにほしいスペックはあるか森下 やっぱり、長打というか、ホームランはほしい。逆方向にも力が伝わるようなパワーというか。今の自分にあればなと思います。今すぐで言ったら、そこですね。佐藤輝 もちろん勝負強さもあるんですけど、結構、僕は守備を見るのも好きなので。フェンス際でも恐れないところはすごいなって思います。僕もライトを守っていたから、その難しさは分かっているつもりなので。激突したりして、それでも次に打球が来たらまたいくっていう。ハートの強さというか。恐れない感じがかっこいいですね。-後ろに目がついているくらい攻める森下 気づいていないだけです。そこにフェンスがあることに(笑い)-こんなお兄ちゃんがいたら森下 自分は兄弟がいないので。いや、ここまで野球ができるお兄ちゃんだったら逆に嫌ですけど(笑い)。競い合いみたいな。兄弟だったらなおさら嫌そうって思いますね。けど、優しいんで。性格としては。すごくいいんじゃないかな。佐藤輝 いや、もうかわういいですよ。「弟」っていう感じじゃないですか? それはもちろんいい部分でもあるし。まだまだ成長できる部分も、もちろんあるので。まあこれから成長していくんじゃないですかね。

◆2年ぶりのリーグ優勝へ、マジックナンバー「1」としている阪神・佐藤輝明内野手(26)が試合前練習に臨んだ。屋外で守備練習などを行うと、打撃練習は室内練習場で敢行。ここ最近のルーティンとなっている普段通りの動きで調整した。ここまで打率・277、36本塁打、89打点と猛虎打線をけん引する主砲。勝てばリーグ優勝が決まる一戦を前にしても「普通に頑張ります」と冷静だった。

◆優勝へのマジックナンバーを「1」とする阪神が試合前練習を行った。午後3時過ぎに全体練習が終了すると、クラブハウスへと引き揚げる森下翔太外野手(25)、梅野隆太郎捕手(34)らナインの手にはゴーグルが。優勝が決定すれば試合後に行われる、ビールかけへの準備と見られる。糸原健斗内野手(32)、小野寺暖外野手(27)はそれぞれピンクと黄色の色鮮やかなゴーグルを着用し「(ビールを)かけるぞー」と必勝を宣言して試合への準備に入っていった。

◆優勝へのマジックナンバーを「1」として迎えた今季126試合目。藤川阪神は、プロ野球史上最速優勝に向けて広島戦を戦う。先発は2023年の優勝投手である才木浩人投手(26)。2年前に続いてマジック「1」の状態で出番が回ってきた。ここまでリーグトップの12勝、防御率1・66をマークする右腕は「ファンの方にとって優勝はすごく特別なもの。球場のボルテージも上がると思うので、そういう雰囲気を楽しんで投げられたら」と意気込む。打線は木浪聖也内野手(31)が「6番・遊撃」に名を連ねた。

◆2年ぶりの優勝に王手を懸けた一戦で、先発した阪神・才木浩人投手(26)が一回を無得点に抑える立ち上がりを披露した。先頭の中村奨に粘られた末、11球目を左前に運ばれた。それでも続くファビアンをフォークで、羽月は高め153キロ直球で2者連続空振り三振。4番・小園を遊ゴロに仕留めて無失点で切り抜けた。今季22試合目の先発で、ここまで一回に失点していない右腕が、重要な一戦でも好発進した。

◆阪神は二回、高寺望夢内野手(22)の犠飛で先制に成功した。先頭の大山悠輔内野手(30)が左翼線への二塁打を放つと、スタメンに抜てきされた木浪聖也内野手(31)も右前打で無死一、三塁とチャンスを作る。ここで「7番・左翼」で起用された高寺が、しっかりと左翼に飛球を運んだ。大山が生還して貴重な先制点をゲット。2年ぶりのリーグ優勝に向け、今季台頭して飛躍を遂げた〝球児チルドレン〟のバットで先手を奪った。

◆阪神が三回に追加点のチャンスを作るも、クリーンアップが倒れて得点とはならなかった。1-0の三回、先頭の中野拓夢内野手(29)が三塁線を破る二塁打で好機を演出。しかし、続く森下翔太外野手(25)、佐藤輝明内野手(26)が、先発・アドゥワの前に連続三振に倒れて2死。5番・大山悠輔内野手(30)は投ゴロに打ち取られ、チャンスを生かすことはできなかった。2年ぶりの優勝が一戦は、阪神の1点リードで三回を終えた。

◆阪神・才木浩人投手(26)が危険球で退場となった。四回まで3安打無失点投球が続いていたが、1-0の五回、先頭の石原に対する初球149キロ直球が抜けて頭部に直撃。球審の山村審判員は才木に退場を宣告した。藤川球児監督(45)は2番手で湯浅京己投手(26)をマウンドに送った。

◆阪神・湯浅京己投手(26)がチームを襲った緊急事態を抑えた。五回。先発の才木浩人投手(26)が先頭の石原に対して頭部死球の危険球退場。場内がどよめきに包まれる中、湯浅がマウンドへと上がった。まずは代打・矢野の投前犠打で1死二塁。中村奨を一邪飛に仕留めると、最後はファビアンを捕邪飛に抑えて渾身のガッツポーズ。湯浅の10球がチームを救った。

◆1-0の六回に3番手で登板した阪神・桐敷拓馬投手(26)が1回を三者凡退に抑える好リリーフを見せた。先頭の羽月を外角スライダーで三球三振に斬ると、4番・小園を二ゴロ、モンテロはフォークで空振り三振に仕留めた。昨季の最優秀中継ぎ投手は、6日に1軍に再昇格。優勝が懸かった試合で、大仕事をやってのけた。

◆阪神は近本光司外野手(30)の犠飛で追加点を奪った。1-0の六回だ。代わった広島・栗林から坂本誠志郎捕手(31)が右翼への二塁打を放つと、代打・糸原健斗内野手(32)も進塁打を放つ。1死三塁のチャンスで近本が、中堅右への犠飛を放った。三塁走者の坂本は悠々ホームイン。打った近本も、走った坂本も、ベンチで並んで祝福を受けた。これでリードを2点とし、悲願のVへ向けて終盤戦に入った。

◆阪神が優勝へのマジックナンバー「1」で迎えた広島戦に、今季最多の4万4269人の観衆が詰めかけた。試合前までの最多は、5日の21回戦で記録した4万2644人。優勝をその目で見ようと、多くの虎党が甲子園で声援を送った。試合は六回まで阪神が2-0でリードする展開となっている。

◆代打から途中出場した阪神・熊谷敬宥内野手(29)がスーパープレーで甲子園を沸かせた。2-0の七回、4番手の及川雅貴投手(24)がマウンドへ。先頭の秋山を三振に切り、続く佐々木のとらえたライナーが左翼前へ飛んだ。熊谷は迷いなくダッシュで前進し、最後はスライディングキャッチ。そのまま転がりながらもボールを離さず、ファインプレーで安打を奪い取った。今季飛躍を遂げた背番号4の超絶美技に、虎党からは大歓声が飛ぶ。及川は続く石原も中飛に仕留め、三者凡退で後ろにつないだ。

◆2-0の八回に阪神・石井大智投手(28)が登板し、2安打を浴びるも無失点で切り抜けた。先頭の代打・野間に左前打で出塁を許したが、続く中村奨を三ゴロ併殺に仕留めて2死。2番・ファビアンに右前打を浴びるも、羽月を遊ゴロに打ち取ってスコアボードにゼロを刻んだ。これで、4月5日の巨人戦(東京ドーム)からの連続無失点記録を48試合に更新。さらに47イニング連続無失点とし、1962年の小山正明氏に並んで、球団歴代2位に名を刻んだ。

◆5投手による無失点リレーで、2-0で迎えた九回のマウンドには、守護神・岩崎優投手(34)が上がった。藤川球児監督(45)の現役時代の登場曲、LINDBERGの「every little thing every precious thing」が場内に流れる中、リリーフカーに乗ってマウンドへ。今季最多の4万2649人が詰めかけた甲子園は、優勝に向けて最高潮の雰囲気に包まれた。

◆阪神が2リーグ制以降、プロ野球史上最速で2年ぶり7度目のセ・リーグ制覇を成し遂げた。1リーグ時代を含めると11度目の優勝。優勝マジック「1」で迎え、2位巨人がデーゲームで中日に勝利。阪神の優勝決定の条件は広島に勝つことだけだった。二回、先頭の大山悠輔内野手(30)がアドゥワから二塁打。木浪が右前に運び、一、三塁とし、高寺望夢内野手(22)の左犠飛で1点を先制した。先発した才木浩人投手(26)は試合序盤から快調だったが五回先頭の石原貴に頭部死球を与えて、危険球退場。湯浅京己投手(26)が緊急登板し、無得点に抑えた。七回には先頭の坂本誠志郎捕手(31)が右越え二塁打。続く代打糸原健斗内野手(32)が二ゴロで三塁進塁し、近本光司外野手(30)が中犠飛。リードを2点に広げ、継投で逃げ切った。選手の手により、5度、胴上げで宙に舞った藤川球児監督(45)は岡田彰布前監督からバトンを受けた。指導者経験なしが危惧される中「素晴らしい豪華客船に乗ったよ、というところにしてあげたい」と宣言。守り勝つ野球を目指し、佐藤輝明内野手(26)、森下翔太外野手(25)ら攻撃陣も躍動。交流戦では7連敗を含む8勝10敗と苦しんだが、巨人に17勝7敗、DeNAに12勝5敗2分け(いずれも7日現在)とライバル球団との直接対決で優位に立ち、球団史上初となる就任1年目で頂点に立った。球団とは今季から3年契約。秦雅夫オーナー(68)は7月に「よほどのことがない限り」契約書通りに指揮を任せると明言している。今季のキャッチコピーは「鼓動を鳴らせ。虎道を進め。」ー。日本シリーズ進出を争うクライマックスシリーズ(CS)にはファイナルステージ(10月15日開幕、6試合制)から出場。2年ぶり3度目の日本一を目指す。

◆先発した広島・アドゥワ誠投手(26)は4回1失点で今季2敗目となった。一回に2死から森下に左前打を許すが、無失点。二回には無死一、三塁から高寺の左犠飛で先取点を奪われるが、最少失点でしのいだ。三回にも無死二塁のピンチを無失点で切り抜け、粘りを見せた。打線は四回まで相手先発・才木の前に散発3安打。しかし、五回の先頭、石原が頭部に死球を受けたことで、才木が危険球による退場処分に。緊急登板した2番手の湯浅を攻め立てたいところだったが、得点を奪えなかった。広島は昨年にも9月28日の巨人戦(マツダ)で巨人のリーグ優勝を決められた。試合日程等の関係もあるが、くしくも2年連続で目の前で対戦相手にリーグ優勝をされてしまった。

◆優勝マジック「1」としていた阪神が勝利して、2年ぶり7度目のリーグ優勝を史上最速で飾った。二回無死一、三塁、高寺望夢内野手(22)の左犠飛で先制。六回1死三塁、近本光司外野手(30)の中犠飛で加点した。才木浩人投手(26)は五回、先頭の石原貴規捕手(27)の頭部死球への危険球で退場となったが、湯浅京己投手(26)が緊急登板でしのぎ、六回からは桐敷拓馬(26)、及川雅貴(24)の2投手がゼロ封。八回登板の石井大智投手(28)はNPB記録の連続試合無失点を「48」とし、62年7月小山正明に並ぶ球団2位の「47回ゼロ封」とした。チームの無失点勝利は26度目。藤川球児監督(45)は球団初の新人指揮官優勝。チームは日本シリーズ進出をかけて、10月15日、甲子園で開幕のCSファイナルステージに向かう(成績=78勝45敗3分、観衆=4万2649人)

◆阪神の2年ぶり7度目のリーグ優勝を受けて、プロ野球の榊原定征コミッショナー(82)が祝福コメントを寄せた。以下全文(原文ママ)。「他の追随を全く許さず、2年ぶり7度目のリーグ優勝に輝いた阪神タイガースならびにファンの皆様に心よりお祝いを申し上げます。球団創設90周年を迎えた今シーズン。岡田彰布監督からバトンを受けた藤川球児監督は、就任1年目の指揮官とは思えない見事な采配で、チームをリーグ優勝に導かれました。投打ともに充実した戦力を誇り、球団フロントと現場が一体となって掴んだ勝利であったと思います。ポストシーズンでの更なるご奮闘を期待しております」

◆お笑いコンビ、ロッチの中岡創一(47)は7日、阪神優勝の瞬間を甲子園で観戦。Xで胴上げのシーンを動画を公開し「優勝ですやん 史上最速やん 興奮しすぎてちゃんと撮れてないやん はっきりいうて」とつづった。さらにサンケイスポーツにもコメントを寄せ、「今年はけが(海外ロケ中に第2腰椎圧迫骨折)をしていたので家でずっと野球観戦をして、強い阪神が勇気づけてくれたので喜びもひとしおです」と大感激。「間違いなく最速で最強の阪神タイガースです。毎年優勝してほしいです」と黄金時代到来を確信し、連続リーグ優勝を願った。

◆阪神電鉄は7日、阪神タイガースがセ・リーグを制覇したことを記念し、甲子園歴史館で開催中の企画展「本塁打」で優勝ペナント、優勝トロフィーなどの優勝特別展示を11日から実施することを発表した。期間は26年2月1日まで。さらに、優勝特別展示に先駆けて9日より同館の入場者、甲子園球場スタジアムツアーの参加者、併設する「BE-STADIUM KOUSHOEN」の利用者を対象に、先着4万人に優勝記念ロゴをデザインした全22種類の「優勝記念カード」を配布する。

◆阪神が2リーグ制以降、プロ野球史上最速で2年ぶり7度目のセ・リーグ制覇を成し遂げた。1リーグ時代を含めると11度目の優勝。優勝マジック「1」で迎え、2位巨人がデーゲームで中日に勝利。阪神の優勝決定の条件は広島に勝つことだけだった。?阪神が2023年以来2年ぶり7度目のセ・リーグ優勝。1リーグ時代の4度を含めると優勝は11度目。2リーグ制(1950年)以降、9月7日の優勝決定は90年の巨人の9月8日を抜く最速となった。阪神のこれまでの最速は23年の9月14日(73-82年のパの前後期制は除く)。17試合を残しての優勝は65年の南海の19試合に次ぐ2番目の多さで、セでは90年の巨人の16試合を抜く最多。?新人監督の優勝は昨年の巨人・阿部慎之助とソフトバンク・小久保裕紀に続く23人目で、阪神で新人監督で優勝したのは藤川が初。チームの貯金は33。優勝した新人監督で貯金30以上で終えたのは、昨年のソフトバンク・小久保(貯金42)まで6人。セ・リーグ記録は02年の巨人・原辰徳の34。優勝監督に限らず、阪神の新人監督の最多貯金は70年の村山実の28。?2位巨人とは17ゲーム差。このままいくと星野仙一政権時代の03年の14・5差を上回る球団史上最大ゲーム差での優勝となる。プロ野球記録は90年の巨人の22ゲーム差。2位巨人の勝率が・496の借金1。優勝球団がリーグの貯金を独占し、2位以下の球団が借金で終わったシーズンは過去に例がない。これまでの2位球団の最少貯金は2で、19年のDeNA、23年のロッテなど6度。

◆優勝マジック「1」としていた阪神が勝利して、2年ぶり7度目のリーグ優勝を史上最速で飾った。1安打の佐藤輝明内野手(26)は打率・277、36本塁打、89打点でチームをけん引。

◆優勝マジック「1」としていた阪神が球団創設90周年で、2年ぶり7度目のリーグ優勝を史上最速で飾った。二回無死一、三塁、高寺望夢内野手(22)の左犠飛で先制。六回1死三塁、近本光司外野手(30)の中犠飛で加点した。才木浩人投手(26)は五回、先頭の石原貴規捕手(27)の頭部死球への危険球で退場となったが、湯浅京己投手(26)が緊急登板でしのぎ、六回からは桐敷拓馬(26)、及川雅貴(24)の2投手がゼロ封。八回登板の石井大智投手(28)はNPB記録の連続試合無失点を「48」とし、62年7月小山正明に並ぶ球団2位の「47回ゼロ封」とした。最後は岩崎優投手(34)が締めた。チームの無失点勝利は26度目。藤川球児監督(45)は球団初の新人指揮官優勝。チームは日本シリーズ進出をかけて、10月15日、甲子園で開幕のCSファイナルステージに向かう。

◆阪神で1994年に新人王に輝き、米大リーグのアスレチックス、ジャイアンツ、楽天と渡り歩き、日米通算91勝をマークしたサンケイスポーツ専属評論家の藪恵壹氏(56)が阪神Vの要因に佐藤輝明内野手(26)を挙げた。文句なしの独走Vだった。最大の要因には佐藤輝を挙げたい。4番がしっかり結果を残すと、野球という競技は勝てる仕組みになっている。開幕戦の第1打席で広島・森下のチェンジアップを右翼スタンドに運んで始まったシーズン。本塁打&打点の2冠も間違いないだろう。本当はもっと早く、このぐらいの活躍をしてもらいたかったのだが、5年目で「ようやく」という感じもする。ボール球を振らなくなった。なぜか死球が少ないことも大きかった。コンスタントに40本塁打、100打点を挙げられる選手になってもらいたい。投手では村上、才木の先発2枚。序盤に同い年の2人がカードの頭をしっかり守ったことがチームに勢いをつけた。石井の存在も忘れてはならない。付け加えたいのが1、2軍の頻繁な入れ替え。計算したら現時点で30人の投手が1軍で登板した。私の経験上で言えば、相当多い。多くの投手を使いながら勝ち切った藤川監督の手腕も見事だった。

◆先発したアドゥワ誠投手(26)は4回1失点で今季2敗目となった。

◆阪神が2リーグ制以降、プロ野球史上最速で2年ぶり7度目のセ・リーグ制覇を成し遂げた。1リーグ時代を含めると11度目の優勝。優勝マジック「1」で迎え、2位巨人がデーゲームで中日に勝利。阪神の優勝決定の条件は広島に勝つことだけだった。チームの得点はリーグ最多の437点。4番の佐藤輝が球団生え抜き選手では1985年の掛布雅之(40本)以来40年ぶりとなる36本塁打(リーグ最多)を放つなど、リーグトップの89打点をマークし打線をけん引。3番・森下が20本塁打、80打点とともに同2位。勝利打点18度は佐藤輝の17度を上回る両リーグ最多とチャンスで無類の強さを発揮した。5番・大山もリーグ3位の66打点、勝利打点も同3位の14度と3人で計235打点を稼いだ。リーグの打点上位3傑を同一球団で独占となれば、79年の阪急(加藤英司104、島谷金二102、マルカーノ97)と2019年の西武(中村剛也123、山川穂高120、森友哉105)だけで、セ・リーグでは初となる。今季はチーム無得点で終わった試合がわずか5度しかなく、2リーグ制(50年)以降、阪神では76年の2度、85年の4度、86年の3度に次ぐ、ここまで4番目に少ない。無失点勝利を両リーグ最多の26度を記録し、8月2日までチーム防御率1点台(1・93)をキープするなど、チーム防御率は両リーグトップの2・12。チーム防御率が2・12以下で終われば、球界全体で62年の阪神(2・03)以来63年ぶりとなる。先発陣は才木がリーグ最多タイの12勝、同1位の防御率1・62、村上が同3位の11勝、同4位の同2・04とダブルエースが抜群の安定感を誇り、先発陣で計52勝27敗、同1位の防御率2・22。救援陣では石井がプロ野球新記録の48試合連続無失点をマークし、連続イニング無失点記録を47に伸ばし、62年の小山正明と並ぶ球団歴代2位、プロ野球歴代10位タイに浮上。シーズン35ホールド、防御率0・18と活躍。救援陣の防御率1・93は両リーグで唯一の1点台。先発、救援ともに盤石の投手陣を要し優勝へ導いた。前回優勝した23年と大きな違いは堅い守備。5月24日の中日戦(バンテリン)-6月7日のオリックス戦(甲子園)まで13試合連続無失策を記録するなど、チーム失策数はリーグ2位の53と堅守が光る。佐藤輝が三塁の守備で23年が20、24年が23と2年連続で20失策以上と守備での不安を露呈したが、今季はわずか5と課題を克服し打撃にも好影響をもたらした。チームも昨年(リーグ5位)、23年(同ワースト)と2年連続で85度犯した失策を大幅に減少。2リーグ制以降、阪神のシーズン最少失策は93年の60。球団記録更新も視野に捉えている。

◆優勝マジック「1」としていた阪神が勝利して、2年ぶり7度目のリーグ優勝を史上最速で飾った。二回無死一、三塁、高寺望夢内野手(22)の左犠飛で先制。六回1死三塁、近本光司外野手(30)の中犠飛で加点した。才木浩人投手(26)は五回、先頭の石原貴規捕手(27)の頭部死球への危険球で退場となったが、湯浅京己投手(26)が緊急登板でしのぎ、六回からは桐敷拓馬(26)、及川雅貴(24)の2投手がゼロ封。八回登板の石井大智投手(28)はNPB記録の連続試合無失点を「48」とし、62年7月小山正明に並ぶ球団2位の「47回ゼロ封」とした。チームの無失点勝利は26度目。藤川球児監督(45)は球団初の新人指揮官優勝。チームは日本シリーズ進出をかけて、10月15日、甲子園で開幕のCSファイナルステージに向かう。

◆広島は、2年連続で目の前でリーグ優勝を決められた。阪神の好投手陣を打ち崩せず、新井監督は「力負け」と唇を噛んだ。1点ビハインドの五回から勝ちパターンを投入し「最後まであきらめないぞ、ここで逆転するぞという起用」と勝利を目指したが、今季20度目の零封負けで4連敗。昨年も9月28日の巨人戦(マツダ)で巨人のリーグ優勝を目の当たりにしたが、今年は猛虎に苦汁を飲まされ続けた。

◆優勝マジック「1」としていた阪神が勝利して、2年ぶり7度目のリーグ優勝を史上最速で飾った。二回無死一、三塁、高寺望夢内野手(22)の左犠飛で先制。六回1死三塁、近本光司外野手(30)の中犠飛で加点した。才木浩人投手(26)は五回、先頭の石原貴規捕手(27)の頭部死球への危険球で退場となったが、湯浅京己投手(26)が緊急登板でしのぎ、六回からは桐敷拓馬(26)、及川雅貴(24)の2投手がゼロ封。八回登板の石井大智投手(28)はNPB記録の連続試合無失点を「48」とし、62年7月小山正明に並ぶ球団2位の「47回ゼロ封」とした。チームの無失点勝利は26度目。藤川球児監督(45)は球団初の新人指揮官優勝。チームは日本シリーズ進出をかけて、10月15日、甲子園で開幕のCSファイナルステージに向かう。

◆阪神の2年ぶり&プロ野球史上最速のリーグ優勝が決まった瞬間、大阪の街は歓喜に包まれた。大阪市中央区の繁華街の道頓堀川にかかる戎橋では大勢の人が集まり、喜びを分かち合った。午後9時頃にスマートフォンなどで阪神戦の中継を見ていたファンなどから「あと1人」コールがわき起こり、優勝が決まると男性2人が川に飛び込んだ。大阪府警が1000人態勢で飛び込みや雑踏を警戒。当初は大きな混乱はなかったが、その後、次々と飛び込む人が出て、大きな騒ぎとなった。

◆阪神のリーグ優勝を記念した祝勝会が兵庫県内の会場で行われ、ビールかけの中締めをこの日の勝利投手でもある選手会副会長の湯浅京己投手(26)が務めた。「みなさん、おつかれ生でーす。平田2軍監督見てますか?」と2023年のビールかけでの平田勝男2軍監督(66、当時ヘッドコーチ)のあいさつで笑いを誘ったところで、「ドリちゃん、来て」と今季から阪神に復帰したラファエル・ドリス投手(37)を壇上へ。ドリスは「ハンシンタイガース、ヤバスギーー!! 21年間プロとしてやってきて、初めて優勝してこんな経験をさせてもらいました。また僕をここに戻らせてくれて感謝の気持ちでいっぱい」と感謝を語った。最後はドリスの音頭で全員で「バモス!」と叫んでビールかけは終了した。使用されたビールは3500本。約20分という2年前よりも短い時間で、勝利の美酒に酔いしれた。

◆プロ野球阪神が2年ぶりにリーグ優勝を決めた7日、芸能界の虎党が歓喜した。元NMB48の歌手、山本彩(32)はXで「とらほー??リーグ優勝や~」と泣き顔や虎の絵文字を並べて大喜びした。山本は今年7月に始球式を行うなど、何度も甲子園球場でのイベントに出演している。

◆優勝マジック「1」としていた阪神が勝利して、2年ぶり7度目のリーグ優勝を史上最速で飾った。

◆虎の4番として、猛虎打線の中心に座る主砲として歓喜の輪に加わった。覚醒した2025年。阪神・佐藤輝明が最高の笑顔を空へと届けた。「もう最高です! このためにやっているようなもんなので、きょうは最高です!」五回に右中間を突き破る二塁打を放った。3月28日の広島との開幕戦(マツダ)、今季第1打席で1号2ランを放ち、華々しくスタートしたプロ5年目のシーズン。4月15日のヤクルト戦(松山)から4番を任され、ここまで124試合の出場で打率・277。36本塁打、89打点はリーグ2冠と虎の主砲として2年ぶりのリーグ制覇を導いた。覚醒した姿を届けたかった人がいる。2024年9月、仙台に住む父方の祖父・勲さんが天国へと旅立った。「僕が野球をやるきっかけだった。亡くなる間際まで応援してくれていましたね。今年の姿を見せてあげられなかったというのは残念です...」。祖父は帰省するたびにバッティングセンターに連れて行ってくれた。勲さんの自宅に隣接するテニスコートで、日が暮れるまで練習に付き合ってくれた。原点であり、一番の佐藤輝明ファン。今年1月、仙台の実家を訪れ、仏壇に手を合わせ活躍を誓った。6月、仙台で行われた楽天との交流戦。祖母の美智恵さんに電話をかけた。「じいちゃんも天国で応援してくれているから、ここまで(成績が)いい線いっているのかな」。天に届けと、打ち上げた36本の放物線。ホームランパフォーマンスには、両手を空に掲げるしぐさを入れた。じいちゃんは天国からいつもやさしい笑顔で見守ってくれている。「これまでの恩返しの意味も含めて。ばあちゃんにも、天国のじいちゃんにも、まだまだいいところ見せていきますよ」次は2年ぶりの日本一へ-。サトテルの恩返しはこれからも続いていく。(原田遼太郎)

◆2023年に阪神がリーグ優勝を決めた際に道頓堀に飛び込み、"道頓堀ニキ"の愛称で知られる男性ファンが7日の阪神優勝後にインスタグラムを更新。「阪神勝ちましたね。うれしいですね。ホンマいうたら道頓堀行って、もうめちゃくちゃはしゃぎたいんですよ。そうすると家族とか奥さんに迷惑がかかるんでね、今日は奥さんの胸に飛び込もうかと思ったんですけど、奥さん夜勤でいないんですわ」と語り、自宅の風呂に飛び込み阪神の優勝を祝った。"道頓堀ニキ"は規制線が張られた中、それを突破する形で道頓堀に飛び込んだが、飛び込むフォームの美しさや幸せそうな表情、ストロボの光を受けて夜空に映る姿が幻想的だったことから、当時"奇跡の一枚"と大きな話題となった。現在は結婚を機に、大阪から長野へ移住しているという。

◆阪神は7日、広島戦に2―0で勝ち、2リーグ制以降最速で2年ぶり7度目のセ・リーグ制覇を決めた。森下の母・ゆりさんが祝福メッセージを寄せた。翔太、優勝おめでとう! 入団3年目で2回も優勝できるなんて。学生時代はあまり優勝に縁がなかったから、お母さんも幸せです。本当に昔から、周りの方に恵まれているなと思います。今年は初めて一年間戦い抜いて、そこは大変だったんじゃないかな。でも相変わらず愚痴とか、辛いとかそういうことは口に出さないし、親にも言わないよね。帰ってきたときに「一年、しんどい?」っていうと「そりゃしんどいよ。一年中動いているんだから」みたいなことは言ったことはあるけど、ほんとに辛いときは、ほんとに言わないんだと思います。翔太が初めてプロの目標を言ったことを今でも覚えています。小学生の「2分の1成人式」のときに「プロ野球選手になる」だけじゃなくて「プロ野球選手になって活躍します」ってみんなの前で言っていたんです。高校生くらいになると「プロ野球選手にはなれる」って。「そこから活躍する選手になるのが難しいんだよ」っていうのを言っていた。そして大学生のときも、就活をみんなが準備する3年ぐらいのときに「翔太、大学卒業したらどうするの?」「就活はどうしてるの?」みたいな話をしたんです。そうしたら「いや、大丈夫。プロになるから」みたいなことを言っていて。こっちは「本当に平気なの?」って聞いたら「いや、覚悟が違うから大丈夫。俺の覚悟が違う」「周りのやつとは違うんだ」みたいなことを言っていたことがあって。ちゃんと自覚と覚悟を持って、先を見つめて野球をやっているっていうのは、その一言でそうなんだなって思いました。オフも、最近は帰ってこないのが当たり前になってきました。高校生のときから寮生活ですが、帰ってきたら「ここにいたらダラけるわ」って。家は休める場所でいいんだけど(笑)。だから去年も東京のほうにホテルを借りて練習に行ったりして、シーズンオフもずーっと野球ばかりしていたね。でも帰ってくると、料理のリクエストはあります。今はナスの煮びたしとか、きんぴらごぼうとか、結構渋いものをリクエストしてもらって作っています。翔太はずっとおかず食い。おかずがないとご飯を食べないので、昔は何品も作らないといけなくて大変でした。最後は残ったご飯をおにぎりとか、ふりかけで無理やり食べさせていたり。でも、いっぱい食べて、いっぱい寝るから大きなけがをせずにここまでやれているのかなと思います。翔太は大型犬がほしいみたいで「犬飼ってよ、飼ったら帰る」って言うんです。あなたが帰ってくる数日のためにお母さんが一年間お世話するの?って(笑)。私たちも夫婦2人なので飼ってもいいなと思うんですけど、それだと遠征に行けなくなっちゃう。開幕戦だったり、2人で見に行きたいから、翔太、もうちょっと待ってね。小さい頃「やりたいことはやらせてあげるけど、一生懸命やりなさいね」という約束をしました。それでやりたいって言ったのが野球です。自分で決めたことなんで、それはちゃんと続けているのかな。「やめちゃ駄目だよ」とかはこっちも言っていないし「嫌だったら当然言っていいんだよ」というのは言ってた。でも、野球が好きなんでしょうね。好きじゃなきゃ小学生の頃から休みなく、ここまでずっとやってこられなかったと思います。今年はいろんな球場に行って、たくさんホームランを見ることができました。開幕カードも見られたし、東京ドームの3試合連発もすごかったですね。球場に行けなくても、試合はもちろん必ず見るようにしていて。見に行くときによく打ってくれるんですよ。仕事があって球場に行けなくても、一生懸命帰ってみるようにしています。調子が悪いときは「ああ...」ってなるけど、翔太は何打席か駄目でも急に打ったりするから、いつ打つかわからない。だから、見ないということは絶対にないです。その瞬間を見逃さないように、と思って、できるだけリアルタイムで応援しています。1年目、2年目、そして今年と、急成長はなかなかないけど、でも着実に一歩ずつ前に進んでいっているなと思います。でも、やっぱり3年たつと、『あと何年できるんだろう』って、なんかちょっと先を考えてしまうときもあって。だから、今はほんとに好きなことを今やってほしいって、つくづく思いますね。これが一生続くわけじゃないじゃない。プロ野球選手も、いつか終わりが来ます。本当に後悔しないように、今を進んでいってほしいなと思います。翔太、優勝おめでとう。これからも頑張ってね!

◆阪神・近本は四回に二塁へ内野安打を放つと、六回1死三塁の好機では中犠飛で大きな2点目をあげた。「(犠飛は)この状況、雰囲気に飲み込まれず、力まずと冷静な部分があったので、その分対応できた」。九回2死は秋山の打球を落ち着いて処理し、ウイニングボールをつかんだ。プロ7年目の今季は通算1000安打を達成するなど、ここまで125試合の出場で打率・278。142安打はリーグトップ。国内フリーエージェント(FA)権も取得し、「時間があるときにどうするか考えたい」と語っていた。

◆1点差の六回に3番手で登板した阪神・桐敷が1回を三者凡退に抑える好リリーフを見せた。「流れがどちらに行くかわからない状況だった。3人でというよりゼロでいくことを意識した」。先頭の羽月を三球三振に斬ると、小園を二ゴロ、モンテロはフォークで空振り三振に仕留めた。2年ぶりの優勝に導き、「去年、悔しかったので、次の年に優勝できて、試合に投げられたことが一番うれしい」と屈託のない笑顔を見せた。

◆〝湯浅の10球〟が虎を救った。先発の才木が五回先頭で危険球退場し、緊急登板。無失点投球で勝利投手となり、「ああいう登板でしたけど、しっかりベスト尽くせた」と胸をなで下ろした。4月29日に国指定の難病「胸椎黄色靱帯骨化症」から復活。救援陣の一員としてどんな場面でも腕を振った。「いろいろな人に支えてもらってここに立てている。感謝しかない」。今でも手術室に入った恐怖心は鮮明に覚えている。あの日の覚悟が、優勝をもたらす10球につながった。

◆フル回転でブルペンを支え続けた阪神・及川が、七回に登板して三者凡退と好投した。「2年前の優勝のときから、そういった試合で投げたいという気持ちがあった。感動は強いです」。今季はリーグトップの60試合に登板。勝ちパターンに定着し、防御率0・94という圧巻の成績を残している。「一番練習したと思える年。状態もメンタル的もずっと自信があった」。球児虎に不可欠な存在となった左腕。高卒6年目で努力が実を結んだ。

◆阪神・掛布雅之OB会長(70)が球団の2年ぶり7度目のリーグ優勝を受け、以下のコメントを発表した。「藤川監督は投手出身だけあって、ブルペン運用をはじめ、守り勝つ野球がしっかりしていた。チーム失策数が減り、投手だけでなく、攻撃面にもいい影響を及ぼした。主力の長期離脱を出さなかったコンディション管理も素晴らしかった」

◆2年前の優勝決定試合でも先発した阪神・才木は1-0の五回、先頭の石原に投じた直球がすっぽ抜けて頭部を直撃。危険球退場が宣告された。歓喜の輪には広島ベンチに一礼してから加わり、「ああいう形で代わってしまって、リリーフにも負担かけましたし、石原さんにも、広島カープの皆さんに申し訳ないなと思います」と配慮した。ここまでリーグトップタイの12勝。「自分と村上(11勝)の2人で10勝もしながら、回って来られたことに関してはすごくうれしいなと思います」と振り返った。

◆阪神・秦雅夫オーナー(68)が球団の2年ぶりリーグ優勝に「藤川球児監督の強いリーダーシップのもと、コーチ、選手、そしてチームスタッフの一人一人が自らの役割を全うし、戦い抜いた結果だと考えております」とコメントした。昨年12月に就任。今年2月の春季キャンプ(宜野座)ではチームに向けた訓示で「勝ちきってもらいたい」とエールを送った。「藤川監督は就任1年目ながら冷静かつ果敢な采配でチームを束ね、安定感のある戦いぶりで守りの野球で勝つ姿を体現してくれました」と笑顔をみせた。阪神・粟井一夫球団社長 「球団創設90周年という大きな節目の年に、地元・阪神甲子園球場でファンの皆さまの目の前でこの喜びの瞬間を迎えられたことに、深い感謝とともに大きな喜びを感じております。この優勝はあくまで通過点であり、目指すべき最終目標は日本一です。チームとフロントが心をひとつに、最後の瞬間まで全力で戦い抜く覚悟です」

◆阪神・村上は幼いころから憧れ続けた藤川監督を胴上げし、「監督になった瞬間から、1年目で優勝できるように、力になれるようにと思いながら投げていた。憧れの人が監督のところで野球ができたのは本当に幸せです」と感慨に浸った。開幕投手を務め、ここまで11勝。同学年の才木は12勝を挙げており、「それぞれのカードにエースがいるのは強い証拠」と二枚看板で栄冠に導いた。

◆2023年に監督として日本一に導いた岡田オーナー付顧問はスーツ姿で甲子園を訪れ、優勝の瞬間や藤川監督の胴上げを球団ブースから見届けた。その後、一塁ベンチ内で指揮官やナインと握手を交わし、秦オーナーら球団関係者とグラウンドで記念撮影も行った。昨季終了後に監督を退任し「違う立場でアドバイスや手助けをする」と〝教え子〟を見守ってきただけに笑顔があふれた。

◆笑顔の阪神・森下翔太外野手(25)が、近本、熊谷とハイタッチし、人さし指を掲げながら外野から全速力で歓喜の輪に飛び込んだ。優勝決定試合でも1安打1四球と活躍。2年前とは全く違う感情で、胴上げのときを迎えた。「この瞬間のために頑張ってきた。1年目はただガムシャラにやっていたが、今回は優勝メンバーの中心にいられたと思う」入団3年目の今季、開幕前には藤川監督に4番起用を明言され、チームの柱として指名された。3番に移ったが、全試合に出場し、キャリアハイを更新する20本塁打、80打点はリーグ2位。過去2年は2軍降格を味わったが、今季は中心選手として責務を全うした。初めてシーズンをフルで完走した体への影響は経験したことがないものだった。疲労は全身に及ぶ。それでも毎日試合はやってきた。「どの時期と言わず、ずっときつい。でも、みんなきついままやっている。どれだけしんどくても、打てなくても、『あしたはやる』という気持ちは持っておかないといけないと思っていた」毎日の入浴やストレッチは欠かさない。首脳陣と相談し、試合前練習では本隊と別でアップ、打撃練習を室内で行うなど、自ら責任を持ってコンディションを整えた。私生活の変化もあった。昨オフから寮を出て1人暮らしがスタート。当初は料理を注文して食事をとることもあったが、体に異変がでた。「体がおかしくなった。このままではいけない」。理想のコンディションで一年を戦い抜くために、栄養士と契約した。毎食、小鉢が数品に主菜と野菜、スープに白飯と徹底的に栄養を管理。これまで苦手で食べられなかったトマトも克服した。全てを野球にささげてきたからこそ、たどり着くことができた。「ずっと首位争いをするのはきついものがあるし、自分の結果が出なかったときもあった。結果的に優勝をみんなで分かち合えたのでよかった」全てを成し遂げ、晴れやかな顔でスコアボードを見上げた。強い虎の中心には森下がいる。(中屋友那)

◆九回に登板した阪神・岩崎は4番・小園からの打順を三者凡退。最後は秋山を中飛に打ち取り、2年ぶりの胴上げ投手となった。「勝ててよかったです。大変なことにならなくて」この日の登場曲は藤川監督が現役時代に使用していたロックバンド、LINDBERGの「every little thing every precious thing」が流れ、球場は大合唱に包まれた。2年前は同年に脳腫瘍のため亡くなったドラフト同期の横田慎太郎さんの登場曲、ゆずの「栄光の架橋」を流しており、「(横田さんへの思いは)それは常に。きょうが特別とかではない」と優勝を天国にささげていた。これで今季31セーブ目。日本一まで最後をきっちりと締めていく。(渡辺洋次)

◆球団創設90周年に火の玉V! 阪神は広島に2―0で勝ち、2リーグ制以降最速となる9月7日に2年ぶり7度目のセ・リーグ制覇を決めた。1リーグ時代を含めると11度目の優勝。藤川球児監督(45)は盤石の投手陣を中心に安定した戦いをみせて、球団では初めて新人監督で頂点に立った。日本シリーズ進出を争うクライマックスシリーズ(CS)には10月15日開幕のファイナルステージ(6試合制)から出場。2年ぶり3度目の日本一を目指す。最後の一球が近本のグラブに収まる。一瞬にしてできた歓喜の輪。戦い抜いたナインの手によって、背番号22は5度舞った。史上最速「9・7」でのぶっちぎりV。藤川監督率いる猛虎が、今季最多4万2649人が詰めかけた超満員の甲子園で、先人たちとともに積み重ねてきた球団創設90周年の歴史に輝かしい栄冠を刻んだ。「選手たちが強いわ。ファンのみなさまを代表して、みんなに胴上げしていただいている気持ちで上がっていました。ほんとにみなさんの応援があってここまできました。最高の気持ちです」2年ぶり7度目のリーグ優勝で、新人監督では初。指導者経験なしという不安を一蹴した。掲げたテーマは「凡事徹底」。日々の練習や準備を当然のようにやり抜くことを大切にした。さらに、現有戦力でも優勝争いは演じられたが「組織は簡単に壊れる」と変化を求めた。「名前と顔でやっている選手はいらない。今の時代、裸一貫で生きていく選手だけが残る」。独立リーグ出身の石井は連続試合無失点で日本記録を樹立し、7月下旬には37歳のドリスを獲得。「6月までに種まきを終える」と控えだった熊谷らの才能を開花させ、戦力を厚くした。順風満帆に見えた戦いも交流戦は8勝10敗。楽天戦の3連戦3連敗はさすがに堪えた。普段は「日付が変わる前には寝られる」と話すが、関係者から食事に誘われても遠征先のホテルに閉じ籠もり、何度も促されて部屋を出たのは深夜2時頃。その後、現状打破について明け方近くまで意見交換したという。

◆選手会長の阪神・中野は歓喜の輪の中でナインに6度、胴上げされた。「初めての感覚だったので、すごく気持ちいい感じでした」。三回には三塁線を破る二塁打でチャンスメーク。守っては軽快な守備で投手陣を支えた。ここまで全126試合に出場し、チームをけん引。2年ぶりの優勝を果たし「チーム全員が喜んでいる姿を見て、ここまで頑張ってきてよかったなと思います」と感慨深げにうなずいた。

◆阪神・大山が先制点をおぜん立てした。二回先頭でアドゥワの初球を左翼線へはじき返す二塁打をマーク。その後、高寺の犠飛で生還した。昨オフ、国内FA権を行使して残留。「残留の理由として、監督、コーチ、チームメートともう一回、優勝したいという気持ちが強かったので一つ目標が達成できた」と胸をなで下ろしつつ、「まだシーズンは続くのでこれはこれで皆で喜んで、メリハリはしっかりしたい」と気を引き締めた。

◆阪神・坂本が2安打を放つなど攻守で存在感を見せた。六回先頭で右中間への二塁打を放つと、近本の犠飛で貴重な2点目のホームイン。守備では6投手をリードして無失点リレーを完成させ、「ロースコアでも勝つという今年の野球のスタイルが、優勝が懸かっている試合でできた」とうなずいた。2年ぶりの優勝に「たくさん試合に出せさせていただいて(優勝)できたことは、自分にとって大きなこと」と笑顔がはじけた。

◆石井がリーグ制覇を達成した日に偉大な虎のレジェンドに並んだ。2-0の八回に登板。2安打されたが、1回無失点で勝利のバトンを岩崎につないだ。「去年、優勝を逃したから、そこ(優勝)だけを見てやってきた。そこは素直に喜びたいなと思う」先頭の代打・野間に左前打。中村奨は三ゴロ併殺に仕留めたが、続くファビアンに右前へ運ばれた。だが、羽月を遊ゴロに抑えて得点は許さなかった。これで4月5日の巨人戦(東京ドーム)からの連続無失点の日本記録を48試合に更新。さらに球団2位の小山正明の47イニング無失点に並んだ。球団記録の藤川球児(47回?)まで、あとアウト2つに迫った。「それは運もあるかなあと思っていますし、(6月に頭部に打球を受けて離脱後)監督のアドバイスがなければ今シーズンは終わったかなと。(監督と)比較することは難しいです」試合後、藤川監督と並んでの会見で、石井は見せたことがないような緊張した表情だった。リーグ制覇&日本一となった2023年は44試合に登板して、1軍に初めて定着した。昨季は56試合に投げて防御率1・48。独自調整が認められた今年はある意味、結果だけを求められたシーズンだった。「来年のハードルが上がって嫌だなと思います。(報道陣の)みなさんの見る目もそうだと思うし」石井はニヤリと笑った。次回登板で1回を無得点に抑えれば、藤川監督の記録を超えるが「僕は先、先のことを考えてやっている」。日本一を達成するまで満足はしない。(三木建次)

◆阪神・高寺が0―0の二回無死一、三塁で左翼へ先制の犠飛を放った。「外野フライでもいいくらいの気持ちで積極的に打席に入った。あとは投手の方々が頑張ってくれた」。自身初の開幕1軍を勝ち取った今季は、いずれも最多の54試合に出場し26安打をマーク。「自分的には貢献できなかったという思いの方が強いが、こうやって優勝できてうれしい」と喜んだ。

◆スピードボールでならした藤川監督の現役時代さながらの速い速い火の玉優勝、おめでとうございます! そして、ありがと~う!! おかげで、自宅のリビングはビールかけでビショビショやけど、おめでたいからええよ~!!とにかく強い! 例えば、優勝を決めた試合は、派手なホームランなどない犠飛2本に投手陣の零封継投。これがホントの強さなのだ!! かつて、こんなチームがあったんです...。それは昭和40(1965)年から9年連続で日本一になった巨人です!小学校入学から中学卒業までの9年間、虎党のダンカン少年はどれほど苦汁をなめさせられたことか...。巨人のV9達成から、わが阪神は今季で5度目のリーグ優勝を果たしたが、この優勝は過去の優勝と違う『阪神が巨人になったV』なのだ!!V9時代の巨人のように、他球団を寄せつけない圧倒的な強さはもちろん、あの頃巨人が強そうであったように純和製の野手! 当然ほとんどが生え抜き選手。そーいえば柴田、高田はイケメンで巧打者で俊足...。これは近本、中野だね。巨人には最強のON(王、長嶋)がいたけれど、森下、佐藤輝、大山のクリーンアップの三本の矢でON超えやー!!なかでも8月26日のDeNA戦のインタビューで、九回に2ランを放ったときのことに触れ「まだ試合が終わっていないのにガッツポーズをしてしまって、スミマセン」との大山のコメント。これは、かつてあの王貞治さんが打たれた投手のことを思い、決して派手なポーズをしなかった(世界記録の時はマスコミ用にあらかじめ公言していた律義さ)とどこか重なって、人間的に素晴らしいプロ野球人になったなぁ...と、感動をおぼえたのだ。湯浅の復活マウンドもあった! 頭部に打球を受け、選手生命も危ぶまれた石井の連続無失点試合の日本記録達成のドラマもあった! でも、MVPはやっぱり「新人監督に何ができる」の声に毅然(きぜん)と立ち向かった藤川球児監督に他ならないのだ!!球団90周年にV! 100周年まで11年連続優勝やったろやないか! ガオー!!

◆91年目を迎えた日本プロ野球で、90周年を迎えた阪神が歴史を塗り替えた。史上最速V。まだ9月7日。秋風が優勝を運んできた...な~んて過去のフレーズは、死語になるのだろうか。見たことも聞いたこともない〝セ界ひとり旅〟だった。あなたはいつ、優勝を確信しましたか?マジック点灯した日(7月30日)という友がいて、森下が忍者のように捕手のタッチをかわして生還した瞬間(同2日)とマニアックな記者仲間がいる。石井が頭部への打球直撃で離脱し、復活登板した日(同1日)という感動の物語を訴える意見もあれば、いやいや、開幕戦(3月28日)の一回に佐藤輝がホームランを打った瞬間や!と自慢するヤツもいた。俺が一番初めに...。自慢合戦も楽しいもんだ。本紙専属評論家の江本孟紀さんは「3月のカブス、ドジャースに連勝した試合を見て、巨人1位の予想から、阪神1位に変えた」なんて方もおられる。要するに、最初から、最後まで強かったのが、2025年の阪神なのだ。トラ番キャップ・須藤佳裕にとっても感無量のリーダー就任1年目V。藤川監督と一緒だ。こちらは仕事柄、極めて冷静だった。「僕はマジックが点灯しても、まだ確信なんてありませんでした。ドミノ倒しのように連敗する阪神も、ファンとして見ていた時代から知ってますから。振り返れば、確信する間もなく、いつの間にかゴールって感じです」

◆酸いも甘いも、味わった-。阪神・近本光司外野手(30)が優勝手記を寄せた。どんな事実にも動じず、楽しみながら解釈して歩んだ一年。8月下旬に経験した自己ワーストの38打席無安打も「いい経験ができた」と言い切り、昨季2位に終わった悔しさこそが選手とチームの成長につながったと胸を張った。優勝できて本当にホッとしています。(九回先頭の)小園がセンターフライだったので、もう来ないかなって思っていたんですけど、最後また飛んできました。それでゲームセットやったので、うれしいというか、とにかくホッとするなという気持ちです。今季を象徴する言葉を挙げるとするなら「味わう」ですね。打った、打たない。勝った、負けた。優勝した、優勝できなかった-。いろいろなことがあるけれど、それはあくまでも「事実」でしかない。それを自分なりの解釈で、どうやって〝おいしい〟と感じるか、だと思ってやってきました。僕は「結果に向かうプロセスを楽しむ」ことを大事にしています。そのときそのときで楽しみ方があって「何かに対して何も感じられない、何も楽しさを見いだせない」ということが、僕にとっての悪いこと。プロセスを楽しむから、その手段である野球が楽しい。こう思えるのもプロ野球だからこそ、プロ野球選手になったからこそですね。前にやってみたことがダメだった。だったら、今度はまた違うアプローチをしてみよう。こういうインプットをしたら、どういう結果になるんだろう。そういった機会は、他のスポーツだったら週に1、2回しかないのかもしれません。でも、プロ野球選手なら、毎日それができる。だから野球が、そのプロセスがすごく楽しい。打てているのか打てていないかというより、打てないときにどうやったら打てるのか、どうやったら自分のイメージ通りにできるのか、というのを考えるのが僕はすごく好きなんです。もし結果だけを気にしていたら、そこからどう成長したいというのは見えてこない。ことしは長い間、打てない時期もありました。でも、そこでしか見られない世界、そこでしかできない経験もある。打てなかったこともまた次につなげられるように。感じたことを記録しながら、いい経験ができたと思っています。プロセスを楽しむことが結果につながる、とは思っていません。そこは矛盾するものだし、矛盾していい。一貫性って正直、ないと思うから。個人でも、きのう考えたことがきょうは変わっていたり、きのう言っていたことがきょう変わっていたりするじゃないですか。社会も、人間関係も。だから「そういうもんだ」と思っています。もっと貪欲に成長したい、もっと打ちたいとやっていたら、もっと違ういい結果になっていたかもしれないし、何も変わっていなかったかもしれない。それは別に比べる必要がありません。僕は僕でやりたいようにやっているだけなので。そういう意味で、今年はすごくいろいろなことに挑戦して、いろいろな成長をして、自分なりに解釈して、楽しんでいるなと思っているので「味わう」にしました。2年前に優勝して、去年は2位。ことし優勝したから、あの経験も「すごくよかった」といえる。選手が成長できた、チームが成長できたということだと思います。ここから、さらに自分の成長、チームの成長がなければ来年、再来年には続かない。未来につなげていくために、今はこのリーグ優勝をしっかりと味わいます。

◆阪神・藤川球児監督(45)の高知・城北中時代の恩師・上田修身氏(63)が教え子の優勝を喜んだ。球児、優勝おめでとう。素晴らしい一年の戦いだったと思う。監督就任が決まってからは「コミュニケーションしっかり取らないかんぞ。今の子はもうガンガン言うてもいかんし、コミュニケーション取ってやらないかん」という話をした。その点、今年はすごく潤滑にチームが回っているように見えた。選手とも意思疎通が取れて、いい監督になっているんじゃないかな。球児の姿勢は一貫していた。春季キャンプのとき、早朝8時くらいに携帯電話が鳴った。「先生、すみません。嶋村をけがさせてしまいました」。数日後に紅白戦が予定されている中で離脱者1号となってしまい、教え子の状態をいち早く教えてくれた。驚いたのは、球児の電話の言葉が「嶋村がけがしました」ではなく「けがさせてしまいました」だったこと。「僕らの責任です。スタッフ、首脳陣が、選手を守ってやらないといけないといけない。もっと徹底してやっていきます」と。コンディション管理を徹底することは初めから決めていたのだろう。レギュラーメンバーを休養させながら使ったときも、球児らしいなと思った。球児はまだ若いし、まだ20年くらいはやれるはず。80勝を20年やったら1600勝か(笑)。一番勝つくらい、長く監督をやってほしいね。

◆「何が強かったかということが、みなさまにまだ分からない。その辺りが本当の強さだと思います」7日の広島戦(甲子園)で史上最速優勝を決めた阪神・藤川球児監督の優勝監督インタビューでのファンに向けたコメントだ。勝者だけが許される、この発言を、セの5球団の監督はどう思うのだろうか? 2リーグ分立後初の1位阪神ー2位巨人...虎党にとって最高の結末が、歴史的独走で実現しようとしている。現在のゲーム差は「17」で借金は「1」。それでも2位は2位だ。過去の阪神のリーグ優勝を振り返ると、1962年の巨人は4位、64、85、2003年は3位、05年5位で23年4位だった。「天王山」も「大一番」も「天下分け目の決戦」もなかった今季は6月以降は「首位攻防」すら存在しなかった。まさに「金持ちケンカせず」。その必要もなかった。本当に強かった。表面上は選手の人選に苦労し、悩み、七転八倒する姿が見えなかった。何より巨人を筆頭に5球団が弱すぎた。6月10日西武戦(ベルーナ)から17日ロッテ戦(甲子園)まで7連敗を喫しても、2位とのゲーム差は「3・5」から「2・5」になっただけ。あれだけ負けても追撃の足音が聞こえない。巨人は岡本和真、ヤクルトは村上宗隆が負傷離脱。チームにとって毎年、正念場となる夏のロードが始まると、今度はDeNAの牧秀悟が故障で抹消された。オーダーに四苦八苦する他球団を横目に、優勝チームにありがちな劇的な逆転サヨナラ勝利もなく、阪神は淡々と白星を積み重ねたイメージが強い。虎将が勝つために最善の努力を続けたことは間違いない。それでも余裕があった。レギュラーではない選手が結果を出しても、コンディションを考慮してスタメンから外し、出番を待つ選手をグラウンドに送る。その妙味が冴えた。熊谷敬宥、高寺望夢に中川勇斗が象徴で直近では小野寺暖。本来ならVメンバーに入っているはずの前川右京はいない。4月1日登録ー3日抹消の井上広大はスタメン1試合3打数無安打で姿を消した。もちろん2人が悪い。だが抜擢も、主力以外の日替わり人選も貯金があるから。勝利数は無縁ではない。投手に目を向けると、野手以上に顕著だ。例えば優勝マジック「6」で迎えた4日のバンテリンDでの中日戦。先発はニック・ネルソンだった。リーグVを目前にしてのブルペンデー。2軍投手を起用することなく、新外国人投手に託した。6日の広島戦(甲子園)では門別啓人が6月4日の日本ハム戦(エスコン)以来の先発マウンドに立ったが、4回1失点で降板を命じた。虎将の言葉を借りるならイロハの「イ」を覚えさせている段階。いずれも快勝。底力を見せつけた。岡田彰布前監督は原辰徳、落合博満の両氏と、しのぎを削った。采配対決や頭脳戦がおもしろかった。藤川監督にとって〝ライバル〟とは? 本人が、その存在を望んでいないとしても、浮かばない。セの5人の監督同様、打つ手が裏目と出て、後手を踏み、投打のリズムが乱れ、主力不在などのマイナス要素に直面しても表面上は変わらないのか。負けが重なった時、どんな発言を残し、どのような表情で、起死回生の采配を振るのか。こうすれば勝てるーを身をもって示した。巨人に盟主の意地はないのか? DeNAになぜミスが多いのか? ヤクルトは新監督を迎えて、何からメスを入れるのか...。球団と現場が真剣に取り組まないと、阪神には追いつけない。勝手な言い方をすれば、崖っぷちに追い込まれた藤川監督を、逆襲する球児野球を見てみたい。

<セ・リーグ順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差残試合 得点失点本塁打盗塁打率防御率
優勝
(1↑)
阪神
78453 0.634
(↑0.003)
-
(-)
17437
(+2)
296
(-)
80
(-)
93
(+1)
0.245
(↑0.001
2.120
(↑0.01)
2
(-)
巨人
61623 0.496
(↑0.004)
17
(-)
17393
(+6)
386
(+3)
83
(-)
48
(-)
0.246
(-)
2.770
(↓0.01)
3
(-)
DeNA
58625 0.483
(↑0.004)
18.5
(-)
18416
(+3)
403
(+2)
92
(+1)
60
(-)
0.240
(-)
2.950
(↑0.01)
4
(-)
中日
56672 0.455
(↓0.004)
22
(↓1)
18355
(+3)
395
(+6)
74
(+1)
76
(-)
0.230
(↑0.001)
2.880
(-)
5
(-)
広島
54665 0.450
(↓0.004)
22.5
(↓1)
18384
(-)
414
(+2)
63
(-)
53
(-)
0.245
(↓0.001)
3.040
(↑0.01)
6
(-)
ヤクルト
45706 0.391
(↓0.004)
29
(↓1)
22353
(+2)
481
(+3)
76
(+1)
52
(-)
0.232
(-)
3.620
(-)