阪神(☆5対4★)中日 =リーグ戦16回戦(2025.08.19)・京セラドーム大阪=
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中日
01002010041121
阪神
03000200X5900
勝利投手:ドリス(1勝0敗0S)
(セーブ:岩崎 優(1勝2敗25S))
敗戦投手:藤嶋 健人(1勝4敗1S)

本塁打
【中日】岡林 勇希(4号・7回表ソロ)

  DAZN
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◆阪神は1点を追う2回裏、榮枝の適時打などで3点を挙げ、逆転に成功する。その後同点を許すも、6回に代打・糸原と熊谷の連続適時打が飛び出し、再びリードを奪った。投げては、3番手・ドリスがNPB復帰後初勝利。敗れた中日は、7回に岡林のソロで1点差に迫るも及ばなかった。

◆阪神はジェレミー・ビーズリー投手(29)が緊急先発する。先発予定だったジョン・デュプランティエ投手(31)が下肢の張りを訴え、急きょ登板を回避。ビーズリーにSOSが出された。ビーズリーは来日3年目。昨年は8勝3敗と先発ローテの一角を担う活躍を見せた。今季は調子が上がらず1勝3敗。それでも今回のように先発の穴埋めや、暫定的なブルペン要員など、多様な役割を献身的に請け負っている。今年の阪神外国人投手は実に6人も1軍で登板している。24年にセットアッパーとして大活躍したハビー・ゲラ(29)が絶不調。前年は投手陣を支えたビーズリー&ゲラのコンビがほぼ不在にもかかわらず、他の4人がカバーする。新外国人のデュプランティエは開幕から先発に定着した。中継ぎのニック・ネルソン(29)も一時は勝ちパターンを担った。ネルソンが下降気味になると、7月にグラント・ハートウィグ(27)とラファエル・ドリス(37)が加わり、中継ぎとして1軍登板を果たした。17年と21年には5投手が1軍登板している。17年はドリスが最多セーブを獲得。主戦のメッセンジャーのほかマテオ、メンデス、メンドーサが稼働した。21年はスアレスがセーブ王。ガンケル、アルカンタラ、エドワーズ、チェン・ウェインが登板記録を残した。

◆阪神井坪陽生外野手(20)、栄枝裕貴捕手(27)が1軍に合流した。井坪は出場選手登録されれば、高卒3年目でプロ初の1軍昇格となる。1年目から2軍戦で93試合に出場し、打率2割4分8厘、3本塁打をマーク。昨季の打率は2割7分5厘で、今季は2割6分1厘となっていた。栄枝は開幕から1軍に帯同し続けるも、出場5試合で4日に出場選手登録を抹消。2軍降格後はウエスタン・リーグ5試合に出場し、打率2割7分8厘と結果を残していた。この日先発のジェレミー・ビーズリー投手(29)も合流。13日のウエスタン・リーグ中日戦では栄枝とバッテリーを組み、6回1安打1四球無失点だった。

◆阪神近本光司外野手(30)が19日、国内フリーエージェント(FA)権の資格取得要件を満たした。近本は「ここまでケガなく来られたことと、毎年試合に出ることができたというところで、7年間関わった人、またそれまでに関わった人、いろいろな人に感謝したいなと思います」と冷静に反応した。地元兵庫出身。社高、関学大を経て、社会人の大阪ガスからドラフト1位入団した。1年目からレギュラーとして活躍を続け、7年目での最短取得となった。FA権行使の有無については「シーズン中なのでそこまで考えることはないですけど。それについて時間があれば...時間があるかは分からないですけど、どうするかは考えていきたいと思います」と話すにとどめた。昨年は4人が国内FA権を初取得。大山悠輔内野手(30)と原口文仁内野手(33)は行使した末に残留。坂本誠志郎捕手(31)と糸原健斗内野手(32)は宣言せずに残留した。今季は近本のほかに植田海内野手(29)も資格条件を満たしている。

◆阪神ジェレミー・ビーズリー投手(29)、井坪陽生外野手(20)、栄枝裕貴捕手(27)が出場選手登録された。井坪は高卒3年目でプロ初の1軍昇格。1年目から2軍戦で93試合に出場し、打率2割4分8厘、3本塁打をマーク。昨季の打率は2割7分5厘で、今季は2割6分1厘となっていた。栄枝は開幕から1軍に帯同し続けるも、出場5試合で4日に出場選手登録を抹消。2軍降格後はウエスタン・リーグ5試合に出場し、打率2割7分8厘と結果を残していた。ビーズリーは、18日に下肢の張りで出場選手登録を抹消されたデュプランティエに代わり、この日先発予定。13日のウエスタン・リーグ中日戦では栄枝とバッテリーを組み、6回1安打1四球無失点と好投していた。

◆阪神井坪陽生外野手(20)が、プロ初の1軍昇格を果たした当日に、プロ初のスタメン出場となった。「8番中堅」で先発出場する。近本光司外野手(30)が今季初のベンチスタート。ここまで全109試合で「1番中堅」スタメンだった。阪神栄枝裕貴捕手(27)は「7番捕手」。7月31日広島戦以来で、こちらは1軍再昇格当日のスタメン出場となった。同じくこの日出場選手登録されて先発するジェレミー・ビーズリー投手(29)とバッテリーを組む。13日ウエスタン・リーグ中日戦でもバッテリーを組み、6回1安打1四球無失点だった。熊谷敬宥内野手(29)が「1番遊撃」。1番スタメンはプロ初となった。前川右京外野手(22)がベンチ入りメンバーから外れた。勝利すれば、今季唯一負け越している中日と五分になる。

◆何とも絶妙なタイミングとなった。阪神井坪陽生外野手(20)がプロ3年目で初めて出場選手登録され、さっそく「8番中堅」で先発ラインアップに名を連ねた。関東第一(東京)で強打の外野手として評価され、22年ドラフト3位入団。2軍では1年目から天才肌な打撃センスを発揮した。この日、夏の甲子園の準々決勝で東東京代表だった母校が敗退。SNSなどでは「すごいタイミングの妙。アツい」「(平田)勝男さんが推してくれたんか」「母校の後輩の分まで!」と投稿があった。

◆連敗から脱出したい中日はカイル・マラー投手(27)が先発する。今季ここまで13試合に登板し、3勝6敗、防御率3・57。首位を走る阪神とは初対戦だ。打線は「1番右翼」に好調をキープしている上林誠知外野手(30)、「2番二塁」に板山祐太郎内野手(31)を起用した。「8番捕手」には石伊雄太捕手(25)を据えた。15日DeNA戦でバントを試みた際に右手人さし指を負傷。スタメンマスクは3試合ぶりとなった。

◆「TIGERS B-LUCK DYNAMITE SERIES」アンバサダーの「&TEAM」が、試合前にグラウンドでライブパフォーマンスを行った。登場した瞬間、黄色い声援が場内に響いた。「Dropkick」、「Run Wild」を披露し、観客を沸かせた。その後は、ファーストピッチセレモニーを実施。メンバーのEJ(22)、NICHOLAS(23)、YUMA(21)が投球した。3人ともノーバウンド投球を披露した。関西出身のYUMAは「緊張しちゃって、ちょっと上の方にいったのが残念です。自己採点で言うと、70点ですね」と振り返った。TAKI(20)は「小学生の頃、観戦に行ったことがあった。そういう面見ると、すごく楽しかったし、こういう舞台で踊らせていただいて、また1つ&TEAMとしても成長できたんじゃないかな」と笑顔で語った。

◆阪神佐藤輝明内野手(26)が18打席ぶりにHランプをともした。2回先頭で右前に鋭くはじき返した。これを足場にこの回3点で逆転。佐藤輝にも久しぶりに笑顔が戻った。17打席ノーヒットは今季最長ブランクだった。この間には欠場もあったため、10日のヤクルト戦(京セラドーム大阪)で4安打して以来、9日ぶりの快音となった。3回には二塁内野安打も放った。

◆プロ初出場の阪神井坪陽生外野手(20)がいきなりラッキーボーイになった。プロ3年目で初めて出場選手登録され「8番中堅」で先発。2回の第1打席。同点に追いつき、なおも1死一、二塁のチャンスで、三塁前に転がす内野安打でプロ初安打をマークした。すると三塁のマイケル・チェイビス内野手(30)が一塁に悪送球。走者2人がホームインするという幸運を呼び込んだ。打点はつかなかった。場内が大盛り上がりの中、井坪は先へ先へと走り、二塁をオーバーラン。そこで挟殺され、走塁死となった。プロ初安打の記念ボールで自らがアウトになるというレアなおまけつきだった。

◆阪神栄枝裕貴捕手(27)が久しぶりの快音を響かせた。この日1軍復帰して、いきなり「7番捕手」で今季3度目のスタメン。1点を追う2回の第1打席、1死一、二塁のチャンスで左腕カイル・マラー投手(27)のカーブをおっつけて右前に鋭くはじき返し、同点の1打点を挙げた。打点はプロ2年目だった22年以来、3年ぶりの通算2打点目。安打も23年以来の通算3安打目。今季は開幕から「第3捕手」として1軍に長らくいたが、今月4日に今季初めて出場選手登録を抹消されていた。

◆阪神熊谷敬宥内野手(29)が繊細すぎる"足技"を見せた。「1番遊撃」で先発。回無死一塁の守備で、石伊雄太捕手(25)の打球は二塁ベースのやや右に飛んだ。遊撃の熊谷は素早く打球に追いつき、打球をつかむとほぼ同時に右足の先で二塁ベースを軽く触り、一塁に送球して併殺を決めた。ただ、遠目にはベースを触っていないように見えたか、中日井上一樹監督(54)はすぐにベンチを出てリクエストした。場内に流されたリプレー映像ではしっかりと右足で触っているのが確認され、阪神ファンは大きな拍手。判定通りの「アウト」で試合が再開された。熊谷は大のサッカー好きとしても知られる。

◆阪神中野拓夢内野手(29)に超美技が飛び出した。3-1で入った5回の守備。1点差に詰め寄られ、なお1死一、三塁でマイケル・チェイビス内野手(30)の打球は右翼手前のライン寄りにふらふらと上がった。広く空いていたゾーンだけに、誰もが同点打になると思ったが、二塁手の中野は猛スピードで落下点に走り、最後はダイブしてグラブの先でノーバウンドキャッチ。すぐさま起き上がり、三塁走者のタッチアップも許さないスーパープレーとなった。

◆阪神先発ジェレミー・ビーズリー投手(29)が今季先発初勝利を逃した。当初先発予定だったジョン・デュプランティエ投手(31)が「下肢の張り」で18日に出場選手登録を抹消。代役として先発したが、序盤から制球に苦しみ、2回1死一、三塁では投前スクイズを犠打野選にして先制点を献上した。2点リードの5回は先頭板山に二塁打を許すと、岡林に四球を与えた。1死一、二塁からボスラーに中前適時打を許すと藤川監督が交代を告げた。2番手グラント・ハートウィグ投手(27)が同点打を許し、5回途中5安打3失点。今季6度目の先発でも白星を引き寄せられなかった。

◆阪神中野拓夢内野手(29)が瞬時のカバリングでチームを救った。3-3の6回。1死一塁から一塁走者の上林誠知外野手(30)がスタート。捕手からの二塁送球が滑り込んだ上林の体に当たり、遊撃方向にコロコロと転がった。二塁ベース後方でカバーに入っていた中野は、無人のエリアにボールが転がったのを見ると、すぐに全速力で追いかけた。三塁に向かう上林と競走のような形になった。遊撃の定位置あたりで追いつくと、ベアハンドでつかんで、ランニングスローで三塁ベース上にストライク。ぎりぎりのタイミングで上林をしとめた。球場内は感嘆するようなどよめきが充満した。セーフなら1死三塁のピンチだったが、ここを無失点でしのいだ。中野は5回にも飛球をダイビングキャッチしていた。

◆阪神坂本誠志郎捕手(31)が6回から「リリーフ」でマスクをかぶった。前の5回に2失点して3-3と追いつかれていた。3番手ラファエル・ドリス(37)への継投に合わせて、捕手もスタメンの栄枝裕貴捕手(27)から坂本に交代した。栄枝はこの試合、3年ぶりの打点となる同点打、プロ初の1試合2安打とバットで大きく貢献していた。

◆プロ初出場の阪神井坪陽生外野手(20)が、得点にからむ敵失を2度も誘発した。プロ3年目で初めて出場選手登録され「8番中堅」で先発。2回の第1打席は中途半端なスイングで三塁前に打ったが、マイケル・チェイビス内野手(30)が一塁に悪送球。走者2人が一時勝ち越しの生還を果たした。打点はつかなかったが、ラッキーなプロ初安打となった。次は3-3の6回。2死二塁から平凡な三塁への打球をまたもチェイビスが失策。その後、勝ち越しの2点が入った。

◆阪神糸原健斗内野手(32)が気合満点の勝ち越し打で沸かせた。3-3の6回2死一、三塁で代打をコールされた。追い込まれたが、藤嶋健人投手(27)の低めに落ちるフォークをバットの先で拾い、右前にしぶとく落とした。一塁ベース上で一塁側の阪神ベンチに向かって右手を突き出した。今季4打点目だが適時打は初めて。

◆中日が接戦を落として4連敗を喫し、借金が今季ワーストの13に膨らんだ。1-3の5回1死一、二塁からジェイソン・ボスラー外野手(31)が中前適時打を放った。さらに、2死一、三塁から山本泰寛内野手(31)が中前に同点タイムリー。試合を振り出しに戻した。先発カイル・マラー投手(27)は味方失策が絡んで2回に3点を失ったものの、粘り強い投球。阪神との初対戦は5回3失点(自責1)で降板。苦しみながらもゲームは作った。6回に2点のリードを許したが、7回に岡林勇希外野手(23)が右翼席に今季4号ソロ。1点を争う展開に。しかし、反撃もそこまで。今季阪神戦は8勝8敗のタイとなった。

◆阪神が3連勝し、マジックを21に減らした。17日巨人戦(東京ドーム)まで1番中堅でスタメン出場を続けてきた近本光司外野手(30)を外し、3年目井坪陽生外野手(20)を「8番中堅」でプロ入り初出場、初起用。「7番捕手」には7月31日広島戦以来となる栄枝裕貴捕手(27)を配置、「1番遊撃」で熊谷敬宥内野手(29)を起用し、大幅に打線を組み替えた。打線は1点を追う2回1死一、二塁から栄枝が同点の右前適時打で期待に応えた。さらに、続く井坪が三塁前への緩いゴロでの内野安打に敵失を誘発。悪送球の間に走者2人が生還して逆転の2点を追加した。同点で迎えた6回2死一、三塁で代打糸原健斗内野手(32)、熊谷の連続適時打で2点を勝ち越した。先発したジェレミー・ビーズリー投手(29)は5回に2点のリードを守れず5回途中5安打3失点。6度目の先発でも今季初の先発白星を逃した。1点リードの8回には17日巨人戦(東京ドーム)でプロ野球新記録となる40試合連続無失点を樹立した石井大智投手(28)が登板。1回1安打無失点で、自身の記録を伸ばし、31ホールド目。9回は岩崎優投手(34)が締め25セーブ目を手にした。チームは中日2連戦初戦の勝利で今季負け越していた中日との対戦成績を8勝8敗の五分に戻した。

◆阪神糸原健斗内野手(32)の気迫が打球をひと伸びさせた。「落ちてくれ!」。3-3の6回2死一、三塁で代打登場。2球で追い込まれたが、カウント1-2から藤嶋の低いフォークをバットの先で拾った。二塁手が必死に背走したが、ポトリと右前に落ちた。一塁ベース上で声を張り上げ、ベンチに向けて右手を突き出した。「いい場面で使ってもらって、何とか結果を出したかった。気持ちというか、執念で打ちました。めちゃくちゃ久しぶりですけど、よかったです」安打は2カ月ぶり。その間、再調整も経験した。「ずっとチームに迷惑をかけていたので、結果で返したかったです」。思うようなシーズンではなくても、やはり欠かせない存在だ。今季4打点目だが適時打は初。左翼ゴロ、押し出し四球、犠飛。過去のシブすぎる3打点が、打席で必ず仕事をする「事起こし職人」の勲章だ。決勝打は23年9月10日の広島戦以来、実に2年ぶりとなった。代打が「主戦場」になって3年目。その難しさを嫌というほど感じてきた。期待されるのは一線級の投手の攻略だ。少しでも気持ちや準備で後手になると勝負にならない。終盤の出番からさかのぼること約10時間。本拠地では午前中に球場に来て「準備だけはしっかりと」と延々、無数のルーティンをこなしている。同じ時期に代打が中心になった先輩原口とは、食事の席でも「代打論」を熱く交わす。配球に始まり、技術論、チーム全体のことまで。出番は勝敗に関わる場面ばかり。責任の重さが重圧になり、のしかかる。「1打席、1球しかないので。その中で結果を出さないといけない。チームが勝てたのでよかったです」ニューフェースが輝いた夜。試合を決める1点は、年輪が刻まれた味わい深い一振りから生まれた。【柏原誠】

◆阪神佐藤輝明内野手(26)に快音が戻った。2回先頭で右前に鋭くはじき返し、18打席ぶりにHランプ。17打席無安打は今季最長ブランクだった。これを足場にこの回3点を奪って一時逆転しただけに「よかったんじゃないかと思います」と深くうなずいた。3回には二塁内野安打も放ち、不振は脱出した様子。修正した部分を聞かれると「いや、特にないです」と笑顔でかわした。

◆阪神石井が連続試合無失点の日本記録を41試合に伸ばした。1点リードの8回に登板。1死から代打ブライトに中前打を許したが、落ち着いていた。続く上林をフルカウントから内角低め153キロ直球で空振り三振に仕留め、ブライトの二盗を坂本が強肩で阻止した。三振ゲッツーにグラブをたたいた。「反省するところがたくさんありましたけど、本当に(坂本)誠志郎さんに助けられた。盗塁をアウトにしてくれたんで。大きなプレーだった。野手の守りが今日の勝利につながったのかな。すごく感謝しています」。シーズンをまたいだメジャー記録の40試合連続無失点も1試合更新。連続無失点イニングも40に伸ばし、藤川監督が06年につくった球団記録の47回2/3連続イニングへ近づいている。阪神及川(岡林にソロを浴び連続無失点が16試合で途切れる)「うまく打たれましたけどリードは保っていたので。(石井)大智さん、岩崎さんがしっかり抑えてくれたのでよかった」阪神ビーズリー(デュプランティエの代役先発で5回途中3失点)「急だったけど、相手も自分が投げるとは思っていなかっただろうから。最後はもう少し粘れたかなと思う」阪神伊原(6月8日オリックス戦以来の6勝目を目指し、20日中日戦に先発)「どんどん強気に攻め込んでいくだけかなと思う。相手投手に負けないように、なんとか粘り強くゼロでいければ、必ず野手の方が点を取ってくれると思う」

◆中日が失策絡みで接戦を落とした。4連敗を喫し、借金が今季ワーストの13に膨らんだ。1-3の5回1死一、二塁からジェイソン・ボスラー外野手(31)が中前適時打を放った。さらに、2死一、三塁から山本泰寛内野手(31)が中前に同点タイムリー。試合を振り出しに戻した。3-5の7回には岡林勇希外野手(23)が右翼席に今季4号ソロ。7月29日巨人戦(バンテリンドーム)以来のアーチで1点差に迫った。だが、反撃もそこまで。対阪神戦は8勝8敗のタイとなった。先発カイル・マラー投手(27)は味方失策が絡んで2回に3点を失ったものの、粘り強い投球。阪神との初対戦は5回3失点(自責1)で降板した。井上一樹監督(54)は問わず語りで試合を振り返った。「いや、だから、結局、あれよ。もう、まとめて話をすると、ミス。そういうしょうもないミスをした方が負けるっていう話よ。結局、終わってみたら4-5か。接戦でいい試合だったよねと、例えば、お客さんとかが言ったとしても、結局、競り負けている。ミスを犯して。ベンチとしては、そういったミスがなくての競り負けと、ミスがあっての競り負けでは意味合いが違う」。

◆阪神ラファエル・ドリス投手(37)が阪神復帰後7試合目で初勝利を手にした。同点の6回にマウンドへ。1死から上林に右前打を許すも、二盗から三塁進塁を試みた相手を、味方の好守備でタッチアウト。最後は板山を空振り三振に仕留め、直後に味方が勝ち越して白星が舞い込んだ。「すごく素晴らしい1日になったし、その機会を与えてくれた球団にすごく感謝しています」と喜んだ。

◆阪神栄枝裕貴捕手(27)がバットで貢献した。この日1軍復帰して「7番捕手」で今季3度目の先発マスク。0-1の2回1死一、二塁で同点の適時右前打を放った。3年ぶりの通算2打点目。安打も23年以来の通算3本目。「前回(の先発時)ふがいなかったので、どんどん振っていこうと思った」。4回にも中前打を放って初のマルチ安打。同点の6回から坂本にマスクを譲った。

◆中日が4連敗で今季ワーストの借金13となった。2回、石伊のスクイズで先制したが、2回、チェイビスの悪送球が絡んで3失点。6回にもチェイビスの失策絡みで2失点。5回にボスラーと山本がタイムリー、7回に岡林が4号ソロを放ち、接戦に持ち込んだが、1点届かなかった。井上監督は「まとめて話をすると、しょうもないミスをした方が負けるっていう話よ」と厳しい口調だった。中日岡林(7回、右翼席に今季4号ソロ)「しっかり振り抜くことができたと思います」

◆「1番遊撃」で先発した阪神熊谷敬宥内野手(29)が攻守に輝いた。6回に糸原の勝ち越し打に続いて適時中前打。守備では4回無死一塁で頃捕球と同時に二塁ベースに右足で触って一塁送球の併殺を完成。「できてよかったです」。最終回は大ジャンプでライナーをつかみ同点ピンチを防いだ。近本の代役1番だったが「緊張した。近本さんの代わりにはなれないけど、いい経験ができた」と笑った。

◆猛虎に新たなラッキーボーイ誕生!? 阪神高卒3年目の井坪陽生外野手(20)が泥臭い激走で貴重な1勝を呼び込んだ。中日戦(京セラドーム大阪)でプロ初昇格初スタメン。まずは同点に追いついた直後の2回1死一、二塁、プロ初打席で完全に打ち取られながら三塁前に内野安打を転がした。この一打が悪送球を誘い、一気に走者2人が生還した。再び同点で迎えた6回は三ゴロ失策で出塁し、適時打2本の勝ち越し劇をお膳立て。チームは3連勝でマジックを21に減らした。ベンチに戻る井坪の目線が、中堅方向に動いた。ビジョンにともった「H」のランプが目に入ったか、照れくさそうに白い歯を見せた。「中途半端なスイングになったんですけど、結果的にHランプがついたので、まず一安心かなと」プロ初昇格初スタメン初打席で初安打。"持っている若虎"はチームに2度の幸運と勝利をもたらし、うれしそうにほほ笑んだ。「8番中堅」で先発。同点とした直後の2回1死一、二塁、プロ初打席は気合がやや空回りした。気持ちがはやったか、初球の136キロチェンジアップにバットを止めきれず力ないスイング。完全に打ち取られたゴロは三塁線を緩やかに転がり、内野安打に姿を変えた。この一打が中日チェイビスの悪送球を誘い、一気に走者2人が生還した。ラッキーは続く。再び同点で迎えた6回2死二塁では、平凡な三ゴロを今度はチェイビスがファンブル。失策出塁で一、三塁にチャンスを広げ、決勝打を含む適時打2本につなげた。「藤川チルドレン」と呼ばれる存在だ。昨秋キャンプでは就任直後の新指揮官から「チームの今後に非常に大事な存在」と期待をかけられた。春季キャンプでは主力が集まる宜野座組に抜てきされた。だが、開幕1軍を逃すと、前川に高寺、中川ら若手勢に次々に先を越された。それでも地道に2軍で結果を積み重ね、満を持してチャンスに応えてみせた。藤川監督は今回、守備面を買って起用したという。「近本の代わりでセンターを今守れる選手、本職の選手は井坪になりますから」。初安打の直後にはベンチで「とりあえずおめでとう。良かったね」と祝福。「打撃はあんまり気にしていないです」と振り返ったが、予想以上の活躍に指揮官の表情も自然とほころぶ。チームは2位巨人との今季最大13ゲーム差をキープし、優勝マジックを1つ減らして21とした。セ・リーグで唯一負け越していた中日との対戦成績も8勝8敗の五分まで回復させた。立役者の井坪も充実感たっぷりだ。「バッティングに関しては一から上で取り組んでやっていきたいと思っています。その他は下でやってきたことを出せそうな感じはあります」鼻息荒い新ラッキーボーイ。首位独走中の猛虎にまた1人、生きのいい戦力が加わった。【塚本光】井坪陽生(いつぼ・ひなせ)2005年(平17)3月17日生まれ、東京都出身。関東第一から22年ドラフト3位で阪神入り。昨季は2軍戦で105試合に出場。今季も73試合に出場し、打率2割6分1厘、2本塁打、18打点。177センチ、83キロ。右投げ右打ち。今季推定年俸600万円。

◆今年の阪神井坪陽生外野手(20)は顔つきも取り組みも違った。昨オフ、東京の実家に帰省した際、久しぶりに息子と再会した父英彦さん(57)は驚いた。「大事な年だというのが本人の中にある」と感じるほど、顔つきがりりしく映ったそうだ。たわいもない会話をしている中で、息子はふともらした。「周りの高卒の選手は3年目までに1軍を経験しているから」。入団前からこだわってきたプロ3年目だった。年末年始も休むことなくジムに足を運ぶなど、毎日欠かさずに汗を流した。食事面や体調管理の意識も向上。心安らぐ実家に帰っても、脂質の多い食べ物は避けた。1軍初昇格の直前、息子は父にLINEで「合流します」と決意を込めた短文を送った。英彦さんは「チャンスをものにしてほしい」と願い、心配で手を震わせながらも中継を見守った。勝負の3年目はまだこれからだ。【阪神担当=塚本光】

◆阪神井坪陽生外野手(20)は今年、顔つきが違った。2軍では1年目の23年に93試合で打率2割4分8厘の3本塁打、2年目の昨季は105試合で2割7分5厘の2本塁打。勝負の3年目へ準備を進める、オフの帰省中、久しぶりに息子の顔を見た父英彦さん(57)が「大事な年だというのが本人の中にある」と感じるほど、内なる闘志が燃えたぎっていた。「3年目までに体をしっかり作って、3年目に1軍でレギュラーをとれる選手になりたい」入団前からこだわってきたシーズン。年末年始も休むことなく、毎日欠かさずジムなどで汗を流した。実家に帰っても脂っこいものを避けるなど、食事や体調管理を気にするように成長した。父はそんな次男からLINEで1軍合流の連絡を受け「チャンスをものにしてほしい」と手を震わせながら中継の画面を凝視。シーズン残り33試合。まだまだ親孝行はこれからだ。【阪神担当=塚本光】

◆阪神・井坪陽生外野手(20)が19日、京セラドームで中日と戦う1軍に合流した。出場選手登録されれば、プロ初の1軍昇格となる。東京・関東第一高から入団して3年目の今季はウエスタン・リーグで73試合に出場して打率・261、2本塁打、18打点。今春キャンプでは初の宜野座スタートとなり、主力に交じって汗を流した。この日は早出でグラウンドに姿を現し、小谷野栄一打撃チーフコーチ(44)とマンツーマンでティー打撃に取り組んだ。

◆阪神・井坪陽生外野手(20)が19日、出場選手に登録された。今季ファームでは73試合に出場して打率・261(222打数58安打)、2本塁打、18打点。東京・関東第一高から入団して3年目。自身初の1軍昇格となり、与えられた出番でのアピールに期待がかかる。この日の中日戦(京セラ)に先発するジェレミー・ビーズリー投手(29)、4日に登録を抹消されたが、2軍での調整を経てこの日に1軍に合流した栄枝裕貴捕手(27)も登録された。

◆20日の17回戦に先発する阪神の伊原陵人投手(25)はショートダッシュなどで最終調整を済ませた。中日とは前回登板の7日にも対戦したが、4回5失点で敗戦投手に。リベンジのマウンドへ、「どんどん強気に攻め込んでいくだけと思う。あまり打たれてたからどうしようとかじゃなくて、どんどん相手に立ち向かっていけたらいいかなと思います」と意気込んだ。6月8日以来となる自身6勝目を目指す。

◆敵地・巨人戦でカード勝ち越しを決め、マジックナンバーを「22」とした阪神。戦いの場をホーム・京セラドームに移して中日と2連戦を戦う。この日、プロ初昇格を果たした井坪陽生外野手(20)が「8番・中堅」で先発出場。高卒3年目の今季は2軍で73試合に出場して打率・261、2本塁打、18打点。虎のトッププロスペクトが1軍の舞台でベールを脱ぐ。ここまで全試合で「1番・中堅」で先発していた近本光司外野手(30)はベンチスタートとなった。先発のジェレミー・ビーズリー投手(29)は栄枝裕貴捕手(27)とのバッテリーで今季2勝目を目指す。

◆阪神のジェレミー・ビーズリー投手(29)が先発し、二回に先制点を献上した。一回は無失点で発進したものの、二回は先頭のボスラーを四球で出塁させると、続くチェイビスには右前打を打たれ、一、三塁のピンチを招く。山本は遊飛に打ち取ったが、ここで石伊はスクイズを敢行された。転がる打球を自ら処理して本塁へグラブトスするも、三走・ボスラーのスライディングがわずかに早く、判定はセーフ(記録は犠打野選)。主導権を渡すこととなった。それでも投げ合うマラーのスリーバントは失敗に持ち込み、暴投によって2死二、三塁とさらなるピンチを向明けた場面では上林を空振り三振に仕留め、最少失点でしのいだ。

◆阪神が二回、栄枝裕貴捕手(27)の適時打で同点に追いついた。1点の先制を許した直後、先頭の佐藤輝明内野手(26)が18打席ぶりとなる安打で出塁する。その後大山の安打などで1死一、二塁とし、この日昇格即スタメン起用となった栄枝が、追い込まれながらも右前へ。二塁から佐藤輝が生還し、同級生コンビの活躍で試合を振り出しに戻した。この後敵失などで2点を勝ち越し、3-1とした。

◆阪神の高卒3年目・井坪陽生外野手(20)が「8番・中堅」でプロ初出場し、二回のプロ初打席で初安打をマークした。栄枝の右前適時打で同点とした直後、なおも1死一、二塁の好機で巡った第1打席だった。中日先発・マラーとの勝負で、初球の136キロに対し、スイングはやや中途半端になったものの、転がった弱いゴロは三塁線へ。三塁・チェイビスはベアハンドで処理して一塁へ送球するも、これが逸れた(記録は内野安打と失策)。ボールがファウルゾーンを転々とする間に、二走・大山に続き、一走・栄枝も頭からのダイブで生還。一気に3―1と逆転に成功した。井坪はこの日に初の1軍合流&初昇格。そのままプロ初スタメンに抜てきされ、早速Hランプを灯してみせた。

◆阪神の先発、ジェレミー・ビーズリー投手(29)は五回途中で降板。5月以来の2勝目はつかめなかった。先発予定のデュプランティエの登板回避が18日に決定し、急きょ先発となった右腕。二回にスクイズで1点を失うも、味方が3点を加えてからは要所を締める投球を見せた。しかし五回、先頭の板山に安打を許すと、続く岡林も四球で歩かせる。この後1死一、二塁となり、ボスラーに中前適時打を浴びたところで降板となった。この後代わったハートウィグも適時打を浴びて同点とされ、ビーズリーは3失点。リードを守り切れず、試合は振り出しに戻った。

◆阪神・中野拓夢内野手(29)が「2番・二塁」で出場。五回に大ファインプレーで魅せた。3-1の五回に先発・ビーズリーが中前適時打で1点差に詰め寄られ、1死一、三塁のピンチを残して降板。代わってマウンドに上がったハートウィグは中日に流れが傾く中、打席に入ったチェイビスを151キロの速球で詰まらせた。打球はフラフラと打ち上がったが、この打球を猛然と追いかけたのは二塁の中野だ。二塁と右翼の中間付近で弾みそうな打球に、体を投げ出してつかみ取るスーパーキャッチ。捕球後はすぐさま本塁に送球し、三走の本塁突入も許さなかった。このあとに山本に適時打を許して同点に追いつかれたが、逆転は許さず。主導権を渡さなかったうえでは非常に大きな1死をもぎ取り、スタンドの喝采を呼んだ。

◆阪神が糸原健斗内野手(32)の適時打で勝ち越しに成功した。3-3の六回、先頭の大山が四球で出塁すると、相手の失策などで2死一、三塁を作って代打・糸原がコールされた。2球で追い込まれながらも、最後は変化球に食らいついてしぶとく右前に落とし、頼れるベテランが、6月18日の楽天戦(楽天モバイル)以来の安打で勝ち越し点をもたらした。なおも2死一、三塁から、この日「1番・遊撃」で起用された熊谷も中前適時打。5-3と2点のリードを奪って終盤に入った。■糸原の談話 「打ったのはフォーク。追い込まれていたのでフォークも頭にいれながら、執念で打ちました。しっかり仕事を果たせたかなと思います」■熊谷の談話 「打ったのはスライダー。糸原さんが大仕事をしてくれた後だったので気楽に打席に入れました。しぶとく打つことができましたし、大事な追加点につながったので良かったです」

◆七回に登板した阪神の及川雅貴投手(24)が1点を失った。先頭の岡林にカウント1-1から右翼スタンドへの一発を献上。7月1日の巨人戦(甲子園)以来となる失点で、5-4と1点差に詰められた。この後も2死二塁とピンチを背負ったが、適時打を放っている山本を中飛に仕留めて勝ち越しは許さなかった。

◆阪神は接戦を制して3連勝。優勝へのマジックナンバーを「21」に減らした。この日は近本光司外野手(30)が欠場。代わって1番に熊谷敬宥内野手(29)、中堅には3年目でプロ初昇格の井坪陽生外野手(20)が入った。二回に先発のジェレミー・ビーズリー投手(29)が1点を失うも、すぐさま反撃。スタメン抜てきの栄枝裕貴捕手(27)の今季初適時打で同点に追いつくと、井坪のプロ初打席初安打となる内野安打が敵失を呼んで2点のリードを奪った。その後五回に追いつかれるも、六回に代打・糸原健斗内野手(32)の適時打で勝ち越し。熊谷にも適時打が飛び出した。八回には石井大智投手(28)が登板して無失点に抑えて41試合連続無失点とし、米メジャー記録を超えた。九回は岩崎優投手(34)がピンチを招きながらも無失点で25セーブ。総力戦で大きな1勝を奪った。

◆競り勝った阪神が優勝マジックを1減の「21」とした。六回2死一、二塁、代打糸原健斗内野手(32)の右前への24打席ぶり安打と「1番・遊撃」熊谷敬宥内野手(29)の中前打で2点を勝ち越した。国内FA権取得の近本光司外野手(30)が24年7月17日巨人戦(東京D)以来のベンチスタートで、高卒3年目の井坪陽生外野手(20)が初昇格で「8番・中堅」に抜擢された。1点を追う二回、佐藤輝明内野手(26)の18打席ぶり安打などで1死一、二塁とし、3度目スタメンの栄枝裕貴捕手(27)の右前打で同点。井坪の三塁内野安打と敵失で、2者が生還した。ジェレミー・ビーズリー投手(29)は2点リードを守れずに五回途中3失点で降板した。六回に登板したラファエル・ドリス投手(37)がNPB復帰後初白星。七回の及川雅貴投手(24)はソロを浴びて、17試合ぶりの失点。石井大智投手(28)は日本記録の連続試合無失点を「41」とした。

◆近鉄、西武で主砲として465本塁打&2452安打をマークし、西武コーチ時代には清原和博らを育てたサンケイスポーツ専属評論家・土井正博氏(81)は五回に中野拓夢内野手(29)が見せたファインプレーをたたえた。普段は打者に目が行くのだが、この試合に関しては守備をほめたい。特に中野だ。五回のチェイビスの打球を後方へ追いかけてのダイビングキャッチ。あの打球を捕るとは。六回に上林の盗塁が成功した直後、三遊間寄りにこぼれた球をすばやく拾い、上林を三塁寸前で刺したプレーも驚かされた。とにかく守備範囲が広い。60年以上、この世界を見てきたが、私にとって歴代最高の二塁手は辻発彦(西武)だった。広い守備範囲で、内野安打をを許さない、難しい打球をアウトにしてしまう技術は超一流だった。阪神では鎌田実さんが一級品だった。ただ、鎌田さんは堅実というよりサーカスプレーが印象的だ。そんな過去の偉大な二塁手と比較して、最近の中野の充実ぶりは勝るとも劣らない。人工芝が〝主戦場〟だった辻と比べても、甲子園の土の上で同等のプレーをしている中野の方が上と言ってもいいかも。好守に触発されて、九回の熊谷のプレーが飛び出す。投打はもちろんだが、「守」でも優勝するチームにふさわしいシーンが増えている。(本紙専属評論家)

◆阪神・及川が2点を勝ち越した直後の七回に登板。先頭の岡林に4号ソロを浴び、連続無失点は16試合でストップした。「点を取った次の回だったので、できれば無失点で抑えたかった」。7月1日の巨人戦(甲子園)以来の失点となったが、後続を断ち、1点リードを保って石井&岩崎へ。「(石井)大智さんとザキ(岩崎)さんがゼロで抑えてくれてよかった」と胸をなでおろした。

◆阪神・ドリスが2180日ぶりの白星を挙げた。六回に登板すると、打者3人を無失点。直後に味方が勝ち越し、NPBでは2019年8月31日の巨人戦(甲子園)以来の勝ち投手となった。「すごく素晴らしい一日になったし、その機会を与えてくれた球団にすごく感謝しています」。これで3試合連続無失点となった。

◆六甲おろしが鳴り響く中、黒い戦闘服をまとった背番号40が打席へ向かう。プロ初昇格し、「8番・中堅」で即先発した阪神・井坪陽生外野手(20)が、持ち前の快足でうれしいプロ初打席安打。ナインからの手荒い祝福に二十歳の笑顔がはじけた。「ちょっと中途半端なスイングになったんですけど、結果的に『H』がついたんで、そこは一安心かなと思います」17日に昇格を告げられ、準備を重ねてきた。待ちに待った初打席は二回。栄枝の適時打で同点に追いつき、なおも2死一、二塁で先発・マラーの初球、136キロの変化球に手を出した。三塁前に当たりそこないの打球が転がると、一塁へ駆け抜け内野安打に。さらに三塁・チェイビスの悪送球で2者が生還し、一気に一時勝ち越しに成功した。関東第一高から2023年ドラフト3位で入団。1年目から2軍で傑出した打撃センスを見せ、ここまで順調な成長曲線を描いてきた。今春キャンプでは初の宜野座組を勝ち取ると、開幕は2軍スタートも、後半戦でベールを脱いだ。食事から意識の高さをのぞかせる。幼い頃は母・朋子さんが作るからあげが大好きだったが、脂っぽいものを食べると太りやすい体質のため、プロ入り後は好物を封印。鶏むね肉や納豆オムレツなど、タンパク質主体の食生活を心掛けた。その中でも特徴的なのが、高校時代に出合ったワニ肉だ。近所の自動販売機でワニ肉が販売されていることを知り、友人と興味本位で購入。蒸し焼きにして、塩コショウで食べると「さっぱりしていて鶏肉みたいな感じ」と思いのほか味わい深かった。高タンパク、低カロリーの珍味がパワーの源になっている。「バッティングはまた一から上で取り組んでやっていきたい」高卒3年目で味わった1軍の舞台。経験を糧に未来のスターは着実に成長を続ける。(萩原翔)

◆漆黒のユニホームが力をくれる。胸に輝く「OSAKA」の金文字が、強い虎の4番を復活させた。阪神・佐藤輝明内野手(26)が久々の快音を響かせた。「よかったんじゃないですか。得点にもつながってよかったと思います。(打席での意識などは)変えていないです」まずは二回先頭の第1打席。左腕・マラーの初球、141キロカットボールを振り抜いた。鋭い打球はあっという間に右前へ。今季最長17打席連続無安打だった4番が18打席ぶりのヒットで先制劇の起点を作った。続く三回は二塁への内野安打を放って5試合ぶりの複数安打もマーク。それもこれも、縁起のいい〝黒虎ユニホーム〟のおかげだ。球団創設90周年を機に生まれた新イベント「TIGERS B―LUCK DYNAMITE SERIES」では、前身の大阪タイガース時代のユニホームをモチーフとした黒色の戦闘服を身にまとって戦っている。佐藤輝は前回ブラックユニホームを着用した8-10日のヤクルト戦(京セラ)でも打率・583、2本塁打、3打点と好相性だった。そこから止まっていた快音を再び響かせ、再進撃。「(相性のよさは)たまたまっす」。ニヤリと笑った虎の主砲はもう止まらない。2年ぶりの優勝へ、ここからまっしぐらだ。(原田遼太郎)

◆無敵の右腕が、メジャーも超えた。八回に登板した阪神・石井はまた「0」を刻み、41試合連続無失点を達成した。「自分としては反省するところはたくさんありましたけど、(坂本)誠志郎さんに助けられた。盗塁を刺してくれて、すごく大きなプレーだったと思う」5―4と1点リードでマウンドへ。1死から代打・ブライトには右前打を浴びたが、「足のある選手でもありますし、警戒していた」と牽制(けんせい)を挟み、上林から三振ゲッツーを奪って無失点。また一つ偉業を積み重ねた。これでプレスリー(アストロズ)、ヘイダー(ブルワーズ)が持つ米大リーグ記録の40試合連続無失点を上回った右腕。「本当に野手の守りがきょうの勝利につながったかなと思うので、すごく感謝しています」と謙虚に頭を下げた。(中屋友那)

◆阪神・中野が2度の好守でチームを救った。1点差の五回1死一、三塁では、チェイビスが放った右翼線の打球を全速力で追って最後はダイビングキャッチ。さらに同点の六回には、二盗を成功させた上林が直後にボールそれたのを見て三塁にスタートを切る。中野は遊撃の後方に転がったボールをすぐさま素手で拾い上げてランニングスローで三塁タッチアウトに。持ち前の守備が大きな1勝を呼び込んだ。

◆阪神は中日戦に5-4で競り勝ち、3連勝で優勝へのマジックナンバーを「21」とした。「1番・遊撃」で出場した熊谷敬宥内野手(29)が美技を連発し、糸原健斗内野手(32)が六回に代打で決勝打を放つなど、〝スーパーサブ〟が躍動。首位を独走するなかで選手層の厚さを見せつけた。勝利を手にできる面々は、何も主力だけではない。1番・近本がスタメンから外れても、守備職人が、代打の切り札が、デビューを迎えた若虎がいる。普段はベンチを温める男たちがグラウンドに飛び出せば、スーパーサブ虎も強い!! 全員でつかんだ1勝に、藤川監督は胸をなでおろした。「良かった、というところで。最初は若い選手たち、課題もありながらですけど、中盤以降はこれまでのチームで主に戦ってきたメンバーも出ながら、というところで」熊谷がプロ初1番に名を連ね、下位打線は中川、栄枝、そしてこの日に1軍初昇格&スタメンでデビューを飾った井坪とフレッシュな顔ぶれも並んだ。17日から4人を入れ替えたスタメン野手8人の平均年齢25・9歳は今季最も若く、プレーにも躍動感があふれた。「僕はまず守備から。打つのは二の次」と語る熊谷は好守で魅せる。四回無死一塁で中前に抜けそうな打球を処理すると、二塁キャンバスには右足を滑らせるように触れる華麗な足さばきから一塁に送球し、併殺を完成。さらに一打同点の九回1死二塁のピンチでは、細川の痛烈なライナーを〝ジャンプ一番〟で好捕し、守護神・岩崎を救った。六回にはリードを2点に広げる中前適時打も放ち、〝二の次〟の打撃でも存在感を示した。その熊谷の快音を呼び寄せた男もまた、スーパーサブだ。同点の六回2死一、三塁で打席に立った糸原は、藤嶋の縦の変化球に食らいつき、しぶとく右前に運ぶ。「(代打は)一打席、一球しかない。その中できょうは結果が出て、チームが勝てたことが一番うれしい」。仲間の力になれた実感がこもる、今季初適時打となるV打だった。

◆5―4の九回に登板した阪神・岩崎は、無失点で25セーブ目を挙げた。先頭の代打・田中に安打を許すも、犠打で1死二塁となって細川の強い打球を遊撃・熊谷がジャンピングキャッチ。最後はボスラーから見逃し三振を奪い、接戦を締めた。「勝っているのでしっかり慌てずに行こうと思った。次は先頭を抑えて3人で終われるように頑張ります」と振り返った。

◆あれは1年前の4月のことだった。もし、大山がFA宣言したら、ことし(2024年)のオフはトラ番が忙しくなる-。そんな話を書いた。そのとき原稿内に登場したトラ番は現キャップ・須藤佳裕。自称「FA制度がスタートした年に生まれた男」。要するに1993年生まれ。という自己紹介を関係者にしていたらしい。「中日担当時代に、阿波野(秀幸)コーチにそんなあいさつをしたら、FA第1号は誰か?というクイズを出されたんです」須藤は「中日から巨人へ移籍した落合(博満)さん!」と答えて、「ブー、不正解!」。すぐに調べて、阪神をFA宣言してダイエーに移籍した「松永浩美」の正解にたどり着いた。ちなみに「松永1号」には、筆者が貢献している。あの年、FA権を行使したのは松永、落合に加えて巨人・駒田徳広、オリックス・石嶺和彦の4人。ところが、コミッショナー事務局に松永の書類だけは届いていなかった。新聞報道では松永も宣言するはず。なのに、事務局員がいくら探しても見つからない。困った担当者の1人が、トラ番だった筆者の顔を思い出したのか、電話してきた。

◆プロ初昇格し、「8番・中堅」で即先発した阪神・井坪陽生外野手(20)が、持ち前の快足でうれしいプロ初打席安打。井坪の母・朋子さん(55)が息子の1軍デビュー戦を自宅でテレビ観戦し、サンケイスポーツに手記を寄せた。プロ初安打おめでとう! 陽生の笑顔が見られてうれしいです。昇格初日での先発出場はないと思っていたので、スタメンと知って大変驚きました。初安打の瞬間は、「走れ!走れ! やった~!」と興奮しきりでした。小さいころからわんぱくだった陽生。お兄ちゃんの朝陽とは、学校でもしょっちゅうけんかをしていましたね。U12日本代表に選ばれた朝陽に負けじと、中学校の担任の先生に「絶対に俺はU15に選ばれるんだ」と意気込んでいた姿が、とても印象に残っています。その負けん気の強さこそが、陽生の強さだと思います。思い出深いのが、小学6年の朝陽と、小学5年の陽生が運動会の騎馬戦でともに大将を任されたとき。陽生がお兄ちゃんの帽子を奪って勝ったんです。朝陽は弟に負けてすごく悔しがっていましたよ。器用さだったり、作戦を考えるのは陽生のほうが得意だったのかな。朝陽は日大三高に進みましたが、陽生は自分でしっかりと考えて、進むべき道を決めましたね。日大三高さんからも声をかけていただいていましたけど、当時は投手だった陽生は、八王子シニアの3学年先輩の投手・谷幸之助くん(現JR東日本)が関東第一高で活躍していたこともあって、「投手をやるならカンイチ」と言って進学先を決めました。きょうは甲子園では朝陽の母校・日大三高と陽生の母校・関東第一高が準々決勝で戦っていましたね。2人が在学中に、甲子園に行けなかったので、少しうらやましい気持ちもありました。両校とも負けないでほしいと応援しながら、複雑な気持ちで見ていました。そんな日に、陽生がプロ初スタメン、初安打を記録するなんて...。本当に感慨深いです。陽生には走攻守三拍子そろった選手になってもらいたいです。本人も「足を生かしたい」と話していました。あとはもうちょっと笑顔を振りまいてもらえれば。表情を変えないという記事もよく見るので。本当はよく笑う子だということを多くの人に知っていただきたいです。陽生へ。きょうが第一歩。これからも球場で活躍する姿をたくさん見せてね。

◆本日の阪神は『若虎1軍研修&来季契約続行試験試合』だったよね~!?まず、プロ初となる1番でスタメンの熊谷は、タイムリーに超美技! レギュラー狙ったれ!! 今季3試合目となるスタメンマスクの栄枝...。う~ん、今季初ヒット初タイムリーは拍手だけど、最後までマスクを任されるリードを頼むで!!プロ初出場初スタメンで初安打の井坪、おめでとう!! フルスイング中川は2三振で早くも1軍の壁? でも3打席目の初球で送りバントを決めたのはOK!!先発ビーズリーは頭を抱えたくなるマウンドやな~。でもフォローすると1軍の先発陣が良すぎて2軍で好投しても出番が回ってこなかった。その難しさもあったのかな...。次回、再試験としておきます! ハートウィグは、かなり来季は厳しいような...。阪神復帰初勝利のドリスは経験から? 投球に味が出てきたね~。糸原は約2カ月ぶりの快音。来季もいったれー!!それから石井の41試合連続無失点は、MLBも含め世界記録なんだから、スポーツマスコミの皆さん連日、大谷、大谷じゃなくて、石井にスポットライト、よろしくです!!

<セ・リーグ順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差残試合 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(-)
阪神
67412 0.620
(↑0.003)
M21
(↑1)
33377
(+5)
257
(+4)
68
(-)
84
(-)
0.244
(-)
2.080
(↓0.02)
2
(-)
巨人
53533 0.500
(↑0.005)
13
(-)
34333
(+15)
322
(+2)
72
(+4)
43
(-)
0.244
(↑0.003)
2.640
(↑0.01)
3
(-)
DeNA
50535 0.485
(↓0.005)
14.5
(↓1)
35354
(+1)
335
(+3)
70
(-)
51
(-)
0.240
(-)
2.860
(-)
4
(-)
広島
47565 0.456
(↑0.005)
17.5
(-)
35328
(+3)
348
(+1)
56
(+1)
48
(-)
0.241
(-)
2.940
(↑0.02)
5
(-)
中日
47602 0.439
(↓0.004)
19.5
(↓1)
34292
(+4)
336
(+5)
59
(+1)
65
(+1)
0.227
(↑0.001
2.850
(↑0.01)
6
(-)
ヤクルト
39605 0.394
(↓0.004)
23.5
(↓1)
39295
(+2)
418
(+15)
56
(-)
47
(-)
0.230
(↓0.001)
3.630
(↓0.11)