広島(★0対2☆)阪神 =リーグ戦20回戦(2025.08.13)・MAZDA Zoom-Zoom スタジアム広島=
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阪神
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広島
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勝利投手:髙橋 遥人(2勝0敗0S)
(セーブ:石井 大智(1勝0敗6S))
敗戦投手:大瀬良 大地(5勝7敗0S)
  DAZN
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◆阪神は3回表、中野の犠飛などで2点を先制する。投げては、先発・高橋が7回4安打無失点の力投を披露。その後は及川、石井の無失点リレーで締め、高橋は今季2勝目を挙げた。敗れた広島は、先発・大瀬良が6回2失点の好投を見せるも、打線が5安打無得点と沈黙した。

◆広島大瀬良大地投手(34)が先発マウンドに上がる。今季ここまで17試合に登板して5勝6敗、防御率3・24。今季6勝目を目指す。打線は「6番二塁」に前日12日、代打でタイムリーを放った前川誠太内野手(22)を起用した。前川のスタメンは4試合目。本拠地マツダスタジアムでは初めてとなった。また「7番三塁」は2試合連続でドラフト1位ルーキー佐々木泰内野手(22)が名前を連ねた。

◆歌手で俳優の吉川晃司(59)が広島阪神20回戦(マツダスタジアム)の始球式に登場した。この日は平和への願いを込めて「ピースナイター2025」として開催された。被爆80年を迎えた今年のテーマは「継承」。スタジアム全体で黙とうを捧げた後、広島出身の吉川が13年以来となる始球式のマウンドに上がった。全身黒に真っ赤なスニーカー姿で登場。豪快なフォームで、ノーバウンド投球を披露した。球速も103キロを計測。投球後は人気球団マスコットのスラィリーと抱き合い、スタンドは大歓声に包まれた。

◆平和への願いを込めて「ピースナイター2025」が開催され、全員が背番号「86」で登場した。被爆80年の今年は、新井貴浩監督(48)をはじめ、コーチ、選手が特別仕様のユニホームを着用した。背番号は広島に原爆が投下された8月6日を表す「86」。胸のチーム名は筆記体で「Peace」、背番号の上の名前部分は「HIROSHIMA」。ピースナイターで特別仕様のユニホームを着用するのは、被爆70年にあたる15年以来となった。なお、背番号「86」は通常、菊地原毅投手コーチ(50)がつけている。「ピースナイター」は今年で開催18年目。慰霊の意を表すとともに、広島にとって特別な日である「8月6日」に対する歴史を継承し、次世代に引き継ぐきっかけとなることを願って開催されている。

◆阪神が広島守備陣の2失策に暴投を絡め、無安打で2点を先制した。0-0の3回、先頭の9番高橋が三ゴロ失策で出塁。続く近本光司外野手(30)の一ゴロを今度はモンテロが後逸し、無死二、三塁とした。ここから中野拓夢内野手(29)の右犠飛で1点を先制。さらに1死三塁、森下翔太外野手(24)の打席で広島先発大瀬良が暴投し、2点目を手に入れた。

◆阪神高橋遥人投手(29)が、5回まで無安打無失点の快投を見せ、2勝目の権利を手にして降板した。初回、広島中村奨、ファビアンを内野ゴロに仕留めると、3番小園をツーシームで空振り三振。2回は4番末包から3人をすべて外野フライに打ち取った。3、4回も直球とツーシームを中心に危なげなくアウトを積み重ねると、5回先頭の末包、モンテロを連続で空振り三振。最後は前川を左飛に仕留めた。6回先頭の石原にこの日初安打となる中前打を許したが、得点は与えず。6回2死二塁では中村奨に左前打を許すも、味方の好連係で本塁タッチアウト。7回69球、4安打無失点で降板した。高橋は昨年11月に「左尺骨短縮術後に対する骨内異物(プレート)除去術」を受け、前回15日中日戦(甲子園)で復帰登板。同27日DeNA戦(甲子園)で317日ぶりの白星を手にした。今季はこの試合前まで、3試合の先発で1勝0敗、防御率2・04。広島には昨季3戦3勝とこの日も好相性ぶりを見せた。

◆「ピースナイター2025」として開催された広島阪神20回戦(マツダスタジアム)の5回裏終了後、「ピースライン」のイベントが実施された。来場者全員に配布された「ピースナイター新聞」が一斉に掲げられ、スタジアム全体が緑に染められた。原爆ドームと同じ高さ25メートルにあたる席(内野2階席上部)では、赤色のピースポスターが掲げられ、赤のラインが浮かび上がった。「ピースナイター」は今年の開催で18年目。慰霊の意を表すとともに、広島にとって特別な日である「8月6日」に対する多くの人の想いや歴史を継承し、次世代に引き継ぐきっかけとなることを願って開催されている。

◆「ピースナイター2025」として開催された広島阪神20回戦(マツダスタジアム)の5回裏終了後、「ピースライン」のイベントが実施された。緑の中に赤のラインがくっきりと浮かび上がる中、広島出身のミュージシャン・吉川晃司(59)が始球式に続いて登場。恒久平和を願うジョン・レノン作詞作曲の「イマジン」をアカペラで熱唱した。「カープの選手は純粋に白球を追っかけて青春を謳歌(おうか)してもらい、我々はその姿を見て、泣いたり笑ったりできる平和な日々がいつまでも続いてほしいという思い。そしてこの時代を作ってくれた先人の方々への感謝の気持ちを改めて。あの焼け野原から、こんなに立て直したんだと改めて思いました」と、イマジンへ込めた思いを熱く語った。また、グラウンドでは高校生を中心に中学生、小学生と世代の異なる子どもたちによる「祈りの輪」のパフォーマンスも行われた。「ピースナイター」は今年の開催で18年目。慰霊の意を表すとともに、広島にとって特別な日である「8月6日」に対する多くの人の想いや歴史を継承し、次世代に引き継ぐきっかけとなることを願って開催されている。

◆広島大瀬良大地投手(34)が悔しい敗戦を喫した。3回に味方失策が絡んで2失点。その後は丁寧な投球を続けて踏ん張ったが、結局、6回2安打4三振2失点で降板。自責点は0ながら、今季7敗目を喫した。平和を願う「ピースナイター2025」として開催されたこの日、スタンドは満員。しかし、広島ファンの期待にこたえられず、打線は先発高橋をはじめとする阪神投手陣に抑え込まれて0封負けを喫した。

◆歌手で俳優の吉川晃司(59)が広島阪神20回戦(マツダスタジアム)の始球式に登場した。平和への願いを込めて「ピースナイター2025」として開催された試合。広島出身の吉川全身黒に真っ赤なスニーカー姿で登場。球速も103キロを計測し、スタンドを沸かせた。また、5回裏終了後には、恒久平和を願うジョン・レノン作詞作曲の「イマジン」をアカペラで熱唱した。

◆阪神石井大智投手(28)が大記録に到達した。2-0の9回に3番手で登板。2死から1安打されたが、最後は末包昇大外野手(29)を空振り三振に抑え、西武平良海馬投手(25)に並ぶプロ野球記録の39試合連続無失点を達成した。9日のヤクルト戦(京セラドーム大阪)で9回を無失点に抑え、阪神藤川球児監督(45)に並ぶセ・リーグ記録の38試合連続無失点としていた。この日でセ・リーグ新記録。次戦も無失点に抑えれば、プロ野球新記録の40試合連続無失点となる。11日にマツダスタジアムの室内練習場で練習した際には、記録について「あまり考えていないので。チームが勝てばいいのかなと思います」と話していた。石井の今季のここまでの失点は、登板3試合目の4月4日巨人戦(東京ドーム)の1失点のみ。5日の同戦から無失点を続けている。石井が4月5日巨人戦から39試合連続無失点。21年に平良(西武)がマークした連続試合無失点のプロ野球記録に並んだ。セ・リーグでは06年藤川(阪神)の38試合を抜く新記録。

◆阪神が今季24度目の完封勝ちで、優勝マジックを27に減らした。巨人が中日に敗れれば、マジックはさらに26に減る。阪神高橋遥人投手(29)が、5回まで無安打無失点の快投を見せた。初回を3者凡退でスタートすると、直球とツーシームを主体に危なげなくアウトを積み重ねた。6回先頭の石原にこの日初安打となる中前打を許したが、得点は与えず。6回2死二塁では中村奨に左前打を許すも、味方の好連携で本塁タッチアウト。7回69球、4安打無失点で今季2勝目を手にした。2-0で迎えた9回に登板したのは、石井大智投手(28)。最終回を無失点で締めて、西武平良に並ぶプロ野球記録の39試合連続無失点を達成した。打線は無安打で2点を先制した。3回、先頭の投手高橋が三ゴロ失策で出塁。続く近本の一ゴロの当たりもモンテロが後逸し、無死二、三塁。ここから中野拓夢内野手(29)の右犠飛で1点を先制すると、なおも1死三塁の森下の打席で広島先発大瀬良が暴投。2点目が入った。敵地での広島戦は1勝1敗。阪神は15日から巨人3連戦(東京ドーム)に臨む。

◆阪神及川雅貴投手(24)が最高の形で石井につないだ。高橋の後を継いで8回を3人でピシャリ。2点リードを保ち、セーブシチュエーションでバトンを渡した。セットアッパーとして勝ちパターンを担いながら、自身も14試合連続無失点。石井の記録について「本当にすごいことですし、自分も続いて無失点を積み重ねていけるように頑張ります」と先輩の偉業に感銘を受けていた。

◆阪神が今季24度目の完封勝ちを収め、2位巨人も敗れたため優勝マジックを26に減らした。先発の高橋遥人投手(29)が、5回まで無完全投球を見せ、7回69球、4安打無失点で今季2勝目。藤川球児監督(45)は「本当に高橋がよく頑張ってくれましたね。素晴らしかった」とねぎらった。また、9回に登板した石井大智投手(28)は最終回を無失点で締めて、西武平良に並ぶプロ野球記録の39試合連続無失点を達成。自身も38試合連続無失点の記録をつくった指揮官は、石井が中継ぎとして優れている点を問われ「ただ単純に、日々を丁寧にやってるからだと思います」とたたえた。この日の2得点は犠飛、相手の暴投によるもの。6回2死二塁の守備では、中村奨に左前打を許すも、左翼高寺、小幡遊撃の好連係で本塁タッチアウトと守り勝った。「うちの今のレフトの守備の良さというものは、非常に大事なところですから、いいところで出ましたね」と選手たちの好プレーを喜んだ。

◆広島が今季18度目のゼロ封負けを喫した。先発大瀬良大地投手(34)は粘投したが、3回、三塁佐々木のファンブル、一塁モンテロの後逸で無死二、三塁とされ、犠飛と暴投で2点を失った。6回2失点で降板。自責点0ながら今季7敗目を喫した。被爆80年。この日は平和を願う「ピースナイター2025」だった。全員が8月6日を表す背番号86を背負い、特別な思いを胸に臨んだ。長崎出身、広島でプロ生活を送る大瀬良は「(ミスを)カバーできれば良かったんですが、難しかった。選手がいろんなことを思いながら、明日以降いい姿を見せられるようにやっていきたい」と振り返った。再び5位に転落。新井監督も「いつものマツダスタジアムの雰囲気とは違ったし、選手も感じていた。あさってからの試合につなげていきたい」と悔しさをにじませた。

◆広島大瀬良大地投手(34)が6回2安打4奪三振2失点で降板。自責点0ながら、今季7敗目を喫した。この日は平和を願う「ピースナイター2025」として開催され、スタンドは満員。しかし、広島ファンの期待にこたえられなかった。3回の失点も失策絡み。打線も高橋ら阪神投手陣に抑え込まれ、今季18度目の0封負けを喫した。

◆阪神高寺望夢内野手(22)が好守を見せた。6回2死二塁で中村奨の左前打を処理。遊撃小幡を中継して本塁アウトにした。「あれは小幡さんがナイスカバーしてくれたので。感謝しています。チャージできない打球だったのでカットまで早く返そうと思っていた。あれをストライクで返せるようにしたいです」と反省交じりに振り返った。本職は遊撃だが、進境著しい打撃同様、外野守備でも貢献している。

◆阪神小幡竜平内野手(24)が強肩で救った。6回2死二塁。痛烈な左前打を高寺が深い位置で処理。深く追っていた遊撃の小幡は、送球を受けると本塁にワンバウンド送球。ややそれたが、坂本がうまくタッチして二塁走者をアウトにした。「(高寺)望夢が捕ってから早く投げてくれて、誠志郎さんがナイスカバーしてくれて。僕というよりも2人かなと思いますね」と謙そんした。

◆阪神打線がノーヒットで2得点を手にした。0-0で迎えた3回の攻撃で、先頭の高橋が三ゴロ失策で出塁。続く近本の一ゴロも広島モンテロが後逸し、無死二、三塁。ここで2番中野が先制の右犠飛を放った。「いただいたチャンスでもあったので、なんとか先制点が欲しい中で。最低限の仕事だったのかな」。大きな当たりで投手の高橋を悠々と生還させた。さらに1死三塁で迎えた森下の打席で、今度は大瀬良が暴投。この回まで無安打ながら全得点が入った。相手のミスを逃さないのも首位の強さだ。中野は「ヒット、ヒットってなかなか簡単なことじゃない。モノにできるかできないかで試合の勝敗は大きく変わると思うので、そこは良かった」と振り返った。広島は5安打を放ったが、阪神は打率2割9分1厘で首位打者に浮上した近本、坂本のわずか2安打。独走優勝への勢いを感じる白星だ。

◆阪神高橋遥人投手(29)が強い直球と精密な制球力を取り戻し、今季4度目の先発マウンドで完全復活を印象づけた。3ボールを与えたのは1人だけ。7回をわずか69球でまとめ、6奪三振4安打無四死球の無失点で今季2勝目を手に入れた。「真っすぐがそれなりにちょっと良くなってきていたんで。それがあったから球数も少なかったのかなと思います」5回終了時点で完全投球。最速151キロを計測した直球、140キロ前後のツーシームのコンビネーションで広島打線を翻弄(ほんろう)した。4回は中村奨にフルカウントまで粘られたが、1人も走者を許さなかった。この日はストレートが24球、ツーシームは28球。全69球の約75%を2種類で投げきった。「ストレートありき、なんで。ツーシームも良くはなっているんですけど、(相手が)ストレートを嫌がってくれたんでツーシームが生きたなと思います」6回先頭の佐々木に初安打を許した。2ストライクと追い込んでからツーシームを中前に運ばれた。2死二塁からは中村奨に左前打を許したが、高寺→小幡のカットプレーで本塁生還を阻止。「なんかこう、(パーフェクトは)気持ち悪いなって感じはあったんですけど。守備にも助けてもらって、ありがたいです」。大記録は逃したが、笑顔で仲間に感謝した。マスクを被った坂本も「投げてる球は全部やっぱりすごい。相手もなかなか絞れないような球だし。相手がいろいろ考えてるうちに、バッテリー有利に勝負を進めていける」と大絶賛の投球内容。いよいよ完全復活の予感が漂う。昨年11月に「左尺骨短縮術後に対する骨内異物(プレート)除去術」を受け、長いリハビリを終えた。今季は球団創設90周年。節目のV奪回を任せられる役者がまた1人増えた。【伊東大介】

◆阪神石井大智投手(28)が大記録に到達した。2-0の9回に3番手で登板。2死から1安打されたが、最後は末包昇大外野手(29)を空振り三振に抑え、西武平良海馬投手(25)に並ぶプロ野球記録の39試合連続無失点を達成した。プロ5年目を迎えた石井は、行動の随所に先輩としての自覚をにじませている。雨天中止となった11日の広島戦。室内練習場でともにキャッチボールを行っていたのは、2年目椎葉だった。終了後には熱心に助言。椎葉も真剣に耳を傾けていた。「やっぱりチームとしてシーズンを戦うので。もちろん個々の力も必要ですけど、やっぱり中継ぎはチームなので」。中継ぎとして歩んできたプロ人生。多数の先輩に支えられてきた中で、石井が尊敬している存在の1人が岩崎だ。かねて伝えられてきたのはブルペンは「チーム、助け合い」といった意識。「自分だけが成績良くて、というのでは良くない」と教わってきた。「自分も若いのか分からないけど、若い選手が多い。やっぱりその意識は浸透させていかなきゃいけない。それも受け継いで」虎のブルペンで築かれてきた良き伝統を、先頭に立って継承していく。【阪神担当=波部俊之介】

◆マジで球児さんを超えちゃった! 阪神石井大智投手(28)が2点リードの9回1イニングを無失点で締め、西武平良に並ぶプロ野球記録の39試合連続無失点を達成した。藤川球児監督(45)も現役時代に積み上げたセ・リーグ記録の38試合連続無失点を更新。チームは今季24度目の完封勝ちを飾り、2位巨人が敗れたため、優勝マジックを2つ減らして26とした。最後の151キロ直球がミットに収まると、石井は固く右拳を握った。プロ野球タイ記録の39試合連続無失点。藤川監督と並んでいたセ・リーグ記録も更新した。試合後は指揮官と記念撮影。照れくさそうに笑みを浮かべながらも、ふつふつと感情がわき上がった。「監督と写真を撮らせていただいているときにすごく実感が湧きました。素直に喜びたいです」2点リードの9回。1番中村奨から始まる打順で、まずは簡単に2者連続三振を奪った。2死から小園に中前打を許すも、続く4番末包を3球三振。貫禄の今季6セーブ目だ。藤川監督からも「本当におめでとう。この先まだ試合があるからまた頼むな」と言葉をかけられた。6月には頭部打球直撃による戦線離脱を経験したが、復帰後も無失点を継続。登板を重ねる中、改めて感じることがある。「やっぱり真っすぐって大事だなと。去年と今年、ここまで経験してすごく分かった」。キャリアを積み、自身の中で身についたのが勝負勘だ。打者の反応などを見ながら、持ち球の中でも最善の球種を選べるケースが増えた。だがリスクを管理する一方、以前ほどの思い切った投球ではないことも実感していた。「やっぱり1点差とか点差なしで、リスクは負えない気持ちもある。今までみたいに何も考えず、自信を持って投げられなくなっている時もある」その上で痛感しているのが、軸となる直球の大切さだった。「やっぱり真っすぐでどんどんと。今の自分のできる範囲で」。空振りやファウルを取れれば、変化球にもつながる。この日も全13球中10球で直球を選び、広島打線を押し込んだ。とはいえ、憧れてきた藤川監督の「火の玉ストレート」に近づいている実感は「全くない」。さらなるハイレベルを見据え、まだまだ進化を続けていく。チーム今季24度目の完封勝ちを締めくくり、優勝マジックは26まで減った。大記録を達成し、着々と頂点へ近づいている。それでも満足顔は見せない。「変化球を投げきるところで甘いところがあった。次に向けて修正したい」。どこまでもストイックに、次戦に備える。【波部俊之介】

◆阪神・岡留英貴投手(25)が1軍に合流した。ファームでは防御率1・29と安定した投球を続けていた右腕。7月28日に抹消されて以来今季4度目の出場選手登録となる見込みで、白星を挙げた6月7日のオリックス戦(甲子園)から約2カ月ぶりの1軍登板に期待がかかる。

◆前日12日は大幅にスタメンを入れ替えた阪神は佐藤輝明内野手(26)と中野拓夢内野手(29)がスタメンに復帰し、1~5番を〝いつものメンバー〟に戻し、勝利を狙う。先発の高橋は今季広島とは初対戦だが、昨季は3戦3勝の好相性だった。

◆阪神が2点を先制した。三回、先頭の高橋が三塁の失策で出塁すると、続く近本のボテボテのゴロを一塁・モンテロがトンネル。2つの失策で無死二、三塁とチャンスを作った。ここでこの日スタメンに復帰した中野拓夢内野手(29)が右翼への犠飛を放って高橋がホームイン。さらに森下の打席では、相手先発・大瀬良の暴投で近本も生還した。広島守備陣は三回まで3失策。阪神はノーヒットながら2点を奪った。阪神・中野「打ったのはカットボールかな。とにかくまずは先制点を取りたいと思っていましたし、最低限の仕事でしたが、チームに貢献することができてよかったです」

◆阪神・高橋遥人投手(29)が先発し、五回までパーフェクト投球を続けている。速球を中心にテンポよく腕を振ると、早いカウントから仕掛けてくる赤ヘル打線を寄せ付けず。いとも簡単にアウトを重ね、五回は先頭の4番・末包と続くモンテロから連続三球三振を奪うと、前川も2球で左飛。ここまでわずか44球で打者15人連続でアウトに仕留めた。広島戦は昨季に3試合に登板して無傷の3連勝、防御率2.16と、得意にした相手。今季初登板でも、前半戦は立ちはだかってみせた。

◆阪神・高橋遥人投手(29)が先発し、2-0の六回に初安打初出塁を許した。テンポの良いピッチングで五回まではわずか44球でパーフェクト投球。前夜に15安打9得点と爆発した赤ヘル打線を圧倒した。しかし、六回先頭での佐々木との勝負。2球で追い込むも、3球目の速球をとらえられると、打球は自らのグラブをかすめ、そのまま二遊間を破って中前に運ばれた。ここで完全試合ついえた。それでも、犠打で1死二塁と広げられたピンチでは代打・菊池を遊飛に仕留め、続く中村奨には左前へ運ばれたが、本塁へ突入した二走・佐々木を見事な中継プレーでアウトにし、無失点。バックに助けられ、ゼロ行進は継続した。

◆先発した大瀬良大地投手(34)は6回を2失点(自責0)で今季7敗目を喫した。大瀬良は一回に無死一、二塁のピンチをなんとか無失点で切り抜ける。しかし、三回には味方の連続失策で無死二、三塁となり、犠飛と自らの暴投で2点を奪われ、被安打ゼロで失点と悔しい結果となった。打線は阪神先発・高橋の前に五回まで無安打。六回に先頭、佐々木が中前打で出塁し、2死後、中村奨が左前打を放ったが、二走・佐々木の本塁突入は惜しくも憤死に終わった。

◆阪神は強力投手陣が力を見せつけ、0封勝利を収めた。三回に相手のミスで無死二、三塁とチャンスを作ると、スタメンに復帰した中野拓夢内野手(29)が先制の右犠飛。さらに大瀬良の暴投で1点を加え、この2点を守り抜いた。先発の高橋遥人投手(29)は五回まで1人の走者も許さぬ完璧な投球を披露。六回先頭で佐々木に安打を浴びて完全試合はついえたが、7回4安打無失点と広島打線を抑え込み、2勝目を挙げた。八回は及川雅貴投手(24)が3人で仕留めると、九回には石井大智投手(28)が登場。中村奨、ファビアンから三振を奪うと、最後は2死一塁から末包を空振り三振に斬って6セーブ目をマーク。日本記録に並ぶ39試合連続無失点を達成した。マジックは1つ減らして27とし、優勝へ向けて一つ歩みを進めた。

◆佐藤輝明内野手(26)、中野拓夢内野手(29)がスタメン復帰した阪神は2安打2得点で逃げ切って、優勝マジックを2減の「26」とした。三回無死から連続敵失で二、三塁とし、中野の右犠飛と大瀬良大地投手(34)の暴投で無安打ながら2点を先取した。5回完全投球の高橋遥人投手(29)は六回無死での初安打から2死二塁とされたが、中村奨成外野手(26)の左前打を処理した高寺望夢内野手(22)ー小幡竜平内野手(24)の中継プレーで二走の生還を阻止した。7回69球降板の高橋は2勝目。6セーブ目(1勝)の石井大智投手(28)は39試合連続無失点で西武・平良海馬が21年にマークしたプロ野球記録に並んだ。チームは24度目の無失点勝利。

◆近鉄、西武で主砲として465本塁打&2452安打をマークし、西武コーチ時代には清原和博らを育てたサンケイスポーツ専属評論家・土井正博氏(81)は森下翔太外野手(24)の打撃に言及した。チームが独走状態になると、相手が勝手に転んでくれる。この試合は典型だった。ただし、わずか2安打は寂しい。一番気になったのは森下だ。最近、ずっと右肩の開きが早い。その証拠が三塁線へのファウルの多さ。春先は内角をうまくさばいて、レフト方向へも長打を放っていたのだが、バットの軌道がアウトサイドインになっているから、フェアゾーンに鋭い打球が飛ばない。詰まることを怖がっているようにも映る。打撃は「詰まってもいいんだ」という考え方をしなければいけない。詰まってもいい、ポテンヒットでもいい、ぐらいの楽な気持ちを持つこと。そうすれば開きの早さも直せる。目の前で佐藤輝が軽く打っているのも、見習えばいい。さらに言えば、打者は必ず、好調とスランプが交互にやってくる。それを乗り越えるのが仕事だ。もし、チームがマッチレースなら重苦しいが、幸いにして、シビアな状況ではない。優勝、日本一を決める一番重要な時期に、好調になればいい。目の前の結果を求めすぎないことも大事だ。

◆先発した大瀬良大地投手(34)は6回を2失点(自責0)で今季7敗目を喫した。守備の乱れが失点に直結した。

◆阪神・近本は五回、大瀬良の外角直球を狙ったかのように三遊間を破り、左前へ。今季129安打とし、巨人・長嶋茂雄以来2人目となる新人年から7年連続130安打に王手をかけた。三回には無死一塁から放った一ゴロが敵失を誘い、自らも暴投で生還してこの日唯一の得点機も演出。疲労を考慮されて10日のヤクルト戦(京セラ)は途中交代したが、問題はなさそう。3打数1安打で打率・291とし、リーグトップに返り咲いた。

◆涼しい顔に似合わない剛球がミットを鳴らした。阪神・高橋が内容も伴う7回無失点で、完全復活を告げる2勝目を挙げた。「バッターの反応的にもちょっと嫌がっている感じがあったので、ここ何試合かでは真っすぐが一番良くなってきているんじゃないかなっていう感じでした」うなりを上げた直球のMAXは151キロまで達した。大きく沈むツーシームを軸にして五回までは完全投球。「意識は全然しなかったですね。ちょっと気持ち悪いなっていう感じはあったんですけど、守備に助けてもらって本当にありがたいです」と味方をたたえた。しかし、六回に初安打を浴びると、2死二塁から中村奨に左前に運ばれたが、高寺―小幡―坂本の中継プレーに助けられ、間一髪でホームタッチアウト。その後、今季最長となる七回のマウンドに上がると1死一、二塁を招いたが、後続を打ち取り、盤石リリーフ陣にバトンを託した。これで広島からは今季初星。〝コイキラー〟大竹が12日に移籍後ワーストの7失点で黒星を喫していたが、高橋も昨季は3戦3勝、16回?で奪三振18個という驚異的な数字を残していた。六回無死一塁では石原の犠打にダイブするなど、闘志あふれるプレーを見せた。「きょうは少しは力にはなれたかなと思います」謙虚に語った背番号29。優勝までの速度がさらに増した。(渡辺洋次)

◆阪神・坂本は高橋を好リードした。「真っすぐも勢いがあった。球数少なく、テンポも良くいけたことはよかった」。早いカウントから仕掛けてくる相手打線には、早めの勝負で対抗。7回69球の省エネ投球は共同作業のたまものだった。四回には大瀬良からチーム初安打となる左前打を放ち、攻守にわたる躍動だった。

◆唯一のピンチを、若虎コンビが救った。六回2死二塁から左前打を浴びるも、高寺―小幡―坂本とつないで二塁走者・佐々木を本塁憤死。素早い返球で失点を防いだ高寺は、小幡に頭を下げた。「小幡さんがナイスカバーをしてくれたので、感謝しています。チャージができない打球だったので、カットまで早く返そうと思った」五回まで完全投球を続けていた高橋が、初被安打から迎えたピンチだった。左翼線寄りに飛んだ中村奨の痛烈な打球を、高寺は少し下がりながら処理。そこからロスなく返球し、失点を防いだ。藤川監督も「ウチの今のレフトの守備の良さは、非常に大事なところ。いいところで出ましたね」と目を細めた。今春のキャンプから外野挑戦を始めた高寺。左翼起用は18試合を数え、信頼を勝ち取っている。それを受けた小幡も、ワンバウンドでストライク返球した。坂本が素早く走者にタッチして判定はアウト。「(高寺)望夢が捕って早く投げてくれて(坂本)誠志郎さんがナイスカバーをしてくれた。僕というよりは2人かなと思います」と、こちらも感謝を表した。(中屋友那)

◆2試合ぶりにスタメン復帰した阪神・中野は相手の連続エラーで迎えた三回無死二、三塁の場面で、決勝点となる先制の右犠飛を放った。「(高橋)遥人さんのデキもよさそうでしたし、先制点を取れれば、そのままリズム良く投げられると思ったので最低限の仕事はできたかなと思います」と振り返った。試合前まで打率・291で首位打者だったが、2打数0安打で・2897に低下。広島・小園に7毛差の3位となった。

◆阪神・石井大智投手(28)が13日、広島20回戦で39試合連続無失点とし、2021年の平良海馬(西武)のプロ野球記録に並んだ。自分を超えた後輩に、ほおが緩む。阪神・藤川球児監督(45)は石井に賛辞を贈った。「及川も含めてですけど、本当に誇らしい。本当に心の底からうれしい」2点リードの九回を、右腕は3奪三振で締めた。指揮官自身が2006年にマークしたセ・リーグ記録が塗り替えられた瞬間。リリーバーとして認める部分は「ただ単純に、日々を丁寧にやっている」ことだという。12日はスタメンから佐藤輝、中野を外し、佐藤輝は欠場となったが、この日はフルメンバーに戻し、適時打なしの2得点で今季24度目の無失点勝利。就任当初から掲げた守りの野球を貫き、2年ぶりのリーグ優勝へ突き進む。「選手たちは戦っている状態ですから」。勝負師のマスクをつけて、背中を押していく。(須藤佳裕)

◆阪神・石井大智投手(28)が13日、広島20回戦で39試合連続無失点とし、2021年の平良海馬(西武)のプロ野球記録に並んだ。2―0の九回に今季42度目の登板で6セーブ目。今季24度目の無失点勝利で、巨人が負けたため、優勝へのマジックナンバーは2つ減って「26」となった。15日からは東京ドームに乗り込んで、巨人との3連戦。さぁスパートだ!冷静沈着だった自分を捨てた。藤川監督のセ・リーグ記録を塗り替え、平良の日本記録に並ぶ。最後の打者、末包にも前に飛ばさせない。151キロ直球で空振り三振。石井は珍しくガッツポーズで喜びをあらわにした。「投げているときは(記録のことは)考えてなかった。(試合が)終わって、監督と写真を撮らせていただいたときに、すごく実感がわいた。素直に喜びたい」2-0の九回を任されたのは腰の疲労から1軍復帰した岩崎ではなく、石井だった。先頭の中村奨をフォークで、続くファビアンを152キロ直球でバットの空を切らせた。小園に中前打を許したが、得点は許さず、今季6セーブ目を挙げた。

◆終わってみれば、石井の偉大な記録が誕生して、2安打しか打っていないのに勝って、マジックを減らして。これはこれでハッピーエンドだ。ただ、試合中は別の記録でドキドキワクワク。あれは五回を終了した時間帯だった。「一応、念のために、聞きますが...。もし、高橋が完全試合とか、ノーヒットノーランを達成した場合は...」当番デスク席の阿部祐亮がトラ番たちにメールを送った。〝記録は口にすると途絶える〟太古の昔から言い伝えられてきた。デスクの連絡に、「あっ、言って(文字にして)しまったか」という思いと「デスクは準備をしなければいけないんだ」という正論とが交錯した。でも、仕方がないことでもある。広島でのノーヒットノーランなら-。思い出していたのは2004年10月4日の井川慶。旧広島市民球場で1-0のシビアな展開で偉業を達成した。この時、試合後の勝利監督インタビューで当時監督・岡田彰布は一瞬、ぶぜんとした。「そんなプレッシャーをかけること、するわけないやろ!」アナウンサーの質問が「試合中、井川投手に記録のことを伝えていたんですか?」。即座に全否定したのだ。この中継を見て、大爆笑した人物がいた。タテジマOB湯舟敏郎さん。1992年6月14日の広島戦(甲子園)でノーヒットノーランを達成した、偉業の先輩だ。「ボクが五回までノーヒットだったとき、気を使って、ベンチで誰もそばに来ないのに、隣に座ったのが岡田さんでした。そして、言うんですよ。『まだノーヒットが続いているぞ』と。ビックリしました。普通、言わないでしょ」

◆広島のユニホームの胸にはCARPではなくPeace(平和)の文字、そして背番号は広島に原爆が投下された8月6日から『86』。決して風化させたらいかんのじゃー!カープは敗れたが、2点ビハインドにもかかわらず、先発の大瀬良から七回以降、栗林、島内、森浦とつなぐ勝ちパターンのリレー! 「どんなにつろうても、諦めんけんのう! そしたらその先に必ず希望(平和)があるんじゃけぇ!!」というメッセージと受け取ったのだ!! 野球を楽しめる平和の尊さに感謝!!『野球に不思議な勝ちあり』。わが阪神はわずか2安打、得点は三回の2つのエラーや暴投がらみ...まさに運も実力の域に猛虎は来たのだ!!39回連続無失点でセ・リーグ新記録、プロ野球タイ記録の石井大智投手オメデトウ!! このまま今季は最後まで無失点といったれー!!最後に宣伝で~す。15日(金)から俺主演の映画『抗う者たち』(栗本健太郎監督)がアップリンク吉祥寺で公開されます(その後名古屋、大阪、広島でも上映)。17日(日)は上映後、午後6時過ぎから舞台あいさつをしますから虎党の皆さんもぜひお越しくださーい!!

<セ・リーグ順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差残試合 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(-)
阪神
64402 0.615
(↑0.003)
M26
(↑2)
37361
(+2)
246
(-)
66
(-)
83
(+1)
0.244
(↓0.002)
2.050
(↑0.02)
2
(-)
巨人
51513 0.500
(↓0.005)
12
(↓1)
38311
(+3)
309
(+4)
65
(+1)
43
(+1)
0.242
(-)
2.640
(↑0.01)
3
(-)
DeNA
47525 0.475
(↑0.006)
14.5
(-)
39338
(+10)
325
(+2)
66
(+4)
48
(+1)
0.239
(↑0.001)
2.880
(↑0.01)
4
(1↑)
中日
47562 0.456
(↑0.005)
16.5
(-)
38281
(+4)
316
(+3)
55
(+1)
62
(-)
0.227
(↑0.001)
2.810
(-)
5
(1↓)
広島
45545 0.455
(↓0.004)
16.5
(↓1)
39317
(-)
335
(+2)
53
(-)
48
(-)
0.241
(↓0.001)
2.930
(↑0.03)
6
(-)
ヤクルト
37585 0.389
(↓0.005)
22.5
(↓1)
43281
(+2)
395
(+10)
54
(+2)
45
(-)
0.228
(-)
3.570
(↓0.07)