1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 | 安 | 失 | 本 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
ヤクルト | 1 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 2 | 5 | 1 | 0 |
阪神 | 1 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 4 | X | 6 | 11 | 1 | 0 |
勝利投手:及川 雅貴(6勝3敗1S) 敗戦投手:小澤 怜史(0勝5敗0S) |

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◆阪神は2-2で迎えた8回裏、2死満塁から木浪が押し出し四球を選び、勝ち越しに成功する。なおも続く好機で、近本の走者一掃となる適時三塁打が飛び出し、相手を突き放した。投げては、4番手・及川が今季6勝目。敗れたヤクルトは救援陣が振るわず、打線もつながりを欠いた。
◆試合前練習でアクシデントが起きた、阪神長坂拳弥捕手(31)が、「脳振とう特例」で出場選手登録を抹消された。この日、試合前にグラウンドで練習を行っている最中に、ボールが直撃。その後すぐに引きあげていった。脳振とう特例措置は16年にスタートした制度。出場選手登録を抹消された選手は、NPBが定めるガイドラインに沿って復帰プログラムを行う必要がある。医師の許可があれば10日未満でも再登録できる。10日未満で再登録される際は、代替指名選手と交代する。代替指名選手はその後、10日を待たずに再び昇格できる。代替指名選手として、原口文仁内野手(33)が出場選手登録された。前川右京外野手(22)、ジョン・デュプランティエ投手(31)も1軍に昇格した。デュプランティエは、この日の予告先発。疲労等を考慮され、7月29日に出場選手登録を抹消されていた。2年連続開幕スタメン入りを果たした若虎だが、7月21日に今季2度目の出場選手登録抹消。ここまで1軍では60試合に出場し、打率2割3分1厘で本塁打はまだない。2軍降格後は、ウエスタン・リーグ9試合に出場した。期間中は8試合で安打をマークし7打点。前回出場した3日の同オリックス戦では4安打で満塁弾も放っていた。代わって島田海吏外野手(29)が、今季4度目の出場選手登録抹消となった。7月1日に1軍昇格し、守備固め等として出場。7月13、15日にスタメン出場した際は安打を放っていたが、前日8日のヤクルト戦では「8番右翼」で先発出場も5打数無安打だった。
◆前日8日に今季初めてベンチスタートとなった阪神森下翔太外野手(24)が、「3番右翼」でスタメン復帰した。森下は前日8日、9回に代打で出場。先頭で左前打をマークし、代走植田を送られた。試合後、藤川監督は、コンディションを考慮してかと問われ「そうですね。また、明日は出られる状況にはなると思いますけど」と説明していた。また、ジョン・デュプランティエ投手(31)は7月20日巨人戦(東京ドーム)以来、中19日での先発で7勝目を目指す。
◆阪神佐藤輝明内野手(26)がスキのない走塁で好機を拡大した。森下が先制打を放ち、自身も右前打でつないだ初回1死一、二塁。一塁走者としての場面だ。5番大山が放った飛球は中堅後方へ。二塁走者森下がタッチアップで三塁進塁する中、中堅から中継への送球が中途半端になった。遊撃長岡がボールをはじいた瞬間に佐藤輝は二塁へ猛進。打撃はもちろん、足でも好機を拡大させた。
◆「Joshin プレゼントナイター」として開催され、ジョーシンCMキャラクターを務めるNMB48の塩月希依音(19)が始球式を行った。虎柄のグラブを手にマウンドへ。ボールは右に大きくそれるも、大きな弧を描いて届く豪快な投球となった。人生初の始球式を終えて「もう心臓飛び出そうでした、本当に! めちゃくちゃ広すぎて、本当に現実かわかんなくて、夢見てるみたいな感覚でした。圧倒されました」と初々しくコメント。自己採点は「20点でです。 本当に悔しいのが、練習してた時は割とまっすぐ飛んでたんですけど」と苦笑いした。選んだ背番号「17」については「これは...直感で」と笑顔。「選手の皆さんの背番号を見て、もし何かあったときに本当に...。選手の皆さんにご迷惑がかからないようにと思って、今選手がつけていらっしゃらない番号を選ぼうと思って」とリスペクトを込めての気遣いを見せた。
◆阪神坂本誠志郎捕手(31)がプロ10年目でキャリアハイとなるシーズン56本目の安打を放った。同点の2回先頭。ヤクルト先発吉村の初球真っすぐをはじき返した。二遊間を鋭いゴロで破る、中前打となった。キャリア最高は23年に記録した55安打。2年ぶりに自己最多を更新した。
◆阪神才木浩人投手(26)が10日ヤクルト戦(京セラドーム大阪)に先発する。この日は京セラドーム大阪で調整。前回2日の同カード(神宮)で9勝目を挙げたが、爪のアクシデントがあり、6回1失点で降板した。「先週は早めの降板になっちゃったので、今回はしっかりベストのパフォーマンスを出して試合に挑めたらいいなと思う。(爪は)全然問題なしです」。2年連続の2ケタ到達、10勝目を狙う。
◆阪神小幡竜平内野手(24)が、6試合ぶりに安打を放った。2打席連続本塁打をマークした2日ヤクルト戦の2本目以来となった。2-1の3回2死一塁。カウント3-2からの7球目、外角低めの直球を正面にはじき返し、中前打とした。2死のフルカウントでスタートを切っていた一塁走者の佐藤輝明内野手(26)は、積極的に三塁を狙ったが、好返球がありタッチアウトとなった。
◆阪神ジョン・デュプランティエ投手(31)が奪三振でリーグトップタイとなった。「虎のドクターK」は初回、ヤクルト4番村上宗隆内野手(25)を空振り三振。2回、岩田幸宏外野手(28)を空振り三振。3回、吉村貢司郎投手(27)を見逃し三振と、この日も三振を積み重ねた。5回には岩田を見逃し三振に仕留めた。登板前時点の奪三振は109だったため、計113奪三振。DeNAトレバー・バウアー投手(34)に並んだ。これまでの疲労蓄積等を考慮され、7月29日に出場選手登録を抹消された。1軍登板は7月20日巨人戦(東京ドーム)以来。この日の球数は78球。5回3安打4三振2失点で降板した。勝ち星こそつかなかったが、久しぶりの1軍戦で、先発としての役目は果たした。
◆阪神がアンラッキーなヒットでピンチを広げた。2-2で迎えた7回、この回から登板した湯浅京己投手(26)が、先頭の中村悠に四球を与え無死一塁。迎えた岩田は初球で犠打を試み、一塁線ギリギリへ転がした。ボールは一塁線上を転がり、湯浅と一塁大山は見合う形で、ファウルゾーンへ切れるのを待っていたが、ボールは人工芝の上で軌道を変えて、フェアゾーン内で止まった。一塁への内野安打となり、まさかの形で無死一、二塁とピンチを拡大。それでも続く代打北村が犠打に失敗し1死一、二塁。続く太田も空振り三振に仕留め、最後は長岡を投ゴロに打ち取りピンチを切り抜けた。
◆阪神の代打ラモン・ヘルナンデス内野手(29)の登場曲が、藤川球児監督(45)の笑いを誘った。その試合の第1打席の登場曲は、ののちゃんこと村方乃々佳(7)の「いぬのおまわりさん」。以前から使用しているが、自身が代打を告げ、名前がコールされた後に曲が流れると指揮官はベンチで思わず笑みを浮かべた。SNSでファンは「笑ってもうてるやん」などと投稿した。
◆阪神が連敗を2で止めて、マジックを30に減らした。2-2で迎えた8回、2四球と内野安打で2死満塁の好機。代打木浪聖也内野手(31)が、押し出し四球を選びこれが決勝点。さらに近本光司外野手(30)が走者一掃の3点適時三塁打を放ち、一気にリードを広げた。また、9回にマウンドに上がった石井大智投手(28)は無失点で試合を締め、藤川監督に並ぶセ・リーグ記録の38試合連続無失点を達成した。初回、先発のジョン・デュプランティエ投手(31)が先頭のヤクルト太田に右翼へ二塁打を浴び、味方の失策も絡んで1死三塁から、左犠飛で先制点を献上した。直後の1回裏、阪神も先頭の近本光司外野手(30)が左翼線へ二塁打を放ち、1死二塁から森下翔太外野手(24)の右前適時打で同点に追いついた。2回にも先頭坂本、高寺の連打から勝ち越し点を奪ったが、4回にヤクルト村上の二塁打から追いつかれ、序盤はシーソーゲームとなっていた。5回3安打2失点で降板したデュプランティエは、この日の4三振で通算113三振奪とし、DeNAバウアーに並びトップに立った。
◆阪神木浪聖也内野手(31)が勝ち越しの押し出し四球を奪った。2-2で迎えた8回。2死一塁から坂本誠志郎捕手(31)が遊撃内野安打、高寺望夢内野手(22)が四球で2死満塁のチャンスをつくった。ここで代打木浪が登場。カウント3-1から外角に外れたボール球を見逃した。6月6日オリックス戦以来、約2カ月ぶりに打点を挙げた。
◆動画は下記X(エックス)のロゴをクリックすると見られます虎は勝負どころで強い脅威の8回得点率この回一挙4得点で勝ち越し!近本光司が走者一掃タイムリースリーベース?プロ野球 (2025/8/9)??阪神×ヤクルト??Live on DAZN#オレをみろ #阪神タイガース
◆阪神が"キナチカ"コンビで4点のリードを奪った。2-2の8回。2死満塁から木浪聖也内野手(31)が押し出しの四球を選び、勝ち越した。なおも2死満塁から、近本光司外野手(30)が右中間への適時三塁打を放ち、3点を入れた。2人は18年ドラフトの同期で同学年。ルーキーイヤーには1、2番に入ることも多かった。
◆阪神石井大智投手(28)が連続無失点記録を38試合に伸ばし、藤川監督が持つセ・リーグ記録に並んだ。今季41試合目の登板。4月4日巨人戦(東京ドーム)を最後に失点しておらず、前夜に続く連投できっちりと無失点投球を見せた。指揮官が現役時代の06年に樹立した連続記録に並んだ。石井が4月5日巨人戦から38試合連続無失点。06年藤川(阪神)がマークした連続試合無失点のセ・リーグ記録に並んだ。なお、プロ野球記録は21年平良(西武)の39試合で、次の試合も無失点だと最長記録に並ぶ。
◆動画は下記X(エックス)のロゴをクリックすると見られます藤川球児監督に並んだ最終回は石井大智が締めた38試合連続無失点最後は"ストレート"で三振?プロ野球 (2025/8/9)??阪神×ヤクルト??Live on DAZN#オレをみろ #阪神タイガース
◆阪神高寺望夢内野手(22)が初の2試合連続マルチ安打を記録した。2回無死一塁で左前打を放ち2点目につなげると、4回無死一塁でも右前打を放ち2打席連続安打。「2本目も追い込まれてからしっかり対応できたのでよかった」。8回は2死一、二塁で四球を選んで勝ち越しの好機を拡大。「押し出しにつながったので。はい、よかったと思います」と勝利に貢献した。
◆阪神森下翔太外野手(24)がスタメン復帰して即適時打を放った。1点を追う1死二塁で、ヤクルト吉村の直球を捉えた打球が二塁手を強襲し、同点右前適時打となった。前日8日は今季初のベンチスタートとなり、代打で左前打をマーク。藤川監督は「代打の昨日のヒットがいい意味で効果が出たのかなと思いますけど、また前向きにやっていってもらえればなと思います」と話した。
◆大きな追加点をたたき出し、阪神近本が首位打者に返り咲いた。同点の8回。木浪の押し出し四球で勝ち越し、なおも2死満塁と続いた好機でヤクルト松本健の変化球を捉えて右中間を破る適時三塁打にした。最少リードを4点リードに広げ、チームの連敗を2で止めた。「(木浪)聖也がその前に決めてくれていたので、気持ちを楽に。初対戦のピッチャーだったので、どんなボール投げるのかどういう球筋なのかわからなかったんですけど、そのボールに対して対応することが大事だったので」と集中し、ベストの結果を出した。1点を追った初回の初打席も先発吉村の変化球を捉え、左翼線への二塁打に。すぐに同点に追いつく流れを作った。2回は1死二、三塁での遊ゴロで三塁走者をかえし、勝ち越し。2試合連続のマルチ安打で打率を2割9分2厘とし、チームメートの中野らを抑えて再びリーグトップに再浮上だ。「打率? いや、全然ね。気にしたところで何も変わらない。今やることはどのタイミングであっても一緒かな」と泰然自若。今季最多の4打点をたたき出す1番打者の勝負強さこそが、頼もしい。▽阪神前川(この日再昇格し、8回1死一塁に代打でいい当たりを放つも中飛)「アウトはアウトなので。結果の世界なので頑張ります。2軍でいいものをつかめてきたかなと思うので、2軍のスタッフ陣に感謝して頑張りたい」
◆阪神ラファエル・ドリス投手(37)が阪神復帰後初ホールドを挙げた。同点の6回に2番手で登板。先頭のヤクルト長岡に中前打を許すも内山、村上を連続三振。四球で2死一、二塁としたが、最後は山田を初球のスプリットで三ゴロに仕留めた。「先頭を出さないようにと思っていた。ヒットは打たれたけど、なんとかゼロで帰ってこられた」。虎で久しぶりのホールドに「それを分かっていないぐらい集中していた。勝利に結びついて良かった」と胸をなで下ろした。
◆阪神先発のジョン・デュプランティエ投手(31)がこの日の4三振で計113奪三振とし、DeNAバウアーに並んで再びトップに立った。中19日の先発で、初回に先制点を与えるも、粘投を続け5回3安打2失点。「チームが点をとって、勝ち越したところを見てすごく楽しかったですし、うれしいです」と勝利を喜んだ。この日は4回無死一、二塁の攻撃で犠打失敗もあり「投球以外のこともしっかりやっていかないといけないね」と反省も忘れなかった。
◆阪神及川雅貴投手(24)が13試合連続無失点と好投した。2-2の8回に登板し、いきなり中軸と対峙。内山、村上を連続空振り三振に打ち取り。オスナを右飛に抑えた。失点は7月1日巨人戦が最後。前日8日中日戦で今季最長を更新し、さらに無失点登板を続ける。6勝目となった左腕は「3人でいけたのは良かったと思います。村上選手はあそこまでいったら、四球もなくはないですが」と振り返るも、相手の主砲を抑え込んだ。
◆阪神が連敗を2で止めて、マジックを30に減らした。2-2で迎えた8回、2四球と内野安打で2死満塁の好機。代打木浪聖也内野手(31)が、押し出し四球を選びこれが決勝点。さらに近本光司外野手(30)が走者一掃の3点適時三塁打を放ち、一気にリードを広げた。
◆阪神坂本誠志郎捕手(31)が、藤川監督に並ぶセ・リーグ記録の38試合連続無失点を達成した石井大智投手(28)をたたえた。6-2の9回に登板した石井は、1回無安打無失点2奪三振で記録に並んだ。ともに試合を締めた坂本は、石井と握手しともにねぎらった。「いつもいい準備して、マウンド上がるまでにいろんなことを研究したり、考えたりしてというのを、マウンドで投げてる姿と、サイン交換しててもすごく伝わる。この結果はそうやって準備している大智が作り上げたものだと思う」次の1試合を抑えれば、西武平良に並ぶ日本記録の39試合連続無失点となる。「今後もっともっとそれが伸びていくように、それがまたチームのためになると思うので、一緒に目の前の1人、1つのアウトをまた積み重ねていけたらいいなと思います」とここからを見据えた。
◆阪神木浪聖也内野手(31)が、大歓声に応えた。「9番及川にかわりましてバッター木浪」-。満塁男の名前がコールされた途端、京セラドーム大阪に虎党の声援が響いた。投手の方へ鋭い目線を飛ばし、冷静に見極めて押し出し四球。かみしめるようにガッツポーズし、一塁に向かった。「打席に向かう時、ファンの方の声援で『よし、いってやろう』とすごく後押しされた。役目を果たせた」2-2の8回。2死満塁で代打木浪が打席に入った。初球から3球連続ボール。カウント3-1から外角へはずれたボールを見逃し、勝ち越しの押し出し四球とした。「初球からいくと決めていたがボールだった。3ボールからもいこうと思ったが、冷静に1点をとることだけ考えていた」と振り返った。7月31日の1軍再昇格後10日目、出場4試合目で初打点となった。久しぶりの満塁だ。石井の負傷交代に騒然とする中でサヨナラ打を放った6月6日オリックス戦、第4打席以来の満塁。「ネクストで『満塁くるな』と。打てると思って打席に入った」と頼もしい。23年は打率4割4分4厘、昨季は4割7分1厘で今季も5割。得意の場面で決勝点を入れた。優勝した23年、翌24年は1軍で100試合以上に出場も、今季はここまで1軍54試合で打率1割9分6厘。6月20日には2軍降格。負傷以外の理由では、ベストナインなどに輝いた23年以降初めてだった。前日8日の安打は6月6日オリックス戦以来約2カ月ぶりだった。安打が出なくても、出番がなくても、毎日やるべきことをした。「変わらないようにやっているつもり。それを怠ることだけはないように、そう考えながらやっていた」。自分の軸をぶらさずに鍛錬し続けた。久しぶりにファンの祝福を浴び「勝つことが全て。やるべきことをやって勝てればいい」。6月の抹消後は主に小幡が務めている遊撃スタメン。23年Vに大貢献の男も負けていられない。【塚本光】
◆阪神及川雅貴投手(24)が13試合連続無失点と好投した。2-2の8回に登板し、いきなり中軸と対峙(たいじ)。内山、村上を連続空振り三振に打ち取り。オスナを右飛に抑えた。失点は7月1日巨人戦が最後。6勝目となった左腕は「3人でいけたのは良かったと思います。村上選手はあそこまでいったら、四球もなくはないですが」と振り返るも、相手の主砲を抑え込んだ。
◆虎戦士がまた歴史の扉を開いた。9回にマウンドに上がった阪神石井大智投手(28)が無失点で試合を締め、藤川球児監督(45)に並ぶセ・リーグ記録の38試合連続無失点を達成した。6月には頭部に打球が直撃するショッキングな離脱もあったが、苦難を乗り越えて偉大な記録にたどり着いた。チームは連敗を「2」でストップ。優勝マジックは1つ減って「30」。カウントダウンを再開させた。最後の1球がミットに収まっても、石井の表情は変わらなかった。「平常心でいきました」。1回3者凡退で達成した38試合連続無失点。普段通り、淡々と打ち立てた金字塔だ。「自分なんかがというところもありますけど。次も変わらず、自分の仕事をできるように」4点リードの9回に登板。あっさりと打者2人で2死を奪い、最後は代打宮本を見逃し三振に仕留めた。今季は6月に頭部打球直撃で一時離脱したが、復帰後も無失点を継続。ついに藤川監督の持つセ・リーグ記録に並んだ。同じ四国IL高知出身の大先輩。入団前から「藤川投手に並べるように」と語っていた憧れの存在に肩を並べた。約7年前、今の姿を誰が想像できただろう。技術者としての専門的知識を養成する秋田高専出身。高専卒では初のプロ野球選手だ。東日本大震災の影響などから、当初は建築士志望。今とは180度違う希望進路に「180度なのか540度なのか分からないですけど」と笑って振り返る。「なんでそんなところに」、「絶対無理だ」、「なれるわけない」-。成績優秀で就職という選択肢もあった中で選んだのは独立リーグからの挑戦。当初、周囲からの否定的な声もゼロではなく、気にしていた時期もあった。ある意味、学生時代に積み上げてきたものを捨てて選んだ野球人生。それでも貫いた信念を振り返り、今では胸を張る。「大学に行くこと、いい企業に勤めることが正解じゃない。人生は自分で作っていかなきゃ後悔するでしょ。死ぬ時に『あれやっとけばよかった』と思うのはめちゃくちゃもったいない」。20年ドラフトの支配下では、最下位の74番目で飛び込んだプロの世界。当時の決断には誇りを持つのは、花開いたからではない。「仮にプロ野球選手になっていなかったとしても、この時間は自分の中でめちゃくちゃ貴重だったと思うし、誇れると思う」自分だけの人生を突き進み、到達した大記録。自身の記録を塗り替えられた藤川監督も「本当に誇らしいですね。もうその一言です」とたたえた。チームの優勝マジックも30に減少。石井は力強く今後を見据えた。「これからも監督の力になれるように」。選んだ野球人生は、まだまだ続く。【波部俊之介】▽阪神坂本(2回に6試合ぶりの中前打を放ちマルチ安打)「ちょっとヒットの打ち方忘れそうだったので、思い出せてよかったです。(石井は)いろんなことを研究したり考えたりというのが、マウンドで投げてる姿と、サイン交換していてもすごく伝わる。この結果はそうやって準備している大智が作り上げたもの」
◆虎戦士がまた歴史の扉を開いた。9回にマウンドに上がった阪神石井大智投手(28)が無失点で試合を締め、藤川球児監督(45)に並ぶセ・リーグ記録の38試合連続無失点を達成した。6月には頭部に打球が直撃するショッキングな離脱もあったが、苦難を乗り越えて偉大な記録にたどり着いた。チームは連敗を「2」でストップ。優勝マジックは1つ減って「30」。カウントダウンを再開させた。最後の1球がミットに収まっても、石井の表情は変わらなかった。「平常心でいきました」。1回3者凡退で達成した38試合連続無失点。普段通り、淡々と打ち立てた金字塔だ。「自分なんかがというところもありますけど。次も変わらず、自分の仕事をできるように」4点リードの9回に登板。あっさりと打者2人で2死を奪い、最後は代打宮本を見逃し三振に仕留めた。今季は6月に頭部打球直撃で一時離脱したが、復帰後も無失点を継続。ついに藤川監督の持つセ・リーグ記録に並んだ。同じ四国IL高知出身の大先輩。入団前から「藤川投手に並べるように」と語っていた憧れの存在に肩を並べた。約7年前、今の姿を誰が想像できただろう。技術者としての専門的知識を養成する秋田高専出身。高専卒では初のプロ野球選手だ。東日本大震災の影響などから、当初は建築士志望。今とは180度違う希望進路に「180度なのか540度なのか分からないですけど」と笑って振り返る。「なんでそんなところに」、「絶対無理だ」、「なれるわけない」-。成績優秀で就職という選択肢もあった中で選んだのは独立リーグからの挑戦。当初、周囲からの否定的な声もゼロではなく、気にしていた時期もあった。ある意味、学生時代に積み上げてきたものを捨てて選んだ野球人生。それでも貫いた信念を振り返り、今では胸を張る。「大学に行くこと、いい企業に勤めることが正解じゃない。人生は自分で作っていかなきゃ後悔するでしょ。死ぬ時に『あれやっとけばよかった』と思うのはめちゃくちゃもったいない」。20年ドラフトの支配下では、最下位の74番目で飛び込んだプロの世界。当時の決断に誇りを持つのは、花開いたからではない。「仮にプロ野球選手になっていなかったとしても、この時間は自分の中でめちゃくちゃ貴重だったと思うし、誇れると思う」自分だけの人生を突き進み、到達した大記録。自身の記録を塗り替えられた藤川監督も「本当に誇らしいですね。もうその一言です」とたたえた。チームの優勝マジックも30に減少。石井は力強く今後を見据えた。「これからも監督の力になれるように」。選んだ野球人生は、まだまだ続く。【波部俊之介】
◆阪神・前川右京外野手(22)が試合前練習に合流した。出場選手登録されれば、7月21日に抹消されて以来今季3度目の昇格となる。この期間では3日のウエスタン・リーグ、オリックス戦(SGL)で満塁本塁打を含む4安打を放つなど打率・382をマークしていた。練習に姿がない島田が抹消となる見込み。
◆前夜4時間27分の激闘の末に敗れた阪神は、ジョン・デュプランティエ投手(31)が7月20日以来の先発。ここまで6勝3敗、防御率1・37を誇る右腕が、復活勝利を目指す。打線は8日にスタメンを外れていた森下翔太外野手(24)が「3番・右翼」でスタメンに戻った。
◆阪神のジョン・デュプランティエ投手(31)が先発し、一回に先制点を献上した。先頭・太田に一塁線を破られると、フェンスからのクッションボールをベアハンド(素手)で処理しようとした右翼・森下が後逸し、いきなりの無死三塁(記録は二塁打と失策)。続く長岡には左犠飛を打たれ、不運にもわずか7点で先制点を与える結果となった。右腕は疲労を考慮されて7月29日に出場選手登録を抹消され、この日に昇格。今季ヤクルト戦は3試合に登板していずれもクオリティースタート(先発で6回以上、自責3以内)で3勝、防御率0.90と好相性だけに、二回以降の仕切り直しが求められる。
◆阪神・才木浩人投手(26)が10日のヤクルト戦(京セラ)に先発する。9日は京セラでの試合前練習でランメニューなどをこなし、調整した。「ドームはだいぶ久々な気がする。暑さも問題ないかな、と思うので、しっかりと自分のいつも通りのピッチングをできたらいいかな、と思います」燕打線との対戦は2日(神宮)以来8日ぶりで、その前回登板では6回2安打1失点と好投。右手中指の爪のアクシデントで六回をもっての降板となったが、「もう全然、問題なしです。大丈夫です」と無事を強調した。白星を挙げれば2年連続の2桁勝利達成となる一戦へ「自分のベストのパフォーマンスを出して試合に挑めたらいいかなと思います」と決意を示した。
◆阪神が森下翔太外野手(24)の適時打で同点に追いついた。1点を追う一回、先頭の近本が左翼前への打球を放つと、左翼・内山がダイビングキャッチを試みるもボールはこぼれ、二塁打でチャンスメーク。1死となってこの日スタメンに戻った森下が逆方向へ鋭いゴロを放つと、二塁・山田のグラブをはじいて打球は外野へと転がった。右翼手が打球を処理する間に近本が生還し、試合は振り出しに。森下は5日の中日戦(バンテリンドーム)以来の打点となった。「打ったのはストレート。チャンスで回ってきたら『絶対に打つ』と準備をしていました。得点に繋がるバッティングができて良かったです」この後佐藤輝も安打でさらにチャンスを拡大したが、大山、小幡と倒れて一挙逆転とはならなかった。
◆「TIGERS B-LUCK DYNAMITE SERIES」として開催されている3連戦の2戦目で、NMB48がゲストとして登場。31枚目のシングル「チューストライク」を披露し、同曲で自身初の単独センターを務める塩月希依音(けいと、19)が始球式に臨んだ。「もう心臓が飛び出そうでした。(京セラは)めちゃくちゃ広すぎて。現実か分かんなくて、夢を見てるみたいな感覚で圧倒されました」選手に迷惑がかかることがないように、と現在誰も着用していない背番号「17」のユニホームで登場した。深々とお辞儀をしたのち、セットポジションからダイナミックなフォームで投球。しかしボールはワンバウンドで少し右に逸れ、「20点です(笑)。ほんとに悔しいのが、練習してたときは真っすぐ飛んでたんですけど、なにがなんだかわかんなくなっちゃった」と辛口に自己採点をした。大阪府出身の塩月は「森下選手が大好きで、もう出てこられた瞬間にほんとに『よっしゃきたー』っていつもなってる」と笑顔で推しメンを明かした。
◆阪神が二回に勝ち越した。先頭・坂本が中前打で出塁すると、高寺は9球目を打ち返す粘り勝ちの左前打で続く。さらにヤクルト先発・吉村の暴投で労せず二、三塁とチャンスが広がり、1死後の打席に近本。遊ゴロの間に三走・坂本をホームへ迎え入れ、2-1と、この試合初めてリードした。一回に先制されたが、吉村に対しては二回までで計5安打をマーク。2日(神宮)の前回対戦では4本塁打を見舞って土をつけたが、今回はつなぎの野球で攻めている。
◆10日の阪神戦で先発するヤクルト・奥川恭伸投手が、短距離ダッシュなどで調整した。京セラドームは昨年6月14日のオリックス戦で、980日のぶり勝利を挙げた球場。直近3試合はいずれも7回を投げて勝利投手となっており「1イニングでも、1球でも多く投げられるようにやりたい。とにかく勝つしかない。しっかりチームの勝ちに貢献できるように」と今季4勝目へ、力を込めた。
◆阪神の先発、ジョン・デュプランティエ投手が四回に失点し、同点とされた。一回に1点を失うも、味方が逆転して1-2で迎えた四回。先頭の4番・村上に右翼への二塁打を浴びてピンチを背負うと、オスナの中飛で1死三塁となる。続く山田の打球は右翼線へのフライに。右翼・森下が捕球してホームへ転送するも間に合わず、2-2の同点となり、試合は振り出しに戻った。
◆安定感のある投球で、ブルペンを支えている。ヤクルト・星知弥投手(31)は、9日の阪神戦(京セラ)前時点で30試合に登板し、1勝2敗、防御率1・55、5セーブ、16ホールド。救援陣の中心として、勝利に貢献している。プロ9年目の今季は、開幕2軍スタート。4月2日に出場選手登録されたが、同9日に抹消されて、5月16日に再昇格を果たすまで約1カ月間ファームで過ごした。「ずっと変化球を練習していたんです。カットボールとスライダーですね。それまでは自信がなくて、『大丈夫かな』という思いが大きかった。まずは自信を持って腕を振る。今までは腕が緩んで『ここに投げなきゃ』というのがあったので、一回取っ払って、腕を振ってゾーン内に行けばいいかなと」2軍の投手コーチや捕手にも伝え、実戦の中で横曲がりの変化球を多く配球してもらった。場面ごとに、その変化球を投げる意図を自身の中で明確にしていきながら投げていくことで、より自信を深めた。「僕の一番いいボールって真っすぐだと思う。真っすぐを生かすためにも変化球は絶対に必要。2球種が良くなったから、無理して真っすぐで勝負する必要がないと、欲張らなくなりました」変化球に磨きをかけたことで、投球の幅が広がった。星が、これからもチームを勝利に導く。(赤尾裕希)
◆阪神は四回の好機を生かせなかった。2-2の同点とされた直後攻撃は先頭・坂本が9球粘って四球で出塁すると、高寺は2打席連続安打となる右前打でチャンスメーク。無死一、二塁の勝ち越し機を生み出した。しかし、スリーバントを試みたデュプランティエのゴロは投手・吉村の正面に転がり、ボールは三塁に送られて走者を進められず。さらに、1番・近本の放ったライナーは、一塁・オスナの正面へ。ダイレクトキャッチで2死となると、一走・デュプランティエは飛び出していたため、一塁を踏まれてダブルプレー。再び主導権を奪うことはできなかった。
◆阪神の先発、ジョン・デュプランティエ投手(31)は5回2失点で降板となった。一回に三塁打と犠飛で先制点を献上すると、味方が2-1と逆転した後にも四回に二塁打と2つの外野フライで同点を許した。5回78球を投じ、3安打2失点。前回7月20日の巨人戦(東京ドーム)の3回からはイニングを伸ばしたが、3戦3勝だったヤクルト戦で勝ち投手の権利を得られなかった。助っ人右腕は「間隔があいたけどまた登板することができて嬉しかったです。制球に苦しんでしまったところはあったけどまずまずの投球はできたと思うよ。もっといいプレイヤーになる為にも投球以外のこともしっかりやっていかないといけないね。しっかり準備と練習を頑張ります」とコメント。六回からはラファエル・ドリス投手(37)がマウンドに上がった。
◆阪神は八回、木浪聖也内野手(30)の押し出し四球と近本光司外野手(30)の3点三塁打で勝ち越しに成功した。2-2の八回、1死から大山が四球を選んで出塁すると、2死となって坂本の内野安打と高寺も四球で2死満塁とヤクルト・小沢を攻め立てる。ここで代打で起用されたのは満塁男・木浪。バットを一度も振ることなく、押し出しで勝ち越しの1点をもぎ取った。ここでヤクルトは松本健にスイッチするも、近本が追い込まれながらも右中間を真っ二つに破る走者一掃の三塁打。一挙4得点で6-2とリードを広げ、九回に突入した。
◆阪神は終盤の連打で試合を決めた。先発のジョン・デュプランティエ投手(31)が一回に1点を失うも、一回に森下翔太外野手(24)の適時打、二回には近本光司外野手(30)の内野ゴロの間に試合をひっくり返す。四回に同点に追いつかれたが、八回。2死満塁のチャンスを作ると、代打・木浪聖也(30)が押し出しの四球をもぎ取り、勝ち越しに成功。さらに近本にもこの日4打点となる走者一掃の三塁打が飛び出し、一気に突き放した。九回は石井大智投手(28)がマウンドへ上がると、最後は代打・宮本を見逃し三振に斬り、3人で抑えてゲームセット。藤川球児監督(45)が持つセ・リーグ記録に並ぶ38試合連続無失点で、試合を締めくくった。
◆2-2の八回。2死満塁のチャンスを作ると、代打・木浪聖也内野手(30)が押し出しの四球をもぎ取り、勝ち越しに成功。さらに近本光司外野手(30)に走者一掃の三塁打が飛び出し、一気に突き放した。九回は石井大智投手(28)が登板。3人斬りで38試合連続無失点とし、藤川球児監督(45)が持つセ・リーグ記録に並んだ。
◆阪神が同点の八回に4点を挙げ、連敗を「2」で止めた。四回までに2点を取り合う展開で迎えた八回2死一塁、坂本誠志郎捕手(31)の安打と高寺望夢内野手(22)の四球で塁を埋め、代打木浪聖也内野手(31)が押し出し四球。さらに近本光司外野手(30)の3点三塁打で突き放した。九回を締めた石井大智投手(28)は38戦連続無失点とし、藤川球児監督(45)が2006年に樹立したリーグ記録に並んだ(NPB最長は西武・平良海馬の21年の39試合)。ジョン・デュプランティエ投手(31)は7月20日巨人戦(東京D)以来のマウンドで、5回78球3安打4奪三振1四球2失点(自責1)。八回を三者凡退に抑えた及川雅貴投手(24)が6勝目(3敗1S)。
◆2-2の八回に小沢怜史投手が押し出しを含む3四球など乱れた。先発の吉村貢司郎投手は6回2失点と粘ったが、勝利にはつながらなかった。
◆継投が裏目に出た。リーグ最下位のヤクルトは、2―2の八回に、イニングをまたいだ小沢怜史投手(27)が、2死満塁から押し出し四球で決勝点を献上した。9連戦中の5戦目。高津監督はやりくりの難しさを口にした。「(八回の続投は)小沢でいいと思った。今日は3人上がり(登板しない予定)なので、(リリーフ)6人で、吉村を含めて7人で12回を完結させようと思っていた」この日、連投中だったD3位・荘司(セガサミー)はベンチ外。2連投していた星、大西はベンチ入りも登板予定はなかった。8日の阪神戦は延長十二回まで戦い、7日の巨人戦も1点差で競り勝っており、勝ちパターンの救援陣には負担がかかっていた。期待された先発の吉村は6回2失点と粘ったが、先制した直後に失点するなどリズムを作れなかった。八回に3四球で勝ち越しを許した小沢は「途中からバラけてきていて、そこが続いてしまった。ゾーンでちゃんと勝負、というところだと思う」と反省。粘る野球はできているだけに、次戦は勝利につなげたい。(赤尾裕希)
◆ヤクルト打線は5安打2得点に終わった。一回無死三塁から長岡が先制の左犠飛を放ち、1点を追う四回1死三塁から山田が右犠飛を放ったが、以降は無得点。六、七回と先頭打者の出塁を生かしきれず、高津監督は「タイガースのリリーフ陣のレベルの高さなのかなと思う。あそこ(5回)で先発を代える理由も、2失点で勝てる理由もすごくあるのかなと思う」と脱帽した。
◆阪神・石井大智投手(28)がセ・リーグタイ記録の38試合連続無失点を達成。四国IL高知時代の恩師で、現役時代は南海や阪神などで通算81勝を挙げた吉田豊彦氏(58)=現楽天副寮長=がサンケイスポーツの取材に応じ、教え子の快挙を喜んだ。吉田氏は、石井の偉業達成を仙台の自宅からネット観戦で見届けた。「最初に会ったときは身長も小さいし、直球も140キロ前後。正直、ここまでできると思わなかった」高知時代、投手コーチ&監督として石井を3年間、指導。「シンカーはよかったが、秋田高専なら就職でも引く手あまた。こっちは手取りで月10万円なのに」。野球への思いが捨てきれず、2017年に秋田高専から入団した当時を振り返った。「野球に取り組む姿勢は他の選手とは全然違っていた。彼がすごいのはブレないところ。吸収力は高いし、いろんなアドバイスに耳を傾けるが、自分なりにかみ砕いて試行錯誤していく。頭の回転がすごく速い子でしたね」石井の転機は1年目のオフ、宮崎で開催されているフェニックス・リーグに独立リーグのチームとして参加したときだった。「彼はボコボコにやられた。それが悔しかったのか、高知に戻ってきてからはウエートトレーニングもただやるだけでなく、研究熱心で初動負荷とか、どうすればパフォーマンスにつながるか、トレーナーと相談しながらやっていた」それから3カ月。「ひと冬を越えて、最高球速が10キロアップするなんて話は聞いたことがない。驚きでした」。急成長を遂げると、阪神を含むNPBのスカウトが高知を訪れるようになった。そして、20年のドラフト会議で阪神から8位指名。支配下で74番目は最下位だった。「彼は目標をクリアしたら、また次の目標を設定し、努力をしていくタイプ。心配しなかった」。吉田氏は今も石井とメールで連絡を取り合っている。入団5年目で初めて球宴に出場が決まった今年7月には「おめでとう」と送信。石井からは感謝の言葉をもらったという。吉田氏は投手コーチとして、16年には米球界から帰国して高知に入団した藤川監督も指導。そして、石井が藤川監督に肩を並べた。「2人は高知で過ごした。いろんな意味で縁があったんでしょう」と笑った。「石井は小さい子に夢を与えたと思う。さらに上を目指して、僕を驚かせてほしい」教え子のさらなる活躍を願っている。(三木建次)■吉田 豊彦(よしだ・とよひこ) 1966(昭和41)年9月4日生まれ、58歳。大分県出身。国東高から本田技研鈴鹿を経て、88年D1位で南海入団。98年、阪神に移籍し、2002年に近鉄へ。05年から楽天に在籍し、06年限りで現役引退。通算619試合登板、81勝102敗、17セーブ、防御率4・38。2桁勝利を3度記録し、球宴出場3度。引退後、楽天2軍投手コーチなどを歴任し、12年に四国IL高知の投手コーチに就任。20年、同監督に。24年からは楽天の副寮長。左投げ左打ち。現役時代は174センチ、78キロ。
◆八回から4番手で登板した阪神・及川雅貴投手(24)はクリーンアップを三者凡退。直後の攻撃で勝ち越し、6勝目をゲットした。「ここ数試合、あまり内容の良くない投球が続いていたんで、3、4、5番を3人で切れてよかった」。3番・内山、4番・村上を連続三振に斬り、3登板ぶりの無四球を喜んだ。
◆接戦から一気に試合を決定づけた。塁を埋めたランナーが全員生還。阪神・近本光司外野手(30)のトドメの3点打で黒い虎党が大きく揺れた。「(木浪)聖也が前のバッターだったので、僕に回ってくるってことは1点入っているということなので、なんとかなるだろうと思って、なんとかなりました」八回、木浪の押し出し四球で勝ち越し、なおも2死満塁。代わったばかりのヤクルト・松本健に追い込まれながらも、カーブを捉え、右中間を真っ二つに破る走者一掃の三塁打を放った。1―1の二回にも1死二、三塁から遊撃が深いシフトを取る中、遊ゴロで1点をもぎ取った。4打点は今季最多。この日2安打で打率・292まで上昇し、中野を抜いて首位打者に躍り出た。タイトル争いには「あと2カ月...。気にしたところで何も変わらない。今やることはどのタイミングでも一緒」と平常心を強調。虎のリードオフマンが最後までペナントレースを走り切る。(渡辺洋次)
◆阪神・佐藤輝明内野手(26)は12試合ぶりとなるマルチ安打を放った。一回、五回とともに、吉村から痛烈な打球を放ち、〝佐藤輝シフト〟で狭く閉められていた一、二塁間を破った。打率は・282に上昇。「よかったですね。本当に大きい(勝利)。あしたが大事になってくると思うので、頑張ります」と振り返った。
◆阪神・石井大智投手(28)が連続試合無失点を38に伸ばし、現監督の藤川球児(阪神)が2006年に樹立したセ・リーグ記録に並んだ。6―2の九回に登板して2三振を奪うなど、打者3人で片付けた。プロ野球記録は21年の平良海馬(西武)の39。チームは連敗を2で止め、優勝へのマジックナンバーを1つ減らして「30」とした。石井がついに憧れの人に肩を並べた。6-2の九回2死。代打・宮本を152キロ直球で見逃し三振に仕留めた瞬間、スタンドからは「石井コール」の大合唱。2006年に藤川監督が樹立した38試合連続無失点のセ・リーグ記録に並んだ。「(藤川監督は)本当に雲の上の存在というか、わかっていても打てないようなストレートを投げて、長くプロ野球で活躍された方。今、一緒に野球させてもらっているのが、すごく不思議です」無失点記録は4月5日の巨人戦(東京ドーム)から始まった。6月には打球を頭部に受けて1カ月離脱。復帰してからも記録は途切れなかった。「監督が達成された時のことを調べたけど47イニングとツーアウト投げている。(当時は)打率・350とか40本塁打を超える打者もいた。時代が違えば、全然結果が違うと思う。恐れ多いですよ」
◆阪神・前川右京外野手(22)は7月21日に抹消されて以来の1軍昇格となった。「前回よりも相当、自分の中で手応えはある。これで結果が出なかったら割り切れるくらい2軍でいいものをつかめてきたと思うので、2軍のスタッフ陣に感謝して、頑張りたい」。八回1死一塁で代打で出場。小沢の直球をとらえて強い打球をはじき返すも、中飛に倒れ、「アウトはアウト。1軍ではHランプがつかないと意味がない。結果の世界だと思うので、頑張ります」と決意を語った。
◆8日は今季初のベンチスタートだった阪神・森下翔太外野手(24)は「3番・右翼」で2試合ぶりの先発出場。一回の守備ではクッションボールの処理を誤るミスが失点につながったが、直後の攻撃で1死二塁から二塁手・山田のグラブを弾く右前への同点打を放った。「自分のミスで点を取られてしまっていたので、取り返せてよかったなと思います」。三回にも中前打を放ってマルチ安打をマークしたが、「まだまだです。まだできることはある」と満足はなかった。
◆1―1の六回に2番手で登板した阪神・ドリス投手(37)は1回無失点。2019年9月18日のヤクルト戦(甲子園)以来、6年ぶりのホールドをマークした。「ヒットは打たれましたけど、なんとかゼロで帰るという意味では仕事はできたかなと思います」。先頭の長岡に中前打、オスナに四球で2死一、二塁のピンチを招いたが、後続を打ち取った。復帰後初ホールドに「それをわかっていないくらい集中していましたけど、それが勝利に結びついてよかったです」と喜んだ。
◆得意の舞台が整った。阪神・木浪聖也内野手(31)の名前が呼ばれる。「代打・木浪」のコールで京セラに充満したのは、割れんばかりの大歓声。その期待を一心に背負いながらも冷静な男が選んだ、決勝の押し出し四球。声援は最後、バットを振らずして膨らませた。「ネクストで『満塁、くるなあ』と思ったので、『打てる』と思って打席に入りました」2-2の九回、回またぎの小沢から2四球と安打で築いたフルベースでの出番。今季も打率・500と、近年〝満塁男〟とたたえられる中、最高の場面での登場だった。「ファンの方の声援で『よし、いってやろう』と後押しされた感じでもありました」球場のムードの高まりは肌で感じた。それでも、高めた打ち気に揺さぶられる男ではない。制球を乱す右腕に向かい、カウント3―1からの5球目。外角に外れる一球を見定め、押し出し四球を選び抜いた。決勝の1点をもたらすと、「打って勝ち越すことが一番だけど、どうであれ1点を入れられたので、よかったという意味で」と小さくながらも、右手で気持ちのこもったガッツポーズ。しぶとい活躍が、さらに大きな歓声と同学年・近本の3点打を呼んだ。春先には1試合3失策などがあり、現在の遊撃スタメンは同期の小幡が中心。6月20日には2軍降格となり、若虎たちと汗を流す日々に飛び込んだ。そんな中、SGLでは列をなす多くのファンが持つユニホームや色紙にペンを走らせる木浪の姿があった。「SGLでしかできないことでもあったので、そういう時間も作ろうと思っていた」昨季までのファーム拠点・鳴尾浜では機会も限られたファンとの交流。フェンス1枚を隔てた近距離で、これだけ多くの人が応援していくれていることを、より身をもって感じる機会になった。愛されるゆえんがここにある。背番号0はその応援も力に、立場に関わらず、いまと真正面から向き合って戦う。「(いつも)普段と変わらないようにやっているつもり。それを怠ることだけはないように、ということを考えながらやっていた。結果、勝って良かったです」8日には代打で昇格後初安打も放ち、上り調子だ。チームのため、ファンのため、残り40試合を全力で駆け抜ける。(須藤佳裕)
◆「8番・左翼」で3試合ぶりに先発出場した阪神・高寺望夢内野手(22)が、2安打1四球と存在感を放った。二回無死一塁から左前打で得点につなげると、四回にも右前打。いずれも追い込まれてからの安打に「追い込まれる前に打てるのがいいんですけど、追い込まれたら頑張るだけ。しっかり対応できたのでよかった」とうなずいた。八回には2死一、二塁から四球をもぎ取り、木浪の押し出し四球の決勝点をおぜん立てした。
◆中19日での登板となった先発の阪神・ジョン・デュプランティエ投手(31)は5回2失点(自責1)。「少し荒れてしまって制球が乱れてしまった。そこの制球がしっかりできていればもう少しいい投球できていたなと、反省すべき点はすごく多い」と後半戦初登板を振り返った。4三振を奪い、DeNA・バウアーと並び、113奪三振でリーグトップとなった。
◆遠い昔に、甲子園で朝8時から高校野球を4試合取材、その後に車で約10分の西宮球場へ移動してプロ野球のナイター取材を〝させられた〟ことがあった。1日5試合!40年近い月日が流れ、「やれ」と言われても体がもたない。いや、高校野球がナイター開催になり、そんな無謀な指示もできないのが令和のご時世だ。8日も、9日も、阪神の死闘と同じ時間帯まで、高校野球が行われる時代になっている。京セラドームに朝日放送の大ベテラン・中邨雄二アナの姿があった。「きのう(8日)、綾羽vs高知中央を実況してまして。史上、一番遅くまで高校野球をしゃべったアナになりました」歴史上の人物になられた?! しかも、翌日は朝の番組があって、夜は阪神戦のナイター。「稼がせてもらってます」と笑っていた。働く63歳、立派だ。高校野球はグラウンドの内外で話題満載だが、プロ野球のネット裏で定番になっているのが...。「新聞社は阪神の優勝の準備に入っているんでしょ? うちらもです。予想外のスピードでマジックが減っているので、ちょっと慌ててまして」別のテレビ局関係の方が話しかけてきた。当然、〝Xデー〟に向けて準備はしなければならない。忙しいのは須藤佳裕キャップ以下のトラ番記者たちだ。「虎のソナタ」コーナーは勝とうが、負けようが、極端な話、優勝しようが、最下位になろうが、スペースは全く変わらない。行数は永久不変だ。忙しいフリだけしている。
◆令和7年、時代は駆け足でAIに向かっている中で「野球は人間がやるもんや!!」の藤川人情采配。ウ~ン、目頭が熱くなるわ!九回、あと1試合で藤川監督のセ・リーグ記録、38試合連続無失点に並ぶ石井をマウンドに送り出したのだ。ピンチでもなければ、セーブがつく場面でもない...。要するに、楽に投げられる状況でタイ記録を達成させてやろう!という心の采配。それは、2-2の八回2死満塁で木浪を代打に送ったときも感じたのだ!今季、小幡にショートのレギュラーを奪われている木浪だけど、クライマックスシリーズや日本シリーズの短期決戦では必ずお前の力が必要なんや! 虎党なら誰もが知っている『木浪満塁伝説』をみせたれや~!と。結果は決勝の押し出し四球。満塁男は健在で、木浪の存在感を大きく知らしめたのだった。藤川監督は前日に敗戦投手となった湯浅を同点の七回に連投で放らせ、無死一、二塁のピンチでも交代させる気配は一切なし!! 湯浅はそれを意気に感じ、後続を封じて無失点としたのだ。人間対人間の、強い絆を感じた夜だった。

<セ・リーグ順位表推移>
順位 | チーム名 | 勝数 | 負数 | 引分 | 勝率 | 首位差 | 残試合 | 得点 | 失点 | 本塁打 | 盗塁 | 打率 | 防御率 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 (-) |
阪神 |
62 | 39 | 2 | 0.614 (↑0.004) | M30 (↑1) |
40 | 352 (+6) | 235 (+2) | 65 (-) | 81 (-) |
0.244 (↑0.001) | 2.000 (↑0.01) |
2 (-) |
巨人 |
50 | 49 | 3 | 0.505 (↑0.005) | 11 (-) |
41 | 303 (+4) | 303 (+3) | 63 (+1) | 42 (+1) |
0.242 (-) | 2.690 (↓0.01) |
3 (-) |
DeNA |
46 | 50 | 5 | 0.479 (↓0.005) | 13.5 (↓1) |
42 | 323 (+3) | 311 (+4) | 59 (-) | 47 (+1) |
0.237 (↑0.001) | 2.830 (↓0.01) |
4 (1↑) |
中日 |
45 | 54 | 2 | 0.455 (↑0.006) | 16 (-) |
42 | 270 (+2) | 302 (-) | 52 (-) | 62 (-) |
0.227 (↑0.001) | 2.830 (↑0.03) |
5 (1↓) |
広島 |
43 | 53 | 5 | 0.448 (↓0.005) | 16.5 (↓1) |
42 | 302 (-) | 326 (+2) | 50 (-) | 48 (-) |
0.239 (↓0.001) | 2.960 (↑0.02) |
6 (-) |
ヤクルト |
35 | 56 | 5 | 0.385 (↓0.004) | 22 (↓1) |
47 | 265 (+2) | 375 (+6) | 48 (-) | 45 (-) |
0.227 (-) | 3.510 (↓0.03) |
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