ヤクルト(★2対3☆)阪神 =リーグ戦14回戦(2025.08.01)・明治神宮野球場=
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阪神
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ヤクルト
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勝利投手:岩崎 優(1勝2敗23S)
(セーブ:及川 雅貴(4勝3敗1S))
敗戦投手:大西 広樹(1勝1敗4S)
  DAZN
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◆阪神は1-0で迎えた6回表、坂本の適時打で1点を加え、リードを広げる。その後同点とされるも、延長10回に佐藤輝が適時二塁打を放ち、勝ち越しに成功した。投げては、3番手・岩崎が今季初勝利。敗れたヤクルトは、9回に追いつく粘りを見せるも及ばなかった。

◆首位を走る阪神は1日からヤクルトと敵地で対戦する。強力ブルペンに新たな1枚が加わった。6年ぶりにタテジマに袖を通したラファエル・ドリス投手(37)が前日7月31日の広島戦(甲子園)で復活登板。9回にドリスの名前がコールされると大声援。走者を出しながら無失点に抑えた。梅野隆太郎捕手(34)とのバッテリーも復活した。途中出場だった梅野は「あの登場曲とか、迎えてくれたファンの声援とかも含めて、懐かしいなと思っていました。ゼロに抑えられてよかったです」と振り返った。ドリスも「ウメノ選手とはよく組んでいたので、懐かしさもありながら、彼を信じて、と思っていました」と笑みをたたえた。ドリスは前回所属時、クローザーとして最多セーブも獲得している。激しく荒れるフォークを、梅野が必死に止めるシーンはファンの目にも刻まれている。梅野の超人的なブロッキング技術がなければドリスの5年間の成績も違ったものになっていたかもしれない。

◆セ・リーグ首位を独走する阪神が、1日からのヤクルト3連戦(神宮)のために同日、東京に移動。台風9号が関東に近づいているが、午前中は影響が少なく、東海道新幹線はほぼ通常通りに運行した。試合は午後6時開始。阪神はこの日から8カード23試合を甲子園以外で戦う「長期ロード」に入った。一方でドーム球場も11試合と多く、佐藤輝明内野手(26)はドーム球場について「涼しくていいんじゃないですか」と話した。近本光司外野手(30)は長期ロードに「普段のビジターと変わりませんよ。やれることをしっかりやって」と平然としていた。

◆阪神ナインが、ヤクルトに新加入した青柳晃洋投手(31)と再会を果たした。昨オフに阪神からポスティングシステムでフィリーズに移籍。7月末にヤクルトと契約したばかり。さっそく古巣との対戦となったこの日から、1軍の試合前練習に参加していた。阪神のフリー打撃が始まるころに、クラブハウスからグラウンドに姿を見せると、藤川球児監督(44)が三塁側ベンチから出てグータッチ。会話を交わし「頑張れよ」と激励した。同期入団の同学年で、仲がいい坂本誠志郎捕手(31)も近づいていき、長く会話した。外国人ながら親交が深いジェレミー・ビーズリー投手(29)も談笑。同じ背番号99の話題にもなったようで、青柳はTシャツ姿ながら背中を見せ合うシーンもあった。梅野隆太郎捕手(34)、近本光司外野手(30)、佐藤輝明内野手(26)ら主力のほか、コーチ陣やスタッフも再会を楽しんだ。青柳はベンチ、ブルペン、外野とまんべんなくあいさつに回った。ちょうどこのタイミングで雨が降り出しており、相変わらずの雨男ぶりだった。

◆阪神門別啓人投手(21)が1日、出場選手登録された。試合前練習にチームとともに球場入り。前日7月31日の広島戦(甲子園)で2失点したニック・ネルソン投手(29)が出場選手登録を抹消されたこともあり、先発で2勝しているが、今回も中継ぎ要員での1軍復帰とみられる。門別は今季開幕ローテ入りし、先発では7試合に登板し2勝3敗、防御率4・81だった。前回6月27日の1軍昇格時は、ブルペン要員として、7月11日ヤクルト戦で2イニングをリリーフ。1試合登板で同14日に出場選手登録を抹消されていた。

◆右膝後十字靱帯(じんたい)損傷から3カ月ぶりに1軍復帰したヤクルト長岡秀樹内野手(23)が「8番遊撃」で復帰即スタメンとなった。試合前練習後は「いい(リハビリの)3カ月だったと思えるようなプレーをしたい。守備でも打撃でも勝利に貢献できるように精いっぱい頑張りたいと思います」と気持ちを高めた。村上は「4番三塁」で、太田が「6番右翼」に入った。赤羽が「2番二塁」でスタメン出場となり、山田は2試合連続でベンチスタートとなった。

◆阪神がごっつぁんの先制点をもらった。2死から森下翔太外野手(24)が左前打で出塁。続く佐藤輝明内野手(26)は三塁前にボテボテの打球。これをヤクルト村上宗隆内野手(25)が一塁に悪送球して2死二、三塁と一気にチャンスが広がった。大山悠輔内野手(30)の打席で今度は高梨裕稔投手(34)が暴投。労せずして1点をゲットした。

◆ヤクルトに新加入した青柳晃洋投手(31)が"特性"をチーム合流初日から発揮した。阪神戦(神宮)の試合前練習に参加。阪神時代は登板時に雨が多かったことから「雨柳」の異名を取った。この日も空は鉛色で、練習開始前は強い雨に見舞われた。異名にたがわぬ? 悪天候ぶりに、伊藤投手コーディネーターからは「青柳が来たから雨ちゃうか」といじられた。キャッチボールなどを行った後、雨がたっぷり染み込んだTシャツ姿で青柳は「汗です。汗。雨じゃないです」と笑った。練習後は9年間を過ごした古巣阪神の仲間と交流した。藤川監督とはグータッチを交わし「頑張れよ」と激励を受けた。近本、佐藤輝、同学年で仲のいい坂本らとも談笑した。今後は3日まで1軍練習に同行し、5日以降はファームで調整する見込み。青柳は「(米国と)ボールが違うので、なるべく早く慣れたい」と話した。

◆右膝後十字靱帯(じんたい)損傷から3カ月ぶりに1軍復帰したヤクルト長岡秀樹内野手(23)が復帰即の二塁打を決めた。3回先頭、カウント2ー2から阪神伊藤将の外角直球に合わせ、左翼線に落とした。楽々と二塁に到達し、チャンスメークした。「8番遊撃」でスタメン出場し、第1打席から結果を導いた。遊撃守備でも3回2死一塁、大山の二遊間のライナーに素早く反応して好捕した。

◆阪神伊藤将司投手(29)が今季初安打をマークした。1点リードの2回2死一塁での第1打席で、ヤクルト先発高梨の2球目カットボールを強振。打球はセンターからホーム方向へ4メートルの風が吹く中、ぐんぐん伸び右翼フェンスを直撃した。バットで好機を演出も、追加点にはつながらなかった。同投手は今季4勝0敗で、7度目の先発マウンド。3回は先頭長岡に二塁打を打たれ、1死三塁のピンチを背負ったが、後続を断った。3回2安打無失点と好投を続けている。前回7月21日巨人戦(東京ドーム)では5回までに5点の援護点を受けたが、7回に2点を失い、降板。さらに救援のネルソンが3ランを浴び、7回途中4失点で無傷の5連勝を逃していた。

◆阪神小幡竜平内野手(24)が足でミスを挽回した。1-0の6回。1死一塁で犠打のサインが出たが初球を空振り、2球目もバントを投前に転がしてしまい、二塁封殺。どうしても追加点を取りたい攻撃で、痛い犠打失敗となった。ただ、一塁に残った小幡は坂本誠志郎捕手(31)の打席で二盗に成功。さらに坂本の浅い中前打で本塁に突っ込み、間一髪セーフをもぎ取った。

◆阪神のアピールは受け入れられなかった。6回2死二塁から、坂本誠志郎捕手(31)が貴重な追加点となる中前適時打。本塁にノーカット返球される間に坂本は二塁を狙おうとしたが、一塁手のホセ・オスナ内野手(32)と接触した。坂本は走塁妨害では? とジェスチャー。ただ審判団は協議の末に「接触がなくても二塁には行けなかった」との理由で認めなかった。場内にもアナウンスを行った。

◆阪神佐藤輝明内野手(26)が意外な形で強肩を披露した。3回無死二塁から高梨裕稔投手(34)が投前にバント。伊藤将司投手(29)が処理して三塁に送球したが、タイミング的に間に合わないと判断した三塁手・佐藤輝はタッチをあきらめ、すぐに一塁に転送。矢のような送球で打者走者をアウトにした。珍しい投-三-一とわたるプレーとなった。このピンチを伊藤将は無失点でしのいだ。

◆阪神先発の伊藤将司投手(29)が、今季自身無傷の5連勝の権利を得て降板した。7回を4安打1四球3奪三振で1失点だった。ヤクルト戦の登板は、今季3度目。過去2試合も先発で、計16回無失点。この日の7回に初めて点を失ったが、6回まで今季22イニング連続無失点だった。今季初対戦となった6月29日の同戦(神宮)では、完封勝利を挙げていた。3回はヤクルト先頭の長岡秀樹内野手(23)に左二塁打を許すと、犠打を決められ1死三塁。それでも二ゴロ、二飛で三塁走者の生還は許さなかった。5回は安打、四球、味方の失策で2死満塁。そのピンチも二ゴロで得点は与えず、1点のリードを守った。6回に味方打線が1点を追加。2点リードで迎えた7回、1死三塁から二ゴロの間に1点を失った。無傷の5連勝となれば、すでに更新している自己最長をさらに伸ばす。

◆ヤクルト高梨裕稔投手(34)が台風の風を味方に5回5安打1失点と試合をつくった。2回2死一塁は伊藤将に右翼フェンス直撃の安打、3回無死一塁は森下に大きな左飛。ともにスタンドに届く勢いの打球は中堅から本塁方向に吹く風に押し戻された。神宮は本塁方向から打者有利の風が吹くことが多いが、この日は逆。6月17日楽天戦以来の登板で、石井投手コーチは「久々の登板だが、しっかりゾーンで勝負ができている」と話した。

◆阪神岩崎優投手(34)が、勝利目前で追いつかれた。1点リードの9回に登板。1死から安打、四球で一、二塁のピンチを招いた。打席にはヤクルト代打の宮本丈内野手(30)。カウント1-1から、左前適時打を浴びた。一塁走者は三塁でアウトとなり、続く岩田幸宏外野手(27)は遊直に抑えた。2-2で試合は延長戦に突入した。

◆阪神がロード初戦を白星発進した。初回2死から森下翔太外野手(24)が左前打で出塁。続く佐藤輝明内野手(26)は三塁前にボテボテの打球。これをヤクルト村上宗隆内野手(25)が一塁に悪送球して2死二、三塁と一気にチャンスが広がった。大山悠輔内野手(30)の打席で今度は高梨裕稔投手(34)が暴投。労せずして1点を先制した。6回2死二塁では坂本誠志郎捕手(31)が中前適時打を決め、貴重な2点目を追加した。先発伊藤将司投手(29)は3回1死三塁、6回2死満塁のピンチを背負ったが、ともに後続をシャットアウト。7回4安打無失点で今季7度目の先発で無傷の5勝目を手にした。1点リードの8回から2番手登板した石井大智投手(28)は1回1安打無失点。自身の連続試合無失点を34に伸ばした。9回に岩崎優投手(34)が打たれ、同点に追いつかれるも、10回佐藤輝明内野手(26)の適時打で勝ち越した。中日が敗れたため、マジック36が再点灯した。

◆ヤクルトが1度は土壇場で追いついたが、延長戦で阪神に競り負けた。延長10回。大西が2死二塁から阪神佐藤輝に決勝適時二塁打を浴びた。右翼手・丸山がグラブに当てたが、わずかに及ばなかった。1度は土壇場で追いついた。1点を追う9回に粘った。阪神岩崎を攻略し、試合を振り出しにした。1死一、二塁から代打宮本が同点の左前適時打をマーク。守護神から1点を奪った。2点を追う7回は1死三塁から右膝後十字靱帯(じんたい)損傷から3カ月ぶりの1軍復帰の長岡の二ゴロの間に1点を返した。延長まで持ち込んだが、10回に力尽きた。6月17日楽天戦以来の先発だった高梨裕稔投手(34)が5回5安打1失点(自責0)と試合をつくった。1回に味方の失策と自らの暴投が絡んで1失点したが、2回から5回までは4イニング連続でゼロを並べた。6回は2番手の小沢が1失点を喫した。延長戦を落とした。まだ最下位に沈む中で、7月は12勝6敗2分けと勝ち越した。8月に入って、さらなる反攻をかけたかったが、8月の初戦を落とした。

◆阪神がロード初戦を白星発進した。中日が敗れたため、マジック36が再点灯した。阪神○、中日●の結果、再び中日の自力Vが消滅し、阪神にM36が再点灯した。最初のマジック点灯から1日で消滅、1日で再点灯は97年西武以来、28年ぶり。97年西武は9月18日M12点灯→19日消滅→20日M10再点灯となり、10月3日に優勝を決めた。ほかにもパ・リーグでは89年オリックスが10月5日M8点灯→6日消滅→7日M6再点灯というケースが見られるが、セ・リーグでは今回の阪神が初めてだ。

◆阪神佐藤輝明内野手(26)が決めた。9回に1点差を追いつかれたが、延長10回2死二塁に4番の意地を見せた。カウント1-2と追い込まれながら、大西広樹投手(27)の外寄りに落ちていく低い変化球に、めいっぱい手を伸ばした。低いライナーの打球が右翼手の頭上をぎりぎり超えていった。技とパワーの一打だった。チェンジでベンチに戻ると「よっしゃー」と大声でナインの出迎えを受けた。

◆右膝後十字靱帯(じんたい)損傷から3カ月ぶりに1軍復帰したヤクルト長岡秀樹内野手(23)が攻守で光った。即8番遊撃で出場。先頭の3回は左翼線二塁打、7回1死三塁では二ゴロで1打点。9回は11球目で四球を選び、一時同点につなげた。守備でも好捕を連発。「そんなスーパーな選手じゃない。でも自分の居場所をつかむため一生懸命やっている」とチームは連敗も存在感を示した。

◆ヤクルト山田哲人内野手(33)が試合前のシートノックに入らなかった。試合は出場なく、ベンチから見守った。コンディション面での不調があったとみられる。試合後、高津監督は「出られなかったですね。ちょっと何とも言えない」と話すにとどめた。

◆8月も0魔神だ! 阪神石井大智投手(28)が連続無失点を34試合に伸ばした。1点リードの8回に登板。1死から赤羽に四球を与え、その後は4番村上の右前打で2死一、三塁のピンチ。それでも5番オスナを直球で押し込み中飛に仕留め、要所で踏ん張った。「感覚的には久しぶりにいい感覚を出せた感じがするので。きょうをきっかけにまたいい投球ができるようにしたいです」と充実の笑顔で振り返った。登板37試合で失点は4月4日巨人戦(東京ドーム)で喫した1点のみ。翌5日巨人戦から継続している無失点投球。防御率は驚異の0・24でブルペン陣を支えている。6月には頭部に打球を受けて戦線離脱を余儀なくされたが、復帰後も安定感は全く変わらない。藤川監督が現役時代の06年にマークした、リーグ記録の38試合連続まであと4試合となった。指揮官超えの19年ぶりの快挙へ視界良好だ。【波部俊之介】

◆阪神坂本誠志郎捕手(31)が守って打って、存在の大きさを改めて証明した。受けては先発伊藤将とのコンビで、7回まで1失点。制球が生命線の伊藤将に四隅に投げ切らせた。最も危険な4番村上からも2奪三振。司令塔として、しっかりゲームメークした。台風9号の影響で不規則な風が吹きつけた。「アゲンストだった。この球場は狭いけど、森下の(大きい)打球が(柵越えに)行かなかったので、ある程度レフト方向はいいんじゃないかというイメージはありました」。前日7月31日の広島戦(甲子園)は8試合ぶりの休養日。近年は梅野と併用が基本。だが、担当の投手が増えていき、今は「独占」状態に。前日は栄枝が伊原と組んだが、結果を出せずに敗れた。藤川監督は「戦うということに対して前向きじゃなかったように見えた」と厳しく指摘していた。その次の試合で、攻守にわたる貫禄を見せた。打っては1-0の6回2死二塁。フルカウントから2番手の右サイド、小沢のスライダーにしぶとく手を伸ばし、中前に落とした。浅かったが小幡が本塁に突っ込んだ。「小幡がよく走ってくれたからこそ」と後輩を持ち上げた。日々、研究を怠らない。日米のあらゆる捕手を動画で見て「できないものはできないけど、こういうスキルほしいな、とか」。坂本はドジャースのスミスに始まり、ラッチマン、リアルミュート...ら、メジャー一流捕手の名を挙げる。自分と違う打撃特化型でも守備型でも「気になりますね」。気分転換も兼ねて、貪欲にレベルアップにつなげている。「ザキさんもいっぱい粘られて、点を取られてしまった。あのままズルズルいっていたらいやな中で、テルが打ってくれて、オヨも最後しっかり締めてくれてた。すごく大きい1勝だと思います」。"グラウンドの指揮官"にも手応えが残る長期ロード白星発進となった。【柏原誠】

◆阪神及川雅貴投手(24)が延長戦を締めくくり、プロ初セーブを挙げた。1点リードの延長10回に登板。先頭の2番赤羽を遊ゴロ、3番内山は二ゴロで2死。1発出れば同点の場面で、4番村上は空振り三振に仕留めた。3者凡退での無失点投球となった。すでにキャリアハイの今季44試合目。防御率は0・84となった。「最悪のケースを考えて。ツーアウトランナーなしで(村上選手に)回せば、ホームラン打たれても同点。絶対にランナーをためずに、村上選手までツーアウトの状況でと考えていました」と振り返った。

◆阪神先発の伊藤将司投手(29)が7回1失点と好投した。3度、三塁に走者を背負ったが失点は7回だけ。「走者を出してピンチの場面もありましたが、粘り強く丁寧に投げることができました。7回のピンチも最少失点で切り抜けることができ、先発として試合をつくることができたと思います」。2戦連続で白星こそ逃したが、無傷4勝の左腕は防御率1・07の安定感はしっかりと維持した。

◆ヤクルト高津臣吾監督(56)は悔しさをにじませた。1点を追う9回に1度は同点に追い付いたが、延長10回に力尽きた。接戦での黒星に「詰めの甘さ...。向こうの方が粘りがあって、よく考えてプレーしていた」と話した。阪神伊藤将とは3度目の対戦だった。これまで2戦2敗だった左腕に7回1失点に封じられ、「何とか三度目の正直と思ったのですが...。2度あることは3度だった」と唇をかんだ。1点を追う9回は1死一、二塁から代打宮本が左前適時打を放ち、1度は土壇場で試合を振り出しとした。高津監督は「何とか食らいついていこうという姿勢は非常によかった。いいところで1本を打ってくれました」と左の代打の切り札をたたえた。

◆やっぱり4番が決めた! 阪神佐藤輝明内野手(26)が決勝二塁打を放ち、優勝マジック36を再点灯させた。同点に追いつかれた直後の延長10回2死二塁の好機で、ヤクルト6番手大西から右越え適時打。打点を67に積み上げ、26本塁打と合わせて2冠を走る主砲が、前日7月31日に一夜で消滅したマジックを再びともした。チームは高校球児に甲子園を明け渡す約1カ月の夏の長期ロード白星発進。今度はマジックを消さずにゴールへ突き進む。佐藤輝は二塁上で、何度も力強く手をたたいた。強烈な目力で、感情を爆発させた。攻撃が終了し、ベンチに戻ると「よっしゃー!」と叫び、ナインの出迎えを受けた。気持ちが入っていたかの問いに「そりゃそうでしょ!」とハイテンションで即答した。「チカ(近本)さんがヒットで出た瞬間、チャンスで回ってくると思った。心の準備もできていたし最高の結果になってよかった」9回裏に2-2に追いつかれて迎えた延長10回表。先頭近本が左前打で出塁し、2死二塁で打席が回った。一塁が空いていたが申告敬遠はなし。「勝負しにきているということ。負けるつもりはなかったのでよかった」。6番手大西の低めの落ち球をとらえた。右翼丸山和の頭上を越す決勝の適時二塁打。リーグ2位の13度目の決勝打で、一夜で消滅した優勝マジックを一夜で36にして再点灯させた。神宮は天気も試合も荒れ気味だった。台風9号の影響で、試合前は一時大雨。強い風の向きもコロコロ変わった。ゲームは初回に阪神が先制し、6回に坂本の適時打で2点目を入れたが、7回に失点して1点差。勝利目前の9回1死から追いつかれて雲行きは怪しくなったが、10回に虎の主砲が試合を決めた。5回の森下の打球は逆風に戻される形の右飛になったが、最後の佐藤輝の打席は追い風で、白球はグングン伸びた。試合後、また降り出した雨の中のお立ち台。虎党の大歓声に「日ごろから力になっていますし、今日もすごく後押ししてくれて最後、何とか抜けたと思います」と感謝した。夜空には雲が広がっていたが、東都のファンは晴れやかに勝利を喜んだ。8カード23試合、約1カ月を甲子園以外で戦う夏の長期ロードに突入した。初戦を制した藤川監督は「最後に取り切れた。ロード1試合目を取れたのが大きい」と笑顔。「神宮のファンの方もうれしそうに最後までいてくれたので、スタンドの横を歩いている時に非常に、また明日頑張ろうという思いになっています」とさらなる力をもらった。2位巨人とのゲーム差を今季最大の12に広げ、V奪回へのカウントダウンを再開した。佐藤輝は「このまま最後まで突っ走りたい」と気合十分。甲子園に戻る29日までに、どんどん時計の針を進める。【塚本光】阪神○、中日●の結果、再び中日の自力Vが消滅し、阪神にM36が再点灯した。最初のマジック点灯から1日で消滅、1日で再点灯は97年西武以来、28年ぶり。97年西武は9月18日M12点灯→19日消滅→20日M10再点灯となり、10月3日に優勝を決めた。ほかにもパ・リーグでは89年オリックスが10月5日M8点灯→6日消滅→7日M6再点灯というケースが見られるが、セ・リーグでは今回の阪神が初めてだ。

◆阪神中野拓夢内野手(29)がマルチ安打で打率1位に肉薄した。3回に左前、5回は中前へ。トップの広島小園に3毛差の2割8分9厘7毛。2-2の延長10回無死一塁でも犠打を決め、決勝点につなげた。「緊迫した場面で何とか進められてよかった。月が変わって気持ちも変わった。大事な8月に調子を上げることが大事。1勝が重くなっていくので、こういう試合を勝つか負けるかで違う」と納得の表情だった。

◆阪神がマジック36を再点灯させた。9回に守護神岩崎が同点を許したが、延長10回2死二塁で主砲・佐藤輝明内野手(26)が右翼へ決勝二塁打を決め逃げ切った。1点リードの10回裏を締めた4番手・及川雅貴投手(24)がプロ初セーブを挙げた。

◆米大リーグ、フィリーズ傘下2Aを自由契約となり、ヤクルトに加入した青柳晃洋投手(31)が1日、1軍試合前練習に合流した。雨男ぶりは新天地初日から健在だった。阪神時代には登板日に雨が降ることが多かったことから、「雨柳さん」と呼ばれ、グッズも販売されるほどだった。入団会見では雨男ぶりについて問われ「今後のお楽しみということで」とちゃめっ気たっぷりに"予告"していた。この日、青柳がクラブハウスから練習場に向かう際は曇り模様だったが、練習開始直前になると突然の豪雨に見舞われた。傘振り応援が有名なヤクルトでも古巣時代と変わらぬ「雨柳さん」が見れそうだ。

◆右後十字靱帯(じんたい)損傷の影響で2軍調整が続いていたヤクルト・長岡秀樹内野手(23)、小沢怜史投手(27)が1軍に合流した。長岡はイースタン・リーグで12試合に出場。これまで1軍復帰に向けて「1日でも早く行くことです。それだけです」と口にしてきており、約3カ月ぶりの1軍復帰となった。前日7月31日のDeNA戦(横浜)で自己最短の2回6安打5失点で2敗目を喫したD1位・中村優(愛知工大)と、九回に登板して4失点した沼田が2軍合流となった。

◆阪神・門別啓人投手(21)が試合前練習に合流した。高卒3年目の今季は開幕ローテ入りを勝ち取るも、9試合に登板して2勝3敗、防御率4・30。7月14日に2軍降格後は2試合に先発して計13イニングで3失点だった。神宮にニック・ネルソン投手(29)の姿がなく、代わって中継ぎ要員としての昇格とみられる。

◆阪神の試合前練習時に、昨季まで在籍したヤクルト・青柳晃洋投手(31)があいさつに訪れた。雨男と言われてきた青柳らしい雨中の再会。阪神の練習が始まると、青柳がグラウンドへ。ライトからホームに向かいながら、コーチ、スタッフ、選手らとひとりずつ挨拶を交わした。そして藤川球児監督(45)がベンチから出ると、青柳は走って駆け寄り、両手で握手。肩をたたかれたのちにグータッチを交わし、しばし談笑した。さらに同期入団の坂本誠志郎捕手(31)とも話し込むと、昨オフの帰国を青柳が空港まで見送りに行くほど仲が良かったジェレミー・ビーズリー投手(29)とは熱く抱き合って再会を喜ぶ様子も。その後も律儀にレフトからぐるりと回ってセンター付近で練習を行う投手陣とも挨拶を交わした。

◆阪神・門別啓人投手(21)が1日、出場選手登録され、ニック・ネルソン投手(29)が抹消された。門別は7月14日に登録を抹消され、2軍で2試合に先発。17日のくふうハヤテ戦(ちゅ?る)では7回無失点と好投していた。ネルソンは7月31日の広島戦(甲子園)で救援登板して2失点。投手の森に適時打を許し、藤川球児監督(45)から「戦うことに対して前向きじゃなかったように見えた」と苦言を呈されていた。

◆右後十字靱帯(じんたい)損傷から1軍復帰したヤクルト・長岡秀樹内野手(23)が「8番・遊撃」で先発出場する。4月26日の中日戦(バンテリンドーム)以来、約3カ月ぶりに1軍の舞台に戻ってきた。

◆2位に11ゲーム差をつけて首位を独走する阪神は夏のロード最初のカードでヤクルトとの3連戦に臨む。先発は後半戦初先発となる伊藤将司投手(29)。6月29日に完封勝利を挙げた神宮のマウンドで5勝目を目指す。打線はベンチスタートから一夜明けて坂本誠志郎捕手(31)が「7番」」でスタメンに戻り、2試合連続打点の熊谷敬宥内野手(29)が「8番・左翼」で先発となった。

◆阪神・藤川球児監督(45)、ナインらがヤクルト・青柳晃洋投手(31)と再会。神宮に笑顔が弾けた。

◆試合前練習に参加した阪神・才木浩人投手(26)は2日の先発に向けてキャッチボールなどで調整した。7月26日・DeNA戦(甲子園)で坂本とバッテリーを組んで4安打完封。対ヤクルトは2試合に先発して1勝1敗も、防御率0・60と得意としている。村上や長岡がけがから復帰し、打線に厚みが増しているが「別に相手に合わせる必要もないと思うし、自分のピッチングで問題ない」と力強い。今季初の神宮での登板に「狭いんで、そこだけは注意して」と意識した。

◆阪神が一回、敵のミスを絡めて先制点を奪った。2死から森下が左前打で出塁すると、続く佐藤輝は三塁前へのボテボテのゴロに打ち取られるも、全力疾走が三塁・村上の悪送球を誘って2死二、三塁とチャンスを作る。そして大山への5球目で、先発・高梨が変化球をひっかけて暴投とし、三塁走者の森下が生還した。この後大山は三振に倒れて2点目とはならなかったが、カード初戦でラッキーな形で先制点を奪った。

◆右後十字靱帯(じんたい)損傷から1軍復帰したヤクルト・長岡秀樹内野手(23)が「8番・遊撃」で先発出場し、三回の第1打席で復帰後初安打となる左翼線への二塁打を放った。0-1の三回先頭。阪神先発左腕・伊藤が投じた直球を左翼線にはじき返した。試合前には「守備、打撃で勝利に貢献できるように頑張ります」と意気込んでいた正遊撃手が、約3カ月ぶりの1軍で快音を響かせた。

◆米大リーグ、フィリーズ傘下2Aを自由契約となり、ヤクルトに新加入した青柳晃洋投手(31)が1日、チームに初合流した。阪神戦の試合前練習に参加し「どこに行っていいか分からないのでルーキーみたいな気持ち。皆、優しいので会話してくれました」と笑顔を見せた。傾斜を使ってキャッチボールを行うなどして調整。「ボールが違うので早く慣れたい」と先を見据えた。練習後には昨季まで9年間プレーした阪神へあいさつ回り。藤川監督や同学年捕手の坂本らと言葉を交わした。(神宮外苑)

◆真夏の逆襲劇へ、役者がそろった。右後十字靱帯(じんたい)損傷の影響で離脱していたヤクルト・長岡秀樹内野手(23)が1軍復帰し、「8番・遊撃」で先発出場。約3カ月ぶりの復帰戦に向けての心境を吐露した。「緊張しています。1、2年目に初めて1軍に上がったときの気持ちと似ている不安、ドキドキがある。自分らしい全力プレーを見てもらえればうれしい」右膝を負傷した4月26日の中日戦(バンテリンドーム)以来となる1軍戦。試合前の練習では軽快な動きを披露した。正遊撃手は久々に再会したナインから「おかえり」と声をかけられ、白い歯を浮かべた。長期離脱を余儀なくされた3カ月前は、ネガティブな考えばかりが頭をよぎった。1軍の試合を見ることすら嫌な時期もしばしば。そんな時、ともにリハビリ期間を過ごした塩見の言葉に救われた。「『お前、よかったな。後十字で』」塩見は左前十字靱帯(じんたい)と左半月板を損傷。自身よりも復帰までに時間を要するにもかかわらず、明るく前向きにリハビリに励む先輩の姿に心を動かされた。「落ち込んでいるわけにはいかないな、と」。地道なトレーニングに取り組み、元気な姿で1軍の舞台に帰還した。「(リハビリ期間を)無駄にしないように。これからの結果次第で無駄か無駄になっていないかがわかる。いい3カ月だったと思えるプレーをしたい」。たくましさが増して戻ってきた背番号7の巻き返しが始まった。三回の第1打席で復帰後初安打となる左翼線への二塁打を放った。0-1の三回先頭。阪神先発左腕・伊藤が投じた直球を左翼線に。約3カ月ぶりの1軍で快音を響かせた。

◆3年目右腕のヤクルト・吉村貢司郎投手(27)が2日の阪神戦に先発する。この日に1軍練習に合流した新加入の青柳とキャッチボールを行うなど調整し、「ボールが強くて、怖かったっす」と目を丸くした。6月21日以来の5勝目を目指しており「勝ちにつながる投球を常に目指している。(スコアボードに)0を並べられるように僕の仕事を務めていきたい」と静かに闘志を燃やした。

◆阪神の先発・伊藤将司投手(29)がピンチを踏ん張った。1-0の五回、先頭の太田に安打を許すと、2死から四球と大山の失策で2死満塁のピンチを背負う。それでも続く赤羽を2球で追い込むと、最後は二ゴロに仕留めてこの回も無失点。五回も得点を許すことなく投げ切って、今季のヤクルト戦の無失点を21イニングに伸ばした。

◆阪神・坂本誠志郎捕手(31)が「7番」で出場。1-0の六回に適時打を放った。1死から大山が一塁内野安打で出塁。小幡は犠打失敗で、一塁に残り、二盗に成功。坂本が中前にはじき返し、2点目を追加した。守備では先発の伊藤将を好リード。1点のみのリードの中で五回まで3安打で無失点と好投する左腕に向けても、女房役として価値ある追加点をささげる形となった。

◆阪神・坂本誠志郎捕手(31)が「7番」で出場。1-0の六回に適時打を放った。1死から大山が一塁内野安打で出塁。小幡は犠打失敗で、一塁に残り、二盗に成功。坂本が中前にはじき返し、2点目を追加した。守備では先発の伊藤将を好リード。1点のみのリードの中で五回まで3安打で無失点と好投する左腕に向けても、女房役として価値ある追加点をささげる形となり、「打ったのはスライダー。(伊藤)将司が踏ん張ってくれているので、早く追加点を取りたいと思っていました。そのチャンスが回ってきたので、打つことに集中できましたし、(小幡)竜平がよく走ってくれたからこその追加点です」とコメントした。

◆阪神・伊藤将司投手(29)が先発し、2-0の七回に1点差に詰め寄られた。ロースコアの中でもコースを厳しく攻め、三回1死三塁、五回2死満塁のピンチも抑えるなど粘りも見せながら、六回までは無失点とヤクルト打線にホームを踏ませなかった。しかし、七回は先頭・太田にこの日3安打目となる一塁線を破る二塁打で出塁されると、古賀の遊ゴロで1死三塁とされ、長岡の二ゴロの間に太田が生還。今季のヤクルト戦はこの一戦に臨むまで2試合の先発で全16イニング無失点だったが、23イニング目で初失点を喫した。それでも続く代打・沢井は左飛に打ち取り、最少失点でしのいだ。

◆1点差の九回に登板した阪神・岩崎優投手(34)が1点を失い、2-2の同点となって延長戦に突入した。先発の伊藤将が7回1失点で試合を作り、八回は石井がピンチを凌いで2-1で迎えた九回。岩崎は先頭の太田は三振に仕留めたものの、古賀の安打と長岡への四球で1死一、二塁とピンチを背負う。ここで代打・宮本に左前適時打を浴び、試合を振り出しに戻された。岩崎の失点は7月13日のヤクルト戦(甲子園)以来、登板4試合ぶり。後続は抑え、サヨナラは許さなかった。

◆阪神が8カード&23試合(京セラ主催を含む)の夏のロードを白星発進。優勝マジックが再点灯し「36」とした。延長十回2死二塁、佐藤輝明内野手(26)の右越え二塁打が決勝打となった。九回に登板した岩崎優投手(34)が同点に追いつかれた直後に、4番のひと振りで勝ち越し。その裏は及川雅貴投手(24)が締めた。一回2死無走者で森下翔太外野手(24)の左前打から敵失や暴投で先制。六回1死一塁、犠打失敗で二塁封殺となった小幡竜平内野手(24)が二盗。坂本誠志郎捕手(31)の中前適時打で2点目を追加した。伊藤将司投手(29)は7回1失点。八回2死一、三塁のピンチをしのいだ石井大智投手(28)は34戦連続無失点とし、藤川球児監督(45)が2006年に樹立した日本記録の38試合まで、あと4とした(成績=58勝36敗2分、観衆=2万8891人)。

◆阪神が8カード&23試合(京セラ主催を含む)の夏のロードを白星発進。優勝マジックが再点灯し、「36」とした。延長十回2死二塁、佐藤輝明内野手(26)の右越え二塁打が決勝打となった。九回に登板した岩崎優投手(34)が同点に追いつかれた直後に、4番のひと振りで勝ち越し。その裏は及川雅貴投手(24)が締めた。一回2死無走者で森下翔太外野手(24)の左前打から敵失や暴投で先制。六回1死一塁、犠打失敗で二塁封殺となった小幡竜平内野手(24)が二盗。坂本誠志郎捕手(31)の中前適時打で2点目を追加した。伊藤将司投手(29)は7回1失点。八回2死一、三塁のピンチをしのいだ石井大智投手(28)は34戦連続無失点とし、藤川球児監督(45)が2006年に樹立した日本記録の38試合まで、あと4とした(成績=58勝36敗2分、観衆=2万8891人)。

◆2点を先制されたヤクルトは、七回にこの日1軍に復帰した長岡の内野ゴロの間に1点を返すと、九回には代打・宮本の適時打で追いつき、延長戦に突入。しかし十回に6番手・大西が佐藤輝に適時二塁打を浴び、万事休す。2連敗となった。

◆阪神が8カード&23試合(京セラ主催を含む)の夏のロードを白星発進。優勝マジックが再点灯し、「36」とした。延長十回2死二塁、佐藤輝明内野手(26)の右越え二塁打が決勝打となった。九回に登板した岩崎優投手(34)が同点に追いつかれた直後に、4番のひと振りで勝ち越した。その裏は及川雅貴投手(24)が締めた。一回2死無走者で森下翔太外野手(24)の左前打から敵失や暴投で先制。六回1死一塁、犠打失敗で二塁封殺となった小幡竜平内野手(24)が二盗。坂本誠志郎捕手(31)の中前適時打で2点目を追加した。伊藤将司投手(29)は7回1失点。八回2死一、三塁のピンチをしのいだ石井大智投手(28)は34戦連続無失点とし、藤川球児監督(45)が2006年に樹立した日本記録の38試合まで、あと4。

◆オリックス、阪神で通算176勝を挙げ、引退後も両チームでコーチを務めたサンケイスポーツ専属評論家の星野伸之氏(59)はヤクルト・村上宗隆内野手(25)を抑えた阪神バッテリーを絶賛した。九回に追いつかれながら、最終的には4番のひと振りで勝ってしまう。改めて阪神の強さを感じた試合だった。注目したのはヤクルトの復活した村上をどう抑えるか? 結論から言えば、見事な配球だった。先発・伊藤将が対戦した1打席目はツーシームの3連投。まず内角を意識させて、最後は内角の直球で中飛に仕留める。2打席目も、内角高めにツーシーム、外角低めに直球、スライダーを交互に投げて、最後は外へのスライダーで空振り三振。完ぺきだった。2番手・石井が八回に鋭い右前打を浴びたが、あの場面は「本塁打だけは厳禁」で徹底して低めに投げていた。被害を最小限に抑える投球はできていた。最後の及川が奪った三振はスライダーが相当キレていたのだろう。ヤクルトは村上、長岡が戻って、見違える打線になってきている。岩崎が失点した九回も、長岡の粘っての四球が大きかった。今後はヤクルトは簡単に勝たせてもらえる相手ではなくなっている。が、この日の「対村上」の配球を実践できれば、十分に対応できると思う。

◆阪神が8カード&23試合(京セラ主催を含む)の夏のロードを白星発進。優勝マジックが再点灯し、「36」とした。延長十回2死二塁、佐藤輝明内野手(26)の右越え二塁打が決勝打となった。九回に登板した岩崎優投手(34)が同点に追いつかれた直後に、4番のひと振りで勝ち越し。その裏は及川雅貴投手(24)が締めた。一回2死無走者で森下翔太外野手(24)の左前打から敵失や暴投で先制。六回1死一塁、犠打失敗で二塁封殺となった小幡竜平内野手(24)が二盗。坂本誠志郎捕手(31)の中前適時打で2点目を追加した。伊藤将司投手(29)は7回1失点。八回2死一、三塁のピンチをしのいだ石井大智投手(28)は34戦連続無失点とし、藤川球児監督(45)が2006年に樹立した日本記録の38試合まで、あと4とした。

◆上半身のコンディション不良から1軍復帰後初めて本拠地での戦いに臨んだヤクルト・村上宗隆内野手(25)は、5打数1安打だった。1-2の八回2死一塁から2番手・石井の直球を捉えて右前に運んだ。復帰後は4試合で打率・267、2本塁打、2打点。「まだ捉えきれていない部分がある。そこを修正しながらやれれば」と表情を引き締めた。チームは九回に追いつく粘りを見せるも2連敗。「勝ちをつけたかった。明日は勝てるように」と力を込めた。

◆ヤクルト・山田哲人内野手(33)が2試合連続で欠場した。試合後、高津臣吾監督(56)は「(試合には)出られなかったですね」と説明。コンディションが整わなかったかとの問いに「ちょっと何とも言えないです」と語った。山田は7月30日のDeNA戦(横浜)で球団新記録となる通算305本目の本塁打をマーク。チームの8連勝に貢献したが、翌31日の同戦を欠場し、この日も出場機会がなかった。コンディション不良とみられる。

◆ヤクルト・宮本丈内野手(30)が1-2の九回1死一、二塁から代打で登場し、一時同点とする左前適時打を放った。カウント1-1から左腕の岩崎が投じた外角球を流し打った。勝負強さを発揮し「あまり受け身にならないようにだけ意識した。練習通りいけたかな」とうなずいた。前を打つ長岡が11球目で四球を選んでいた。「今シーズンはたぶん、(岩崎さんを相手に打席に)立ったことはなかったんですけど、秀樹(長岡)が粘ってくれて、ネクストでいっぱり球を見られた。それでいいイメージがついたかなと思います」と感謝した。

◆ヤクルトは延長十回の末に競り負けて2連敗を喫した。伊藤将を今季3試合目の対戦でも打ち崩せず、高津監督は「なんとか三度目の正直と思ったけど、二度あることは三度あるだった」。1-2の九回1死一、二塁から代打・宮本の左前打で同点とする粘りを見せたが、延長十回に佐藤輝に勝ち越し二塁打を浴び「最後の1点が一番残念だったかな」と悔やんだ。

◆1点差の八回に2番手で登板した石井が、1回を無得点で抑えた。1死から赤羽にストレートの四球を与えたが「あれはマウンドが合わなくて」と意に介さず。村上に安打でつながれ、2死一、三塁のピンチを招くも、オスナを中飛に仕留めた。「感覚的には久しぶりにいい感覚を出せそうな感じがする。きょうをきっかけにいい投球ができるように」。34試合連続無失点とした右腕が、夏の長期ロードでもフル回転する。

◆中野の存在感が際立った。同点とされた直後の延長十回無死一塁ではV打につながる投前犠打を決め「久しぶりにちょっと緊迫した場面だった。なんとか(走者を)進められたので良かった」。第2、3打席では快音を響かせ、2戦連続のマルチ安打で打率・2897は、首位打者の小園(広島)の・2900に肉薄。「本当に勢いに乗れるような勝ち方ではあった。あした(2日)の試合も大事に戦いたい」と気を引き締めた。

◆及川のウイニングショットがミットに収まると、拳を握り締めた。阪神・坂本誠志郎捕手(31)が投打に存在感を示し、激闘を制した。「(先発の伊藤)将司が踏ん張ってくれているので、早く追加点を取りたいと思っていた。そのチャンスが回ってきて打つことに集中できましたし、(二走の)小幡がよく走ってくれました」1―0の六回だ。2死二塁から小沢のスライダーを捉え、中前にしぶとく運ぶ。二回以降取れていなかった大きな追加点を挙げた。二回の右前打を合わせて今季55安打とし、早くも2023年のキャリアハイに並んだ。前日7月31日の広島戦(甲子園)では、後半戦5試合目で初めてスタメンマスクを栄枝に譲ったが、先発の伊原が一回に3失点。五回の守備からはバッテリーごと交代した。だが、梅野とネルソンのコンビも2点を失い、連勝は4で止まった。休養をへて2試合ぶりに戻った定位置で、存在感を示した。野村バッテリーコーチは「成長というか、いろんなことが見えてできているから熟してきたかな。彼の場合はちゃんと勉強して、すべてにおいて根拠を持ってできているのが強み」と目を細める。この日も、坂本の観察眼が光った。球場が狭く、配球面で神経質になる中、注目したのは三回の森下の左飛。打った瞬間は本塁打と思われた打球だったが、台風の影響を受けた強い向かい風によりフェンス手前で失速した。「(森下)翔太の打球が行かなかったときにある程度、レフト方向へフライが飛ぶことはいいんじゃないかと。そういうイメージではいました」と冷静に分析。慎重かつ大胆に、先発の伊藤将らをリードした。「(九回追い付かれて)ズルズルいっていたら嫌な中、輝が最後打ってくれて、及川も最後しっかり締めてくれて大きい1勝だと思います」どこまでも謙虚ながら、正捕手の座は譲るつもりはない。背番号12の存在が心強い。(渡辺洋次)

◆神宮の杜に「あと1球コール」が鳴り響く。大声援を一身に受けながら、及川が村上から空振り三振を奪ってゲームセット。高卒6年目、通算126試合目でプロ初セーブをつかんだ瞬間、渾身(こんしん)のガッツポーズで感情を爆発させた。「もちろん緊張はしましたけど、せっかくつないで取ってくれた点だったので、何とか抑えようと。良かったです。(あと1球コールは)背中を押されましたね」九回に岩崎で追いつかれ、1点を勝ち越した直後の延長十回。ストッパーを託されたのは今季、チーム最多の登板数を誇る及川だった。「ツーアウトランナーなしで(村上まで)回せば、ホームランを打たれても同点だったので。絶対にランナーをためずに」。赤羽、内山を内野ゴロに仕留めて、プラン通りに2死を奪った。最後は因縁の強打者にリベンジを果たした。けがから復帰後、3試合で2本塁打と好調の村上に対して、全球スライダーで勝負。一寸の狂いもなく外角低めに投げ込み、バットに空を切らせた。先発した昨年8月7日(神宮)、一回に村上に決勝2ランを浴びた及川。これまで通算対戦打率・333(6打数2安打)、1本塁打、3打点、5四死球と苦戦していた相手から三振を奪い「(感情が)込み上げましたね」と感慨深げに振り返った。今季は44試合に登板して防御率0・84、リーグ2位の30ホールドポイントを記録。オールスターにも初出場し、2025年藤川虎を象徴するブレークを果たしている。「またあしたから頑張ります」勝負の後半戦はまだ始まったばかり。夏の長期ロードでも左腕が輝きを放つ。(萩原翔)

◆自身にとっては、悔しい今季初白星だ。守護神・岩崎は1点リードの九回に登板。安打と粘り負けの四球で1死一、二塁を招くと、代打・宮本に左前へ同点打を浴びた。それでも藤川監督は「展開的には九回で決まりづらい、自分たちと相手チームと、両チームの得点の入り方だった。石井が投げだしたころ(八回)から、簡単ではない、とは感じていました」と責めなかった。

◆8月も輝いてる!! 阪神はヤクルトに3―2で競り勝ち、優勝へのマジックナンバー「36」が再点灯。消滅からわずか一日でよみがえせたのは、延長十回に右越えへの決勝二塁打を放った佐藤輝明内野手(26)だ。夏の長期ロード初戦で白星発進を決めた藤川虎が、2年ぶりのリーグ優勝に向けて突っ走っていく。延長にまでもつれた勝負を決めたのは、やはり4番のバットだった。つないでくれたチャンスを、ひと振りで仕留める。決勝打を放った佐藤輝は二塁ベース上で雄たけびを上げ、何度も大きく手をたたいて感情をあらわにした。「抜けてくれ、と思っていました。チカさん(近本)がヒットで出た瞬間、チャンスで回ってくると思っていた。心の準備もできていましたし、最高の結果になってくれてよかったです」一度は手からすり抜けた白星を、再びつかみ取った。2―1の九回にクローザーの岩崎が同点を許した。それでも延長十回、先頭の近本が安打で出塁したところで、佐藤輝は覚悟を決めた。予想通り、中野がしっかり送って1死二塁とチャンスを作る。森下は凡退して2死となったが、相手は敬遠ではなく勝負を選択した。「向こうも勝負しにきているということ。負けるつもりはなかったので(打てて)よかった」2球ファウルで追い込まれながらも、4球目のフォークボールをすくい上げた。痛烈な打球は、背走する右翼手・丸山和のグラブをはじく。大きな1点がスコアボードに刻まれ、神宮球場は割れんばかりの大歓声に包まれた。佐藤輝は勝負を決めた打席まで、3打数無安打2三振。ヤクルトバッテリーに完全に抑え込まれていた。それでも5打席目に決勝打。2位森下に6差をつける67打点目をたたき出した。今季の勝利打点は森下に次ぐ2位で13度目。めぐってきた好機を仕留められるのは、さすがセ・リーグ三冠王を狙える虎の主砲だ。

◆小幡が名誉挽回の激走で貴重な得点に絡んだ。1―0の六回1死一塁で試みた送りバントは、投前のゴロを二塁へ送られて失敗。しかし、併殺崩れで一塁に残ると、果敢にスタートを切って今季5盗塁目の二盗に成功。坂本の中前打でタッチをかいくぐるようにホームへ滑り込み、生還した。7月31日の広島戦(甲子園)では熊谷が遊撃でスタメン出場し、同日には木浪も1軍復帰。激化するバトルの中で必死だ。

◆伊藤将は白星こそ逃すも、7回4安打1失点と好投した。「自分の仕事はちゃんとできて良かった」。コースを攻めながらピンチでも粘りを発揮し、許したのは七回の内野ゴロの間の1点のみ。今季のヤクルト戦で3試合23イニング目での初失点となったが、しっかりと立ちはだかり「次にしっかりと投げられるように準備したい」。自信を深める90球だった。

◆右後十字靱帯(じんたい)損傷から復帰したヤクルト・長岡秀樹内野手(23)が4月26日の中日戦以来、約3カ月ぶりの1軍戦に「8番・遊撃」で先発出場。延長の末に2-3で敗れたものの、攻守で躍動した。「すごく歓声をもらってうれしかった。打つために準備してきて、それがいい方向に出てほっとした」0-1の三回先頭で迎えた第1打席で、外寄りの直球に逆らわず左翼線へ二塁打。七回1死三塁では二ゴロの間に復帰後初打点をマークした。1-2の九回1死一塁では2ストライクからファウルで5球粘って四球を選ぶと、続く代打・宮本の左前打で二走が同点のホームイン。三塁を狙った長岡は惜しくもタッチアウトになった。「ドキドキがある。自分らしい全力プレーを見てもらえればうれしい」と話していた通り、遊撃守備でも魅せた。四回にセンターに抜けようかという当たりに追いつき、体を一回転させて一塁送球。「僕はスーパーな選手じゃない。自分の居場所をつかむために一生懸命やっている。もっと練習して結果を出したい」。残り54試合。逆襲を期すチームに背番号7が鮮やかに帰還した。(樋口航)

◆スンマヘ~ン! まずは確認いいっすか? 前日7月31日の阪神は広島に負けたけど、その約30分後に2位巨人がよもやのサヨナラ負けを喫したので「へへへ...マジック減らさせてもらいましたわ~」と思わずニンマリ。ところが、マジック対象チームが中日だったとかで??? キツネにつままれたような虎のマジック消滅...本日は阪神勝利! 中日敗戦でマジック再点灯『36』を指差し確認OK!!先発・伊藤将の白星が消えたのは気の毒だけど、九回に追いつかれてハラハラさせておいて十回に4番・サトテルちゃんの決勝二塁打!! 強いだけじゃなくて、このドラマチック野球、サイコーでーす!!ヤクルトは村上、長岡が復帰したけど巨人の岡本もそろそろと思った矢先の吉川尚の故障。そして、DeNAは4番・牧が登録抹消。ということで猛虎Vの唯一の心配は『けが』だけなのだ!!試合中のけがも怖いけど、最近は車の逆走などあり移動中も気が休まらない。よって長嶋さんがCMをしていたセコムさんにお願いして全員現金輸送車で安全に移動もありじゃない!?

◆阪神の選手時代、新庄剛志は常にギリギリ到着だった。伊丹空港を、新大阪駅を、疾走する姿を何度も見た。「正義の味方って、いつも最後に登場するじゃないですか」自分を正義の味方になぞらえて、時間ギリギリを正当化していた。なぜか、その姿が絵になるから、記事に「正義の味方」と書いてしまった。相手の思うつぼだ。ただ、意外に迷惑はかけないのが新庄だった。「正義の味方が遅刻したり、迷惑かけたりしたら話にならないでしょ」よく自慢していた。新庄監督率いる日本ハムの飛行機が遅延により京セラドーム到着が大幅に遅くなり、試合開始も15分遅れたらしい。けれど、わずかの遅れで済ませるところは、ビッグボスが〝持っている男〟だからか。有言実行の〝正義の味方〟はいつも話題の中心だ。1年前の8月1日を覚えていますか?そう、甲子園球場100周年セレモニーが、阪神―巨人の試合前に盛大に行われた。100歳の誕生日に、レジェンドが駆け付け、それぞれがお祝いのメッセージを寄せた。司会を務めたのは「世界の渡辺謙」。日本が誇るハリウッドスターは「パリ五輪より甲子園!」と叫んで盛り上げてくださった。ちょうど、パリ五輪の真っ最中。日本勢の金メダルラッシュを、われらがタイガースの本拠地のお祭りが上回っているんだ!と断言していた。ことし2月にこの世を去った吉田義男氏は「甲子園は私の人生」としみじみ語っていた。100周年のセレモニーの場に立てたことが誇らしげだった。甲子園で活躍したスーパースターもズラリ。ランディ・バース氏、堀内恒夫氏、荒木大輔氏、上原浩治氏...。プロ野球の、高校野球のヒーローたちだ。

◆米大リーグ、フィリーズ傘下2Aを自由契約となり、ヤクルトに新加入した青柳晃洋投手(31)が移籍後初ブルペンに入った。2週間前に米国で入って以来となる傾斜での投球練習。今季44試合に出場している古賀を相手に約30球を投げ「まだまだ万全ではないですけど、(ボールも)すごく違和感があるかといえばそうでもない。これから体が慣れてきたらいけるのかな」と振り返った。新天地での再起に期待がかかる背番号99は「自分の万全というよりは、チームに必要としてもらうタイミングで上げてもらうのがベスト。そのタイミングで自分がベストの状態に持っていけるようにしていきたい」と話した。

◆ヤクルト・村上宗隆内野手(25)が今季の本拠地初打点をマークした。0-0の四回無死一、二塁。阪神先発右腕のビーズリーが投じた直球を右翼線にはじき返した。試合の均衡を破る貴重な先制打で今季の本拠地初打点を記録。「期待に応えられるように頑張りたい」と語っていた主砲が右翼席を詰める燕党の声援に一振りで応えた。

<セ・リーグ順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差残試合 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(-)
阪神
58362 0.617
(↑0.004)
M36
(-)
47327
(+3)
209
(+2)
56
(-)
76
(+1)
0.245
(↑0.001
1.940
(↑0.01)
2
(-)
巨人
45473 0.489
(↓0.006)
12
(↓1)
48270
(+2)
283
(+7)
57
(-)
39
(-)
0.242
(-)
2.690
(↓0.04)
3
(-)
DeNA
43465 0.483
(↑0.006)
12.5
(-)
49289
(+7)
270
(+2)
49
(-)
42
(+1)
0.231
(↑0.001)
2.670
(↑0.03)
4
(-)
中日
42502 0.457
(↓0.005)
15
(↓1)
49247
(+1)
285
(+3)
47
(-)
59
(-)
0.226
(-)
2.870
(-)
5
(-)
広島
40495 0.449
(↑0.006)
15.5
(-)
49280
(+3)
296
(+1)
43
(-)
47
(-)
0.240
(-)
2.870
(↑0.02)
6
(-)
ヤクルト
32525 0.381
(↓0.005)
21
(↓1)
54246
(+2)
353
(+3)
44
(-)
42
(-)
0.229
(-)
3.540
(↑0.02)