1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 計 | 安 | 失 | 本 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
阪神 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 4 | 4 | 8 | 0 | 2 |
巨人 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 4 | 0 | 0 |
勝利投手:ネルソン(1勝1敗0S) 敗戦投手:船迫 大雅(1勝3敗0S) 本塁打 |

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◆阪神は両軍無得点で迎えた延長11回表、佐藤輝が2ランを放ち先制する。さらに坂本にも2ランが飛び出し、試合を決定づけた。投げては、先発・村上が6回無失点の好投。その後は救援陣が無失点リレーを展開し、5番手・ネルソンが来日初勝利を挙げた。敗れた巨人は、一打サヨナラの好機を2度つくるも、あと1本が出なかった。
◆阪神近本光司外野手(30)や佐藤輝明内野手(26)ら9選手が球場入り後、間もなく小走りで左翼へ走り出した。巨人の試合前練習がまだ続いていた中、向かった先は阿部監督(46)のもとだった。駆け寄ったのは近本や佐藤輝をはじめ、森下、大山、石井、及川、坂本、村上、中野の球宴選出組。オールセントラルの指揮を執る阿部監督へのあいさつだった。ナインは礼儀正しく一礼すると、一礼で返答。和やかなムードが漂う一幕だった。
◆巨人のスタメンが発表され、増田陸内野手(25)が「4番一塁」でスタメンに名を連ね、7月8日の中日戦(山形)以来となる4番での出場となった。坂本勇人内野手(36)はスタメンを外れ、三塁には荒巻悠内野手(22)が入った。先発は山崎伊織投手(26)が務める。今季はここまで15試合に登板して8勝2敗、防御率1・15。この日の試合に敗れれば自力優勝の可能性が消滅する中で、重要な一戦の先発マウンドを託された。
◆2連敗中の阪神は、高寺望夢内野手(22)が「8番左翼」。6月21日ソフトバンク戦以来、約1カ月ぶりの先発出場となった。今月はすべて代打で5試合に出場。5打数2安打と結果を残していた。
◆7月9日の中日戦(福島)以来、10日ぶりに開催された「すしレース」は試合同様、白熱したレース展開となった。エビとタマゴが抜群のスタートを決めた。次いで半貫差でアナゴ。コハダとマグロは後れを取った。中盤に差しかかったところで3番手のアナゴが、前を走るエビとタマゴの背中を捉えた。中盤で一気に抜き去ると、そのまま1着でゴール。1貫差で2着タマゴ、3着コハダ、4着エビ、5着マグロの順で入線した。通算成績はアナゴが16勝、エビ10勝(白エビ1勝を含む)、マグロ8勝、タマゴ5勝、コハダ4勝となっている。すしレース 3回終了時にイニング間イベントとして、米国の「ホットドッグレース」のような「すしレース」を開催している。ファン参加型のアクティベーションで出場者は「江戸前スーシーズ」に扮(ふん)して競走する。メンバーはマグロ、コハダ、タマゴ、エビ、アナゴの計5体。参加対象は公式ファンクラブ「CLUB GIANTS KIDS MEMBER」で当日の開場から1回裏終了まで応募受け付けし、東京ドーム内ファンクラブブースで抽選によって決定する。
◆阪神ジョン・デュプランティエ投手(31)が東京ドームをお気に入り球場に加えた。20日の敵地初登板へ現地で調整。「練習中の音楽のセンス。いい音楽がかかっていた」と、才木に勧められて聴いているMrs.GREEN APPLEなども流れてご機嫌だった。「球場が小さく、湿気、湿度も違い、ボールがよく飛ぶ印象がある。それによって何かを変えるのではなく、やってきたことを継続していくだけだよ」。現在4連勝中で、目指すは巨人戦初勝利での今季7勝目だ。
◆阪神村上頌樹投手(27)が、巨人山崎伊織投手(26)とのがっぷり四つの投手戦を演じた。2人は98年生まれの同学年で、ともに関西出身。村上は「いいピッチャーなので、先制点を取られないように粘り強く投げたい。勝てるように」と意気込んでマウンドへ。山崎が6回までに3度先頭打者を出塁させながら無失点を続けると、村上も3度得点圏に走者を置きながら、ゼロを並べ続けた。
◆巨人が、4回から3イニング連続でノーアウトから走者を出しながら、好機で1本が出ず、無得点に終わった。4回は先頭の丸が中前打で出塁し、佐々木が犠打で1死二塁。吉川が二ゴロ、増田陸が左飛に倒れた。5回は、先頭の泉口が中前打を放ち、中山が中飛の後、荒巻は見逃し三振に倒れたが、泉口は二盗を決めた。甲斐は申告敬遠で2死一、二塁から山崎が投ゴロに倒れた。6回は、先頭の丸が四球で出塁し、佐々木が犠打で1死二塁。吉川が一ゴロ、増田陸が大きな当たりの中飛に倒れた。巨人先発の山崎は、6回までに2度の無死二塁のピンチを背負ったが、後続を断ち、阪神打線を無得点に抑えた。
◆阪神が7回まで無得点で、7月15日中日戦の8回から今季最長の20イニング連続無得点となった。15日の中日戦では8回から11回まで無得点。16日の同戦では9回完封負けで、試合開始前まで13イニング連続で点が入っていなかった。この日はここまで、得点圏に走者を置く場面は複数回あった。3回は高寺望夢内野手(22)が、チーム初安打となる右前打で出塁。犠打、四球で2死一、二塁としたが、適時打出なかった。4回、6回は無死二塁のチャンスをつくったが、走塁死もあり、得点することはできなかった。7回は1死満塁としたが、高寺が空振り三振、代打糸原健斗内野手(32)が見逃し三振。この回も点を奪うことはできなかった。
◆阪神の高寺望夢内野手(22)の打球が内野ゴロと思いきや、ファウルとなった。7回1死満塁。高寺が2ストライクから一塁へのゴロを放った。本塁へ送球され、審判はアウトのジェスチャーをしたが、阪神ベンチが抗議した。高寺が低めのフォークを当てた後、地面で跳ね返った打球が、再度バットに当たっており、審議の結果、ファウルとなった。審判は「バットに2回当たったため、ファウルといたします」と説明した。
◆阪神村上頌樹投手(27)が、0-0の7回表に代打を送られ、6回2安打無失点で降板した。同学年の巨人山崎伊織投手(26)との投手戦。0-0の7回表2死満塁で第3打席が回ると、代打糸原がコールされた。ベンチで固唾を飲んで見守ったが、糸原はカウント3-0から見逃しの三振。この日は3度、得点圏に走者を置きながら粘りの投球を見せたが、勝利投手の権利を手にすることなく、マウンドを去る格好になった。村上はリーグ2位の8勝を挙げているが、前回11日ヤクルト戦では2回6失点でKO。4日以来の9勝目は逃した。
◆阪神大山悠輔内野手(30)が、プロ9年目での通算1000安打に王手をかけた。0-0の7回無死一塁。インコースへの149キロ速球をうまくさばき、右前打とした。佐藤輝明内野手(26)との連打で、無死一、二塁のチャンスをつくった。この日は通算1065試合目の出場。同4215打席目で、あと1本とした。今季はチームメートで同学年の近本光司外野手(30)が、6月7日オリックス戦で通算1000安打を達成している。達成すれば324人目になる。
◆巨人ライデル・マルティネス投手(28)が、リベンジの無失点に抑えた。0-0の9回から登板。先頭の佐藤輝に右前打を浴びたが、大山を遊ゴロ併殺打。小幡を空振り三振に仕留めた。3日の阪神戦では同点の9回に登板。無死一、二塁から大山の投手強襲安打が膝に直撃。無死満塁から豊田にサヨナラの犠飛を浴び、今季初失点&初黒星を喫したが、リベンジした。
◆阪神石井大智投手(27)が粘りの好投で、30試合連続の無失点投球を果たした。0-0の展開が続く中、8回に登板。先頭の代打長野に四球を許したが、直後の1番丸を左飛。2番佐々木を空振り三振に仕留めて切り抜けた。「ゼロというのが全てだと思います」。これで4月5日巨人戦(東京ドーム)から無失点を継続。防御率0・27と抜群の安定感を見せている。「明日もしっかり仕事できるように頑張ります」と意気込んだ。
◆阪神佐藤輝明内野手(26)がキャリアハイとなる今季25号目の本塁打を放った。両軍0-0のまま迎えた延長11回1死一塁。船迫の130キロ内角変化球を、完璧に捉えた。右中間深部にたたき込む先制2ランとなった。13日ヤクルト戦(甲子園)でアビラから自身最多に並ぶ今季24号2ラン。21年の新人年、リーグ優勝を果たした23年に並ぶ自身最多タイの本塁打数に並んだ。2位巨人との球宴前ラストの3連戦初戦。自身の壁を打ち破る1発となった。
◆阪神が「伝統の一戦」カード初戦を制し、3連敗を阻止した。2位巨人とのゲーム差は今季最大10に広がり、20日の第2戦に勝利すれば球団初となる球宴前の巨人戦勝ち越しが決定する。0-0のまま迎えた延長11回、1死から森下が四球で出塁し、打席に立ったのは佐藤輝明内野手(26)。巨人船迫のカットボールを捉えると、右中間スタンド上段へ先制の25号2ラン。プロ5年目でキャリア最多となる記念のアーチは、打った瞬間誰もが分かる1発となった。さらに、2死一塁で坂本誠志郎捕手(31)が左中間スタンドへダメ押しの2号2ランを放った。試合は阪神先発の村上頌樹投手(27)、巨人先発の山崎伊織投手(26)の同学年の2人よる投手戦となった。村上は3回まで無安打無失点。リーグトップに並ぶ9勝目こそお預けとなったが、6回2安打無失点、69球の好投を見せた。一方の打線は、巨人山崎を前になかなか最後の1本が出ず。7回は先頭の佐藤輝が四球を選ぶと、大山が右前打で続き、犠打と申告敬遠で1死満塁の絶好機。しかし高寺が空振り三振に倒れると、代打糸原もフルカウントから見逃し三振。それでも最後に4番が勝負を決めた。
◆巨人が首位阪神に延長戦の末に敗れ、自力優勝の可能性が消滅した。5番手の船迫大雅投手(28)が、延長11回に阪神佐藤輝に痛恨の決勝2ランを被弾した。先発の山崎伊織投手(26)は粘りの投球を見せた。7回102球で4安打無失点。登板最終回の7回には1死満塁のピンチを招くも、高寺を空振り三振、さらに代打糸原をフルカウントから144キロ内角フォークで見逃し三振に仕留めた。マウンド上では渾身(こんしん)のガッツポーズを見せ「慎重になりすぎてしまったところもありましたが、最後(7回)のところは甲斐さんともしっかり意思疎通ができて、先制点を与えずに粘ることができました」とコメントした。打線は阪神の投手陣を打ち崩すことができなかった。9回には2死二塁のチャンスをつくるも中山礼都内野手(23)が中飛。サヨナラ機を逃した。87試合目で巨人の自力Vが消滅した。巨人が球宴前に自力V消滅は6月26日、76試合目の22年以来12度目。過去11度のうち7月6日、70試合目に消えた96年と7月8日、78試合目の08年は前半戦で自力Vが消滅しながら逆転優勝しているが、今季はどうなるか。
◆巨人は、再三の好機であと1本が出ず、延長11回の末に阪神に敗れ、自力優勝の可能性が消滅した。阪神の先発村上の前に4回から3イニング連続でノーアウトから走者を出しながら、好機で1本が出ず、無得点に終わった。4回は先頭の丸が中前打で出塁し、佐々木が犠打で1死二塁。吉川が二ゴロ、増田陸が左飛に倒れた。5回は、先頭の泉口が中前打を放ち、中山が中飛の後、荒巻は見逃し三振に倒れたが、泉口が二盗を決めた。甲斐は申告敬遠で2死一、二塁から山崎が投ゴロに倒れた。6回は、先頭の丸が四球で出塁し、佐々木が犠打で1死二塁。吉川が一ゴロ、増田陸が大きな当たりの中飛に倒れた。0-0の9回、延長10回ともに無死から走者を出し、得点圏に走者を進めたが、9回は泉口、中山が凡退。延長10回は代打坂本が空振り三振、佐々木が二ゴロに凡退した。延長11回に船迫が佐藤輝に決勝2ランを浴び、坂本にも2ランを許した。首位阪神とのゲーム差は10ゲームに開き、今季の対戦成績は4勝12敗と苦しむ。87試合目で巨人の自力Vが消滅した。巨人が球宴前に自力V消滅は6月26日、76試合目の22年以来12度目。過去11度のうち7月6日、70試合目に消えた96年と7月8日、78試合目の08年は前半戦で自力Vが消滅しながら逆転優勝しているが、今季はどうなるか。
◆巨人船迫大雅投手(28)が、阪神佐藤輝明内野手(26)の決勝2ランを含む2ラン2発を浴び、首位阪神に痛恨の黒星を喫した。0-0の延長11回から登板。1死から3番森下に四球を許した後、4番佐藤輝に右中間席上段に2ランを浴びた。さらに2死一塁から、坂本に左翼席へ2ランを浴び、試合を決める4点目を失った。坂本がダイヤモンドを回る中、船迫は両膝に手をつき、悔しさをにじませた。阿部監督に降板を告げられ、ベンチに戻った後、タオルを肩にかけ、ガックリと肩を落とした。首位阪神とのゲーム差は10ゲーム差に開き、自力優勝の可能性が消滅。今季、阪神との対戦成績は4勝12敗と苦しむ。
◆巨人が首位阪神に延長戦の末に敗れ、自力優勝の可能性が消滅した。阿部慎之助監督(46)は「まあそういうのはあるんだけど、やる以上絶対諦めちゃいけないと思うんでね。気持ちだけはしっかり持たせるように、僕ら言っていこうかなと思います」と言葉を絞り出した。5番手の船迫大雅投手(28)が、延長11回に阪神佐藤輝に痛恨の決勝2ランを被弾した。指揮官は「継投も最後やられちゃったけど、精いっぱいやってくれたんで。信頼して送り出したので、本人のせいじゃなくて、僕が使ったんでね、申し訳ないと思います」と話した。先発の山崎伊織投手(26)は粘りの投球を見せた。7回102球で4安打無失点。登板最終回の7回には1死満塁のピンチを招くも、高寺を空振り三振、さらに代打糸原をフルカウントから144キロ内角フォークで見逃し三振に仕留めた。マウンド上では渾身(こんしん)のガッツポーズを見せ「慎重になりすぎてしまったところもありましたが、最後(7回)のところは甲斐さんともしっかり意思疎通ができて、先制点を与えずに粘ることができました」とコメントした。打線は阪神の投手陣を打ち崩すことができなかった。9回には2死二塁のチャンスをつくるも中山礼都内野手(23)が中飛。サヨナラ機を逃した。阪神とのゲーム差は10ゲームに広がった。87試合目で巨人の自力Vが消滅した。巨人が球宴前に自力V消滅は6月26日、76試合目の22年以来12度目。過去11度のうち7月6日、70試合目に消えた96年と7月8日、78試合目の08年は前半戦で自力Vが消滅しながら逆転優勝しているが、今季はどうなるか。
◆阪神坂本誠志郎捕手(31)がダメ押しの2号2ランを放った。延長11回、佐藤輝の25号2ランで先制してなおも2死一塁、巨人船迫の真ん中に入ったスライダーを左翼スタンドへ運んだ。勝利を決定づける1発にマウンドの右腕も思わずがっくりとうなだれた。「最後、打たれて1人出ても落ち着いていられたので、追加点を取れてよかったです」。坂本にとっては19年以来、6年ぶりとなる1シーズン複数本塁打となった。
◆場内がため息に包まれた。巨人は延長戦の末に力尽き、自力優勝の可能性が消滅。延長11回に5番手の船迫が1死一塁から佐藤輝に決勝2ランを浴びるなど大量4失点で勝負が決まった。阿部監督は試合後、開口一番「悔しいね」。続けて「チャンスはつくるんだけどね...何を言っても仕方ないね。力の差が歴然としているよね」と絞り出した。最善の策は打った。先発はチームトップの8勝をマークする山崎を立てた。相手先発の村上との息詰まる投手戦を演じ、7回4安打無失点。登板最終回の7回には2死満塁のピンチを招くも代打糸原を見逃し三振に仕留め、指揮官も「要所でも頑張ってくれた」とねぎらった。チームは残り56試合で阪神とは今季最大の10ゲーム差となった。リーグ2連覇への道のりは極めて厳しいものとなったが、阿部監督は「試合はずっと続くわけだし、やる以上は絶対諦めちゃいけない」。可能性が残されている限り、上だけを向いて戦い続ける。87試合目で巨人の自力Vが消滅した。巨人が球宴前に自力V消滅は6月26日、76試合目の22年以来12度目。過去11度のうち7月6日、70試合目に消えた96年と7月8日、78試合目の08年は前半戦で自力Vが消滅しながら逆転優勝しているが、今季はどうなるか。
◆阪神が「伝統の一戦」カード初戦を制し、3連敗を阻止した。2位巨人とのゲーム差は今季最大10に広がり、20日の第2戦に勝利すれば球団初となる球宴前の巨人戦勝ち越しが決定する。0-0のまま迎えた延長11回、1死から森下が四球で出塁し、打席に立ったのは佐藤輝明内野手(26)。巨人船迫のカットボールを捉えると、右中間スタンド上段へ先制の25号2ラン。プロ5年目でキャリア最多となる記念のアーチは、打った瞬間誰もが分かる1発となった。さらに2死一塁で坂本誠志郎捕手(31)が左中間スタンドへダメ押しの2号2ランを放った。阪神と2位巨人の差が今季最大の10ゲームに開いた。阪神が2位に2桁ゲーム差は6度目で、88試合目は03年の57試合目、08年の73試合目に次いで早く、球宴前も03、08年に次いで3度目。藤川監督は就任1年目で、阪神の新人監督が2位に2桁ゲーム差は初めてだ。昨年のパ・リーグで1年目の小久保監督(ソフトバンク)が65試合目で10ゲーム差つけたが、セ・リーグの新人監督では02年原監督(巨人)の87試合目に次ぐ2番目のスピードで2桁ゲーム差をつけた。
◆阪神村上頌樹投手(27)が、粘りの投球で試合をつくった。0-0の6回2死三塁。巨人4番の増田陸を迎えた。投じたのは148キロ直球。打球は中堅フェンス手前まで飛んだが、近本が捕球した。3イニング連続で、得点圏に走者を置きつつも本塁は踏ませなかった。安心した虎党は敵地ながら、大歓声を送った。「しっかり6回まで投げれたので、そこらへんは良かった」。ともに自己ワーストの、先発2回降板、6失点だった前回登板から改善した姿を見せた。ほとんど走者を置かない立ち上がりだった。初回は2奪三振で3者凡退。2回は1死から死球を許すも直後を併殺。3回は1死から2者連続空振り三振に斬り、3人で抑えた。4、5、6回はいずれも先頭打者の出塁を許し、ピンチを招きながらも得点は許さず。「最初の3回は良かったが、4回ぐらいは先頭を出してしんどい場面があった。そこらへんまた注意しながら後半戦やっていきたい」。6回を2安打3四死球の5奪三振で無失点。今季最多タイ3四死球を与えたが、要所を抑えた。同学年右腕との投げ合いは、両者譲らぬ展開。同じく今季8勝の相手先発山崎は7回無失点だった。「いいピッチャーだというのはわかっていましたし、なかなか点が入らない、1点勝負というところで、ゼロでいけて、最終的に勝ちにつながった」。2人が同じ試合で先発したのは昨年4月16日以来。同戦は1失点同士で、試合は引き分けだった。この日も個人の失点は同じだが阪神が勝利した。リーグトップタイ9勝目は逃したが、チームの白星に貢献した。【塚本光】
◆阪神5番手のニック・ネルソン投手(29)がピンチで踏ん張り、来日初勝利を手にした。0-0の延長10回にマウンドへ。先頭の荒巻に左前打を許し犠打で1死二塁とされたが、代打坂本を152キロ直球で空振り三振。丸を申告敬遠し、最後は佐々木を151キロ直球で二ゴロに仕留めた。登板15試合目で手にした白星に「すごくうれしい。興奮しました」と笑顔。5月28日DeNA戦(甲子園)から13試合連続無失点と頼もしさが増している。
◆阪神佐藤輝明内野手(26)が、巨人船迫大雅投手(28)から決勝2ランを放ち、2位巨人に勝利した。0-0の延長11回1死一塁から、右中間席上段に2ランをマーク。さらに2死一塁から、坂本が左翼席へ2ランを放ち、試合を決める4点目を奪った。阪神は貯金を18とし、2位巨人は借金2。前半戦の残りは2試合で、リーグ唯一の前半戦貯金ターンが決まった。2位巨人とのゲーム差は、今季最大の10ゲーム差に開き、3位DeNAとの差は10・5ゲーム差に広がった。
◆試合を決めたのは、やはり虎の4番だった。0-0のまま進んだ延長11回1死一塁。カウント1ボール1ストライクの3球目。佐藤輝は5番手船迫の136キロカットボールを完璧にとらえ、左中間スタンド上段に突き刺した。キャリアハイの25号が値千金の決勝2ラン。今季最長の連続無得点を23イニングで止め、チームの連敗も2で止めるこれぞ4番の働きだった。前半戦最後の巨人3連戦。2勝、もしくは1勝2分け以上なら、球団史上初のオールスター前に、巨人との今季勝ち越しが決まる。東京移動前の18日の甲子園全体練習。虎の主砲は「やっぱりジャイアンツを倒さないと、上にはいけないと思うので、頑張ります」と引き締めて東上した。ゲーム差を大きく離しているとはいえ、昨季の王者は侮れない。相手の自力Vも消す、有言実行の1発になった。大山悠輔内野手(30)も、プロ9年目での通算1000安打に王手をかけた。0-0の7回無死一塁。インコースへの149キロ直球をうまくさばき、打球は一、二塁間を破りライト前へ。無死一、二塁の好機を演出した。2試合、10打席ぶりのヒットで999安打に到達した。この日は5打席1安打1四球。7回以外の3打席は走者を塁に置いた好機で凡退。2本の併殺打と、投ゴロと3打席は好機に凡退していた。大山は「個人的には反省することばっかりなんで、反省して明日しっかりやりたい」と話した。大山は7月4日DeNA戦(横浜)での休養を兼ねたベンチスタート以外は、5番一塁で87試合に出場。4本塁打、41打点、打率2割6部2厘を刻む。チームメートで同学年の近本光司外野手(30)が、6月7日オリックス戦で通算1000安打を達成したばかり。達成すればプロ野球通算324人目になる。「チームの力で勝てたところが一番じゃないかな」。巨人3連戦勝ち越しへ、打線の支柱が、ナインを代弁した。【伊東大介】
◆阪神藤川球児監督(44)が、決勝アーチを放った佐藤輝明内野手(26)をねぎらった。0-0のまま迎えた延長11回1死一塁、佐藤輝が巨人船迫のカットボールを捉え、右中間スタンド上段へ運ぶ決勝の25号2ランを放った。チームはこれで3連敗を阻止し、2位巨人とのゲーム差は今季最大10に広がった。20日の第2戦に勝利すれば球団初となる球宴前の巨人戦勝ち越しが決定する。試合後、指揮官は「本当にタフなゲームで、両チームでしのぎあいながらでしたけど、本当に待っているものが出ましたね。素晴らしかったと思います」と賛辞を送った。6回無失点と粘った先発の村上頌樹投手(27)にも「展開的にはすごくストレスがかかる投球内容といいますか、しびれるようなゲームだったので、本人も前半戦の疲労があるところで最後にがんばってくれたと思いますから、本当にいい活躍だった」とねぎらいの言葉。無失点リレーをつないだリリーフ5人にも「向上心もあるからこそ、立ち向かおうとする、それはやっぱり最後ギリギリのところで粘ってでもなんとか帰ってこようとするというのがあるので、今後も続けてほしい」と話した。阪神と2位巨人の差が今季最大の10ゲームに開いた。阪神が2位に2桁ゲーム差は6度目で、88試合目は03年の57試合目、08年の73試合目に次いで早く、球宴前も03、08年に次いで3度目。藤川監督は就任1年目で、阪神の新人監督が2位に2桁ゲーム差は初めてだ。昨年のパ・リーグで1年目の小久保監督(ソフトバンク)が65試合目で10ゲーム差つけたが、セ・リーグの新人監督では02年原監督(巨人)の87試合目に次ぐ2番目のスピードで2桁ゲーム差をつけた。
◆阪神高寺望夢内野手(22)がマルチ安打で存在感を発揮した。8番左翼で6月21日のソフトバンク戦以来、約1カ月ぶりのスタメン。3回の第1打席で山崎から巨人戦プロ初安打となる右前打。延長11回にも左翼線へ二塁打も放ったが、0-0の7回1死満塁で喫した空振り三振を悔やんだ。「三振でこういう展開になってしまったので、ああいうところで打てるように。(11回決勝弾の佐藤)輝さんに感謝しています。必死にやるだけだと思うので」と糧にする。
◆阪神大山悠輔内野手(30)が9年目で通算1000安打に王手をかけた。7回に巨人山崎の内角149キロ速球を右前打。2試合10打席ぶりの安打で、昨季から続く巨人戦の連続試合安打を19に伸ばした。11回は佐藤輝の先制2ラン直後に四球を選び、追加点に貢献した。過去に323人が達成した大台については「それよりもまずチームです」と勝利最優先を強調。2併殺を喫したこともあり「勝ったことが一番と思うけど、個人的に反省することばかり。また明日あるのでしっかり準備したい」と引き締めていた。
◆阪神坂本誠志郎捕手(31)がテルに続いた。延長11回、佐藤輝の25号2ランで先制し、なおも2死一塁。巨人船迫のスライダーを勢いよく振り抜き、左翼スタンドへ運んだ。「あんまりホームラン打ったことないので手応えとか分からないですけど、この球場は1点でも多く取るというのは大事だし、なんとかしたいなと思って。よかったです」勝利を決定づけるびっくり2号2ランに、ベンチも大盛り上がり。「めったにないことなので。みんな盛り上がってくれるので、うれしいです」と笑った坂本も手荒いハイタッチで返した。シーズンの複数本塁打は、19年以来6季ぶり。藤川監督が「バットの方は少しそっとしてあげてほしいなというところですけど」とジョーク交じりに話した好調ぶりは、数字にも表れる。打率2割5分8厘に加え、長打率3割5分8厘は現時点でキャリアハイ。二塁打の数も、過去最高だった5本を大きく上回る11本を放っている。打席でも根底にあるのは女房役としての思い。「(リード)2点だと1人出るとバタバタするのが、(9回裏に)最後1人出ても落ち着いていられたのが、追加点あってよかったかなと思います」。この日も先発村上以下の6投手を好リード。「もちろん輝のホームランもすごいホームランですけど、それまでにピッチャーが頑張って投げてくれて、点をやらないというのが最後勝つチャンスをいっぱい残せた」。これからもバットとミットで白星を量産する。【磯綾乃】
◆阪神佐藤輝明内野手(26)が、決勝打となる、先制2ランを放った。両軍0-0で迎えた延長11回。1死一塁から右中間へ1発を放ち、均衡をやぶった。チーム24イニングぶりの得点となった。前半戦で早くもキャリアハイを更新する、今季25号となった。チームは連敗を2でストップ。2位の巨人とのゲーム差を、今季最大の10とした。20、21日、いずれかの同戦で勝利すれば、球団初の球宴前の巨人戦勝ち越しが決定する。
◆虎のドクターゼロだ。阪神石井大智投手(27)が連続無失点を自己最長の30試合に伸ばした。0-0の8回に2番手及川からバトンを受け登板。先頭甲斐を148キロストレートで中飛に打ち取り、代打長野に四球を与えたが、動じない。続く丸にはカウント3-1と不利にしながらも、この日最速151キロ直球で左飛。佐々木は変化球で追い込み、150キロ、149キロと強気の直球を連発した。2連続で空を切らせて三振締め。左翼席の虎党の心地よい大歓声を受け、ベンチに凱旋(がいせん)した。「ゼロっていうのが全てだと思います。どっちに転ぶかっていうゲームではあったんですけど、勝ってよかったですね、本当に」。及川とともに24ホールド目を挙げ、表情を緩めた。先発村上から及川、湯浅、ネルソン、岩崎で敵地スコアボードに0を刻み、今季20度目の完封勝利をもたらした。リリーフ陣を"チームの心臓"とたたえ続ける藤川監督も最敬礼だった。「みんなでバランスよくと言いますか、まだまだ自分たちの数字を作り上げるんだ、という強い意欲もある選手たちがそろってますから。向上心もあるからこそ、立ち向かおうとする。それはやっぱり最後ギリギリのところで粘ってでも、なんもか(ゼロで)帰ってこようとするというのがあるので。今後も続きてほしいなと思います」。石井らの大奮闘に頭の下がる思いだ。石井は6月6日オリックス戦で打球を側頭部に受け、約1カ月戦列を離脱余儀なくされた。悪夢のアクシデントをはさみながら、30試合の無失点試合を続け、防御率は驚異の0・27だ。「(連続無失点は)別に全然、考えてないです。明日もしっかり仕事できるように頑張ります」。球団記録は、指揮官が現役時代の06年につくり、今なおセ・リーグ記録となっている38試合連続無失点。大記録へカウントダウンの勢いだ。【伊東大介】▽湯浅(9回に登板し1死二塁のピンチを招くも無失点)「先頭のフォアボールは反省ですけど、その後しっかり落ち着いて投げられたのでよかった」▽及川(7回に登板し、2者連続の見逃し三振を含む3者凡退)「内容的にもよかった。目の前のことに必死で頑張っている結果だと思うので、継続して頑張ります」
◆巨人船迫大雅投手(28)が、阪神佐藤輝明内野手(26)の決勝2ランを含む2ラン2発を浴び、首位阪神に痛恨の黒星を喫した。0-0の延長11回から登板。1死から3番森下に四球を許した後、4番佐藤輝に右中間席上段に2ランを浴びた。さらに大山に四球を許し、2死一塁から、坂本に左翼席へ2ランを浴び、試合を決める4点目を失った。坂本がダイヤモンドを回る中、船迫は両膝に手をつき、悔しさをにじませた。船迫について、杉内俊哉チーフ投手コーチは「悔しいね。やられる時はもちろんあるんでね。ただ右バッターに対して、四球2つはバサマ(船迫)は反省するところだと思います」と指摘した。借金は2となり、首位阪神とのゲーム差は10ゲーム差に開き、自力優勝の可能性が消滅した。阪神戦は4連敗で、今季の阪神との対戦成績は4勝12敗と苦しむ。
◆球場内がため息に包まれた。巨人は延長戦の末に力尽き、56試合を残して自力優勝の可能性が消滅。阿部慎之助監督(46)は試合後、開口一番「悔しいね」と声を絞り出した。延長11回に5番手の船迫が1死一塁から佐藤輝に決勝2ランを浴びるなど大量4失点。打線も好機はつくるも、決定打を欠いて完封負けを喫し「チャンスはつくったけどね。力の差が歴然としているよね」と受け止めた。最善の策は打った。先発にはチーム最多8勝を挙げていた山崎を立てた。相手先発の村上と息詰まる投手戦を演じ、7回4安打無失点。登板最終回の7回には、2死満塁のピンチも代打糸原を見逃し三振に仕留め、右拳を力強く握った。今季は想定外の事態が続いた。不動の4番岡本が左肘の靱帯(じんたい)損傷で5月7日に離脱。エース戸郷は開幕からの不調で2軍調整が続く。それでも指揮官は「いるメンバーでやるしかない」と若手を積極起用。"新風"を送りながら、もがいてきた。首位を独走する阪神とは今季最大の10ゲーム差となった。リーグ2連覇への道のりは極めて厳しくなったが、阿部監督は「やる以上は絶対諦めちゃいけない」。力強く顔を上げた。【水谷京裕】巨人杉内投手チーフコーチ(2ラン2発を浴びた船迫に)「やられる時はもちろんあるんでね。ただ右バッターに対してフォアボール2つは反省するところ」
◆阪神が「伝統の一戦」カード初戦を制し、3連敗を阻止した。2位巨人とのゲーム差は今季最大10に広がり、20日の第2戦に勝利すれば球団初となる球宴前の巨人戦勝ち越しが決定する。0-0のまま迎えた延長11回1死一塁で、佐藤輝明内野手(26)が右中間スタンド上段へ決勝の25号2ラン。プロ5年目でキャリア最多となる記念のアーチに続き、なおも2死一塁で坂本誠志郎捕手(31)が左中間スタンドにダメ押しの2号2ランを放った。
◆2位の巨人が、首位の阪神との「伝統の一戦」第1ラウンドに延長戦で敗れ、早くも自力優勝の可能性が消滅した。延長11回に5番手の船迫大雅投手(28)が1死一塁から佐藤輝に決勝2ランを被弾。さらに2死一塁から、坂本に2ランを浴び、この回大量4失点で勝負が決まった。打線は再三、好機をつくりながら、あと1本が出ず。チャンスの度にスタンドも盛り上がったが、拙攻の度にため息が漏れた。阿部慎之助監督(46)は試合後、開口一番「悔しいね」と話し「チャンスはつくるんだけどね...。何を言っても仕方ないね。力の差が歴然としているよね」と声を絞り出した。チームは今季、阪神戦は4勝12敗と大きく負け越し。借金は2となり、前半戦の貯金ターンの可能性も消えた。残り56試合で阪神とは、今季最大の10ゲーム差に開いたが、「虎アレルギー」の克服が、浮上へのカギとなる。87試合目で巨人の自力Vが消滅した。巨人が球宴前に自力V消滅は6月26日、76試合目の22年以来12度目。過去11度のうち7月6日、70試合目に消えた96年と7月8日、78試合目の08年は前半戦で自力Vが消滅しながら逆転優勝しているが、今季はどうなるか。
◆虎はやっぱ強いわ! 阪神佐藤輝明内野手(26)が、プロ5年目でキャリアハイとなる25号を決勝2ランで飾った。0-0の延長11回。巨人5番手船迫の変化球を完璧にとらえた特大弾を右中間席に運んだ。チームは本塁打&打点で2冠を走る4番の千金弾で連敗を2でストップ。球宴前に2位巨人の自力Vを消し、ゲーム差を今季最大の10に拡大した。今季対戦成績を12勝4敗とし、球団初となる前半戦での伝統の一戦勝ち越しにも王手をかけた。これぞ4番だ。佐藤輝の一撃に球場がドッと沸く。両軍投手陣が0を並べて迎えた延長11回。東京ドームに深く敷かれた長打警戒の守備隊形も、自慢のパワーが打ち破った。巨人外野陣の頭を悠々と越え、右中間席深部に突き刺した。悲鳴と歓声が交錯する東京ドームで、悠々とダイヤモンドを回った。「最高の場面で出たので、これ以上ない気持ち。本当に打った瞬間でした」1死一塁。巨人船迫の低め136キロ曲がり球を完璧に捉えた。「3球同じ球だったと思う。うまくアジャストできた」。会心の決勝2ランは、キャリアハイの25号となった。今季チーム最長の連続無得点を23イニングで止め、連敗も2で止める千金弾。前日にも「ジャイアンツを倒さないと上にはいけない」と語ってい男が巨人の自力Vを消す、有言実行のG倒を決めた。ともに両リーグトップを走る25本塁打&64打点目。21年、23年の自身最多24本塁打を球宴前に軽々と打ち破った。球団初となる新人から5年連続100三振にあと1に迫っているが、これも佐藤輝の魅力の1つだろう。シーズン40発ペースで積み上げる本塁打。それでも「通過点でしかないので、明日からまたひとつずつ積み重ねられるように頑張ります」と浮かれることはなかった。アーチストとしての才能が開花の時を迎えている今季。プロ入り前の近大時代から飛ばし屋ぶりは変わらない。打った打球はグラウンドの防球ネットすら超え、近隣住民から"苦情"とともにボールを大学に持ってこられることもしばしば。ついに野球部は高台にある別のグラウンドで練習するようになり、卒業と同時に元のグラウンドに戻ったという伝説を残した。阪神にドラフト1位指名されて技術を磨き、試行錯誤を重ねたプロ5年目。「もっと打ちたいのでね。別に25本を目標にしてやってきたわけじゃないので」と貪欲に言った。プロ入り時から掲げていた目標のひとつが「本塁打王」。シーズンが終わるまで緩みは見せない。チームは巨人戦通算900勝(1131敗77分け)のおまけつきで、2位巨人に今季最大10ゲーム差をつけた。20日も勝てば、球団史上初となる球宴前の巨人戦シーズン勝ち越しも決まる。藤川監督も「本当に待っているものが出ましたね。素晴らしかったと思います」と絶賛した主砲の働き。テルの1発が、またも勝利を呼んだ。【波部俊之介】阪神と2位巨人の差が今季最大の10ゲームに開いた。阪神が2位に2桁ゲーム差は6度目で、88試合目は03年の57試合目、08年の73試合目に次いで早く、球宴前も03、08年に次いで3度目。藤川監督は就任1年目で、阪神の新人監督が2位に2桁ゲーム差は初めてだ。昨年のパ・リーグで1年目の小久保監督(ソフトバンク)が65試合目で10ゲーム差つけたが、セ・リーグの新人監督では02年原監督(巨人)の87試合目に次ぐ2番目のスピードで2桁ゲーム差をつけた。
◆阪神佐藤輝明内野手(26)が、巨人船迫大雅投手(28)から決勝2ランを放ち、2位巨人に勝利した。0-0の延長11回1死一塁から、右中間席上段に2ランをマーク。さらに2死一塁から、坂本が左翼席へ2ランを放ち、試合を決める4点目を奪った。阪神は貯金を18とし、2位巨人は借金2。前半戦の残りは2試合で、リーグ唯一の前半戦貯金ターンが決まった。リーグ戦再開後、阪神は14勝4敗と順調に白星を積み重ねるが、2位の巨人は7勝8敗1分け。2位以下の球団では7連勝を飾った中日が唯一の貯金で、ヤクルトが勝率5割でその他3球団は負け越し、阪神が頭一つ抜けた。2位の巨人とのゲーム差は、今季最大の10ゲーム差に開き、3位のDeNAとの差は10・5ゲーム差に広がった。
◆巨人が、延長11回の熱戦の末に阪神に敗れ、早くも自力優勝の可能性が消滅した。対阪神戦は痛恨の4連敗で、今季の対戦成績は4勝12敗。残り1敗すれば、前半戦で対阪神戦の負け越しが決まる崖っぷちに立たされた。最下位のヤクルトに続き、2位での自力優勝の可能性が消滅を受け、X(旧ツイッター)でも「自力V消滅」、「読売巨人軍」、「阿部監督」、「巨人打線」など、複数の関連ワードがトレンド入りした。ファンから驚きの声が続出。「2位で自力優勝消滅ってあるの!?」、「悲しい自力V消滅」、「2位で自力優勝消滅って何?」、「セ・リーグこぇーー」と驚きの声が上がった。87試合目で巨人の自力Vが消滅した。巨人が球宴前に自力V消滅は6月26日、76試合目の22年以来12度目。過去11度のうち7月6日、70試合目に消えた96年と7月8日、78試合目の08年は前半戦で自力Vが消滅しながら逆転優勝しているが、今季はどうなるか。
◆巨人が、再三の好機であと1本が出ず、延長11回の熱戦の末に阪神に敗れ、早くも自力優勝の可能性が消滅した。延長11回に船迫大雅投手(28)が阪神佐藤輝に決勝2ランを浴び、坂本にも2ランを許した。首位阪神とのゲーム差は、今季最大の10に拡大した。今季、阪神との対戦成績は4勝12敗と苦しむ。数字を見れば、対阪神戦の打率は2割3分3厘で、ワーストの対広島戦の打率2割2分2厘は上回る。他の5球団と比べて、顕著なのは投手の防御率で唯一の3点台となる3・35と打ち込まれている(1位は対DeNAの防御率1・58)。被本塁打は対中日の13本に次ぐ12本。投手の与四球は最も多く、野手の四球は最少で正反対となる。今季の対戦回数は最多の16試合(2位は広島の14試合)ながら、本塁打も最も少ない4本(1位は対ヤクルトの13本)で、鉄壁の阪神投手陣に1発を防がれ、厳しい戦いを強いられる。
◆阪神から「マイナビオールスターゲーム2025」に出場する村上頌樹投手(27)、石井大智投手(28)、及川雅貴投手(24)、坂本誠志郎捕手(31)、大山悠輔内野手(30)、中野拓夢内野手(28)、佐藤輝明内野手(26)、近本光司外野手(30)、森下翔太外野手(24)の9選手が、昨年リーグ覇者で球宴の指揮をとる巨人・阿部慎之助監督(46)のもとに挨拶に訪れた。試合前練習で球場に到着すると、全員がズラズラと並んでレフトファウルゾーンで練習を見守る阿部監督の元へ。一人一人が頭を下げて挨拶を交わした。阿部監督は以前「やっぱり昨日までタイガースにコテンパンにやられていたので、森下や佐藤君とかが中心になってくるのかな」と阪神の2人の主砲の名前を挙げてパ・退治を掲げていただけに、打順などの采配も注目される。
◆9ゲーム差で迎える首位阪神と2位巨人の直接対決第1ラウンド。今季の対戦成績は阪神の11勝4敗、東京ドームでは5勝1敗と圧倒的に阪神有利。注目は森下翔太外野手(24)。今季は東京ドームで打率・400(25打数10安打)、3本塁打、10打点と好相性。5月5―7日には3戦連続でアーチを架けた。この試合で4戦連発となれば球団初の快挙となる。
◆20日の17回戦に先発するジョン・デュプランティエ投手(31)はキャッチボールなどで調整した。初登板となる東京ドームについて問われた右腕は「素晴らしい球場だと思います。練習中の音楽のセンスというか、いい音楽だと思いました」と回答。助っ人の〝J-POP〟事情へと取材は発展した。「まず日本の音楽も好きというところで、最近Mrs. GREEN APPLEとかもすごく好きになってきました。シーズン最初に才木が毎日流していたので、もう球場とか部屋に入ったら絶対にミセスが流れていて。サイキがすごく『いいソング、いいソング』みたいに言っていた」同僚から影響を受けていることを明かした。才木はかねてからSNSなどでも『JAM'S(ジャムズ、同グループのファンネーム)』を公言しており、2年続けて登場曲にも使用している。好きな曲を「ライラック!」と即答するほど、デュプランティエへの布教活動は進んでいるようだった。デュプランティエは現在リーグトップの105奪三振を記録するなど、4連勝中。7勝目を目指して、前半戦最後の登板に臨む。
◆阪神の先発・村上頌樹投手(27)が五回まで巨人打線を無失点に抑えた。一回先頭の丸に右翼ポール際へ大飛球を浴びるも、ファウル。丸を空振り三振に抑え、無失点の立ち上がりとなった。四回、五回はいずれも先頭に安打を許すも、後続を抑えて得点を許さなかった。一方打線は巨人の先発・山崎伊の前に、五回までわずか2安打で無得点。互いに兵庫県出身で同級生右腕が白熱の投手戦を繰り広げている。
◆悔しい途中交代から2日。決意新たにリスタートした。巨人・泉口が「5番・遊撃」で先発出場。五回先頭の第2打席で中前打を放った。17日のヤクルト戦。チャンスで打席に立った一回に3球で見逃し三振を喫し、三回は送りバントを失敗。阿部監督は「今日は戦力にならないなと思って」と、三回の守備から懲罰交代させた。泉口は試合後に「僕のせいで負けた」と猛省していた。チームが休養日だった翌18日。休日返上で川崎市のジャイアンツ球場を訪れた。「自分が現役だったら、モヤモヤして休みを一日過ごすなら練習した方がいい」と投手役を買って出た二岡ヘッドコーチの〝親心〟を受け、入念にバント練習を繰り返し「昨日は本当にいいところがなかった。明日以降、戦力として見てもらえるように頑張ります」と汚名返上を誓っていた。大阪桐蔭高から青学大、NTT西日本へ進み、昨季ドラフト4位で入団。2年目の今季はレギュラー格へと飛躍し、監督選抜でオールスターにも初選出された。巨人の遊撃手として〝真のレギュラー〟へ―。立ちはだかる壁を乗り越えていく。(浜浦日向)
◆阪神打線がチグハグだ。六回先頭の近本が右中間へ二塁打を放ち、無死二塁と先制機。続く中野はバットを寝かせてバントの構え。その初球、小フライとなったことで二走・近本のスタートが一瞬遅れた。巨人の先発・山崎伊は打球を素早く処理して、三塁へ送球。近本は二、三塁間で挟まれ、結局タッチアウトとなった。1死一塁とし、続く森下は三ゴロ併殺で無得点。阪神打線は四回も無死二塁の好機を作っていたが、佐藤輝、大山、小幡が凡退し無得点に終わっていた。
◆17日のヤクルト戦で懲罰交代した巨人・泉口友汰内野手(26)が、休養日を挟んだ次戦に「5番・遊撃」で再び先発出場した。泉口は2日前のヤクルト戦、好機で打席に立った一回に3球で見逃し三振を喫し、三回は送りバントを失敗。阿部監督は「今日は戦力にならないなと思って」と三回の守備から交代を命じ、泉口も「僕のせいで負けた」と猛省した。汚名返上を期して迎えたこの日。ファンが選手へのメッセージを語る五回表終了時のイニング間イベント「日テレジータスpresents DRAMATIC MESSAGE」に、ジャイアンツ球場で泉口と会話しファンになったという女の子が登場。「この前の試合は、バント惜しかったね」という子供ならではのほっこりエールが送られた。直後の五回先頭で打席に立った泉口は、見事に中前打をマーク。二盗にも成功するなど、存在感を放った。
◆阪神が絶好機を逃した。0‐0で迎えた七回。先頭の佐藤輝が四球を選ぶと、続く大山がしぶとく右前打を放って好機拡大。大山はこれがプロ999安打目で、通算1000安打まで残り1とした。小幡は犠打で1死二、三塁。坂本はカウント3‐0としたところで申告敬遠が告げられ、満塁と好機を広げた。打席には6月21日のソフトバンク戦(甲子園)以来のスタメン出場を果たした高寺。カウント0‐2から3球目、一ゴロに倒れたかに見えたが、バットに2度当たっており、ここはファウルの判定に覆った。しかし最後は空振り三振。2死満塁とし、投手の村上に代わって代打・糸原が告げられた。フルカウントから7球目、見逃し三振に倒れて結局無得点に終わった。
◆先発した阪神の村上頌樹投手(27)が6回2安打無失点と好投した。「先頭バッターの出塁が多くリズムとしては乗り切れないところもありましたが、相手投手もいい投球が続くなかでランナーを出してもゼロで粘っていけたのでよかったです」。四回、五回、六回といずれも先頭打者を塁に出したが、後続を抑えた。前回登板した11日のヤクルト戦(甲子園)は2回8安打6失点と乱調。「1週間身体のキレが出るような練習を意識して、しっかり結果として出すことができたと思います」と調整の成果にうなずいた。
◆ともに8勝を挙げていた巨人・山崎伊織投手(26)、阪神・村上頌樹投手(27)が先発。山崎が7回4安打無失点、村上が6回2安打無失点の好投を見せたが、いずれもDeNAの東に並ぶリーグトップの9勝目を手にすることはできなかった。
◆延長戦の末に阪神が主砲の一発で巨人に勝利し、連敗を2でストップ。2位・巨人とのゲーム差を「10」に広げて、宿敵の自力優勝を消滅させた。打線は巨人の先発・山崎の前に沈黙。好機を作るも、あと1本が出なかった。15日の中日戦(甲子園)から23イニング連続無得点と猛虎打線が鳴りを潜めていたが、0-0で迎えた延長十一回。1死から森下が四球で出塁すると、4番・佐藤輝明内野手(26)が巨人の5番手・船迫から右翼席へ確信の一発。キャリアハイを更新する今季25号2ランで打点もリーグトップの65打点とした。さらに2死一塁から坂本誠志郎捕手(31)にも2号2ランが飛び出して、一挙4点を奪った。先発した村上頌樹投手(27)は巨人打線を相手に6回2安打無失点と好投。四、五回は先頭に安打を許して得点圏に走者を背負ったが、難なく無失点に切り抜けた。七回から2番手で登板した及川が1回2奪三振無失点。3番手の石井大智投手(27)は四球で1人の走者を許すも、後続を切って30試合連続無失点とした。延長十回に5番手で登板したニック・ネルソン投手(29)=前フィリーズ=が1回を無失点に抑えて来日初勝利を挙げた。
◆巨人は阪神に敗れ、セ・リーグ2位ながら最下位のヤクルトに次いで2番目に早い、87試合目で自力優勝の可能性が消滅した。先発の山崎伊織投手(26)が7回4安打無失点の好投を見せたが、打線が最後まで援護することができず。延長十一回に5番手・船迫大雅投手(28)が佐藤輝に決勝2ラン、坂本にも2ランを被弾。自身17試合ぶりの失点が、試合を決した。
◆巨人は延長十一回に4失点し、打線が4安打に封じられ零封負け。阪神戦は今季9試合を残して4勝12敗となり、セ・リーグ2位でありながら、最下位のヤクルトに次ぐ早さで自力優勝の可能性が消えた。阿部慎之助監督(46)は「悔しいね」と嘆き、「何を言っても仕方ないね。力の差が歴然としている」と唇をかんだ。山崎伊織投手(26)が7回2安打無失点と好投。阪神・村上との投手戦を演じるも9勝目はならず。指揮官は「要所も頑張ってくれた」とねぎらい、延長十一回には救援右腕の船迫が2発を浴びて4失点したが、「最後やられちゃったけど、精いっぱいやってくれた。結果論でモノを言われるだろうけど、信頼して送り出したので。 そこはもう本人のせいじゃなくて僕が使ったので申し訳ない」とかばった。「なんとか食らいついていくための3連戦だと思っていこうって(試合前のミーティングで)言ったんだけど。 明日もまだチャンスあるし、明日と明後日勝ったら何の問題もない」と前を向き、自力優勝の可能性が消滅したことには「試合をずっと続くわけだしね。 やる以上絶対諦めちゃいけない」と力を込めた。
◆阪神が佐藤輝明内野手(26)の自己最多の25号本塁打で延長戦を制して、連敗を「2」で止めた。十一回1死一塁、船迫大雅投手(28)から右翼席中段に運んで均衡を破り、坂本誠志郎捕手(31)の2号2ランで突き放した。チームにとって24イニングぶりの得点で、今季の対戦成績を12勝4敗とし、シーズン勝ち越しまで、あと1勝。6回降板の村上頌樹(27)から及川雅貴(24)、石井大智(27)、湯浅京己(26)の4投手がつなぎ、十回の窮地をしのいだニック・ネルソン投手(29)が来日初勝利。十一回は岩崎優投手(34)が締めた。20度目の無失点勝利で、延長戦は6勝6敗2分。阪神に10差となった巨人の自力優勝の可能性が消滅した。
◆オリックス、阪神で通算176勝を挙げ、引退後も両チームでコーチを務めたサンケイスポーツ専属評論家の星野伸之氏(59)は、徹底マークされながら延長十一回に決勝2ランを放った阪神・佐藤輝明内野手(26)を絶賛した。3連勝が不可欠な巨人は、先発・山崎が抜群の投球を見せた。その中で「狭いドーム」「一発を絶対に避ける」という思いから、佐藤輝を徹底的にマークしていたのもうなずける。二、七回の四球は象徴的だった。それだけ警戒されながら、最後は相手投手は違ったが、決勝2ランを放った佐藤輝の成長は素晴らしい。ひと振りで決めるのが4番。巨人の4番・増田陸がホームランボールを2つ打ち損じて外野飛球に終わったのとは対照的。両チームの現状を如実に表している。この先も佐藤輝が徹底マークされる可能性は高い。ということは、ますます大山の打席の比重が高くなる。この日はうまく、厳しく攻められていた。が、大山の成長を感じたのは七回の右前打だ。「自分には厳しく来る」と察知すると、自分で決めようとするのではなくつなぐことに徹した。延長十一回の四球もそうだ。積み重ねてきた経験を、生かせる選手になってきた。相手が絶対に負けられないと向かってきた試合に勝った意味は大きい。(サンケイスポーツ専属評論家)
◆阪神・大山悠輔内野手(30)は七回無死一塁から右前打を放ち、通算999安打で節目に王手をかけたが、手放しでは喜べなかった。「個人的には反省することばかりなんで、しっかり準備したいと思います」。二、九回に、いずれも無死一塁から遊ゴロ併殺に倒れ、昨年8月6日のヤクルト戦(神宮)以来の1試合2併殺。「それ(個人の記録)よりもチームのことです」とチームプレーに徹する。
◆先発・村上頌樹投手(27)は6回無失点。わずか69球で被安打2の好投だった。同じ兵庫県出身の同学年右腕、山崎(巨人)相手に一歩も引かず。「相手先発(山崎)がいい投手だから点が入らないのは分かっていたし、ゼロでいけたから、最終的に勝ちにつながったと思う」。前回登板(11日)のヤクルト戦はプロ初の満弾被弾含む自己ワーストの2回6失点KO。この日は9勝目こそゲットできなかったが、納得の表情だった。
◆阪神の新助っ人、ニック・ネルソン投手(29)=前フィリーズ=が来日初勝利をあげた。「うれしいね。興奮したよ」。延長十回に登板。2死一、二塁のピンチを招いたが最後は佐々木を二ゴロに仕留めて、無失点で切り抜けた。これで登板13試合連続無失点と安定感は抜群。防御率0・60と中継ぎ右腕としての立ち位置を確立してきた。
◆白球が上がった瞬間、ナインが総立ちになってその行方を見つめる。阪神・坂本誠志郎捕手(31)がトドメの一発で、宿敵を完全に沈めた。引き締めた表情でダイヤモンドを一周したが、ベンチで仲間に迎えられて初めて笑顔をはじけさせた。「あんまりホームラン打ったことないので、手応えはわからないですけど。めったにないことなので(笑)。みんなが盛り上がってくれて、うれしいです」0―0の投手戦の均衡は延長十一回、佐藤輝の2ランで破れたが、虎の扇の要は攻撃の手を緩めなかった。2死一塁から、追い込まれてからのスライダーに反応。左翼スタンド最前列に6月7日のオリックス戦(甲子園)以来となる2号2ランをたたき込んで4点差にし、「この球場は1点でも多く取ることが大事。最後(の守備で)1人(走者が)出ても落ち着いていられた」とうなずいた。監督選抜で初のオールスターに選出してくれた敵将・阿部監督へ御礼のアーチにもなった。「正直、僕なんかがって思いもありましたけど。小さい頃から阿部監督のプレーをたくさん見ていましたし、同じキャッチャーでいろいろなこと聞けたら」と思いを口にしていた。プロ入り10年で初めてとなる球宴へ―。首位虎を引っ張る坂本は、もう〝僕なんか〟と語る選手ではないはずだ。守備では好リードで6投手を引っ張り、巨人にホームを踏ませなかった。「テルのホームランもすごいけど、それまでにピッチャーが頑張って投げてくれて点をやらなかったということが、最後、勝つチャンスを残せた」。球宴前最後のカードの初戦で、選出にふさわしい攻守での貢献を敵将に見せつけた。(中屋友那)
◆巨人は延長十一回に2発を浴びて敗れ、3連敗で今季初の借金2となった。阪神戦は9試合を残して4勝12敗となり、セ・リーグ2位でありながら、最下位ヤクルトに次ぐ早さの今季87試合目で自力優勝の可能性が消滅した。阿部慎之助監督(46)は無念をにじませた。「悔しいね。チャンスはつくったけどね。何を言っても仕方がない。力の差が歴然としている」打線が4安打と沈黙し、7回4安打無失点の山崎ら奮闘した投手陣を見殺しにした。4犠打を記録するなどして得点圏を6度つくったが、18イニング連続無得点と貧打から抜け出せない。リーグ優勝を果たした昨季、阪神とは12勝12敗1分けだった。しかし藤川阪神と戦う今季は16試合で29得点に対し、64失点と圧倒されている。試合前に阿部監督が「なんとか食らいついていくための3連戦だ」とナインに飛ばしたゲキも届かなかった。自力V消滅の現実に指揮官は「試合はずっと続く。やる以上、絶対あきらめちゃいけない」と前を向く。ただ、首位・阪神とのゲーム差は今季最大の10に広がった。(谷川直之)
◆歴史的G粉砕弾! 阪神は延長十一回に佐藤輝明内野手(26)が自己最多を更新する決勝の25号2ラン。4-0で2位巨人を振り切り、2位へのゲーム差を今季最大「10」としただけでなく、巨人の自力優勝の可能性を消滅させた。1リーグ時代からのG戦通算900勝も達成し、7月の月間勝ち越しも決定。ぶっちぎりVへ大きな大きな一発になった。4番のひと振りがゼロ行進に終止符を打ち、宿敵に引導を渡した。どこまでも飛んでいきそうな白球を見つめ、佐藤輝はゆっくりと歩き出す。かつての自分を超える25本目のアーチで巨人戦通算900勝を彩り、巨人の自力Vの可能性を消し去った。「最高の場面で出たのでこれ以上ない気持ちです! (投手陣が)粘り強く抑えてくれていたので、何とか野手陣で応えようと思った結果、最高の結果になりました」0-0で迎えた延長十一回1死一塁。カウント1-1から船迫の136キロカットボールを豪快に振り抜き、右中間スタンド最深部に着弾。どよめきと歓声が入り交じるダイヤモンドをさっそうと一周した。超特大の決勝2ラン。チームとしても24イニングぶりの得点だった。さらに、この一発で2021年、23年を超え、自己最多の25本塁打に到達。前半戦でのキャリアハイは「この時期に達成できるのは自分でもよくやっているなと感じています」と自画自賛。阪神の選手がチーム88試合以内に25本塁打を放ったのは、生え抜きでは1985年の掛布雅之(79試合目)以来40年ぶり。それでもすぐに「通過点でしかないので。明日からまた一つずつ積み重ねていきたい」と力を込めた。伝統の一戦を前にすると、心が熱く燃え上がる。「巨人に勝たないと上にはいけないと思っています」。この言葉を今年は何度も口にした。どれだけ首位を独走しても、相手は昨年のセ・リーグ覇者。球団史上初の連覇を阻まれた宿敵に油断はみじんもない。甲子園のお膝元、兵庫県西宮市出身。伝統の一戦の重みは、幼いころからその身で感じて育ってきた。巨人にだけは負けてはいけない-。タテジマの先輩たちが積み上げてきた巨人戦899勝の歴史。「また一つ積み重ねることができてよかった」。自らが導いたこの1勝が通算900勝のメモリアル。それを決めるのもサトテルらしい。猛虎の4番として、また一つ箔(はく)が付いた。
◆虎の勝利の方程式は、この男がいてこそ完成する。1点を争う緊迫の展開でも、石井が冷静沈着に1回無失点投球。虎党に心休まるひと時を与え、前半戦最後の3連戦の初戦を取ると、右腕は安堵(あんど)の表情を浮かべた。「どっちに転ぶかというゲームではあったんですけど、勝って良かったですね。本当に」0-0のまま迎えた八回に3番手で登板。1死から代打・長野に四球を与えたが、1番・丸を中飛に打ち取り、佐々木は高め直球で空振り三振。走者を背負うも動じることなく1回を無失点に抑えた。「ゼロっていうのがすべてだと思います」とうなずく右腕は、これで30試合連続無失点。「(記録は)別に全然考えていないです」と冷静だが、淡々と自己最長記録を更新し続けている。ここまで33試合に登板し、防御率は驚異の0・27。抜群の安定感でブルペンを支えている。しかし、石井本人は決して浮かれた様子を見せることはない。「シーズン全部が終わったときに残っている数字しか評価されないと思っている」いま好成績を残していても、後半戦で失点を積み重ねれば防御率は跳ねあがる。その現実を理解した上で、「いまのこの過程は自分としてもすごくいい経験」と言葉に力を込めた。今季唯一失点を喫していたのが、4月4日の巨人戦(東京ドーム)だった。石井は23、24日に行われる「マイナビオールスターゲーム2025」に監督選抜で初出場する。試合前には全セの指揮を執る巨人・阿部監督に、出場する阪神9選手であいさつに向かった。選抜してくれた敵将の前で、簡単には失点しない男としてたくましい姿を見せ、セ界を代表する投球を披露した。「あしたもしっかり仕事できるように頑張ります」勝負の後半戦へ。強力ブルペン陣の心臓がチームを歓喜の瞬間へと導く。(萩原翔)?...阪神・石井は4月4日の巨人戦(東京ドーム)での1失点を最後に30試合連続で無失点を継続中。石井のこれまでの最長は、昨年7月7日-8月23日の19試合連続無失点だった
◆東京ドーム内に「野球殿堂博物館」がある。6月3日に亡くなった長嶋茂雄さんの「追悼展示 背番号3は永久に」が開催中(8月31日まで)。「天覧ホーマー」と書きこまれたバットを見ると、語り継がれる天覧試合の歴史を感じるし、アテネ五輪の際の日の丸に書かれた「3」の文字を見ると、これまた感動的だ。阪神ファンでも一見の価値ありだと思う。長嶋さんに思いをはせつつ、通常の展示コーナーもグルッと一周。殿堂入りされた方の肖像レリーフに〝ごあいさつ〟。担当記者としてお世話になった監督がズラリ。野村克也、吉田義男、上田利治、仰木彬...。在りし日の名将への取材の日々がよみがえってきたが、どうしてもバカバカしい話ばかりを思い出してしまう。性格なので仕方がない。特に仰木監督と上田監督は-。西武が圧倒的に強い時代。パ・リーグのライバル球団の指揮官たちは頭を悩ませていた。どうしたら西武に勝てるのか? 1チームでは無理。みんなで力を合わせれば...。思いついたのが近鉄・仰木監督だった。1989年のこと。開幕前に提唱した。「西武包囲網や。各球団が西武にエース級をぶつけて、みんなで引きずり降ろそう」この大胆な提唱に、オリックス・上田監督も、日本ハム・近藤貞雄監督らも、続々と賛同。やがて開幕。各チームは約束通り、エースを西武にぶつけた。さすがの西武も苦しんだ。ところが予期せぬ(?)展開が待っていた。開幕7連勝で勢いに乗ったオリックスが独走態勢に入ったのだ。すると、マジシャンと呼ばれた仰木監督が、まさかの再提案をする。「これからは、オリックス包囲網や」怒ったのは上田監督だ。「どの口が言うんや」「勝手なことばかり言うな」「信用ならん」。マスコミを通しての大舌戦が始まった。「何が悪い」。言い返す仰木さん。そういう時代だった。
◆先発投手の交代機をどう、とらえているのか。巨人の下降ぶりを見るにつけ、考えざるをえなくなる。山崎が7回無失点。0-0で白黒が見えてこない中、阿部監督はここが限界点とばかり、お役御免とした。試合後も「よく投げた」と評していたけど、いい先発を早めに代えて、いいリリーフも早めに出すから、イニングが進めば進むほど手詰まりになる。取り返せない失点を喫するのも無理はない。先発完投型の投手をいかに作り、増やしていくかが、巨人の大命題であることは明白。「よく投げた」で済ませていては物足りないわけだ。エースとはどういう存在か。エースのプライドとは何か。試合が決着するまでマウンドを譲らないこと。最後の打者を打ち取ってベンチに凱旋することだ。そうした意識を当人が持ち、チームも尊重できるようになるか。この敗戦から生かしてもらいたいね。(サンケイスポーツ専属評論家)
◆ウッヒャッヒャ~! ピーヒャラドンド~ン!! 宿敵ジャイアンツが沈んでくー!!再々のチャンスにもう一本が出ず、真夏の夜にイライラが募っていた中で延長十一回、サトテルちゃんが特大打。表の攻撃だけど、サヨナラ25号ありがとう!! おまけに駄目押し2ランの坂本ちゃんもお見事!!試合前の俺は「う~む...。9ゲーム差ね...。巨人が強くねーと張り合いないなぁ...」と妙な仏心を抱いていたのだ。いかーん、憎き巨人に同情はいらん!!ONが中心だった川上巨人のV9から苦汁をなめさせられた俺の60年...。いやいや、球団設立から90年で対巨人戦、この日の試合前まで、899勝1131敗(77分け)と232も負け越しとるんやー!! この差は9・5年勝ち続けないと埋まらんのよ!! と、あえて自分にムチを入れたのだ!!巨人さんのオールスター前の自力V消滅!! そして、勝率5割復活も真夏の夜の夢と散っちゃいましたね~!!一方、わが阪神は何と巨人さんに10ゲーム差か、ハハハハ...。兎と虎じゃ、勝負にならんか!? クーッ、こういう上から目線で巨人にモノを言える日が来るとは...。涙が出そうや!!

<セ・リーグ順位表推移>
順位 | チーム名 | 勝数 | 負数 | 引分 | 勝率 | 首位差 | 残試合 | 得点 | 失点 | 本塁打 | 盗塁 | 打率 | 防御率 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 (-) |
阪神 |
52 | 34 | 2 | 0.605 (↑0.005) | - (-) |
55 | 299 (+4) | 193 (-) | 51 (+2) | 73 (+1) |
0.247 (-) | 1.960 (↑0.03) |
2 (-) |
巨人 |
41 | 43 | 3 | 0.488 (↓0.006) | 10 (↓1) |
56 | 237 (-) | 248 (+4) | 51 (-) | 38 (+1) |
0.241 (↓0.001) | 2.560 (↓0.01) |
3 (-) |
DeNA |
39 | 42 | 5 | 0.481 (↓0.007) | 10.5 (↓1) |
57 | 259 (+2) | 248 (+7) | 45 (-) | 41 (-) |
0.226 (-) | 2.730 (↓0.05) |
4 (1↑) |
中日 |
40 | 44 | 2 | 0.476 (↑0.006) | 11 (-) |
57 | 225 (+7) | 258 (+2) | 41 (-) | 55 (-) |
0.226 (↑0.003) | 2.830 (↑0.03) |
5 (1↓) |
広島 |
38 | 43 | 5 | 0.469 (↓0.006) | 11.5 (↓1) |
57 | 252 (+1) | 260 (+3) | 39 (-) | 45 (+1) |
0.240 (↓0.001) | 2.760 (-) |
6 (-) |
ヤクルト |
26 | 50 | 5 | 0.342 (↑0.009) | 21 (-) |
62 | 216 (+3) | 318 (+1) | 36 (-) | 39 (+2) |
0.225 (↑0.001) | 3.500 (↑0.03) |
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