1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 | 安 | 失 | 本 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
阪神 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 2 | 5 | 7 | 10 | 0 | 0 |
DeNA | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 7 | 1 | 0 |
勝利投手:村上 頌樹(8勝2敗0S) 敗戦投手:伊勢 大夢(0勝1敗3S) |

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◆阪神が6連勝。阪神は1点を追う8回表、近本の適時打と佐藤輝の犠飛で2点を挙げ、逆転に成功する。続く9回には、植田の適時二塁打などで一挙5点を加え、相手を突き放した。投げては、先発・村上が7回5安打1失点の力投で今季8勝目。敗れたDeNAは、救援陣が精彩を欠いた。
◆阪神村上頌樹投手(27)が4日DeNA戦(横浜スタジアム)で先発する。この日、甲子園での練習に参加し、キャッチボールやダッシュなどで調整。「自分からどんどん攻めていって、優位になれば長打も出にくいかなと思う。打者にフルスイングさせないように、間であったり、いろいろ使いながらやっていければ」と長打を警戒。5月30日広島戦(マツダスタジアム)以来遠ざかっている勝ち星、今季8勝目を今度こそつかみ取る。
◆阪神ナインが元同僚との再会を喜んだ。昨季まで在籍していたDeNA岩田将貴投手(27)が試合前に三塁ベンチ前へあいさつに訪れた。20年ドラフトの育成1位で阪神に入団し、今季から移籍。投手陣らを中心に、ひとりひとりとグータッチを交わしていた。特に仲の良かった湯浅京己投手(25)とは笑顔で抱き合い、再会を喜んでいた。
◆阪神大山悠輔内野手(30)が今季77試合目で初めてスタメンから外れ、ベンチスタートとなった。昨年6月21日に2軍調整から1軍昇格した後は全試合でスタメン。ベンチスタートは2軍降格直前の同年6月4日楽天戦(甲子園)以来約13カ月ぶりだ。前日3日の巨人戦(甲子園)では3安打1打点と活躍。同戦まで4試合連続で安打を放っていた。この日も試合前はシートノックまで他の選手たちとともに普段通りの様子で練習に参加。疲労度を考慮しての判断と思われる。またDeNA先発のケイとは今季7打数無安打と相性が悪い。代わってラモン・ヘルナンデス内野手(29)が「5番一塁」に入った。前戦は代打で同点の右犠飛を放っていた。チームは今季最長タイ6連勝を目指す。
◆阪神村上頌樹投手(27)がDeNAに先制を許した。3回までは完全投球。だが打順が2回り目に入った4回、先頭の桑原を歩かせ、二盗を決められて無死二塁。続く佐野に146キロ速球を捉えられ、右翼フェンス直撃の適時打にされた。DeNAとは今季初対戦。村上はハーラートップタイの7勝を挙げているが、5月20日広島戦を最後に白星から遠ざかっている。
◆チーム2つ目のバントミスで、同点機をつくることができなかった。1点を追う6回。整備直後の攻撃で、先頭の1番近本は四球で出塁を果たした。生還すれば同点の走者。2番中野拓夢内野手(28)は犠打を試みたが、打球は三塁側ファウルへの小フライ。捕手山本がこの飛球をダイビングキャッチでつかみとり、1死一塁となった。今季すでに26犠打を決めている中野が、珍しい失敗となった。直後には3番森下が三ゴロ併殺打で3アウト。無死一塁の走者だったが、結果的に打者3人での無得点となった。この試合では3回の攻撃でも、無死一塁の場面で9番村上がバント失敗で走者を送れていなかった。
◆阪神村上頌樹投手(27)が、ピンチでの筒香斬りに絶叫だ。0-1の7回、先頭の山本、梶原に連打を浴びて無死一、三塁。続く京田の二塁ゴロでホームを突いた三塁走者の山本はアウトにしたが、なおも1死一、二塁のピンチは残った。ここで代打で筒香が登場。カウント2ボール2ストライクからの絶妙の149キロストレートをボールと判定され、村上は思わず両膝に両手をついた。だが気を取り直して投じた148キロストレートに、筒香は空振り三振。マウンドで村上は絶叫だ。続く桑原は10球目で中飛に。8回の打席で代打を送られ、村上は7回1失点で交代。8回表に味方が逆転し勝ち投手の権利を得た。
◆阪神大山悠輔内野手(30)が約4年ぶりに代打での出場を果たした。今季初のベンチスタートとなったこの日。1点を追う8回無死一塁の場面で、先発村上に代わって出場した。DeNA2番手伊勢に対し、フルカウントから130キロ変化球を捉えて左前打。一塁走者植田はスタートしており、一気に無死一、三塁とチャンスを拡大させた。直後に1番近本が左前に打球を運ぶ同点適時打。その後1死満塁にチャンスが広がり、4番佐藤輝の左犠飛で勝ち越しに成功した。逆転劇の流れを呼び込む、大きな仕事を果たした。大山の代打出場は21年11月6日CSファーストステージ巨人戦(甲子園)以来。その際にも左前打を放っていた。レギュラーシーズンでは21年9月21日中日戦(バンテリンドーム)以来の代打出場で、きっちり結果を残した。
◆途中出場組の2選手が連続長打でダメ押し点を挙げた。1点リードの9回1死二塁。まずは代走から守備についた8番植田海内野手(29)が、右翼越えの適時二塁打で追加点を挙げた。直後の1死二塁。同じく代走から途中出場した9番熊谷敬宥内野手(29)が、左翼越えの適時二塁打でリードを3点に拡大させた。 植田は昨季7月14日中日戦以来、約1年ぶりの打点となった。
◆阪神が今季最長タイの6連勝を飾り、2位広島とのゲーム差を今季最大の6に広げた。先発村上頌樹投手(27)は3回までパーフェクトの立ち上がり。しかし、4回先頭桑原に四球を与えると、二盗を許したあとに佐野に右越え先制適時右前打。1点を追う7回には無死一、三塁のピンチを背負ったが、後続を打ち取り、7回5安打1失点で降板した。DeNA先発はこの日まで今季対戦防御率0・45のケイ。今季7打数無安打と相性が悪い大山悠輔内野手(30)を今季77試合目で初めてスタメンから外し、5番にラモン・ヘルナンデス内野手(29)を並べる打線組み替えを図った。大山のベンチスタートは昨年6月4日楽天戦(甲子園)以来約13カ月ぶり。打線は、3回には2死二、三塁まで走者を進めたが、森下翔太外野手(24)が左飛に封じられた。4回2死からは小幡竜平内野手(24)が遊ゴロ失策で出塁も前川の打席でケイに二盗を読まれ盗塁死。さらに6回先頭近本光司外野手(30)が四球を選んで出塁したが、中野拓夢内野手(29)が送りバント失敗。続く森下が三ゴロ併殺に倒れ、ミスで好機を潰す場面が目立ち、ケイには7回2安打無失点と封じられた。8回には2番手伊勢から先頭坂本が中前打で出塁。温存した代打大山が左前打で続き無死一、三塁にすると近本の左前打で同点に。1死満塁から佐藤輝明内野手(26)が勝ち越し左犠飛を放った。阪神先発村上は5月30日広島戦(マツダスタジアム)以来、約1カ月ぶりのリーグトップ8勝目を挙げた。
◆DeNAが首位阪神に逆転負けを喫し、6・5ゲーム差に広げられた。7回まではリードするも、8回に2失点で逆転されると、9回には一挙5失点。終わって見れば6点差の大敗となった。幸先よく先制点を挙げたはずだった。4回先頭、今季初対戦の阪神村上を相手に桑原が四球を選んだ。2球目ですかさず二盗を決めて無死二塁。足でかき乱すと2番の佐野が追い込まれながらも、内角高め直球を引っ張った。上からひっぱたくようにした打球は右翼ポール際のフェンス最上部を直撃。当たりが良すぎて単打となったが、二塁走者桑原が本塁に生還し、先制に成功した。試合前まで先制した試合は27勝4敗3分けと圧倒的な勝率を誇っていた。この1点を守り切るべく、先発のケイは7回2安打無失点と好投。「今日は与四球が多く状態はあまりよくなかったが、ゾーン内でしっかり勝負することができました。クリーンナップへのつながりを切ることで粘り強く無失点に抑えることにつながったと思います」と先発の役割を果たした。打線は追加点を奪うべく7回、先頭山本の二塁打と梶原の右前打で無死一、三塁とチャンスメーク。しかしもぎ取りに行った1点が取れなかった。打席の8番京田はバントの構えを見せ、カウント2-1からの4球目で走者2人がスタートを切ってスクイズを敢行。しかし、変化球にファウルとなって追い込まれた。その後、強攻に転じたDeNA。一走・梶原がスタートを切り、京田の当たりは平凡な二ゴロとなった。これに三走・山本が三本間で挟まれてタッチアウト。1死一、二塁とされた。続く代打筒香は空振り三振に倒れ、桑原も中飛で無得点に封じられた。すると1点リードで登板した2番手伊勢が捕まった。先頭坂本、代打大山の連打で無死一、三塁と前の回のDeNAと同じ状況を作られ、1番近本に左前へ同点適時打とされた。さらに1死満塁から佐藤輝に左犠飛を打たれて逆転を許した。9回には救援陣が阪神打線を止められない。中川が植田、熊谷に連続適時打を浴びると、古巣対決の岩田も近本、中野に連打を浴びた。この日昇格した松本凌も佐藤輝に適時打を浴び、この回一挙に5安打5失点。試合を決定付けられ、3万3539人が集まったはずのスタンドは右翼席、一塁側内野席などDeNA側は空席だらけに。首位阪神とは6・5ゲーム差に広げられ、連勝は3でストップした。
◆DeNAが首位阪神に逆転負けを喫し、6・5ゲーム差に広げられた。7回まではリードするも、8回に2失点で逆転されると、9回には一挙5失点。終わって見れば6点差の大敗となった。試合後の三浦大輔監督のテレビインタビューは、以下の通り。-ツメの部分が8、9回、そうですね。-1点取れてればという場面もあそこ(7回)で取れなかったのが響きましたね。-伊勢は負け投手に今までずっとよく頑張ってくれてましたからね。-課題が9回にそうですけど、その前ですね。-ケイは好投したが良かったですし、ケイの勝ちも消えてしまって申し訳なかったです。-首位とは2連戦が残る。何かを変えるチャンスだが変えないといけないです。明日です。
◆虎の4番が勝負強い! 阪神佐藤輝明内野手(26)が、勝ち越し決勝犠飛で今季最長タイの6連勝を導いた。1-1の同点に追いついた8回、1死二、三塁で3番森下が敬遠されると一瞬怒りをにじませたが、冷静な軽打で左翼に打ち上げた。9回にもダメ押し適時打を放ち、トップ森下に並ぶ53打点で本塁打との2冠に返り咲いた。チームは主砲の2安打2打点で貯金を13とし、敗れた2位広島とのゲーム差を今季最大の6に広げて独走態勢に入った。佐藤輝は静かに集中力を研ぎ澄ませていた。1-1の同点に追いついた直後の8回1死二、三塁。前打者森下が2ボールから申告敬遠で歩かされた。ビジターながら、虎党の盛り上がりは最高潮。4番は表情を一瞬ゆがませながらも、冷静に打席へと向かった。「まあ、それも作戦なので。僕は自分の仕事に集中していました」DeNA2番手伊勢との対戦で、初球は低めの134キロフォークを空振り。2球目はファウルで追い込まれたが、ここから粘りを見せた。続けてきた直球に食らいつき、低めのフォークにも手を止めた。フルカウントまで持ち込んでの8球目。133キロのフォークを拾い、飛距離十分の決勝犠飛を左翼に打ち上げた。「何とか最低限の仕事をすることができました」。8度のV打点は13度の森下に次いで大山と並ぶリーグ2位だが、淡々とした表情は不変。一喜一憂しない姿も真の4番らしくなってきた。前打者が敬遠を受けての勝負は、初めてではなかった。6月8日のオリックス戦でも1死二、三塁で3番森下が申告敬遠。それまで無安打だった自身との対戦を選ばれ、痛快な満塁本塁打で意地を見せた。再び4番に勝負を挑まれるケースだったが、ハートは熱く、頭は冷静に威厳を誇示。一挙5得点を挙げた9回2死二塁では、とどめの右前適時打も決めた。「あの回はみんな良いバッティングをしていたので。よかったです」。2安打2打点で森下に並ぶ両リーグトップの53打点目。両リーグ断トツの20本塁打と合わせて2冠に返り咲いた。2ストライクから見せた逆方向への対応力。豪快な一打も魅力だが、今季は広角なミート力も光る。中堅から左方向への打球を意識しつつ、各コースのイメージは違う。「真ん中を振る時はセンターに飛ぶイメージをしますよね。内側はやっぱり引っ張るのが効率はいい。ココに打つという(意識)はあまりないですね」。素振りから基本を大切に、確実性を上げている。チームはこれで今季最長タイの6連勝で貯金13。この日巨人に敗れた2位広島とのゲーム差も今季最大6差に広げ、いよいよ独走態勢だ。「みんな耐えるところはしっかり耐えているので。いい結果が出ているのでよかったと思います」。勝負強い4番が首位快走を引っ張っている。【波部俊之介】
◆阪神大山悠輔内野手(30)が4年ぶりの代打で逆転勝利を演出した。打撃不振だった昨年6月4日の楽天戦(甲子園)以来、約1年ぶりのベンチスタート。それでも集中力はマックスだった。1点を追う8回無死一塁、村上の代打で登場すると、2番手伊勢の高めに浮いたフォークを逃さなかった。左翼席を埋めたハマの虎党の前ではずむ左前打。無死一、三塁に好機を広げ、近本の同点打、佐藤輝の決勝犠飛を呼び込んだ。「全員の力の勝利だと思います。すごくよかったんじゃないかな」。代打は21年11月6日のCSファーストステージ巨人戦(甲子園)以来で、その試合でも安打をマーク。レギュラーシーズンでの快音は、20年6月28日のDeNA戦(横浜)以来、5年ぶりだった。藤川采配もずばりだった。前日3日の巨人戦で3安打した5番をあえてベンチに下げた。今季DeNA先発ケイに7打数無安打の相性もあっただろうが、藤川監督は「大山が今日は少し休養といいますか。ジャイアンツ3連戦の時の汗の量とか考えて」と、真の意図は積極的休養だったと明かした。「(他球団も)動かしていないオーダーだけど、やらなければいけないんじゃないかと。巡りよく、その後ス、ス、スと自分たちの選手たちが躍動した」。77試合スタメンを張ってきた大山に少し英気を養ってもらう英断。植田や熊谷らナインが代わる代わる起用に応え、層の厚さも感じる勝利に表情を崩した。代打の神様役を全うした大山は、首位を快走するチーム状況をこう分析した。「それはもう、人の力だと思います。1試合1試合、勝つために試合ができている」。だから虎は強い。【伊東大介】
◆阪神は途中出場の2選手が連続長打でダメ押し点を挙げた。1点リードの9回1死二塁。代走から途中出場の植田海内野手(29)が、右翼越えの適時二塁打で追加点。直後の1死二塁には、同じく代走から出場した熊谷敬宥内野手(29)が左越え適時二塁打で追加点を挙げた。熊谷は「次の1点も大事。近本さんにつなごうという気持ちもあったので」。今季初安打の植田は「早く1本くらいは打ちたいと思っていたので良かった」と笑顔を見せた。
◆攻めの一手が実らなかった。DeNAが追加点のチャンスを逃して痛恨の逆転負けに沈んだ。1点リードの7回無死一、三塁、打席の京田はバントの構えを見せ、セーフティースクイズをうかがう。さらにカウント2-1からの4球目、チームにとって今季初のスクイズを敢行。しかし変化球にファウルとなって追い込まれた。その後ヒッティングに切り替えるも、一走・梶原がスタートを切った中で京田の当たりは平凡な二ゴロに。これに三走・山本が三本間で挟まれてタッチアウトで1死一、二塁とされた。続く代打筒香は空振り三振に倒れ、桑原も中飛で無得点。リードを広げられなかった。直後の8回に2番手伊勢がつかまって2失点で逆転を許すと、9回にも救援陣がつかまり一挙5失点。3万3539人が詰めかけたはずのスタンドは、突然の雨にも見舞われて空席だらけに。三浦監督は「あそこ(7回)で取れなかったのが響きました。追加点が欲しいところで取れなかったのは自分の責任だと思います」と言葉を絞り出した。4位に転落し、首位阪神と6・5ゲーム差。切り替えるしかない。【小早川宗一郎】
◆阪神坂本誠志郎捕手(31)が逆転の口火を切った。1点を追う8回先頭。カウント2-2から、DeNA伊勢の148キロ直球を捉えて中前打。さらに代打大山、近本と連打が続いて一挙同点。佐藤輝の決勝犠飛を呼び込んだ。「流れが打たせてくれたというか。あそこで塁に出られたら、こっちに一気に流れが来るところ。何でもよかったけど、いい出塁になったと思います」。村上ら投手陣も好リードでサポートし、充実の勝利になった。
◆阪神が逆転勝利をおさめ、今季最長タイ6連勝で2位とのゲーム差を今季最大の6とした。先発の村上頌樹投手(27)は3回まで完全投球。4回に先制を許し、5、7回とピンチを背負うも追加点を許さず7回を5安打2四球4奪三振の1失点だった。5月30日広島戦以来約1カ月ぶりの白星。巨人山崎と同日に8勝目を挙げリーグトップタイを継続させた。打線は村上の降板直後の8回に2点を入れて逆転。9回は一挙5得点だった。
◆阪神近本光司外野手(30)が同点打を決めた。0-1で迎えた8回無死一、三塁。DeNA2番手伊勢の初球の148キロストレートを左前に運んだ。「初球からいい結果になったので、よかったなと思います」。9回にも元阪神の岩田から右翼線にダメ押しタイムリー二塁打を放つなど猛打賞。「まだ自分たちらしい試合の運び方ではないですけど。でも自分たちらしい守りの野球ができているんじゃないかな」と試合内容を振り返った。
◆阪神逆転直後の8回は石井大智投手(27)が抑えた。2-1の8回に登板し、2番佐野から始まる相手打順を3人でぴしゃり。「頌樹が粘って粘っていいピッチングをしてくれていたんで。いいピッチングしても報われないというか、勝ちがついてなかったんで、今日はなんとしても頌樹に勝ちをつけたい」と熱い思いで腕を振った。打球が頭部に当たっての戦列離脱から復帰後、初の連投だったが「感覚はいいので、これを継続して結果につなげられるように頑張ります」と頼もしかった。
◆阪神が今季最長タイの6連勝を飾り、2位広島とのゲーム差を今季最大の6に広げた。先発村上頌樹投手(27)は4回の1失点のみの7回5安打1失点とゲームメーク。打線は今季苦戦してきたDeNA先発ケイに、大山悠輔内野手(30)を今季初ベンチスタートさせる組み替えで臨んだ。ケイには7回無得点と抑えられたが、8回からの継投に活路。2番手伊勢から先頭坂本が中前打で出塁。温存した代打大山が左前打で続き無死一、三塁にすると近本の左前打、1死満塁から佐藤輝勝ち越し左犠飛などで勝ち越した。村上は5月30日広島戦(マツダスタジアム)以来、約1カ月ぶりのリーグ単独トップ8勝目を挙げた。
◆DeNAが、首位阪神に痛恨の逆転負けを喫し、ゲーム差を6・5に広げられた。7回までは1点リードしたが、8回に伊勢が2失点で逆転され、9回には一挙5失点で試合を決められた。終わってみれば6点差の大敗だった。試合前まで先制した試合は27勝4敗3分けと圧倒的な勝率だったが、相手に渡した流れは戻らなかった。1点リードの7回無死一、三塁で追加点が奪えず、8回に近本の同点適時打、佐藤輝に勝ち越し犠飛を浴びた。その裏の攻撃を3者凡退に抑えられると、9回は1死二塁から4者連続の適時打を浴びるなど、5点を失った。その直後、3万3539人に発表された観衆はDeNA側の右翼席、一塁側内野席などが空席が目立ち始め、スタンドが黄色で染まった。三浦大輔監督(51)は「先制できたのは良かったですけど、7回ですよね。もう1点という追加点のところがね。追加点が欲しいところで取れなかったのは自分の責任だと思います」と話した。チームは連勝が3でストップし、再び4位に転落。3位巨人とはゲーム差なし、2位広島とは0・5ゲーム差、首位阪神とのゲーム差は6・5に広がった。
◆首位阪神が、DeNAに逆転勝ちし、6連勝で2位広島との差を6ゲームに広げた。1点を追いかける8回に近本の適時打で追いつき、佐藤輝の犠飛で勝ち越した。9回には4者連続の適時打が飛び出すなど、一挙5得点で試合を決めた。交流戦終了時点では、2位DeNA、広島と3・5ゲーム差だったが、2位との差は6ゲームに開いた。4位だった巨人とは4・5差だったが、6・5ゲームに広がった。昨季は、シーズン前半戦終了時点で、首位巨人から、4位の阪神までが3・5ゲーム差だったが、今季は投打ともに充実する阪神が、一気に抜けだしそうな雰囲気が漂う。その一方で、パ・リーグは首位オリックス、2位日本ハムがゲーム差なしで、3位ソフトバンクは1ゲーム差。4位西武は4ゲーム差で、大混戦の様相を呈する。
◆阪神佐藤輝明内野手(26)が、4日のDeNA戦で決勝の犠飛を含む2打点で53打点とし、リーグトップタイに浮上した。打点争いで、チームメートの森下翔太外野手(24)に並び、20本塁打でトップの本塁打とともに、佐藤輝がリーグ2冠に立った。チームは6連勝を飾り、2位広島との差を6ゲームに拡大。3番森下、4番佐藤輝の打点王コンビが、打線をけん引する。打率では、阪神中野拓夢内野手(29)が打率3割7厘で2位。リーグトップの打率3割1分の広島ファビアンを追いかける。パ・リーグでは、日本ハムのレイエスが、本塁打、打点ともにリーグトップで2冠に立つ。
◆阪神ナインがDeNA・岩田将貴投手(27)と交流。グラウンドに姿を見せると、先に練習を終えた岩田が三塁ベンチへ。昨年限りで阪神を戦力外となり、DeNAに加入した岩田は、シーズンでは初めて1軍に帯同して古巣との一戦を迎えることになった。2021年ドラフト同期で同級生でもある佐藤輝明内野手(26)、栄枝裕貴捕手(27)ら昨年までのチームメートと和やかに談笑。久しぶりの再会を楽しむ様子があった。
◆DeNA・大貫が5日の阪神戦(横浜)に先発登板する。前回登板した6月21日のロッテ戦では2年ぶりの完封勝利。「間が空いたので実戦感覚を早めにつかみたい」と語った。首位を走る阪神とは今季3度目の対戦。「全員、注意しないと。僕たちは上(の順位)に行かないといけないので、しっかりチームに貢献できるように」と今季3勝目を見据えた。
◆阪神のジョン・デュプランティエ投手(30)が5日の13回戦に先発する。この日は試合前練習に参加しキャッチボールなどで調整。DeNA・牧と楽しそうに談笑する姿があり、「ジャクソンを通して1回喋ったことがあった。前にストレートをホームラン打たれてしまったので、『次は打たないで』って。それは冗談ですけど(笑)」と会話の内容を明かした。5月29日の11回戦(甲子園)で0-1の四回に牧に同点ソロを被弾。これが来日初被本塁打だった。対戦成績は8打数2安打、1本塁打、3三振。リーグ2位タイの13本塁打を放つハマの主砲について、デュプランティエは「攻める姿勢を持っていて、長打だったり相手チームに大きなダメージを与えられるバッター。対戦するのはすごく楽しみだね」とリベンジの機会を心待ちにした。
◆5回3失点でプロ初白星を挙げた中日戦から一夜明け、DeNA・小園はランニングなどで汗を流した。来週は5試合で先発の枚数が限られることなどから、出場選手登録を外れた。前夜は4四球を与えて毎回走者を背負っただけに「無駄な四球を減らすのは第一。もっと強いストレートを投げられるように。満足してはいけない」と口にしていた。
◆DeNAのドラフト4位・若松(四国IL高知)が、初の1軍昇格を果たした。救援として期待される最速152キロ右腕は明るい表情で試合前練習に臨み「横浜スタジアムの雰囲気はいいですね。改めて良さを感じた。あとはここで結果を出すだけ」と意気込んだ。イースタン・リーグでは22試合に登板し、1勝1敗、防御率2・81。先発で短いイニングを投げるショートスターターや回またぎも経験し、直球とフォークボールに重点を置いて磨きをかけてきた。三浦監督は「力のあるボールを投げていると報告を受けている」と明かし、若松は「どこでも行ける準備をしてきた」と頼もしく語った。札幌市出身。札幌第一高から進んだ札幌学院大3年時に外野手から投手に転向した経歴を持つ。独立リーグの高知は、阪神の藤川監督も現役時代に所属したチーム。2月の練習試合の際に「やっとプロの舞台に来たね。まだまだここから」と励まされ、この日の試合前にもあいさつに訪れた。大原チーフ投手コーチは救援の勝ちパターンを担う伊勢、ウィック、入江に次ぐ「4番目の男が重要。もう一枚いれば安定する」と話しており、宮城、中川らを候補に挙げていた。投手歴が浅く伸びしろがある25歳は、まずは1軍定着、そして〝4番目の男〟に名乗りを上げたいところだ。(鈴木智紘)
◆阪神・村上頌樹投手(27)が先発し、四回に先制点を献上した。5月30日の広島戦(マツダ)以来、1カ月を超える白星を目指す、今季初のDeNA戦登板は、積極的打線相手に三回までは緩急を駆使しながら的を絞らせず、28球でパーフェクトに抑えていた。しかし打順が2巡目に入った四回は四球で歩かせた先頭・桑原に二盗を決められ、佐野との勝負。高めの146㌔直球をとらえられると打球は弾丸ライナーで右翼フェンスに直撃し、先制の1点を刻まれた。
◆今季初めてDeNAとの対戦となった阪神・村上頌樹投手(27)は7回1失点で降板となった。三回までパーフェクトと上場の立ち上がり。四回に佐野に適時打を浴びて先制を許すも、そこから六回までは危なげない投球を披露した。七回には連打で無死一、三塁とこの日最大のピンチを背負ったが、ここでギアをあげた。京田を二ゴロに打ち取り、三塁走者を挟殺でアウトにして1死一、二塁とすると、代打・筒香を直球で空振り三振。続く桑原にも直球勝負。粘られながらも10球目で中飛に打ち取り、大きく吠えた。八回の攻撃で代打が送られ、7回105球で降板した。村上の5安打1失点と気迫の投球に攻撃陣も応え、八回に逆転に成功。5月30日の広島戦(マツダ)以来となる白星の権利を手にした。
◆阪神が1点を追う八回に逆転に成功。先発し7回1失点と好投していた村上に8勝目の権利を届けた。先発した村上が七回無死一、三塁のピンチを無失点で抑え、0-1で迎えた八回。先頭の8番・坂本が中前打で出塁し、続く村上の代打として、この日381日ぶりにスタメンを外れた大山悠輔内野手(30)が登場。名前がコールされると、場内の虎党からあふれんばかりの拍手が湧き起こる。DeNAの2番手・伊勢と対峙し、フルカウントから高めに浮いたフォークを左前へはじき返した。スタートを切っていた植田は一気に三塁へ。2020年6月28日のDeNA戦(横浜)以来、5年ぶりとなる代打安打で無死一、三塁の絶好機を演出した。チャンスで打席には近本光司外野手(30)。初球の148キロ直球を逆方向へはじき返して、同点の左前適時打。続く中野が犠打を成功させ、森下が申告敬遠。1死満塁で打席に立った佐藤輝明内野手(26)が勝ち越しの犠飛を放ち、終盤に試合をひっくり返した。
◆阪神が逆転勝利を収め、今季最長に並ぶ6連勝。先発の村上頌樹投手(27)は四回に1点を失うも、気合の投球を披露。七回には無死一、三塁のピンチを招くも、直球勝負で無失点に抑えて試合の流れを変えた。攻撃陣は、直後の八回、先頭の坂本誠志郎捕手(31)と、この日約1年ぶりの代打出場となった大山悠輔内野手(30)の連打で無死一、三塁を作ると、まずは近本光司外野手(30)の適時打で同点。なおも中野拓夢内野手(29)の犠打と森下翔太外野手(24)の申告敬遠で1死満塁を作り、佐藤輝明外野手(26)の左犠飛で勝ち越した。九回には途中出場の植田海内野手(29)、熊谷敬宥内野手(29)の適時打などで一挙5点を奪った。村上は5月30日以来となる白星で8勝目を挙げ、2位との差を今季最大の6ゲームに広げて独走態勢に入った。
◆八回無死一塁、代打で左前打を放つ阪神・大山悠輔=横浜スタジアム(撮影・松永渉平)
◆DeNAは終盤にリリーフ陣が崩壊して、連勝が3で止まった。先発・ケイが7回2安打無失点と好投。打線は四回に佐野の適時打で先制した。だが七回に無死一、三塁のチャンスを生かせず痛恨の無得点。すると直後の八回に2番手・伊勢が2失点で逆転を許すと、九回に中川、岩田、松本凌の継投で5安打5失点と打ち込まれた。勝率は再び5割。6連勝とした首位・阪神との差は6・5ゲーム差に広がり、巨人と入れ替わって4位に後退した。
◆DeNA・ケイは7回2安打無失点の力投。3四球と制球に苦しみながらも粘り、「状態はあまりよくなかったが、ゾーン内でしっかり勝負することができた」と振り返った。105球を投じたタイミングで代打を送られて降板。6勝目の権利を手にしたが、2番手の伊勢が逆転を許して4戦ぶりの白星はならず。防御率1点台で先発陣の一角を担う左腕の力投は報われなかった。
◆現役時代は南海、西武に所属し、引退後は西武、ダイエー、阪神の3球団でヘッドコーチを務めたサンケイスポーツ専属評論家・黒田正宏氏(77)は八回無死一塁で代打に大山悠輔内野手(30)を送った阪神・藤川球児監督(44)の采配に言及した。藤川監督の采配がハマって逆転勝ちしたが、ケイにはまた苦しんだ。ケイを苦手とする大山まで外して、左打者を並べたが結局、攻略はできなかった。腕の振りが素晴らしく、右打者の内角へカットボール、スライダー、外角へチェンジアップを投げ分けて、両サイドを広く使って投げてくる。右打者には投げやすいのだろう。ところが、左にはチェンジアップが投げにくそうに映る。1つ球種が減る分、左打者はわずかに対応しやすくなる。が、右打者は少々荒れ気味ながら切れ味鋭く食い込んでくる変化球に封じ込められてしまう。阪神にとっては、何とも厄介な投手。左打線で工夫していくのは間違ってはいない。ケイに苦しみ抜きながらも勝利できたのは、藤川監督の采配だ。ベンチスタートさせた大山を八回無死一塁で代打に送った。セオリーならバント要員を送るケースだが、あえて一気に逆転を狙った作戦。勝負勘が冴えていた。一塁走者も植田に代えて投手を揺さぶり、大山がより打ちやすい状況を作った。決勝犠飛の佐藤輝も、以前なら振っていた低めのボール球を見極めて、軽打できるようになった。藤川監督は、接戦で終盤までもつれ込めば、勝機があると確信しているのだろう。強さを感じた試合だった。
◆阪神が逆転勝ちで今季2度目の6連勝。1点を追う八回無死一塁、2024年6月4日楽天戦(甲子園)以来のベンチスタートとなった大山悠輔内野手(30)の左前打で好機拡大。一、三塁で近本光司外野手(30)が左前に同点打。さらに1死二、三塁から森下翔太外野手(24)の申告敬遠後に佐藤輝明内野手(26)の左犠飛で勝ち越した。九回は植田海内野手(29)、熊谷敬宥内野手(29)の連続二塁打、近本、佐藤輝の適時打などで、5点を奪った。7回1失点の村上頌樹投手(27)は5月30日広島戦(マツダ)以来の白星で8勝目(2敗)。八回を抑えた石井大智投手(27)は24試合連続無失点。
◆DeNAは接戦が一転、終盤に救援陣が崩れて大敗を喫した。1-0の八回から2番手で登板した伊勢が、先頭から3連打を浴びるなどして逆転を許した。防御率1・85と安定感があり、ブルペン陣を支える右腕は責められない。三浦監督が「追加点が取れず流れが変わってしまった」と指摘した通り、1-0で迎えた七回の攻撃が勝負の分かれ目となった。六回まで3安打に抑えられた阪神先発の村上を攻めて無死一、三塁としたが、京田がスクイズを決め切れず、ヒッティングに切り替えて二ゴロに。代打の筒香は空振り三振、桑原は中飛に倒れた。ギアを上げた村上に圧倒され、一気に流れを奪われた。連勝が3で止まり、勝率5割に逆戻りして4位に後退。首位に立つ阪神とのゲーム差は6・5に広がった。三浦監督は「(流れを)変えないといけない。明日です」と努めて前を向いた。
◆阪神が逆転勝ちで今季2度目の6連勝。1点を追う八回無死一塁、2024年6月4日楽天戦(甲子園)以来のベンチスタートとなった大山悠輔内野手(30)の左前打で好機拡大。一、三塁で近本光司外野手(30)が左前に同点打。さらに1死二、三塁から森下翔太外野手(24)の申告敬遠後に佐藤輝明内野手(26)の左犠飛で勝ち越した。九回は植田海内野手(29)、熊谷敬宥内野手(29)の連続二塁打、近本、佐藤輝の適時打などで、5点を奪った。7回1失点の村上頌樹投手(27)は5月30日広島戦(マツダ)以来の白星で8勝目(2敗)。八回を抑えた石井大智投手(27)は24試合連続無失点。チームは2位広島に今季最大の6差とした(成績=44勝31敗2分、観衆=3万3539人)。今季初安打が適時二塁打の植田海 「ヒット、僕だけっすよね? 打ってなかったの。早く打ちたいというか、一本くらいはと思っていたので、良かったですね。今日はバッティング練習でも良かったので」植田に続いて適時二塁打の熊谷敬宥 「海がいい形でつないでくれたので...。(一塁の守備は)実際は飛んでくるな、と思いながら...」八回に登板した石井大智 「頌樹が粘って粘って、良いピッチングしてくれたので、前回とか、前々回とか報われてないというか、勝ちがついていなかったので、何としてでも頌樹に勝ちをつけたいと思った」八回の逆転劇に村上頌樹 「今日も誠志郎さんが出たので、何とか1点と思いながら応援してました」6連勝に近本光司 「いい形かどうかは分からないですけど、6連勝という事実はあるので...」森下への申告敬遠後の決勝犠飛に佐藤輝明 「それも作戦なのでね。僕は自分の仕事に集中していました」代打安打で逆転劇をおぜん立てした大山悠輔 「全員の力の勝利だと思います」七回無死一、三塁の窮地をしのいだ坂本誠志郎 「僕の思いとしては頌樹と2人で、打たれるにしても抑えるにしても、後悔のないように、というか、『この試合を僕ら2人で勝負を決めたろう』という思いで...」初の一塁スタメンにラモン・ヘルナンデス 「日本では初めてですけど、過去に何度も守っているので全然問題なかった。こうやって大山選手が少し休めた時に自分が貢献できたのであれば...」
◆DeNAの先発のアンソニー・ケイ=横浜スタジアム(撮影・水島啓輔)
◆足のスペシャリストコンビが、続けて打で輝いた。1点リードの九回、まずは阪神・植田海内野手(29)が快音だ。「ヒット、僕だけっすよね? 打っていなかったの。一本くらいはと思っていたのでよかった」実際には他にも無安打の選手はいるが、それほど必死だった。八回に代走で出場すると、九回1死二塁の打席でDeNAの3番手・中川から右翼線へ適時二塁打。代走での出場が中心でありながら、6月29日に国内フリーエージェント(FA)権の資格取得条件を満たした男が、今季4打席目で待望の初安打初打点を刻んだ。そして、熊谷も続く。1死二塁で左越えへ適時二塁打。自己最多タイの今季3打点目とし「(植田)海がいい形でつないでくれたので」と振り返った。近本にも右翼線へ適時二塁打、中野にも中前適時打が出て、4連続適時打となった。八、九回の守備では植田は左翼を、熊谷は今春から野球人生で初めて挑戦した一塁を守った。熊谷は「実際は飛んでくるなと思いながら...」と汗をぬぐったが、なんでもこなす頼もしい存在が、虎の快進撃を支える。(須藤佳裕)
◆最後の力をふり絞り、渾身(こんしん)の直球を投げ込んだ。阪神・村上頌樹投手(27)が粘りの投球で7回1失点。絶体絶命のピンチを切り抜けて、三塁側からの「村上コール」に包まれながら、虎のエースはマウンドを降りた。「1点もあげられない、向こうもどうにか1点という形でしたけど、落ち着いて投げられたと思います」0-1の七回に無死一、三塁のピンチを招いた。抑えなければ、試合の形勢が決まる-。1点も与えられない場面でも気迫を前面に腕を振った。京田を二ゴロに打ち取ると、続く代打・筒香を直球で空振り三振。桑原に対しては「ストレートのかかりが良かったので、そこで押した」と、投じた10球中9球が直球。最後は148キロ直球で打ち取り、淡路島の先輩である中堅・近本のグラブに収まった。裏の攻撃で代打が送られて降板した。それでも近本の同点打、佐藤輝の勝ち越し犠飛で試合をひっくり返し、5月30日の広島戦(マツダ)以来、約1カ月ぶりの今季8勝目。この日同じく勝利した同学年の巨人・山崎と並びリーグトップの勝ち星を挙げている。「負けないピッチャー、どれだけ苦しいところでも勝ち切れるのがエースだと思う。そんな投手になっていけたら」村上は理想のエース像を掲げる。「金曜日の男」を任され、各球団のエース級との対決の中で積み重ねた8勝。厳しい状況でも結果を出し続けることが、エースの座へとつながる道だ。「この一年間、金曜日で回らせてもらえれば、自信にもなると思う」。少年時代に憧れた藤川監督から託されたポジションは決して譲るつもりはない。DeNAの先発・ケイとのしびれる投げ合いを制した姿に、藤川監督は「一球一球の精度の高さが戻った。少し安心した」とうなずいた。「自分に(勝ちが)付くというより、チームに勝ちが付くことが一番。カード頭を取れたのがうれしいです」チームの金曜の連敗も「3」で止めてみせた。ここから再び、村上も連勝街道を突き進む。(萩原翔)
◆阪神・坂本は村上とつかんだ勝利を誇った。「『この試合、僕ら2人で勝負を決めたろう』という思い。あそこをゼロでいったら後ろにチャンスがあるかな、と思っていた」。桑原を直球攻めで中飛に仕留めた七回のピンチでの心境を明かした。青写真通りの直後の八回の逆転劇は、自らが先頭で中前打を放って起点に。「何とか塁に出られたら流れが一気にこっちに来るというところ。何でも良かったけどいい出塁になった」と胸を張った。
◆大山に代わって「5番・一塁」で出場した阪神・ヘルナンデス(前メキシカンリーグ)は来日初の一塁守備を無難にこなした。「日本では初めてですけど、過去に何度も守っているので全然問題なかったです」と振り返った。打席では3打数無安打と振るわなかったが「こうやって大山選手が少し休めたときに自分が貢献できたのであれば(よかった)。チームに言われたところで貢献するだけ」と謙虚に語った。
◆勝ち越した直後の八回から2番手でマウンドに上がった阪神・石井は、2番・佐野からの好打順を三者凡退。「きょうは何としても(村上)頌樹に勝ちをつけたいと思って。最高の形で抑えられたと思います」と振り返った。打球が頭部直撃してからの復帰後、初の連投となったが「感覚はいいので、これを継続してしっかり結果につなげたいと思います」。これで24試合連続無失点。防御率は0・33となった。
◆今季初めてスタメンを外れ、ベンチで戦況を見守り続けた阪神・大山が、午後8時半過ぎ、ようやく打席に立った。0-1で迎えた八回無死一塁。実に5年ぶりの代打安打でチャンスを拡大し、逆転劇をお膳立てだ。「全員の力の勝利だと思いますし、すごくよかったんじゃないかなと思います」代打出場自体、21年9月21日の中日戦(バンテリンドーム)以来、4年ぶりだった。フルカウントからDeNAの2番手・伊勢のフォークを左前にはじき返す。スタートを切っていた一走の植田は一気に三塁へ。20年6月28日のDeNA戦(横浜)以来の代打安打で、無死一、三塁の絶好機を演出した。開幕から主に「5番・一塁」で全76試合に先発出場してきた。大山の名前が先発メンバーにないのは、2軍に落ちていた昨年6月18日の日本ハム戦(甲子園)以来で、1軍にいながらスタメン落ちするのは同6月4日の楽天戦(甲子園)以来だった。右打者よりも左打者の方が苦手なDeNAの左腕・ケイに対し、阪神も今季、右打者が苦戦中。試合前時点で、計34打席(29打数)無安打。大山も7打数無安打だった。前日3日の巨人戦で猛打賞を記録するなど状態は上向いていたが、藤川監督は「きょうは大山が少し休養といいますか」などと説明した。酷暑の屋外連戦での移動日に、苦手左腕-。〝積極的休養〟で「5番・一塁」にはヘルナンデスを入れ、左打者の前川を左翼で起用。結果的にケイにはまたも右打者不発で攻略できなかったが、終盤の「代打・大山」が、吉と出た。ひと振りで流れを引き寄せ「選手だけじゃなくてすべての人の力だと思いますし、一試合一試合、勝つためにできていると思う」と胸を張った大山。先発でも、そうでなくても、その背中で虎を引っ張っていく。(渡辺洋次)
◆阪神・近本が今季10度目の猛打賞と大暴れした。0―1の八回無死一、三塁では「初球からいい結果になったと思う」と同郷の後輩・村上の負けを消す左前同点打。九回は元チームメートの岩田から適時二塁打を放ち、三回の右前打と合わせて3安打だった。「まだ自分たちらしい試合の運び方ではないけど、自分たちらしい守りの野球はできているかな」とクールに先を見すえた。
◆歩かせれば俺がいる! 阪神はDeNAに7-1で勝利し、今季2度目の6連勝。1-1と同点にした直後、八回1死二、三塁で森下翔太外野手(24)の申告敬遠後、4番の佐藤輝明内野手(26)が左犠飛を放って勝ち越した。佐藤輝は今季、森下が敬遠された直後は2打席で計5打点。打点でもまた森下に並びリーグトップの「53」となった。2位広島とは今季最大の6ゲーム差だ。頼れる虎の4番のバットが、決勝点をたたき出した。粘って粘って、ひたすら食らいつき、白球を高々と左翼深くまで飛ばす。佐藤輝が熱く冷静な気持ちと、技術を詰めこんだひと振りで、逆転勝利の立役者となった。「なんとか最低限の仕事ができて、よかったです」遂行した〝最低限〟で〝最高〟の結果をもたらした。不動の5番、大山を休養させつつ、難敵のDeNA・ケイの攻略を目指した一戦だった。やはり苦戦し、0-1で迎えた八回。2番手・伊勢の前に先頭の坂本から代打・大山、近本の3連打で虎は1点を返す。なおも1死二、三塁で3番・森下に対し2ボールとなったところで、DeNA・三浦監督がベンチを立って申告敬遠を告げた。佐藤輝は静かな闘志を燃やし、打席へ向かった。「それも作戦なのでね。僕は自分の仕事に集中していました」前打者の敬遠後に打席に立つのは、満塁本塁打を放った6月8日のオリックス戦(甲子園)以来、今季2度目だった。2球で追い込まれるも、ポイントを近づけてファウルで食らいつく。低めの変化球も見逃しながら3―2となった8球目。フォークを打ち上げ、三塁走者の植田を勝ち越しのホームに迎え入れた。これで敬遠後は今季2打席で5打点。胸に秘める意地で、V打を運んだ。
◆ケイにまたまた抑えらた。でも、試合は爆勝。どれだけ苦労しても、最後に勝っていれば、すべてOK! 巨人からずっと、そんな感じだ。その巨人戦でのこと。某コーチが「関西に来るとテレビで万博の話題ばかり。東京ではあんまりだったので...」と不思議そうに話しかけてきた。今の関西は阪神タイガースが勝ったか? 大阪・関西万博に行ったか? が会話の〝基本〟だ。すでに4度も足を運んでいるのがトラ番・中屋友那。事前に情報を入手して、予約システムを駆使。多くのパビリオンを見たらしい。--キューバ館、見たか?この質問に、ニヤリと笑って、黙ってスマホの写真を見せてくれた。共同館「コモンズD」内にあるキューバ館の正面に飾られているのが、ロッテ、ソフトバンクで活躍したキューバ野球界の主砲・デスパイネの大きなパネル。なぜ万博にデスパイネ? 不思議な取り合わせではあるが、野球ファンは万博を身近に感じる。キャップ・須藤佳裕も先日、1回目の訪問を果たした。が、こちらは事前調査なしに突入。入社間もない時期に柔道世界選手権取材で訪れたハンガリー館に1時間以上並んで入った。ところが、その夜は大評判の打ち上げ花火の開催日。開場以来最高の人出になり、大屋根リング上が〝入場規制〟。須藤は万博に行って、大屋根リングに昇っていないという、まれな存在になってしまった。
◆ガ~ン...。これが、昔から言い伝えられている巨人戦後の『燃え尽き症候群』てやつ? 打線はDeNA先発のケイに対し、七回まで2安打に抑えられるわ、四回は小幡がけん制でアウトになるわ、六回には、今やバントの職人の中野がバントミスをし、さらに打点トップの森下がゲッツーといいことなしー!!ところが、猛虎は燃えつきていなかったやんか! 八回、2番手の伊勢から坂本がヒットで出塁すると、えええ~の代打・大山! いや、大山がどーのじゃなくて、前日に3安打しているからスタメン起用してほしかったけど...。藤川監督、あの場面は坂本に代走を出しているので、代打・梅野でバントをさせて、まずは同点狙いでいいんやないの~と正直、采配に不満気味...。スミマセンでした~!! 大山が見事にヒットでつなぎ、近本の同点打、そして佐藤輝の犠飛でひっくり返す名采配、おみそれ致しましたァ!!エース村上の力投が報われたし、伏兵の植田、熊谷にタイムリーも飛び出したし、7月はV街道まっしぐらとなりまっせ!!
◆さすがに苦しいかと思っていたら、流れをつかんで、一気にたたみかけた。今の阪神の地力を感じたね。DeNAの先発ケイが、代打を出されたために降板した八回だ。そこまで封じられていた強力左腕がいなくなると、走者1人が出るだけで、空気がガラリと変わるもの。また、その流れにポンと入り込めるのが、今の阪神。伊勢以下のリリーフ陣をあっという間に飲み込んだ。もちろん、流れを呼び込めたのは、先発・村上の力投もあればこそ。七回無死一、三塁のピンチから、相手のスクイズ失敗などがあったにせよ、追加点を許さなかった。しかも、「しのいだ」という表現ではない。京田、筒香、桑原の3人を、速球で「牛耳った」。あの回になってスピードが増して、ボールが生きていた。潜在能力の高さを見せつけたよ。先の巨人3連戦から、ロースコアの展開をことごとくモノにしている。うまいことはそうそう続かないと気を引き締めて、勝てるときに、しっかりとね。(サンケイスポーツ専属評論家)

<セ・リーグ順位表推移>
順位 | チーム名 | 勝数 | 負数 | 引分 | 勝率 | 首位差 | 残試合 | 得点 | 失点 | 本塁打 | 盗塁 | 打率 | 防御率 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 (-) |
阪神 |
44 | 31 | 2 | 0.587 (↑0.006) | - (-) |
66 | 260 (+7) | 169 (+1) | 42 (-) | 65 (+2) |
0.245 (↑0.001) | 1.970 (↑0.01) |
2 (-) |
広島 |
36 | 35 | 3 | 0.507 (↓0.007) | 6 (↓1) |
69 | 234 (-) | 223 (+1) | 36 (-) | 33 (-) |
0.245 (↓0.001) | 2.730 (↑0.02) |
3 (1↑) |
巨人 |
38 | 38 | 2 | 0.500 (↑0.007) | 6.5 (-) |
65 | 218 (+1) | 226 (-) | 46 (+1) | 32 (-) |
0.241 (↓0.001) | 2.610 (↑0.03) |
4 (1↓) |
DeNA |
36 | 36 | 3 | 0.500 (↓0.007) | 6.5 (↓1) |
68 | 238 (+1) | 216 (+7) | 41 (-) | 39 (+1) |
0.228 (-) | 2.700 (↓0.06) |
5 (-) |
中日 |
33 | 41 | 2 | 0.446 (↑0.008) | 10.5 (-) |
67 | 182 (+2) | 232 (+1) | 36 (-) | 49 (-) |
0.220 (-) | 2.910 (↑0.02) |
6 (-) |
ヤクルト |
21 | 47 | 4 | 0.309 (↓0.004) | 19.5 (↓1) |
71 | 186 (+1) | 289 (+2) | 33 (-) | 30 (-) |
0.220 (↓0.001) | 3.550 (↑0.02) |
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