1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 | 安 | 失 | 本 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
巨人 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 2 | 13 | 1 | 0 |
阪神 | 0 | 0 | 0 | 1 | 1 | 0 | 0 | 0 | 1X | 3 | 9 | 0 | 0 |
勝利投手:石井 大智(1勝0敗3S) 敗戦投手:マルティネス(1勝1敗26S) |

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◆阪神が5連勝。阪神は1点ビハインドの5回裏、代打・ヘルナンデスの犠飛で同点とする。そのまま迎えた9回には、無死満塁から豊田が犠飛を放ち、サヨナラ勝利を収めた。投げては、5番手・石井が今季初勝利。敗れた巨人は、打線が再三の好機を生かせなかった。
◆巨人横川凱投手(24)が今季初先発に臨む。前日2日は甲子園での試合前練習に参加。最後の調整を終え「今はチームの勝ち負けが一番大事なので。しっかり明日勝てるように、それにつながるピッチングができるようにしたいなという思いで練習していました」と力強く話した。巡ってきたチャンスを生かす。今季2軍戦では5試合に先発し4勝1敗、防御率1・80。結果を残してから1軍で先発する機会を得たことに「不安要素がない中でマウンドに上がれるというのは、すごい一番いい状態で、いいタイミングで投げさせてもらえるというのは感じます」と手応え十分。その一方で「まだ(チャンスを)つかんでいないので。これからつかみにいきたいと思います」と油断することなく、マウンドに上がる。甲子園は思い出深い球場でもある。大阪桐蔭時代の3年時には甲子園春夏連覇を達成。「高校の時は主軸で投げることがなくて、悔しい気持ちだった。舞台は違いますけど、しっかり投げて高校の先生とかにも結果で恩返しできるように」と誓った。
◆球場が騒然となった巨人阿部慎之助監督(46)の"退場劇"の舞台裏を当事者の証言から浮き彫りになってきた。2日の阪神戦で8回裏の本塁クロスプレーで山本球審は一度はアウトの判定も阪神藤川監督からのリクエストでセーフに判定が覆った。直後に三塁側ベンチから阿部監督が山本球審のもとに向かった。一塁塁審を務めた責任審判の吉本は抗議内容について「それはちょっと言えないっていうか」としつつも、阿部監督と審判団とのやりとりを明かした。吉本審判員 抗議はできませんよ。阿部監督 わかってます。吉本審判員 退場ですよ。阿部監督 はい。吉本審判員は阿部監督が投手交代だけを山本球審に伝えると思い、当初は一塁ベース付近にいたが「ちょっと自分の方は出遅れたんですけど。やっぱりリクエストに対する抗議だったので、警告という話をして、本人も『はい』と言って、退場ですと」と説明。さらに「警告というよりも、本来はリクエストの答えに対しては抗議はできないことになってる。一応、確認ですけど『監督もこれ以上、言ったらダメですからね』と言って『はい、わかってます』と本人も納得して、退場になったと」とも付け加えた。現役時代に捕手として自軍のホームベースを守ってきた阿部監督だけに譲れない部分が人一倍あったと推測できる。やや一塁側にそれた送球を捕球し、必死に走者の本塁進入を阻止しようとした甲斐拓也捕手(32)も同じだった。「全然タッチしてますよ。絶対タッチしてます。どこでどうセーフになったかという、間違いなくタッチはしてます。先にタッチしてます。自信はあります」と断言した。2連敗で負けられなくなった3戦目は横川凱投手(24)が先発マウンドに上がる。今季初先発の左腕は6月17日の1軍昇格後は中継ぎとして好投を続け、ここまで無失点投球を披露している。自身今季初勝利を目指したマウンドにもなる。
◆「伝統の一戦」は阪神が2連勝。第3ラウンドに備えて、甲子園の黒土はいつものように入念な整備が行われていた。前日2日の試合ではイレギュラーバウンドが試合の行方を左右した。0-0の8回2死一、二塁で阪神大山悠輔内野手(30)が放った強いゴロが遊撃手の目前で大きくはねて、体に当たった。その間に二塁走者の森下翔太外野手(24)が好走塁で本塁に突っ込み、決勝の1点が入った。甲子園がある兵庫県西宮市は阪神の練習日だった6月26日に雨が降って以来、好天が続いている。同27日ごろには異例の梅雨明けも発表された。グラウンド深部はかなりの水不足で、コンディションがよくない状態が続いている。グラウンド整備を担当する阪神園芸は練習前、試合前と黒土にしっかりと水をまき、適度な硬さの保持に努める。それでも天然の雨に比べると限界があるといわれている。
◆この日先発予定の阪神伊原陵人投手(24)が出場選手登録された。代わって、中継ぎ要員だった漆原大晟投手(28)が出場選手登録を抹消された。伊原は4月中旬に先発に転向してから5勝2敗、防御率1・23。巨人戦では初白星を目指す。漆原は6月8日の再登録後、2試合の登板で1回2/3を無失点、1ホールドを挙げていた。
◆巨人のスタメンが発表され、4番に増田陸内野手(25)が抜てきされた。初の起用で、巨人では第95代の4番打者となる。増田陸は4月23日中日戦で今季初出場すると、ここまで54試合出場で打率2割6分4厘、5本塁打、16打点の成績を残してきた。直近7試合連続で5番でスタメン出場していた。前日まで12試合連続で4番を務めていた吉川尚輝内野手(30)は今季初めてスタメンを外れた。前日2日の試合では、0-0の8回2死一、二塁で、阪神大山の遊撃への打球がイレギュラーする間に、二塁走者の森下が三塁を回って、ホームに突入。1度はアウトが宣告されたが、阪神藤川監督がリクエストし、リプレー検証の末にセーフに覆った。阿部監督は投手交代を告げる際に、球審へリクエストの結果に説明を求めたことが抗議とみなされ、退場が宣告された。今カードの伝統の一戦は阪神の2連勝中。打順を入れ替えた巨人が一矢を報いにいく。
◆巨人阿部慎之助監督(46)が全速力でベンチを飛び出した。試合開始直前のメンバー表交換で阪神藤川監督、審判団に脱帽してあいさつをした。前夜2日は8回裏の本塁クロスプレーの判定をめぐり、就任2年目で初の退場処分となった。退場を宣告した責任審判の吉本審判員が、この日は球審を務める。日本野球機構(NPB)は、2日の阪神巨人14回戦(甲子園)で退場処分を受けた巨人阿部監督に厳重注意と制裁金10万円を課したと発表した。
◆巨人の第95代4番の増田陸内野手(25)が早速、結果を残した。この日は自身初の4番でスタメン出場。初回1死一、二塁から阪神先発伊原のカットボールを捉え、左翼フェンス直撃の2点適時二塁打を放った。二塁ベースに到達すると、ベンチに向かって両手を掲げ、手をたたいた。増田陸は4月23日中日戦で今季初出場すると、試合目時点で54試合に出場。打率2割6分4厘、5本塁打、16打点の成績を残してきた。直近は7試合連続で5番でスタメン出場していた。
◆阪神小幡竜平内野手(24)が好守備でさらなる失点を防いだ。2点を先制された後の初回2死三塁。巨人坂本の三遊間へのゴロをスライディングキャッチ。すぐさま一塁に送球しアウトにした。この日の先発は同学年の伊原陵人投手(24)。いきなり2失点した左腕を救った。
◆阪神伊原陵人投手(24)が先発11試合目にして初めて1回に失点した。この日がリーグ戦再開後、初めての登板だった。初回、丸とオコエに連打を許して無死一、二塁。続く泉口の犠打は失敗となり、1死一、二塁とした。しかし、4番増田陸に左越え2点タイムリー二塁打を浴び、先制点を許した。伊原は4月中旬に先発に転向してから5勝3敗、防御率1・23(試合前時点)。巨人戦初白星を目指してマウンドに上がったが、立ち上がりにつかまった。
◆日刊スポーツ評論家の谷繁元信氏(54)が、初回の先制点の場面で繰り広げられた「駆け引き」をひもといた。テレビ中継の解説を務め、1回表に巨人で4番に初起用された増田陸内野手(25)が先制の2点適時二塁打をマークした場面に言及。1死一、二塁で阪神先発伊原の7球目の内角のカットボールを左翼線に運んだが、着目したのは6球目。外のツーシームをファウルしたが、「ファウルの仕方で、外のツーシームを打った時に(増田陸に)開きあったんですね。バッターはそれを見られたと思うと修正したがるんですけど、増田は(7球目も)そのままでした」と説明した。「だから打たれたんです。(捕手の)坂本が変に考えすぎた結果ですよね。普通なら外に落としておけば大丈夫だったんですけど、裏をかいて、相手が修正してくると駆け引きしたけど、負けました」と読み切った。
◆日刊スポーツ評論家の谷繁元信氏(54)が、解説を務めたテレビ中継で死球についての持論を述べた。3回2死、巨人のキャベッジ外野手の第2打席。阪神先発伊原が3球目に投げた内角高めのカーブが、左打席に入ったキャベッジの右肘に直撃した。その場面に谷繁さんは「よけてないですよね」と反応。「これは賛否両論ありますが」と前置きした上で、「ケガの防止で肘当てをつけてますよね。投手は不利です。肘当てをつけてなければよけるんです、痛いのは嫌なので」と説いた。確かにキャベッジは避けるのではなく、むしろ肘を出していくようなしぐさも見受けられた。その様子に「僕は残念でしたね」と言及した。
◆阪神大山悠輔内野手(30)が巨人戦では18試合連続となる安打を放った。2回1死からの第1打席で中前打。4回1死一、三塁からの第2打席では左前適時打で1点差に迫った。今季は巨人相手に全15試合で安打を記録しており第2打席までで対戦成績は打率3割7分9厘。昨年9月1日の同戦(甲子園)からの連続記録を伸ばす形となった。4回は3番森下翔太外野手(24)が内野安打、4番佐藤輝明内野手(26)が右前打でチャンスメーク。5月21日の同戦(甲子園)以来34試合ぶりの同3選手によるクリーンアップの3連打となった。ビハインドの展開でのチーム初得点、4回、左前適時打という状況も一緒だった。
◆阪神の左翼を守る豊田寛外野手(28)が好返球で追加点を阻止した。1点差とした直後の5回1死一、二塁。巨人坂本が左前打を放った。二塁走者は一気に三塁をまわり、豊田は捕球すると本塁へすかさずワンバウンド送球。捕手坂本が走者をタッチアウトにすると、甲子園は地鳴りのように沸き返った。
◆お手本のようなバックホーム豊田寛 ピンチ救う好返球追加点は許さない?プロ野球 (2025/7/3)??阪神×巨人??Live on DAZN#オレをみろ #阪神タイガース pic.twitter.com/VMEN02nL2E
◆阪神の代打起用が成功した。1-2の5回無死一、三塁。5回まで2失点だった先発伊原陵人投手(24)に代わってラモン・ヘルナンデス内野手(29)の名前がコールされた。ヘルナンデスは119キロカーブを初球から積極的にスイング。右犠飛で同点とした。先制打、同点打、勝ち越し打などの試合状況を変える打点のマークは来日初となった。
◆阪神伊原陵人投手(24)が5回2失点で降板した。被安打9、四死球4(過去2四球が3度)はいずれも自己ワーストとなった。立ち上がりからつかまった。初回、丸とオコエの連打で無死一、二塁。続く泉口の犠打は失敗となり、1死一、二塁としたものの、4番増田陸に左越え2点タイムリー二塁打を浴び、先制点を許した。先発に転向して11試合目、初めて1回に失点した。3回にはキャッベジにプロ初の死球を与えるなど、走者を背負いながらの投球が続いた。5回で球数は89球に到達。裏の攻撃で代打を告げられて交代した。しかし、5回裏、伊原の代打で出場したラモン・ヘルナンデス内野手(29)が同点の右犠飛を放ち、試合は振り出しに。打線に助けられ、敗戦投手ではなくなった。
◆兵庫県出身の人気俳優、藤原紀香が3日、自身のインスタグラムを更新した。前日2日の阪神対巨人(甲子園)の試合前、ファーストピッチセレモニーに登場。その際のグラウンドでの写真や阪神の球団公式マスコット「ラッキー」、「サザエさん」のぬいぐるみとともに自身をうつした写真などを投稿した。今月5日から8日まで大阪・新歌舞伎座で舞台「サザエさん」に主演。阪神のペットマークが襟などにあしらわれた衣装で、グラウンドに「サザエでございます」と登場した。美しいワインドアップ投法を披露。投球は捕手の前でワンバウンドした。インスタグラムの投稿では「野球好きの父や弟とともに、タイガースは甲子園へ、阪急ブレーブスの試合は西宮球場へ足繁く通った思い出が 野球を見ながら、私の隣で美味しそうにビールを飲む父を大人になったら私もそうしよ と見ていたものです。大学生になって、ついにビールを飲みながらスタンドから声援を送った甲子園。父とも乾杯もできました。青春の記憶が息づくこの場所で、このマウンドに立たせていただけたこと、本当に心から幸せでした練習にお付き合いくださいましたすべての皆様に感謝です」などとつづった。
◆巨人増田陸内野手(25)が負傷交代した。8回1死一、二塁のチャンスの場面で二塁併殺に倒れた。一塁ベースを駆け抜けた後、両膝に手をつき、右足を気にするしぐさを見せた。阿部慎之助監督(46)が交代を告げ、直後の守備から中山礼都内野手(23)が一塁に入った。増田陸は、この日自身初の4番で出場。巨人の第95代4番打者として初回1死一、二塁で左翼フェンス直撃の2点適時二塁打を放つなど、2安打をマークしていた。巨人は5回にも「8番二塁」でスタメン出場していた門脇誠内野手(24)が途中交代しており、アクシデント続出となった。
◆巨人がサヨナラ負けで、阪神に同一カード3連敗を喫した。同点の9回裏に登板したライデル・マルティネス投手が、無死満塁から阪神豊田に犠飛を打たれ、今季初失点となるサヨナラ打を浴びた。今季初先発の横川凱投手(24)は粘りの投球を見せた。5回6安打2失点。87キロのスローカーブを駆使するなど、緩急自在の投球を見せた。登板最終回の5回には無死一、三塁から代打ヘルナンデスの右犠飛で同点に追いつかれたが、後続を抑え無失点。「初回に先制してもらってからテンポよく投げることができました。なんとか5回まで投げることができましたが、リードを守り切れなくて悔しいです」とコメントした。打線は、この日プロ入り後初めて4番に座った増田陸内野手(25)が初回1死一、二塁から阪神先発伊原のカットボールを捉え、左翼フェンス直撃となる2点適時二塁打を放った。だが、2回以降は無得点に終わった。阿部慎之助監督は「最善は尽くせたかなと思いますけどね。昨日からの流れって、やっぱりなかなかひっくり返せなかった」と敗戦を受け止めた。増田陸、門脇誠内野手(24)と体調面での途中交代が続いたことに「こういう外の球場でこういう暑さだし。そういうのも加味しなくちゃいけないんだけど。ちょっと内野手がこれじゃ、ちょっと困っちゃうんで、ちょっと考えようかなと思います」と悩みの表情。甲子園での3連敗。「悔しい。なんとか勝たせてあげたい一心でやってるんだけどね。とにかくまだやり返せるチャンスあるしね。そう思って、他のチームとやるときに落とさないように。それだけですね」と雪辱を誓った。
◆阪神石井大智投手(27)が2-2で迎えた9回に登板した。復帰2試合目のマウンド。キャベッジを137キロのシンカーで右飛、坂本を151キロストレートで右飛、岸田を149キロストレートで一邪飛に仕留め、無失点で切り抜けた。スタンドから大歓声が送られた。石井は6月6日のオリックス戦(甲子園)でライナーの打球が側頭部に当たり、救急搬送された。NPBのリハビリプログラムに沿って慎重に段階を踏みながら復帰の道を歩み、1日、1軍に昇格して巨人戦で即登板。1回を無失点に抑えていた。チームは9回裏にサヨナラ勝ちし、石井が勝利投手になった。>
◆決めたのは、豊田寛ライデルの牙城を崩すサヨナラ犠牲フライ痺れる勝負制しタイガース3連勝?プロ野球 (2025/7/3)??阪神×巨人??Live on DAZN#オレをみろ #阪神タイガース pic.twitter.com/aFX33ZI6xk
◆阪神が今季3度目のサヨナラ勝ちで5連勝とし、2位広島とのゲーム差を今季最大の5に広げた。貯金を12に伸ばし、5連勝は今季2度目、巨人戦も今季2度目の同一カード3連勝となった。先制は巨人だった。初回、阪神先発の伊原陵人投手(24)が先頭の丸、オコエに連打を許し、1死一、二塁から4番増田陸に2点適時二塁打を浴びた。伊原は先発11試合目にして、初の1回に失点となった。それでも2点を追う4回1死から、森下翔太外野手(24)、佐藤輝明内野手(26)、大山悠輔内野手(30)の3連打で1点をかえすと、続く5回。先頭の小幡が右翼への二塁打を放ち無死一、三塁から、代打ヘルナンデスの犠飛で同点に追いついた。その後は両チームリリーフ陣が踏ん張り、どちらも譲らぬ展開。それでも最後はホームの阪神が試合を決めた。
◆阪神代打ラモン・ヘルナンデス内野手(30)が試合を振り出しに戻す打点を挙げた。1点を追った5回無死一、三塁で代打で登場。巨人横川の変化球を捉えた犠飛で、三塁から小幡を迎え入れた。「確実に事を起こさないといけない場面だったし、前に飛ばすことだけを考えて打席に入ったよ。いい点が入ってうれしいね」と自身出場4試合ぶりの打点を喜んだ。
◆巨人の絶対的守護神ライデル・マルティネス(28)が開幕から32試合目で今季初失点し、サヨナラ負けで今カード3連敗を喫した。2-2の同点で迎えた9回裏。阿部慎之助監督(46)はマウンドに勝利パターンの抑えのマルティネスを投入。しかし、先頭の森下に中前打を許すと、けん制球が一塁失策となり、無死二塁。佐藤輝を申告敬遠の後に、大山の内野安打も重なり無死満塁。最後は豊田の中犠飛で決勝点を奪われた。マルティネスは29日のDeNA戦を無失点で抑え、開幕から31試合連続無失点を記録。16年に田島慎二(中日)が達成したセ・リーグ記録に並んでいたばかりだった。次なるターゲット、平良(西武)が樹立したプロ野球記録の39試合を目指していた。
◆甲子園に、ジェット風船が帰ってくる! 阪神球団と阪神甲子園球場は3日、26年シーズンから7季ぶりに7回裏攻撃前の演出「ラッキーセブンのジェット風船」を再開すると発表した。新型コロナウイルス禍で20年から中止していた。3月9日のオープン戦で再開に向けた実証実験で行い、アンケートなども実施して慎重に検討を進めていた。京セラドーム大阪、2軍のSGLでは禁止だが、本拠地・甲子園で名物応援を再開する。球団事業本部営業部の阪本三千男次長が甲子園で、再開に至った経緯を説明。3月の実証実験で「確認したかったのはちゃんとポンプ式で膨らんで飛ぶのか、あとはゴミの始末をどうできるのかを見たかった。あとはアンケートとかでご意見を募ったときに、たくさん賛成のご意見もいただいた」と語った。チームも「甲子園名物」の復活を喜んだ。藤川監督は「お客さまに喜んでいただけるコンテンツ。よかったですね」と歓迎。佐藤輝は「楽しみが増えるっていうことはいいことだと思う。来年から1つの楽しみにしてもらえればいいんじゃないかなと思います」と語り、森下も「一体感がありますし、すごくいい風習だと思います」とファンの心情をくんだ。3月に使用した専用のポンプ式ジェット風船を採用し、飛沫(ひまつ)対策を徹底する。球場内には、新たに専用の回収ボックスを設置。使用済みジェット風船の回収と再資源化に取り組むなど、環境面に配慮する。オープン戦の再開時期は検討中だが、公式戦は来季の甲子園での主催試合の第1戦から再開。懐かしい風景がよみがえる。
◆巨人が、阪神にサヨナラ負けで同一カード3連敗を喫した。借金が1となり、首位阪神との差が6・5ゲームに開き、4位に転落した。同点の9回に守護神マルティネスを投入したが、先頭の森下に安打を浴び、けん制悪送球で無死二塁。佐藤輝を申告敬遠の後、大山に投手強襲安打を浴び、無死満塁から豊田にサヨナラ犠飛を許した。悲劇的な敗戦を招いたのは、打線の拙攻だった。1回に4番増田陸の2点適時二塁打で先制したが、2回から8回まで7イニング連続で走者を出しながら無得点。その間3回を除き、毎回得点圏に走者を進めたが、阪神の好守とあと1本が出ず、追加点を阻まれた。今カードは3試合連続の1点差負けで、対阪神戦は今季11敗目(4勝)。守護神マルティネスの開幕からの連続試合無失点も「31」でストップし、手痛い3タテを喫した。
◆サヨナラ勝ちが決まり、阪神伊原陵人投手(24)は会心の笑みで喜びを分かち合った。蒸し暑いマウンドでの辛抱が報われた。「先制点を与えたのは反省点ですが、そこから何とか粘って投げていけたのは良かったです」。0-2の5回2死満塁。もう失点ではできない。打者門脇に思い切り腕を振ってカットボールを投げ込んだ。遊ゴロでピンチ脱出した。立ち上がり、いきなり3安打されて2失点。先発11試合目で初回の失点は初めてだった。被安打9、四死球4はともに自己最多。5回2失点と試合を壊さなかったのは投球術と精神力のなせるワザだった。4月20日から先発に定着。ローテ再編があった今回は中10日と初めて登板間隔が空いた。ナイターの先発もプロでは初めて。「カウントを整える前のボールを捉えられてしまった。立ち上がりから高さかコースを工夫していかなければ苦しいなと感じていました」。いろいろと思うようにいかなくても粘り抜いた。チームは暑さ対策を本格化。ほとんどの選手が解禁されたハーフパンツ姿で練習。この日、フリー打撃は通常より約15分早く終わった。シートノックも取りやめた。開始30分前の午後5時30分、先発野手の8人だけが約10分、軽く体を動かした。選手たちは練習後に約2時間、クラブハウスで過ごした。藤本総合コーチは「全部、勝つためにやっている」と説明した。選手は、こまめな水分補給やエアコンの温度に気を配るよう助言を受けている。6月末に異例の早さで梅雨が明けた。炎天下だった前カードの神宮、今回の甲子園は勝ち越したが、試練はこれから。今日4日からは横浜、広島、再び甲子園、次の週も甲子園と屋外球場があと12試合も続く。プロ野球の「夏」は未体験のルーキー伊原も、踏ん張りどころを迎える。【柏原誠】
◆巨人門脇誠内野手(24)が脱水症状で両足をつり、5回の守備時に途中交代で試合を離れた。コンディション不良で今季初めてスタメンを外れた吉川尚輝内野手(30)に代わり、二塁の守備に就いたが「急きょ。準備はしていたんですけど。確かに試合中はいつも以上に汗はかいていたので。あと2打席とも塁に出て、走ったっていうのが。まあ準備不足ですね」と反省した。明日以降については「変わらず準備をしっかりしてやるだけかなと思います」。阿部監督は「こういう外の球場で、こういう暑さだし。そういうのも加味しなくちゃいけないんだけど」と試合後に語った。
◆巨人吉川尚輝内野手(30)が3日、コンディション不良のため阪神15回戦(甲子園)のスタメンを外れた。今季はチーム唯一の全試合スタメン出場を続け、直近12試合では4番を務めていた。代わりに二塁で出場した門脇誠内野手(24)も脱水症状と足がつった影響で5回裏で途中交代し「試合中はいつも以上に汗をかいていた。まあ準備不足ですね」と振り返った。
◆阪神が今季3度目のサヨナラ勝ちで5連勝とし、2位広島とのゲーム差を今季最大の5に広げた。貯金を12に伸ばし、5連勝は今季2度目、巨人戦も今季2度目の同一カード3連勝となった。2-2で迎えた9回無死満塁、豊田寛外野手(28)が巨人の守護神マルティネスからサヨナラの中犠飛を放った。豊田はこの打席まで2併殺と見逃し三振。藤川球児監督(44)は「本当に豊田の我慢強さ、自分でホーム刺して自分が出るんだということを示し続けて、それに野球の神様が最後打席与えたんじゃないですかね」とねぎらった。4回の打席では、藤川監督が豊田へ声をかけるシーンも。「1打席、2打席、1試合、2試合ヒットが出ないぐらいで縮こまる必要はないし。それはどんな選手もそうなんですけどね、こちらが使う時にはどこどこまで使うと決めて最初からゲームに臨んでますから。縮こまらないでくれよと(笑い)」と背中を押していたことを明かした。▽阪神豊田(9回無死満塁でプロ初のサヨナラ中犠飛)「最高にうれしいです。なんか...よく分かんないです(笑い)。チャンスをずっとつぶしてたんで、なんとかしてやりたいという気持ちで(打席に)立ちました」
◆いきなり大仕事をやってのけた。巨人増田陸内野手(25)が自身初の4番でスタメン出場。「4番と言われた時はいつも以上に緊張感が走った」と振り返りながらも、初回1死一、二塁から阪神先発伊原のカットボールを捉え、左翼フェンス直撃の2点適時二塁打を放った。巨人の第95代4番打者としての初打席で結果を残し「初回からチャンスでつないでいただいたので、くらいついていきました」と話した。プロ7年目の今季は勝負強い打撃でチームをけん引してきた。6月21日西武戦(東京ドーム)では代打で勝ち越し3ラン。前日まで12試合連続で4番に起用されていた吉川のコンディション不良と勝負強さを買われ4番に抜てきされた。「打席の中では4番とか関係なく、相手に向かっていくだけ」と、気負うことなく己の役割を全うした。その上で反省も忘れない。一打勝ち越しの絶好機だった8回1死一、二塁では二ゴロ併殺に倒れた。自打球と足がつった影響で直後の守備からベンチに退き「自己管理をもっとしないといけないと思いました」。新4番の活躍と3連敗のチームに希望の光を照らした。【水谷京裕】
◆阪神佐藤輝明内野手(26)が9戦連続安打でつないだ。2点を追う4回1死一塁で、巨人横川の初球直球を捉えて右前打を放ち、好機拡大。9回無死二塁では申告敬遠され、最後は二塁ベース上で豊田のサヨナラ犠飛を見守った。巨人に3連勝しての7月の始まりに「そうですね、最高です。また連勝を伸ばせるように頑張ります」と声を弾ませた。
◆阪神豊田寛外野手(28)がプロ4年目で初のサヨナラ打を放った。2-2の9回無死満塁、カウント3-2からの7球目。高めの直球を捉えて中犠飛で試合を決めた。ヒーローインタビューでは甲子園のお立ち台は「初めてです」と息切れしながら話した。勝利直後はチームメートから水をかけられるなどさまざな形で祝福を受け笑顔。「もうなんかよくわからないです。うれしいです」と喜んだ。喜びを誰に届けたいか問われ「一番は家族に。多分、家で応援してくれていると思うので、妻と子どもに届けたいと思います」と答え「日頃のサポートのおかげで打てたと思います。ありがとう」とメッセージを送った。阪神森下(サヨナラの9回に先頭で中前打を放ち出塁)「出塁することだけを意識していた。厳しいボールがきたらカット、引っ張りすぎないと。(中学時代の所属チーム、高校の先輩の豊田は)決めてくれると思っていた。いい犠牲フライだった」
◆巨人が29年ぶりの惜敗を味わった。同点の9回に5番手で登板した守護神ライデル・マルティネス投手(28)が、32試合目の登板で今季初失点を喫し、痛恨のサヨナラ負け。これで今カードは全て1点差負けで3連敗となった。甲子園での阪神戦では、96年6月14日(1ー2)、15日(1-2)、16日(4-5)以来29年ぶりに1点差ゲームを3試合続けて落としての3連敗となった。同一カード1点差負けの3連敗としては、07年9月7日(7-8)、8日(1-2)、9日(8-9)の阪神戦(東京ドーム)以来18年ぶりだった。
◆阪神大山悠輔内野手(30)が巨人戦今季全15試合で安打となる3安打1打点の活躍で勝利に貢献した。サヨナラ勝利を決めた9回は無死一、二塁から投手強襲の内野安打。満塁として豊田の中犠飛につなげた。「(豊田)寛が決めてくれた。それでチームが勝ちましたし、勝ったことが一番いいと思うのでまた明日から頑張りたい」Gキラーが反撃の口火を切った。0-2の2回1死走者なしからチーム初安打となる中前打。両チーム得点そのままで迎えた0-2の4回1死一、三塁からは左前適時打。「2点差でしたし、まずは1点をどんな形でも取りたいと思っていました。しっかり打ち返せて良かったです」。前夜決勝打の5番打者の一打で1点差に迫った。今季の巨人戦は初戦から15試合連続安打で、昨年9月1日の同戦(甲子園)からあわせて18試合連続安打となった。対戦成績はともにセ・リーグ球団のカード別トップの打率3割8分3厘、10打点。今季の伝統の一戦での強さをこの日も発揮した。4回は3番森下が内野安打、4番佐藤輝が右前打でチャンスメーク。5月21日の同戦以来34試合ぶり3選手によるクリーンアップの3連打となった。ビハインドでのチーム初得点、4回、左前適時打も一緒。打順の違いはあれど76試合中74度スタメンの3、4、5番を形成した3人が打てばやはり勝利に近づく。その中で最年長の大山はこの日も頼もしかった。【塚本光】
◆巨人が首位阪神に痛恨の連敗を喫した。甲子園で1点差負けの3連敗は、96年以来29年ぶり。この日は1回に幸先よく2点を先制するも、同点の9回に守護神マルティネスが崩れた。無死満塁から最後は豊田にサヨナラ犠飛を浴びて万事休す。開幕から続いていた連続無失点の球団記録は31試合で止まった。前夜、就任2年目で初の退場処分となった阿部慎之助監督は、悔しさをにじませた。熱帯夜の惜敗続きに「最善は尽くせたかなと思いますけどね。昨日からの流れって、やっぱりなかなかひっくり返せなかった」と絞り出した。8回まで毎回の安打で得点圏に再三、走者を進めた。4打数無安打のキャベッジを除き、スタメン野手は全員が安打をマーク。13安打も、終わってみれば追加点を奪えず2得点。同一カード3連敗は今季5度目で阪神戦は2度目となった。スコア速報
◆阪神石井大智投手(27)が復活星を挙げた。2-2の9回に5番手で登板。キャベッジを右飛、坂本を151キロで右飛。最後は岸田を149キロで押し込んで一邪飛。魂の11球で直後のサヨナラ劇につなげた。復帰2戦目でお立ち台へ。割れんばかりの石井コールが鳴り響いた。「1カ月弱、休んでしまって申し訳ないですけど、また甲子園で投げられてすごく幸せです。優勝した時以上に感じました、僕は(笑い)」。最後は照れながら「勝ちマッスル」の決めせりふを披露してファンを喜ばせた。初めてお立ち台に上がった豊田と笑顔で並んだ。豊田は1軍で唯一の同学年。二重の喜びとなった。6月6日のオリックス戦(甲子園)で痛烈なライナーを頭に当てて救急搬送された。長期離脱の可能性もあったが幸いにも順調にリハビリが進んだ。周囲のサポートがしみた。「支えてくれたから今があると思っています」。投手陣の仲間は特別な気づかいをしてこなかった。盟友・桐敷は「本当に戻ってきてくれてうれしかったんですけど、本当に普通で。それは投手陣みんなが同じ思いでした」。お帰りの言葉はあっても、病人のような接し方をする選手は皆無だった。この日コンビを組んだ捕手の坂本も同じだ。「僕はもう、そういう目で見ていません。1人のセットアッパーとして見ていますから。特別な感情はないです。これが石井大智、と」。それが背番号69にとって何よりの「おかえり」のメッセージになる。離脱をまたいで23試合連続無失点。石井が戻ったブルペン陣は充実一途だ。「個々のレベルがすごく高い。岩崎さんを筆頭にいろいろ考えて、惜しみなく教えてくださったりとか。若い選手は結果を残しても打たれても、すごくいい経験になる。全員が切磋琢磨(せっさたくま)している」と"仕事場"を誇らしげに語った。最強ブルペンの一員として、これから大仕事が待っている。【柏原誠】▽阪神ネルソン(3番手で7回に登板。1回無失点)「みんな、中継ぎがゼロに抑えたのが良かったし、みんながゼロに抑えた後、こうやって最後にいい結末が待っているのは、見ていてすごく楽しかったです」
◆阪神が今季3度目のサヨナラ勝ちで5連勝だ。2-2で迎えた9回無死満塁から6番豊田寛外野手(28)が決勝の中犠飛を放った。今季31試合登板で防御率0・00だった巨人の守護神ライデル・マルティネス投手(28)を攻略。チームは宿敵巨人相手に今季2度目の同一カード3連勝と圧倒した。貯金は12まで積み上がり2位広島に今季最大5ゲーム差。さあ、独走態勢に突入だ。阪神藤川球児監督一問一答-今季無失点だった巨人マルティネスから決勝点「自分も同じポジションをやっていましたから、同点の、しかもジャイアンツさんからすれば選手の苦しそうなコンディションもあったところで、僕が出ていった時を連想しても、そんなに簡単ではないと思うところでしたから。でも、よく森下が打って、植田が足を決めてというところでは、本当に選手たちのいい活躍でしたね」-先発伊原は粘った「本当にそう思いますし、こちらも我慢が必要だし、伊原も我慢をするし、相手は攻めてくるし、というところで、いい攻防といいますか、我慢比べだなと思いながらやっていましたけど」-豊田は最後の打席で粘りも「僕もタイガース入団してからすごく聞かされていたし、何打席凡退しても最後の1本でヒーローになれるというのが打者だし、それをつかみ取ったのが彼ですよね。本当に巡り合わせとか運とか、周りの環境も含めて彼に向いたというところでは、豊田にとっては素晴らしい、やってて良かったというところじゃないですかね」
◆阪神小幡竜平内野手(24)が好守備で失点を防いだ。初回、2点を先制され、なおも2死三塁のピンチ。ここで巨人坂本の打球は三遊間へのゴロ。小幡はスライディングキャッチし、すぐさま一塁に送球してアウトにした。この日の先発は同学年の伊原。いきなり2点を失ったドラフト1位左腕を救った。打っても5回無死から右翼への二塁打で出塁。その後、三塁に進み、ヘルナンデスの犠飛で生還した。
◆阪神豊田寛外野手(28)がプロ4年目で初のサヨナラ打を放った。2-2の9回無死満塁、カウント3-2からの7球目。巨人の守護神マルティネスの高めの直球を捉えて中犠飛で試合を決めた。阪神豊田には知られざる"武器"がある。捕手経験だ。名門・東海大相模には捕手で入学。そのキャリアは入団後からじわじわ、チーム内で広まった。原口がいない今の1軍では高校以上で捕手経験があるただ1人の選手となっている。6月14日の楽天戦(楽天モバイルパーク)で第3捕手の栄枝が出場した瞬間、コーチに「もしもの時はあるかもしれないから」と耳打ちされた。「10年以上前ですけど...」と苦笑いでうなずいたが、心の中では必死に祈っていた。「何もなく終わってくれ、と。プロの球なんて怖すぎますから」。高校1年で外野転向して以来、大学、社会人含めマスクはかぶっていない。ミットをはめた記憶すらない。それでも頼りにされている。代打にとどまらず先発でも存在感を見せる今季、ベンチ内の重要度は増している。【柏原誠】
◆サヨナラ勝ちが決まり、阪神伊原陵人投手(24)は会心の笑みで喜びを分かち合った。蒸し暑いマウンドでの辛抱が報われた。「良くない中でもバックに助けられたり(阪本)誠志郎さんとのコミュニケーションで粘れた。リズムが悪くならないように意識しました」と反省交じりに振り返った。初回に3安打で2失点。11度目の先発で初の初回失点だった。0-2の5回2死満塁をしのいで交代。自己最多の被安打9、四死球4を許しながら5回2失点と試合を壊さなかった。「2回以降、走者を出しながらゼロでいけたのが今日はよかったです」。中10日と初めて登板間隔が空いた。ナイターの先発もプロでは初めてだったが影響は「全然ない」と頼もしい。未体験のプロ野球の「夏」も頼れる存在になりそうだ。
◆巨人が、阪神にサヨナラ負けで同一カード3連敗を喫した。借金が1となり、首位阪神との差が6・5ゲームに開き、4位に転落した。今カードは3試合連続の1点差負けで、対阪神戦は今季11敗目(4勝)。守護神マルティネスの開幕からの連続試合無失点も「31」でストップし、手痛い3タテを喫した。一番の敗因は、拙攻だった。この日は阪神を4安打上回る13安打を放ちながら、2点止まり。第2戦は阪神を1安打上回る8安打も完封負けで、初戦も阪神を2安打上回る10安打を放ちながら1点に終わった。今3連戦は阪神の計24安打に対し、巨人は計31安打をマークしたが、得点は阪神が6点、巨人が3点で3連敗を喫した。阿部慎之助監督(46)は「もう悔しいし、何とか勝たせてあげたい一心でやってるんだけどね」と唇をかんだ。
◆阪神がサヨナラ勝利を決めた9回に効果的な代走を送った。2-2で迎えた9回。先頭の森下翔太外野手(24)が中前打で出塁した。勝負どころで藤川球児監督(44)は途中交代の珍しい森下に代えて植田海内野手(29)を代走に送った。続く佐藤輝明内野手(26)の打席で初球の前に巨人マルティネスからけん制が入ると一塁手の中山が後ろにそらしていきなり二塁に進塁した。佐藤輝は申告敬遠で大山悠輔内野手(30)の内野安打で満塁。豊田寛外野手(28)が中堅への飛球を放ち本塁へ返球されたが植田は悠々と生還した。植田は6月29日に国内フリーエージェント(FA)権の資格取得条件を満たした。藤川監督は「植田はフリーエージェントをとっていますから。おめでとうとは言っていたのですが、すごく大事な選手ですよ」と信頼を明かした。巨人で代走のスペシャリストとして名をはせていた鈴木尚広氏(47)の名前も出し「本当に重要だったし、現役の時に巨人に素晴らしい代走の鈴木選手がいて、その選手がベンチにいるかどうかで戦ったりするところだった。うちの今のベンチの布陣というところはみんなで戦っていくところだと思いますけどね。いい活躍でした」とたたえた。豊田も「海さんだったら絶対に帰ってこられると思っていた」と話した。
◆阪神森下翔太外野手(24)が先輩の豊田寛外野手(28)のサヨナラ打をたたえた。2-2の9回、先頭の森下が中前打で出塁。その後無死満塁となって豊田が中犠飛を放ちサヨナラ勝利となった。中学時代の所属チームである「戸塚リトルシニア」、高校の東海大相模(神奈川)が同じ。森下は「もう決めてくれると思っていたので。思っていましたけど、いい犠牲フライだったなと思います」と話した。
◆阪神-巨人戦は、2試合連続で本塁でのクロスプレーが明暗を分けた。1点リードの5回1死一、二塁、坂本勇人内野手(36)が左前打を放ち、二塁走者の泉口が三塁を回って、ホームに突入。左翼の豊田が好返球し、アウトが宣告された。微妙なタイミングだったが、選手側からのアピールはなく、阿部慎之助監督(46)もリクエストは行わず、2死一、二塁から試合が再開された。中継した「GAORA」で解説を務めた谷繁元信氏(日刊スポーツ評論家)は、中継で流れたリプレー映像を見ながら「今のセーフですよね? リクエストを出した方が良かったんじゃないですか?」とコメント。「今のを見るとセーフなんで、回して良かったのかなって思いますけど、タイミング的には、1死満塁で岸田でも良かったんですよね。今日、岸田の対応がまあまあ良かったので」と話した。試合は巨人が5回裏に追いつかれ、同点の9回に守護神マルティネスが、豊田にサヨナラの犠飛を浴び、同一カード3連敗を喫した。借金が1となり、首位阪神との差が6・5ゲームに開き、4位に転落した。2日の同戦では、0-0の8回2死一、二塁から阪神大山の遊撃への打球がイレギュラーし、泉口の左胸付近に当たって二塁方向へ。二塁走者の森下が三塁を回って、ホームに突入し、1度はアウトが宣告されたが、阪神藤川監督がリクエストし、リプレー検証の末にセーフに覆った。阿部監督は投手交代を告げる際に、球審へリクエストの結果に抗議し、退場が宣告された。二岡智宏ヘッド兼打撃チーフコーチ(49)が監督代行を務めた。
◆阪神は同学年コンビがヒーローインタビューでともにお立ち台に上がった。9回無死満塁から豊田寛外野手(28)が中犠飛でサヨナラ勝利。石井大智投手(27)は右の側頭部への打球直撃から復帰後初勝利を挙げた。豊田は石井について「頼もしすぎる同級生です。(投球は)完璧だと思います」と絶賛した。石井は「またこの甲子園で投げられてすごく幸せです」と話した上で豊田について「(ともに併殺の)1、2打席目...ね、ちょっとあれだったんすけど、もう最終打席、すごく大きな背中が見えました」とたたえた。石井は締めの言葉を譲り合った後に「勝ちマッスルと言うのがあったと思うんですけど、そのあと連敗しちゃったんですよね。なので、ちょっと今日はどうしようかなと思ってるんですけど、どうしたらいいですか」と迷い、豊田に「どうしよう?」と相談。その後「じゃあ、やらせてもらいます。明日も勝ちマッスル」と締めた。
◆巨人・吉川尚輝内野手(30)が先発メンバーから外れた。昨季は全試合に先発出場しており、自身2年ぶり。試合前の全体練習では打撃練習、守備練習を行ったが、首脳陣と時間をかけて話し込む場面があった。代わって、増田陸が初の4番で出場。巨人軍第95代の4番打者となった。二塁には門脇が入った。
◆4連勝中の阪神は、豊田寛外野手(28)が2試合連続で「6番・左翼」に名を連ね、投手以外は前日と同じオーダー。D1位・伊原陵人投手(24)=NTT西日本=が巨人戦初勝利を目指す。
◆4日のDeNA戦(横浜)に先発する阪神・村上頌樹投手(27)は試合前練習に参加し、キャッチボールなどで調整した。DeNAとは今季初対戦。「一人ひとり丁寧に確かめながら投げていきたい。キーになるところをしっかりと抑えていければいいピッチングができると思う」。前回登板の6月27日、ヤクルト戦(神宮)では7回8安打3失点(勝ち星つかず)。七回には、2021年8月28日の広島戦(マツダ)以来、約4年ぶりとなる1イニング2被弾を浴びた。それでも、7勝(2敗)はリーグトップタイで、防御率も1・79と安定感抜群の投球で虎の先発ローテを引っ張っている。「自分からどんどん攻めていく。バッターにフルスイングさせないように、間を使いながらやっていきたい」と力を込めた。
◆前日2日の試合で抗議し、巨人の監督としては51年ぶりとなる退場処分を受けた阿部慎之助監督(46)は一夜明け、試合前のメンバー表交換で、この日球審を務める責任審判の吉本審判員に言葉を掛けた後、審判団と和やかな雰囲気で握手を交わした。阿部監督は2日の阪神14回戦(甲子園)の八回、本塁のクロスプレーの判定を巡り、阪神・藤川監督のリクエストでリプレー検証の末、アウトがセーフに覆った後、判定に対して異議を唱えた。吉本責任審判員がリクエストに対する異議申し立てはできず、退場となる旨を注意したが、引き下がらなかったために退場が宣告され、この日プロ野球の榊原定征コミッショナーから厳重注意と制裁金10万円が科された。
◆巨人・増田陸内野手(25)が巨人軍第95代4番打者として、自身初の「4番・一塁」で先発出場。一回1死一、二塁の第1打席で、いきなり左越えの2点二塁打を放った。一回、丸とオコエの1、2番が連打で好機をつくったが、続く泉口がバント失敗。流れを手放しかけない場面で、増田陸が4番初打席で大きな仕事を果たした。
◆阪神のドラフト1位・伊原陵人投手(24)=NTT西日本=が一回から巨人打線に捕まった。先頭の丸に中前打を許すと、オコエに右前打でつながれて無死一、二塁のピンチ。泉口は犠打失敗で1死一、二塁としたが、巨人の第95代4番に座った増田陸に左翼線へ運ばれた。2点二塁打であっさり失点。プロ11度目の先発マウンドで、初回の失点はこれが初めてだった。
◆巨人・門脇誠内野手が「8番・二塁」で出場。四回に左前打を放ったが、五回の守備の途中で交代が告げられた。直前の五回の第3打席で脚を気にするそぶりを見せており、何らかのアクシデントが起きたとみられる。この日は正二塁手の吉川が2年ぶりの先発メンバーから外れ、代わって門脇が二塁に入ったが、無念の途中交代となった。
◆阪神の新助っ人、ラモン・ヘルナンデス内野手(29)=前メキシカンリーグ=が1‐2で迎えた五回無死一、三塁で代打出場。初球のカーブを右翼に運び、同点の犠飛を放った。「確実に事を起こさないといけない場面だったし、前に飛ばすことだけを考えて打席に入ったよ。いい点が入ってうれしいね」。ヘルナンデスは6月27日のヤクルト戦(神宮)以来、出場3試合ぶりの打点だった。
◆阪神のドラフト1位・伊原陵人投手(24)=NTT西日本=が5回2失点で降板した。初回、先頭の丸に中前打を許すと、オコエに右前打でつながれて無死一、二塁のピンチ。泉口は犠打失敗で1死一、二塁としたが、巨人の第95代4番に座った増田陸に左翼フェンス直撃の2点二塁打でプロ11度目の先発マウンドで、初めて初回に失点した。五回には先頭の泉口に四球、増田陸に左前打を浴び無死一、二塁。キャベッジの左飛の後、坂本に左前打を打たれたが、豊田の好返球で泉口が本塁憤死。続く岸田にも四球を与え、2死満塁としたが、門脇を遊ゴロに打ち取り、ピンチを脱した。直後の攻撃で、1―2無死一、三塁の場面で打席が回ってきたが、代打にヘルナンデスが送られたが、左翼へ犠飛を放ち、同点。伊原の負けが消えた。「カウントを整える前のボールを捉えられてしまい、初回失点を許してしまいました。立ち上がりからボールの高さかコースを工夫していかなければ苦しいなと感じていました。先制点を与えたしまったことは反省点ですが、そこからなんとか粘って投げていけたことはよかったと思います」とコメントした。
◆巨人・坂本勇人内野手(36)が「6番・三塁」で出場し、七回の第4打席にこの日2安打目となる右前打を放ち、通算672度目の1試合複数安打をマーク。複数安打の通算回数で、〝打撃の神様〟と呼ばれた川上哲治の671度を上回り、球団歴代3位、NPB歴代9位となった。巨人の複数安打の通算回数1位は王貞治の736(NPB歴代3位)、2位が長嶋茂雄の694(同6位)。NPBの歴代1位は張本勲(ロッテなど)の855。
◆「巨人軍第95代4番打者」として起用された巨人・増田陸内野手(25)が負傷交代した。一回に先制の2点二塁打を放った若武者は、2-2の八回2死一、二塁での第5打席で二ゴロ併殺に倒れた際、一塁へ足を引きずるようにして一塁へ走った。ベンチから駆け付けたトレーナーを拒む仕草を見せたが、右足を気にするような様子を見せてベンチへ。そのまま一塁には中山礼都が入り、増田陸は途中交代となった。この試合では五回の守備の途中で二塁を守っていた門脇が交代。直前の打席で脚を気にするそぶりを見せており、何らかのアクシデントがあったとみられる。
◆巨人のライデル・マルティネス投手(28)が2-2の九回に5番手で登板。セ・リーグ記録に並ぶ開幕から31試合連続無失点をマークしていたが、無死満塁からサヨナラ犠飛を打たれ、移籍後初失点。記録がストップした。マルティネスは昨オフ、中日から4年総額50億円規模の大型契約で加入。2度セーブ王に輝いた実績を持つ右腕は、新天地でも絶対的守護神として君臨していた。
◆阪神が今季3度目のサヨナラ勝利で5連勝。5度目のカード3連勝を飾った。九回、セ・リーグタイ記録の開幕31戦無失点のライデル・マルティネス投手(28)から2安打と申告敬遠で無死満塁とし、豊田寛外野手(27)が中犠飛を放った。D1位・伊原陵人投手(24)=NTT西日本=が一回に2点を与えた展開で、四回の大山悠輔内野手(30)の左前適時打、五回無死一、三塁での代打ラモン・ヘルナンデス内野手(29)の右犠飛で追いついた。11度目の先発で初の初回失点となった伊原は5回2失点。投手陣は13安打を浴びながら、二回以降は無失点。九回に登板した石井大智投手(27)が今季初勝利。G戦カード全勝は4月4日からの3連戦(東京D)に次いで今季2度目。2位広島とは今季最大の5差とした。
◆巨人はサヨナラ負けで阪神には今季2度目の同一カード3連敗。借金1となり、セ・リーグ4位に後退した。阿部慎之助監督(46)は「最善は尽くせたかなと思いますけどね。昨日からの流れって、やっぱりなかなかひっくり返せなかったな。悔しい。なんとか勝たせてあげたい一心でやってるんだけどね。とにかくまだやり返せるチャンスあると思って、他のチームとやるときに落とさないように。それだけ」と悔しさをにじませた。「4番・二塁」で出場が続いていた吉川がコンディション不良のため2シーズンぶりにベンチスタート。代わって増田陸を初めて4番で起用。先制の2点二塁打を放ったが、吉川の代わりに二塁で先発した門脇とともに試合途中で足をつって交代した。指揮官は「外の球場でこういう暑さだし。そういうのも加味しなくちゃいけないんだけど。内野手がこれじゃ困っちゃうので、ちょっと考えようかなと思います」と気温30度前後の屋外球場で戦う難しさも口にした。
◆巨人・吉川尚輝内野手(30)は「コンディション不良」のため、自身2年ぶりの欠場となった。試合前の全体練習では打撃練習、守備練習を行ったが、首脳陣と時間をかけて話し込む場面があった。試合後は「また(東京に)帰って頑張りたいと思います」と語り、歩いてバスに乗り込んだ。
◆阪神が今季3度目のサヨナラ勝利で5連勝。5度目のカード3連勝を飾った。九回、セ・リーグタイの開幕31戦無失点のライデル・マルティネス投手(28)から2安打と申告敬遠で無死満塁とし、豊田寛外野手(27)が中犠飛を放った。D1位・伊原陵人投手(24)=NTT西日本=が一回に2点を与えた展開で、四回の大山悠輔内野手(30)の左前適時打、五回無死一、三塁での代打ラモン・ヘルナンデス内野手(29)の右犠飛で追いついた。11度目の先発で初の初回失点となった伊原は5回2失点。投手陣は被安打13ながら「スミ2失点」でしのいだ。九回に登板した石井大智投手(27)が今季初勝利。G戦カード全勝は4月4日からの3連戦(東京D)に次いで今季2度目。貯金12は6月11日以来。
◆阪神が今季3度目のサヨナラ勝利で5連勝。5度目のカード3連勝を飾った。九回、セ・リーグタイの開幕31戦無失点のライデル・マルティネス投手(28)から2安打と申告敬遠で無死満塁とし、豊田寛外野手(27)が中犠飛を放った。阪神で1994年に新人王に輝き、米大リーグのアスレチックス、ジャイアンツ、楽天と渡り歩き、日米通算91勝をマークしたサンケイスポーツ専属評論家の藪恵壹氏(56)は打線のつながりに両軍の差が出ていると指摘した。巨人と阪神の大きな差を感じた3連戦だった。この試合が象徴的だが、巨人打線は13安打、先頭打者の出塁が5度。ところが打線がつながらず、一回の2点のみ。対する阪神はここぞで打線がつながった。四回の3連打も、サヨナラに結びついた九回も。1、2番が合わせて8打数ノーヒットで〝お休み〟の試合だったが、クリーンアップがここ一番でつながる。誰かが活躍する。非常に頼れる打線になっている。開幕からここまで、防御率が1点台という驚異的な数字を残しているが、ここから先の夏場は、同じような数字は望めない。投手陣に疲れが見え始めたときにどうなるかを心配していたが、打線が勝負強さを見せてきたので、終盤に向けてこれは心強い。守備位置も佐藤輝をサードに戻して、全体的に安定してきた。巨人が最後に中山がファーストに入れて失策が出たように、やはりコロコロ動かすとほころびが出る。阪神にとっては最高の3連戦になった。ただ、九回は無死から安打で出た森下に代走はいらない。延長を考えたら、森下は残しておくべき。勝った試合こそ、反省は必要だ。
◆巨人は守護神のライデル・マルティネス投手(28)が開幕から32試合目で初失点し、サヨナラ負けで同一カード3連敗。借金1でリーグ4位に後退した。中日から加入1年目でここまで26セーブの助っ人は、同点の九回に1死も取れず満塁からサヨナラ犠飛を許した。田島慎二(中日)のセ・リーグ記録に並んでいた開幕からの連続試合無失点は「31」でストップ。試合後は通訳を通じ「きょうは何も答えたくないです」と語った。「4番・二塁」で出場が続いていた吉川がコンディション不良で欠場。代わりに4番初起用の増田陸、二塁で先発した門脇がともに脚をつって途中交代した。2日の第2戦で退場処分を受けた阿部監督は「昨日からの流れって、やっぱりなかなかひっくり返せなかった。なんとか勝たせてあげたい一心でやっている」と悔やんだ。(谷川直之)
◆巨人・増田陸内野手(25)が『巨人軍第95代4番』として初めて4番で起用され、一回に先制の2点二塁打を放つなど2安打2打点をマークした。「最初は冗談かなと思ったけど、4番と言われたときにいつも以上に緊張感が走った。でもいつも通りやろうと思って、1打席目は次につなごうと思いました」と振り返った。試合に臨めば「打席の中では別に4番、5番とか関係なく相手に向かっていくだけ」と冷静に打席に立った。ただ、酷暑の屋外でのカード第3戦となったこの日、門脇に続いて八回の打席で足をつって途中交代。「自己管理をもっとしないといけない。途中から出た中山にも申し訳ないですし、そういうのがないように」ちと反省した。
◆巨人の門脇誠内野手(24)、増田陸内野手(25)がともに脚をつり途中交代した。阿部慎之助監督(46)は試合後に「こういう外の球場で、こういう暑さだし、そういうのも加味しなくちゃいけない。ちょっと内野手がこれじゃ困っちゃうんで。ちょっと考えようかなと思います」と語った。コンディション不良で欠場した吉川に代わり二塁で出場した門脇は、五回の守備の途中で交代。「急きょセカンドで、準備はしていたんですけど、確かに試合中はいつも以上に汗はかいていたので。まあ、準備不足ですね」と語った。増田陸は第95代4番打者で出場も、八回の第5打席で足を引きずるようにして一塁へ走り、直後に交代。「自己管理をもっとしないといけない。途中で代わったことは申し訳ないですし、途中から出た中山とかに申し訳ない。そういうのがないように、自己管理してやっていきたい」と語った。
◆飛んだ! 跳んだ! 阪神は巨人に3-2で今季3度目のサヨナラ勝ち。4年目の豊田寛外野手(26)が九回無死満塁、セ・リーグタイ記録の開幕31試合無失点だったマルティネスから中犠飛を放った。5連勝で貯金12とし、2位広島とは今季最大の5ゲーム差。来季からジェット風船による応援が解禁されることが発表された日に、甲子園が感泣した。攻めの姿勢を崩さない。見逃せばボール。ただ、豊田はバットを振った。自分が振って決める-。白球が甲子園の夜空に舞い上がった。待っていた歓喜のウオーターシャワー。パパは決めた。大仕事を果たした。強敵からもぎ取った1点に最高の笑顔がはじけた。「最高にうれしいです。もうなんか、よく分からない。うれしいです!」2-2で迎えた九回無死満塁の絶好機で打席に向かった。マウンドには開幕から31試合連続無失点とセ・リーグ新記録がかかる絶対的守護神・マルティネス。カウント3-1から5球目。外角高めは見逃せばボール。でも、バットを出した。「四球を選ぶことなんて考えていたら、負けてしまうというか...。相手投手の流れになってしまうと思っていた」6球目もファウルで、7球目。内角高め直球を振り抜いた。打球は中堅へ。飛距離は十分。三走・植田がホームへとかえってくる。自身初のサヨナラ打は値千金の犠飛。大歓声の中心に、ずぶぬれの豊田がいた。
◆初めてナイターで先発した阪神D1位・伊原(NTT西日本)は立ち上がりから制球が定まらなかった。プロでは初めて初回に先制点を許し、毎回安打を許すなど5回2失点。「先制点を与えてしまったことは反省点ですが、そこからなんとか粘って投げていけたことはよかった」と振り返った。
◆頼もしかった。完全復活をアピールする1勝だった。石井が2-2の九回、大声援を受けながら打者3人を11球でピシャリ。直後に、豊田のサヨナラ犠飛が飛び出し、1軍復帰後2試合目の登板で、2024年8月13日の巨人戦(東京ドーム)以来の通算6勝目を挙げた。「勝ちがついたことはなんとも思っていないです。すごくしんどい試合でしたけど。これで5連勝ですね。チームが勝てたことが、すごくうれしい」2-2の九回にマウンドへ。先頭のキャベッジに右翼フェンス手前まではじき返された。「三振を狙いにいったが...。森下がよく捕ってくれた」。このあと坂本を右飛、最後は岸田を149キロ直球で一邪飛に仕留めると、スタンドからは大きな歓声を受けた。「自分が投げに行く前に(ブルペンで)岩崎さんが『ピンチになると思って投げろ』と言ってくれて。自分もその覚悟で(マウンドに)行った」笑顔で、目標であり、尊敬する先輩がジョークで緊張をほぐしてくれたことに感謝した。「もう完全に前の状態に戻りましたよ。妻も喜んでくれました」試合前に完全復活を打ち明けていた。6月6日のオリックス戦(甲子園)で打球を右側頭部に受けて緊急搬送。あれから、まもなく1カ月。あのシーンをオーバーラップすることも、マウンドに立って恐怖心もない。それよりも1日の巨人戦(甲子園)で復帰登板を果たし、1回を2安打されながら無得点に抑えた直後の「石井コール」の方が忘れられない。「連投も大丈夫ですよ」。これからは応援してくれた人に恩返しする。4月5日の巨人戦(東京ドーム)から23試合連続無失点。まさに無双状態だ。お立ち台では豊田とちょっぴり恥ずかしそうに「勝ちマッスル」と声を合わせた。岩崎とともに、ブルペンを引っ張っていく。(三木建次)
◆巨人・マルティネスからサヨナラ劇の口火を切ったのは阪神・森下。今季開幕から手を付けることができない鉄腕を打ち砕き、劇勝ムードをおぜん立てした。「出塁することだけ考えて、甘いところ来たら(振っていく)という意識で打席に入りました」九回、先頭で打席に入ると、カウント1―2から、155キロの剛速球が甘く入ったところを見逃さなかった。センターにはじき返し、出塁。代走にスペシャリストの植田が送られ、あとはベンチで仲間の活躍を祈った。2日には本塁突入の際に、捕手のタッチをかいくぐり、ビデオ判定の結果、決勝点をもぎ取った。四回にも1死から投手への内野安打で出塁すると、佐藤輝の右前打の間に三塁まで好走塁を見せ、大山のタイムリーで生還。この日は6月28日ヤクルト戦(神宮)以来の2安打でチャンスメークに徹した。そして、サヨナラ犠飛を放った豊田は中学時代に所属した戸塚シニア、そして東海大相模高の先輩。他にも右打ちの外野手という共通点も多い。「決めてくれると思っていました。いい犠牲フライだったと思います」と、2人にとって特別な勝利となった。緊迫したゲームでチームプレーに徹した打点王。すべて1点差となったG3連戦をすべて取り、優勝へまた一歩近づいた。(渡辺洋次)
◆1点を追う五回無死一、三塁の場面で代打で出場した阪神・ヘルナンデスは右翼への犠飛を放ち、きっちり仕事。「とにかく力みすぎないように、バットにしっかり当ててボールを前に飛ばせば何かいいことが起こると考えて打席に入りました」。サヨナラ勝ちにも「この勝ち方でまた勢いづいて、どんどん勝ち続けていきたい」と喜んだ。
◆2-2の六回から2番手で登板した阪神D3位・木下(KMGホールディングス)は先頭の代打・荒巻に遊撃への内野安打、泉口に左前打を浴びるなど、2死一、二塁の場面を作ったが、4番・増田陸を一ゴロに打ち取り、3試合連続の無失点投球。プロ初ホールドをマークした。「今後も同点だったり、勝ちだったり、そういうところで投げられるようになりたい」と力を込めた。
◆阪神・大山がしぶとくつないでサヨナラ打を呼び込んだ。2―2の九回無死一、二塁でマルティネスを強襲する内野安打を放ちチャンスを広げた。「(豊田)寛が決めてくれた。チームが勝ったことが一番いいこと」。四回には1死一、三塁から左前へはじき返し、2試合連続となる適時打を記録。「また明日から頑張ります」と意気込んだ。
◆阪神・佐藤輝は自身今季最長の9試合連続安打をマークした。「最低限はできているかな、という感じです」。2点を追う四回に右前打を放ち、大山の適時打をおぜん立て。同点の九回は申告敬遠で歩き、劇的な幕切れに絡んだ。7月の3連勝発進を受け「最高です。また連勝を伸ばせるように頑張ります」と、さらなる貢献を誓った。
◆及川がピンチを招きながら無失点で切り抜けた。八回に登板。死球と内野安打で1死一、二塁とされたが、4番・増田陸を二ゴロ併殺に仕留めた。「粘れてよかったです。(併殺は)ゴロか三振か。いい高さに投げられた結果だと思うので、よかったと思います」。前回登板した1日の巨人戦(甲子園)は1失点を喫したが、すぐにリベンジを果たした。
◆阪神・ネルソンは七回に3番手で登板。安打と四球などで2死二、三塁されたが、代打・大城卓を中飛に打ち取った。「ゼロに抑えられてよかった」。10試合連続無失点で、6ホールド目を挙げた助っ人右腕は「中継ぎ陣みんなでゼロに抑えた後に、いい結末が待っているというのは見ていて楽しかった」と劇的勝利をかみしめた。
◆サヨナラ打を放った阪神・豊田の父・昌史さん(60)は神奈川・横浜市内の自宅でテレビ観戦。「辛抱強く使っていただいた試合だった」と首脳陣に感謝しながら、大仕事をたたえた。寛、サヨナラ打おめでとう!! 前の打席も昨日の試合でも、いいところで出番が回ってきながら、打てなくて...。ここでもダメかな、という気持ちだったけど、最後は右投手になっても代えられなくて、というところでは、信頼していただいたのかな。藤川監督に本当に辛抱強く使っていただいた試合でした。感謝です。交流戦からはDHで使ってもらったり、スタメンになったりもしましたけど、どうしても結果はダメだったんですよね。連日、すごく胃が痛くて、テレビを見るのをやめようかな...という感じでした。でも、見てしまうんですけどね(笑)。今日は最後まで見ていてよかったです。あと、最近は忙しくて連絡は取っていなかったですし、調子が悪いときに言うのはな...という思いもあって、あえて連絡はしないようにしていました。でも、今日はしてあげようかな、と思います。ヒーローインタビューも見ていましたけど、本人も相当、舞い上がっているというか、初めてのことなので、何をしゃべっていいのだろう...という感じでしたね。でも、私も一度は見てみたいなと思っていたものが、やっと実現しました。ありがとう。ただ、まだここからですね。相手もデータを集めて研究をしてくるでしょうし、それを打ち崩すことを考えないと伸びていかないと思います。必死になってやっていかないと後がない年代でもありますから。明日からは地元の横浜に帰ってくるので、そこでも出る機会があれば打ってほしいと思っています。応援しています。
◆カイカ~ン!! 伝統の一戦、地元甲子園で3連勝!! 開幕から31試合連続無失点を記録する巨人の神クローザー、マルティネスを沈めるサヨナラ勝ち。もう身体がビリビリビリ~や!!「明日も勝ち」「マッスル!!」たかが1点、されど1点。この3連戦全て1点差だけど、この1点は果てしなく届かない、強い強い猛虎の『1点』なのだ!!勝ち投手が故障明けの石井ってのもウレシ~!! 先発・伊原は五回まで9安打を打たれたけど2失点で耐えた! 木下、ネルソン、及川もあと1本打たれてたら終わってたのに、皆耐えたー!! 皆現役時代の藤川球児やんかー!!そして、本日のトリはサヨナラ犠飛の豊田寛や!!「ヒロシです。1、2打席目はゲッツーでチャンスを潰してます。ヒロシです。でも五回の坂本の左前打で泉口をホームで刺してます...。内心リクエストされたらセーフかなとドキドキしてましたが、リクエストなしのアウトでホッとしました。なのにヒロシです。3打席目に見逃しの3球三振ガク~ン...。ヒロシです。でも、落ち込んでいるヒマはありません。積極的にいってサヨナラ打を打ちました!!」そのポジティブは最大の力や!!
◆巨人はサヨナラ負けで阪神には今季2度目の同一カード3連敗。借金1となり、セ・リーグ4位に後退した。マルティネスの32試合目の初失点で、3タテを喫するとは。巨人にとって痛い黒星であることは、言うまでもない。ただ、最大の敗因を求めるのであれば、拙攻にあったこともまた、言うまでもない。一回に2点を先制したあとも二回から八回まで毎回2人以上の走者を出しながら、追加点が奪えない。バントをさせるべき場面で普通に打たせるなど、なんともチグハグな攻撃だった。九回先頭のキャベッジが初球、セーフティーバント(ファウル)をみせたのはベンチのサインではなかったはず。そうであるならキャベッジは、五回無死一、二塁でこそバントでよかったのでは? 少なくとも走者を三塁まで進めるため、どうにか引っ張ろうという姿勢すら感じられず、平凡な左飛に終わったことが悔やまれる。増田陸を4番で起用し、吉川は欠場。スタメンを入れ替えた打線も、結局は機能せず、ロースコアの連続。このまま阪神に走られたら...。不安を覚える3連戦だったのではないか。(サンケイスポーツ専属評論家)
◆巨人のマルティネスが登場した瞬間に、延長を覚悟した虎ソナは、ことしの阪神を語る資格がないのかもしれない。歓喜のサヨナラ。いよいよ、感動のゴールも見えてきた。ちょっと早いか?!試合前には、これまたうれしい知らせも。甲子園名物、ジェット風船の復活が発表されたのだ。ラッキーセブンの攻撃前に飛ばされていた風船が消えたのは、新型コロナが世界に蔓延した2020年シーズンだった。球場側の説明を取材していたのは入社1年目のピヨピヨ記者、秋葉元。関西に全くの縁のなかった男は「ナマで見たこともないです。説明を聞きながらも、正直、ピンと来ていません」と首をひねっていた。ルーキー記者だけではない。トラ番6シーズン目を迎えているサブキャップ・原田遼太郎ですら「入社間もない頃は記者席で見たことがありますが、そういえば、トラ番としては、見ていないですね」。サトテルらの〝復活大歓迎〟談話を集めながら、原田自身もずいぶん前の思い出なのだ。「風船は黄色だけでしたっけ? 佐藤選手が言うように、いろんな色が飛べば、もっときれいでしょうね」原田が「美しさ」を言葉にした。確かに、4万個以上の風船は舞い上がる光景は壮観だ。コロナ以前は、ビジター球団担当記者が何人も、記者席から甲子園名物を動画で撮影していたほど。海外からの観光客にも「日本の美しい光景」の一つに、甲子園のジェット風船を挙げている人は少なくないという。サムネイルが「甲子園のジェット風船」という日本好き外国人がテレビで紹介されていた。海外では「伝統文化」と思われているのかも。

<セ・リーグ順位表推移>
順位 | チーム名 | 勝数 | 負数 | 引分 | 勝率 | 首位差 | 残試合 | 得点 | 失点 | 本塁打 | 盗塁 | 打率 | 防御率 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 (-) |
阪神 |
43 | 31 | 2 | 0.581 (↑0.006) | - (-) |
67 | 253 (+3) | 168 (+2) | 42 (-) | 63 (-) |
0.244 (↑0.001) | 1.980 (-) |
2 (-) |
広島 |
36 | 34 | 3 | 0.514 (↓0.008) | 5 (↓1) |
70 | 234 (-) | 222 (+5) | 36 (-) | 33 (-) |
0.246 (-) | 2.750 (↓0.03) |
3 (1↑) |
DeNA |
36 | 35 | 3 | 0.507 (↑0.007) | 5.5 (-) |
69 | 237 (+8) | 209 (+5) | 41 (+2) | 38 (-) |
0.228 (↑0.001) | 2.640 (↓0.03) |
4 (1↓) |
巨人 |
37 | 38 | 2 | 0.493 (↓0.007) | 6.5 (↓1) |
66 | 217 (+2) | 226 (+3) | 45 (-) | 32 (-) |
0.242 (↑0.002) | 2.640 (-) |
5 (-) |
中日 |
32 | 41 | 2 | 0.438 (↓0.006) | 10.5 (↓1) |
68 | 180 (+5) | 231 (+8) | 36 (+2) | 49 (-) |
0.220 (-) | 2.930 (↓0.07) |
6 (-) |
ヤクルト |
21 | 46 | 4 | 0.313 (↑0.01) | 18.5 (-) |
72 | 185 (+5) | 287 (-) | 33 (+1) | 30 (+1) |
0.221 (↑0.001) | 3.570 (↑0.05) |
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