ヤクルト(★0対6☆)阪神 =リーグ戦10回戦(2025.06.29)・明治神宮野球場=
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阪神
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ヤクルト
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勝利投手:伊藤 将司(2勝0敗0S)
敗戦投手:アビラ(1勝5敗0S)

本塁打
【阪神】森下 翔太(13号・1回表ソロ),佐藤 輝明(20号・8回表ソロ)

  DAZN
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◆阪神は初回、森下のソロで先制に成功する。そのまま迎えた5回表には、坂本の適時二塁打などで4点を加え、試合を優位に進めた。投げては、先発・伊藤将が9回2安打無失点の快投。2年ぶりの完封で今季2勝目を挙げた。敗れたヤクルトは、攻守に精彩を欠いた。

◆阪神伊藤将司投手(29)が気合で暑さを乗り切る。29日ヤクルト戦(神宮)で先発予定。最高気温が30度を超える日も多くなってきた中での野外のデーゲームとなる。夏場の対策を問われ「気合です」と断言。交流戦で2試合に先発し計13回2/3を1失点。セ・リーグ球団相手には今季初めて先発する。「やることは一緒なので、しっかり試合に勝てるような投球ができたらいい」。本塁打が出やすい球場での登板に「入りやすいので低めに丁寧に」と引き締めた。

◆阪神ラモン・ヘルナンデス内野手(29)がウオーミングアップから試合前練習に参加した。ヘルナンデスは28日の同戦で「6番三塁」として先発出場。4回表に左前打を放つも裏の守備から途中交代した。藤川球児監督(44)は試合後に「ご家族がドミニカから来られて、観戦していて、家族の中の方に体調不良者が出たというところで。詳細はプライバシーがありますから、そこは彼本人からしかなかなか言えないんですけれど。こちらとしては異国に、子どもの勇姿を見に来てということですから、落ち着いて本人に伝えて、病院に向かってもらうというような形を取ってもらいました」と状況を説明。ヘルナンデスは試合中に病院に向かったという。藤川監督は「ご家族の体調のことがありますから、私としてはそれは一番最優先にしてほしいと常に思っているところですから、様子を見守るというところになります」とも話していた。

◆阪神は31試合ぶりに投手、捕手をのぞき開幕戦のオーダーと同じ守備布陣で臨む。佐藤輝明内野手(26)が「4番三塁」。5月24日中日戦以来28試合ぶりに三塁の守備に就く。前戦までは26試合連続で右翼スタメンとなっていた。前川右京外野手(22)が「6番左翼」スタメン。5月21日巨人戦以来31試合ぶりの先発出場となった。3番森下翔太外野手(24)が5月25日中日戦以来27試合ぶりに右翼の守備に入る。先発は伊藤将司投手(29)。今季初のセ・リーグ球団相手への先発となる。交流戦では2試合に先発し計13回2/3を1失点で1勝0敗だった。

◆阪神佐藤輝明内野手(26)が約1カ月ぶりに三塁に復帰した。5月24日以来で、チーム28試合ぶり。先発メンバーのアナウンスがあると、神宮球場の左翼席からは一瞬、間をおいてから「お~」と大きな拍手が起こった。SNSでは「ついに動いたか」「もうサード見られないかと思った」「チームとしてはこっちの方がいいのかな」「相手が左投手だったらどうする」など、前川右京外野手(22)の起用にも触れる投稿が多かった。

◆阪神森下翔太外野手(24)が2試合連発となる先制ソロを放った。28日の同戦では5回に先制2ランをマークしていた。初回2死走者なし。ヤクルト先発アビラの真ん中付近への変化球を捉え左中間へのソロ本塁打とした。森下の2試合連続本塁打は6月7、8日のオリックス戦(甲子園)以来の今月2度目。今回と同じく野外でのデーゲーム2試合だった。

◆阪神大山悠輔内野手(30)が初回から好判断でピンチを脱した。0-0の1回2死一、二塁、打席に増田を迎えカウント2-2から、マウンドの伊藤将が一塁けん制。1度はセーフと判定されたが、一塁走者のオスナをタッチした大山が、ベンチへアピール。藤川球児監督(44)が、すばやくベンチを出てリクエストを要求した。リプレー検証を経た数分後、判定はくつがえってアウトとなり攻守交代。主砲の好アピールでピンチを脱した。

◆阪神が泥くさく追加点を奪った。1-0の5回、坂本誠志郎捕手(31)の二塁打でまず1点。さらに1死二、三塁から、伊藤将司投手(29)がスクイズ。本塁はぎりぎりタイミングだったが三塁走者の前川右京外野手(22)が頭から突っ込んでセーフをもぎ取った。ボールが後ろにそれている間にもう1点が入った。前川は捕手のプロテクターに顔面を打っていたようにも見えた。砂けむりの中から顔を上げ、少しその場にとどまったため、状態が心配されたが、ベンチから飛び出した藤川球児監督(44)が無事を確認。体を軽くたたいて前川の走塁をねぎらった。前川は5月21日以来のスタメン復帰。安打と、迫力ある走塁で存在感をしっかり示した。

◆阪神森下翔太外野手(24)への死球を巡って球場が騒然となった。5回2死一塁でペドロ・アビラ投手(28)の抜け球が、森下の手に当たった。球場の左半分を埋めた阪神ファンから悲鳴や怒号が響いた。森下は体をひねりながらうまくよけ、しばらくしてから一塁に歩いた。この時点でリーグ単独トップになる8死球。この試合で2戦連発の13号ソロを放っていた。藤川球児監督(44)はすぐにベンチを出て、心配そうな表情で森下に近づいたが、大きな問題なしと判断し、ベンチに戻った。アビラは危険球退場にはならなかった。

◆阪神佐藤輝明内野手(26)が12球団最速の20号本塁打を放った。20号到達は2年ぶりで、チーム73試合目での到達はプロ1年目の77試合目を抜いて最速。さらにこれで、区切りの50打点にも到達となった。8回1死走者なし。カウント2-1から真ん中付近に来た変化球をフルスイングで捉えた。打った直後は打球の行方を見つめ本塁打を確信した様子。ソロでリードを6点とした。佐藤輝は5月1日の中日戦(バンテリンドーム)で、両リーグ最速の10号をマークしていた。アーチをかけたのは6月18日ロッテ戦(甲子園)以来。今季の交流戦では楽天をのぞく5球団相手に本塁打を記録し、12球団トップの6本塁打をマークしていた。打点はちょうど50。昨季に4年連続50打点で新人年からの球団記録を更新しており、さらに伸ばす形となった。これまでのキャリアハイは21、23年の24本塁打で、このままなら悠々と更新するペース。23年は、18年ぶり6度目のリーグ優勝を決めた9月14日(甲子園)にバックスクリーンへ2ランを放ち、節目に到達していた。まだまだ進化は止まらなそうだ。★佐藤輝の年度別本塁打数21年 24本塁打22年 20本塁打23年 24本塁打24年 16本塁打25年 ???

◆阪神が2戦連続、今季17度目の完封勝ちで3連勝を決めた。カード勝ち越しは2カードぶりで、6月の成績は11勝11敗となった。先制はこの日も森下翔太外野手(24)の1発だった。初回2死走者なしで、初対戦だったヤクルト先発アビラの真ん中付近への変化球を捉え、左中間へ先制の13号ソロ。2戦連発で流れを呼び込んだ。5回には打者一巡の猛攻。大山、前川の連打で無死一、三塁の好機をつくり、坂本誠志郎捕手(31)が中堅フェンス直撃の適時二塁打を放った。さらに1死二、三塁から、伊藤将がスクイズを決めると、三塁走者の前川が頭から突っ込みセーフ。ボールがそれた間に二塁走者の坂本も生還。なおも1死二塁で近本が中前打でつなぎ、中野の中犠飛で5点目を奪った。さらに8回1死から、佐藤輝明内野手(26)が120キロ右翼スタンドへ、12球団最速20号ソロを放ち、ダメ押しした。この日は、前日28日まで右翼を守っていた佐藤輝が、28試合ぶりに三塁で先発。右翼には27試合ぶりに森下が入り、前川が「6番左翼」で31試合ぶりにスタメン。オーダー変更がはまった。先発の伊藤将司投手(29)は、23年8月20日DeNA戦(横浜)以来となる完封勝ちで2勝目。6月11日西武戦(ベルーナドーム)で今季初先発してから3戦負けなしとなった。

◆ヤクルトは今季3度目の2試合連続無得点、通算11度目の0封負けを喫した。1回裏、2番赤羽由紘の右前打と4番ホセ・オスナの四球で2死一、二塁としたが、オスナがけん制死。好機をつぶして、阪神先発・伊藤将司を楽にしてしまった。2回以降は二塁すら進めず、あっさり完封を許してしまった。守っては5回1死二、三塁で先発のペドロ・アビラが相手のスクイズをホームに悪送球。この回、一気に4点を失った。8回にはこの日昇格したばかりの丸山翔大が佐藤輝明にソロ本塁打を配給。完敗を喫し、借金25になった。

◆阪神が2試合連続で今季17度目の完封勝利をおさめた。先発の伊藤将司投手(29)が9回を2安打3四球5奪三振の無失点。23年8月20日DeNA戦(横浜)以来2シーズンぶりの完封勝利を挙げた。打線は初回の森下翔太外野手(24)の先制ソロ、12球団最速20号となる佐藤輝明内野手(26)の8回のソロなど8安打6得点。5回には伊藤将のスクイズ成功もあり一挙4得点だった。

◆阪神佐藤輝明内野手(26)が12球団最速の20号本塁打を放った。20号到達は2年ぶりで、チーム73試合目での到達はプロ1年目の77試合目を抜いて最速。さらにこれで、区切りの50打点にも到達となった。8回1死走者なし。カウント2-1から真ん中付近に来た変化球をフルスイングで捉えた。打った直後は打球の行方を見つめ本塁打を確信した様子。ソロでリードを6点とした。佐藤輝が8回に両リーグトップの20号。阪神選手の両リーグ20号一番乗りは75年田淵、84年掛布、85年バース、90年パリッシュ、10年ブラゼルに次いで6人目になる。佐藤輝は5月1日に10号も両リーグトップで記録。昨年の村上(ヤクルト)が10号に続いて20号も両リーグ一番乗りしたが、阪神の選手で10、20号の両方を一番乗りは初めてだ。この日を含め、佐藤輝が8回に打った本塁打は今季9本となり、9回の2本と合わせ8、9回だけで半分以上の11本を打っている。

◆反撃の芽すら出てこなかった。ヤクルトは阪神伊藤将に2安打完封負け。高津臣吾監督(56)は「先頭打者の出塁もなかったし、チャンスらしいチャンスがなかったですね」と淡々と振り返った。今季3度目の2試合連続無得点、今季11度目の0封負け。満員の神宮に虎党の凱歌(がいか)が響いた。1回に2死一、二塁としたが、一走オスナがけん制死。2回以降は伊藤将の前に二塁すら踏めない。「(伊藤将の投球パターンは)インコースとアウトコース、大体来るところは分かっているから、あとは技術勝負。向こうの方が上だった」と高津監督。今季ワーストの2安打では打つ手もない。村上、長岡、そしてサンタナを欠き、救世主もなかなか出てこない。走者が出ないため、盗塁数もリーグ最少の28と、足でかき回すこともできない。調子や相手先発投手との相性を考慮して打順を入れ替えているが、良き解が見つからない。今季45敗目で、借金25。次戦の7月1日、敵地で広島に敗れ、首位阪神が巨人に勝つと、早くも自力Vが消滅する。ビジター6連戦に向け、高津監督は「できることをコツコツとやっていくしかないでしょうね」と話した。

◆阪神前川右京外野手(22)が、31試合ぶりのスタメンで気迫のヘッドスライディングを決めた。1点リードの5回無死一塁で先発アビラから中前打を放ち、一、三塁に好機を拡大。7番坂本の適時二塁打で三塁に進み、見せ場がやってきた、1死二、三塁から9番伊藤将の投手正面へのスクイズでホームへダイブ。完全な阪神ペースに持ち込む3点目をもぎ取った。気持ちのこもった激走に「いや、まあ...それは普通なんで」と照れ笑い。捕手古賀の足に顔面が接触したようにも見えたが「大丈夫です」と頼もしげに言った。この日、佐藤輝が右翼から三塁へ、森下が左翼から右翼に回り、5月21日巨人戦(甲子園)以来の先発左翼を託された。「1度逃したチャンスだったので、逃したらダメだなと思って(試合に)入りました」。開幕から不動のはずだった左翼レギュラーの座は、5月中旬に明け渡した。打撃不振で同月22日に出場選手登録を抹消され、6月17日に1軍復帰したばかり。ようやく巡ってきた、開幕戦と同じ「6番左翼」の出番で、再びその座を奪われるわけにはいかなかった。スクイズでの生還後は、心配した藤川監督からねぎらわれるシーンもあった。闘志あふれるプレーで完勝に貢献したが、本人は満足感に浸らなかった。「1本出たのはよかったけど、やっぱり目立つような活躍をしないといけない。そういった面では足りなかった」。1球1球、貪欲に。帰ってきたホープの姿勢が虎の活力となる。【佐井陽介】

◆阪神佐藤輝明内野手(26)が12球団一番乗り、自己最速73試合目の20号で6得点快勝のトリを飾った。5-0で迎えた8回にダメ押しソロ。入団から5年連続50打点の球団記録も更新した。3番森下翔太外野手(24)も初回に2戦連発となる先制決勝の13号ソロ。今季4度目のアベック弾でリーグ最速40勝に貢献した。チームはこの日、約1カ月ぶりに三塁佐藤輝、右翼森下、左翼前川の開幕オーダーに原点回帰。作戦ズバリの猛打で首位がっちりだ。花の都の真ん中で、ファン待望の"神宮花火"が打ち上がった。5-0の8回。ヤクルト丸山翔がカウント2-1から110キロの緩いカーブを投げてきた。佐藤輝は幻惑にもビクともしない。「甘いところにきたので、よかった」。一呼吸ためて鋭く振り抜くと、打球は大きな弧を描いて右翼席へ。打った瞬間に確信し、ゆっくりと歩き出した。「本当によく投げてくれましたね、将司さんが」。自分より先に同期の伊藤将に触れた。得点力が下がった6月は援護できない試合も多かった。だがこの日は今季4度目、通算7度目の森下とのアベック弾も決まった。3&4番に1発が出れば6勝1敗。当然強い。ダメ押しソロで両リーグ最速の20号。自身にとってもプロ1年目の77試合を抜き、最も早い73試合での到達となった。球団記録を更新する新人年からの5年連続50打点も、軽々とクリア。打点もトップ森下を2差で追う2位につける。この日、28試合ぶりに「4番サード」のアナウンスが響いた。佐藤輝が三塁、森下が右翼、前川が左翼に戻る約1カ月ぶりの基本シフトが大当たりした。「(三塁は)全然違和感なく入れたのでよかったです。久々だったけど、打撃にどうこうはないので。(外野でも)どっちでも大丈夫です」打球処理の機会は8回2死が最初。ゴロを無難にさばくと、9回2死からは緩いゴロにチャージし、ハーフバウンドでつかんでジャンピングスロー。伊藤将に27個目のアウトを届けた。「4番三塁」の攻守でファンを熱狂させたが、今後については「監督、コーチといろいろ相談しながら」と話すにとどめた。数字が示すように今季は進化が著しい。ただ、本人は一朝一夕ではないと強調する。例えば、強くこだわるスイング軌道。投球の軌道に、どううまくバットを入れるかを探究している。「本当にずっと前からです。プロ入り前か後か...。簡単にできるものではないです」。まだ完成型ではないが、理想に近い打席が増えてきたことは間違いない。「暑いんでね。体調崩さないようにして、また伸ばしていけたら」。帰り際、スタンドからの大声援に何度も手を振って応えた。7連敗も喫した苦しい6月を2連勝で締め、月間5割をキープ。進化が止まらない虎の4番が、86年バース以来のタテジマキングに突き進む。【柏原誠】

◆阪神坂本誠志郎捕手(31)は適時二塁打と好リードで快勝を導いた。打っては1点リードの5回無死一、三塁。アビラから左中間フェンス直撃の適時二塁打を放ち、この回4得点を呼び込んだ。6月15日の楽天戦以来2週間ぶりの打点に「何とか追加点を取りたくて。追い込まれて、何とか前に飛ばそうと思った」。受けても序盤にインコースを意識させる配球で伊藤将の完封を演出。「球場が狭いのでいろいろ考えながら。真っすぐもすごく強さがあったし、変化球も高さがよかった」と左腕をたたえた。

◆阪神大山悠輔内野手(30)が攻守で流れを引き寄せた。1点を先制した直後の1回2死一、二塁の守備では、空けていた一塁ベースにスルスルと入り、伊藤将とのコンビでオスナをけん制タッチアウト。ピンチを防ぎ「大きかったと思います」とうなずいた。打っても1点リードの5回先頭で左前打を放ち、この回一挙4得点を導いた。「出塁して追加点で、マサシ(伊藤将)を援護する意味でもよかったんじゃないかなと思います」。6回にも先頭で三遊間を抜き、5戦ぶりのマルチ安打も決めた。

◆阪神森下翔太外野手(24)が今季3度目の2試合連発となる、先制決勝の13号ソロを放った。初回2死。ヤクルト先発アビラのスライダーをとらえて左中間席へ運んだ。「先制点がほしかったので、2アウトでしたけど、何とか1点取れたんでよかったと思います」。13度の勝利打点は両リーグ断トツで、52打点は佐藤輝に2差をつけてトップを維持。27日まで11試合ノーアーチが続いていたが、完全にお目覚めだ。「姿勢の部分で修正していたので、そこだけをしっかり入りで意識して。自分のスイングをできるような形に持ってきました」。この日は5月25日中日戦以来、27試合ぶりに「3番右翼」でスタメン出場。2日続けて1発で勝利に導き「甲子園でまた勝てるように頑張ります」と頼もしかった。

◆完全復活の2連勝だ。阪神伊藤将司投手(29)が、23年8月20日のDeNA戦以来2シーズンぶりの完封を決めた。昨季から苦しんだ左腕の快投。東都の虎党は強い音圧を感じるほどの大声量で「将司! 将司!」とコールし、本人は帽子を取って頭を下げた。「ほっとしています。ストレートがよかった」初回に2死一、二塁のピンチを招いたが、一走オスナを絶妙のけん制で刺した。2回以降は二塁も踏ませず、3回から無安打投球。9回をわずか2安打、5奪三振と圧倒した。テレビ中継の序盤、内野カメラマン席の温度が43・1度と紹介された前日に続く連日の酷暑。夏場対策は「気合です」と答えていた左腕が、有言実行で121球の力投。「暑い日に応援ありがとうございます」と感謝した。バットでも自身を援護した。5回に坂本が2点目の適時打を放ち、なお1死二、三塁。スクイズを投前に転がすと三走前川がヘッドスライディングで生還し、3点目をもぎ取った。一挙4点を奪った12人攻撃で、相手にダメージを与える千金の1打点になった。10勝、9勝、10勝...。新人から先発の一角を担って3年連続好成績を収めたが、4年目の昨季は4勝止まり。昨年12月の契約更改後では「フォームもバラバラでうまくいっていなかった」と分析し、テークバックを試行錯誤するなど懸命にベストを模索してきた。今季は開幕2軍で、1軍も中継ぎの1試合で降格したが、その時を信じて地道に鍛錬。6月11日の西武戦に先発で再昇格して8回途中無失点に抑えると、18日のロッテ戦で6回を1失点にまとめて初勝利。そしてこの日、2戦連続の快投で完全復活を印象づけた。防御率は驚異の0・39だ。チームは2試合連続、リーグ最多17度目の完封勝利となった。藤川監督も快投に目を細めた。「苦しいところから帰ってきているので、おごることなく、ひるむことなくまた続けていくと、それに尽きると思います。素晴らしい完封でした」。伊藤将も決意を新たにした。「自分はまだスタートしたばかり。チャレンジする気持ちで1年間ローテで投げたい」。新日曜日の男が白星を重ね、首位戦線を引っ張る。【塚本光】阪神安藤投手チーフコーチ(伊藤将について)「(西武戦での)初登板からいい時の状態だった。続けてほしい」

◆勝敗を分けたのは阪神守備陣の周到な準備だった。 先発の伊藤将司投手(29)が初回、2死ながら一、二塁のピンチを背負った。表に森下翔太外野手(24)のソロで先制。ここは絶対に抑えて、流れをつかみたい場面だった。打者の増田珠外野手(26)に対してカウントは2-2。5球目を投げる前に、ベースを離れていた一塁手の大山悠輔内野手(30)が一塁走者ホセ・オスナ(32)の背後からベースに走った。屈指のけん制技術を持つ伊藤将がタイミングよく一塁に投げ込む。判定はセーフだったが、大山は確信を持ってすぐにベンチにリクエストを要請。結果、アウトに覆った。好判断が光った大山は「そうですね、大きかったと思います」と、試合のポイントになったと振り返った。チームとして用意したサインプレーとみられる。2死のため、一塁走者は長打なら一気に本塁突入を狙う。前がかりになる心理を読み切って、狙い済ました。苦い経験を生かした。12日の西武戦(ベルーナドーム)。3点を追う8回1死満塁で一塁走者の佐藤輝明内野手(26)が同じようなピックオフプレーにかかってアウトになった。阪神は交流戦終了後の4日間を利用して2度、室内練習場を閉め切って、連係プレーの確認を行っていた。藤川球児監督(44)は詳細について触れないが、ピックオフプレーの確認も含まれていた可能性がある。この1プレーに救われた伊藤将は3回以降無安打で2安打完封勝ち。快勝で6月を締めくくった。

◆28日に連敗を止めた阪神は、開幕当初の布陣を組んだ。佐藤輝明内野手(26)が5月24日の中日戦(バンテリンドーム)以来の三塁に入り、森下翔太外野手(24)も同25日の同戦以来の右翼で先発。そして不振により2軍降格し、6月17日から再び昇格となっていた前川右京外野手(22)が、5月21日の巨人戦(甲子園)以来31試合ぶりに「6番・左翼」でスタメンに名を連ねた。原点回帰のオーダーで、カード勝ち越しを狙う。先発のマウンドには防御率0・63の伊藤将司投手(29)が上がり、2勝目を目指す。

◆阪神が森下翔太外野手(24)の2試合連発となる13号ソロで先制に成功した。一回2死で打席に立つと、ヤクルトの先発・アビラ(前ガーディアンズ)の真ん中付近のスライダーを一閃。白球は晴れ渡った神宮の空を駆け、連日阪神ファンで超満員のレフトスタンド最前列に飛び込んだ。28日には0-0の五回に高橋から決勝2ランを叩き込んだ。6月7、8日のオリックス戦(甲子園)以来となる2戦連発弾。連勝に向けて好発進した。

◆阪神が一回、息のあったサインプレーで窮地を脱した。森下翔太外野手(24)の13号ソロで先制した直後の守備だ。伊藤将司投手(29)は1死から安打を浴び、なおも2死二塁からオスナに四球を与えて2死一、二塁のピンチを背負った。続く増田にカウント2-2となったところで、伊藤将が一塁へ素早く牽制球。大山悠輔内野手(30)は走者の後ろから走り込んでベースに入り、一走オスナをタッチ。判定はセーフだったが、大山はすぐさまベンチにアピールし、藤川球児監督(44)がリクエスト。長いリプレー検証の末に判定は覆り、鮮やかなサインプレーでピンチをしのいだ。交流戦では連敗中の西武戦で1死満塁から同じようなサインプレーからの一塁牽制で佐藤輝明内野手(26)がアウトになり、競り負けた試合も経験していた。交流戦終了からリーグ戦再開までの全体練習でも報道陣をシャットアウトして連係プレーの練習をする様子もあり、その成果を発揮した形だ。

◆阪神が森下翔太外野手(24)の2試合連発となる13号ソロで先制に成功した。一回2死で打席に立つと、ヤクルトの先発・アビラ(前ガーディアンズ)の真ん中付近のスライダーを一閃。白球は晴れ渡った神宮の空を駆け、連日阪神ファンで超満員のレフトスタンド最前列に飛び込んだ。28日には0-0の五回に高橋から決勝2ランを叩き込んだ。6月7、8日のオリックス戦(甲子園)以来となる2戦連発弾。連勝に向けて好発進した。「打ったのはチェンジアップかな。1打席目からしっかり打ちにいく準備ができていましたし、浮いた甘い球を一発でしとめることができてよかったです。何があるかわからない球場なので、勝ち切れるように頑張ります」とコメントした。

◆阪神が坂本誠志郎捕手(31)の適時打、伊藤将司投手(28)のスクイズなどで4点を奪った。1-0の五回、先頭の大山悠輔内野手(30)がヤクルト先発・アビラ(前ガーディアンズ)の初球を左前へ運んで出塁すると、続く前川右京外野手(22)も初球ツーシームを中前へはじき返して無死一、三塁。好機で打席に立った坂本がカウント2-2からの高め直球を振り抜き、左中間フェンス直撃の適時二塁打で1点を追加した。なおも1死二、三塁で、9番・伊藤将司投手(29)がカウント2-1からスクイズ。打球は投手前に転がり、三走・前川がヘッドスライディングで生還した。さらに投手・アビラの本塁への送球が悪送球となり、二走・坂本も一気に本塁へ。続く近本光司外野手(30)が安打でつなぎ、中野拓夢内野手(29)の犠飛で、この回4点目を挙げた。適時二塁打を放った坂本は「(伊藤)将司が粘り強く頑張ってくれているので、早い段階で追加点を取ってあげたいと思っていた。この後もリードで引っ張って、勝って終われるように最後まで頑張ります」とコメントした。犠飛の中野は「打ったのはチェンジアップ。ヒットではなかったけどしっかり追加点を取ることができてよかったです」と話した。

◆阪神の森下翔太外野手(24)が死球を受け、打席で倒れるシーンがあった。一回に13号ソロで先制すると、五回に4点を加え、2死一塁で迎えた第3打席。ヤクルトの先発・アビラが投じた初球が頭部付近に向かった。倒れ込みながら避けるも、投球が直撃。頭部付近の投球となったこともあり、スタンドからは怒号が飛んだ。しかし森下は座り込んだまま球審に自らの左手の甲を指差し、レガースをつけていた部分だったため大事には至らず、すぐさま立ち上がって一塁へ歩いた。藤川球児監督(44)もグラウンドに出るも、当たった箇所を確認するとベンチに戻った。

◆阪神・佐藤輝明内野手(26)が20号ソロを放った。5-0の八回1死から、ヤクルトの4番手・丸山翔の変化球を一閃。打った瞬間に本塁打を確信する特大の一発を右翼スタンドにたたき込んだ。佐藤輝の両リーグ最速の20号到達は、球団日本人では1984年の掛布雅之以来。さらに球団初の新人から5年連続で50打点を達成した。

◆阪神がヤクルトに6-0で快勝。カード勝ち越しを決め、リーグ最速で40勝に到達した。一回に森下翔太外野手(24)の2試合連続となる13号ソロで先制。五回には打者一巡の猛攻で一挙4点を奪った。5-0の八回には佐藤輝明内野手(28)が4番手・丸山翔から右翼席へソロ本塁打。球団日本人では1984年の掛布雅之以来となる両リーグ最速で20号に到達し、球団初となる新人年から5年連続50打点を達成した。先発した阪神・伊藤将司投手(29)は2023年8月20日のDeNA戦(横浜)以来、679日ぶりとなる完封勝利。ヤクルト打線をわずか2安打に抑え込み、今季2勝目を挙げた。

◆ヤクルトは投打がかみ合わず阪神に大敗。高津臣吾監督(56)は「向こう(阪神先発の伊藤将)の方が技術が上だった。チャンスらしいチャンスがなかった」と言葉少なに振り返った。この日は、打線が今季ワーストとなる2安打と沈黙。先発したアビラも5回5安打5失点と先発としての役割を果たせず指揮官は「細かいところをどうやって抑えるかというところ」と指摘するしかなかった。今季11度目となる零封負けを喫し、借金は今季ワーストを更新する25に膨らんだ。

◆阪神が2試合連続、今季17度目の無失点勝利で、日本一に輝いた2023年以来のリーグ最速40勝に到達した。佐藤輝明内野手(26)が5月24日中日戦(バンテリン)以来、28試合ぶりに「三塁」。前川右京外野手(22)は5月21日巨人戦(甲子園)以来、31試合ぶりの「6番・左翼」。森下翔太外野手(24)は27試合ぶりに「右翼」に就いた。遊撃手と投手以外は開幕メンバーを据えた打線は一回、森下の2試合連続本塁打で先制。五回は前川の右前打などで好機を作り、坂本誠志郎捕手(31)の適時二塁打、伊藤将司投手(29)のスクイズが犠打野選と投手失策が重なり、中野拓夢内野手(29)の犠飛で4点を奪った。さらに八回には佐藤輝が球団6人目の両リーグ最速の20号本塁打を放った。伊藤将は23年8月20日DeNA戦(横浜)以来の完封で2勝目。

◆ヤクルトの先発のアビラ投手(28)は5回5安打5失点で5敗目を喫した。四回までは一回に森下に許したソロ本塁打のみに封じていたが、五回に4安打を浴び一挙4失点。「試合を優位に進めることができず、流れをもって来られなかった」と肩を落とした。6試合に先発し、1勝5敗と勝ち星に恵まれていない助っ人右腕に高津監督は「細かいところをどう抑えるか」と注文をつけた。

◆阪神が2試合連続、今季17度目の無失点勝利で、日本一に輝いた2023年以来のリーグ最速40勝に到達した。佐藤輝明内野手(26)が5月24日中日戦(バンテリン)以来、28試合ぶりに「三塁」。前川右京外野手(22)は5月21日巨人戦(甲子園)以来、31試合ぶりの「6番・左翼」。森下翔太外野手(24)は27試合ぶりに「右翼」に就いた。遊撃手と投手以外は開幕メンバーの打線は一回、森下の2試合連続本塁打で先制。五回は前川の右前打などで好機を作り、坂本誠志郎捕手(31)の適時二塁打、伊藤将司投手(29)のスクイズが犠打野選と投手失策が重なり、中野拓夢内野手(29)の犠飛で4点を奪った。さらに八回には佐藤輝が球団6人目の両リーグ最速の20号本塁打を放った。121球で2安打の伊藤将は23年8月20日DeNA戦(横浜)以来の完封で2勝目。

◆現役時代は阪神、南海で活躍し、引退後は阪神で投手コーチやフロントでも尽力したサンケイスポーツ専属評論家の上田二朗氏(77)は2安打で2023年8月20日DeNA戦(横浜)以来の完封勝利を挙げた阪神・伊藤将司投手(29)を絶賛した。6月末ながら「真夏のデーゲーム」と表現していい悪条件の中で完封した伊藤将を思い切りホメたい。入団から3年目ぐらいまでは投球動作で右足を踏み出す時に、右手のグラブを高く掲げる投球フォームだった。シーソーのような形が特長でもあった。ところが、ある時期から、そのフォームでバランスが取れなくなっていた。不調の原因は、そこにあったと見ていた。キャンプでいろいろ工夫している話も聞いていたが、取り組んだのが、右手のグラブが右肩より上がらない新たなフォーム。ようやく、自分の中でしっくりくるようになったのだろう。体重移動がスムーズにできて、パワーが左腕に伝わり、結果、力まなくても球がいくようになった。先発は少しでも長いイニングを投げるべき。そのために中6日も休んでいる。伊藤将にとってはもちろんだが、チームにとっては、最高の完封だろう。2死から四球が3度。微妙な制球に課題はあるが、今の伊藤将なら、次回登板でさらに内容のある投球を見せてくれるのではないか。

◆阪神・坂本誠志郎捕手(31)が攻守で伊藤将司投手(29)の完封をおぜん立てした。1―0の五回無死一、三塁で、左中間フェンス直撃の適時二塁打。「なんとか追加点を取りたくて。追い込まれて、なんとか前に飛ばそうと思っていた」と振り返った。マスクをかぶってはヤクルト打線を三回以降無安打に封じ「真っすぐもすごく強さがあったし、変化球も高さが良くて、いいピッチングだった」と679日ぶりに完封勝利を挙げた左腕をたたえた。

◆約1カ月ぶりにスタメンに名を連ねた阪神・前川右京外野手(22)がバットで結果を残した。「一度逃したチャンスだったんで、(もう)逃したらダメだなって思って(試合に)入りました」5月21日の巨人戦(甲子園)以来の先発出場。第1打席は見逃し三振に倒れたが、五回無死一塁での第2打席でヤクルトの先発・アビラ(前ガーディアンズ)の初球を中前に運んだ。好機を拡大してチームは一挙4得点。1死二、三塁の場面では、伊藤将司投手(29)のスクイズに本塁へ気合の入ったヘッドスライディングを見せて3点目をもぎ取った。「1本出たのは良かったですけど、やっぱり目立つような活躍をしないとと思っていた。そういう面では足りなかった」今季は開幕スタメンを勝ち取るも、5月に入ると調子を落とし22日に登録抹消。6月17日に再昇格していた。1本の安打をきっかけに、22歳の若虎が巻き返しを図る。(萩原翔)

◆阪神・中野拓夢内野手(29)が五回のビッグイニングを仕上げた。3点を奪い、なおも1死一、三塁で先発・アビラ(前ガーディアンズ)の浮いた変化球を外野へ運んだ。タッチアップで三走の伊藤将が生還。連続出塁は12試合でストップしたが「ヒットではなかったけど、しっかり追加点を取ることができて良かったです」とうなずいた。

◆阪神・大山悠輔内野手(30)が走攻守で勝利を呼んだ。一回2死一、二塁から守備では、のサインプレーで一走の後方からベースに入り、伊藤将司投手(29)のけん制球を捕球して走者にタッチ。一度はセーフと判定されたが、自らリクエストをアピールして判定を覆し、ピンチの芽を摘んだ。打撃では1―0の五回先頭で左前打を放つと、前川右京外野手(22)の中前打で一気に三塁まで激走。試合を決める一挙4得点の口火に「出塁して追加点で(伊藤)マサシを援護する意味でもよかった」と語った。

◆阪神・近本光司外野手(30)が4試合ぶりの安打で打者一巡の猛攻を演出した。1-0の五回に3点を奪い、なおも1死二塁で中前打。好機を拡大し、続く中野拓夢内野手(29)の犠飛につなげた。チームは連勝でカード勝ち越し。「本当、暑い中でしたけど、投手を中心に守りのいいペースでいけたんじゃないかなと思います」。7月1日からは本拠地で3位巨人を迎え撃つ。「また新たな気持ちで頑張ります」と前を向いた。

◆阪神・佐藤輝明内野手(26)が今季20号本塁打。阪神の選手が両リーグ最速で20号に到達したのは、1975年の田淵幸一、84年の掛布雅之、85年のバース、90年のパリッシュ、2010年のブラゼルに次いで15年ぶり6人目。日本選手では田淵、掛布に次いで41年ぶり3人目。

◆アレもコレも一番乗り!! 阪神はヤクルトに2試合連続、今季17度目の零封勝ちで6-0の快勝。八回に佐藤輝明内野手(26)が右越えソロを放ち、球団の日本選手では1984年の掛布雅之以来となる両リーグ最速20本塁打とした。チームもセ・リーグ最速で40勝に乗せ、7連敗があった6月を11勝11敗のタイでフィニッシュ。交流戦明け最初のカードを、爽快に勝ち越して踏み出した。快晴の青空に向かって、白球が放たれた。東京の空に架けたドドメのアーチ。ホットコーナーに帰ってきた佐藤輝が、再び球団史に名を刻む。誰よりも早く20号の節目に到達し、ゆっくりとダイヤモンドを一周した。「甘いところにきたので。よかったです。(両リーグ最速20号到達は)まあ、いいんじゃないですか」5-0で迎えた八回1死。高めに浮いた丸山翔のカーブを振り抜いた。打った瞬間、スタンドインを確信。7試合ぶりの一発は右翼席中段へと吸い込まれた。チーム73試合目。シーズンの半分を過ぎたばかりのタイミングで両リーグ最速の20号に達した。両リーグ最速の大台到達は球団では2010年のブラゼル以来6人目。日本選手では掛布雅之以来だ。そのうち田淵、掛布、バースは本塁打王に輝いている。さらに、この一撃で50打点も達成。新人年から5年連続の50打点は球団初だ。プロ初本塁打など、なにかと縁のある好相性の神宮で、また快挙を成し遂げた虎の主砲。6本塁打で〝本塁打王〟に輝いた交流戦はベンチでデータ班が作成した資料に目を通す姿が目立った。相手データに目を通す佐藤輝はどの項目を注視しているのか-。「そんなの言えませんよ。秘密です」。手の内は当然、明かさない。ただ、一つだけヒントは示した。「セ・リーグの投手を重ね合わせて、イメージを膨らませています」パ・リーグの強敵と相対する中でも、頭の中ではセ界の猛者と戦い続けてきた。丸山翔とは今季初対戦。ただ、培ってきたイメージ力を駆使し、準備を怠らなかった男が負けるわけがない。リーグ戦も再開し、サトテルがセ・リーグの制空権をますます支配していく。

◆スコアボードには「0」が並び続けた。ヤクルトは2戦連続、今季11度目の零封負け。5カード連続の負け越しで借金は今季ワーストを更新する「25」に膨れた。高津臣吾監督(56)は、今季最少の2安打で完封を喫した阪神・伊藤将に脱帽した。「インコースかアウトコースかだいたい来るところはわかっているので、あとは技術勝負。向こうの方が技術が上だったということですかね」2試合連続で三塁すら踏めなかった。一回に赤羽の右前打、オスナの四球で2死一、二塁としたが、一走・オスナがけん制死。二、三、七回に走者を出したがいずれも2死からで「先頭が出ないし、チャンスらしいチャンスがなかった」と嘆いた。6月は6勝15敗1分けで終了。夏本番を迎える前にサンタナ、田口と故障者が増えて苦しい状況は続く。7月1日からは広島(マツダ)、中日(バンテリンドーム)との敵地6連戦。高津監督は「しっかり粘らなきゃいけない。できることをコツコツとやっていくしかない」と厳しい表情を浮かべた。(赤尾裕希)

◆噴き出る汗が心地よかった。灼熱(しゃくねつ)のマウンドで121球の熱投-。阪神・伊藤将司投手(29)が2023年8月20日のDeNA戦(横浜)以来となる679日ぶりの完封勝利で、今季2勝目をつかんだ。「自分の仕事をしてチームに貢献できたらいいなと思って投げていた。低く丁寧に投げることができた」ヤクルトは右打者9人を打線に並べたが、気にはならない。一回に安打と四球で2死一、二塁とされたが、一走オスナをけん制で刺すと、二回以降は二塁も踏ませなかった。最速144キロの直球と多彩な変化球を低めに集めて的を絞らせず。10勝を挙げリーグ制覇&日本一に貢献した23年の投球スタイルが完全によみがえり、わずか2安打で料理した。自らのバットでも援護した。2-0の五回1死二、三塁で投前にスクイズを決めると、相手守備の乱れで一気に2者が生還(記録は犠打野選と投手の失策)。「点が入って、リラックスして投げることができた」と思わず本音も。勢いに乗り、一人でゼロを並べた。

◆神宮の杜で、虎が誇る右の大砲が完全に目覚めた。力みのない美しいフォームから放たれた打球が、左翼スタンドへ一直線。阪神・森下翔太外野手(24)の2戦連続となる決勝弾で、カード勝ち越しをもぎ取った。「先制点が欲しかった。ツーアウトでしたけど、何とか1点取れたのでよかった。姿勢の部分を修正していたので、そこだけをしっかりと意識して、自分のスイングをできるような形にもっていきました」5月25日の中日戦(バンテリンドーム)以来となる右翼で先発した。一回2死走者なしから、初対戦となったヤクルトのアビラ(前ガーディアンズ)の外角の変化球に反応。2戦連発の13号ソロでそのまま勝ちにつなげて、2位の大山らの7度に大きく差をつける、両リーグ断トツの今季13度目の決勝打となった。前日28日には11試合ぶりとなる12号2ランを放ち、チームを連敗から救った。復調の兆しの一本に「片足は抜けたかな、という感じ」と素直な気持ちを語っていた。交流戦のラスト3カードでは37打数4安打、打率・108と苦しんだ。それでも4日間の練習を挟んでリーグ戦が再開すると、見事に復活。泥沼の中でも自身の現状を把握し、意識すべき部分は理解できていた。「自分の間合いの外でしか打てていないから、慌てたようなスイングになってしまう。それは姿勢が良くないから。フォームがどうとかじゃなくて、とにかくそこだけ。でも分かっていても、修正に時間がかかった」28日の本塁打の次の打席には、外角の変化球を踏み込みながらピタッと止まって見逃すシーンがあった。この形こそ、バロメーターのひとつ。自らと向き合い続けることで、向上のきっかけをつかんで離さなかった。「まだ交流戦が明けて、また始まったばかりなので。甲子園でまた勝てるように頑張ります」苦しい泥沼から自力で足を引き抜いた背番号1は、ここから上がっていくだけだ。(中屋友那)

◆あぢ、あぢ、暑ぢ~!! ほとばしる汗...。ヤクルトー阪神で3キロくらいの『神宮ダイエット』に成功しました。そんな中、灼熱(しゃくねつ)の太陽(グラウンド上は40度は軽く超えていたはず)と燕打線を相手に、どエライ復活の完封ショーを演じ、虎党をさらに熱くした伊藤将司がいたのだ!!2安打完封(三回以降は無安打)の数字もスゴイが、投球フォームに全く力みがなく、ストレートの切れも変化球のコントロールも完ペキ!! 苦しんだ1年半はもう遠い過去のもの、さあここから虎のVに向けてバリバリ働いてもらうから覚悟しとけってんだァ(笑)森下とサトテルちゃんのアベックホームランも良かったねェ!! うむ? 令和の時代アベックは死語か? じゃ、何? カップル? 『カップルホームラン』ありがとう!! って何かシックリこないけど、阪神連勝したからOK!! そして、佐藤輝をサードに戻し、前川をレフトに入れたスタメン。こっちは全国の虎党もシックリしたと思う。藤川監督、当分このオーダーでいきましょうや!!

◆ヤクルト先発はアビラ。阪神戦は初登板なのに、どこかで見た顔だなぁと試合中、ずっと思っていた。「2日前の試合中、一塁側の観客席に座っていたやないか! 楽しそうに見ている姿が、テレビに映っとったわ」教えてくれたのはサンケイスポーツ専属評論家で阪神OBの上田二朗さん。そうか! 思い出した。ずいぶんリラックスした投手だと不思議に感じたのだ。2日後に先発する阪神の投手がスタンドで観戦する姿なんて、見たことがない。もし、こんなリラックスしている投手に抑えられたら、なんか腹が立つかも、と思っていた。森下が先制アーチ。五回にはスクイズを織り交ぜて4点追加し、アビラをKO。腹を立てる必要はなかった。さらに、伊藤将は2安打完封。年に何度もない快勝劇だ。「きょうは試合前の練習開始から、ワクワクしていました」トラ番・中屋友那の「ワクワク」の理由は明確だった。前川右京がスタメンに戻りそうだったから。プロ野球の世界では、試合前の打撃練習の順番である程度、スタメンが予想できる。ビジターの場合、スタメンは早めに打つのだ。中屋は早々に打撃ケージに入った前川を見逃さなかった。さらに、森下がライトのポジションで守備練習しているのも確認。「サード・佐藤輝、レフト・前川、ライト・森下」の布陣が容易に推察できた。担当記者は練習から、必死で見てるんですよ。中屋 「前川がホームランを打って、1面を書けたらいいなぁ」虎ソナ 「中屋が担当する森下がホームランを打ったら?」中屋 「うわぁ。その時はボクが森下の1面ですかねぇ」

◆阪神の左腕、伊藤将の完封勝利はチームにとって大きいし、本人には自信になったことだろう。プレーボール時で気温約32度の炎天下のデーゲーム。厳しいコンディションで投げ切るのは、並大抵のことではない。スタメンに右打者を並べたヤクルト打線に対し、ストレートとカットボールで、内角を思い切りよく突いた。そして内角を意識させた上で、外角へ抜くボール。コンビネーションも決まった。ストレートの球速表示は140キロ台ながら、打者が差し込まれていたところをみると、手元ではもっと速く感じたはず。球質も復活したといえる。もちろん、ヤクルト打線の若さもある。内角対策として、打席での立ち位置を変えるとか、引っ張らずに押し出すように打つとか、工夫があってもよかった。その中で九回先頭の赤羽がセーフティーバントの構えをみせた。点差やイニングにとらわれず、何とかしようという気持ちの表れだ。そう、どんどんチャレンジしたらいい。主力が復帰するまで、若手の勝負の場は続くのだから。(サンケイスポーツ専属評論家)

<セ・リーグ順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差残試合 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(-)
阪神
40312 0.563
(↑0.006)
-
(-)
70247
(+6)
165
(-)
42
(+2)
62
(-)
0.243
(-)
2.020
(↑0.03)
2
(-)
広島
35332 0.515
(↑0.008)
3.5
(-)
73230
(+2)
214
(+1)
33
(+1)
33
(-)
0.247
(↑0.001)
2.760
(↑0.03)
3
(-)
巨人
37352 0.514
(↑0.007)
3.5
(-)
69214
(+1)
220
(-)
45
(+1)
32
(-)
0.240
(-)
2.660
(↑0.03)
4
(-)
DeNA
33353 0.485
(↓0.008)
5.5
(↓1)
72222
(-)
199
(+1)
38
(-)
38
(+1)
0.228
(↓0.001)
2.610
(↑0.02)
5
(-)
中日
32382 0.457
(↓0.007)
7.5
(↓1)
71170
(+1)
216
(+2)
31
(-)
49
(+1)
0.221
(↓0.001)
2.830
(↑0.01)
6
(-)
ヤクルト
20453 0.308
(↓0.005)
17
(↓1)
75177
(-)
283
(+6)
31
(-)
28
(-)
0.221
(↓0.002)
3.680
(-)