1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 計 | 安 | 失 | 本 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
ソフトバンク | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 2 | 7 | 1 | 0 |
阪神 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 12 | 0 | 0 |
勝利投手:杉山 一樹(2勝2敗3S) (セーブ:津森 宥紀(1勝1敗1S)) 敗戦投手:及川 雅貴(3勝2敗0S) |

![]() |
![]() |
![]() |
◆ソフトバンクは初回、栗原の内野ゴロの間に1点を先制する。その後同点とされるも、延長10回表には2死三塁から代打・石塚の適時二塁打が飛び出し、再びリードを奪った。投げては、4番手・杉山が今季2勝目。敗れた阪神は、打線が12安打で1得点とつながりを欠いた。
◆好調の阪神坂本誠志郎捕手(31)が交流戦の最高打率を狙える位置にいる。19日現在、規定打席未満ながら交流戦は37打数15安打の打率4割5厘。トップはこの日から対戦するソフトバンクの柳町達外野手(28)で4割2分9厘。交流戦の規定打席はレギュラーシーズンに準じてチーム試合数×3・1の「56」(小数点は四捨五入)。現在43打席の坂本は残り3試合で13打席が必要になる。3試合とも先発マスクの可能性が高いが、途中でベンチに下がると微妙になるライン。今季、5打席立ったのは2試合しかない。
◆阪神ドラフト5位ルーキーの佐野大陽内野手(23)が1軍に合流した。出場選手登録されればプロ初の1軍昇格となる。2軍では41試合に出場し、3割7厘の成績を残していた。佐野は「ずっとこの日を待っていた。2軍でもやるべきことをできていたので、自信を持って今日から頑張りたい。打って投げるの前に持ち味の元気をアピールしてやっていけたら」と力を込めた。1軍合流は前日19日の夜に伝えられ「全然寝られなかった」と照れ笑い。それでもコンディションについては「大丈夫です」と頼もしく言い切った。
◆阪神小幡竜平内野手(24)に超美技が飛び出した。初回1死満塁の大ピンチ。栗原陵矢内野手(28)の三遊間への痛烈な打球は完全なヒットコースだったが、遊撃の小幡はダイビングし、難しいバウンドにもグラブを合わせて好捕。素早く反回転して二塁に転送した。一塁は惜しくもセーフとなった。併殺崩れで先制の1点を与えたにもかかわらず、観衆は小幡に大きな拍手を送った。打った栗原も苦笑いを浮かべたほどのプレーだった。
◆初回の阪神の攻撃で珍しプレーがあった。2死から森下翔太外野手(24)が三遊間に打球を放ち、遊撃の野村勇内野手(28)がうまくさばいて一塁送球。本塁側にそれたが、一塁の中村晃内野手(35)が何とかキャッチした。タイミングだけを見ると完全にアウトだった。森下は中村との接触をさけるため、3フィートラインよりもさらに外側を走り、ベースも踏まずに駆け抜けた。ただ、一塁塁審が何のアクションもしなかったことから、森下はあわてて右翼方向から全速力で走り、スライディングでベースに戻った。ここで初めて審判がセーフのジャッジ。中村の足がベースから離れていたという「オフ・ザ・バッグ」のジェスチャーをした。ソフトバンク側がリクエストしたが判定は変わらなかった。記録は一塁中村の失策となった。
◆阪神近本光司外野手(30)がビッグプレーで村上頌樹投手(26)を救った。2回無死二塁で海野隆司捕手(27)が中前に痛烈なライナーを放った。二塁走者の牧原大成内野手(32)は落ちると判断して迷わずにスタート。だが、近本は全速力で前進すると、ダイビングして地面すれすれでダイレクトキャッチ。ゆっくりと二塁に返球して併殺となった。すでに三塁まで到達していた牧原大は中堅方向を見てあぜんとしていた。
◆打撃好調の阪神坂本誠志郎捕手(31)が2回1死一塁の第1打席で安打を放った。カウント1-2と追い込まれながら、リバン・モイネロ投手(29)の低めのチェンジアップに食らいつき、バットの先で左前に落とした。この時点で交流戦の成績は38打数16安打。規定打席未満ながら打率4割2分1厘となった。前日19日のロッテ戦(甲子園)はジョン・デュプランティエ投手(30)とのコンビで完封勝利。お立ち台で助っ人に「彼は配球の天才」と持ち上げられていた。
◆ソフトバンクのリバン・モイネロ投手(29)が18試合制になった15年以降の交流戦で最多奪三振を記録した。試合前時点で31個。3回に近本からこの日3つの三振を奪い、19年今永(DeNA)と21年山本(オリックス)の33個を抜いて単独トップに浮上した。降板までに6奪三振で、新記録は37奪三振まで伸びた。モイネロは6日ヤクルト戦で18三振、13日DeNA戦で13三振と、2試合で31三振を奪っていた。特に6日のヤクルト戦の18三振は球団新記録で助っ人投手の新記録。NPB記録にはあと1三振に迫る快投だった。"ドクターK"ぶりを披露したが、モイネロは6回8安打1失点で降板。勝敗はつかず「相手のピッチャー(村上)も良い投球をしている中で、6回までしっかり試合を作ることができたと思います。ただ、先制してもらった1点を守れなかったという悔しさもあります」とコメントした。
◆阪神がリバン・モイネロ投手(29)をとらえた。0-1の5回、先頭の近本光司外野手(30)と中野拓夢内野手(28)の連打でチャンスを作った。2死になって雲行きがあやしくなったが、大山悠輔内野手(30)が3球で追い込まれてから粘りを発揮。8球目のチェンジアップを中前にはじき返した。本塁は微妙なタイミングになったが近本のスライディングがわずかに速く、同点のホームインを果たした。大山は3試合連続の適時打となった。
◆ソフトバンク上沢直之投手(31)が甲子園初勝利を目指す。21日の敵地阪神戦に予告先発。甲子園は日本ハム時代の14、22年以来3年ぶり3度目の先発だが、まだ勝ち星はない。専大松戸(千葉)でも甲子園出場経験はなかった。「投げにくくもないですし、特に投げやすいとかもない。(浜風もあり)不測の事態が起こるものだと思って投げたい」と引き締めた。交流戦は2試合で防御率0・56と好調を維持。今季6勝目をつかみにいく。
◆阪神中野拓夢内野手(28)が止まらない。8試合連続安打で、5試合ぶりの3安打以上をマークした。第1打席で凡退したあとは左腕のリバン・モイネロ投手(29)から左前打を2本。5回無死一塁からの一打でチャンスを広げ、その後同点にした。投手が代わった7回にも左前に流し打った。前日19日に3割を超えた打率もぐんぐん上昇。3安打目の時点で3割8厘となり、リーグトップ中日岡林勇希外野手(23)を暫定で抜いた。安打数も77として、上位に浮上している。
◆ソフトバンクの19年以来6年ぶり9度目の交流戦Vは21日以降に持ち越しとなった。交流戦2位の日本ハムが勝利し、いかなる結果でもこの日のホークス交流戦Vはお預けとなった。
◆阪神村上頌樹投手(26)が8回5安打1失点の好投を見せた。初回1死から連打と四球で、いきなり満塁のピンチを背負った。5番栗原の打球は三遊間への強烈な当たり。これを遊撃小幡竜平内野手(24)がダイビングして好捕し、回転して二塁へ転送。惜しくも一塁はセーフとなり、併殺崩れで先制の1点を与えたが、ここから踏ん張った。続く野村を中飛に打ち取り、最少失点で切り抜けた。前回登板した13日楽天戦は6回3失点で黒星を喫した。この日の相手先発は6連勝中のモイネロ。緊迫した投手戦になることは想定内。虎のエースとして、負けるわけにはいかない。味方の好守にも助けられ、2回以降は本領を発揮。ソフトバンク打線を封じた。5回、チームが同点に追いついた。モイネロは6回で降板したが、村上はマウンドを譲ることなく、8回まで力投。両リーグ最多の8勝目こそ飾れなかったものの、123球の熱投だった。
◆阪神がサヨナラ機を逸した。勝負は延長戦に持ち込まれた。阪神の延長戦は今季12度目。1-1の9回。1死から近本光司外野手(30)が内野安打で出塁。捕逸などで2死三塁となり、打席に森下翔太外野手(24)を迎えた。ソフトバンク杉山一樹投手(27)は初球からフォークばかりを連投。フルカウントから最後6球目もフォークだったが、あまり落ちずにストライクゾーンへ。森下は手を出せず、見逃し三振に倒れた。
◆阪神が延長戦で力尽き、3連勝を逃した。DeNAが敗れ、勝てば2位に今季最大の4・5ゲーム差を付けられた一戦。同点で迎えた延長10回表2死三塁、3番手の及川雅貴投手(24)が伏兵の代打石塚に勝ち越しの右中間適時二塁打を浴びた。20年からソフトバンクには4シーズン連続でカード負け越し中。甲子園のソフトバンク戦でも16年から4カード連続で負け越しているが、今年もカード初戦は苦しいスタートを切った。先発村上頌樹投手(26)は初回1死満塁で栗原の遊ゴロの間に先制の1点を許したが、8回まで123球5安打1失点でゲームメーク。公式戦初登板となったソフトバンク相手に、阪神エース格としての貫禄を見せつけた。打線はソフトバンク先発モイネロの前に初回から走者を送り続け、1点を追う5回に得点。先頭近本、中野の連打から2死一、二塁を作り、大山悠輔内野手(30)が3試合連続の適時打となる中前適時打で試合を振り出しに戻した。だが、その後は9回裏2死三塁のサヨナラ好機を逃すなど、ホームベースが遠かった。
◆首位ソフトバンクの優勝決定は21日以降に持ち越された。阪神との延長戦を制したが、優勝の可能性を残すオリックス、日本ハム、楽天も勝利したため。交流戦首位のソフトバンクが勝ち、21日にも6年ぶり9度目の交流戦Vが決まる。21日に決まる条件はソフトバンクが阪神戦に○か△。●の場合でも、2位のオリックスと日本ハムが●、4位の楽天が●か△なら決まる。交流戦は13試合を残すが、20日時点で両リーグ対戦成績はパ・リーグの57勝36敗2分け。パの3年連続勝ち越しが決まった。
◆阪神ラモン・ヘルナンデス内野手(29)が難敵モイネロからマルチ安打を放った。まずは2回1死から、150キロ直球を捉えてチーム初安打となる左前打。4回1死にも151キロ直球をはじき返し、中前打を放った。15日楽天戦以来4試合ぶりの先発で今季4度目の2安打。「どんな状況でもしっかり準備して、監督に言われたところで行けるというのを見せたかった。結果的には良かったよ」と充実の表情をみせた。
◆ソフトバンク津森宥紀投手(27)が今季初セーブで試合を締めた。1点を勝ち越した直後の10回から5番手でマウンドへ。先頭の阪神4番佐藤輝は151キロ直球で空振り三振に斬った。大山には中前打を許したが、糸原を空振り三振に仕留め、最後は坂本を中飛に抑えた。19日の1軍昇格後、2試合連続で好投。小久保監督は「2軍に落ちる前と別人ですね」と目を細めた。
◆阪神大山悠輔内野手(30)がモイネロ打ちで猛虎打線の意地を示した。0-1の5回。近本と中野が連打でチャンスを作った。打点リーグ1位、2位の森下と佐藤輝が倒れ、嫌なムードが漂っていた中で迎えた第3打席だった。「みんなでつないで作ったチャンスだったので何とか得点につなげたいと打席に入りました」。5番打者は3球で追い込まれてから粘りを発揮した。場内のボルテージが高まる中の8球目。左腕の得意球チェンジアップをバットの先でつかまえて、中前にはじき返した。「うまく対応できたかと思う」。本塁は微妙なタイミングになったが近本のスライディングがわずかに速く、同点のホームイン。その瞬間、虎の背番号3は一塁塁上で珍しく手をたたき、喜びを表現した。自身、3試合連続の適時打となった。3連勝には導けなかったが、持ち前のクラッチヒッターぶりが復活している。1点を勝ち越されたあとの延長10回1死でも、津森から中前打を放って望みをつないだ。パ・リーグを代表する好投手たちと相対し、最後まで勝敗の行方が分からない熱戦を演じた。「明日が大事なので、明日しっかり頑張ります」。大山ははっきりとした口調で言い残し、クラブハウスに戻った。【柏原誠】
◆阪神森下翔太外野手(24)がサヨナラ機で悔しい三振を喫した。1-1の9回。近本の内野安打から2死三塁となって打席が回ってきた。杉山はフォークばかりを連投。フルカウントからの最後6球目もフォークだったが、あまり落ちずにストライクゾーンへ。虚を突かれたようにバットを出せなかった。この日は5打数無安打。「はい、切り替えていきます」と口元を引き締めた。
◆阪神小幡竜平内野手(24)が好守を見せた。初回1死満塁のピンチで、栗原の強烈な打球が三遊間へ。これをダイビングして好捕し、素早く回転して二塁に転送した。一塁はセーフで併殺崩れで先制の1点を与えたが、大量失点を防ぐビッグプレーだった。「勝てなかったのが申し訳ないです。まず明日、試合があるのでしっかり臨みたいと思います」。敗戦で言葉少なだったが、打っては4回に左前打を放ち、7試合連続安打。攻守で存在感を示した。
◆ソフトバンク野村勇内野手(28)が決勝の起点となった。延長10回先頭で二塁へ内野安打。右前へ抜けそうな打球を中野が好捕したが、ヘッドスライディングでセーフを勝ち取った。「あれは気合です」。その後三塁まで進み、代打石塚の適時二塁打で決勝のホームを駆け抜けた。この日は2本の二塁打も放ち4度目の猛打賞。「3本のヒットは最高ですね。(打撃の)波はあるけど調子の悪いスパンを短くできていると思う」。今宮不在の中、攻守でアピールを続ける。
◆ええ試合やったけど...。阪神が「日本生命セ・パ交流戦」で交流戦首位を走るソフトバンクを相手に力尽き、3年連続で交流戦勝ち越しを逃した。先発村上頌樹投手(26)が8回1失点と好投。打線も難敵モイネロに8安打を浴びせたが、1点を追う5回に5番大山悠輔内野手(30)の同点打で1点を奪うのが精いっぱい。最後は10回表2死三塁、3番手の及川雅貴投手(24)が勝ち越し打を浴びた。ソフトバンク戦は昨季まで11シーズン連続で勝ち越せていない。残り2戦、意地の2連勝で交流戦を締めたい。右中間最深部に大飛球が伸びると、悲鳴が甲子園に響き渡った。10試合連続無失点を続けてきた及川がソフトバンク打線に捕まった。1-1の延長10回表に3番手でマウンドへ。中野の好守に救われながら迎えた2死三塁、伏兵の代打石塚に勝ち越し二塁打を浴びた。今季12度目の延長戦をモノにできず、3連勝を逃した。DeNAが敗れ、勝てば2位と今季最大4・5ゲーム差にできていた一戦。11試合ぶりの失点で今季2敗目を喫した及川は「守備に助けられながらも粘れなかった。反省です」と言葉を振り絞った。藤川監督は左腕の胸中を気遣った。「全部(無失点)は無理だから。また明日から普通にやってくれればね。1点でちゃんと帰ってきている。最後まで投げきるというのは重要ですから、いい結果で最後帰ってきましたから」。及川は今季31試合、防御率0・88。貢献度の高い左腕リリーバーを責めるのは酷だと、誰もが分かっていた。強敵ソフトバンクと互角に渡り合った。先発村上が8回1失点とゲームメーク。相手先発モイネロと白熱した投手戦を演じた。「本当に素晴らしかったですね。いい投げ合いだった。最後、白黒つかなかったですけど、良かったと思います」。指揮官も絶賛する123球の熱投に白星をプレゼントできなかった事実が、もどかしい。打線は難敵モイネロに8安打を浴びせたが、得点は5回大山の同点打のみ。リリーフ時代も含めて対戦5戦目で初の得点も勝利につながらなかった。「6番以降のところがいい形でいきながらで、上位につなぐことはできていたんですけど。モイネロ投手と当たることはないですからね。明日に向かうのみ、というぐらいですね」。指揮官は最後、静かに次戦をみすえた。ソフトバンク戦は昨季まで11シーズン連続で勝ち越せていない。交流戦も残り2試合。もちろん、狙うは2連勝のみだ。【伊東大介】
◆阪神中野拓夢内野手(28)が3安打猛打賞で打率3割8厘とし、セ・リーグの首位打者に立った。3回、5回、7回の打席でいずれも左前打の固め打ち。「個人的にはよかったですけど、チームが勝てなかったので。逆方向に出てるのはいいことかなと思います」。首位打者については「毎試合、毎試合、自分のやるべきことを積み重ねている結果だと思う」と振り返った。守備でもファインプレーを連発してスタンドをわかせた。
◆阪神村上頌樹投手(26)が公式戦初対戦のソフトバンクを相手に快投した。チームにとっては12年を最後に交流戦で勝ち越せていない球団。さらに相手先発が今季は無傷6連勝中のモイネロ。初回に先制を許すと、甲子園には嫌な空気が流れた。それでも2回以降は得点を与えず、8回を5安打1四球6奪三振で1失点。虎のエース格が天敵を抑え、明るい材料となった。「テンポ良くしようと修正した。相手もいい投手でなかなか点は入らないなと思い、なんとか粘ろうと」初回は1死満塁から遊ゴロを小幡が好捕し、併殺崩れでの最少失点にとどめた。2回は無死二塁から落ちれば適時打の可能性も高かったライナーを、淡路島出身の先輩でもある中堅手の近本が前方へダイビングキャッチ。飛び出していた二塁走者もアウトになった。「小幡の守備でなんとか1点で止まったので助かった。(2回は)あそこでもう1点入るとキツかった」と感謝も忘れなかった。今季の交流戦は3試合で0勝1敗となったが、同期間の防御率は1・64。両リーグトップタイ7勝の右腕が相手にかかわらず頼もしい。【塚本光】
◆タカの"ドクターK"に新たな勲章が加わった。ソフトバンク先発のリバン・モイネロ投手(29)が、18試合制になった15年以降の交流戦で最多奪三振をマークした。6回1失点で勝ち負けつかずも、6奪三振。今季は登板3試合で計37奪三振となり、19年今永(DeNA)と21年山本(オリックス)の33個を抜いて単独トップに浮上した。最もセ界を驚かせたのは6日のヤクルト戦だった。1試合で圧巻の18奪三振。「ポジティブな結果だった」と自身も納得の量産だった。試合は敗れたが、NPB助っ人新記録で、日本記録にもあと1奪三振だった。先発転向2年目で、存分にポテンシャルを発揮。13日のDeNA戦も13三振を奪い、2試合で31奪三振の荒稼ぎ。この日の阪神戦でも6つ積み重ねた。17日には国内FA権の資格取得条件を満たした。来季からは日本人選手扱い。4年契約1年目で、来季以降もソフトバンクでプレーする。この日は勝敗はつかなかったが村上との緊迫の投手戦を演出。「相手のピッチャーも良い投球をしている中で、6回までしっかり試合を作ることができたと思います。ただ、先制してもらった1点を守れなかったという悔しさもあります」と振り返った。無傷6勝をキープするエースの奮闘に打線も応えた。1-1の延長10回2死三塁から代打石塚が決勝の適時二塁打。きょう21日にも6年ぶり、12球団最多9度目の交流戦優勝が決まる。【只松憲】
◆勝って決めるバイ! ソフトバンクが「日本生命セ・パ交流戦」で、6年ぶり12球団最多9度目の優勝に王手をかけた。1-1の延長10回2死三塁で、育成出身6年目の石塚綜一郎捕手(24)が、代打で右中間に決勝の適時二塁打。先発のリバン・モイネロ投手(29)も交流戦の最多奪三振記録を樹立する快投を見せ、投打一丸でセ界首位の阪神に競り勝った。交流戦の優勝マジックは「1」。21日に自力で優勝を決める。憧れの舞台で、育成出身の石塚が大仕事を成し遂げた。岩手・黒沢尻工では「縁がなかった」甲子園。夢にまで見た聖地で試合を決める殊勲打を放った。「プロの舞台でヒーローになれてよかったなと思います」。昨年7月に支配下登録された6年目の24歳は、初々しくはにかんだ。1-1の延長10回2死三塁、小久保監督から代打を託された。マウンドには同い年で横浜高校のスターだった及川がいた。「2軍でも対戦がありましたし、初めてではなかった。落ち着いてというか、緊張しながらも冷静にしっかり対応できたかなと思います」。初球のストレートを右中間へ。勢いあまって三塁を狙おうと試みたが、急いで二塁へ帰塁。間一髪セーフで、阪神側からリプレー検証を求められたが、覆らずに苦笑いを浮かべた。指揮官は「石塚がよう打ったですよ」と褒めながら「興奮しすぎてね。あいつの足で三塁は無理ですよ。それも若さですね」と笑顔でたたえた。6月4日に2軍再調整を命じられた時、「左(投手)なら石塚」を目指して筑後に向かった。降格後の2軍で打率3割8分1厘の好成績を残し、交流戦ラストウイークで1軍に再昇格した。19日の広島戦に続き、代打で2打席連続安打。決勝打は今季初、プロ3度目の快感だった。「僕はチャンスが少ないですし、そういうところで結果を残さないと」。完全アウエーの敵地甲子園でも物おじしない。昨オフはハワイでの優勝旅行でスカイダイビングを経験し「鼻血が吹き出しました」と笑っていた。満点の度胸は本物だ。チームは交流戦の優勝マジックを「1」とした。21日も阪神に勝てば、自力で19年以来6年ぶり9度目の勝率1位が決まる。小久保監督は「ピッチャーのシミュレーションもして、普段通りにやります」と冷静に語った。必ず1発で決める。【只松憲】石塚綜一郎(いしづか・そういちろう)2001年(平13)6月7日生まれ、秋田県出身。黒沢尻工(岩手)では高校通算39本塁打を誇り、投手としても最速143キロをマークする二刀流で活躍した。19年育成ドラフト1位でソフトバンクに入団。昨年7月24日に支配下登録され、8月14日の敵地西武戦でデビュー。同21日には敵地楽天戦で内からプロ1号を含むマルチ安打を放った。少年時代の憧れは巨人坂本。今季推定年俸は700万円。181センチ、91キロ。右投げ右打ち。
◆ソフトバンク小久保裕紀監督(53)が阪神の鉄壁守備に目を丸くした。試合後取材の第一声で自ら言及した。まずは1回1死満塁で栗原の難しい遊ゴロをさばいた小幡について「抜けていたら2点入って、なおも一、三塁というところだったけど」と脱帽。結果的に内野ゴロ間に1点を取ったが、打ち取られた栗原も苦笑いを浮かべていたシーンだ。次に2回無死二塁で海野のセンターライナーをダイビングキャッチした近本だ。二塁走者だった牧原大はすでに三塁付近にいて戻れずに"併殺"が完成。小久保監督は「近本のセンターライナーもね。ノーアウトだから(飛び出しては)だめだけど、あれはスーパープレーだった。村上を守備で立ち直らせてしまった」とべた褒めした。阪神は貯金8でセ・リーグ首位にいる。重ねて「本当に阪神の守備力はね。だからこそこの貯金があると思います」と話した。
◆阪神近本光司外野手(30)がスーパープレーで追加点を防いだ。2回、無死二塁での中堅守備だ。8番海野の打球はライナーで中前に飛んだ。落ちるかと思われた打球に猛チャージをかけ、最後は飛びついて捕球。すでに二塁走者は三塁を回っており、悠々の二塁送球で併殺を完成させた。打っても今季22度目のマルチ安打。「気づいたら捕っていました。(打撃面は)当たるところにボールが来たので」。淡々と攻守を振り返った。
◆阪神が延長戦に敗れ、3連勝を逃した。交流戦首位のソフトバンクを相手に先発村上頌樹投手(26)が8回1失点と好投。打線も難敵モイネロから8安打。1点を追う5回に5番大山悠輔内野手(30)の同点適時打で1点を奪ったが、延長10回に3番手の及川雅貴投手(24)が2死三塁から勝ち越し打を許した。
◆交流戦首位のソフトバンクが勝ち、21日にも6年ぶり9度目の交流戦Vが決まる。21日に決まる条件はソフトバンクが阪神戦に○か△。●の場合でも、2位のオリックスと日本ハムが●、4位の楽天が●か△なら決まる。交流戦は13試合を残すが、20日時点で両リーグ対戦成績はパ・リーグの57勝36敗2分け。パの3年連続勝ち越しが決まった。
◆今年もパ・リーグが強かった。20日はパ・リーグが5勝でセ・リーグが1勝。交流戦は13試合を残すが、20日時点で両リーグ対戦成績はパの57勝36敗2分け。パの3年連続勝ち越しが決まった。今年20度目の交流戦で、パ・リーグが17度目の勝ち越し。21、22年はセが初めて2年連続で勝ち越したが、23年は2勝差、24年は1勝差でパが勝ち越した。21日にはソフトバンクが6年ぶり9度目の交流戦優勝を決める可能性がある。21日に決まる条件はソフトバンクが阪神戦に○か△。●の場合でも、2位のオリックスと日本ハムが●、4位の楽天が●か△なら決まる。昨年は楽天が初制覇。05年から始まった交流戦で優勝経験があるのは8球団。残る優勝未経験は西武、阪神、広島、中日になっている。
◆阪神の「神ドラフト」組が1軍に大集結した。佐藤蓮投手(27)が今季初めて出場選手登録された。20年ドラフトで上武大から3位で入団した右腕。この年に支配下指名された8人のうち、これで6人が同時に出場選手登録されたことになる。伊藤将司投手(29)はローテ投手だが、登板機会なしのため戦略的に登録を外れている。もう1人の石井は頭に打球を受け、脳振とう特例で抹消中だ。この年の阪神のドラフトは「神ドラフト」として名高い。佐藤輝、伊藤将、中野は1年目から主力。村上は23年にMVP。石井も同年に台頭し、今季は抑えも任される絶対的リリーバー。栄枝と高寺も今季は1軍でプレーしている。なお育成1位の岩田も移籍先のDeNAで1軍帯同中だ。阪神2020年ドラフト指名選手1位 佐藤輝明内野手(26=近大)2位 伊藤将司投手(29=JR東日本)3位 佐藤蓮投手(27=上武大)4位 栄枝裕貴捕手(27=立命大)5位 村上頌樹投手(26=東洋大)6位 中野拓夢内野手(29=三菱自動車岡崎)7位 高寺望夢内野手(22=上田西)8位 石井大智投手(27=四国IL高知)育成1位 岩田将貴投手(27=九産大)
◆阪神のドラフト5位・佐野大陽内野手(23)=日本海L富山=が、1軍の試合前練習に合流した。2軍で打率・307を残し、「ずっとこの日を待って、まあ2軍でもやるべきことをできていた。自信を持って今日から頑張りたい」と力を込めた。前日の夜に昇格を告げられ、「(緊張は)ずっとです。全然寝られなかった」と初々しさも残るルーキー。「まずは僕の持ち味である元気だと思う。打って投げる前に、その元気というところをアピールしてやっていけたら」と意気込み、試合前練習に臨んだ。
◆21日の2回戦に先発する阪神・大竹耕太郎投手(29)はキャッチボールなどで最終調整を済ませた。12球団勝利に王手をかけて、古巣・ソフトバンク打線に挑むが、前回14日の楽天戦(楽天モバイルパーク)では5回1失点で降板してチームは敗戦しただけに、「それ(12球団勝利)よりも、とりあえず勝ちたい。自分の勝ちがつくとかはどうでもいいので、試合に勝ちたいです」と熱い思いを語った。ソフトバンクとの対戦は2023年6月17日以来。6回1失点で勝利投手の権利を持って降板したが、救援陣が逃げ切れずに白星はお預けとなった。2年前から変わっているのは敵将だ。「最後(2022年)、2軍で監督が小久保さんだったので、お世話になった。褒められて伸びるタイプなので、結構、褒められていた記憶がある。モチベーション高く、ホークスの最後の1年はできたなって。少しでも、成長したところというか、そういうところを見てもらえたらなとは思います」と3年前を懐古し、恩返しの好投を誓った。
◆連勝中の阪神はエース・村上頌樹投手(26)が先発。三塁には「6番」でラモン・ヘルナンデス内野手(29)が入った。対するソフトバンクもハーラートップタイの6勝のリバン・モイネロ投手(26)が先発で両者の投手戦が予想される。
◆阪神の先発・村上頌樹投手(26)が一回にいきなり失点した。1死から佐藤直に左前打を浴びると、交流戦首位打者の柳町に右前打でつながれて一、二塁。中村に四球で満塁となり、栗原の併殺崩れの間に先制点を失った。ソフトバンクの先発はハーラートップタイの6勝のリバン・モイネロ投手(26)。阪神打線は一回先頭の近本が三球三振。中野が二ゴロに倒れた。森下は遊失で出塁も、佐藤輝が空振り三振に終わった。投手戦が予想される一戦で阪神にとって重い1点となりそうだ。
◆阪神・近本光司外野手(30)が超美技で先発の村上を救った。0‐1で迎えた二回。右腕は先頭の牧原大に二塁打を浴びて無死二塁。海野に投じた7球目だった。ライナー性の打球がセンターを襲うと、近本が快足を飛ばしてダイビングキャッチ。白球を離さず、そのまま二塁に送球してダブルプレーに仕留めた。同郷・淡路島の後輩にあたる村上を救うビッグプレーに甲子園が大歓声に包まれた。
◆阪神は1点を追いかける五回、近本光司外野手(30)、中野拓夢内野手(28)の連打で無死一、二塁、森下翔太外野手(24)、佐藤輝明内野手(26)は中飛で倒れたが、大山悠輔内野手(30)が中前打を放ち、二走の近本が生還し、追いついた。「打ったのはチェンジアップ。みんなで繋いで作ったチャンス、何とか得点につなげたいと打席に入りました。同点にできたのは良かったですが、勝ち越せるように次の打席も頑張りたいと思います」とコメントした。
◆阪神の先発・村上頌樹投手(26)は8回5安打1失点でマウンドを降りた。一回に1死満塁のピンチを背負うと、栗原の遊ゴロで先制点を献上。ここから尻上がりに調子を上げていった。二回、四回と得点圏に走者を背負うも無失点。同点で迎えた七回2死三塁のピンチは海野を空振り三振に仕留めてほえた。八回も三者凡退に抑えて先発としての役目を十分に果たす。123球の力投。勝ち負けこそつかなかったが、強力ソフトバンク打線に真っ向から立ち向かい、セ・リーグを代表する右腕の実力をみせつけた。「立ち上がり乗り切れないところを小幡と近本さんの守備に助けてもらって、なんとか中盤から立て直すことができました。ずるずると悪い方に流れることなく粘ってゲームを作ることができたとこは、よかったと思います。あとはチームが勝ち切れるように応援します」とコメントした。
◆阪神が延長戦で競り負けて、連勝が「2」で止まった。十回に登板した及川雅貴投手(24)が2死三塁から、代打石塚綜一郎捕手(24)に右中間を破る二塁打を許した。及川は5月22日巨人戦(甲子園)以来、登板11試合ぶりの失点。打線は登板時で開幕11戦6勝無敗、防御率1・26のリバン・モイネロ投手(29)から五回、大山悠輔内野手(30)の3戦連続適時打で挙げた1点のみ。一回に内野ゴロで先制点を奪われた村上頌樹投手(26)は8回123球の熱投。木浪聖也内野手(31)に代わって初昇格したD5位・佐野大陽内野手(23)=日本海L富山=は出番がなかった。チームの延長戦成績は5勝5敗2分。過去2年連続して負け越している交流戦は7勝9敗となり、2試合を残して、勝率5割以下が決まった。
◆九回2死三塁のサヨナラ機で見逃し三振に倒れる阪神・森下翔太=甲子園球場(撮影・斉藤友也)
◆ソフトバンクは1―1の延長十回、代打石塚の適時二塁打で勝ち越した。先発のモイネロは6回1失点。救援陣が無失点でつなぎ、5番手の津森が3季ぶりのセーブ。阪神は3番手の及川が乱れた。打線は12安打も1得点にとどまった。
◆阪神が延長戦で競り負けて、連勝が「2」で止まった。十回に登板した及川雅貴投手(24)が2死三塁から、代打石塚綜一郎捕手(24)に右中間を破る二塁打を許した。及川は5月22日巨人戦(甲子園)以来、登板11試合ぶりの失点。打線は登板時で開幕11戦6勝無敗、防御率1・26のリバン・モイネロ投手(29)から五回、大山悠輔内野手(30)の3戦連続適時打で挙げた1点のみ。九回2死三塁のサヨナラ機で森下翔太外野手(24)が見逃し三振に倒れた。一回に内野ゴロで先制点を奪われた村上頌樹投手(26)は8回123球の熱投。木浪聖也内野手(31)に代わって初昇格したD5位・佐野大陽内野手(23)=日本海L富山=は出番がなかった。チームの延長戦成績は5勝5敗2分。過去2年連続して負け越している交流戦は7勝9敗となり、2試合を残して、勝率5割以下が決まった。
◆近鉄、西武で主砲として465本塁打&2452安打をマークし、西武コーチ時代には清原和博らを育てたサンケイスポーツ専属評論家・土井正博氏(81)は九回2死三塁のサヨナラ機で見逃し三振に倒れるなど、5打数無安打に終わった阪神・森下翔太外野手(24)に言及した。ソフトバンクの投手は全員、かなり力のある球を投げていた。点を取るのに苦労したのは当然だろう。とはいえ森下、佐藤輝のどちらかに持ち味の長打が出ていれば、状況も変わっていた。大山一人では苦しい。中でも森下は打撃が気になる。タイミングが全く合っていない。その結果、ミートポイントが近くなる。距離が取れないからヘッドアップの打撃になってしまう。何度も指摘してきたことだが、打撃の基本は「イチ、ニのサン」。大事なのは「ニ」と「サン」の間にある「の」。この「の」がないと、バタバタしたスイングになる。「イチ、ニ、サン」でもダメ。「の」は絶対に必要だ。今の森下は「イチ、サン」ぐらい、間が取れていない。開幕から、しっかりタイミングが取れている時期は3割を超える打率になった。力がある証拠だ。交流戦が終わると、リーグ戦再開まで、じっくり練習できる。時間をかけて、タイミングを取り戻す工夫をしてもらいたい。森下の能力はすでに実証済み。早い時期の復調を待っている。
◆阪神が延長戦で競り負けて、連勝が「2」で止まった。十回に登板した及川雅貴投手(24)が2死三塁から、代打石塚綜一郎捕手(24)に右中間を破る二塁打を許した。及川は5月22日巨人戦(甲子園)以来、登板11試合ぶりの失点。打線は登板時で開幕11戦6勝無敗、防御率1・26のリバン・モイネロ投手(29)から五回、大山悠輔内野手(30)の3戦連続適時打で挙げた1点のみ。一回に内野ゴロで先制点を奪われた村上頌樹投手(26)は8回123球の熱投。木浪聖也内野手(31)に代わって初昇格したD5位・佐野大陽内野手(23)=日本海L富山=は出番がなかった。チームの延長戦成績は5勝5敗2分。過去2年連続して負け越している交流戦は7勝9敗となり、2試合を残して、勝率5割以下が決まった。
◆?交流戦優勝の可能性を残すのは、ソフトバンク、オリックス、日本ハム、楽天の4球団。21日に優勝が決まる可能性があるのはソフトバンク。21日にソフトバンク(対阪神)が勝ちもしくは引き分けなら、無条件で優勝。負けても、オリックス(対ヤクルト)と日本ハム(対中日)が負け、楽天(対広島)が引き分けか負けで優勝となる。?パ・リーグの5球団が勝利し、残り13試合を残してパ57勝、セ36勝(引き分け2試合)となり、パが23年から3年連続通算17度目の勝ち越しを決めた。
◆阪神はソフトバンクに延長十回の末、1―2で敗れた。交流戦は7勝9敗で3年連続で勝ち越しなしとなった。大山悠輔内野手(30)が今季6勝0敗のモイネロから五回に同点打を放ち、3試合連続タイムリーを記録。1点を追う延長十回には中前打で気を吐いた。苦しい戦いが続く今こそ、クリーンアップを担う5番としてその打棒に期待が懸かる。バットの先だろうが、少しでも強く、少しでも遠くへ飛ばした。若き主砲2人が続けて凡退した直後、頼りの大山がここぞの一打で大声援に応えた。球界屈指の左腕・モイネロから一時同点打を放った。「みんなでつないで作ったチャンス。何とか得点につなげたいと打席に入りました」1点を追う五回だ。先頭の近本、中野が連打で無死一、二塁としたが、3番・森下、4番・佐藤輝がともに中飛で凡退。あっという間に2死とされ、嫌な空気が甲子園を包んだが、5番・大山が振り払った。カウント2―2からの8球目、ここまで2打席でてこずっていたチェンジアップに食らいついた。「しっかり対応できたんじゃないかと思います」。打球は二遊間を抜け、二走・近本が快足を飛ばして生還。難敵相手から1点をもぎ取った。モイネロは交流戦に入り、6日のヤクルト戦で18三振を奪うと、13日のDeNA戦でも13奪三振。今季は無傷の6勝で、異次元の投球を続けていた。虎打線もこれまでは中継ぎ時代からやられっぱなし。昨年6月14日の対戦(みずほペイペイ)では7回無失点、12奪三振の快投を許していた。そんな難敵から通算5度目の対戦、15イニング目で刻んだ初得点。3試合連続のタイムリーは価値ある一打となった。
◆悔しい敗戦の中でも、エースの好投が光った。阪神・村上頌樹投手(26)は8回5安打1失点で勝ち負けつかず。勝利こそ届けられなかったが、123球の熱投で虎党の心を熱くした。「立ち上がりは課題かなと思ったんですけど、粘れなかった。でも小幡の守備で何とか1点で止まったので助かった」前夜に16得点を挙げていた強力鷹打線に出ばなをくじかれた。一回1死から連打と四球で満塁のピンチを背負い、5番・栗原に三遊間へ鋭い打球をはじき返された。遊撃手・小幡が好捕し、素早く二塁へ送球して一走を封殺。先制を許したが、続く野村を中飛に仕留めて最少失点で切り抜けた。二回には無死二塁で中堅手・近本が中前への飛球をダイビングキャッチ。飛び出していた二走もアウトにした。「あそこでもう1点が入るときつかったと思うので、ゲッツーを取ってもらって、本当に感謝したい」と、同じ淡路島出身の先輩に頭を下げた。味方の好守に背中を押された村上は三回以降は立ち直り、スコアボードにゼロを重ねた。パ・リーグトップタイの6勝を挙げ、いまだ無敗の好投手モイネロとの投げ合いにも、虎のエースとして一歩も引かなかった。四、七回には野村に二塁打を浴びて得点圏に走者を背負ったが、後続を切って無失点。モイネロが6回1失点で降板する中、終盤は感情を表に出しながら粘りの投球で八回まで投げ抜いた。「いいピッチャーで、お互い球数を投げながら工夫しながらという感じだったんですけど、楽しく投げられたとは思います」2年連続で交流戦では白星なしとなったが、パ・リーグの好投手との投げ合いをさらなる成長の糧とする。(萩原翔)
◆「6番・三塁」で4試合ぶりに先発となった阪神・ヘルナンデス(前メキシカンリーグ)が起用に応えた。モイネロの直球をはじき返して二回は左前打、四回は中前打で10日の西武戦(ベルーナ)以来のマルチ安打をマーク。「どんな状況でもしっかり準備して、監督に言われたところでいけるところを見せたかった。結果的によかった」とうなずいた。
◆阪神3番・森下は5打数ノーヒット。先発野手で唯一の無安打に終わった。先発・モイネロから一回は遊ゴロ失策で出塁するも、三回、五回は中飛。七回は松本裕の変化球に空振り三振を喫し、九回2死三塁のサヨナラの好機では杉山のフォークに手が出ず、見逃し三振に倒れた。これで2戦連続ノーヒットとなったが「切り替えてやります」と決意を込めてクラブハウスへ引き揚げた。
◆阪神・中野が猛打賞の活躍で首位打者に浮上だ。三、五、七回と左前打を放ち、4打数3安打で打率は・308に上昇。中日・岡林をかわしてセ・トップに立った。二塁の守備でも一、二塁間、二遊間ともに好プレーを連発。それでも「毎試合毎試合自分のやることを積み重ねている結果。そこ(首位打者)は気にせずに、チームが勝つために自分が何をやるかということをしっかり考えながらやりたい」と冷静に受け止め、選手会長として勝利を追い求めていく。
◆遊撃の阪神・小幡が好守で村上を救った。一回1死満塁から、栗原が放った痛烈な三遊間へのゴロをダイビングキャッチ。二塁に転送して1つアウトを奪い、最少失点で食い止めた。「大量失点につながらなかったのはよかった。でも打てなかったのが申し訳ない。あしたも試合はあるので、しっかり臨みたい」。四回に左前打で7戦連続安打としたが満足することなく、整理して次戦に向かう。
◆阪神・近本が攻守ともに存在感を見せた。二回の守備では無死二塁から海野が放った中堅へのライナー性の打球に、快足を飛ばして「気付いたら捕っていました」とダイビングキャッチ。そのまま二塁に送球してダブルプレーに仕留めた。バットでも五回にモイネロから左前打を放って一時同点となる生還を果たすと、九回にも内野安打でマルチ安打をマーク。無敗の左腕・モイネロからの安打を「いいボールが来ていた。当たるところにボールがきたので」と振り返った。
◆白球は無情にも右中間で弾む。スコアボードに刻まれた1点。マウンドでがっくりと肩を落とした背番号37。阪神、今度は及川までもが―。痛恨の一球に左腕は唇をかみしめるしかなかった。「守備に助けられながらも粘れなかった。初球の入りなど失投が多かったので、そこが反省点ですね」村上、モイネロの白熱の投手戦で試合は延長へ。延長十回のマウンドを託された。先頭の野村に二塁内野安打で出塁を許すと、犠打で1死二塁。代打・嶺井は二遊間を抜けそうな打球を二塁手・中野が横っ飛びで好捕しアウトに仕留めた。2死三塁。代打・石塚に投じた初球だった。甘く入った143キロ直球を痛打されると、打球は右中間を真っ二つに突き破っていく。あとアウト1つから浴びた決勝打に反省は尽きなかった。10日の西武戦(メットライフドーム)から喫した7連敗中、桐敷、湯浅ら中継ぎ投手に負けがついたのが4試合。負の連鎖を断ち切ったかに見えたが、今度は10試合連続無失点と安定感を誇っていた及川までやられた。3年連続での勝ち越しなしと苦しむ交流戦を象徴するような連勝ストップ。12球団屈指の中継ぎ陣に立ちはだかった試練はまだまだ続く。それでも、藤川監督は前を向いた。連続無失点が途切れた及川を「全部は無理だから」とかばった。1点を奪われなおも2死二塁のピンチ。左腕は周東に四球を与えたが、佐藤直を三ゴロに抑えて最少失点で切り抜けた。「1点でちゃんと帰ってきているので。最後まで投げ切るのは重要ですから。いい結果で最後、帰ってきましたから」藤川監督は最後まで及川を責めなかった。今季チーム最多の31試合に登板し、防御率0・88と堂々の成績。痛恨の2敗目も、これで信頼が失われるわけではない。指揮官は切り替え、次の戦いを見据えた。「またあしたから普通にやってくれればね」交流戦で虎を襲った悲劇のような試練。いまこそブルペン陣が一丸となって乗り越えていくしかない。(原田遼太郎)
◆あれは2週間ぐらい前だった。日本ハムに勝ち越し、オリックスに3連勝した時点で盛り上がったものだ。ついに阪神が交流戦初Vかも-。いま、優勝目前のソフトバンクと、交流戦最後のカードを戦っている。最後までV争いしたかったが、仕方ない。せめて、目の前で優勝を決められることだけは阻止してもらいたい。そんな願いが選手に伝わったかのような名勝負になった。モイネロと互角以上に投げ合った村上。小幡の好守! 中野の好守! 大山の執念打!グラウンドで躍動する選手に、仲間入りしてほしい新星が、初めて1軍ベンチにやってきた。ドラフト5位ルーキー・佐野大陽。19日のこと。最も2軍取材をしているトラ番・萩原翔に尋ねた。「そろそろ2年目の山田脩也を上げたりしないのか?」即答された。「今、1軍に上げるなら絶対に佐野選手だと思います」翌日、その通りになっていた。担当記者はよく取材をしている。ことしの新人では1位・伊原、3位・木下、育成1位・工藤に続く4人目の1軍だ。充実のドラフトだったことを証明している。「太陽」ではなく「大陽」。覚えましょう。
◆あゝ、野球は、なんて悲情なドラマなのか...。延長十回2死から及川が投じた、たった一球の投げミスが全てをぶち壊しちまったー!!交流戦の奪三振王でパ・リーグの怪物投手、モイネロを六回で交代させたことも、小幡や近本、中野の必死の守りも、五回に放った大山の執念のタイムリーも、立ち上がりは本調子ではなかったのに丁寧に投げて8回1失点に封じた村上も...。ソフトバンクは十回2死一、二塁で打席に石塚。代打であるということと24歳の若さを考えたら、初球から強く振ってくることはプロ野球界の常識やないか~!! そんなこと、及川―坂本は百も承知だったはずなのに...。それでも、甘くいってしまったのは...。クソー! クソー! 悔しいけど若タカよ、ここから大きく羽ばたいて球界を代表するプレーヤーになったれや!!というエールにしといたるわ!!第2戦の虎の先発は元ソフトバンクで、同じ左でもストレートは本日のモイネロの変化球より遅い(?)逆モイネロの大竹。「投手は力じゃない、技や!!」を見せてくれよー!!

<交流戦順位表推移>
順位 | チーム名 | 勝数 | 負数 | 引分 | 勝率 | 首位差 | 残試合 | 得点 | 失点 | 本塁打 | 盗塁 | 打率 | 防御率 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 (-) |
ソフトバンク |
11 | 4 | 1 | 0.733 (↑0.019) | - (-) |
2 | 76 (+2) | 38 (+1) | 10 (-) | 10 (-) |
0.268 (↓0.005) | 2.280 (↑0.1) |
2 (-) |
ORIX |
10 | 6 | 0 | 0.625 (↑0.025) | 1.5 (-) |
2 | 62 (+10) | 57 (+8) | 6 (+2) | 8 (-) |
0.264 (↑0.006) | 3.300 (↓0.22) |
2 (-) |
日本ハム |
10 | 6 | 0 | 0.625 (↑0.025) | 1.5 (-) |
2 | 60 (+1) | 44 (-) | 14 (-) | 10 (+2) |
0.266 (↓0.007) | 2.570 (↑0.18) |
4 (1↑) |
楽天 |
9 | 6 | 1 | 0.600 (↑0.029) | 2 (-) |
2 | 46 (+4) | 45 (-) | 6 (-) | 10 (+1) |
0.251 (↑0.002) | 2.110 (↑0.14) |
5 (3↓) |
西武 |
9 | 7 | 0 | 0.563 (↓0.037) | 2.5 (↓1) |
2 | 33 (+1) | 39 (+2) | 3 (-) | 9 (+1) |
0.232 (↑0.002) | 2.220 (-) |
6 (-) |
ロッテ |
8 | 7 | 0 | 0.533 (↑0.033) | 3 (-) |
3 | 45 (+6) | 50 (+1) | 9 (+1) | 12 (+1) |
0.225 (↑0.007) | 3.340 (↑0.17) |
7 (-) |
広島 |
7 | 9 | 0 | 0.438 (↓0.029) | 4.5 (↓1) |
2 | 61 (-) | 70 (+4) | 7 (-) | 16 (+1) |
0.260 (↓0.003) | 4.180 (↑0.08) |
7 (-) |
阪神 |
7 | 9 | 0 | 0.438 (↓0.029) | 4.5 (↓1) |
2 | 54 (+1) | 37 (+2) | 12 (-) | 17 (+1) |
0.250 (↑0.003) | 2.180 (↑0.03) |
7 (-) |
中日 |
7 | 9 | 0 | 0.438 (↓0.029) | 4.5 (↓1) |
2 | 40 (-) | 54 (+1) | 7 (-) | 17 (-) |
0.231 (↓0.005) | 3.370 (↑0.16) |
10 (-) |
DeNA |
6 | 10 | 0 | 0.375 (↓0.025) | 5.5 (↓1) |
2 | 39 (+1) | 49 (+6) | 8 (-) | 7 (-) |
0.197 (↓0.009) | 3.040 (↓0.2) |
11 (-) |
巨人 |
5 | 9 | 1 | 0.357 (↑0.049) | 5.5 (-) |
3 | 33 (+2) | 44 (+1) | 5 (-) | 7 (-) |
0.219 (↑0.005) | 2.710 (↑0.12) |
12 (-) |
ヤクルト |
4 | 11 | 1 | 0.267 (↓0.019) | 7 (↓1) |
2 | 46 (+8) | 68 (+10) | 9 (-) | 10 (-) |
0.225 (↑0.011) | 4.090 (↓0.37) |
<セ・リーグ順位表推移>
順位 | チーム名 | 勝数 | 負数 | 引分 | 勝率 | 首位差 | 残試合 | 得点 | 失点 | 本塁打 | 盗塁 | 打率 | 防御率 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 (-) |
阪神 |
37 | 29 | 2 | 0.561 (↓0.008) | - (-) |
75 | 232 (+1) | 158 (+2) | 39 (-) | 59 (+1) |
0.244 (↑0.001) | 2.110 (-) |
2 (-) |
DeNA |
32 | 31 | 3 | 0.508 (↓0.008) | 3.5 (-) |
77 | 208 (+1) | 179 (+6) | 33 (-) | 34 (-) |
0.229 (↓0.002) | 2.490 (↓0.05) |
3 (1↑) |
巨人 |
33 | 33 | 2 | 0.500 (↑0.008) | 4 (↑1) |
75 | 195 (+2) | 207 (+1) | 42 (-) | 30 (-) |
0.238 (↑0.001) | 2.710 (↑0.03) |
4 (1↓) |
広島 |
31 | 32 | 2 | 0.492 (↓0.008) | 4.5 (-) |
78 | 211 (-) | 204 (+4) | 28 (-) | 31 (+1) |
0.244 (-) | 2.850 (-) |
5 (-) |
中日 |
30 | 35 | 2 | 0.462 (↓0.007) | 6.5 (-) |
76 | 159 (-) | 206 (+1) | 30 (-) | 43 (-) |
0.220 (↓0.001) | 2.890 (↑0.03) |
6 (-) |
ヤクルト |
18 | 42 | 3 | 0.300 (↓0.005) | 16 (-) |
80 | 166 (+8) | 266 (+10) | 28 (-) | 25 (-) |
0.221 (↑0.002) | 3.780 (↓0.09) |
<パ・リーグ順位表推移>
順位 | チーム名 | 勝数 | 負数 | 引分 | 勝率 | 首位差 | 残試合 | 得点 | 失点 | 本塁打 | 盗塁 | 打率 | 防御率 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 (-) |
日本ハム |
39 | 26 | 2 | 0.600 (↑0.006) | - (-) |
76 | 235 (+1) | 180 (-) | 62 (-) | 36 (+2) |
0.237 (↓0.002) | 2.300 (↑0.04) |
2 (-) |
ORIX |
35 | 27 | 3 | 0.565 (↑0.008) | 2.5 (-) |
78 | 232 (+10) | 232 (+8) | 41 (+2) | 32 (-) |
0.262 (↑0.001) | 3.270 (↓0.05) |
3 (1↑) |
ソフトバンク |
35 | 28 | 3 | 0.556 (↑0.008) | 3 (-) |
77 | 252 (+2) | 197 (+1) | 40 (-) | 44 (-) |
0.250 (↓0.001) | 2.650 (↑0.03) |
4 (1↓) |
西武 |
36 | 30 | 0 | 0.545 (↓0.009) | 3.5 (↓1) |
77 | 179 (+1) | 169 (+2) | 27 (-) | 44 (+1) |
0.237 (↑0.001) | 2.390 (-) |
5 (-) |
楽天 |
32 | 32 | 2 | 0.500 (↑0.008) | 6.5 (-) |
77 | 180 (+4) | 197 (-) | 25 (-) | 64 (+1) |
0.240 (↑0.001) | 2.710 (↑0.04) |
6 (-) |
ロッテ |
25 | 38 | 0 | 0.397 (↑0.01) | 13 (-) |
80 | 168 (+6) | 222 (+1) | 34 (+1) | 28 (+1) |
0.216 (↑0.002) | 3.350 (↑0.04) |
コメント