阪神(★1対5☆)DeNA =リーグ戦11回戦(2025.05.29)・阪神甲子園球場=
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DeNA
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阪神
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勝利投手:ジャクソン(5勝1敗0S)
敗戦投手:デュプランティエ(1勝2敗0S)

本塁打
【DeNA】牧 秀悟(8号・4回表ソロ)

  DAZN
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◆DeNAは1点を追う4回表、牧のソロで同点とする。その後7回には代打・宮崎の押し出し四球で勝ち越すと、続く石上が2点適時打を放ち、リードを広げた。投げては、先発・ジャクソンが7回1失点の力投で今季5勝目。敗れた阪神は、打線が5安打1得点と振るわなかった。

◆33イニング連続無得点、3試合連続完封負け中のDeNAがスタメン3選手を入れ替えた。前日にスタメンだった宮崎、柴田、蝦名に代わって、三森、石上、度会がスタメンに名を連ねた。前日の同戦は9イニング中6度の先頭打者出塁、先発野手全員出塁で11安打4四球とチャンスは作ったものの、あと1本が出ずにことごとく凡退。三浦監督は「チャンスでの1本というのを打破できないのが続いている。選手だけでなく、チーム全体で乗り越えていかないといけない」と話していた。

◆吉本新喜劇の島田一の介(74)と伊丹祐貴(36)が、ファーストピッチセレモニーを行った。吉本新喜劇の開演時の音楽が流れる中で登場。島田が投手、伊丹が捕手を務めた。島田は投球時に帽子を落とす"ピッカリ投法"を披露。ノーバウンド投球で観客は「おー!」と声を上げた。昨年9月に同座員の諸見里大介(42)とともに「虎-1グランプリ」三代目チャンピオンとなり、賞金などと「ファーストピッチ投球権」を獲得していた。諸見里は仕事の都合で欠席した。

◆阪神の佐野シフトが機能した。初回2死からDeNA3番佐野恵太外野手(30)の打席。二塁手の中野拓夢内野手(28)は一、二塁間を詰めて内野の土と外野の芝生の境目付近に立ち、遊撃手の木浪聖也内野手(30)は二塁ベースのすぐ近くについた。佐野の放った打球はセンター前に抜けるかと思われたが木浪が追いつき捕球。回り込んで一塁に送球した。通常ならヒットのコースだったが守備シフトがはまりアウトとした。

◆阪神森下翔太外野手(24)が先制打を放ち、打点でリーグトップの佐藤輝明内野手(26)に並んだ。初回1死一塁。DeNA先発ジャクソンの外角低め153キロ直球をライナーで右中間に運び、先制の適時二塁打とした。19打席ぶりの安打で34打点目。後ろを打つ佐藤輝とともにリーグ1位タイとなった。

◆阪神が試合前のシートノックを実施しなかった。チームは直近1週間で3度の延長戦など長時間の試合が多く、名古屋、倉敷と遠征での移動も続いていた。例年、夏場には移動ゲームの疲れや暑さを考慮してシートノックを実施しない球団もある。阪神は23年夏は長期ロードに出た8月1日の中日戦から打撃練習中にシートノックを組み込むことで練習時間を短縮。選手たちが試合前に休める時間を長めに確保した。23、24年は前監督の岡田彰布オーナー付顧問(67)の方針でシートノックをほとんどの試合で実施したが、24年8月上旬は行わない試合もあった。

◆反撃開始だ37イニングぶりの得点はキャプテンの一撃牧秀悟 第8号同点ホームラン?プロ野球 (2025/5/29)??阪神×DeNA??Live on DAZN #オレをみろ#baystars pic.twitter.com/agHJNOFtvP

◆阪神佐藤輝明内野手(26)に風は味方しなかった。4回の先頭。アンドレ・ジャクソン(29)のカットボールをとらえ、打球はセンター左に上がった。普段なら右から左に吹く「浜風」に乗って一番伸びるところ。直前には相手の牧秀悟(27)が同じような位置に放り込んでいただけに、柵越えを確信したかのように大歓声が上がったが、この時点では風が普段とは逆。風の後押しを受けられず、捕球された。

◆0行進を止めたのは主砲のバットだった。DeNA牧秀悟内野手(27)が豪快な8号ソロでチームに37イニングぶりの得点をもたらした。1点を追う4回1死、阪神デュプランティエの149キロ直球を捉えた。バックスクリーン左への同点ソロ。一塁ベースを回って柵越えを見届け、右拳を上げて喜んだ。左翼席のファンともデスターシャポーズを披露。嫌なムードを払拭(ふっしょく)した。12試合連続安打とする1発を放った牧は「まずは点が入って良かったです。チームを勇気づけられる一打になったと思うので、ここからさらに勢いに乗っていきたいと思います!」と興奮気味に振り返った。チームは前日まで3シーズンぶりとなる3試合連続完封負けで33イニング連続無得点と得点力不足に苦しんだ。前日の同戦は9イニング中6度の先頭打者出塁、先発野手全員出塁で11安打4四球と再三チャンスは作ったものの、あと1本が出ずにことごとく凡退。三浦監督は「チャンスでの1本というのを打破できないのが続いている。選手だけでなく、チーム全体で乗り越えていかないといけない」と話していた。

◆阪神ラモン・ヘルナンデス(29)が、連日の好守備を披露した。4戦連続の「6番三塁」で先発出場した。5回1死からDeNA山本祐大捕手(26)の三塁線への痛烈な打球に飛びついて捕球。冷静に一塁に送球してアウトとした。スタンドからは歓声が送られた。前日28日の同戦でも初回に三遊間でダイビングキャッチ。身長193センチ、体重102キロながら軽やかな動きを見せ続けている。

◆DeNAの守備陣が重たい雲のかかった薄暮に翻弄(ほんろう)された。同点の4回1死、阪神大山が三塁側のファウルゾーンに高いフライを打ち上げた。4試合ぶりの先発となった三森大貴内野手(26)が捕球体勢に入ろうとするも、青みがかった薄暮の空でボールを見失った。落下地点が分からずに動けず、無情にも打球は約10メートル離れたファウルゾーンで落下した。先発ジャクソンはそれでも直後の投球で大山を右飛に打ち取り、事なきを得た。

◆甲子園が見慣れない「ジャッグル・ザ・ボール」のジェスチャーで盛り上がった。6回2死から阪神佐藤輝明内野手(26)が一、二塁間にヒット性の打球を放った。二塁手の牧秀悟(27)が好捕し、一塁に投げたが、バウンドした送球を一塁手のタイラー・オースティン(33)がつかみ切れず、ミットの中で動いた。一塁塁審は完全捕球ではないとみなしてセーフと判定。記録も安打となった。その際、山村審判員が行った両手を上下に動かす「お手玉」のしぐさに、場内が大きく沸いた。

◆兵庫出身で阪神ファンでもあるバレーボールVリーグ1部男子・ウルフドッグス名古屋のミドルブロッカー小山貴稀(たかき=27)が始球式を務めた。この日は「豊田合成Re-Sナイター」。マウンドに立つと見栄えする身長191センチの長身。ノーバウンド投球を披露して観客をわかせた。小山は今季で現役引退。自身のXアカウントでは15日に「ウルフドッグス名古屋の選手として最後の大きなイベントです!! 僕個人的にも兵庫で生まれ尼崎で育ち、そして阪神ファンなので憧れのマウンドに立てることすごく光栄です! 貴重な機会を頂きありがとうございます!」と投稿していた。

◆DeNA山本祐大捕手(26)がアクシデントに見舞われた。3点リードの7回1死、阪神木浪への3球目だった。ファウルボールがレガースの上から右膝に直撃し、痛みのあまりその場に倒れ込んだ。相川ディフェンスチーフコーチやトレーナーが心配そうに駆け寄った。山本はうずくまって痛みをこらえたが、数分後には立ち上がってそのまま出場を続けた。敵地甲子園からは温かい拍手が送られた。

◆阪神先発のジョン・デュプランティエ投手(30)が7回につかまった。これまで先発した6試合は5回か6回で降板。しかし、先発7試合目のこの日は初めて7イニング目に突入し、1-1で迎えたその7回にピンチを招いた。2本の安打と四球で1死満塁。山本を遊飛に打ち取って2死としたが、続く代打宮崎に押し出し四球を与えた。フルカウントからの6球目は低めのスライダー。デュプランティエは、マウンド上で悔しさをあらわにした。さらに石上に左前2点適時打を許し、この回だけで3失点。デュプランティエにとっては悔しいイニングになった。4回まではテンポよく無失点に抑えた。1-0で迎えた5回1死、牧にバックスクリーン左への同点ソロを許したものの、踏ん張った。5回まで毎回の6奪三振。本領を発揮し、ゲームを作っていただけに、惜しまれるイニングとなった。結局、7回5安打6三振2四球4失点で降板。5月3日ヤクルト戦(甲子園)以来となる勝ち星はつかめなかった。

◆阪神の懸命な中継プレーは間一髪で実らなかった。押し出し四球で勝ち越し点を許した直後の7回2死満塁。DeNA石上に左前打を浴びた。3戦連続で左翼スタメン出場した森下翔太外野手(24)が捕球し、遊撃手の木浪聖也内野手(28)にコンパクトに送球。木浪もすぐさま本塁送球したが、本塁クロスプレーの判定はセーフ。藤川球児監督(44)はリクエストを要求したが、くつがえらずに2点を追加された。

◆阪神佐藤輝明内野手(26)が、右翼で背走キャッチを披露した。3点を勝ち越され、なおもピンチの7回2死一、二塁。DeNA9番ジャクソンの打球は右翼後方への飛球となった。右翼は3戦連続で同位置を守る佐藤輝。背走し、ポンポイントで腕を伸ばして捕球した。観客からは悲鳴にも近い声があがっていたが、しっかりグラブにおさめた。

◆首位阪神が逆転負けを喫し、4連勝を逃した。試合がなかった2位巨人には1ゲーム差、3位広島には1・5ゲーム差、4位DeNAにも2・5ゲーム差に迫られた。激しいペナントレースが続く中、一夜明けた30日からは敵地で広島3連戦(マツダスタジアム)を戦う。先制は阪神だった。初回1死一塁、森下翔太外野手(24)がDeNA先発ジャクソンの外角低め153キロ直球をライナーで右中間に運び、先制の適時二塁打とした。これが19打席ぶりの安打で佐藤輝に並ぶリーグ1位の34打点目。前日28日には右足すね付近に自打球を受けて痛がる様子を見せたが、初回から不屈の姿勢を見せた。しかし、4回に牧のソロ本塁打で追いつかれた。1-1で迎えた7回、先発ジョン・デュプランティエ投手(30)は1死から佐野、オースティンに連打を浴び、度会に四球を与えて1死満塁。続く山本を初球で遊飛に仕留めるも、代打宮崎への押し出し四球で勝ち越しを許した。さらに石上には左前2点打を献上し、この回3失点。来日初の7回のマウンドに上がったが、来日ワースト4失点を喫した。今季はこれでジャクソンと対戦4試合で0勝2敗と苦戦する形となった。それでも前日28日の時点で5月の勝ち越しは決定。首位を守るため、3位広島との負けられない3連戦に臨む。

◆3試合連続完封負けを喫していたDeNAが5得点を挙げて連敗を3でストップした。前夜までの3連敗で10カードぶりのカード負け越しとはなったが、4試合ぶりの白星を挙げた。前日の同戦でスタメンだった宮崎、柴田、蝦名に代わって、三森、石上、度会がスタメン入り。3人を組み替えて臨んだ。すると、牧が1点を追う4回1死、阪神デュプランティエの149キロ直球を完璧なタイミングではじき返した。バックスクリーン左へ同点の8号ソロ。一塁ベースを回って柵越えを見届け、右人さし指で「1」を作った。「まずは点が入って良かったです。チームを勇気づけられる一打になったと思うので、ここからさらに勢いに乗っていきたいと思います!」と連続イニング無得点記録に終止符を打ち、チームに37イニングぶりの「1点」をもたらした。キャプテンの1発にナインが続いた。7回、1死から佐野、オースティンの連打と、6試合ぶりスタメンの度会が四球で満塁。2死から代打宮崎が押し出し四球で逆転した。同じく6試合ぶりのスタメンとなった石上も左前への2点適時打と打線が奮起した。投げては先発ジャクソンが7回101球で5安打1失点、無四死球と好投。ドジャース傘下時代に同僚だったデュプランティエとの初の投げ合いを制した。チームは前日まで3シーズンぶりとなる3試合連続完封負け。前日の同戦は9イニング中6度の先頭打者出塁、先発野手全員出塁で11安打4四球とチャンス自体は何度も何度も作った。しかし、あと1本が出ずに13残塁で無得点。三浦大輔監督(51)は「チャンスでの1本を打破できないのが続いている。選手だけでなく、チーム全体で乗り越えていかないといけない」と話していたが、牧の豪快アーチから弾みをつけて5得点で勝ちきった。三浦監督は「牧が1発で追いついてくれたなかでいいきっかけになったのかなと。(7回も)2死から宮崎がよく選んでくれたと思いましたし、あの1点で終わらず、石上が全てを洗い出してくれたような感じで。2死からでしたけど、いい攻撃だったと思います」とうなずいた。

◆阪神佐藤輝明内野手(26)がダイナミックな右翼守備で追加点を防いだ。3点を勝ち越され、なおも7回2死一、二塁。9番ジャクソンの後方への飛球に半身で走り、アメフトのレシーバーのように腕を伸ばしてつかんだ。越えていれば致命的な2点が入る場面。「前に守っていたので、後ろの打球のイメージをしながらやりました」。バットでは内野安打1本。4回には中堅への大飛球が惜しくも届かなかった。

◆首位阪神が逆転負けを喫し、4連勝を逃した。試合がなかった2位巨人には1ゲーム差、3位広島には1・5ゲーム差、4位DeNAにも2・5ゲーム差に迫られた。試合後、藤川球児監督(44)は「明日から頑張るということですね、広島に行って」と強調。すぐさま30日からの敵地広島3連戦(マツダスタジアム)を見据えた。阪神先発ジョン・デュプランティエ投手(30)は7回を5安打4失点で2敗目。6回まで牧のソロアーチのみに抑えたが、7回に一挙3失点。2死満塁で代打宮崎にフルカウントから真ん中低めにスライダーを投じるも、判定はボールで押し出し四球。なおも2死満塁で石上に2点左前適時打を浴びた。藤川監督は助っ人の押し出し四球について「まあ素晴らしくいいところでしたけどね、どちらにとってもいいような素晴らしいボールだったと思いますね。結果が押し出しという形ですけれど、素晴らしい1球だったと思いますね」と振り返った。▽阪神坂本(デュプランティエと6試合連続でバッテリー。7回2死満塁フルカウントでマウンドに向かい)「あまり調子自体は良くなかったけど、粘って投げてくれた。あそこ(7回2死満塁)をなんとか抑えてくれたら、勝てるチャンスがある感じだったので、後悔のないようにマウンドに行って打ち合わせました」

◆阪神ジョン・デュプランティエ投手(30)が7回に痛恨の押し出し四球を与えた。6回までDeNAジャクソンとの投手戦を展開。1-1で迎えた7回1死から狂いが生じた。佐野に内野安打、続くオースティンに左前打と有利なカウントから2連打を献上。四球も絡んで2死満塁とされると、代打宮崎へのフルカウントからの6球目、低めスライダーがボールと判定された。ショックを隠せず、感情をあらわにした。そのまま続投したが、続く石上に2点左前適時打を許し、来日最長の7回を5安打4失点で2敗目を喫した。試合後は押し出し四球について「判定は判定なので、しっかり次につなげていかなきゃいけない。しっかり自分が思い切った球で決め切ろうというところで、ストライクを取ることができなかった。しっかり次に次に向けて切り替えていきたいと思います」規定投球回に未達も奪三振数を50の大台に乗せ、防御率も1・80。村上、才木に続くローテ3番手格としての信頼度は変わっていない。▽阪神坂本(デュプランティエと6試合連続でバッテリー。7回2死満塁フルカウントでマウンドに向かい)「あまり調子自体は良くなかったけど、粘って投げてくれた。あそこ(7回2死満塁)をなんとか抑えてくれたら、勝てるチャンスがある感じだったので、後悔のないようにマウンドに行って打ち合わせました」

◆DeNAのジャクソンが旧友に投げ勝った。1回1死一塁から阪神森下に先制の適時二塁打を浴びるも、以降は粘り強い投球で0を重ねた。7回5安打1失点、無四死球で、ドジャース傘下時代の同僚で仲のいいデュプランティエと初の投げ合いを制し「すごくいい友達なんですけど、なんとかうちの打線が彼をつかまえてくれた。チームとして勝てて良かった」と味方の白星を喜んだ。

◆阪神ラモン・ヘルナンデス内野手(29)が連日の好守で貢献した。4試合連続で三塁で先発。5回1死、山本の三塁線の打球を横っ跳びで押さえ、一塁アウトにした。4回には中前に3試合ぶりの安打も放って攻守に充実。「(打撃は)直球をしっかり仕留めたいと思っていた。最低限の結果が出てよかった。守備はコーチがポジショニングを教えてくれるおかげで、いいプレーができている」と感謝を忘れなかった。

◆阪神のドラフト3位木下里都投手(24)がプロ初登板を果たした。9回に登板。オースティンをスライダーで空振り三振に仕留めたが、度会に155キロ速球を左翼線へ運ばれて三塁打に。続く山本に左犠飛を許した。プロ初登板は1回1安打1奪三振1失点。「うれしい気持ちはありますけど、1点取られて悔しい気持ちも。大観衆の中で投げることが初めて。次は浮かれないように、球場にのみこまれないように」と気を引き締めていた。

◆ようやくスコアボードに「1」を刻んだ。DeNA牧秀悟内野手(27)が1点を追う4回1死走者なしから、阪神デュプランティエの149キロ直球を完璧なタイミングではじき返した。バックスクリーン左へ同点の8号ソロ。チームに37イニングぶりの得点をもたらした。7回には2死満塁から代打の宮崎敏郎内野手(36)が押し出し四球を選んで勝ち越すと、石上泰輝内野手(24)の2点適時打でリードを広げ、連敗を3でストップした。キャプテン牧が、見えない鎖を断ち切った。1点を追う4回1死、阪神デュプランティエの149キロ直球にタイミングを合わせた。強烈な打球音ではじき返された打球はバックスクリーン左へ。同点の8号ソロに、一塁ベースを回りながら右手人さし指を立てて高く掲げた。「チームを勇気づけられる一打になったかなと。全員が早く点が欲しい中で、良い形で1本打てた」。連続イニング無得点記録に終止符を打つ、37イニングぶりの1点が持つ意味は大きかった。チーム内に漂う重たいムードを振り払った。前日の同戦は9イニング中6度の先頭打者出塁、先発野手全員出塁で11安打4四球も、チャンスを生かせず。無得点で3年ぶりの3試合連続完封負けに沈んだ。牧も安打を放ちながらも得点につなげられず「ヒットは出てましたし、打線としても悪くなかった。チャンスで回ってきた選手が打てないっていうのが野球」と割り切って捉えた。三浦監督も「あまり言いすぎてもよくない」とチャンスへのプレッシャーに気遣いつつ、試合前のミーティングで「ポジティブにいこうと。今日は今日で切り替えていこう」と前向きな気持ちで呪縛を解いた。ポジティブ思考で吉兆データも引き寄せた。牧にとっては十八番といえる甲子園で躍動した。直近2年で打率4割3分2厘、6本塁打。「打つ方なら甲子園は大好きです。守備の時は遠く感じていやなんですけど、打撃はヒットゾーンが見えて打ちやすい」とクライマックスシリーズも合わせて14試合連続安打と抜群の相性を誇る聖地で、チームを勢いづけた。5月でワーストだった連敗を3で食い止め「いいきっかけになるのかなと思います」と牧。強力打線がここから本領を発揮していく。【小早川宗一郎】▽DeNA三浦監督(37イニングぶりの得点となる牧の同点ソロに)「牧が1発で追いついてくれていいきっかけになったのかなと」

◆首位阪神が逆転負けで4連勝を逃し、試合のなかった2位巨人に1ゲーム差、3位広島に1・5ゲーム差、4位DeNAにも2・5ゲーム差に接近された。試合後、藤川球児監督(44)は「明日から頑張るということですね、広島に行って」と強調。すぐさま30日からの敵地広島3連戦(マツダスタジアム)を見据えた。先発デュプランティエはは来日初の7回を投げ切るもワースト4失点で2敗目。6回まで牧のソロアーチのみに抑えたが、7回に佐野、オースティンの連打と度会への四球で2死満塁のピンチを招いた。迎えた代打宮崎にフルカウントから真ん中低めスライダーを投じるも、判定はボールで押し出し四球。思わず感情をあらわにした右腕は直後、石上に2点左前適時打を許した。指揮官は「素晴らしくいいところでしたけどね。結果が押し出しという形ですけれど、素晴らしい1球だったと思います」と右腕を思いやった。直後は判定に興奮した様子を見せていた助っ人も「自分の仕事ができませんでした。判定は判定なので、しっかり次に向けて切り替えていきたい」と冷静に振り返った。今カードは2勝1敗と勝ち越したものの、打線は好投手を前に3戦連続で1得点どまり。この日も難敵ジャクソンに苦戦し、今季4試合の対戦で0勝2敗となった。藤川監督は「明日からですね、はい。もう終わりましたから」ときっぱり。切り替えて、敵地で猛打爆発の快勝といきたい。【磯綾乃】

◆負けたけれど...ひと安心! 阪神森下翔太外野手(24)がDeNA戦(甲子園)で先制打を放ち、34打点でリーグトップのチームメート佐藤輝に並んだ。初回1死一塁、DeNA先発ジャクソンから先制の右中間適時二塁打を決めた。この一打は19打席ぶりの安打。34打点でチームメート佐藤輝と並んでリーグ1位に躍り出た。チームは4連勝を逃したが、3番打者のトンネル脱出は朗報だ。森下は二塁ベース上で何度も手をたたいた。19打席ぶりの安打は先制打。大歓声を全身に浴びながら喜びを爆発させた。3連勝中に苦しんだ男がトンネルを脱出。チームは完敗を喫したが、3番打者の復調気配は間違いなく明るい材料だ。「良かったです。ムーさん(中野)が粘って出塁してくれたので、自分も(佐藤)輝さんと大山さんにつなぐ意識で打席に入りました」初回1死一塁。DeNAジャクソンの外角低め153キロ直球を捉えた。鋭いライナーは右中間を破る適時二塁打。「コースに逆らわずに打てました」と納得の一打だった。この日で通算対戦成績を打率3割3分3厘とした右腕から、23日中日戦の第5打席以来となるHランプ。チームとしても5月20日巨人戦で森下が決勝2ランを放って以来となる初回先制を決めた。今季34打点目。ついにリーグトップを独走していた先輩・佐藤輝に並んだ。昨季はチームトップの73打点。無安打の期間も25日中日戦では左犠飛を放ち、27日DeNA戦ではサヨナラの押し出し四球を選ぶなど打点は稼いでいた。球宴のファン投票中間発表でも森下が外野手部門1位の22万3864票で両リーグ全部門トップ、佐藤輝は三塁手部門1位の19万7615票でセ・リーグ全部門2位。絶大なる存在感を放つ虎の3、4番による打点王争いは、チーム状態の良さの証しでもある。第2打席以降は凡退し、チームも1得点どまりの完敗。試合後は「1本だけじゃなくて2本打てるように」と反省。3試合連続でスタメン出場した慣れない左翼守備でも悔しさが残った。7回2死満塁では左前適時打で二塁走者の間一髪ホーム生還を許し、9回も左翼線のクッションボールを処理しきれず三塁打とした。悔しさはすぐさま次戦で晴らしたい。30日からはマツダスタジアムで交流戦前最後の3連戦。3月29日には逆転2ランを放っている舞台だ。「変わらず頑張ります」。リーグ優勝を達成した23年と同じ首位での交流戦突入へ、虎の3番打者が息を吹き返す。【塚本光】

◆阪神は一回、森下翔太外野手(24)の適時二塁打で先制に成功した。難敵ジャクソンの立ち上がりを攻めた。1死から中野が粘って7球目を中前打として出塁すると、森下は1ボールから2球目の153キロを仕留める。痛烈な打球が、ライナーで右中間を破った。これで中野が一塁から一気に生還。23日の中日戦(バンテリンドーム)を最後に18打席無安打だった森下。19打席ぶりとなるヒットで一回から試合を動かし、「(中野)ムーさんが粘って出塁してくれたので、自分も(佐藤)輝さんと大山さんにつなぐ意識で打席に入りました。追加点を目指して次の打席も頑張ります」とコメントした。

◆阪神の先発・ジョン・デュプランティエ投手(29)=前ドジャース3A=が来日初被弾を浴び、同点に追いつかれた。1―0の四回、1死から対峙した牧に、1ボールからの直球をはじき返された。バックスクリーン左に飛び込むソロ本塁打とされ、これがデュプランティエが来日37イニング目で初めて許した本塁打となり同点に。チームは27、28日の試合は2戦連続で零封勝利を収めていたため、今カード3戦目、24イニング目で初失点となった。それでも続く佐野は投ゴロ、オースティンは三振と抑え込み、流れは渡さなかった。

◆得点力不足の打破へ、DeNA打線は投手を除く3人を入れ替えた。右腕のデュプランティエに対して、度会、三森、石上と左打ちの3人が先発出場。試合前、打撃練習で快音を響かせた度会は静かに闘志を燃やした。「チームが負け、負けと来ているので、きょうはしっかり勝てるように準備したい」21日の中日戦以来のスタメン。以降は、25日の広島戦で代打出場したのみだった。競争の激しい外野陣の定位置争いは打撃好調の桑原、佐野、蝦名の起用が続いていた。「練習は変わらない。試合に出ようが出ないが、やるべきことは変えずにやりました」。2年目の今季は打率・246、3本塁打、10打点(28日時点)。ポテンシャルを考えれば物足りなく感じる数字に、起爆剤としての可能性が詰まる。試合前時点で33イニング連続無得点と本塁が遠いが、前日の11安打を筆頭に3試合計22安打と打線は活発だ。三浦監督は「チャンスでの1本という所。あまり言い過ぎても良くない」と決して悲観的ではない。度会も、久々の起用に鼻息が荒くなりそうなところだが、「(自分の一本で流れを変えるような)そこまでの欲はない。何の形でもチームに貢献できるようにやりたい」と冷静に準備を進める。今季は試合前時点で、チーム防御率リーグ3位の2・40と投手陣が好調。26季ぶりの日本一の原動力となった打線復活へ、野手一丸で臨む。(阿部慎)

◆DeNA・牧がバックスクリーン左に突き刺す同点8号ソロを放った。四回の第2打席にデュプランティエの149キロの速球を捉える完璧な一発。右手を突き上げ、喜びをかみしめた。チーム37イニングぶりの得点となり、「まずは点が入ってよかった。チームを勇気づけられる一打になったと思う」と興奮気味に振り返った。

◆阪神の先発・ジョン・デュプランティエ投手(29)=前ドジャース3A=が七回に押し出し四球を与え、勝ち越しを許した。1-1で迎えた七回1死から佐野、オースティンが連打、度会に四球を与え満塁。山本を遊飛に打ち取ったが、続く代打・宮崎にフルカウントから押し出し四球で勝ち越しを許した。さらに続く、石上には左前へ2点打を浴び、この回3失点。1-4と苦しい展開となった。

◆同点で迎えた七回2死満塁で、DeNAは代打・宮崎が押し出し四球を選び勝ち越し点をもぎ取った。フルカウントから、デュプランティエのスライダーを見極めた。さらに満塁で石上が左前にはじき返して2点を追加。「与えられた場所で結果を出すことが、1軍に残るために必要。ワンプレー、ワンプレーを全力でやっていく」と意気込む石上が、21日の中日戦以来の先発起用に応えた。

◆阪神は逆転で敗れ、連勝は3でストップした。一回に森下翔太外野手(24)が19打席ぶりの安打となる適時二塁打を放って先制するも、以降はDeNA先発・ジャクソンからチャンスを作れず。7回5安打に封じ込まれ、追加点が奪えなかった。阪神先発のジョン・デュプランティエ投手(29)も序盤は0を並べたが、四回に牧に来日初被弾となる同点ソロを許す。そして七回には2死満塁とピンチを背負い、押し出しと2点打で勝ち越しを許して今季2敗目を喫した。九回にはD3位・木下里都投手(24)=KMGホールディングス=がプロ初登板を果たしたが、三塁打と犠飛で1失点のほろ苦デビューとなった。試合のなかった2位巨人とは1.0ゲーム差に。30日からは1.5ゲーム差で3位の広島と、敵地・マツダで交流戦前最後の3連戦に臨む。

◆DeNAが勝利。スターマンとポーズをとる石上泰輝(撮影・林俊志)

◆DeNAのアンドレ・ジャクソン投手(29)が7回1失点と好投し、自身4連勝で今季5勝目をマーク。一回に連打で先制点を許したが、無四球で試合をつくり「しっかり最後のイニングまで強く投げることを意識した」と胸を張った。「すごくいい友達」という旧友のデュプランティエとの投げ合いを制し「打線が彼を捕まえて、チームとして勝ててよかった」と振り返った。

◆近鉄、西武で主砲として465本塁打&2452安打をマークし、西武コーチ時代には清原和博らを育てたサンケイスポーツ専属評論家・土井正博氏(81)が、阪神打線が打てなかった原因を分析した。立ち上がり、真っすぐばかり投げてくるジャクソンに対して、森下が先制二塁打で捉えたまでは良かった。が、変化球を交えた投球に変わった途端、全く打てなくなった。ジャクソンが好投手である証明だが、「難敵」を意識し過ぎているように感じた。森下、大山に共通するのは、力が入り過ぎた大振りが目立つこと。力が入る→バットが遠回りする→全くタイミングが合わない。速い球を力任せに打とうとして、差し込まれ、チェンジアップには完全にタイミングを外され...。対ジャクソンだけではなく、バウアーに対して、ケイに対しても、同じような傾向が見られた。相手投手が良いのは、今や誰もが知っている。でも、力に対して力で向かっていっても、打撃というのは絶対にうまくいかない。毎回、同じような話になるが、打撃は結局はタイミング。いかに自分のタイミングで打てるか。余計な力が入った状態で、自分のタイミングで打てるはずがない。いいお手本が身近にある。佐藤輝だ。彼は最近、軽く打っている、軽く振っているように見える。本人に「軽く」の意識はないかもしれないが、この「軽く」で比較的、自分のタイミングが取れている。絶好調とまでは言えないが、打席での形は悪くない。投手から見て、スイングする打者の胸の文字(Tigers)が見えたら、体が開いている証拠。悪い形で打っているのだ。森下、大山は見えるが、佐藤輝はあまり見えない。コーチ時代に「胸の文字を見せたら負け」と指導し続けた。それでも、後に2000安打放った打者たちでも何度も不振に陥った。それだけ打撃は難しい。でも、好投手を攻略するのはクリーンアップの使命。何度もやられていたら、優勝は遠のく。DeNAの外国人3投手と次に対戦したとき、クリーンアップの爆発を期待している。

◆2年目のDeNA・石上が2点打を放った。七回に宮崎の押し出し四球で勝ち越した直後、デュプランティエの直球を逆らわずに左前にはじき返すと、一塁上でド派手にガッツポーズ。「宮崎さんの四球で勝ち越した中での打席だったので、思い切って打席に立てた」とうなずいた。21日の中日戦以来の先発起用に応える一打。「打ち続けられるように頑張りたい」とさらなるアピールを誓った。

◆阪神が逆転負けでカード3連勝を逃した。一回に森下翔太外野手(24)の19打席ぶり安打となる二塁打で先制するも、ジョン・デュプランティエ投手(30)が七回2死満塁で押し出し四球や2点打を浴びて、連勝は「3」で止まった。九回にはD3位・木下里都投手(24)=KMGホールディングス=が登板するも、犠飛でダメ押し点を奪われた。試合のなかった巨人とは1差。30日からは1・5差で追う3位広島と敵地で3連戦に向かう。

◆阪神D3位・木下(KMGホールディングス)は1-4の九回にプロ初登板。最速155キロの直球で押したが、度会に左翼線へ三塁打を浴びると、山本の犠飛で1失点を喫するホロ苦いデビューとなった。「中継ぎは一球一球大事になるので、そういうところも投げ切っていかないと1点差や接戦を任せてもらえない」と悔しさをにじませた。それでも「球場の雰囲気を知ることができたので、次は飲まれないように自分のピッチングをしたい」と前を向いた。

◆甲子園に、阪神・森下翔太外野手(24)が久しぶりに奏でた快音が響いた。痛烈な適時二塁打を放ち、塁上で大きく手をたたく。自身19打席ぶりの安打となる先制打で、うっぷんを晴らした。「(中野)ムーさんが粘って出塁してくれたので、自分も(佐藤)輝さんと大山さんにつなぐ意識で打席に入りました」この日の対戦まで2年間で打率・333(21打数7安打)、1本塁打と相性のいいジャクソンの立ち上がりを捉えた。一回、中野を一塁に置いて外角の153キロ直球を仕留める。「コースに逆らわずに打てました」という打球は右中間を真っ二つ。23日の中日戦(バンテリンドーム)以来のHランプを灯し、中野を一気にホームに迎え入れた。これで打点は「34」となり、佐藤輝と並んでリーグトップに浮上。猛虎打線の中軸の役割を全うしている証拠だ。18打席連続無安打の中でも、27日の試合ではサヨナラの押し出し四球をもぎ取り打点をマーク。28日には自打球を受けうずくまるシーンもあったが、痛みに耐えてこの日も出場した。打点が求められるクリーンアップという場所で、その日その日のベストを尽くして貢献を続けている。しかし、チームは三回以降二塁も踏めず、森下も以降は二ゴロ、三振、二飛。試合後には「1本だけじゃなくて2本打てるように。変わらず頑張ります」と反省し、前を向いた。2位・巨人とは1ゲーム差、4位・DeNAとの差は2・5ゲームに縮まった。混戦模様のセ・リーグを勝ち抜くためには、背番号1のバットは必要不可欠だ。(中屋友那)

◆4試合続けて「6番・三塁」で出場した阪神・ヘルナンデス(前メキシカンリーグ)はこの日も守備でみせた。五回1死から山本の強い打球をダイビングキャッチし、素早く一塁へ送球してアウトに。「コーチがしっかりポジショニングを教えてくれるので、いいプレーができたと思います」。前日28日にも一回に強烈な打球を好捕。この日は四回に中前打を放ち、攻守でアピールした。

◆主将の一発から打線が奮起! DeNA・牧秀悟内野手(27)が29日、阪神11回戦(甲子園)の四回に37イニングぶりの得点となる同点の8号ソロを放ち、5―1の勝利に貢献した。3試合連続の零敗と沈んでいたチームは主将の一発で息を吹き返し、七回に3点を奪って勝ち越し。連敗を3で止め、再び貯金2とした。嫌な流れを断ち切ったのは、やはりこの男だ。0-1の四回1死、牧が37イニングぶりの得点となる同点の8号ソロ。突破口となる一発に、満足げな表情を浮かべた。「全員が早く1点が欲しい中、いい形で一本を打てた。打った感触も良くて、伸びてくれた」デュプランティエの149キロの直球を捉え、バックスクリーン左にたたき込んだ。チームは虎の新外国人右腕と過去2度対戦し、計11回を1点に封じられていた。「好投手なだけに、なかなか長打も打てないし、甘い球もこない。とにかく打つことを意識した」と牧。打球を見届けると表情を変えず、野手陣の思いを代弁するように右手人さし指を突き上げた。23日の広島戦の五回に自ら適時二塁打を放って以降、本塁が遠かっただけに「チームを勇気づけられる一打になった」と自賛。この一発を合図に打線が目覚めた。1-1の七回2死満塁、代打・宮崎がフルカウントから押し出し四球を選んで勝ち越すと、なおも満塁で石上が左前へリードを広げる2点打。九回には山本の犠飛で駄目押しの1点をもぎ取った。前日は11安打を放ちながら零封負け。それでも「ヒットは出ていたし、打線としても悪くないと思っていた。チャンスで回ってきた選手が打てないのが野球。1本出れば流れが来る」と牧は下を向かなかった。試合前ミーティングでは村田野手コーチから「自分のできる打撃をしよう」と声が掛かった。この日は一転、6安打5得点と効率的な攻撃で、7回1失点と好投したジャクソンを援護した。貯金を再び2とし、30日から本拠地の横浜スタジアムでヤクルトを迎え撃つ。交流戦前最後の3連戦。牧は「これを機にいい形でチャンスでまた打てるように。いいきっかけになる」と表情を引き締めた。苦しい状況でこそ、チームをもり立てる。主将の役目を全身全霊で全うする。(阿部慎)

◆先発した阪神・デュプランティエ(前ドジャース3A)は来日最長の7回を投げたが、自己ワーストの4失点で今季2敗目(1勝)。1-1の七回2死満塁からの押し出し四球を悔やんだ。「(球審の)判定は判定なので。決め切ろうというところでストライクを取ることができなかった」代打・宮崎にフルカウントからの6球目。低めにスライダーを投じたが、球審の右手は上がらず、右腕はマウンドで怒りをにじませた。続く石上には左前へ2点打を浴び、肩を落とした。3日のヤクルト戦(甲子園)での来日初勝利から3試合連続で勝ち星のない右腕は「才木や村上らほかの投手が7回以上、投げている。自分もしっかりそこまで投げられるんだっていうところを見つけることができたのは、良かったポイントかなと思います」と必死に気持ちを切り替えた。(三木建次)

◆得意の逃げ切りも、ワンショット攻撃では及ばない。虎打線は投手陣を援護できず、連勝は「3」でストップ。反撃の芽を見いだすこともできないまま敗れた。「まあ、明日からですね。もう終わりましたから、はい」試合を終えた阪神・藤川監督は前だけを見たが、奪えたのは一回の1点のみ。先発したデュプランティエが七回につかまった。今カードは連日の1―0勝利で勝ち越したものの、終わってみれば3戦連続1得点と苦しみ、先制した試合の連勝も「11」で止まった。30日からは交流戦前最後の3連戦で1・5ゲーム差の3位・広島とマツダスタジアムで対戦する。「明日から頑張るということですね、広島に行って」と指揮官。貧打を断ち切り、交流戦に向けて弾みをつけたい。(須藤佳裕)

◆育成D1位で入団し支配下登録された阪神・工藤(四国IL徳島)は1-4の八回に2番手で登板し、三者凡退に抑えた。「テンポが悪くならないように、流れを持ってこようと投げました」。前回登板の24日の中日戦(バンテリンドーム)では1回2失点で負け投手となっていただけに、「これで良かったで終わらないように、なんで良かったのかを分析して、また次の登板に臨みたいと思います」と気を引き締めた。

◆阪神・佐藤輝は3試合連続で「4番・右翼」を務めた。「前に守っていたので、後ろの打球のイメージをしながらやっていました」。1―4と勝ち越された七回2死満塁では、ジャクソンの放った当たりの強い飛球を、前寄りの守備位置から背走して好捕。バットでは六回に二塁内野安打を放ち、5試合連続安打をマークした。

◆アタタ...。負けちゃいました~。でも、ま、いいんじゃないの! DeNAとの3連戦で阪神打線が奪った得点は1、1、1。それで2勝1敗と勝ち越したんだから御の字!!しかも第1戦の相手はMLBでサイ・ヤング賞に輝いたバウアーやろ。で、第2戦が防御率1位のケイ。そして本日が防御率3位のジャクソンじゃ、しゃ~ね~や!!オイオイ、随分と弱気じゃないかって? 確かに!! 貧打の打線に「カーツ!!」を入れなきゃいけないんだろうけど...。でも、いま悪いってことは、この先は上がってくるという皮算用で許しちゃう~。ちゅ~か、デュプランティエを未知の七回のマウンドに送り出すのは首脳陣も不安だったと思うのだ。でもね、石井、及川、そして岩崎は3連投になるから使えない(使いたくなーい!!)となったら、デュプランティエに託すしかないもんね~!とは言いつつ、強い球を投げるパ・リーグの投手の対戦が始まる交流戦を考えたらこえ~!! 猛虎打線、マジでこれから上がってくれんだろーな!!

◆1年前の5月29日の阪神は、どこを相手に、どんな試合をしたか、ご記憶でしょうか?ここから先を読めば、100%に近い阪神ファンが「あぁ、あの日!」とすぐに思い出すはず。〝劇場〟は試合前のメンバー表交換からだった。甲子園の一塁側ベンチから登場したのは、もちろん阪神の岡田監督。そして、三塁側ベンチから姿を見せたのは新庄監督...。えっ、タテジマ?! 日本ハムのユニホームではない! 背中の文字は漢字で4文字「新庄監督」だった。背番号は阪神入団時の「63」。なんて懐かしい...。ビッグボスのパフォーマンスが甲子園を飲み込んでしまった瞬間だった。かつて自身に大声援を送ってくれた阪神ファンの大爆笑を誘い、試合は8-2で快勝!いや、ここは「虎のソナタ」だ。阪神が2-8で完敗してしまったのがちょうど1年前。12残塁、拙攻の連続に「チャンスつくっても...かえさなアカンやん」と怒り心頭の岡田さん。あれ、最近、似たような展開が...。そうそう、28日のDeNAだ。阪神相手に13残塁、拙攻のオンパレード。三浦監督は極力冷静を装って「ランナーを出しているけれど、あと一本が...」。明日はわが身、というけれど、最近の阪神のしぶとさを見ていると、苦しくても接戦に持ち込む不思議な力、というのか、底力、というのか。最後まで期待を抱ける試合をしてくれる。「この3連戦は相手がバウアー、ケイ、ジャクソンだから、3連敗予想の方もいたみたいですが、僕は全く心配していませんでした。簡単には負けないのが、今の阪神ですから」試合前のトラ番・中屋友那との会話も、超前向きだった。残念ながら3戦目は終盤に突き放されて黒星になったが、DeNAが誇る外国人3投手相手に3連勝はムシが良すぎる。2勝1敗。御の字ですよ。そのぐらいの余裕で、まもなく始まる交流戦に臨みましょう。

<セ・リーグ順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差残試合 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(-)
阪神
27202 0.574
(↓0.013)
-
(-)
94163
(+1)
119
(+5)
25
(-)
41
(-)
0.244
(↓0.001)
2.170
(↓0.06)
2
(-)
巨人
27221 0.551
(-)
1
(↑0.5)
93155
(-)
154
(-)
37
(-)
21
(-)
0.243
(-)
2.680
(-)
3
(-)
広島
24202 0.545
(-)
1.5
(↑0.5)
97148
(-)
119
(-)
21
(-)
15
(-)
0.244
(-)
2.320
(-)
4
(-)
DeNA
23213 0.523
(↑0.011)
2.5
(↑1)
96155
(+5)
124
(+1)
20
(+1)
25
(-)
0.235
(↓0.001)
2.370
(↑0.03)
5
(-)
中日
21252 0.457
(↑0.013)
5.5
(↑1)
95110
(+6)
145
(-)
21
(+2)
25
(-)
0.212
(↑0.003)
2.780
(↑0.06)
6
(-)
ヤクルト
14282 0.333
(↓0.008)
10.5
(-)
99114
(-)
184
(+6)
18
(-)
13
(-)
0.221
(-)
3.650
(↓0.06)