1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 計 | 安 | 失 | 本 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
DeNA | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 6 | 1 | 0 |
阪神 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1X | 1 | 7 | 0 | 0 |
勝利投手:岩貞 祐太(2勝0敗0S) 敗戦投手:山﨑 康晃(0勝3敗1S) |

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◆阪神がサヨナラ勝利。阪神は両軍無得点で迎えた延長11回裏、無死満塁から森下が押し出し四球を選び、試合を決めた。投げては、先発・才木が7回途中無失点。その後は5人の継投で完封リレーを展開し、6番手・岩貞が今季2勝目を挙げた。敗れたDeNAは、打線が振るわなかった。
◆DeNA柴田竜拓内野手(31)が1軍に合流した。今季は主に守備固めで16試合に出場。16日に宮崎敏郎内野手(36)の昇格にともなって出場選手登録を抹消されていたが、最短での1軍復帰となりそうだ。前日26日には知野直人内野手(26)が出場選手登録を抹消された。20日に今季初昇格し、25日広島戦(マツダスタジアム)に代打で出場するも、二ゴロに倒れていた。
◆阪神森下翔太外野手(24)が試合前練習で左翼の守備に就いた。春季キャンプでも左翼守備を練習していた。森下はここまで全試合に右翼で先発出場。左翼での出場となれば公式戦では23年7月29日広島戦(甲子園)以来2季ぶりとなる。25日中日戦(バンテリンドーム)では、佐藤輝明内野手(26)が同じく試合前練習で左翼を守り「4番左翼」で先発出場。ラモン・ヘルナンデス内野手(29)が「6番三塁」でスタメンに名を連ねて7回の第3打席に左翼線へ二塁打を放っていた。
◆阪神森下翔太外野手(24)が、2シーズンぶりに左翼で先発出場する。「3番左翼」で出場。プロ1年目の23年7月29日広島戦(甲子園)以来のポジションを任された。代わって4番佐藤輝が22年以来の右翼で出場。6番三塁には前試合の25日中日戦に続いて、ヘルナンデスが入った。年に1度の倉敷でのゲーム。球場はファウルゾーンが広く、一、三塁線上を抜かれると一気に長打コースにもなりやすい仕様となっている。左翼森下、中堅近本、右翼佐藤輝の「ドラ1トリオ」で広い外野を守り抜く。
◆2年ぶりの左翼守備で、阪神森下翔太外野手(24)がいきなり激走を見せた。初回1死二塁。3番佐野の飛球は、高く左翼ファウルゾーン方向に上がった。風が大きく戻されていく中、森下は左翼定位置から激走。勢いそのままに落下地点に入り、捕球した。森下はプロ1年目の23年7月29日広島戦(甲子園)以来の左翼出場となっている。
◆23年に脳腫瘍のため28歳で死去した阪神OB横田慎太郎さんの生涯を描いた映画「栄光のバックホーム」(25年11月公開)で、横田さん役を演じた俳優の松谷鷹也(31)がファーストピッチセレモニーに登場した。大きく振りかぶり、マウンド上からサウスポーで投球。鋭くキャッチャーミットに収まり、122キロを計測した。撮影でも使用されていた同球場。観客からは、大きな歓声が送られた。
◆DeNA先発のトレバー・バウアー投手(34)が、今季18打席目で初安打を放った。3回先頭、阪神才木の147キロ直球を捉えた。強いゴロで中前にはじき返し、今季初安打をマーク。23年には39打数1安打で打率2分6厘だったため、これが日本での2安打目となった。しかし不慣れな走塁で課題を露呈。無死一、二塁の二塁走者で、牧が右翼後方へ飛球を放った。右翼・佐藤輝の捕球体勢も崩れていたがタッチアップできず。チャンスを広げることはできず、この回は無得点に終わった。投げては1回に158キロを計測するなど、2回まで無失点投球とした。
◆阪神森下翔太外野手(24)の死球に球場が一瞬どよめいた。0-0のまま迎えた4回1死、DeNA先発バウアーの149キロ直球が、森下の左腕のエルボーガード付近を直撃した。その衝撃のままに、森下は一瞬その場に立ち尽くすと、球場もどよめき。それでもしばらくした後、問題ない様子で一塁へと歩き出し、プレーを続行した。
◆阪神佐藤輝明内野手(26)が果敢な走塁で沸かせた。0-0の2回2死二塁。左翼越えの二塁打で出塁し、二塁走者としての場面だった。7番木浪の、カウント2-2からの5球目。一気に三塁へスタートを切り、球場がざわついた。しかし低めのボールに木浪は空振り三振。盗塁は記録されなかったが意表を突いた走塁で、タイミング的にはセーフにも見えた。今季はすでに5盗塁をマーク。主砲が足でも魅せている。
◆0-0で折り返した5回終了時、倉敷の空に大量の花火が上がった。バックスクリーン後方に約2分間、色鮮やかな花火が大量に打ち上げ。終了時には観客から大きな歓声がドッと上がった。
◆異変発生? DeNA先発のトレバー・バウアー投手(34)がフィールディング後に身体を気にするそぶりを見せ、試合は一時中断した。両軍無得点の5回1死、阪神木浪の高いバウンドの投ゴロを軽快にさばき、回転してスローイング。間一髪のタイミングでアウトとなったが、直後に足を気にするしぐさを見せた。トレーナーと大原チーフ投手コーチが急いでマウンドに向かい、話をしてから2球投球練習で状態を確認。そのまま続投し、梅野を最後は153キロ直球で3球三振に仕留めた。
◆阪神才木浩人投手(26)の直球が自己最速タイの157キロを計測した。5回1死一塁、DeNA牧への初球で内角に直球を投じた。判定はボールだったが、スコアボードには「157」と表示された。5回まで6本の安打を許して毎回走者を背負ったが、無失点に抑えて両チーム無得点が続いている。才木は23年2月12日の紅白戦(宜野座)で157キロを計測し、自己最速を更新していた。
◆阪神才木浩人投手(26)が7回にピンチを招いて降板した。6回1/3を6安打4四球5奪三振で無失点の好投。6回まで味方打線も無得点で5勝目の権利は得られなかったが、後続を2番手及川雅貴投手(24)が抑えて敗戦投手となる可能性もなくなった。5回まで毎回安打を許して走者を背負う投球。それでも3回に無死一、二塁からDeNA牧、佐野、オースティンを抑えるなど無失点投球を続けた。6回は1死から2者連続四球で1死一、二塁とするもピンチを切り抜けた。7回は先頭バウアー、桑原に2者連続四球で無死一、二塁。牧を中飛に抑えて1死一、二塁としたところで降板した。悔しさをにじませながらマウンドを降りた。後続はバトン受け取った及川が抑えて無失点で7回を終えた。才木は5回には直球が自己最速タイの157キロを計測した。
◆阪神及川雅貴投手(24)が窮地で火消しに成功した。0-0の7回。先発才木の後を受け、1死一、二塁の場面で登板した。いきなり迎えた3番佐野との対戦。自身の暴投で1死二、三塁とピンチを広げたが、冷静だった。まずはカウント2-2から、佐野を外角に逃げる130キロスライダーで空振り三振。続く4番オースティンは、1ボール2ストライクから129キロ変化球。出しかけたバットはハーフスイングを取られ、ここも空振り三振となった。一打先制の緊迫した場面で2連続三振を奪い、ピンチを脱出した。
◆倉敷での年に1度の阪神の公式戦で球場は満員となった。来場者数は3万434人。昨年6月25日中日戦の3万417人を上回り、05年の実数発表開始後NPB最多記録を更新した。試合は阪神才木浩人投手(26)、DeNAトレバー・バウアー投手(34)が先発し、7回まで無得点となっている。
◆DeNA先発のトレバー・バウアー投手(34)が日米通算250試合目の登板で、NPBでの自己最多タイとなる12奪三振で快投した。118球を投げて8回4安打無失点4四死球も、打線の援護に恵まれず、3勝目とはならなかった。1回、先頭の阪神近本に内野安打を許すも、1死一塁から森下を三ゴロ併殺打に打ち取って無得点。2回には先頭の佐藤輝に左翼フェンス直撃の二塁打を浴びるも、大山、ヘルナンデス、木浪を3者連続三振。4回にも1死から森下に死球を与えるも、佐藤輝、大山を2者連続三振と、三振の山を築いた。5回にはアクシデント発生にも自分の投球を貫いた。1死、阪神木浪の高いバウンドの投ゴロを軽快にさばき、回転してスローイング。間一髪のタイミングでアウトとなったが、直後に足を気にするしぐさを見せた。トレーナーと大原チーフ投手コーチが急いでマウンドに向かい、話をしてから2球投球練習で状態を確認。そのまま続投し、梅野を最後は153キロ直球で3球三振に仕留めた。6回には2死から四球と宮崎のエラーで一、二塁のピンチを招くも、4番佐藤輝をナックルカーブで空振り三振に仕留めた。7回、8回も走者を出しながら、佐野の好返球や松尾の補殺など、味方の好プレーで無失点で切り抜けた。しかし打線の援護なく、9回1死に代打九鬼が送られて降板した。前回登板の21日中日戦は、前夜に副鼻腔(びくう)炎による発熱で6回4失点だったが、抗生物質を飲んで睡眠不足も解消。前日には「体調は劇的に良くなってきてます」と手応えを口にしていた通り、快投を披露した。
◆阪神才木浩人投手(26)が7回にピンチを招いて降板した。6回1/3を6安打4四球5奪三振で無失点の好投。6回まで味方打線も無得点で5勝目の権利は得られなかったが、後続を2番手及川雅貴投手(24)が抑えて敗戦投手となる可能性もなくなった。5回まで毎回安打を許して走者を背負う投球。それでも3回に無死一、二塁からDeNA牧、佐野、オースティンを抑えるなど無失点投球を続けた。6回は1死から2者連続四球で1死一、二塁とするもピンチを切り抜けた。7回は先頭バウアー、桑原に2者連続四球で無死一、二塁。牧を中飛に抑えて1死一、二塁としたところで降板した。悔しさをにじませながらマウンドを降りた。後続はバトン受け取った及川が抑えて無失点で7回を終えた。才木は5回には直球が自己最速タイの157キロを計測した。才木は降板後に「毎回ランナーを出していいリズムをつくることができなかったのですが、得点を許さないという部分ではなんとか粘れてよかったと思います。野手のみんなにいい守備で助けてもらいましたし、しんどい場面でしのいでくれた及川にも感謝です」とコメントした。
◆阪神はピンチを脱出した直後にチャンス到来と思いきや、1安打1四球も3人で攻撃が終了した。7回表に及川雅貴投手(24)が1死二、三塁から2者連続三振で無失点。0-0のまま直後の裏の攻撃を迎えた。先頭の大山悠輔内野手(30)は左翼線への鋭い当たりを放った。フェンス手前でバウンドして判定はフェア。一気に二塁まで向かったがタッチアウトとなった。藤川球児監督(44)がリクエストを要求したが、リプレー検証後も判定は変わらなかった。2死からは木浪聖也内野手(30)が四球で出塁したが、投げる前に塁を飛び出してしまい、投手のDeNAバウアーから二塁に送球されて盗塁死となった。
◆阪神の代走の切り札が、痛恨の走塁死に倒れた。0-0のまま迎えた8回。1死から代打豊田が中前打を放ち、代走で植田海内野手(29)が出場した。盗塁が決まれば、一気に先制のチャンス。1番近本への2球目で植田はスタートを切ったようにみえた。しかし一、二塁間付近まで走ったところで植田は切り返し。捕手松尾は飛び出したところを見逃さず、素早い一塁送球を送った。間一髪のタイミングとなったが、判定はアウト。痛恨の1プレーとなり、得点機を逃した。
◆阪神が今季初のサヨナラ勝ちを決め、首位を守った。これで3カード連続で初戦を白星で飾った。0-0の11回。先頭の代打糸原健斗内野手(32)が中前打で出塁すると、続く近本光司外野手(30)が右中間へ二塁打でつないだ。申告敬遠で無死満塁としてDeNAは山崎から中川颯にスイッチ。最後はフルカウントから森下翔太外野手(24)が押し出し四球を選んで1点を奪ってサヨナラ勝ちをおさめた。阪神打線はこの日、DeNA先発バウアーを前に、8回4安打無失点と抑え込まれ苦戦。2回無死二塁から大山、ヘルナンデス、木浪が3連続三振に倒れるなど、12奪三振の好投を許した。それでも、実数発表後最多となる3万434人の観客が入った倉敷で、最後に劇的な形で勝利を決めた。先発の才木浩人投手(26)は、7回途中6安打無失点と力投。援護なく白星こそならなかったが、チームの勝利に貢献した。4四球を与えるなど毎回走者を出しながらも得点は許さず。7回先頭のバウアーから連続四球を出し無死一、二塁の後、牧を中飛に打ち取ったところで及川にバトンをタッチ。2番手左腕も3番佐野、4番オースティンと連続三振に仕留めてピンチを脱した。その後も石井、岩崎、湯浅、岩貞とパーフェクトリレーでつないで劇勝を呼んだ。この日は森下翔太外野手(24)が、2シーズンぶりに左翼で先発出場。佐藤輝明内野手(26)が22年以来の右翼に入り、近本とともに「ドラ1トリオ」が外野に並んだ。
◆DeNAが踏ん張りきれず、サヨナラ負けを喫した。両軍無得点のまま進んだ延長11回、4番手山崎康晃投手(32)がピンチを招いた。先頭の阪神代打糸原に中前打を浴びると、続く近本に右中間への二塁打を打たれて無死二、三塁。申告敬遠で無死満塁としたところで5番手の颯にマウンドを託した。しかし、颯が森下に押し出し四球でサヨナラ負け。地方球場は8連敗、倉敷でも02年5月28日の勝利を最後に4連敗となった。先発トレバー・バウアー投手(34)は日米通算250試合目の登板で、NPBでの自己最多タイとなる12奪三振で快投した。118球を投げて8回4安打無失点4四死球も、打線の援護に恵まれず、3勝目とはならなかった。1回、先頭の阪神近本に内野安打を許すも、1死一塁から森下を三ゴロ併殺打に打ち取って無得点。2回には先頭の佐藤輝に左翼フェンス直撃の二塁打を浴びるも、大山、ヘルナンデス、木浪を3者連続三振。4回にも1死から森下に死球を与えるも、佐藤輝、大山を2者連続三振と、三振の山を築いた。5回にはアクシデント発生にも自分の投球を貫いた。1死、阪神木浪の高いバウンドの投ゴロを軽快にさばき、回転してスローイング。間一髪のタイミングでアウトとなったが、直後に足を気にするしぐさを見せた。トレーナーと大原チーフ投手コーチが急いでマウンドに向かい、話をしてから2球投球練習で状態を確認。そのまま続投し、梅野を最後は153キロ直球で3球三振に仕留めた。6回には2死から四球と宮崎のエラーで一、二塁のピンチを招くも、4番佐藤輝をナックルカーブで空振り三振に仕留めた。7回、8回も走者を出しながら、佐野の好返球や松尾の補殺など、味方の好プレーで無失点で切り抜けた。しかし打線の援護なく、9回1死に代打九鬼が送られて降板した。前回登板の21日中日戦は、前夜に副鼻腔(びくう)炎による発熱で6回4失点だったが、抗生物質を飲んで睡眠不足も解消。前日には「体調は劇的に良くなってきてます」と手応えを口にしていた通り、快投を披露した。一方で打線はチャンスをものにできなかった。3回にはバウアーの今季初安打から無死一、二塁とするも、牧、佐野、オースティンが倒れて無得点。7回にも疲れの見える先発・才木を攻め、2者連続四球で無死一、二塁とするも、またしても牧、佐野、オースティンが倒れた。6回以降は無安打と沈黙。地方球場での連敗は8に伸び、"呪縛"に苦しんでいる。
◆阪神及川雅貴投手(24)が好リリーフで火消しに成功した。先発才木から7回1死一、二塁で救援。2球目が暴投となり二、三塁となったが、佐野とオースティンを連続空振り三振に仕留めてガッツポーズを作った。「投げミスがなかったのがストレートにも意識付けできましたし、前の過程からいい組み立てができた。継続してみんなで頑張っていければ」。2試合ぶりの無失点で防御率0点台をキープした。
◆阪神近本光司外野手(30)がサヨナラ勝ちをお膳立てした。11回無死一塁からDeNA山崎を捉えて右中間へ二塁打を放ち二、三塁とサヨナラの走者を三塁へと進めた。最後は無死満塁から森下の押し出し四球につながり、「結果的に勝ったんで良かったです」と納得の表情。初回先頭ではバウアーから一塁内野安打をマークしており、3試合ぶりのマルチ安打。通算1000本安打まで残り8本とした。
◆阪神藤川球児監督(44)が無失点の力投を続けた両先発右腕を絶賛した。阪神は0-0の延長11回に、無死満塁から森下翔太外野手(24)が押し出し四球を選び、今季初のサヨナラ勝ちを決め、首位を守った。阪神打線は8回までDeNA先発バウアーを前に4安打無失点、12三振を喫し抑え込まれた。快投を見せたライバル助っ人に、指揮官は「本当に素晴らしかったですね。カーブもスプリットも非常に切れていましたから、うちのバッターもてこずっていて、初回先頭が出て、そこからなかなかいかなかったですけど、本当に素晴らしかったですね」と称賛の言葉を並べた。阪神先発の才木浩人投手(26)は、毎回走者を出しながらも7回途中6安打無失点の力投。指揮官は「気持ち1つかも知れないですね。先頭打者だったり、投手に打たれたりとか、いっぱいあるんですけど、とにかくホームを踏ませない、その気持ちは、火曜日を投げるエースとしてはチームにとっては大事な姿なので、それは才木らしいなと思いますけどね」と頼もしい姿をねぎらった。
◆DeNA三浦大輔監督(51)が、先発トレバー・バウアー投手(34)に謝罪した。バウアーは中5日のマウンドでNPBでの自己最多タイとなる12奪三振で快投。118球を投げて8回4安打無失点4四死球も、打線の援護に恵まれず、3勝目とはならなかった。試合は両軍無得点のまま進んだ延長11回、4番手山崎康晃投手(32)が連打と申告敬遠で無死満塁とピンチを招き、5番手の颯が押し出し四球でサヨナラ負け。5月で初の連敗を喫し、地方球場では8連敗となった。指揮官は「勝たせてあげられなくて申し訳なかったと思います。そこにつきますね。前回から組み立ても変えて、(松尾)汐恩とバッテリーで良い投球をしてくれたと思います。あれだけ良い投球をしていただけに本当に申し訳なかったです」と、白星をつけられなかったことを謝罪した。
◆阪神が今季初のサヨナラ勝ちを決め、首位を守った。これで3カード連続で初戦を白星で飾った。阪神は0-0の延長11回に、無死満塁から森下翔太外野手(24)が押し出し四球を選び、今季初のサヨナラ勝ちを決め、首位を守った。この日は森下翔太外野手(24)が、2シーズンぶりに左翼で先発出場。佐藤輝明内野手(26)が22年以来の右翼に入り、近本とともに「ドラ1トリオ」が外野に並んだ。藤川球児監督(44)は「キャンプから常にやってきていますから、この形がどうなっていくかはわからないですけど、チームにとってベストな形と判断すれば、もちろんこういう形を取るというのは当たり前ですね」と説明。「ライトに佐藤(輝)が入り、レフトに森下がいるということで、ファンの方々も、ライトスタンドの方も、『佐藤』と呼ぶ声も多くて。やっぱり心強い選手で、岡山のファンの方にも喜んでもらえたらよかったですね」と笑顔で振り返った。
◆DeNAトレバー・バウアー投手(34)が、今季初安打を後悔? した。3回先頭、阪神才木の147キロ直球を捉えた。強いゴロで中前にはじき返し、今季18打席目で初安打をマーク。23年には39打数1安打で打率2分6厘だったため、これが日本での2安打目となった。しかし不慣れな走塁で課題を露呈。無死一、二塁の二塁走者で、牧が右翼後方へ飛球を放った。右翼・佐藤輝の捕球体勢も崩れていたがタッチアップできず。チャンスを広げることはできなかった。バウアーは試合後、「悪い作戦だったなと。どうせ得点できないなら、三振しておいた方が...。ベースランニングは下手くそなので。10年以上ベースランニングしてないです」と嘆いた。一方で本職の投球ではNPBでの自己最多タイとなる12奪三振で快投。打線の援護に恵まれず、3勝目とはならなかったが、118球を投げて8回4安打無失点4四死球と貫禄の投球を見せた。
◆DeNA先発のトレバー・バウアー投手(34)が、無事を強調した。日米通算250試合目の登板で、NPBでの自己最多タイとなる12奪三振で快投。118球を投げて8回4安打無失点4四死球も、打線の援護に恵まれず、3勝目とはならなかった。アクシデントが起きたのは5回だった。1死、阪神木浪の高いバウンドの投ゴロを軽快にさばき、回転してスローイング。間一髪のタイミングでアウトとなったが、直後に足を気にするしぐさを見せた。トレーナーと大原チーフ投手コーチが急いでマウンドに向かい、話をしてから2球投球練習で状態を確認。そのまま続投し、梅野を最後は153キロ直球で3球三振に仕留めた。試合後、バウアーは「ちょっと盛り上げようかなと」と冗談をかましつつ「大学時代からちょっと肋骨(ろっこつ)の後ろに緩い部分がある。そこが動いた気がしたので、いったん止まったんですけど全然問題ないです」と無傷を強調した。
◆阪神が今季初のサヨナラ勝ちを決め、首位を守った。0-0の延長11回、先頭の代打糸原健斗内野手(32)のヒットからチャンスを作り、最後は森下翔太外野手(24)が押し出し四球を選んだ。右翼佐藤輝、左翼森下の新布陣で臨んだ一戦。序盤からDeNAバウアーに苦しめられる展開だったが、実数発表後最多となる3万434人の観客が見守った倉敷で、最後は笑顔の幕切れとなった。年に1度の倉敷で虎党の歓声が響いた。両者無得点で迎えた延長11回無死満塁。森下は粘りも見せてカウント3-2で8球目を迎えた。外角に大きく外れたボールを見逃して押し出し四球。今季初となるサヨナラ勝利だ。鋭い眼光を飛ばしたままバットを放り投げて喜びを表現した。「なんとか外野フライでも1点入るケースだったので。そういう気持ちでいった。倉敷でホーム開催で勝ちを見せることができて良かった」虎の主役たちはポジションが違っても元気だった。開幕から全試合右翼スタメンの3番森下は23年7月29日広島戦(甲子園)以来2年ぶりの左翼守備に就いた。25日中日戦(バンテリンドーム)ではプロ初の左翼を守った佐藤輝は、この日は22年以来に元定位置の右翼でスタメン。左翼と右翼が逆でも白星をつかみ連勝を決めた。森下はいきなり初回から守備で魅せた。1死二塁で左翼ファウルゾーン方向に高く上がり風で戻された飛球を定位置から激走して捕球。「甲子園に戻ってみてレフトを守る機会があれば最大限のプレーができるように準備したい」と力を込めた。佐藤輝も3回は無死一、二塁からDeNA牧の高く上がった飛球をフェンス際でしっかりつかんだ。5回は先頭バウアーの落ちそうな打球を前進してキャッチ。守備でもわかせた。藤川監督は「キャンプから常にやってきていますから、この形がどうなっていくかはわからないですけど、チームにとってベストな形と判断すれば、もちろんこういう形を取るというのは当たり前です」と説明した。試合はDeNAバウアーに苦しめられてスコアボードにゼロが並んだが、直近1週間で3度目となる延長戦の末に待っていたのは今季初のサヨナラ勝利。首位を走る虎が倉敷でも強さを示した。【塚本光】
◆阪神才木浩人投手(26)がサイ・ヤング賞右腕バウアーと投手戦を演じた。7回途中6安打無失点。毎回走者を出しながらも、粘りの投球で先制点を渡さなかった。「粘りというか、ヒットを打たれるタイミングが良かった。そういう意味では粘れたかなと思います」。今季3度目の地方球場で気迫の117球。降板した7回は2連続四球で無死一、二塁を招いたが、牧を直球で押し込み中飛に打ち取った。直後に降板となったが、及川の好救援に助けられてピンチを脱出。「次はしっかり投げてリリーフを助けられるように」。次戦の恩返しを誓った。5月は4試合計27回1/3を投げ、1失点のみ。2勝0敗、防御率0・33と抜群の成績で1カ月を終えた。「一番は点を取られないことが大事。これを継続して、リズムのいい見栄えのいいピッチングができたら。今日みたいに急に乱れるピッチングがないようにやっていきたい」。修正点も胸に、6月も快投を重ねる。
◆現役時代の指揮官のように、盤石なリリーフたちが完璧な無失点リレーを完成させた。最初の出番は左腕、及川雅貴投手(24)。7回1死一、二塁で、先発才木の後を受けてマウンドへ。暴投で二、三塁とピンチを広げるも3番佐野、4番オースティンをともにスライダーで連続三振。「投げミスがなかったのがストレートにも意識付けできましたし、前の過程からいい組み立てができたんじゃないかと思います」。力強いガッツポーズで盛りたてると、4人の投手も続いた。8回に登板した石井から守護神岩崎、湯浅、岩貞と全員が3者凡退。みんなで0を並べての劇的な勝利。及川も「毎回言っている通り、それこそ協力なんで助け合いもありますし、1人1人つないでという結果だと思う。継続してみんなで頑張っていければ」と満足そうに振り返った。指揮官として初めてのサヨナラ勝ちに、藤川球児監督(44)のほおも緩んだ。「僕も現役の時はリリーフでしたから、よくサヨナラ押し出しは見てきた。最初のサヨナラがそれで、リリーフ、投手陣がしっかりとつないできて、守る方も守りながら、タイガースらしいサヨナラのシーンだったなと思いましたね」。脳裏に浮かんだのはかつての記憶。何度も経験したヒリヒリとする接戦を、系譜を継ぐ後輩たちがものにした。23日中日戦に続き延長戦で勝利し「私が現役の時を思い出すような、毎日こういうゲームで。頭が下がるというところ」と最敬礼。みんなで守り抜く、これが虎の戦い方だ。【磯綾乃】阪神石井(8回に登板し3者凡退)「いろんな反省ありますけど、まずは3人で0で抑えられたのは良かったと思います」阪神岩貞(延長11回を抑え今季2勝目)「長打が命取りというところで低めを意識しながら、梅野とも意識を確認しながらしっかり投げられて良かった。リリーフ陣で勝つゲームだったのでみんなで抑えることができて良かったです」
◆阪神佐藤輝明内野手(26)が倉敷で攻守に躍動した。25日中日戦では左翼で出場したが、この日は22年以来となる右翼で先発。2つの飛球をさばくなど軽快にこなした。打っても左翼フェンス直撃二塁打を含む2安打。岡山に住む母方の祖父母が観戦に訪れていた一戦で、元気な姿を見せた。「ライトの方が慣れているとはいえ久しぶりなので。明日からどうなるか分からないけど、しっかり準備していこうと思います。(祖父母には)いいところを見せられたので良かった」と振り返った。
◆DeNAは"地方球場の呪縛"が重たい。打線は序盤のチャンスを生かせず、6回以降は無安打と沈黙。延長11回に4番手山崎が無死満塁とピンチを招き、5番手の颯が押し出し四球でサヨナラ負けを喫した。これで地方球場は8連敗、倉敷でも02年5月28日の勝利を最後に4連敗。三浦監督は「もう1本が出せなかった。(バウアーを)勝たせてあげられなくて申し訳なかった」と謝罪した。
◆両軍のスターティングメンバーが発表。阪神・佐藤輝明内野手(26)が「4番・右翼」に名を連ねた。前戦の25日・中日戦(バンテリンドーム)では「4番・左翼」でプロ初の左翼、今季初の外野でスタメン出場し、3安打をマークした。その左翼には3番で森下が入った。三塁は2試合連続でヘルナンデス。新オーダーで連勝を狙う。
◆阪神・近本光司外野手(30)が一回先頭で一塁へ内野安打を放ち、通算1000本安打まで残り9本とした。バウアーの初球141キロを引っ張ると、一塁手のオースティンがダイビングキャッチ。カバーに入ったバウアーに送球したが、これが逸れた。「H」ランプがともり、これが通算991安打目。リードオフマンの出塁を得点につなげたかった打線だが、続く中野が遊直、森下が三ゴロ併殺に倒れ、無得点に終わった。
◆阪神・才木浩人投手(26)が先発し、三回のピンチを脱出した。一、二回は1死から安打を浴びて招いたピンチを脱したが、三回は先頭で投手のバウアーにしぶとく二遊間を破られると、1番・桑原にも左前に運ばれて無死一、二塁。ここから主軸との対戦に突入するという難所を迎えた。しかし、前打席で左翼フェンス直撃の二塁打を許していた牧を右飛に仕留めると、佐野は149キロ直球で見逃し三振斬り。オースティンは一球勝負で遊ゴロに打ち取り、このピンチも断ち切った。3アウト目を見送るとグラブを小さくたたき、バッテリーを組む梅野とアイコンタクト。好投手・バウアーとの投げ合いで、最初の3イニングを無失点で発進した。
◆凱旋(がいせん)試合に胸が高鳴った。岡山出身のDeNA・佐野恵太外野手(30)が「3番・左翼」で先発。「小、中とこのグラウンドでよく試合をしていた。懐かしいなと思いながら、きょうは勝って活躍している姿を見せたい」と表情も明るかった。プロ入り後、2度目の故郷での一戦。前回2023年の阪神戦は2―7で敗戦し、佐野自身は4打数1安打だった。FAの権利を行使せず残留した30歳は、今オフは初めて倉敷で自主トレを実施するなど強い地元愛の持ち主。この日は、家族だけでなく小学校時代にプレーした彦崎野球スポーツ少年団、中学時代に所属した倉敷ビガーズの子供など関係者を計150人招待した。「野球の楽しさを教わったのがその時期。地元の子供たちにプレーしている姿を見てほしい」と思いを語った。今季は開幕戦こそスタメンを外れたが、その後は順調に状態を上げてきた。26日時点で打率・272で、5月は・313。直近8試合連続で安打をマークしている。「4月に比べるといい方ではないかな、と思う。夏場に向けてもっと状態を上げていけるように」と手応えを口にした。3連戦を終えた広島から岡山に移動した前日26日は実家に足を運び、母・恵美さんの手料理で力を蓄えた。地元の声援を背に受け波に乗る。一回の第1打席は左邪飛、三回の第2打席は見逃し三振に倒れた。
◆DeNA先発のトレバー・バウアー投手が今季18打席目で初安打を放った。三回無死の第1打席に、才木の147キロを中前にはじき返した。前回来日していた2023年は39打数1安打。これで日本通算2安打となった。だが無死一、二塁で牧が右翼後方への飛球を放ったが、二塁から不慣れな走塁にためらいタッチアップできず。先制点にはつながらなかった。バウアーは六回まで2安打無失点。試合は両チーム譲らず、0-0の投手戦が続いている。
◆阪神・才木浩人投手(26)が先発し、6回1/3を投げて6安打無失点だった。昨年6月25日の中日戦では黒星こそ喫しながらも8回6安打1失点と好投していた倉敷の舞台。DeNA先発・バウアーとの投げ合いとなった今年は、苦しんだ。五回までは毎回安打を浴びて走者を背負ったものの、要所を締めて先制点は許さず。六回は1死からの連続四球でピンチを背負ったが、ここでも蝦名を内角直球で見逃し三振に抑えると、続く京田も直球で二ゴロに料理した。この六回を投げ終えて球数は102球に達していたが、直後の攻撃での打席に立ってスコアレスの七回も続投。先頭の投手・バウアーに四球を与えると、続く桑原も歩かせて一、二塁とピンチを招き、牧をとらえられた当たりながら中飛に抑えたところで、交代となった。ただ、バトンを受けた及川は暴投で二、三塁とピンチを広げたが、佐野を空振り三振に仕留めて2死とすると、続くオースティンも追い込んでから低めの変化球でハーフスイングを誘い、連続奪三振。グラブを大きくたたいて喜び、2人の力でこの回もスコアボードにゼロを刻んだ。才木は「毎回ランナーを出していいリズムを作ることができなかったですが、得点を許さないという部分ではなんとか粘れてよかったと思います。野手のみんなにいい守備で助けてもらいましたし、しんどい場面で凌いでくれた及川にも感謝です」とコメント。才木にとって今回は、129球を投げて5安打で今季初完封だった前回登板の20日巨人戦(甲子園)から中6日。登板4試合連続で100球超えとなった中でも、6連戦の初戦を任される男としての仕事を果たそうと懸命に腕を振った。
◆阪神が終盤で走塁ミスを連発した。0-0で迎えた八回。1死から代打・豊田が中前打を放つと、代走・植田が送られた。続く近本の打席の2球目。ストライクボールを見送った近本だが、一走・植田が塁を飛び出しており、捕手からの送球に戻りきれずタッチアウト。七回は大山が左翼線にヒットを放つも、相手好守もあって、二塁タッチアウト、そして、2死から四球で出塁した木浪は、盗塁を仕掛けるも、けん制でアウト(記録は盗塁死)と終盤での走塁ミスが続き、流れを止めている。
◆「4番・DH」で先発出場した阪神・前川右京外野手(22)は3打数無安打2三振に終わった。「見ての通りなので。なにかつかめるものを(つかむこと)。そっちの方が大事」と振り返った。今季は開幕1軍でスタートし自己最長の14試合連続安打を記録。しかし5月は打率・093と苦しみ22日に2軍へ降格した。「色々やりながら、少しでもいい方向にいける何かを見つけられたら」と再起を誓った。
◆阪神がサヨナラ勝ち。0-0で迎えた延長十一回、無死から代打・糸原が中前打、近本が右中間へ二塁打、続く中野が申告敬遠されて満塁とすると、森下がフルカウントから押し出し四球を選び、試合を決めた。阪神は2連勝で首位を死守した。
◆11回途中で降板するDeNA・山崎康晃=倉敷マスカットスタジアム(撮影・甘利慈)
◆バウアーは間違いなく今季最高の投球だった。切れ味鋭い直球に、変化の大きいナックルカーブで緩急をつけられると、攻略は簡単ではない。ただ、素晴らしいのひと言で片付けていたら、気分を良くして、阪神戦に何度でも登板してくる可能性がある。苦しめられた中にもヒントはあった。それが足を絡ませた攻めだ。七回に木浪が飛び出して二塁で刺された。この走塁は決して悪くない。相手を揺さぶる走塁はドンドン仕掛けていくべきだ。その一方で八回の代走・植田が一塁で捕手からのけん制で刺されたシーンは「?」。このケースは、思い切って先の塁へ向かうべき。戻ってアウトになるなら、先を狙ってほしかった。植田という走者は、本来はそういう思い切りができる。七回に大山が左翼線の安打で二塁を狙ってアウトになったが、これも責められない。相手の守備が上回っただけ。先の塁へ「行くぞ」という姿勢が、バウアーに嫌なイメージを植え付ける。これだけ苦しんでも勝てたのは大きい。才木を筆頭にした投手陣が最大のヒーローだということは、強調しておきたい。(サンケイスポーツ専属評論家)
◆阪神が今季初のサヨナラ勝利で首位を堅持。両軍無得点で迎えた延長十一回、代打糸原健斗内野手(32)の中前打、近本光司外野手(30)の二塁打、中野拓夢内野手(28)の申告敬遠で無死満塁とし、森下翔太外野手(24)が押し出し四球を選んだ。岩貞祐太投手(33)が今季2勝目。才木浩人投手(26)は6回?を投げ、得点を許さなかった。佐藤輝明内野手(26)は2022年10月2日ヤクルト戦(甲子園)以来の「右翼」に入って2安打。森下は23年7月29日広島戦(甲子園)以来の左翼に就いた。
◆阪神のサヨナラ勝ちは今季初めてで、昨年9月14日の広島戦(○4-3、九回=中野拓夢の単打、甲子園)以来。岡山県内での試合でサヨナラ勝ちしたのは、2013年6月5日の西武戦(○3-2、九回=西岡剛の単打、倉敷マスカット)以来12年ぶりで、スコア1-0でのサヨナラ勝ちは1955年9月13日の国鉄戦(十回=吉田義男の単打、岡山県営)以来70年ぶり。
◆70年ぶりの劇勝だ! 阪神はDeNAに1-0で今季初のサヨナラ勝ち。延長十一回無死満塁で森下翔太外野手(24)が押し出し四球を選び、雄たけびを上げた。先頭の代打・糸原健斗内野手(32)が中前打、近本光司外野手(30)も右中間二塁打と鮮やかにつなぎ追い詰めた。岡山県内では1955年以来70年ぶりとなる「1-0サヨナラ勝ち」で首位の座を守った。倉敷の夜空を彩った花火のように、勝利の瞬間、森下は天高くバットをぶち上げた。3時間55分の激闘の先に待っていた歓喜のウオーターシャワーは心地いい。大歓声を一身に浴びた背番号1が70年ぶりのしびれる試合を決めた。「チームが勝てたことがすごくよかったと思います。何とか外野フライでも1点入るケースだったので、そういう気持ちでいきました」0-0のまま迎えた延長十一回無死満塁の絶好機だった。球場のボルテージは最高潮。颯の甘く入った直球を仕留め損ねても冷静さを失わなかった。フルカウントから8球目。外角高め直球を見極める。今季初のサヨナラ勝ち。ナインからの手荒い祝福を満面の笑みで受け止めた。「ランナーは一塁が空いていたので、自分勝負になるかなと思っていました」〝岡山の奇跡〟は先輩たちの力あってこそ。十一回の先頭で打席に立ったのは代打・糸原。山崎の変化球を中前にはじき返すと、不動のリードオフマンがつなぐ。通算1000安打のカウントダウンが始まっている近本が右中間を破る二塁打でおぜん立て。通算992安打目にも「それ(打ってかえすこと)しかないでしょ。結果的に勝ててよかったです」と冷静に戦況を振り返る。
◆サヨナラ劇の口火を切ったのは阪神・糸原健斗内野手(32)だった。延長十一回先頭で代打として打席に入ると、山崎から中前打を放ち、代走・熊谷に後を託した。「なんとか塁に出ることだけ考えて、その後、上位打線がつないでくれて勝ちに貢献することができてよかったです」左の代打として最近5打席で3安打目と好調で、森下とともにお立ち台へ。「(山崎との)これまでの対戦も踏まえながら、自分の仕事に徹することだけを考えました」と職人技でチームに勝利をもたらした。
◆本来の力を見せつける118球だった。岡山・倉敷で日米通算250試合目の登板を迎えたDeNAのトレバー・バウアー投手(34)が8回4安打無失点、来日最多に並ぶ12奪三振の力投。3勝目はならなかったが堂々と胸を張った。「いい投球だった。もう1イニングを投げて、もう少し(三振数を)伸ばせたらと思っていた」この日最速158キロの直球がうなりを上げ、得意のナックルカーブもさえた。二回無死二塁から3者連続三振。六回には佐藤輝、八回には中野をピンチの場面で打席に迎え、いずれもナックルカーブで空振り三振に斬った。6試合連続で女房役を務めた20歳の松尾に向かって、吠えに吠えた。前回21日の中日戦後に副鼻腔炎を患っていることを明かした。体調不良が数週間続いて発熱もあり、睡眠は4時間以下で登板したという。直近2試合で計10失点と苦しんだが、「良くなった。寝られることが大きい。気分も良くなった」と全快をアピールした。バウアーの後を託された救援陣も首位阪神を相手に奮闘したが、延長十一回に4番手の山崎が無死から連打と敬遠で満塁とされ、5番手の颯が押し出し四球でサヨナラ負け。三浦監督は「(バウアーに)申し訳ない」と肩を落とした。5月3日以来遠のく白星へ、バウアーが状態をさらに上げる。(阿部慎)
◆延長十回から5番手で登板した阪神・湯浅は2番・牧からの好打順を三者凡退に抑えた。「なんとか3人で終われて、いい流れを持って来ることができてよかったです」。これで今季12試合に投げ、防御率は0・00。最強リリーフ陣の一角を担うが「先発の人も頑張っているからこそ、こういう試合になっている。みんなで助け合いながらやれればいいと思います」と謙虚に話した。
◆阪神・及川が0―0の七回1死一、二塁から才木の後を受けてマウンドへ。暴投で二、三塁のピンチを招いたが、「逆に一塁が空いて攻めやすくなったところもあると思うし、プラスに捉えることができた」と佐野、オースティンを連続三振に斬り、窮地を脱した。「才木さんもずっと粘り強いピッチングしていたので、絶対才木さんに負けはつけたくないという思いで投げていた。結果、ゼロに抑えられてよかったです」と笑顔で話した。
◆サヨナラ勝ちをおさめたが、阪神打線はDeNA・バウアーの前に8回で12三振。九回にはウィックから森下が喫し、先発全員三振に。九回までの13三振は今季ワーストを更新した。延長も含めると15三振。藤川監督も試合後、「(バウアーは)本当に素晴らしかった。カーブもスプリットも非常に切れていましたから、ウチのバッターも手こずって...」と〝脱帽〟だった。
◆阪神・岩貞が今季2勝目をマークした。0-0の十一回に登板し、打者3人を14球で料理。直後の攻撃で森下の決勝となる押し出しで白星が転がり込んできた。今季に復活を期す左腕は「リリーフ陣で勝つという展開だったので。みんなで一致団結して抑えることができてよかった」と、自分だけでなく救援陣が一丸となって導いた勝利を強調した。
◆新たに「5月男」と「地方の鬼」を襲名だ。先発した才木浩人投手(26)は6回?を6安打無失点の粘投。打線の援護に恵まれなかったが、チームは延長十一回サヨナラ勝利。毎回走者を許しながら踏ん張れたことを喜んだ。「毎回ランナーを背負った展開だったが、粘り強く投げられた。でも、きょうは中継ぎに負担をかけたけどゼロに抑えてくれて。本当に感謝したいです」七回1死一、二塁で及川の救援をあおいだが、後輩左腕は二、三塁としてもなんとか踏ん張ってくれた。ベンチへ戻ってきたところで両手を合わせてお辞儀。これで連続無失点イニングは「15回?」となった。「ほぼ点をとられていないことはよかったかなと思いますけど。四球も相変わらず出しているので。でも、点を取られないことが一番大事なので」5月に入ってからの4試合で2勝0敗。27回?を投げてわずか1失点。さらに、地方球場でも4月15日のヤクルト戦(松山)で7回無失点、今月12日の新潟でのDeNA戦は7回1失点。今回の倉敷を含めた3試合でわずか1失点。「僕は苦手と感じるところがないので。僕はうまくマウンドにあわせられているのかなと」と自己分析した。6月3日からは交流戦が始まる。この日が前半のリーグ戦ラスト登板だった。「次は自分がしっかり投げてリリーフを助けられるように。リズムのいいというか、見栄えのいい投球ができたらと思います」まだまだ実力は出し切れていない。パ・リーグの強力打線をきりきり舞いさせて、調子をあげていく。(三木建次)
◆七回途中から投入したリリーフ陣がパーフェクトリレー。指揮官として初めてサヨナラの瞬間に飛び込んだ救援出身の藤川球児監督(44)も称賛する、見事な〝つなぎ〟だった。「僕も現役のときはリリーフでしたから、『サヨナラ押し出し』というものはよく見てきましたけど。(監督として)最初のサヨナラがそれで、いわゆるリリーフ陣、投手陣がしっかりとつないできて、守る方も守りながらで、タイガースらしいサヨナラのシーンだったな、と思いましたね」先発の才木が粘りながらも、0-0の七回に連続四球でピンチを作り、1死一、二塁となったところで動いた。2番手・及川は暴投で走者2人を先の塁に進め、倉敷には緊張感が張り詰める。しかし、ここでギアを上げた左腕は、まずスライダーで佐野のバットに空を切らせると、オースティンは低めの変化球でハーフスイングを誘い、この窮地を脱出した。八回は石井、九回は守護神の岩崎が、ともに2三振を奪う3人斬り。延長戦突入後は、十回は湯浅が堂々と三者凡退。十一回は岩貞が熟練の技を駆使しながら、こちらも1回完全とアウトを積み重ねた。打者14人を相手に一度も出塁を許さないリリーフ5投手での完全制圧が、歓喜の今季初サヨナラにつながった。「私が現役のときを思い出すような、毎日こういうゲームで。頭が下がるというところ」と将の賛辞はやまない。23―25日の中日3連戦(バンテリンドーム)でも終盤までもつれる試合をこなしたが、しっかりと勝ち越した。敗れれば巨人に勝った広島に首位の座を明け渡すことになっていた一戦で、またも一丸となって踏ん張った。「どちらに星が転がるか分からないゲームを、引き分けであったり白星にすることができれば、結局、後半になったときにすごく大きな差になって表れてくる。白星で帰れるというのは、本当にうれしいですね」3、4月に続き、5月も12勝8敗1分けとなって4試合を残して勝率5割以上を確定させた。スカッとは勝てなくても、チームの中心には勝利の瞬間に少しずつでも背中を押してくれる、自慢のリリーフ陣がいる。(須藤佳裕)
◆八回を任された阪神・石井は完全リリーフだった。「やっぱり展開的にゼロで抑えないといけない、きついところ。3人で、ゼロで抑えられたことはよかった」。松尾を中飛に打ち取ると、宮崎は見逃しで、蝦名は空振りで連続三振を奪い、無失点とした。ホールド数は並んでいた巨人・大勢から一歩リードし、リーグ単独トップの15個目。今後も抜群の安定感で結果を残していく。
◆阪神・佐藤輝が2022年以来、3年ぶりに右翼で先発出場した。「4番・左翼」で先発した25日の中日戦(バンテリンドーム)に続く外野での出場。「(左翼より)ライトの方が慣れているので。とはいえ、久しぶりなので、しっかり準備した」。この日は倉敷市に住む母方の祖父母も観戦。4打数2安打と快音を響かせ「いいところを見せられてよかったです」と笑顔だった。
◆仙さん(星野仙一)勝ちやー!! 2003年わが阪神をリーグ優勝に導いてくれた仙さんが地元倉敷(倉敷商高出身)で、そして猛虎愛で勝たせてくれたんやー!!森下の押し出し四球による今季チーム初のサヨナラ勝ちは、考え方によればクリーンヒットのサヨナラより、投手だった三浦監督にプスプスと煮えきらない気持ちを与えたと思うので、第2戦にも尾を引くのでは...。ムフフフ。阪神の勝利と同じくらいに『よっしゃ!!』と俺が大喜びしたのはDeNAの先発、ほとんど変化球しか投げないバウアーに白星が付かなかったことなのだ!! おい! バウ、ええかげんにさらせやー!! 四回、森下に死球を当てといてゴメンくらいの姿勢はせいやー!! 『郷に入っては郷に従え』やろ!! MLBのサイ・ヤング賞(最優秀投手賞)のプライド? マジ俺、腹立っとんのよ!! 他チームの打者もバウアーは変化球(ただそれがキチンと低め)中心だから、それを頭に入れ、なめくさんなー! と潰してくれー!!
◆戦いの舞台は岡山県倉敷市のマスカットスタジアム。「岡山」と聞くと、すごく勝てるような気分になってしまう。そのぐらい、阪神と球場との相性は良い。昨夜もバウアーの前に沈黙していたが、終わってみれば...。幸せを呼ぶマスカットだ。2004年秋季キャンプ。阪神は岡山出身の星野仙一前監督の縁もあって、引き続き同球場の施設を利用してキャンプを行った。当時監督・岡田彰布は根っからの勝負師。采配だけでなく、球場へのルートや高速の料金所まで、どこを通るか気にする。そんな岡田さん(現オーナー付球団顧問)がキャンプインのあいさつで「ここは阪神にとって縁起がいいので...」と口にした。よほど印象が良かったのだろう。スタジアムは今年で誕生30周年。プロ野球チームが本拠地を置いても不思議ではないぐらいに充実している。完成する前は、岡山でのプロ野球といえば、岡山県営球場という、正直言わせてもらえれば、老朽化がはなはだしい場所で公式戦が行われていた。試合中のベンチの屋根の上でファン同士が傘でけんかを始めたり...。試合中に蛇がナイター照明に感電して停電、真っ暗闇にもなった。試合終了と同時に360度全方向からファンが一斉にグラウンドに乱入。日本で唯一(?)、ヒーローインタビューが行えない、とんでもない場所だった。それがマスカット誕生で歴史は変わった。95年3月にはこけら落としでセ・リーグトーナメントは開催され、阪神はまさかの優勝を飾る。まだ、震災の爪痕が残る時期。新幹線、JRは寸断され、大阪から岡山へは臨時便で空路、移動したほどだった。

<セ・リーグ順位表推移>
順位 | チーム名 | 勝数 | 負数 | 引分 | 勝率 | 首位差 | 残試合 | 得点 | 失点 | 本塁打 | 盗塁 | 打率 | 防御率 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 (-) |
阪神 |
26 | 19 | 2 | 0.578 (↑0.01) | - (-) |
96 | 161 (+1) | 114 (-) | 25 (-) | 41 (+1) |
0.246 (↓0.001) | 2.160 (↑0.05) |
2 (1↑) |
広島 |
24 | 19 | 2 | 0.558 (↑0.01) | 1 (-) |
98 | 147 (+2) | 115 (+1) | 21 (-) | 15 (-) |
0.244 (-) | 2.280 (↑0.03) |
3 (1↓) |
巨人 |
26 | 22 | 1 | 0.542 (↓0.011) | 1.5 (↓1) |
94 | 151 (+1) | 153 (+2) | 35 (-) | 21 (-) |
0.243 (-) | 2.720 (↑0.01) |
4 (-) |
DeNA |
22 | 20 | 3 | 0.524 (↓0.013) | 2.5 (↓1) |
98 | 150 (-) | 122 (+1) | 19 (-) | 25 (-) |
0.234 (↓0.002) | 2.420 (↑0.04) |
5 (-) |
中日 |
19 | 25 | 2 | 0.432 (↓0.01) | 6.5 (↓1) |
97 | 100 (+1) | 144 (+2) | 19 (-) | 25 (+1) |
0.208 (↓0.002) | 2.880 (↑0.05) |
6 (-) |
ヤクルト |
14 | 26 | 2 | 0.350 (↑0.017) | 9.5 (-) |
101 | 113 (+2) | 174 (+1) | 17 (-) | 13 (+1) |
0.222 (↓0.001) | 3.630 (↑0.07) |
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