中日(★1対5☆)阪神 =リーグ戦10回戦(2025.05.25)・バンテリンドーム=
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阪神
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中日
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勝利投手:湯浅 京己(2勝0敗0S)
敗戦投手:マルテ(1勝3敗1S)
  DAZN
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◆阪神は0-0で迎えた5回表、坂本のスクイズで1点を先制する。その後同点とされるも、9回に坂本の適時二塁打などで4点を挙げ、勝ち越しに成功した。投げては、2回無失点の好救援を見せた2番手・湯浅が今季2勝目。敗れた中日は、打線が1得点のみと振るわなかった。

◆右脇腹を痛め戦列を離れていた中日村松開人内野手(24)が1軍に合流した。前日24日に登録された福永裕基内野手(28)と笑顔でウオーミングアップを行った。開幕から正遊撃手だったが、4月23日巨人戦(東京ドーム)の3回の第1打席で投ゴロを打った際に痛め、右内腹斜筋損傷と診断されていた。1軍では今季20試合、打率1割3分8厘、0本塁打、2打点。リハビリをへて5月18日2軍阪神戦から復帰。2軍では4試合、11打数4安打の打率3割6分4厘、0本塁打、2打点と数字も残しての復帰となった。また、開幕から2軍調整が続いていた松木平優太投手(22)も1軍に合流した。2軍では5月3日くふうハヤテ戦から3試合先発で投げ、20回、1勝1敗、防御率4・50。今季飛躍が期待される右腕がようやく戦列に戻ってきた。

◆阪神が球場入りするとすぐに、中日井上一樹監督(53)が阪神中野拓夢内野手(28)に「タクム!」と声をかけた。前日24日の対戦で右肘に死球。その状態をたずねた様子。また、試合後の話題になった微妙な判定についても話し合ったもようで、互いに笑顔で分かれた。阪神藤川球児監督(44)が24日の試合後に、井上監督と球審に対して疑問を呈していた。9回先頭の渡辺諒内野手(30)がフルカウントから見送った。小林和公球審は右手を上げかける紛らわしいジェスチャーをしたが、ボール判定。井上監督はベンチを出て「手、出たでしょ?」とジェスチャーについて確認を行った。ストライク・ボールの判定に対する抗議ではなかった。その後、阪神は1点差に詰め、2死二塁と攻めたが中野が厳しい内角球をストライク判定されて、ゲームセット。藤川監督は最後のストライクについて、球審の"帳尻合わせ"を疑った。「ストライク・ボールの抗議は禁止なはずなんですけど、それがあった中で最後の中野の1球というのは、正直納得いかない。審判の方はリスペクトしますけど、らしくないなと。井上監督の抗議があって、最後(ストライクを)とったと思われても仕方ないというか。タイガースサイドから見れば、そう見えてしまう抗議と最後の結果(の関係)」と指摘していた。

◆開幕から2軍調整が続いていた松木平優太投手(22)が出場選手登録された。中継ぎのロング要員として期待される。2軍では5月3日くふうハヤテ戦から3試合先発で投げ、20回、1勝1敗、防御率4・50。また、右脇腹を痛め戦列を離れていた村松開人内野手(24)は、この日1軍に合流したが、登録はされなかった。ノック、フリー打撃とメニューをこなした村松は「いろんなことを考えながらリハビリをしてきた。1カ月間はいい時間の使い方ができた。脇腹は問題ない。ここからチームに貢献したい」と話した。

◆阪神佐藤輝明内野手(26)が試合前に、本格的に左翼の練習を行った。フリー打撃中、他の外野手と一緒に筒井壮外野守備走塁コーチのノックを受けた。森下翔太外野手(24)が左膝を負傷した際は、緊急時に備えて右翼の練習を行っていた。キャンプ中も外野に入る時は右翼が多かったが、左翼は珍しい。

◆バンテリンドームでの2カード連続負け越しを防いで首位をキープしたい阪神は新たな布陣で挑む。前日24日の同戦で本塁打の佐藤輝明内野手(26)が「4番左翼」で先発出場する。公式戦での左翼守備はプロ初。レギュラーシーズンでは22年10月2日以来966日ぶりの外野守備につく。ラモン・ヘルナンデス内野手(29)が「6番三塁」で来日初スタメン。オープン戦の3月18日ヤクルト戦(神宮)以来の1軍での三塁守備となった。先発はドラフト1位ルーキーの伊原陵人投手(24)。自身3連勝と4勝目をかけて初めて敵地で先発する。

◆阪神の新外国人ラモン・ヘルナンデス内野手(29)が「6番三塁」で来日初先発する。23年から三塁のレギュラーに固定されている佐藤輝明内野手(26)が、左翼に入る変則オプションとなった。佐藤輝は右翼での先発経験はあるが、左翼は5年目で初めて。一塁、三塁、外野をこなせるヘルナンデスは春季キャンプ中は外野でもノックを受け、試合にも出場した。自慢の強肩を披露する場面もあった。だが、ウエスタン・リーグでは1度も外野を守っていなかった。一塁と三塁での出場を想定して練習してきたとみられる。

◆阪神藤川球児監督(44)は、あとくされない様子で中日井上一樹監督(53)と握手を交わした。試合前のメンバー表交換で、互いに笑顔を見せて審判団の説明を聞いた。終始、なごやかなムードで前日の「遺恨」は感じられなかった。試合前の練習中には両監督は顔を合わせていなかった。阪神で3年前までヘッドコーチだった井上監督が、阪神の選手と話すシーンは見られた。藤川監督は前日24日の試合後、球審の行動に疑問を呈していた。9回先頭の渡辺諒内野手(30)がフルカウントから見送った。小林和公球審は右手を上げかける紛らわしいジェスチャーをしたが、ボール判定。井上監督はベンチを出て「手、出たでしょ?」とジェスチャーについて確認を行った。ストライク・ボールの判定に対する抗議ではなかった。その後、阪神は1点差に詰め、2死二塁と攻めたが中野拓夢内野手(28)が厳しい内角球をストライク判定されて、ゲームセット。藤川監督は最後のストライクについて、球審の"帳尻合わせ"を疑った。「ストライク・ボールの抗議は禁止なはずなんですけど、それがあった中で最後の中野の1球というのは、正直納得いかない。審判の方はリスペクトしますけど、らしくないなと。井上監督の抗議があって、最後(ストライクを)とったと思われても仕方ないというか。タイガースサイドから見れば、そう見えてしまう抗議と最後の結果(の関係)」と指摘していた。

◆中日井上一樹監督(53)は試合前のメンバー表交換で阪神藤川監督と笑顔で握手を交わした。本塁付近に両監督が集まると2分を越える、審判団から説明を受けたあと、お互いの顔をしっかり見ながらの握手だった。前日24日阪神戦の9回、先頭代打渡辺の四球判定の時、小林球審の右手があがったため、井上監督が「今、手を上げたでしょう」とベンチを出て確認に行った。9回2死二塁で中野のきわどいコースでの見逃し三振の判定にその"抗議"が影響したのではないかと阪神藤川監督が苦言を呈していた。

◆試合前のメンバー表交換時に、責任審判の福家審判員が中日井上一樹監督(53)と阪神藤川球児監督(44)に対して、事情説明する一幕があった。両監督は時折笑顔を見せるなど、なごやかなムードで説明に聞き入り、井上監督が何かを話すシーンもあった。最後に、両監督は笑顔で握手を交わした。前日24日の試合後、藤川監督が球審に疑問を呈していた。9回先頭の渡辺諒内野手(30)がフルカウントから見送り。小林和公球審は右手を上げかけるジェスチャーをしたが、ボール判定。井上監督はベンチを出て「手、出たでしょ?」とジェスチャーについて確認を行った。ストライク・ボールのジャッジに対する抗議ではなかった。その後、阪神は1点差に詰め、2死二塁と攻めたが中野拓夢内野手(28)が厳しい内角球をストライク判定されて、ゲームセット。藤川監督は最後のストライクについて、球審の"帳尻合わせ"を疑った。「ストライク・ボールの抗議は禁止なはずなんですけど、それがあった中で最後の中野の1球というのは、正直納得いかない。審判の方はリスペクトしますけど、らしくないなと。井上監督の抗議があって、最後(ストライクを)とったと思われても仕方ないというか。タイガースサイドから見れば、そう見えてしまう抗議と最後の結果(の関係)」と指摘していた。

◆阪神佐藤輝明内野手(26)の積極走塁は実らなかった。2回先頭で、右前打で出塁。続く大山悠輔内野手(30)はフルカウントからランエンドヒット。三ゴロとなり、スタートを切っていた佐藤輝は余裕をもって二塁に到達した。ただ、三塁の高橋周平内野手(31)がボールをジャッグルして、あわてて一塁に送球したのを見て、佐藤輝は止まっていた二塁塁上から再スタートした。三塁に頭から滑り込んだが、一塁から戻ってきた送球によってアウトになった。先制機を逃す結果となった。

◆阪神の先発伊原陵人投手(24)が130キロ台のカットボールで2者連続でバットにダメージを食らわせた。2回、先頭の中日鵜飼航丞外野手(25)を内角138キロカットボールで詰まらせて遊ゴロ。打った瞬間にバットの一部が割れて打席近くに破片が飛んだ。続く木下拓哉捕手(33)も内角137キロカットボールで詰まらせて遊ゴロ。今度は根元から折れて内野に飛んでいき、スタンドからはどよめきが起きた。

◆阪神先発伊原陵人投手(24)が、全力疾走を見せたが先制のホームを踏むことはできなかった。3回表1死一塁で打席を迎えたが、バント失敗で2死一塁と自身が走者として一塁に残る結果となった。続く近本光司外野手(30)の左翼線二塁打で一気に三塁を蹴ったが、足から滑り込んだ本塁で間一髪タッチアウトとなった。直後の裏の守備では10球で3者凡退に抑えた。伊原は1月の鳴尾浜での新人合同自主トレの3000メートル走では12分32秒で新人9人中トップとなっていた。

◆阪神大山悠輔内野手(30)がアピールを実らせた。5回先頭でカウント1-2から低めに落ちるツーシームを振り、一度は「空振り」の判定が出た。しかし大山はバットをかすめたとアピール。村山球審は内野手がボール回ししていたボールをチェックし、判定をファウルに変えた。大山はその後、左前に安打を放った。

◆阪神が意表を突くスクイズで先制した。5回1死二、三塁。1ボールから三塁走者の大山悠輔内野手(30)がスタート。打席の8番坂本誠志郎捕手(31)はぎりぎりでバントの構えに変え、ストライクゾーンに来た変化球をうまく投前に転がした。一塁が空いているとはいえ8番、9番でアウトを取りにくるケース。ベンチの作戦が見事に当たった。

◆阪神先発の伊原陵人投手(24)が、先制直後に同点打を浴びた。味方打線がスクイズで1点を先制した直後の5回裏。順調に2死とするも中日山本泰寛内野手(31)に左前打で出塁を許した。続く先発松葉貴大投手(34)にも中前打を浴びて2死一、二塁のピンチを招いた。岡林勇希外野手(23)の打席で、ボールとなった4球目の外角低め123キロスライダーを坂本誠志郎捕手(31)が後ろにそらした。パスボールで二、三塁となると直後の5球目で同点の右前適時打を許した。

◆来日初スタメンの阪神の新外国人ラモン・ヘルナンデス内野手(29)が仕事を果たしてベンチに下がった。「6番三塁」で出場。5回の第2打席は四球でつないで先制点を導いた。1-1の7回は先頭打者でカーブをうまく拾って、左翼線に二塁打。来日3安打目で初の長打。ここで代走が出され、お役御免。再び左翼席の阪神ファンから大きな拍手を受けた。打撃好調のヘルナンデスを生かすため、佐藤輝明内野手(26)がプロで初めて左翼を守る変則オーダーを組んだ。

◆阪神坂本誠志郎捕手(31)が5年ぶり通算2個目の盗塁をマークした。7回1死三塁から四球で出塁。次打者の初球に二盗した。プロ10年目の坂本は20年に盗塁と盗塁死を1つずつ記録したが、盗塁も盗塁死もそれが唯一だった。なお、チーム盗塁数リーグダントツを誇る阪神は40盗塁に一番乗り。意外すぎる選手による盗塁で節目に到達した。

◆阪神先発の伊原陵人投手(24)が、自身3連勝となる4勝目の権利を得られずに降板した。プロ入り後の公式戦では初めて敵地で先発。6回で86球を投げ、4安打1四球4奪三振で1失点(自責0)と好投した。初回は2死から四球と中日カリステの左翼線二塁打で2死二、三塁のピンチを背負うも高橋周を三飛に抑えて無失点。2回から4回はいずれも3者凡退に抑えた。味方打線が1点を先制した直後の5回裏は順調に2死とするも山本に左前打、相手先発の松葉にも中前打を浴びてピンチを招いた。2死一、二塁で岡林の打席。ボールとなった4球目の外角低め123キロスライダーを坂本が後ろにそらした。パスボールで二、三塁。5球目で同点の右前適時打を許した。6回は3者凡退。直後の攻撃で1死一、三塁のチャンスで自身に代打が出て降板となった。伊原は「自分の中でコースにきっちり投げられていない感覚があったので高低、両サイドをうまく使い、投げるタイミングなども工夫して投げた。最少失点でいけたところはよかったが、先制してもらった後に2アウトから投手にヒットなどもあり失点してしまったことは反省点。先発として最低限の仕事はできた」とコメントした。

◆試合前時点で上位4チームが1ゲーム差内にひしめく中、阪神が首位を堅守した。1-1で迎えた9回無死二、三塁、坂本誠志郎捕手(31)が勝ち越し2点二塁打を放った。相手の2失策も絡んで、この回3得点で逃げ切った。ドラフト1位の伊原陵人投手(24)がビジターで初先発した。1点を先制した直後の5回裏2死二、三塁から岡林に同点打を献上。それでも6回1失点とゲームメークした。1-1の7回から登板した湯浅京己投手(25)は2イニングを無失点。国指定難病「胸椎黄色靱帯(じんたい)骨化症」から復帰後、初の回またぎで好投し、今季2勝目が転がり込んだ。投手陣全体では3日連続でイニングまたぎの投手が発生した。坂本は5回1死二、三塁でもスクイズに成功し、先制点をゲット。決勝点を含め、1人で3打点を挙げた。

◆阪神の救援陣が3連戦すべてとなる3日連続で回またぎをした。この日は湯浅京己投手(25)が国指定難病「胸椎黄色靱帯(じんたい)骨化症」からの復帰後初めて回またぎ。24日の前戦はベンチ外となっていた。1-1の7回に2番手で登板して11球で3者凡退。8回は1死二塁のピンチを招いたが、田中を遊ゴロ、上林を申告敬遠でカリステを右飛に抑えて無失点で切り抜けた。直後の9回の攻撃で味方打線が勝ち越しに成功し、復帰後初勝利を挙げた23日の同戦に続いて登板2試合連続勝利となる権利を得た。23日は石井大智投手(27)、24日は岩貞祐太投手(33)がともに2回を投げて無失点だった。

◆中日がジュニオル・マルテ投手(30)の守乱で阪神に競り負け借金は今季最多タイの5となった。9回に3番手で登板したマルテ先頭熊谷に左安で出塁させると続く木浪の投手前のバントを一塁へ悪送球(記録は犠打失策)し、無死二、三塁とピンチを広げ、坂本に勝ち越しの2点適時二塁打を許した。さらに代打島田の投手前のバントを再び一塁へ悪送球し二塁から坂本の生還も許した(記録は犠打失策)。緊迫した投手戦はマルテの2失策であっという間に差を広げられた。先発松葉貴大投手(34)が7回102球、7安打を浴びながらも1失点と踏ん張った。5回1死二、三塁から坂本のスクイズで1点を失うが、7回1死二、三塁のピンチでは代打渡辺を三振。近本を歩かせ2死満塁も中野を二ゴロに仕留め、追加点を与えなかった。「調子自体もよく、自分らしいテンポで投げられた。失点はしたが、大事なところで粘れてよかった」と話したが、援護がなかった。

◆阪神は珍しい「バントエンドラン犠打失策」で決勝点につなげた。1-1の9回無死一塁で木浪聖也内野手(30)が犠打を決めたシーン。一塁走者の熊谷敬宥内野手(29)がスタートを切る「バントエンドラン」だったが、木浪はうまく投前に転がした。すると投手のジュニオル・マルテ(30)が一塁に悪送球。無死二、三塁と一気にチャンスが拡大し、坂本誠志郎捕手(31)の勝ち越し2点二塁打が飛び出した。さらに続く、代打島田海吏外野手(29)も無死二塁から犠打。再びマルテが一塁に悪送球し、この回3点目が入った。木浪はこの日3犠打をマーク。坂本は前の打席でスクイズを決めていた。島田も含めた3人で効果的な6犠打をマークした。

◆阪神佐藤輝明内野手(26)が超スローカーブをとらえた。9回、4点を勝ち越してなおも2死一塁、左腕の福敬登(32)が投げた初球のスローカーブを中前にはじき返した。球速表示が出ないほどの遅い球だったが、冷静にノーステップに切り替えて、ボールを引きつける技ありの一打だった。これで3安打。プロで初めて「左翼」で出場したが、慣れないポジションの負担は感じさせなかった。

◆阪神湯浅京己投手(25)が、登板2試合連続で勝利投手となった。1-1の7回に2番手で登板して国指定難病「胸椎黄色靱帯(じんたい)骨化症」からの復帰後初の回またぎで2回無失点だった。24日の前戦はベンチ外となっていた。7回は11球で3者凡退。8回は1死二塁のピンチを招いたが、田中を遊ゴロ、上林を申告敬遠でカリステを右飛に抑えて無失点で切り抜けた。直後の9回の攻撃で味方打線が4点を勝ち越し。997日ぶりの白星を挙げた23日の同戦に続き、今度は2日ぶりの白星をつかんだ。

◆試合前のメンバー表交換時、責任審判の福家審判員が中日井上一樹監督(53)と阪神藤川球児監督(44)に対して、前日の判定を巡る一連の流れについて事情説明した。両監督は笑顔も見せながら説明に聞き入り、最後は笑顔で握手を交わした。前日24日の試合では9回先頭の阪神渡辺諒内野手(30)がフルカウントから低めの直球を見送り、四球を奪った。小林和公球審は右手を上げかけるジェスチャーをしたが、ボール判定。井上監督はベンチを出て、ジェスチャーについて抗議した。阪神は1点差に詰め寄り、なおも2死二塁で中野拓夢内野手(28)が際どい内角球をストライクと判定されて試合終了。藤川監督は「ストライク・ボールの抗議は禁止なはずなんですけど、それがあった中で最後の中野の1球というのは、正直納得いかない」と不満を言葉にしていた。この日の試合後、福家責任審判は「昨日の9回表、渡辺選手の時の3-2からの8球目、球審の小林は口ではボールと宣告いたしました。しかしながら、体はジェスチャーはストライクのジェスチャーをして混乱を生じたことに対して、両チーム、また野球ファンの方にご迷惑をかけましたということをお伝えさせていただきました」と説明。続けて「井上監督が我々のジャッジに戸惑いがあったので、ボールなのかストライクなのか、その確認をされたということをお伝えさせていただきました。横から見ると、藤川監督は(ストライク・ボールに)抗議をしたんじゃないかなと捉えられることは多分あると思うんです。それは我々の不手際があったから、そういう混乱が生じたということの原因だと思っております」と釈明した。最後の1球が"帳尻合わせ"のような形にもなったが、福家審判は「それは全然、別なもので。ジャッジのことはコメントできないので。そういうことはないと思います」と話した。

◆中日井上一樹監督(53)が試合前のメンバー表交換時のやりとりを試合後に明かした。「昨日、確認。ストライク、ボールを、『おい、今のボールだろ! ストライクだろ!』っていうようなことをすることに関しては、藤川監督が言うように、もうこれはもう退場ものだと。ただ、昨日の場合はこちらから見ていて、ジャッジ的な感じでストライクっていうふうに見えたから、『今のはストライクっていうジャッジだったんじゃないの』という抗議をしたよっていう。向こうの藤川監督にしてみたら、それが見えてなかった。でも俺はそれが見えていたっていうところでのすれ違いがあった。そのズレがあったっていう話」と説明した。前日試合後に藤川監督が苦言を呈している内容も把握しており「もちろんオレも藤川監督に対して『何言っとんねん!』ってこともないし、藤川監督も俺のことに対して、『いや、そんなのないでしょう』ということもないし。そこで審判の説明があったから長くなったって話だけです」とわだかまりはない。本塁付近に両監督が集まると2分を越える、審判団から説明を受けたあとは、お互いの顔をしっかり見ながらの握手だった。前日24日阪神戦の9回、先頭代打渡辺の四球判定の時、小林球審の右手があがったため、井上監督が「今、手を上げたでしょう」とベンチを出て確認に行った。9回2死二塁で中野のきわどいコースでの見逃し三振の判定にその"抗議"が影響したのではないかと阪神藤川監督が苦言を呈していた。

◆中日井上一樹監督(53)は9回に2つの悪送球などで4失点で大荒れしたジュニオル・マルテ投手(30)について、降格、再調整などはせず、1軍で再びチャンスを与える考えだ。投手前のバントをいずれも一塁へ悪送球。投手の1イニング2失策はプロ野球タイ記録。井上監督は「要はミスをした方が負けるという形の典型というか。想定していないことが起きるし。1球やったことによってうちのマルテがテンパっていたかなっていうところはあるので、そこはまたコーチ陣と一緒にケアしていく形でやっていくしかないかな」と話した。今後については「戦力としてこれからも投げてもらわないといけない投手なので、そのへんの練習だったりケアだったりはやりたい」と、1軍の戦力としては変わらず、フィールディングなどを練習で再確認していく。この日は守護神松山をベンチ外。清水も9回には投げないというように2連投していた勝利の方程式を温存。「決して2連投3連投があかんってわけではないとオレは思っていて。でもやっぱり長いシーズンを考えた時に投手コーチ、他の球団もそうなんだろうけども後々にジャブとして効いてきちゃうよっていう。終盤になってAクラスを争うとか優勝を争うって時は別としても、今の時期にそういうことをする時期じゃないよっていうことはそれは俺も分からんでもないと思っているので。今のところは(2連投までの考えに)のっとっていきたい」と、説明した。

◆中日福永裕基内野手(28)が9回1死から代打で今季初出場し左翼越え二塁打を放った。1ボール1ストライクから阪神岩崎のチェンジアップをとらえると、左翼手佐藤輝の頭上を越えていった。「打席に入る前は歓声が聞こえた。しっかり振っていこうと、シンプルにいきました。足は大丈夫です」と二塁へは足から滑り込んだ。井上一樹監督(53)も「打ったから打たないからじゃなくて二塁までの走りっぷりを見ていたら、ああ問題ないねっていう確認はできた。来週からはいろんな形で、ピースとしてもうちょっと考えてもいいのかな」と、この日の収穫にあげ、今後は出場機会を増やすことを示唆した。福永は3月18日オープン戦ソフトバンク戦(みずほペイペイドーム)の二塁守備中に右膝内側側副靱帯(じんたい)損傷し、前日24日に出場選手登録されたばかり。

◆阪神坂本誠志郎捕手(31)が2年ぶりの1試合3打点でヒーローになった。5回にスクイズで先制の1点をつかむと、1-1の9回に左中間に決勝の2点二塁打。守っても好リードで1失点に抑えた。敵地でヒーローインタビューに応えた。その後、囲み取材ではチームのこと、若い選手への思いなど、自身の考えについても語った。ヒーローインタビュー-9回の場面「また延長がよぎってる人もいっぱいいたと思いますけど、ピッチャーにもたくさん迷惑をかけているので、ちょっとでも貢献したいなという思いだけで。いいところに飛んでくれました」-初球を打った「打った瞬間に抜けていくのもわかったので、僕もホッとしました」-歓声を聞いて「いや、最後、たぶんテルがレフトフライを捕った時の方が歓声がデカかったので、もうちょっと僕にもテルぐらいの歓声くれたらいいなと思います」(大歓声)-この歓声すごいですよ「いや、まだテルの方が大きいですね」(再び大歓声)-5回はスクイズ「中日もいい投手ばかりで点を取れない。どういう作戦があるかと準備はしていました。先に点が取れて、その後すぐに追いつかれちゃって、僕のミス(捕逸)も絡んだので申し訳ないんですけど、最後それも取り返してやろうという思いでした」-捕手としては1失点「伊原が粘って投げてくれて、湯浅もずっと抑えてくれていますし、気持ちのこもったピッチングをしている。最後、ザキさんは任せてという感じで。1つでも勝ちを積み重ねていって、まだまだ先はありますけど、みんなで1つずついけたらと思います」囲み取材-目の前で木浪が3度もバント「(木浪)聖也がバントしてくれて。逆の時もありますし、僕がバントして、聖也が打ってくれるっていうのもこれまでいっぱいやった。今日たまたま逆になっただけで、2人ともそういうチームプレーというか作戦をやることがある選手なので。うちは上位打線が強力なので、そこにいい形でつながればいいし、いつも小幡とか木浪とかと7番、8番で、僕らが機能したらすごくいい流れになるなっていう話もしているので、今日2人で頑張れて、よかったなと思います」-9回はスクイズは頭にはなかった「1回やっているんで、ないかなっていう人と、1回やってるからもう1回あるかなという人と、いろんな考えがあると思う。でも監督からも『思い切って』と、その前にあったので」-初球からいこうと「そうですね。で、後ろに糸原さんも見えていたので。もし僕がダメでも糸原さんいるわと思って。ちょっと開き直っていきました」-3連戦は長い試合も多かった。投手陣がしっかり頑張って勝ち越し「この3連戦の前からだいぶ長かった(笑い)。めっちゃ野球してるなと思いました。いいことも悪いこともたくさんありましたけど、でも、そうやってみんなでまだまだ成長していくっていうことは、監督もずっとおっしゃってますし、若い投手が多い中で、僕らが足を引っ張っちゃうことも多いし、もっともっと助けてあげないといけないなと思います。一緒に成長しながら、試合を重ねるごとに強くなっていって、秋に一番大事なところで結果が出せるようなバッテリーでいたいなと思っているので。お互いいろんなコミュニケーションをとって助け合って、強い投手陣を引っ張っていけたらいいなと思います」-自身も頭を使わないといけない「それは毎回やることだし、しんどいって言ってたらキャッチャーなんかできない。でも、そのしんどいことの積み重ねで、絶対いいことがあると思っていますし、そういう経験をして成長していかないと。野球をやっている間はずっとそうやって成長していくものだと思っている。むしろそういう経験をさせていただけるので、今いる若いピッチャーもだし、ファームで頑張ってるピッチャーもいるし、若い子たちにがどんどん上に来たり、年を重ねるごとに逆に教えてくれるような、そういう風ないい巡り合わせができたらいいと思う。みんなにいろんな経験をして成長してほしいなと思ってます」-そういう気持ちになれているきっかけ「僕も今の藤川監督に現役のころ、いろいろ話してもらったり、引っ張ってもらったりしたので。それが今度、梅野さんがそういう立場になって引っ張っていて。で、今度また若いピッチャー、もちろんザキさん(岩崎)とかサダさん(岩貞)とかいるので、いろんな話をしてもらっていると思いますけど、今強かったらいいってことじゃないと思う。ずっと長いこと、このタイガースがピッチャー陣を強みにして野球をやっている。ずっとつないでいかないといけないものだと思っている。その責任は感じながら、これからもやっていきたいと思ってます」

◆中日が同点の9回にジュニオル・マルテ投手(30)が大乱調で4失点し借金は再び今季最多タイの5となつた。

◆同点の9回に登板した中日ジュニオル・マルテ投手(30)が自滅し、再び最多タイの借金5となった。無死一塁から木浪の投前バントを一塁へ悪送球。二、三塁とピンチを広げ坂本に決勝の2点適時二塁打を浴びた。さらに島田の投前バントを再び一塁へ悪送球し、決定的な3点目を失って降板。「自分にもわからない」と肩を落とした。投手の1イニング2失策はプロ野球タイ記録。井上監督は「戦力として投げてもらわないと。練習、ケアはしたい」と渋い表情だった。

◆阪神藤川球児監督(44)の前夜の疑念が解消された。試合前のメンバー表交換時、責任審判の福家審判員が中日井上一樹監督(53)と藤川監督(44)に対して、前日の判定を巡る一連の流れについて、謝罪も含めて事情説明。両監督は最後は笑顔で握手を交わした。藤川監督は試合後、メンバー交換時の話に触れ、「井上監督と審判と話をして、紛らわしいジャッジがあったことで、井上監督はストライク・ボールではなくて、ジャッジに対してということだったんですけれど、こちらのベンチではそれが何が行われてるからわからないんですという話をして」と説明。「もちろん、全然怒ってないんで。審判から紛らわしいジャッジがあって、『その(井上監督の確認行為の)あと藤川監督の方に行かなかったということも含めて、すごく申し訳ない』ということだった。自分たちの現場は、お互いリスペクトを持ってやっているという、ただそれだけなんです」と話した。前日24日の試合では9回先頭の阪神渡辺がフルカウントから低めの直球を見送り四球を選んだ。小林球審は右手を上げかけるジェスチャーをしたが、ボール判定。井上監督がジェスチャーについて抗議した。その後1点差に詰め寄り、2死二塁で中野が際どい内角球をストライクと判定され試合終了。藤川監督は「ストライク・ボールの抗議は禁止なはずなんですけど、それがあった中で最後の中野の1球というのは、正直納得いかない」と判定の"帳尻合わせ"に疑念を口していた。

◆阪神熊谷敬宥内野手(29)が最終回のビッグイニングの口火を切った。9回、先頭でカウント2-1からマルテの153キロツーシームを左前へ。「先頭が出たら流れが変わるかなと思っていたので、出ることだけ考えていました。チームも勝てたので良かった」。この日は7回、ヘルナンデスの代走で出場し、その後、三塁に入っていた。足のスペシャリストが打撃でも貢献した。

◆阪神近本光司外野手(30)が0-0の3回2死一塁から左翼へ二塁打を放った。「ランナーが伊原だったので、よく走っているなと思いながら、足速いなと思っていました」。一塁走者の先発投手・伊原が本塁でタッチアウト。先制点とはならなかったが、5月6日巨人戦(東京ドーム)以来の長打で、通算1000本安打へ残り10本とした。左翼・佐藤輝については「それは僕の仕事じゃないので」と話すにとどめた。

◆阪神木浪聖也内野手(30)が絶妙な犠打を決めた。1-1の9回無死一塁、一塁走者の熊谷がスタートを切った「バントエンドラン」で、投前にうまく転がした。処理した中日マルテが一塁に悪送球して好機が拡大。坂本の2点適時打につながった。木浪は5回には無死一、二塁から、7回にも無死二塁からバントに成功。1試合3犠打をマークした。「良かったと思います」。つなぎ役で勝利に貢献した。

◆阪神ドラフト1位伊原陵人投手(24)が6回を4安打4奪三振1失点(自責0)と好投した。公式戦では初の敵地先発。5回の失点シーンを振り返り、「2死からランナーが出て、また投手に打たれたんで。そこが1番かなと思います」と反省。この日は走塁でも全力プレー。3回2死一塁の場面、一塁走者の伊原は近本の左翼線二塁打で一気に本塁を狙ったが、間一髪でアウトになるシーンがあった。

◆阪神が中日を振り切って首位を守った。1-1の9回、坂本誠志郎捕手(31)が決勝の2点二塁打。5回に先制のスクイズ、さらに5年ぶりの盗塁に「本職」でも好リード、そして2年ぶり6度目のV打と、走攻守に獅子奮迅だった。6番以降で計5個の犠打を決める全員野球で2カードぶりの勝ち越し。2位巨人とは0・5ゲーム差、3位広島とは1差、3位DeNAとも1・5差。依然続く「混セ」の主役は譲らない。坂本は迷いを断ち切っていた。1-1の9回無死二、三塁。5回に先制スクイズを決めただけに、またスクイズを警戒されるか、その逆か。ベンチで藤川監督とも話し「ゾーンを上げて、最初からいこうか」で一致した。勝負どころでマルテはやはり、初球から勝負に来た。真ん中の154キロを迷わず振ると、打球は左中間を抜けていく。お祭り騒ぎの三塁側ベンチへ、照れくさそうに手を上げた。「先に点が取れて、その後すぐに追いつかれちゃって。僕のミス(捕逸)も絡んだので申し訳なかった。最後は、それも取り返してやろうという思いでした」陰ながらチームを支える扇の要が、たまには「攻撃の要」になってもいい。3打点は昨年4月30日の広島戦以来。7回には5年ぶり通算2個目の盗塁というおまけもついた。新人伊原を6回1失点に導き、湯浅、岩崎も好リード。走攻守で背番号12が光り輝いた。生傷が絶えず、身も心も疲弊する仕事だ。今年、心の支えは「フィリーズの下手投げ投手」こと青柳晃洋。プロ同期の盟友と、ほぼ毎日LINEでやりとり。無類のメジャー好きだけに、米球界の流行や最先端の情報を聞けるのがたまらない。たとえば配球。「初球、しっかりと真ん中に投げたら高確率でいい結果になるってデータがあるらしい。教えてくれたあいつが一番真ん中に投げないんだけど(笑い)」。9回の決勝打はまさに「初球のど真ん中」。何かの手助けになっていたかもしれない。前回3連敗した名古屋で2勝1敗とやり返した。2位巨人、3位広島、4位DeNAがすぐ後ろに迫る混セは、まだまだ続きそう。坂本はきっぱりと言った。「若い投手が多いけど、僕らが足を引っ張っちゃうことも多い。一緒に成長しながら強くなって、秋に一番大事なところで結果が出せるようなバッテリーでいたいと思っています」。ペナントレースの厳しさも、優勝の味も知る男は、どんな形でもチームに貢献する気構えでいる。【柏原誠】

◆阪神森下翔太外野手(24)がダメ押しの5点目を挙げた。9回、3点を奪い、なおも1死一、三塁。中日福のスライダーをさばき、左犠飛を放った。22日巨人戦(甲子園)で左膝に自打球を受けた影響を抱えながらも、今季32打点目をマーク。だが、この日は二ゴロ併殺打、左飛、四球、中飛、左犠飛で無安打。打率は2割9分となり「ヒットで返したかったです」と悔しさをにじませた。

◆997日ぶり白星の次は2日ぶりの白星! 阪神湯浅京己投手(25)が国指定難病「胸椎黄色靱帯(じんたい)骨化症」から復帰後初の回またぎをまっとうし、登板2試合連続で勝利投手となった。「伊原がすごくいい投球をしてくれていたので、なんとかいい流れを持ってこようと頑張りました」敵地中日戦。6回1失点と試合を作った伊原の後を受け、1-1の7回に2番手で登板した。前日24日はベンチ外で休養十分。11球で3者凡退に仕留めると、8回もマウンドに向かった。3季ぶりの回またぎ。1死二塁のピンチを招くも無失点で切り抜け「問題なく0点で抑えられたのでよかった」。直後の9回の攻撃で味方打線が4点を勝ち越し。復活星の23日同戦に続き、再び白星が転がり込んだ。この日は22年に同病を患い、同じ執刀医から手術を受けた中日福も登板。「感慨深いものがあった。1軍の舞台で一緒の試合に投げられてうれしい」。リハビリ中にアドバイスを受け、この日の練習前も会話。「(DeNA)三嶋さんも(ロッテ)岩下さんもみんな1軍でやれたら勇気をもらえる人がいる。自分がそうやってリハビリとか頑張れた。そういう存在になれたら」と力を込めた。藤川監督は状態、球数を考え、本人と話して続投を決断。「迷いはなかった。良かった」と右腕をたたえた。23日は石井、24日は岩貞と中継ぎ投手が3試合連続で回またぎ。救援陣の踏ん張りがチームを支えている。【塚本光】▽中日福(22年に胸椎黄色靱帯骨化症の手術を受け再起。湯浅との同日登板に)「僕の中の発奮材料になっている。負けていられない」

◆阪神が首位を堅守した。1-1で迎えた9回無死二、三塁、坂本誠志郎捕手(31)が勝ち越し2点二塁打で敵地バンテリンドームで初の3連戦勝ち越し。5回1死二、三塁でもスクイズに成功し、決勝点を含め1人で3打点と活躍した。投手陣はドラフト1位の伊原陵人投手(24)がビジターで初先発で6回1失点でゲームメークをすると、同点の7回から登板した湯浅京己投手(25)は2イニング無失点。国指定難病「胸椎黄色靱帯(じんたい)骨化症」から復帰後、初の回またぎで好投し、今季2勝目を手に入れた。

◆阪神藤川監督の攻撃型オーダー変更が上々の効果を発揮した。三塁が本職の4番佐藤輝をプロ5年目で初めて左翼起用。状態を上げている新助っ人ヘルナンデスを「6番三塁」で来日初先発させた。助っ人は5回無死一塁から四球を選び、先制スクイズへの流れをお膳立て。7回は先頭で攻撃の起点となる左翼線二塁打で初長打も記録し、「監督にチャンスを与えていただいて本当に感謝してます。少しずつ状態も良くなっている」と表情を緩めた。左翼手の佐藤輝は9回に福永のライナー二塁打で頭上を越される場面もあったが、直前のブライトの飛球は無難に処理。バットでも今季3度目の猛打賞で打線をけん引した。右翼経験はあったが「(左翼は)難しさもあった。これからもあるかもしれないので、しっかり練習して守れるように頑張ろうと思います」。打撃への影響については「別に特に何もないです」とサラリ受け流した。藤川監督は新オプションについて「森下のレフトもあると思いますし。1年間戦っていく上で必要と思えば、それが大きな決断でもしなければいけない」と力を込めた。筒井外野守備兼走塁コーチは「キャンプから準備を固めてきた。しっかりやり込んでいきながら、という形になる」と左翼・佐藤輝、三塁・ヘルナンデスの継続起用も示唆。V奪回への選択肢がまた増えた。【伊東大介】

◆阪神・佐藤輝明内野手(26)が試合前練習で、左翼の位置で守備練習に取り組んだ。筒井外野守備兼走塁チーフコーチから約15分ノックを受け、フェンス際やライナー性の打球を確認。23日の練習では右翼で守備練習を行っていた。16日の広島戦(甲子園)で前川が右前打を打って以降、左翼で先発出場した選手は21打席連続無安打。開幕から左翼でチーム最多の36試合に出場している前川が22日に2軍に降格するなど、チームのウイークポイントとなっている。2021、22年は主に右翼で出場していた佐藤輝。左翼で公式戦に出場すれば、プロ5年目で初となる。

◆阪神は佐藤輝明内野手(26)がプロ初の「左翼」で先発出場。試合前練習では筒井外野守備兼走塁チーフコーチから約15分間ノックを受けていた。24日には中日・高橋宏から14試合ぶりとなる12号ソロを放った主砲。バンテリンドームでは甲子園、東京ドームと並んで球場別最多の3本塁打を記録するなど好相性の舞台だ。「6番・三塁」ではラモン・ヘルナンデス内野手(29)=前メキシカンリーグ=が初先発する。D1位・伊原陵人投手(24)=NTT西日本=が先発6試合目で初のビジターのマウンドに上がる。

◆阪神・藤川球児監督(44)と中日・井上一樹監督(53)が試合前のメンバー表交換で審判団と約2分にわたって、和やかな空気で話し込んだ後、がっちり握手を交わした。前日の遺恨は残さず、笑顔も見られた。前日24日の同カードでは3-5の九回先頭での代打・渡辺の打席でフルカウントからの8球目で低め直球を見極め、渡辺は四球をもぎ取った。だが、小林球審の右手が動いていたことから、中日・井上監督がベンチを飛び出して詰め寄っていた。その後、1点差に詰め寄り、なおも2死二塁の虎の好機で、打席の中野がフルカウントから内角直球を見送ったが、今度は判定はストライクで試合終了していた。これに藤川監督が試合後、「渡辺のところで井上監督に抗議されて、ストライクボールの抗議は禁止のはずなんですけど。それがあった中で最後の中野の一球というのは正直納得いかないですね。それだったら自分たちも抗議しにいきますよね」と異議を唱えていた。

◆阪神・佐藤輝明内野手(26)が二回先頭の第1打席で右前打を放った。松葉の131キロ変化球をしぶとく弾き返した。この試合は「4番・左翼」として、今季初の外野出場。16日の広島戦(甲子園)で前川が右前打を放ってから、チームは左翼で先発出場した選手が21打席連続無安打と、ウイークポイントとなっていた場所で主砲がしっかりと結果を残した。

◆先発の阪神D1位・伊原陵人投手(24)=NTT西日本=が一回にピンチを招くも、無失点に切り抜けた。初めてのバンテリンドームのマウンドに立ったルーキー左腕。先頭の岡林を外角スライダーで空振り三振に斬ると、田中を捕邪飛に打ち取り2死。しかし、3番・上林に3試合ぶりの四球を与えて出塁を許すと、続くカリステに左翼線へ二塁打を浴びて2死二、三塁のピンチを招いた。それでも最後は高橋周を三飛に仕留めて無失点。スコアボードにゼロを刻んだ。この日、公式戦で初めて左翼で出場した佐藤輝は二塁打の打球を処理。三塁で来日初先発のヘルナンデスも三飛をがっちりとつかんだ。

◆阪神が坂本誠志郎捕手(31)のスクイズで先制に成功した。0-0の五回、先頭で打席に立った大山はカウント1-2から外角変化球をスイング。ファウルチップを捕手・木下が直接捕球したとして三振がコールされたが、大山がファウルをアピール。球審の村山がボールを確認しファウルに判定が覆った。その後、6球目の高め直球を左前にはじき返して出塁。ヘルナンデスの四球と木浪の犠打で1死二、三塁とチャンスを作り、坂本がカウント1-0からのスクイズに成功した。

◆阪神が先制直後に同点に追いつかれた。1-0の五回、D1位・伊原陵人投手(24)=NTT西日本=は簡単に2死を奪うも、8番・山本、9番・松葉に連打を浴びて2死一、二塁。さらにパスボールで走者を二、三塁に背負い、1番・岡林に右前へ同点適時打を浴びた。それでも続く田中は遊飛に打ち取って、最少失点で切り抜けた。

◆先発した阪神D1位・伊原陵人投手(24)=NTT西日本=は6回4安打1失点(自責0)。1-1の七回に代打・渡辺が送られてマウンドを降りた。一回に2死二、三塁のピンチを無失点に抑えると、二~四回は1人の走者も許さない完璧な投球。1点を先制した直後の五回に2死から下位打線につながれて同点に追いつかれるも、先発としての役割を全うした。6試合目の先発で4勝目とはならなかったが、6回を自責点0で防御率は1・45から1・25に良化した。

◆先発した阪神D1位・伊原陵人投手(24)=NTT西日本=は6回4安打1失点(自責0)。1-1の七回に代打・渡辺が送られてマウンドを降りた。一回に2死二、三塁のピンチを無失点に抑えると、二~四回は1人の走者も許さない完璧な投球。1点を先制した直後の五回に2死から下位打線につながれて同点に追いつかれるも、先発としての役割を全うした。6試合目の先発で4勝目とはならなかったが、6回を自責点0で防御率は1・45から1・25に良化した。「自分の中でコースにきっちり投げられていない感覚があったので高低、両サイドを上手く使い、投げるタイミングなども工夫して投げました。最小失点で行けたところはよかったですが、先制してもらった後に2アウトから投手にヒットなどもあり失点してしまったことは反省点です。先発として最低限の仕事はできたと思います」とコメントした。

◆1-1の七回から2番手で登板した阪神・湯浅京己投手(25)が2回を無失点に抑えてガッツポーズを見せた。七回は先頭の代打・板山を外角直球で見逃し三振に斬ると、続く木下は遊ゴロ。最後は山本から高め150キロ直球で空振り三振を奪った。すると、シーズンでは2022年9月21日の広島戦(甲子園)以来、977日ぶりとなる自身3度目の2イニング目のマウンドへ。八回、先頭の代打・川越に右前打で出塁され、犠打で1死二塁とピンチを背負うも、田中を遊ゴロ、カリステを右飛に仕留めて無失点で切り抜けた。23日の同戦で997日ぶりに勝利を挙げた湯浅。国指定の難病「胸椎黄色靭帯(じんたい)骨化症」から復帰した右腕は、ここまで11試合に登板して無失点。虎のブルペン陣の中で欠かせないピースになっている。

◆阪神が5-1で中日に勝利し、カード勝ち越しを決めた。1-1の九回、先頭の熊谷が左前打で出塁すると、続く木浪の犠打を中日・マルテ が一塁へ悪送球。無死二、三塁から坂本が左中間を破る勝ち越しの2点二塁打を放った。なおも2死二塁のチャンスで、島田の犠打をマルテがまたしても一塁悪送球。森下の犠飛も生まれ、この回一挙4得点を挙げた。先発したD1位・伊原(NTT西日本)は6回4安打1失点(自責0)と好投を見せた。同点の七回から2番手で登板した湯浅が、2022年9月21日の広島戦(甲子園)以来、977日ぶり自身3度目となる回またぎで2回を無失点。5月23日に続いて、今季2勝目を挙げた。九回は岩崎が得点圏に走者を背負うも無失点で締めた。佐藤輝がプロ初の「左翼」で先発。3度の守備機会をこなし、バットでは3日のヤクルト戦(甲子園)以来、今季3度目となる猛打賞を記録した。

◆三回、阪神・近本光司の左翼線二塁打で本塁突入するも憤死した一走伊原陵人=バンテリンドーム(撮影・林俊志)

◆阪神がカード勝ち越しで首位堅持。九回無死二、三塁、坂本誠志郎捕手(31)の2点二塁打で勝ち越した。さらに敵失と犠飛で、この回4点を挙げた。坂本は五回1死一、三塁で投前スクイズを決め、3打点。

◆阪神がカード勝ち越しで首位堅持。九回無死二、三塁、坂本誠志郎捕手(31)の2点二塁打で勝ち越した。さらに敵失と犠飛で、この回4点を挙げた。坂本は五回1死一、三塁で投前スクイズを決め、3打点。チームは5犠打を記録した。七回から今季初の複数イニングを投げた湯浅京己投手(25)が2勝目。D1位・伊原陵人投手(24)=NTT西日本=は4勝目を逃したものの6回1失点(自責0)。佐藤輝明内野手(26)が初の「左翼」に入り、3安打。ラモン・ヘルナンデス内野手(29)が「6番・三塁」で初めてスタメンに名を連ねた。

◆審判団が試合前の中日・井上一樹監督(53)、阪神・藤川球児監督(44)のメンバー表交換時に、9回戦のプレーについて説明する場面があった。24日の試合の九回、球審の紛らわしいジェスチャーについて、井上監督が〝抗議〟。最後は中野拓夢内野手(28)が自信を持って見送った投球をストライクと判定されたことについて、藤川監督が疑問を呈していた。10回戦の責任審判の福家英登氏(45)が試合後、報道陣の取材に対応した。ーー試合前、両監督に「はい。私の方から両監督にお伝えさせていただいたのは、昨日の九回表、渡辺選手の時の3―2からの8球目、球審の小林は口ではボールと宣告いたしました。しかしながら、体はジェスチャーはストライクのジェスチャーをして混乱を生じたことに対して、両チーム、また野球ファンの方にご迷惑をかけましたということをお伝えさせていただきました」(さらに続けて)「その後、井上監督が我々のジャッジに戸惑いがあったので、その確認、どちらなんだと。もちろん、ストライク、ボールに関して異議申し立てはできないと野球規則に書いてあるので、それは両監督ともご存じだったということで、横から見ると藤川監督は抗議をしたんじゃないかなと捉えられることは多分あると思うんです。それは結局、我々の不手際があったから、そういう混乱が生じたっていうことの原因だと思っております。それだけです」ーー両監督からは「両監督のコメントは両監督に聞いていただいたら結構だと思うんですけど。我々が伝えたのは、そのことを伝えさせていただきました」ーーメンバー表交換の場は和やかに見えた「そうですね。最終的には今日も頑張っていきましょうって。野球をより良いモノという、その声をいただいたので我々は救われてる部分はございます」ーー渡辺選手の判定が中野選手につながった「それは全然、別なもので。ジャッジのことはコメントできないので。そういうことはないと思います」

◆近鉄、西武で主砲として465本塁打&2452安打をマークし、西武コーチ時代には清原和博らを育てたサンケイスポーツ専属評論家・土井正博氏(81)は3犠打を決めた阪神・木浪聖也内野手(30)について言及した。坂本のスクイズを含めて、送りバントをほぼファーストストライクで決めた阪神の攻撃は見事だった。サインが出て、すぐに決めるから攻撃のリズムもよくなる。打線もつながる。バントにも打席での基本がある。意外にできていない選手が多い。相撲の四股を踏むような股割りの理想的な形が常にできているのが木浪。3犠打は見事だった。五回無死一、二塁、相手が最も警戒するケースでも簡単に決めているように見えるのは基本ができているからだ。派手さはないが、こういう選手は打線に絶対に必要。守備の部分でライバルに劣る部分があるかもしれないが、使い続けてもらいたい。今季の阪神はバントを多用している。51犠打は12球団で屈指の多さだ。そこに藤川監督の意図が見える。阪神の投手陣は先発、救援にコマがそろっており、盤石だ。ということは、1点でも先に取れれば、一気に有利になれる。藤川監督がチーム力を正確に把握しているからこその采配だ。チームに適した作戦だから、継続してもらいたい。

◆責任審判を務めた福家英登審判員(45)が、24日の試合の小林和公球審(58)のジャッジについて説明した。九回、先頭の阪神・渡辺が見送った低めの直球を小林球審はボールと判定して四球。しかし、腕を上げたため、中日・井上一樹監督(53)がベンチを飛び出して抗議した。その後、2死二塁の場面で中野へのきわどい内角直球をストライク判定し、見逃し三振でゲームセット。試合後に阪神・藤川球児監督(44)が「渡辺のところで井上監督に抗議されて、ストライクボールの抗議は禁止のはずなんですけど。それがあった中で最後の中野の一球というのは正直納得いかないですね。それだったら自分たちも抗議しにいきますよね」とメディアを通じて審判団に苦言を呈していた。この日の試合では、メンバー表の交換の際に両監督と審判団が約2分間にわたって話し合い。福家審判員は試合後に取材に応じ、「球審の小林は口ではボールと宣告いたしました。しかしながらストライクのジェスチャーをして混乱が生じたことに対して、両チーム、また野球ファンの方にご迷惑をかけましたということを伝えさせていただきました」と会話の内容を明かした。また、藤川監督の抗議については「ストライク、ボールに関して異議申し立てはできないと野球規則に書いてあるので、それは両監督ともご存じだったということで。横から見ると藤川監督は抗議をしたんじゃないかなと捉えられることは多分あると思う。それは結局、我々の不手際があったから、そういう混乱が生じたっということが原因だと思っております」と審判団の非を認めた。

◆右膝のけがで出遅れていた中日の福永が九回に代打で今季初出場。岩崎の甘く入ったチェンジアップを捉えて左越え二塁打とした。久々の本拠地でファンに元気な姿を披露し「すごく歓声が聞こえてうれしかった」と笑みを広げた。昨季111試合で打率3割6厘。今季は中軸候補と期待されたが、オープン戦中に負傷離脱した。まだ患部の状態は万全ではなく、しばらくは代打起用となる方針。「状態はぼちぼち。言われたポジションでチームに貢献したい」と意気込んだ。

◆阪神がカード勝ち越しで首位堅持。九回無死二、三塁、坂本誠志郎捕手(31)の2点二塁打で勝ち越した。さらに敵失と犠飛で、この回4点を挙げた。坂本は五回1死一、三塁で投前スクイズを決め、3打点。チームは5犠打を記録した。七回から今季初の複数イニングを投げた湯浅京己投手(25)が2勝目。D1位・伊原陵人投手(24)=NTT西日本=は4勝目を逃したものの、6回1失点(自責0)。打線は佐藤輝明内野手(26)が初の「左翼」に入り、ラモン・ヘルナンデス内野手(29)が「6番・三塁」で初めてスタメンに名を連ねた。

◆先発した阪神D1位・伊原陵人投手(24)=NTT西日本=は4勝目とはならなかったが、6回1失点と好投した。二―四回はパーフェクト。1点を先制した直後の五回に2死から下位打線の連打で同点に追いつかれたが、勝ち越しを許さず救援陣につないだ。「うまく高低、左右を使いながら、イニングごとに修正できた。(一回は)3人でいくのが一番よかったが、無駄な四球から始まったのでそこだけは次回修正したい」。防御率1・25と安定感を誇るドライチが、勝利を呼び込んだ。

◆阪神・近本光司外野手(30)が今季最長の10試合連続出塁、通算1000安打まで残り10本とした。0-0の三回2死一塁で左翼線へ二塁打。一走のD1位・伊原陵人投手(24)=NTT西日本=は惜しくも本塁憤死となったが「よく走ってるな、足速いなと思ってました」と走力に目を見開いた。

◆「6番・三塁」で来日初先発した阪神ラモン・ヘルナンデス内野手(29)は1安打1四球で起用に応えた。「監督にチャンスを与えていただいて本当に感謝している。チームのためにしっかり準備をしてきたので、結果が出て良かった」。五回に四球を選んで先制点につなげると、七回先頭では左翼線への二塁打を放ち、初長打で好機を演出。「状態を保ちながらやりたい」と手応えをにじませた。

◆スーパーサブの一打が勝ち越し点を呼び込んだ。阪神・熊谷敬宥内野手(29)はスタメンのラモン・ヘルナンデス内野手(29)の代走から途中出場すると、九回は「先頭で出たら流れが変わるかなと思っていたので、出ることだけ考えた」と左前打で出塁。その後、坂本誠志郎捕手(31)の適時打で決勝のホームを踏んだ。守備や代走での出場が続く中、バットでも役目を果たし、「結果を出さないと試合には出られない。そこはまだまだアピールしていかないといけないと思うので、その気持ちだけは忘れずにやっていました」と胸を張った。

◆阪神・森下翔太外野手(24)は4-1とリードした九回1死一、三塁で左犠飛でダメ押し。佐藤輝明内野手(26)に次ぐリーグ単独2位の32打点目を挙げたが「ヒットで返したかったです」と自分に厳しかった。一回1死一塁では二ゴロ併殺など3打数無安打で2試合連続ノーヒットとなった。

◆3試合連続でスタメン出場した阪神・木浪聖也内野手(30)は五回、七回、九回と1試合3犠打を記録。五回、九回は得点につなげて勝利に貢献し、「しっかり決められてよかったです」とうなずいた。今季は16個の中野に続くチーム2位の6犠打。12球団トップのチーム51犠打を支え、打つだけでなく小技でも打線をつなぐ。

◆定位置だったホットコーナーの後ろから、内野手の背中を眺めた。阪神・佐藤輝明内野手(26)が公式戦で初めての左翼守備。計3度の守備機会を危なげなくこなした。「難しさもありましたが、今後もあるかもしれないのでしっかり練習して、守れるように頑張ってやります」試合前練習から左翼での守備練習に取り組んだ。筒井外野守備兼走塁チーフコーチから約15分ノックを受け、フェンス際やライナー性の打球を確認。一回にカリステの左翼線への二塁打をさばき、九回にはこの日唯一のフライとなった代打・ブライトの左飛を捕球した。首位を走る虎にとって左翼はウイークポイントとなっていた。16日の広島戦(甲子園)で前川が右前打を打って以降、左翼で先発出場した選手は21打席連続無安打だったが、この日「4番・左翼」で出場した主砲が二回の第1打席に右前に運び、いきなり起用に応えた。「(打撃は)特に何も変わりないです」。六回と九回に中前打を放ち、今季3度目の猛打賞で打率・294まで上昇した。代わりに三塁に入ったヘルナンデスが2打数1安打で〝代役〟の任務を完了。藤川監督は佐藤輝の今後の守備位置について「レフトもライトもあります」と説明し、「森下のレフトもあると思いますし。チームが活性化していくためのところですから」と森下の左翼起用も示唆した。ルーキーイヤーの2021、22年は主に右翼で出場していた背番号8。三塁でも外野でも4番にどっしりと座り、チームを支えていく。(渡辺洋次)

◆またまた名古屋でアツアツなピッチングだ。阪神・湯浅京己投手(25)が同点の七回から3年ぶりのイニングまたぎとなる2回を1安打無失点。打線が九回に4点を奪い、登板2試合連続、中1日で今季2勝目をゲットした。「(先発した)伊原がすごくいい投球をしてくれていたので、何とかいい流れを持ってこようと思って頑張った。0点で抑えられてよかった」1-1の七回。まずは代打・板山を149キロ直球で見逃し三振。続く木下を遊ゴロに抑えると、山本を150キロ直球でバットに空を切らせた。八回は先頭の代打・川越に右前打を許すも、2死一、二塁からカリステをスライダーで右飛に仕留めると、ガッツポーズだ。湯浅の胸がさらに熱くなったのは、リードを3点に広げた九回無死一塁でマウンドに上がった中日・福の姿だった。「ベンチで見て感慨深いものがあった。1軍の舞台でいっしょの試合で投げられて、すごくうれしかった」国指定の難病「黄色靱帯(じんたい)骨化症」を患い、昨年8月に手術を受けた際、同じ病気を克服した経験を持つ左腕に悩みを打ち明けた。食事やトレーニング法を細かく伝授してくれた。「きょうの練習前にも、時間はちょっとしかなかったけど、いろんな話をしました」そして、2人が同じマウンドに立った。1年前には想像できなかった。「中学校のチームメートが来てくれました」。故郷の三重・尾鷲市から応援にかけつけた友人の声援も励みとなった。振り返れば、684日ぶりに1軍登板を果たした4月29日も、997日ぶりの勝利投手となった今月23日も、舞台はバンテリンドームだった。「自分は勇気をもらいながらリハビリとかも頑張れた。自分もそういう存在になれたら」同じ病と戦った、今季はまだ1軍登板のないDeNA・三嶋、ロッテ・岩下の名前を挙げ、名古屋から〝激アツエール〟を送った。これで復帰後11試合連続無失点。湯浅の復活ショーは、まだ開演したばかりだ。(三木建次)

◆虎の女房役が大仕事!! 阪神は中日戦に5-1で競り勝ち、単独首位を守った。1-1の九回無死二、三塁から坂本誠志郎捕手(31)が左中間を破る決勝の2点二塁打。五回の先制スクイズと合わせ、1試合3打点で勝利に貢献した。敗れると、一気に3位まで転落する大事な試合。頼れる扇の要がチームを救った。迷うことなくバットを振り抜いた。大歓声に乗って、白球は左中間を突き破る。藤川監督の意思を頼もしい女房役が体現し、首位を堅守。決勝打に坂本は二塁ベース上でグッと右手を突き上げた。「延長が(脳裏を)よぎっている人もいっぱいいたと思いますけど、ピッチャーにもたくさん迷惑をかけているので、ちょっとでも貢献したいなという思いだけで。いいところに飛んでくれました」1-1で迎えた九回無死二、三塁の絶好機だった。マルテ(前フィリーズ)の初球、154キロを一閃。決勝の2点二塁打で試合を決めた。「監督から『思い切り』という話もあった。後ろに糸原さんも見えていたので、開き直っていきました」打席に入る前、藤川監督に声をかけられた。「『ゾーンを上げて最初からいこうか』という話をしながら。迷わないようにと思いました」。初球で決めたV打に指揮官は「勝負強かった」。五回1死二、三塁では先制のスクイズを成功し、今季自己最多の3打点で初のヒーローとなった。最強投手陣を引っ張る女房役としての使命がある。それは藤川監督から受け継いだ経験を若い世代に伝えていくこと。

◆笑うしかない、決着のつき方だった。中日・マルテが木浪と島田の送りバントの処理で、一塁悪送球を2本。よく、外野手がトンネルすると後ろを守る人がいないから失点に直結する-といわれる。投手だって、人が捕れないところに投げたら、そうなるわな。プレーを見ればわかる。明らかに守備練習が不足している。リリーフは毎試合、少なくともスタンバイするから大変だろう...などと、おからだ大切に、練習を控えさせているためか。ただ投げればいい、というわけがない。せめて守備の動作だけでも、反復させることだ。それは決して、ひとごとではない。投手陣でしっかりつなぐチームが増えて、締まったゲームも多くなっているだけに、なおさら細かいプレーが大事。また、投手に限った話でもない。最近は、焦って悪送球する野手が増えている。野球はキャッチボールから始まるもの。初歩の初歩、基本中の基本を、見つめ直すべきではないかな。(サンケイスポーツ専属評論家)

◆読者のみなさまのおかげで、「虎のソナタ」も7000回という、とんでもない節目を迎えました。「7000」ですよ、「7000」! 「感謝」の2文字しか頭に浮かびません。スタートしたのは2004年10月27日付。21年も昔のこと。当時の題字は今と微妙に違っている。「こちらサンスポ編集局」というサブタイトルが最初。組織改編により現在では「こちらサンスポメディア局」。まさか、サンスポから「編集局」が消えるとは。7000回も続けていれば、時代は変わるということか。いまだになじめていないですが。バンテリンドームでサンスポのトラ番部隊を率いていたのはサブキャップ・原田遼太郎。21年前は...「小学4年生です」10歳の小学生が、サンスポの現場でリーダーとして奮闘している-。7000回とは、それだけ長いのです。「僕の小学校では、〝2分の1成人式〟というのがあって...」なに? 2分の1成人式?「20歳の半分ということです。その式典で、将来の夢を書かされました。僕は『スポーツに携わる仕事をしたい』と書いたんですよ。どうです、夢を果たしているでしょ!」広島で生まれ育ち、市民球場でカープの試合をよく観戦して、スポーツの楽しさを知った少年が、今ではスポーツの面白さを伝える立場に。

◆『押しても駄目なら引いてみな』。わが阪神は二回、一走の佐藤輝が三塁を欲張り、チャンスをつぶす。さらには三回2死一塁で近本のレフトへのツーベースで、走者が投手の伊原なのに、やや強引に本塁を狙わせ、タッチアウト!!(紙一重だったんだけどね~)それを見た球児監督は、『動』になっている攻撃を、采配で『静』の攻撃へと変えていったのだ!!それが五回、先制点となる坂本のスクイズや、九回に4得点を呼び込む、中日・マルテの守りのミスを誘うバントだったのだ。九回、マルテの独り相撲があったとはいえ、本日6犠打(バント5、犠飛1)と、こーいうことの積み重ねが、猛虎V奪還には大切なのだと感じた1勝でした。本日のMVPはもちろん、スクイズに2点タイムリーツーベースで、3打点&1失点の好リードの坂本だけど、サードからレフトになっても平常心で3安打した佐藤輝、初スタメンなのに落ち着いて2出塁したヘルナンデス、九回に力まず決勝点の口火を切るヒットを放った伏兵熊谷、そして、3つのバントを冷静に決めた木浪!猛虎ナインは『静』の采配に応えてくれたのだ!!

<セ・リーグ順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差残試合 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(-)
阪神
25192 0.568
(↑0.01)
-
(-)
97160
(+5)
114
(+1)
25
(-)
40
(+1)
0.247
(↑0.002
2.210
(↑0.05)
2
(1↑)
巨人
26211 0.553
(↑0.01)
0.5
(-)
95150
(+5)
151
(+2)
35
(-)
21
(+2)
0.243
(-)
2.730
(↑0.04)
3
(1↑)
広島
23192 0.548
(↑0.011)
1
(-)
99145
(+3)
114
(-)
21
(-)
15
(+1)
0.244
(-)
2.310
(↑0.05)
4
(2↓)
DeNA
22193 0.537
(↓0.013)
1.5
(↓1)
99150
(-)
121
(+3)
19
(-)
25
(-)
0.236
(↓0.001)
2.460
(↑0.05)
5
(-)
中日
19242 0.442
(↓0.01)
5.5
(↓1)
9899
(+1)
142
(+5)
19
(-)
24
(-)
0.210
(↓0.001)
2.930
(↑0.02)
6
(-)
ヤクルト
13262 0.333
(↓0.009)
9.5
(↓1)
102111
(+2)
173
(+5)
17
(-)
12
(+1)
0.223
(↑0.001)
3.700
(↓0.02)