1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 | 安 | 失 | 本 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
広島 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 4 | 1 | 0 |
阪神 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 2 | 1 | 0 | X | 3 | 9 | 2 | 0 |
勝利投手:伊原 陵人(3勝1敗0S) (セーブ:石井 大智(0勝0敗1S)) 敗戦投手:玉村 昇悟(1勝4敗0S) |

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◆阪神は1点を追う6回裏、森下の適時打などで2点を挙げ、逆転に成功する。続く7回には、2死一三塁から中野の適時打が飛び出し、貴重な追加点を奪った。投げては、先発・伊原が6回1失点の好投で今季3勝目。敗れた広島は、打線が4安打1得点と振るわなかった。
◆前日17日に首位奪回した阪神は、高寺望夢内野手(22)が「6番左翼」で15日DeNA戦(横浜)以来、今季3度目の先発となった。13日DeNA戦(ハードオフ新潟)では「6番遊撃」で先発し、9回2からプロ初本塁打となる起死回生の同点ソロを放っていた。また、前日17日に先制打を放った木浪聖也内野手(30)は「8番遊撃」で先発となった。ルーキー伊原陵人投手(24)は、11日中日戦(甲子園)からの連勝で3勝目を目指す。
◆前日17日の敗戦で首位を明け渡した広島が、阪神との9回戦に臨む。前日、阪神先発の大竹耕太郎投手(29)に一矢報いる来日1号2ランを放ったエレフリス・モンテロ内野手(26)が6番に上がり、小園海斗内野手(24)と打順が入れ替わった。この日の相手先発の伊原陵人投手(24)には4月20日の対戦(甲子園)でプロ初勝利を献上しており、リベンジに挑む。
◆注目のメンバー交換で"手打ち"が行われた。阪神藤川球児監督(44)と広島新井貴浩監督(48)がホームベースに歩み寄ると、場内がざわつき始めた。衆人環視の中、視線を合わせて両監督が握手をすると、大きなどよめきが起こった。最後に2人で息を合わせるように同時に一礼して、相撲の立ち会いのように同じタイミングで輪を解くと、場内から笑いが起きた。首位攻防の3連戦は因縁の対決でもあった。4月20日、甲子園での前回対戦で、広島岡本駿投手(22)が阪神坂本誠志郎捕手(31)に頭部死球。藤川監督がベンチを血相を変えて飛び出し、両軍入り乱れて、あわや乱闘の騒ぎになった。審判は警告試合を宣告。岡本は危険球退場。今カードはそれ以来の対戦だった。初戦、2戦目とメンバー表交換時に両監督は視線を合わさず、笑顔も会話もなし。初戦は新井監督が、2戦目は応戦するように藤川監督が先んじてベンチに戻り「冷戦」ムードが最高潮になっていた。ただ対戦もメンバー交換も1勝1敗(?)で迎えた3戦目は、明らかに雰囲気が変わった。互いがしっかりと向き合った上で、健闘を誓い合う、本来の形に戻った。ここまでの経緯を踏まえた空気感は、ファンにも完全に伝わっていた。
◆試合前から、甲子園に大きな拍手がわき起こった。広島新井貴浩監督(48)と阪神藤川球児監督(44)が、ついに互いに目を合わせてメンバー交換を行った。三塁側ベンチを出るときから、新井監督の視線はしっかり前を向いていた。前日17日はメンバー交換の間中、ずっと視線を下げたままだったが、この日は顔を合わせて帽子を取り合い、握手。その時点で、内外野スタンドから拍手が起きた。さらに審判団へのあいさつを終えたあとも、両監督は目を合わせて再度握手をしてそれぞれのベンチに戻った。4月20日の対戦で、広島岡本駿投手(22)が阪神坂本誠志郎捕手(31)に頭部死球。これに藤川監督がベンチから血相を変えて飛び出した。審判は警告試合を宣告し、岡本は危険球退場。16日に岡本が石原貴規捕手(27)とともに坂本の元を訪れ、謝罪。坂本は笑顔で応じた。選手同士はすでに和解も、監督同士は"冷戦"を継続? していた。その"冷戦"にも終止符が打たれた。
◆阪神木浪聖也内野手(30)がワンプレーで2回も本塁打を逃した?3回の先頭。玉村昇悟投手(24)の緩いカーブをジャストミート。打った瞬間、右翼フェンスオーバーかと思われる会心の当たりだったが、逆風となる「浜風」に押し戻され、フェンス直撃。惜しくも今季1号とはいかなかった。ただ、強くはね返ったクッションボールが左中間を転々とする間に、木浪はダイヤモンドを快走。今度はランニング本塁打の期待が膨らみ、ファンから大声援が飛んだ。無死だったこともあり、三塁ベースを回ったところでベースコーチに止められ、ストップ。場内からは2度も歓声とため息が繰り返された。
◆阪神近本光司外野手(30)に、不運な形で今季初失策がついた4回1死一塁からサンドロ・ファビアン外野手(27)の詰まった当たりが中前に落ちた。一塁走者の菊池涼介内野手(35)は思い切って三塁へ。中堅近本は素早く、ノーカットでワンバウンド送球した。好返球とみられたが、ちょうど走路と重なり、菊池に送球が当たって、大きくそれた。その間に打者走者が二塁に進塁。記録は近本の「悪送球」となった。
◆阪神森下翔太外野手(24)が好守で先発伊原陵人投手(24)を援護した。1点を先制された直後の4回2死三塁。広島坂倉が右翼へ大飛球を放つと、森下が懸命に追いかけ、フェンスにぶつかりながら捕球。追加点を許さなかったファインプレーに球場は歓声に包まれた。ピンチを最少失点に抑えきることができた伊原。同学年の激アツプレーへの謝意をグラブでのタッチにこめて、ベンチへ迎え入れた。
◆阪神高寺望夢外野手(22)が慣れない甲子園の外野を走り回った。本職は遊撃などの内野手。野球を始めてから外野を一切守ったことがなかったというが、この春から出場機会を増やすために外野にも挑戦していた。1軍では2度目の「左翼」でのスタメンだったが、甲子園では初めて。浜風が強く吹きつける甲子園の外野は、難易度が高いとされるが、3回までに4本の飛球をさばいた。5回には定位置より前のポジションから、矢野雅哉内野手(26)の後方への飛球に素早く反応。体を半身にしながらのランニングキャッチで観客を沸かせた。
◆阪神前川右京外野手が22歳の誕生日を迎えた。スタメンは譲ったが、6回に代打で登場すると、球場全体からハッピーバースデーの大合唱が起きた。歌が終わるまで広島玉村昇悟投手(24)が投球動作に入らず、待ってくれたことに気付くと、前川は少し申し訳なさそうにして、仕切り直した。「相手バッテリーが待ってくれてありがたかった」。その後、しっかりと一、二塁間を抜く安打を放ち、役割を果たした。代走が送られ、ベンチに下がると、ナインから祝福された。
◆阪神ドラフト1位ルーキー伊原陵人投手(24)が6回4安打1失点で降板した。4回1死から菊池、ファビアンの連打と味方の失策で1死二、三塁のピンチを背負い、末包に先制犠飛。直後は坂倉に右翼への大飛球を許したが、森下のフェンス激突の好捕で追加点を許さなかった。6回は2死三塁のピンチを背負い、末包の打席で三走・中村奨がホームスチールを敢行。動揺することなく、捕手へ球を投じ本盗を阻止した。6回の打席で代打前川を送られたが、同回1死二塁から中野の左前打と敵失で同点。続く森下の左前打で勝ち越し、3勝目の権利も手に入れた。
◆阪神が広島の"奇襲"を落ち着いて阻止した。広島1点リードの6回2死三塁、打席には得点圏打率4割超えの広島末包。阪神の先発伊原陵人投手(24)が2球目を投じた瞬間、三塁走者の中村奨がスタート。意表を突く攻撃となったが、ボールを受けた坂本誠志郎捕手(31)が落ち着いてベースの手前でタッチ。本塁生還を阻止した。直後の阪神の6回の攻撃で代打前川の右前打から好機をつくり、1死二塁で中野が左前打を放ち敵失がからみ同点。さらに続く森下が左前適時打で続き一気に逆転。ワンプレーで球場の雰囲気を変えた。
◆広島が本盗に失敗した。1-0で迎えた6回、先頭の中村奨成外野手(25)が左前打で出塁。犠打などで進塁し、2死三塁で4番末包昇大外野手(28)の1ボールからの2球目で三塁走者の中村奨がスタートを切った。だが阪神バッテリーが冷静に対処。わずかにボールゾーンに外し、中村奨はタッチアウト。2点目奪取はならなかった。広島赤松外野守備走塁コーチ(6回の本盗失敗に)「アウトになったことがミスというなら、ミスですね。けれど積極的に次の塁を狙うとか、スキがあったらいこうと言っていた。行動に移してくれたことはマイナスではなかったです」
◆阪神打線が6回につながった。ラッキーな形で追いつき、逆転した。0-1の6回、先頭で代打に出た前川右京外野手(22)が誕生日を飾る右前打で出塁。1死二塁とし、中野拓夢内野手(28)がきれいに三遊間を割った。左翼のサンドロ・ファビアン外野手(27)が前進守備だったため、代走の二塁走者・熊谷敬宥内野手(29)は1度、三塁ストップ。ファビアンが打球をつかみ損ねたのを見た三塁コーチの田中コーチが即座に腕を回し、熊谷が再び走り出した。失策が記録され、中野に打点はつかなかった。さらに1死二塁から森下翔太外野手(24)の左前打で逆転に成功。佐藤輝明内野手(26)が右前打でつないだところで、玉村昇悟投手(24)をKOした。この回代打を出された伊原陵人投手(24)の黒星の可能性を消した上、勝ち投手の権利も生じた。
◆阪神木浪聖也内野手(30)が久しぶりの失策を犯した。8回1死から野間峻祥外野手(32)の三遊間への打球に反応。俊足の野間を刺すために、前に切り込んでバウンドを合わせにいったが、中途半端なバウンドになり、後逸した。失策は今季6個目。4月19日の広島戦(甲子園)で1試合3個の失策を記録し、次の試合からスタメンを外れた。15日のDeNA戦(横浜)で20試合ぶりにスタメン復帰。この日まで4試合連続で切れのいい守備を見せていたが、1カ月前の「悪夢」以来の悔しいEマークとなった。
◆首位阪神が逆転勝ちで広島に連勝を飾り、ゲーム差を1・5に広げた。今カードは16日の第1戦は2-4で黒星を喫し首位陥落。17日の第2戦は5-2で白星を挙げ首位に返り咲き、この日の白星で2カードぶりの勝ち越しを決めた。先発のルーキー伊原陵人投手(24)が6回4安打1失点で3勝目。キレのある直球にカーブやスライダーを織り交ぜ、3回まで無安打に抑える完全投球。4回1死から菊池、ファビアンに連打を浴びて2死二、三塁から末包に先制犠飛を許すも、6回降板直後に味方が逆手。ベンチの伊原も手をたたいて喜んだ。2回無死二塁、3回無死三塁の好機で無得点に終わった打線だったが、6回に一気に逆転。先頭の代打前川が右前打で出塁すると、1死二塁から中野拓夢内野手(28)が左前打。これを左翼手ファビアンがファンブルし、その間に代走で出ていた二塁走者の熊谷が生還。同点に追いつきなおも1死二塁で、森下翔太外野手(24)が左前適時打で続き勝ち越した。さらに7回2死二、三塁で中野が二塁への内野安打を放ち1点を追加。首位攻防3連戦で2勝1敗と勝利した。阪神は20日から巨人3連戦(甲子園)。本拠地で上位との対決が続く。
◆広島の首位奪還はならなかった。4月20日に甲子園でプロ初勝利を献上した阪神ドラフト1位・伊原陵人投手(24)との再戦。4回1死まで完全に抑えられたが、菊池涼介内野手(35)が中前へチーム初安打を放った。サンドロ・ファビアン外野手(27)も中前打で続き、敵失もからんで1死二、三塁の絶好機を迎えた。ここで末包昇大外野手(28)が右犠飛を放ち、三塁走者の菊池を先制のホームに迎え入れた。だが、6回2死三塁では三塁走者の中村奨成外野手(25)が本盗を狙うも、間一髪でタッチアウト。追加点を奪えなかった。その裏、先発の玉村昇悟投手(24)が阪神打線につかまった。1死二塁から3連打を浴び、左翼のサンドロ・ファビアン外野手(27)の拙守もからんで2失点。阪神に逆転を許した。勝てば1日で首位返り咲きだったが、2カードぶりのカード負け越しとなった。
◆広島新井貴浩監督(48)が試合後、阪神との死球騒動について言及した。4月20日、甲子園での前回対戦で広島岡本駿投手(22)が阪神坂本誠志郎捕手(31)に頭部死球。藤川監督がベンチから血相を変えて飛び出し、両軍入り乱れて、あわや乱闘の騒ぎになった。審判は警告試合を宣告。岡本は危険球退場となった。この3連戦は試合前のメンバー表交換時の両監督の表情にも注目が集まっていた。試合後、新井監督は真っすぐな言葉で言及した。「前回ああいうことがあって、こちらとしては謝罪をしてたんだけど、ああいうふうに来られたら、自分もチームを預かるものとして、また年長者として、もう腹に据えかねるものがあったので。ルーキーで外の変化球がすっぽ抜けてしまったんで。それについても謝罪はしてたんですけどね」続けて、この件については「いつまでもとは思ってなかったですしね。やっぱり私が取った行動に対して不快に思われたファンの方とか、また心配していただいたファンの方には申し訳ないと思っています。もうこれで終わりです」と締めた。16日の第1戦の試合前には、岡本が石原貴規捕手(27)とともに練習中の坂本の元を訪れ、謝罪。坂本は笑顔で応じていた。
◆広島新井貴浩監督(48)が試合後、阪神との死球騒動について言及した。4月20日、甲子園での前回対戦で広島岡本駿投手(22)が阪神坂本誠志郎捕手(31)に頭部死球。藤川監督がベンチから血相を変えて飛び出し、両軍入り乱れて、あわや乱闘の騒ぎになった。審判は警告試合を宣告。岡本は危険球退場となった。この3連戦は、試合前のメンバー表交換時の両監督の表情にも注目が集まっていた。試合後、新井監督は真っすぐな言葉で言及した。「前回ああいうことがあって、こちらとしては謝罪をしてたんだけど、ああいうふうに来られたら、自分もチームを預かるものとして、また年長者として、もう腹に据えかねるものがあったので」続けて当時、広島ベンチ側から阪神側へ何かを言った事実はあるかと問われると「それは一切ないです。一番近くにいた(阪神)坂本くんが、分かっていると思います。うちから何かを言ったってことは一切ないです」と否定した。最後に、この件については「やっぱり私が取った行動に対して不快に思われたファンの方とか、また心配していただいたファンの方には申し訳ないと思っています。もうこれで終わりです」ときっぱり話した。
◆阪神藤川球児監督(44)が、試合後会見で質問が飛んだ広島との死球騒動について答えた。4月20日、甲子園での前回対戦で広島岡本駿投手(22)が阪神坂本誠志郎捕手(31)に頭部死球。藤川監督がベンチから血相を変えて飛び出し、両軍入り乱れて、あわや乱闘の騒ぎになった。審判は警告試合を宣告。岡本は危険球退場となった。この3連戦は、試合前のメンバー表交換時の両監督の表情にも注目が集まっていた。試合後、この日の新井貴浩監督(48)との握手について問われた藤川監督は「ここでお話しすることではないし、それが質問に上がること自体が、会見としてはふさわしくないんじゃないかなと」と言及を避けた。続けて「ゲーム後の会見としてはできたら、その質問は控えていただけるとありがたいですね。今の質問に関してはファンの方もたくさんいらっしゃいますから、そこはあんまりするべきじゃないのかなと思いますけどね」と自身の意図を説明した。
◆広島が阪神に連敗し、首位返り咲きを逃した。1-0で迎えた6回2死三塁で2点目を狙い、三塁走者の中村奨成外野手(25)が本盗を仕掛けるもタッチアウトに。その裏、阪神に逆転を許した。新井貴浩監督(48)は試合の流れが変わったことも含めて「私のミス」と説明。また4月20日の阪神戦(甲子園)で起きた死球騒動にも言及した。
◆阪神湯浅京己投手(25)が8試合連続無失点に抑えた。2番手で7回に登板。末包を遊ゴロ、坂倉を左飛、前日(17日)に本塁打を放ったモンテロを三振に仕留めた。3人斬りで今季3ホールド目。「3人で抑えて、もっといい流れが来るように頑張ろうと思って。今までも、これからも、変わらず、自分の仕事をやれれば」。1点リードの緊迫した場面、「勝ちパターン」での登板で完璧な投球を見せた。
◆阪神中野拓夢内野手(28)が逆転勝利を演出した。0-1の6回1死二塁から左前打。広島左翼ファビアンがファンブルして同点としたが、送球間に二塁を陥れ、続く森下の適時打で勝ち越しの生還。7回には2死一、三塁から二塁への内野安打。これがダメ押しの適時打となった。「追い込まれていたので食らいついていこうと思った結果、いい所に飛んでくれた」。今季15度目のマルチ安打と積極的な走塁で貢献した。
◆走った! あちこちから声が飛び、客席はどよめいた。甲子園の異変を、阪神伊原陵人投手(24)は背中で察知した。0-1の6回2死三塁。中村奨が本盗を狙ってきた。「(広島は)そういうチームなので頭にありました。足を上げた時点で分かったので、慌てることはなかった」。足を上げてから投球動作を瞬時に短縮。スライダーの握りのまま投げた。余裕をもってタッチアウト。奇襲にも冷静に対応した。アマの第一線で場数を踏んできた左腕の真骨頂。これで大事な6回を乗り越えた。代打を出された裏の攻撃で逆転。3勝目を手にした。「もっと長いイニングを投げて貢献したいけど、6回投げきれたところがよかった」。同学年の森下の決勝打には大喜び。お立ち台に2人で上がった。小さな体だが直球の割合がほぼ半分。それが可能なのは直球の質が高いから。回転数は毎分2600と一流並み。NTT西日本に入社当初は2000台の前半だったが、徹底した体力強化が実り、1年で球速が平均5キロ増、回転数もトップレベルに。回転について「ブルペンでは普通だけど、僕の場合は公式戦でしかいい数値が出ないんです」と苦笑い。真剣勝負になると大変身。この日も要所で、コーナーぎりぎりに極上の直球を突き刺した。やや制球を乱しながら1巡目はパーフェクト。次第に調子を上げ、4回の1失点だけに収めた。藤川監督は「すぐにスタイルを取り戻すところはさすが。先発に慣れてきた証しかも」と評価した。この日は無四球と制球力も抜群。投げるたびにドラフト1位の真価を発揮する背番号18は「3勝は僕の力じゃない。野手の方に感謝したい。これだけたくさんの方に大きい声を出してもらえることもない。意気に感じて、やらせてもらっています」。甲子園の主役が似合う男になってきた。【柏原誠】
◆阪神のタフネス左腕の桐敷拓馬投手(25)が1イニングを無失点に抑えた。8回に3番手で登板。味方失策で走者を背負ったが、代打堂林との対決はフェウルで粘られながらも、10球目で空振り三振。粘り勝った。「コースをついていけてましたし、最後もスライダーを甘い所にいかずに、ストライクからボールになるコースに投げられたので良かったです。試合に勝てて良かったです」。今季も救援陣のなくてはならないピースだ。
◆阪神佐藤輝明内野手(26)が今季13度目のマルチ安打を放った。2回の第1打席、広島先発玉村の145キロ速球を捉え、フェンス直撃の中越え二塁打。6回の第3打席では右前打を放った。玉村との対戦は22年に3打数2安打、23年は2打数2安打(1本塁打)、24年は2打数2安打。「いいバッティングができたと思います。久しぶりだったので、球も速くなっていますし、新たな気持ちでいきました」。相性の良さは今季も変わらない。
◆阪神石井大智投手(27)が守護神岩崎に代わって今季初セーブを挙げた。2点リードの9回にマウンドへ。先頭の菊池を中飛に仕留めると、ファビアン、末包の中軸相手にも危なげなく3者凡退。「昨日優さん(岩崎)が100セーブを達成されて。連投続いてたので、なんとかいい週末を送ってほしいので。僕が投げました。まあ、今のは冗談ですけど」。岩崎が前日17日まで2連投。和やかにジョークを飛ばしつつ、仕事を果たした。「セーブシチュエーションってすごく特別で。ブルペンですごく震えてたんですけど」。昨年10月3日DeNA戦以来のセーブで、岩崎のすごみを改めて実感。「本当に尊敬というか、そういう方といま日々を過ごして、本当に勉強になります。自分がもっと成長できるように、いろんな試合で経験を積んで、頑張っていきたい」。さらなる進化を誓う1日となった。
◆阪神森下翔太外野手(24)が首位攻防戦の勝ち越しに貢献した。同点に追い付いた直後の6回に6試合ぶりとなるタイムリー。これが決勝打になり、リーグ単独トップ6度目の勝利打点。4回には坂倉の右翼へ大飛球をフェンスに激突しながら捕球して、攻守で活躍が光った。チームは2位広島に1・5ゲーム差をつけた。3番打者の不振脱出は心強い。さあ、首位固めだ。二塁ベース上で、森下は右腕を突き出した。同点に追いついた直後の6回1死二塁。広島先発玉村の2球目134キロスライダーを見逃さなかった。はじき返した打球はレフト前へ。二走中野がヘッドスライディングで勝ち越しの2点目をもぎ取ると、スタンドからの歓声は最高潮に達した。「(中野)拓夢さんがいい形で回してくれた。高めのゾーンを打った方が確率が高いかなと思った。積極的にいきました」。直前に中野が同点に追い付く働きを見せていた。「チームを勝たせるためのいい場面で回ってくる。(中野は)ワンヒットで帰ってきてくれる安心感もある」。周囲の期待に、持ち前の勝負強さで応えた。森下にとっては中日戦(甲子園)で初回に先制中前適時打を放った10日以来、6試合28打席ぶりのタイムリー。同学年で先発した伊原の3勝目も呼び込んだ。「毎回いい投球をしてくれている中で自分が援護できていない部分が多かった。なんとか陵人が代わったタイミングで打って勝利をあげられたらと思っていたので、すごくいい結果になって良かった」。バットだけでなく守備でも左腕をサポート。先制の1点を許した直後の4回2死三塁。坂倉の右翼への大飛球を背走。フェンスに激突しながら好捕した。ベンチ前でグラブを合わせ同学年投打コンビの絆をのぞかせた。リーグ単独トップに躍り出る6度目の勝利打点になった。オフの自主トレでともに汗を流し、グラウンドでしのぎを削る中日上林も森下の成長に目を細める。「翔太は技術に自信を持っている。元々メンタル的な部分では物おじしないし、いい意味で抜けている。タイミングを含めて、胸椎の回旋とかができている分がいいと思います」を評した。3割4分を超えていた打率も不振に陥り、いまは3割6厘。トンネルを抜けたかと問われると即答した。「いや、まだじゃないですか。自分のやるべきこと、まだまだできることはいっぱいある」。クリーンアップをけん引する24歳が輝きを増すのはこれからだ。【伊東大介】
◆17日に広島に勝利し、一日で首位の座を奪還した阪神。堅守に向け、5月の天王山第3ラウンドを戦う。先発はここまで2勝1敗、防御率1・44と安定感を見せるD1位・伊原陵人投手(24)=NTT西日本=。甲子園での広島戦は4月20日にプロ初先発初勝利を挙げた試合と同条件。5試合目の先発で3勝目をつかむ。打線は「4番・三塁」で先発する佐藤輝明内野手(26)に注目。広島の先発・玉村とは通算打率・857(7打数6安打)、2023年5月19日には甲子園で本塁打を放っている。17日に1番・近本が自身初の5安打を放つなど11安打5得点を挙げた猛虎打線が、ルーキー左腕を援護できるか。
◆阪神・藤川球児監督(44)が試合前のメンバー表交換時に広島・新井貴浩監督(48)と視線を合わせてあいさつをした。今カードは初戦の16日に続き、翌17日の第2戦でも、このメンバー表交換時に両者が視線を合わせることなく、片側が先に自軍ベンチへ戻っていくという異様な光景が続いていたが、この日はホームベース付近に到着して固い握手を交わすと、敵軍のメンバー表を受け取ったあとには審判団との握手の前後を譲り合う場面も。最後は互いに深くお辞儀をし、スタンドからはどよめきとともに拍手が沸き起こった。前回対戦カードの4月20日(甲子園)では坂本が頭部死球を受けた際に藤川監督が広島ベンチに向かって怒りをあらわにし、乱闘騒ぎが勃発。今回はあれから1カ月が経って迎えた首位攻防の再戦カードだった。試合では16日に広島が先勝して首位に浮上し、17日には阪神が勝利して首位を奪還。再び首位阪神と2位広島が0.5ゲーム差の状況でこの第3戦に突入した。
◆阪神の先発・伊原陵人投手(24)が初回を三者凡退に抑える抜群の立ち上がりを披露した。先頭の中村奨に対してボールが先行するも、最後は高め直球で力のない左飛に。続く菊池はフルカウントから内角143キロ直球で見逃し三振。17日時点でリーグ首位打者の3番・ファビアンに対しては、外角144キロ直球で空振り三振に斬った。
◆阪神が2イニング連続で好機を逸した。0-0の三回、先頭の木浪聖也内野手(30)が右翼フェンス直撃の三塁打を放ち、絶好の好機を演出。しかし、続く伊原が浅い中飛、1番・近本が一ゴロに倒れると、中野が二ゴロに倒れて無得点。甲子園は虎党のため息に包まれた。二回には先頭の佐藤輝が二塁打を放ちチャンスを作ったが、後続が続かず無得点。2イニング連続で好機を生かせなかった。先発のD1位・伊原(NTT西日本)が三回までパーフェクト投球。ルーキー左腕を援護したい。
◆阪神が四回に痛い先制点を許した。先発のD1位・伊原陵人投手(24)=NTT西日本=は三回まで広島打線をパーフェクトに抑えるも、四回に捕まった。1死から菊池に中前打を許すと、ファビアンにも中前打でつながれ1死二、三塁。4番・末包に右翼へ犠飛を運ばれ、1点を奪われた。なおも2死三塁、5番・坂倉に直球を捉えられ、打球は右翼後方へ。追加点かと思われたが、森下翔太外野手(24)がフェンスに激突しながら打球を好捕。同学年が好投を続ける左腕を助けた。
◆阪神の先発、ドラフト1位の伊原陵人投手(24)=NTT西日本=は6回4安打1失点で降板した。序盤は完璧な投球を見せた。三回まで広島打線に1人の走者も許さず、打者9人で4奪三振。四回に2本の安打と犠飛で先制を許したが、味方の好守もあり、最少失点で切り抜けた。六回の攻撃で代打を送られ降板。直後に打線が逆転し、3勝目の権利が舞い込んだ。2試合ぶりにクオリティースタート(6回以上を投げて自責点3以下)を記録。ここまで11試合に登板して防御率1・45と安定した成績を残している。阪神・伊原 「四球も無くリズムよく投げることができましたが、ランナーを出してから連打されてしまったり、課題だった部分をクリアできませんでした。いい守備で助けてもらいましたし逆転もしてもらって野手のみんなのおかげでゲームを作ることができました」
◆阪神が逆転した。3番の森下翔太外野手(24)が同点の場面で勝ち越しの左前適時打を放った。0‐1で迎えた六回。この日が22歳の誕生日だった前川が代打でコールされると、場内はハッピーバースデーの合唱で祝福。その前川が右前打を放つと、1死二塁として中野が左前打。相手左翼手・ファビアンの失策もあり、同点に追いついた。なおも1死二塁で森下が打席へ。2球目、左腕・玉村のスライダーを引っ張ると、打球は左前で弾んだ。二走・中野が一気にホームに生還。6回4安打1失点と好投したD1位・伊原(NTT西日本)に3勝目の権利をプレゼントした。阪神・森下 「打ったのはスライダー。(中野)拓夢さんのおかげで楽な気持ちで打席に入れましたし、自分のことに集中することができました。良い場面で一本でて良かったです」
◆阪神が2―1の七回に追加点を挙げた。この回から登板した広島・島内に対し、先頭の坂本が中前打で出塁し、木浪の一前バントと2死後の近本の右前打で一、三塁と好機が到来。ここで中野が変化球にタイミングを合わせてハーフライナー性の打球を放ち、二塁への適時内野安打とした。中野は六回の第3打席でも左前を放っており、3安打と固め打ちをした13日のDeNA戦(新潟)以来4試合ぶりとなるマルチ安打をマーク。下位打線で作ったチャンスを上位打線で生かし、終盤での効果的な得点を喜んだ。
◆阪神が広島に3-1で逆転勝利し、首位の座を堅守した。先発の伊原が6回4安打1失点。三回までは広島打線を相手に1人の走者も出さない完璧な投球を披露し、3勝目を挙げた。七回に2番手で登板した湯浅が3者凡退に抑えると、八回は桐敷が無失点投球。2点リードの九回には石井がマウンドに上がり、昨年の最終戦、10月3日のDeNA戦(横浜)以来、自身2度目のセーブを記録した。打線は0-1の六回、この日誕生日の前川が代打で打席に立ち右前打を記録。1死二塁から中野の左前打と相手失策で同点に追いつき、森下の適時打で逆転に成功した。七回には中野の適時打で追加点。安打を集中させ、終盤の逆転劇を呼んだ。これで2位の広島とは1・5ゲーム差。20日からは3位・巨人と甲子園で3連戦を戦う。
◆広島が逆転負けで首位攻防3連戦は第2戦から連敗となった。先発した玉村昇悟投手(24)は六回途中まで投げ、2失点で今季4敗目を喫した。玉村は二回に無死二塁、三回には無死三塁のピンチを迎えるが、ともに無失点と粘りの投球を見せた。しかし、1点リードの六回に1死一塁から3連打を浴び、味方の失策も絡んで2失点。逆転を許してしまった。打線は四回に1死から菊池、ファビアンの連打と相手の失策の間に二、三塁の好機を作り、末包が右犠飛で先制したが、追加点を奪えなかった。
◆広島が逆転負けで首位攻防3連戦は第2戦から連敗となった。先発した玉村昇悟投手(24)は六回途中まで投げ、2失点で今季4敗目を喫した。
◆中日、西武、阪神で通算1560安打を放ち、楽天初代監督を務めたサンケイスポーツ専属評論家の田尾安志氏(71)は4安打4打点の阪神・森下翔太外野手(24)に言及した。阪神からすれば、相手がミスで手放した流れを、しっかりとつかんだ勝利だった。六回、広島の本盗失敗。リードしている状況で、しかも打席には調子のいい4番末包。全く仕掛ける必要がない場面だ。阪神バッテリーも落ち着いて対応したと思う。余談だが、昔、巨人の長嶋茂雄さんが本盗に失敗し、打席の広岡達朗さんが激怒したという話を聞いたことがあるが、それを思い出した。調子を落としていた森下にタイムリーが出たことは大きい。最近の試合では差し込まれることが多く、タイミングが合っていなかったが、この日は修正できていた。七回の中飛もアウトにはなったが、しっかりと捉えた打球だった。20日からの巨人戦も楽しみだ。一方で、心配なのは大山。六回1死二、三塁で2ボールからの遊ゴロは、引っ張る意識が強過ぎる。外野フライでもいい場面なので、センターから逆方向を狙っていかないといけない。ベンチも選手任せでは、チャンスで状態が良くない打者に回ってきたときに苦しくなる。右打ちのサインを出すなど、ベンチワークで補ってほしい。
◆奇策は実らなかった。1-0の六回2死三塁。一瞬の隙を狙い、広島・中村奨が本盗を敢行した。あえなくアウトとなり、直後に逆転を許して流れを手放してしまったが、新井監督はすべての責任を背負った。「事前にチャンスがあるということだったんで、思い切って行ったんだけど、私のミスです。自分のミスです」4番・末包の打席で、カウントは1ボール。阪神D1位・伊原(NTT西日本)と坂本のバッテリーに意表を突く作戦に出たが...。指揮官は「流れが変わったから自分のミスです」と繰り返した。ただ、今季の広島は積極的に走塁面でもトライすることを方針に掲げており、三塁コーチャーの赤松外野守備走塁コーチも「隙があったら行こうと言っていたので、行動に移してくれたことはマイナスではない。(中村)奨成自身に過失はない」と説明した。首位阪神とは1・5ゲーム差に広がったが、セーフであれば、勝利につながるビッグプレー。これからも恐れず、新井カープは果敢に仕掛けていく。(西垣戸理大)メンバー表交換時の態度について広島・新井監督が謝罪した。4月20日の阪神戦(甲子園)で坂本への頭部死球に藤川監督が激高した乱闘騒ぎ以来の顔合わせ。16日の第1戦では新井監督が藤川監督と目を合わせず、17日には藤川監督が早々に一塁ベンチへと引き上げ、話題となっていた。新井監督は「前回ああいうことがあって、こちらとしては謝罪をしていた。ああいうふうに来られたら、自分もチームを預かる者として、また年長者として、もう腹に据えかねるものがあったので」と説明。この日はお互いに目を合わせる場面があり「いつまでも、とは思っていなかった。私がとった行動に対して不快に思われたファンの方、また、心配していただいたファンの方には申し訳ないと思っています。もうこれで終わりです」と和解を強調した。
◆阪神・佐藤輝が〝玉村キラー〟ぶりを見せつけた。二回に中堅フェンス直撃の二塁打を放つと、六回1死二塁では右前打。玉村には通算打率・800(10打数8安打)と相性抜群だ。「(対戦は)久しぶりだったので、球も速くなっていますし、新たな気持ちでいきました。いいバッティングができた」。2試合連続のマルチ安打と状態はさらに上向きだ。
◆4戦続けて遊撃で先発した阪神・木浪は小技で勝利に貢献した。七回無死一塁で犠打を決めて3点目につなげた。三回には右翼フェンス直撃の三塁打で4戦連続安打をマーク。「しっかり振れたのでよかったです。(自分の役目は)しっかりできていると思います。いまと変わらず、とにかく攻めていけるように」と次戦を見据えた。
◆阪神・石井が甲子園初セーブを挙げた。「(守護神の岩崎が連投中で)『きょうは九回でいくかもしれない』と言われていた」。ブルペンでは体が震えていたというが、2番からの好打順を三者凡退で退けた。昨年10月3日のDeNA戦(横浜)以来の通算2セーブ目。17日には岩崎が通算100セーブを達成した。「そういう方と日々を過ごし、本当に勉強になる。もっと成長できるように、いろいろな試合で経験を積んで頑張っていきたい」とその背中を追いかけていく。
◆勝ち越した直後の七回に登板した阪神・湯浅は1回0封で勝利への道筋をつくった。「3人で抑えて『もっといい流れがくるように頑張ろう』と思って(投げた)」。末包、坂倉を打ち取ると、モンテロを三球三振。狙い通りに直後の攻撃での得点につなげた。3ホールド目を挙げた右腕は「いままでもこれからも変わらず、自分の仕事をしっかりとやれれば」とボールに力を込める。
◆22歳の誕生日を迎えた阪神・前川が逆転劇の口火を切る右前打を放った。0-1の六回先頭で、虎党からバースデーソングを受けて代打で登場。「ことを起こしたら何かがある。いいところに転がってくれた」。開幕から6番を務めてきたが、5月は打率・111(36打数4安打)で左腕先発時は先発を外れることが多くなった。「本当に(この安打が)いいきっかけになってくれたら」と悲壮感を漂わせた。
◆途中出場の阪神・熊谷が存在感を見せた。六回に代走起用されると、中野の左安打を相手がはじいた間に二塁から一気に生還。そのまま左翼守備に就くと、七回1死で坂倉の左中間への飛球をランニングキャッチした。「試合中も常にレフトの守備位置を見て、筒井コーチとも練習から一緒にやっている。まだまだですけど、それがいいプレーにつながっているんじゃないかな」とうなずいた。
◆阪神・桐敷が2点リードの八回をしっかりと抑えた。「粘り負けをしないように(投げた)」。1死一塁で代打・堂林にはカウント2―2から5球連続でファウルと粘られたが、最後はスライダーでバットに空を切らせた。「甘いところにいかず、ストライクからボールになるコースに投げられた」。これで16試合連続自責点ゼロと安定感抜群だ。
◆序盤はため息ばかりだった虎党から歓声を浴びた。完全復活をアピールする〝同点打〟&駄目押し打。2番中野が2安打1打点で、首位攻防戦での逆転勝利に貢献した。「(伊原が)素晴らしいピッチングしていたので、何とか勝ちをつけてあげたかった。勝ちがつく打撃ができてよかった」まずは0-1の六回1死二塁だ。玉村の初球、外角高めの直球を捉えた。左翼手・ファビアン(前レンジャーズ3A)が打球をはじくと、二走・熊谷が同点のホームを踏んだ(記録は安打と失策で打点はなし)。「玉村投手の(速い)ボールは引っ張るよりも逆方向に打つ方がヒットになる確率は高いと思った」直後に森下が左前打を放つと、快足を飛ばして頭から滑り込んでリードを奪う。さらに試合の流れを離さない。2-1の七回2死一、三塁では、3番手・島内のチェンジアップを振り抜いた打球がハーフライナーで二遊間へ。貴重な追加点となる適時内野安打に「(カウント2-2と)追い込まれたんで、食らいついていこうと思った」としてやったりの表情だ。開幕直後は苦しんだが、徐々に調子を上げて5月は14試合で打率・383(47打数18安打)、5打点。打率は・313にまで上昇し「昨年がああいった形だったので。今年はチームのためにと思いながらやって、すべてにおいてうまくいっている」とうなずいた。4年目の昨季は自己ワーストの打率・232に終わった。打撃フォームを改造し、遠くへ飛ばすために大きくスイングしたことが裏目に出た。下半身を鍛え直して巻き返しを期した今季。春季キャンプから付きっきりで指導をした和田1・2軍打撃巡回コーディネーターは「昨年は上体が突っ込んでボールをうまく捉えきれなかった。もう大丈夫。下半身をうまく使って、彼らしい打球が飛ぶようになった」と分析する。お墨付きをもらった中野だが、慢心はない。「(気を)抜いたプレーがないように。まだまだ満足せず、上を目指してやっていきたい」2番打者として、状況に応じたチャンスメークも、この日のように走者をかえす決定力もある。頼りになる万能な選手会長が、さらに打線を活気づかせる。(三木建次)
◆同学年の一打で白星が舞い込んだ。阪神のドラフト1位・伊原(NTT西日本)が6回1失点で今季3勝目。2人並んだヒーローインタビューで、殊勲の森下に感謝を伝えると、スタンドから温かい拍手が降り注いだ。「チームの中心選手で、チーム1、2を争うような打撃を持っているので、これからもたくさん打ってもらいたいと思います。きょうは守備に、打撃にありがとうございました。これからもよろしくお願いします!!」立ち上がりは珍しくボールが先行したが、菊池、ファビアン(前レンジャーズ3A)から直球で連続三振を奪う。二回からは修正して三回まで一人の走者も出さずに4奪三振。抜群の投球を披露した。四回に2安打と犠飛で先制を許し、なおも2死三塁。5番坂倉に右翼後方へ強烈な打球を飛ばされるも、森下がフェンスに激突しながら好捕。追加点を阻止するビッグプレーに伊原は拍手を送った。広島ベンチが仕掛けた奇襲にも動じなかった。六回2死三塁で4番末包への2球目に三走・中村奨がホームスチールを敢行。「足を上げた時点でランナーが見えて、走ってくるなって分かったので、あまり慌てることはなかった」。ボールゾーンに投げると、捕手・坂本が本塁手前でタッチアウトに。「そういうふうなチームで、やってくることはわかっていた」と冷静に対応し、18個目のアウトを奪った。直後の攻撃で代打を送られたが、打線が2点を奪って逆転。守備で救われた森下から、勝ち越しの一打で白星をプレゼントされた。「3勝っていうのは僕の力だけじゃない。僕は一生懸命投げるだけですけど、野手の方あってのこと。野手の方に感謝したい」謙虚なドライチ左腕は、しぶとく軽やかに期待に応えていく。(萩原翔)鯉の奇襲封じには坂本の冷静な対応も生きた。「(三走の)リードがちょっとでかいな、と思っていた」。本盗を企図される前に異変を察知。右打席に立つ末包が〝壁〟となる中でも、自軍ベンチから飛んだ声を聞き逃さず「あのケースで声が出るということはホームスチールしかない。ちょっとびっくりしたけど、今後もうまくやっていけたら」と語った。
◆阪神が逆転勝ちで、広島との首位攻防戦を2勝1敗で終えて、1・5差とした。1点を追う六回1死二塁から中野拓夢内野手(28)と森下翔太外野手(24)の連続適時打で逆転。七回2死一、三塁では中野の二塁内野安打で突き放した。D1位・伊原陵人投手(24)=NTT西日本=は6回1失点で3勝目(1敗)。七回から湯浅京己投手(25)、桐敷拓馬投手(25)とつなぎ、九回は石井大智投手(27)が締めた。
◆チャンスにも、球際にも強い!! 首位阪神は2位広島に3―1で逆転勝利。首位攻防戦で連勝して1・5ゲーム差に広げ、貯金を今季最多タイの6とした。森下翔太外野手(24)が六回に勝ち越し打を放ち、6試合ぶりの打点をマーク。右翼フェンスに激突しながらの好捕でも同学年のドラフト1位・伊原陵人投手(24)=NTT西日本=の今季3勝目をアシストした。20日からの巨人戦(甲子園)でも頼りにしてるでー!!振り抜いたバットから鋭く打球が放たれる。飛び上がった遊撃手の頭上を越え、白球は左前で弾んだ。マウンドで腕を振る伊原のために-。頼もしい森下が帰ってきた。4万2597人の観衆を沸かし、打のヒーローとなった。「本当に打てなくて迷惑をかけていたので、集中して。(伊原)陵人も頑張って投げてくれていたので、いい援護ができたかなと思います」1-1の同点に追い付いた直後の六回1死二塁。玉村の134キロスライダーを引っ張った。「高めのゾーンを意識して積極的にいきました」。決勝の左前適時打で、この回代打を送られていた先発のドラフト1位・伊原(NTT西日本)にプロ3勝目をプレゼントした。「毎回いいピッチングをしてくれている中で自分が援護できていない部分が多かった。陵人が代わったタイミングで自分が打って勝利を挙げられたらと思っていた」入団年こそ違えど、2000年生まれの同学年。人気球団、阪神のドラフト1位という共通点もある。「しゃべりますよ。(どんな存在かと問われて)同級生です」。多くは語らない。それでも、虎のドライチの先輩として、その重責は誰よりも共感できる。だから、プレーで援護した。バットだけではない。伊原が先制点を献上した直後の四回2死三塁。右翼後方を襲った坂倉の大飛球を、フェンスに激突しながら好捕した。「日頃、守備も意識してやっているんで、それだけです」。淡々と振り返ったファインプレーだが、左腕の勝利につながったことは間違いない。
◆ウヒヒヒ...。新井のお兄ちゃん(広島監督)が自分で仕掛けたワナに自らひっかかってくれよったア!! 広島が1点リードの六回2死三塁。打者末包の2球目、三塁走者の中村奨が「おー!!」と目を見張るホームスチールを敢行。ホームベース上に立ち上る砂ぼこり...。判定は......。「アウト!!」。その途端、「なめくさってェ!!」と猛虎魂にメラメラメラ~と火がついた。その裏、代打前川のヒットを皮切りに、同点のタイムリーエラーを誘う中野のレフトへのヒットに、ここまでの27打席で1安打の森下がトンネルを脱出する決勝打!! 新井のお兄ちゃん、阪神打線の『やる気スイッチ』をONにしてくれて、おおきに!! てか、得点圏打率リーグ1位、4番打者の末包の場面で本盗って? これは新井さんも藤井さん(ヘッドコーチ)も、かつて阪神にお世話になったから、かなり早いお中元かなあ?ドラフト1位ルーキー、3勝目の伊原くんは新人王いっちゃおうぜ!! リードされて降板したのに味方が逆転して白星がついた! そーいうのを最近あまり耳にしなくなったけど、野球用語で「もってる」と言います!
◆阪神-広島の試合前、米大リーグのドジャース―エンゼルスのテレビ中継を見ていたら、実況アナウンサーが「現地時間5月17日は『大谷翔平の日』です」と紹介していた。なぜ大谷の日!? 大谷の誕生日は7月5日だから関係ないし、父・徹さんの誕生日だったけれど、それだと「大谷翔平の日」と呼ぶのは違うしなあ。そう思案していたら、1年前を思い出した。そういえば、昨年にドジャースの本拠地ロサンゼルス市が、大谷の背番号17にちなんで5月17日を「大谷翔平の日」に制定していたんだった。残念ながら、この日の大谷は6年ぶりの6タコに終わり、日本選手初の4戦連発はならなかった。それでも、自身の名前が記念日になっているなんて、大谷翔平の偉大さを再認識させられる。もちろん、日本にも野球に関連した記念日はある。1936年に現在の日本野球機構(NPB)が設立された「プロ野球の日」(2月5日)、58年に巨人・長嶋茂雄が公式戦初出場した「デビューの日」(4月5日)、77年に巨人・王貞治が通算756号を放ち、ハンク・アーロンの本塁打世界記録を更新した「ホームラン記念日」(9月3日)など、調べてみると数多く出てきた。「デビューの日」「ホームラン記念日」は、言い換えれば「長嶋茂雄の日」「王貞治の日」と呼べるのかもしれない。ジャイアンツばっかりやん、と虎党のみなさんには叱られるかもしれないので、ちゃんとタイガースにまつわる記念日も紹介させていただきます。

<セ・リーグ順位表推移>
順位 | チーム名 | 勝数 | 負数 | 引分 | 勝率 | 首位差 | 残試合 | 得点 | 失点 | 本塁打 | 盗塁 | 打率 | 防御率 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 (-) |
阪神 |
22 | 16 | 2 | 0.579 (↑0.011) | - (-) |
103 | 138 (+3) | 100 (+1) | 22 (-) | 33 (+2) |
0.246 (↑0.001) | 2.240 (↑0.03) |
2 (-) |
広島 |
21 | 18 | 1 | 0.538 (↓0.015) | 1.5 (↓1) |
103 | 136 (+1) | 108 (+3) | 20 (-) | 14 (-) |
0.249 (↓0.002) | 2.410 (-) |
3 (1↑) |
DeNA |
19 | 17 | 3 | 0.528 (↑0.014) | 2 (-) |
104 | 129 (+10) | 109 (+2) | 16 (-) | 22 (+2) |
0.229 (↑0.004) | 2.560 (↑0.02) |
4 (1↓) |
巨人 |
21 | 20 | 1 | 0.512 (↓0.013) | 2.5 (↓1) |
101 | 128 (+4) | 137 (+7) | 32 (+1) | 17 (+1) |
0.241 (↑0.002) | 2.890 (↓0.08) |
5 (-) |
中日 |
17 | 20 | 2 | 0.459 (↑0.015) | 4.5 (-) |
104 | 85 (+7) | 111 (+4) | 17 (+4) | 20 (-) |
0.209 (↓0.001) | 2.660 (↓0.03) |
6 (-) |
ヤクルト |
13 | 22 | 1 | 0.371 (↓0.011) | 7.5 (↓1) |
107 | 103 (+2) | 154 (+10) | 17 (-) | 8 (+1) |
0.226 (-) | 3.700 (↓0.15) |
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