阪神(★1対2☆)巨人 =リーグ戦6回戦(2025.04.27)・阪神甲子園球場=
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巨人
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阪神
1000000001400
勝利投手:大勢(2勝0敗0S)
(セーブ:マルティネス(1勝0敗8S))
敗戦投手:岩崎 優(0勝1敗9S)
  DAZN
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◆巨人は1点を追う3回表、1死二三塁から吉川の内野ゴロの間に同点とする。そのまま迎えた9回には、代打・岸田の適時打が飛び出し、勝ち越しに成功した。投げては、5番手・大勢が今季2勝目。敗れた阪神は、先発・伊原が好投するも、打線が援護できなかった。

◆甲子園に背番号23がよみがえる。阪神はこの日の巨人戦を、今年2月3日に91歳で亡くなった元監督の吉田義男さんの追悼試合として開催する。ナインは全員、永久欠番の背番号「23」の特別ユニホームを着用。吉田さんが1番遊撃でリーグ優勝に貢献した1964年(昭39)シーズンのデザインを復刻する。両球団が半旗を掲げ、黙とうをささげる。試合前にありし日の追悼映像を放映し、阪神ナインは喪章をつけて戦う。阪神の永久欠番選手と主な記念デー15年3月8日、巨人戦(オープン戦) 永久欠番デーとして開催。背番号「10」の藤村富美男氏、同「11」の村山実氏、同「23」の吉田義男氏をたたえ、監督、コーチ、選手全員が初代永久欠番の背番号10のユニホームを着用して試合に臨んだ。16年5月11日、巨人戦 生誕80年となる村山実氏の功績をたたえ、永久欠番の「11」を帽子のつばに刺しゅうし、監督、コーチ、選手が着用した。16年8月14日、中日戦 藤村富美男氏の生誕100周年に「永久欠番デー10」を開催。選手らは背番号「10」の刺しゅうが入った帽子を着用してプレーした。

◆今季の対阪神戦の連敗ストップへ、巨人のスタメンが発表された。萩尾匡也外野手(24)が「7番左翼」でスタメン起用された。2軍では打率2割8分8厘、3本塁打、6打点の成績を残し、この日から1軍に合流した。先発は堀田賢慎投手(23)が務める。開幕1軍入りを果たすも、2試合の登板で防御率11・25。2軍降格後は11イニング連続無失点と結果を残し、再び1軍にはい上がった。登板前日には「チャンスなのでしっかりつかみたいと思います」と意気込んでいた。

◆阪神は、2月3日に91歳で他界した元阪神監督の吉田義男さんの追悼試合で、7連勝を目指す。ドラフト1位新人の伊原陵人投手(24)が、先発マウンドに上がる。20日広島戦(甲子園)ではプロ初先発で初勝利を挙げた左腕が、2連勝を狙う。打線は3連戦全てで、投手以外は変わっていない。

◆体調を崩して入院していた阪神岡田彰布オーナー付顧問(67)がテレビ朝日系列「スーパーベースボール 阪神×巨人」で特別ゲストを務めた。この日が仕事復帰。先発したドラフト1位の伊原陵人投手(24)の印象を聞かれ「1勝して、今日勝てば楽になると思いますね。投げっぷりというかね。(小柄な)身長を見たら23のユニホーム一番似合っているかも。吉田さんのね。左投げですけど」と実況ブースを笑顔で包んだ。この日は岡田氏の恩師でもある吉田義男さんの追悼試合として行われ、阪神は全員が永久欠番の23番をつけて臨んでいる。

◆体調を崩して入院していた阪神岡田彰布オーナー付顧問(67)がテレビ朝日系列「スーパーベースボール 阪神×巨人」で特別ゲストを務めた。この日が仕事復帰。初回の先制攻撃の合間、自らが作り上げた「ドラ1クリーンアップ」について言及。自身の監督時代は大山悠輔内野手(30)を4番に固定したが、今年は5番。「クリーンアップは別に誰がどこ打ってもいいんですけど、一番どしっと年長者の大山がね(5番に)。5番が一番きついですよ。こういうの多いですよね、初回2死一、二塁とかね」と5番起用には賛成。ちなみに自らも85年日本一の際は5番を打っていた。大山が三遊間を抜く先制の左前打を放つと「一番のヒットコースですよね、大山の」と、うなずいた。左翼からノーカットで返球されたが、二塁走者の近本光司外野手(30)が捕手のタッチをうまくかいくぐって、ぎりぎりセーフ。ここですかさず、「甲子園の浜風で、レフトからスローして、なかなかストライク来ないですよ」とトリビアを披露したのも岡田氏らしかった。

◆阪神のルーキー伊原陵人(24)がプロ2度目の先発で、61年ぶりの記録をつくった。2回表で2アウトを奪った時点で、合計15回を無失点。阪神の新人が開幕から15回以上無失点を続けたのは、64年に16回連続の古沢以来、61年ぶりとなった。伊原は初回、先頭の泉口を左飛に打ち取ると、若林を直球で空振り三振。吉川には四球を与えるも、4番岡本を右飛に仕留め無失点スタート。2回は先頭の甲斐に中前打を浴びるも、キャベッジは中飛。続く萩尾も中飛に抑え、15回連続無失点とした。伊原は開幕から中継ぎ4試合の登板で無失点投球を続け、プロ初先発となった20日広島戦(甲子園)で5回4安打無失点と好投しプロ初勝利。無失点を20回以上に伸ばせば、63年にセ・リーグ記録の31回連続をマークした中井以来となる。

◆阪神近本光司外野手(30)が「神走塁」を見せ、先制点をもぎとった。初回、先頭の近本が中前打を放ち出塁。中野の犠打で二塁まで進み、2死一、二塁で、5番大山悠輔内野手(30)が左翼へ安打を放った。近本は二塁を蹴ると、迷わず三塁ベースも回ってホームへ激走。三塁側からタッチを試みる捕手甲斐を、スライディングしながら右手を伸ばして避け、反対方向へ体をひねって、見事にホームインした。巨人はリクエストを要求するも、判定は変わらず。瞬時の身のこなしで先制点につなげた。

◆OBで元監督の吉田義男さん追悼試合を開催した阪神粟井一夫球団社長(60)が、同戦で選手らが着用した背番号「23」のユニホームをチャリティーオークションにかけることを明かした。子どもたちへの野球振興は吉田さん、ご遺族の強い思いがあり、球団も快諾。詳細は今後正式発表される。追悼試合を主催した粟井社長も「23年に岡田前監督が就任されて、より電話もたくさんかかってきた。『頑張れよ』とか、叱咤(しった)激励をいただくとともに、負けが込んでると『岡田を頼むで』と、そんな温かい言葉をいただいたりした。僕は岡田前監督と一緒に戦ってきたつもりですし、それを後ろで吉田元監督も戦ってくれていた」と、ホットラインで語り合った生前の思い出を振り返った。今季は球団創設90周年のメモリアルイアーで18日には通算320勝の小山正明さんも90歳で他界。「全てのOBの方をリスペクトして、リーグ優勝、日本一を奪還して全てのOBの方に報告できるように最後まで頑張っていきたい」とV奪回への思いを新たにした。

◆阪神のルーキー伊原陵人(24)の開幕からの無失点記録が3回にストップした。1点リードで迎えた3回、先頭の堀田、泉口に連打を浴びると犠打で1死二、三塁となり、吉川の二ゴロの間に三塁走者の生還を許し、プロ初失点を喫した。伊原は開幕から中継ぎ4試合の登板で無失点投球を続け、プロ初先発となった20日広島戦(甲子園)で5回4安打無失点と好投しプロ初勝利を挙げた。この日も2回表を終えた時点で合計15回1/3を無失点。阪神の新人が開幕から15回以上無失点を続けたのは、64年に16回連続の古沢以来、61年ぶりだった。初失点を喫したものの、なおも2死三塁で最後は4番岡本を高め145キロ直球で空振り三振。勝ち越しは許さなかった。

◆「J:COM 光 デー」として、お笑いコンビ「ますだおかだ」の増田英彦(55)が始球式に登板した。2月3日に亡くなったOB吉田義男さんの追悼試合で、23番のユニホームを着用。右腕から投じた球は外角高めながらノーバウンドで坂本のミットに収まった。始球式終了後、藤川監督の現役時代の登場曲であるLINDBERGの「every little thing every precious thing」の歌詞になぞらえながら感想を述べた増田。「光栄ですね」と感謝した。人生初の甲子園での始球式。「2023年の優勝と日本一で、自分の阪神タイガースファンとしての総決算みたいな。でも、その2年後に、こんな初めての始球式ができるという。あ、まだ先はあったんだと、いや、違うと、この先も何回もいろんな感動とか、そういうシーンを見せてくれて、総決算がまだまだあるんだな...」と感慨深い様子で話し、続けて「という神のお告げが聞こえてきました」と笑わせた。

◆体調を崩して入院していた阪神岡田彰布オーナー付顧問(67)がテレビ朝日系列「スーパーベースボール 阪神×巨人」で特別ゲストを務めた。この日が仕事復帰。この日は岡田氏の恩師でもある吉田義男さんの追悼試合として行われ、阪神は全員が永久欠番の23番をつけて臨んでいる。岡田氏は吉田監督のもと、主力選手として85年のリーグ優勝と球団初の日本一を達成した。日本一監督となったあとの1987年に永久欠番となった現役時代の背番号23について「永久欠番(になるのが)遅かったですよね。(岡田氏が)入団したとき、23番の選択肢もありましたからね」と明かした。岡田氏は入団年の80年から退団まで16番を背負った。

◆体調を崩して入院していた阪神岡田彰布オーナー付顧問(67)がテレビ朝日系列「スーパーベースボール 阪神×巨人」で特別ゲストを務めた。この日が仕事復帰。昨オフ、国内FA権を行使した大山悠輔内野手(30)について「どうなるかなと見守っていましたけど、残ってよかったんじゃないですか」と振り返った。最終的に巨人との争奪戦になったことに「巨人に行っていたら甲子園に来られないですよ。来ないといけないんですけど、キツいですよね」と苦笑い。となりで解説を務めていたFA移籍経験者の工藤公康氏(61)を念頭に「投手は1週間に1度だからいいけど、野手はキツいですよね」と話して、笑わせていた。

◆阪神初代日本一監督の吉田義男氏のファミリーが、追悼試合として開催された巨人戦を甲子園のスタンドから観戦した。永久欠番の背番号「23」をチーム全員がつけてプレーする姿に、長女智子さんは「父はメジャーリーグを見ながら『あれ、ええな』と先人の方に敬意を示す、このようなイベントにあこがれていました。今思えば、自身の最期を悟っていたかのようでした。阪神球団、甲子園球場のご厚意に感謝いたします。ファンの皆さまもありがとうございました」と話した。吉田氏が生前、球場入りする際に愛用した紺色の帽子、カバンを持参し、家族が一緒になった。孫、ひ孫を含めた計13人が、午前中から練習を見学。甲子園歴史館で開催されている追悼展を見て回った後で、伝統の一戦を見守った。

◆大の阪神ファンとして知られる、お笑いコンビ「ますだおかだ」の増田英彦(55)が始球式に登板した。右腕から投じた球は、外角高めながらノーバウンドで阪神坂本のミットに収まった。この日は2月3日に91歳で亡くなった元阪神監督の吉田義男さんの追悼試合。増田も選手たちと同様、背番号「23」をつけ「恐縮です」と話した。ラジオで共演した経験もあり「2023年の開幕前に、ラジオのゲストに来ていただいた」と振り返った。当時の様子を「スポーツ番組でもないし、ニュース番組でもないし、フリートークのラジオ番組に来ていただくので、楽しい話をしてくださったらと思っていたんですけど、スタジオに入ってくるときに、紙を持ってこられて、おそらくしゃべりたい話をいっぱいメモされていたんですね。その準備力に感動しました。プロの一面を見させていただいた気がしました」と明かした。さらに「大切な試合で始球式をさせていただくのはありがたいことです。ファンとしての思いもありますし、一緒に仕事をさせていただいた感謝の気持ちもあるので、その気持ちをボールに乗せて投げたつもりです」と語った。

◆阪神近本光司外野手(30)がリーグ単独トップに躍り出る6個目の盗塁を決めた。1-1で迎えた5回1死。四球で出塁すると、低めのボール球となった次打者中野への3球目に二盗に成功。捕手甲斐は送球できなかった。近本は24日DeNA戦(甲子園)まで4戦連続で盗塁を決め、DeNA三森に並ぶトップタイの5盗塁。快足は止まらず、一気に単独トップに躍り出た。

◆阪神球団創設90周年記念の「90万円プレミアムチケット」に当選した、蛯原久敬(ひさゆき)さん、弘美さん、稜久(りく)くん(小学6年)、瑳久(さく)くん(同4年)がファーストピッチセレモニーに参加した。習い事として野球をしている長男稜久くん、次男瑳久くんが投手を務め、ともにワンバウンド投球を披露した。稜久くんは「僕、プロ野球選手になりたいんですけど、もっとプロ野球選手になりたくなりました」と話し、瑳久くんは「あんな大きい舞台に立ててうれしかったです」と語った。三塁ベンチでの練習見学など、行動をともにした、阪神の「Community Ambassador」を務める岩田稔氏(41=日刊スポーツ評論家)は、「観戦して試合をスタンドで見るのと、グラウンドに入るのは全然違うので、本当に貴重な素晴らしい体験だったと思います」と話した。「90万円プレミアムチケット」はスペシャルツアー付きチケットとして発売され、蛯原さん家族が当選。3人以上になると1人あたりの金額が変わるため、4人総額で260万円となった。前日26日はホテル「ザ・リッツ・カールトン大阪」で、夕食前に掛布雅之OB会長(69)と会談。その後、同ホテルに宿泊した。27日は、ホテルからリムジンで甲子園に向かい、打撃練習を見学。練習後、近本、佐藤輝と写真撮影、サイン会などの交流を行った。岩田氏と投球練習を行うなど、さまざまなイベントを体験し、試合はバックネット裏で観戦。阪神が勝利した場合は、一塁ベンチでヒーローインタビューを見学。試合後は、空港までリムジンで向かう予定だ。

◆巨人堀田賢慎投手(23)が5回1失点で好投し、ゲームをつくった。リリーフを務めていた高卒6年目のドラ1右腕は、阪神ドラ1伊原との投げ合いで今季初の先発マウンドへ。初回はボール先行の立ち上がりでいきなり2死一、二塁のピンチを招いた。5番大山の左前適時打で先制点を献上したが、なおも2死満塁で坂本を空振り三振に仕留めて最少失点で切り抜けた。2回以降は落ち着きを取り戻し、0を並べる快投。5回に再び制球が乱れて2四球を与え、なおも2死一、二塁で現在リーグトップの8本塁打を誇る4番佐藤輝を迎えた。カウント1-2から136キロチェンジアップで佐藤輝の体勢を崩しながら、空振り三振。要所を締める投球でピンチを切り抜けた。登板前日には「中継ぎだろうなって思って合流したので最初はびっくりした。2軍でも先発として投げていたので、そこを抑えたっていうのを評価してもらっての先発だと思う。絶対抑えよう」と意気込んでいた。登板後には「走者なしからの四球などで苦しんだところは反省ですが、なんとか粘りながら投げられてよかったです」と話した。

◆阪神先発伊原陵人投手(24)が、自己最長の6回を投げ、4安打5奪三振2四球1失点の好投を見せて降板した。2勝目の権利を得ることはできなかった。20日広島戦(甲子園)では、プロ初先発でプロ初勝利を挙げたドラフト1位左腕。3回1死まで無失点に抑え、開幕から合計15回1/3を無失点。阪神の新人が開幕から15回以上無失点を続けたのは、64年に16回連続の古沢以来、61年ぶりとなった。3回は先頭の相手先発堀田に中前打を浴び、1死二、三塁のピンチを招くと、吉川の二ゴロでプロ初失点し、追いつかれた。それでもその後、4、5回は走者を出しつつも無失点。6回は3者凡退に抑えた。再度、ゼロを積み重ねたが、同点のままマウンドを降りた。

◆阪神桐敷拓馬投手(25)に、一瞬ひやりとするアクシデントが起きた。1-1で迎えた8回無死一塁で、吉川の打球は二塁へのゴロ。桐敷がボールの行方を目で追っている間に、折れたバットが回転しながら左腕の方に飛んで行った。避ける間もなく、桐敷の右太もも付近にバットが直撃した。安藤投手チーフコーチ、トレーナーが駆けつけ、1度治療のアナウンスとともにベンチ裏へ。数分後にマウンドに戻ると数球試投し、そのまま続投となった。テレビ朝日系列「スーパーベースボール 阪神×巨人」で特別ゲストとして解説していた阪神岡田彰布オーナー付顧問(67)も「刺さらんでよかったね」と一安心の様子だった。

◆阪神前川右京外野手(21)の連続試合安打が14でストップした。この日は初回2死一、三塁の第1打席で死球を受け、4回1死一塁で左飛、6回2死で三邪飛。無安打のまま9回の守備を迎え、先頭の巨人キャベッジが左翼線へ二塁打を放った後、熊谷と交代となった。前川は4月8日ヤクルト戦(甲子園)から、前日26日巨人戦まで14試合連続安打をマークしていた。

◆巨人が接戦をものにし、連敗を5で止めた。同点で迎えた9回表。トレイ・キャッベジ外野手(27)の左翼線への二塁打と萩尾匡也外野手(24)の犠打で1死三塁のチャンスをつくると、代打岸田行倫捕手(28)の左前適時打で勝ち越しに成功した。阿部慎之助監督(46)は「本当に総力戦。向こうも必死ですし、うちも必死だったので素晴らしい勝ち方だったなと思います」と話した。「こういう僅差のゲームがタイガース戦多いですし、相手のピッチャーも素晴らしい投手そろっている。本当にワンチャンスつかむかつかまないか紙一重の勝負を毎回やっているので、その中で今日は最後もぎ取ることができて良かったと思ってます」と言った。投げては、今季初先発となった堀田賢慎投手(23)が5回2安打1失点と試合をつくった。後を受けたリリーフ陣も無失点でつなぎ、勝利に貢献。9回は1死三塁のピンチを招いたが守護神マルティネスが遊ゴロに打ち取った。この日の勝利で今季の対阪神戦の連敗は「5」でストップした。開幕から約1カ月。「僕の至らない采配とかあって負ける試合も多いんですけど、とにかく今、貯金が2つですかね。みんなの、選手の力でなんとか貯金を作れてるって状況なんで、ほんと焦らずね、やっていきたいなと思います」と語った。

◆巨人トレイ・キャベッジ外野手(27)が復帰後初安打をマークした。同点の9回表。先頭で打席に入ると、阪神4番手岩崎の外角直球を捉え、左翼線への二塁打を放った。さらに萩尾匡也外野手(24)の犠打で1死三塁としてから、代打岸田行倫捕手(28)の左前適時打で勝ち越しのホームを踏んだ。キャベッジは開幕から好調をキープしていたが、12日広島戦(マツダスタジアム)で左手親指を負傷。25日の阪神戦(甲子園)から1軍に合流するも、前日までの2試合はいずれも無安打に終わっていた。この日の勝利で今季の対阪神戦の連敗は「5」でストップした。

◆阪神植田海内野手(29)の渾身(こんしん)の走塁も得点とはならなかった。巨人に1点の勝ち越しを許し迎えた9回裏。代打木浪が二塁打を放ちつくった好機で、代走は植田。小幡が犠打を決めて1死三塁とした。迎えた代打渡辺がマルティネスの6球目の直球をはじき返した当たりは、遊撃へのゴロ。植田は一心にホームを目指して激しくヘッドスライディング。しかし、間一髪のタイミングで本塁生還を阻まれ、同点とはならなかった。立ち上がった植田のユニホームの右肩部分はビリビリに破れ、1点の攻防での激しさを物語っていた。

◆首位阪神が接戦を落とし、開幕からの巨人戦連勝が「5」、チームの連勝も「6」で止まった。この日は2月3日に91歳で亡くなった元阪神監督の吉田義男さんの追悼試合。ナインが永久欠番23を背負った一戦を、勝利で飾れなかった。初回2死一、二塁で5番大山悠輔内野手(30)の3試合連続適時打となる左前適時打で先制。だが、2回以降は巨人継投の前に1安打に抑えられた。プロ入り2度目の先発マウンドに上がったドラフト1位の伊原陵人投手(24)は3回1死二、三塁、吉川の二ゴロの間にプロ初失点。2回の時点で球団新人では61年ぶりとなるデビュー戦から15回連続無失点を記録したが、連続無失点は15回1/3で途切れた。それでも智弁学園の先輩、岡本和を3打数無安打に抑えるなど6回1失点と試合を作った。試合は1-1で迎えた9回1死三塁、守護神の岩崎優投手(33)が代打岸田に勝ち越しの左前適時打を献上。9回裏は巨人守護神マルティネスから1死三塁の好機をつくったが、ホームが遠かった。

◆巨人が接戦をものにし、連敗を5で止めた。同点で迎えた9回表。トレイ・キャッベジ外野手(27)の左翼線への二塁打と萩尾匡也外野手(24)の犠打で1死三塁のチャンスをつくると、代打岸田行倫捕手(28)の左前適時打で勝ち越しに成功した。この日は2月3日に91歳で亡くなった元阪神監督の吉田義男さんの追悼試合として行われ、今季の対阪神戦の連敗を5で止めた。試合後、阿部慎之助監督(46)は吉田さんについて問われると「素晴らしい功績を残された方なんでね。私事ですけど、85年は当時はタイガースファンだったんで、日本一の映像とか、さっき試合前見させていただいたんですけど、すごく懐かしい映像だなと思って見てました」と語った。阪神戦については「本当に総力戦。向こうも必死ですし、うちも必死だったので素晴らしい勝ち方だったなと思います。こういう僅差のゲームがタイガース戦多いですし、相手のピッチャーも素晴らしい投手そろっている。本当にワンチャンスつかむかつかまないか紙一重の勝負を毎回やっているので、その中で今日は最後もぎ取ることができて良かったと思ってます」。開幕から約1カ月が経過し「僕の至らない采配とかあって負ける試合も多いんですけど、とにかく今、貯金が2つですかね。みんなの、選手の力でなんとか貯金を作れてるって状況なんで、ほんと焦らずね、やっていきたいなと思います」と話した。

◆阪神が巨人に競り負け、今季最長だった連勝が6でストップした。今季の巨人戦連勝も5戦5勝でストップ。この日は2月3日に91歳でなくなった元阪神監督の吉田義男さんの追悼試合として行われ、ナインは永久欠番23を背負ったが、白星で飾ることはできなかった。試合後、藤川球児監督(44)は「みんな勝とうとする姿はね。タイガースもそうですし、ジャイアンツもそうですし、真剣勝負をやっていますから」と悔しそうに振り返った。9回に登板し、代打岸田に決勝の左前適時打を献上し今季初黒星となった岩崎優投手(33)については「全然問題ないですね。投球自体も全く問題ないですね。ただ1点が入ったというところ」と責めず。初回の1点止まりとなった打線についても「どの試合もそうなりますからね。そのタイミングで一本出るか出ないか。両チームともですね。その勝負をしている」と冷静に1点の攻防を振り返った。

◆今季初先発の巨人堀田賢慎投手(23)が役目を果たした。初回は大山に先制打を浴びるなど25球を要したが、2回以降はテンポの良い投球で5回2安打1失点。「チームが勝てるようなピッチングをしようと思って(試合に)入ったので、チームが勝ったのがすごくうれしい」と喜んだ。阿部監督も「すごく粘り強く投げていたので。次回もあると思います」と次週も先発起用する可能性を示唆した。

◆阪神の1番近本光司外野手(30)が「神走塁」で先制点を奪い取った。初回に中前打で出塁し、中野の犠打で二進。5番大山の左前打でホームへ激走した。スライディングしながら右手を伸ばしてよけ、反対方向へ体をひねって捕手甲斐のタッチをかいくぐった。巨人はリクエストを要求するも判定は変わらず。試合後は「まあ、野球やってたら、そんなもんです」と冷静に振り返った。

◆阪神前川右京外野手(21)の連続試合安打は14でストップした。4打席無安打のまま迎えた9回表の守備中、無死二塁となって熊谷と交代。6回の第3打席には三邪飛に倒れており「ああいう打席をしていたら、数字は残ってこない。そこは反省したい。火曜日から、もう1回再スタートして頑張りたい」と唇をかんだ。4月8日ヤクルト戦(甲子園)から前日26日巨人戦まで14試合連続安打をマークしていた。

◆阪神木浪聖也内野手(30)がバットで存在感を見せつけた。1点を追う9回、先頭で代打登場。巨人守護神マルティネスの高め154キロ直球を捉え、右翼線二塁打で好機をつくった。「速いのは分かっていたので、しっかりイメージして、チャンスメークできたのが本当に良かった」。19日広島戦(甲子園)で1試合3失策を喫し、翌戦からスタメン落ち。12日中日戦(甲子園)以来、出場6試合ぶりのHランプとなった。

◆巨人は「総力戦」で宿敵阪神から今季初勝利を挙げ、同カードの連敗を「5」で止めた。投げては、巨人堀田賢慎投手(23)が今季初先発で5回1失点と好投。リリーフ陣5人による無失点リレーでつないだ。打っては、9回1死三塁で代打岸田行倫捕手(28)が阪神の守護神岩崎から決勝打を放った。投打がかみあい連敗のトンネルを脱出した。ハングリー精神に燃える役者の意地で、連敗のトンネルを脱出した。同点の9回。先頭キャベッジが左翼線への二塁打で復帰後初安打をマークした。1軍昇格したばかりの萩尾が犠打を決め、1死三塁をつくると、代打に送られたのは岸田だった。「なんとか前に飛ばして。三振だけが一番ダメな場面なので」と、気持ちで打った一打は前進守備を敷いた三遊間を抜けた。打球が外野に抜けたのを確認すると、右手こぶしを何度も突き上げて雄たけびをあげた。この瞬間、虎党が大多数を占めるアウェー空間の中で、左翼席後方から負けじと応援していたG党の大歓声が甲子園を包み込んだ。岸田は昨季、チーム最多の72試合でマスクをかぶった。キャリアハイを更新する4本塁打を放つなど攻守で存在感を示したが、今季から甲斐が加入したため、出場機会が減少。それでも、この日は代打としてチームに大きな1勝をもたらし「腐らずにやることは当たり前なので。今日みたいな場面はあると思うので、しっかり続けていきたい」。阿部監督も「代打って難しいですし、その中で素晴らしいなと思いますしね。試合出たくて多分うずうずしてると思うので。そういうのがああいう結果につながってくれてうれしいなと思います」とたたえた。「いぶし銀」と呼ぶにはまだ早い。岸田は「悔しい気持ちはありますけど、何もしなかったら一緒。これを自信にまた与えられたところで頑張っていきたい」と笑顔で話した。今季初先発した堀田の好投。救援陣の無失点リレー。代打岸田の殊勲打。すべてが勝ちにつながった。「本当に総力戦で向こうもね、必死でしたし、うちも必死だったんでね。素晴らしい勝ち方だった」と指揮官。ホームで3連敗を喫し、甲子園に乗り込んでからも2連敗。開幕から苦しんだ宿敵から、大きな1勝をつかんだ。【佐瀬百合子】

◆阪神の大山悠輔内野手(30)が3試合連続適時打を決めた。初回2死一、二塁で巨人先発堀田の132キロスプリットを振り抜き、三遊間を破る左前打で近本が先制のホームに滑り込んだ。ただ、第2打席で四球を選んだ後は2三振。「いいところも悪いところもありますけど、勝つか負けるかなので、そういう意味ではまだまだだと思う。1試合1試合しっかり頑張っていきたい」。29日からの9連戦へ気持ちを切り替えていた。

◆マウンド上の背番号23が妙にしっくりきていた。阪神ドラフト1位の伊原陵人投手(24)が球団新人61年ぶりの快記録を達成した。「素晴らしい背番号をつけてユニホームを着て投げさせてもらえるのは、当たり前のことじゃない。球団の歴史を築いた方の背番号を背負えたことは大きい」プロ野球選手としては小柄な男の背中に「23」の数字が映えた。吉田義男さんの追悼試合。前回登板した20日広島戦(甲子園)でプロ初先発初勝利を挙げた新人左腕も、永久欠番を背負った。2回まで無失点。3回1死二、三塁から内野ゴロの間に失点したが、開幕からの連続無失点を15回1/3まで伸ばした。阪神新人が開幕から15回以上連続無失点を続けたのは、64年に16回連続無失点を記録した古沢以来の快挙となった。4回以降は追加点を許さず、入団後最長の6回を投げきり1失点。「最少失点で抑えることも大事なので、そこは良かった」と話しつつ「ゼロに抑えるに越したことはないし、反省するところがたくさんある。勝たないと意味がない」。次回以降のさらなる躍動へ、粘投にも満足はしなかった。この日は岡田彰布オーナー付顧問がテレビ中継の特別ゲストを務めた。左腕の姿に「身長を見たら23のユニホームが一番似合っているかも。吉田さんのね」とニヤリ。投球は「ベースの上でボールが来ているというか、落ちないですよね。伸びてくるというか」と評価していた。吉田さんは身長167センチの体格でレジェンドとなり、くしくもルーキー古沢が16回連続無失点を記録した64年の優勝にも貢献している。「チームが勝つために自分のできることを一生懸命することが、今一番自分に必要なこと」。身長170センチの伊原はそう言葉に力を込めた。チームにとっても大きな存在となりつつある左腕。藤川監督は「素晴らしかったですね。また、次の登板、まだまだ伸びしろを感じますね」と絶賛した。チームも伊原も、まだ栄光への旅路を進み始めたばかりだ。【塚本光】

◆天国のよっさんに白星を届けられず...。阪神が巨人に競り負け、今季最長だった連勝が6で止まった。今季の開幕からの巨人戦連勝も5戦5勝でストップした。この日は2月3日に91歳で亡くなった元阪神監督の吉田義男さんの追悼試合として行われ、藤川球児監督(44)らナイン全員が永久欠番23を着用した。7連勝とはならなかったが、首位はキープ。吉田さんにリーグ王座奪還の報告を届けるため、29日中日戦(バンテリンドーム)からの9連戦で再び白星街道を走る。タテジマの「23」が聖地のグラウンドに並んだ。2月3日にこの世を去った吉田さんが背負い続けた永久欠番。阪神ナイン全員が力を借りて戦ったが、弔い星にはあと1歩届かなかった。1-1で迎えた9回。守護神岩崎が先頭のキャベッジに左翼線二塁打を許し、1死三塁から代打岸田に決勝の左前適時打を浴びた。「投げ切れていたら...。(走者を)出した後、粘れたら良かった」。ここまで9セーブを挙げる左腕が、悔しい初黒星を喫した。吉田さんの追悼試合として行われたこの日、試合前に黙とうをささげ、喪章をつけて戦いに臨んだ。試合は膠着(こうちゃく)状態のまま最終回を迎える熱戦。藤川監督は試合後、神妙な表情で言葉を紡いだ。「みんな勝とうとする姿はね。タイガースもそうですし、ジャイアンツもそうですし、真剣勝負をやっていますから」巨人は吉田さんがずっと勝利への執念を燃やした永遠のライバル。監督就任の際に激励の言葉を託した若き指揮官の戦いぶりを、きっと空の上から見守ってくれているはずだ。今季最長だった連勝は6でストップ。巨人戦の連勝も開幕から5戦5勝で止まったが、2位広島との1・5ゲーム差はキープした。戦いはまだ始まったばかりだ。藤川監督は試合後、岩崎を責めなかった。「全然問題ないですね。投球自体も全く問題ない。ただ1点入ったというところ」と揺るぎない信頼を強調した。初回の1点止まりとなった打線にも泰然自若。「どの試合もそうなりますからね。そのタイミングで1本出るか出ないか。両チームともですね。その勝負をしている」。視線はもう次戦に向いている。29日中日戦からは9連戦が始まる。再び連勝街道へ。吉田さんの闘志を受け継ぎ、シーズンの最後にV奪回の報告を届けてみせる。【磯綾乃】▽阪神岩貞(7回に2番手で登板。ピンチ招くも無失点)「抑えられたのでよかった。マウンドに上がったら、3つのアウトを取ることに集中するだけ」▽阪神桐敷(8回、吉川の折れたバットが足に直撃。1度ベンチに下がるもプレー続行)「大丈夫です。先頭を出してしまったが、それなりに粘ってゼロでいったのは良かったです」▽阪神渡辺(前日は同点打も、9回の同点機に代打で遊ゴロ)「せっかくいい形で回ってきたのに、打てなくて申し訳ない。素直に力負けした感じです」▽阪神植田(1点を追う9回に代走で出場し、1死三塁から遊ゴロで本塁に突っ込みアウト)「(ゴロなら)行くって感じでスタートした。いいボールが来たし、難しかったですね」

◆日刊スポーツの名物編集委員、寺尾博和が幅広く語るコラム「寺尾で候」を随時お届けします。甲子園に永久欠番が復活した。現役時代は"牛若丸"とうたわれ、阪神監督で球団初の日本一に導いた吉田義男さんの追悼試合が、甲子園球場の巨人戦で行われた。チーム全員が背番号23をつけた。メジャーリーグでは毎年、初の黒人選手として活躍したジャッキー・ロビンソンの背番号42を全選手がつけてプレーする「特別な日」がある。これを見ながら吉田さんはつぶやいた。「あれ、ええな...」長女の智子さんは、父親が米球界で毎年「ジャッキー・ロビンソン・デー」が設定されていることをうらやんだのを覚えていた。「先人の方と同じ背番号をつけて試合をする姿を見ながら、父が『あれ、ええな...。おれもあんなんやってくれんかな』と言うんです。今思えば、すでに自分の最期を感じていたような気がします」この日は智子さん、次女の範子さんら子供、孫、ひ孫を含めて計13人のファミリーが追悼試合を生観戦した。吉田さんが愛用した紺色の帽子、バッグを持参した。現役時代の吉田さんが「巨人を倒してこそ、優勝の値打ちがある」とたたき込まれたのは、藤本定義監督だった。それから「伝統の一戦」は血が騒ぐ舞台になった。阪神歴代選手で巨人戦に出場したのは吉田さんの425試合が球団史上最多。監督として指揮をとった210試合も最多の数字だ(2位藤本定義氏190試合、3位岡田彰布氏170試合)。まさに「打倒巨人」の申し子は2月3日、脳梗塞で静かに息を引きとった。背番号23と同じ日に91年の天命をまっとうするのだから、死期のタイミングまではかったとしたら、劇的としか言いようがなかった。創立から90年の伝統球団で、日本一監督が吉田さんと岡田彰布さんの2人しかいないのは異例といえるだろう。だがそれは阪神監督の過酷さを示しているのかもしれない。監督時代の吉田さんの自宅には、試合に敗れた後は連日抗議の電話が夜中まで鳴り響いた。東京から嫁いできた篤子(とくこ)夫人は「関西弁が外国語のようで分からないし怖かったです」と振り返った。智子さんも「電話が終わったかと思えば、話し中だった電話がかかってきました」と黒電話の上に座布団をかぶせても効果はなかった。学校からの連絡もつながらず、吉田家にはもう1本別の回線を引き、2台の電話があった。とにかく電話が鳴りっぱなしの家で、夕食はお通夜のような毎日だったという。それでも篤子夫人は「何か夢を持って、それを追い続ける主人をうらやましく思っていました」と黙って支え続けた。1985年(昭60)に21年ぶりのリーグ優勝、日本一を果たしたが、2年後の87年は最下位に転落した。球団史上最低勝率(3割3分1厘)のどん底で、マスコミも激しい批判を浴びせて降ろしにかかった。ただ大徳寺の老師で、終生の師となった盛永宗興から諭された。「2年前に優勝した時に、誰よりも選手を見極めたのは、あんたじゃないか。それが調子が悪いからと途中で投げ出してどうする。どんなにつらくても、ボロボロになっても、一身に泥をかぶって、みっともない姿をさらけ出して辞めたらいい」阪神電鉄本社には、コーチ刷新を条件に留任を検討する案もあった。だが最後まで吉田監督は指揮をとって"一蓮托生(いちれんたくしょう)"を貫いたのだ。自ら潔くクビになって帰ってくると、待ち構えたコーチ陣から拍手を受けたという。普通の家庭とはかけ離れた生活に、次女の範子さんは早くから実家を出ている。「父と話をするなんて恐れ多かったです」。しかし85年セ・リーグ優勝の翌日、父親に内緒で都内の選手宿舎に会いに行った。「わたしに気付いてくれた父が『優勝したわ!』と手を差し伸べて笑顔で握手をしてくれたんです。あの時だけは父の喜ぶ姿を独占できたような気がして、とてもうれしかったです」阪神監督を計3度、8シーズン務めた吉田さんは、フランス・ナショナルチームでも指揮をとった。欧州各国はもちろん、アパルトヘイト政策が廃止になった直後の南アフリカにも遠征した。ケープタウンに行ったかと思えば、風土病の予防注射を打ってニカラグアでも試合をした。缶詰を食べながら転戦するなど、世界30カ国・地域で采配を振ったプロ野球監督は見当たらない。真夜中までのいたずら電話でノイローゼ気味になった篤子夫人は胃潰瘍になった後、全摘手術を受けるほど大病を患った。だから吉田さんも内助の功には感謝してもしきれなかった。「こちらは炭屋のこせがれ、むこう(篤子夫人)は深窓で育っているから苦労したと思いますわ。2人の娘を厳しく育てながら、わたしの道に文句を言わずに、よく辛抱してついてきてくれました」阪神が生え抜きで、功労者の吉田さんに対して営んできた、お別れの会、一般献花式、追悼展、試合など追悼行事の数々は、球団史上最大規模になった。監督業の厳しさを父親と一緒に味わってきた愛娘らファミリーも、偉大なる追悼試合を見守った。背番号23がキラキラと輝いた時代を脳裏に浮かべながら...。これで1つのケジメがついた。【編集員=寺尾博和】

◆6連勝中の阪神は大山悠輔内野手(30)が2戦連続勝利打点を記録と好調。この日も巨人から勝利を収めて開幕6連勝とすれば、88年ぶりとなる。先発は20日にプロ初先発初勝利をマークしたD1位・伊原陵人投手(24)。なおこの試合は 今年2月に死去した吉田義男さんの追悼試合として行われ、阪神の全選手が背番号「23」のユニホームを着用して戦う。

◆2月に他界した吉田義男さんの追悼試合として開催され、試合前に故人を偲ぶ催しが行われた。球場のスクリーンで特別映像が放映されたのち、約30秒間の黙とうがささげられた。半旗が掲げられ、阪神の選手は全選手が背番号「23」のユニホームを身にまとい、右肩には喪章をつけて戦う。

◆体調不良で休養していた阪神前監督の岡田彰布オーナー付顧問(67)が甲子園を訪れ、テレビ朝日系「スーパーベースボール 阪神×巨人」のゲスト解説を務めた。少々声を出しにくそうにしながらも、今のチーム状態について「すごく投打ともよくなった」と目を細めた。今年2月に91歳で亡くなった吉田義男さんの追悼試合。選手全員が背番号23をつけた。昨季まで監督を務めた岡田顧問は3月28日の広島との開幕戦(マツダ)でテレビ解説を務めたが、その後、京セラドーム、甲子園開幕戦でのセレモニーをいずれも欠席し、4月下旬まで入院していた。

◆阪神の先発、ドラフト1位の伊原陵人投手(24)=NTT西日本=がプロ2度目の先発マウンドに上がった。先頭の泉口を左飛、続く若林を空振り三振。吉川尚に四球と2死一塁の場面で奈良・智弁学園高の先輩にあたる4番の岡本とプロ初対戦を果たした。3球目、122キロフォークで打ち取って右飛。注目の智弁対決第1Rは伊原に軍配が上がった。この一戦は体調不良で休養していた阪神前監督の岡田彰布オーナー付顧問(67)がテレビ朝日系「スーパーベースボール 阪神×巨人」のゲスト解説を務めている。注目のドライチ左腕について、岡田顧問は「投げっぷりがいい」と評価。また、今年2月に91歳で亡くなった吉田義男さんの追悼試合として行われ、選手全員が背番号23をつけている。身長170センチの伊原に岡田顧問は「身長見たら23のユニホームが一番似合っているかも」と話した。

◆阪神・大山悠輔内野手(30)が先制の左前適時打を放った。一回2死一、二塁で打席へ。堀田の132キロ変化球を引っ張った。三遊間を抜けた打球に、二走・近本が一気にホームへ。きわどいタイミングも判定はセーフ。巨人ベンチがリクエストを要求も判定は覆らなかった。同学年の近本が〝神走塁〟でアシストし、大山は3試合連続打点をマーク。このまま勝利すれば、3試合連続の決勝打となる。

◆試合前に、90万円のプレミアムチケットに当選した蛯原稜久(りく、小6)くんと、瑳久(さく、小4)くんの2人がファーストピッチを行った。栄枝裕貴捕手(26)にワンバウンドでボールを投げた稜久くんは「僕はプロ野球選手になりたいんですけど、もっとプロ野球選手になりたくなりました」と声を弾ませた。32組の応募が集まった同チケットに当選したのは、東京都在住の蛯原さん一家。稜久くん、瑳久くんと、大の阪神ファンの父・久敬さん、母・弘美さんの4人で来阪した。26日は「ザ・リッツ・カールトン大阪」に宿泊し、夕食前には、掛布雅之OB会長(69)と会談を行った。この日はリムジンで球場入りすると、阪神の試合前練習を見学。稜久くんは近本光司外野手(30)、瑳久くんは佐藤輝明内野手(26)と憧れの選手との対面を果たし、稜久くんは「緊張して喋れなかった」と話すと、瑳久くんは「ホームランをいっぱい打つところが好き。体めっちゃ大きかったです!」とゴールデンウイークに最高の思い出を作った。

◆阪神・大山悠輔内野手(30)が先制の左前適時打を放った。一回2死一、二塁で打席へ。堀田の132キロ変化球を引っ張った。三遊間を抜けた打球に、二走・近本が一気にホームへ。きわどいタイミングも判定はセーフ。巨人ベンチがリクエストを要求も判定は覆らなかった。同学年の近本が〝神走塁〟でアシストし、大山は3試合連続打点をマーク。このまま勝利すれば、3試合連続の決勝打となる。「打ったのはフォーク。伊原の為にも先制点が欲しい場面でした。近本のいい走塁のおかげで欲しかった先制点を取ることができたので、ここからも集中して頑張ります」とコメントした。

◆阪神の先発・伊原陵人投手(24)が三回、プロ初失点を喫し、試合は振り出しとなった。一回に1点の援護をもらって迎えた三回。投手の堀田に安打を浴びてから連打と犠打で1死二、三塁となり、吉川の二ゴロの間に1点を失った。試合前まで7試合13回1/3を無失点だった伊原は、8登板、17イニング目でプロ初失点を喫した。なおも2死三塁で奈良・智弁学園高の先輩にあたる岡本との勝負となったが、高めの直球で空振り三振を奪い、最少失点で切り抜けた。

◆阪神の先発・伊原陵人投手(24)=NTT西日本=が6回1失点で降板。初めての伝統の一戦での先発で、役割を果たした。20日のプロ初勝利から2連勝を目指した左腕。一回に1点の援護をもらうと、序盤からテンポの良い投球を見せる。三回には2本の安打と犠打で1死二、三塁から内野ゴロの間にプロ初失点を喫して同点に追いつかれたが、以降は得点を許さなかった。5回75球だった前回登板を更新する6回93球の力投。1-1のまま降板したため、2勝目の権利は得られなかった。七回のマウンドには岩貞が上がった。

◆阪神の先発・伊原陵人投手(24)=NTT西日本=が6回1失点で降板。初めての伝統の一戦での先発で、役割を果たした。20日のプロ初勝利から2連勝を目指した左腕。一回に1点の援護をもらうと、序盤からテンポの良い投球を見せる。三回には2本の安打と犠打で1死二、三塁から内野ゴロの間にプロ初失点を喫して同点に追いつかれたが、以降は得点を許さなかった。5回75球だった前回登板を更新する6回93球の力投。1-1のまま降板したため、2勝目の権利は得られなかった。七回のマウンドには岩貞が上がった。伊原は「自分の投球スタイルを変えることなくゾーンで勝負することができました。ボール先行で甘くなって打たれてしまったり課題も出ましたが、最小失点で粘り強く投げれたところはよかったと思います。」とコメントした。

◆阪神の3番手・桐敷拓馬投手(25)に折れたバットが直撃するアクシデントがあった。1-1の八回に登板した桐敷。先頭の増田陸に安打を浴びて無死一塁から、吉川への3球目だった。速球で押し込んで二ゴロとしたが、へし折ったバットが回転しながら桐敷へ。よけきれず右すね付近に直撃し、安藤投手チーフコーチ、トレーナーとともにいったんベンチに引き揚げた。しばらくしてマウンドに戻ったが、続く岡本に安打を浴びて一、二塁に。それでも甲斐を8球目で三ゴロ併殺に仕留めて無失点。直撃の影響を見せない投球で甲子園を沸かせた。

◆阪神が1-2で巨人に敗れ、連勝は6でストップした。打線は一回2死一、二塁で大山の左前適時打で先制。1ー1で迎えた九回に4番手で登板した岩崎が1死三塁から代打・岸田に左前への勝ち越し適時打を許した。先発した伊原は6回4安打1失点、5奪三振。三回に2本の安打で招いた1死二、三塁から吉川尚の内野ゴロの間に1-1の同点とされたが、、先発の役割を果たした。

◆一回2死一、二塁、阪神・大山悠輔の左前打で二塁から生還した近本光司 =甲子園球場(撮影・甘利慈)

◆巨人が阪神戦の開幕からの連敗を5で止めた。継投で勝機をつなぎ、1―1の九回1死三塁から代打岸田の左前打で勝ち越した。岩崎が今季初黒星の阪神は連勝が6で止まった。打線は九回の同点機を生かせず、4安打で1得点どまり。

◆巨人は今季全敗を喫していた対阪神6試合目で待望の初勝利。77年ぶりとなる阪神戦開幕5戦5敗の屈辱に終止符を打ち、阿部慎之助監督(46)は「ほんとね、総力戦で向こうも必死でしたし、うちも必死だったんでね。素晴らしい勝ち方だった」と選手たちを労った。1-1の九回1死三塁で代打に起用した岸田が左前に決勝打を放った。指揮官は「もうここで勝負かけるっていうのは決めてたんで、そのあと、長野も用意したし。もう勝負かけました。(岸田は)試合出たくて多分、うずうずしてると思うんで。そういうのがああいう結果につながってくれてうれしい」と語った。 開幕から1カ月が経つ中で、貯金を2とし「僕のね、至らない采配とかあって、負ける試合も多いんですけど、とにかく今、貯金が2つっていうのは選手の力でなんとか貯金を作れているって状況なので、焦らずやっていきたいなと思います」とした。

◆阪神の巨人戦開幕連勝が「5」で止まった。九回、岩崎優投手(33)が二塁打と犠打で1死三塁の窮地を招き、代打岸田行倫捕手(28)に決勝打を浴びた。岩崎は初黒星(9S)。初登板から13回?を投げて、ゼロを並べたD1位・伊原陵人投手(24)=NTT西日本=は三回1死二、三塁で二ゴロの間に初失点。6回を投げ、93球4安打5三振2四球1失点でマウンドを譲った。4打数無安打の前川右京外野手(21)の連続試合安打は「14」で止まった。2月3日に91歳で亡くなった元阪神監督・吉田義男氏の追悼試合として行われ、ナインは「23番」のユニホームで臨んだ。

◆阪神の巨人戦開幕連勝が「5」で止まった。九回に登板した岩崎優投手(33)が二塁打と犠打で1死三塁の窮地を招き、代打岸田行倫捕手(28)に決勝打を浴びた。岩崎は12試合目の登板で初黒星(9S)。D1位・伊原陵人投手(24)=NTT西日本=は三回1死二、三塁で二ゴロの間に初失点。6回4安打5三振2四球1失点でマウンドを譲った。4打数無安打の前川右京外野手(21)の連続試合安打は「14」で止まった。

◆中日、西武、阪神で通算1560安打を放ち、楽天初代監督を務めたサンケイスポーツ専属評論家の田尾安志氏(71)は九回1死三塁の阪神の攻撃で渡辺諒内野手(29)の遊ゴロで植田海内野手(29)が本塁憤死した場面を振り返った。吉田義男さんの追悼試合にふさわしい好ゲームだった。トレードで阪神に移籍した1987年の1年だけ、吉田監督の下でプレーしたが、16年間のプロ野球人生でワーストの成績になってしまった。今も、申し訳ない気持ちになる。敗れはしたが、藤川監督の采配は、やるべきことをすべてやった印象。唯一、引っ掛かったのは九回。1死三塁、代打・渡辺の場面で、ギャンブルスタートのサインだった。結果的に打球が前進守備の遊撃真正面に転がって、三走・植田は本塁で憤死になった。次打者は近本。昨年のマルティネスとの対戦成績(3打数2安打)を考えると、最悪、走者を三塁に置いて、近本を打席に送りたいケースだ。植田も走塁のスペシャリスト。打球の飛んだ方向によって突入するかどうかを決める「植田の打球判断に委ねる」というサインのほうが良かったのではないか。ただ阪神の勢いが止まった印象はない。何より投手陣の安定は抜群。しばらくは好調を維持するのではないか。

◆巨人・大勢投手(25)が1-1の八回を三者凡退に抑え、直後の勝ち越しを呼び込んだ。最速157キロで圧巻の投球。「流れを持ってこられるようなピッチングをしたいと思っていた」と3つ目のアウトでほえた。九回の攻撃中には、ベンチ前でキャッチボール。「行けといわれたら行く。準備はしていた」と回またぎも辞さなかった右腕が2勝目をマークし、「粘って一勝したのはチームにとっても大きい」とうなずいた。

◆歯に衣着せぬ〝アレ〟が帰ってきた。球場外周で仕事終わりを見送った虎党が声をそろえる。「岡田さん、お帰りなさい!」。体調不良で開幕後の球団イベントなどを欠席していた阪神・岡田彰布オーナー付顧問(67)が〝実戦復帰〟だ。テレビ朝日系「スーパーベースボール 阪神×巨人」のゲスト解説として、元ソフトバンク監督の工藤公康氏(61)、元阪神の能見篤史氏(45)と放送席に入った。FA宣言しながら残留した大山悠輔内野手(30)について「残ってよかったんじゃないですか。なかなか巨人にいったら、甲子園にこれないですよ」とニヤリ。連敗していた巨人については「ビッグイニングがない。勢いに乗れない」と切れ味鋭かった。岡田顧問は3月末から体調を崩して入院。ホーム開幕の1日のDeNA戦(京セラ)や甲子園開幕の8日のヤクルト戦での試合前のイベントを欠席し、3月25日に大阪市内で行われた吉田義男氏のお別れ会に出席した際は「監督、大事な時に声が出ないんです」とかすれた声で弔辞を読み上げていた。22日の退院後、公の場に姿を見せたのは初。体調は心配されるが岡田節は健在だった。七回1死、左腕の中川皓太投手(31)に対して代打・糸原健斗内野手(32)がコールされると、左腕が少ない相手のブルペン事情を踏まえ「(右打者の)渡辺を置いておいても仕方がない。ここで渡辺をいっておかないと。ここからワンポイント(継投)はないよ」とキッパリ。その渡辺諒内野手(29)は1-2で迎えた九回1死三塁の好機、ライデル・マルティネス投手(28)に対して代打出場も痛恨の遊ゴロで得点できず。岡田顧問は「左のときにナベ(渡辺)を使っていたら、(左打者の)楠本でいけたんだけど。迷うよね。てんびんになってくると、迷ってしまうよね」と残念がった。阪神は1点差で敗戦も、ファンは元気に帰ってきた岡田顧問を一目見ようと試合後、球場外周に詰めかけた。大声援を背に軽やかな足取りで帰宅の途につく。岡田節を誰もが待ち望んでいた。(原田遼太郎)

◆阪神・植田海内野手(29)は1点を追う九回に二塁打を放った木浪聖也内野手(30)の代走として出場。1死三塁の場面で、代打・渡辺諒内野手(29)の遊ゴロに本塁突入したが、憤死した。「行く、という感じでスタートを切れました。いいボール(返球)が来たし、難しかったですね」と悔しそうだった。

◆八回から3番手で登板した阪神・桐敷拓馬投手(25)は無死一塁で吉川を二ゴロに打ち取ったが、折れたバットが回転しながら、右すね付近を直撃。一度、治療のためベンチに下がった。マウンドに戻り、続く岡本に安打を浴びて一、二塁とされたが、甲斐を三ゴロ併殺に仕留めた。試合後は自力で歩き「大丈夫です」と問題なし。「それなりに粘ってゼロでいったので良かったです」と、5試合連続無失点とした。

◆阪神・大山悠輔内野手(30)が攻守で意地を見せた。一回2死一、二塁では先制の左前適時打。6試合連続安打、3試合連続打点をマークした。八回1死一、二塁のピンチでは三塁・佐藤輝明内野手(26)からのワンバウンド送球を好捕し、併殺を完成。痛恨の敗戦も「勝つか負けるかなんで、そういう意味ではまだまだ。一日空いて9連戦なので一試合一試合しっかり頑張っていきたい」と前を向いた。

◆2日連続の快音はかなわなかった。1-2の九回1死三塁で代打出場した阪神・渡辺諒内野手(29)は遊ゴロに倒れ、三走・植田海内野手(29)が本塁憤死。「せっかく良い形で回ってきたのに、打てなかったので申し訳ない」。26日は五回2死二塁で代打出場し、同点の中前打。この日はマルティネスの153キロ直球に屈し「真っすぐを狙いながらだった。力負けした」と唇をかんだ。

◆阪神・前川右京外野手(21)は3打数無安打に終わり、自己最長だった連続試合安打は14で止まった。一回の打席ではインハイの直球が右上腕部に当たる死球を受けるなどバッテリーの攻めも厳しさを増してきた。快音が途切れたが「悔しいですけど、また火曜日からもう一回スタートして頑張ります」と、努めて前を向いた。

◆阪神・近本光司外野手(30)は一回先頭で中前打で出塁して大山悠輔内野手(30)の左前打で本塁に生還。先制点の起点となり「得点につながってよかった」と振り返った。五回には四球を選び、リーグ単独トップとなる今季6個目の盗塁成功。リードオフマンの役割を果たしている。

◆阪神・木浪聖也内野手(30)が1-2で迎えた九回先頭で代打出場。マルティネスの154キロ直球をはじき返し、右翼線二塁打を放った。「球が速いというのは分かっていた。その中で、どう準備して打席に入るかが大事。ああやってチャンスメークできたのは良かった」と胸を張った。19日の広島戦(甲子園)では自己ワーストタイの3失策で、その後、スタメンから外れている。「出るところでしっかり活躍するという意味では先頭で出ることだったので良かったと思います」と力を込めた。

◆一打席に懸ける思いを乗せた打球が、三遊間を破った。巨人・岸田行倫捕手(28)が九回、代打で勝ち越しの左前適時打。拳を握って喜びを爆発させた。「三振が一番駄目な場面で、何とか前に飛ばそうと思った。どんな形でも一点が欲しかった。ああいう場面は久しぶりだったので緊張した」今季の阪神戦6試合目での初勝利に導いた。1-1の九回、先頭のキャベッジが左翼線へ二塁打を放ち、萩尾の犠打で1死三塁。岩崎の直球を振り抜き「ああいう場面で代打に送り込んでもらえるのはうれしい。結果を自信にしたい」とはにかんだ。巡ってきたチャンスをものにした。昨季はチーム最多の72試合で先発マスクをかぶったが、今季は試合前時点で途中出場5試合のみ。昨オフにソフトバンクからフリーエージェント(FA)権を行使して加入した甲斐が正捕手を務めており、ベンチを温める時間が続いていた。「悔しい気持ちはあるけど、そこで何もしなかったら結局一緒。与えられた場面で自分の仕事ができるように」と準備を怠らない姿勢が結果につながった。宿敵にこれ以上負けられなかった。阪神戦の開幕からの5戦5敗は1948年以来77年ぶり。この日も敗れて6戦6敗となれば、37年秋(7戦7敗)以来88年ぶりの屈辱となるところだったが、総力戦で阻止。代打策が的中した阿部監督は「ここで勝負をかけると決めていた。(岸田は)試合に出たくてうずうずしていると思う。ああいう結果につながってくれてうれしい」と一振りで決めたヒーローをたたえた。(原田優介)

◆何度もピンチをしのいできた絶対的守護神が、連敗を止めたい巨人の意地に屈した。阪神・岩崎優投手(33)が投じた甘めの真っすぐが左翼前にはじき返されると、決定的な1点を許した。「(ランナーが)出てしまったものはしようがない。出した後、粘れたら良かったですけど...」1-1の九回にマウンドに上がったが、いきなり先頭のキャベッジに左翼線二塁打を浴びた。さらに犠打を決められ、1死三塁。ゴロでも点が入ってしまう緊張感の中、ここで打席には代打・岸田が送られた。ボール先行からファウルでカウントを稼ぎ、2―2としたが、5球目に投じた直球が高めに浮いた。捉えられた打球は前進守備の三遊間を抜けた。リーグトップタイ9セーブのストッパーで連勝は6でストップ。昨年8月6日のヤクルト戦(神宮)以来の負け投手となり、今季初黒星。「投げ切れていたら...。(巨人の)マルティネスは投げきって遊ゴロでしたけど。投げ切れていたら、そういう形になったと思いますね」と悔やんだ。

◆天国のヨッさん、見てくれましたか? 阪神は巨人に1-2で競り負け、連勝は6でストップ。今季、伝統の一戦6戦目で初黒星を喫した。今年2月3日に91歳で亡くなった元監督、吉田義男さんの追悼試合で全員が永久欠番の背番号23を着用。6回1失点だったドラフト1位・伊原陵人投手(24)=NTT西日本=は吉田さんへの思いを語り、さらなる飛躍を誓った。追悼の意と、感謝の思いを胸に、特別なマウンドに上がった。背中と左胸には「23」の数字。これからの虎を背負っていく伊原は、臆することなく巨人の〝心臓〟岡本を直球でねじ伏せ、大きくグラブをたたいた。「こうして素晴らしい背番号をつけて、ユニホームを着て投げさせてもらえるということも、当たり前のことじゃない。僕がこの日に投げることになったということも偶然ですけど、本当にありがたい。今まで球団で歴史を築いた方の背番号を背負えたというのは、一つ、大きいと思います」2月に他界した吉田義男さんの追悼試合。球場は半旗が掲げられ、選手は左袖に喪章をつけた。

◆同点の八回裏から大勢。うん、これだ。エモトが前日26日の試合で論じた通り。大勢もマルティネスも、きっちり仕事をするのだから、同点のケースでも、惜しみなく使えばいい。それこそが勝利へのセオリーだと、わかったはずだよ。そもそも、こういう展開になったのは、ある程度、恐る恐る送り出した若手先発が、なんとか持ちこたえたから。裏返せば、両軍とも、打線の調子が上がりきっていない時期でもあるということ。それだけになおさら、八、九回に強力な2人がほぼ出てくるとわかっていれば、先発は心強くなり、投球内容もますます良い方向へ変わるはず。同時に、野手陣の士気も上がる。1点取れば勝つとの確信が持てれば、攻撃にも守備にも好影響が及ぶ。この日の九回の攻防が、まさにその産物だったではないか。もう一度、強調する。大勢もマルティネスも、バンバン使うこと。こんな時期に疲労がどうとか、気にする必要などない。登板過多で疲れがくるのはずっと先。9月の話だよ。(サンケイスポーツ専属評論家)

◆無念! 開幕からの対巨人6戦6勝ならず!! 悔しいけど、吉田義男さんの追悼試合にふさわしい、最後まで手に汗握る最上級のプロ野球の試合だったのだ。1点を追う九回、守備の乱れによりショートのポジションを奪われている木浪が、代打で意地の二塁打を放ち満員の甲子園を沸かせる。そして、木浪に代わりスタメンでショートに入っている次打者の小幡が、絶妙な送りバントを決めチャンスを広げたのだ...。その時、甲子園のはるか空の上(天国)からヨッさん(吉田義男氏)の「それでいいんですわ。競争が野球をうまくしてくれるんですわ。私もそうやって牛若丸と呼ばれるショートになったんですから!!」というニコやかな声が聞こえた気がしたのだ。いや、ハッキリ聞こえました。ヨッさん、木浪と小幡は虎の歴史に残る牛若丸超えのショート争いを必ずしてくれるから、安らかに眠ってくださ~い!!さて、試合ですが...連勝は6でストップ。連勝の後の連敗はプロ野球あるある。よって勝ってかぶとの大山悠輔で頼んまっせ!!

◆背番号23が投げて、背番号23が打って、背番号23が守る。走るのも背番号23。采配を振るうのも背番号23。阪神を長く取材してきたが、公式戦で背番号23がプレーするのは、初めて見た。もちろん、背番号23が、タイガースにとって大事な大事な永久欠番だから。1969年に吉田義男さんが現役引退してから、誰も背負うことがなかった。天国から追悼試合を見た吉田さんには、どう映ったのだろう?4代目ミスタータイガース掛布雅之は1988年限りで引退。偉大な背番号31は、しばらく空き番号になる。ふさわしい選手が現れるまでは、と。1992年。ドラフト1位で地元・大阪桐蔭高のスラッガー・萩原誠が入団。甲子園のヒーローに31番が託された。評論家として安芸キャンプにやってきた掛布は萩原の背中をジッと眺めてつぶやいた。「自分が31番を背負っている時は、背中は絶対に見えないじゃない。なるほど、こういう景色だったんだな、とすごく新鮮に感じたよ」世にも珍しい23番だらけの甲子園に、吉田さんも、そんな気持ちだったのかも。23番を背負って活躍したスター選手は他にいたっけ? ふと、疑問が沸いた。若きトラ番・中屋友那はしばし考えた後に...。「ヤクルトの青木宣親選手は23番でしたよね。後輩の山田哲人選手も23番からスタート。ヤクルトでは出世番号でしょう。でも、他球団ではあまり聞かないですね」そうなのだ。意外に少ない、23番のスター。

<セ・リーグ順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差残試合 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(-)
阪神
1491 0.609
(↓0.027)
-
(-)
11983
(+1)
65
(+2)
14
(-)
18
(+1)
0.242
(↓0.004)
2.360
(↑0.02)
2
(-)
広島
12101 0.545
(↓0.026)
1.5
(-)
12078
(+1)
61
(+2)
7
(-)
11
(+2)
0.246
(↓0.007)
2.290
(-)
3
(-)
巨人
13111 0.542
(↑0.02)
1.5
(↑1)
11887
(+2)
77
(+1)
17
(-)
14
(+1)
0.258
(-)
2.860
(↑0.07)
4
(1↑)
DeNA
9122 0.429
(↑0.029)
4
(↑1)
12074
(+2)
72
(+1)
7
(-)
7
(-)
0.222
(↓0.003)
2.840
(↑0.09)
4
(-)
中日
9122 0.429
(↓0.021)
4
(-)
12046
(+2)
69
(+6)
7
(-)
11
(-)
0.206
(-)
2.810
(↓0.14)
6
(-)
ヤクルト
8111 0.421
(↑0.032)
4
(↑1)
12361
(+6)
85
(+2)
7
(+1)
4
(-)
0.226
(↑0.002)
3.790
(↑0.1)