西武(★2対3☆)阪神 =オープン戦2回戦(2025.03.12)・ベルーナドーム=
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阪神
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西武
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勝利投手:ネルソン(1勝0敗0S)
(セーブ:畠 世周(0勝0敗1S))
敗戦投手:甲斐野 央(0勝1敗0S)
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◆西武は、古賀悠が適時二塁打を含む2安打の活躍。バットで存在感を示した。一方の阪神は、先発・デュプランティエが3回無失点5奪三振の投球。順調な調整ぶりを見せ、開幕ローテーション入りへ前進した。

◆阪神ジョン・デュプランティエ投手(30=ドジャース3A)、ニック・ネルソン投手(29=フィリーズ)、ハビー・ゲラ投手(29)が、1軍本隊に合流した。デュプランティエは先発予定。3選手はいずれも、11日は2軍施設「ゼロカーボンベースボールパーク」での残留練習で汗を流していた。11日に先発で4回を投げたドラフト1位の伊原陵人投手(24=NTT西日本)3番手で3回を投げた育成ドラフト3位早川太貴投手(25=くふうハヤテ)は姿を現さなかった。

◆阪神は新外国人のジョン・デュプランティエ投手(30=ドジャース3A)が先発マウンドに上がる。前回は5日の中日のオープン戦(甲子園)に先発し、2回3失点と苦しんだが、継続して投球フォームの確認を行い、開幕ローテーション入りに向けたアピールを図る。中野拓夢内野手(28)が「9番DH」で先発出場。高寺望夢内野手(22)が、「2番二塁」で7日のDeNA戦以来4試合ぶりにスタメンで出場する。

◆阪神新外国人のジョン・デュプランティエ投手(30=ドジャース3A)が、先発で速球中心の奪三振ショーを披露した。2回3失点と苦しんだ5日の中日とのオープン戦から中6日での登板。3回1安打2四球無失点で、いずれも空振りで5個の三振を奪う好投を披露した。初回先頭の西川に対して、153キロ、152キロの直球を投じ2球で追い込むと、この日最速の154キロ直球で空振り三振。好スタートを切った。3回には2死三塁のピンチを背負ったが、133キロのカーブで5つ目の三振を奪い、無失点で切り抜けた。投じた50球中24球が直球で、球速150キロ越えが19球だった。前回登板と比較して「前回の試合よりも全て良かった」と笑顔。「(直球は)悪い時はシュート気味に抜けたりするんですけど、今日はそれがなくて、きれいなボールが投げられた。カーブはよかった」と手応え十分だ。

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◆阪神島田海吏外野手(29)が同点の右越え適時三塁打を放った。チーム全体では8日のDeNA戦(甲子園)の5回に佐藤輝明内野手(25)が左翼へ適時二塁打を放って以来、27イニングぶりの適時打となった。5回2死一、二塁。カウント2-0から甲斐野央投手(28)の155キロ直球をはじき返した。続く高寺望夢内野手(22)が二塁への内野安打を放ち逆転に成功。前日11日の打線沈黙を振り払うように打線が活発になっている。島田は「つないでくれたのを返したいというのが強かった。前2打席でやられていたので絶対打ち返したいなと思って打ちました」と熱く語った。

◆来日2年目の阪神ハビー・ゲラ投手(29)が、3者凡退で今春実戦で4試合連続無失点とした。逆転した直後の5回にマウンドへ。先頭の源田にフルカウントから5球連続ファウルで粘られるも、最後は11球目を158キロ直球で二ゴロ。続く西川は初球の154キロ直球で三飛に仕留めると、最後は平沼を再び154キロ直球で二ゴロに仕留めた。ゲラは今春初実戦となった2月24日のDeNAとの練習試合(宜野座)から、4試合連続無失点。被安打はわずか1と、抜群の安定感を見せている。「感覚はすごくよかった」と振り返り、源田との11球の対戦は「あまりいろんなことを考えずに、ゾーンにしっかり投げてストライク、というところを意識していたので、それを継続してできたのはよかった」と冷静に語った。

◆阪神が逆転勝ちでオープン戦4試合ぶりの白星を収めた。開幕ローテ候補に挙がる、先発の新外国人ジョン・デュプランティエ投手(30=ドジャース3A)が、3回1安打無失点5奪三振と好投。この日最速154キロの直球を主体に、西武打線のバットに空を切らせた。2番手ネルソンが2失点を喫すも、5回に登板した来日2年目のハビー・ゲラ投手(29)が3者凡退で今春実戦で4試合連続無失点。貫禄の投球を見せた。打線は4回まで1安打に抑え込まれたが、2点を追う5回1死から木浪が右前打で出塁。2死一塁から中野が左前打で好機を広げると、この日1番に入った島田海吏外野手(29)が右中間へ、チーム27イニングぶりのタイムリーとなる2点適時三塁打を放ち同点。さらに高寺が二塁への適時内野安打をもぎとり、この回一気に逆転に成功した。阪神は2日を挟み15日にカブスと、16日にドジャースとのプレシーズンマッチに臨む。

◆阪神が逆転勝ちでオープン戦4試合ぶりの白星を収めた。先発の新外国人ジョン・デュプランティエ投手(30=ドジャース3A)が、3回1安打無失点と好投。4回まで1安打に抑え込まれていたが、5回に打線がつながり、島田海吏外野手(29)の2点三塁打で同点。高寺望夢内野手(22)の適時内野安打で、逆転に成功した。また、中野拓夢内野手(28)が「9番DH」で出場し、2安打。4回を0封された西武今井達也(26)からは唯一の安打を放った。藤川球児監督(44)は不動の2番だった中野の9番起用について説明した。「まあ、いろいろ可能性を見てですね。交流戦までは見ていませんけど。高寺の2番と、セカンドで(今回使いたい)というところと。やっぱり中野の動きですね。今井投手は素晴らしい投手なので、そこで出塁をしていた選手というのは、やっぱり今までのレギュラー陣。ヒット以外でフォアボールを取るとか。そういう部分は、ベンチに座っている選手たちも、こういうふうにして出塁するのか、とかは見えたんじゃないですかね」今井から出塁したのは四球を選んだ前川右京外野手(21)と森下翔太外野手(24)、安打の中野だけ。売り出し中の高寺のポテンシャルを見極めながら、レギュラー陣の質の高さをあらためて評価した。

◆西武与座海人投手(29)が開幕先発ローテーション入りを引き寄せた。阪神打線を相手に4回1安打5奪三振。「リスクも取って対峙(たいじ)していかないと、僕みたいな投手は打ち取れないところもあるので」とクイック投球も多用し、幻惑した。アンダースロー右腕の好投に西口監督も「非常に実りのあった4イニング」とたたえ「やってくれれば、ではなく先発として考えてはいます」と評価した。

◆阪神島田海吏外野手(29)は不退転の覚悟で剛速球、そして外野スタメン争いに食らいついた。三塁ベース上で立ち上がると、小さく右拳を突き上げた。まだ肌寒い3月中旬のオープン戦で際立つ気迫が、見る者の胸を一気に熱くさせた。「外野は打たないと、というのはずっと思っていた。前の2打席でやられていたので、絶対に打ち返したいなと思っていました」主力中の主力、近本が同行していない敵地西武戦。「1番中堅」スタメン起用になんとしても応えたかった。2打席目までは今井の前に外野フライ2本。3打席目は結果と内容の両立を貪欲に追い求めた。2点を追う5回2死一、二塁。2ボールから右腕甲斐野の低め155キロ直球を狙い澄ました。コンパクトに振り抜き、ライナー性の飛球で右中間に2点三塁打をはずませた。「あれより打球が上がらない打撃練習をやっている。あれより上がると良くない打球と認識して練習している。ライナーというのを引き続きやっていきたい」冷静に自身の特性を理解している中堅は頼もしい。藤川監督は「非常に思いきり良くいった。1番に入って非常にいい1本」と納得顔。「昨年の秋からやってるところでしょうけど、非常にいいモノは見せてくれている。1つの大きなチームとして動いていく中では心強い存在にはなってくる」と貴重なピースである事実を隠さなかった。外野レギュラー枠はすでに2つ埋まっている。中堅近本、右翼森下は不動。左翼も前川がヘルナンデスらライバルを突き放している。とはいえ、シーズンは長い。有事やDH制の交流戦も踏まえれば、外野全ポジションを守れる島田の存在はありがたい限りだ。「残りの3打席はあまり感覚が良くなかった。1本に満足せず、もっともっといい内容、いい打席を送れるようにやっていきたい」おごらず、浮かれず。大卒8年目が藤川阪神のジョーカーに名乗りを上げている。【佐井陽介】

◆阪神が逆転勝ちでオープン戦4試合ぶりの白星を収めた。先発の新外国人ジョン・デュプランティエ投手(30=ドジャース3A)が、3回1安打無失点と好投した。藤川球児監督(44)は助っ人右腕の開幕ローテ入りについて言及した。「球数の上限もあって、ちょうどその球数ぐらいで収まった。いいものを見せてもらいましたね。なかなか順調にというか、また次のところに行ける。本人もいい感じだということなので。日本の野球になじみながら。ボールの強さとかはいいものがあったんじゃないですかね。また次の段階がありますけど。たくさん(候補が)いる中で、また考えなければいけないので」と慎重な口ぶりながら、評価が高いこととうかがわせた。また6回からの3イニングを1安打、打者9人で封じ込んだ及川雅貴投手(23)についても「いろいろな部分を経験しているのもある。今日は非常に良いものを見せてもらった。またいろいろ可能性を考えながら、話し合いたいです」と評価した。

◆阪神高寺望夢内野手(22)がしぶとく結果を残した。「2番二塁」で先発出場し、5回2死三塁で二塁へ勝ち越しの内野安打を放った。「ああいうヒットも必要というか。ヒットはヒットなんで。良かったと思います」。6回から三塁の守備に就き、好守備を見せるなど、開幕1軍へアピールを続ける。「1打席1打席しっかり集中していければいいと思います」と力を込めた。

◆阪神ハビー・ゲラ投手(29)が盤石だ。5回に3番手で登板し、3者凡退に打ち取った。内容も圧倒的。先頭源田には150キロ台中盤の直球を続けた。11球目にこの日最速の158キロで二ゴロを打たせた。2死後、平沼には一転して変化球を多投。4連続でスライダー、チェンジアップを低めに集めると、最後は156キロで二ゴロ。「感覚はすごく良かった。試合ではあまりいろいろなことを考えずに楽しんで子どものように投げたいなとはいつも思っている。直球だけじゃなく、スライダーもチェンジアップも100%自分の球筋を理解した状態で投げている」と手応えばっちりの様子だった。全4試合無失点と結果も内容も文句なし。2年目のセットアッパーに藤川監督は「これまでの選手(昨季までの主力)がしっかりしてくれている。安心ですよね」と目を細めた。

◆なぜ西武の投手陣は強いのか-。11日は阪神打線を継投で1安打完封。12日は開幕投手の今井達也投手(26)と与座海人投手(29)が合計で8イニング被安打2。昨季91敗の悲愴(ひそう)感が今のところまるでない。今井は好調さにこう思う。「(高橋)光成さんや平良や、1軍で活躍する選手が向上心を持って真摯(しんし)に野球に取り組んでいて。年下の選手に刺激になっていると思います」。そんな今井がベルーナドームで虎打線を封じる頃、徒歩5分先のカーミニークフィールドでも新星が光った。ドラフト5位右腕、篠原響投手(18=福井工大福井)が春季教育リーグ・巨人戦に2番手で登板。隣接の本拠地から外崎の応援歌も届く中、マウンドで跳ねるように躍動する。最速153キロのうなる直球を連発。西武ベンチからも「いい球や!」「グッピー!」「まだ高校卒業したばかり!?」と驚きの声が上がる。巨人ティマは口元の高さの150キロで空振り三振を喫するほどだった。高校時代は無名。急成長に本人も「なぜなんでしょうか? 体重は増えました」と首をひねるが、他球団関係者は「ドラ1」「今回のドラフト一番の掘り出し物」と賛辞を広げる。今井も篠原のことを「知らないです」と言いつつ「なんかいい球投げるみたいですね」とニヤリ。今井に憧れる18歳は「まだ話せてないんです」としながら、追う背中が身近にいるのは最高の環境だ。獅子再建の道筋は見えている。【金子真仁】

◆4番手登板の阪神及川雅貴投手(23)が3回を1安打、打者9人で封じた。新球チェンジアップも試投し、危なげなかった。「いろいろなカウントでストライクを取れたのはよかったが、バックに助けられた部分もある。開幕が近づいてきてなおさら結果も求められるようになってくる」。藤川監督は「非常にいいものを見せてもらった。いろいろ可能性を考えながら話し合いたい」と幅広い起用法を想定している。

◆新外国人の阪神ニック・ネルソン投手(29=フィリーズ)は"来日初勝利"も課題の残る登板となった。4回に2番手としてマウンドに上がるも外崎、古賀に適時打を浴び1回2失点。直後にチームが3得点と逆転し、勝ち星がついたが「ブルペンとマウンドの高さが全然違った。その感覚をなかなか修正できなかった」と悔しさをにじませた。「チェンジアップが安定していないので改良していきたい」と次戦を見据えた。

◆阪神畠世周投手(30)が1回無失点と好投した。9回から5番手で登板し3者凡退に抑えた。変化球を主体に丁寧な投球が光った。「まっすぐが良くなかったからキャッチャー(栄枝)が判断して変化球中心にやってくれた。状態は良くはなかったが抑えたのでよかった」。オープン戦2試合に登板しいまだ失点はゼロ。「もうここからは結果の世界なので」。結果にこだわり分厚い中継ぎ陣に割って入る。

◆阪神が逆転勝ちでオープン戦4試合ぶりの白星を収めた。先発の新外国人ジョン・デュプランティエ投手(30=ドジャース3A)が、3回1安打無失点と好投した。阪神藤川監督の一問一答は以下の通り。-デュプランティエは段階を踏めている「そうですね。なかなか順調にというか、また次のところにいける、と。本人もいい感じだということなので」-ゲラが危なげなく1回無失点「みなさんが思う通りかもしれないですね。これまでの選手たちがしっかりしてくれるところにプラス、さらに(新たな)選手が必要であるというところですから安心ですよね」-ネルソンはマウンドも経験に「本人と話してからになりますけど、納得いってない部分があると思います。全員が好調というのは難しいですからね。そういう部分では、登板の中でまた課題が出たかなというところ。また次を見たいですけどね」-高寺が複数ポジションを続けている「ミスが出たポジションにわざわざ入れているんですけど、二塁の植田もね。実際にあまり守っていなかったと聞いているので。最後はサードの動きは非常に良くてね。シーズンが始まればまた全く違った緊張感が出てきますからね。そのいい準備として、へこたれるんじゃないというところでは、ガンガン行きますけどね」

◆ルーキーに続き新助っ人も! ジョン・デュプランティエ投手(30=ドジャース3A)が3回1安打無失点5奪三振と好投した。「もちろん結果もだけど、もう本当に前回の試合よりも全て良かった」。初回先頭の西川を154キロ直球で3球三振に仕留めると、次々にバットに空を切らせていった。2回はセデーニョ、外崎を連続三振。3回は四球と暴投がからんで2死一、三塁のピンチを招いたが、最後は平沼を133キロカーブで空振り三振。「前回よりもゾーン内にしっかりボールが投げられたというのも良かった要因だと思います」。前回5日の中日とのオープン戦(甲子園)では、2回3安打3失点と乱調だったが、中6日でしっかり実力を示した。前日11日は、ドラフト1位の伊原が4回3安打無失点。開幕ローテ候補の連日のアピールに、藤川監督もうれしい悩みだ。「いいものを見せてもらいました。また次の段階がありますけど、順調かなと。たくさんの(候補が)いる中でまた考えなければいけないので」。現状では、富田らも含めて「ローテ6枚目」を争う構図。今後の状態や中継ぎとの兼ね合いも考えながら、最終決定することになりそうだ。デュプランティエは「藤川監督が決めることなので、私は私のできることをしっかりやっていきたい」とチームの1ピースとなる構えだ。そんな頼れる助っ人のパワーの源はバナナ。1回裏終了後、ベンチでもぐもぐと口にした。「ガムをかみながらプレーするのがあまり好きじゃないタイプ。口の中に含むことによって、口の中の神経だったりとか、体がちょっとリラックスする効果があるよ」。仲間と互いに鍛えながら、ライバルを食う快投を続ける。【磯綾乃】▽阪神安藤投手チーフコーチ(デュプランティエに)「前回の登板よりも、いい投球内容だった。どんどん投げていって、調整していってほしい。ボールの勢いもあるし、球威もあるので、どんどんゾーンの中で勝負できれば、これくらいの投球はできるのかな」

◆待ってろ世界一軍団! 阪神中野拓夢内野手(28)が西武今井撃ちを含むマルチ安打で存在感を示した。「9番DH」で先発出場。3打数2安打でオープン戦の打率は3割4厘と上昇させた。25年型新フォームの手応えも十分だ。今後は15日カブス、16日ドジャース戦(ともに東京ドーム)とのプレシーズンマッチに挑む。23年WBCも経験した虎の選手会長がレギュラーシーズン開幕前に世界を驚かす。狙い通りの侍ジャパン右腕撃ちだ。3回2死で迎えた中野の第1打席。9番中野がここまでチームが無安打に抑えられていた西武の先発今井と対峙(たいじ)した。カウント2-2から、153キロ直球、140キロ変化球、153キロをファウルにして粘った末の8球目。外角低めに落ちていったチェンジアップを泳ぎながらもうまく左前に運んだ。第2打席には5回2死一塁から2番手甲斐野の外角高め155キロを左前に運んで逆転につなげた。「最近、どっちかというと引っ張りにかかる打席が多かった。今日は逆方向の意識で行った中で安打が出たのでよかった」意図した通りだった。「逆方向を意識しながら打席に入れたのでよかった」。左翼方向への安打は、中野の調子を示すバロメーターの1つとなっている。昨季までプロ4年連続で規定打席に到達。唯一打率が2割7分未満の2割3分2厘となった昨季は逆方向の安打の割合が29・1%と、初めて30%を切った。好調を維持しているオープン戦でも、7安打中5本が逆方向だ。昨年は選手会長1年目で球団初の連覇を狙ったが、自身は打撃が不調で、チームも2位。悔しさを糧に、打撃フォームの改造に取り組んでいる。構える際にバットのグリップの位置を頭の高さから肩の位置まで下げた。フォーム改良の効果が出ているのか、昨年はオープン戦打率が1割3分と苦しみ、シーズンまで響いたが、今年は打率3割4厘と結果を残している。ワクワクする対戦が待っている。15、16日にはカブス、ドジャースとのプレシーズンマッチを迎える。ドジャースはサイ・ヤング賞を2度獲得の左腕スネルの先発が有力。「(開幕まで)試合が限られているし、試す段階ではない。次のカブスとドジャースの試合で今持っている最高のパフォーマンスが出せればいい」。V奪回を目指すセ界の戦いまで残りは同2試合とオープン戦5試合。好調の選手会長が世界に挑む。【塚本光】

◆阪神はジョン・デュプランティエ投手(30)=前ドジャース3A=が先発する。前回登板の中日戦(5日、甲子園)は雨で足元が不安定の影響もあり2回3失点。開幕ローテ候補に名前があがる新助っ人右腕がアピールのマウンドに上がる。11日の同戦で九回2死まで無安打に抑え込まれた打線は、「5番・左翼」で前川右京外野手(21)が2試合ぶりに先発出場。オープン戦で無安打無得点という球団初の屈辱を内野安打で阻止した若虎が打線に活気をもたらす。また、中野拓夢内野手(28)が「9番・DH」で先発する。

◆先発した阪神の新外国人、ジョン・デュプランティエ投手(30)=前ドジャース3A=は3回1安打無失点で降板。西武打線を相手に5奪三振を奪う快投を見せた。一回、先頭の西川からオール直球で3球三振を奪うと、続く平沼を内角高めへの153キロ直球でどん詰まりの一ゴロ。ネビンを二飛に仕留めて3者凡退に仕留めた。二回はセデーニョ、外崎を連続三振。続く長谷川にフルカウントから四球を与えたが、二盗を狙った長谷川を落ち着いたマウンドさばきで盗塁刺。三回1死から滝沢に安打と二盗を許して得点圏に走者を背負うも、平沼を変化球で空振り三振に斬ってピンチを脱した。この日は最速154キロを計測するなど、150キロ台を連発。持ち味である直球で押して相手打線を圧倒した。

◆阪神が四回に先制された。3回1安打無失点と好投した先発のデュプランティエ(前ドジャース3A)からバトンを受けてこの回にマウンドに上がったのは、同じく新外国人でリリーフとして期待されるネルソン(前フィリーズ)。しかし、1死からセデーニョに遊撃内野安打で出塁をされると、続く外崎に投じた149キロは真ん中高めに浮き左中間を破られた。一走・セデーニョは一気に生還し、最初の1点を刻まれた。さらにその後の2死三塁では古賀悠に右翼線への二塁打を浴び2点目。オープン戦での失点は2月22日の楽天戦(金武)、3月5日の中日戦(甲子園)に続いて3度目で、複数失点は来日初だった。

◆阪神・島田海吏外野手(29)が「1番・中堅」で出場し、五回に同点の2点三塁打を放った。2点の先制を許した直後の五回に、この回から登板した西武2番手・甲斐野を攻めた。まず1死から7番・木浪が一塁・ネビンのグラブを弾く右前打で出塁すると、2死後には中野がこの日2安打目となる左前打でチャンスメーク。ここで打席が巡った島田は2ボールからの外角にきた155キロをジャストミートし、打球を右中間へ飛ばした。走者2人をホームへ迎え入れ、自らは快足を飛ばして三塁へ到達。アピールの同点三塁打とした。さらに続く2番・高寺は二塁初球を二遊間へ転がし、全力疾走で送球よりも早く一塁に到達。西武側のリクエストでも判定は変わらず、島田が生還して3点目を挙げた。この回4安打を集中し、一気に逆転に成功した。チームはオープン戦において、8日のDeNA戦(甲子園)の五回に大山が放った左前適時打を最後に、続く六回から、この日の四回まで26イニング連続でタイムリーなし。9日の巨人戦(甲子園)では挙げた2得点はともに内野ゴロによるもので、11日の西武戦(ベルーナD)では九回2死で前川が遊撃内野安打を放って継投ノーヒットノーランの達成を阻止したものの、最後までホームは踏めずと、苦しい状況が続いていた。チームに立ちはだかっていた壁を、島田が貫いた。

◆阪神が3-2で連敗を3で止めた。2-0の五回に阪神・島田海吏外野手(29)のチーム27イニングぶりのタイムリーとなる右中間三塁打で同点。続く高寺望夢内野手(22)の二塁への内野安打で勝ち越した。先発のジョン・デュプランティエ投手(30)=前ドジャース3A=が3回1安打無失点、5奪三振の快投。3-2の六回から4番手で登板した及川雅貴投手(23)が3回1安打無失点。開幕ローテを争う2人が好アピールを見せた。

◆二回、先頭で空振り三振に倒れた阪神・森下翔太=ベルーナドーム(撮影・松永渉平)

◆阪神が連敗を「3」で止めた。2点を追う五回2死一、三塁、島田海吏外野手(29)がチーム27イニングぶりの適時打を右中間二塁打で記録し、同点。さらに高寺望夢内野手(22)の二塁内野安打で勝ち越した。ジョン・デュプランティエ投手(30)は先発で3回無失点。2番手のニック・ネルソン投手(29)は1回2失点だった。1点リードの九回は畠世周投手(30)が締めた。「4番・右翼」森下翔太外野手(24)は3打数無安打1四球でOP戦打率・133に低下。佐藤輝明内野手(25)、前川右京外野手(21)のクリーアップはいずれも無安打。藤川球児監督(44)の主な一問一答は以下の通り(OP戦成績=3勝4敗1分、観衆=9375人)。ーーデュプランティエは良さを出せた「球数の上限もあったので、ちょうどその球数(50球降板)ぐらいで収まったので、いいモノを見せてもらいましたね」ーー段階を踏んでいる「順調にというか、また次のところに行ける。本人もいい感じだということなので」ーー次回登板は球数を増やした中で「環境が日本の野球ですから、馴染みながらというところ。ボールの強さとかはいいモノがあった」ーー開幕ローテで異なる位置か、同じような争いの中にいるか「コンディションが、まだ3回50球なので。次の段階がありますけど、順調かな、と。たくさんいる中で、また考えなければいけないので」ーー及川はいろんな起用法で「いろいろな部分を経験していることもあるし、今日は非常に良いモノを見せてもらったので、可能性を考えながら話し合いたいですね」ーーゲラは危なげなく無失点「それはそうでしょうね。みなさんが思う通りかもしれないですね。これまでの選手たちが、しっかりとしてくれるところに、さらに選手が必要であるというところですから、安心ですよね」ーーネルソンは慣れないマウンドも経験にしてほしい「本人と話してからになりますけど、納得がいっていない部分があると思います。全員が好調は難しいですからね。登板予定の中で課題が出たかな、というところ。次を見たいですけどね」ーー島田が2点三塁打「非常に思いきり良くいったし。1番に入ってね、非常にいい一本をね。下からつながって、と言いますか。中野も今日は9番で、というところでしたけど。高寺も2番というところで。その辺りの、足もありながらの、というところが1イニングで重なった」ーー島田は昨年までとは違う一面を見せた「昨年の秋からやっているところでしょうけど、非常にいいモノは見せてくれている。良かったり悪かったりすることがバッティングですけど、順調に、と言いますか。チームとして動いていく中では、心強い存在にはなってくる」ーー高寺も勝ち越し打。成長の部分がみられた「結果論ですからね。しっかりと振って、ファーストまで全力で走って、もぎ取ると言いますかね。足があるとね、そういう部分が結果につながっているのではないですかね」ーー交流戦ではDH制がある中で、9番・中野は試せた感じか「まあまあ、いろいろな可能性は、見てですけど、先の交流戦までは見ていないところではあります。高寺の2番というところと、セカンドで、というところと、中野の動き。でも、やっぱり向こうの先発の今井投手、すごく素晴らしいピッチャーなので、出塁した選手は今までのレギュラー陣ですからね。ヒット以外の部分、フォアボールを取るとかね。ベンチに座っている選手たちも『あ、こういうふうにして出塁するのか』とか見えたのではないですか」ーーフル出場の栄枝は1点差のゲームは経験になるか「彼に聞いてあげてください。まだまだこのレベルでは、というところですから。急いで、丁寧に頑張っているとは思いますけど、まだまだ。何も始まっていませんから」ーー高寺が複数ポジションを続けている「ミスが出たポジションにわざわざ入れていますけど。二塁の植田もね。実際には、あまり守っていなかったと聞いているので。守れるポジションだけど、実際に守っているのか、守っていないのかで言うと、掘り起こす必要がある。ミスをしたところで出す、というところを今はやっていますけど。限りがありますけど。(高寺は)サードの動きは非常に良くてね。シーズンが始まれば全く違った緊張感が出てきますからね。いい準備として、『へこたれるんじゃない』というところでは、ガンガンいきますけどね」ーー高寺は開幕1軍が見えてきた「けががありますからね。これはどんな選手に対してもそうですけど、明日があってほしい、とは願っていますけど。健康でいてほしい、ということは、特に誰かということではなくて、みんなに対して永遠に(思う)」

◆阪神が連敗を「3」で止めた。2点を追う五回2死一、三塁、島田海吏外野手(29)がチーム27イニングぶりの適時打を右中間二塁打で記録し、同点。さらに高寺望夢内野手(22)の二塁内野安打で勝ち越した。ジョン・デュプランティエ投手(30)は先発で3回無失点。2番手のニック・ネルソン投手(29)は1回2失点だった。1点リードの九回は畠世周投手(30)が締めた。「4番・右翼」森下翔太外野手(24)は3打数無安打1四球でOP戦打率・133に低下。佐藤輝明内野手(25)、前川右京外野手(21)のクリーアップはいずれも無安打。主な選手、コーチのコメントは以下の通り(OP戦成績=3勝4敗1分、観衆=9375人)。四回に2点を失ったニック・ネルソン 「感覚は悪くなかったので。結果は出てなかったですけど、次マウンドに上がる時は違う気持ちで」五回に登板し、三者凡退のハビー・ゲラ 「真っすぐだけじゃなくて、スライダーもチェンジアップも100%、自分の球筋を理解した状態で投げている」同点三塁打の島田海吏 「外野は打たないと...というのは思っていた。一本出たのはよかったですけど、残りの3打席は自分の中では感覚良くなかったの」勝ち越し二塁内野安打の高寺望夢 「仕留められてはないですけど、ああいうヒットも必要というか。ヒットはヒットなんで。良かったと思います」九回を締め、セーブを挙げた畠世周 「大きな声援ありがとうございます」3回無失点のジョン・デュプランティエ 「悪い時はシュート気味に抜けたりするけど、今日はそれがなくて、きれいなボールが投げられた」デュプランティエについて安藤優也投手チーフコーチ 「前回登板よりも、いい投球内容だった。(3回無失点の及川は)その辺も、まだはっきりわかりません。いろんな可能性を見ながら」左前打2本の中野拓夢 「逆方向の意識というか、そういう意識で行った中で、一本出たので良かった」2戦無安打の3三振の森下翔太 「西武のピッチャーはいいなとすごく感じました」3回無失点の及川雅貴 「開幕も近づいてきて結果も求められるようになってくる。いいアピールができたと思うので、継続して」

◆現役時代は南海、西武に所属し、引退後は西武、ダイエー、阪神の3球団でヘッドコーチを務めたサンケイスポーツ専属評論家・黒田正宏氏(77)が3回無失点のジョン・デュプランティエ(30)、1回2失点のニック・ネルソン(29)の阪神の両新外国人投手に言及した。外国人選手はアピール度を評価する以外に「外国人枠」を考慮しなければいけない。デュプランティエは同じ先発候補のビーズリーと、2番手で投げたネルソンはセットアッパー候補のゲラとの比較は必要。その視点で見た場合、2人の内容は物足りなかった。デュプランティエは3回ゼロ封だがあくまで結果に過ぎない。制球の甘さが目立った。特に打者の外角低め(原点の球)が決まらない。「困ったら原点」が鉄則なのに、そこに行かないのは厳しい。初対戦なのに、一塁走者がどんどんスタートを切った。クイックに緩い部分があるのだろう。修正点が分かったプラスはあるが、登板機会も限定され、開幕に合わせる難しさもでてくる。ビーズリーを超えるアピールができたとは言い難い。ネルソンはナックルなのか、判断が難しい球種を投げるのはいいが、強い真っすぐがあってこその変化球。しかも高めでは効果は薄い。現状では安定感抜群のゲラを押しのける可能性は低い。もちろん2人にチャンスはまだ残されている。巻き返しを期待したい。

◆西武・西口文也監督(52)は12日、佐藤龍世内野手(28)を寝坊によるペナルティーで3軍に降格させたことを明かした。チームは7日に北海道から空路で静岡に移動したが、佐藤龍は乗れずに移動できなかった。西口監督は「寝坊したから3軍に落とした。それだけです」と説明し、「危機感がないというか、今この現状で自分がどういう立ち位置にいるのかを考えれば、そういうことをしている場合じゃないので」と続けた。佐藤龍は昨季93試合に出場し打率.244、34打点、7本塁打をマーク。今季は外崎らと三塁の定位置争いをしていた。

◆2年連続開幕投手を務める西武・今井達也投手(26)が先発し、4回1安打無失点。最速は155キロを計測し、2週間後に迫った大舞台に向けて順調な仕上がりを見せた。「(春季)キャンプ明けで最長のイニングだったので、その中でどれだけパフォーマンスを出せるかだけを考えて投げた」新たに取り組んでいる力感のない脱力フォームで阪神打線を翻弄した。一回を難なく三者凡退で切り抜けると、二回先頭の森下をこの日最速となる155キロの直球で空振り三振に斬った。打者によって力の入れ具合を変えるなど手応えも十分で「1イニング、1アウトでも長く投げるというのは頭に置いている」とうなずくと、西口監督は「力を入れるときの力感はすごい、見ていて分かる」と目を細めた。次回は21日のDeNAとのオープン戦(ベルーナ)で開幕前最後の登板が見込まれる右腕は「自分に厳しくしっかり追い込んで、いいパフォーマンスを見せたい」と意気込んだ。(石井孝尚)

◆「9番・DH」の阪神・中野拓夢内野手(28)が完全復活をアピールした。西武の開幕投手に内定した今井達也投手(26)から2本のヒットに笑顔がはじけた。「(ファウルで)粘った中で、最後まで食らいついていけたのは、よかったかなと思う」三回2死。2ストライクに追い込まれてから150キロ超の速球にバットが反応。3球連続ファウルで粘り、迎えた8球目。外角低めのチェンジアップを左前にはじき返した。0-2の五回2死一塁からは2番手・甲斐野の155キロを左前へ。チャンスを拡大させて逆転劇のおぜん立てをした。「今まではランナーが一塁にいたら引っ張りたいとか(考えた)。逆方向を意識しながら打席に入れた」打順は2番ではなく9番。さらに二塁ではなく、入団5年目で初の指名打者(DH)での先発出場だった。攻守に成長著しい高寺の二塁守備のテスト、中野の打席数を増やしたい、という首脳陣の配慮だった。「打撃に集中できることで、しっかりとやりたいこともできた」と感謝した。オープン戦は8試合で打率・304(23打数7安打)。ここにきて上り調子だ。日本一となった2023年は164安打を放って最多安打のタイトルを獲得したが、昨季は遠くへ飛ばすことを意識して上半身主導の打撃フォームに挑戦。だが、自己ワーストの打率・232に終わった。オフには現場復帰した和田豊1・2軍打撃巡回コーディネーター(62)の指導の下、23年型の「コンタクトに小さく振る」打撃フォームに戻した。「(オープン戦も)試合が限られている。いろいろ試す段階ではない。次のカブス(15日)とドジャース(16日)との試合で、今持っている自分の最高のパフォーマンスが出せれば」3・28開幕(広島戦)まで、あと半月。「2番・二塁」で開幕スタメンが決定的な中野はきっちり照準を合わせている。(三木建次)

◆「4番・右翼」の阪神・森下翔太外野手(24)は3打数無安打に終わり、9日の巨人戦(甲子園)から9打席ノーヒット。「西武のピッチャーはいいなとすごく感じました。まとまっているというか、ピッチャーが崩れないんで強いと思います」と脱帽した。オープン戦打率は・133まで低下し、新4番の爆発が期待される。

◆〝投げるユーティリティー〟が所沢で好投だ。阪神・及川雅貴投手(23)は六回から4番手で登板し、3回1安打無失点と結果を残した。「ストライク先行でいけたし、いろいろなカウントでストライクも取れてよかった」六回は内野ゴロ3つに斬り、要した球数はわずか5球。安打を許した七回も後続を断ち、八回は2奪三振などで締めた。27球での快投だった。左の先発候補のライバル、門別啓人投手(20)、富田蓮投手(23)に負けじと好結果を残した。春季キャンプから主に先発調整を進めてきた及川について、藤川球児監督(44)は「今日は非常に良いものを見せてもらった。またいろいろな可能性を考えながら話し合いたい」と今後の起用に思いを巡らせる。「開幕も近づいてきて、なおさら結果も求められるようになってくる。いいアピールができたと思う」高卒6年目。1軍戦力として開幕を迎えるべく、左腕を振る。(須藤佳裕)

◆九回に5番手で登板した阪神・畠世周投手(30)は三者凡退に抑えて試合を締めた。「状態がめちゃくちゃいいわけじゃないけど、なんとか無事ゼロ点で抑えられてよかった」。巨人からの現役ドラフトでの移籍後初の1軍マウンドで、持ち味の真っすぐではなく、変化球を多投して打ち取った。開幕1軍入りを目指して「ここからは結果なので。打たれたらダメダメで、抑えたらいい」と結果にこだわる。

◆四回に2番手で登板した阪神ニック・ネルソン投手(29)は1死からセデーニョ、外崎に連打されて先制点を献上。後続にも打たれ、1回2失点でマウンドを降りた。「結果は出なかったですけど、次マウンドに上がるときはまた違う気持ちで上がりたい」。それでも直後の五回に味方が逆転し、来日初白星がついた。「チェンジアップがちょっと安定していないので、これからちょっと改良していきたいなと思っています」と修正を誓った。

◆五回に登板した阪神ハビー・ゲラ投手(29)は三者凡退で片付けた。「しっかりとスイングをしてくる打者もいたけど、3人で抑えられてよかった」。先頭の源田との粘り合いは11球にまで及ぶも、二ゴロ。西川と平沼の左打者2人も打ち取った。これで実戦は4試合無失点と調整は順調。「スライダーもチェンジアップも自分の球筋を100%理解した状態で投げている。全てにおいてしっかりと投げられた」と自信を深めた。

◆「1番・中堅」の阪神・島田海吏外野手(29)が同点の2点打で勝利に貢献だ。「前の2人がしっかりとつないで回してくれた打席。かえしたいという思いが強かったことと、前の2打席でやられていたので、『絶対に打ちたい』と思って打った」0―2の五回2死一、二塁で、2ボールから2番手・甲斐野の直球を狙い撃ち。155キロをコンパクトにとらえて、右中間突破の三塁打を放ち、試合を振り出しに戻し、続く高寺望夢内野手(22)の内野安打では勝ち越しのホームを踏んだ。オフに増量に励み、今は5キロ増で〝キャリアハイ〟の体重80キロ。走力に支障がないようにしつつ身に着けたパワーで結果を残した。「外野手は打たないと(いけない)ということはずっと思っていた。一本に満足せずに、もっともっといい内容、いい打席を送れるように、これからもやっていきたい」ここからさらに快音を残し、レギュラー陣を脅かす。

◆1ミリでも遠くへと右足を伸ばした。一塁塁審の手が大きく広がると、歓声が起きた。阪神・高寺望夢内野手(22)が二塁への内野安打で決勝点をもたらし、オープン戦3連敗中だったチームを救った。「仕留められてはいないですけど、ああいうヒットも必要というか。ヒットはヒットなので。よかったと思います」4試合ぶりのスタメンのチャンスをもらった高卒5年目の22歳はオープン戦で初めて2番で先発。前日11日の同カードで九回2死までノーヒットに抑えられていた打線は西武・今井の前にこの日も沈黙。しかし、0―2で迎えた五回。2番手・甲斐野を攻め立てた。1番・島田の2点三塁打で同点に追いつき、なおも二死三塁のチャンス。一気に畳みかけたい場面で打席には2打席凡退の高寺。「何でもいいので。結果を出していけるようにやっていきたいと思います」初球だった。154キロの直球を捉えられず、ゴロの打球が二塁ベースの右に勢いなく飛んだが、諦めずに走った。二塁手・滝沢の送球より速く一塁へ。判定はセーフ。西武・西口監督がリクエストを要求する微妙な判定だったが、ジャッジは覆らず、勝ち越し点を足と泥臭さでもぎ取った。このガッツに藤川監督も「しっかりと振って、ファーストまで全力で走って、もぎ取ると言いますかね。足があるとね、そういう部分が結果につながっているのではないですかね」と目を細めた。これでオープン戦8試合で打率・381、6打点。規定打席に達してはいないが、打点は前川と並び、12球団トップとなった。昨季はウエスタン・リーグで最多安打をマークしたが、最近2年の1軍出場は「0」。しかし新指揮官が打撃を買い、3年ぶりの宜野座スタートとなった春季キャンプでは本職の遊撃だけでなく、出場機会を求めて二塁、三塁に加えて外野も練習した。オープン戦でも内外野の複数ポジションをこなす。この日は六回から三塁の守備に回り、八回には児玉の三塁線への強烈な打球を好捕してアピールした。「一打席一打席、しっかりと集中をしていければいいと思います」結果をつかむため、がむしゃらに走った背番号67。初の開幕1軍までアピールする日々は続く。(渡辺洋次)

◆うれしいことに、悩ましい-。阪神の新外国人右腕、ジョン・デュプランティエ投手(30)=前ドジャース3A=が12日、西武とのオープン戦(ベルーナ)で先発し3回1安打無失点、5奪三振と好投した。2回3失点だった前回登板からきっちり修正し、藤川球児監督(44)も「いいものを見せてもらいました」と絶賛。激化する開幕ローテ争いに、指揮官は「また考えなければいけない」とうれしい悲鳴だ。またひとつ、うれしい悩みの種ができた。開幕ローテ争いの試金石として位置づけられる9日間の関東遠征で、候補投手が相次いで好投。この日の主役はデュプランティエだ。ハイレベルな争いに、藤川監督もぜいたくな悩みが尽きない。「いいものを見せてもらいました。まだ3回50球なので次の段階がありますけど、順調かな、と。(開幕ローテの候補が)たくさんいる中で、また考えなければいけない」2回3安打3失点だった5日の中日戦のリベンジを期すマウンドで、デュプランティエが持ち味を発揮した。長い手足から繰り出される150キロ超の直球とキレのある変化球に打者のバットは空を切る。3回1安打無失点、5奪三振の快投に右腕も納得顔だ。「結果も内容も前回の試合よりすべてが良かった。悪いときはボールがシュート気味に抜けてしまう。きょうはきれいなボールをゾーン内にしっかり投げられた」立ち上がりは最速154キロの直球で西武打線の出ばなをくじいた。一回、先頭の西川をオール直球で空振り三振に斬ると、3者凡退。二回は落ち着いたマウンドさばきで攻撃の芽を摘んだ。先頭から2者連続三振を奪うも、長谷川に四球を与えてセットポジションに入ると、昨季2桁盗塁を記録した一走がスタートを切る。それでも右腕は捕手・栄枝の指差しに反応し、すぐさま二塁方向へ振り向くと、すでにカバーに入っていた木浪への正確な送球で見事に刺した。

◆3球団でヘッドコーチを務めた黒田正宏氏(サンケイスポーツ専属評論家)が「軍師の断」で切れ味鋭く阪神の外国人両投手を分析している(1面)。新しい外国人の実力が見えてくる時期でもある。「外国人だけは本番にならないと分からない」キャンプ中によく耳にする球界OBの評論家、解説者の声。阪神の歴史にも興味深い前例が転がっている。ほぼ100%の評論家が酷評したフィルダーが猛烈に打ちまくって、本塁打王寸前までの大活躍をしたことがあった。1989年のこと。帰国するとメジャーのホームラン王にまでなった。逆の例で記憶に新しいのはロサリオ。2018年の春季キャンプは「ロサリオ祭」。170メートル弾をかっ飛ばすし、球団首脳が「こういう外国人をホンモノと言うんです」と豪語したが...。歴史的な失敗助っ人補強だった。ことしの宜野座でも、タテジマOBのいろんな外国人評を聞いた。「ヘルナンデスの打撃フォームは、現状では欠点がない。直すところがない」失敗例を山ほど見てきた立場としては突っ込まざるを得ない。では、大活躍ですか?「いいフォームだけれど、問題はバットに当たるかどうか?」そこが一番肝心なのでは...とズッコケてしまった。まあ、外国人が活躍するかどうかの的中率は、開幕前の順位予想と同じぐらいに当たらない。

<オープン戦順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(-)
日本ハム
521 0.714
(↓0.119)
-
(-)
23
(+2)
21
(+5)
5
(+2)
6
(-)
0.227
(↑0.007)
2.440
(↓0.41)
2
(-)
ヤクルト
630 0.667
(-)
0
(↓0.5)
27
(-)
23
(-)
4
(-)
8
(-)
0.232
(-)
2.220
(-)
2
(2↑)
巨人
631 0.667
(↑0.042)
0
(↓1)
41
(+4)
33
(+3)
6
(+1)
4
(+3)
0.262
(↑0.006)
2.600
(↓0.04)
4
(2↓)
ソフトバンク
432 0.571
(↓0.096)
1
(-)
35
(+3)
33
(+4)
5
(+1)
13
(+2)
0.265
(-)
3.040
(↓0.12)
5
(1↑)
中日
541 0.556
(↑0.056)
1
(↑1)
36
(+3)
34
(+2)
4
(+1)
10
(-)
0.235
(↑0.002)
3.340
(↑0.15)
6
(1↓)
西武
330 0.500
(↓0.1)
1.5
(-)
17
(+2)
15
(+3)
1
(-)
4
(+1)
0.240
(↓0.013)
2.250
(↓0.16)
6
(2↑)
ロッテ
441 0.500
(↑0.071)
1.5
(↑1)
33
(+5)
28
(+2)
7
(+1)
7
(-)
0.221
(↑0.013)
2.140
(↑0.01)
8
(2↓)
DeNA
452 0.444
(↓0.056)
2
(-)
29
(+2)
35
(+6)
2
(+1)
8
(-)
0.206
(-)
2.810
(↓0.33)
9
(-)
阪神
341 0.429
(↑0.096)
2
(↑1)
35
(+3)
36
(+2)
6
(-)
4
(-)
0.293
(↓0.013)
3.930
(↑0.28)
10
(-)
広島
352 0.375
(↑0.089)
2.5
(↑1)
23
(+6)
25
(+2)
5
(+2)
2
(+1)
0.217
(↑0.017)
2.380
(↑0.04)
11
(1↓)
楽天
252 0.286
(-)
3
(↑0.5)
35
(-)
31
(-)
3
(-)
10
(-)
0.234
(-)
3.000
(-)
12
(2↓)
ORIX
261 0.250
(↓0.036)
3.5
(-)
23
(+2)
43
(+3)
0
(-)
1
(-)
0.224
(↓0.005)
4.560
(↑0.13)