阪神(★4対7☆)中日 =オープン戦2回戦(2025.03.05)・阪神甲子園球場=
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中日
12120010071101
阪神
02110000041411
勝利投手:涌井 秀章(1勝0敗0S)
(セーブ:大野 雄大(0勝0敗1S))
敗戦投手:デュプランティエ(0勝1敗0S)

本塁打
【中日】板山 祐太郎(1号・1回表ソロ)
【阪神】前川 右京(2号・2回裏ソロ)

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◆阪神は前川がソロを含む3安打を放つなど、計4人がマルチヒットを記録。対する中日は板山がソロ、福永が猛打賞をマークするなど、計11安打で7得点を挙げた。両軍ともに打線が活発だった。

◆25年の本拠地初実戦となる一戦で、スタメンが発表された。先発を務めるのは阪神伊藤将司投手(28)だ。当初先発見込みだったジェレミー・ビーズリー投手(28)が体調不良のため欠席。伊藤将は、この日行われる教育リーグ・オリックス戦(日鉄鋼板SGLスタジアム尼崎)に先発予定だったが、急きょ変更したものとみられる。「6番一塁」に新外国人のラモン・ヘルナンデス内野手(29=メキシカンリーグ)、「9番三塁」では高寺望夢内野手(22)がスタメン出場する。現在、佐藤輝や大山が侍ジャパンに合流中。巡ったチャンスを生かし、アピールを狙う。

◆甲子園のスコアボードが少し雰囲気を変えてファンにお披露目された。今年初の甲子園開催の試合。同球場の100周年記念事業の一環で、フォントメーカー「モリサワ」(本社・大阪市)と共同でスコアボードの文字を改良。83年まで手書きで親しまれていた「甲子園文字」と呼ばれる字体をベースに、デジタルで新たに制作した。これまでのフォントと大きな違いはないが、縦の線が太くなり、視認性が高まった。天候が悪く、昼間でも薄暗さがあるこの日は、見やすさが強調された。コアなファンを喜ばせたのは特有の「3」の復活だ。甲子園で長年使用されてきた数字の「3」は、上部の横線が真っすぐで、ひらがなの「ろ」のように見える独特なフォントだった。18年オフの大改修の際に、数字が通常フォントに変更されていたが、7年ぶりに元に戻り「ろ」の「3」も復活した。「ろ」の復活について、SNSなどでは「オールドファンとして、これは朗報」「甲子園はこうでなくっちゃ」と歓迎する声が相次いでいた。

◆試合開始直前、先発投手の変更が発表された。元々の先発投手は伊藤将司投手(28)。しかし、初回の守りで阪神のスタメン選手が呼ばれる直前に「ピッチャー、デュプランティエ」のアナウンスが流れ、新外国人のジョン・デュプランティエ投手(30=ドジャース3A)がマウンドに上がった。先発変更は事務的な手違いのためだとみられる。

◆阪神前川右京外野手(21)が逆方向へアーチをかけた。3点を追う2回先頭。中日涌井の直球を振り抜いた。打球は左翼方向へ。左飛かと思われたフラッと上がった打球はどんどん伸びて、ポール際に吸い込まれた。22日楽天戦(金武)以来となる、今春の実戦3本目の本塁打となった。

◆阪神の新外国人ジョン・デュプランティエ投手はホロ苦の甲子園初マウンドとなった。試合直前で変更が発表されての先発。初回2死から3番板山に右翼フェンス超えの先制ソロを許した。2回には四球と安打などで1死二、三塁を招くと、9番樋口に左中間への2点適時打を浴びた。2回を投げて58球。3安打3失点でスイッチした。3回からは元々の先発だった伊藤将司投手(28)が2番手として登板。試合直前の先発変更は、事務的な手違いによるものとみられる。

◆開花宣言OP戦はやくも2発目#前川右京 逆方向へホームラン登録はこちら?https://t.co/vAXxP7dAvs?プロ野球 オープン戦 (2025/3/5)??阪神×中日??Live on DAZN#DAZNプロ野球#hanshin pic.twitter.com/wxlIvDCtGk

◆阪神の新外国人ジョン・デュプランティエ投手(30=ドジャース3A)にいきなりの難問? が立ちはだかった。甲子園初登板は2回3失点。オーダー発表時は先発投手は伊藤将司(28)だった。1回表の開始前に突然「先発メンバーの訂正をお知らせいたします。ピッチャー伊藤将司に代わりまして、デュプランティエ」と異例のアナウンス。実際に伊藤将は1球も投げず、デュプランティエが先発マウンドに上がった。アナウンス通り、事務的な手違いが原因とみられる。先発ローテの有力候補に挙がる期待の右腕は、やや制球に苦しみながら、初回から1本塁打を許し、3安打3失点という内容で、甲子園初戦を終えた。ベンチ裏に現れると、待ち構えた報道陣をチラッと見た。名門ライス大出身で、勉学も優秀だった30歳は「僕はいい試合の時しか取材は受けないんだ」と無表情で言い、そのまま立ち去ろうとした。報道陣は一瞬固まった。その気配を確認し、くるりと振り返って「な~んてね。ウソだよ」。笑顔で囲み取材に応じた。メンバー発表の手違いに関しては「まったく問題なかったですよ」と、繰り返した。雨上がりで気温も低く、試合のコンディションは悪かったが「初めてにしては悪くなかった。結果としては満足いくものではなかったけど、甲子園のファンの声援や音楽とか、こういう雰囲気をしっかり感じられたのはよかった。シーズン中は必ず雨が降るし、、甲子園のマウンドは雨が降ったらどうなるのか、ロジンバックの感覚は、土落としがどこにあって、とか、自分の中でいろいろ確認できた」と満足そうだった。

◆阪神伊藤将司投手(28)は2番手で3回3失点だった。先発予定だったジェレミー・ビーズリー(29)が体調不良で登板回避。伊藤将が「先発」で場内にも発表されたが、実際にはジョン・デュプランティエ(30=ドジャース3A)が先発。伊藤将は3回からの3イニングを投げた。「先発変更」は事務的な手違いが原因とみられる。開幕ローテ争いの輪にいる左腕は、2回連続で3本の安打を浴びて失点。3イニング目は3人で抑えた。強みである左打者への内角球をテーマに挙げていた。「左へのインコースはしっかり投げられたと思う。あとは走者を背負ってからどう0点に抑えるか。3イニング目はゾーン内で勝負できた。満足はできてないけど、取り組んでいたことはできたと思う」と、プラス要素にも目を向けた。

◆阪神の新外国人ニック・ネルソン投手(29)が、甲子園初マウンドでまさかの大崩れを喫した。4番手として7回に登板。先頭福永に中前打を許したが、その後は簡単に2死を奪った。しかしその後は制球が定まらず、鵜飼、石伊に連続四球で2死満塁。続く樋口にもこの日3つ目の四球を与え、押し出しでの失点を喫した。藤川監督は直後にベンチから出て石黒への交代を宣告。マウンドに向かい、ネルソンに直接声をかけていた。甲子園での初実戦登板となった中、快投デビューとはならなかった。

◆阪神が今季初の甲子園でのオープン戦に臨み、打線が反撃を見せるも黒星を喫した。敗戦の中で存在感を見せたのは、高卒4年目の前川右京外野手(21)だった。3点を追う2回、先頭で中日涌井の直球を振り抜くと、打球は左翼スタンドポール際へ吸い込まれた。これで2月22日楽天戦(金武)以来となる、今春の実戦3本目となる本塁打。さらに3回2死で右翼へ二塁打、5回先頭で中前打を放ち、この日は3打数3安打1打点と快音を響かせ続けた。一方で、この日は投手陣が苦戦。ビーズリーが体調不良のため先発を回避し、新外国人のジョン・デュプランティエ投手(30=ドジャース3A)が先発。初回に中日板山にソロを浴びるなど、2回3安打3失点。ともに開幕ローテ入りを目指す2番手伊藤将司投手(28)も連打を浴び、3回6安打3失点を喫した。3番手の岩崎優投手(33)は6回に登板し、1回を9球で完璧に抑えたが、7回に登板した新外国人のニック・ネルソン投手(29)は先頭の福永に中前打を浴び2死一塁から、暴投に3連続四球を出して1失点。3アウト目が取れずに降板となった。-【

◆中日がオープン戦ながら苦手の甲子園で"今季初勝利"を飾った。昨季公式戦では10敗1分け。昨春は同球場でのオープン戦はなく、23年9月27日以来の白星だ。初回、3番に入った板山祐太郎内野手(30)がライナーで右翼席へ。元虎戦士の先制ソロから、両軍2桁安打の乱打戦となり、逃げ切った。井上一樹監督(53)は前日4日に「年は変わってるわけだからね。『昨年分が悪かったな』と意識をさせない」と話していたが、開幕前に苦手意識を払拭する価値ある1勝となった。中日はオープン戦2連敗スタート後、4連勝となった。

◆阪神の育成ドラフト1位、工藤泰成投手(23=四国IL徳島)が衝撃の甲子園デビューを果たした。ビハインドの9回から登板。人生初の甲子園で、その初球、155キロの快速球を投げ込み、辻本倫太郎内野手(23)のバットを真っ二つにへし折った。打球は力なく遊撃前に転がった。続く鵜飼航丞外野手(25)に対しては、12球の熱投を演じた。7球目にはこの日最速の157キロで観客をどよめかせた。自慢の直球を連投して押しまくり、オープン戦らしからぬ白熱した空間を作り上げ、ファンを一喜一憂させた。最後は抜いたスライダーで腰砕けの空振り三振に打ち取り、大きな拍手をもらった。1安打無失点で初登板を終えた工藤はホッとした表情だった。「甲子園は人生初だったんですけど広く感じて、打者が遠く感じて、すごくいい経験になりました。いい緊張感で投げられました。球場の声、応援、歓声はすごく耳に入ってきました。直球が高めに浮いたのは課題。初登板で力が入ってしまったところもあるので、次からは力まず、もっと楽に投げていきたいです」1軍初実戦だった2月の練習試合では158キロも計測。キャンプからアピールを続ける剛腕に、藤川球児監督(44)も賛辞を惜しまなかった。「やっぱり甲子園のファンの方の反応を見てもね。素晴らしいボールを投げていると思います。いつ見ても同じボール、同じ精度で投げるように心がけができている。みなさん(報道陣)同様に、チームの仲間もびっくりしているのではないかな、と思いますけどね、その存在の強さに」支配下枠は残り4。開幕までに、14人いる育成選手の中から1人は昇格させたい意向がある。指揮官は「今だけが勝負ではなくて、この先、一緒に戦いたいという、そういうような投球に見えました。今終わったばかりですから、また考えたいと思いますね」と、支配下昇格の有力候補であることを、隠そうともしなかった。

◆3打数3安打の活躍を見せた高卒4年目の阪神前川右京外野手(21)を、藤川球児監督(44)が絶賛した。この日は3点を追う2回に左翼ポール際へソロ本塁打を放ち、3回に右翼へ二塁打、5回に中前打と広角に打ち続けた。試合後、藤川監督は「サイクル安打止めてしまいましたけど、私が」と笑いながら、成長著しい様子に目を細めた。「本当にずっと、打撃の状態も良くて、たくさんの先輩方とかにも指導いただきながら伸びてきてるところですから。駆け回ってる姿は素晴らしいんだけどね。まだ準備という段階で、非常にいい状況なんじゃないでしょうか」この日は侍ジャパンに選ばれた大山、佐藤輝が不在ということもあり、前川は「5番左翼」で先発。「本人の手応えもあると思いますけど、打線の並びの中でも非常に大きな役割になってくると思う。(6番)ヘルナンデスも後ろつながったし、(7番)木浪も後ろに入って、打線の流れというのは非常にいいものを感じました」と満足そうに話していた。

◆阪神が今季初の甲子園でのオープン戦に臨み、打線が反撃を見せるも黒星を喫した。先発予定だったビーズリーが体調不良のため先発を回避した影響もあったが、開幕ローテ候補の2投手が苦戦。初の甲子園での先発となった新外国人のジョン・デュプランティエ投手(30=ドジャース3A)は初回に中日板山にソロを浴びるなど、2回3安打3失点。2番手伊藤将司投手(28)も連打を浴び、3回6安打3失点を喫した。前日4日の中日戦が雨天中止となったこともあり、藤川球児監督(44)は「ビーズリーの体調不良が少しあって、スライドのスライドといいますか、投げた投手はスケジュールが動いていますので、少し大変だったなというところ」とコンディション面を考慮した。 デュプランティエには「スピードは出ていたんですけど、おそらく足場の問題があったんじゃないかなと思います。登板間隔も非常に空いていますから、ここからまたやっていこうというところですね」と心配していない様子。一方で、当初は2軍戦で先発だった伊藤将は、実戦3試合で失点が続く状況。「現状のボールというのは、まだまだ本来の状況にないのかなというのは横から見てても感じるんですけど。まだまだここから春、夏に向けて伸びてくると思いますけどね。現状では、少しボールは、伸びてないかなという気がしますね」と率直に話した。

◆今年初の甲子園での試合開催だった。NPBが今年から厳格化した、プレーの画像・映像のSNS投稿に関する新ルールは、おおむね順守されていたようだ。新ルールの発表時、熱心な阪神ファンの間でもさまざまな反響があった。インプレー中の出場選手の画像・映像は撮影しても構わないが、SNSへの投稿は禁止というもの。1万5809人を集めた甲子園だったが、大きな混乱はなさそうだった。SNS上では「インプレーでなければいいんだっけ」「ベンチもダメ?」「甲子園カレーの写真はOK?」など、確認を求める声があがっていた。

◆中日が甲子園で2年ぶりの白星だ。3時間48分、両軍で25安打が飛び出す乱打戦に勝った。昨季公式戦では10敗1分け。昨春は同球場でのオープン戦がなく、甲子園勝利は23年9月27日以来となった。井上一樹監督(53)は「そこ、こだわらんでいいって。オープン戦なんだし」としつつ「昨年萎縮してしまったっていう部分があったとすれば、1試合だけでも、ちょっとだけでも、昨年の払拭材料になってくれたらいいなとは思っています」と照れ笑いだった。

◆中日樋口正修内野手(26)が1軍生き残りへ、バットでアピールした。「9番中堅」でスタメン出場。2回1死二、三塁から阪神先発デュプランティエの外角直球に食らいつき、左中間に2点適時二塁打を放った。「チャンスだったので、外の球を逆方向へ打つと割り切っていったのがよかった。足と守備を見せていく選手という中で、ああいう1本を出せたのは自分にも余裕になる。1本ずつ重ねていきたい」と笑顔。内野手登録ながら、この日は中堅→左翼→右翼→二塁と4ポジションを守った。

◆中日の開幕ローテ入りを争う涌井秀章投手(38)、柳裕也投手(30)、大野雄大投手(36)は明暗を分けた。3回ずつ投げ、先発涌井は前川にソロを許すなど8安打3失点。2月18日に臀部(でんぶ)の張りを訴えた後、初実戦となった柳は4安打1失点。前日が雨天中止でスライド登板となった大野は2安打無失点だった。井上監督は「涌井は心配。雄大(大野)はいいテンポで投げられた」と1歩リードしたと評価した。

◆阪神の先発が二転三転するドタバタがあった。中日戦に先発予定だったビーズリーが体調不良で登板を回避。尼崎での2軍教育リーグオリックス戦に先発予定だった伊藤将が急きょ、甲子園に来た。左腕は「先発」として発表されたが、1回表の試合開始直前に「先発メンバーの訂正をお知らせいたします。ピッチャー伊藤将司に代わりまして、デュプランティエ」と異例のアナウンスがあり、再び先発が替わった。伊藤将は3回から2番手で登板。事務的な手違いが原因とみられる。

◆移籍2年目の中日中田翔内野手(35)がオープン戦3試合目、6打席目でお目覚めの"今季初安打"を放った。「5番・一塁」でスタメン出場。3回の第2打席、1死一塁で阪神伊藤将の内角直球にクルリと体を回転させ、左中間へ適時二塁打を決めた。「初球からしっかり振りにいけた。まっすぐに振り負けなかった」。1打席目の直球が速いと感じ、即修正。オフに体重を15キロ絞ったスリムな体でうまく反応した。昨年は腰痛に悩まされ、出場62試合で4本塁打、21打点、打率2割1分7厘。今季も主軸として期待されているが、井上監督の現在の構想では「4番三塁」で石川昂、5番は一塁か左翼で新外国人のジェイソン・ボスラー外野手(31=マリナーズ)が濃厚。井上監督は「争いのところで名乗りを上げる一打だったとすれば、大きな一打だったかな」と厳しい。まだまだ今後のアピールが必要だ。打線は中田の適時二塁打など11安打7得点でオープン戦4連勝。昨季公式戦で10敗1分けだった苦手の甲子園で23年9月27日以来2年ぶりの白星を手にした。オープン戦とはいえ苦手意識を払拭する1勝。主軸としてプロ18年目の中田が、公式戦でも打線を引っ張る存在になる。【石橋隆雄】

◆阪神の育成ドラフト1位右腕、工藤泰成投手(23=四国IL徳島)が衝撃の甲子園デビューで、支配下昇格へ大前進した。1回を1安打で0封。実戦デビューからの連続無失点を4試合に伸ばした。「甲子園は人生で初めて。すごくいい緊張感で投げられました。直球が高めに浮いたのは課題です。初登板で力が入ってしまったところもあるので、次からは力まず、もっと楽に投げていきたいです」9回に登板。その初球、155キロで辻本のバットをへし折り、遊ゴロに仕留めた。ド派手なクラッシャーぶりに、場内のどよめきが止まらない。続く鵜飼は剛球で押しまくった。7球目はこの日最速の157キロ。力と力のぶつかり合いで15809人の観衆を一喜一憂させた。ラストの12球目は抜いたスライダーで空振り三振。「できれば真っすぐで抑えたいところだったんですけど」と少し悔しそうな顔も見せた。19球のうち15球が直球。すべて150キロ超えで平均は154キロを計測した。この日は両軍10人が投げたが、速さは明らかに異質だった。プロ初実戦となった2月16日の広島戦で158キロを計測して以降、評価も注目度も上がりっ放しだ。藤川監督も賛辞を惜しまない。「ファンの方の反応を見てもね。素晴らしいボールを投げている。みなさん(報道陣)同様にチームの仲間もびっくりしているんじゃないかな。その存在の強さに。素晴らしかったですね」と喜んだ。阪神の支配下枠は残り4。藤川監督は開幕までに、14人いる育成選手の中から1人は昇格させたい意向を持つ。「今だけが勝負ではなくて、この先(工藤と)一緒に戦いたいという投球に見えました。今終わったばかりですから、また考えたいと思います」。指揮官は支配下昇格の候補であることを隠そうともしない。現状、最有力といっても過言ではない。工藤も「キャンプからここまで、いい結果できていると思います」と手応え十分。127の背番号が2桁に近づいている。どこまでも突き抜けそうな魅力にあふれている。【柏原誠】工藤泰成(くどう・たいせい)2001年(平13)11月19日生まれ、秋田市出身。秋田東小3年から野球を始め、能代一中3年時から本格的に投手。明桜(現ノースアジア大明桜)、東京国際大を経て、24年に四国IL徳島入団。1年目に8勝を挙げて最多勝を獲得し、同年育成ドラフト1位で阪神へ。最速159キロ。2種類のスライダー、カットボール、フォーク、カーブが持ち球。趣味は筋トレ、サウナ、登山。177センチ、82キロ。右投げ左打ち。

◆阪神藤川球児監督(44)が勝敗にかかわらず、試合後のファンにあいさつする方針を示した。甲子園での初ゲームは中日に4-7で敗れたが、ベンチから出てナインと一列に並んであいさつ。「必ずするように心がけたいと思います」と今後も続ける方向だ。「勝っても負けても楽しんで、喜怒哀楽を十分に楽しんでもらって。恥ずべきことなく正面に出ますよ」と考えを明かした。

◆開幕左翼、いただきます! 阪神前川右京外野手(21)が今季の甲子園初ゲームとなった中日戦に5番で出場。チームの甲子園1号を含む3打席3安打の大暴れで2年連続の開幕スタメンに当確ランプをともした。今春実戦は8試合でチーム最多の3発、打率は驚異の4割3分5厘と勢いは止まらない。藤川球児監督(44)もベタぼめの勝負強さを発揮し、"恐怖の6番"が28日の広島との敵地開幕戦で森下を撃ち崩す。前川の打球は高々と左翼に上がった。追いかける左翼カリステ。今年の甲子園初ゲームに駆けつけた1万5809人のざわつきが大きくなる中、打球は左翼ポール際に飛び込んだ。虎の背番号58が胸を張った。「オフシーズンでトレーニングをしてきて、体もある程度強くなってきた。そういうところが打球に出ているのかなと思います」2回の第1打席。NPB162勝右腕、中日涌井の外角140キロ直球を押し込むように強振した。「流すというか、振り切ろうと思った」。今春実戦8試合でで佐藤輝や森下らの上をいくチーム最多の3発目。藤川阪神の25年本拠地1号を華々しく飾り、寒風の甲子園を熱く盛り上げた。3回には再び涌井から右翼線へ二塁打、5回には柳から中前打を放った。全方向への3打席3安打。三塁打が出ればサイクル安打だったが、代走が投入された。藤川監督は「サイクル安打止めてしまいました、私が」と笑いつつ、絶賛が止まらなかった。「ずっと打撃の状態も良く、非常に良い状況じゃないでしょうか。本人の手応えもあると思いますけど、打線の並びの中でも非常に大きな役割になってくると思います」。試合は4-7で敗れたが、チームは10年ぶりとなるオープン戦の開幕3試合連続2桁安打を達成。その好調打線を前川が引っ張っている。新外国人のヘルナンデスらと争ってきた開幕左翼争いで、実戦を重ねるごとにリードを拡大。2年連続の開幕左翼へ、自身の力で当確ランプをともした。過去に1軍で放った4本塁打は全て右方向。初の左翼弾はこう分析する。「フォームを少し変えて、ボールの見え方がいいので。ちょっとここ(視界)にゆとりができているのかなと思う」2月の沖縄・宜野座キャンプ中、重心を低く構える従来のフォームから背筋をピンと立てて構える形に挑戦。肩の力を抜き、ボールを引き込めるようになったことで広角に打てるようになった。今春の実戦打率4割3分5厘も新打法の効果を物語るが、慢心はない。「今が完成形とは思っていない。徐々に良くしていきたいと思います」28日の開幕広島戦まで約3週間。納得の打撃を完成させ、森下暢仁を撃つ。【波部俊之介】。

◆春季沖縄・宜野座キャンプMVPの阪神高寺望夢内野手(22)がバットで好調キープをアピールした。「9番三塁」で出場し、4回に2番手柳から右中間二塁打。「一発で仕留められたのでよかった。でももっと打てる打席もあったので」と笑顔はなかった。1打席目、3打席目はヒットコースの打球を好捕される不運もあった。三塁守備ではフェンス際の飛球を捕れず、悪送球も記録。5回からは挑戦中の外野(中堅)に回った。「いろいろ課題が出た」と反省した。▽阪神岩崎(守護神が実戦初登板で1回を3者凡退)「ケガしなかったので良かったんじゃないですか。打者もこれからだし、自分もこれから」▽阪神近本(初回先頭の中前打と四球で2出塁)「(前回の実戦で出た)課題は少しはマシになっている。タイミングの部分が投手によっても違うので。そこにズレがまだありました」

◆甲子園初先発の阪神の新外国人右腕、ジョン・デュプランティエ投手(30=ドジャース3A)は、板山にソロを浴びるなど2回3安打3失点だった。それでも「初めてにしては悪くなかった」と収穫。藤川監督も「登板間隔も非常に空いていますから、ここからまたやっていこうというところですね」と開幕ローテ候補を不安視しなかった。救援候補右腕、ニック・ネルソン投手(29=フィリーズ)は3四球を出し1回持たずに降板。指揮官は「投げた投手は(雨の影響で)スケジュールが動いていますので。マウンドがぬかるんでいる状態もありましたから」とフォローしていた。

◆阪神が今季初の甲子園でのオープン戦に臨み、打線が反撃を見せるも黒星を喫した。藤川球児監督(44)の一問一答は以下の通り。-デュプランティエとネルソンが甲子園初登板「ネルソンもマウンドがぬかるんでいる状態というのがありましたから、初登板で30球を超えれば止める。何よりも健康なことが一番なので。スピードも152、153(キロ)出ていますので。デュプランティエもスピードは出ていたんですけど、おそらく足場の問題があったんじゃないかなと思いますね。これも明日話してみてですけど、慣れるまでには多少の時間が」-ゲラは1回0封。2年目でまとまったものを見せた「そういう存在が大きいですね。デュプランティエは甲子園の1回目でしたが、慣れればピッチングの形ができあがる。ゲラも(昨年初めて)来た時は少し戸惑いがあったそうです。このあたりはこっちがしっかりコントロールして、パフォーマンスを引き上げていきたいなと思いますね」-前川の中前に落ちた当たりは振り切っているから「あれは彼に聞いたら、詰まらせたと。僕もあの打ち方が気になったのでね。そこだけは聞いたんですけど、しっかりカウントが苦しいところから持っていって、バットの面を合わせて、安打ゾーンに落とすという...。そういう意味では、底知れないですね」

◆阪神の新外国人のラモン・ヘルナンデス内野手(29=メキシカンリーグ)が、初の甲子園であいさつ代わりの2安打を決めた。「6番一塁」で出場し、第1打席で涌井の真っすぐを右前打。続く3回2死二塁の好機は、涌井の外角スライダーをバットの先で拾って中前タイムリーとした。応援歌も初めて流れ「素晴らしい球場で素晴らしいファンに応援してもらって、自分の応援歌も聞くことができて、うれしかったよ」と感激していた。

◆阪神は今季初となる甲子園のゲームに、伊藤将司投手(28)が先発する。もともと4日の同戦に先発予定だったが雨で流れ、さらにこの日はファームの教育リーグでの登板だったはずが、甲子園で先発予定だったビーズリーの体調不良によって再び甲子園のマウンドに上がることになった。ここまで2戦連続で失点を喫している左腕が、背水の登板に臨む。侍ジャパンの強化試合に大山、佐藤輝が派遣されている枠には、3番で原口が座り、一塁にはヘルナンデス、三塁は高寺が守る。

◆阪神のナインが守備に就く際、異例のアナウンスが響いた。「阪神の先発メンバーの訂正をお知らせいたします。ピッチャー、伊藤将司に代わりまして、デュプランティエ」。この日の先発メンバーは、前日の試合からスライドで伊藤将がメンバーに入っていたが、試合開始直前の変更。来日1年目の助っ人が、サプライズで初めての甲子園のマウンドに上がった。しかし一回、2死から2023年まで阪神に在籍した板山にソロを浴びて先制を許した。

◆阪神の新外国人、ジョン・デュプランティエ投手(30)が先発で甲子園デビューを果たしたが、2回3失点だった。オープン戦での登板は2月23日の中日戦(北谷)以来、中9日だった。一回は岡林、カリステを抑えたあとに、3番・板山に右越えの先制ソロを被弾。そのあとに味方失策で走者を背負った場面では中田を空振り三振に仕留めて最少失点でしのいだものの、続く二回は先頭への四球と安打、さらに暴投で1死二、三塁とピンチを招くと、9番・樋口に左中間方向への2点二塁打を浴び、追加の2点を失った。この日は当初、伊藤将が先発としてアナウンスされていたが、試合開始直前で変更される形で右腕がマウンドへ。スタンドがどよめく形での甲子園初登板となったなか、悔しい結果となった。

◆阪神が前川右京外野手(21)のソロで反撃した。0-3の二回、先頭で打席に立つと、カウント1-1から涌井の3球目に反応。芯でとらえて逆方向に上がった打球は、そのままポール際に吸い込まれた。ほとんど風のない甲子園で、力だけで持って行った一発。今季4年目を迎える若虎が、2025年の甲子園初打席でパワーを見せつけた。この後もヘルナンデス、木浪の連打と梅野の犠打でチャンスを作り、高寺の内野ゴロの間に1点差に詰め寄った。

◆阪神の2番手でマウンドに上がった伊藤将司投手(28)が代わりざまに1点を失った。先頭の板山は1球で左飛に仕留めたが、福永に中前打を浴びて走者を許すと、続く中田への初球。直球を痛打され、左中間を破る適時二塁打で1点を失った。伊藤将はこれで対外試合3試合連続失点。先発ローテはハイレベルな争いが繰り広げられるが、手痛い失点を喫してしまった。この後再び2死満塁のピンチとなったが、樋口を遊ゴロで追加点は与えなかった。

◆阪神の新外国人、ラモン・ヘルナンデス内野手(29)が「6番・一塁」で出場。2―4の三回に、1点差に迫る適時打を放った。2死から前打席で左翼ソロを放った5番・前川が、今度は右翼線へ二塁打を放つと、続く打席には新外国人のヘルナンデス。この日に解禁された個人専用ヒッティングテーマが演奏される中、外角低めの変化球に食らいついて中前に落とし、前川をホームへ迎え入れた。ヘルナンデスは二回の第1打席でも右前に安打を放っており、早くもマルチ安打をマーク。大山がこの日から2日間行われる「侍ジャパンシリーズ」帯同のためチームを離れている中で、一塁でスタメン出場し、アピールをした。

◆阪神が3―6の四回に1点を返した。この回から登板した中日・柳に対し、先頭の9番・高寺が思い切りのよいスイングで右中間を破って二塁打とすると、1死後に中野が左前打でつないで一、三塁。3番・原口は右飛を放ち、三走・高寺が俊足を飛ばしてホームにかえって2点差に詰め寄った。試合前から雨が降ったこの日は、中日に一回から4イニング連続で得点を挙げられたが、阪神も負けじと二回から3イニング連続得点。リードを許す展開は変わらないものの、この回に中野が放った安打は、チームにとって今春の対外試合5試合目にして4度目の2桁安打と打線は活発で、この点取り合戦でもしっかりと食らいついている。

◆阪神・岩崎優投手(33)が六回、3番手として登板。中日の上位打線を3人で片づけた。今季対外試合初登板で先頭の岡林を三飛に仕留めると、続く浜は中飛、この日本塁打を放っている板山を遊ゴロに打ち取り、危なげなく1回を無失点。クローザー起用が明言されているベテランの安定感は今年も健在だ。

◆阪神の4番手で七回に登板したニック・ネルソン投手(29)=前フィリーズ=は?回を投げ1失点だった。先頭の福永に安打を浴びたが、そこからは村松から変化球で三振を奪うなど2死までこぎつける。しかしここから制球を乱し、3連続四球と押し出しで1点を献上し、降板となった。直球の最速は150キロを計測するなどポテンシャル悪阻みせたものの、課題を残す登板となった。

◆阪神は今季初の甲子園でのゲームに臨んだが、中日に打ち負けた。序盤からビハインドの展開の中、打線は二回、6番・前川が左翼席に叩き込むソロ本塁打で反撃。三回には新外国人・ヘルナンデスがこの日2本目の安打となる適時打、四回には原口の犠飛で食らいついた。しかし投手陣が流れを作れず、先発の新外国人・デュプランティエが2回3失点、続く2番手・伊藤将も3回3失点と精彩を欠いた。それでも岩崎、ゲラは互いに無失点。九回に登板して甲子園デビューとなった育成D1位・工藤(四国IL徳島)は最速157キロを計測して2奪三振、無失点に抑えるなど、明暗分かれる結果となった。

◆七回2死満塁、押し出し四球を与えた阪神ニック・ネルソンに交代を告げる藤川球児監督=甲子園球場(撮影・斉藤友也)

◆阪神が昨季甲子園での対戦で10勝1分だった中日に競り負けた。先発ジョン・デュプランティエ投手(30)が2回、2番手伊藤将司投手(28)は3回を投げて、ともに3失点だった。七回に登板したニック・ネルソン投手(29)は押し出し含む3四球で?回を投げ、1失点。九回に登板した育成D1位・工藤泰成投手(23)=四国IL徳島=は1回1安打2奪三振だった。日本代表に選ばれた大山悠輔内野手(30)、佐藤輝明内野手(25)を欠く打線は「5番・左翼」前川右京外野手(21)がOP戦2号ソロを含む3安打。三回に適時打を放った「7番・一塁」ラモン・ヘルナンデス内野手(29)は2安打1打点だった。主な選手、コーチののコメントは以下の通り。2回3失点のジョン・デュプランティエ 「(甲子園登板は)初めてにしては悪くなかった。満足のいく結果ではないけど...」デュプランティエについて安藤優也投手チーフコーチ 「これから実戦を重ねて...」3回3失点の伊藤将司 「打者有利のカウントがちょっと多かった」1番・中堅で2打数1安打1四球の近本光司 「タイミングの部分がピッチャーによっても違うので。そこにズレがまだありました」2安打1打点のラモン・ヘルナンデス 「センターから逆方向は常に意識しながら練習をしている。自分の上体をなるべく開かないように」三塁、中堅に入り、1安打1打点の高寺望夢 「(今の本職は)全部です。いわれたところを練習するだけ」九回に登板し、1安打2奪三振の育成D1位・工藤泰成 「甲子園は人生で初めて。狭いとは聞いていたんですけど、結構広く感じて。バッターとかも遠く感じたというか、すごくいい経験になりました」左翼に本塁打を放った前川右京 「今までにない感覚。感触をつかめるように今後打っていけたら、もっと数字も上がるのかなと思います」

◆現役時代は阪神、南海で活躍し、引退後は阪神で投手コーチやフロントでも尽力したサンケイスポーツ専属評論家の上田二朗氏(77)が先発で2回3失点の阪神ジョン・デュプランティエ(30)、2番手で3回3失点の伊藤将司(28)の両投手に言及した。期待が大きいからこそ心配になる。伊藤将が3回を3失点。今回の登板も好成績を残した入団から3年間の姿と違うマウンドだった。投球後に見せる仕草は、どこか自信がなさそうで不安が伝わる。思い通りの球が投げられていないのだろう。登板前に「内角を攻めたい」と話していた通り、一生懸命に内角を投げていた。元々彼の投球の中での内角攻めは、次の球を生かすための内角球。ところが、次の球を打者に踏み込まれて痛打された。つまり打者が嫌がっていない内角なのだ。制球の微妙な乱れとわずかなキレのなさ。原因はそのあたりか。解決するには打者と対戦を重ねてヒントを見つけるしかない。その意味では3イニング目も投げたのは正解。外角の緩い球でタイミングをズラして三者凡退に。きっかけにしてほしい。デュプランティエは球が高い。真っすぐに力があっても、高めの変化球が変化せずに打ち込まれた。リズムも悪い。この試合だけで判断するつもりはないが...。大竹の回復の状態が不透明なだけに、2人の先発候補の状態がどこまで上がるのか、この先の登板で見極めたい。

◆阪神・高寺望夢内野手(22)は侍ジャパンでチームを離れている佐藤輝明内野手(25)に代わって三塁で出場し、4打数1安打だった。四回先頭で柳から右中間への二塁打を放ち「しっかり一発で仕留められたのでよかった」とうなずいた。守備では一回に悪送球はあったものの、五回からは挑戦中の中堅に移ってミスなく打球を処理。「(本職は)全部です。どこでも練習してしっかりやりたい」と意気込み、オールラウンダーとして開幕1軍を手繰り寄せる。

◆阪神・近本光司外野手(30)は「1番・中堅」で1安打1四球。一回に中前打を放つと二回は四球を選び「前回(の試合で)出た課題は、少しはマシになっている。タイミングの部分がピッチャーによっても違うので。そこにズレがまだありました」と振り返った。これで実戦4戦連続安打。切り込み隊長が今年も安定感を見せている。

◆「6番・一塁」で甲子園デビューを果たした阪神ラモン・ヘルナンデス内野手(29)は2安打1打点と結果を残した。「応援歌も実際に打席で聞くことができてうれしかったよ」。個人ヒッティングマーチ解禁日に右前打と中前適時打を放ち、守備もそつなくこなした。「(日本には)いい投手がいっぱいいるから、その中でどう調整をしていくかは常に考えてやっている」と異国の地に順応しようと取り組む中で、大きなアピールだった。

◆右京? いや、右じゃない! 阪神・前川右京外野手(21)が5日、甲子園初戦となった中日とのオープン戦に「5番・左翼」で先発出場し、二回の2号ソロを含む3安打1打点。1軍戦で自身初の左越え弾をマークした。試合は4-7で敗れたが、サイクル安打目前だった右京は「今までにない感触だった」と新境地に入ったことを実感。高卒4年目でスター街道を歩んでいく手応えを得た。悪天候の中、詰めかけた1万5809人が、若虎の進化を目の当たりにした。広い甲子園も何のその。左方向へ、力強く描いた放物線が、前川の成長の証しだった。「真っすぐを待って、ちゃんと押し込めた。途中で『あ、いくかな』と。久しぶりに逆方向にバットとボールのインパクトを感じて打てたので、珍しい感触でした」3点を追いかける二回、甲子園での今季初打席、初スイングだった。涌井の外角高めの直球を力強くたたいた打球は左翼へ。高々と舞い上がり、そのままポール際に吸い込まれた。

◆自慢の筋肉を携えて上がったマウンドで、示したのはホンモノの風格。阪神育成D1位・工藤泰成投手(23)=四国IL徳島=が甲子園デビューを1回零封で飾った。「甲子園は人生で初めてだった。結構広く、バッターとかも遠く感じた。すごくいい経験になりました」出番は3点ビハインドの九回。初球からスタンドを沸かせた。辻本のインハイに投げた155キロでいきなりバットをへし折る。ボールの威力は遊ゴロに斬った、この1球で見せつけた。続く鵜飼には外角低めに投じた7球目が、この日最速の157キロ。果敢な直球攻めで、最後はスライダーで空振り三振を奪って粘り強さも示した。次打者に右前打は許したものの、最後は4球オール直球で樋口からも奪三振。耳では応援や声援を感じ「すごくいい緊張感で投げられた」と笑顔も見せながらの19球だった。空いている支配下枠は「4」。開幕までは育成選手がそのうちの1枠を狙うサバイバルの真っただ中。藤川球児監督(44)は「いつ見ても同じボール、同じ精度で投げるように心がけができている。この先、一緒に戦いたい、という投球に見えた」と大絶賛。支配下昇格へ、大前進した工藤はかぶとの緒を締めた。「高めに浮くことは多かった。そこは課題かなという部分でもあるけど、初登板で力が入ってしまったところもある。次からは力まず、もっと楽に投げていきたい」大甲子園の空気を吸い込み、2桁背番号へ、大きな一歩を踏み出した。(須藤佳裕)工藤について阪神・安藤優也投手チーフコーチ 「いい球を投げていましたね」■工藤 泰成(くどう・たいせい) 2001(平成13)年11月19日生まれ、23歳。秋田・能代第一中から明桜高では3年夏に県大会準優勝も甲子園出場はなし。東京国際大では2年秋からベンチ入りし、4年時にはプロ志望届を提出するも指名漏れを経験。24年に四国IL・徳島に入団し、登板20試合、8勝1敗1ホールド、防御率2・91。25年育成ドラフト1位で入団。年俸300万円。最速159キロ。178センチ、85キロ。右投げ左打ち。背番号「127」

◆阪神が昨季甲子園での対戦で10勝1分だった中日に競り負けた。先発ジョン・デュプランティエ投手(30)が2回、2番手伊藤将司投手(28)は3回を投げて、ともに3失点だった。七回に登板したニック・ネルソン投手(29)は押し出し含む3四球で?回を投げ、1失点。九回に登板した育成D1位・工藤泰成投手(23)=四国IL徳島=は1安打2奪三振だった。打線は「5番・左翼」前川右京外野手(21)がOP戦2号ソロを含む3安打。試合後、整列して、ファンに挨拶した藤川球児監督(44)の主な一問一答は以下の通り(観衆=1万5809人)。ーー伊藤将は失点が続く「まだまだ本来の状況にないということは、横から見ていても感じますけど、一年は長いですからね。しっかりとへこたれることなくね、前向きに自分を築かなければいけません」ーー体調不良のビーズリーはすぐに戻ってくる「コンディション不良というか内科系のことなので。外傷ではないです」ーー開幕には間に合ってほしい「〝キャプテン・ビーズリー〟ですから」ーー試合後はファンに挨拶をした「必ず、するように心がけたいと思います」ーー負けても「勝っても負けても楽しんで、喜怒哀楽を十分に楽しんできてもらっていますからね。それは恥ずべきことなく、正面に出ますよ」

◆先発した阪神ジョン・デュプランティエ投手(30)は2回3安打3失点と甲子園デビュー戦で結果を残せなかった。「満足のいく結果ではなかったが、ファンの声援や音楽など、甲子園の雰囲気を感じられてよかった」。キャンプ中の2月23日の中日戦(北谷)で1回無失点だったが、直球に威力も制球力も疑問が残った。開幕ローテ候補として期待される右腕について、藤川球児監督(44)は「(雨で)足場の問題もあったのではないかな」とフォローした。

◆二回を終わって1時間。三回を終わって1時間半。四回を終わって2時間...。前半は4時間超になりそうなスローペース。オープン戦とは思えない、長い試合になった。おまけに、甲子園球場の記者席は屋外にある。ずっと震えながらの観戦に。3月初旬の底冷えは、体に悪い。最近話題になっている、あのテーマが脳裏をよぎる。7イニング制の導入!日本高校野球連盟が、厳しい暑さや、けがから選手を守ろうと、検討を続ける中、ことしの秋の国民スポーツ大会で実施することを決めたのだ。これだけ寒いと、9イニングは耐えられないから、7イニングぐらいがちょうどいいかも?!な~んてポロッと漏らしたら、右隣の席の阪神OB、上田二朗氏に叱られた。「そんなことをしたら、今までの記録はどうなるんや。ノーヒットノーランが毎月のように起きてしまうぞ」確かに。ただ、ふと思った。上田さんは九回2死までノーヒットノーランを継続。「あと1人」の段階で、ミスター・長嶋茂雄さんに三遊間を破られて、大記録が寸前で消えてしまう伝説の持ち主。もし、7イニング制だったら、「歴代ノーヒッター」の表に「上田二朗」の名前も載っていたことになる。「そんなもん、意味がない。九回2死から打たれた。そのドラマのほうが、俺にとってははるかに貴重や。九回まで戦うから、野球の醍醐味(だいごみ)がある」

<オープン戦順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(3↑)
中日
420 0.667
(↑0.067)
-
(-)
24
(+7)
21
(+4)
3
(+1)
9
(+2)
0.241
(↑0.01
3.500
(↓0.1)
1
(5↑)
日本ハム
210 0.667
(↑0.167)
0
(↓0.5)
6
(+3)
4
(+2)
1
(+1)
2
(-)
0.215
(↓0.004)
1.380
(↓0.32)
1
(1↑)
広島
212 0.667
(-)
0
(-)
16
(+3)
12
(+3)
2
(+1)
1
(+1)
0.211
(↓0.011)
2.050
(↓0.25)
1
(1↑)
ロッテ
210 0.667
(-)
0
(-)
9
(-)
7
(-)
3
(-)
1
(-)
0.175
(-)
1.380
(-)
5
(4↑)
ソフトバンク
220 0.500
(↑0.167)
0.5
(↓0.5)
14
(+3)
14
(+1)
2
(-)
5
(-)
0.260
(↓0.017)
2.830
(↑0.63)
5
(1↓)
ヤクルト
330 0.500
(↓0.1)
0.5
(↑0.5)
17
(+1)
20
(+3)
4
(+1)
6
(-)
0.222
(↓0.002)
2.770
(↓0.11)
5
(4↑)
楽天
222 0.500
(↑0.167)
0.5
(↓0.5)
26
(+5)
16
(+2)
3
(-)
8
(+3)
0.243
(↓0.001)
2.720
(↑0.14)
5
(4↓)
阪神
111 0.500
(↓0.5)
0.5
(↑0.5)
20
(+4)
20
(+7)
4
(+1)
1
(+1)
0.387
(↓0.008)
6.330
(↓0.33)
9
(2↓)
DeNA
231 0.400
(-)
1
(-)
18
(+3)
16
(+3)
0
(-)
6
(+4)
0.240
(↓0.004)
2.420
(↓0.12)
9
(2↓)
巨人
230 0.400
(-)
1
(-)
16
(-)
22
(-)
3
(-)
0
(-)
0.250
(-)
3.800
(-)
11
(2↓)
ORIX
130 0.250
(↓0.083)
1.5
(↓0.5)
13
(+2)
26
(+5)
0
(-)
1
(+1)
0.248
(↓0.019)
6.690
(↑0.58)
12
(-)
西武
010 0.000
(-)
1
(-)
2
(+2)
3
(+3)
0
(-)
0
(-)
0.233
(↑0.233)
3.380
(↓3.38)