1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 | 安 | 失 | 本 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
ソフトバンク | 0 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 3 | 5 | 9 | 1 | 0 |
DeNA | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 3 | 3 | 9 | 1 | 0 |
勝利投手:有原 航平(1勝0敗0S) 敗戦投手:ジャクソン(0勝1敗0S) |
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◆ソフトバンクが日本シリーズの初戦を制した。ソフトバンクは2回表、有原の2点適時打が飛び出し、先制に成功する。そのまま迎えた9回には、今宮と栗原の適時打で3点を加え、リードを広げた。投げては、先発・有原が7回4安打無失点の好投。敗れたDeNAは、最終回に2点差まで追い上げるも、反撃は及ばなかった。
◆小久保ホークスの戦闘態勢が整った。4年ぶりの日本一を目指すソフトバンクは、試合前練習で小久保裕紀監督(53)がナインや関係者全員と固い握手を交わした。3月29日のレギュラーシーズン開幕戦、10月16日のCSファイナルステージ初戦に続く節目の儀式。指揮官は「真剣勝負の1週間。最後の舞台なんでね」と引き締めた。ソフトバンクはレギュラーシーズンでは2位日本ハムに13・5ゲーム差をつけ、CSファイナルステージも無傷で突破。さらに日本シリーズは現在12連勝中だ。圧倒的な強さで20年以来の日本一を目指す。
◆日本シリーズ第1戦のスタメンが発表され、DeNAはアンドレ・ジャクソン投手(28)が先発マウンドに上がる。ジャクソンは、19日のCSファイナルステージ第4戦から中6日での登板となる。前回登板は敗戦投手となったものの、7回途中4失点(自責3)と試合をつくった。この日も安定感のある投球を披露したいところだ。打線はCSファイナル第6戦と同じオーダーで臨む。注目はタイラー・オースティン内野手(33)だ。今季の交流戦での対ソフトバンク戦は12打数4安打2本塁打で、打率3割3分3厘をマークした。ハマの4番として、チームを勝利に導く一打に期待がかかる。
◆7年ぶりの日本シリーズに臨むDeNAへ、かつての助っ人たちから応援メッセージが届いた。横浜スタジアムのバックスクリーン上部のビジョンに懐かしの面々が登場。左のリリーバーとして活躍したエスコバーは「こんにちは。エスキーです。SMBC日本シリーズ進出おめでとうございます。選手のみなさんがベストを尽くせるようベネズエラから応援しています。日本一になって横浜を盛り上げてください。ベイスターズはチームの雰囲気がすばらしいので必ず優勝できると信じています」としみじみな感じのあいさつから、最後はおなじみの「オトコハ ダマッテ ナゲルダケ! バモス!」と盛り上げた。続いて登場したのは、記憶にも新しいバウアー投手。「監督、コーチ、選手、スタッフ、ファンのみなさま、クライマックスシリーズ優勝おめでとうございます。この調子で日本一になってください」とチームを鼓舞した。最後は、2015-2020まで在籍したロペス。少しばかりぽっちゃりしたロペスは、DeNAのユニホーム姿でビデオメッセージを送った。「私は現地にいられませんが、遠くから応援しています。選手たちの活躍と日本一を願っています。みなさんに会えなくて寂しいですが、ベイスターズを応援してください」と言い「横浜進化! I☆YOKOHAMA!」で締めた。
◆ソフトバンク今宮健太内野手(33)が自身2年ぶりの「3番」に抜てきされた。敵地横浜の日本シリーズ第1戦に「3番遊撃」でスタメンに名を連ねた。22年9月23日のロッテ戦以来で打順別成績は打率3割1分8厘、3本塁打、21打点をマークしている。負傷した右足首を考慮し、代打待機の近藤健介外野手(31)に代わってクリーンアップに座ることになった。主戦を3番にしていた栗原陵矢内野手(28)は「5番三塁」で先発出場する。今宮は日本ハムとのCSファイナルステージでは3試合で打率5割、1本塁打、1打点の活躍を見せた。小久保ホークスが、打線改造でセパ頂上決戦の初戦を取りにいく。
◆TUBEの前田亘輝(59)が君が代独唱を行った。紺色のジャケット姿で登場。伸びやかな歌声で君が代を歌い上げると、場内からは大きな拍手が送られた。独唱後は「三浦監督、小久保監督、選手の皆さん。日本中を熱くするようなゲーム、そしてプレーを期待します。そしてファンの皆さんも盛り上がっていきましょう」と呼びかけ、球場のボルテージを上げた。大役を終えた前田は「横浜スタジアムで初めて国歌独唱をさせてもらったのですが、非常に清らかな気持ちで歌えたなと思います。下克上で日本シリーズに出場したベイスターズ、圧倒的な強さで日本シリーズに出場したホークス。この両チームの激突ということで両監督とも交流があり、どっちにも勝ってほしいなというのが僕の正直な気持ちですけど、とにかく日本を熱く盛り上げてほしいなと思います。両チーム頑張れ!」と両軍にエールを送った。
◆DeNA佐野恵太外野手が、チーム初安打を放った。1回2死、初球のカーブを大きなスイングで空振り。カウント1-1から有原の133キロのチェンジアップを中前に運んだ。試合前は、米大リーグのワールドシリーズ第1戦で、同じ登場曲(Dayvi & Victor Cardenas x Kelly RuizのBaila Conmigo)を使用するドジャースのフレディ・フレディ・フリーマン内野手が逆転満塁サヨナラ本塁打を放ったことから、佐野がトレンド入りしていた。佐野は「見ました。同じ登場曲のフリーマンが最後ホームランを打ってたんで、そういった大きい舞台で活躍できる選手になりたいなって。同じ何かの縁だと思う。フリーマンに続けで頑張ろうと思います」と意気込んでいた。
◆ソフトバンク先発の有原航平投手(32)が、自らのバットで先制点をもたらした。「普段立つことがない打席ですが、何とかしようという気持ちだけでした。とにかく先制のタイムリーとなって良かったです」。0-0の2回2死満塁の第1打席。DeNA先発ジャクソンの153キロ直球を振り抜いた。低い打球は一、二塁間を通過。一気に2者を生還させる右前適時打となった。普段打席に立たないパ・リーグの投手が、いきなり値千金の2打点。今季の日本シリーズ初得点をもたらした。有原の打撃 広陵時代は3年春夏の甲子園で通算19打数3安打(打率1割5分8厘)、本塁打なし、1打点。早大では東京6大学リーグで通算90打数20安打(2割2分2厘)、1本塁打、6打点。3年春に関谷(明大)から本塁打を放った。プロでは公式戦通算16打数2安打(1割2分5厘)で、本塁打と打点はなかった。
◆DeNAが、申告敬遠が裏目に出て、ソフトバンクに先制を許した。0-0の2回、2死一塁から牧原大に二塁打を浴び、2死二、三塁で8番甲斐に申告敬遠を選択。投手の有原への勝負を選んだが、カウント1-1から右前に2点適時打を浴びた。今季の有原は交流戦で3打数無安打で、レギュラーシーズンでは通算2安打も打点はなかった。"プロ初打点"を許し、痛すぎる2点を失った。
◆98年に監督として横浜(現DeNA)を日本一に導いた権藤博氏(85)が始球式を行った。チームを日本一に導いた時と同じ背番号「72」のユニホーム姿で登場。捕手役にはDeNA三浦大輔監督(50)が、バッターボックスにはソフトバンク小久保裕紀監督(53)が立った。ノーバウンド投球を披露すると、力強くガッツポーズ。その後、三浦監督と握手を交わした。始球式を終え「監督として君が代を聞いて勝って、もう26年も経ったんですね。スタンドの盛り上がりは相変わらずで、リーグ優勝して本当は日本シリーズに出場しかったですけど、それでも資格をもって出場するんですから横浜らしい迫力のある打線で向かって行き、頑張ってもらいたい」とコメント。26年ぶりの日本一へ向けてエールを送った。
◆DeNA先発のアンドレ・ジャクソン投手(28)が5回途中で97球、3安打2失点で降板した。2回2死満塁、投手の有原に2点適時打を許した。「今日は自分のベストコンディションではなかった。何とか試合を作る、踏ん張ることを心がけていましたが、ホークス打線の粘り強い打撃で球数が多くなった」。有原の適時打後に日本シリーズタイ記録の5者連続三振を奪ったが、ペースアップが遅かった。
◆DeNA三浦大輔監督(50)が、ファンへの誓いを実現させ、本拠地横浜スタジアムでの日本シリーズを迎えた。チームは三浦監督が現役を引退した翌年の17年に日本シリーズに進出したが、自身は日本一を達成した98年以来、26年ぶりの大舞台。「やはり特別なステージだと思います。気持ちもいつもより高ぶってます」と高揚感を胸に、ベンチで指揮した。振り返れば、23日前の3日の阪神戦。今季のレギュラーシーズンの本拠地最終戦で、試合後の最終戦セレモニーであいさつした。日々の応援に感謝を述べた後に「残念ながら、期待に応えることができず、悔しい3位という結果になってしまい、すみませんでした」と謝罪。批判の声も覚悟したが、スタンドから届いたのは背中を押してくれる言葉の数々だった。三浦監督 ファンの方から「頑張れ」とか、「応援してるぞ」という声をいただいて、本当にありがたいなと。ファンの方に喜んでいただくためにも絶対に勝ちたいなと思った。球場全体が三浦監督の言葉に耳を傾け、静まり返る中で力強く誓った。「もう1度、ここ横浜スタジアムで試合ができるように、12日から始まるクライマックスシリーズを勝ち上がってきますので、シーズン同様、今まで以上に皆さま方の熱い熱いご声援を最後までよろしくお願いします」宣言し、大きな拍手と歓声を浴びた。この日、ソフトバンクのファンが詰めかけた左翼席を除き、スタンドが青く染まった。1軍監督就任から4年。夢見た日本一への戦いが、愛するハマスタから始まった。【久保賢吾】
◆DeNAマイク・フォード内野手(32)が、大ファウルでスタンドを沸かせたが、直後に右飛に倒れ、ため息が漏れた。2点を追いかける5回無死一塁、3ボールからソフトバンク有原の142キロのカットボールをフルスイング。強烈な打球にスタンドから大きな歓声が上がったが、ボールは右翼ポールの外側を通過した。気を取り直し、打席に入ったが、カウント3-1からの4球目のカットボールは力なく、右飛に終わった。1死一塁から桑原が投直に凡退し、二盗を仕掛けた森敬は一塁に戻れず、チャンスが消滅した。
◆ソフトバンク周東右京内野手(28)がヒヤリとするアクシデントに見舞われた。5回1死二塁の第3打席。自身の打球が左膝に直撃。苦悶(くもん)の表情を浮かべながら、ベンチに戻って治療を受けた。9月下旬に左膝の違和感を訴え、一時戦線を離脱。同箇所への自打球だった。それでも、その後はバットを持ってグラウンドに登場。空振り三振となったが打席を完了し、プレーを続行した。
◆DeNA戸柱恭孝捕手(34)が、日本シリーズ初安打をマークした。「6番捕手」でスタメン出場。4回の第2打席に二塁への内野安打を放った。プロ2年目だった17年の日本シリーズでは、2試合にスタメン出場したが、8打数無安打だった。守備では1回に柳田の二盗を阻止した。
◆ソフトバンク近藤健介外野手(31)が満を持して代打で登場したが、申告敬遠で球場がざわついた。2-0とリードする8回1死二塁から正木智也外野手(24)の打順で代打近藤が送られた。日本シリーズでは負傷した右足首を考慮し、セ本拠地開催で指名打者のないこの日は代打待機。今季初となる代打出場だったが、申告敬遠で緒方理貢外野手(26)が代走に送られ出番はあっという間に終わった。この回は無得点だった。
◆DeNAの中川颯投手(26)が、完璧な火消しを見せた。2点ビハインドの5回2死一、二塁で、先発ジャクソンに代わって2番手で登場。カウント1-2から、4番山川を空振り三振。追加点を与えられないピンチの場面を無失点で切り抜けた。昨季まで所属したオリックスでは1軍登板は1試合で戦力外となり、今季加入したハマのサブマリン。巨人とのCSでは3試合に登板し、2ホールドをマークするなど活躍。日本シリーズデビュー戦でも首脳陣の期待に応えた。
◆DeNA牧秀悟内野手(26)が、今季限りで退団した大事な仲間への思いを登場曲に込めた。自主トレをともにする先輩の大和が使用する登場曲を使用。シェネルの「シャナナ」が球場に流れ、気付いた一部のファンが沸いた。今季のレギュラーシーズン最終戦だった3日の阪神戦(横浜)でも大和の登場曲を使用。伊藤光は今季限りで退団する楠本、林は大田の登場曲を使用した。
◆ソフトバンク先発の有原航平投手(32)が、7回無失点で降板した。日本一へ船出の一戦でエースが変化球を効果的に使い、7回104球で4安打2四球4奪三振無失点と快投した。日本ハム時代の16年10月25日に広島戦(札幌ドーム)で7回2失点以来となる日本シリーズのマウンド。2回まで37球を投じ2回とも得点圏に走者を進めるも本塁を踏ませなかった。5回は内野安打で先頭打者に出塁を許し無死一塁のカウント3-0からDeNA代打フォードに右翼ポール際へ大ファウルを浴びるも冷静な表情。同じ球種、同じコースで右飛に抑えた。続く1番桑原は投直。飛び出していた一塁走者の森敬もアウトにし無失点だった。2回の打席では直前の8番甲斐が敬遠され、2死満塁から一、二塁間を破る右前2点適時打を放ち、自らのバットで初戦の貴重な先制点をもたらした。有原の打撃 広陵時代は3年春夏の甲子園で通算19打数3安打(打率1割5分8厘)、本塁打なし、1打点。早大では東京6大学リーグで通算90打数20安打(2割2分2厘)、1本塁打、6打点。3年春に関谷(明大)から本塁打を放った。プロでは公式戦通算16打数2安打(1割2分5厘)で、本塁打と打点はなかった。
◆DeNA戸柱恭孝捕手(34)が二盗を2度阻止して投手を助けた。1回1死一塁で柳田の二盗を阻むと、7回1死一塁では1ストライクから外角へウエストして、パ・リーグ盗塁王の周東を二塁で刺した。打撃でも、4回の第2打席で二塁への内野安打を放ち、2度目の出場で日本シリーズ初安打をマークした。CSでは1本塁打6打点と活躍し、最優秀選手を獲得。勢いを継続した。
◆ソフトバンクが接戦を制し、日本シリーズの連勝記録を継続した。先発の有原航平投手(32)が投打に躍動した。0-0の2回2死満塁で打席に立つと、一、二塁間を破る2点先制右前打。自ら援護点を挙げ、これが決勝点となった。投げても7回4安打無失点。DeNAの強力打線を封じ込め、今季パ・リーグ最多勝の実力を見せつけた。2点リードの9回には3番今宮健太内野手(33)がダメ押しの2点右越え二塁打を放ち、試合を決定付けた。CSファイナルステージでは日本ハム相手に3勝0敗でストレート進出を決めた。2位と13・5ゲーム差をつけ、圧倒的な強さでリーグ優勝を果たした今季。3位からの下克上で勢いに乗るDeNA相手にも、変わらず強さを見せた。これでソフトバンクは日本シリーズ13連勝。18年10月30日の広島戦から続く記録で、19年、20年はともに巨人から4勝0敗のスイープを決めている。球団12度目となる日本一に向け、まずは敵地で大きな1勝を手にした。
◆DeNAは、7年ぶりの日本シリーズの舞台で黒星スタートとなった。98年以来の日本一を目指し、本拠地で迎えた第1戦。大声援のバックアップを受け、CSファーストステージから勝ち進んだ勢いを見せたかったが、ソフトバンク投手陣を打ち崩せず、9回梶原、森の適時打などで追い上げるも及ばなかった。先発ジャクソンは日本シリーズ歴代最多タイの5者連続三振をマークするなど尻上がりに調子を上げたが、2回2死満塁で投手の有原に先制の2点適時打を献上。5回途中3安打2失点で降板した。救援陣が無失点で粘って反撃の機会を待ったが、打線は先発有原に7回4安打無失点に抑え込まれた。9回には1死一、二塁から今宮に2点適時二塁打を浴び、追加点を許した。さらに栗原の左前適時打で3失点。なかなか得点機をつくれない終盤に重い3点を失い、第1戦を落とした。
◆DeNA山崎康晃投手(32)が2点ビハインドの8回から5番手で登板し、1回を無失点に抑えた。1死一、二塁のピンチを招いたが牧の好守にも助けられ、後続を抑えた。2死からソフトバンク甲斐を見逃し三振に仕留めた際は雄たけびを上げ、チームを鼓舞。「本当に全員でスクラムを組んでやっていかないといけないと思ってます」と話していた右腕が、気迫のこもった投球を見せた。
◆DeNA佐々木千隼投手(30)が、日本シリーズ初登板を果たした。2点ビハインドの7回から4番手で登板。1死走者なしから周東に中前打を許したが、1死一塁からバッテリーを組む戸柱の見事な送球を呼び込み、周東を盗塁死。1イニングを無失点で切り抜けた。現役ドラフトで昨オフ加入した右腕。ロッテ時代に何度も対戦したソフトバンク打線相手に、存在感を示した。
◆ソフトバンクが接戦を制し、日本シリーズの連勝記録を継続した。先発の有原航平投手(32)が投打に躍動した。0-0の2回2死満塁で打席に立つと、一、二塁間を破る2点先制右前打。自ら援護点を挙げ、これが決勝点となった。投げても7回4安打無失点。DeNAの強力打線を封じ込め、今季パ・リーグ最多勝の実力を見せつけた。2点リードの9回には3番今宮健太内野手(33)がダメ押しの2点右越え二塁打を放ち、試合を決定付けた。これでソフトバンクは日本シリーズ13連勝。18年10月30日の広島戦から続く記録で、19年、20年はともに巨人から4勝0敗のスイープを決めている。球団12度目となる日本一に向け、まずは敵地で大きな1勝を手にした。ソフトバンクが日本シリーズで18年第3戦から通算13連勝。シリーズ最多連勝記録を更新した(2位は西武、巨人、ロッテの各8連勝)。ソフトバンクが白星スタート。過去74度のシリーズで先勝チーム(△→○を含む)は46度優勝しており、V確率62%。敵地で先勝は31度のうち23度Vで確率74%となる。
◆DeNA大貫晋一投手(30)が、27日の第2戦で日本シリーズ初先発のマウンドに上がる。「調整はうまくいってると思いますし、前回(CSファイナル第2戦)みたいに長いイニングを投げられればいいとは思いますけど、チームが勝つことが一番大事だと思うので、1イニング1イニングをゼロで抑えることを目標にやっていきたいなと思います」と必勝を誓った。
◆DeNAが9回に怒濤(どとう)の粘りを見せ、ソフトバンク守護神のオスナから3点を奪った。9回表終了時点で0-5。敗色ムード濃厚の状況で、9回先頭のオースティンが左中間二塁打。続く宮崎が遊飛、戸柱が三飛に倒れて二死二塁から梶原、森敬が連続タイムリー。さらに代打筒香の右前打で2死一、三累とチャンスを広げると、桑原のボテボテのゴロを処理した投手オスナの一塁悪送球の間に1点を追加した。1発が出れば逆転サヨナラとなる2死一、三塁の場面で、牧が中飛に倒れて試合終了。あと1歩のところで反撃が及ばなかったが、ソフトバンク守護神を最終回に打ち崩し、初戦は落としたが、次戦以降に期待を持たせる内容だった。
◆ソフトバンク周東右京内野手(28)が激走で「同時ホームイン」を果たした。9回1死一、二塁の場面。3番今宮の右越え打に、一塁走者から激走を見せた。三塁を回った時点で二塁走者を抜かそうかという勢い。ほぼ同時のホームインとなり、二塁走者川村は驚きの表情を浮かべていた。
◆DeNAが最終回に意地を見せた。9回2死二塁から梶原が中前適時打で1点を返すと、森敬も左翼線適時打で続いた。さらに代打筒香が右翼線安打でつなぐと、桑原は投ゴロ。だが、一塁送球エラーで桑原が生きて、3点目。一打逆転で牧、という状況までは、ソフトバンクを追い込んだ。先発有原の前に、7回まで散発の4安打で無得点。8回はセットアッパーのヘルナンデスに抑え込まれた。今季のレギュラーシーズンの本拠地最終戦だった3日の阪神戦以来となる横浜スタジアムでの一戦だったが、9回の猛攻で球場を盛り上げた。有原に対し、7イニング中5イニングで走者を出したが、要所でギアを上げられ、凡打を繰り返した。1回は2死から佐野がチーム初安打を放ち、オースティンが四球を選んだが、宮崎が凡退。5回は無死から森敬がボテボテの一塁内野安打で出塁したが、代打のフォードが大ファウルの後に右飛に終わった。1死後、桑原は投直で二盗を仕掛けた森敬も戻れず、チャンスが消滅した。8回からは、強力リリーフ陣にねじ伏せられた。ヘルナンデスに対し、1死から桑原が右前打を放ったが、2番牧、3番佐野が連続三振。150キロを超える速球、キレ味鋭い変化球に合わず、今後の戦いにも不安が残った。先発ジャクソンが5回途中2失点と粘投。8回まではリリーフ陣が無失点で2点差を保ったが、9回の3失点が痛かった。
◆ソフトバンクが接戦を制し、日本シリーズの連勝記録を継続した。先発の有原航平投手(32)が投打に躍動した。0-0の2回2死満塁で打席に立つと、一、二塁間を破る2点先制右前打。自ら援護点を挙げ、これが決勝点となった。投げても7回4安打無失点。DeNAの強力打線を封じ込め、今季パ・リーグ最多勝の実力を見せつけた。2点リードの9回には3番今宮健太内野手(33)がダメ押しの2点右越え二塁打を放ち、試合を決定付けた。先発投手の有原が2回に先制適時打を放ってシリーズ初勝利。シリーズで投手のV打は86年第5戦工藤(西武)以来6人、9度目で、第1戦では初めて。先発投手では67年第4戦足立(阪急)73年第3戦堀内(巨人)に次いで51年ぶり3人目。有原はこれがシリーズ初打席(登板は2試合目)で、投手の初打席V打はシリーズ史上初めてになる。今季の有原は公式戦、CS、シリーズとすべてチーム初戦に先発して白星。同一年の公式戦とシリーズの両方で開幕戦先発勝利は01年石井一(ヤクルト)以来10人、11度目となり、「公式戦+プレーオフ・CS+シリーズ」のすべて開幕戦先発勝利は77年山田(阪急)以来2人目だ。
◆ソフトバンク周東佑京内野手(28)が「同時ホームイン」の裏側を明かした。9回1死一、二塁の場面。3番今宮の右越え打に、一塁走者から激走を見せた。三塁を回った時点で二塁走者川村友斗を抜かそうかという勢いで、ほぼ同時のホームインを果たした。「打球判断はめちゃくちゃよかったです。多分、角度的に(川村より)僕の方が多分判断はしやすい打球の角度だったと思う」生還後には驚きの表情を浮かべていた川村。どのように声を掛けたのか問われると「遅えよ、と」と明かした。
◆ソフトバンクが接戦を制し、日本シリーズの連勝記録を継続した。先発の有原航平投手(32)が投打に躍動した。0-0の2回2死満塁で打席に立つと、一、二塁間を破る2点先制右前打。自ら援護点を挙げ、これが決勝点となった。投げても7回4安打無失点。今季パ・リーグ最多勝の実力を見せつけた。これでソフトバンクは日本シリーズ13連勝。18年10月30日の広島戦から続く記録で、19年、20年はともに巨人から4勝0敗のスイープを決めている。球団12度目となる日本一に向け、まずは敵地で大きな1勝を手にした。小久保監督の一問一答は以下の通り。-今宮を2年ぶりに3番起用小久保監督 やっぱり(4番)山川の後を栗原にしようと思って。3番今宮は別にノーアウト一、二塁で十分(犠打で)送れるという、そういう意味を込めて。まず状態が良かったんでね。CSで。-周東の左足に自打球を受けてもん絶小久保監督 あの後もヒット打ったから大丈夫ですよ。っていうか(川村と)追いかけっこしてましたからね。川村が抜かれるんかなと。走りを見たら心配ない。-9回は代打嶺井の安打から3得点小久保監督 なんかハマスタですごい打ってるイメージがあったんで。あのままの点差(2-0)ならもう先行逃げ切りで行こうと思って。バッティング練習を見てても、ファームの時もそうなんですけど、状態良かったんでね。
◆ソフトバンクが接戦を制し、日本シリーズの連勝記録を継続した。先発の有原航平投手(32)が投打に躍動した。0-0の2回2死満塁で打席に立つと、一、二塁間を破る2点先制右前打。自ら援護点を挙げ、これが決勝点となった。投げても7回4安打無失点。DeNAの強力打線を封じ込め、今季パ・リーグ最多勝の実力を見せつけた。これでソフトバンクは日本シリーズ13連勝。18年10月30日の広島戦から続く記録で、19年、20年はともに巨人から4勝0敗のスイープを決めている。球団12度目となる日本一に向け、まずは敵地で大きな1勝を手にした。最終回に守護神オスナが3失点。最大5点差から2点差に詰め寄られたが、小久保ホークスが何とか逃げ切った。小久保監督は日本シリーズ初采配で初勝利。敵地での初戦を白星で飾った。「4つ勝つんだという話を選手たちにしてるので。とりあえずあと3つ勝ちます」。余韻もほどほど。すぐに手綱を締めた。チーム一丸で勝利をつかんだ。右足首の捻挫から復帰したばかりの近藤健介外野手(31)は、守備負担を考慮してベンチスタート。今季のパ・リーグ首位打者を温存する形になったが、12球団最強打線は動じず、9安打5得点を奪った。試合開始の30分前には指揮官が最後の訓示。「2024年型ホークスは日本一を達成して完結する」。小久保監督はナインの闘志に火をつけていた。近藤の定位置5番に座った栗原が、2回1死から四球をもぎとる。2死で牧原大が左翼線二塁打を放ち、8番甲斐は申告敬遠で歩いた。2死満塁で、投手有原が先制の右前に2点適時打。勝負を決めたのは有原だが、野手陣がしっかりお膳立て。栗原はレギュラーシーズンを含めても今季初の5番だった。代打待機になった近藤の無念を背負い、決勝打の起点になった。「落ち着いているか? 全然大丈夫。だって俺は打席立たへんし」。試合前は冷静だった小久保監督だが、練習が始まると、ナインや関係者全員と固い握手。3月29日のレギュラーシーズン開幕戦、16日のCSファイナルステージ初戦に続く節目の儀式を行った。「真剣勝負の1週間。最後の舞台なんでね」。2-0の9回1死一、二塁では2年ぶりに3番起用された今宮が右翼越えに2点適時二塁打。栗原もタイムリーで続いた。近藤を代打で温存しながらDeNAに先勝。右足首の完治をナインが後押しした。日本シリーズは破竹の13連勝も小久保監督は「いや、3つ負けられるのが日本シリーズなので。あまりそこは気にせず。1戦1戦やっていきます」と冷静。パ・リーグ王者が横浜の夜空の下、貫禄を見せた。【只松憲】▽ソフトバンク王球団会長(初戦を勝利し)「なんとかね。みんな初戦はプレッシャーがあったからね。2戦目は楽に戦うことができるよ」ソフトバンクが日本シリーズで18年第3戦から通算13連勝。シリーズ最多連勝記録を更新した(2位は西武、巨人、ロッテの各8連勝)。ソフトバンクが白星スタート。過去74度のシリーズで先勝チーム(△→○を含む)は46度優勝しており、V確率62%。敵地で先勝は31度のうち23度Vで確率74%となる。
◆DeNA筒香嘉智外野手(32)が代打で出た9回、意地の右翼線安打で猛攻をつないだ。2死から梶原、森敬の連打で2点を返してなお一塁。オスナの147キロカットボールを右翼線に運んだ。「僕の感覚自体は悪くない。短期決戦は負ければ全く意味を持たない。誰がどうこうよりチームとして戦っている」と話した。第2戦へ向け「変わらず、いい準備をして、チームが勝てるのに貢献できるように頑張ります」と切り替えていた。▽DeNA堀岡(昨オフに巨人を戦力外。育成からはい上がり、初の日本シリーズ登板で9回に痛恨の3失点)「日本シリーズで投げられる喜びも感じながら投げてたんですけど、もともとなかったチャンスなんで。結果を出したかった」
◆ソフトバンクのリバン・モイネロ投手(28)が必勝に自信を見せた。27日の第2戦に先発予定。「僕で負けるわけにはいかないし、僕が負けるわけがない、という気持ちでいる」。シリーズ登板に向けて調整も順調。DeNA打線で牧を要注視に挙げ「勢いに乗らせないようにしたい」と気持ちを引き締めた。大好きな打撃でもアピールする。「左打席ならヒット。右打席ならホームランを打てるように。打撃でもチームに貢献したい。バッティングタノシミダネ」と笑顔だった。
◆ソフトバンクの3番今宮健太内野手(33)が貴重な2点適時二塁打を放った。2点リードの9回1死一、二塁から右翼越えへ2点二塁打。「最後にいいところで打ててよかった」。試合前に先発3番を知らされて「びっくりした」と第1打席から2打席連続で空振り三振。5回の3打席目に四球を選び「4番の山川につなげばいいんだと、思って。あれで少し落ち着きました」と苦笑い。自身2年ぶりの「3番」に戸惑いながらも、最後に快音を響かせ「勝てば何でもいいです」と笑顔で球場を後にした。
◆DeNA三浦大輔監督(50)が土俵際の粘りを次戦につなげる。本拠地横浜スタジアムへ23日ぶりの帰還。白星で飾れず、満員のファンに深く一礼した。「CSとはまた違った日本シリーズの独特な雰囲気の中、ホームでファンの方が大きな声援を送ってくださった。今日は勝てなかったですけど、たくさんのファンの方がついてくれてるんだと改めて感じました」希望はつないだ。5点ビハインドを背負った9回、ソフトバンクの守護神オスナを攻め立てた。先頭オースティンの左中間への二塁打から始まり、2死二塁から梶原、森敬、代打筒香が3連打。桑原はボテボテの投ゴロを一塁にヘッドスライディングし、オスナの悪送球を誘った。3点を返し、2死一、三塁で打席には主将の牧。1発出ればサヨナラ3ランという場面まで追い上げた。捉えた当たりも中飛に終わり、牧は「(大歓声のファンの)期待に応えることができなくて悔しい。またああいう声援を送ってもらえるようにやっていきたい」と前を向いた。指揮官も視線は次戦を向いた。「あのまま無抵抗で終わるより、明日につながるかなと思いますし、つなげていかないといけないと思います」。3位からCSを勝ち進んで17年以来7年ぶりの日本シリーズ進出。16年に現役引退した指揮官にとっては日本一を達成した98年以来、26年ぶりの大舞台だった。先手は奪われた。2回2死二、三塁、8番甲斐に申告敬遠を宣告。プロ通算2安打の投手有原との勝負を選ぶも、ジャクソンが右前への先制2点適時打を浴びた。9回にも堀岡が3失点。それでも敗色濃厚なムードにも、誰も諦めなかった。「いつも言ってますけどゲームセットまでは何が起こるか分からない。最後の最後まで(ファンは)一緒に戦ってくれますから、ありがたいです」と指揮官。DeNAの勢いはまだまだこんなもんじゃない。【小早川宗一郎】
◆日本シリーズ初出場のDeNA梶原昂希外野手(25)、森敬斗内野手(22)がマルチ安打をマークし、気を吐いた。「7番右翼」でスタメン出場の梶原は、2回に有原から中前打で初安打。「8番遊撃」の森敬は、5回に有原から一塁内野安打で初安打をマークした。梶原は「あまり気負うことなく、緊張感もありつつ、すごい楽しめる状況でプレーできています」と冷静に話した。2人のバットから明日への光も照らした。5点を追いかける9回2死二塁、梶原がソフトバンクの守護神オスナから中前適時打。梶原が二塁に進んだ後、森敬は粘った末にフルカウントからの9球目を左前へはじき返し、2点目を奪った。「何とかしたいなと思った。つなぐ意識で打席に立って、それがいい結果につながって良かったです」と話した。0-5の重苦しさから一転、森敬は投失の間に3点目のホームを踏み、相手守護神から3点を奪った。先発有原の前に、7回無得点と沈黙。8回はヘルナンデスにねじ伏せられた中、第2戦以降に重圧をかけ、チームには勢いを呼び込んだ。梶原は「簡単に終わらなかったのは、すごい収穫になりましたし、明日のゲームに勢いづく流れもつくれた」と前を向いた。
◆DeNAのリリーフ陣が粘って試合をつないだ。5回2死一、二塁、ジャクソンの後を受けた中川颯がソフトバンク山川を空振り三振に仕留めてワンポイントリリーフに成功。6回からは坂本、佐々木、山崎が1回ずつ無失点リレーでつないだ。中川颯は「次も簡単に抑えさせてくれないと思う。捕手とコミュニケーションを取って対応したい」と引き締めた。
◆「SMBC 日本シリーズ2024」が横浜で開幕。パ・リーグ王者のソフトバンクがセ・リーグ3位でCSを勝ち上がったDeNAを相手に貫禄の白星発進を決めた。先発した有原航平投手(32)が7回を4安打無失点の好投。打っては9番で0-0の2回2死満塁から値千金の2点適時打を放った。同シリーズで投手の決勝打は南海時代を含めて球団史上初の快挙だ。日本シリーズ・ニッカンMVP査定短期決戦では、先発投手の勝利と勝利打点が高評価となる。第1戦は有原が1人で両方を記録し、リードした。
◆「SMBC 日本シリーズ2024」が横浜で開幕。パ・リーグ王者のソフトバンクがセ・リーグ3位でCSを勝ち上がったDeNAを相手に貫禄の白星発進を決めた。ソフトバンク近藤健介外野手(31)は痛めている右足首を考慮して、第1戦は代打待機になった。指名打者のないセ本拠地開催は最強の切り札としてベンチに座る模様。試合前練習では走塁練習を行うなど患部は日に日に良好に向かっている。2-0の8回1死二塁で満を持して代打起用されたが、申告敬遠で勝負を避けられた。「雰囲気を味わえたので良かったなと思う」と話した。
◆「SMBC 日本シリーズ2024」が横浜で開幕。パ・リーグ王者のソフトバンクがセ・リーグ3位でCSを勝ち上がったDeNAを相手に貫禄の白星発進を決めた。ソフトバンク周東佑京内野手(28)が「同時生還」を果たした。9回1死一、二塁で3番今宮の右越え打に、一塁から激走。三塁を回った時点で二塁走者川村を抜かそうかという勢いで、ほぼ同時のホームインとなった。「打球判断はめちゃくちゃよかった。角度的に(川村より)僕の方が多分判断しやすい打球角度だったと思う」と躍動した。
◆【日刊スポーツ西日本写真映像チームのとっておき映像プレイバック】ソフトバンク周東佑京が激走!日本シリーズ開幕戦の9回、前を走る川村友斗を追い越しそうになる快足で貴重な追加点を挙げました!
◆鷹の大黒柱が頂上決戦で"二刀流"を演じた! 「SMBC 日本シリーズ2024」が横浜で開幕。パ・リーグ王者のソフトバンクがセ・リーグ3位でCSを勝ち上がったDeNAを相手に貫禄の白星発進を決めた。先発した有原航平投手(32)が7回を4安打無失点の好投。打っては9番で0-0の2回2死満塁から値千金の2点適時打を放った。同シリーズで投手の決勝打は南海時代を含めて球団史上初の快挙だ。背番号17が投げて、打ってと大舞台で投打躍動だった。敵地ハマスタがどよめく。バットを振り抜き、有原が無心で一塁を駆け抜けた。「まさか打てるとは...。こういう試合で打てたので、本当に奇跡です」。自らのバットで先制&決勝タイムリーをマーク。普段はクールな男が珍しく余韻に浸った。野手顔負けの勝負強さだ。0-0で迎えた2回2死満塁。この先制機の場面で右打席に入った。「何とかしようと」。カウント1-1からの3球目。外角寄りの153キロ直球にバットを出した。「とにかくバットに当たれと思って」。打球は一、二塁間を抜けていく。パの先発投手で慣れない打撃で値千金の1本。意外な一打に自軍ベンチもお祭り騒ぎ。驚き、興奮を隠しきれなかった。「全然、何打ったか覚えていない感じ。(打撃)練習もしていないですし、来た球を何とかしようと思ってた」。一心不乱で食らいつき、投手が日本シリーズでの決勝打は南海時代を含めて球団初。快挙のおまけつきだった。投げては先発で7回を4安打無失点。カットボールが要所でさえ、連打は1度も許さず。今季14勝で最多勝のタイトルを獲得した実績通りの内容だった。「粘り強く投げられたと思う。うまくコントロールできた」。マウンド上でも貫禄ぶりを示した。自身にとっては日本シリーズ初勝利だ。経験豊富な右腕は後輩の手本でもある。自ら若手に歩み寄ってはアドバイスを送ることも。トレーニング方法の相談に乗り、気遣いを見せる一面も持つ。今季は開幕投手を務め、CS、日本シリーズと短期決戦も先陣を切って負けなしだ。背番号17を誰もがエースと認める。「小久保監督にそういうところで投げさせてもらっている。その期待に応えられてすごくうれしいです」。セ・パ頂上決戦でも、その肩書を再認識させる堂々の立ち姿だった。【佐藤究】?先発投手の有原が2回に先制適時打を放ってシリーズ初勝利。シリーズで投手のV打は86年<5>戦工藤(西武)以来6人、9度目で、<1>戦は初めて。先発投手では67年<4>戦足立(阪急)73年<3>戦堀内(巨人)に次いで51年ぶり3人目。有原はこれがシリーズ初打席(登板は2試合目)で、投手の初打席V打はシリーズ史上初めてになる。今季の有原は公式戦、CS、シリーズとすべてチーム初戦に先発し白星。同一年の公式戦とシリーズの両方で開幕戦先発勝利は01年石井一(ヤクルト)以来10人、11度目となり、「公式戦+プレーオフ・CS+シリーズ」のすべて開幕戦先発勝利は77年山田(阪急)以来2人目だ。有原の打撃 広陵時代は3年春夏の甲子園で通算19打数3安打(打率1割5分8厘)、本塁打なし、1打点。早大では東京6大学リーグで通算90打数20安打(2割2分2厘)、1本塁打、6打点。3年春に関谷(明大)から本塁打。プロでは公式戦通算16打数2安打(1割2分5厘)で、本塁打と打点はなかった。
◆試合前に、昨季までにDeNAで活躍した〝レジェンド助っ人〟トレバー・バウアー投手、エドウィン・エスコバー投手、ホセ・ロペス内野手からのサプライズ応援メッセージが大型ビジョンに放映され、ハマスタが大きく盛り上がった。昨季10勝を挙げたバウアーは「監督、コーチ、選手、スタッフ、ファンの皆さま、クライマックスシリーズ優勝おめでとうございます。この調子で日本一になってください」とエールを送った。20年まで6年間プレーしたロペスはベイスターズのユニホーム姿で「私は現地にはいられませんが、遠くから応援しています。選手たちの活躍と日本一を願っています」と語り、エスコバーは「オトコハダマッテナゲルダケ! バモス!」とおなじみのフレーズで激励した。
◆ソフトバンクは今宮健太内野手(33)が「3番・遊撃」でスタメン出場。日本ハムとのクライマックスシリーズ・ファイナルステージでは3試合に出場して10打数5安打で打率・500、1本塁打と短期決戦で集中力を発揮した。4年ぶり日本一がかかる日本シリーズでもポイントゲッターとなる働きが期待されている。
◆1998年に監督として横浜(現DeNA)を38年ぶりの日本一に導いた権藤博氏(85)が始球式に登場し、ノーバウンド投球を披露した。投球後は打者役を務めたソフトバンク・小久保裕紀監督(53)、捕手役を務めたDeNA・三浦大輔監督(50)と握手を交わし、場内は歓声に包まれた。
◆神奈川県出身でロックバンド「TUBE」のボーカル、前田亘輝(59)が試合前に国歌独唱を行った。満員のハマスタで大役を務め「横浜スタジアムで初めて国歌独唱をさせてもらったが、非常に清らかな気持ちで歌えたなと思います。下克上で日本シリーズに出場したベイスターズ、圧倒的な強さで日本シリーズに出場したホークス。この両チームの激突ということで両監督とも交流があり、どっちにも勝ってほしいなというのが僕の正直な気持ちですけど、とにかく日本を熱く盛り上げてほしいなと思います。両チーム頑張れ!」とコメントした。
◆ソフトバンクは先発し、9番打者の有原航平投手(32)が二回に自ら2点タイムリーを放って先制した。2死一塁から牧原大成内野手(32)が左翼線二塁打で、二、三塁とチャンスを広げると、甲斐拓也捕手(31)が敬遠四球で歩いて満塁。迎えた有原の初打席、先発ジャクソンに対し、カウント1-1から外角より直球を逆方向にはじき返した当たりが一、二塁間を抜けた。2者をかえす適時打。シリーズ前、打撃については「とにかく迷惑だけはかけないように最低限のプレーをしっかりしたい」と語っていたが、先制点が欲しいタイミングで自らを援護した。今季交流戦での打撃成績は4打席に立ち、3打数無安打2三振、1犠打だった。
◆九回に右安打を放つDeNA・筒香嘉智=横浜スタジアム(撮影・長尾みなみ)
◆DeNAのアンドレ・ジャクソン投手(28)が来日1年目で日本シリーズ初登板先発。強力ソフトバンクの上位打線を相手に、二回から四回にかけて5者連続三振を奪う力投を見せた。二回2死満塁で9番投手の有原に先制の適時打を許したが、続く1番の柳田から、三回は周東、今宮、山川、四回先頭の栗原まで、5者連続三振を記録した。
◆昨オフにオリックスを自由契約となり、今季DeNAに加入した中川颯投手(26)が0―2の五回のピンチに2番手で日本シリーズ初登板。山川を空振り三振に仕留めた。無失点で切り抜ける〝火消しデビュー〟を飾った。強力ソフトバンク打線を相手に力投していた先発のジャクソンが五回、2死一、二塁のピンチを招いて降板。代わってマウンドに上がった下手投げ右腕は、4番の山川を巧みな投球術で三振に打ち取った。
◆DeNAのアンドレ・ジャクソン投手(28)が、日本シリーズの初陣を任されて4回?を投げ、3安打2失点で降板した。五回2死二塁で今宮に四球を出し、4番・山川を迎えたタイミングでマウンドを降りた。一回は先頭の柳田に四球を与えたが、周東を右飛、今宮の打席では柳田の盗塁を阻止し、空振り三振に抑えて3人でシャットアウト。だが二回は2死一塁から牧原大に初安打となる二塁打を浴びると、甲斐は申告敬遠で2死満塁となり、投手の有原に真ん中直球を右前へ先制の2点適時打された。それでも失点を許した直後の二回2死一、二塁から1番・柳田を空振り三振に抑え、三回は周東、今宮、山川を3者連続三振。五回は栗原を空振り三振に仕留めて、1974年の村田(ロッテ)、94年の槙原(巨人)に並ぶ日本シリーズ記録の5者連続奪三振をマークした。来日1年目の助っ人が大舞台で力もみせた。五回は1死から柳田に中前打を浴び、空振り三振に抑えた今宮の打席でパスボールが絡んで二塁まで進塁された。続く今宮には四球を許して、山川を迎えたところで2番手・中川颯と交代。ピンチでマウンドに上がった中川颯は空振り三振に抑えた。ジャクソンは終わってみれば毎回の9奪三振ショー。来日最多の記録となった。
◆DeNAのタイラー・オースティン内野手(33)が「4番・一塁」で日本シリーズ初出場した。六回の第3打席で自打球が左足を直撃。その場に倒れ込み、苦悶(くもん)の表情を浮かべてトレーナーがベンチから駆け寄ったが、少し時間を置いてプレーを続行。四球で出塁し、ファンを安心させた。
◆DeNAの佐々木千隼投手―戸柱恭孝捕手のバッテリーが好判断を見せ、パ・リーグ1位の41盗塁をマークした周東の二盗を阻止した。0―2の七回。1死から中前打を打たれ周東に出塁を許したが、続く今宮の打席で1ストライクからの2球目、ピッチアウトし、二盗を試みた周東を刺した。
◆現役ドラフトでロッテから昨オフ加入したDeNA・佐々木千隼投手(30)が、0―2の七回に4番手で日本シリーズ初登板。1回を1安打無失点に抑えた。ロッテ時代には何度も対戦したソフトバンクの強力打線を相手に、先頭の柳田を左飛に打ち取った。続く周東に中前打を打たれ出塁を許したが、戸柱とのバッテリーでピッチアウトし二盗を阻止。今宮も左飛に打ち取り、無失点でバトンをつないだ。
◆DeNA・山崎康晃投手(32)が追加点のピンチを無失点で切り抜けた。0-2の八回。先頭山川に12球粘られた末に四球を与え、代打・近藤には故意四球で1死一、二塁のピンチを招く。しかし、続く牧原大を二直に打ち取り、最後は甲斐を149キロの直球で見逃し三振。雄たけびを上げながらベンチへ戻った。
◆DeNA・牧秀悟内野手(26)が八回1死一、二塁のピンチに、牧原大の鋭い当たりをダイビングキャッチしてアウトにする好プレーを見せた。八回は5番手・山崎がマウンドへ。先頭の山川を四球で歩かせるなど1死一、二塁となったが、牧が好プレーを見せると、最後は甲斐を見逃し三振で無失点に切り抜けた。主将が意地のプレーをみせて、ナインを奮い立たせた。
◆ソフトバンク・有原航平投手(32)は8年ぶりに日本シリーズの先発に臨み、投げては7回無失点、打っては先制の2点打と二刀流の活躍をみせた。まずはバットで存在感を発揮した。0─0の二回2死満塁で右前へ先制の2点打を放った。先発ジャクソンの速球に食らい付き、プロ初打点を挙げると、本職の投球では得意のカットボールなど多彩な変化球を駆使して強力ベイ打線を手玉に取った。日本ハムではエースとして活躍し、米大リーグ挑戦を経て、2023年にソフトバンクへ移籍した。今季は先発陣の柱として14勝を挙げ、日本ハム・伊藤とともに最多勝を獲得。4年ぶりのリーグ優勝に貢献した大黒柱はマウンドで雄たけびを上げるなど104球に力を込めた。
◆【プロ野球日本シリーズDeNA対ソフトバンク】第1戦 9回、今宮の右三塁打で三塁を回って本塁へむかうソフトバンクの川村友斗(前)と周東佑京 =横浜スタジアム(撮影・今野顕)
◆DeNA・梶原昂希外野手(25)が0―5の九回2死二塁で中前適時打を放った。日本シリーズ初打点となった。九回は先頭のオースティンが左翼フェンス直撃の二塁打で出塁。セ・リーグの首位打者がチャンスを作り、2死からソフトバンク・オスナの真ん中高め149キロのカットボールをうまくはじき返して一矢報いた。
◆DeNAは3-5で敗戦し、初戦を落とした。先発したジャクソン投手(28)が五回途中3安打2失点で降板。9つの三振を奪ったが、二回2死満塁からソフトバンク・有原に右前2点打で先制を許した。2番手以降は踏ん張っていたが、九回には適時打に守備のミスも絡んで3点を失った。打線は八回までに5安打を放つも無得点。九回、先頭のオースティンが左越え二塁打を放ち、2死から梶原昂希外野手(25)の中前適時打で1点を返した。森敬も左前適時打で続いて2点目。勢いそのまま代打・筒香が右前打を放って一、三塁とし、桑原の投ゴロ失策の間に3点目。しかし最後は牧が中飛に倒れ、及ばなかった。
◆ソフトバンク・有原航平投手(32)は8年ぶりに日本シリーズの先発に臨み、投げては7回無失点、打っては先制の2点打と二刀流の活躍をみせた。試合後の有原のヒーローインタビューは以下の通り。--大事な初戦を託されてのマウンド「とにかく勝てるように全力でいきました」--投球内容を振り返って「粘り強く投げられたし、(甲斐)拓也がいいリードしてくれたなと思います」--2死満塁の場面で打席に「とにかくバットに当てようと思っていたので。最高の結果になりました」--抜けた瞬間はヒヤッとする感じもあった?「抜けてくれて、とりあえず点が入ると思ったのでめちゃくちゃ嬉しかったです」--実はプロ初打点「そうですね。なかなかこういう舞台でチャンスはないと思うので、今日はいい日になりました」--チームに大きな勢いを与える勝利「1つ勝てたのはホントに良かったので、次に繋がるなと思います」--今後に向けて「今日は本当に熱い応援ありがとうございました。また明日からもよろしくお願いします。ありがとうございました」
◆パ・リーグ王者のソフトバンクが優位に試合を進め、先勝した。ソフトバンクのデータは以下の通り。?ソフトバンクが第1戦に勝利し、日本シリーズでは2018年第3戦からシリーズ記録を更新する13連勝。2位は8連勝で、1974-2010年のロッテ、88-91年の西武、00-02年の巨人。?シリーズ初戦に勝利したチームは過去71度(引き分け3度を除く)のうち、日本一になったのが45度、優勝確率は63・4%。敵地で初戦に勝利したのは、過去31度のうち、日本一が23度、優勝確率は74・2%。ソフトバンクの敵地白星発進は64年(4勝3敗で日本一)、00年(2勝4敗で敗退)、20年(4勝0敗で日本一)に次いで4度目。?投手の有原が二回に放った先制適時打が勝利打点。日本シリーズで投手が勝利打点を挙げたのはソフトバンク(前身を含む)では初めてで、86年第5戦の西武・工藤公康(十二回にサヨナラ単打)以来38年ぶり6人目(9度目)。シリーズ初打席で記録したのは史上初。有原はレギュラーシーズン通算0打点。公式戦通算0打点の投手が勝利打点をマークしたのは、86年の工藤に次いで2人目。?ソフトバンクの投手が打点を挙げたのは、66年第3戦の渡辺泰輔以来58年ぶり5人目で、1試合2打点は有原が初。
◆DeNAは3-5で敗戦し、初戦を落とした。DeNAに関するデータは以下の通り。?DeNA・ジャクソンが5者連続奪三振(二回3死-四回1死)。シリーズで5者連続は最多タイ記録で、1974年第6戦のロッテ・村田兆治、94年第2戦の巨人・槙原寛己に次いで30年ぶり3人目で、外国人投手では初。?外国人投手のシリーズ1試合9奪三振以上は、2000年第6戦の巨人・メイ(9)、11年第1戦の中日・チェン(11)、18年第6戦のソフトバンク・バンデンハーク(10)に次いで6年ぶり4人目。?DeNA(前身を含む)の投手で1試合9奪三振以上は、17年の今永昇太(第2戦=10、第6戦=11)に次いで7年ぶり2人目。
◆日本一を目指すDeNAナインの輪に、プロ11年目の32歳が加わった。昨季までソフトバンクでプレーした森唯斗だ。試合前練習冒頭の投手陣の円陣で「経験値が多いので、いろいろ聞いてください」と頼もしく語った。37セーブを挙げた2018年にセーブ王に輝くなど実績は十分。17年から4年連続で日本一を成し遂げた古巣を支えた。40人の日本シリーズ出場資格選手に名を連ねており「言えることは言っていきたい。4回勝って終わりたい。投げないにしろ、いいものを残せたら」と責任感を示した。17年の日本シリーズでは、DeNAを相手に投げる立場だった。「明るいところが(ベイスターズの)いいところ。そこをどれだけ試合に持っていけるかも大事」と説いた。(鈴木智紘)
◆記録的な奪三振ショーを見せた。来日1年目で日本シリーズ第1戦の先発を任されたDeNAのアンドレ・ジャクソン投手(28)が五回途中2失点。レギュラーシーズンを通して自己最多9奪三振、97球の力投を「ホークス打線の粘り強い打撃で球数が多くなってしまった。ベストコンディションではなかったが、何とか試合をつくる、踏ん張ることを心掛けた」と振り返った。満塁策を取った二回に投手の有原に2点打を許したが、続く1番の柳田から四回先頭の栗原まで5者連続三振斬り。1974年の村田兆治(ロッテ)、94年の槙原寛己(巨人)がマークした日本シリーズ記録に並んだ。米大リーグでは古巣のドジャースが、ワールドシリーズ第1戦で劇的な逆転サヨナラ勝利を飾った。マイナー時代からともにプレーしてきた旧友たちに負けじと、右腕も異国の地で奮闘。中5日で2度先発したクライマックスシリーズ同様、日本シリーズでもフル回転の期待がかかる。(浜浦日向)
◆記録的な奪三振ショーを見せた。来日1年目で日本シリーズ第1戦の先発を任されたDeNAのアンドレ・ジャクソン投手(28)が五回途中2失点。レギュラーシーズンを通して自己最多9奪三振、97球の力投を「ホークス打線の粘り強い打撃で球数が多くなってしまった。ベストコンディションではなかったが、何とか試合をつくる、踏ん張ることを心掛けた」と振り返った。満塁策を取った二回に投手の有原に2点打を許したが、続く1番の柳田から四回先頭の栗原まで5者連続三振斬り。1974年の村田兆治(ロッテ)、94年の槙原寛己(巨人)がマークした日本シリーズ記録に並んだ。米大リーグでは古巣のドジャースが、ワールドシリーズ第1戦で劇的な逆転サヨナラ勝利を飾った。マイナー時代からともにプレーしてきた旧友たちに負けじと、右腕も異国の地で奮闘。中5日で2度先発したクライマックスシリーズ同様、日本シリーズでもフル回転の期待がかかる。(浜浦日向)
◆米球界から今季5年ぶりに古巣へ復帰したDeNA・筒香嘉智外野手(32)が九回に代打で出場。オスナから右前打を放ち、3得点の追い上げを演出し「僕どうこうというよりも、あれが早いイニングでチームとしてああいう攻撃ができれば理想ですけど、負けてしまうといくら最後いい攻撃をしても何の意味もないと思うので、ただ勝てるように、それだけですね」と語った。7年前に出場した前回の日本シリーズも知る背番号25は「きょうはどちらかというとみんなちょっと構えているような、そういう感じがあったように僕は感じた。もちろん経験したことない選手が多いので。初戦というのは経験したことある選手でもちょっとふわふわして感じる。いろんな緊張感も出てくると思うので、それは明日以降みんな問題ないのかなと思います」と前を向いた。
◆DeNA・梶原昂希が0―5の九回2死二塁でオスナから中前適時打を放ち、シリーズ初打点をマーク。「パ・リーグの優勝チームのクローザーなので一球も見逃せない気持ちだった。簡単に終わらせないのは、明日の試合に向けて勢いづく流れをつくれた」とうなずいた。三回の内野安打を含め2安打1打点。神奈川大から入団3年目の今季、主に1番打者として自己最多の99安打を記録した25歳が存在感をみせた。
◆「SMBC日本シリーズ2024」は26日、横浜スタジアムで開幕し、4年ぶり12度目の頂点を狙うパ・リーグ王者のソフトバンクが、セ・リーグ3位から1998年以来3度目の日本一を目指すDeNAに5―3で先勝。2018年の第3戦から続くシリーズ連勝記録を13に更新した。先発した有原航平投手(32)が7回無失点と快投し、打っても二回に先制の2点打を放った。8年ぶりに立った日本シリーズの舞台で、マウンドだけでなく打席でも光った。ソフトバンク・有原航平投手(32)が打っては〝プロ初打点〟となる先制の2点打。投げては7回4安打無失点で日本シリーズ初勝利を挙げた。「粘り強く投げられたし、拓也(甲斐)がいいリードをしてくれた。こういう舞台でチャンスはなかなかない。いい日になった」丁寧に低めに集め、DeNA打線を翻弄した。一回2死一、二塁から宮崎を二ゴロに封じると、すぐに最大の見せ場がやってきた。シリーズ初打席となった0―0の二回2死満塁。ジャクソンの外角直球にタイミングを合わせ、一、二塁間を破った。日本一となった日本ハム時代の2016年は打席に立っておらず、プロ野球ではレギュラーシーズン8年間で通算2安打、打点なし。「めちゃくちゃうれしかった」。日本シリーズで投手が勝利打点を挙げるのは、1986年第5戦でサヨナラ打を放った西武・工藤公康以来、38年ぶりだった。開幕戦、交流戦、クライマックスシリーズに続いて初戦の白星。チームは先勝し、2018年の第3戦から続くシリーズ連勝記録を13に更新した。「有原は言うことなかった」と小久保監督。頂点へ、死角は見当たらない。(上阪正人)
◆「SMBC日本シリーズ2024」が開幕し、1998年以来3度目の日本一に挑むDeNAは、4年ぶり12度目の頂点を狙うソフトバンクに3-5で先勝を許した。打線は八回まで無得点に抑えられたが、九回に守護神のロベルト・オスナ投手(29)から一挙3得点。梶原昂希外野手(25)らが適時打を放ち、2戦目以降への期待を膨らませた。横浜スタジアムの360度から喝采が降り注ぐ。26年ぶりの日本シリーズを待ちわびていたファンの熱気は、0-5で迎えた九回に最高潮に達した。打線は守護神のオスナに襲い掛かり、一挙3得点。敗れたものの第2戦への希望が膨らみ、三浦監督は粘りに手応えを示した。「無抵抗で終わるよりいい。明日につながるし、つなげないといけない」2死二塁から梶原が中前適時打で一矢報いると、続く森敬も左前適時打。相手のミスに乗じて3点目を奪い、ソフトバンクに食い下がった。先発の有原に翻弄され、三回以降は二塁を踏めずに7回4安打無得点に封じられたが、最後に意地を見せた。巨人とのクライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージは、6試合で計10得点。戸郷、菅野ら並みいる投手が相手だったとはいえ、打線は活発とはいえない状態で頂上決戦を迎えた。今季リーグトップの打率・256をマークした強打が強み。鈴木打撃コーチは「狙い球を明確にして、いけると思った球を初球からいこう。思い切り振ってくれ」とナインを送り出した。劣勢に立たされても、ベンチで下を向く選手はいなかった。「ゲームセットじゃない。『行くぞ』という雰囲気になっていた」と三浦監督。リーグ3位から勝ち上がったCSでも存在感を放った25歳の梶原、22歳の森敬と若い力が躍動し、追い上げの原動力となった。3万3147人の大観衆が本拠地を飲み込んだ。三浦監督は「たくさんのファンがついてくれていると改めて思った。最後の最後まで一緒に戦ってくれた」と感謝した。四半世紀以上、遠ざかる頂へ。勝負は始まったばかりだ。(鈴木智紘)
◆サンケイスポーツ専属評論家の江本孟紀氏が今年も日本シリーズ全試合をチェック。ソフトバンクの前身球団、南海出身の「ホークス」OBとして、第1戦をどう見たのか。圧倒的な強さでパを制した実力を、どう発揮するのか。注目していると、なんと先発投手の有原が2点タイムリー。その後は点が取れず、相手に付き合うかのような展開になり、物足りないぞ...と思っていたら、案の定、九回にたたみかけ、試合を決めた。こういうチームなんだ、ソフトバンクは。戦前に予想した通り、どこからでも点が入る。いろいろなパターンで点を取れる。たとえ投手であろうと、手を尽くして、どん欲に攻める。そこが、得点能力の高さ。レギュラーシーズン通りの野球だよ。DeNAも九回にすがりつき、見せ場はつくった。こちらも戦前に指摘したように、初球からでもどんどん打って出ていた。それが当たれば打線もつながるということ。最後の粘りを、きっかけにしたいよね。ただし、ソフトバンクは決して「上から目線」にならない。おごることのないチームでもある。九回がまさにそう。3点を追加したくらいでは、ニコリともしない。容赦することなく、目の前のボールに集中して、とことん勝ちにいく。だからこそ、あれだけ勝利を積み上げられたわけだ。したがってDeNAは、第2戦が最後だというくらいの覚悟を持って、全力で、必死に取りにいくしかないよ。(サンケイスポーツ専属評論家)
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