巨人(☆4対1★)DeNA =クライマックスシリーズ4回戦(2024.10.19)・東京ドーム=
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DeNA
0000010001311
巨人
00010030X4600
勝利投手:ケラー(1勝0敗0S)
(セーブ:大勢(0勝0敗1S))
敗戦投手:ジャクソン(0勝1敗0S)

本塁打
【DeNA】戸柱 恭孝(1号・6回表ソロ)

  DAZN
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◆巨人がファイナルステージ第4戦を制した。巨人は4回裏、岡本和の併殺打の間に1点を先制する。その後同点とされるも、7回に岸田のセーフティスクイズなどで3点を挙げ、勝ち越しに成功した。投げては、先発・井上が6回1失点の好投。敗れたDeNAは、打線が3安打1得点と振るわなかった。

◆左手首骨折で離脱していた巨人エリエ・ヘルナンデス外野手(29)が、1軍に合流した。東京ドームでの試合前練習に参加。中堅での守備練習、ダッシュをこなし、フリー打撃では広角に鋭い打球を飛ばした。1軍合流が決まり、「みやざきフェニックス・リーグ」から前夜に帰京したヘルナンデスは「チームが勝つために何でもしたい。そういう思い。率直に仲間の顔がみられてうれしい。自分がケガをしている間にサポート、エールをくれた仲間に会えてうれしい。こういう風に戻ってくるチャンスをくれた仲間に感謝したい」と話した。今季は5月に加入すると、出場56試合で打率2割9分4厘、8本塁打、30打点の成績を残した。しかし、8月11日の中日戦(バンテリンドーム)で左手首を骨折。以降はリハビリに励んだ。実戦復帰した17日の「みやざきフェニックス・リーグ」の韓国ハンファ戦は「3番中堅」でスタメン出場し、3打数1安打3打点だった。負傷後、実戦は1試合のみだが、「1試合しか出ていないが、1試合で十分といえるぐらい状態はいい。今は準備万全で戻ってきたと思う」と言った。全治は3カ月の見通しだったが、約2カ月での早期復帰となった。チームは貧打に苦しみ、CSファイナル3試合で計2得点。3連敗を喫し、アドバンテージの1勝を含めても1勝3敗と、日本シリーズ進出へ崖っぷちの状況だ。第4戦からの逆襲に向けて、頼れる助っ人が打線の起爆剤となるべく緊急昇格した。

◆CSファイナルステージ第4戦のスタメンが発表された。3連敗を喫し、アドバンテージの1勝を含めても1勝3敗と崖っぷちの巨人は、エリエ・ヘルナンデス外野手(29)を「5番中堅」で起用。また、前日ベンチスタートの坂本勇人内野手(35)は「6番三塁」でスタメン復帰となった。ヘルナンデスは8月11日の中日戦(バンテリンドーム)で左手首を骨折し戦線離脱も、今月17日の「みやざきフェニックス・リーグ」韓国ハンファ戦で実戦復帰。「3番中堅」でスタメン出場し、3打数1安打3打点だった。CSファイナル3試合で計2得点と、貧打に苦しむ打線の起爆剤となるべく緊急昇格、即スタメン起用となった。先発はCS初登板となる井上温大投手(23)が務める。今季はキャリアハイとなる8勝、防御率2・76の成績を残した左腕が、第4戦の先発マウンドに上がる。対するDeNA打線はCSファイナル第1戦から変わらない顔ぶれで臨む。先発はアンドレ・ジャクソン投手(28)。13日のファーストステージ阪神戦(甲子園)では6回途中1失点で勝利投手となった。中5日での登板となるが、この日も好投を披露し、チームを17年以来7年ぶりの日本シリーズ進出に導けるか。

◆左手甲骨折で離脱中の巨人萩尾匡也外野手(23)が円陣の声出し役にサプライズ登場した。円陣の輪ができると、サングラスをかけ、拡声器を手に姿を見せた。首には「声出しのためランドからやってきました。多少、長くなるかもしれません」と記された紙を下げた。ナインから笑いが起こった。「大渋滞でした。円陣しに来ました。笑う阿部には福来たるというように笑いを届けにきました。チームは3連敗と厳しい状況ですけど、ここから絶対に勝って。あと2勝分、円陣の用意しているので。また明日も来られるように、まずは今日、絶対に勝ちましょう」と呼びかけた。笑いを誘いながら激励した。萩尾は9月29日ヤクルト戦で死球を受け、左手甲の骨折と診断されていた。午前中の川崎市・ジャイアンツ球場でのリハビリ後に「今日、サプライズしようと思ってます。楽しみにしててください」とにおわせていた。

◆/今日も一振りで追い付いた\CS大活躍 #戸柱恭孝同点ホームラン???プロ野球(2024/10/19)?? 巨人×DeNA??Live on DAZN#DAZNプロ野球 #ここがMAX#baystars pic.twitter.com/qSLdHwVCju

◆DeNA戸柱恭孝捕手(34)が、完全投球中の巨人井上を一振りで仕留めた。1点を追う6回1死、2ボールから148キロ直球を捉えた。弾丸ライナーで右翼席に飛び込む同点ソロ。今季はリーグ戦でもホームランがなかったベテランが、勝てば日本シリーズ進出が決まる大一番で"今季1号"を決めた。巨人井上からは6回1死まで打者16人をパーフェクト投球に封じられていたが、嫌なムードを一瞬で振り払った。戸柱は「自分のスイングを心がけたことが良い結果につながったと思います。同点に追いつくことができうれしいですが、守備の方も頑張ります!」とコメントした。山本、伊藤と捕手2人が負傷離脱する中、リード面でも攻撃面でも存在感を見せつけた。

◆巨人井上温大投手(23)が6回1安打1失点と好投した。6回1死まで完全投球でDeNA打線を圧倒した。3回は森敬、戸柱、ジャクソンを3者三振に仕留めた。初めて安打を許したのは17人目の打者・戸柱。2ボールからの3球目を右翼席最前列に運ばれた。同点とされた直後の6回の攻撃で代打を送られた。場内はどよめきも起こった。同点でマウンドを譲ったが、土壇場の一戦で躍動した。

◆/潮目が変わった、いや変えた\気迫と采配で流れに逆流して見せた#長野久義 の内野ゴロから2点追加!?プロ野球(2024/10/19)?? 巨人×DeNA??Live on DAZN#DAZNプロ野球 #ここがMAX#giants pic.twitter.com/QnFMAFDoDW

◆DeNAにCSで初めてミスが出た。先発のジャクソンが巨人岸田のセーフティースクイズで勝ち越された直後の、7回1死一、二塁。2番手の中川颯が登板も、初球で重盗を決められて二、三塁。一気に攻め込まれた。悪い流れのまま、代打長野のボテボテの一ゴロをオースティンが捕球。際どいタイミングで本塁に送球も、握り替えに手間取って悪送球となり、2点を失い、3点差とリードを広げられた。記録は野選と悪送球。CSはファーストステージから5試合連続無失策で好守を連発するなど、シーズンで12球団ワーストの96失策を感じさせないディフェンス面で勝ち続けてきたが、CS6試合目で点につながる痛い初失策となった。

◆DeNAの連勝が3で止まり、対戦成績は3勝2敗(巨人の1勝のアドバンテージを含む)となった。ここまで接戦を守り勝ってきたDeNAが、終盤に勝ち越しを許した。1-1の同点で迎えた7回、1死からアンドレ・ジャクソン投手(28)が連打を許して一、三塁。巨人岸田にセーフティースクイズを決められた。13日の阪神とのCSファーストステージから中5日で先発。7回途中まで粘ったが、ちょうど100球で降板した。なおも1死一、二塁で中川颯投手(26)がマウンドを引き継いだ。重盗で走者を進められると、一塁手タイラー・オースティン(33)の野選と悪送球でさらに2点を失った。打線は6回1死まで、巨人井上に無安打に封じられた。6回1死で、戸柱恭孝捕手(34)がチーム初安打となる右越えソロを放って一時同点に追い付いた。だが7回に3点を追う展開となったのは痛かった。ファーストステージから無敗で5連勝と勢いに乗ってきた。依然、7年ぶりの日本シリーズ進出に王手をかけており、優位は変わらない。

◆巨人が踏みとどまった。負ければ日本シリーズ進出が断たれる一戦でDeNAに勝利した。アドバンテージを含め2勝3敗とした。4点は適時打なしで奪った。4回は無死一、三塁から岡本和の二ゴロ併殺打で先手を取った。同点の7回は1死一、三塁から岸田のセーフティースクイズで勝ち越した。さらに重盗を絡め、チャンスを拡大させ、相手失策で2点を追加した。投げては先発井上が6回1安打1失点。6回1死から戸柱に一時同点のソロを浴びるまで完全投球の好投だった。船迫、ケラー、バルドナードとつなぎ、最後は守護神大勢が締めた。

◆DeNA佐野恵太外野手(29)が右膝付近に死球を受けてそのまま交代した。3点を追う9回1死一塁、巨人大勢の155キロ直球が右膝付近を直撃。表情をゆがめてその場に倒れ込んだ。小池コーチの肩を借りて立ち上がり、足を引きずりながら自らの足で歩いてベンチ裏に下がったが、そのまま代走神里が送られた。佐野はここまでCS6試合で2本塁打を放つなど、3番打者として打線をけん引してきた。

◆巨人がDeNAを破り、2勝3敗とした。同点の7回1死一、三塁の場面、視界の横から、その男は現れた。巨人岸田の初球スクイズに、三塁走者の坂本勇人内野手(35)が激走した。打球を処理した投手・ジャクソンのトスからタッチをかわしてセーフ判定。ヘッドスライディングで勝ち越し走者として生還した坂本は、土にまみれたままベンチでハイタッチを繰り返した。坂本がつくったチャンスだった。この回、1死から自身2安打目となる左前打で出塁。続く中山の右前打で三塁にヘッドスライディングで到達。3連敗を喫した前夜の試合後、阿部監督は「なんとか粘っていたけどね。あとはもう、意地を見ましょう。それだけです。以上」と、わずか15秒の取材の中で願いを言葉にした。勝ち越し直後、代打・長野への初球で重盗を仕掛け二、三塁に拡大。さらに長野が3球目を強振し、打球処理した一塁・オースティンの本塁送球は大きくそれて、2点を追加した。負けたら終わりの一戦で、7回の攻撃に「阿部野球」がさく裂した。

◆巨人が踏みとどまった。負ければ日本シリーズ進出が断たれる一戦でDeNAに勝利。アドバンテージを含め2勝3敗とした。巨人がファイナルSで初勝利を挙げ、アドバンテージの1勝を加えて2勝3敗とした。4戦先勝のファイナルSで1勝3敗から白星は10年ロッテ■○●●→○○○、12年巨人□●●●→○○○、16年ソフトバンク■●○●→○●に次いで4度目。10年ロッテと12年巨人が第4戦から3連勝でシリーズへ進出しており、巨人が12年の再現を狙う。決勝点は岸田のスクイズ。19年ファイナルS第4戦で丸(巨人)が2死三塁からバント安打でV打点を記録しているが、プレーオフ、CSで無死または1死からのスクイズがV打点は80年第2戦マニエル(近鉄)12年1S第1戦今宮(ソフトバンク)14年1S第1戦中島(日本ハム)16年ファイナルS第5戦中島(日本ハム)に次いで5度目となり、セ・リーグでは初めて。

◆DeNAアンドレ・ジャクソン投手(28)が奇襲に沈んだ。6回までは1失点投球で粘るも、同点の7回1死一、三塁。巨人岸田にセーフティースクイズを決められ、勝ち越し点を献上。中5日で先発の役割を全うするも、7回途中4失点(自責3)で黒星を喫した。「いろいろなプレーが想定される場面で日本らしい野球をジャイアンツがしてきた。また明日、出直して勝ちたいなと思います」と前を向いた。

◆DeNA佐野恵太外野手(29)が19日、巨人とのCSファイナルステージ第4戦で右膝付近に死球を受けて負傷交代した。3点を追う9回1死一塁、巨人大勢の155キロ直球が右膝付近を直撃。表情をゆがめてその場に倒れ込んだ。足を引きずりながら自らの足で歩いてベンチ裏に下がったが、そのまま代走神里が送られた。三浦監督は試合後「今、トレーナーに治療してもらってます」と、今後は状態を見て判断していく。

◆DeNA三浦大輔監督(50)が、切り替えを強調した。7年ぶりの日本シリーズ出場に王手として臨んだ一戦は、終盤に勝ち越しを許し、初黒星を喫した。CSファーストステージ初戦から積み上げてきた連勝は5でストップ。これで対戦成績は3勝2敗(巨人の1勝のアドバンテージを含む)となったが、三浦監督は「今日の反省は反省して、また明日にね、いい状態で入っていけるように準備していけたら。もう。そうですね。そう簡単にね、全部勝たしてもらえないのわかってますから。はい、これ、引きずらないことです」と淡々と話した。打線は5回まで巨人先発左腕・井上の前に無安打無得点に封じられた。三浦監督は「相手もね、ボールも良かったですし、あそこね、トバ(戸柱)がね、打ってくれましたし。そう、なかなかね、全部すべてがね、うまくいかないですね」と言った。また、巨人が重盗などを仕掛けててきたことを問われると「全てがね、うまくやらせてもらえないなっていうのは当然ありますし。これを引きずらないようにして、明日に向けてやっていきます」と話した。日本シリーズまで残り1勝。そこに照準を定め、切り替える。

◆DeNA佐野恵太外野手(29)が19日、巨人とのCSファイナルステージ第4戦で右膝付近に死球を受けて負傷交代した。3点を追う9回1死一塁、巨人大勢の155キロ直球が右膝付近を直撃し、その場に倒れ込んだ。足を引きずりながらベンチ裏に下がるも、そのまま代走神里が送られた。三浦監督は試合後「今、トレーナーに治療してもらってます」と説明。患部をアイシングした佐野は「今のところは大丈夫です。(明日の出場は)明日の状態を見て」と話し、歩いて帰路についた。

◆DeNA戸柱恭孝捕手(34)が、一時同点のソロを放ったが、空砲に悔しさをにじませた。1点を追う6回1死、巨人井上の速球をフルスイングし、ライナーで右翼席に運んだ。「ジャクソンが頑張ってましたし、安打が1本出ればこっちも流れが出てくるかなと思って、自分のスイングを心がけた」。チーム初安打でジャクソンを援護したが、チームの敗戦に表情を曇らせた。

◆一戦必勝で切り替える。日本シリーズ進出に王手をかけているDeNA三浦大輔監督(50)がCSでの5連勝ストップにも前を向いた。「そう簡単に全部勝たせてもらえないのは分かってますから。これを引きずらないことです」と自分に言い聞かせるように、切り替えの重要さを強調した。巨人の積極策にのみ込まれた。同点の7回1死一、三塁、岸田に初球でセーフティースクイズを決められ、勝ち越し点を献上。さらに息つく暇もなく畳みかけられた。1死一、二塁で後を受けた2番手の中川颯が初球で重盗を決められ、二、三塁。前進守備を敷くも、代打長野のボテボテの一ゴロに対して、オースティンの本塁への送球がそれて悪送球となり、二塁走者も生還して一挙3失点を喫した。記録はオースティンの野選と悪送球による失策。CSファーストステージから5試合連続無失策で、好守を連発するなど、シーズンで12球団ワースト96失策を感じさせない堅守で勝ち続けてきた。だがCS6試合目で初失策が痛い失点に直結した。オースティンは「1点の重みを知ってるからこそ、ホームでなんとかアウトを、という気持ちが出ました」と攻めの守備も実らなかった。とはいえ巨人のアドバンテージを含めても3勝2敗と優位は変わらない。指揮官は王手をかけた18日の試合後にも「今日のことはもう、忘れてもいいと思います。勝っても負けても、『昨日のことは忘れて今日の試合に勝つことを、全員で集中してやって行こう』と(ナインに)伝えてます」と強調していた。この日も「球場出た時にはもう、明日に向けて準備していきます」と約束。第5戦と第6戦、いずれかで勝てば17年以来7年ぶりの日本シリーズ進出が決まる。チーム一丸であと1勝をもぎ取る。DeNA戸柱(7回1死一、二塁からの巨人の重盗に)「準備の段階でも、あるぞって話をしてた中であれだけいいスタートを切られたので、まだ試合もありますし、映像を見直して、そこの対策をしていきたいです」

◆ヒーローなき1勝で巨人が息を吹き返した。DeNAに3連敗を喫し、崖っぷちで迎えた「2024 JERA クライマックスシリーズ セ」ファイナルステージ第4戦。同点の7回1死一、三塁から、岸田のセーフティースクイズで、三塁走者の坂本勇人内野手(35)が激走。魂のヘッドスライディングで勝ち越した。さらに重盗を仕掛け、続く内野ゴロで適時失策も誘うなど6安打に一芸を惜しみなくちりばめた「信号無視をしない暴走族」で初勝利をつかんだ。アドバンテージ含む2勝3敗で、前回日本一になった12年CSファイナルでの3連敗から3連勝実現へ、流れを一気に引き戻した。視界の横から、その男は現れた。同点の7回1死一、三塁。岸田の初球スクイズに、三走の坂本がスタートを切った。打球を処理した投手ジャクソンが本塁へトスも、捕手戸柱のミットをかわしてセーフ判定。ヘッドスライディングで、伸ばした左手でホームをタッチした。勝ち越し走者として生還した坂本は、ユニホームが土にまみれたまま、歓喜に沸くベンチでハイタッチを繰り返した。坂本のバットから勝ち越しへのドラマが始まった。1死からこの試合2安打目となる左前打で出塁。続いた中山の右前打で、迷わずに三塁へ頭から突っ込む激走を見せたときには「ヘッドスライディングが一番速いと思って思い切って飛び込みました」と「阿部野球」に心の準備は整っていた。阿部監督の「逆転しなきゃいけないところだったし、思い切ってね。ドキドキしたよ、俺が」という心中とは裏腹に、グラウンドの選手が任務を遂行した。流れをつかんだ勝ち越し直後、代打・長野への初球で重盗を仕掛けて二、三塁にチャンスが拡大。さらに長野が3球目を強振し、打球処理をした一塁・オースティンの本塁悪送球を誘発した。負けたら終わりの一戦。「信号無視をしない暴走族をつくりたい」と春季キャンプで掲げた走塁改革が実を結び、一芸を惜しみなく発揮した「阿部野球」が、土壇場でさく裂した。12年前、同じ東京ドームで中日に3連敗を喫しながら、第4戦でV打を放ちそこから3連勝してアドバンテージ含む4勝で逆転突破。日本一まで登り詰めた。前回のようなバットで奪った1点ではなく、今回は泥にまみれてもぎ取った1点。8回の守備に就くときには、まるで激走がなかったかのように、新しく着替えたユニホーム姿でグラブを手に取り、三塁ベース横の定位置に向かった坂本。「もう勝つしかないと臨んだ結果」。12年前の再現へ、泥にまみれた新風が東京ドームに吹き込み始めた。【栗田成芳】巨人中山(7回1死一塁で右前打で好機を拡大)「あの場面で得点も絡んだので1本出せてほっとしています。勇人さんとかベテランの方がヘッドスライディングしていましたし、ホームでもヘッドスライディングする姿を見て、見習わなきゃいけないですし、もっと気持ちを前面に出してプレーしようという思いになれました」巨人増田大(代走起用で7回1死一、二塁の二塁走者で初球の重盗に成功。続く一ゴロ間に3点目の生還)「(重盗で)アウトになったらアウトになった時に考えようと、いい意味で開き直っていけた。初球が一番、隙が生まれやすいのでいいところで狙えてよかった」12年巨人のCSファイナルステージ4戦目 巨人が中日に3-1で勝利して対戦成績を2勝3敗とした。後がない巨人は沢村、中日は川上が先発。0-0で迎えた3回裏、巨人は先頭の長野が内野安打で出塁すると、坂本、阿部の連打で2点を奪って先制。8回には1死一、二塁から阿部の適時安打で1点を加え試合を決定付けた。先発の沢村は7安打を浴びながらも6回無失点。2番手の山口が失点を許すも、マシソン、西村のリレーで締めた。

◆崖っぷちに立たされた巨人阿部慎之助監督(45)が"新風"を吹かせた。CSファイナルはここまでDeNAに3連敗で王手をかけられた中で「相手にプレッシャーをかけられていなかったというのもあったし『失敗を恐れずにどんどん動いていくぞ』というのも(選手たちに)言ってあった。その期待に応えてくれました」。もがき苦しんでつかんだ1勝で次戦につなげた。試合前からやれることはすべてやった。8月に左手首の骨折で離脱したヘルナンデスを約2カ月ぶりに1軍に合流させた。みやざきフェニックス・リーグで実戦はわずか1試合だったが「もう行ってもらうしかないので」と強行で即スタメン起用した。左脇腹痛で登録メンバーから外れていた吉川も今CS初のベンチ入り。「本人がファイティングポーズを取ってくれた。何とか貢献したいと。骨はポキッと折れちゃっているけど気持ちで入ってくれた」と副主将の心意気をそのまま受け止めた。経験豊富な川相内野守備コーチの助言も生きた。「どんどん選手も代えていこうっていうのも、川相さんからそういうアドバイスをいただいたので」とベンチも知恵を集結させ一丸だった。この1勝が流れを変える。「本当に強いチームになるために、ここからやり返せたら本当に強いチームだなって思う。そうなれるかも知れないチャンスがあるんだから。そこはチャレンジしていこうよというのは、みんなに言いましたね」と指揮官。リーグ覇者にやっと風が吹いてきた。【為田聡史】

◆巨人岸田行倫捕手(28)が攻守にわたってチームの勝利に貢献した。7回1死一、三塁で決勝点となるセーフティースクイズを決め「準備はできていたので。サインが出て、なんとかバットに当ててしっかり転がそうっていう気持ちで」と振り返った。捕手としても5人の投手を好リードしDeNA打線を1失点に抑え「悔いのないようにやりたいなと思って、やりました」と話した。

◆巨人井上温大投手(23)が、CS初登板で最高の先発マウンドを果たした。ファイナルステージ3連勝中のDeNA打線を相手に、6回1安打1失点と好投した。許した安打は6回1死で戸柱に浴びた一時同点のソロ本塁打だけ。そこまで1人の走者も許さない完全投球で封じ込めた。前橋商(群馬)時代から変わらず、プロ入り後もマウンドから走ってベンチに戻る5年目左腕。高校生時代のような負けたら終わりの局面で躍動した。お立ち台から、井上が最高の景色を見渡した。その姿は初々しく、でも頼もしかった。「1球、1球に集中して、何とか後ろのピッチャーにつなぐように投げました。自信がすごくついた。野球人生ですごく大きな1試合になったと思う」。6回1安打1失点。負けたら終わりの大一番で、DeNA打線を制圧した。前橋商時代から染み付く習慣を今も継続する。イニングを投げ終え、マウンドからベンチに向かう時、井上は歩かない。走って戻る。「高校生って攻守交代で走るじゃないですか。それが抜けないんです。今はプロですけど、でもいいかなと思ってて。若いですし、ハツラツとチームに勢いづけようと思って」。5年目左腕が貫く美学だ。マウンドから投げ込んだ球も走っていた。3回は先頭森敬を147キロ直球で空振り三振。続く戸柱、ジャクソンと3者連続三振で仕留めるなど計6奪三振。フライアウトも6つと、直球で押し込んだ。試合前、いつも以上に多くの人から「頑張れよ」と声をかけられ、緊張にも包まれた。ただ、試合が始まると、自然と集中力を保てていた。唯一の安打だった6回1死から戸柱に浴びた一時同点となるソロの後も慌てない。「6回で1対1ならばジャイアンツは確率的に勝てる」。仲間を信じ、冷静だった。今季は6月から先発ローテに定着し、8勝をマークした。規定投球回には未達ながら防御率2・76と飛躍した。前橋商3年だった19年入寮前にドン・キホーテで3000円で購入したスーツケースを今も遠征で使用する。「僕、けっこうコスパいいですよ。僕の中でも次に買うスーツケースも3万円から5万円ぐらいでいいかな」。今季推定年俸は670万円の左腕が、最高の仕事で、価値ある白星をチームに呼び込んだ。【上田悠太】ポストシーズン初登板の巨人井上が、6回1死までパーフェクトに抑えた。プレーオフ、CSで先発し、5回以上を完全に抑えたのは07年1S<1>戦川上(中日=5回1/3)08年2S<5>戦涌井(西武=6回2/3)14年1S<2>戦上沢(日本ハム=5回1/3)18年1S<2>戦菅野(巨人=6回2/3)に次いで5人目。このうちCS初登板は川上、上沢に次いで3人目。負ければ敗退の試合でマークしたのは井上が初めて。

◆ヒーローなき1勝で巨人が息を吹き返した。DeNAに3連敗を喫し、崖っぷちで迎えた「2024 JERA クライマックスシリーズ セ」ファイナルステージ第4戦。同点の7回1死一、三塁から、岸田のセーフティースクイズで、三塁走者の坂本勇人内野手(35)が激走。魂のヘッドスライディングで勝ち越した。さらに重盗を仕掛け、続く内野ゴロで適時失策も誘うなど6安打に一芸を惜しみなくちりばめた「信号無視をしない暴走族」で初勝利をつかんだ。アドバンテージ含む2勝3敗で、前回日本一になった12年CSファイナルでの3連敗から3連勝実現へ、流れを一気に引き戻した。巨人ケラー(7回1死一塁から救援し、オースティン、宮崎を連続三振。勝ち投手になり、お立ち台で)「アシタモカツ!」

◆ヒーローなき1勝で巨人が息を吹き返した。DeNAに3連敗を喫し、崖っぷちで迎えた「2024 JERA クライマックスシリーズ セ」ファイナルステージ第4戦。同点の7回1死一、三塁から、岸田のセーフティースクイズで、三塁走者の坂本勇人内野手(35)が激走。魂のヘッドスライディングで勝ち越した。さらに重盗を仕掛け、続く内野ゴロで適時失策も誘うなど6安打に一芸を惜しみなくちりばめた「信号無視をしない暴走族」で初勝利をつかんだ。アドバンテージ含む2勝3敗で、前回日本一になった12年CSファイナルでの3連敗から3連勝実現へ、流れを一気に引き戻した。

◆巨人が逆王手をかけた。DeNAに完封勝ちで1点を守り抜いた。これでアドバンテージを含め3勝3敗となった。1点は中山の一振りだった。5回先頭で右翼席に先制ソロを放った。レギュラーシーズンで1本も本塁打を放ったことのない4年目が最高の場面で"プロ初アーチ"をかました。「7番二塁」でのスタメン。左脇腹痛でベンチで戦況を見守る吉川の代役として最高の仕事を果たした。投げては先発山崎伊が7回途中6安打無失点の好投。高梨、バルドナード、大勢とつなぎ1点を守った。CSファイナル3連敗から2連勝。前回日本一となった12年もCSファイナルは3連敗から3連勝で大逆転した。その再現に向け、第6戦に全てをぶつける。

◆DeNAアンソニー・ケイ投手(29)が大一番へ気を引き締めた。CSファイナル最終戦で再び戸郷と投げ合う。前回登板した第1戦は6回無失点の快投で勝利を呼び込んだが、中4日で臨むマウンドに油断はない。「前回と同じように積極的なピッチングを続けるってことに変わりはないんですけど、自分にとって有利なカウントに進めるのが一番大事」と意気込んだ。

◆左手甲骨折で離脱中の巨人萩尾匡也外野手(23)が2戦連続で円陣の声出し役を務めた。サングラスに東京ドーム開催のイニング間イベント「寿司レース」のマグロを背負って登場。「勝つのはマグロの読売ジャイアンツ」と叫び、ナインを爆笑に包んだ。輪の中に移動し、鼓舞を続けた。「今日もどうやら勝つみたいですね。(坂本)勇人さんの魂のヘッドスライディング、長野さんの魂の右打ち。感動しました。これで明日も行けるなと思います。私事にはなるのですが、明日は故障班は休みですが、休日返上でドームに来るためにスケジュールは全部キャンセルしております。思う存分に戦ってもらって明日もここで試合をしましょう」と士気を高めた。

◆3連敗であとがない巨人に、みやざきフェニックス・リーグに参加していたエリエ・ヘルナンデス外野手(29)=前レンジャーズ傘下3A=が緊急合流した。早出練習中にグラウンドに姿を現し、ウォーミングアップを開始した。シーズン途中の5月に加入し、「3番・中堅」に定着して56試合に出場し、打率.294、8本塁打、30打点とチームを引っ張った。だが、8月11日の中日戦の中堅守備で左手首を骨折し、離脱していた。リハビリを終え、10月17日のみやざきフェニックス・リーグの韓国・ハンファ戦で約2カ月ぶりに実戦復帰。四回1死満塁で左翼への3点二塁打を放っていた。18日は雨天で試合が中止となり、この日チームに合流した。郡拓也捕手(26)も1軍に合流した。

◆参加中だった宮崎フェニックス・リーグから緊急帰京した巨人のエリエ・ヘルナンデス外野手(29)=前レンジャーズ傘下3A=が「5番・中堅」で昇格即先発する。

◆左手を骨折してリハビリ中の巨人・萩尾匡也外野手(23)が試合前の声出しを務めた。「『声出し』のためにランドからやって来ました。多少長くなるかもしれません」とかかれた紙を首から下げて声を張り上げ、3連敗で後がないチームを鼓舞した。この日の午前中も川崎市のジャイアンツ球場で練習に励んでいた。

◆DeNAの試合前練習のフリー打撃は、球場に響き渡る掛け声とともに始まる。「バッティングいきまーす!!」。声の主は後藤向輝通訳だ。レギュラーシーズン中もコーチやスタッフが代わる代わる声出し役を担当していたが、ファーストステージから破竹の勢いで勝利を積み重ねてきたCSでは後藤通訳が専念し、験を担いでいる。広報と後藤通訳が主体となり、「超・打撃開始」とプリントされたタオルを自費製作。打撃練習開始時は声出し役の背後で別のスタッフが特注タオルを掲げ、ナインに気合を注入するほどの熱の入れようだ。本業ではオースティンら助っ人を献身的に支える後藤通訳は「自分のみならず他のスタッフもワンチームで戦っています」と一体感を強調した。(智)

◆DeNA・戸柱恭孝捕手(34)が「8番・捕手」で出場。1点を追う六回、チーム初安打となる同点ソロを右翼席へとたたきこんだ。0―1の六回1死。そこまでパーフェクトピッチングを続けていた巨人先発の井上に対し、戸柱は2ボールからの3球目、直球を力強く振り抜き、ライナーで右翼席最前列まで運んだ。CSではファーストステージ第2戦から全てマスクを被り好リード。バットでも5試合連続安打をマークするなど攻守で強い存在感を放っている。

◆巨人・岸田行倫捕手(28)のセーフティスクイズで勝ち越しに成功した。1-1の七回。1死から坂本、中山の連打で一、三塁とし、岸田が初球をバントで投手の前へ転がして1点を追加。三走の坂本がヘッドスライディングで本塁へ生還した。続く代打・長野の一ゴロをDeNA・オースティンが本塁へ悪送球し、さらに2点を追加して4-1とした。

◆ここまでCS5試合で無失策を誇ってきたDeNAが、守りのほころびから手痛い2点を失った。1―1の七回にセーフティスクイズで勝ち越しを許した直後。1死一、二塁で登板した2番手・中川颯の1球目、無警戒の隙を突かれ捕手も投げられない完璧な重盗を許し二、三塁とピンチを広げた。代打長野の詰まった一ゴロを捕球したオースティンが本塁へ送球するも野選、さらに悪送球となり二塁走者の生還まで許した。

◆DeNA・佐野恵太外野手(29)が「3番・左翼」で出場。九回に大勢の155キロ直球が右膝付近を直撃。治療のためベンチへと戻り、代走が告げられた。佐野はCSファーストステージ第2戦から2試合連続本塁打を放つなど、全試合に先発出場していた。

◆巨人がCSファイナル初勝利を飾り4年ぶりの日本シリーズ進出に望みをつないだ。打線は1-1で迎えた七回、1死一、三塁のチャンスで岸田行倫捕手(28)が初球スクイズを決め勝ち越しに成功。続く打者・長野久義外野手(39)の場面でダブルスチールを決め1死二、三塁とチャンスを広げると、長野の一ゴロをオースティンが本塁へ悪送球。二走の岸田も生還し4-1とした。以下、岸田のヒーローインタビュー。--投手陣をリードして「本当に投手陣のみんなが頑張ってくれた。(勝利は)投手陣のおかげだと思います」--7回、坂本さんの好走塁で1死一、三塁とチャンスが広がった打席「チャンスで繋いでくれたんで、どんな形でも1点取りに行こうという気持ちで打席に入りました。スティースクイズやったんですけど、勇人さんがいい走塁をしてくれてよかったです」--これで流れが変った「本当にそうですね。チームが苦しんでたんで、今日1勝できたことによって絶対に(流れが)変わってくる。みんなで日本シリーズに行きましょう」

◆3連敗していた巨人は七回に岸田のスクイズなどで勝ち越し、初勝利。阿部慎之助監督(45)は積極采配で勝利に導き、「ドキドキしたよ、俺が」と興奮気味に振り返った。試合前から動いた。故障明けでみやざきフェニックス・リーグに参加していたエリエ・ヘルナンデス外野手を緊急招集し、「5番・中堅」でスタメン起用した。同点の七回には岸田のセーフティースクイズで坂本が好走塁とヘッドスライディングで勝ち越しのホームイン。さらに重盗、代打攻勢など指揮官の積極采配が勢いをもたらした。「なんかズーッとまた同じような流れだな...みたいなね。なんか2点取れそうなところで1点しか取れなくて、結局誰かの一発で追いつかれて。あー、あー、あーって見てたんだけど。(七回は)やっぱり相手にプレッシャーを掛られてなかったというのもありましたし、失敗を恐れずどんどん動いていくぞというのも言ってあったので。期待に応えてくれました。逆転しなきゃいけないところだったし、思い切ってね。ドキドキしたよ、俺が」とほほを緩めた。試合前にはナインを集めて「ここからやり返せたら本当に強いチームだな。そうなれるかも知れないチャンスがあるんだから、そこはチャレンジしていこうよ」と言葉をかけ、前向きにさせた。左脇腹痛で打撃ができない吉川をベンチ入りさせた理由は「本人がファイティングポーズを取ってくれたのでね。なんとか貢献したいということで。骨はポキッと折れちゃっているけど、気持ちで入ってくれましたね」と説明した。「みんなで1個勝ったので、なんとか流れが変わると思っていますので、また明日頑張ります」。2012年以来となる3連敗からの3連勝を目指す。

◆3連敗していた巨人は七回に岸田のスクイズなどで勝ち越し、初勝利を挙げた。巨人のデータは以下のとおり。?レギュラーシーズン1位の巨人が今CS初勝利を挙げ、アドバンテージの1勝を含めて対戦成績を2勝3敗とした。日本シリーズ出場をかけたプレーオフ、CSで先に王手をかけられてから1勝を挙げたケースは過去16度。そのうち逆転で日本シリーズ進出を果たしたのが、1977年の阪急、2010年のロッテ、12年の巨人の3度。 ?今回の巨人のように1勝3敗(アドバンテージの勝敗を含む)から勝利を挙げたケースは10年のロッテ、12年の巨人、16年のソフトバンクに次いで4度目。10年のロッテと12年の巨人が日本シリーズに進出。?巨人がCSで勝利したのは、21年ファーストステージ(S)第2戦(○4-2阪神)以来3年ぶりで、同年ファイナルS第1戦からの連敗を5(1分けを挟む)で止めた。?先発の井上が六回1死まで無走者投球。プレーオフ、CSで先発投手が5回?以上を完全に抑えたのは、07年第1S第1戦の中日・川上憲伸(5回?)、08年第2S第5戦の西武・涌井秀章(6回?)、14年ファーストS第2戦の日本ハム・上沢直之(5回?)、18年ファーストS第2戦の巨人・菅野智之(6回?、無安打無得点試合)に次いで6年ぶり5人目。?岸田が七回にスクイズ成功。巨人がCSでスクイズを決めたのは、11年ファーストS第2戦の内海哲也以来13年ぶり2人目。犠打は付かないが、19年ファイナルS第4戦で丸佳浩が2死三塁から投手前バント安打で1打点を挙げている。

◆DeNA・佐野恵太外野手(29)が「3番・左翼」で出場。九回に大勢の155キロ直球が右膝付近を直撃。治療のためベンチへと戻り、代走が告げられた。試合後、トレーナーの治療を受けた佐野は「今のところ全然大丈夫です。痛かったですけど。明日の朝になってみてというところもあると思うけど、今のところ大丈夫です」と軽症を強調した。佐野はCSファーストステージ第2戦から2試合連続本塁打を放つなど、全試合に先発出場していた。

◆マウンドに向かうDeNA・三浦大輔監督=東京ドーム(撮影・佐藤徳昭)

◆DeNAはファイナルステージ初黒星を喫し、ファーストステージからの連勝が5で止まった。打線が六回の戸柱恭孝捕手(34)のソロ本塁打による1得点に封じ込められ、七回にセーフティースクイズで勝ち越されるなど足を絡めた攻撃で手痛い3点を失った。三浦大輔監督(50)の主な一問一答は以下のとおり。――ジャクソンは七回途中4失点の力投「しっかりと先発の役割を果たしてくれましたし、よかったですよ」――井上に好投を許した「相手もボールもよかったですし、あそこでとば(戸柱)がよく打ってくれましたし、そうなかなか全てがうまくはいかないですね」――七回の重盗はバッテリーも頭にはあったと思うが、巨人の隙のない攻撃だった「そうですね」――オースティンの悪送球は焦りもあった「そうですね、ちょっと引っかかったかなという感じでしたね」――CS前に「ミスは忘れろ」と。切り替える「もう球場出るときには明日に向けて準備していますから」――佐野が死球交代「今、トレーナーに治療してもらっています」――戸柱の活躍が光る「リードもそうですけど、しっかりと自分の役割、チームを引っ張ってくれています」――巨人はなりふり構わず勝ちにきた「なりふり構わずというか、足を使った攻撃というのはシーズン中もしてきますし、そうすべてがうまくやらせてもらえないなというのは当然、ありますし、これをひきずらないようにして、明日に向けてやっていきます」――3勝2敗になったが「もちろんきょうの反省は反省して、さっきも言いましたけど、忘れて、また明日にいい状態で入っていけるように準備していきます。そう簡単に全部勝たせてもらえないのは分かっていますから。これをひきずらないことです」

◆巨人・坂本勇人内野手(35)が2安打を放ち、決勝点のホームを踏んだ。1-1の七回1死からこの日2本目となる左前打で出塁すると、中山の右前打でヘッドスライディングで三進。続く岸田のセーフティスクイズで再びヘッドスライディングで本塁に生還し、「ヘッドスライディングが一番早いと思った」と振り返った。負ければCS敗退となる大一番で2安打。「勝つしかないと思って臨んだ」とベテランが勝負強い打撃と気迫を見せた。

◆ベテランが意地を見せた。DeNA・戸柱恭孝捕手(34)が1点を追う六回、チーム初安打となるソロを右翼席へ突き刺し「いい投手なので自分のスイングをすることが一番大事と心がけて、最高の結果になった」と拳を握った。完璧な投球を続けていた井上に対し2ボールからの3球目。「あれだけ投げていたし、必ず来る球」と直球を狙い打った。9年目の今季、レギュラーシーズンでは初めて本塁打なしに終わった。待望の一発が、ここ一番で飛び出した。戸柱は5打点を挙げたCSファーストステージ第2戦から5試合続けて安打をマーク。「自分も戦力になれるように今年一年間、早出なりしっかり振ってきたので、それが継続してバットは振れているのかな」とうなずいた。山本、伊藤と主力捕手を負傷で欠く中、攻守で存在感を放つ背番号10に三浦監督は「あそこでよく打ってくれた。リードもそうですけど、しっかりと自分の役割、チームを引っ張ってくれている」とねぎらった。(浜浦日向)

◆快進撃を続けてきたDeNAが、足踏みした。ポストシーズンの連勝が5で止まり、日本シリーズ進出を決められず。三浦大輔監督(50)は「全てがうまくはいかない。そう簡単に全部勝たせてもらえないのは分かっている」と冷静に語った。勝負の分かれ目となったのは1-1の七回だった。1死一、三塁からセーフティースクイズで勝ち越し点を献上。なお一、二塁で先発のジャクソンから中川颯に継投し、1球目に重盗を仕掛けられた。傷口は広がり、一塁手のオースティンの野選と本塁への悪送球も絡んで一挙3点を奪われた。CSでは試合前時点で5戦無失策と安定した守備を見せてきたが、警戒していた巨人の足を絡めた攻撃を前にほころびが出た。ゴロの捕球後に握り替えに失敗したオースティンは「ホームに投げずにアウトを1個取る選択肢もあった。これも野球」と受け止めた。短期決戦では気持ちの切り替えが重要だ。三浦監督は「ミスは忘れろ」とナインに訴えてきた。プラス思考はチームに浸透しており、17日のCSファイナルステージ第2戦は5併殺打を喫しながら勝利。反省点を踏まえた準備も徹底し、分析を担当するアナリストと連携しながら巨人の対策を練っている。巨人のアドバンテージの1勝を含め、対戦成績は3勝2敗。有利な状況に変わりはない。三浦監督は「球場を出るときには、明日に向けて準備している。引きずらないこと」と前向きだった。(鈴木智紘)

◆「2024 JERA クライマックスシリーズ(CS) セ」は19日、東京ドームでファイナルステージ(6試合制)の第4戦が行われ、巨人がDeNAに4―1で競り勝って初白星を挙げ、1勝のアドバンテージを含めて対戦成績2勝3敗とした。CS初登板の巨人・井上温大投手(23)が六回1死まで完全投球を続け、6回1安打1失点と好投。後を受けた救援4投手は無失点リレーでリードを守り切った。崖っぷちでも、心を落ち着かせた。負ければ敗退が決まる一戦で井上が6回1失点、6奪三振の好投。強力打線を抑え込み、チームに待望の一勝を手繰り寄せた。「いつもより『頑張れよ』と言われたのでちょっと気負ってしまう部分があった。試合に入ったら気にせず、切り替えられたので良かった」三回は3者連続三振を奪うなど六回1死まで一人の走者も許さない完全投球。140キロ台後半の直球と切れ味鋭いスライダーが冴えた。「事前に相手打者を研究して、いい準備ができているという確信があった」。六回1死から戸柱に同点ソロを浴びたものの最少失点に抑え、後を受けた船迫、ケラー、バルドナード、大勢の強力救援陣がスコアボードに0を並べた。2020年の入団当時、2軍監督だったのが阿部監督だった。高卒1年目で秋のフェニックス・リーグに参加した際には〝食トレ〟を実施。宿舎での夕食の際には「来い」とテーブルを挟んで目の前の席に呼ばれた。肉は食べても食べても阿部監督の手によって皿に追加され続け、白米は大盛り3杯のノルマを課された。「とにかく必死で食べた。めっちゃきつかった」と振り返るが、その成果もありプロ入り時60キロ台だった体重が今では78キロまで増量。球速アップにつなげた。手塩にかけて育てた左腕がもたらした勝利に、指揮官は「何とか流れが変わると思っている」とうなずいた。シーズン途中からローテーションに定着して8勝を挙げた成長株。マスクをしていても商業施設などでファンから声をかけられるようになった。大一番で快投し「自信が付いた。これからの野球人生に大きな1試合になった」と井上。巨人の顔になりつつある若武者が、崖っぷちのチームを救った。(原田優介)

◆動いて、攻めて、流れを変えた!! 「2024 JERA クライマックスシリーズ(CS) セ」は19日、東京ドームでファイナルステージ第4戦が行われ、リーグ王者の巨人が3位DeNAを4―1で下し、初勝利。1勝のアドバンテージを含めて対戦成績を2勝3敗とした。阿部慎之助監督(45)が同点の七回にセーフティースクイズ、重盗と執念の采配を見せて勝ち越した。CSファイナルを3連敗後に3連勝して突破し、日本一に輝いた2012年の再現を目指す。動き、仕掛け、主導権を握った。3連敗の流れをガラリと変えるような1勝。阿部監督は冷静さを装いつつ、興奮のあまり息が乱れていた。「もう崖っぷちなんでね。あと1個も負けなきゃいいんだと思ってやった結果、やっと勝てた」勝負を分けたのは1-1の七回1死一、三塁。岸田に初球をセーフティースクイズさせると、三走・坂本が絶妙なスタートを切ってヘッドスライディング。間一髪セーフの犠打野選で勝ち越し点を刻んだ。1死から左前打で突破口を開き、中山の右前打で三進した際にも頭から滑り込んだ坂本は「それが一番速いと思った。勝つしかないと思って臨んだ」と執念を見せた。さらに次打者の代打長野への初球でダブルスチールに成功。長野の一ゴロで三走の増田大が生還し、相手の本塁悪送球も誘って4点目を奪った。指揮官は「失敗を恐れずどんどん動いていくぞ、と言ってあったので(七回は)思い切ってね。ドキドキしたよ、俺が」と怒濤(どとう)の攻撃を振り返った。決死の覚悟で迎えた一戦だった。第3戦まで計2得点に終わり、阿部監督は17日にみやざきフェニックス・リーグで左手首の骨折から復帰したばかりのヘルナンデスを緊急帰京させ、「5番・中堅」で先発起用。左脇腹に骨折の疑いがあり、バットが振れない吉川も「何とか貢献したいと本人がファイティングポーズを取ってくれた。骨はポキッと折れちゃっているけど」とベンチに入れた。試合前にはベンチ裏のサロンにチーム全員を集めた。「ここからやり返せたら本当に強いチーム。そうなれるかもしれないチャンスがあるんだから、チャレンジしていうこうよ」と前向きな言葉で鼓舞。ナインの心に火をつけた。信頼するメンバーを集め、昨秋から磨き上げてきたチームプレーでつかんだ理想的な勝利。「みんなで一個勝った。何とか流れが変わると思う」と指揮官。自身が正捕手だった2012年のCSファイナルは中日に3連敗したあとに3連勝し、日本一まで駆け上がった。奇跡の大逆転劇を再び実現する。(谷川直之)左手の骨折で離脱中の萩尾の声出しが空気を変えた。前夜に〝招集指令〟を受け、午前中にリハビリを行ったジャイアンツ球場から拡声器を持参。ピンク色のサングラスを着け、「『声出し』のために(よみうり)ランドからやって来ました。多少長くなるかもしれません」と書かれた紙を首から下げて試合前の円陣に登場し、「あと2勝分、円陣の用意をしているので絶対に勝ちましょう」と叫んでナインの爆笑を誘った。

◆巨人・井上温大は日々、大投手の研究を欠かさない。「野球を見るのが好き」とオフの日も自身の映像だけでなく、他チームの選手をチェックする。米大リーグは「あんまり...」と首をかしげるが、例外が今季15勝をマークしたカブス・今永昇太投手(31)だ。昨季までDeNAでプレーした左腕には、2022年オフの自主トレで弟子入り。当時参加したメンバーで作成したLINEグループが今でも稼働しており、〝師匠〟からは「よくなってきたな」など今季の活躍を褒める言葉をもらったという。自分から今永へ連絡するのは「恐れ多いです。忙しそうですし」とためらっているが、米移籍1年目で活躍した姿は映像で欠かさず見ていた。「投げる哲学者」の異名を持つ好投手が、教材になっている。(原田優介)

◆監督にあれだけ迷わず采配を振られたら、選手はわき目も振らずに動かざるをえない。阿部巨人のCS初勝利は、そこに尽きる。1-1の七回1死一、三塁で、岸田が初球、セーフティースクイズ。1球で決めた岸田の巧さはもちろんのこと、三走・坂本のスタートも鮮やか。小フライ気味に見えただろうが、投手と一塁手の中間という打球のコースを判断し、思い切りよく突入した。続く代打・長野への初球には、すかさずダブルスチール。悠々セーフとなると、長野は前進守備の一塁正面へゴロ。ここでも三走・増田大がギャンブルスタートで生還。オースティンの悪送球も誘い、さらに1点を追加した。打てないときは、こうやって点を取る-。相手に考える時間を与えず、相手の嫌がる作戦でたたみかける。キャッチャー出身、阿部監督ならではの攻撃といえる。捕手の目は、投手交代にも表れている。七回1死一塁でオースティンを打席に迎えるや、船迫からケラーにスイッチ。球が速いことに加え、上から投げおろす点を買ったのだろう。計算通り、オースティンは縦のカーブで、宮崎は内角速球で連続三振。高低とスピードの勝負で、DeNAのムードを断ち切った。小さなことで、大きく流れが変わるのは、短期決戦の特色。両チームとも打線が活発とはとても言えないだけに、第5戦も両軍ベンチの策に注目したい。(サンケイスポーツ専属評論家)