阪神(☆3対0★)ヤクルト =リーグ戦24回戦(2024.09.16)・阪神甲子園球場=
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ヤクルト
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阪神
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勝利投手:大竹 耕太郎(10勝7敗0S)
(セーブ:岩崎 優(3勝4敗22S))
敗戦投手:小川 泰弘(2勝5敗0S)
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◆阪神が4連勝。阪神は両軍無得点で迎えた6回裏、前川の犠飛などで2点を先制する。続く7回には森下の適時打が飛び出し、貴重な追加点を挙げた。投げては、先発・大竹が6回無失点の好投で今季10勝目。敗れたヤクルトは、打線が中盤までの好機を生かせなかった。

◆阪神大竹耕太郎が10勝目を目指す。今日先発するヤクルト戦はソフトバンク時代に1勝0敗、阪神移籍後に6勝0敗で、通算では7勝0敗とプロ入りからまだ黒星がない。特に甲子園球場のヤクルト戦と相性が良く、3戦3勝、防御率1・96の好成績。得意カードで白星を挙げて2年連続の2桁勝利とヤクルト戦のデビュー8連勝をマークできるか。

◆今季限りで現役引退するヤクルト青木宣親外野手(42)が、阪神岡田彰布監督(66)からねぎらいの花束を贈られた。試合前にアナウンスが流れると、両ベンチから2人が登場。ホーム付近で岡田監督から花束を贈られた青木は笑顔を見せ、左肩を2回たたかれ、ねぎらわれた。記念撮影では肩を組んだ岡田監督に促されるように、青木も左腕を出して2人でがっちり肩を組む形に。球場からは大きな拍手が起こった。青木にとって、岡田監督は早大の先輩。前日の試合前練習では、グラウンド上であいさつし言葉を交わし、早大時代の同期でもある阪神OB鳥谷敬氏(43=日刊スポーツ評論家)とも再会し、笑顔でがっちりと握手していた。

◆阪神前川右京外野手(21)がスーパーキャッチで先制点を防いだ。初回2死満塁。6番増田の飛球が左翼へ。浜風に乗って打球はぐんぐん伸びた。左翼前川は懸命に打球を追い、最後は飛びついてキャッチ。フェンスにぶつかりながらもボールを離さなかった。もし抜けていれば、走者一掃も考えられた打球。大ピンチを救った好守となった。

◆/まずは守備で魅せる\チームを救うビッグプレー#前川右京 フェンスに激突しながらも好捕?プロ野球(2024/9/16)??阪神×ヤクルト??Live on DAZN#DAZNプロ野球 #hanshin pic.twitter.com/ZRGfBSCcnY

◆大の阪神ファンで知られるフリーアナウンサーの有働由美子(55)が始球式を務めた。同戦は「J:COM 超速ネット光デー」として開催され、胸に「J:COM」と入ったタテジマユニホームで登場。名前が呼ばれると、球場からは大きな歓声と拍手が起こった。マウンドからは大きく振りかぶり、ノーバウンド投球を披露。笑顔を見せながら、球場中の虎党に深々とあいさつした。22年6月の日本ハム戦以来、2度目の始球式。「85点くらいですかね」と振り返った。室内練習場で投球練習している際には、試合前に調整する原口と遭遇。「原口さんがバーっと来てくださって『滑るから気をつけてください』っていうのと『(ボールを)上で手離す』って言われていたので、投げる時に『上で手離す!』って言いながら投げたら届きました。原口さんのおかげです」と感謝した。背番号は甲子園100周年に合わせ100。「阪神園芸さん いつもありがとう」と刺しゅうを入れていた。「東京に住んでいるのでテレビとか虎テレさんで見ることが多い。そうするとCMの間も映してくれて。阪神園芸さんのトンボのかけ方とか、このところすごい雨の中、どうしたら試合できるねん、って中でもやってくれているのを見ていて。前回もそうだったけど、選手にごあいさつよりかは、阪神園芸さんに差し入れを持っていって。今回も感謝を伝えたいと思って。東京ばな奈とか東京の濃いやつを入れ込みました」と明かした。前回始球式を行った際には「今日が私の結婚式」と、特別な感情をユニークに表現していた。この日は「銀婚式くらい」と照れ笑い。「金婚式(=もう1度始球式)くらい、10年後くらいにやるんちゃうかなって...。ずうずうしいですかね」と"再登板"にも意欲を見せた。その他の有働アナの一問一答は以下の通り。-阪神は9月絶好調「森下選手の空気作る感じが。去年もバラエティー番組でご一緒したんですけど、その時も10秒くらいでスタジオの空気をつかんで結果持っていくっていうか。それがデッドボール1回目の肩に当たった時、甲子園がちょっとヤバイ感じになる時も、それさえも『騒がんでええよ』みたいな立ち上がりをしていた感じがして。森下選手の空気をつかむ感じが、ここからは大きいかなと」-番組共演した大竹、坂本の2人が今日バッテリーを組む「ねえ。もうなんか、全然岡田さん見てはらへんって。本当そんな関係ないと思うんですけど。坂本さんにも『あっ』って手を振っておきました」-監督とお話は「いえ、先ほどベンチの前でアイコンタクトしていただいたので。『News zero』の最後の時に、『誰でも好きな人と会っていい』っていうので、岡田監督にインタビューを、日本シリーズ前だったんですけど控室でさせていただいて。その時も落ち着いて聞こうと思ったんですけど、やっぱり85年の岡田さんを知っているから。ユニホームで来られたら『岡田~!』みたいになって。ニュースキャスターで行っているのにアホの子みたいだったんで。今日もユニホームを着てたので、しゃべるとか、そんなんもう。90度のお辞儀しかできませんでした。-虎カラーにした爪からも気合を感じる「はい、もう。55にもなって1人だと、阪神で時間を埋めるのと仕事するしかないです。年間140になると、本当に今後認知症のこととか考えると100(歳)までのお付き合いになると思うので。80ぐらいでもう1回ぐらい投げられるチャンスがあることを願って、東京でキャッチボールはしておこうと思います」-前回は背番号0「甲子園100周年で岡田さんの80にしようかなと思ったんですけど、やっぱり阪神園芸さんあっての甲子園球場やし、阪神やなと思ったので」

◆阪神中野拓夢内野手(28)が忍者のような守備で甲子園をわかせた。3回1死一塁からヤクルト村上宗隆内野手(24)が放った打球は二塁へ。平凡なゴロかと思われたが、捕球する直前でイレギュラーし、高く跳ね上がった。中野の頭上を越すかと思われたが、即座に反応してジャンピングキャッチ。二塁に送球し一塁走者をフォースアウトに仕留めた。惜しくもダブルプレーとはならなかったが、美技で甲子園はファンの大歓声に包まれた。

◆阪神大竹耕太郎投手(29)が感情むき出しの投球で、10勝目の権利を持ち降板した。6回3安打5四球7奪三振無失点。今季10勝を達成した場合は2年連続となる。ソフトバンク在籍時の4四死球を超え、公式戦自身最多となる5四球。被安打は3本に抑えるも、5回まで毎回走者を出す投球だった。5回には2死から2者連続四球で2死一、二塁のピンチを背負うも、オスナを真ん中のチェンジアップで空振り三振。ほえて感情を爆発させた。104球を投じる粘りの投球で相手に本塁を踏ませず、援護を待った。同点の6回に味方打線が2点を先制。その回に代打が送られ、勝利投手の権利を持って中継ぎ陣にバトンを託した。

◆阪神大竹耕太郎投手(29)が今季10勝目を挙げ、2年連続の2桁勝利を達成した。国内移籍1年目から2年連続2桁勝利は球団5人目。18年オフにオリックスから移籍し、19年に10勝、20年に11勝を挙げた西勇輝投手(33)以来の快挙だ。6回3安打5四球7奪三振無失点。2点を先制した6回に代打を送られた。ソフトバンク在籍時の4四死球を超え、公式戦自身最多となる5四球。5回まで毎回走者を出す投球だった。5回2死一、二塁のピンチでは、オスナを真ん中のチェンジアップで空振り三振に打ち取り、ほえて感情を爆発させた。6回は3者凡退に抑えた。ヤクルト戦はソフトバンク時代に1勝0敗、阪神移籍後は7勝0敗で、無傷の8連勝。特に甲子園球場のヤクルト戦と相性が良く、4戦4勝、防御率1・48の好成績だ。

◆阪神が4連勝を決め、ともに勝利した首位巨人に2カード差でピタリとつけた。この日までの甲子園6試合は5勝1敗で、地の利を生かして白星を積み重ね、9月はここまで10勝3敗。貯金は今季最多12に伸びた。0-0のまま迎えた6回、一気にたたみかけた。先頭の森下翔太外野手(24)が中前打を放つと、大山も中前打、佐藤輝は遊撃への内野安打で無死満塁の絶好機。ここで前夜決勝ソロ本塁打を放った前川右京外野手(21)が、中堅へ先制の犠飛を放った。さらに坂本が左前打で続くと、2死満塁から相手の捕逸で2点目。試合を決めるイニングとなった。7回は、先頭の近本が中前打で出塁すると、1死二塁で森下が3点目の中前適時打を放ち、リードを広げた。先発の大竹耕太郎投手(29)は、6回3安打無失点で2年連続となる10勝目。初回に先頭の長岡に中前打を浴びると、2四球もからんで2死満塁のピンチも無失点。切り抜けた後は走者を出しながらも、要所を押さえて得点を許さなかった。 これでプロ入り後、ヤクルト戦は通算で8勝0敗。この日もキラーぶりを存分に発揮。国内から阪神に移籍した1年目から2年連続2ケタ勝利は、西勇以来球団5人目となった。阪神はこれで残り10試合。次戦は18日に敵地バンテリンドームでの中日戦に臨む。

◆阪神が4連勝を決め、ともに勝利した首位巨人に2カード差でピタリとつけた。この日までの甲子園6試合は5勝1敗で、地の利を生かして白星を積み重ね、9月はここまで10勝3敗。貯金は今季最多12に伸びた。岡田監督の一問一答は以下の通り。(テレビインタビュー)-大竹が6回3安打無失点「初回ですね。ね、ほんと前川のプレーがなかったらと思ったら、大きいですね」-大竹はよかった部分は「緩急のピッチャーなんでね。だから、3回くらいからですよね。持ち味を出せたというか。初回はちょっと力んでね、あんなフォアボール出すピッチャーじゃないんで。そういう意味でも前川のプレーは大きかったですね」-大竹は3連勝、2年連続2桁勝利「あーそうですね」-この終盤に頼もしい投球を続けている「そうですね、だいぶ相手のバッターが慣れたと思うんですけど。でもね、うまく最少失点で、今日はゼロですけど。ずっと、そういう意味では勝ちにつながる投球というかそういうのはできてますね」-4連勝中リリーフが無失点「いやいや、まあ、6回までいってくれると1人休める展開にもなるし。他のこないだの富田とかも、他のピッチャーもすごく良い仕事してるんで。だから何とかね、6回、7回ぐらいで追い越しとけばというのはあるんでね。リリーフ陣の頑張りもすごくあると思いますよ」-6回に前川が左投手の田口から犠飛「いやいや、もう全然代えるつもりもなかったし、今日は初回から前川のゲームかなと思ったんで、何とかしてくれると思ってましたけどね」-7回の森下のタイムリーも大きかった「そうですね、やっぱり3点目大きかったですね」-終盤の森下の勝負強さは「いやいや、もうね、2打席は全然ダメだったんですけど、センターに打て言うて、そしたらヒット出るんだからね、最初からああいう打ち方すればいいんだけどね」-前川に打点がついて、他の先発メンバーは全員安打。単打で12安打「曲がりなりに言うたらおかしいんですけどね、やっぱりヒット、そういう感じで1試合に1人1本ずつ打てるいうことは、すごくいことだと思うし。後ろにつなげていけるという意味でもね、それはみんな選手間の信頼関係というかね、後ろに回しとけばっていうのが、そういう意味ではいい効果が出てると思いますね」-4連勝で貯金も今季最多を更新して11。残り10試合に向けて「いや、もうね、ちょっと間隔空いたりしますけど、目の前の試合をね、とにかく勝っていくだけですね」

◆阪神が4連勝を決め、ともに勝利した首位巨人に2カード差でピタリとつけた。この日までの甲子園6試合は5勝1敗で、地の利を生かして白星を積み重ね、9月はここまで10勝3敗。貯金は今季最多12に伸びた。岡田監督の一問一答は以下の通り。(ペン)-初回の前川のプレーがなければ、どうなっていたか「おーん、なあ。あれは大きかった、ほんま。左利きで良かったよ。右だったら捕れてないかも分からんなあ、おーん」-守備も出ているうちに「そうやなあ。今日も島田行こうと思っとったけどな。多分、決勝打も前川やし、ヒーローインタビューも前川やと思ったから、もう最後まで出したよ(笑い)。(ヒーローは)違うの? 前川違うの? 前川やな」-あのプレーで試合展開が変わる「そら変わるよ、あれ3点入ってるもんなあ、初回。まあちょっとコントロール悪かったからなあ、力んでなあ、球数も初回多かったし。あれ(増田の大飛球)も完璧逆球やろ、狙ってても中行かんかったからなあ」-大竹が2年連続2ケタ勝利「そら大したもんと思うよ、それは、おーん。まあ、あとは規定イニングを気にしとるけどな(笑い)、おーん。いや、(自軍が)ゼロやったらもう1イニング投げさせとったよ。追い越してなかったら、点が入ってなかったらな、6回に。それはいくつもりやった」-緩急の使い方「一番はコントロールと思うよ。やっぱり今日も3回くらいからそういうピッチングと思うよ、俺はね。まあ、なあ、うまいことフォアボール出してもなんだかんだ嫌なバッターはな。うまく点を取られんように、あれはもう制球難のフォアボールじゃないよ。嫌がっているなってみんなに見せてるやんか。なあ、ストライク取りにいってのフォアボールじゃないもんな。それであと抑えたらええわけやもんな、おーん」-大事な7連戦と言っていた「まあ、地の利もあるからな、甲子園というのもあったらかね、なんとか、おーん。まあ、雨で1試合、雨あったけど、まあ十分じゃないかな、でもな」-あの雨も良かった。「雨良かったってあんなん野球でけへんよ。何を言うとんねん。中止にしたんちゃう、でけへんて」

◆阪神大竹耕太郎投手(29)が涙した。6回無失点で移籍後2年連続の2桁勝利となる10勝に到達。囲み取材で「今年はどんなシーズンか」と問われた時だった。「去年1年投げて、『今年は無理だろ』とかいろいろ言われてきたけど、それでも...。すいません...」30秒弱の沈黙の後「キャンプ入るぐらいは肩の状態も良くなかったので不安はありました」と吐露。「でも、気持ちの面で絶対今年もやってやるって思ってきたので。うまくいかないことも多かったけど、周りの支えもありました。そういう状態でもサポートしてくださる」と感謝の言葉をつむいだ。今年1月に左肩のガングリオン(良性のしこり)を除去。その影響でキャンプはスロースタートだった。 「うまくいかなかったら言われる、それだけ活躍していくためにはその過程も。レギュラーの人はすごいなと。うまくいかなかったら言われますけど、そういうのに負けないで、反骨心じゃないですけど、そういうのを持っていきたいと思います」と力強く言った。

◆阪神が完封勝利で4連勝を決めた。お立ち台には投打のヒーロー3人が選出。2年連続2桁勝利の大竹耕太郎投手(29)、キャリア初の3連投で無失点投球を見せたハビー・ゲラ投手(28=レイズ)、決勝犠飛の前川右京外野手(21)が登場した。大竹は降板したイニングで決勝点をもらい、滑り込みでの白星ゲット。「明日は前川くんに何か贈呈したいと思います」と宣言も飛び出した。ヒーローインタビューの一問一答は以下の通り。ゲラ-ナイスピッチングだった「昨日も今日もチームとしていい試合ができましたし、何よりも勝てたということ、そしてその勝利に貢献できたということがね。自分自身貢献できたということが、非常にうれしく思います」-今季初の3連投「過去にも経験がなくて、本当に人生初の3連投だったんですけど。自分でそれを成し遂げられたことがうれしいですし、これも一つの自信になりますし。何よりも勝てたということがうれしく思います」-負けられない戦いが続く。日本語でファンにひとことを「ゴセイエン、アリガトウゴザイマシタ。スバラシイ」大竹-2年連続の2桁勝利。大声援を聞いて今の気持ち「やはり甲子園での成績がすごく自分はいいんですけど。やっぱりこの満員のファンの皆さんの前で投げることで、かなり力をもらっている部分があるので。本当にいつもありがとうございます」-小川との投げ合い。どんなことを考えながら投げたか「ちょっと登板の間隔がまた雨のせいで空いてしまったので、その中でも気持ちを切らさずにしっかり立ち上がりから頑張っていこうと思っていたんですけど、いきなりピンチを作ってしまって。本当に今日は前川選手に助けていただいたので。シーズン序盤、桐敷に満塁のピンチで場面を譲った時に、桐敷に何か贈呈するという話をしたので。明日は前川くんに何か贈呈したいと思います」-1回のレフトへの打球、前川が捕ったときの気持ちは「本当にあれが捕れていなかったら3点は絶対に入っていたので。チームとしても苦しかったと思いますし、本当に大きい1プレーだったと思うので。(前川に)ありがとう」-前川の先制犠飛は見ていてどうだった「自分が粘り強く投げていれば今の打線はすごく調子もいいので、絶対先に点を取ってくれると思っていたので。ちょっとフォアボールを出してしまったんですけど、その中でも粘って投げることができました」前川-6回の先制場面。気持ちは「もうチャンスだったので、なんとか最低限(の仕事)をしようと思って。最低限の結果が出せました」-昨日は決勝弾。2試合連続の決勝点。大事な時期の自分の活躍はどう感じる「良い時も悪い時もあるんですけど、先輩方が助けてくれるので。いい感じに維持できているかなと思います」-初回のスーパープレー。捕った瞬間、追って行く時はどんな気持ち「うれしかったでーしゅ」-捕れる自信もあった?「いやー、ちょっと大竹さんの時に迷惑かけてたりしていたので。本当、捕りたかったので。捕れて良かったです」-いまのタイガースは自分で見て「本当に、まだみんな優勝を諦めていないので。全員で1戦1戦、勝ちにいきたいなと思います」-最後、大勢のファンに向けてひとこと「明日休みなので、ゆっくり休みましょう!」

◆ヤクルトが今季16度目の完封負けを喫した。打線が2試合続けて、阪神先発陣を打ち崩せなかった。大竹の前に6回散発3安打。5四球も、得点には結び付かなかった。前夜15日はビーズリーの前に6回散発2安打。高津監督は「この2人で0勝8敗ですからね」と言い「(苦手なピッチャーを)作りすぎですね。そんなにも打てないもんかなと思うぐらいね」とぼやくしかなかった。○...今季限りで現役引退するヤクルト青木が、甲子園での今季最終戦前に、阪神岡田監督から花束を受け取った。球場全体からねぎらいの拍手が送られ、青木は「このような場を与えてくださった阪神球団さんに感謝しております。早稲田大学、プロ野球の大先輩である岡田監督に花束をいただき恐縮です。記念撮影では、快く肩を組んで撮らせていただいた写真は一生の宝物です」と感謝した。

◆阪神岩崎優投手(33)が通算500試合登板に王手をかけた。3点リードの9回にマウンドへ。2死から代打西川荷内野安打を許したが、最後は長岡を3球三振で試合を締めた。これで今季22セーブ目とし、プロ11年目で500試合にあと1。伝え聞いた左腕は「499? そうですか、また次頑張ります」といつもと変わらぬ様子で静かに意気込んだ。

◆阪神佐藤輝明内野手(25)がしぶとく好機を広げた。6回無死一、二塁でヤクルトは左腕田口にスイッチ。主砲は高めスライダーを捉えると、遊撃長岡のグラブをはじく内野安打になった。「しっかりコンタクトして、はい、ヒットなったんで良かったです」。前日に同点の14号ソロを放つなど、5戦連続安打中。「また明日休んで、しっかり頑張ります」と気を引き締めた。

◆盤石のリリーフ陣がこの日も無失点でつないだ。7回に2番手でマウンドに上がったのは、前日15日に続く登板となった桐敷拓馬投手(25)だった。先頭の松本直に中前打を許すも、後続3人を全て内野ゴロに打ち取った。「本当に粘れたので、1つ1つアウト取れたので、良かったです」と登板4戦連続のホールドを挙げた。続いて8回に登板したのはゲラ。4番村上を中飛に打ち取るとオスナ、代打宮本と危なげなく3者凡退に抑えた。14日広島戦から3日連続のマウンド。「過去にも経験がなくて、本当に人生初の3連投だった。自分でそれを成し遂げられたことがうれしい」と汗を拭った。これで13日広島戦から4戦連続で中継ぎ陣の失点は0。4連勝を盤石なブルペンが支える。岡田監督も「他のピッチャーもすごく良い仕事している。リリーフ陣の頑張りもすごくあると思います」と労った。

◆阪神大竹耕太郎投手(29)が泣いた。6回無失点で10勝目。囲み取材で「昨年と今年の2桁勝利の意味合い」について問われた時だった。「去年1年間投げて『今年は無理だろう』とか言われてきたけど。それでも...。すいません...」帽子で顔を覆う涙を隠した。約30秒の沈黙の後、「キャンプに入るぐらいは肩の状態も良くなかったので。不安はありました」と吐露。「だけど...」と前を向いた。「気持ちの面で『絶対今年もやる』というか。そういう気持ちを持ってずっと来た。うまくいかない方が今年は多かったですけど、気持ちだけは切らさないように。周りの支えがあって10勝まで来たと思います」周囲への感謝があふれ出る。今年1月に左肩のガングリオン(良性のしこり)を除去。その影響でキャンプはスロースタートだった。SNSを含め、周囲からの雑音も感じてきた。「できて当たり前。うまくいかなかったらすごく言われる。そういうのに負けないで。反骨心じゃないけど、そういうのを持っておきたい」この日も周りに助けられた。初回2死満塁では増田の飛球を左翼前川が好捕。お立ち台では「ありがとう」と感謝し「前川君に何か贈呈したいと思います」をプレゼントを約束した。ヤクルト戦はソフトバンク時代から無傷8連勝。「ツバメキラー」ぶりを存分に発揮し連戦の最後を締めた。現役ドラフト移籍1年目の昨季は12勝2敗で10個の貯金をつくった。国内移籍1年目から2年連続2桁勝利は西勇以来球団5人目。小林繁らレジェンドが通った道だ。早大の先輩でもある岡田監督は「大したもん」と称賛。「あとは規定イニングを気にしとる(笑い)」と暴露した。残り登板数次第だが、9回2/3に迫った初の規定投球回到達も目指せる位置。左腕は「自分のことはいいので、とにかく勝つためにやっていきたい」。次はリーグ連覇の涙が見たい。【中野椋】

◆阪神中野拓夢内野手(28)が"忍者守備"で甲子園をわかせた。3回1死一塁。村上の二塁への打球は平凡なゴロかと思われたが捕球する直前でイレギュラー。「初めてだった」と語るほど高く跳ね上がったが即座に反応してジャンピングキャッチ。一塁走者を二塁封殺に仕留めた。「誰もあんなに跳ねると思って守備はしていない」と予想外だったことを明かすも「入る体勢が良かった。良い反応できたかな」と話した。

◆阪神森下翔太外野手(24)がトドメの3点目をもぎ取った。2点リードの7回1死二塁では中前適時打。岡田監督も「大きかった」と語る3点目を挙げ、塁上からベンチに向けてポーズを決めた。「追加点が大事な場面でしっかり打てたので良かったです」とうなずいた。同点の6回には先頭でヤクルト小川から中前打。森下の一打からの3連打で作った無死満塁から前川の先制犠飛につながった。これで今季70打点に到達。リーグ2位のヤクルト村上を2点差、同1位の巨人岡本和を3点差で追う。プロ入り2年目までのタイトル獲得は、景浦将が37年春に2年目で打点王を獲得して以来、球団87年ぶり2人目の快挙となる。連戦の1週間を振り返り「必死にやっていただけ。1戦1戦集中して毎試合をやっていました」。9月は打率3割6分。「あとは気持ちでなんとか乗り切るだけ」と言い切った。

◆阪神近本光司外野手(29)が今季10度目の猛打賞で4度目のシーズン150安打に到達した。3、5、7回に単打で出塁。7回先頭では原に3球で追い込まれたもののファウルで粘った。「カウントもつくりながら結果的に塁に出れてよかった」。しぶとく中前打を決め、森下の適時打で3点目のホームを踏んだ。内容も詰まった打席だった。1番が塁に出れば流れが生まれる。猛虎打線が好調な要因だ。「しっかりピッチャーが踏ん張ってくれて、守備もしっかり踏ん張っているので。その場面に出た選手がしっかり仕事をしてくれたのでよかったです」仲間への感謝も忘れない。これで入団6年目までの通算安打を923とし、長嶋茂雄(巨人)の最多記録まで「3」に迫った。「ミスター超え」は目の前。18日の中日戦(バンテリンドーム)にも達成する勢い。一気にレジェンドを抜き去りたい。この日の得点でシーズン66得点。リーグトップのヤクルト村上は72。4差で追いかける。昨年はリーグ最多。2年連続でトップなら36~37年藤井勇以来、球団87年ぶりの快挙となる。記録ラッシュの予感漂う勝負の秋。やるべきことは分かっている。「僕はそれ(出塁)で(ホームへ)かえってくるのが仕事なので。その期間を増やして。残り試合も頑張っていきたい」9月も月間打率3割超えのリードオフマンは前だけを見ている。【中野椋】

◆阪神大竹耕太郎投手(29)が涙した。6回無失点で移籍後2年連続の2桁勝利となる10勝に到達。囲み取材で「今年はどんなシーズンか」と問われた時だった...。大竹の一問一答は以下の通り。-初回の前川のプレーは大きかった「お立ち台でも言ってましたけど。今年のどっかの試合で捕れそうなのを落とした試合があって。そういうのもあって、しっかり捕りたいと思ったと。ああいう風な気持ちはうれしかったし。そういう野手があとひと伸びとか、そういうところで頑張ろうと思う選手というか、人間であるべきだと思うし。そういう日頃からの行いだったり。野手も頑張って守ろうという気持ちになると思うし」-打たれた時の心境は「風で結構伸びたので、感覚的には普通に定位置ぐらいのレフトフライかなと思っていたんですけど、全然落ちてこなかったので。入るかなと思ったんですけど。あそこは最近風が強いですし、伸びます」-5回は連続四球だったが、ある程度はしょうがないかなと「そうですね。0-0なんで。安易に真ん中高めとか投げて。長打を食らうぐらいだったら。最悪振ってこなくても次のバッターで勝負しようかなというのはありました。村上選手のフォアボールも2-3のボールも。前の打席だったら振ってきているところに投げていますし。あそこは意外と丁寧に見極めて。サンタナ選手も丁寧にバッティングしていたなという印象があります」-中村選手の時は緩急を使って象徴的な投球だったと思う「そうですね。やっぱり何て言うんですかね。同じ球種でも緩急をつけるというのが今日のピッチングでもテーマに持っていたので。同じチェンジアップでもフォームを緩めるチェンジアップとか、ストレートに近いチェンジアップとか。緩めて早いチェンジアップとか。緩まらないけど、遅いとか。後半はうまく、山田さんの三振とかも狙い通り取れました」-6回は特に緩急を使っていた「何となくですね。何が長打にならないのかというのを感じて投げるものなので。それは人と人のスポーツなので。これをいくよりはこっちを気持ち良く振れなさそうだなというのはある」-去年の2桁勝利と今年の2桁勝利はどういう意味合いがある「やっぱり。去年1年間投げて。今年は無理だろうとか言われてきたけど。まあ、それでも。何ていうんですかね...。すいません...」(涙...)「キャンプに入るぐらいは、肩の状態も良くなかったので。不安はありましたけど、気持ちの面で絶対今年もやるっていうか、そういう気持ちを持ってずっと来たので。うまくいかない方が今年は多かったですけど、気持ちだけは切らさないように。周りの支えがあって10勝まで来たかなと思いますし。チームも良い状態で優勝圏内だと思うので、個人成績よりはチームが勝つために投げることが大事だと思うので、自分のことはいいので、とにかく勝つためにやっていきたいと思います」-不安を思い出しての涙か、雑音に対する涙か「なんだろう。やっぱり、そういう状態でもサポートしてくださる...。そういう時とか...。ああ、すぐ泣くわ」-次もやるべきことをやる「そうですね。CSもありますし、日本シリーズもありますし、はい。9月入って、また9月が開幕だと思ってと、取材でも言わせてもらったりしましたけど、そのぐらい状態も上がってきてますし。実際三振数とかもそうですけど、ボールの質自体上がってきていると思うので、あんまり維持しようというか、どんどん上げていこう気持ちでやっていきたい」-無理だろっていうのはダイレクトに伝わってきたのか、なんとなくか「う~ん。まあ、どっちもありますけど、やっぱりできて当たり前というか、うまくいかなかったらすごい言われる。それだけ、やっぱり活躍していくためにはそういう過程も、やっぱりレギュラーの人はすごいなと思います。うまくいかないことばかり、言われがちですけど、そういうのに負けないで、反骨心じゃないですけど、そういうのを持っておきたいと思います」-前川に贈呈プランは「明日移動なんでね、みんな。ちょっと、時間があるから考える余裕がありますね」

◆離さへん! 阪神前川右京外野手(21)が攻守の活躍でチームを4連勝に導いた。初回の守備ではフェンスに激突しながら大飛球をキャッチ。6回には決勝点となる先制犠飛も決めた。岡田監督も「今日は前川のゲーム」と大絶賛。チームは今季最多の貯金11に伸ばし、甲子園7連戦は雨天中止を挟んで5勝1敗。首位巨人を2ゲーム差でピタリだ。ヒリヒリとシビれるようなシーズン残り10試合。宿敵に追いつき、追い越す。甲子園のざわめきが一瞬で歓声に変わった。前川が初回から大仕事をやってのけた。2死満塁から増田の飛球は左翼に飛んだ。「とにかく最短で」。浜風に乗って伸びる打球に向かって激走。最後はフェンスに身を乗り出した。グラブからこぼれそうになるボールを離さず、つかみ捕った。「ギリギリ捕れるかなと思ったので。満塁だったので、いかないといけないと思って行きました」初回から3失点も十分あり得た打球。守備で流れに乗った男はバットでも魅せた。0-0の6回無死満塁。左腕田口の144キロ直球を中堅にライナーではじき返した。「内野も前進してくれていた。おいしい場面だったので」。飛距離十分の先制犠飛。前夜に聖地初アーチで決勝点を決めた男が2戦連続のV打だ。若虎の躍動に岡田監督も白い歯を見せた。「全然代えるつもりもなかったし、今日は初回から前川のゲームかなと思ったんで」。特に初回のプレーは「あれは大きかった、ほんま。左利きで良かったよ。右だったら捕れてないかも分からんなあ」と大絶賛だ。前日に続く2戦連続のフル出場。「多分、決勝打も前川やし、ヒーローインタビューも前川やと思ったから。もう最後まで出したよ(笑い)」と信頼を口にした。積み重ねてきた練習のたまものだ。試合前には筒井外野守備走塁コーチとの守備練習がルーティンワーク。森下や井上ら若手外野陣と風のチェックやフェンス際のプレーなど細かな部分まで確認する。努力を重ねた高卒3年目。プロ1年目には2軍戦では左翼フェンスに激突し、途中交代となったこともあった。この日は同じくフェンス際のプレーで、チームを救ってみせた。チームは4連勝。貯金は今季最多11に伸ばした。雨天中止を挟んだが10日からの甲子園7連戦は5勝1敗と勝ち越し。残り10試合で首位巨人にも2ゲーム差で迫り、最短18日にも自力優勝の可能性が復活する。前川は2日連続のお立ち台に立つと頼もしく宣言した。「本当に、まだみんな優勝を諦めていないので。全員で1戦1戦、勝ちにいきたいと思います」。21歳の若武者が再び勢いを呼び込んだ。【波部俊之介】▽阪神筒井1軍外野守備走塁コーチ(初回の前川の好捕について)「ちょっとずつ守備範囲も広くなっているし、彼のストロングポイントは確実に捕球できるところは捕球できるって、ずっと言い続けてきたんですけど。ああいったプレーができたっていうのは自信につなげてもらいたいしね。僕もやってきたかいがあります」

◆阪神の4番大山悠輔内野手(29)がヤクルト先発小川をマウンドから引きずり下ろした。6回無死一塁で、外のカットボールに食らいつき、中前打を放った。無死一、二塁とすると、ヤクルトベンチは左腕田口を投入。ここから一気にたたみかけ勝敗を分ける2得点に成功した。試合後の大山は「勝ったことが一番なんで、それが一番です」とチーム第一の主砲らしく控えめに喜んだ。

◆【日刊スポーツ西日本写真映像チームのとっておき映像プレイバック】9月に入って驚異の勝率を見せる阪神。甲子園でのヤクルト最終戦も前川右京、大竹耕太郎が大活躍。岡田監督も絶賛する内容で、首位を行く巨人を猛追。再び「アレンパ」が見えて来たかもしれません。

◆阪神が4連勝を決め、ともに勝利した首位巨人に2カード差でピタリとつけた。先発の大竹耕太郎投手(29)は、6回3安打無失点で2年連続となる10勝目を挙げた。今季、新たなサプリメントが仲間入りしていた。大竹は5月ごろから3種類ほどの「天然塩」を摂取している。「海塩」は天然のミネラルをバランス良くとることができ体調が良くなるという。種類によってミネラルの配合が異なるため、偏らないよう3種類を日替わりで水とともに口にする。「生物は海スタート。だから生き物として体内を海水に近づけることで体調が良くなる」と力説したことがある。塩が大竹を支えている。天然塩のほかにも疲労回復効果のあるビタミンCも積極的に補給し寝起きが良くなった。不足しがちなマグネシウムは湯船に入れることもある。「できるだけ添加物が入ってない天然由来に近いものを選んだ方が体にいい」とこだわる。外食も好きな大竹だが、YouTubeなどを参考に体の仕組みなどを勉強。学び、実践しながら体を作り上げ、節目の勝利に到達した。【阪神担当=村松万里子】

◆阪神・大竹耕太郎投手(29)が先発する。今季のヤクルト戦は3戦3勝、防御率2.95。昨年も4試合に先発して無傷の3勝を挙げ、ソフトバンク時代の2019年から数えて7連勝中と好相性を誇る。チームは勝てば連勝を4に伸ばし、甲子園でのシーズン勝利数を一昨年とリーグ優勝を果たした昨年を超えて08年(41勝)以来となる37勝とするほか、今季のシーズン勝ち越しを決めることとなる。15日には「8月に比べたらだいぶ気温が下がってきて、体の動き的にも良くはなってきている。明日、マウンド立ってどういうコンディションとかに関わらず、相手にしっかりと投げられればいいかなと思います」と話した左腕が、得意の燕打線の前に、今回も立ちはだかる。

◆試合前に、日米でプレーして21年目を迎え、今季限りで現役引退を表明したヤクルト・青木宣親外野手(42)への花束贈呈が行われた。贈呈役に登場したのは早大の大先輩でもある阪神・岡田彰布監督(66)。今カード初戦の15日の試合前練習時にも談笑していた2人だが、ヤクルトにとってはこれが今季最後となる甲子園での一戦を前にし、ホームベース付近で顔を合わせると明るい表情で言葉をかけ、握手を交わした。ビジター席を埋めたヤクルトファンからは「あ・お・き!」コールが起こり、詰めかけた多くの虎党からも〝ミスタースワローズ〟へあたたかい拍手が送られた。

◆今季限りでの現役引退を表明している球界野手最年長のヤクルト・青木宣親外野手(42)に向けたセレモニーが試合前に行われ、早大の先輩にあたる阪神・岡田彰布監督(66)が花束を贈呈した。大型ビジョンには「東京ヤクルトスワローズ 青木宣親選手 21年間お疲れ様でした」との文字が表示され、ホームベース付近でがっちり握手。岡田監督に確認した上、恐縮したような様子で肩を組んで記念撮影に応じる場面も見られた。この日、ヤクルトは甲子園での今季最終戦だった。青木は球団を通じて「このような場を与えてくださった阪神球団さんに感謝しております。早稲田大学、プロ野球の大先輩である岡田監督に花束をいただき恐縮です。記念撮影では、快く肩を組んで撮らせていただいた。写真は一生の宝物です.ありがとうございました」とコメントした。前日15日の試合前練習時には、青木が岡田監督の下へあいさつに訪れる姿も見られ、大先輩について「話していてすごく楽しくて、いつもあいさつにいくと、返しを期待してしまう。それくらい返しが面白いくて、必ず1ネタぶっこんでくるような方です」と説明。『ぜひ食事をお願いします』と伝えました。『いろんな話を聞かせてください』と」と明かしていた。

◆「6番・左翼」で出場した阪神・前川右京外野手(29)が一回、ファインプレーでチームをピンチから救った。先発の大竹が安打と2四球で2死満塁のピンチを背負った。ここでヤクルト・増田の打球が左翼へ上がると、浜風にも押されて、左翼ポール際方向へ。だが、この打球を猛然と追いかけた前川は体をフェンスにぶつけながら、懸命にグラブを伸ばしてキャッチした。安打なら走者一掃となる可能性があった中で、立ち上がりに苦しんだ大竹とチームを救う大きなプレー。虎党からは大きな前川コールが起こった。15日夜は自身甲子園初アーチとなる決勝の今季4号ソロをたたきこんだ若きスラッガーが、まずは守備で魅せた。

◆阪神・中野拓夢内野手(28)が「2番・二塁」で出場。三回に守備で沸かせた。1死一塁でヤクルト・村上のゴロが正面に飛んできたが、捕球寸前でイレギュラーバウンドし、高く跳ね上がった。しかし、即座に反応してしっかりとキャッチ。併殺コースが一転、二塁封殺しか奪えなかったものの、恐るべき反射神経に甲子園は大きくどよめいた。一回には左翼・前川が一死満塁でフェンスに激突しながら好捕して大竹を窮地から救っており、堅守で均衡を保っている。

◆阪神が六回に前川右京外野手(21)の中犠飛で先制した。「打ったのはストレート。連打でチャンスを作ってくれて、最低限の犠牲フライでしたが、ほしかった先制点を取ることができてよかったです」。五回まではヤクルト・小川に6安打を浴びせながらも好機を逸していた中、六回は先頭・森下、大山がこの試合初めてとなる連打を見舞って無死一、二塁。ここで右腕をマウンドから引きずり下ろした。相手ベンチは佐藤輝、前川と左打者が続くところで田口にスイッチしたが、佐藤輝は遊撃・長岡のグラブをはじく三遊間への内野安打でチャンスを満塁に拡大。ここで前川が144キロを振りぬいて中堅へはじき返し、先制点を刻んだ。さらにその後、2死満塁での代打・渡辺の打席ではヤクルト・中村の捕逸で2点目が入った。チームは11日のDeNA戦(甲子園)から4試合連続で先制点を献上し、13日の広島戦(同)から3試合連続で逆転勝利と反骨心を示してきたが、10日のDeNA戦(同)以来、5試合ぶりに先制。先発の大竹には勝ち投手の権利が発生した。

◆阪神・大竹耕太郎投手(29)が先発し、6回3安打無失点と粘投した。毎回走者を背負いながらも、要所を断ってゼロを並べた。一回2死満塁では左翼・前川がフェンスに体をぶつけながら好捕する大ファインプレーに救われて無失点で発進。五回は2死からサンタナ、村上を四球で出塁させてピンチを招いたが、最後はオスナを120キロの緩い変化球で空振り三振に仕留め、雄たけびを挙げながらガッツポーズ。六回はスタンドも驚く最遅73キロの超スローボールも操りながらほんろうし、この試合で初めて三者凡退に抑えた。過去、1試合の最多与四球は3個だったが、この日はサンタナ33打席連続で歩かせるなど、ワースト更新の5四球。ただ、苦しい投球が続いたものの、粘り切った。打線が六回に先制し、この回に打順が巡ったところで代打を送られて交代。2年連続となる2桁勝利達成の権利を手にし、勝利の行方はリリーフ陣に託した。「長打を恐れて慎重になり、四球で無駄な走者を出してしまいました。登板間隔が空いていたこともあってなのか、初回はフワフワしてしまったところを(前川)右京の好守備に助けてもらいました。勝負所の一球を間違えず、粘ってゼロを並べられたところはよかったと思います」とコメントした。

◆阪神・森下翔太外野手(24)が「3番・右翼」で出場。七回に中前適時打を放った。この回から登板したヤクルト4番手・原に対し、まずは先頭の近本がこの日3安打目となる中前打で出塁。エンドランで仕掛けた中野の三ゴロの間に走者を進め、1死二塁で森下の出番だ。1ストライクから変化球を捕らえた打球は鋭いライナーで二遊間を突破。近本は悠々と生還し、2イニング連続得点となる貴重な3点目をもぎ取った。森下の打点は3試合ぶりで、これが節目の今季70打点目。打点王争いにもしっかりと加わる勝負強い男が、ひと振りで甲子園を盛り上げた。

◆阪神がヤクルトとの接戦を制して4連勝を挙げた。先発の大竹耕太郎投手(29)は自己ワーストの5四球を与えるも、緩急を巧みに操り、6回3安打無失点で2年連続の2桁勝利。一回2死満塁では前川右京外野手(21)がフェンス際での好守を見せるなど、バックが大竹を支えた。打線は0-0の六回にクリーンアップの3連打で無死満塁の好機を作ると、15日は勝ち越し本塁打を放った前川の犠飛で先制に成功。さらに相手のパスボールで追加点を奪った。七回には先頭の近本光司外野手(29)が猛打賞となる安打で出塁すると、1死二塁から森下翔太外野手(24)が中前適時打を放ち、今季70打点目を挙げた。首位・巨人が中日に勝利したため、ゲーム差は「2」のままも、今季最多の貯金11。連勝を伸ばし首位の座を虎視眈々と狙う。

◆一回2死満塁、ヤクルト・増田珠の飛球を好捕した阪神・前川右京 =甲子園球場(撮影・林俊志)

◆現役時代は阪神、南海で活躍し、引退後は阪神で投手コーチやフロントでも尽力したサンケイスポーツ専属評論家の上田二朗氏(77)は12安打を放った阪神打線について言及した。一回の前川のファインプレーに尽きる。野球は一回の1、2失点は仕方ないにしても、3失点となれば厳しくなる。それを防いだ大きなプレーだった。打線は12安打を放ったが、全て単打だったことは非常に重みがある。六回は3~5番が安打を放ったように、打線が線になれているからだ。一人が本塁打を放つよりも流れが生まれるし、選手個々が役割を果たせている証拠。全員で勝てているという意味でも、ほかのチームよりも勢いがあるということはハッキリとしている。標的も巨人だけにしぼられつつあるが、阪神はここ最近のような戦い方ができていれば良い。投手陣の状態がいいわけだから、10点も15点も必要ない。3点を取れるかどうか、だ。私が現役だった1973年にはシーズン最後の2試合で中日、巨人に連敗し、逆転で優勝を逃した。その反対だって起こり得ると思えば、首位との2ゲーム差は十分にチャンスがある。いい試合なんていらないし、汚い勝ち方でもいい。とにかく勝て。大いに期待している。

◆阪神が4連勝で今季最多の貯金11とし、残り10試合でシーズン勝ち越しを決めた。六回、森下翔太外野手(24)、大山悠輔内野手(29)、佐藤輝明内野手(25)の3連打で無死満塁とし、前川右京外野手(21)の中犠飛で均衡を破った。さらに捕逸で加点した。七回1死二塁では森下の中前打で3点目を挙げた。6回無失点の大竹耕太郎投手(29)は2年連続の2桁勝利。七回から桐敷拓馬(25)、ハビー・ゲラ(28)、岩崎優(33)の3投手がつないだ。前川は一回2死満塁でフェンスに直撃しながら飛球を好捕するなど守備でも貢献した。セ界4強は7連戦を終え、首位巨人は5勝2敗。広島は1勝6敗。降雨中止があった阪神とDeNAは5勝1敗と3勝3敗だった。巨人が勝ったため、首位とは2差のまま。3位広島とは3差に広がった。岡田彰布監督(66)の主な一問一答は以下の通り(成績=69勝58敗6分、観衆=4万2603人)。★テレビインタビュー編(抜粋)ーー4連勝中リリーフが無失点「六回まで行ってくれると1人休める展開にもなる。富田とかも、他のピッチャーもすごく良い仕事してるんで。だから何とかね、六、七回ぐらいで追い越しとけばというのはあるんでね。リリーフ陣の頑張りもすごくあると思いますよ」ーー六回に前川が左投手の田口から犠飛「いやいや、もう全然代えるつもりもなかったし、今日は初回から前川のゲームかなと思ったんで、何とかしてくれると思ってましたけどね」ーー七回の森下のタイムリーも大きかった「そうですね、やっぱり3点目大きかったですね」ーー終盤の森下の勝負強さは「2打席は全然ダメだったんですけど、センターに打て言うて、そしたらヒット出るんだからね、最初から、ああいう打ち方すればいいんだけどね」★囲み編ーー初回の前川のプレーがなければ、どうなっていたか「おーん、なあ。アレは大きかった、ホンマ。左利きで良かったよ。右だったら捕れてないかも分からんなあ、おーん」ーー守備も出ているうちに「そうやなあ。今日も島田行こうと思っとったけどな。多分、決勝打も前川やし、ヒーローインタビューも前川やと思ったから、もう最後まで出したよ。(ヒーローは)違うの? 前川違うの? 前川やな」ーーあのプレーで試合展開が変わる「そら変わるよ、アレ3点入ってるもんなあ、初回。まあちょっとコントロール悪かったからなあ、力んでなあ、球数も初回多かったし。アレも完璧逆球やろ」ーー大竹が2年連続2桁勝利「そら大したもんと思うよ、それは、おーん。まあ、あとは規定イニングを気にしとるけどな、おーん。いや、(自軍が)ゼロやったらもう1イニング投げさせとったよ。追い越してなかったら、点が入ってなかったらな、六回に。それは行くつもりやった」ーー緩急の使い方「一番はコントロールと思うよ。やっぱり今日も三回くらいから、そういうピッチングと思うよ、俺はね。うまいことフォアボール出しても、何だかんだ嫌なバッターはな。うまく点を取られんように、アレはもう制球難のフォアボールじゃないよ。嫌がっているなって、みんなに見せてるやんか。ストライク取りに行ってのフォアボールじゃないもんな。それであと抑えたらええわけやもんな」ーー大事な7連戦と言っていた「まあ、地の利もあるからな、甲子園というのもあったらかね、何とか、おーん。まあ、雨で1試合、雨あったけど、まあ十分じゃないかな」ーー12日のDeNA戦の雨も良かった「雨良かったって、あんなん野球でけへんよ。何を言うとんねん。中止にしたんちゃう、でけへん」

◆阪神が4連勝で今季最多の貯金11とし、残り10試合でシーズン勝ち越しを決めた。六回、森下翔太外野手(24)、大山悠輔内野手(29)、佐藤輝明内野手(25)の3連打で無死満塁とし、前川右京外野手(21)の中犠飛で均衡を破った。さらに捕逸で加点した。七回1死二塁では森下の中前打で3点目を挙げた。6回無失点の大竹耕太郎投手(29)は2年連続の2桁勝利。七回から桐敷拓馬(25)、ハビー・ゲラ(28)、岩崎優(33)の3投手がつないだ。前川は一回2死満塁でフェンスに直撃しながら飛球を好捕するなど守備でも貢献した。セ界4強は7連戦を終え、首位巨人は5勝2敗。広島は1勝6敗。降雨中止があった阪神とDeNAは5勝1敗と3勝3敗だった。巨人が勝ったため、首位とは2差のまま。3位広島とは3差に広がった。主な選手のコメントは以下の通り(成績=69勝58敗6分、観衆=4万2603人)。一回の好捕に前川右京 「最短で追おうと思ってたんで。捕れて良かったです。(グラブからボールが)ちょっと出かけました」九回のマウンドで通算499試合となった岩崎優 「また次頑張ります」ヒーローインタビューで人生初の3連投と発言したハビー・ゲラ 「(お立ち台は)あと2年ぐらい待っていただいたら、頑張って日本語もうちょっと喋ろうと思います」猛打賞で今季150安打とした近本光司 「(クリーンアップの打点の)機会をできるだけ増やして。残り試合も頑張っていきたい」今季70打点に到達森下翔太 「準備は怠らずに、体きつくなっても、100%のパフォーマンスを出せるような準備をやっているので、毎日やるだけかなと思います」

◆阪神が4連勝で今季最多の貯金11とし、残り10試合でシーズン勝ち越しを決めた。6回無失点で大竹耕太郎投手(29)は2年連続の2桁勝利(10勝7敗)に到達。今年に1月に左肩のガングリオン(良性のしこり)を除去するなど、調整に苦労しただけに、試合に涙を流した。主な一問一答は以下の通り。ーー初回の前川のプレーは大きかった(一回2死満塁でヤクルト増田の飛球をフェンスに激突しながら好捕)「お立ち台でも言ってましたけど、今年のどっかの試合で捕れそうなのを落としたことがあって、しっかり捕りたいと思ったっていう...そういう風な気持ちっていうか、すごいうれしかったです」(さらに続けて)「野手が、あとひと伸びとか、そういうところで頑張ろうって思えるような選手というか、人間であるべきだと思う。そういう日頃からの行いだったり、そういったものちゃんとしておくことで、このピッチャーのために頑張って守ろうっていう気持ちにもなると思います。そういうものを彼に、そういう気持ちの強さとかすごい感じました」ーー打たれた時は「感覚的には定位置ぐらいのレフトぐらいかなっていう感じだったけど、意外と落ちてこなくて大丈夫かな、入るかなとも思いました。あそこは最近風強いですし、伸びますね」ーー2年連続の2桁勝利。今年はどういった意味合いがあるか「去年1年間投げて、今年は無理だろとか色々言われてきたけど。それでも...(言葉につまる)キャンプに入るぐらいは肩の状態もかなり不安はありましたけど、気持ちの面で絶対今年もやるっていうか、そういう強い気持ちを持ってやってきたので。うまくいかないことの方が今年は多かったですけど、それも気持ちだけは切らさないように」(さらに続けて)「周りの方々の支えがあって、10勝まできたかなと思いますし。チームとしても、すごいいい状態で、優勝圏内だと思うんで。個人成績よりはチームが勝つためにどうやって、これからも残り試合少ないですけど、投げていくかが大事だと思うんで。自分のことは自分でとりあえず勝つためにやっていきたいなと思います」ーー不安に対しての涙「サポートしてくださる皆さんの存在とかそういうのかな」ーー無理だろうという声は直接伝わってきたものか、なんとなく伝わってきたものが「どっちもありますけど。やっぱりある程度できて当たり前っていうか。うまくいかなかったらすごい言われる。それだけやっぱ活躍していくためには、そういう過程も、レギュラーの野手は本当すごいなと思う。うまくいかないことばかり、こう言われがちですけど、そういうのに負けないで。反骨心じゃないですけど、そういうのを持っていきたいなと思います」

◆阪神・近本光司外野手(29)は今季10度目の猛打賞。七回先頭で4番手・原から中前打を放って出塁し、3点目となる森下の適時打につなげた。「先頭でカウントを作りながらも、結果的に塁に出られたのでよかった」一回は凡退するも、三、五回にいずれも先発・小川の速球を逆方向にはじき返して3安打をマーク。今季150安打目を挙げ、2位の長岡(ヤクルト)に6本差。最多安打のタイトルに大きく前進した。目の前に迫るのはタイトルだけではない。積み上げてきた通算安打数でも節目が見えた。現時点で923安打。新人から6年目での通算安打数で歴代1位の長嶋茂雄(巨人)の926安打にあと3本と迫った。「本塁にかえってくることが仕事。その機会をできるだけ増やして、残り試合も頑張っていきたい」ミスター超えのカウントダウンが始まっているが、なにより大切なのはチームの勝利。虎の不動のリードオフマンが、自慢の巧打で歴史的な逆転優勝に導く。(萩原翔)

◆八回に3番手で登板した阪神ハビー・ゲラ投手(28)は人生初の3連投にもかかわらず、圧巻の投球で三者凡退に抑えた。「正直、疲れました(笑)。でもマウンドに立つと気持ちも高まる」と、村上、オスナ、宮本を150キロ超の直球とスライダーで料理。お立ち台では「ご声援ありがとうございました。素晴らしい」と日本語を披露し、「2年ぐらい待っていただいたら、頑張って日本語をもうちょっとしゃべろうと思う」とごきげんだった。

◆4番手の阪神・岩崎優投手(33)は8月31日の巨人戦(甲子園)以来、16日ぶりにセーブ機会の九回に登板。2死から西川に内野安打を許すも、1番・長岡を三球三振に斬って今季22セーブ目を挙げた。プロ11年目で通算499登板目。500登板の節目まであと1に迫り、「また次、頑張ります」と意気込んだ。

◆阪神・佐藤輝明内野手(25)が先制点につながるヒットを放ち、連勝を呼び込んだ。六回無死一、二塁で、小川から左腕の田口にスイッチされたが、高めのスライダーを逆方向へ弾き返す遊撃内野安打でチャンスを拡大。長岡のグラブを弾く打撃で前川の犠飛につないだ。「ヒットになったのでよかった」と胸を張った。5試合連続安打の好調キープが頼もしい。

◆阪神・桐敷拓馬投手(25)が2-0の七回に2番手で登板し、1安打無失点で仕事を果たした。両リーグ最多の64試合登板。先頭の代打・松本直に中前打を許したが、長岡、岩田をいずれも三ゴロに料理し、この日3四球を選んでいたサンタナは直球で見逃し三振に斬った。「残り10試合を変わらずやっていければ」。11試合連続無失点と安定感抜群の左腕は力を込めた。

◆リーグ最下位のヤクルトは打線が10残塁とつながらず、今季16度目の零敗で2連敗を喫した。前日15日に抑え込まれたビーズリーに続き、阪神の先発左腕、大竹にも今季4戦4敗となった。約1カ月ぶりに1軍マウンドに立った小川泰弘投手(34)は六回途中2失点(自責点1)で5敗目。高津臣吾監督(55)の主な一問一答は以下の通り。――小川が約1カ月ぶりに1軍で登板した「まあまあかな。最後はバッテバテだったですけどね。あそこまでは、よく投げたのかなと思いますけど」――球質などはどのようにうつったか「あんなもんかな。変な意味じゃなくて。あんなもんだと思います」――1ー0の六回2死満塁の場面では、捕逸で追加点を許した「ちょっとまだ確認を取れていないんで、今から聞きます。大きな1点だね。ランナーがいないときのワンボールと、ランナーが三塁にいるときのワイルドピッチ、パスボールで1点っていうのはね、大きく意味が違うので。大きな1点だったですね」――先制を許した六回の前川の中犠飛は、タッチアップで本塁を狙った三走をさす勝負をしてもよかったのでは「うーん。微妙なところだとは思います」――阪神先発の大竹は5四球と荒れていたが、攻めきれなかった「初回ですね。先頭が出て、フォアボールでつないでっていう形ができたので。でも結局、(走者が)スコアリング(ポジション)に行っても1本が出なかったので。ランナーが出てからでしょうね。もちろん、ランナーの出塁の仕方、つなぎ方、ランナーが溜まってからのバッティング、全てでしょうけれど。これだけやられたんでね。この2日間でね。(前日15日に先発したビーズリーと大竹)2人で0勝8敗ですからね。非常に封じ込められたというか、打てなかったというか、点が取れなかったというか、そんな気がします」――巨人・菅野、中日・高橋宏にも今季4戦4敗。苦手な投手をつくりすぎた「苦手をつくりすぎですね。そんなにも打てないもんかなと思うぐらいね。神宮ではそこそこ打ちますけど。それはピッチャーズパーク(投手有利の球場)と、ヒッターズパーク(打者有利の球場)の違いはあるでしょうけど。それにしても打てなさすぎですね。ランナーが出てから特に。スコアリング(ポジションに)いってから特に、1本打てないですね」

◆若虎が救ってくれた! 阪神は3-0でヤクルトに快勝し、4連勝。前川右京外野手(21)が一回2死満塁で左翼への大飛球を好捕してピンチを断つと、六回無死満塁のチャンスでは先制の犠飛を放ち、攻守で勝利に貢献した。敗れた3位広島を3ゲーム差に突き放す一方、勝った首位巨人に2ゲーム差でピタリ。残り10試合。あきらめへんで~。攻守で虎を救った。高卒3年目の前川が躍動。まずは一回、美技で大量失点の危機を防いだ。ヤクルト・増田の飛球は浜風に押されて伸びたが、前川は懸命に走り、右手を大きく差し出してキャッチ。そのまま左翼ラバーフェンスに激突した。グラブから球がこぼれ落ちそうになったが、放さなかった。「満塁だったんで、(捕球に)いかないといけないなと。最短で追おうと思って捕れた。ちょっとボールが(グラブから)出かけたけど。よかったです」一回、先発・大竹の制球が定まらず、安打と2四球で2死満塁の大ピンチ。ここで一世一代のプレーが飛び出した。捕球できなければ走者一掃で、いきなり3点を許していたはず。大竹もベンチに戻る前川に向かって手をたたき、感謝を伝えた。「(守備で)大竹さんに迷惑をかけている試合もあったので。捕れてよかった」2試合連続で呼ばれたお立ち台。前川は2年連続で2桁勝利を達成した大竹を見ながらドヤ顔だった。前日15日は二回、佐藤輝の同点弾に続いて甲子園初アーチとなる勝ち越し弾。一夜明けて、今度は課題だった守備でアピールできた。

◆阪神・近本は今季10度目の猛打賞。七回先頭でヤクルトの4番手・原から中前打を放って出塁し、3点目となる森下の適時打につなげた。「先頭でカウントを作りながらも、結果的に塁に出られたのでよかった」一回は凡退するも、三、五回にいずれも先発・小川の速球を逆方向にはじき返して3安打をマーク。今季150安打目を挙げ、2位の長岡(ヤクルト)に6本差。最多安打のタイトルに大きく前進した。目の前に迫るのはタイトルだけではない。積み上げてきた通算安打数でも大台が見えた。現時点で923安打。新人から6年目での通算安打数で歴代1位の長嶋茂雄(巨人)の926安打にあと3本と迫った。「本塁にかえってくることが仕事。その機会をできるだけ増やして、残り試合も頑張っていきたい」ミスター超えのカウントダウンが始まっているが、なにより大切なのはチームの勝利。虎の不動のリードオフマンが、自慢の巧打で歴史的な逆転優勝に導く。(萩原翔)

◆周りの支えを実感する白星だった。阪神・大竹耕太郎投手(29)が6回3安打零封で得意の燕斬り。10勝目(7敗)を挙げて2年連続の2桁勝利に達し、その身で大歓声を受け止めた。「いまの打線はすごく調子がいいので、自分が粘り強く投げていたら絶対に先に点を取ってくれると思っていた」登板予定だった12日が突然の豪雨で中止となり、中10日での登板だった。一回にいきなり背負った2死満塁のピンチは、左翼フェンス際への打球を前川が身をていして好捕。「あれが捕れていなかったら絶対に3点は入っていた」という大ファインプレーに救われ、ゼロ行進は始まった。自己ワーストの1試合5四球も、長打のある打者を警戒して攻めた結果。走者を背負っても要所を断ち、六回は緩い球を操る投球術でこの日唯一の三者凡退に抑えた。直後に打線が先制し、七回以降は救援陣が零封リレー。これでヤクルト戦は今季4戦4勝で、ソフトバンク時代から数えても無傷の8連勝となった。試合後、達成した2桁勝利の意味が昨季とどう違うか問われると突如、「すみません...」のひと言から29秒、沈黙。帽子で顔を覆い、号泣した。「サポートしてくださるみなさんの存在とか、そういうのかな...」。支えてくれる人々を思い浮かべ、熱い涙がこぼれた。「キャンプに入るぐらいは肩の状態もかなり不安はあったけど、『絶対に今年もやる』という強い気持ちを持ってやってきたので」

◆リーグ最下位のヤクルトは今季16度目の零敗を喫して、2連敗。前日15日に抑え込まれたビーズリーに続き、阪神の先発左腕、大竹にも今季4戦4敗で、高津臣吾監督(55)は「この2人で0勝8敗ですからね。そんなにも打てないものかなと思うぐらい」と険しい表情を浮かべた。一回に長岡の中前打と2四球が絡んで2死満塁の好機をつくったが、増田は前川の好捕の前に左飛に。不安定だった立ち上がりで攻めきれず、「打てなさすぎですね。ランナーが出てからは特に」と頭をかかえた。終わってみれば10残塁と拙攻が響いた。今季は巨人・菅野、中日・高橋宏にも4戦4敗を喫している。難敵を克服できないまま、シーズン終盤を迎えており「苦手をつくりすぎ」と嘆き節だった。(武田千怜)

◆あと1点ほしいという展開で阪神・森下翔太外野手(24)が快音を響かせ、持ち前の勝負強さを存分に発揮した。節目の70打点に到達するタイムリーで反撃を狙う燕を引き離し、虎の4連勝に貢献した。「追加点を大事な場面でしっかりとれたので」2-0の七回1死二塁で4番手・原のスライダーを捉える中前適時打を放ち、貴重な追加点をゲット。投手陣を助ける得点をもたらし、セ・リーグの打点王のタイトル争いで73打点の岡本和(巨人)、72打点の村上(ヤクルト)というライバル球団の主砲を追う。得点圏打率・347はセ界で大山に次ぐ好成績。チャンスで結果を出し続ける若虎について、岡田監督も「やっぱり3点目大きかった」と目を細めた。〝オカダのコトバ〟を活かした。虎将は「2打席は全然ダメだったんですけど、『センターに打て』言うて、そしたらヒット出るんだからね。最初からああいう打ち方すればいいんだけどね」と明かす。六回先頭で迎えた第3打席、先制点の口火を切る中前打を放った。「(凡打した)1、2打席目と、3、4打席目で構えを変えるなど工夫した。なんとか1本打てました」先発・小川が投じた88キロの超スローボールに対して、左足を踏み込んで体をピタリと止め、鋭い軸回転で白球を中前へ弾き返した。その後ヒットが続いて塁が埋まり、前川の中犠飛で三塁から生還した。打席ごとに打撃フォームに微調整を加え、相手の分析を上回る対応力を持つからこそ、ここぞの場面で期待に応えられる。残り10試合。森下は「準備は怠らず、体はきつくなっても100%のパフォーマンスを出せるような準備をやっている。それを毎日やるだけ」と逆転Vへ気合を込めた。虎には頼もしい3番打者がいる。(新里公章)

◆ブラボ~!! 『マジシャンタイガース』の勝利にスタンディングオベーションや!!一回2死満塁のピンチに増田の打球は完璧なレフトオーバー、走者一掃の当たりと、頭を抱えた次の瞬間、前川が大背走してフェンスに激突しながら「捕ったァ!!」。しかも、最後はグラブの先から半分ボールが顔を出すイリュージョンプレーに拍手~!!さらに、三回1死一塁、村上の強烈なセカンドゴロが中野の前でいきなり3メートルくらい跳ねたー!! ところが中野がとっさの反応で飛行キャッチを決めて、素早くセカンドフォースアウト!! このワンプレーでゴールデングラブ賞確定の神業に大拍手!!大竹-坂本バッテリーのマジシャン投球にも驚愕(きょうがく)や!! てか、160キロの速球でもなく、オバケフォークでもなく、スローボールやクイックの芸術的投球! その映像は世界中のバッテリーの最高の教科書なので絶対に見てくれー!!得点の欲しい場面で、しぶとくもぎ取る猛虎打線も、岡田采配も最高!! さあ、逆転アレンパの大マジック見せてくれー!!

◆「アレンパ、いけますよね?」甲子園にいた新人記者・萩原(はぎはら)翔は突然〝取材〟されてタジタジになった。「J:COM 超速ネット光デー」として開催された阪神-ヤクルトの始球式に虎党でおなじみの有働由美子アナウンサーが登場。前回は2022年6月5日の日本ハム戦で、8-3の勝利を運んできてくれた。当時は「阪神愛」と書かれたマントをまとって登場。今回は「阪神園芸さん いつもありがとう」というメッセージが書かれたユニホーム姿。2度目の大役を務めた後、囲み取材でトラ番を〝取材〟し始めたのだ。ミレニアム世代、2000年生まれの萩原にとって有働アナにNHKのイメージはないらしい。有働アナがNHKを退職してフリーに転身したのが、18年3月末。萩原は小学生時代は中国・上海で過ごしていたが「(日本テレビ系の報道番組)『news zero』の印象が強い」という。昭和生まれの筆者はNHKを辞めた途端、関西人丸出しキャラに変わった有働アナを存分に楽しませてもらっているが、時代は移り変わっている。有働アナは、こんなことも言っていた。「(巨人)阿部監督は最年少だし、岡田さんは最年長なので、阿部監督の自信を喪失させるような采配をして、監督も空気を作るんちゃうかな」岡田監督は66歳。阿部監督は45歳。指揮官の年齢だけで勝てるほど野球は甘くはないが、一球の怖さが増すシーズン終盤では手腕がモノを言う。

<セ・リーグ順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差残試合 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(-)
巨人
70556 0.560
(↑0.004)
-
(-)
12410
(+7)
357
(+1)
75
(+2)
51
(-)
0.244
(↑0.001)
2.550
(↑0.01)
2
(-)
阪神
69586 0.543
(↑0.003)
2
(-)
10450
(+3)
383
(-)
64
(-)
36
(-)
0.243
(↑0.001
2.430
(↑0.02)
3
(-)
広島
64595 0.520
(↓0.005)
5
(↓1)
15378
(+2)
360
(+11)
51
(+1)
56
(-)
0.237
(-)
2.510
(↓0.06)
4
(-)
DeNA
64612 0.512
(↑0.004)
6
(-)
16470
(+11)
444
(+2)
92
(+1)
58
(-)
0.257
(↑0.002)
3.050
(-)
5
(-)
中日
54718 0.432
(↓0.003)
16
(↓1)
10343
(+1)
443
(+7)
61
(+1)
37
(-)
0.241
(↓0.001)
2.950
(↓0.03)
6
(-)
ヤクルト
54724 0.429
(↓0.003)
16.5
(↓1)
13448
(-)
506
(+3)
89
(-)
61
(+1)
0.238
(↓0.001)
3.670
(-)