阪神(☆2対1★)ヤクルト =リーグ戦23回戦(2024.09.15)・阪神甲子園球場=
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ヤクルト
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阪神
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勝利投手:ビーズリー(8勝2敗0S)
(セーブ:ゲラ(1勝4敗13S))
敗戦投手:高梨 裕稔(1勝3敗0S)

本塁打
【阪神】佐藤 輝明(14号・2回裏ソロ),前川 右京(4号・2回裏ソロ)

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◆阪神は1点を追う2回裏、佐藤輝と前川の連続本塁打で2点を奪い、試合をひっくり返す。投げては、先発・ビーズリーが6回1失点9奪三振の好投。その後は3人の継投でリードを守り、ビーズリーは今季8勝目を挙げた。敗れたヤクルトは、最終回に一打逆転の好機をつくるも、あと1本が出なかった。

◆阪神岡田彰布監督(66)が、今季限りでの現役引退を表明しているヤクルト青木宣親外野手(42)のあいさつを受けた。試合前練習の際、グラウンド上で言葉をかわした。早大時代の同期でもある阪神OB鳥谷敬氏(43=日刊スポーツ評論家)も青木と再会。がっちりと握手、ともに笑顔を見せた。

◆今季限りでの現役引退を発表したヤクルト青木宣親外野手(42)が、試合前に早大の大先輩の阪神岡田彰布監督(66)にあいさつした。「お疲れさま。で、今後どうするんだ」と声をかけられたという。青木は「話していて、すごく楽しくて、いつもあいさつ行くと、返しをいつも期待しているんですけど。それぐらい、いつも返しが面白いので。必ず1ネタぶっ込んでくるような方です」と笑った。今回は、いつもと違って、ネタはなかったという。「神妙な感じで。『引退かぁ』と」と、やりとりを明かした。早大時代の同期でもある阪神OB鳥谷敬氏(43=日刊スポーツ評論家)とも再会。青木は「同級生で、しょっちゅう連絡を取るっていう感じではないですけど、でも何かやっぱり根っこのところでなんかつながってるっていう、なんかそんな存在です。こうやって会ったら自然な感じもするし、大学時代のことも思い出すこともあるし、そういう存在ですかね」とかみしめた。

◆動画は下記X(エックス)のロゴをクリックすると見られます/浜風なんて関係ない\弾丸ライナーをライトに突き刺した#佐藤輝明 同点ホームラン?プロ野球(2024/9/15)??阪神×ヤクルト??Live on DAZN#DAZNプロ野球 #hanshin pic.twitter.com/ez1HUU4TCz

◆阪神が豪快な連続アーチで逆転に成功した。まずは佐藤輝明内野手(25)が一振りで試合を振り出しに戻した。1点ビハインドの2回1死。高梨から右越えの14号ソロで同点に追いついた。自身6試合ぶりの1発。これで活気づいた。続く前川右京外野手(21)も右越えへ強烈な一撃。4号ソロで勝ち越しに成功した。8月11日広島戦以来、約1カ月ぶりの本塁打は貴重な得点につながった。

◆/レジェンドを思い起こすフォロースルー\連続でカモメが飛んだ#前川右京 第4号勝ち越しホームラン?プロ野球(2024/9/15)??阪神×ヤクルト??Live on DAZN#DAZNプロ野球 #hanshin pic.twitter.com/zoaH3aDRah

◆甲子園に特大の「え~!」が響いた。1点リードの3回1死。近本光司外野手(29)が左前打で出塁。続く中野拓夢内野手(28)の打席で二盗を仕掛けた。スライディングも判定はアウト。近本のアピールもあり岡田彰布監督(66)がリクエストを要求するも覆らなかった。映像では微妙なタイミングだっただけに、甲子園のファンは落胆の声をあげていた。

◆2位阪神が佐藤輝明内野手(25)、前川右京外野手(21)の2者連続本塁打で逆転勝ちで3連勝を飾った。これで貯金を今季最多の10に伸ばした。先発のジェレミー・ビーズリー投手(28)は初回、先頭の西川に中前打を浴び、2死三塁から自身の暴投で失点。それでも、すぐさま打線が取り返した。1点を追う2回1死、佐藤輝が高梨のフォークを右翼ポール際に運び、14号ソロで同点。6試合ぶりの1発で打線を活気づけると、続く前川が148キロ直球を同様に右翼ポール際に届け、勝ち越しの4号ソロとした。ビーズリーは6回まで2安打1失点、来日最多に並ぶ9三振を奪う投球で今季8勝目。降板後は2番手石井から盤石のリリーフ陣が無失点でつないだ。阪神は直近の甲子園5試合で4勝1敗と好調。2位に浮上し、首位巨人を猛追している。本拠地での連戦の最後となる16日ヤクルト戦も、白星で飾れるか。

◆阪神が3連勝を飾った。0-1の2回に佐藤輝明内野手(25)と前川右京外野手(21)の連続ソロアーチが飛び出し2-1と逆転。先発ジェレミー・ビーズリー投手(28)が6回1失点でしのぎ、7回からは継投で1点リードを守った。お立ち台には同点ソロの佐藤輝、決勝弾の前川と8勝目のビーズリーが呼ばれた。ビーズリー-8勝目「正直、うれしいです。シーズン終盤にきて、ゲーム差が少なく、負けられない中、こういうゲームができてよかった」-緊迫の展開。ベンチでどう見ていた「タイガースのブルペン陣はリーグで一番だと思っているので信じて、応援して見ていました」-6回1失点の投球を振り返って「最初にちょっと四死球を出してしまったがどうにか1失点で頑張って、そのあとだんだん状態がよくなり、自分の投球に集中することができました」-5連続含む自己最多タイ9奪三振「やっぱり今日はフォークが一番よかった。フォークを思ったところに投げられてストライクを取れたのがよかった」-隣の2人が連続本塁打「2つのホームランを見たあと、自分で落ち着くことができたので、その意味で本当に感謝しています」-ファンにメッセージを「これからも全力で頑張っていくので、サポートよろいくお願いします」佐藤輝-今の気持ち「最高でーす」-打席の意識「しっかり強い打球を打つという気持ちで入りました」-1-2からの4球目。低い角度で右翼席へ「もう入ってくれと祈っていました、はい」-強い浜風も吹いていたが「本当によかったです」-そのあと前川のホームランも出た「最高です」-前川はどんな存在「本当に頼もしくて、この浜風の中でもホームラン打てるパワーがあるので、もっともっと打ってほしいと思います」-明日へ「本当に負けられない戦いが続きますが皆さんの応援の力を借りながら頑張っていきたいと思います」前川-ネクストで佐藤輝の本塁打を見た「正直、ホームランの次の打者は打ちにくいんですけど、思い切っていったので、打ててよかったです」-同じような弾道で「今日、甲子園で初めてだったので、入ってくれと思って。入ってくれてよかったです」-今季4本塁打。プロでは甲子園初本塁打「最高でーしゅ!」-スタメンでは2連続の猛打賞「いやまだまだだと思うので、今日は今日なので、明日また貢献できるように頑張ります」-甲子園の連戦も明日最後「明日も絶対勝つので応援よろしくお願いします」

◆ヤクルトは天敵ビーズリーの前に打線が沈黙した。初回に暴投で先制点を奪ったが、2回からは3イニング連続で3者凡退。結果的に6回まで散発2安打に封じられた。これで4戦4敗。高津監督も「今年一番、ボール球を振ったんじゃないかな。6回までに外野に飛んだのが3本かな...。これだけ1年間やられ続けたので、最後までうまくいかなかったですね」と渋い表情だった。

◆2位阪神が3連勝を飾った。貯金も今季初の2桁に乗せた。首位巨人も勝ったため2ゲーム差は変わらない。0-1の2回に佐藤輝明内野手(25)、前川右京外野手(21)の連続本塁打で逆転。6回1失点と好投したジェレミー・ビーズリー投手(28)から継投でそのまま逃げ切った。岡田彰布監督(66)の一問一答は以下の通り。-最終回、満塁をよくしのいだ「ねえ、ツーアウトになってね。まあ、0点でよかったいうことでしょうね」-ビーズリーは6回1失点、9奪三振「もう1イニングというのがあったので。5回で打席が回ったんだけど、球数とかあって、中軸だったんですけど、あそこはもう1イニング頑張ってくれということで。あそこまで投げてくれたら十分ですね」-8勝目。頼もしい存在「一番ね、中6とかそういう間隔でやってないんだけど、ね。うまく調整して投げてくれますね」-石井は内野ゴロ3つ「ああ、そうですね。とにかくこれからはイニングを0点で抑えていくことが大事と思うので」-桐敷、ゲラはランナー出しても無失点「そういうことです」-佐藤輝の本塁打をどう評価するか「評価っていうか、まあいい当たりで、あれぐらいのライナーだったから風も関係ないし。初回が嫌な3者凡退だったので。先制もされたし、そういう意味では早いイニングで追いついたのは大きかったですね」-前川も浜風がある中でライトスタンド「打った瞬間ね......これはいったなと思ったですけどね。もうホントいい当たりやったですね」-明日は大竹「いやいや、もう、いけるとこまで、何とか最少失点でね、いってくれれば、もう明日最後なんでね、7連戦も、雨(中止)があったですけど、後ろのピッチャーも今日岩崎も休めたんで、どんどんね、つぎ込んでいきたいと思いますけどね」-リクエストがあって嫌な雰囲気に「あれしかし、アウトか? 2つともなあ、あれ、お客さんも見てるからなあ。普通に見たらセーフと思うけどなあ。まあなあ、アウト...。アウト、セーフ言うた審判がいかれへんから、おーん。しょうがない、そんななあ」-桐敷はその後のピンチを抑えた「いや、あんなん、ピンチでもないやろ。ちょっと聞きに行かして、俺サンタナ歩かせて村上勝負するんかなと思っとったけどな」-あそこは本人たちに「いや、そら、サンタナ勝負やったけどな、サンタナ勝負します言うてたけど。まあ別にな、一塁空いてたから。まあなあ、2アウトやから、1人アウトにすればいいんやから」-リリーフ陣も緊張感が高まる中で奮闘「いや、そら高まるよ。そんなの当たり前のことやんか。ゲーム展開もこんなゲーム展開やしな。時期も時期やし、そら緊張するのは当たり前や」-前川は調子が上がってきたからスタメンに戻した「そうそうそう。3本打ってなあ、だいぶようなってきたからな。あんまり左(投手)で崩したくなかったからな。せっかく調子上がってきたのもあったから」-数日前に直接アドバイスも「ああ、あれはちょっと一番悪い時やで、本当に。バットが出ない時やったからな。まあ、練習でだいぶなあ、いい感じになってきたからな。やっぱ試合出たくてウズウズしてたんちゃう? ちょっと空いてたから。まあ、いい結果出たよ、本当なあ」

◆阪神ハビー・ゲラ投手(28)は冷や汗の13セーブだ。2-1でバトンを受けた9回。簡単に2死を取ったあと、四球、安打、四球で満塁と一打逆転のピンチを招いた。だが最後は代打沢井を渾身(こんしん)の160キロで空振り三振。派手なガッツポーズを繰り出した。岩崎を温存するパターンの継投。右腕はぐったりとした様子で、珍しく「疲れたよ...」とだけ言い残して引き揚げた。

◆虎の「9月男」が浜風を切り裂いた。阪神佐藤輝明内野手(25)が、同点弾で流れを変えた。1点ビハインドの2回1死。高梨の高めに浮いたフォークを逃さなかった。「入ってくれ!」。祈りは通じた。スタンドの虎党も目で懸命に弾道を追う。それほど打球は速かった。6試合ぶりの14号ソロを弾丸ライナーで右翼席にたたき込み、試合の風向きを変えた。「いい角度で入ってくれました。しっかり強い打球を打つという気持ちだった。本当によかったです」続く前川が勝ち越し弾。前川の眉毛がカモメのように湾曲していることから、佐藤輝があみ出した「カモメポーズ」で喜び合った。後輩との初アベック弾でお立ち台に並び「浜風の中でもホームランを打てるパワーがある。もっと打ってほしい」とリクエストも忘れなかった。虎の若き左打者2人が右翼席へ連弾。ロマンあふれる逆転劇だ。入団時、球団のアンケートで「対戦したい相手は?」の問いに「浜風」と記した。幼少期から何度も甲子園に通った西宮育ちの男。ファンには気持ちの良い風が、左の長距離打者には天敵になることを肌で感じてきた。低弾道の一撃は浜風攻略の1つの「答え」だろう。岡田監督からも「あれぐらいのライナーだったから風も関係ない。早いイニングで追いついたのは大きかった」と評価された。昨季は9月に打率3割4分4厘、7本塁打で18年ぶりのリーグVをけん引。今年も9月は月間リーグ最多の11打点で5番の役割を果たす。ヤクルトにはカード別最多の7発目で「ツバメキラー」ぶりも発揮。佐藤輝の季節だ。風は背番号8に吹いている。初回はサンタナのゴロをランニングスローでアウトに。3回は西川のセーフティーバントを素早く処理し攻守に全開だった。連戦のラストゲームへ「もちろん勝つつもり」ときっぱり。「ミスター・セプテンバー」が、虎を強烈な上昇気流で押し上げる。【中野椋】

◆甲子園がどよめいた。1点リードの7回1死二塁。二塁走者の阪神大山悠輔内野手(29)は前川右京外野手(21)の右前打で本塁へ突っ込んだ。クロスプレーとなるも懸命なスライディングで1度はセーフ判定。甲子園も沸いた。ただ、ヤクルトがリクエストを要求。これにより判定がアウトに覆った。甲子園は落胆と驚きの声でざわついた。阪神が貴重な追加点を逃した。1点リードの3回1死では近本光司外野手(29)が左前打で出塁。続く中野拓夢内野手(28)の打席で二盗を仕掛けた。スライディングも判定はアウト。近本のアピールもあり岡田彰布監督(66)がリクエストを要求するも覆らなかった。映像では微妙なタイミングだっただけに、甲子園のファンは落胆の声をあげていた。阪神は2度のリクエストに"勝利"ならなかった。

◆阪神2番手石井大智投手が内野ゴロ3つで7回をピシャリと抑えた。1点リードを守り切る緊迫の必勝リレー。最後は内山に11球粘られた二ゴロに仕留めた。33ホールドポイントをマークした右腕は「ああいう場面で四球を出すときつくなる。しっかり粘れたのはすごくよかった。チーム一丸で勝つことしか、みんな考えていないと思うので、明日も勝てるように準備したいです」と頼もしかった。

◆阪神桐敷拓馬投手が両リーグ最速で40ホールドポイント一番乗りを果たした。2-1の8回。先頭に安打され2死一、二塁までいったが、4番村上に初球直球を打ち上げさせて中飛に斬った。「粘って粘ってゼロでいけたので本当によかった。(村上には)強気に攻めていくしかないと思っていた。自分は1試合1試合投げるだけ。チームが勝てばそれでいいので」。63試合登板も両リーグ断トツ。充実の汗をぬぐった。

◆ヤクルト戦はお任せあれ! 阪神ジェレミー・ビーズリー投手(28)が、好相性を発揮する6回2安打1失点。9月6日ヤクルト戦から中8日空けての再戦で、今季4戦4勝とまたもキラーぶり見せた。「正直うれしいです。シーズン終盤にきて、ゲーム差が少なく、負けられない中、こういうゲームができてよかった」と充実の汗を拭った。初回は制球に苦しんだ。2死三塁から暴投で先制点を献上。さらに連続四球で一、二塁とピンチを招いた。「ちょっと自分の思ったところからずれて投げていた。感覚的に困っていた」。そんな反省を胸に、長岡を一ゴロに仕留めて最少失点にとどめると、しっかり修正を加えて立ち直った。28球を要した初回とは対照的に2回は11球で3者凡退。「早くアウトを取って野手には打撃に集中してほしかった」との思いが通じ、直後に佐藤輝と前川の2者連続弾で逆転に成功した。リードをもらうと、一気にテンポアップ。3回1死から主軸を5者連続三振に斬るなど、来日最多タイの9奪三振。「フォークが一番よかった。思ったところに投げられてストライクを取れた」とツバメ打線を圧倒した。登板数は12試合と多くないが、8勝2敗と貯金を6つも生み出している。ヤクルト戦の4勝はカード別最多で防御率1・17の安定感。「誰が調子が良くて、誰が悪いかをしっかりわかっている」とメリハリをつけた投球で勝ちをもぎ取った。白星は12勝の才木、9勝の大竹に次ぐチーム3位。助っ人右腕の頼もしさが、シーズン終盤の勝負どころで増し続ける。【林亮佑】

◆佐藤輝明内野手(25)と前川右京外野手(21)の2者連続ソロでヤクルトを豪快にうっちゃった。1点を追う2回、まずは5番佐藤輝が右翼へ14号。続く6番前川も勝ち越し決勝、本拠地初アーチとなる4号を右翼へ運んだ。阪神左打者の甲子園2者連続弾は、05年の林威助と金本知憲以来19年ぶりだ。勝った首位巨人との2差は変わらずだが、貯金は今季最多の10。虎を背負う若き2人が描いた連続の放物線が大逆転アレンパの機運を高めた。16日に阪神○巨人●なら、阪神の自力優勝の可能性が復活する。17日以降の残り試合で阪神が10試合に全勝し、巨人が阪神戦2試合に敗れて他との10試合に全勝のとき、いずれも最終成績は79勝58敗6分けで勝率5割7分7厘。このとき阪神は巨人との直接対決に13勝11敗1分けと勝ち越しを決めており、セ・リーグの規定により阪神が優勝となるため。

◆阪神が佐藤輝明内野手(25)と前川右京外野手(21)の2者連続ソロでヤクルトを豪快にうっちゃった。1点を追う2回、まずは5番佐藤輝が右翼へ14号。続く6番前川も勝ち越し決勝、本拠地初アーチとなる4号を右翼へ運んだ。阪神左打者の甲子園2者連続弾は、05年の林威助と金本知憲以来19年ぶりだ。勝った首位巨人との2差は変わらずだが、貯金は今季最多の10。虎を背負う若き2人が描いた連続の放物線が大逆転アレンパの機運を高めた。阪神前川の恩師、智弁学園・小坂将商(まさあき)監督(47)はうれしい1日になった。「打った瞬間、感触があったんじゃないですか。あと、岡本も調子が悪かったから」。この日は、前川の先輩、巨人岡本も決勝ソロ。優勝争う2チームの教え子2人が競演した決勝弾に表情がほころんだ。前川は3年夏の甲子園で2本の本塁打をマーク。小坂監督は「バックスクリーンに打て!」と言い続けていたという。「そこが甲子園は、風に乗って一番飛ぶんです」。岡本にかけ続けた言葉と一緒だったという。前川は教え通りに、横浜高校との2回戦でバックスクリーン左に本塁打。先を歩く主砲と同じ"英才教育"を受け、強打者へと成長していった。「強くボールをつぶしにいけるのがいいところ。打ち方は今もあまり変わってないと思います」。聖地で躍動する姿は今も同じだ。【磯綾乃】

◆阪神が佐藤輝明内野手(25)と前川右京外野手(21)の2者連続ソロでヤクルトを豪快にうっちゃった。1点を追う2回、5番佐藤輝が右翼へ14号。続く6番前川も勝ち越し決勝、本拠地初アーチとなる4号を右翼へ運んだ。阪神左打者の甲子園2者連続弾は、05年の林威助と金本知憲以来19年ぶりだ。勝った首位巨人との2差は変わらずだが、3連勝で貯金は今季最多の10。若き2人が連続で描いた夢の放物線で、大逆転アレンパの機運はますます高まった。佐藤輝の豪快弾の熱気も冷めぬまま、再び右翼席に突き刺した。前川は右手を突き上げ、喜びを爆発させた。タテジマに袖を通して3年目。初の甲子園の大歓声を全身で受け止めた。「感触はめっちゃよかったんですけど、打ったことなかったので、入るかどうかもわからなかった」1点を追う2回、5番佐藤輝が同点ソロを放った直後だった。「ホームラン打った次は、だいぶ打ちにくい(笑い)」。それでもカウント3-1からヤクルト先発高梨の148キロ直球を完璧に捉えた。佐藤輝と同じような低弾道で右翼席へ2者連弾。8月11日広島戦以来、約1カ月ぶりの4号ソロで勝ち越しだ。岡田監督も「やっぱ試合出たくてウズウズしてたんちゃう? いい結果出たよ、本当なあ」と手放しでたたえた。智弁学園(奈良)3年夏の甲子園では本塁打2本の大暴れで準優勝に貢献。あれから3年。これがプロでの甲子園初アーチだった。職場となった聖地は高校時代とは違う。「やりがいはあります」と前置きした上で、「プロは楽しいか楽しくないかと言われたら楽しくはない...(笑い)」。昨季は悔し涙を流した日もあった。今季は初めて開幕スタメンをつかんだが8月に失速。9月も3日中日戦のヒットを最後に出場5試合無安打。「なんとかよくしたい」。現状打破へ、打撃練習では5グラムほど軽い中野のバットを借りた。「気分転換に。振りやすかったです」。13日に猛打賞で復調気配を見せ巡ってきたスタメン。酸いも甘いも経験した聖地は「成長させてくれる場所」だ。ベンチではカモメポーズで祝福された。まゆげがカモメのように湾曲していることから、佐藤輝があみ出した。4日からは同ポーズのタオルが発売され、この日も猛打賞の活躍でPRに成功。「輝さんがつくってくれたので、感謝していっぱい打ちたい」とにっこり。お立ち台では「最高でーしゅ」とかわいらしく叫んで、盛り上げた。昨季リーグ優勝した前日14日はサヨナラ勝ちで、03年に星野監督が宙に舞った15日のこの日も勝った。首位巨人に2差は変わらずだが、3連勝で逆転Vへのムードは最高潮だ。前川は昨年、無念の故障離脱で歓喜の輪にいなかった。「本当に悔しかった」。今年こそ、輪の中心で岡田監督を胴上げする。【村松万里子】

◆阪神はジェレミー・ビーズリー投手(28)が先発する。今季はヤクルト戦で3戦3勝。9月6日の前回登板でも対戦し、5回1失点で勝利を収めている。相性のいい相手に自身4連勝での8勝目とチームの3連勝を狙う。打線は同8日の対戦で勝ち星を許した先発・高梨の攻略を目指す。

◆阪神のジェレミー・ビーズリー投手(28)が一回に先制を許した。不安定な立ち上がりになった。先頭の西川に中前打を許し、岩田が犠打、サンタナの三ゴロで2死三塁。続く4番村上との対戦では5球目に投じた変化球が暴投になり1点を失った。村上に四球を与え、続くオスナにも四球で一、二塁のピンチ。それでも長岡は一ゴロに打ち取り、最少失点にとどめた。

◆今季限りでの現役引退を表明しているヤクルト・青木宣親外野手(42)が、試合前練習時に早大の先輩にあたる阪神・岡田彰布監督(66)の下へあいさつに訪れた。笑顔で話す姿が見られ、青木は「『お疲れ様』という感じで、『今後どうするんだ』とか、そういったざっくばらんな話をしました」と説明した。これまでは対戦相手の指揮官と選手として関わる機会がほとんどだったが、「話していてすごく楽しくて、いつもあいさつにいくと、返しを期待してしまう。それくらい返しが面白いくて、必ず1ネタぶっこんでくるような方です」と尊敬のまなざしを向けた。「『ぜひ食事をお願いします』と伝えました。『いろんな話を聞かせてください』と」と明かした。解説のために球場に訪れていた早大の同学年で元阪神の鳥谷敬氏(43)とも談笑。「しょっちゅう連絡を取るという感じではないですけど、やっぱりこう根っこのところでつながっているというか、そういう存在ですね。こうやって会って話すと、自然な感じもするし、大学時代のことを思い出すこともあるし、なんかやっぱりそういう存在。同じプロで戦ってね。一緒にね、野球界でやってきたのでね」としみじみ語った。

◆阪神・佐藤輝明内野手(25)が0-1の二回、同点の14号ソロを放った。137キロのフォークが浮いたところを捉え、弾丸ライナーで右翼スタンドに運んだ。今季の全14本のうち、これで7本がヤクルトからとなった。相性の良さをこの日も発揮して同点に追いつくと、続く前川右京外野手(21)も148キロ直球を一閃。右翼スタンドに運ぶ4号ソロで大きくガッツポーズした。2連勝中の勢いそのままに一発攻勢で逆転に成功した。

◆阪神の先発、ジェレミー・ビーズリー投手(28)が6回1失点で降板した。持ち味を生かして三振の山を築いた。一回に2死三塁から暴投で先制を許すも、踏ん張って最少失点で切り抜ける。2-1の四回は村上、オスナ、長岡を三者連続三振に仕留めるなど、9つの三振を奪ってリードを守った。ヤクルト戦はこの試合まで今季3戦全勝の右腕が8勝目の権利を持って降板。「初回は感覚がしっくりこなくて、いろいろ探りながらの投球となってしまった。徐々にいい感覚も掴めていけたし、特に今日はフォークを上手く使うことができたね。6イニングだったけど自分の役目は果たせたと思うよ」とコメントした。

◆阪神は接戦を制して3連勝を果たした。先発のジェレミー・ビーズリー投手(28)が6回1失点。一回に2死三塁から暴投で先制を許すも、踏ん張って最少失点で切り抜ける。2-1の四回は村上、オスナ、長岡を三者連続三振に仕留めるなど、9つの三振を奪ってリードを守った。ヤクルト戦はこれで今季4戦全勝と相性の良さを継続した。打線は1点ビハインドの二回に佐藤輝明内野手(25)、前川右京外野手(21)の連続本塁打で逆転。このリードをビーズリーに続いて石井、桐敷、ゲラの継投で守った。3連勝で貯金は今季最大の「10」になった。

◆阪神が3連勝で「貯金10」に到達した。1点を追う二回1死から佐藤輝明内野手(25)、前川右京外野手(21)の2者連続本塁打で逆転。6回を投げたジェレミー・ビーズリー(28)、石井大智(27)、桐敷拓馬(25)、ハビー・ゲラ(28)の4投手のリレーで逃げ切った。佐藤輝は7日ヤクルト戦(神宮)以来の一発で14号。通算4本塁打の前川は甲子園初アーチ。ビーズリーは8勝目(2敗)。森下翔太外野手(24)は3打数無安打で連続試合安打は「9」で止まった。1点差勝利は2戦連続で24度目。首位巨人も勝利したため、2差のまま。岡田彰布監督(66)の主な一問一答は以下の通り(成績=68勝58敗6分、観衆=4万2606人)。★テレビインタビュー編ーー九回、満塁のピンチをよくしのいだ(ゲラが2死後に2四球と安打で満塁の窮地を招き、最後は沢井から空振り三振)「ねえ、ツーアウトになってね。まあ、0点でよかったいうことでしょうね」ーービーズリーは6回1失点で9三振「もう1イニングというのがあったので。五回で打席回ったんだけど、球数とかあって、中軸だったんですけど、もう1イニング頑張ってくれということで。あそこまで投げてくれたら十分ですね」ーー8勝目で頼もしい存在「一番ね、中6とかそういう間隔でやってないんだけど、うまく調整して投げてくれますね」ーー石井は内野ゴロ3つ、さすが「ああ、そうですね。これからはイニングを0点で抑えて行くことが大事と思うので」ーー桐敷、ゲラはランナー貯めても無失点「そういうことです」ーー佐藤輝の本塁打をどう評価するか「評価っていうか、いい当たりで、あれぐらいのライナーだったから風も関係ないし。初回が嫌な三者凡退だったので、先制もされたし、そういう意味では早いイニングで追いついたのは大きかったですね」ーー前川も浜風がある中でライトスタンド「打った瞬間、これは行ったなと思ったですけどね。もうホントいい当たりやったですね。ーー16日は大竹「行けるとこまで、何とか最少失点で行ってくれれば、明日最後なんでね、7連戦も。雨あったですけど、後ろのピッチャーも今日、岩崎も休めたんで、ドンドン注ぎ込んで行きたいと思いますけどね」★囲み編ーーリクエストがあって嫌な雰囲気に(三回は二盗敢行の近本がアウトの判定でリプレー検証で覆らず。七回1死二塁で前川の右前打で大山の生還は、リブレー検証後にセーフからアウトに)「アレ、しかし、アウトか? 二つともなあ。アレ、お客さんも見てるからなあ。普通に見たらセーフと思うけどなあ。まあなあ、アウト...。アウト、セーフ言うた審判が行かれへんから、おーん。しょうがない」ーー桐敷はその後のピンチを抑えた(八回2死二塁でサンタナ四球後に村上を中飛)「いや、あんなん、ピンチでもないやろ。ちょっと聞きに行かして、俺サンタナ歩かせて、村上勝負するんかなと思っとったけどな」ーーあそこは本人たちに「いや、そら、サンタナ勝負やったけどな、サンタナ勝負します言うてたけど。まあ別にな、一塁空いてたから。まあなあ、2アウトやから、1人アウトにすればいいんやから」ーーリリーフ陣も緊張感が高まる中で奮闘「いや、そら高まるよ。そんなの当たり前のことやんか。ゲーム展開もこんなゲーム展開やしな。時期も時期やし、そら緊張するのは当たり前や」ーー前川は調子が上がって来たからスタメンに戻したが「そうそうそう。3本打ってなあ、だいぶ、よおなって来たからな。あんまり左で崩したくなかったからな。せっかく調子上がって来たのもあったから」ーー数日前に直接アドバイスも「ああ、アレはちょっと一番悪い時やで、本当に。バットが出ない時やったからな。まあ、練習でだいぶなあ、いい感じになって来たからな。やっぱ試合出たくてウズウズしてたんちゃう? ちょっと空いてたから。まあ、いい結果出たよ、本当なあ」

◆近鉄、西武で主砲として465本塁打&2452安打をマークし、西武コーチ時代には清原和博らを育てたサンケイスポーツ専属評論家・土井正博氏(80)が浜風を突き刺した阪神・前川右京外野手(21)を絶賛した。浜風のある甲子園だと相手バッテリーは「右翼には放り込まれない」と思って攻めてくる。その中での2本のホームランは素晴らしい。前川は勝ちにつながる最高の一発だった。高卒3年目で、ここまでできるのはチームにとってもプラス要素。読みもいいし、智弁学園高で鍛えられ、勝負強さもあるし、野球をしっかりと教わっている。ここまでやってくれたら御の字だ。去年のように、ロースコアの試合を落とさない投手主体の試合が、いまはできている。ただ、打線でいえば1点リードの五回無死一塁の場面、梅野の遊ゴロ併殺で好機拡大を逃した。セオリーならバントだ。一つでも走者を前に進め、3点を取りにいかなければいけない。この時期になれば、いかに1点を搾り取るゲームができるか。考えないといけないところではある。ベンチサイドにも選手にも失敗はあるが「勝ったから良し」とする時期でもある。これを引きずっているようではいけない。うまく切り替えることも優勝の条件だ。

◆ヤクルトは接戦を落とし、連勝が4でストップした。阪神先発のビーズリーを前に、4連勝中に計28得点した打線が沈黙。4安打で暴投による1得点に終わった。先発した高梨裕稔投手(33)は二回に2者連続でソロを浴び7回2失点、11奪三振で3敗目(1勝)を喫した。高津臣吾監督(55)の主な一問一答は以下の通り。――先発の高梨は二回に2者連続本塁打を浴びたが粘った「そうですね。よく投げましたね。まぁ、あの2本は痛かったですけどね。序盤にすぐ逆転されてしまったので、ちょっとこたえましたけど。その後はよく粘って、ピンチがありながら、あそこまでよく投げたと思います」――打線はビーズリーに苦戦。ビーズリーには今季4戦4敗となった「いやー、今年一番、ボール球を振ったんじゃないかな。数えてないからわかんないけど。あれだけ対策を練って、来る球がわかっているとは言わないけど...。どうだろう。どれだけボール球を振ったかなっていうくらい振ったね」――外のシュート系のボールに手が出た「まぁ、これだけ1年間やられ続けた、やられたので。最後までうまくいかなかったですね」――一回はいい形で先制したが...「そうね。(ビーズリーが投げた)六回までに外野に飛んだのが3本(2本は安打、1本は左飛)かな。それぐらいボール球を打たされている。それだけ低いところに(球が)来ているのかもしれないけど。ああいう形でね、初回のような形で、打点は誰もついていないけども、やっぱり揺さぶって点に絡めるっていうのは、やりたかったこと。それを目指していたので、初回の点の取り方は非常によかった。相手にプレッシャーがかかってよかったと思いますけどね。そのあとが、うーん。難しかったですね」――四球も絡み、チャンスはあったが「今日はお互いそんな感じじゃないですか。こちらのバッテリーも良く粘ったと思うし、こちらの攻撃もあと1本、どっかで出ていれば、また違った展開になったのかなとも思うし。そこは難しいところで、みんな目指しているところだと思いますけど」――16日は甲子園での最終戦「(阪神の先発が)大竹で、またやられっぱなしのピッチャーなので、ぜひ勝って甲子園を締めくくりたいなと思います」――小川が約1カ月ぶりの1軍マウンド「投げてみないとわかんないね」

◆左打者を苦しめる甲子園の浜風も関係ない。打球は低い弾道で右翼ポール際に飛び込んだ。阪神・佐藤輝明内野手(25)が6試合ぶりとなる14号同点アーチで、甲子園の雰囲気を一変させた。「もう『入ってくれ』って祈っていました。本当によかった」0-1の二回、ヤクルトの先発・高梨のフォークをたたいた。前回8日の対戦(神宮)では2打席2三振に封じ込まれた相手。そのときの反省を生かし、しっかりと球種も頭に入れて打席に立った。これで7日のヤクルト戦(神宮)以来となる一発で、今季14本のうちヤクルト投手陣からは7本目。「いいスイングができたし、いい角度で打球が上がってくれた」と自画自賛だ。豪快な一発から3分後。前川も右翼席へ勝ち越し弾を放った。虎党が見守る中での試合後のお立ち台。2人で並ぶと、佐藤輝は「右京(前川)もよく打ってくれたと思います。本当に頼もしくて、この浜風でもホームランを打てるパワーがあるので、もっともっと打ってほしい」と5学年後輩にハッパをかけた。この日は課題の守備でも軽快な動きを見せた。一回1死二塁からはサンタナのボテボテのゴロ、三回は先頭の西川の三塁線に転がしたセーフティーバントに対して猛チャージ。素早く一塁へ送球し、アウトを奪った。「うまくさばけてよかった」。8日のヤクルト戦(神宮)ではフライを頭に当てて落球したが、それから5試合連続無失策と守備が安定してきた。8月は6本塁打を放った。9月は4試合連続アーチを放つなど大活躍の森下の陰に隠れてあまり目立っていないが、岡田監督は「初回は嫌な三者凡退(3連続三振)だったし、先制もされたし。そういう意味では早い回に追いついたのは大きかった」と貴重な一発をたたえた。「勝ちたい。それだけです」と佐藤輝。バットでも守備でも森下に負けないパフォーマンスで、虎を逆転Vへと導く。(三木建次)

◆苦しい立ち上がりを乗り越えて、勝利の道を突き進んだ。来日最多タイの9三振を奪って燕打線を撃ち落とした阪神のジェレミー・ビーズリー投手(28)が今季8勝目をゲットだ「最初は四死球を出してしまったけど、1失点で踏ん張って、状態もよくなっていった。自分の投球に集中することができたよ」一回は安打と犠打などで2死三塁を招くと、暴投で先制点を献上。そこから連続四球でまたピンチ...と崩れかけた。ただ、ここを最少失点で乗り越えると、感覚と実際のボールのズレを察知し、目付けの位置を変えるなどして修正。フォークなどを駆使すると三回1死から5者連続など奪三振ショーを演じ、まるで別人のようだった。六回は先頭の2番・岩田に安打と二盗でチャンスを作られるも、一発があるサンタナ、村上、オスナを仕留めてお役御免。岡田監督も「中軸だったんですけど、あそこはもう1イニング頑張ってくれ、ということで。あそこまで投げてくれたら十分ですね」とたたえた。許した安打はわずか2本で、二回からの四回は無安打でしのいだ。心がけるのは単純に抑えることだけでなく「守備の時間をなるべく短くして、攻撃に集中してほしい」。球数を要する三振をこれだけ奪いながらも、3K斬りだった四回は13球だったように、攻める姿勢を貫いた。「シーズン終盤にきて負けられない中で、こういう戦いができてよかったよ」ヤクルト戦は今季4戦4勝と好相性もアップデート。連勝バトンをしっかりとつなぎ、チームの勢いを加速させた。(須藤佳裕)

◆阪神は逆転勝ちし、3連勝で今季最多を更新する貯金10とした。0-1の二回、佐藤輝明内野手(25)の同点ソロに続き、前川右京外野手(21)が2者連続本塁打となる勝ち越し弾。通算4本目は自身初の甲子園でのアーチとなった。チームは首位巨人と2ゲーム差ピタリ。逆転連覇へ、このまま勝ちまくる。浜風を切り裂き、先輩に続いた。2羽目の〝カモメ〟が翼を広げて聖地の空を舞う。前川は右手の人さし指を右翼スタンドに向かって突き出し、言葉にならない叫びとともに右拳を握りしめた。甲子園に初めてアーチをかけ、両手をばさっと広げる歓喜のポーズ。強烈な一発で3連勝をもたらした。「(甲子園で)打ったことがなかったので、打った感触はめっちゃよかったんですけど、どんな打球が(スタンドに)入るかもわからなくて...入ってよかったです」初々しさをのぞかせて振り返った。0―1の二回、この日初めての打席を迎える直前で、佐藤輝が同点の14号ソロを放った。一気にボルテージが上がる甲子園。期待のまなざしを一身に受け、前川は高梨の148キロ直球を一閃した。2者連続本塁打となる勝ち越しの4号ソロで試合をひっくり返した。

◆阪神・ゲラは大ピンチをしのぎ、1点のリードを死守して今季13セーブ目をあげた。2-1の九回2死から山田に四球、代打・川端に右前打、代打・中村に四球で塁を埋めたが、最後は代打・沢井を渾身(こんしん)の160キロ直球で空振り三振に斬った。「疲れました」という短いコメントに充実感をにじませ、岡田監督も「ツーアウトになってね。まあ、0点でよかったいうことでしょうね」と結果を評価した。

◆阪神・石井が粘りを見せる燕打線をピシャリと三者凡退に抑え、接戦の勝利に貢献した。2-1の七回2死、内山にフルカウントから4球連続でファウルにされたが、11球目の154キロ直球で二ゴロに仕留めた。「四球で出すとキツくなる。アウトを取れたのはすごく良かった」。10試合連続無失点と右腕は仕事を果たし、岡田監督は「とにかくこれからはイニングを0点で抑えていくことが大事」と結果の重要性を強調した。

◆八回から3番手で登板した阪神・桐敷はピンチを招くも、無失点に切り抜けて安堵(あんど)の表情を見せた。「何度も粘って、ゼロで行けたので本当に良かった」。先頭に安打を許し、代走には俊足の並木。2死一、二塁から村上と対峙(たいじ)し「もう強気に攻めていくしかない」と149キロの力強い速球を投げ込み、1球で中飛に仕留めた。これで10試合連続無失点。「自分は一試合一試合投げるだけ。それでチームが勝てばいい」と力強かった。

◆三回に2試合ぶりの安打となる左前打を放った阪神・近本は、続く中野の初球で二盗を試みるもアウト。リクエストしたが判定は覆らなかった。「審判がアウトと言ったらアウトです」。この日の1安打でリーグトップの147安打。最多安打を争う中日・細川とヤクルト・長岡が無安打に終わり、その差は「4」に広がった。

◆ヤクルトは接戦を落とし、連勝が4でストップした。阪神先発のビーズリーを前に、4連勝中に計28得点した打線が沈黙。暴投による1得点に終わり、高津臣吾監督(55)は「今年で一番、ボール球を振ったんじゃないかな。数えてないから分からないけど」と顔をしかめた。先制した一回は、西川がフルカウントから中前打。2死三塁で村上はボール球を見極め暴投を誘ったが、その後は無得点に終わった。今季はビーズリーに4戦4敗で「初回はよかったけど、その後が...。1年間やられ続けた。最後までうまくいかなかった」と悔やんだ。16日は甲子園での今季最終戦。3戦3敗と苦戦中の大竹と対戦する。「大竹もやられっぱなしの投手。勝って甲子園を締めくくりたい」と巻き返しを誓った。(武田千怜)

◆外を歩けば異例の長く厳しい残暑が続いているが、球界ではじんわりと「秋」が進む。各球団で連日のように引退表明やセレモニーが行われ、この日は阪神・秋山拓巳の涙、涙の引退会見もあった。甲子園のグラウンドでは、同じく今季限りで現役を退くことを表明しているヤクルト・青木宣親が、試合前練習で早大の大先輩にあたる阪神・岡田彰布監督にあいさつをして話し込んでいたという。野球記者歴ウン十年の還暦虎番、ビヤ樽こと三木建次も珍しくしんみりとした雰囲気だ。「やっぱり寂しいよなぁ。まだ暑いのに、もうそんな季節かと思ってしまうな」ビヤ樽ははっきりと覚えている。昨年リーグ優勝が決まった9月14日には、自分がジャケットを羽織り、気合を入れて甲子園へ乗り込んでいたことを。「ことしはとてもじゃないけど上着なんて着ていられない。14日はノドが乾きすぎて、ペットボトルのミルクコーヒーやサイダーを4本も飲んだわ。そういえば少し前に、岡田監督も今季の甲子園の異変について話していたな」。甘い飲み物の過剰摂取はいつものことなので、話の続きに耳を傾けてみる。

◆1点リードの九回2死満塁の大ピンチでの俺...。あー、どーせ、そんなことだろうと思っていたわ! そもそも、ホームランの少ない阪神が二回の佐藤輝、前川のほとんどありえない連続ホームランだけで勝てるなんて甘いわなあ、ブツブツ...。2度のリクエストも阪神に悪い判定だったし、グチグチ...。終わってみれば、今季のアキレス腱(けん)ともいえるクローザーで、今夜はゲラがやられるんかいなぁ...。と自虐的になっていたのだ。でも、ゲラが頑張って勝利に導いてくれたー!! バンザーイ! バンザーイ!!って、そう手放しで喜べるかぁ!!阪神は残り11試合です。トーナメントを超えてサバイバルやでェ!! ゲラはクローザー、あかんやろー!! 長年にマウンドを死守してきた岩崎も勤続疲労でストッパーは酷だと思う。で、俺が考えるのは七回岩崎、八回桐敷、九回を締めるのはボールに「打てるもんなら打ってみろや!!」の魂が感じられる石井大智にかけたろーや!! そして、サバイバルシリーズのヤクルト第2戦に投げる大竹よ、完投でリリーフ問題を不問にしたってーや!!

<セ・リーグ順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差残試合 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(-)
巨人
69556 0.556
(↑0.003)
-
(-)
13403
(+6)
356
(+3)
73
(+2)
51
(-)
0.243
(-)
2.560
(-)
2
(-)
阪神
68586 0.540
(↑0.004)
2
(-)
11447
(+2)
383
(+1)
64
(+2)
36
(+1)
0.242
(-)
2.450
(↑0.01)
3
(-)
広島
64585 0.525
(↑0.004)
4
(-)
16376
(+10)
349
(+2)
50
(+1)
56
(+2)
0.237
(↑0.001)
2.450
(-)
4
(-)
DeNA
63612 0.508
(↓0.004)
6
(↓1)
17459
(+2)
442
(+10)
91
(-)
58
(-)
0.255
(-)
3.050
(↓0.03)
5
(-)
中日
54708 0.435
(↓0.004)
15
(↓1)
11342
(+3)
436
(+6)
60
(+1)
37
(-)
0.242
(↑0.001)
2.920
(↓0.03)
6
(-)
ヤクルト
54714 0.432
(↓0.003)
15.5
(↓1)
14448
(+1)
503
(+2)
89
(-)
60
(+2)
0.239
(↓0.001)
3.670
(↑0.02)