1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 | 安 | 失 | 本 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
阪神 | 4 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 2 | 6 | 11 | 0 | 2 |
ヤクルト | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 9 | 0 | 0 |
勝利投手:才木 浩人(12勝3敗0S) 敗戦投手:高橋 奎二(5勝9敗0S) 本塁打 |
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◆阪神は初回、森下の適時二塁打と佐藤輝の2ランなどで4点を先制する。そのまま迎えた9回表には、大山の2ランでリードを広げた。投げては、先発・才木が6回無失点の好投で今季12勝目。敗れたヤクルトは先発・高橋が振るわず、打線も9安打で無得点とつながりを欠いた。
◆「神宮の魔物」が今度は阪神に味方した。初回1死二塁から、森下翔太外野手(24)の飛球はやや詰まりながら左翼前へ。左翼のドミンゴ・サンタナ(32)は照明が目に入ったか、落下点を見誤り、体に当ててボールをそらした。その間に近本光司外野手(29)が二塁から余裕をもって先制のホームを踏んだ。森下の先制適時二塁打となった。森下の打点は4試合連続。すべてチームの最初の得点で、先制点は3試合連続だ。前日6日は初回に左翼の前川右京外野手(21)が飛球を見誤り、二塁打にしていたが、今回は運が回ってきた。この回、大山悠輔内野手(29)の適時打、佐藤輝明内野手(25)の13号2ランで一挙4点を先制した。
◆最多安打争いを演じる阪神近本光司外野手(29)が、すぐにトップを奪い返した。初回先頭で左前に落とし、今季140安打とした。デーゲームで1安打し、トップに立っていた中日細川成也外野手(26)に並んだ。続く2回の打席でも左前打を放ち、141安打。単独トップに立った。最多安打のタイトルを取れば21年以来2度目。同年は178安打をマークした。
◆阪神梅野隆太郎捕手(33)が完璧なけん制送球で立ち上がりの才木浩人投手(25)を助けた。初回に4点を先取し、その裏、先頭の西川遥輝外野手(32)に右前打で出塁。嫌な走者を出してしまったが、続く長岡秀樹内野手(22)への初球から、西川の不穏な動きをあらかじめ察知。中腰で投球を受けると、素早く一塁に矢のような送球を投げ、あわてて戻った西川を刺した。才木は後続2人をぴしゃり。波に乗せる女房役のファインプレーだった。
◆阪神佐藤輝明内野手(25)が2戦連続で神宮の空にアーチを描いた。初回、森下翔太外野手(24)大山悠輔内野手(29)の連続適時打で2点を先制。さらに5番に座る大砲はヤクルト高橋奎二投手(27)の甘いスライダーをとらえ、左中間最深部のスタンドに軽々と運んで見せた。13号の2ランで初回から4点の先制攻撃となった。佐藤輝は前日6日に今季初の満塁アーチを放つなど5打点を挙げていた。
◆阪神が初回に得点圏上位カルテットで4点を奪った。試合前の時点で得点圏打率のリーグ上位を独占していた「近森大佐」の4人。先頭の近本光司外野手(29)が左前打で出ると、1死二塁から森下翔太外野手(24)が左翼への二塁打で先制。続く大山悠輔内野手(29)も中前適時打で続き、さらに佐藤輝明内野手(25)が13号2ランを打ち込んだ。そのうち得点圏で打席に入った森下、大山がさっそく数字通りの勝負強さを見せた。
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◆阪神才木浩人投手(25)が、シーズン規定投球回の143イニングに到達した。この試合が始まる前まで142回2/3を投げており、初回のマウンドでプロ8年目で初の規定投球回に到達した。いきなり4点の援護を受けて迎えた初回、先頭の西川に右前打を許すも、女房役の梅野が二盗を阻止。1死から長岡を見逃し三振に仕留め、最後は宮本を左飛に打ち取り、3人で攻撃を終わらせた。才木はここまで11勝3敗、防御率1・64(試合前時点)。チームの勝ち頭として貢献している。
◆前日6日のヤクルト戦(神宮)で右ふくらはぎ付近に打球を受けた阪神ジェレミー・ビーズリー投手(28)が問題なしを強調した。一夜明けて東京から戻り、鳴尾浜で練習。患部に簡単なテーピングを巻いただけで「少し赤くなっているけど大丈夫。ノープロブレム!」と満面笑み。3回にライナーが直撃し、治療を受けて続投。5回1失点で7勝目を挙げていた。今後にも影響はなさそうだ。
◆阪神が初回の4得点で先手を奪い5連勝を挙げた。7月21日広島戦(甲子園)から8月2日DeNA戦(横浜)で8連勝して以来の5連勝。これで中日戦に続き、2年連続となる今季のヤクルト戦勝ち越しを決めた。「ドラ1カルテット」がこの日も打線の中心だった。初回、1番近本光司外野手(29)が左前打で出塁。2番中野が犠打を決め1死二塁から、3番森下翔太外野手(24)が左翼へ先制の適時二塁打を放った。さらに4番大山悠輔内野手(29)の中前適時打で1点を追加し、なおも1死一塁。5番佐藤輝明内野手(25)が左中間へ2ランを放ち、この回一挙4点を奪った。佐藤輝は今季初のグランドスラムを放った前日6日に続く2戦連発。森下、大山、佐藤輝がそろって打点を挙げると、今季12戦全勝となった。先発の才木浩人投手(25)は、6回8安打無失点で今季12勝目。この日プロ8年目で初のシーズン規定投球回にも到達し、リーグトップ13勝の巨人菅野に迫った。この日は首位巨人、2位広島がともに勝利したため、ゲーム差は2・5、1・5と変わらなかったが、5連勝で勢いに乗ってきた。
◆最下位ヤクルトの優勝の可能性が完全に消滅した。先発高橋奎二投手(27)は初回に4失点。1死二塁から森下に左翼の適時二塁打、大山に中前への適時打、佐藤輝には左中間へ2ランを許した。5回6安打4失点3四球と制球が乱れた。打線も5度、先頭が出塁し、チャンスを広げたが、後が続かなかった。今季15度目の完封負け。高津監督はV逸について「残念ですね。やっぱり一番上に立ちたいと思ってずっとやっているので、非常に残念です。ここまでローテーションもリリーフも、打順も何も固定できないでいるので。うーん。優勝できなかった要因かなと思いますけど。総括になっちゃいますけど」とため息をついた。そして「まさに今年を象徴してるんじゃないですか。先発が弱い、イニングを稼げない、貯金ができない。それが全て出たゲームというか、初回と言っていいのか、典型的なゲームだったような気がしますけどね」と言った。相手に主導権を渡した先発高橋について「明らかに表情を見ても、姿見ても、不安を持ってマウンドに上がってますね。その打たれる不安じゃなくて、ストライク入るかとか、どうやって投げたらいいのかとか、そういう風に僕には映りました。だから50球ぐらい行けばある程度感覚がつかむ、腕が振れてくる。初回なんて、どちらかというと合わせにいく、置きにいくボールばっかりだったので。当然の結果ですね」と言い「(午後)6時15分にはもう4点取られていたので、僕らの頃は6時20分プレーボールだった(笑い)。もう6時15分にはもうなんか4ー0だったんで。厳しい試合にはなりますよね、それは」と苦笑いを浮かべた。
◆阪神が初回の4得点で先手を奪い、5連勝を飾った。8月2日まで8連勝して以来の連勝だ。初回に森下翔太外野手(24)の先制打、大山悠輔内野手(29)の中前適時打で2点。なおも1死一塁で佐藤輝明内野手(25)が左中間に13号2ランを放ち、一挙4点を奪った。佐藤輝は今季初のグランドスラムを放った6日に続く2戦連発。森下、大山、佐藤輝がそろって打点を挙げると、今季12戦全勝となった。先発の才木浩人投手(25)は粘りながら6回無失点で12勝目。リーグトップ13勝の巨人菅野に迫り、プロ8年目で初のシーズン規定投球回にも到達した。首位巨人、2位広島がともに勝ったため、ゲーム差は2・5、1・5と変わらなかった。4位DeNAとは3差に広げた。ヒーローインタビューには佐藤輝が呼ばれた。-5連勝「本当にいい流れだと思います」-初回の攻撃で流れ作った。2ラン手応え「まあ、点を取ったあとですけどもっと追加点という気持ちでいきました」-1番近本から好調選手が続く「もう、みんな調子いいと思いますし、すごく打線でつないで、いい点の取り方ができているんじゃないかと思います」-才木はじめ投手陣も0点で「本当に、いいピッチングだったのでさすがだなと思いました」-神宮は残り2試合。ファンに向けて「負けられない戦いが続きますが、みなさんの応援の力を借りながら頑張っていきたいと思いますので、ご声援よろしくお願いします」
◆相手バッテリーにとって、これほど厄介なリードオフマンもいない。阪神近本光司外野手(29)がまたも初回先頭でHランプをともし、猛攻4得点の起点となった。1回。ヤクルト高橋に2ストライクと追い込まれていた。4球目、内角直球に詰まった。それでもフラフラと上がった飛球を三遊間後方に落とした。しぶとい安打でダメージを食らわせ、3番森下の適時二塁打で先制のホームを踏んだ。「しっかりチームのいい形で先制できた。その後も続いたので良かったと思います」1番打者としての今季1打席目打率は3割6分8厘。「初回近本」からの先制劇は激しい優勝争いの中、猛虎打線の大きな売りの1つとなっている。快音は1打席目限定ではない。2回2死では再び詰まらされながらも左前へ。5回は先頭で強烈なライナーをセンター返し。投手のグラブをはじく内野安打を放ち、今季リーグ2位タイの9度目猛打賞を記録した。シーズン142安打に伸ばし、2位の中日細川に2本差をつけてリーグ単独トップに立った。独走中の17盗塁と合わせ自身初の打撃2冠へ快走中。入団から6年連続タイトルを取れば、阪神野手では初の快挙になる。ただし今は個人記録に目を向けている暇はない。「結局は最後(にどうか)なので。しっかり頑張ります」首位巨人とは2・5ゲーム差。「アレンパ」に全身全霊を注いだ先に、タイトルが待っている。【佐井陽介】
◆阪神桐敷拓馬投手(25)が両リーグ最多60試合登板を1回0封で飾った。4点リードの7回から2番手でマウンドへ。2死から西川に中越え二塁打を許したが、長岡を148キロ直球で空振り三振に仕留めた。「3人ではいきたかったですけど、とにかく0でいけたことが本当に良かったです」。フル回転で54回2/3を投げて34ホールドはリーグトップ。「1試合1試合投げていくだけなので、僕はあまり気にせずに、いつも通り頑張っていきたい」と頼もしく言った。
◆阪神森下翔太外野手(24)が3戦連続の先制打を放った。初回1死二塁で、ヤクルト高橋のチェンジアップをはじき返すと、打球は飛び込んだ左翼サンタナをすり抜け、先制の適時二塁打となった。7回、9回にも内野安打を放ち、4安打の前夜に続く連日の猛打賞。「ラッキーヒットだったり、いい当たりのヒットではなかったですけど、勝つことがすべてなので。勝てたことで次につながった」。4試合連続打点でトップの巨人岡本和に4差に迫り、3位タイの64打点を積み上げた。
◆逆転Vへ虎の勢いが止まらない。阪神5番の佐藤輝明内野手(25)が2戦連発で怒濤(どとう)の5連勝を導いた。初回に3番森下の先制打、4番大山の適時打に続いて左中間へ13号2ラン。一挙4点の猛攻を仕上げた。森下は4戦連続打点で9回に14号2ランを放った大山は6年連続60打点に到達。全6得点を3人で稼ぎ、今季の打点そろい踏みは12戦全勝だ。巨人と広島の上位が勝ち、首位との2・5差は変わらなかったが残り17試合、虎が負けじと食らいつく。止まらない。この夜も佐藤輝劇場だ。表情一つ変えず、大股で走る姿に貫禄が漂った。森下と大山の適時打で2点を先制した初回、なお1死一塁。左腕高橋の2球目、甘いスライダーに強くバットを出した。「もっと追加点を、という気持ちでした。打席に入る前から準備して、初球のファウルから、いいスイングができていた。いい感触でした」打球は左中間最深部にぐんぐん伸び、軽々とフェンスオーバーする13号2ラン。前日6日の満塁弾に続く今季3度目の2戦連発を東都の虎党に届け、一気に試合の主導権を握った。5連勝に導く一振り。「独り負け」するわけにいかなかった。デーゲームで首位巨人、2位広島がともに接戦を勝った。それぞれ2・5差、1・5差で食らいつき、不気味に迫る4位DeNAとは3ゲーム差に広げた。大きな白星だ。岡田監督も連日の豪弾に敬礼するしかない。「あそこで2点で終わるのとな。2ランは大きいよな。風もええかも分からんけど、何かよくボール飛ぶよ。振れてるのもあるかも分からんけど。ちゃんと、ええポイントで打ってるから飛ぶというのもあるしな」。秋の勝負どころで上げてきた調子の良さに目尻が下がる。森下、大山、佐藤輝のドラフト1位トリオがそろって打点を挙げた試合は今季、12戦全勝。5番が打線の破壊力を倍増させている。神宮での相性の良さも変わらずだ。今季10試合で、甲子園を含むセ本拠地で最多の5本塁打。打点は14、打率3割5分1厘。その神宮は現在につながる出発点となった地でもあった。6年前の近大2年秋、明治神宮大会に出場した。当時の田中秀昌監督は、自慢の大器を全国に売りだそうと考えを巡らせた。原辰徳氏の巨人監督復帰が決まったタイミング。ピンと来た。原監督の代名詞、背番号8をほかの選手から替えてまで背負わせ、「4番三塁」で起用。スラッガーは期待に応えて本塁打を放ち、"近大に佐藤あり"を印象づける大会になった。2打点上積みで63打点。1位巨人岡本和に5差に迫る5位に浮上した。森下は64打点の4位で刺激し合う間柄。「トップ争いできるくらい、もっともっと打点を稼ぎたい」。勝ち続けるしかない状況は続く。背番号8が猛威を奮う限り、阪神の望みはつながっていく。【柏原誠】
◆阪神が初回の4得点で先手を奪い5連勝を挙げた。7月21日広島戦(甲子園)から8月2日DeNA戦(横浜)で8連勝して以来の5連勝。これで中日戦に続き、2年連続となる今季のヤクルト戦勝ち越しを決めた。阪神岡田彰布監督の一問一答は以下の通り-才木は「変化球甘かったんやな。2回のは特にな」-走者出しながらもしっかり投げた「だから、ストレート低めにいけばな。ちょっとなんか、上ずるよな。なんかな」-途中から真っすぐでのフライアウトも多く、持ち味は出ていた「ボールの力はあるよ。そらあ」-点を与えないのもらしさ「まあ、な。もう5回で代えてもええけど、ビーズリーとちゃうからのう。才木は。ええ? そんなもん。5回で代えて、勝ち投手じゃな。これは、そんなんじゃアカンからな。まあな、100(球)超しとったけどな、もう1回な、ちょうどええ打順のとこやったからな。あと1回な、頑張れ言うたよ」-そういう立場になった。今日で規定投球回に達した「もう達したんか。まあ、そんなんは別に意識はしてないと思うけど。まあそら、勝ち頭やからな、おーん。まだそういう意味では(最多勝の)チャンスあるからな、分からへんから最後までな、おーん。なんぼや、12(勝)になったんか」-打線は昨日の勢いのまま「なあ、初回(高橋は)悪かったけどな、2回、3回くらいから立ち直ったからな、なかなかこれはもう、追加点取れんなと思ったけど、球数多かったからな、結局5回までなったからな。まあ、そらお前、4点は大きいよ、おーん。2点ぐらいやったら向こうも作戦まだ違う、4点なったら打つだけなるからな、結局はな」-佐藤輝も前日に続きいいところで2ラン「初回な、本当にあれやな、つながるというか。そんなんいつもいつもな、毎回毎回あないしてつながらへんけどな、今日なんかほんと少ないチャンスでな、あそこでやっぱり4点、2点で終わるのとな、次の2ランいうのは大きいよな、やっぱりな、4点になる」-神宮にあったスイングなのか、無理して振っていないように見える「いやいや、練習の時からものすごいフォローというか、飛ぶやろ、ボール、なあ。大山なんか全然引っ張ってないやん。なんか知らんけど。俺も分からんけど。まあ、風もええかも分からんけど、なんかよくボール飛ぶよ。昨日から思ってたけどな、フリーバッティングの時から」-振れているということでは「いや、それは分からん(笑い)。まあ、振れてるのもあるかも分からんけどな。ちゃんと、ええポイントで打ってるから、やっぱり飛ぶというのもあるしな」-大山はセンター中心に打ち返せている「そうや。ずっと自然というかな、逆らわんと打ってるということやろ。練習の時からそういう感じで打ってるもんな、右の方に」-連勝よりも1戦1戦「うん。また明日で甲子園に帰るし、明日な、ええ形で勝てればいい」
◆阪神梅野隆太郎捕手(33)は不穏な空気を強肩で吹き飛ばした。4点先制直後の1回裏。ヤクルト1番西川への初球にいきなり右前打を許したが、2番長岡への初球、飛び出した一塁走者西川を見逃さずに一塁で刺した(記録は盗塁死)。「あれはすごく大きかった。嫌な感じというか、神宮ならではのズルズルいく感じがあるので、気を引き締めながら」と納得顔。「浩人も粘ってくれた」と6回無失点の才木をたたえた。
◆阪神大山悠輔内野手(29)が6年連続の60打点に到達した。初回に先制し、なお1死二塁、ヤクルト高橋のチェンジアップを捉え、2点目の中前適時打。さらに4-0の9回、初球を右翼スタンドへ運びリードを広げる14号2ランを放った。「手応えはあれですけど、結果なんで」。3安打3打点の活躍にも「中盤くらいに点数を取れるチャンスもあったので、そこで取れればもっと楽になっていた」と反省が口をついた。これで61打点。19年から6年連続の60打点は、藤村富美男、金本知憲に続く球団3人目となった。
◆阪神ハビアー・ゲラ投手(28)は8回の1イニングを3人でピシャリだ。4点リードで登板し、4番サンタナを159キロ直球で空振り三振にねじ伏せるなど完全投球。「昨日登板がなくて、いい感じで休ませてもらった。気持ちも入って、しっかり準備できて、いいボールが投げられた」。試合後は静かにほほ笑んで喜びを表現した。
◆4連勝中の阪神は才木浩人投手(26)が先発する。神宮では今季2試合で0勝1敗、防御率4・50と苦戦しており、同球場での初白星と今季12勝目を目指す。チームは土曜日のビジター試合で今季1勝10敗1分けと大きく負け越しており、9連敗中。悪いジンクスを破って5連勝を狙う。
◆8日の22回戦に先発する阪神・西勇輝投手(33)はキャッチボールやショートダッシュで調整した。ここまで19試合に先発して6勝5敗、防御率1・84の右腕。ヤクルト戦での登板は今季3度目で、直近の8月21日には(京セラ)6回3失点で勝利を挙げている。チームは4連勝で首位巨人まで2・5ゲーム差(6日まで)と猛追中。「(順位は)意識したくなくても目に見えて分かること。分かった中で一人一人がどこまで自分の力を発揮できるかという心理状況に持っていけるかが一番大事。9月は入りからいいリズムで、いい流れでいけてると思う。森下が言っていましたけど(6日のヒーローインタビュー)、連覇できるんじゃないかと。そういう雰囲気は結構感じてきているので、ほんとに楽しんでいくだけ」と意気込み、マウンドに上がる。
◆阪神・森下翔太外野手(24)が先制の適時二塁打を放った。一回先頭の近本が左前打で出塁すると、中野の犠打で1死二塁。黄金パターンでチャンスを作ると、森下がヤクルトの先発・高橋奎のチェンジアップを捉えた。左翼手・サンタナのグラブをはじく二塁打で近本がホームへ。森下はこれで3試合連続の先制打、4試合連続打点と絶好調だ。なおも1死二塁から大山悠輔内野手が中前適時打を放って2点目。さらに佐藤輝が2試合連続の13号2ランを放って4点を先行した。森下翔太 「打ったのはチェンジアップ。昨日の試合と同様に初回からチャンスの打席で結果を出すことができてよかったです。みんなが繋がってゲームの主導権は取れたので次の点もみんなで取りにいきます」大山悠輔 「打ったのはチェンジアップ。いい形で先制した後でしたが、いつもと同じく『次の1点』という気持ちで打席に入りました。しっかりランナーを還すことができてよかったです」
◆一回から阪神打線の勢いが止まらない。佐藤輝明内野手(25)の2戦連発となる13号2ランで大量4点リードを奪った。「打ったのはスライダー。いいスイングができました!打席に入る前から準備をして、初球からしっかりスイングしていけたことが良い結果につながったと思います」一回、森下の適時打で5試合連続の先制点を奪うと、得点圏打率1位の大山も中前適時打で2点目。さらに1死一塁から佐藤輝が高橋奎の2球目を捉えた。左中間への大きな打球はそのままスタンドに一直線。前日6日にもグランドスラムを放っており、2試合連続の一発で試合の流れをつかんだ。一回から森下、大山、佐藤輝のドライチクリーンアップがそろって打点を記録。3人が打点を挙げた試合は今季11戦全勝と、幸先よく先制攻撃を決めた。
◆阪神・近本光司外野手(29)が最多安打のタイトル争いで単独トップに浮上した。一回、二回ともに左前打を放ったリードオフマンはこれで今季141安打。試合前の時点で139安打と並んでいた中日・細川はこの日デーゲームで1安打。近本が2打席目を終えて早くも単独トップとなった。3位のヤクルト・長岡は137安打。熾烈なタイトル争いからも目が離せない。
◆認定NPO法人キャンサーネットジャパン協賛による小児がん啓発「ゴールドリボンナイター」として開催され、小児がんサバイバーの中畑匠水(たくみ)さん(15)が始球式を務めた。力強いノーバウンド投球を見せ、中村悠平捕手と言葉を交わした後に握手。場内の大きな拍手に包まれ、グラウンドを後にした。「世界小児がん啓発月間」の9月。小児がんのことを広く知ってもらうため、スワローズは2022年より小児がん治療中の子どもやサバイバーを応援する活動の一環として、選手会によるチャリティーオークションを実施し支援してきた。この日、選手たちは「ゴールドリストバンド」を着用してプレー。小児がんの子どもたちとその家族が招待され、始球式などのセレモニーに参加した。今回は「ゴールドリボンナイター」の趣旨に賛同したヤクルト高津臣吾監督夫人の真紀さんによる声がけのもと、石井弘寿コーチ夫人の麻美子さん、青木宣親外野手夫人の佐知さん、石川雅規投手夫人の聡子さんら有志が小児がん啓発を目的とした募金活動などにボランティアとして参加した。
◆神宮のスコアボードに、いきなり手痛い「4」が刻まれた。ヤクルトの先発、高橋は一回に阪神打線に集中打を浴び、一挙4失点で出はなをくじかれた。登板前日。「今、近本さんがすごく状態が良く、中野さんもバントが多い。森下選手、大山選手、佐藤輝選手は状態が良く、その3人は特に得点圏の率が高いので、その前に走者を出さないように」と阪神打線を分析し警戒していたが、皮肉にも一回からその通りの攻撃を許す結果となった。一回先頭の近本にしぶとく左前打を打たれ出塁を許すと、中野に1球で犠打を決められ1死二塁で中軸を迎えた。得点圏で警戒していた森下に、変化球を捉えられ左前へ適時二塁打で先制点を献上。4番の大山にも中前適時打を浴びると、続く佐藤輝にはスライダーを逆方向となる左翼席へ、痛恨の2ランを運ばれた。今季、試合前の時点で自身イニング別最多タイの10失点と苦しんできた一回。高橋に限らず多くの投手にとって難しい立ち上がりだが、チーム全体としても今季は序盤の大量失点が目立っており、先発陣の課題の一つだった。二回以降は五回まで無失点に抑えただけに、悔やまれる一回の4失点となった。
◆8日の阪神戦(神宮)に先発するヤクルト・高梨は、短距離ダッシュなどで調整した。昨季も同戦で2試合に登板したがいずれも救援で、先発では2022年9月以来2季ぶり。「1、2番を出して中軸というところが一番点に絡むと思う」と近本、中野を警戒し、約2年ぶりの勝利へ「勝たなきゃいけないし、チームに勝ちをつけるようなピッチングをできれば一番いい」と意気込んだ。(神宮外苑)
◆阪神の先発・才木浩人投手(25)は6回8安打無失点で降板した。一回先頭の西川に右前打を許すも、続く長岡の初球で飛び出した西川を捕手・梅野が見逃さず。一塁へ矢のような送球でタッチアウトに仕留めた(記録は盗塁死)。二回は先頭のサンタナに左前打を許すなど2死満塁のピンチを背負ったが後続を断って無失点。四回もサンタナに二塁打を浴びてピンチとしたが、得点は許さなかった。六回は先頭のサンタナに再び二塁打。それでも、後続をフライアウト3つで打ち取り、ここも無失点。再三のピンチを背負いながらも粘りの投球でスコアボードにゼロを並べた。才木は「初回の4点で投げやすい状況を作ってもらいました。追い込んでからの決めきれず球数を要してしまい長いイニングを投げることができませんでしたが、野手のみなさんの守りに助けてもらいながら粘り強い投球ができました」。今季12勝目、登板9試合目で先発としての神宮初星の権利を持ってマウンドをリリーフ陣に託した。
◆ヤクルト・木沢尚文投手(26)が六回に2番手で登板。打球が直撃するアクシデントも乗り越え、2回無失点の好リリーフを見せた。六回は下位打線を三者凡退。七回も1、2番を抑えたが、2死無走者で3番森下の打球が右足を直撃(記録は投手強襲安打)。すぐに伊藤コーチとトレーナーが駆けつけ、自力で歩いて一度ベンチへと戻った。数分の治療後、駆け足でマウンドに戻った木沢。大山に右前打を許したが、続く佐藤輝を空振り三振に仕留めて力強いガッツポーズを見せた。
◆阪神が快勝。打線が一回につながった。森下が3試合連続先制打となる適時二塁打を放つと、大山の中前適時打で2点目。佐藤輝が2試合連続となる13号2ランを放って一挙4得点。クリーンアップがそろい踏みで打点をあげると今季12戦全勝の不敗神話を継続させた。九回には大山が14号2ランを放ってとどめをさした。先発の才木は6回8安打無失点と粘りの投球で今季12勝目(3敗)。先発としては初めて神宮で勝利投手となり、自身にとって鬼門だった舞台を突破した。七回からは桐敷、ゲラ、石井と磐石の中継ぎ陣が無失点リレーで逃げ切った。阪神は今季3度目の5連勝で貯金は今季最多タイの8。4試合を残して、2年連続のヤクルト戦勝ち越しを決めた。首位巨人、2位広島がそれぞれデーゲームで勝利し、その差は巨人と2.5、広島と1.5と変わらずも、優勝争いにしっかりと踏みとどまった。
◆ヤクルト・高橋奎二投手(27)が今季17度目の先発も、5回6安打4失点、3四球7奪三振で昨季に並ぶ自己ワーストの9敗目(5勝)を喫した。一回に先頭近本の安打から1死二塁とされ、3番森下に左前へ適時二塁打、4番大山に中前適時打、5番佐藤輝に左越え2ランを浴びていきなり4失点。二回以降は無失点に抑えただけに「二回以降は何とか粘り強く投げることができたが、初回が全て。大量失点してしまったので、チームのリズムをつくることができなかった。しっかり反省、修正します」とコメントした。
◆オリックス、阪神で通算176勝を挙げ、引退後も両チームでコーチを務めたサンケイスポーツ専属評論家の星野伸之氏(58)が6回無失点で12勝目を挙げた阪神・才木浩人投手(25)に言及した。8月31日の巨人戦に続いて立ち上がりが不安定だった才木は粘り強い投球が光った。6回で先頭打者出塁は4度。それでも一回無死一塁では西川の飛び出し、二回無死一、二塁では村上を見逃し三振と、苦しい局面で1アウト目をとれたことが大きかったし、8安打されながら四球を出していないことは非常に評価できる。1年間戦う中で疲れは当然あるし、前半戦のような150キロ連発という感じではなく、力んで引っかけてしまうボールも目立つ。さらに上位の巨人、広島が勝って迎えたナイター。一回には4点の援護。先発投手にとって、難しいマウンドだったはずだ。それでも無駄な走者をためず、4点リードをメンタル面で利用しながら、本調子でない中でも要所を抑えた。勝てる投手であることを改めて証明した試合だ。また、神宮では相性が悪かったと聞く。各球場でマウンドに微妙な違いはあるだけに、相性は出る。そこで粘り強く投げられたことは、さらに自信になるのではないか。
◆九回、2点本塁打を放った阪神・大山悠輔を迎える阪神・森下翔太(右)=神宮球場(撮影・水島啓輔)
◆リーグ最下位のヤクルトは今季15度目の零封負け。今季ワーストを更新する借金20となり、優勝の可能性が完全消滅した。阪神戦は2年連続負け越しが決定。先発の高橋奎二投手(27)が一回に4失点。以降は五回まで無失点投球も、昨季に並ぶ自己ワーストの9敗目(5勝)を喫した。高津臣吾監督(55)の主な一問一答は以下の通り。――高橋は初回に4失点「明らかに表情を見ても、姿見ても、不安を持ってマウンドに上がっていますね。打たれる不安じゃなくて、ストライク入るかとか、どうやって投げたらいいのかとか、そういう風に僕には映りました。だから50球ぐらいいけばある程度感覚がつかめる、腕が振れてくる。初回なんて、どちらかというと合わせにいく、置きにいく球ばっかりだったので。当然の結果ですね」――チームにとっても痛いビハインド「相手が才木だったのでね。相手のことまで見る余裕はもちろんないでしょうし、相手打者を見る余裕もなかったでしょうけど。(午後)6時15分にはもう4点取られていたので、厳しい試合にはなりますよね、それは」――打線も零封負け「得点圏でいかに打つかだと思います。12打数1安打。そりゃあ、点にはならないと思います。アウトになったシーンが(中堅大型ビジョン)に映るんですけど、やっぱり真っすぐの打ち損じっていうのが非常に多かったように見えますね」――数字上、優勝の可能性が完全消滅「残念ですね。やっぱり一番上に立ちたいと思ってずっとやっているので、非常に残念です。ここまでローテーションもリリーフも、打順も何も固定できないできているので。優勝できなかった要因かなと思いますけど」――先発や打線のつながりの課題は、この試合にも表れた「まさに今年を象徴してるんじゃないですか。先発が弱い、イニングを稼げない、貯金ができない。それが全て出たゲームというか、初回といっていいのか、典型的なゲームだったような気がします」――故障者も多かった「そうですね。間違いなく多かったですね。人数も、回数も多かった。治りも遅かった。塩見のような大けがであったり、そういうのはなかなか短期で帰ってこられないんですけど、毎日メンバーのやりくり、入れ替え、ファームと連絡を取って、そういう状況が毎日のように続いたので、編成が難しかったです」
◆阪神が5連勝。中日に続いて、ヤクルト戦のシーズン勝ち越しを決めた。一回、安打と犠打進塁の近本光司外野手(29)を二塁に置いて、森下翔太外野手(24)の3戦連続先制打と大山悠輔内野手(29)の適時打、佐藤輝明内野手(25)の中堅左への2試合連続本塁打で一気に4点を挙げた。九回には大山が右越えにダメ押しの14号2ランを放った。6回無失点の才木浩人投手(25)はリーグ最多に1差に迫る12勝目(3敗)。8年目で初の年間規定投球回に到達した。大山、佐藤輝、森下の打点揃い踏みは2試合連続でチームは12戦全勝。上位球団が勝ったため、首位巨人と2・5差、2位広島には1・5差のまま。4位DeNAとは3差に開いた。18度目のゼロ封で今季最多タイの「貯金8」とした岡田彰布監督(66)の主な一問一答は以下の通り(成績=64勝56敗6分、観衆=2万9504人)。ーー才木は「変化球甘かったんやな。二回のは特にな」ーー走者を出しながらもしっかり投げた「だから、ストレート低めに行けばな。ちょっと何か、上ずるよな。何かな」ーー途中から真っすぐでのフライアウトも多かった「ボールの力はあるよ。そらあ」ーー点を与えないのも、らしさ「まあ、な。もう五回で代えてもええけど、ビーズリーとちゃうからのう。才木は。ええ? そんなもん。五回で代えて、勝ち投手じゃな。これは、そんなんじゃアカンからな。まあな、100(球)超しとったけどな、もう1回な、ちょうどええ打順のとこやったからな。あと1回、頑張れ言うたよ」ーーそういう立場になった。規定投球回に達した「もう達したんか。まあ、そんなんは別に意識はしてないと思うけど。まあそら、勝ち頭やからな、おーん。まだそういう意味では(最多勝の)チャンスあるからな、分からへんから、最後までな、おーん。なんぼや、12(勝)になったんか」ーー打線は勢いのまま「なあ、初回(高橋は)悪かったけどな、二回、三回くらいから立ち直ったからな、なかなかこれはもう、追加点取れんなと思ったけど、球数多かったからな、結局5回までなったからな。まあ、そらお前、4点は大きいよ、おーん。2点ぐらいやったら、向こうも作戦違う。4点なったら打つだけなるからな、結局はな」ーー佐藤輝もいいところで2ラン「初回な、本当にあれやな、つながるというか。そんなんいつもいつもな、毎回毎回あないしてつながらへんけどな、今日なんか、ほんと少ないチャンスでな、あそこでやっぱり4点。2点で終わるのとな、次の2ランいうのは大きいよな、やっぱりな、4点になる」ーー神宮に合ったスイングなのか、無理して振っていないように見える「いやいや、練習の時から、ものすごいフォローというか、飛ぶやろ、ボール、なあ。大山なんか全然引っ張ってないやん。何か知らんけど。俺も分からんけど。まあ、風もええかも分からんけど、何かよくボール飛ぶよ。昨日から思ってたけどな、フリーバッティングの時から」ーー振れているということでは「いや、それは分からん。まあ、振れてるのもあるかも分からんけどな。ちゃんと、ええポイントで打ってるから、やっぱり飛ぶというのもあるしな」ーー大山はセンター中心に打ち返せている「そうや。ずっと自然というかな、逆らわんと打ってるということやろ。練習の時からそういう感じで打ってるもんな、右の方に」ーー連勝よりも一戦一戦「うん。また明日で甲子園に帰るし、明日な、ええ形で勝てればいい」
◆選手交代を告げるヤクルト・高津臣吾監督(撮影・長尾みなみ)
◆阪神・桐敷が七回に登板。2死二塁とピンチを背負ったが、長岡を148キロ直球で空振り三振に斬った。「3人ではいかなかったですけど、とにかくゼロで終われたのが本当によかった」。神宮では2試合連続で複数失点を喫していただけに、苦手イメージを払拭できたことは大きい。60試合登板の大台にも到達した左腕は「残りの試合、全力で投げていく」と力強かった。
◆阪神・ゲラが圧巻の投球だ。八回に登板し、1死から首位打者・サンタナを159キロ直球で空振り三振。オスナも159キロで遊ゴロに仕留めた。「昨日(6日)も登板がなくていい感じで休ませてもらった。気持ちも入ってしっかり準備ができていい球を投げられたよ」。中1日あれば、エネルギーは満タン。剛腕でセ界の強打者をなぎ倒していく。
◆主砲のバットから効果的な得点が生まれた。阪神・大山悠輔内野手(29)が一回にチーム2得点目となるタイムリーを放ち、九回には14号2ランで駄目押し。3安打3打点で大勝を呼び込んだ。「(九回に)2点とれたのは大きいですけど、初回に4点取って、その後、中盤くらいに点数をとれるチャンスもあった。そこでとれれば、もっと楽になっていた。そこはひとつ反省はあります。でも、最終的に勝ったことが一番なので」責任感をにじませつつ、勝利を喜んだ。森下の先制打直後の一回1死二塁で高橋のチェンジアップを捉える中前適時打。4-0の九回2死一塁では田口のシュートを右翼ポール際に運んだ。得点圏打率・366はセ・リーグトップで、9月に入って6試合連続安打と好調をキープ。6年連続で60打点を超えた4番は「あとは勝つしかないんで頑張ります」と静かに闘志を燃やした。(新里公章)
◆マスクをかぶった阪神・梅野は4投手をリードして今季18度目となる零封勝利に貢献。「ゼロでシャットアウトするのと、1点とられるのでは全然違う。こういうゲームになってよかった」と汗をぬぐった。4点を奪った直後の一回の守備では、安打で出塁した西川を一塁で刺して流れを与えず。「神宮ならではのズルズルといく場面があるので、引き締めながら。(才木)浩人自身も粘ってくれた」と12勝目を挙げた才木をねぎらった。
◆阪神は今季18度目の零封勝ちを収め、5連勝で貯金を最多タイの「8」とした。森下翔太外野手(24)が一回に3試合連続となる先制打を放つなど、打線は一挙4得点。上位2チームがデーゲームで勝利した中、負けられない一戦でいきなり流れをつかんだ。首位巨人とは2・5ゲーム差変わらず。残り17試合、この勢いで主導権を握る戦いを続けていく。左翼に放った速攻の一撃が、猛虎の進む道を明るく照らした。大きくはね上がったボールを見逃さず二塁に進んだ森下が、表情を緩めず三塁ベンチに視線を送る。一振りで期待に応える3夜連続の先制打。初回の4得点を呼び込んだ。「打球はともあれ1点入ったことが一番よかった。いい当たりのヒットではなかったですけど勝つことがすべてなので。勝てたことで次につながったかな」一回、近本の左前打と中野の犠打で1死二塁。後半戦の〝鉄板〟となった2人の働きで得点圏にランナーを置き、最初の打席を迎えた。高橋のチェンジアップを引っ張って、打球はグラブを伸ばす左翼手・サンタナの目の前で弾んだ。適時二塁打で、5日の中日戦(甲子園)から3試合連続でチームに先制点をもたらした。森下に続いて大山が適時打を放ち、さらに佐藤輝が2試合連続となる13号2ラン。わずか13球で4得点を奪う電光石火の攻撃だ。得点圏打率のセ・リーグトップ3を独占するこの3人が2試合続けて打点を記録し、3人そろって打点を挙げた試合はこれで今季12戦全勝となった。
◆もう止まらない。快音を残し、白球は神宮の空を舞う。2夜連続の一撃に左翼席を埋め尽くしたファンは総立ち。仕上げはこの男。阪神・佐藤輝明内野手(25)が同学年の〝エース〟に最高の援護点を届けた。「いい感触でした。点をとった後でしたけど、もっと追加点という気持ちでいきました」3番・森下、4番・大山の連打で2点を先行して迎えた一回1死一塁。5番が見事に塁上を〝掃除〟した。高橋のスライダーを一閃。文句なしの一発は左中間スタンドへと吸い込まれた。6日の同戦から2試合連続の13号2ラン。前夜の放物線をなぞるように、逆方向へと運んだ一撃は大砲の覚醒を予感させた。これで今季63打点。セ・リーグ5位は変わらないが、トップの巨人・岡本和まで5差と自身初の打撃タイトルも狙える位置につける。「トップ争いができるくらい、もっともっと打点を稼ぎたいなと思います」。いまの調子なら、打点を荒稼ぎできる自信はある。「前半戦は投手に助けてもらった。これから野手もしっかり頑張って打ち勝てる試合を増やしていきたいと思います」不振に苦しんだ前半戦。そこで踏ん張ってくれた投手陣に報いるべく、後半戦へと臨んだ。特に同学年・才木が先発のときは強い。前半戦から幾度となくチームを救い、今季の〝エース〟といっても過言ではない右腕が先発したとき、佐藤輝は後半戦に限れば6試合で打率・421(19打数8安打)、9打点、3本塁打。岡田監督も「きょうなんかほんと少ないチャンスでな。あそこ(一回)でやっぱり4点、2点で終わるのとな。次の2ランは大きいよな」とたたえたように、この日も才木にとって最高の一発となった。「(才木を)援護できてよかったです」ニヤリと笑って援護弾を振り返った男は、ヒーローインタビューで叫んだ。「負けられない戦いが続きますが、皆さんの応援の力を借りながら頑張っていきたいと思います!」輝コールが球場全体を包む。この大声援に乗って、残り17試合を走り抜ける。(原田遼太郎)
◆力強く粘って果たした〝5度目〟の正直。これまで先発では一度も勝利がなかったマウンドで、阪神・才木浩人投手(25)が力投した。「神宮なので、0対0だと思って投げていた。なんとか最少失点で毎回いけるようにと思っていたので、ピンチになってもしっかりゼロでいけたのはよかった」才木にとっての鬼門・神宮。これまで8登板し、勝利は中継ぎで挙げた1勝のみ。今季も2試合で1敗、防御率4・50と苦しむマウンドで、5度目の先発に挑んだ。一回から大量4点のリードをもらっても、ここは狭い神宮。隙を作らなかった。二回は3安打で1死満塁のピンチを背負うも、中村を直球で二飛、高橋は根負けせずに11球目で三ゴロに仕留める。以降も四、五、六回と再三得点圏に走者を背負い続けたが、ホームを踏ませない。最後は六回2死二塁で山田を右飛に斬り、大きくほえた。6回110球。8安打を浴びながらも無失点で、3登板連続の白星となる12勝目を挙げた。今季の登板イニングは148回?に伸ばした。2020年にはトミー・ジョン手術を受けてリハビリ生活も経験したが、8年目で初めて規定投球回に到達。「まだ試合が残っているのでしっかり続けて投げていけるように頑張ります」と満足することなく先を見据えた。岡田監督も「勝ち頭やからな」と最大の信頼を置く。「五回で代えて、勝ち投手じゃな。そんなんじゃあかんからな。あと一回な、頑張れ言うたよ」と100球目前でも続投させたのもその証しだ。今季はローテを守り続けて先発投手陣を引っ張り、連敗も8度止めて虎を救ってきた。その立場は最後まで変わらない。「一試合一試合が勝負。自分のピッチングができるように頑張れればいいかなと思います」13勝の巨人・菅野まで1勝に迫り、最多勝も十分に狙える。才木が勝利のために腕を振り続ける。(中屋友那)
◆勝負の季節に阪神・近本光司外野手(29)の頼もしさがぐんぐん増してきた。今季9度目となる猛打賞で打線を勢いづけ、安打数は「142」に伸ばしてセ・リーグ単独トップに立った。「しっかりチームのいい形で先制できたので、その後も続いたのでよかった」一回先頭で左前打を放ち、中野の犠打で二進すると、森下の一打で生還した。二回の第2打席は左前打、五回の第3打席は投前内野安打の5打数3安打で安打数は2位の中日・細川に2差をつけた。最多安打のタイトルレースでトップを走るが、近本は「ただ、今だけなんでね。結局は最後なので、しっかり頑張ります」と気を引き締め直した。ヒット数が順調に増加すれば、岡田虎の攻撃力の活性化にもつながる。求めるのはチーム一丸での1勝のみだ。
◆阪神・石井が6点差の九回を託された。先頭の村上に四球を与えたが、山田を遊ゴロで1死一塁。最後は中村を二ゴロ併殺に仕留めた。「先頭に四球で焦りましたけど、本当にゼロが救いというか。ほっとしています」。これで5試合連続無失点。「先頭の四球は反省しながら、また明日もあるのでしっかり投げられるようにしたい」と頼もしかった。
◆ドカーン! ドカーン!! アレンパを狙う神宮虎祭りに花火はかかせへんやろー! 佐藤輝、大山のホームランでわが阪神本日も大勝!! 実にいい野球になってきたでェ!!第1戦で13安打中11本がセンターから逆方向と絶賛したオレ! そしたら...ウヒョヒョヒョ~、本日も11安打中、引っ張ったのは森下の1本だけ! 残り10安打はセンター中心部に逆方向!! 前日、レフトに満塁弾を放ったサトテルちゃんが気分良くなって、強引に引っぱるんじゃないの...と心配していたら本日も左中間へ2ラン!! ウ~ン、この打撃陣は最後の最後に『ホンモノ』にいきついたのだ!!しかし、才木の投球は奇々怪々だったのだ。投手にとって『力み』はご法度なんて重々知っているはずなのに、まるで自身がモルモットと化して『力み勝利論』の論文でも発表するような力の入りよう...。二回2死満塁で投手高橋への11球はその研究? それでも8安打を許しながら無失点の才木は、アレンパのための大黒柱ですわー!!
◆トラ番たちがニコニコしながら原稿を書いているのが、見えたでしょうか?試合中、テレビのセンターカメラから記者の姿が映ってしまうセ・リーグの本拠地球場は今や神宮だけ。横浜スタジアムも少し前まではそうだったが、スタンド最上部に移された。神宮も遮光ガラスが採用されて中の様子はわかりにくくなったが、記者の生々しい様子は個人的には大好きだ。低い天井に頭を何度もぶつけながらギシギシと音が鳴る回転椅子に座ってスコアブックをつけるのも醍醐味(だいごみ)。試合後、監督や選手と一緒に歩くのも気持ちいい。いつの間にか、記者室に大きなテレビも設置されて、午後2時頃、虎番の邨田直人が到着すると、東京ドームでの巨人-DeNAが流れており記者が群がっていた。「一回に巨人がチャンスで無得点で終わったときとか声が出ましたよ。でも正直、DeNAの躍進も怖いですから...。とても複雑な感じでした」おそらく、阪神の選手も同じような気持ちなんだろうな。ナイターでのヤクルト戦に向けて、気持ちを集中しようとするんだけど、優勝争いが佳境に入っているため、相手の動向を気にするなという方が無理だ。春季キャンプでDeNA・三浦監督と話したとき「うちはどのチームよりも優勝から離れていますからね」と意気込んでいたのを思い出した。広島担当の柏村翔に電話をしてみると「チームの雰囲気は明るいですよ。屋外でのデーゲームは暑い? いえいえ、新井監督は『暑い方が体も動く』とおっしゃっていますから」と涼しい顔。鯉も昼間に勝っただけに、虎も絶対に勝たないとダメだった。
◆ヤクルトの2年目、沢井廉外野手(24)が「6番・右翼」で出場。三回に右翼席へ3ランを放ち、プロ通算57打席目で待望の初本塁打をマークした。「リラックスして打席に入ることができた。力まず自分のスイングができた。追加点となりよかった」2―0の三回2死一、二塁。阪神先発の西勇に対しカウント2―1からの4球目、甘く入った変化球を豪快に振り抜き、スワローズファンが待つ右翼席へ、メモリアルアーチを運んだ。沢井は昨季、中京大からドラフト3位で入団。イースタン・リーグで本塁打王(18本)に輝き、56打点も同2位を記録した。だが10月のみやざきフェニックス・リーグ、ソフトバンク戦(西都)の守備で長岡と交錯し救急搬送。右膝を負傷し、今春キャンプでもリハビリを続けた。8月27日に今季初昇格を果たし、次世代の大砲候補が神宮の舞台で大きな一歩を踏み出した。
<セ・リーグ順位表推移>
順位 | チーム名 | 勝数 | 負数 | 引分 | 勝率 | 首位差 | 残試合 | 得点 | 失点 | 本塁打 | 盗塁 | 打率 | 防御率 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 (-) |
巨人 |
65 | 52 | 6 | 0.556 (↑0.004) | - (-) |
20 | 374 (+3) | 331 (+2) | 68 (+2) | 50 (-) |
0.242 (-) | 2.540 (↑0.02) |
2 (-) |
広島 |
63 | 52 | 5 | 0.548 (↑0.004) | 1 (-) |
23 | 354 (+2) | 312 (+1) | 49 (+1) | 52 (-) |
0.237 (-) | 2.310 (↑0.01) |
3 (-) |
阪神 |
64 | 56 | 6 | 0.533 (↑0.004) | 2.5 (-) |
17 | 421 (+6) | 365 (-) | 57 (+2) | 34 (-) |
0.240 (-) | 2.440 (↑0.02) |
4 (-) |
DeNA |
60 | 58 | 2 | 0.508 (↓0.005) | 5.5 (↓1) |
23 | 436 (+2) | 416 (+3) | 88 (-) | 55 (+1) |
0.256 (-) | 3.010 (↑0.02) |
5 (-) |
中日 |
51 | 66 | 8 | 0.436 (↓0.004) | 14 (↓1) |
18 | 321 (+1) | 402 (+2) | 55 (-) | 35 (-) |
0.239 (-) | 2.850 (↑0.01) |
6 (-) |
ヤクルト |
49 | 69 | 4 | 0.415 (↓0.004) | 16.5 (↓1) |
21 | 413 (-) | 487 (+6) | 80 (-) | 56 (-) |
0.236 (-) | 3.760 (↓0.02) |
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