DeNA(☆3対2★)阪神 =リーグ戦18回戦(2024.08.28)・横浜スタジアム=
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阪神
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DeNA
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勝利投手:東 克樹(11勝2敗0S)
(セーブ:森原 康平(2勝6敗23S))
敗戦投手:村上 頌樹(5勝9敗0S)

本塁打
【阪神】井上 広大(1号・6回表ソロ)
【DeNA】オースティン(22号・6回裏ソロ)

  DAZN
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◆DeNAは1点を追う3回裏、蝦名とオースティンが適時二塁打を放ち、逆転に成功する。その後同点を許すも、6回にオースティンのソロが飛び出し、勝ち越しに成功した。投げては、先発・東が7回2失点の力投で今季11勝目。敗れた阪神は、6回に井上のプロ初本塁打となるソロで追いつくも及ばなかった。

◆DeNAは東克樹、阪神は村上頌樹が先発。昨年はともに防御率1点台でタイトルを争った2人が今季初めて投げ合う。両者の投げ合いは昨年2度あり、8月4日(横浜)は村上6回2失点、東7回1失点で両者勝敗なし。同18日(横浜)は村上6回1失点で勝敗なし、東が7回1失点で勝利投手となった。3度目の投げ合いは東の連勝か、それとも村上が初勝利を挙げるか。

◆試合前に珍しいシーンがあった。阪神岡田彰布監督(66)が中堅フェンス沿いで、石井大智投手(27)と桐敷拓馬投手(25)に言葉をかける場面が見られた。ブルペンの中心としてフル回転する両腕。石井は前日27日に3失点を喫していた。指揮官自ら直接選手にメッセージを送る珍しいシーンとなった。

◆阪神井上広大外野手(23)が「5番左翼」で1軍再昇格後初めてスタメン出場する。25日に1軍再昇格。8月はファーム18試合に出場し3割1分1厘2本塁打16打点と好調を維持してきた。 DeNA先発の東とは5月10日の試合でも3打席対戦し、三塁強襲の適時打を放っている。5月18日ヤクルト戦(甲子園)以来となる1軍先発出場。連敗を阻止する一打に期待がかかる。また11試合連続で4番を務めてきた佐藤輝明内野手(25)は「6番三塁」で出場。4番以外での先発出場は5番出場した7月12日中日戦以来、約1カ月ぶりだ。代わって「4番一塁」には大山悠輔内野手(29)が名を連ねた。阪神先発は村上頌樹投手(26)が中10日でマウンドに上がる。

◆阪神森下翔太外野手(24)が運を味方に付けた。初回2死から放った飛球は中堅方向へ。中堅手の足が止まり捕球体勢に入ったように見えたが、打球は後方へポトリと落ちた。薄暮の時間帯でもあり、打球を見失ったとみられる。森下は悠々と二塁へ到達し、記録は安打。8試合連続安打となった。直後、4番大山が右翼へライナーで運ぶ先制打。阪神打線がラッキーなチャンスをモノにした。

◆阪神村上頌樹投手(26)にいきなり初回、一瞬ひやりとするアクシデントが起きた。1点の援護を受け迎えた1回裏、DeNA梶原に投じた3球目が投手強襲安打となり、左すね付近に打球を受けた。すぐさま安藤投手コーチらが駆けつけマウンドへ。それでも、村上は数球試投すると、そのまま続投。続く蝦名の投前への犠打をなんなくさばくと、佐野を見逃し三振に仕留め、最後はオースティンを空振り三振に仕留め初回を無失点でスタートした。この日は昨年はともに防御率1点台で、タイトルを争ったDeNA東と今季初めての投げ合い。昨年は2度あり、8月4日(横浜)は村上6回2失点、東7回1失点で両者勝敗なし。同18日(横浜)は村上6回1失点で勝敗なし、東が7回1失点で勝利投手となった。これで3度目の投げ合いとなる。

◆阪神佐藤輝明内野手(25)に、またも痛いミスが生まれた。2回1死だ。6番宮崎の鋭いゴロが自身のもとへ飛んだ。打球に対して体勢を崩しながらもうまく捕球。しかしその後のスローイングは一塁大山の頭上を大きく越えていった。両リーグ1位となる、今季20個目の失策となった。

◆阪神村上頌樹投手(26)が超スローボールで横浜スタジアムをどよめかせた。1-2で迎えた4回1死、DeNA山本へカウント0-1から投じた2球目は、大きな山なりで捕手坂本のミットに収まった。場内ビジョン表示の65キロとともに、球場のファンは驚きのどよめき。このボールで2つ目のストライクを取り、打席の山本もつい驚きの表情を浮かべていた。3球目に球速差83キロとなる148キロ直球を投げると、最後は147キロ直球で空振り三振。さらに続く林にもカウント0-1から、76キロのスローボールを投じ再びどよめかせると、直後に149キロの直球。粘られながらも最後は11球目の直球で見逃し三振に仕留めた。

◆阪神井上広大外野手(23)がプロ初本塁打で試合を振り出しに戻した。1点を追う6回1死。先発東の初球141キロ直球を捉えた。「相手もいい投手なので、高めの甘い球にしっかり狙いを定めていました。打線も全体的に打てていなかったですし、なによりチームに貢献することができてうれしいです」左翼ポール際の虎党のもとへ一直線に運ぶ同点アーチ。プロ5年目で初の1発となった。

◆/虎の未来 右打者Ver.\82打席目でついに出た#井上広大 プロ初ホームラン?プロ野球(2024/8/28)??DeNA×阪神??Live on DAZN#DAZNプロ野球 #hanshin pic.twitter.com/SqVxK9r3bI

◆中10日でマウンドに上がった阪神村上頌樹投手(26)が6回5安打3失点で降板となった。1点の援護を受け迎えた1回裏、DeNA梶原に投じた3球目が投手強襲安打となり、左すね付近に打球を受けるアクシデント。それでも数球の試投後に続投すると、蝦名の犠打の後は佐野、オースティンの主軸を連続三振に仕留めた。2回は1死から味方の失策で走者を出すも、後続2人を打ち取り無失点。しかし3回1死から梶原に二塁への内野安打、二盗を許すと、蝦名に右翼への同点適時打を献上。さらに2死二塁から、オースティンに左中間へ勝ち越しの適時二塁打を許した。集中力は切らさず、4回は6番宮崎から3者連続三振。山本へは65キロのスローボールを投じるなど、投球術を存分に発揮し、DeNA打線を抑えていった。しかし井上のプロ初本塁打で2-2に追いついた直後の6回1死で、オースティンに右翼ポール際に運ばれ勝ち越しの22号ソロを献上。悔しそうな表情を浮かべた。この日は昨年はともに防御率1点台で、タイトルを争ったDeNA東と今季初めての投げ合い。昨季は2度対決も村上は勝敗つかず、東は1勝。3度目の投げ合いも、2-3の7回に代打小野寺を送られ降板。白星とはならなかった。

◆阪神が連敗で、3カードぶりのカード負け越しが決まった。これで4位DeNAには1・5ゲーム差にまで迫られた。逆転でのリーグ連覇どころか、CS出場も危ない状況となってきた。8月の月間勝ち越しもなくなった。首位広島と再び5ゲーム差に広がった。スタメンを入れ替えた一戦。大山悠輔内野手(29)が7月12日の中日戦以来、47日ぶりの4番。井上広大外野手(23)は5月18日以来のスタメンで、5番に入った。佐藤輝明内野手(25)は6番に下がった。初回、4番大山が2死二塁で先制の右前適時打。幸先良く先制した。すでに2桁10勝を挙げているDeNA先発東を相手に流れをつかんだかのように見えた。3回、先発の村上頌樹投手(26)は蝦名、オースティンに適時打を浴び、逆転を許した。6回には井上のプロ初本塁打となるソロアーチで同点に追いつくも、直後の守備でオースティンにソロアーチを浴びた。前夜は今季4度目の2桁失点となる10失点で大敗。この日はDeNA打線の反発力にやられた。▽3位阪神が敗れ、上位の広島と巨人がそろって勝ったため、阪神の自力2位の可能性が消滅。首位広島、2位巨人とはともに今季最大タイの5差に広がった。一方で4位DeNAも1・5差に迫っており、6年連続Aクラス入りへ落とせない戦いが続く。

◆阪神が連敗で、3カードぶりのカード負け越しが決まった。これで4位DeNAには1・5ゲーム差にまで迫られた。逆転でのリーグ連覇どころか、CS出場も危ない状況となってきた。8月の月間勝ち越しもなくなった。首位広島と再び5ゲーム差に広がった。阪神岡田監督の一問一答は以下の通り-(決勝本塁打を許した)オースティンもいい打者だが「まっすぐはないやろ」-昨日もやられた「いやもう、一緒や。きのうと。力勝負では勝てんて。何十回言うてんのや」-井上は期待に応えた「おーん。初ホームランやろ?そら応えたけどなぁ」-4番大山に変えたのは対東や、各打者の調子も踏まえてか「そら4番が打てへんからや。打てへんやろ、ずっと。(佐藤輝を)ようつこうたほうやで」-1つ1つ目の前をとおっしゃっていたが、切り替えて「そんなんも伝わってけえへんけどな」-萎縮してしまっているか「そんなんないやんか。俺が1人カリカリ怒ってるだけやんか。あとは何もないわ」

◆阪神大山悠輔内野手(30)が久々の4番復帰で存在感を示した。1回2死二塁で、DeNA東に追い込まれながらも、5球目のストレートを右前へ運び、先制の適時打とした。大山は開幕から主に4番を務めたが、最近は5番が主戦場だった。4番は7月12日の中日戦以来、47日ぶりだったが「打順は関係ないです」。4位DeNAに連敗という悔しい黒星に「もう結果なんで。負けてしまったので、そこは反省しないといけないですし、また明日からしっかりいい準備をしてやりたいと思います」と前を向いた。

◆岡田虎が追い込まれた。2-2と同点に追いついた6回に村上頌樹投手(26)が決勝ソロを浴びた。6番降格の佐藤輝明内野手(25)は4打数無安打と沈黙。首位広島、2位巨人との上位3球団では独り負けとなって自力2位の可能性も消滅した。振り向けば4位DeNAにも1・5ゲーム差。岡田彰布監督(66)も「(気持ちが)伝わってこうへん」と大激怒だ。このままでは甲子園でCSが見られない?大敗した前夜とは異なる1点差の惜敗。しかし、勝利という結果がほしい終盤戦で痛い連敗となった。試合後、バスに乗り込む岡田監督はいら立ちを隠さなかった。「俺が1人カリカリ怒ってるだけやんか。あとは何もないわ」。投打にあと1歩かみ合わない。悔しすぎる黒星だ。2-2と追いついた直後の6回1死。DeNAオースティンに、村上が投じた149キロ直球を右翼ポール際へ運ばれた。指揮官は「真っすぐはないやろ」とツッコミ。前日に2安打を許し、この日も3回に2点目の適時二塁打を許していた強打者。「いやもう、一緒や。昨日と。力勝負では勝てんて。何十回言うてんのや」。追いついた直後の痛恨の1発。声には怒りがにじんだ。カード初戦で敗れ迎えたこの日は、打線をテコ入れして臨んだ。4番には7月12日中日戦以来47日ぶりに大山を据えた。長らく4番に座っていた佐藤輝は6番に降格。井上を5月18日ヤクルト戦以来のスタメンで起用し5番に置いた。打順変更はピタリとはまり、初回2死二塁で大山が先制打。1点を追う6回には井上がプロ初本塁打となる一時同点ソロ。しかし、得点はその2点にとどまった。大山の4番復帰について問われ「そら(27日までの)4番が打てへんからや。打てへんやろ、ずっと。ようつこうた(使った)ほうやで」と話した指揮官。その佐藤輝は2三振を喫すなど4打数無安打。2回には悪送球で昨季と並ぶ自己ワースト20失策となり、投打で精彩を欠く形となってしまった。首位広島、2位巨人が勝利したため、独り負けの形となり、両チームと5ゲーム差に広がった。これで自力2位の可能性も消滅。CSの甲子園開催がかすむどころか、4位DeNAが1・5ゲーム差に迫り、CS争いに巻き込まれる危機さえ出てきた。8月の勝率5割以下が確定。切り替えて目の前の試合を戦うしかないだろうが...。「そんなんも伝わってけえへんけどな!」と嘆いた指揮官。なんとか上位2チームに食らいつき、4位を突き放すしかない。【磯綾乃】佐藤輝(6番降格で4打数無安打)「(打順は)特にないと思います。(DeNA東は)本当にいいボール投げてたんで。そこですね。はい」村上(中10日で粘投も6回5安打3失点で9敗目)「(決勝本塁打は)高かったなと。しっかり低めに投げていれば。追いついてもらった次のイニングでホームランされたんで、申し訳ない。あそこで1点が本当に無駄だった」○...3位阪神が敗れ、上位の広島と巨人がそろって勝ったため、阪神の自力2位の可能性が消滅。首位広島、2位巨人とはともに今季最大タイの5差に広がった。巨人と広島が阪神に全敗しても他球団に全勝かつ直接対決の結果次第では、阪神が残り24試合に全勝しても両チームを上回らないため。一方で4位DeNAも1・5差に迫っており、6年連続Aクラス入りへ落とせない戦いが続く。

◆DeNAタイラー・オースティン外野手(32)が決勝ソロを右翼席に放り込んだ。阪神井上のソロで同点に追い付かれた直後の6回、1発でやり返した。1死から、村上が投じた外角真っすぐを逆方向へ。「相手は素晴らしい好投手。いい球が来たらコンパクトに打ち返す意識でした。すべての選手は全力プレーで、決死の覚悟で頑張っています」。22号で、リーグトップを走るヤクルト村上の23本へあと1本に迫った。

◆夏の近本が止まらない。阪神近本光司外野手(29)がマルチ安打を放ち、プロ野球歴代2位タイの記録に並んだ。まずは2回2死一塁。「甘かったので」と左腕東の初球131キロスライダーを捉えてライナーで左前へ。13試合連続となる安打を決めた。7回には再び東から中前打。外角低め126キロスライダーをすくい上げてライナーで運んだ。いずれも外角のボールを捉えた安打。「元々、外中心のピッチャーなので。要所要所でインコースは来ますけど。分かっていても打てないのが東だと思うので」と冷静に振り返った。この2安打で自身通算905安打に到達。プロ6年目までの通算安打数では青木宣親(ヤクルト)に並んで球界歴代2位となった。1位の長嶋茂雄(巨人=926安打)にも21安打と迫る。チームは残り24試合を残しており、1試合1本のペースで安打を重ねれば「長嶋超え」に到達する勢いだ。8月はここまで月間打率3割9分2厘と絶好調。この2安打で今月38本目の安打となった。月間安打数は20年8月に並び、すでに自己最多。10年8月に鳥谷敬が記録した球団記録43本にも、あと5本に迫る。1打席1打席に集中して重ねてきた安打数。結果を残しながらも近本は冷静だった。「別に手応えとかそういうのは関係ない。その試合で勝つプレーができるかどうかだと思うので」リードオフマンの好調ぶりは、逆転Vへの明るい材料だ。【波部俊之介】

◆DeNAが阪神との勝負の3連戦で2連勝を飾り、7月29日以来1カ月ぶりに勝率5割に復帰した。2戦目を託された東克樹投手(28)が7回8安打2失点の好投で11勝目。昨年8月から続くクオリティースタート(6回以上、自責点3以下)も31試合連続に伸ばした。打線は6回にタイラー・オースティン内野手(32)が、右翼席へ勝ち越しの22号ソロを放った。3位阪神とのゲーム差は1・5となり、いよいよ虎の背中が見えてきた。気迫のこもった105球だった。7回2死一、三塁で阪神森下を中飛に打ち取ると、東は左拳を力強く握り、ベンチ前で女房役の山本とグラブタッチを交わした。「死ぬ気で投げました。本当にこの3連戦がチームにとって、天王山というぐらいの覚悟を持って臨んでいる」。重要な3連戦と自覚しているからこそ、感情むき出しで投げた。3位阪神との直接対決。「3連敗すれば6・5ゲーム差、3連勝すれば0・5ゲーム差。気合はかなり入ってたかなと思います」。初回、2死から森下が放った飛球を中堅手蝦名が見失い、二塁打に。続く大山に右前適時打を浴び、悔しさをあらわにした。それでも、簡単に崩れないのが東の真骨頂。井上に二塁打を打たれ、なおも二、三塁とするも、佐藤輝を空振り三振に抑えた。最少失点で食い止めた。ベンチに戻ると、山本が「切り替えろ」と声をかけてくれた。2回以降は持ち直し、7回2失点にまとめた。昨夏から続くQSは31試合に伸びた。「しっかり切り替えることができて、自分らしく試合をつくることはできたかなと思います」と振り返った。前日のミーティングで、今季残りのスローガンが「勝ち切る覚悟」に決まった。東が粘り、山本が支えた。同点に追いつかれた直後の6回にはオースティンが決勝本塁打を放った。1点差の9回は、森原が3者凡退で締めた。三浦監督は「牧がキャプテンとして、こういう言葉を鮮明に掲げてくれたことによって、より気持ちが1つになれたかなと思います」と、一丸の勝利にうなずいた。これで7月29日以来の勝率5割復帰。3位阪神とのゲーム差は1・5に縮まった。東はお立ち台で「明日からも試合は続くので、熱いご声援、もっともっとお願いします」。DeNAが上位争いに食い込んできた。【水谷京裕】森原(1点差の9回、代打攻勢の阪神を3人で抑えて23セーブ目)「出し切るものを全部出そうと思ってマウンドに上がりました。選手1人1人、力の限り、僕もみんなに負けないように頑張っている」

◆昨年12月27日、井上にとって懐かしいメンバーが大阪梅田に集まった。19年夏の甲子園を制した履正社野球部の同学年メンバーと彼らを率いた岡田龍生氏(63=現東洋大姫路監督)が、イタリアンの店で乾杯した。岡田氏が「みんなもう大人になったから」と開いてくれた忘年会。恩師からは猛烈なゲキをもらった。「もう1人じゃないんだから。父親なんだから、今年は最後くらいのつもりで野球に取り組め」井上は「みんな1人ずつ監督に説教みたいなのを...」と頭をかいたが、胸に響いたことは確かだ。履正社の濃紺の制服を着ていた高校球児も23歳。家庭を持った。大卒の同期は社会人1年生として奮闘している。「甲子園で優勝したことはやっぱり思い出ですね。甲子園で活躍してプロに入れたので」と高校時代の仲間たちに感謝を忘れない。恩師の思いにも応える1発となった。【阪神担当=村松万里子】

◆この時を待っていた。阪神井上広大外野手(23)がプロ1号アーチを放った。1点ビハインドの6回1死。DeNA東の初球141キロカットボールを左翼席へ放り込んだ。「切れないでくれ!」と祈りが通じた。プロ5年目。通算32試合、82打席目での待望弾だ。「ここまで長かった」。本音も漏れた。壁を破るため、不退転の覚悟で導入したのがノーステップ打法。左足をほとんど上げないスタイルを昨年夏場から突き詰めた。当初は結果につながらず「なんかもう、ノーステップやめた方がいいんじゃないかとか、自分の中で葛藤とかはあった」。それでも負けなかった。確実性も増し、初回は左翼線への二塁打。マルチ安打で5月18日以来、3カ月超ぶりのスタメン起用に応えた。もう1人じゃない。家に帰れば妻と娘がいる。1歳半を過ぎた愛娘は「ご飯とかも自分で食べたがります」とすくすく成長中。夏前には関西最大規模の水族館「海遊館」に遊びに行った。「動きが速い動物が目の前を通ると怖がって。すぐに『わ~』って近づいてきます(笑い)」。必死にパパを求める愛らしい姿を見て、英気を養ってきた。昨年は香川・丸亀。今年春先には広島・由宇にまで応援に来てくれた。妻の家族も含め、車でどこまでも遠征してくれる。「まだまだどれがパパか分かっていないと思いますけど、野球をやっている、ユニホームを着ているというのは分かっていると思う。そういうのを見たら、頑張ろうと思いますね」スタンドから返ってきたホームランボールは「母に贈りたい」。もちろん、女手一つで育ててくれた母貴美さんへの感謝も忘れていない。豪快弾は井上ファミリーの絆の結晶だ。高校通算49本塁打の打棒で、履正社(大阪)では夏の甲子園を制し、2軍でも47本のアーチを積み重ねるロマン砲。「この1本をきっかけに、チームのために積み重ねていけるように」。かっこいいパパの姿をまだまだ見せる。【村松万里子】

◆【日刊スポーツ西日本写真映像チームのとっておき映像プレイバック】28日のDeNA戦で阪神井上広大がプロ初本塁打を記録しました。履正社の主砲として甲子園の優勝に導き、ドラフト2位で阪神入団。ケガと戦いながらも着々と成長する虎党期待の星をご紹介します。

◆台風10号の影響で、29日のDeNA-阪神戦(横浜)、ヤクルト-巨人(神宮、ともに午後6時開始)が悪天候が予想されるため中止が午後1時すぎに発表された。4連勝中の2位巨人は首位広島に0ゲーム差で、4位DeNAが2連勝中で迎えた今カードは3位阪神に1・5ゲーム差に迫っていた。また30日の広島-ヤクルト戦(マツダスタジアム、午後6時開始)も台風の接近に伴い、中止が発表された。

◆阪神・岡田彰布監督(66)が、試合前練習で石井大智投手(27)、桐敷拓馬投手(25)と話し込んだ。ベンチを出た指揮官は、投手陣が調整するセンター付近へ一直線。両中継ぎ投手と談笑した。石井は27日の同戦で2試合連続の3失点。桐敷もチーム最多の55試合に登板するなど疲れが目立つ時期に来た。今季中継ぎ陣を支えてきた左右のリリーフに、虎将からメッセージが送られた。

◆29日の19回戦に先発する阪神・才木浩人投手(25)はショートダッシュなどで調整した。中8日での登板となる横浜スタジアムは、5月12日に一度だけ登板があり、完封勝利を達成している。強力DeNA打線との対戦へ、「(打率が)3割近くある選手が多いし、やっぱそういうバッターと対戦できるのはすごく楽しみ。どんどん思い切って勝負できたら」と意気込んだ。台風10号の接近に伴い天候は心配されるが、「台風なのでそこはもうしょうがないですけど、自分ができる範囲でしっかり準備とかできたらいい」と最善の準備を尽くす。

◆37試合ぶりに4番に座った阪神・大山悠輔内野手(29)の適時打で先制に成功した。一回、先発の東から簡単に2死を取られ、3番・森下も2球目を打ち上げる。しかし中堅の蝦名が薄暮の空にボールを見失って落下地点に入れず。白球がグラウンドに弾む間に森下は一気に二塁を陥れ、2死二塁とチャンスを作った。ここで7月12日以来の4番に座った大山が、追い込まれながら外角のボールを右前へ。4番に戻ってきた男が2試合連続の先制点をたたき出した。

◆先発した阪神・村上頌樹投手(26)に一回からアクシデントが襲われたが、後続を切った。先頭の梶原を2球で追い込まれながらも3球目を痛打され、鋭い打球が左足に直撃。ボールは三塁線へと跳ね返り、内野安打で先頭打者に出塁を許した。思わず顔をしかめるしぐさもあり、安藤投手コーチとトレーナーが慌ててマウンドに駆け寄った。それでも投球練習をしてすぐに試合を再開し、影響を感じさせない投球をみせる。蝦名の犠打で1死二塁と得点圏に走者を背負ったが、佐野を外角直球で見逃し三振。オースティンもフォークで連続三振に斬り、アクシデントにも負けずに立ち上がりを無失点に抑えた。

◆阪神・村上頌樹投手(26)が三回、逆転を許した。1―0の三回。1死から1番・梶原を二塁内野安打で2打席連続の出塁を許すと、盗塁を決められて1死二塁と3イニング続けて走者を背負うと、2番の蝦名に失投をとらえられ、右翼線への同点二塁打を浴びた。さらに2死となって27日に2安打のオースティンを迎えると、カットボールを左中間にはじき返され、またもや適時二塁打とされて1-2と試合をひっくり返された。27日は14安打10得点と好調のDeNA打線相手に二回まではテンポのいい投球を続けていたが、2巡目の上位打線に捕まってしまった。

◆阪神・村上頌樹投手(26)が超スローカーブで球場を沸かせた。1-2と逆転を許した直後の四回。先頭の宮崎を三振に取った後、山本への2球目だった。打者も、審判も上を見上げるような山なりのカーブが坂本の要求通りのコースにピタリ。球審はストライクのコールで打者の山本も思わず苦笑いし、スタンドからはどよめきが起こった。球速表示はなんと65キロ。このボールを生かして山本を三振に取ると、続く林も見逃し三振に。三者連続三振の好投で立ち直った。

◆阪神・井上広大外野手(23)がプロ初本塁打を放ち、同点に追いついた。2-1の六回1死から初球を狙った。東の141キロを仕留めると、左翼スタンドへ一直線。?み締めるようにゆっくりとダイヤモンドを一周し、ベンチでは手荒い祝福を受けた。井上はプロ通算82打席目での一発。この日約3カ月ぶりのスタメンに抜てきされた若虎が、値千金の同点弾で試合を振り出しに戻した。

◆阪神・村上頌樹投手(26)が六回、DeNAのタイラー・オースティン内野手(32)に痛恨の勝ち越し弾を浴びた。井上のプロ初本塁打で2-2に追いついてもらった直後の六回だった。1死後、オースティンへの2球目。直球をはじき返されると、オースティンは打席で確信歩き。一直線に右翼スタンドに飛び込んだ。オースティンには三回の第2打席にも勝ち越しの二塁打を打たれており、この日2打点目。今季阪神戦6本目の一発を浴び、瞬く間にビハインドに後戻りしたしまった。

◆DeNA打線の1、2番コンビが突破口を開いた。阪神先発の村上に対し、立ち上がりは切れのある直球に押されたが、1点を追う三回に畳みかけた。1死から梶原が二塁内野安打で出塁し、続く蝦名の2球目に二盗を決めて好機を演出。蝦名は高めに浮いた3球目の直球を右翼へ運び、適時二塁打で試合を振り出しに戻した。3試合連続で2番に入った右打者は「ボール気味ではあったけど、逆らわずに捉えることができた」と振り返った。さらに、2死後にオースティンが左中間を破る適時二塁打。エースの東を援護した。名誉挽回の一打だった。中堅の蝦名は一回2死で打ち取ったはずの飛球の行方を見失い、先制点につながる二塁打を献上していた。3位阪神との3連戦の2戦目。4位のチームは前夜の大勝でゲーム差を2・5に縮め、弾みをつけて勝負を迎えた。三浦監督はさらにゲーム差を詰めるため「やるべきことをしっかりやれるか。ミスがあったときにカバーできるか」と気を引き締めていた。結束したナインは流れを渡さず、阪神に食い下がった。(鈴木智紘)

◆阪神は接戦を落とし、2連敗。一回は2死から森下のフライを外野手が見失いラッキーな形で二塁に走者を置くと、4番に入った大山が起用に応え、右前の適時打を放って先制に成功する。しかし中10日で先発した村上が三回に2失点で逆転を喫してしまう。それでも追い上げる六回にはこの日スタメンに抜てきされた井上が左翼スタンドへ一直線に飛び込むプロ初本塁打をマーク。高卒5年目の大砲候補の一打で試合を振り出しに戻した。だが、村上が股も踏ん張れない。同点に追いついた直後の守備で、前の打席でも適時打を打たれたオースティンに確信の本塁打を浴び、すぐさま勝ち越し点を与えてしまった。七回以降はDeNA投手陣の勝ちパターンを打ち崩すことはできず。4位DeNAを相手に2連敗でカード負け越しも決定。1.5ゲーム差に詰め寄られる手痛い黒星となった。

◆DeNAが3連勝で勝率5割復帰。0―1の三回に蝦名とオースティンの適時二塁打で2点。2―2の六回にはオースティンの22号ソロで勝ち越した。7回2失点の東が11勝目を挙げ、森原が23セーブ目。阪神は村上が9敗目を喫した。

◆四回先頭で遊飛に倒れた阪神・佐藤輝明とベンチの岡田彰布監督=横浜スタジアム(撮影・松永渉平)

◆阪神が痛い連敗。4位DeNAに1・5差に迫られた。六回に「5番・左翼」井上広大外野手(23)のプロ82打席目の初本塁打で追いついた直後、村上頌樹投手(26)がタイラー・オースティン内野手(32)に浴びた勝ち越しソロの1点が決勝点となった。7月12日の中日戦(バンテリン)以来の「4番」に入った大山悠輔内野手(29)の右前打で先制するが、7月2日の広島戦(マツダ)以来の「6番」に降格した佐藤輝明内野手(25)は4打数無安打2三振。二回には一塁悪送球による失策を記録した。村上は6回3失点で9敗目(5勝)。チームは残り24試合で首位に5差。8月の勝ち越しがなくなった岡田彰布監督(66)の主な一問一答は以下の通り(成績=58勝55敗6分、観衆=3万2959人)。ーーオースティンもいい打者だが「真っすぐはないやろ」ーー27日もやられた「いやもう、一緒や。昨日。力勝負では勝てんて。何十回言うてんのや」ーー井上は期待に応えた「おーん。初ホームランやろ? そら応えたけどなぁ」ーー4番大山に変えたのは対東や、各打者の調子も踏まえてか「そら4番が打てへんからや。打てへんやろ、ずっと。(佐藤輝を)よう使うた方やで」ーー目の前の試合をと言っていたが切り替えて「そんなんも伝わってけえへんけどな」ーー萎縮してしまっているか「そんなん、ないやんか。俺が一人カリカリ怒ってるだけやんか。あとは何もないわ」

◆阪神が痛い連敗。4位DeNAに1・5差に迫られた。六回に「5番・左翼」井上広大外野手(23)のプロ82打席目の初本塁打で追いついた直後、村上頌樹投手(26)がタイラー・オースティン内野手(32)に浴びた勝ち越しソロの1点が決勝点となった。7月12日の中日戦(バンテリン)以来の「4番」に入った大山悠輔内野手(29)の右前打で先制するが、7月2日の広島戦(マツダ)以来の「6番」を務めた佐藤輝明内野手(25)は4打数無安打2三振。二回には一塁悪送球による失策を記録した。村上は6回3失点で9敗目(5勝)。チームは残り24試合で首位に5差。主な選手のコメントは以下の通り(成績=58勝55敗6分、観衆=3万2959人)。オースティンに浴びた勝ち越しソロに村上頌樹 「高かったなと。しっかり低めに投げていれば...」八回に登板し、無失点の桐敷拓馬 「最後もオースティン選手だったので、前の打席で一発あったので、丁寧に投げていきました(二ゴロに仕留める)」2安打も1点差敗戦に近本光司 「手応えというよりは、その試合で勝つためのプレーが出来るかどうかなので」プロ初本塁打に井上広大 「長かったですけど、この一本をきっかけに...。(ホームランボールは)帰って来ました。母に送ろうかなと思います」無安打の佐藤輝明 「(打順は)特に関係ないと思います。(今の状態は)いや、もう関係ないと思います」DeNA・東について森下翔太 「12球団トップじゃないかなと思います。自分は。投げミスのなさは」4番について大山悠輔 「打順は関係ないです」

◆【プロ野球DeNA対阪神】お立ち台でポーズをとるDeNAの(左から)オースティン、東克樹、森原康平=横浜スタジアム(撮影・荒木孝雄)

◆現役時代は阪神、南海で活躍し、引退後は阪神で投手コーチやフロントでも尽力したサンケイスポーツ専属評論家の上田二朗氏(77)は6番に降格し、4打数無安打2三振1失策に終わった阪神・佐藤輝明内野手(25)に言及した。毎度おなじみ、ロースコアの接戦を落とした。相変わらず打線の援護がない。6回3失点の村上を責めるつもりはない。ただ連日、オースティンに打たれているので、検証はしたい。私の経験上、外国人の右打者に100%当てはまる傾向がある。外角低めへボール球になる変化球は必ず振ってくる。オースティンもそうだ。うまく抑えたのが1打席目。見事な攻めだった。ところが、同じ変化球がストライクゾーン内の変化になるとバットが届く。それが三回の適時二塁打。六回の本塁打は真っすぐが甘かった。結局、甘く入ると間違いなくやられている。これは初戦の伊藤将も同様。バッテリーで、いかに厳しいコースでの勝負を徹底できるか。ただ今季の村上が絶好調だった昨年に比べると、勝負所で甘くなってしまっているのが影響しているともいえる。打線では佐藤輝の奮起を願う。ミスや凡打で表情が出ない性格なのだろう。私は彼がチームリーダーだと思っている。表情に出して「ゴメン!」と声に出して、引っ張ってもらいたい。期待しているからこそ、指摘させてもらう。

◆阪神・大山が一回2死二塁から先制の右前打を放って、7月12日の中日戦(バンテリンドーム)以来37試合ぶりの4番起用に応えた。「打順は関係ない。結果なんで。負けてしまったので、そこは反省しないといけない」。二回以降は東を打ち崩せず、得点は六回の井上のソロアーチだけ。DeNAに連敗し、首位広島とは5ゲーム差となったが「また明日からしっかり、いい準備をしてやりたい」。ファイティングポーズは崩さなかった。

◆大山の4番復帰に伴い、7月2日の広島戦(マツダ)以来となる「6番」に降格した阪神・佐藤輝は4打数無安打2三振と精彩をかいた。「(打順の影響は)とくにないと思う。(東は)本当にいい球を投げていたので。そこですね」と相手左腕に脱帽するしかなかった。守りでも二回1死から宮崎の打球を処理した後、一塁悪送球。失点には結びつかなかったが、リーグワーストの失策数は20となった。

◆導いてくれ、虎を明るい未来へ-。阪神はDeNAに2-3で連敗。首位広島と2位巨人に5ゲーム差に離され、4位DeNAに1・5ゲーム差に迫られた。自力2位の可能性もついに消滅し、Bクラスが目前に迫る危機的状況。唯一の希望は、六回にプロ初本塁打を放った井上広大外野手(23)だ。自慢のパワーをやっと1軍で見せつけた大器が、ここから虎を救うしかない!横浜スタジアムに、野球人生の1ページを刻む快音が響く。手応えは十分。「切れないでくれ―」。井上は打球を見つめ、祈りながら一塁へ歩き出した。プロ5年目、82打席目で飛び出した初本塁打。笑みがこぼれ、かみしめるようにダイヤモンドを一周した。「バッティングコーチからも『カウント球を仕留めないと結果は出ないよ』といわれていた。練習から意識してやった中だった。1点差で負けている場面で出たので、よかったかなと思います」25日に1軍に帰ってきたばかりの若虎が「5番・左翼」で5月18日以来のスタメンに抜てきされた。1点を追う六回。DeNAのエース、東をひと振りで仕留めた。「空振りしてもあと2球振れるなっていう考えで、楽に打席に立てた」。初球を一閃すると、白球は左翼スタンドへ一直線。この一発をずっと待っていた虎党の元へ突き刺した。岡田監督も「初ホームランやろ? そら(期待に)応えたけどなぁ」と評価。一回にも三塁線を破る二塁打。与えられたチャンスをつかんだ。履正社高時代は通算49本塁打のスラッガーで、2019年に行われた3年夏の甲子園決勝では0-1の三回に星稜・奥川(現ヤクルト)から逆転3ランを放ち、全国制覇を成し遂げた。2020年D2位で入団。長距離砲としての期待を一身に背負ってプロの世界に飛び込んだが、長い道のりだった。昨年まで1軍出場はわずかに21試合。なかなか定着することはできなかった。

◆阪神・森下は一回に中堅へ飛球を打ち上げたが、薄暮の空によって蝦名がボールを見失うラッキーな二塁打。8試合連続安打となり、大山の先制打でホームを踏んだ。だが、2打席目以降は快音は聞かれずチームも逆転負け。「(DeNAに)3連敗は絶対にできない。勝てば、気持ちとしても『まだやれる』となれるので。なんとしても勝ちたい」と3戦目へ気持ちを切り替えた。

◆ハマの大砲にまたやられた。絶対に落とせないと乗り込んだ横浜の地。立ちはだかるオースティンという難敵。この悪夢を今年は何度見せられたことか。学習能力なく力技で挑んだバッテリーに阪神・岡田彰布監督(66)は怒りを募らせた。「真っすぐはないやろ。一緒や。きのう(27日)と。力勝負では勝てんて。何十回言うてんのや」2度の〝勝ち越し打〟はいずれもハマの助っ人に浴びた。1-1で迎えた三回2死二塁。村上は甘く入ったカットボールを左中間に運ばれた。井上のプロ初ホームランで同点に追いついた直後の六回1死。村上-坂本は初球から2球続けて真っすぐを選択。これが悪手だった。カウント1-0からの外角直球をはじき返され右翼席へ。22号ソロに打ちひしがれる村上を見つめた指揮官の表情は、あきれ果てていた。オースティンの決勝打で散る-。何もこの一戦に限ったことではないから、虎将の怒りは収まらない。これが今季の対阪神戦6本目の本塁打。セ界で最も被弾しているのが虎だ。13打点もヤクルトと並んでワースト。これだけ打たれても、変化を加えることもない。なすすべなく、ただ真っ向勝負にいったバッテリーが許せなかった。

◆セ・リーグ4位のDeNAは28日、阪神18回戦(横浜)に3-2で競り勝ち、クライマックス・シリーズ(CS)進出圏内の3位阪神とのゲーム差を1.5に縮めた。東克樹投手(28)が7回8安打2失点と力投し、自身3連勝となる11勝目。連勝を3に伸ばしたチームは3カード連続の勝ち越しを決め、7月29日以来、1カ月ぶりに勝率を5割に戻した。心の重しの置きどころが違った。歓声が束になって降り注いだお立ち台で、玉の汗を浮かべた東が息をついた。「この3連戦が天王山の覚悟を持って臨んでいる。本当に死ぬ気で投げました」3位阪神との3連戦の2戦目。立ち上がりから飛ばした。一回に味方の守備の乱れをカバーできずに先制点を許すと、自らに腹を立ててグラブをたたくほどの気合の入りようだった。山場はオースティンのソロ本塁打で1点を勝ち越した直後の七回。球数が100球に達し、2死一、三塁で森下を迎えた。得点圏打率が3割を超える好打者にボールが先行したが、5球目のスライダーで中飛に仕留め、拳を握りしめて雄たけびを上げた。並々ならぬ思いのこもった投球で昨年8月から31試合連続のクオリティースタート(先発で6回以上、自責点3以下)を記録。崩れない男の本領を発揮し、三浦監督は「相当、神経をすり減らしながら投げたと思う。本当に粘り強く投げてくれた」とねぎらった。

◆セ・リーグ4位のDeNAは28日、阪神18回戦(横浜)に3-2で競り勝ち、クライマックス・シリーズ(CS)進出圏内の3位阪神とのゲーム差を1.5に縮めた。東克樹投手(28)が7回8安打2失点と力投し、自身3連勝となる11勝目。連勝を3に伸ばしたチームは3カード連続の勝ち越しを決め、7月29日以来、1カ月ぶりに勝率を5割に戻した。舌が滑らかだった。DeNAのタイラー・オースティン内野手(32)はヒーローインタビューで決勝弾について問われ、勝利投手の東をまねして「(山本)祐大のおかげです」とおどけた。同点に追いつかれた直後の六回だった。外角に来た村上の直球を逆らわずにはじき返し、右翼席に運ぶ22号ソロ。三回の適時二塁打を含む2安打2打点で4番の役目を果たし「いい試合を続けることができている。この流れを今後につなげていきたい」と納得の表情を浮かべた。10試合連続安打で打率は・307。規定打席には16打席不足するが、このまま試合に出続ければ、到達も射程圏だ。本塁打数はリーグトップのヤクルト・村上に1本差に迫った。頼もしい助っ人は「決死の覚悟で頑張る」と決意をにじませた。

◆八回に登板した阪神・桐敷が1回無失点で抑えた。2死一塁からオースティンを二ゴロに仕留め「前の打席で一発あったので、低く低く。丁寧に投げていきました」。試合前練習では石井とともに岡田監督に呼ばれ、主に配球面についての助言を受けた。「きょうも意識していきましたし、次も意識してやっていきたい」。登板数はリーグトップの56試合。岡田の金言を胸に、残り24試合を走り抜ける。

◆好投手が相手でも、打てるわずかなボールを見逃さない。阪神・近本光司外野手(29)は打線が7回2失点と苦しめられた東からマルチ安打。勝利には届かなかったが、積み重ねたヒットで複数の安打記録達成に近づいた。「もともと外中心のピッチャーなので。要所でインコースには来ますけど。わかっていても打てないのが東なので」二回は2死一塁で東の初球を捉えて左前へ。連続試合安打を「13」に伸ばすと、七回は1死一塁で逃げるスライダーを中前に運んだ。空振り三振に倒れた五回も含めて東との対戦では4打席、計13球全てが外角付近のボールだった中で、打てる球を着実にヒットゾーンに運んだ。この2安打で8月の安打数を38とし、自身が2020年8月に記録した月間の最多安打数に並んだ。9連戦もあったタフな1カ月で好結果をキープし、鳥谷敬が記録した球団最多記録の月間43安打にも残り3試合であと5本に迫る。台風の接近で試合の開催が危ぶまれるが、令和のヒットメーカーが球団の歴史に名を残す可能性が出てきた。通算でも入団から6年目までの安打数が905となり、青木宣親とタイの歴代2位に浮上。1位の長嶋茂雄にも残り24試合であと21本に迫っている。活躍を続ける中、近本自身は惜しくも勝利に届かなかった無念さを言葉ににじませた。「(安打が続いている)手応えというよりは、その試合で勝つためのプレーができるかどうかなので」連覇を目指すチームのため、勝利に近づく安打を重ねていく。(邨田直人)?...阪神・近本が2安打を放ち、両リーグ最多となる8月38安打目をマークした(2位のヤクルト・長岡が37安打)。2020年8月にマークした月間安打数の自己最多に並び、残りは3試合。球団最多は2010年8月に鳥谷が記録した「43」?...近本は七回の安打で通算905安打目をマーク。入団6年目までの安打数で、歴代2位のヤクルト・青木宣親に並んだ。同1位は長嶋茂雄の926安打

◆中10日で先発した阪神・村上は、井上のプロ初アーチで同点となった直後の六回1死からのオースティンへの被弾を悔やんだ。「追いついてもらったのにホームランされて申し訳ない。あの1点が本当に無駄だった」。1-0の三回にも蝦名に同点二塁打を許し、オースティンに左中間に勝ち越しの二塁打を浴びた。「(ボールが)高かった。しっかり低く投げれば結果は変わったのかなあ」と猛省。村上は6回5安打3失点で、今季9敗目(5勝)となった。

◆阪神・井上広大外野手(23)が28日、DeNA戦(横浜)の六回に待望のプロ初本塁打を放った。全国制覇した大阪・履正社高でともにクリーンアップを形成し、現在は社会人野球の日本製鉄瀬戸内(兵庫)でプレーする内倉一冴さん(23)がサンケイスポーツを通じて祝福メッセージを寄せ、同級生だからこそ知る井上の素顔を明かした。友人に聞いて急いでネットで見直しました。ものすごい弾道でしたね。思わず高校時代を思い出しました。ホームランを打つ力はあると思っていましたが、久しぶりのスタメンでいきなり結果を出して、さすがだなと思いました。あんなに速いボールに強かった井上が苦しんでいるのを見て、やっぱりプロのレベルは違うんだろうなと思っていました。そんな中で高校生のときと変わらず、自分で考え抜いて、ノーステップ打法に変えて結果を残した井上を、素直にすごいなと思います。高校時代から誰よりも負けず嫌い。チームが勝っても自分が打てなかった試合では、周りにもわかるくらいに悔しそうにしていました。そんな日はすぐに試合会場から帰ってバットを振っていました。だからこそ、とにかく頼りになる4番でした。井上の打球は、打った瞬間にはるかかなたに飛んでいくんです。5番を打っていた自分は、何度もネクストから見上げていました。その中でも一番印象に残っているのは、甲子園の決勝で奥川から打った一本よりも、大阪大会決勝でのホームラン。自分のエラーで先制点を許してしまい、なかなかチームが打てない中で同点のソロでした。そこからチームは逆転して、創部初の大阪大会春夏連続優勝をして甲子園に。あの試合に勝てたのは本当に井上のおかげ。優勝が決まって「マジでありがとう。打ってくれてよかった」と何度も伝えましたが、「あーい」って、聞いているような聞いていないような返事をされたことも懐かしいです。

◆お~い、ここにきてDeNAに連敗するかァ!? 腹立つけどこれが阪神タイガース!! 巨人が38度セ・リーグ優勝しているのに対し、阪神はわずか6度...。たかが一試合、されど一試合...。本日の試合だけでもその違い...。ズバリ、野球に向き合ったときの『執念』のなさを感じて悲しいよ~!!同点の六回1死でオースティンに決勝アーチを許した村上だけど、出塁させても絶対に走らないんだから四球でもええやんか~!! ベンチも1点を追う七回、代打・小野寺がヒットで出塁したら即代走・植田やろー! 次の近本の中前打で一、三塁になっとったわ!! 何ボ~ッとしとんねん!? その後の中野にも代打・渡辺いったれよ!! てか、中途半端な6番・佐藤輝って何なん? スタメンで渡辺でええやろー!!23歳の若虎井上のプロ初ホームランを勝利に結びつけヒーローにできない球団と、19歳浅野の活躍を勝利につなげる巨人...。何がこの球団には足りないのか? 次の100年のために、しかと考えよーや!!

◆会心の一発だったなぁ。井上のプロ1号にスカッとさせてもらった。できることなら、ヒーローインタビューを受けさせてあげたかった。ハマスタの半分近くを埋めた虎党に手を振らせてあげたかった。なのに、惜敗。振り向けばベイスターズ...。逆転Vを叫んでいるが、3位は大丈夫なんだろうか? 夏の記憶がタテジマまさかの急降下?! いや、ここから急上昇してくれると信じよう。虎の話題は別にして、この夏、イチバン印象に残ったのは、何と言ってもパリ五輪だ。金メダリストたちの奮闘はもちろんだが、それ以上に衝撃的だった光景がある。毎朝のように、エッフェル塔をバックに、日の丸の鉢巻きを巻いて、画面の向こうから...。「ボンジュ~~~~~~~~ル!」叫んでいた声の主はタテジマのレジェンド・鳥谷敬氏。引退後は五輪などを見聞して視野を広げたい希望を持っていたのは知っていたが、まさか、これがやりたかったのか?と思ってしまうハジケっぷり。冷静沈着、寡黙でクールなイケメンの「鳥谷さん」のイメージが、根底から覆った現地リポートは、斬新を通り越して呆然(ぼうぜん)だった。その鳥谷氏が駆け付けたのが、阪神タイガースショップ「TEAM SHOP CLUBHOUSE」のリニューアルオープン。取材に向かったのはルーキー記者・萩原翔だった。

<セ・リーグ順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差残試合 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(-)
広島
60475 0.561
(↑0.004)
-
(-)
31334
(+2)
287
(+1)
45
(-)
49
(-)
0.239
(↑0.001)
2.240
(↑0.02)
2
(-)
巨人
62496 0.559
(↑0.004)
0
(-)
26360
(+3)
317
(+2)
64
(+1)
49
(-)
0.242
(↑0.001)
2.570
(↑0.01)
3
(-)
阪神
58556 0.513
(↓0.005)
5
(↓1)
24386
(+2)
353
(+3)
52
(+1)
34
(-)
0.237
(-)
2.510
(↓0.01)
4
(-)
DeNA
57572 0.500
(↑0.004)
6.5
(-)
27419
(+3)
408
(+2)
85
(+1)
53
(+1)
0.256
(-)
3.080
(-)
5
(-)
中日
49628 0.441
(↓0.004)
13
(↓1)
24306
(+1)
384
(+2)
50
(+1)
35
(+1)
0.238
(-)
2.850
(↑0.01)
6
(-)
ヤクルト
47644 0.423
(↓0.004)
15
(↓1)
28404
(+2)
454
(+3)
79
(-)
53
(-)
0.240
(-)
3.740
(↑0.01)