阪神(☆8対3★)ヤクルト =リーグ戦17回戦(2024.08.20)・京セラドーム大阪=
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ヤクルト
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阪神
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勝利投手:才木 浩人(10勝3敗0S)
敗戦投手:吉村 貢司郎(5勝7敗0S)
  DAZN
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◆阪神は初回、木浪の適時二塁打などで3点を先制する。4-0となって迎えた8回裏には、中野、佐藤輝、大山の適時打で一挙4点を奪い試合を決定づけた。投げては、先発・才木が7回3安打無失点の力投で今季10勝目。敗れたヤクルトは、投手陣が精彩を欠いた。

◆阪神門別啓人投手(20)が1軍に合流した。5月3日の巨人戦(東京ドーム)で敗戦投手になった後、2軍で登板を重ねていた。24日の広島戦(マツダスタジアム)先発が有力視されている。久しぶりに1軍に合流すると、先輩投手や投手コーチとにこやかに会話した。また、22日のヤクルト戦で先発濃厚な青柳晃洋投手(30)も合流した。5月31日のロッテ戦(ZOZOマリン)以来の1軍登板となる。23日の広島戦で、復活後2度目の先発が予想される高橋遥人投手(28)も、京セラドーム大阪に姿を現した。

◆出場選手登録を抹消されている阪神坂本誠志郎捕手(30)がチームに合流した。試合前練習に参加した。最短で再登録ができる21日ヤクルト戦(京セラドーム大阪)から復帰の見込みだ。

◆阪神近本光司外野手(29)が6試合連続で初回の先頭打者として安打を記録した。吉村貢司郎投手(26)の初球をいきなりたたき、ゴロで三遊間を割った。8月13日の巨人戦(東京ドーム)から続く快記録。最近2試合で計7安打と絶好調モードに入っている。

◆阪神木浪聖也内野手(30)が満塁男の面目躍如だ。初回、押し出し四球で1点を先制し、なおも2死満塁から右翼線に二塁打を放ち、2者を迎え入れた。今季は満塁で12打数6安打の11打点となった。

◆歌手May J.が試合前に生歌唱を披露した。大ヒット曲「Let It Go~ありのままで~」を伸びやかなボイスで歌い上げた。「会場の皆さんの熱気がすごかったので、負けないようにというか。皆さんのパワーをいただいて、盛り上がっていけるように一生懸命歌わせていただきました。すごい気持ちいいです。声がすごく響いて、楽しかった。トラコデーで、自分も衣装を準備していただいて、おそろいの方々がたくさんいたので、本当に華やかな雰囲気で」と興奮気味に振り返った。小学生のときに、父に連れられて初めて野球観戦したのが東京での阪神戦だったという。現在、やや苦しい状況にある阪神について「ちょっと小耳にはさみました。勝ってほしいですね」とエールを送った。

◆阪神才木浩人投手(25)がプロ8年目で初の長打を放った。3点リードの4回2死で打席に立ち、ヤクルト吉村の151キロ直球を強振。逆方向へ上がった打球はそのまま伸び、右翼手の頭を越える二塁打となった。プロ通算7本目の安打となったが、これまでの安打はすべて単打。得点には結びつかなかったが、初の二塁打となった。

◆アニメ「Re:ゼロから始める異世界生活」の声優陣が試合前のセレモニーを彩った。試合はKADOKAWA協賛「Re:ゼロから始める異世界生活コラボナイター」として開催された。ナツキ・スバル役の小林小林裕介が始球式を務め「もちろん人生初めて。緊張よりもワクワク、楽しさが勝っていた。こんな貴重な機会をもらえてうれしかったです。少しでも選手の後押しになればと思います」とホッとした表情。ベアトリス役の新井里美は「私が汗かいちゃったよ。うちのリーダー(小林)すごい、かっこいいなあと思って。アフレコの時もかっこいいんですけど、マウンド上の姿もかっこよかったぞ!」と、ほめ上げた。エミリア役の高橋李依は気合のこもった声で阪神のシート紹介に挑戦した。「小林くんが堂々としたピッチングをしてくれて、私もエネルギーを届けられたらと思って、持てる限りの大きな声でアナウンスさせていただきました」と興奮気味。その姿に新井が驚きながら「キャラ、ガン無視で。本人丸出しの」と指摘すると、高橋は「あんなキャラクターはアニメには登場しません。結構、気持ちよかったです」と笑った。ちなみに、花束を受け取った阪神栄枝裕貴捕手(26)、ヤクルト武岡龍世内野手(23)はともにアニメのファン。会話した際に役名を伝えると、大喜びしていたという。

◆/エースへの道\カード頭の責任を果たした#才木浩人 7回無失点7奪三振<投球内容>回数:7球数:118安打:3三振:7四球:2死球:0失点:0?プロ野球(2024/8/20)??阪神×ヤクルト??Live on DAZN#DAZNプロ野球 #hanshin pic.twitter.com/N7hfBjxaVm

◆阪神が才木浩人投手(25)の好投で、引き分けを挟んでの連敗を3でストップした。5カードぶりの初戦白星で、8月に京セラドーム大阪で行われるヤクルト戦は10年8月14日から17連勝となった。才木は初回を3者凡退でスタートすると、連打を許さず安定感ある投球を続けた。前回まで2戦連続で4失点以上を喫するなど苦しんでいたが、7月30日巨人戦(甲子園)以来の白星。これまでのキャリアハイは昨季の8勝で、自身初の2ケタ勝利となる10勝目を手にした。打線は初回に一気にたたみ掛けた。先頭の近本光司外野手(29)が6戦連続となる第1打席安打をマークし出塁。中野が犠打で送った後、森下と佐藤輝の連続四球から2死満塁とすると、前川が押し出し四球を選んで先制。続く木浪聖也内野手(30)が右翼線へ適時二塁打を放ち、2点を追加した。木浪は今季満塁で12打数6安打、11打点目。「満塁男」の勝負強さを見せた。その後なかなか追加点を奪えなかったが、再び先頭近本の左前打、中野の犠打で好機をつくると、2死一、二塁から大山悠輔内野手(29)が左前適時打を放ち、リードを広げた。8回にも3本の適時打で4得点を追加し、試合を決めた。チームは14日巨人戦(東京ドーム)から引き分けを挟んで3連敗中だったが、初回のリードを守り抜きホームで連敗をストップした。

◆阪神が才木浩人投手(25)の好投で、引き分けを挟んでの連敗を3でストップした。5カードぶりの初戦白星で、8月に京セラドーム大阪で行われるヤクルト戦は10年8月14日から17連勝。才木は自身初の2ケタ勝利となる10勝目を手にした。阪神岡田監督の一問一答は以下の通り-才木は空振りも取れていた。本調子ではない中でも「そうやなあ、ちょっとやっぱり力んで球数が増えるからなあ、おーん。だから完封とかしてる春先というか、5月6月に比べると球数がちょっと多なってるよな。力んで高めにいくのがあるから。だから6回、7回の2アウトまではな、ええ感じで行ったんやけどな。だから三振取りに行こうとか、三振の数じゃなしにな、それも意識しとるかも分からんけど、やっぱり1つアウト取ることやからな、三振」-10勝目も自信になる「いや、そらなるよ、そらなるよそら」-2試合連続で苦戦していたところで、しっかり抑えた「いやいや、5回で追いつかれたんがあったからなあ、前回なあ。それは何点差や、あれは4点差か。そういう意味で今日はな、同じような感覚やったからなあ」-岩崎は左2人が並ぶ打順ということもあり8回に「もう最初からそのつもりやった、おーん」-今後は柔軟な使い方になっていく「いやいやそらまだ分からへん、使い方は分からへんけど、まあなあ、あれはもう同点で終わっとるけどな、やっぱり勝ってるゲームのな、あそこで同点に追いつかれてるから、そういうのはあんまり長いことな、そういうのは持っててもしゃあないからな、どっかでそら、すっきりとなあ、次の登板に行けるようにな、それは」-木浪は今年も満塁に強い「まあなあ、大きいよ、あれ。前川のフォアボールも大きいけどな、大山の三振のあとやったからな」-見極めがしっかりできていた。今日何かメッセージを送った?「いや送ってない送ってない。見極めっていうか、でも、だから見極め言うんやったら2回からなんで最初から振っていけへんの。言うたんやけど、だから結局それ出ないんよな。ポンポンとみんなツーストライクやろ? 最初から行けって言うてんのになあ、出ないぶんお前。結局なあ、いい結果が出てる木浪だけやんか最初初球打ったのは。せやろ? 誰1人振らんやろ? そのへんよな、結局は」-岡留は右はいいが左は「だからああいう左バッター、右左そんな関係ないやん。ああいうなあ、村上のフォアボールがいかん。ホームラン打たれたらええやないか、1点お前。岡留にも言うたよ、点差関係ないからなって言ったよ、そらお前、ブルペンから。あれが一番あかん。ホームラン打たれた方がこっちはお前、良かったわ、おーん。ホームラン打たれた方がどこがホームラン打たれたか聞けるやんか。なあ。あれが一番いかんの」-終盤に点が取れた。「久しぶりやな。女神が帰ってきたから今日は」

◆ヤクルト吉村貢司郎投手(26)が今季初めて初回に失点するなど、6回1/3 4失点で7敗目を喫した。高津監督は先発右腕について「打たれることの恐怖心に耐えられなかったんだろうね。メンタルの部分と配球は勉強した方がいい。これは(捕手の)松本も含めて。自分たちで首を絞めて、息詰まっているような気がしてしょうがない」と苦言を呈した。

◆阪神中野拓夢内野手(28)が打線のつなぎ役となった。初回無死一塁、7回無死一塁でともに犠打を成功させ、得点につなげた。これでヤクルト中村に並び、リーグトップの25犠打。「2番の仕事でもあると思う。しっかりチームのためにというか、つなぐというのは大事なので」。8回2死一、三塁では左腕山野の直球を捉えて右翼へ2点二塁打。「初回以降、点が取れなかったというのもあったので、終盤チャンスで回ってきたところでしっかり打てましたし、結果的に追加点というのが大きかった」と充実感を漂わせた。

◆ヤクルトの高津臣吾監督(55)が、7敗目を喫した吉村貢司郎投手(26)に配球とメンタル面を学ぶよう訴えた。今季初めて初回に失点を許すなど6回1/3を4失点した吉村について、高津監督は「打たれることの恐怖心に耐えられなかったんだろうね」と厳しい指摘をした。そして「やっぱりメンタルの部分と配球は勉強した方がいいですね。これは(捕手の)松本も含めて。自分たちで首を絞めている、息詰まっているような気がしてしょうがない。もうちょっとストライクの取り方とか自分の球の性質とか、バッターの特徴であったりとかを頭に入れて投げれば、攻めるピッチング、攻める方法はあるんじゃないかと思って見ていました」と話した。打っては9回に阪神3番手の岡留から3点を奪取し、今季13度目の完封負けこそ免れた。次戦へのつながる明るい材料と捉えたいところだが、指揮官は「いやいや。まあ取らないより取った方がいいですけどね」と冷ややかな口ぶり。後手に回る試合展開を嘆き「投げる方の立ち上がりと打つ方のスタメンが頑張ってほしい」と期待した。

◆阪神佐藤輝明内野手(25)が最後に1本を出した。初回は先制点につながる四球でつなぐと、8回2死一、二塁で内野のシフトの逆をつくような痛烈な左前打で1点を挙げた。一時の不振を脱する3試合連続安打。「まあいつも通り、冷静にいけました」と振り返った。4番に座って1カ月以上が経過。調子の波とチーム成績はリンクする。「みんなでムラなく、しっかりランナーをかえせて、いい攻撃ができたと思います。(才木)浩人がしっかり投げてくれて今日はいいゲームだったと思います」。カード初戦の快勝に手ごたえありだった。

◆さすが満塁男! 阪神木浪聖也内野手(30)が面目躍如の2点二塁打で攻撃の主役になった。初回。押し出し四球で先制し、なおも2死満塁のチャンス。強く引っ張った打球は右翼の奥のライン上ではずんだ。「みんながつないで、つないで回ってきている場面でもあるし、満塁というだけで打ってやろうという気持ちになりました」ヤクルト高津監督がファウルでは? とリクエストしたが判定は不変。岡田監督も「大きいよ、あれ」と絶賛した一撃だった。6回にも右翼線二塁打。8回は中前打で猛攻の口火を切った。3安打は今季初めてだ。今日21日に甲子園準決勝を戦う母校青森山田にも最高のエールとなった。満塁では12打数6安打、打率5割の11打点。「本当に分からない。たまたまなのか、運がいいのか...それだけだと思います」と照れた。昨季は「恐怖の8番打者」として活躍した。それが今季はこの日ようやく打率2割台に乗ったほどの打撃不振。さらに6月、死球で左肩甲骨を骨折。復帰に1カ月以上要した。その間、小幡が成長。後輩の故障がなければ立場が変わっていたかもしれない。やり返す-。大事にしている言葉だ。昨年7月。打てずにベンチ最前列で泣いた前川に声をかけた。「次、やり返したらいい。この1試合でプロ野球生活が終わるわけじゃない」前川には伝えなかったが、試合中に涙を見せるのは流儀ではない。まだチームが戦っているからだ。これまで何度も苦しい思いをしてきたが感情は押し殺した。「どんなに悔しくても、やり返すしかない。切り替えてほしい」と後輩への思いを込める。もちろん自分自身に向けられている。逆転5へ、厳しい状況は依然続く。それでも木浪は「引きずらないで1戦1戦。負けたあとに『やり返す』ことを自分たちはできる。それが今日しっかりとできた」と強い口調で言った。残り31試合。逆襲のチャンスは残されている。【柏原誠】

◆阪神近本光司外野手(29)が自己最長となる6戦連続で初回の第1打席に安打をマークし、攻撃の起点となった。ヤクルト吉村の外角直球を捉え、左前打で出塁。「珍しく初球から行きましたけど、結果的に点が入ったので、後続も続いて、いいつながりでよかったと思います」。13日巨人戦(東京ドーム)から連続で初回に安打を放ち、前川の押し出し四球で先制のホームイン。先頭で迎えた7回に今度は粘って9球目を左前に運び、終盤に大きな追加点を呼び込んだ。3試合連続の複数安打を放ち、これで通算安打数は893。プロ6年目では赤星憲広を抜いて歴代単独3位の記録となった。「積み重ねなんで、まだシーズンも残ってるんで、もう少し頑張りたいなと思います」。残り31試合。歴代1位の長嶋茂雄の926安打を目指して、まだまだ安打を積み重ねる。

◆阪神大山悠輔内野手(29)が終盤にたたみかけた。7回と8回に適時打を放ち、カード初戦を8得点の快勝に導いた。得点圏打率は3割4分でセ・リーグトップに躍り出た。3点リードの7回2死一、二塁。ヤクルト2番手山野の2球目、外角低めの134キロフォークを振り抜いた。ライナーで左前に弾ませ4点目。一塁ベース上で大きく手をたたいた。初回と5回の第3打席は先発吉村の前に三振に倒れていた。打線も初回以降、得点を奪えない中、試合の流れを決定づける追加点をたたきだした。「次の1点というのがあったので、それが取れて良かったですし、勝ったので良かったです」とうなずいた。この一打で打線に火を付けると、3点が追加されて迎えた8回2死一、二塁。初球の高めに入ったスライダーを左翼フェンス直撃の適時二塁打。2安打2打点の活躍で大勝を呼び込んだ。これで17日中日戦(バンテリンドーム)から3試合連続でマルチ安打。状態を一気に上げている。背番号3がここぞの一打で打線をけん引している。【村松万里子】

◆阪神が才木浩人投手(25)の好投で、引き分けを挟んでの連敗を3でストップした。5カードぶりの初戦白星で、8月に京セラドーム大阪で行われるヤクルト戦は10年8月14日から17連勝。才木は自身初の2ケタ勝利となる10勝目を手にした。阪神岡田監督の一問一答は以下の通り-才木が粘りの投球「そうですね。フォアボール2つなかったらね、もう1回いかそうと思っていたんですけどね。でも、今日は先に点を、前回もそうだったけど、前回のね、反省も踏まえて、なんとかきょうは。そんなに調子はよくなかったかも分からないけど、粘り強く投げていたんじゃないですかね」-今年の才木は曜日も変わったりしたが、自身初の2桁勝利「いやいや、だから6連戦の頭にね。それは雨があって、ちょっとローテーション再編になったんですけど、とにかくいいピッチャーが6連戦の頭で、才木にしたら7回が最低ラインかもしれないけど、そこまで投げきってくれたのが大きいですね」-打つ方では初回見極めての先制点。近本は6試合連続で初回安打「先制点っていうか、大事なんで。1点の後の木浪の2点が大きかったですね」-クリーンアップにも打点「あのまま3点だと、また終盤危ないっていう感じなのでとにかく1点、1点って言っていたんだけど、そういう意味で、ちょっと遅かったですけどね、もう少し早く1点取れれば才木ももっと楽に投げられたかもわからないけど、とにかく追加点を取れたのが良かったと思いますね」-4点リードの状況で8回に久々に岩崎が投げた「前回ああいう形で終わっているんでね、点差関係なしにね、点差は関係ないからって岩崎には言ったんだけど、とにかく1回すっきりとね、そういうちょうどいいね、展開的にもね、ちょうど良かったのでね、今日は行かしたんですけどね」-3者凡退に抑えた。ベンチからの印象は「いやいや、3者凡退というか、とにかくゼロに抑えるのがね、あのクラスは仕事なんでね。次はね、またゼロでいってくれると思いますけどね」-5カードぶりにカード初戦を取った。明日以降またいい流れに持っていきたい「いやいや、もうね、ちょっと遠征というかビジターでね、いい結果残せなかったので、こっち帰ってきたんでね、とにかく初戦取れたの大きいんでね、明日明後日なんとかいい形でね、この3連戦終わりたいですね」

◆阪神が才木浩人投手(25)の好投で、引き分けを挟んでの連敗を3でストップした。5カードぶりの初戦白星で、8月に京セラドーム大阪で行われるヤクルト戦は10年8月14日から17連勝となった。才木の母久子さんも息子の10勝目を現地で見届けた。父昭義さんとともに一塁側スタンドから観戦。登板前日にはあまり連絡を取らないようにしているが、前夜は「早めに寝なさいよ」とだけメッセージを送ったという。2試合の足踏みを挟み、達成した2桁勝利。「9勝目から10勝目というのが、ピッチャーにとって山なんだろうなと。そこを越えられたことが、また1歩進めたのかなと思います」と喜んだ。

◆才木は高卒入団1年目の17年から周囲に強烈な印象を与えていた。当時、高知・安芸で行われていた2軍春季キャンプ。同年限りで現役を引退した安藤投手コーチは、ブルペンで受けた衝撃を現在も覚えている。「真っすぐでは、かなわんなと思った。それまでそんなことは思ったこともなかったけど」3年連続で開幕投手も務めた安藤コーチ。それまではどんな投手の投球を見ても、経験やコントロールなど「トータル的な部分でまだ勝てる」と思っていた。それでも間近で見た高卒新人右腕のボールは強烈だった。「今も才木には話したことあるよ。冗談ぽく『お前のボールを見て俺は引退決めた』って。阪神のエースになる素材やとは思っていたね」約7年が経ち、コーチと選手の立場に変わった今は「数段進化していると思うよ」。先輩が感じた予感を、後輩はこれからも現実に変えていく。【阪神担当=波部俊之介】

◆さすが連敗ストッパーや! 阪神がヤクルトに完勝し、引き分けを挟んでの4連敗を阻止した。先発の才木浩人投手(25)が7回7奪三振3安打無失点で自身初の2ケタ勝利に到達。これでチーム連敗時は自身5連勝だ。チームは5カードぶりの初戦白星を奪取し、8月に京セラドーム大阪で行われるヤクルト戦は10年8月14日から17連勝。巨人に完勝した首位広島とのゲーム差を5で保った。ラストボールまで才木は表情を変えなかった。7回2死から2者連続四球。球場全体がビジター席の応援、虎党の励ましの声援で入り乱れる。混在する大歓声をマウンドで浴びながら、集中力を切らさなかった。「前回、前々回とすごくひどいピッチングをしてしまったので。今回は何がなんでも勝てるようにと」118球目となる岩田への初球。151キロ直球で左飛に打ち取ると、何度も拳を握った。7回3安打無失点。前回登板では1三振も奪えず今季ワースト5失点。この日は7奪三振に加え、打ってはプロ初長打となる右越え二塁打も披露した。2度の足踏みを経て、自身初の今季10勝目だ。「せっかく投げるなら、楽しんで投げないといけない。見てくれるファンのためにも、思い切って投げるところを見てもらいたいと思っていたので」苦しい時もブレない精神は一朝一夕のたまものではない。今年5月から新たにメンタルトレーニングを導入。使うのはスマートフォンに搭載される「メモ機能」だ。生活の中で感じたことなどをありのままに書き込むもの。単純なメンタル強化ではなく「思考の置き所」に焦点を当てた練習だ。試合中にあらゆる考えがめぐり、集中力の分散を感じたことから取り入れた。「集中しないといけない時に思考がどこにあるかとか、本当に今考えないといけないことなのかとか。試合中にごちゃごちゃ考えたりしていたから」練習、試合、休日と関係なく毎日継続。「1日がすごくめんどくさく感じる」。「休まないといけないと感じている」など、ポジティブ要素もネガティブ要素も関係なく書き込む。「どういうメンタリティーが自分はうまく行けるのか、みたいなところも分かる。考え方のトレーニングみたいな感じですね」どんな場面でも動じないのは、自分と向き合い続けているからだ。チームは5カードぶりの初戦勝利。首位広島とのゲーム差を5でキープした。14日巨人戦から続いた連敗を3で止め、チーム連敗時の登板はこれで自身5連勝となった。お立ち台では連敗ストッパーとして「任せてください」と頼もしく笑みもこぼした。節目の1勝で、またも流れを引き寄せた。【波部俊之介】安藤投手コーチ(7回無失点の才木に)「前回はちょっと良くなかったけど、今日は変化球とかも良かったと思います。しっかり修正していた」岡留(ヤクルト村上に四球を出してから3失点)「そこだけちょっともったいなかったです。しっかりやっていきたい」

◆才木浩人投手(25)の須磨翔風高時代の恩師・中尾修監督(58)も自宅のテレビで教え子の活躍を喜んだ。6回4失点を喫した6日ヤクルト戦の翌日に鳴尾浜で偶然再会。「昨日のヤクルト戦が悔しかった。なんとかしたいんです」と決意を受け取ったという。リベンジ勝利に中尾監督は「本当におめでたい。本人の頑張りが1番ですけど、周りの援護もないと勝てないもの。あとは防御率を1点台に保って、もう1回最優秀防御率と最多勝を狙えるように頑張ってほしい」とエールを送った。

◆【日刊スポーツ西日本写真映像チームのとっておき映像プレイバック】阪神才木浩人と木浪聖也らの活躍でヤクルトに快勝したTORACO DAY。京セラドーム大阪で浴衣のナインやトラッキーらがファンを迎えました。せっかくなので他球団の浴衣を探すと、過去にはつば九郎やドアラ、マーくんらの姿も。大切な日本の文化を守っていきましょう。

◆阪神は才木浩人投手(25)が先発する。今季はここまで9勝3敗、防御率1.67。ただヤクルト戦に限れば、5試合の登板で1勝1敗、防御率3.60と苦しんでいる。7月30日の巨人戦(甲子園)で9勝目を挙げて以降、2試合連続で勝ち星に恵まれていない右腕。三度目の正直で自身初の2桁勝利を挙げる。

◆虎のリードオフマンが止まらない。阪神・近本光司外野手(29)が一回先頭で左前打を放った。ヤクルトの先発・吉村が投じた初球、153キロ直球を逆方向へ。鋭い打球は瞬く間に三遊間を抜けた。近本はこれで6試合連続の初回先頭安打。1番としての役割を全うしている。近本の先頭打を生かしたい打線は続く中野がきっちり犠打を決めて1死二塁。森下は四球で一、二塁の好機を作った。打席には4番の佐藤輝。フルカウントから粘って8球目、スライダーを見極めて四球を選び、満塁とつないだ。しかし、5番・大山は見逃し三振。それでも、6番・前川が押し出し四球を選んで先制した。

◆阪神が追加点をあげた。一回、前川の押し出し四球で1点を先制し、なおも2死満塁の好機。試合前の時点で今季の満塁時の打率・455と抜群の相性を誇る木浪聖也内野手(30)が打席に向かった。「打ったのはストレート。(前川)右京がしっかりつないでくれたので、自分も後ろへつなぐ意識を持って打席に立ちました。いい追加点が取れて、才木を援護することができてよかったです」カウント1-1から3球目、吉村の153キロ直球を引っ張ると、打球は右翼線で弾む2点二塁打。虎の満塁男が大きな追加点をあげ、3-0とリードを広げた。虎党の大歓声が京セラを包む中、ヤクルト・高津監督はリプレー検証を要求。ただ、規定によりファウルかフェア判定のリプレー検証は要求することができず、判定は変わらず木浪の2点二塁打が認められた。

◆21日の阪神戦に先発するヤクルト・サイスニードは、短距離ダッシュなどで調整した。来日4年目の今季は18試合で2勝5敗、防御率4・02。京セラドームは今季、交流戦でも登板経験があり「何試合か投げたことはあるけど、自分は硬いマウンドが合っていると思うのでとても好き」と歓迎。登板前日にパスタを食べることがルーティンで「エネルギーの補充ができる」と明かした。

◆有言実行とはいかなかった。ヤクルト・吉村が阪神戦(京セラ)に先発。前日19日に神宮外苑で行われた先発投手練習では「勝ちにこだわって、チームに勢いを持ってこられればいい」と意気込んでいたが、初回に相手に流れを渡した。1死二塁から連続四球を与えるなど2死満塁とし、前川に押し出し四球を与えて先制を許す。続く木浪に右翼線への2点二塁打とされ、いきなり3点を失った。「先発で投げ切りたいというのはみんな思っていると思うし、僕自身もそういったところまで投げなきゃいけないと思うし、投げたい」〝完投宣言〟もしていた吉村。鍵になるのは球数だった。試合前の時点で今季の最長イニングは7回?。八回が越えられぬ一つの壁となっており、伊藤投手コーチは「あまり力みすぎてもよくないけど、いけるところまでいってみたらええんですけど、ちょっと頑張って」とさらなる成長を期待していた。吉村は2年目の今季、開幕からローテーションを守り続けてきた。試合前時点で5勝(6敗)止まりだが、まだまだ伸びる余地を残しているということでもある。「失敗しないとわからないこともいっぱいある。それを次につなげ、生かすのが一番大事になってくると思う。いろいろな経験をしてほしい」と伊藤コーチ。大きく飛躍するためにも経験を積む。

◆阪神は大山悠輔内野手(29)の適時打で追加点を奪った。一回以降得点が奪えず3―0の七回、先頭の近本がこの日2本目の左前打で出塁する。中野がバントで送って森下が敵失で出塁し、1死一、二塁となったところでヤクルトは2番手の山野にスイッチ。佐藤輝は空振り三振に倒れるも、大山が1ボールからの2球目をとらえた。ライナーで三遊間を抜く打球で近本が生還して4点目。頼れる背番号3が貴重なダメ押し点をたたき出した。

◆阪神はヤクルトに快勝し、連敗を3で止めた。一回、近本光司外野手(29)が6試合連続となる初回先頭安打で出塁する。その後、2死満塁となって前川右京外野手(21)が押し出しの四球を選ぶと、木浪聖也内野手(30)が右翼線を抜く2点二塁打で3点を先行。七回には大山悠輔内野手(29)が2死一、二塁から適時打で4点目を挙げると、八回にも中野拓夢内野手(28)の2点二塁打、佐藤輝明内野手(25)の適時打、大山のこの日2本目の適時打となる二塁打で得点を重ねた。投げては才木浩人投手(25)が七回まで118球を投じ、ヤクルト打線をわずか3安打で無失点に抑える力投。3度目の挑戦で自身初の10勝目を手にした。八回は岩崎優投手(33)が無失点でつなぎ、九回は岡留英貴投手(24)が3失点しながらも、逃げ切り勝利を収めた。

◆阪神が5カードぶりの初戦白星で、1分挟む連敗を「3」で止めた。6戦連続初回安打の近本光司外野手(29)の左前打から2死満塁とし、前川右京外野手(21)が押し出し四球。木浪聖也内野手(30)の2点二塁打で3点を先取。七回には大山悠輔内野手(29)の左前打で4点目を追加。八回は中野拓夢内野手(28)、佐藤輝明内野手(25)、大山の適時打で4点を加えた。7回無失点の才木浩人投手(25)は初の10勝(3敗)に到達。今季7度目の連敗時登板で自身5勝無敗でチームは全勝となった。森下翔太外野手(24)は五回に20打席ぶりの安打を放ち、七回の遊撃内野安打で、10試合ぶりのマルチ安打を記録した。木浪の満塁機成績は12打数6安打11打点。岡田彰布監督(66)の主な一問一答は以下の通り(成績=55勝51敗6分、観衆=3万6041人)。ーー才木は空振りも取れていた。本調子ではない中でも「そうやなあ、ちょっと力んで球数が増えるからなあ、おーん。だから完封とかしてる春先というか、5月、6月に比べると球数が多なってるよな。力んで高めに行くのがあるから。六回、七回くらいはめっちゃええ感じで行ったからなあ。だから六回、七回の2アウトまではな、ええ感じで行ったんやけどな。三振取りに行こうとか、三振の数じゃなしにな、それも意識しとるかも分からんけど、やっぱり1つアウト取ることやからな、三振」ーー10勝目も自信になる「いや、そらなるよ、そらなるよ、そら」ーー2試合連続で苦戦していた「いやいや、(13日の巨人戦で)五回で追いつかれたんがあったからなあ、前回なあ。それは何点差や、アレは4点差か。そういう意味で今日はな、同じような感覚やったからなあ」ーー岩崎は左2人が並ぶ打順ということもあり八回に「もう最初からそのつもりやった、おーん」ーー今後は柔軟な使い方に「いやいや、そらまだ分からへん、使い方は分からへんけど、まあなあ、アレはもう同点で終わっとるけどな、やっぱり勝ってるゲームのな、(17日の中日戦で九回に2点を失って)あそこで同点に追いつかれてるから、そういうのは長いこと持ってても、しゃあないからな、どっかですっきりとなあ、次の登板に行けるようにな、それは」ーー木浪は今年も満塁に強い「まあなあ、大きいよ、アレ。前川のフォアボールも大きいけどな、大山の三振のあとやったからな」ーー見極めがしっかり出来ていたが何かメッセージを送ったか「いや送ってない送ってない。見極めっていうか、だから見極め言うんやったら、二回からなんで最初から振っていけへんの。言うたんやけど、だから結局それ出ないんよな。ポンポンとみんなツーストライクやろ? 最初から行けって言うてんのになあ、出ない分、お前。結局、いい結果が出てる木浪だけやんか最初初球打ったのは。せやろ? 誰一人振らんやろ? そのへんよな、結局は」ーー岡留は右はいいが左は「ああいう左バッター、右左そんな関係ないやん。ああいうなあ、村上のフォアボールがいかん。ホームラン打たれたらええやないか、1点お前。岡留にも言うたよ、点差関係ないからなって言ったよ、そらお前、ブルペンから。アレが一番アカン。ホームラン打たれた方が、こっちはお前、良かったわ、おーん。ホームラン打たれた方が、どこがホームラン打たれたか聞けるやんか。なあ。アレが一番いかんの」

◆近鉄、西武で主砲として465本塁打&2452安打をマークし、西武コーチ時代には清原和博らを育てたサンケイスポーツ専属評論家・土井正博氏(80)は、戦い方が確立された阪神打線に言及した。ヤクルトの先発・吉村には申し訳ないが、これだけストライクボールがはっきりした投球なら、打つ方は困らない。一回は四球で走者をためて、木浪がタイムリー。理想的な点の取り方になった。終盤も制球の精度が落ちる投手が出てくると、確実に捉えていた。一時期に比べると、打線全体の状態は上向いている。ただ、二回以降、追加点がなかなか奪えない部分は、まだまだ昨年のレベルには至っていない。そんな中、ようやく戦う「形」はできつつある。1番・近本は本来の下半身の強さを生かした打撃で、高い出塁率は頼もしい。夏場に力を発揮するのは一流の証明。好調さはこの先もキープできる。近本を中野が送るという戦い方は確立されている。あとは打順の固定を継続してほしい。自分の前の打者、後ろの打者が定まることで、打者は落ち着く。6番・前川は相手投手の左右に限らず、スタメン起用すべき。今後は好投手をいかに打つか。23日からの広島3連戦はハイレベルの先発がくることは必至。自分への攻めは「高低」なのか「左右」なのかをいち早く見抜くこと。調子を上げて、広島戦へ向かってもらいたい。

◆吉村貢司郎の降板を告げるヤクルト・高津臣吾監督(撮影・林俊志)

◆ヤクルトの吉村は一回に制球が乱れた。先頭への安打と2四球で満塁のピンチを招き、押し出し四球と木浪の2点二塁打でいきなり3点を失った。「ストライク先行でいけなかった。丁寧にいき過ぎていた部分もある。もっと攻められればよかった」と反省した。二回以降は立ち直ったものの、七回途中4失点で自身3連敗。7敗目を喫した。5勝目を挙げた6月21日を最後に白星から遠ざかる。高津監督は「メンタルの部分と配球を勉強した方がいい」と厳しかった。

◆阪神・岡留は8―0の九回に登板するも、2四球3安打3失点と課題を残した。1死から村上に四球を与えてピンチを招くと、オスナと太田に適時打を浴びて6試合ぶりの失点。「展開的にもよくなかったので、あのフォアボールは反省してやっていきたい」。岡田監督は点差に関係なく九回を任せると伝えていたというが「村上のフォアボールがいかん。ホームラン打たれたらええやないか」と苦言を呈した。

◆成長するための大きな壁だ。ヤクルト・吉村貢司郎投手(26)が6回?を投げ7安打4失点で7敗目(5勝)。高津臣吾監督(55)は初回に3点を失った右腕に苦言を呈した。「恐怖心に耐えられなかったんだろうね。打たれることのね。もったいないですね。火曜日の頭の初回の3失点というのは非常に重くなりますね」一回に1死二塁から2四球を与えるなどして2死満塁とし、押し出し四球で先制を許す。さらに木浪に右翼線に2点二塁打とされた。試合前時点で防御率3位(1・67)の才木との投げ合いだっただけに、指揮官の言葉通りに重かった。吉村は今季カード頭を任されることが多く、火曜日は7試合に登板して0勝5敗。相手の主戦級に勝ち、チームの柱となるためには越えなければいけない壁だ。高津監督は「貯金が作れる投手、しっかりゲームを作れる投手、相手より先に降りない投手、規定(投球回)にいけるくらいの先発投手を目指すのであれば、道のりは長い。ステップはたくさんある」と成長を求めた。(赤尾裕希)

◆たった1球で、球場の空気が変わった。阪神・近本のバットが猛虎打線を目覚めさせる。三遊間を破る鋭い打球が、13安打8得点の引き金だった。「珍しく初球からいきましたけど、結果的に点が入ったので。後続も続いてくれたので、いいつながりで点が取れたのでよかったと思います」一回、立ち上がりの吉村の初球を一閃した。左前打とし、13日の巨人戦(東京ドーム)から6試合連続となる一回先頭安打をマーク。前川の押し出し四球で先制のホームを踏むと、木浪にも2点二塁打が飛び出して一挙3得点を呼び込んだ。七回先頭でも再び吉村から、今度は粘って9球目を左前へ。これで3試合連続の複数安打。大山の適時打でダメ押しの生還を果たし「しっかり(ホームに)かえってこられたのでよかった」とうなずいた。この2安打で、プロ通算安打は893本となった。新人から6年の安打記録で、並んでいた赤星憲広(阪神)を超えて単独3位に浮上。1位の長嶋茂雄(巨人)は926本で、記録更新には残り31試合で33本。ヒットメーカーにとっては、十分射程範囲内だ。「積み重ねなので。まだシーズンも残っているので、もう少し、頑張りたいと思います」今季最後の「TORACO DAY」。女性ファンからの投票で『結婚したい男1位』に輝いた頼れる1番打者が、これからも安打を積み重ね、逆転Vへチームをけん引する。(中屋友那)

◆阪神・中野が終盤に大きな一打を放った。4点リードの八回2死一、三塁で右翼へ2点二塁打。「チャンスで回ってきたところで、打てたし、結果的に追加点が大きかった」と胸を張った。1、4打席目は犠打を決め、25犠打はリーグトップタイ。つなぎ役としても仕事を果たし「なかなか打つことができていないので、自分がチームに貢献するのはそういうところだと思う。そこが2番の仕事でもある」と力を込めた。

◆成長するための大きな壁だ。ヤクルト・吉村貢司郎投手(26)が6回?を投げ7安打4失点で7敗目(5勝)。高津臣吾監督(55)は初回に3点を失った右腕に苦言を呈した。「恐怖心に耐えられなかったんだろうね。打たれることのね。もったいないですね。火曜日の頭の初回の3失点というのは非常に重くなりますね」一回に1死二塁から2四球を与えるなどして2死満塁とし、押し出し四球で先制を許す。さらに木浪に右翼線に2点二塁打とされた。試合前時点で防御率3位(1・67)の才木との投げ合いだっただけに、指揮官の言葉通りに重かった。吉村は今季カード頭を任されることが多く、火曜日は7試合に登板して0勝5敗。相手の主戦級に勝ち、チームの柱となるためには越えなければいけない壁だ。高津監督は「貯金が作れる投手、しっかりゲームを作れる投手、相手より先に降りない投手、規定(投球回)にいけるくらいの先発投手を目指すのであれば、道のりは長い。ステップはたくさんある」と成長を求めた。(赤尾裕希)

◆これぞエースの頼もしさ!! 阪神は最下位ヤクルトに8―3で勝利し、1分けを挟んだ連敗を3で止めた。先発した才木浩人投手(25)が7回3安打無失点で10勝目を挙げ、8年目で初めての2桁勝利を達成。チームが連敗中の試合での登板では、今季7戦すべてで勝利に導いている連敗ストッパーが負の流れを絶ち切り、岡田虎の反撃がここから始まる。苦しい日々の先にあった光。京セラのマウンドを支配し、その右腕で見いだした。才木が7回3安打零封。3連敗中だったチームも救い、今季のチーム一番乗り&自身初の2桁勝利を達成だ。「最高です!! 情けない投球でなかなか10勝目にいかなかった。みなさんの前で10勝目をできたのがすごくうれしいです」直球が力十分ならフォークは鋭く落とし、割合を増やしたカーブも効果的に操りながらつけ入る隙を与えない。三者凡退に封じたイニングは7回中、4度。最後の七回は2死から連続四球でピンチを招いたが、岩田を1球で左飛に仕留め「勝ったとしても2点を取られているとかであれば話は変わってくる」。こだわった無失点を形にできたから、右拳で何度もグラブをたたいて喜んだ。三塁を踏ませぬ投球を岡田監督は「才木にしたら7回が最低ラインかもしれないけど、そこまで投げ切ってくれたのが大きい」と評価した。これでチームの連敗中に巡ってきた出番では、今季7度全てで勝利に導くエースの働き。お立ち台では連敗ストッパーとして「任せてください」と胸を張り、大歓声を浴びた。開幕から快投を続け、4―6月にかけて8連勝。ただ右腕は長い戦いを冷静に見据えていた。128球の熱投で1―0の完封勝利を飾ったDeNA戦(横浜)から一夜明けた5月13日だった。「どこかで1、2試合ぐらいは5回4失点とか試合をつぶしてしまうかもしれない。そういうのが1回はあるだろうとは思っている。それが2、3回続くと良くない」予感通り、前回登板までの2試合は4失点→5失点と2戦連続で今季ワーストを更新した。2桁勝利にも2度足踏みしたが、三度目の正直となったこの日は7三振を奪うなど春先のような姿を披露。「何が何でも勝てるように」と強い決意で悪い流れを断ち切った。

◆阪神・佐藤輝は4打数1安打1打点。八回2死一、二塁で左前適時打を放ち、3試合連続安打とした。「みんなで無駄なくしっかりランナーをかえせて、いい攻撃ができたなと思います」。1イニング5安打4得点の猛攻で試合を決め、主砲もうなずいた。5カードぶりにカード頭を勝利し「そういう意味でもきょうは大きかった。(才木)浩人もしっかり投げてくれて、きょうはいいゲームだった」と笑顔だった。

◆阪神・岩崎が4点リードの八回に登板。三者凡退で抑えた。「とりあえず抑えられたのでよかった。残り試合が少ないのでみんなで目の前の試合を勝てるようにやっていきます」。前回登板した17日の中日戦(バンテリンドーム)では九回に2点リードを守り切れず、結果的にチームは引き分け。岡田監督は「前回ああいう形で終わっているんで点差関係なしに。とにかく一回すっきりとね。展開的にもちょうどよかった」と起用の意図を話した。

◆〝推し〟が放った一打は右翼線際で弾む。勝利を導く阪神・木浪聖也内野手(30)のさわやかな笑顔もはじけた。これぞ、虎の満塁男。京セラドームにTORACOの黄色い声援がこだました。「ちょうど(打球を)見ながら走ってましたけど、次の塁に行くことで必死だった。何とか入ってくれてよかった」一回、前川の押し出し四球で先制し、なおも2死満塁の好機だった。「次につなぐ気持ちがいい方向にいった」。吉村の153キロ直球を振り抜く。2点二塁打に塁上で両手を掲げた。これで今季は満塁での打率・500(12打数6安打)と抜群の相性。昨季も同・444(18打数8安打)と満塁での勝負強さは健在だ。序盤の主導権を握るには大き過ぎる2点打を岡田監督は「1点の後の木浪の2点が大きかった」とたたえた。「もう治ってますよ(笑)。きょうはたまたまよかったので、続けられるように頑張ります」6月に死球を受けて左肩甲骨を骨折。それから1軍再昇格を果たした7月19日の午前10時頃、甲子園には日課のランニングを黙々とこなす木浪がいた。「試合やるのは外なんやから。準備するなら暑くても外で走らないと駄目でしょ」。けがの離脱から帰ってきても、いつもと変わらない背番号0の姿があった。満塁で結果を出す要因には「本当に分からないです。たまたまなのか、運がいいのか。それだけだと思います」と笑う。どんな状況にあっても、必死に汗を流す。そんな男に運が巡ってこないわけがない。六回も右翼線へ二塁打、八回は中前に運んで今季初の猛打賞。女性ファンから〝推しの選手〟ナンバーワンに選ばれた男は今年最後の「TORACO DAY」で輝いた。「毎日試合をしているので、負けが込むのは仕方ないこと。でも、負けた後にやり返すことが自分たちはできる。それがきょうはできて良かったと思います」さわやかな笑顔の裏に、誰よりも熱い思いを秘めて-。勝利とハートをつかむ一打をここからさらに積み重ねていく。(原田遼太郎)?...木浪は今季の走者別打撃成績で、満塁時は打率・500(12打数6安打)、11打点とした。打率・444(18打数8安打)、1本塁打、19打点をマークした昨年に続いて勝負強さを発揮している2014年から始まったタイガースを応援する女の子のためのお祭りDAY。今季は5月17―19日のヤクルト戦(甲子園)に続き、20日は「TORACO DAY in Summer @京セラドーム大阪」として開催された。公式サイトで実施されたTORACOアンケートでは、「推しの選手」で木浪、「結婚したい選手」で近本、「恋人にしたい選手」で才木が1位に選ばれた。

◆中日3連戦(バンテリンドーム)で無安打だった阪神・森下が4試合ぶりに快音を響かせた。「ヒットが出ていなかったので、ホッとしています」。五回1死から左前打。七回1死二塁からは遊撃内野安打でチャンスを広げ、大山の適時打を呼んだ。今カード前には、残り試合〝全勝する覚悟〟を語っていた若虎は「チームとしても、ここから仕切り直して頑張っていこうとなっていたので。初戦を取れたのはよかった」と力を込めた。

◆カード負け越しが続いていたので、広島、巨人はもちろんだが、あの中日までが、すごく強く感じてしまった。いま、阪神が一番弱いのでは...と思い始めていたのは事実です。そんな崖っぷちで迎えたヤクルト戦-。「阪神が」「京セラドームで」「8月に」「ヤクルトと」この4つの条件がそろったら16連勝で迎えた今回の3連戦。だから「間違いなく3連勝や」と息巻く熱狂的虎党からLINEが届いた。確かに、すごい連勝記録ではある。2010年8月14日からだから、阪神ナインは誰一人入団していない昔からだ。いわゆる吉兆データというヤツ。コツコツと調べた方は立派だ。テレビも新聞も、このありがた~い「偶然」を取り上げて、感動の結末を信じた。サンスポ編集局にも、同類の男がいた。当番デスク・川端亮平だ。「きょうは高校野球もありません。パリ五輪も終わりました。阪神しかないんです。勝ってもらうしかないんです」4つの条件がそろった〝タイガース版一粒万倍カード〟にすがり、その手を放そうとしなかったら、見事に願いはかなった。おめでとうございます。17連勝だ。ということは「19」まで伸びるのか。データは正しい?!とはいえ、4つも条件をそろえれば、必然的に絞られて、勝つ確率は高くなるというもの。強引さは否めない。熱狂的虎党でもあるトラ番・須藤佳裕ですら、意外なほど冷静だった。

◆才木投手、7回3安打無失点のスイスイ10勝目オメデトウ!! 才木の好投もあり、打撃陣のいい仕事っぷりもあり、ひとまずホッとさせてくれる勝利はよかった~。でも、俺はあえて逆転アレンパを狙う岡田采配にモノ申すのだ!!4点リードの八回先頭の木浪がヒットで出塁。次の梅野に何でバントさせへんのや!?(結果は打たせてヒットだったが、送って代打・原口やろー!)さらに一、二塁で代打・野口って? いまさら若虎を試している状況やないやろー!(結果はゲッツー) あの場面、熊谷を打席に送りバントやないか~? その後、4点を奪った? そんなの関係ねー! 絶対に引き離されたらいけない試合なんだから、相手に対し真綿で首を締めるような野球やってくれよー!!揚げ句に8点リードの九回。何で? 何で? 今や貴重なリリーフ男・岡留を無意味に(?)マウンドに上げるねん? 勝ったけど、岡田流強引野球になっとったんじゃないの? そこが気になる1勝だったのだ。

<セ・リーグ順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差残試合 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(-)
広島
57435 0.570
(↑0.004)
-
(-)
38320
(+8)
268
(+3)
44
(-)
47
(-)
0.239
(↑0.001)
2.240
(↓0.01)
2
(-)
巨人
57476 0.548
(↓0.005)
2
(↓1)
33337
(+3)
300
(+8)
59
(+1)
49
(-)
0.240
(-)
2.600
(↓0.05)
3
(-)
阪神
55516 0.519
(↑0.005)
5
(-)
31357
(+8)
323
(+3)
47
(-)
34
(-)
0.236
(↑0.002
2.430
(↓0.01)
4
(-)
DeNA
52552 0.486
(↑0.005)
8.5
(-)
34376
(+4)
383
(+2)
75
(-)
50
(-)
0.253
(-)
3.060
(↑0.01)
5
(-)
中日
46588 0.442
(↓0.005)
13
(↓1)
31283
(+2)
356
(+4)
47
(-)
31
(-)
0.238
(↑0.001)
2.770
(↓0.01)
6
(-)
ヤクルト
45594 0.433
(↓0.004)
14
(↓1)
35382
(+3)
419
(+8)
76
(-)
48
(-)
0.238
(↓0.001)
3.690
(↓0.05)