1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 | 安 | 失 | 本 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
阪神 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 3 | 1 | 0 |
巨人 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | X | 1 | 4 | 0 | 0 |
勝利投手:山﨑 伊織(8勝4敗0S) (セーブ:ケラー(0勝1敗1S)) 敗戦投手:西 勇輝(5勝4敗0S) |
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◆巨人が接戦を制して3連勝。巨人は初回、相手失策の間に1点を先制する。投げては、先発・山崎伊が7回途中無失点。その後は4投手が無失点リレーを展開し、山崎伊は今季8勝目を挙げた。敗れた阪神は、西勇が力投を見せるも、打線が3安打無得点と沈黙した。
◆巨人浅野翔吾外野手(19)が1軍登録された。試合前練習で合流し、「大事な時期に呼んでもらっている。うれしいというより、チームが勝つことだけを考えてプレーしたい。打席に入るときにしっかり振って、このバッターは怖いなというスイングをしたい。エリー(ヘルナンデス)の存在はチームにとって大きいと思うので、そこは全力でプレーしたい」と話した。練習では右翼と中堅でノックを受け、フリー打撃で力強いスイングで柵越えを披露した。開幕1軍も9打数0安打で4月8日に登録抹消されていた。イースタン・リーグでは打率2割5分5厘、8本塁打、34打点。8月は打率4割6分2厘、1本塁打、6打点と好調だった。前日11日中日戦の中堅守備で左手首を骨折したエリエ・ヘルナンデス外野手(29)が登録抹消となった。
◆阪神才木浩人投手(25)が先輩の復活勝利を刺激に、13日巨人戦(東京ドーム)に先発する。前日11日の広島戦では、高橋遥人投手(28)がたび重なる手術を乗り越えて1025日ぶりの復活勝利。同様に右肘のトミー・ジョン手術から復活した才木も、感じ取るものがあった。「俺にもあんな時があったなと思いながら見ていましたけど。やっぱり自分も頑張ろうと思いますし。本人もすごく多分ホッとしていると思うので。なんとか自分も続いていけるように投げられたら」自身初の10勝目をかけ、今季6度目となる巨人との対戦。「丸さんに結構、先頭でヒットを打たれているので。打たれるのはしょうがないけど、そこで逃げないように。自分のピッチングができるように攻めていければ」と意識を明かした。
◆巨人坂本勇人内野手(35)が4月27日DeNA戦以来、約3カ月半ぶりに3番に入った。「3番三塁」でスタメン。8月は26打数9安打の打率3割4分6厘と調子を上げている。前日11日中日戦の中堅守備でヘルナンデスが左手首を骨折した。「3番中堅」で打線をけん引してきた助っ人は登録抹消となった。中堅はオコエが6番で入った。阪神先発西勇とは通算15打数5安打と好相性。先発は中5日で山崎伊がマウンドに上がる。
◆巨人ドラフト1位ルーキー西舘勇陽投手(22)が1軍に合流した。16日DeNA戦(横浜)で1軍初先発する見通しとなった。開幕から中継ぎで26試合に登板し、1勝2敗19ホールド。疲れが見え始めた6月30日に2軍降格した。ファームでは先発に転向。イースタン・リーグで3度目の先発登板となった9日楽天戦では6回9安打2失点だった。杉内投手チーフコーチは「頑張ってくれると思うんですけど。過度に期待せずに」と送り出す。
◆阪神は2ゲーム差で追う2位巨人との3連戦初戦へ、通常オーダーで挑む。この日も「3番右翼」に森下翔太外野手(23)が入る。前日11日広島戦(京セラドーム大阪)では初回に森下と5番大山悠輔内野手(29)の適時二塁打で2点を先制するなど、打線は好調。前回対戦した7月30日甲子園で5回9安打と攻略した巨人山崎伊を再び打ち崩せるか。先発は西勇輝投手(33)。前回8月4日のDeNA戦(横浜)まで今季98回1/3を投げ、14年連続の100イニングクリアが間近に迫る。巨人戦は今季2試合に登板し、計15回で1失点、防御率0・60と好相性だ。
◆阪神が佐藤輝明内野手(25)の失策で先制を許した。初回2死二塁。岡本和真内野手(28)の三塁線への打球を佐藤輝が逆シングルでうまくキャッチ。深い位置から一塁にワンバウンド送球したが、大山悠輔内野手(29)が後ろにそらし、二塁走者に生還された。どちらの失策か微妙なプレーだったが、記録員は佐藤輝にEマークをつけた。同選手の失策数は両リーグトップの19になった。ベンチワークに影響与える佐藤輝明の拙守「よくなったと思ったら」担当コーチの懸念
◆阪神西勇輝投手(33)が14年連続の100イニング投球を達成した。前回4日のDeNA戦(横浜)までに今季98回1/3を投げ、達成が間近に迫っていた。初回、先頭の巨人丸佳浩外野手(35)に中前打を許し、4番岡本和真内野手(28)の痛烈な三ゴロに佐藤輝明内野手(25)の一塁悪送球が絡み、1点を献上。それでも5番大城卓三捕手(31)から見逃し三振を奪い、最少失点で切り抜けた。2回は3人でピシャリと抑え、これで自身の現役最長記録を更新した。
◆阪神木浪聖也内野手(30)が折れたバットを視界に入れながら、冷静にゴロをさばいた。0-1の6回2死二塁。追加点は絶対にやれない場面。好投を続ける西勇輝投手(33)は、坂本勇人内野手(35)の内角に食い込むシュートで、バットを真っ二つにへし折った。打球は遊撃の前へ。折れたバットも勢いよく遊撃の方に飛んでいった。場内から悲鳴のような声が上がったが、木浪はボールだけを見て冷静に対処。ピンチを切り抜けた。
◆阪神岡田彰布監督(66)が1点を追う8回、代打攻勢をかけた。先頭の木浪聖也内野手(30)に代えて渡辺諒内野手(29)。続く梅野隆太郎捕手(33)に代えて糸原健斗内野手(31)をコール。2人は凡退したが、3連続代打となった島田海吏外野手(28)が右中間二塁打で期待に応えた。だが、得点には結びつかなかった。梅野と併用されていた坂本誠志郎捕手(30)が前日11日に今季初めて出場選手登録を抹消されていた。栄枝裕貴捕手(26)をこの日から昇格させ、長坂拳弥捕手(30)との捕手3人制になった最初の試合。8回の守りからは長坂がマスクをかぶった。
◆阪神西勇輝投手(33)が7回4安打1失点でマウンドを降りた。7回裏の打順で代打島田海吏外野手(28)が送られて交代。快投したが、打線の援護に恵まれなかった。初回、先頭の巨人丸に中前打を許し、4番岡本和の痛烈な三ゴロに佐藤輝明内野手(25)の一塁悪送球が絡み、先制点を献上。それでも5番大城から見逃し三振を奪い、最少失点で切り抜けた。2回は3人でピシャリ。この回に14年連続の100イニング投球を達成し、自身の現役最長記録を更新した。6回まで打線が巨人の先発山崎伊に2安打に抑え込まれる中、西勇も3安打の力投。7回には1死から大城卓に左翼線二塁打を浴びるも、後続を打ち取りガッツポーズでほえた。
◆阪神が先発西勇輝投手(33)の好投も実らず、今季15度目の完封負けを喫した。これで3カード連続で初戦黒星。首位広島がDeNAに勝利したため、阪神の自力優勝の可能性が消滅した。西勇は初回、先頭の丸に中前打を浴びたものの、2死二塁までこぎつけた。しかし、岡本の三塁線へのゴロを佐藤輝が一塁へ悪送球。この間に二塁走者の丸が生還し、先制を許した。それでも安定した投球を続け、2~6回まで1イニング3人で攻撃を終わらせた。この日、1回1/3を投げた時点で14年連続の100イニングに到達。現役最長記録を更新した。7回1失点と好投した右腕を援護したかった打線だが、中5日で先発した巨人山崎伊を前に沈黙。5回1死で木浪が左前打を放つまで、チームは無安打に抑え込まれた。6回1死から中野が左前打を放つも、続く森下が投ゴロ併殺。7回は代打渡辺、糸原を送るも凡退。3連続代打で送られた島田は右中間へ二塁打を放ったが、近本が空振り三振に倒れて好機を逸した。完封負けは雷雨で5回コールドとなった7日ヤクルト戦(神宮)以来。高橋遥人投手(28)が復帰戦で白星を飾った前夜から連勝とはならなかった。昨年リーグ優勝、日本一に輝いた阪神の自力優勝の可能性が消滅した。▽阪神平田ヘッドコーチ(山崎伊に球数を投げさせるも攻略できず)「カウント3-2が多くて、そこまでもっていったんだけど。山崎も全力で来ていたからね。最終的にやられちゃったから何にもならないよ」阪神は今季の自力優勝の可能性が消滅した。阪神は残り37試合に全勝しても、最終成績は90勝48敗5分けで勝率6割5分2厘。広島は阪神との残り6試合に全敗しても、他球団との37試合に全勝すれば91勝47敗5分けで6割5分9厘となり、阪神を上回るため。阪神の0-1敗戦は、7月20日広島戦以来今季6度目。決勝点が失策での0-1負けは22年9月18日ヤクルト戦以来。この試合は先発藤浪の6回の一塁悪送球で失点した。阪神が巨人に0-1で敗れ、決勝点が失策だったのは64年9月3日(甲子園)以来60年ぶり。延長12回に遊撃の吉田義男が1死一、二塁から併殺を狙って一塁へ悪送球。これが決勝点となった。なお阪神は次戦から12勝8敗と持ち直し、大洋(現DeNA)を逆転して優勝を飾っている。
◆巨人山崎伊織投手(25)が「伝統の一戦」で快投を見せた。5回1死まで無安打投球を続けると、7回途中2安打無失点で降板。今季ワーストの5失点で4敗目を喫した前回広島戦から今季初の中5日。阪神西勇との投手戦を制して8勝目を挙げ、前日11日に左手首を骨折したヘルナンデス離脱のショックを振り払った。初回から全開だった。山崎伊が球威で押した。先頭の近本に6球のうち5球直球を投げ、二ゴロ。続く中野には148キロの直球で空振り三振。森下は四球で出すも、佐藤輝は145キロのシュートで詰まらせ遊ゴロ。球数は要しながらも丁寧な投球でアウトを重ねた。その裏に先制点の援護を受けても、気持ちが緩むことはない。阪神先発の西勇と息詰まる投手戦を展開。5回1死で木浪にスライダーを左前に運ばれ初安打を許すも、梅野は空振り三振、西勇は中飛に抑えてゼロ行進。7回に大山を遊ゴロに打ち取って2死としたところで、高梨にバトンタッチ。前回登板の6日広島戦では、6回を投げ今季ワーストの5失点と背信投球をしたが、今季初の中5日で7回途中121球を投げて2安打無失点。マウンドを降りると、自然と大きな拍手が挙がった。真夏の9連戦を締めくくる阪神3連戦。敵地で行われた前回対戦は同一カード3連敗を喫し、阿部監督も「悔しいのひと言に尽きるし、これで悔しいと思ってない人は野球を辞めた方がいいと思う。またやり返せるチャンスがあるので。切り替えるしかない」と言葉を並べた。前日の中日戦でヘルナンデスが守備の際に左手首を骨折。大きな打撃を受けたが、この日はベンチに助っ人の背番号「42」のユニホームを掲げた。坂本を3カ月半ぶりに3番起用し、中堅にはオコエを起用。伝統の一戦を制すべく、万策を尽くした。【平山連】
◆阪神が今季15度目の完封負けを喫した。3カード連続の初戦黒星。7回1失点(自責なし)の西勇輝投手(33)を見殺しにした。初回、2死二塁から岡本和真内野手(28)の三塁線へのゴロを佐藤輝明(25)が好捕し、深い位置から一塁にワンバウンド送球。だが大山悠輔内野手(29)が後ろにそらし、痛恨の先制点献上となった。記録は佐藤輝の失策となった。打線は巨人山崎伊織(25)の前に沈黙。5回1死から木浪聖也内野手(30)が左前打を放つまで、無安打に抑え込まれた。岡田彰布監督(66)の一問一答は以下の通り。-山崎伊がよかった「いや、そうでもなかったんちゃう。飛ばしてたけどな」-西勇も自責ゼロ。勝ちをつけないと「(笑いながら)その通りちゃうの。そんなん、お前。俺が言わんでも分かってることやんか」-初回に「なあ。もう、そんなんも分かってるやんか。勝敗って、その1点やないか」-大山も止めてやりたかった「俺1人で叫んだからな。ワンバン! って。俺だけやった。恥ずかしかったわ、ベンチで。そういうことや」
◆巨人阿部慎之助監督(45)が接戦を見越し、初回から先制点を奪いに出た。先頭の丸が中前打で出ると、続く吉川が犠打を成功。2死二塁で岡本和が打った三塁線ギリギリの打球が三塁・佐藤輝の適時失策となり、結果的にこれが決勝点となった。初回に先制すると18勝3敗で勝率は8割5分7厘。「なんとか先取点を取りたかったので、久しぶりに送らせた。それがああいう結果になったのでよかった」と、阿部監督が呼び込んだ1点だった。巨人は初回に阪神佐藤輝の失策で挙げた1点を守って勝利。巨人が相手の失策での1点だけで勝ったのは、96年4月27日横浜戦(7回に駒田の失策)以来で、阪神戦では64年9月3日(延長12回に吉田の失策)以来60年ぶり。今回のような「スミ1勝利」の得点が相手の失策だったケースは、22年オリックスが5月14日ロッテ戦(岡の失策)で記録して以来だが、巨人では48年9月13日南海戦(筒井の失策)以来76年ぶりと珍しかった。
◆阪神佐藤輝明内野手(25)の「好プレー」が暗転した。初回2死二塁。巨人岡本和の三塁線への打球を逆シングルで好捕。深い位置から一塁にワンバウンドで投げた。バウンド処理に定評がある大山悠輔だが、ハーフバウンド気味の送球を後ろにそらし、二塁走者に生還された。悪送球が記録された佐藤輝は「(バウンドさせるか)迷ってはないです。しっかり投げられなかったということ」と悔しそう。大山は「低く投げてくれた以上、何とかしないといけない。あれが勝敗に結びついてしまっているので、チームにも西さんとテルにも本当に申し訳ない」と自分のミスだったと強調した。佐藤輝は毎日、ライン際からの送球を練習している。馬場内野守備走塁コーチは「欲を言えばもう少し捕りやすいバウンドが良かったけどね。(カバーは)お互いね」と説明した。
◆阪神西勇輝投手(33)が7回4安打1失点(自責0)の好投も実らず、今季4敗目(5勝)を喫した。0-0の初回2死二塁。4番岡本和を三塁線へのゴロに打ち取ったが、三塁手佐藤輝の一塁へのワンバウンド送球が適時失策に。二塁走者に先制のホームインを許した。「ゲームなんかいろいろあることだし、そんなところを責める理由もない。結果がそこの1点だった」2回に岸田を右飛に打ち取り2死を奪った場面で、14年連続となる100イニング投球回にも到達。プロ3年目から継続してきた記録で、自身の持つ現役最長記録を更新した。「丈夫に生んでくれた両親に感謝だし、この世界で投げていくのがいかに大変か分かっている。(達成した)人が少ない記録をどんどんクリアできたら」。白星では飾れなかったが、節目の一戦で堂々たる投球を見せた。
◆阪神桐敷拓馬投手(25)が自身初のシーズン50試合登板を達成した。0-1の8回に2番手で登板。先頭門脇を147キロ直球で空振り三振。代打モンテスは右飛、続く丸も二ゴロに打ち取った。「自分が3人で抑えて、攻撃に流れを持っていく」と腕を振った。昨オフから目標に掲げていた50試合をプロ3年目で達成し、防御率も1・97と安定。「優勝に向かって1年間最後までやりたい」と言葉に力を込めた。
◆阪神森下翔太外野手(23)が好守に阻まれた。1点を追う4回、1死で巨人の山崎伊から6球粘り、137キロ外角カットボールを遊撃頭上へ痛烈なライナーで飛ばした。だが、門脇の完璧なジャンピングキャッチに屈した。6回は1死一塁で投ゴロ併殺に倒れ、1点が遠かった。「結果なので仕方ない。自分たちの試合をやって勝てばいい。他の球団のことはあまり意識していないですね」と切り替えた。
◆阪神木浪聖也内野手(30)がチーム初安打を放った。巨人先発山崎伊に無安打に抑えられていた5回1死。カウント1-2から128キロスライダーを捉え、左前に運んだ。今季の山崎伊との対戦は7打数3安打、4割2分9厘と好相性。「自分は(塁に)出るだけだと思っていたので。あそこで打てて良かったです」と振り返った。
◆巨人アルベルト・バルドナード投手(31)が一打同点のピンチを6球で切り抜けた。1点リードの8回2死二塁から4番手として登場。2ー2から近本をチェンジアップで空振り三振に取り「キャッチャーを信じて投げられた」と無失点に抑えた。ヘルナンデスが左手首骨折で離脱する中、「彼の分も、という思いはもちろんある」と臨んだ一戦で好救援を見せた。
◆巨人山崎伊織投手(25)が"エリー"のために投げ勝った。中5日のマウンドで、6回2/3、2安打無失点で8勝目を挙げた。二塁を踏ませない内容で、阪神打線を寄せ付けず初回の1点を守り抜いた。前日に左手首骨折で離脱したヘルナンデスの背番号「42」のユニホームをベンチに掲げ、チーム全員の敬意を込めて臨んだ一戦。3連勝で今季最多タイの貯金11とし、9連戦最後の3連戦初戦を制した。山崎伊が背番号42のユニホームに、背中を押されるように投げ込んだ。今季初の中5日で阪神に耐え勝った。「後半戦(自身)2連敗で負けていたので、すごく気合が入って集中していました」。打者23人中、ファーストストライクを振ってきたのは2人だけ。7回途中まで121球を費やすも、二塁を踏ませず。スミ1勝利を呼び込んだ。先頭をすべて封じた。前回登板の6日広島戦は先頭出塁を許した3イニングで失点し、6回5失点。反省を糧に帽子のツバには「先頭」とペンで記し、特に意識した。イニング間の投球練習では、1球目にマウンド後方から全身を使い、力強く投げた。「先頭でギアが上がりきらないことが多かった」と"新ルーティン"で気合を入れた。前日の中日戦で左手首を骨折したヘルナンデスの分まで背負った。ベンチにユニホームが掲げられ「本当に来てからジャイアンツの流れがよくなった。すごく打って助けてもらった。何とかここからピッチャーが粘っていけるように」と離脱した"エリー"のために投げ続け8勝目。自身も東海大4年の20年6月に右肘のトミー・ジョン手術を経験。1年目からリハビリの日々を過ごし、戦えないもどかしさも知るだけに奮い立った。真夏の9連戦を締めくくる3連戦。7月30日からの甲子園3連戦で3連敗を食らった阪神に本拠地でリベンジした。首位広島の背中にピタリ付きつつ、虎とは3ゲーム差。「(ヘルナンデスも)優勝できたらうれしいと思う」。じわり差を広げ、エリーの分まで突き放しにかかる。【上田悠太】
◆終わってみれば、あの1点かいな...。阪神が2位巨人を相手に今季15度目の完封負けを食らい、自力優勝の可能性が消滅した。1回裏2死二塁、三塁手・佐藤輝明内野手(25)が三塁線のゴロを好捕しながら一塁へ悪送球。適時失策による1点を巨人投手陣に守り抜かれた。G戦で適時失策が決勝点となっての0-1敗戦は60年ぶり。チームは3カード連続で初戦黒星となり、首位広島に4ゲーム差、2位巨人に3ゲーム差をつけられた。ライバル巨人が歓喜に沸くかたわらで、阪神の自力優勝の可能性が消えた。初回に失った1点が、この日の決勝点となった。「初回が」と聞かれた岡田彰布監督は、あきれ気味にぼやくだけだった。「なあ。もう、そんなん分かってるやんか。勝敗って、その1点やないか」痛恨の決勝打、ではなかった。先発の西勇は初回、先頭の丸に中前打を浴びたものの、2死二塁までこぎつけた。しかし直後に暗転。続く岡本和の三塁線への打球を、佐藤輝がつかんで一塁へワンバウンド送球するも、大山が捕球できず。後逸した間に、二塁走者・丸の生還を許した。「俺1人で叫んだからな、『ワンバン!』って。俺だけやった、恥ずかしかったわ、ベンチで。そういうことや」指揮官の決死の叫びも届かず、記録は佐藤輝の悪送球に。阪神が巨人に0-1で敗れた試合で失策が決勝点となったのは64年9月3日以来、実に60年ぶりだ。西勇は自責0で7回1失点、96球の好投。「勝ちをつけないと」の問いに、またしても岡田監督は「その通りちゃうの。そんなん、お前。俺が言わんでも分かってることやんか」と話し、あきれたように笑った。中5日で回ってきた巨人先発の山崎伊を前に、打線が見せ場なく沈黙。5回1死で木浪が左前打を放つまで無安打に抑え込まれた。7回には渡辺、糸原、島田と3連続代打を送るも1点を奪えず。相手右腕の調子を「そうでもなかったんちゃう。飛ばしてたけどな」と振り返ったが、野手陣が期待に応えられなかった。8月12日-。85年に阪神球団社長の中埜肇氏が搭乗していたJAL123便、ジャンボ機が群馬県の御巣鷹山に墜落してから39年。悲しい試合に落ち込んでいては、先人たちに申し訳ない。残り37試合。虎に下を向いている時間はない。【磯綾乃】阪神は今季の自力優勝の可能性が消滅した。阪神は残り37試合に全勝しても、最終成績は90勝48敗5分けで勝率6割5分2厘。広島は阪神との残り6試合に全敗しても、他球団との37試合に全勝すれば91勝47敗5分けで6割5分9厘となり、阪神を上回るため。阪神の0-1敗戦は、7月20日広島戦以来今季6度目。決勝点が失策での0-1負けは22年9月18日ヤクルト戦以来。この試合は先発藤浪の6回の一塁悪送球で失点した。阪神が巨人に0-1で敗れ、決勝点が失策だったのは64年9月3日(甲子園)以来60年ぶり。延長12回に遊撃の吉田義男が1死一、二塁から併殺を狙って一塁へ悪送球。これが決勝点となった。なお阪神は次戦から12勝8敗と持ち直し、大洋(現DeNA)を逆転して優勝を飾っている。
◆阪神が投打のかみ合った試合運びを見せ、巨人相手に連敗を阻止した。前夜12日に自力優勝の可能性が消滅していたが、この日首位広島がDeNAに敗れたため、自力優勝の可能性が復活した。前夜まで4番に座っていた佐藤輝明内野手(25)が、6月22日DeNA戦(甲子園)以来40試合ぶりのベンチスタート。代わって座ったのは、プロ初となった森下翔太外野手(23)。第110代4番が、初回に先制の11号2ランを放ちいきなり存在感を見せた。阪神岡田監督の一問一答は以下の通り。-期待を込めた選手が応えた「そうですね。ちょっと、才木だけがもったいないね。もう...、勝ち投手、10勝目だったんで。もったいなかったですね。才木だけ」-プロ初の森下の先制パンチ「いやいやもう、2通りね、打順を考えてたんだけど。みんなでね、きょうはこっちでいこうっていうことで。初めてですけどね、ずっと、一番安定してね、調子もよかったんでね」-森下を4番にした理由は「いやいやもう、普通に決めました。それは」-満塁で2度の走者一掃。大きかった「ヒットの割にね、もう一つ、フォアボールが絡んでね。ほんと、少ない、2つの満塁のチャンスで、両方とも走者一掃なったんで。大きかったですね。そこは」-渡辺は久々のスタメン。きょうの活躍は「最高のね。あそこで右ピッチャーが来るかなと思ったんですけど、右が来たら佐藤を用意してたんですけど。どうだろうね。佐藤が怖かったのか、渡辺で抑えられるのか、それはちょっとわからないですけどね」-佐藤はベンチスタート。8回に代打。どんなメッセージを込めて「当然、明日いかないといけないので、明日は右なので、ちょっとでもあしたのためにというか、そういう意味を含めて」-才木は苦しい場面もあった「あの5回はストライクをそろえすぎたというか、変化球ばっかりでしょ、打たれたのは。もうちょっと余裕を持ってね、まあ4点もリードして投げることは今まであまりなかったと思うので、ちょっともったいなかったですね」-ゲラが初めて7回を投げた「そうですね、3番4番がちょうど右なので。準備さえできれば、順番は全然関係ないので、打順の右左でいってますけどね」-桐敷を八回に投入。それだけ重い一戦「いやいや、今日休ませるつもりやったんですけどね。まあ明日は休ませますけどね。3点リードしたんでね、あのまま同点とかだったらね、伊藤いかす予定だったんですけど。まあ勝ち越したんでね、もう今日投げて、明日休みにしときます」-カード勝ち越しをかけて、明日は及川対戸郷「いやもう、明日はもうピッチャーも総動員でいくつもりだし、いけるとこまで、まあ及川も前回良かったんでね、思い切って投げてくれたらいいと思います」
◆巨人・浅野翔吾外野手(19)が4月以来、約4カ月ぶりに1軍に合流。試合前練習では右翼と中堅で守備練習を行った。「こんな大事な時期に呼んでもらっているので、 嬉しいというよりはチームが勝つことだけを考えてプレーしたい」11日の中日戦(バンテリンドーム)でエリエ・ヘルナンデス外野手(29)=前レンジャーズ傘下3A=が守備の際に左手首を骨折したことにより、代役として昇格。「(ヘルナンデスが)けがをしたから上がっているだけで、けがしていなかったら上がれる状態ではなかった。そこは悔しさっていうのも少しありながら、ここは一つチャンスじゃないかなという部分はある。エリーの存在はチームにとって大きいと思うので、そこをできるだけ埋められるように全力でプレーしたい」と意気込んだ。
◆巨人・坂本勇人内野手(35)が4月27日のDeNA戦(横浜)以来、107日ぶりに「3番・三塁」に入った。6月中旬から「3番・中堅」に定着していたエリエ・ヘルナンデス外野手(29)=前レンジャース3A=が11日の中日戦(バンテリンドーム)の守備の際に左手首を骨折して離脱。「6番・中堅」にオコエ瑠偉外野手(27)が名を連ねた。
◆阪神は西勇輝投手(33)が先発する。今季巨人戦には2試合に先発して15回1失点、防御率0・60と相性抜群。高橋の好投で広島相手の3連敗を阻止したチームの連勝を目指して戦う。打線では森下翔太外野手(23)と佐藤輝明内野手(25)がともにここまで月間リーグトップの10打点を挙げており、この日も試合を動かす一打に期待が懸かる。
◆巨人ベンチに背番号42のユニホームが掲げられた。11日の中日戦(バンテリンD)の守備中に左手首を骨折し、戦列を離れたエリエ・ヘルナンデス外野手(29)=前レンジャーズ傘下3A=のもの。試合開始前、球団スタッフがベンチの壁にヘルナンデスのユニホームを掲示。ナインはシーズン途中に加入して打線の中軸を担ってきた助っ人の無念も背負い、戦う。
◆阪神は一回、三塁・佐藤輝明内野手の悪送球で先制点を献上した。先発の西勇は先頭の丸に中前打で出塁を許す。吉川の犠打で走者は二塁に進んだが、坂本は遊ゴロで2死二塁までこぎつける。続く岡本和の打球は三塁線へ飛び、これを佐藤輝は滑り込みながらキャッチ。しかし一塁への送球がハーフバウンドになり、大山が止められずに後逸する間に二塁走者の生還を許した。佐藤輝はリーグワーストの19失策目。9日の広島戦でも送球ミスで先制点を献上していたが、またもミスから相手に得点を与えてしまった。
◆阪神の先発・西勇輝投手(33)が14年連続の100イニング投球に到達した。今季98回と3分の1を投げて迎えたこの日の先発登板。一回に守備のミスが絡んで1点を失ったが、最少失点で切り抜けると二回以降はスコアボードに0を並べた。初めて100イニングに到達したオリックス時代の2011年から14年連続で大台に到達し、先発ローテーションの一角として活躍を続けている。
◆阪神は巨人から得点を奪えず敗れた。先発の西勇輝投手(33)は7回1失点。一回2死二塁で岡本和の打球が三塁線へ飛び、佐藤輝が滑り込みキャッチ。しかし一塁への送球がハーフバウンドになり、大山が止められずに後逸する間に二塁走者の生還を許した。その後は好投を続けたが、ミスで失った1点が重くのしかかった。打線は巨人の先発・山崎伊からチャンスを作れず。八回に代打・島田が二塁打を放ってこの日初めて得点圏に走者を置いたが、近本が空振り三振に倒れた。7日のヤクルト戦(神宮)以来となる無得点で敗れた。この1敗で、広島が引き分け以上で自力優勝が消滅する。
◆巨人が投手戦を制し3連勝。七回途中2安打無失点の山崎伊が8勝目、ケラーが初セーブ。一回2死二塁から三ゴロ悪送球の間に挙げた1点を守った。守備が乱れた阪神は打線も7回1失点の西勇を援護できず、自力優勝の可能性が消滅。
◆巨人・山崎伊織投手(25)が6回2/3を投げ無失点で8勝目(4敗)を挙げた。チームは3連勝で貯金を今季最多タイの「11」とした。山崎伊は最速150キロの真っすぐに変化球を交え、四回まで無安打ピッチング。五回1死から木浪に初安打を許したが後続を断つと、その後も二塁を踏ませない好投を続け、七回1死から大山を遊飛に抑え交代した。打線は一回、2死二塁から岡本和の三ゴロを佐藤輝が一塁へ悪送球。その間に二走・丸が生還し先制した。ヒーローの山崎伊は「(自身)後半戦2連敗で、すごい気合入ってましたし、集中して行きました。やっぱり低めに投げていかないといけないピッチャーだと思うので、より低めに投げる意識を持って投げました」と振り返った。
◆阪神が6度目の「0ー1敗戦」で106試合目で自力優勝の可能性が消滅した。一回2死二塁、岡本和真内野手(28)の三塁線のゴロを逆シングルで処理した佐藤輝明内野手(25)の一塁悪送球による適時失策で与えた1点が決勝点となった。佐藤輝は2試合連続で直近6戦5失策。両リーグワーストの数字は「19」となった。攻撃でも3打数無安打1四球2三振で11打席連続無安打。打線は3安打に抑えられ、15度目の完封負けを喫した。14年連続100投球回に到達した西勇輝投手(33)は6月6日楽天戦(甲子園)以来の黒星で4敗目(5勝)。広島と4差、巨人とは3差に開いた岡田彰布監督(66)の主な一問一答は以下の通り(成績=53勝48敗5分、観衆=)。ーー山崎が良かった「いや、そうでもなかったんちゃう? 飛ばしてたけどな」ーー西勇は自責ゼロ。勝ちをつけないと「(笑いながら)その通りちゃうの? そんなん、お前。俺が言わんでも分かってることやんか」ーー一回に「なあ。もう、そんなんも分かってるやんか。勝敗って、その1点やないか」ーー大山も止めてやりたかった(佐藤輝の一塁へのワンバウンド送球が中途半端な形となり捕球できず)「俺ひとりで叫んだからな、ワンバン!って。俺だけやった。恥ずかしかったわ、ベンチで。そういうことや」
◆巨人が〝スミ1〟で逃げ切り、3連勝を飾った。阿部慎之助監督(45)は11日に左手首を骨折したヘルナンデスに代えて坂本勇人内野手(35)を3番に起用した理由を「もう状態もクソもない。経験がモノを言うし、あれだけ打っている選手ですからね。3番を打てそうな人いませんので。なんとかみんなで。また日替わりになっちゃうかもしれませんし、上位は固定して」と、当面は現役最多2388安打のベテランに託す考えを示唆した。また、試合前の練習ではモンテスが初めて外野で守備練習し、右翼でノックを受けた。指揮官は「彼もゲームに出たいから、『なんでもします』っていうのを積極的に言ってきてくれたので。そこは意気に感じていますし、どうなるか分からないですけど、チャンスがあればやってみたいなと思います」と外野で起用する可能性も明かした。試合は中5日で先発した山崎伊織投手(25)が七回途中2安打無失点で8勝目を挙げた。阿部監督は「最初から飛ばしていってくれていたのが分かりました。球数も増えてきちゃった(121球)んですけど、最後あそこまで行ってくれるとは思っていなかったので。チームにとっても素晴らしいピッチングでしたね」と称賛した。
◆阪神は巨人に零封負け。広島がDeNAに10―3で勝利したことで、自力優勝の可能性が消滅した。試合前時点で広島の勝利&阪神が引き分け以下、もしくは広島の引き分け&阪神の敗戦で消滅してしまうという条件だったが、巨人の前にスミ1で敗れた。広島が対阪神以外の試合を全勝すれば、阪神が広島との直接対決の残り6試合を全勝しても上回ることができない。
◆オリックス、阪神で通算176勝を挙げ、引退後も両チームでコーチを務めたサンケイスポーツ専属評論家の星野伸之氏(58)が適時失策の阪神・佐藤輝明内野手(25)に言及した。一回に佐藤輝の悪送球で1点を失って、そのまま試合が終わるとは思わなかった。失策での失点による「スミ1」は記憶にない。山崎より西勇の方がが数段いい投球をしていたから、打線に力が入り過ぎたのか。いつの間にかゼロが並んでしまった感じ。ただ負け方としてはよくない。雰囲気も非常に悪くなる敗戦だ。佐藤輝は捕球するまでは良かったし、ワンバウンドを投げるのも間違いではない。が、送球の方向がダメ。大山は後ろに逸らすのを防げなかったか、とは思うが、あのバウンドは難しいかもしれない。佐藤輝は打って取り返そうと思ったはずだが、何となく中途半端に映った。巨人バッテリー配球ははっきりしている。インハイがないのだ。これは最近、インハイをうまくさばいてヒットにしていたから、狭い東京ドームだから、などの理由が考えられる。とにかく外角ばかり。しかもボール球ではなく、ストライクゾーンが多い。傾向ははっきりしている。ならば、もっと割り切って、「外しか来ない」と大ヤマを張ってもいいのでは。13日の阪神先発は才木。1点勝負だから、ますます長打になる内角は投げにくいはず。早い時期に仕留めてもらいたい。最近の好調な佐藤輝なら可能だと思う。自力優勝の話題が出てきたが、経験上、気にする必要はない。数字が算出される前提として「全部勝てば...」という条件が付く。現時点で広島が阪神戦以外のすべて勝つことなんてありえない。落ち着いて戦ってもらいたい。
◆阪神・島田がチーム唯一の長打で見せ場を作った。八回2死で西勇の代打で出場し、3番手・船迫の直球を振り抜いて右翼への二塁打とした。この日一度だけ得点圏に走者が進んだ場面だったが、得点にはつながらず。「塁に出たかったので。執念で打ちました。しっかり振るところは継続してやっていければ」と振り返った。
◆阪神・中野は六回に3試合ぶりの安打となる左前打をマーク。八回には丸の強い当たりを逆シングルで捕球し、座ったまま一塁に投げてアウトにする好守で勝利への執念を示した。自力優勝の可能性が消滅することになったが、「相手は気にせず、自分たちの野球をしっかりしていくだけ」と前を向いた。
◆阪神・桐敷が八回を三者凡退で切り抜けた。門脇を空振り三振、代打・モンテスを右飛に打ち取り、丸の当たりは中野の好守備で二ゴロになった。目標にしていたシーズン50試合登板に到達。欠かせない救援陣の一角として仕事をこなす左腕は「本当に最後の目標は、一年間しっかりと、最後まで優勝に向かってやるというところ」と力を込めた。
◆阪神・森下は3打数無安打1四球だった。四回は痛烈なライナーを放つも遊撃・門脇のジャンピングキャッチに阻まれ、六回は投ゴロ併殺。九回は三邪飛に倒れ、5試合ぶりのノーヒットに終わった。自力Vの可能性は消滅したが「自分たちの試合を勝てばいい話。ほかの球団は意識しない。引きずってもしようがないので、あしたの試合に勝てれば」と目の前の1試合に集中する。
◆阪神・木浪は五回1死、山崎伊からチーム初安打を放った。追い込まれながらも外角の変化球を逆らわずに左前へ。「(塁に)出るだけ、と思っていたので、あそこで打ててよかった」。しかし二回1死一塁の第1打席は遊ゴロ併殺に倒れるなど、打率・200と苦しいシーズンが続く。八回の打席で代打・渡辺が送られ、8試合ぶりに途中交代となった。
◆仲間のミスで主導権を奪われても、ひたすら味方の反撃を信じて投げ続けた。阪神・西勇が見せた、気迫の96球、7回4安打1失点(自責点0)。援護なく黒星がついても、試合後の振る舞いは気丈だった。「ゲームなので、いろいろなことがある。そんなところを責める理由もないし、結果がその1点だけだったというだけじゃないですか」終わってみれば得点シーンは一回裏だけ。2死二塁から佐藤輝の失策で許した先制点が決勝点になった。しかし、この不運にも右腕は動じはしない。内角を厳しく突くなどコーナーを攻めながら巨人打線に立ちはだかった。二回からの4イニングは二塁を踏ませず。六回2死二塁では坂本を、バットをへし折って遊ゴロに仕留め、七回1死二塁のピンチも内野ゴロ2つで脱出。この回の最後は岸田を内角球で詰まらせ、鋭いゴロも自らさばくとガッツポーズをつくった。山崎伊と見応えのある投手戦を演じ、結果的に今季4敗目を喫したものの、巨人戦は今季3度登板し、防御率は0・41と抜群だ。今季の投球回も100回に到達。これでオリックス時代のプロ3年目、2011年から14年連続となった。若いころは打線との兼ね合いが生じる勝利数に意識を向けた時期もあったが、「感情の起伏が激しくなったり、長く投げていてしんどかった」。先発として、いまでは誰にも左右されない、自分の働きを示す投球回が最も大事にする数字だ。「丈夫に産んでくれた両親に感謝」。厳しい世界をその右腕で生き残ってきた証しが、また一つ加わった。「この負けがいい意味での負けになったり、明日につながる負けになる可能性もある。今日の負けに後輩たちがヘコむことなく、どんどんどんどん明日に向けて(やってほしい)。前を向いていくことだけなので」逆転Vへ突き進むため、下を向いている暇などない。悔しさにまみれそうな東京ドームには、後輩たちの背中をそっと押すチーム最年長の姿があった。(須藤佳裕)
◆リーグ連覇に黄信号! 阪神は0-1で巨人に惜敗し、首位広島が勝ったため、自力優勝の可能性が消滅した。一回の佐藤輝の失策による失点がそのまま決勝点になる痛恨の黒星。好投の西勇を見殺しにする、今季を象徴するような敗戦に、岡田彰布監督(66)も苦笑いを浮かべるしかなかった。残り37試合。逆襲するしかない!三塁ベース付近からの送球は、一塁手前で跳ねるとコントロール不能な軌道を描いて転がっていった。岡田監督が直前にベンチから叫んだ「ワンバン!」という声は届かず、痛恨の適時失策で〝スミ1〟負け。自力優勝の可能性消滅という悪夢の決着となった。「俺一人で叫んだからな、『ワンバン!』って。俺だけやった。恥ずかしかったわ、ベンチで。そういうことや」試合後のベンチ裏で、虎将は語気を強めた。一回2死二塁で岡本和の三塁線へのゴロを佐藤輝が逆シングルで好捕したが...。素早く向き直って一塁へ送球するも、ハーフバウンドに。一塁手の大山が合わせられずにファウルゾーンを白球が転々とする間に、二走・丸の生還を許した(記録は佐藤輝の失策)。「(ノーバウンドで投げるか、ワンバウンドで投げるかを)迷ってはいないですね。しっかりと投げられなかった。アウトにできなかったので、次はできるように頑張ります」佐藤輝は膝をつき、悔しさを押し殺すようにじっと自身の送球した先を見つめていた。その後は西勇が後続を断ち、ゼロを積み重ねたが、好投する投手陣を援護できない今季の〝投高打低〟を象徴するような試合展開で終わった。
◆仲間の無念の思いも背負って戦った。山崎伊が今季初の中5日のマウンドで2安打無失点、121球の熱投。一回に失策が絡んで得た1点のリードを守り、1カ月ぶりの白星を手にした。「後半戦が始まって火曜日は2連敗中だったので気合は入っていた。何とかチームの勝ちにつながるようにと思って投げました」阪神打線に粘られ球数が増えたものの、七回2死で降板するまで先頭打者の出塁を許さず、得点圏に走者を置くこともなかった。前回6日の広島戦は今季自己ワーストの6回5失点。先頭打者の出塁を3度許し、全てのイニングで失点した。「先頭はギアが上がりきらないことが多かった」との反省から、この日は投球練習の際にマウンドの後方から強いボールを投げるように工夫。帽子のつばの裏に「先頭」と大きく書き記して意識を高め、一回、1番近本に初球から150キロの真っすぐを投げ込んだ。この日、一塁側ベンチには戦線離脱を余儀なくされた背番号「42」のユニホームが掲げられた。途中加入ながら6月中旬から3番打者に定着し、打率・294と活躍していたヘルナンデスが11日の中日戦の守備で左手首を骨折。3番には坂本、中堅にはオコエが入り、代役として2年目の浅野が緊急昇格した。「すごく助けてもらっていたから、ここから投手が粘っていけるように頑張る」と山崎伊もさらなる奮起を期した。首位・広島とはわずか1ゲーム差。主軸不在の危機を乗り越え、チーム一丸でリーグ優勝へ突き進む。(原田優介)
◆全国の虎党の皆さん、本日は怒り狂うコトをお許し下され!! 負けられない大事な一戦。しかも伝統の一戦で、一回に佐藤輝の『スミ1エラー敗戦』って...。プロ野球史上、一回のエラーでの1点で試合が決まったことはなかったことじゃないだろうけど、巨人-阪神ではおそらく史上初やないかァ!?しかも、この佐藤輝の『もってない』は何や!? この選手のエラーが失点につながるのはなぜ? かつて巨人の大打者で俺の仲良し、ジャジャ馬青田昇氏は、そこまで守備のうまくないヤクルト長嶋一茂をこー評したのだ。「あの子は名手やでェ」「えっ!?」「そやろ、ピンチであの子のところに打球が行かんやろ!!」。う~ん、球界の重鎮、そーいうことまで見るか...と妙に納得。それを思い出した夜に俺が考えた苦肉の策は佐藤輝、大山の一、三塁交代。素人発想のつけ焼き刃もありじゃねーの!?その前に西勇を見殺して零敗をくらった虎打線はどないなっとんねん!! 他が打てん時こそ4番が一撃で仕留めるのがプロだろー!! あ、4番は佐藤輝か...。「ダメだこりゃ!! (希望を託し)次いってみよ~!!」。
◆阪神戦を見終えると、五輪が始まる。さあ、今夜も夜更かし...。いやいや、パリ五輪は12日未明に閉幕したのだった。それにしても、すごい五輪だった。遠い昔はメダル1つ取るのが大変、金メダルで表彰台の真ん中に立とうものなら大騒ぎだった。が、今回は、想像をはるかに超える金メダルラッシュ。国別獲得メダル表をみたら、米国、中国に次いで日本が3位。柔道・阿部詩やレスリング・須崎優衣が初戦で負けなかったら、野球やソフトボールが実施されていたら、金メダルはどこまで増えたことやら。とんでもないスポーツ大国になったもんだ。当番デスクは牧慈。夏季はアトランタ、アテネ、冬季は長野、ソルトレークシティーと、計4度も五輪を取材しているサンスポ屈指の国際派記者だ。五輪取材の一番の思い出は、アテネ五輪で野口みずきのマラソン金の瞬間に立ち会ったこと。第1回近代五輪の会場だった、歴史を感じるパナシナイコ競技場のゴールを駆け抜けたヒロインの原稿を書いたときは心躍ったそうだ。というわけで、今回の五輪の感想を求めてみると-。「僕が五輪に行ったときは、申し訳ないですが、やり投げ、近代五種、フェンシングなんて全く取材予定が組み込まれていなかったなぁ。勝てる可能性は低いし、日本選手が出場していないこともあったから。そういう競技が強化して、努力を重ねて...。すごいことです」各競技の強化段階から取材した記者だからこそ苦労がわかるのだろう。
<セ・リーグ順位表推移>
順位 | チーム名 | 勝数 | 負数 | 引分 | 勝率 | 首位差 | 残試合 | 得点 | 失点 | 本塁打 | 盗塁 | 打率 | 防御率 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 (-) |
広島 |
54 | 41 | 5 | 0.568 (↑0.004) | - (-) |
43 | 297 (+10) | 248 (+3) | 39 (+1) | 47 (-) |
0.237 (↑0.002) | 2.180 (↓0.01) |
2 (-) |
巨人 |
55 | 44 | 6 | 0.556 (↑0.005) | 1 (-) |
38 | 313 (+1) | 281 (-) | 55 (-) | 49 (+1) |
0.239 (-) | 2.540 (↑0.03) |
3 (-) |
阪神 |
53 | 48 | 5 | 0.525 (↓0.005) | 4 (↓1) |
37 | 331 (-) | 296 (+1) | 45 (-) | 32 (-) |
0.234 (↓0.001) | 2.310 (↑0.02) |
4 (-) |
DeNA |
49 | 53 | 2 | 0.480 (↓0.005) | 8.5 (↓1) |
39 | 360 (+3) | 365 (+10) | 72 (+1) | 49 (-) |
0.253 (-) | 3.080 (↓0.08) |
5 (1↑) |
ヤクルト |
43 | 56 | 4 | 0.434 (↑0.005) | 13 (-) |
40 | 360 (+5) | 389 (+4) | 72 (+1) | 47 (-) |
0.239 (↑0.001) | 3.580 (-) |
5 (-) |
中日 |
43 | 56 | 7 | 0.434 (↓0.005) | 13 (↓1) |
37 | 255 (+4) | 331 (+5) | 45 (+1) | 30 (-) |
0.235 (↑0.001) | 2.700 (↓0.02) |
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