中日(★2対6☆)阪神 =リーグ戦15回戦(2024.07.14)・バンテリンドーム=
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阪神
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中日
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勝利投手:石井 大智(3勝1敗0S)
(セーブ:岩崎 優(3勝3敗14S))
敗戦投手:橋本 侑樹(2勝1敗0S)
  DAZN
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◆阪神は両軍無得点で迎えた3回表、西勇の適時打で1点を先制する。その後同点とされるも、延長10回に代打・原口と植田の適時打などで5点を挙げ、勝ち越しに成功した。投げては、先発・西勇が6回1失点の好投。敗れた中日は、救援陣が踏ん張りきれなかった。

◆阪神が中継ぎスタッフを入れ替える。加治屋蓮投手(32)岡留英貴投手(24)の両右腕がバンテリンドームに合流した。ともに開幕メンバーには入ったが、加治屋は5月4日に、岡留は同30日に出場選手登録を抹消された。前日13日に漆原大晟(27)浜地真澄(26)の両投手がリリーフ失敗。先発して3回5失点だった伊藤将司(28)とともに再調整のため出場選手登録を抹消される見通し。

◆13日に11安打8得点も、2連敗を喫した阪神は打順を戻した。前日3番の近本光司外野手(29)が1番に戻り、野口恭佑外野手(23)がプロ初の3番に座る。4番は2試合連続で佐藤輝明内野手(25)で、大山悠輔内野手(29)が5番で出場する。先発は、西勇輝投手(33)が今季4勝目を狙う。

◆阪神西勇輝投手(33)が自ら先制点をたたき出した。3回1死三塁で、松葉貴大投手(33)の変化球をセンター返し。前進守備の二遊間をきれいに抜いた。今年は早くも3本目の適時打。得点圏では6打数3安打と、野手顔負けの勝負強さが光っている。

◆/白い歯がこぼれる\今シーズンなんと4安打目先制タイムリーは #西勇輝?プロ野球(2024/7/14)??中日×阪神??Live on DAZN#DAZNプロ野球 #hanshin pic.twitter.com/5x04wcwHIl

◆阪神西勇輝投手(33)が登板中に異例の給水タイムを要求した。4回無死二塁で福永裕基内野手(27)に17球も粘られた末に二ゴロ。ここで自ら自軍の三塁側ベンチに歩み寄り、トレーナーがペットボトルを持って駆け寄った。三塁線付近で水分補給を行い、すたすたとマウンドに戻った。この間、内野手も"無人"のマウンド付近に集まっていた。涼しいドーム球場では珍しい光景だった。

◆阪神が痛恨の「三振ゲッツー」でチャンスをつぶした。1-1で同点の7回の攻撃。フルカウントから前川右京外野手(21)がスイングを仕掛けるも、空振り三振。スタートを切っていた大山悠輔内野手(29)が二盗ならず、タッチアウトとなった。今試合は3度の併殺打があり、これで4度目となる"ダブルプレー"となった。

◆阪神先発の西勇輝投手(33)が6回5安打1失点でマウンドを降りた。まずは3回に自ら先制点をたたき出した。1死三塁で、中日松葉貴大投手(33)の変化球を振り抜き、前進守備の二遊間を抜いた。これが今季3本目の適時打。得点圏では6打数3安打と、野手顔負けの勝負強さが光った。だが、5回。先頭の7番板山祐太郎外野手(30)に右翼線に二塁打を運ばれ、一ゴロで1死三塁。続く投手松葉に中前適時打を浴び、同点とされた。6回も1死満塁のピンチを背負ったが、遊直と中飛に仕留め、最少失点にとどめた。

◆阪神原口文仁内野手(32)が、値千金の勝ち越し打を放った。1-1で同点の延長10回1死一、二塁で代打で登場。左腕橋本から左前適時打を放ち、1点リードを奪った。七夕だった7月7日のDeNA戦(甲子園)で代打サヨナラ打を放った男が、またも貴重な一打だ。さらに2死満塁で植田海内野手(28)が、右腕岩崎から左中間への走者一掃となる3点適時三塁打。植田はプロ初の三塁打となった。代走要員の伏兵が追加点を演出した。植田の打点は22年7月13日以来、2年ぶり。1試合3打点は20年8月6日の巨人戦以来で自己最多だ。さらに2死三塁から4番佐藤輝明内野手(25)が右翼フェンス直撃の適時二塁打。フェンス最上部に直撃する強烈な一撃で、4番の仕事を果たした。

◆阪神が延長戦の末に、代打原口文仁内野手(32)の決勝打で、連敗を2で止めた。15日からは首位巨人との3連戦(東京ドーム)に臨む。1-1のまま迎えた延長10回、先頭の前川が右前打を放つと続く梅野が敵失を誘い無死一、二塁。小幡は犠打失敗も、ここで打席に立った代打原口がフルカウントから7球目の149キロ直球を捉え、左翼へ決勝適時打を放った。さらに近本が四球で出塁し1死満塁とすると、代走で杜仲出場していた植田海内野手(28)が走者一掃の3点適時三塁打。さらに佐藤輝明内野手(25)が右翼フェンス直撃の適時二塁打で続き、一挙5得点を奪った。先制点は先発の西勇輝投手(33)のバットから生まれた。3回1死三塁の好機で西勇が中日松葉の2球目、低めチェンジアップを捉え中前適時打を放った。投げては6回5安打1失点、108球の力投。4回先頭のカリステに二塁打を浴び、続く福永には12球ファウルで粘られるなど、17球を要したが二ゴロに打ち取り無失点。5回は1死三塁から松葉に同点の中前適時打を許すも、最少失点でとどめた。6回には味方の失策もからんで1死満塁のピンチを招くも、板山を遊直、木下拓を打ち取り大きくガッツポーズした。互いに決め手を欠いていたが、最後は代打の切り札の一打で決着。連敗を2で止め、首位巨人との3連戦に臨む。

◆阪神が「鬼」のいない中日ブルペン陣に襲いかかった。1-1で入った延長10回。中日は3連投のため守護神ライデル・マルティネス(27)をベンチ外としていたため、橋本侑樹(26)が5番手で登板。代打原口文仁内野手(32)の左前打で勝ち越すと、さらに代わった岩崎翔(34)も攻め立てて、合計5点のビッグイニングを作った。

◆阪神岩崎優投手(33)が、プロ通算80セーブを挙げた。呉昇桓に並ぶ球団歴代4位の記録となった。4点差に迫られた延長10回1死二、三塁で登板。ここを無失点で切り抜け、今季14セーブ目だ。通常、セーブといえば「3点差以内」と認識しているファンが多いと思うが、なぜ今回のケースはセーブが記録されたのか。セーブとは、勝利した試合の最後を投げきり、勝ち投手でない場合に、以下の3つの条件のいずれかを満たすと与えられる。<1>3点リード時に1イニング以上投げた場合<2>2者連続で本塁打が出ると同点か逆転される場面で投げた場合<3>3イニング以上投げた場合この日の岩崎は走者2人を置いた4点リードで登板。つまり<2>に当てはまるので、セーブがついた。

◆/神が降臨した\チャンスに登場した代打#原口文仁 が勝ち越しタイムリー?プロ野球(2024/7/14)??中日×阪神??Live on DAZN#DAZNプロ野球 #hanshin pic.twitter.com/52uZOoSm1t

◆阪神原口文仁内野手(32)が、値千金の勝ち越し打を放った。1-1で同点の延長10回1死一、二塁で代打で登場。左腕橋本から左前適時打を放ち、1点リードを奪った。七夕だった7月7日のDeNA戦(甲子園)で代打サヨナラ打を放った男が、またも貴重な一打だ。7月は4打数3安打、2本の適時打と好調を維持している。ヒーローインタビューでの一問一答は以下の通り。-今の気持ちは「良い場面で1本出てよかったと思います」-チャンスの場面、意識は「ほんとにバッテリー中心に粘り強く守っていたので、なんとか打ちたいと思って準備していましたし、このチャンスで打つしかないと思っていきました」-フルカウントからの7球目「自分の感覚の中で落ちるんじゃないかなというのがあったので、島田がいい判断して走ってくれました」-7月は4打数3安打2適時打「ランナーいる場面で回ってきて、いつも必死のパッチでいきます」-連敗止めた。明日からG戦、そこへ向けて「チーム一丸でね、連敗を止めようと思ってやっていた。良い流れで東京いけると思う。熱い応援で、東京でよろしくお願いします」

◆阪神が延長戦の末に、代打原口文仁内野手(32)の決勝打で、連敗を2で止めた。15日からは首位巨人との3連戦(東京ドーム)に臨む。岡田彰布監督(66)の一問一答は以下の通り。-最後に得点「なあ。最後というかのお。ほんま。しんどい試合ばっかりや」-それでも原口が打ってそこから「いやいや、そら植田のが大きかったよ、おまえ。1点じゃおまえ、1点でも岩崎いっとったけどなあ。そんなんおまえ、点入らんかったら加治屋やったから、大変なことなってたわ」-原口も直前に小幡のミスをカバー、頼もしさ「頼もしいっていうか、いくんやから、そらおまえ、ミスなかったらおまえ、歩かされるのもあったやんか、そういうことやんか。ミスしたから勝負したんやろ。そのために左出してきたんやから」-6回のチャンスで1点取れていたら「そらもう、ずっとそらおまえ、つきもんやんか、あそこで1点とれてたらとか、そらおまえ、終わってみたら、勝って振り返れるからええけど、おまえ。そういうことやん、とれる時は絶対とっとかなあかんいうことよ、はっきり言うて。終わってみてな、あそこでじゃなしに。今なんかな、そんなチャンスないわけやからのお、今。だから、とれる時はとるっていうな、いうことだけやで」-西勇はじめ投手はしのいだ「いやいや、うん。途中足つった言うとったけどな、あっこまでよう投げたよ」-福永に粘られても「あ~あの時な。はよう、しかし、あんなんはよセカンドゴロ打たした方がええんやで、おまえ、そんなん、そやろ。セカンドゴロ打ちにきてるんやから。抑えてるけど、なんかきゅうきゅうで球数増えて、そやろ。それやったら三振とらなあかん、あんだけ球数使うんやったら三振や」

◆育成出身の星! 阪神野口恭佑外野手(23)が、プロ初のクリーンアップで意地の安打を放った。事前には「知らされていなかった」という3番でのスタメン。「おっ! と思いました。やることは変わらないので」。6回に死球で出塁したものの、3打席を終え無安打と気合が空回り気味だったが、9回に力を発揮した。1死から右腕松山の150キロ直球を強振。2球で追い込まれた後、迷いなく振り切って右前打で出塁した。松山は自身と同じく22年の育成ドラフトで入団。もちろん、分かっていた。「松山投手は同級生で育成で入っている。知っているので、なんとか1本出せたのはよかったかなと思います」。松山は中日のブルペンに欠かせない存在となっている右腕。実績を積んでいる段階の若武者も負けるわけにはいかなかった。育成から這い上がり、1軍の舞台にたどり着いた者同士の対決を制し、今季3本目の安打をマークした。育成ドラフト入団選手のクリーンアップは小野寺に続き球団2人目で、プロ8試合目での起用は小野寺をしのぎ球団最速。着実に結果を残し続ける。左投手が先発時は、今後もスタメン起用が続きそうだ。【中野椋】

◆阪神石井大智投手が好投で流れを呼び、今季3勝目を手にした。1-1の9回裏に4番手で登板。田中、大島、山本を3人で仕留め、直後にチームが勝ち越し勝ち星がついた。前夜に二塁打を浴びている大島を二ゴロに抑え、リベンジ成功。「本当に嫌なバッター。そういうバッターは抑えていかないといけないっていうのが、もちろんある」と強気だった。連投もこなし、防御率は2・01に良化した。

◆中継ぎ強化のため1軍に昇格した阪神加治屋蓮投手が、打ち込まれた。この日出場選手登録され、5点リードの延長10回に登板。1死一、二塁から高橋周に適時二塁打を浴びて1点を失い、岩崎に後を託した。5月3日の巨人戦以来、約2カ月ぶりの1軍登板は苦い結果に。「ピシャッと抑えられなかった。次はやられないように」と反省。また、岡留もブルペン要員として、1軍に昇格した。

◆阪神梅野隆太郎捕手(32)の冷静な目が、ピンチを最小限にとどめた。1-1のまま迎えた8回1死一塁、3番手ゲラが板山に投じた2球目のスライダーは内角低めに外れ、捕手梅野がミットを伸ばすも、わずか下を抜けた。ボールはそのまま転がって、中日ベンチの中へ。梅野は慌てて追いかけず、冷静にボールの行方を追っていた。「あえて入るまで待ちました。(テイク)ワンベースやなあと思って、あそこは止めにかからんと、そのまま見送ったっす」実際に責任審判が「投球がデッドの場所に入りましたので、投球時からワンベース、走者二塁で再開します」と場内に説明したように、一塁走者の高橋周は1度は三塁まで進むも、二塁へ戻ることになった。「もう(三塁に)回るのは分かってたから、やばいと思ったけど、入るのを待ったっす。1点入っていたかもしれないし、内野前進守備だったし。勝ててよかったです」。この回1死二塁から、板山を空振り三振、加藤匠を左飛に仕留めて無失点。1-1のまま辛抱を続け、延長10回の勝ち越しにつなげた。

◆中日が22年8月12~14日以来の阪神3連戦3連勝を逃した。先発松葉貴大投手(33)が6回1失点と粘投。清水、松山らのリレーで1-1の延長戦に持ち込んだが、5番手橋本がつかまった。10回先頭前川に右前打と自らの悪送球も絡み1死一、二塁を背負い、代打原口に決勝左前打。6番手岩崎も流れを止められず、一挙5点を失った。打線も9回まで5度三塁に走者を進めながら1得点だけ。6月30日DeNA戦からの本拠地連勝も「6」で止まった。試合後の立浪監督のコメントは以下の通り。「チャンスはたくさんあった中で、なかなか絶好機でかえせなかった。お互いにピッチャーが(点を)返しているわけだが、(打者が)ちょっと力んでしまうのかわからないが、そのへんが課題でもある。今日は昨日の流れで言えば、チャンスは多かったし、勝ちパターン(の投手)もいっているので、なんとかその間に勝ち越さないといけなかった試合。いつかは点は取られるが。打たれることはしょうがないで済ましてはいけないが、バント処理のミス(10回橋本悪送球)であったり、相手がミスもしてくれてる中で、そこ(勝てないこと)が、借金が減っていかない1つの原因だと思う。そういうことをしっかりやっていけるように明日から頑張ります」

◆阪神岩崎優投手(33)がプロ通算80セーブを挙げた。ルーキーイヤーから2年間ともにプレーした呉昇桓に並ぶ、球団歴代4位の記録だ。4点差に迫られた延長10回1死二、三塁で登板。ここを無失点で切り抜け、今季14セーブ目となった。「(状況は)どこでも一緒です。楽な展開はないので」と冷静。記録については「あっ、そうなんですか。まあ1個ずつ頑張ります」と前だけを見た。この日は4点差でマウンドに上がったが「2者連続で本塁打が出ると同点か逆転される場面」という条件に当てはまるため、セーブがついた。

◆阪神前川右京外野手(21)が猛攻の口火を切った。1-1で同点の延長10回、先頭で左腕橋本から左前打。チームはそこから一挙5得点で試合を決めた。4回の守備ではカリステの打球をグラブに当てながらも捕球できず。打撃でも、それまで3打席で無安打だっただけに「守備でもバッティングでも迷惑をかけている」と反省したが、最後に結果を残した。「もう少し内容を濃くしていかないといけない」とさらなる向上を目指す。

◆佐藤輝明(25)がとどめの一撃だ。延長10回、原口の勝ち越し打、植田の3点三塁打に続いて右翼フェンス上部にライナーでぶつける二塁打でこの回5点目。少しでも角度がつけばという当たりに「まあヒットになってよかったです。惜しかったですけど」と悔しさ半分。「同じ打球を打てば入ると思うので頑張ります」。次の東京ドームでの本塁打に自ら期待した。

◆神様、仏様、原口サマ~♪ 阪神が同点の延長10回、一挙5得点で中日を沈めた。連敗を2で止め同一カード全敗を阻止した。決勝打は代打の切り札、原口文仁内野手(32)。しぶとく左前に運んでチームを救った。打点を挙げれば去年から9連勝。7月は3安打すべてで劇勝に導く"夏男"ぶりだ。連勝が止まった首位巨人とは1・5ゲーム差。今日15日からの直接対決で一気にその座を奪い取る。フルカウントから、左腕橋本が内角高めを鋭くえぐってきた。原口は瞬時に脇を締め、かぶせるように思い切りたたいた。打球が左翼前にはずむ。絶叫に近い左翼席の虎党の声を背に、二塁走者の島田が全力でホームを駆け抜けた。「いい感じで詰まってくれたので落ちるかな、という感触があった。難しい当たりだったけど島田がよく走ってくれました。ナイスラン!」。32歳のヒーローは完璧な打球判断を見せた後輩を立てた。夏本番の7月に入り、傑出の存在感を見せている。代打で4打数3安打。すべて"劇勝"に導いてきた。7日は右前打に敵失が絡み、逆転サヨナラとなる一打。9日は凡退なら試合終了の場面で左前打を放ち、近本の逆転サヨナラ打につなげた。凡退した唯一の打席は前日13日。9回に守護神マルティネスから右翼ライナーの好内容だった。打点を挙げれば今年の5試合を含めて、昨年から9連勝。原口が打てば勝つ。打ってほしい場面で出てきて、打つ。「出る場面がそういうところが多くなっていると思う。その中で準備して、いい結果が出ているのは自分自身にもチームにもプラス。続けていきたいですね」。チームを背負う自覚は言うまでもない。「神主打法」のように体の正面にバットを掲げ、自然体で打つ準備を整える。失敗のできない仕事場。困ったらいつもシンプルな形と思考に行き着く。大きくアプローチを変えることはないが「自分でいろいろと工夫しながら」。"1打席入魂"を続ける。出番は一瞬。でも、1日の中で誰よりも長い時間、バットを握っているのが原口かもしれない。遠征先のホテルにも相棒を持ち帰る。その姿は肌身離さず刀を携えるサムライのようだ。「連敗していてすごく大事な試合というのはみんな分かっていた。勝つ、勝たないはすごく大きいので、また東京に行ってみんなでいい試合をしたいです」。今日15日から東京ドームで巨人3連戦。2勝1分け以上で5月26日以来となる首位の可能性もある。頼れる男が勝負の一太刀に備える。【柏原誠】

◆「海の日」よりも1日早く波に乗った。俊足の阪神植田海内野手(28)が、この日はバットで魅せた。延長10回、1点を勝ち越し、なおも2死満塁。9回に代走で途中出場した植田に打席が回ってきた。「原口さんがタイムリー打って勝ち越していたので、ちょっと気楽に。打てなくてもしゃあないわと思って入りました」少し楽にバットを握ると、中日岩崎の151キロ直球をしっかりはじき返した。左中間深くへ飛ぶ適時三塁打で、走者全員が生還。いつもはホームを踏むことの多い男が、味方を次々にホームへとかえした。プロ10年目で初の三塁打をマーク。「うれしいです。外野めちゃくちゃ前やったんで。なので、ラッキーです」と控えめに喜ぶ本人以上に、ベンチの仲間たちも大喜びだった。22年7月13日以来2年ぶりの打点で、20年8月6日に並ぶ自身最多の1試合3打点。韋駄天(いだてん)が放った一打に、岡田監督も「いやいや、そら植田のが大きかったよ」と手放しでたたえた。今季はすでに43試合に出場し、昨季の28試合を大きく上回る。先発は「2番右翼」だった6月1日ロッテ戦(ZOZOマリン)のみで、守備からが6試合。36試合と大半を占める代走でさすがの働きぶりを続けているが、この日は別の持ち味も見せた。「みんな勝ちたいという気持ちがめちゃくちゃあったので、よかったです」。15日の「海の日」の前日に「海(かい)」が大活躍だ。【磯綾乃】

◆阪神西勇輝投手(33)が108球の力投で勝利を呼び込んだ。4回1死一、三塁。高橋周を投ゴロ併殺に打ち取ると、右拳を突き上げた。4回以降毎回走者を三塁に進めるも、6回5安打1失点と、最少失点に切り抜けた。チーム最年長は連敗ストップへ懸命に腕を振った。まずはバットで自らを援護した。チームが2回まで1安打と苦しむ中、3回1死三塁で、中日松葉の変化球を振り抜いた。前進守備の二遊間を抜く、中前への先制打。「梅野がいい打撃でチャンスメークしてくれたので、いい形でホームにかえすことができてよかったです」。今季3本目の適時打で、得点圏では6打数3安打と、野手顔負けの勝負強さが光った。両足がつりながらの投球だった。岡田監督は「途中足つった言うとったけどな、あっこまでよう投げたよ」と明かし、6回まで投げきった右腕をたたえた。4回無死二塁では福永に17球粘られた後に二ゴロ。ここで自ら三塁ベンチへ向かい、トレーナーがペットボトルを持って駆け寄って水分補給を行った。後続を仕留め、5回に投手松葉に許した中前適時打による1失点のみにまとめた。自ら気持ちを高める方法は知っている。プロ16年目。昨季まで13年連続で100イニング以上を投げ、酸いも甘いも経験した。チームが優勝争いにからめない時間が続いた時も、モチベーションは変わらなかった。例えば連敗していても「ここで連敗を止めたらヒーローになれる!」と自ら気持ちを高める。チームの勝利への思いは強い。自身の今季4勝目はお預けとなったが、チームの勝利が何よりもうれしい。試合後は「梅野がうまくリードで引っ張ってくれましたし、野手陣も声をかけてくれたおかげで、なんとか粘り強く投げることができました」と感謝。背番号16が二刀流の活躍でチームを勢いづけた。【村松万里子】

◆【日刊スポーツ西日本写真映像チームのとっておき映像プレイバック】今週のマンデードアラは...阪神3連戦ダイジェスト!トラッキーも来場し、ともにパフォーマンスを繰り広げるドアラさん。チームも連勝で、特等席で聞くヒーローインタビューは格別!暑さに負けず、本拠地に訪れたファンと勝利を満喫したドアラさんでした。

◆同一カード3連敗を阻止を狙う阪神は、野口恭佑外野手(23)がプロ初の「3番・右翼」でスタメン出場する。7日に初安打を放ったばかりの若虎が、前日に8得点を記録した打線をさらに活性化させる。先発のマウンドには西勇輝投手(33)が上がる。今季は3勝3敗、防御率1・67の成績を残す右腕。中日戦は4連勝中で、今季も5月16日(バンテリンドーム)で今季初勝利を挙げるなど好相性。チーム最年長右腕が、連敗ストップを目指して腕を振る。

◆阪神・西勇輝投手(33)が二回のピンチを乗り越えた。一回は6球で三者凡退に抑えて好発進。二回は1死から5番・細川に四球を与えると、高橋周には中前打を浴び、板山の中飛で二走・細川がタッチアップで三進して、木下との勝負を迎えた。それでも1ボールから内角にシュートを投じて一飛に仕留め、最初のピンチを脱した。今カードは12日の初戦で村上が二回に3点の先制点を与えて敗れ、12日は伊藤将が2―0から高橋周に逆転3ランを浴びていた。だが、中日戦4連勝中のチーム最年長はピンチは招きながらも、〝魔の二回〟をしっかりと無失点で切り抜けた。

◆阪神が三回に先制した。先頭の梅野が左中間への二塁打で出塁すると、暴投で三進。1死から打席に立った先発の西勇が、オリックス時代の元同僚・松葉のチェンジアップをとらえ、前進守備の二遊間を破って中前に運び、最初の1点をもぎ取った。西勇のタイムリーは5月16日の中日戦(バンテリンドーム)、6月6日の楽天戦(甲子園)に続き、今季3本目。自らのバットで快投への後押しをした。

◆阪神・西勇輝投手(33)が1―0の四回のピンチを脱出した。この回先頭のカリステに左翼・前川のグラブをかすめる左越えの二塁打で出塁されると、福永との勝負はカウント2―2から12球連続ファウルと粘られたすえに、二ゴロ。状況はこの進塁打と細川への死球で1死一、三塁と変わった。だが、二回に中前打を打たれていた高橋周にはフォークを打たせてゴロに。自らつかみ取って体を反転させ、二塁ベースへ素早く送球し、1―6―3の併殺を完成させた。粘り勝ちも見せながら最高の形でホームを踏ませず1点を守り、ガッツポーズを作った。

◆阪神・西勇輝投手(33)が五回に同点に追いつかれた。先頭の板山に右翼への二塁打を打たれ、木下の一ゴロで1死三塁。ここで投手の松葉に中前へはじき返され、同点とされた。西勇は三回に松葉から先制中前打を放っていたが、お返しを食らった。先頭打者に二塁打を許したのは四回から2イニング連続。四回は1死一、三塁のピンチで高橋周に投ゴロ併殺を打たせて無失点を継続していたが、ここで試合を振り出しに戻された。

◆阪神が六回の勝ち越し機を逸した。2死から1番・近本が四球で出塁すると、二盗を敢行。一時はアウトの判定が下るも岡田監督からのリクエストによるリプレー検証によって判定はセーフに覆った。6月15日のソフトバンク戦(みずほペイペイ)以来20試合ぶりとなる近本の盗塁で得点圏に走者が進んだところから中野が四球、野口も死球で出塁。塁が埋まって佐藤輝が打席に入り、虎党も大いにも期待を膨らませた。しかし、松葉の140キロを振り抜いた打球は高々と打ちあがり、結果は遊飛。この大チャンスで快音を響かせることはできず、三塁側のスタンドも歓声から一転、ため息が漏れた。

◆阪神・西勇輝投手(33)が六回の大ピンチを乗り切った。打線が2死満塁の勝ち越しの大チャンスをものにできなかった直後のマウンドだった。カリステに3イニング連続での先頭打者の出塁となる右前打を許すと、福永には遊撃へのゴロを打たせるも小幡が打球を捕りきれず、無死一、二塁(記録は失策)。一発のある細川は空振り三振に抑えたが、高橋周には四球を与え、満塁のピンチを背負った。ただ、ここから粘り切った。昨年まで同僚の板山にはショートにタイミングを合わされながらも、小幡がジャンプして打球をつかんで遊直となり、2死。長打力のある木下にはスライダーをとらえられたが、浅い飛球に中堅・近本が前進してつかみ取り、この難所も断ち切った。打球がグラブに収まるのを確認した西勇は右拳を振り下ろし、感情爆発。ロースコアの展開で先発の役目を果たしている。

◆阪神・西勇輝投手(33)が先発し、6回5安打1失点だった。ピンチも連続も熟練の投球で粘り抜いた。まずは二回1死一、三塁のピンチを乗り切ると、直後の攻撃では先制打を放ち、自らを援護した。五回には1死三塁で投手の9番・松葉に〝お返し〟の中前同点打を許したが、崩れることなくマウンドに立ち続ける。中盤3イニングは全てで先頭打者に出塁を許し、六回も2死満塁のピンチを背負ったが、ここでも木下を中飛に打ち取り、ガッツポーズ。前回登板した7日のDeNA戦(甲子園)では3回6安打3失点と早期降板していたが、得意の名古屋では4度の得点圏ピンチを招きながらも、しっかりとゲームメークしてみせた。

◆阪神は敵地での同一カード3連敗阻止をかけた一戦で、今季17度目の延長戦に突入した。先発した西勇は再三のピンチをしのぎ、6回1失点。三回には自ら中前先制打を放つも、五回に投手の松葉に中前同点打を許した。七回以降は互いにリリーフ陣を投入。阪神は七回を桐敷、八回をゲラが任され、ともにピンチを背負いながらも無失点。九回を任された石井は三者凡退で切り抜けた。

◆阪神・西勇輝投手(33)が先発し、6回5安打1失点だった。ピンチも連続も熟練の投球で粘り抜いた。まずは二回1死一、三塁のピンチを乗り切ると、直後の攻撃では先制打を放ち、自らを援護した。五回には1死三塁で投手の9番・松葉に〝お返し〟の中前同点打を許したが、崩れることなくマウンドに立ち続ける。中盤3イニングは全てで先頭打者に出塁を許し、六回も2死満塁のピンチを背負ったが、ここでも木下を中飛に打ち取り、ガッツポーズ。前回登板した7日のDeNA戦(甲子園)では3回6安打3失点と早期降板していたが、得意の名古屋では4度の得点圏ピンチを招きながらも、しっかりとゲームメークしてみせた。「長いシーズンを戦っていると今日のような苦しい展開の試合もありますが、梅野がうまくリードで引っ張ってくれましたし、野手陣も声をかけてくれたおかげで、なんとか粘り強く投げることができました」とコメントした。

◆阪神は延長戦を制し、連敗を「2」で止めた。1―1の十回は先頭の前川が右前打を放つと、梅野が試みた送りバントは中日の5番手・橋本が二塁へ悪送球し、チャンス到来。1死一、二塁で登場した代打・原口が左前にはじき返し、2点目をもたらした。さらに2死満塁で途中出場の植田が左中間を破る走者一掃の三塁打を放つと、佐藤輝もあと少しでスタンドインという右翼フェンス直撃の適時二塁打で続き、この回打者10人攻撃での5得点で一気に突き放した。三回に中前先制打を放った先発の西勇は本業のマウンドで6回5安打1失点。五回には松葉に中前同点打を浴びたが、六回2死満塁のピンチを断つなど勝ち越しは許さず、再三のピンチを背負いながらも最少失点にしのいだ。その後も七回を桐敷、八回をゲラが、ともにピンチを背負いながらも乗り切り、九回は石井が8球で三者凡退斬り。5点差をつけた十回はこの日に1軍昇格した加治屋が登板して1点を返されたが、最後は1死二、三塁からバトンを受けた岩崎が試合を締め、同一カード3連敗を阻止した。

◆近鉄、西武で主砲として465本塁打&2452安打をマークし、西武コーチ時代には清原和博らを育てたサンケイスポーツ専属評論家・土井正博氏(80)は決勝打の阪神・原口文仁内野手(32)を称えながら、レギュラー陣に苦言を呈した。延長十回、勝ち越し打を放った原口の頑張りに尽きる。というのも、あまりにもレギュラーメンバーが頼りない。九回まで先頭打者が出塁したのは4度あるにもかかわらず、1得点のみ。三回の得点も梅野と西勇の下位打線だった。給料をたくさんもらっている選手は何をやっているのだろうか。4併殺が象徴だ。走者の後方に打つというという鉄則ができていない。たとえば無死一塁では一、二塁間を狙ったり、最低でも併殺崩れになるようにする。その徹底がされていないからこそ、打球が野手の正面やベース付近にいく。近本も体の開きが早く、どっしり感がない。下半身を使っていないから手打ちになる。佐藤輝もボール球を振り過ぎ。何度もいうが、ボール球を振って結果を出し続ける選手はいない。せっかく安打を放っても、これでは長続きしない。一日も早く修正してほしい。原口、植田、野口ら脇役がカバーしてくれることはチームにとってありがたいが、手放しで喜んでいる場合じゃない。その場しのぎの野球では優勝できない。疲れが出てくる夏場に主力が状態を上げなくて、どうする。そろそろ〝殿様野球〟から脱却すべきだ。

◆三回1死一塁、二ゴロ併殺に倒れる阪神・近本光司=バンテリンドーム(撮影・宮沢宗士郎)

◆阪神が延長戦を制し、カード3連敗を阻止した。代打・原口文仁内野手(32)が十回1死一、二塁で左前適時打。2死満塁から途中出場の植田海内野手(28)がプロ初の三塁打で3点を追加。佐藤輝明内野手(25)の適時二塁打もあり、一気に5点を奪った。17度目の延長戦で6勝目(6敗5分)。右翼に入り初の「3番」を務めた野口恭佑外野手(23)は1安打。1番に戻った近本光司外野手(29)は2四球を選んだが、18打席連続無安打(6四球)。15日からの直接対決を前に、首位巨人に1・5差とした岡田彰布監督(66)の主な一問一答は以下の通り(成績=41勝38敗5分、観衆=3万6290人)。ーー最後にやっと「なあ。最後というかのお。ホンマ。しんどい試合ばっかりや」ーーそれでも原口が打って、そこから「いやいや、そら植田のが大きかったよ、お前。1点じゃお前、1点でも岩崎行っとったけどなあ。そんなんお前、点入らんかったら加治屋やったから、大変なことなってたわ(加治屋は5点リードの延長十回に登板し1/3回を投げて2安打1失点)」ーー原口も直前に小幡のミスをカバーした(延長十回無死一、二塁で犠打を試みるも投飛)。頼もしい「頼もしいっていうか、行くんやから、そらお前。ミスなかったらお前、(1死二、三塁となり)歩かされるのもあったやんか、そういうことやんか。ミスしたから勝負したんやろ。そのために左出してきたんやから」ーー2死満塁まで行った六回のチャンスで1点取れていたら「そらもう、ずっとそらお前、つきモンやんか、あそこで1点取れてたらとか、そらお前、終わってみたら、勝って振り返れるから、ええけど、そういうことやん。取れる時は絶対取っとかなアカンいうことよ、はっきり言うて。終わってみてな、あそこでじゃなしに。今なんかな、そんなチャンスないわけやからのお、今。だから取れる時は取るっていうことだけやで」ーー西勇を筆頭に投手はしのいだ「うん。途中足つった言うとったけどな、あっこまでよう投げたよ(6回108球1失点)」ーー福永に粘られても(四回無死二塁で17球投げた末に二ゴロ)「あ~あの時な。はよう、あんなん、はよセカンドゴロ打たした方がええんやで、そんなん。そやろ。セカンドゴロ打ちに来てるんやから。抑えてるけど、なんか汲々で球数増えて、そやろ。それやったら三振取らなアカン。あんだけ球数使うんやったら三振や」

◆阪神が延長戦を制し、カード3連敗を阻止した。代打・原口文仁内野手(32)が十回1死一、二塁で左前適時打。2死満塁から途中出場の植田海内野手(28)がプロ初の三塁打で3点を追加。佐藤輝明内野手(25)の適時二塁打もあり、一気に5点を奪った。15日からの直接対決を前に、首位巨人に1・5差とした。原口の主な一問一答は以下の通り。ーーゲッツーは避けたい場面でアプローチを変えたのか「いや、それはもう関係なく、自分のスイングの中でしっかりボール球を見極めして、なんとかヒット打てるようにっていう思いでいきました」ーー感触としては「いい詰まり方をしたので、打った瞬間、落ちるかなっていう感覚はあって。ほんとにね、島田も難しい打球だったと思うんですけど、帰ってきてくれて、そこは本当ナイスランだったなと思います」ーー直前で小幡のバント失敗があった。カバーしたい気持ちも「まあね、小幡もいつも頑張っていますし、そういう時もあるんで、なんとかカバーしてあげたいなっていう気持ちで打席には向かっていたので、それが本当にヒットになって、そういう形で点が入って、良かったなと思います」ーー重苦しい雰囲気を振り払う一打「そうですね。まあまあ、そのあと海も輝も打ってくれたんで、重苦しい雰囲気を打ち破れたので、いいヒットになったかなと思いますけど。ほんとに何点あってもよかったんで、後を続いてくれたのは、すごくよかったなと思います」ーー速いボールに振り負けなかったが打席ではどういったイメージで「追い込まれていたんでね、なおかつ3-2だったんで、フォアボールもチームとして、そういう打撃のはすごく大事だと思ってたんで、後ろにつなぐこと。それがヒットになってくれて、ほんと良かったなと思います」ーー7月に入ってから3安打が全てチームの勝ちにつながっている。自分の仕事を果たせている手応えは「やっぱり出る場面が、そういうところが多くなると思ってるんで。そういう中で準備して、いい場面で結果が出ているっていうのは、僕自身もそうですけど、チームとってプラスになると思うので、続けていきたいと思います」ーー15日から首位巨人との3連戦「連敗して、すごく大事な試合っていうのを、みんなわかってましたし、1つ勝って。勝つ勝たないは大きいと思うんでね。1つ勝って、東京行っていい試合したいなと。みんなで思ってると思います」ーーいい状態「状態がよくてもヒット出ないとかありますしね。こればっかりは巡り合わせだったり、その時の運とか要素があると思うんですけど、プラスになってるのは自分の中でも次に向けて良い流れも出てきますし。結果がすべてなので、次に繋がるなと思います」

◆2試合連続で4番に座った阪神・佐藤輝明内野手(25)が延長十回2死三塁で右翼フェンス上段を直撃する二塁打を放ち、6点目をあげた。「ヒットになってよかったです」。二回には右前打を放っており、3試合ぶりのマルチ安打。ただ、六回2死満塁の好機では遊飛に倒れ、「それ(早い回に得点すること)が課題」と反省も忘れなかった。

◆同点の九回を任された阪神・石井大智投手(26)が大量得点への流れを呼び込み、今季3勝目を手にした。「テンポよく投げられたかなと思います」。田中と代打・大島を仕留めると、山本を空振り三振。わずか8球での1回零封だった。今月は11試合中8試合に登板と鉄腕を発揮。上旬の2戦連続失点から一転、5戦連続無失点と安定感も戻ってきた。

◆阪神・岩崎優投手(33)は6―2の延長十回、加治屋蓮投手(32)が招いた1死二、三塁で登板し、試合を締めた。「準備はしていた? もちろん」。板山をスライダーで空振り三振に抑えると、最後は代打・石川昂を右飛に仕留めた。セーブがつく場面で登板し今季14セーブ目をマーク。通算は節目の80セーブに到達したが「一つ一つ積み重ねていきます」と冷静に先を見すえた。

◆阪神・前川右京外野手(21)がミスを挽回する口火打で勝利に貢献した。「その前で守備でもバッティングでも迷惑をかけているので、最後は何とかできた」。延長十回先頭で左腕・橋本侑樹投手(26)から右前打。この一打が一挙5点を呼び込んだ。しかし五回無死一塁では投ゴロ併殺打。七回も無死一塁で三振ゲッツー。1―0の四回の守備ではオルランド・カリステ内野手(32)の飛球の目測を誤って二塁打となり、「ミスをしたらダメだと思うので、まずはちゃんと守れるように」と気を引き締めた。

◆出てきた! 打った! また救った~!! 阪神が両リーグ最多今季17度目の延長戦を制し、中日に6-2で勝利。拙攻とミスが続いてたどり着いた延長十回に代打・原口文仁内野手(32)が左前へV打。12球団1位タイの今季代打9安打目でチームを救い、この回一挙5点の猛攻に導いた。15日からの直接対決を前に首位巨人に1・5ゲーム差。驚異の集中力を見せる仕事人が、虎を押し上げる。意地と仲間への思いが乗り移った白球が、遊撃の頭を越える。2連敗中の空気を振り払い、ただただ必死のパッチで、原口が延長十回に値千金の勝ち越し打を放った。「いい詰まり方をしたので、打った瞬間、落ちるかなという感覚はあった。重苦しい雰囲気を打ち破れたので、いいヒットになったと思います」1―1の延長十回に5番手・橋本を攻め、無死一、二塁の絶好機ができた。だが、小幡が痛恨のミスを犯す。犠打を試みるも投飛となり1死一、二塁に...。ここでベンチから登場したのが、代打・原口だった。「小幡もいつも頑張っている。なんとかカバーしてあげたいなという気持ちで打席に向かっていた」ハートは熱く。頭は冷静に。フルカウントから左前へ運び、仲間もチームも一気に救った。二、三、五回に3つの併殺打があった。七回には三振ゲッツーもあった。五回に西勇が投手の松葉に適時打を浴びて同点とされて、1-1のまま12球団最多、今季17試合目の延長戦に突入した。同一カード3連敗は目前かに思えたが、原口のガッツが効いて、4時間1分の激闘は虎が制した。

◆延長戦を制する道筋を作った、阪神・西勇輝投手(33)の投打にわたる執念。右腕は6回1失点粘投&先制打で、勝ち負けは付かなかったが同一カード3連敗阻止に貢献した。「結果的にチームが勝つことが一番大事。梅野のリードだったり、野手のみんなも声をかけてくれたり、なんとか粘り強く投げることができたかなと思います」最初に訪れた二回のピンチを断つと、直後の三回1死三塁の打席で松葉のチェンジアップをセンター返し。「梅野がいい打撃でチャンスメークしてくれたので、いい形でホームにかえすことができてよかった」と女房役の二塁打に続き、貴重な先制点をたたき出した。五回には1死三塁で松葉に仕返しの中前同点打を食らったが、変わらずコースを厳しく突いて踏ん張るのは経験豊富な右腕の成せる技。六回2死満塁では木下を内角球で詰まらせて飛球を打たせ、中堅・近本が白球をつかむと右拳を振り下ろして喜びを爆発させた。四回無死二塁での4番・福永との勝負では12球連続ファウルという猛烈な粘りに遭い、最後は17球目を打たせて二ゴロに斬るも〝代償〟として両足をつった。それでもしっかりと水分補給をして次の勝負へと繰り出し、六回まで108球で熱投。岡田監督は粘られた場面を「しかし、あんなん、はよセカンドゴロ打たした方がエエんやで、お前」と振り返りつつ「あっこまでよう投げたよ」とねぎらった。西勇も「中継ぎ陣がつないでくれて、最後に勝ち切れたのが全てだと思います」とバトンをつないでくれた仲間たちへの感謝を口にし、この1勝を喜んだ。(須藤佳裕)

◆15日の「海の日」を、自慢の足ではなくバットで前祝いだ。九回に代走から出場した虎の海(かい)が、延長十回にはバットで魅せた。2死満塁から走者一掃打。植田海にとって、足を武器に生きてきたプロ10年目で初の三塁打だった。「原口さんがタイムリーを打って勝ち越したので、ちょっと気楽に(打席に入れた)。『打てなくてもしゃあないわ』と思って入りました」カウント1-2からの4球目。中日の6番手・岩崎の151キロ直球を振り抜いた。高く上がった打球は〝超前進守備〟を敷いていた外野手のはるか頭上、左中間を抜けていった。「外野、めっちゃくちゃ前だったんで。ラッキーです」。他球団の投手が恐れる足の持ち主だが三塁打は初めて。2022年7月13日の巨人戦(甲子園)以来2年ぶりの打点を一気に3つも稼ぎ、「うれしいです」と試合後も?を緩めっぱなしだった。岡田監督も「そら植田のは大きかったよ。(原口の決勝打の)1点じゃお前。1点なら(最後は)岩崎いっとったけど。点が入らんかったら加治屋やったから、大変なことなってたわ」と伏兵の一打に最大級の賛辞を贈った。この日が今季、出場43試合目。スタメンは6月1日のロッテ戦(ZOZOマリン)だけで、それ以外の42試合は代走、守備から。そんな男がバットでスポットライトを浴びた。「嫁さんのためにも頑張らないと」昨年12月のハワイへの優勝旅行。2022年3月に結婚した3歳年下の夫人と南国の海を眺めながら仲むつまじく歩いていた。さらなる飛躍へ。甲子園の室内では若手にまじって、打撃マシン相手にバットを振ることも日課だ。「野球人生を少しでも長くやりたい。僕も(28歳と)もう若くはない。これから足の速い若い選手もどんどん入ってくる。打撃でもアピールしないと、この世界では生きていけない」打席に立つ機会が少ない中で、きっちりとバットでも存在感を示した。「みんな勝ちたいという気持ちがめちゃくちゃあった。よかった」。本当の「海の日」となる15日からは、東京ドームで首位巨人との3連戦。だが虎にとっては、14日も最高の「海の日」だった。(三木建次)

◆さすが、59歳の虎番、ビヤ樽三木建次の目だ。いや、NHK総合テレビ「サラメシ」に出ていたときのようなカメラを意識してチラチラ...ほら、あのイヤらしい目のことじゃないですヨ。長年の取材経験に基づいた予想のことである。「僕はあえて試合後、岡田監督の前に姿を見せるようにしているんや」試合前、ビヤ樽に電話をすると、また自慢?してきた。ビヤ樽はそれで岡田監督の機嫌が分かるそうだ。リトマス紙で水溶液を調べるような行動は指揮官に対していささか失礼になるかもしれないが、ビヤ樽は凝りもせず、繰り返している。「12日の初戦は僕に体当たりしてきた。13日は僕を見て、変な顔をしていた。まだ大丈夫や。きょうは勝つんちゃう?」虎番の中屋友那もピーナツコッペパンをむしゃむしゃ食べながら「中日ファンの応援もすごいですね」と実にのんびりしたものだった。日本列島はムシムシ感あり、ゲリラ豪雨ありという梅雨特有の気候だったが、バンテリンドームは空調のおかげでとても涼しかったそうだ。確かに九回までヒンヤリとした攻撃内容に延長十回の守りは冷や汗連発。福永に17球粘られながらも抑えて、水をゴクリと飲みながら6回を投げた西勇の姿に胸キュン。白星をつけてあげたかったな。

◆よっしゃァ! 中日3連戦の3連敗を回避する延長十回の5得点!! だったら、六回まで味方のエラーなんかで招いた再々のピンチを1失点でしのいだ西勇のときに取ったれよー!!西勇のマウンドはしびれたでェ!! 四回先頭のカリステに左越えの二塁打を打たれたけど、次の福永は19球も粘られながらセカンドゴロに打ち取った。プロの投手の力を見せつけたのだ。何がスゲ~って、カウント2-2から12球ファウルを打たれたってことは、結果球を含めて13球連続、ほぼストライクゾーンに放ったってことでしょ! その後、高橋周をゲッツーに仕留めて無失点。西勇輝様、「あんたは、まさにプロのピッチャーや!!」と脱帽したのだ。そして延長十回に代打で登場し、9日のDeNA戦に続き勝利を呼ぶタイムリーを放った原口さ~ん、「あんたは虎のあぶさんや~!!」と、これまた脱帽。そうかぁ、終わってみればベテラン2人によって助けられたのかぁ...。若虎、もっと頑張らなあかんぜェ!!

<セ・リーグ順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差残試合 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(-)
巨人
42365 0.538
(↓0.007)
-
(-)
60247
(-)
217
(+6)
48
(-)
39
(-)
0.239
(↓0.001)
2.450
(↓0.04)
2
(-)
広島
40354 0.533
(-)
0.5
(↓0.5)
64225
(-)
187
(-)
33
(-)
44
(-)
0.231
(-)
2.090
(-)
3
(-)
DeNA
43391 0.524
(↑0.005)
1
(↑1)
60283
(+6)
276
(-)
54
(+2)
45
(+1)
0.249
(↓0.001)
2.920
(↑0.03)
4
(-)
阪神
41385 0.519
(↑0.006)
1.5
(↑1)
59244
(+6)
233
(+2)
32
(-)
27
(+1)
0.224
(↑0.001
2.300
(↑0.01)
5
(-)
中日
37426 0.468
(↓0.006)
5.5
(-)
58202
(+2)
268
(+6)
35
(-)
26
(-)
0.235
(-)
2.670
(↑0.02)
6
(-)
ヤクルト
32464 0.410
(-)
10
(↑0.5)
61278
(-)
292
(-)
54
(-)
39
(-)
0.233
(-)
3.360
(-)