中日(☆10対8★)阪神 =リーグ戦14回戦(2024.07.13)・バンテリンドーム=
このエントリーをはてなブックマークに追加

 123456789
阪神
02033000081100
中日
03205000X101331
勝利投手:藤嶋 健人(2勝1敗0S)
(セーブ:マルティネス(1勝2敗28S))
敗戦投手:漆原 大晟(0勝4敗0S)

本塁打
【中日】高橋 周平(2号・2回裏3ラン)

  DAZN
チケットぴあ 中日戦チケット予約 阪神戦チケット予約
◆中日が乱打戦を制した。中日は2点を追う2回裏、高橋周の3ランで逆転する。その後5-8となって迎えた5回には、福永、細川、藤嶋の適時打などで5点を挙げ、再びリードを奪った。投げては、4番手・藤嶋が今季2勝目。敗れた阪神は、投手陣が振るわなかった。

◆「横高対決」が思わぬ形で継続した。両チームの先発は阪神が伊藤将司投手(28)、中日が涌井秀章投手(38)。横浜(神奈川)OB同士の対決となっていた。しかし、涌井が2回表のマウンドに1度は上がったものの、その後、緊急降板。2番手として送り出されたのがドラフト5位右腕の土生翔太投手(23)だった。土生は横浜から桜美林大、BC茨城を経て昨年のドラフトで中日に入団。横浜OBがバンテリンドームのマウンドに立て続けに上がった。

◆阪神の「新打線」がさっそく機能した。2回、約1カ月ぶりに4番に上がった佐藤輝明内野手(25)が右前打で出塁。続く前川右京外野手(21)の左中間を抜けそうな大きな飛球を相手が失策。無死二、三塁として、4番から6番に下がった大山悠輔内野手(29)が右越えに2点二塁打を放って先制した。相手のアクシデントを生かした。佐藤輝が先頭で打席に入ろうとしたところ、中日の先発涌井秀章(38)がマウンドで異変を訴えて降板。急きょ代わった土生翔太投手(23)を一気に攻め立てた。

◆前日12日に今季11度目のゼロ封負けを喫し、4位に転落した阪神は打線を入れ替えた。佐藤輝明内野手(25)が6月18日の日本ハム戦(甲子園)以来、今季5度目の「4番三塁」で出場。大山悠輔内野手(29)は6月2日ロッテ戦(ZOZOマリン)以来、今季2度目の6番に下がった。また、島田海吏外野手(28)が「1番右翼」で9日ヤクルト戦(甲子園)以来のスタメン出場。近本光司外野手(29)が3番、前川右京外野手(21)が5番に入った。先発は、伊藤将司投手(28)。横浜高の先輩、中日涌井秀章投手(38)に投げ勝つ。

◆中日涌井秀章投手(38)が緊急降板した。今季14試合目の先発マウンドに上がった涌井は、初回を11球3者凡退に抑える上々の立ち上がり。2回のマウンドに上がったが、打者に向かう前に大塚投手コーチ、トレーナーがマウンドに上がり、体調を確認した。続投意思を確認後、3人でマウンドを降り、ベンチ裏へ。場内には治療とアナウンスされたが、時間をおいて立浪監督が土生翔太投手(23)への交代を球審に告げた。涌井はこの日勝利を挙げれば、西武時代の10年6月9日以来、14年ぶりの阪神戦勝利もかかっていた。

◆/この男が6番にいる怖さ\先制打は #大山悠輔ライトオーバーの2点タイムリー?プロ野球(2024/7/13)??中日×阪神??Live on DAZN #DAZNプロ野球#hanshin pic.twitter.com/9CzVlgG2r1

◆阪神先発の伊藤将司投手(28)が3回6安打5失点で降板した。2点のリードをもらった2回。先頭の4番福永裕基内野手(27)に右前打、5番細川成也外野手(25)に左翼線に二塁打を許し、無死二、三塁。6番高橋周平内野手(30)への3球目、113キロの緩いカーブを右翼スタンドに運ばれた。前日12日には村上頌樹投手(26)が2回に細川に2ランを浴びるなど、3連打で3失点。2日連続の「魔の2回」となった。さらに3回にも1死二塁から3番カリステ、4番福永に連続適時打を浴び、計5失点。4回の打席で代打渡辺諒内野手(29)が送られた。今季初の中日戦を前に「打者全員、つないでくるイメージ。ランナーをためずに1人ずつ抑えていけば」と意気込んでいた左腕だったが、3回KOとなった。

◆阪神打線がまたつながった。2-5と劣勢だった4回。1死後、連続四球から2死満塁のチャンスを作り、代打渡辺諒内野手(29)が2点中前打。この日1番に入った島田海吏外野手(29)にも左前適時打が飛び出し、すぐに追い付いた。前日は中日高橋宏斗投手(21)に8回をなすすべなく抑えられ、今季11度目の0封負け。この2戦目は打順を大きく並び替え、2回に2点を奪うなど、打線の流れがよくなっていた。

◆/今日の試合の行方はわからない\#島田海吏 の鮮やか流し打ちで同点タイムリー?プロ野球(2024/7/13)??中日×阪神??Live on DAZN #DAZNプロ野球#hanshin pic.twitter.com/Qbjq76ns7g

◆阪神前川右京外野手(21)の15打席ぶりの安打は"秘打"で生まれた。5回2死から、左腕・斎藤綱記(27)のスライダーをバットの先で打ち返した。ハーフライナーのような打球で遊撃前に飛び、バウンドした瞬間に野手の逆をつく方向にはずみ、内野安打となった。この一打をきっかけに打線がつながり、一気に勝ち越した。前日まで3試合当たりが止まり、この日は3番から5番に打順を変更。第1打席は左中間を破りそうな打球を放ったが、中堅手の失策が記録され、安打とはならなかった。ただ、ここから2点先取につながった。第2打席は3点差を追いつく攻撃の起点になる四球を選んでいた。

◆前夜に完封負けした阪神打線が、猛打を見せた。2回に2点を先制。直後に3点を奪われ、3回にも2点を失ったが、反発力があった。4回に3点を奪い、同点に。5回2死一、二塁では坂本誠志郎捕手(30)が中前への適時打を放ち、勝ち越しに成功。さらに2死一、三塁から小幡竜平内野手(23)が右翼への2点適時二塁打を放ち、リードを広げた。5回までに8得点を奪う猛打。前夜の鬱憤(うっぷん)を晴らした。

◆/コンパクトに弾き返した\タイガース月に勝ち越し#坂本誠志郎 がタイムリー???プロ野球(2024/7/13)??中日×阪神??Live on DAZN #DAZNプロ野球#hanshin pic.twitter.com/YQTJXujzPH

◆超乱打戦だ。阪神が2回に大山悠輔内野手(29)の2点適時二塁打で先制。直後に中日高橋周平内野手(30)が逆転3ランを放った。中日が3回に2点を追加。阪神は4回に渡辺諒内野手(29)、島田海吏外野手(28)の適時打で同点に追いつく。さらに5回には坂本誠志郎捕手(30)の適時打で阪神が勝ち越し。小幡竜平内野手(23)も適時打で続き、3点のリードを奪った。ただ、5回に中日が猛攻を見せる。5安打を集め、一挙5得点。5回を終わって10-8で中日がリード。両軍合わせて19安打と、超がつく乱打戦となっている。【両チームの得点経過】※○数字は打点2回表阪神先制 大山2点適時二塁打<2>2回裏中日逆転 高橋周逆転3ラン<3>3回裏中日追加点 カリステ適時打<1>、福永適時打<1>4回表阪神同点 渡辺2点適時打<2>、島田適時打<1>5回表阪神勝ち越し 坂本適時打<1>、小幡2点適時三塁打<2>5回裏中日逆転 カリステ犠飛<1>、福永適時打<1>、細川2点適時二塁打<2>、藤嶋適時打<1>

◆中日が今季2度目の2桁得点をマークした。先発涌井秀章投手(38)が1回で緊急降板する波乱の幕開け。2回に2点を先制されたが、その裏に高橋周の2号3ランで逆転した。その後3点リードを逆転され、5-8で迎えた5回に反撃。無死満塁からカリステの中犠飛を皮切りに、福永の右前打で1点差にすると、細川の2点適時二塁打で逆転。さらに4番手で救援登板した高校通算49本塁打の藤嶋の右前適時打で、10得点目を挙げた。藤嶋にとってはプロ初打点となった。2桁得点は4月29日のDeNA戦(バンテリンドーム)での11得点以来になる。

◆/恐竜打線、覚醒\再び試合をひっくり返した#細川成也 が勝ち越しタイムリー?????プロ野球(2024/7/13)??中日×阪神??Live on DAZN #DAZNプロ野球#dragons pic.twitter.com/J5Z75XSpA5

◆前夜完封負けを喫した阪神は打線テコ入れが奏功するも、今度は投手陣が打ち込まれ、連敗で4カードぶりの負け越しとなった。前日11日に今季11度目の完封負けを喫した阪神は、打線を大幅に組み替え。佐藤輝明内野手(25)が6月18日の日本ハム戦(甲子園)以来、今季5度目の「4番三塁」に名を連ね、大山悠輔内野手(29)は6月2日ロッテ戦(ZOZOマリン)以来、今季2度目の6番。「1番右翼」には島田、近本は「3番中堅」に入った。試合は互いに打ち合いのシーソーゲームとなった。先制は阪神。先頭の4番佐藤輝が右前打で出塁すると、前川の左中間への飛球を相手が失策。無死二、三塁から大山が右越え2点適時二塁打を放って先制した。直後の2回裏に高橋周に3ランを浴び、3回にも2点を奪われ3点のリードを許すも、阪神は4回に代打渡辺、近本の連続適時打で3点を奪い同点に追いついた。5回には坂本、小幡の連続適時打で3点のリードを奪うもその裏。3番手漆原が無死満塁のピンチを招き、カリステの犠飛と福永の適時打で1点差に詰め寄られると、代わった4番手浜地が細川に勝ち越しの2点適時二塁打を献上。さらに投手の藤島にも適時打を許し、反対に2点のリードを奪われた。6回以降は得点をかえせず、5位中日相手に連敗でカード負け越しが決定。先発の伊藤将司投手(28)が3回6安打5失点で降板するなど、打線が奮起したこの日は投手が踏ん張れなかった。

◆壮絶な乱打戦に終止符が打たれた。8-10で迎えた9回表。阪神は中日の守護神ライデル・マルティネス投手(27)を追い詰めたが、及ばなかった。1死から前川右京外野手(21)が相手失策で出塁。続く大山悠輔内野手(29)が右前打で続き、二、三塁のチャンスをつくった。ただ、後続が続かず、ゲームセットとなった。5回までに両チーム合わせて18得点の乱打戦。ただ、6回以降は得点が入らなかった。阪神は中日の中継ぎ陣を打ち崩すことができなかった。

◆前夜完封負けを喫した阪神は打線テコ入れが奏功するも、今度は投手陣が打ち込まれ、連敗で4カードぶりの負け越しとなった。打線は11安打8得点も、投手陣が計10失点。先発の伊藤将司投手(28)が3回6安打5失点、3番手漆原大晟投手(27)が1回持たず3安打4失点を喫した。岡田彰布監督(66)は先発の左腕について「ずっと、全然やでそら。考えたらキャンプからやんか、初登板からやんか、え? セルラーからやんか」と話した。阪神岡田監督の一問一答は以下の通り-伊藤将はなあ全然やもんなあ。甘いのばっかりやもんなあ。-前回は修正できたが、今回は修正できなかったいやいや、久しぶりに序盤に2点もらった後やからなあ。-今年は安定感ある投球が続かないいやあ、ずっと、全然やでそら。考えたらキャンプからやんか、初登板からやんか、え? セルラー(スタジアムでの登板)からやんか。-次回はそら知らんっていう、今終わったばっかりで。-漆原もいやいやそんなの、2人でおまえ5点やもん、1イニングを、なあ。もう全然ボールも来てないよな、今な。置きに行っとるもんな、なんかな、そっと。-打たれている打者も同じ一緒のバッターばっかりやんか。んなもん昨日と一緒やんかお前、3人で3点や。順番が違うだけで。何をやっとんやろなあ、バッテリーで、おまえ。おんなじように打たれるもんな。(自ら)もう低めの時代は終わったよ。-打順を替えた知らん。

◆阪神坂本誠志郎捕手がバットで貢献した。4回は左前打でつないで3得点を導いた。5-5で迎えた5回は中前に一時勝ち越しの適時打。7番打者は「後ろにつなぐ気持ちだけでした。タイムリーヒットになって良かった」と振り返った。中軸がしぶとく作ったチャンスを無駄にしなかった。一方、捕手としては痛恨の2桁失点。自ら生み出した大量得点もふいにした。

◆中日涌井秀章投手(38)が緊急降板した。今季14試合目の先発マウンドに上がった涌井は、初回を11球3者凡退に抑える上々の立ち上がり。2回のマウンドに上がったが投球練習中に右肩に違和感を覚え、大塚投手コーチ、トレーナーに付き添われて降板した。名古屋市内の病院で検査を受け「右広背筋肉離れ」と診断された。球団は今後について、医師、トレーナーと状態を確認しながら治療を行うと発表。立浪監督は「(早期戦列復帰は)ちょっとダメだと思う。立ち上がりが良かっただけに痛い。今いるメンバーでなんとかやりくりしていきたい」と頭を抱えた。19日からの巨人3連戦(バンテリンドーム)での先発を予定していたが、先発ローテーション組み替えを余儀なくされた。

◆阪神漆原大晟投手(27)が3試合連続失点で今季4敗目を喫した。3点リードの5回に3番手で登板。連打と四球で無死満塁のピンチをつくると、カリステに中犠飛。なおも1死一、三塁で福永に適時打を浴び、1点差に迫られたところで降板した。4番手浜地が細川に逆転の2点打を許し、漆原に4失点がついた。「見ての通り、打たれたので申し訳ない」と反省。開幕からブルペンを支えてきた右腕が厳しい状況に立たされた。

◆阪神小幡竜平内野手(23)が連続試合安打を11に伸ばした。5回の2点適時三塁打を含むマルチ安打。6月30日ヤクルト戦(神宮)から始まった連続試合安打は自己最長を更新し続けている。5-5の5回。2死一、二塁から7番坂本の中前適時打で勝ち越した直後の2死一、三塁。「誠志郎さんがつないでくれていたので、その姿を見て自分も続きました」。中日3番手の左腕、斎藤の2球目スライダーを右翼線に運び、走者2人を生還させた。「点が入ったのは良かった」。塁上で両手を上げ、ベンチに向けてガッツポーズで何度も喜んだ。2点ビハインドの8回にも先頭で6番手松山の150キロを中前にはじき返し、3試合ぶりのマルチ安打も記録した。7月の月間打率は31打数13安打で4割1分9厘。攻守で躍動を続け、遊撃スタメンの座にどっしり座っている。6月15日のソフトバンク戦で死球を受け、左肩甲骨骨折と診断された木浪は球宴明けから1軍に合流する見込みだが、「代役」のまま終わるつもりはない。球宴まで残り7試合。6月16日から19試合連続で遊撃先発を続ける小幡が、貪欲に自身の価値を示し続ける。【村松万里子】

◆阪神前川右京が全5打席で出塁し、8得点に貢献した。前日12日まで3試合当たりが止まり、打順は3番から5番に変更された。それでも第1打席に左中間への打球で中堅手の失策を誘い、ここから2点を先取。7回には中日清水の152キロ内角直球にバットを折りながらも三塁内野安打。失策と内野安打を2つずつもぎ取り、四球で全打席出塁。「次の試合、頑張ります」と前を向いた。

◆阪神4番佐藤輝明が2回の先制劇を演出した。6月18日の日本ハム戦(甲子園)以来、今季5度目の「4番三塁」でスタメン出場。2回の第1打席。先頭で中日土生の136キロ外角フォークを右前に運び、6番大山の適時二塁打で先制のホームを踏んだ。だが、その後は好守にも阻まれ、凡退。2点差の9回は守護神マルティネスを前に3球三振に倒れ、「また明日から頑張ります」と力を込めた。

◆中日が乱打戦を制し、今季2度目の2桁得点で今季阪神戦初の連勝を決めた。先発涌井秀章投手(38)が右広背筋肉離れで1回で緊急降板するアクシデントで幕開け。2番手土生が阪神打線に2点を許すが、その裏に高橋周の2号3ランで逆転した。その後、6点を奪われ、3点を追う5回に打線が爆発。細川の逆転適時二塁打や、藤嶋のプロ初の適時打などで2桁10点を奪い、逃げ切った。試合後の立浪監督のコメントは以下の通り。-試合ではいろいろなことが起きた「いろいろありすぎて忘れました。涌井のアクシデントから、肩に張りが出たということで。緊急降板で土生も点を取られたが、あそこで2点でピンチを抑えてくれた。延長まで考えると、最近は投手もよく投げてるんで、引っ張りすぎてもという面もあるが、打線がよくカバーしてくれた。勝ち切ったことが今日は全てだと思う」-高橋周が2回に逆転3ラン「一気に逆転できたことも大きかった。すぐ追い越されて、3点越されたけど、そこからまた追いつけて、逆転して一挙に越せたのは今日はそれにつきる」-藤嶋が投打で活躍「打つ方はもちろん期待はしてないけど、1点も非常に結果的に大きかった。8連戦だし、これから投手のやりくりもある。補充も考えながら。これから明日に向けて。(あと)3つ試合がある。8連戦の途中なので。今日は選手が逆転してくれたのが大きかった」-野手が投手を助け、10点を取った「こんな試合は、たぶん年に1回あるかないかの試合だと思う。ただ、内野のミスから最後は危ないところまでいっている。今日はミスも多かった」-4番福永は固定か「固定できれば、理想だけど、なかなかそうはいけるチーム状況じゃない。投手の相性とか含めて考えていきたい」-涌井は2軍で「(早期復帰は)ちょっとダメだと思う。立ち上がりが良かっただけに、ちょっと痛い。今いるメンバーでなんとかやりくりしていきたい」

◆6番降格の阪神大山悠輔内野手(29)が意地を示した。2回無死二、三塁の先制チャンス。土生の直球を強くたたいた。右越え二塁打で2人を生還させた。相手先発の涌井がこの回を前に緊急降板。一気に攻め込みたいシチュエーションで、佐藤輝、前川が作った好機をきっちりモノにした。「打者有利のカウント(3-1)で浮いた球をしっかり打つことができました」前日12日。4回1死二、三塁で高橋宏から打球を前に飛ばせず、空振り三振。チームは0封負けを喫した。岡田監督も「三振は何も起きないって。内野が後ろに下がってんのに、なんでちょこんと当てへんの」と、名指しで打席の内容をとがめられていた。一夜明けたこの日、スタメン表には「6番」に名前が載っていた。1軍復帰後、17試合目で初めて4番を外された。2軍再調整でコンディションを上げ、信頼を回復していただけに、ふがいなかった。最初の二塁打に続いて4回、5回はともに四球で得点に絡んだ。9回もマルティネスから右前打を放ち、1死二、三塁と一打同点の希望をつないだ。大山らしい中身のある4打席だった。バンテリンドームは今季、不思議と大山の「節目」になっている。4月14日、昨年から固定されていた4番を初めて岡田監督に外され、5番に下がった。5月16日は2季ぶりのベンチスタート。一方で本塁打の今季1号も中日戦だった。4月19日、甲子園で復活を告げる1発を放った。今回も再び勢いづく1日にしたい。「また明日に向けて、しっかりと準備したいと思います」。足早にバスに乗り込んだ背番号3。惜しくも勝ちは拾えなかったが、勝利に導く一打は遠くなさそうだ。【柏原誠】

◆中日藤嶋健人投手(26)が、二刀流で阪神戦の今季初のカード勝ち越しに貢献した。5-8と3点を勝ち越された直後の5回2死三塁から4番手で登板し、代打豊田を三振に。その裏に細川の2点適時打で逆転。2死二塁で打席に立つと、阪神浜地の2球目直球を詰まりながら右前に運び、4月29日DeNA戦以来今季2度目のチーム2桁得点を呼んだ。「何もわけがわからずいった。(細川)成也がいい流れを作ってくれた。打てて良かった」。東邦(愛知)時代はエースで4番として活躍し、高校通算49本塁打を放った。この日は石川昂から打撃用手袋、ロドリゲスからバットを借りて5年ぶりの打席に立ち、プロ初打点。投げても1回1/3を無安打無失点に封じ、今季2勝目をつかんだ。▽中日高橋周(2回に、本拠地では2年ぶりの逆転2号3ラン)「毎試合、投手に助けてもらっている。なんとか打ち勝てた。僕もだけどチーム全体としてきっかけにしたい」▽中日細川(5回の逆転二塁打などで7試合ぶりマルチ安打)「打線が続いたのはいいことだと思う。接戦をものにできたのは良かった」

◆阪神伊藤将司投手(28)が3回5失点でKOされた。2回表に2点援護をもらったが、2回裏、高橋周に3ランを浴び逆転を許した。3回にはカリステ、福永の連続適時打で2失点。大量失点で早々に降板した。「甘い球をしっかり打たれたので、そこですかね。ゾーン内にいっちゃっている」と真ん中付近にボールが集まったことを反省。岡田監督は左腕の状態について「ずっと全然やで」と話し、2軍再調整の可能性もある。安藤1軍投手コーチも「(ボールが)高かった」と指摘。これで今季の防御率は4・02に悪化した。

◆貧打の次は投壊...。前夜に完封負けした阪神が8点を奪いながら10失点を喫し、4カードぶりの負け越しが決まった。先発の伊藤将司投手(28)が3回6安打5失点で降板するなど、5回までに2ケタ安打を浴びて2ケタ失点。佐藤輝明内野手(25)を4番、大山悠輔内野手(29)を6番に下げるなど打線テコ入れは奏功したが、この日は投手陣が踏ん張れずにチグハグ負け。5位中日に2連敗し、1位巨人とのゲーム差が2・5に開いた。打線が奮起したら、今度は投手陣が打ち込まれた。8点を奪ったのに、5回までに大量10失点。虎がチグハグな連敗を喫した。先発した伊藤将は3回6安打5失点と試合をつくれず。2点援護をもらった直後の2回裏、中日高橋周に一時逆転の3ランを浴びた。岡田監督は終始、ため息がちに振り返った。「久しぶりに序盤に2点もらったあとやからなあ。全然やもんなあ、甘いのばっかりやもんなあ」プロ入りから3年連続で9勝以上を挙げるも、今季は防御率4・02。安定感を欠く左腕に「ずっと、全然やでそら。考えたらキャンプからやんか、初登板からやんか、え? セルラー(スタジアム)からやんか」と不満が止まらず、2軍再調整の可能性も出てきた。この日は頼みの中継ぎ陣も乱調だった。3点リードの5回、3番手漆原が無死満塁のピンチを招いて2点を奪われた。代わった浜地も細川に逆転の2点適時二塁打、さらに投手の藤嶋にも適時打を献上した。指揮官は「2人で5点やもん、1イニングをなあ。もう全然ボールも来てないよな、今な。置きにいっとるもんな、なんかな、そっと」と苦い表情。両右腕は2軍降格の見込みとなり、自慢のブルペンさえも万全とはいかなかった。12日は中日高橋宏を前に、野手陣が苦戦し3安打完封負け。一夜明け、首脳陣は打線改造に踏み切った。佐藤輝を6月18日の日本ハム戦以来、今季5度目の「4番三塁」に置き、大山は6月2日ロッテ戦以来、今季2度目の6番に。「1番右翼」には島田、近本は「3番中堅」に名を連ねた。テコ入れは見事に成功したが、悲しいほどに投打がかみ合わない。試合後、打線組み替えについて問われた岡田監督は「知らん」とだけ言い残し、球場を去った。5位中日に連敗し、首位巨人に2・5ゲーム差をつけられた。3戦目こそ野手が打って、投手が抑えて、3連敗だけは阻止したい。【磯綾乃】

◆阪神漆原大晟投手(27)が3試合連続失点を喫し、今季4敗目を喫した。3点リードの5回に3番手で登板。連打と四球で無死満塁のピンチをつくると、カリステに中犠飛。なおも1死一、三塁で福永に適時打を浴び、1点差に迫られたところで降板。4番手浜地が細川に逆転の2点打を許し、漆原に4失点がついた。「見ての通り打たれたので申し訳ない」と反省。漆原、浜地ともに2軍再調整となる見込み。代わって加治屋、岡留の1軍昇格が濃厚となった。

◆阪神は岡田彰布監督(66)が打線を改造。佐藤輝明内野手(25)が今季5度目の「4番・三塁」に名を連ねた。12日の同戦で4打席4三振に倒れたリベンジを果たす。チームとしても1位から4位までわずか1・5ゲームにひしめく混セで、連敗は避けたいところ。前夜12三振、今季11度目の零封負けを喫した悔しさを晴らすことができるか。先発の伊藤将司投手(28)は今季初めての中日戦。昨季は3試合で1勝1敗。防御率2・84はセ・5球団では最も悪い数字だったが、「どういうバッターが調子いいとか把握しながらいつも通りのピッチングができれば」と気合十分。横浜高の先輩・涌井秀章投手(38)とプロ初めての投げ合いを制す。

◆中日の先発・涌井秀章投手(38)にアクシデント。二回に緊急降板した。一回は阪神打線に対して島田を遊邪飛、中野を遊ゴロ、近本は二ゴロに打ち取って三者凡退の立ち上がりを見せた。しかし二回。マウンドに上がって投球練習を数球行ったところで投手コーチがマウンドへ。何やら言葉を交わし、治療のためにベンチに引きあげた。約5分ほど中断したが再び姿を現すことはなく、そのまま2番手・土生がコールされて緊急降板に。わずか1回11球でマウンドを降りたベテランのアクシデントに、バンテリンドームはどよめきに包まれた。

◆12日の4三振から一夜明け、4番に座った阪神・佐藤輝明内野手(25)が先制の口火を切った。二回攻撃前。投球練習を行っていた中日先発の涌井が突如ベンチへと引き揚げ、投手交代が告げられた。代わってマウンドに立ったのが土生。相手のアクシデントを佐藤輝が見逃さなかった。3球目のフォークにバットを合わせて右前打。さらに続く前川が左中間方向へ放った飛球を中日の中堅手・カリステが落球。無死二、三塁の好機を作った。打席には6番降格となった大山。土生の145キロ直球を捉えた。右越えの2点二塁打で阪神が先制。右翼・岡林の送球が大きくそれる間に大山は三塁へと進塁した。大山が4日の広島戦(マツダ)以来の打点をマークし、幸先よく先制。その裏に逆転されたが、大山は「打ったのはストレート。打者有利のカウントで浮いた球をしっかり打つことができました。すぐに逆転できるように頑張ります」と反撃を誓った。

◆阪神・伊藤将司投手(28)が二回、中日・高橋周に2号3ラン本塁打を浴びて逆転を許した。味方が2点を先制した直後の二回。先頭の福永が右前打、細川も左翼線への二塁打と連打を浴びて無死二、三塁のピンチを背負う。続く高橋周に対しての3球目。変化球を救い上げられると、高々と上がった白球は中日ファンが陣取る右翼スタンドの最前列に着弾した。阪神は12日にも二回に村上が福永、高橋周、細川の3連打で3点を失い、この3点で敗戦。8試合ぶりの先制で勢いに乗りたいところだったが、竜の中軸に飲み込まれた。

◆阪神・伊藤将司投手(28)が三回にも中日打線につかまった。二回には3ランで2-3と逆転を許した伊藤将。三回にも先頭の岡林に中前打を許すと、山本が犠打で送って1死二塁からカリステに右前適時打を浴びる。続く福永にも1死二塁から左前打を打たれて2者連続タイムリー。その後細川は遊併殺打に斬ったが、この回も3安打2失点。三回までに5点を失い、阪神は3点を追いかける展開となった。

◆阪神・伊藤将司投手(28)が先発したが、3回降板となった。一回は三者凡退で切り抜けたが、2点の先制点をもらった二回に連打で無死二、三塁を背負い、高橋周に右翼への逆転3ランを被弾。さらに三回にはカリステ、福永に連続タイムリーを食らい、2点を失った。三回の攻撃で打順が巡ったところで代打を送られ、3回6安打5失点。しかし、代わって打席に立った渡辺、さらに島田が連続適時打を放って3点差を追いつき、敗戦投手となる可能性は消滅した。

◆阪神が同点に追いついた。2-5で迎えた四回。1死から前川、大山が連続四球で一、二塁とすると、坂本が左前打を放って満塁の好機を作った。中日の2番手・土生をマウンドから引きずり下ろすと、3番手に左腕・斎藤が登板。小幡が一ゴロに倒れ、2死満塁と追い込まれた。岡田監督は先発の伊藤将に代わって代打・渡辺を投入。カウント2-1から4球目だった。137キロシュートを中前にはじき返し、走者2人が生還。「打ったのはツーシーム。悪い流れだったので、何とかしたいという思いでした。ランナーをかえすという仕事をすることができて良かったです」と殊勲の一打を振り返った。さらに続く島田も左前適時打を放って同点に追いついた。「打ったのはストレート。同級生のナベ(渡辺)が執念を見せてくれたので、その流れに続きたいという思いでした。試合が振り出しに戻ったのでここから勝ち越せるように頑張ります。」と島田は前を向いた。

◆阪神が坂本誠志郎捕手(30)と小幡竜平内野手(23)の連続適時打で勝ち越しに成功した。二回に阪神が2点を先制。中日には二回に3点、三回に2点を奪われるも、四回に3点を奪い返して5-5の同点で迎えた五回。2死から前川右京外野手(21)が遊撃への内野安打で出塁し、送球ミスも重なって二塁を陥れると、大山は申告敬遠で2死一、二塁と好機を作る。ここで坂本が追い込まれながらも直球をとらえ、中前打で勝ち越しに成功する。坂本は「打ったのはストレート。後ろに繋ぐ気持ちだけでした。タイムリーヒットとなって良かったです」と振り返った。なおも2死一、三塁から小幡が右翼線への2点三塁打を放って、さらに2点を追加。目まぐるしいシーソーゲームで再逆転に成功し、8-5と3点のリードを奪った。小幡は「打ったのはスライダー。(坂本)誠志郎さんが打ってくれたのでその勢いに乗って打つことができました。」と坂本に感謝した。

◆またも阪神に中日打線が襲い掛かる。一挙5失点で再び逆転を許した。三回までに3点のビハインドの展開も四、五回で6点を奪って8-5と勝ち越しに成功した直後の五回だった。この回からマウンドに上がった漆原が田中に左前打、岡林にも左前打、山本には痛恨の四球を与えて無死満塁となる。続くカリステには中犠飛を放たれて1点を失い、なおも1死一、三塁から福永にも右前適時打を浴びて1点差に。ここで阪神は浜地にスイッチしたが、中日の流れを止められなかった。1死一、二塁から細川に左翼線への逆転2点二塁打を浴びると、2死から投手の藤嶋にも右前適時打とされ、なんとこの回5失点。8-10と再びビハインドとなって試合は後半戦に突入した。

◆阪神は乱打戦に競り負けて連敗となった。この試合、岡田彰布監督(66)は打順にテコ入れ。近本光司外野手(29)が3番、佐藤輝明内野手(25)を4番、大山悠輔内野手(29)を6番で起用した。二回、その佐藤輝が先頭で出塁すると、大山の2点二塁打で8試合ぶりの先制点を挙げる。しかし伊藤将司投手(28)がピリッとしない。二回裏に連打で走者を背負うと、高橋周の2号3ランで逆転を許す。三回にも連続適時打で2点を失い、3回6安打5失点で降板となった。それでも打線は四回に代打・渡辺、島田の連続適時打で同点とすると、五回には2死走者なしからチャンスを作って坂本、小幡の連続適時打で8-5と3点リードを奪った。しかし悪夢は再び。五回にマウンドに上がった漆原が精彩を描き、連打と四球で無死満塁とされると犠飛と適時打で1点差に。浜地がリリーフしたが細川に逆転の2点二塁打などで追加点を奪われてこの回一挙5失点。8-10と再逆転を許すと、終盤は中日の救援陣を打ち崩せず。逆転負けで首位巨人との差は2・5ゲームに広がった。

◆中日が13安打10得点で乱打戦を制した。二回に高橋周の3ランで逆転。再びリードを許したが五回に福永の適時打、細川の2点二塁打など5得点でひっくり返した。阪神は先発の伊藤将が3回5失点で降板し、救援も踏ん張れなかった。

◆敗戦に沈む阪神ナイン=バンテリンドーム(撮影・宮沢宗士郎)

◆8戦ぶりに先制した阪神が打撃戦を落とし、2連敗。近本光司外野手(29)を3番、佐藤輝明内野手(25)を4番に据えるなど大幅に入れ替えた打線が二回、6番に降格した大山悠輔内野手(29)の二塁打で2点を先取した。しかし伊藤将司投手(28)が3回5失点で降板。その後、逆転したが、8ー5の五回に登板した漆原大晟投手(27)が誤算。四球から2点を失い、浜地真澄投手(26)も藤嶋健人投手(26)に適時打を浴びるなど、この回打者9人で5点を失った。2桁失点は9ー11で敗れた5月11日DeNA戦(横浜)以来、2度目。首位巨人に2・5差となった岡田彰布監督(66)の主な一問一答は以下の通り(成績=40勝38敗5分、観衆=3万6294人)。ーー伊藤将は「なあ全然やもんなあ、甘いのばっかりやもんなあ」ーー修正できなかった「いやいや、久しぶりに序盤に2点もらった後やからなあ」ーー安定感のある投球が続かない「いやあ、ずっと、全然やでそら。考えたらキャンプからやんか、初登板からやんか、え? セルラー(2月23日の巨人戦で一回に7失点)からやんか」ーー次回は「そら知らんて。今終わったばっかりで」ーー漆原も「そんなの、(浜地と)2人でお前、5点やもん、1イニングを。全然ボールも来てないよな、今な。置きに行っとるもんな、なんかな、そっと」ーー打たれている打者も同じ「一緒のバッターばっかりやんか。んなもん昨日と一緒やんか。お前、3人で3点や。順番が違うだけで。何をやっとんやろな、バッテリーで、お前。おんなじように打たれるもんな」(自ら)「もう低めの時代は終わったよ」ーー打線を変えた「知らん」

◆阪神で1994年に新人王に輝き、米大リーグのアスレチックス、ジャイアンツ、楽天と渡り歩き、日米通算91勝をマークしたサンケイスポーツ専属評論家の藪恵壹氏(55)が3回5失点で降板した阪神・伊藤将司投手(28)や漆原大晟投手(27)、浜地真澄投手(26)の2軍調整を提案した。新しいメンバーを2軍から引き上げて戦うべきだと感じた試合だった。先発の伊藤将。今季はずっと内容が悪い。この日もキレがない。球威がない。だから、あれだけ打たれるし、高橋周の本塁打のように完ぺきに遠くへ飛ばされてしまう。前回登板(6日のDeNA戦=7回1失点で4勝目)で、きっかけになりそうな好投をしながら、それ以前同様の悪い内容。負け星こそつかなかったが、先発が3回KOは寂しい。ここは「実績があるから次回にチャンスを」ではなく、再調整を命じるべきだろう。同じ日に高橋遥人が2軍戦(広島戦で8回103球2失点)で登板していた。コーチ時代に経験したが、降格の可能性がある投手と同じ日に、入れ替え候補を2軍戦で投げさせるのは常套手段。別に高橋でなくてもいい。次の土曜日(20日)は、違う名前を当てはめて戦うべきだろう。同じことは漆原、浜地にも当てはまる。漆原は球に力がなかったし、浜地は投手・藤嶋に浴びた適時打は痛恨過ぎる。2点差になった「あの1点」が重たすぎた。夏場に来て、状態が上がらない投手はすぐに入れ替えるべき。新しいメンバーが入ることで、チーム内の空気は一気に変わる。今の阪神は「代わり」の選手層は厚い。救援の2人の代役候補は何人もいる。岡田監督は決断が早い。こちらが指摘する前に、すでに決めている可能性が高い。フレッシュな顔ぶれで、夏場の厳しい時期を乗り越えてもらいたい。

◆14日の中日戦(バンテリンドーム)に先発する阪神・西勇輝投手(33)はキャッチボールなどで調整した。今季の対中日は5月16日(同)に6回2失点と粘投。5度目の登板で今季初勝利を飾っており、名古屋のマウンドも昨季から3連勝中と好相性を誇る。今カード帯同中は菰野高の後輩である中日・岡林からもあいさつを受け、表情はおだやか。登板4試合ぶりの白星に向けて腕を振る。

◆11試合ぶりに1番で出場した阪神・島田海吏外野手(28)は代打・渡辺の中前2点打で1点差に迫った四回2死一、二塁で、一時同点となる左翼への適時打を放った。「同級生のナベ(渡辺)が執念を見せてくれたので、その流れに続きたいという思いでした」。今季47打席目でたたき出した初打点は勝利につながらず。ほかの4打席は凡退したが、野口や豊田ら外野手との争いを勝ち抜くためにアピールを続けていく。

◆阪神・渡辺諒内野手(29)がチャンスでの代打で気を吐いた。「悪い流れだったので何とかしたいという思いでした。走者をかえす仕事ができて良かった」。3点ビハインドの四回2死満塁で出番を与えられ、左腕・斎藤から中前2点打。1試合複数打点は昨年6月29日の中日戦(甲子園)以来。6月下旬から代打での出場が続いているなか、勝負強い打棒で虎党を沸かせた。

◆6番に降格した阪神・大山悠輔内野手(29)が意地を見せた。二回無死二、三塁で右中間に先制の2点二塁打。チームに8試合ぶりの先制点をもたらした。12日は0-3の四回1死二、三塁で高橋宏のフォークに対応できず。岡田監督から「三振は何も起きないって言うてるやんか」と叱責された。打順が4番から6番になったことで発奮。2点を追う九回1死一塁ではマルティネスから右前打を放って中日ベンチを慌てさせた。「また、明日に向けてしっかりと準備したいと思っています」。試合後は足早にバスに乗り込んだ。

◆8―5の五回を任された阪神3番手・漆原大晟投手(27)が?回4失点と炎上した。連打と四球で無死満塁を背負い、カリステの中犠飛と福永の右前適時打で2失点。ここでバトンを渡した浜地も残した走者を生還させるなどし、この回5得点で逆転された。6月30日のヤクルト戦(神宮)からの3試合連続失点は自己ワーストで、自責4も同タイ。今季4敗目に「見ての通り打たれたので申し訳ないです」と肩を落とした。

◆阪神・前川右京外野手(21)は9試合ぶりに5番で出場した。五回に遊撃への内野安打で4試合、15打席ぶりの安打をマークすると、七回にもバットを折られながら三塁への内野安打でマルチ安打を記録。1四球、2失策と全5打席で塁上をにぎわした。試合後は「次の試合、頑張ります」とだけ残してチームバスへ。7月は打率・230と月別では最も苦しんでいるが、この2安打を復調のきっかけにしたい。

◆先発マスクをかぶった阪神・坂本誠志郎捕手(30)は2安打1打点。5―5の五回2死一、二塁では「後ろにつなぐ気持ちだけでした。タイムリーヒットとなって良かったです」と一時勝ち越しとなる左前適時打を放った。しかし、リードでは5投手を引っ張りながら中日打線に13安打10失点を許した。

◆遊撃は手渡さない。阪神・小幡竜平内野手(23)が2安打2打点でアピール。五回には一時リードを3点に広げる三塁打を放ち、自己最長を更新する11試合連続安打をマークした。「(坂本)誠志郎さんがああいう形でつないでくれたので、その姿を見て自分も続きました」坂本の適時打で1点を勝ち越した直後。2死一、三塁から左腕・斎藤の変化球を思いきり引っ張った。「球は見ていたので、イメージしながら反応で打てた」。痛烈な打球が右翼線を破ると、快足を飛ばして一気に三塁を陥れ、今季初の三塁打で2点を追加した。二回の第1打席は1死三塁で浅い左飛。四回の第2打席も1死満塁から斎藤の初球を一ゴロに倒れていたが、見事にやり返した。八回先頭の第4打席でも松山から今度は直球を捉えて中前打とし、今季4度目のマルチ安打も記録した。これで19試合連続のスタメン出場。昨季から遊撃のレギュラーを務めてきた木浪が死球で負傷離脱となった6月16日からは、打率・290(62打数18安打)と猛アピールを続けている。「岡田監督になって、役割がより明確になった。ここは誰が行くと決まっている中で結果を出し続けることは、すごく難しいこと」と小幡は語る。今季も控えとして開幕。逆転でレギュラーをつかむには100%の結果が求められるケースで結果を出し続けるしかなかった。それでも6月18日にはサヨナラ打を放つなど存在感は日に日に増していくばかり。「ヒットが打てているからすべてがうまくいっている」。自らの背中を押すように好調の今も快音を積み重ねる。岡田監督は木浪の1軍復帰について球宴(23、24日)後と明かしたが、それまでに実力を示すことができれば、控えに後戻りとはならないはずだ。前半戦残り7試合が、チームだけでなく小幡にとっても正念場になる。8―10の九回2死二、三塁と一打同点の第5打席では、守護神・マルティネスのフォークに空振り三振でゲームセット。最後の打者になり「あそこで打てるように頑張りたい」とリベンジに燃えた。あと一本が打てれば、毎日スタメンに名を連ねる選手になることができる。正遊撃手の居ぬ間に、背番号38がレギュラーをつかみ取れるか-。好調をキープしたまま、大事な1週間に挑む。(中屋友那)

◆6月18日の日本ハム戦(甲子園)以来、17試合ぶりに4番で出場した佐藤輝明内野手(25)は二回先頭で右前打。大山の2点打をお膳立てをするも、2打席目以降は快音は聞かれなかった。4番については「(打順は)関係ないです。また、明日から頑張ります」。最大3点差をひっくり返されての逆転負けに険しい表情を浮かべていた。

◆先発した阪神・伊藤将司投手(28)は6安打5失点で3回KOとなった。「修正する前に相手打者にしっかりと打たれた」。2点を先制してもらった二回に高橋周に逆転3ランを浴び、三回も連続適時打で2失点。黒星は免れたが、5失点は2試合ぶりと大量失点が目立つ。「先頭を出してしまったので、非常に痛い。次回からは先頭を切れるようにできたら」と課題を持ち帰った。

◆新打線で8点も取ったのに...。阪神は逆転負けで、連敗を喫した。8試合ぶりに先制するなど2度のリードを奪ったが、先発の伊藤将司投手(28)が3回5失点で降板し、中継ぎ陣も踏ん張れず。前日12日にも打たれた竜の主軸3人に痛打され、岡田彰布監督(66)は「何をやっとんやろなぁ」と苦言を呈した。首位・巨人と2・5ゲーム差に拡大。このままズルズルと離されるわけにはいかない。大幅に打順を組み替え、牙を取り戻した打線の反攻はむなしく徒労に終わった。8点を取ってもそれ以上に取られては勝てるはずがない。今度は自慢の投手陣が崩壊し、5位・中日にまさかの連敗。岡田監督のボヤキは止まらなかった。「(打たれるのは)一緒のバッターばっかりやんか。んなもん昨日(12日)と一緒やんか。3人で3点や。順番が違うだけで。何をやっとんやろなぁ、バッテリーで。おんなじように打たれるもんな」4番・大山を解体し、打線の中心に佐藤輝を据えた。1番には調子のいい島田、近本は3番へ。前夜、中日・高橋宏の前に3安打でゼロ封負けを喫した打線は、流れを変えることで息を吹き返した。二回、佐藤輝の安打を口火に相手のミスも絡んで無死二、三塁。6番に降格した大山が右越えの2点打を放った。実に8試合ぶりの先制劇だった。ただ、歓声はすぐに悲鳴へと変わる。先制直後の二回、先発・伊藤将が福永、細川に連打。高橋周の放った打球は無情にも右翼席へ吸い込まれた。12日の一戦も、先発・村上がこの3人にやられていた。しかも、同じ二回、3連打で3失点も一緒。もちろん、警戒はしたはずだが、試合をひっくり返された。「久しぶりに序盤に2点もらった後やからなぁ」と指揮官がバッテリーに苦言を呈するのも当然だ。

◆遠い昔、名古屋で行われる中日-阪神といえば、乱打戦が常識だった。例えていえば、前日13日のような。球団史上〝最弱チーム〟の一つ、1996年の虎ですら、ビジターの中日戦はよく、グチャグチャの試合をしていた。あの年の開幕して間もない3連戦は...○11-5●8-12●6-16チームは強くないから、たまに殴り倒して、その倍ぐらい殴られて負けていたけれど。乱戦になる理由は簡単。かつての竜の本拠地・ナゴヤ球場は、それは狭かった。アーチ飛び交う空中戦が日常茶飯事。この両チームが、ともに2桁得点した試合をよく覚えている。あれは85年、バックスクリーン3連発で世間に衝撃を与えた直後のカードの3戦目。阪神は10-10の同点から、八回に掛布が、九回に真弓がソロ本塁打を放って12-10で勝った。両軍合わせて8本塁打が乱れ飛んだ。とにかく、名古屋方面は点が入った。投手受難。でも、点が入ると楽しかった。野球はやっぱり得点シーンが一番エキサイトする。97年にナゴヤドーム(現バンテリンドーム)が誕生。日本で一番本塁打が出にくい球場になってしまって、名古屋方面での野球は一変。屈指の投手優位の球場に。おかげで、好投手をそろえて、緻密な野球で点を取って競り勝つ、落合監督の野球が黄金時代を迎える。でも、前日のような試合の方が、お客さんは喜んでいたような気がするのは虎ソナだけ?!とはいえ中日に連敗は困る。セ・リーグの順位表を見れば一目瞭然。中日とヤクルトに取りこぼしたチームが、混セから取り残されていくように思える。

◆グツグツグツ...コラー漆原~! 浜地~! 血圧が沸騰してもうたやないかァ!! このカードの第1戦に、高橋宏に手も足も出ない3安打零封をくらったそのお返しとでもいうように、猛虎打線が五回までに8得点の大爆発を見せたっちゅうのに、3点リードの五回、漆原、浜地がそろって炎上するとは思わなんだわ、トホホホ...。漆原は打者5人で犠飛のアウト1つだけ...浜地に至ってはピッチャーの藤嶋にまでタイムリーを許しちまうし... あのね~2人ともブルペンで何しとったんや!? 『人のふり見てわが身を直せ』やろ!! 本来なら終盤にマウンドに上がり、いい仕事をする中日斎藤が普段より早い四回から登板したら、よもやのボロボロ投球で打ち込まれたのを見てなかったとは言わせんぞ!!要するに普段と状況が違うときは臆病なくらいに丁寧にほうらなきゃいかんのだ!! 2投手が五回に許した5安打、その全てが3球以内というのが何より動かぬ証拠であーる!! 漆原、浜地、この悔しさはその右腕で晴らすしかないんや!! 頼むでェ!!

<セ・リーグ順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差残試合 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(-)
巨人
42355 0.545
(↑0.006)
-
(-)
61247
(+6)
211
(+1)
48
(+1)
39
(+1)
0.240
(-)
2.410
(↑0.01)
2
(-)
広島
40354 0.533
(↑0.006)
1
(-)
64225
(+1)
187
(-)
33
(+1)
44
(-)
0.231
(-)
2.090
(↑0.03)
3
(-)
DeNA
42391 0.519
(↓0.006)
2
(↓1)
61277
(+1)
276
(+6)
52
(+1)
44
(+1)
0.250
(↓0.001)
2.950
(↓0.04)
4
(-)
阪神
40385 0.513
(↓0.006)
2.5
(↓1)
60238
(+8)
231
(+10)
32
(-)
26
(-)
0.223
(-)
2.310
(↓0.1)
5
(-)
中日
37416 0.474
(↑0.006)
5.5
(-)
59200
(+10)
262
(+8)
35
(+1)
26
(-)
0.235
(↑0.002
2.690
(↓0.04)
6
(-)
ヤクルト
32464 0.410
(↓0.006)
10.5
(↓1)
61278
(-)
292
(+1)
54
(-)
39
(-)
0.233
(↓0.002)
3.360
(↑0.04)