阪神(☆4対1★)ヤクルト =リーグ戦13回戦(2024.07.10)・阪神甲子園球場=
このエントリーをはてなブックマークに追加

 123456789
ヤクルト
1000000001500
阪神
00011200X4600
勝利投手:大竹 耕太郎(6勝4敗0S)
(セーブ:岩崎 優(3勝3敗13S))
敗戦投手:奥川 恭伸(2勝1敗0S)
  DAZN
チケットぴあ 阪神戦チケット予約 ヤクルト戦チケット予約
◆阪神は1点を追う4回裏、野口の適時打で同点とする。続く5回に相手の暴投の間に1点を勝ち越すと、6回には坂本の適時二塁打などで2点を加え、リードを広げた。投げては、先発・大竹が6回5安打1失点の好投で今季6勝目。敗れたヤクルトは、打線が沈黙した。

◆阪神野口恭佑外野手(23)が「6番右翼」でプロ初の先発出場に臨む。7日DeNA戦(甲子園)では代打でプロ初安打。前日9日ヤクルト戦(甲子園)では9回1死から四球を選び、劇的サヨナラ勝利を呼び込んだ。聖地でのプロ初本塁打にも期待がかかる。阪神先発は大竹耕太郎投手(29)が今季6勝目を狙う。

◆阪神佐藤輝明内野手(25)が快打でも不満顔を見せた。2回、奥川恭伸(22)のスライダーをうまくすくい右翼手の頭を越える二塁打。「いけ」と叫びながら走ったが、強い浜風に押し戻されたような形でフェンスにも届かなかった。二塁塁上の佐藤輝は喜ぶよりも首をひねるような様子を見せた。最近は大きな飛球を放っても、フェンス手前で失速するケースが増えていた。

◆阪神佐藤輝明内野手(25)が美技で沸かせた。4回無死一塁でオスナの痛烈な三遊間への打球に反応。ハーフバウンドでつかむと、素早く二塁にランニングスロー。一塁もアウトで併殺を完成させた。軽快なプレーに大きな拍手が起きた。シーズン序盤は守備でいいところを見せられなかったが、再調整から復帰悟は投手を救う好プレーが目立っている。

◆阪神野口恭佑外野手(23)がプロ初の適時打をマークした。「6番右翼」でプロ初スタメンした2年目スラッガー。4回2死二塁、奥川恭伸(23)に追い込まれたが、148キロを強振して中前にはじき返した。1-1の同点とした。22年ドラフトで育成1位指名。昨季終了後に支配下選手契約を結んだ。7日のDeNA戦(甲子園)で初安打、初打点(犠飛)を記録していた。

◆甲子園の魔物? 5回、阪神小幡竜平内野手(23)が左中間に二塁打を放った。中堅やや左への打球だったが、芝生に落ちた瞬間、打球があまり跳ねず、方向も少し変わった。中堅手の増田珠(25)は行きすぎる形になった。それを見て小幡は二塁に向かった。外野では珍しいイレギュラー。増田は打球に触れていないため、失策はつかず二塁打となった。その後、犠打で1死三塁となり打者近本光司(29)の打席で奥川恭伸(23)が暴投。勝ち越しの1点がラッキーな形で入った。

◆阪神野口恭佑外野手(23)がプロ初適時打に続いて、今度は内野ゴロで打点を挙げた。2-1の6回1死一、三塁。思い切りたたきつけた三遊間への深い打球。遊撃の長岡秀樹(22)がさばいて、すばやく二塁に送球し、ぎりぎりアウト。三塁走者はもちろんホームインして、野口に打点がついた。二塁のジャッジを巡って岡田監督がリクエスト。映像では微妙だったが、判定は覆らなかった。審判があらためて「アウト」のジェスチャーをすると、場内からブーイングのような大きな声が上がった。

◆阪神大竹耕太郎投手(29)が6回1失点で降板した。初回に先制点を許した。先頭のヤクルト宮本に中前打。増田が送った1死二塁から、この日3番に入った村上にセンターへ運ばれた。だが、その後は緩急自在の投球でヤクルト打線をかわした。投げるたびに、自身で「キャラ設定」をしているという。前回3日広島戦のときは「ギアチェンジ、ギアを低めの自分」として、スローボールなど力を抜くところは思い切って抜くピッチングで7回1失点。5勝目を挙げた。今回は「夏休みの公園に生えている雑草」に設定。その心は「家の近くの公園思い出したら、どんだけ草を刈ってもすぐ生えてくる。日差しで光合成して...。暑いじゃなくて、そっちに変えて。そういう(雑草のような力強さの)イメージです」と話す。「暑さっていうとどちらかというとネガティブなイメージが自分の中で強いので、それをポジティブに変えられるように」という気持ちからだ。6回の攻撃で代打を送られ、目標としていた完投は逃したが、6回83球、5安打1失点。試合をしっかり作り、6勝目の権利を持ってマウンドを降りた。左腕は「初回の失点で焦ることがよくないと思っていましたし、2回からスタートというくらいの気持ちで落ち着いて投げることを意識しました。味方打線が追いついてくれて、緩急も使っていきながら抑えることができました」とコメントした。

◆阪神島田海吏外野手(28)が超美技を見せた。7回2死、浜田太貴外野手(23)の右翼ポール付近への大飛球を全力で追い、両手両足を大きく開いてジャンプ一番、つかんだ。6回にこの日2打点目を挙げた野口恭佑外野手(23)の代走から出場。野口が新しいライバルになったが、先輩の意地を見せた。

◆ヤクルト奥川恭伸投手(23)が、帰ってきた聖地で勝利を飾れなかった。21年10月19日以来となる995日ぶりの甲子園。1点リードの4回に阪神野口に同点打を許すと、5回には暴投で勝ち越し点を与えた。結果的に5回93球を要し、3安打3四死球で2失点。リードを許した状態で降板した。「球数が多くかかってしまいなかなかリズムよく投げれなかった。最後の失点はもったいなかったです」と球団を通じてコメントした。星稜高(石川)時代に、2年春から4季連続で甲子園大会に出場。3年夏の19年大会では準優勝を経験した。それ以来の、聖地での観客の大声援を全身に感じた。プロ入り後の過去3度の甲子園での登板は、コロナの影響でいずれも声出し応援はなかった。ここならではの阪神ファンの声も受けながら、3回の3者凡退以外は、毎回の得点圏に走者を背負う展開となった。持ち味の制球力は乱れ、コントロールに苦しんだ。2戦2勝で臨んだマウンドだったが、3連勝とはならなかった。

◆阪神がヤクルトに勝利し、2位に浮上した。4月に引き分けを挟んで7連勝して以来となる、今季2度目の4連勝。今季40勝目に到達し、貯金は4に増えた。マツダスタジアムでの広島-巨人戦が雨天中止となったため、阪神は2位に浮上。首位巨人には0・5ゲーム差と接近した。0・5ゲーム差以内に上位4チームがひしめく「大混セ」だ。初回に先制された。それでも4試合連続の逆転勝ち。反発力がある。4回2死二塁、プロ初スタメンの野口恭佑外野手(23)が、ヤクルト奥川から中前への同点適時打。5回には奥川の暴投で勝ち越しに成功した。奥川には前回6月29日の試合で5回1失点に封じられ、勝ち星を献上していたが、やり返した。さらに6回1死一、三塁では野口の遊撃へのゴロの間に三塁走者が生還。野口は2打点の活躍で勝利の立役者となった。この回は坂本誠志郎捕手(30)にも適時二塁打が飛び出し、リードを3点に広げた。先発大竹耕太郎投手(29)は6回1失点で6勝目。その後は継投で逃げ切った。

◆ヤクルトが、今季最長の6連敗を喫した。21年10月19日以来、995日ぶりの甲子園登板となった奥川恭伸投手(23)は5回93球を要し、3安打3四死球で2失点。持ち味の制球力は乱れ、何度もマウンド上で首をかしげた。高津監督は奥川について「前回、前々回とあまり変わりなかったんじゃないかなと思いますね。こちらに復帰してから、そのコントロールというところがね...。少し課題ではあるんですけど」と言い「ちょっと修正が必要だと思いますね。今のままでは長いイニングも投げられないですし、ヒット1本で1点取られるようなピッチングになっている」と投球の見直しを求めた。打線は5安打1得点にとどまった。長打、連打ともになく、7回以降は毎回3者凡退に封じられた。得点圏に走者を進めたのは初回のみ。高津監督は「長打、連打がないので...。ゲームの3分の2は3者凡退ですし、そこは差になってるでしょうね。今日はスタメンに、なかなかな名を連ねていないメンバーを出したんですけどね。誰か1本打ってくれればと思ったんですけど。1本も出なかったですね。チャンスをものにしてほしいなと思いますけど」とため息が出た。

◆ヤクルト先発の奥川恭伸投手(23)が、今季初黒星を喫した。21年10月19日以来、995日ぶりの甲子園で白星を飾れなかった。5回93球を要し、3安打3四死球で2失点。「また練習で出来ていたことが本番で出来なかった。思い通りに投げられなかったので、ああいうピッチングになりますね」と3連勝とはならず、反省の言葉を口にした。持ち味の制球力は乱れ、何度もマウンド上で首をかしげた。「相手の打者の特徴だったりとかは頭に入れてやっているんですけど、思ったところにいかないのでどうしても苦しい投球になるというか、初回から思ったようには投げられなかったです」と渋い表情だった。原因については「またしっかり考えないといけないかなと思いますね。今すぐにというのは難しいですね。どう投げていいか分からないみたいな感じなので、しっかり振り返って次に向けてしっかり調整したい」と先を見据えた。

◆阪神がヤクルトに勝利し、2位に浮上した。4月に引き分けを挟んで7連勝して以来となる、今季2度目の4連勝。今季40勝目に到達し、貯金は4に増えた。マツダスタジアムでの広島-巨人戦が雨天中止となったため、阪神は2位に浮上。首位巨人には0・5ゲーム差と接近した。0・5ゲーム差以内に上位4チームがひしめく「大混セ」だ。岡田監督の一問一答は以下の通り。-初スタメンの野口が2打点の活躍「ちょっと重苦しいね。奥川に抑えられてて。最初のチャンスだしね。前の打席でね、三振してるので、それの教訓ていうかね、うまく右のほう打ちましたよね」-昇格後、1軍の投手に対応している「うーん、まあ、まだまだ経験ね、していかないといけないんですけど。期待に応えるようなね、そういうバッティングしてくれていると思いますね」-スタメンは迷いなく「いやいやもう、昨日からね。同じような年だし。奥川は。明日奥川だったら、野口いこういうことで」-佐藤輝にも楽しみな打球が増えてきた「あー、そうですけどね。まあ、これはもうそういうヒットの積み重ねで、いいんじゃないんですか? あんまり気にしないでね。そういう積み重ねがね、最終的にホームラン出ると思いますよ」-大竹は6回1失点。「いやあ、まだ余力を残していて、まだ行く気でいたんだけど、後ろのピッチャーも投げてないし、明日もまた空くので、そこは変えたんですけど。初回に1点取られたんですけど、そのあとはうまく緩急を使って、持ち味を出して投げていましたね」-僅差のゲームが続いた中で3点差で勝利「いやあ、久しぶりですよ。ゆっくり7、8、9回をベンチで見られたのがね」-中継ぎにホールドが付いて、クローザーにセーブが付いた「そうですね、選手はそういうことをあまり気にしてないと思うけど、2人(ゲラと岩崎)も久しぶりやったんで。明日1日空くので、それから6連戦があるので、そこで踏ん張ってほしいですけどね」-久しぶりの4連勝。勢いをどう感じるか。「すごい勝ちが続いたし、今日みたいな勝ちを続けることが大事かもわからないですね、やっぱりね」-大混戦「こんなんまだまだ、まだ7月ですからね。まだまだ、先ですね」-野口の起用がはまった「はまったというか、ちゃんとしたら打てるよ」-前の打席で振った球を振らずに。「そうそうそうそう。そらみんな初めてのね、ええピッチャーやし、なかなか2軍では対戦できないようなピッチャーと当たってるわけやから。最初からどんどん打てとは言えないし、キレのいいボールを空振りしたら、今度はそれを振らないように、そうしていけばええんよ」-ショートゴロも強いスイングだからこそ。「そうよ、あれ差し込まれたらショート正面ぐらいのゴロでゲッツーなってるかもわからんけど、やっぱり差し込まれてるけど振り切れてるから、ああいうね、弾む打球いうたらおかしいけど、やっぱり、ボールもスピンかかってるから弾むんやろね。差し込まれて、あんな弾まんよ。振り切ってるから弾むと思うよ」-島田の途中交代で守備ハマった「普通やんか。回ったら、出たら代走からいくいうのは普通のことやし」-まだ満点ではないけどつなぎは「できた方やろ。4点もとってんねやで、おまえ」-これで4試合連続逆転勝ち「まあ、1点は逆転っていうかな、って思うけどな。先に点取られたらみんな逆転勝ちになるけど、本当やったら、その1点でピッチャーがしのいで。初回1点取られても、ピッチャーは打線の援護を待つわけやから。その1点で逆転いうのもどうかなと思うけどな、普通はな」-これまでその1点が重かった「いや、重かった。そら重かったよ、これまではなあ」-少し変わってきたか「まあそうやね。ヒットの割に点取れたもんね、今日は」-相手のミスも生かして「まあでも、それも野球やで。こっちもミスして点取られるんやからな」-野口はまたチャンスが「あるある、全然ある」-次の中日戦も「そんなんまだ決めてないわ」

◆阪神石井大智が3試合連続無失点で13ホールド目を挙げた。3点リードの7回に2番手で登板。オスナ、長岡、浜田を3者凡退に仕留めた。「点差があったのでカウントが深くならないよう、ゾーンに投げようと思った。(浜田には)いい当たりはされましたが、(島田が)捕ってくれて感謝しています」と仲間に思いを込めた。

◆コイ料理だけではない。阪神大竹耕太郎投手(29)はツバメ料理人でもある。だから、初回に3番村上の中前打でいきなり1点を失っても慌てない。「2回からスタート」と切り替え、そこから本領を発揮した。「自分の捉え方次第。たまたま1点を取られた回が初回だったというだけで」2回と3回は3者凡退。その後は走者を出しても併殺で仕留めるなど、凡打の山を築いた。6回5安打1失点で今季6勝目。前日までの2戦連続サヨナラ勝利は「家のリビングで見て、めちゃくちゃ叫びました」。自身も流れに乗った。ヤクルト戦は今季3戦3勝。ソフトバンク時代を含めると、8戦7勝無敗だ。広島戦も通算10戦8勝無敗のキラーで知られるが、実はヤクルトにもめっぽう強い。それでも前日は今季初完投に意欲を見せていただけに、悔しさもにじんだ。「ここまで14試合投げてきて、個人的には一番悔しかった試合です」6回2死一、二塁。球数はまだ83球だったが、自身の打席で代打糸原が送られた。追加点が欲しい場面でもあり、岡田監督は「後ろのピッチャーも投げてないし明日もまた空くので」と説明。左腕も全てを消化し、次戦への決意を語った。「今までなら6回1失点で、良かったなで終わっていた自分もいたと思う。そういう意味では悔しさを感じて、もう1回、2回投げたいという感情が出てきたのは大きい。もっと投げられるというところを見せていきたいと思います」進化を遂げ、納得の白星を目指す。【波部俊之介】阪神中野(自身の連続試合安打は13で止まるも、4連勝に選手会長として満足感)「打席での感覚も悪くないし、大丈夫かなと。チームが勝つことが一番なので、このいい雰囲気を悪くならないように、自分が引っ張っていければいい」

◆いけ~! やったぜ! うっそ~!? 阪神佐藤輝明内野手(25)が感情むき出しで、走攻守に大ハッスルした。「テル劇場」の幕開けは大きな放物線から始まった。2回、奥川のスライダーをとらえた。いい角度で右翼に上がり、手応えたっぷりに走り出したが、上空で失速。フェンスにワンバウンドで当たる二塁打になった。走りながら「いけ!」と叫ぶほどだったが、折あしく逆風の浜風が強く吹き付けていた。最近は風に泣かされ首をひねってばかりだったが、今回は二塁打になっただけ良し、だ。本塁打と紙一重の打球が増えてきた。岡田監督は「これはもう、ヒットの積み重ねでいいんじゃないんですか。あまり気にしないで。そういう積み重ねで最終的にホームランが出ると思う」と、焦らず今の状態を続けるよう繰り返した。三塁守備でも見せた。4回無死一塁でオスナの難しいバウンドを好捕。ランニングスローで二塁に投げ、併殺を完成させた。「いいプレーだったと思います」と深くうなずいた。そして2-1の6回。中前打の大山に続いて、強いスイングで右前に運んで、1死一、三塁のチャンスを作った。続く野口の打球は三遊間への深いゴロ。一塁走者の佐藤輝は全力で走り、ベースを蹴り飛ばしそうな勢いで二塁に滑り込んだ。アウトの判定に驚き、即座にベンチの岡田監督のリクエストを"お願い"。判定は変わらなかったが、悔しそうにベンチに帰る背番号8に、大きな拍手が送られた。「チームも、個人的にもいい状態が続いているので、また頑張っていきたい」と力強く言ってロッカールームへ消えた。本日の主役・野口に負けない? 存在感だった。佐藤輝が元気な限り、阪神の勢いは続きそうだ。【柏原誠】

◆逆転を呼ぶラッキーボーイだ! プロ初スタメンの阪神野口恭佑外野手(23)が初適時打を含む2打点で、4試合連続逆転の4連勝に導いた。1点を追う4回に同点打、6回には内野ゴロで3点目を運んだ。2試合連続9回2死から逆転サヨナラ勝ちした7日と9日もミラクルに貢献。チームは創成館(長崎)時代に甲子園を沸かせた新星の奮闘で2位に浮上し、首位巨人に0・5差に肉薄。明日12日にも、46日ぶりに再奪首する勢いだ。満員札止めの甲子園の大歓声に、野口のほおが緩んだ。痛烈な打球が右中間に弾むと、割れんばかりの大声援が祝福した。二塁走者の大山が悠々と生還し、一塁上で白い歯を光らせた。「何とかしようという気持ちが強かったので、それがいい結果に結びついた」「6番右翼」でプロ初スタメン。1点を追う4回2死二塁での2打席目。ヤクルト奥川の内角にきた148キロ直球を強振。試合を振り出しに戻す一打で、岡田監督の起用に即答した。まだ終わらない。5回に相手暴投で勝ち越したあと、6回1死一、三塁では遊撃にゴロを弾ませる併殺崩れで2打点目。岡田監督も「あれ、差し込まれたらショート正面ぐらいのゴロでゲッツーなってるかもわからん。差し込まれて、あんな弾まんよ。振り切ってるから弾むと思うよ」と評価。最悪3アウトチェンジのところ、パワフル打撃が貴重な追加点を呼び込んだ。7日DeNA戦ではプロ初安打と犠飛での初打点。9日ヤクルト戦は1点を追う9回に代打で四球出塁。球団初となる2試合連続9回2死からのサヨナラ劇に貢献し、この日も逆転勝利を呼び込んだ。まさに虎のラッキーボーイだ。「甲子園は夢を与える場所であり、夢をかなえる場所です」その目はキラキラと輝いていた。故郷長崎の創成館に一般入試で入学し、3年時に春夏連続甲子園に出場。春準々決勝の智弁和歌山戦では5安打3打点と大暴れした。だが延長10回、逆転サヨナラ打が無情にも自らの左翼頭上を越えていった。「最後は頭が真っ白になった。勝っていたのに一瞬で負けてしまった」。県勢9年ぶりの4強にあと1歩及ばず、悔し涙を流してら6年...。タテジマに袖を通して育成からはい上がり、ホロ苦くもあった甲子園で「夢をかなえる」大活躍。これからは「夢を与える」側になる。チームは4試合連続逆転勝利で、4月末以来2カ月半ぶりに4連勝。貯金を4に増やして2位に浮上し、首位巨人に0・5差に迫った。11日の名古屋への移動日を経て、12日にも46日ぶりに首位を奪回できるところまできた。指揮官は「こんなんまだまだ。まだ7月ですからね」と一蹴したが、躍動する背番号97の姿は頼もしくて仕方ないようす。新星が停滞気味だった打線を活気づけ、奪首ウイークにする。【村松万里子】野口恭佑(のぐち・きょうすけ)2000年(平12)7月17日、長崎県生まれ。創成館では1年秋からベンチ入り。3年春夏に甲子園出場。九産大ではリーグ戦59試合出場し打率3割1分4厘、3本塁打、38打点。4年春にベストナイン獲得。22年育成ドラフト1位で阪神入団。1年目の昨季は2軍で打率3割3厘、6本塁打、18打点をマーク。同年オフに支配下選手契約を結んだ。180センチ、86キロ。右投げ右打ち。今季推定年俸420万円。○...22年育成ドラフト1位入団の野口が、プロ初先発で4回に中前適時打。阪神の育成ドラフト入団選手の1軍戦出場は、野原祐、田上、片山、小野寺に次いで5人目だが、初スタメンの試合で打点を挙げたのは野口が初。野口と甲子園 創成館(長崎)3年時の18年に春夏連続出場を果たした。春は主に5番左翼で3試合に出場し、下関国際(山口)と智弁学園(奈良)を撃破して8強進出に貢献。準々決勝で智弁和歌山戦に敗れたが、5打数5安打の固め打ちで強烈な印象を残した。計10打数7安打、打率7割の大暴れ。夏は1回戦の創志学園(岡山)戦で、現チームメートで1学年下の西純矢と対戦。2打席2三振と封じられ、チームも0-7で敗れた。

◆3日前のことだ。阪神野口恭佑外野手は球界の大先輩の心遣いに感激した。7日のDeNA戦(甲子園)で代打で登場し、5回にプロ初安打。右前打を右翼度会が後逸し、三塁まで進んだ。その際、三塁手の宮崎にあいさつで「よろしくお願いします」と頭を下げた。返ってきたのは「初ヒット? おめでとう」と祝福の言葉。大歓声の甲子園でも、はっきり聞こえた。「ああいうことを言ってくださって、すごくうれしかったですね」と振り返る。長崎出身の野口と佐賀出身の宮崎。九州男児という共通点があり「日本文理大出身で、もちろん九州の方だと知っていました」という。真剣勝負のグラウンドでもらったエールに胸がいっぱいになった。ちなみに、10日時点で宮崎はプロ通算1210安打。この日、2安打目を放った若武者は「(超えられるように)頑張ります」。宮崎先輩のような、器の大きい男を目指す。【阪神担当=中野椋】

◆女房役の阪神坂本誠志郎がバットでも大竹耕太郎を援護した。6回に1点を加えて3-1とした2死一塁から右中間に適時二塁打。一塁から代走島田が長駆ホームインし、4点目が入った。「ピッチャーを楽にさせてあげたいという思いはあるので」と納得顔。捕手としても立ち上がりに失点した大竹を2回から6回まで無失点に導き「最少失点でいっておけば今日みたいなゲームになる。そういうピッチングができるのは大事」と左腕をたたえた。

◆阪神島田海吏が好走塁と好守で見せた。6回に野口の代走で出場すると、坂本の右中間への二塁打で一塁から激走、一気にホームを陥れた。「あれは(ホームに)帰らないといけない当たり」。7回にはヤクルト浜田の右翼への飛球を背走しながらキャッチした。同じ外野手の野口がスタメンで活躍。「僕はちょっとタイプは違うと思うんで、僕がアピールできるところでしっかり勝負できれば。走攻守でもっとアピールしないと」と気合を入れていた。

◆阪神岩崎優が最後をぴしゃりと締めて13セーブ目をマークした。先発大竹、石井、ゲラの後を受け、9回に登板し、ヤクルト上位打線を相手に、最後は村上を空振り三振に仕留めて3人で片付けた。「(3人で終われて)よかったです」とクールに振り返った。チームは4連勝と波に乗る。「続けていけるように、みんなで頑張ります」と、連勝をさらに伸ばす意気込みだ。

◆阪神小幡竜平が決勝のホームを駆け抜けた。1-1同点の5回、先頭打者で二塁打を放ち、送りバントで三塁に進むと、1番近本の2球目、ヤクルト奥川の暴投で勝ち越しの生還。「ツーベースっていうのが、いい結果になったかなと思います」。遊撃守備でも大竹ら投手陣を助けた。連続ヒットは9試合に伸ばし「いい感覚で臨めているので、いい結果につながっているのかなと」と笑顔だった。

◆阪神ゲラが3人斬りで今季17ホールド目を挙げた。3点リードの8回に登板。7番松本直を二飛に打ち取ると、北村拓を中飛、代打丸山和を左飛に仕留めた。1軍に復帰して以降、これで6試合連続無失点。9回の岩崎につなぎ「ゲラザキ」リレーで勝利をもたらした。「ゾーンにしっかり投げられた。リズムよくアウトが取れて、何より3人で終えられたのが一番良かったよ」と振り返った。

◆首位巨人を1差で追う阪神は、野口恭佑外野手(23)が「6番・右翼」でプロ初のスタメン出場する。7日のDeNA戦(甲子園)でプロ初安打を放ち、9日のヤクルト戦でも逆転サヨナラにつながる殊勲の四球を選んだ23歳の若虎が、2戦連続サヨナラ勝利と勢いに乗る虎をさらに加速させる。大竹耕太郎投手(29)が今季6勝目を目指して先発のマウンドに上がる。またヤクルト・奥川恭伸投手(23)は21年10月19日以来の甲子園マウンドとなる。

◆阪神の先発・大竹耕太郎投手(29)が初回に先制点を献上した。1番・宮本に中前打を浴びると、続く増田が犠打で1死二塁。この日3番に座った村上を迎えた。フルカウントから6球目、117キロチェンジアップを軽打されると、打球は中前へ。二走・宮本が先制のホームへとかえってきた。これで阪神は6試合連続で先制点を奪われた。

◆阪神がまたも一回を無得点で終わった。1点を先行されて迎えた最初の攻撃。先頭の近本が四球で出塁する。続く中野は中飛も前川が四球で一、二塁の好機を作った。制球の定まらないヤクルト先発・奥川に対し、4番・大山はカウント2-1と打者有利。しかし4球目、145キロ直球を引っ掛け、痛恨の三ゴロ併殺に終わった。これで阪神は6月16日のソフトバンク戦(みずほペイペイ)の一回に前川の満塁弾で得点してから、16試合連続で一回を無得点。序盤から流れをつかめない展開が続いている。

◆阪神・野口恭佑外野手(23)がプロ初スタメン起用に応えた。0-1で迎えた四回2死二塁の好機だった。カウント2-2から6球目、奥川の148キロ直球に食らいついた。打球は右中間方向で弾む中前適時打。野口は6月28日に1軍初昇格すると、7日のDeNA戦(甲子園)でプロ初安打。同戦では犠牲フライで初打点も記録していた。この日は「6番・右翼」でプロ初スタメン。プロ初適時打で岡田監督の起用に応え、「打ったのはストレート。追い込まれていましたが、なんとかランナーを還したいという気持ちでした。前の打席でチャンスで凡退していましたが、しっかり切り替えて集中して打席に入ることができました」とコメントした。

◆阪神は1―1の五回、暴投で勝ち越しに成功した。先頭の小幡が中堅へ鋭い当たりを放ち、中堅手が打球処理をもたつく間に二塁へ。大竹が犠打を決めて1死三塁とすると、近本の2球目が大きくバウンドする間に三塁走者の小幡が生還した。阪神は7日のDeNA戦、9日のヤクルト戦と2試合続けて九回に相手のミス絡みで逆転サヨナラ勝利を決めており、この日も隙を逃さずリードを奪った。

◆阪神・野口恭佑外野手(23)が大きな3点目をたたき出した。2-1で迎えた六回。1死から大山、佐藤輝の連打で一、三塁の好機を作ると、この日プロ初スタメン&初適時打を放った野口が打席へ。代わったばかりの石山と対戦した。3球目、147キロ直球に食らいつくと、打球は高くバウンドし、遊撃へ。一走・佐藤輝が二塁でアウトも、三走・大山が生還し、野口はプロ初の1試合複数打点と躍動した。二塁でのアウト判定について、佐藤輝が猛アピールで岡田監督はリクエストを要求。場内ビジョンにリプレー映像が映し出されると、阪神ファンから大歓声が沸き起こった。しかし、判定は変わらずアウト。一転して、阪神ファンから大ブーイングが起こったが、期待の若虎がスタメン出場の起用に応え、野口の代走で島田が送られた。

◆たくさんの思い出が詰まったマウンドに帰ってきた。ヤクルト・奥川が、甲子園球場で行われた阪神戦に今季3度目の先発登板。前日9日には「懐かしい」と口にしていた同球場で懸命に腕を振った。「また勝てるような投球がしたい。復帰戦も終わって、本拠地の登板も終わって、特別なゲームみたいなのが終わった。勝たせてもらってるような試合が多いので、しっかり野手の皆さんに貢献できるよう頑張りたい」久しぶりの景色と、初めての大歓声だった。甲子園での登板は、2021年10月19日以来995日ぶり。当時はコロナ禍で声出しや鳴り物での応援が禁止されていたため、阪神ファンの全力での応援は経験したことがない。「この球場、この相手が一番ビジターという感じがするので楽しみではある」と口にしていた右腕。140キロ台後半の直球とスライダーやフォークボールをちりばめた打たせて取る投球で、走者を出しても粘った。奥川と甲子園は切っても切り離せない。石川・星稜高時代は2年春から4季連続で甲子園大会に出場。3年夏の19年大会は3回戦の智弁和歌山高戦で165球、23奪三振の熱投を見せ延長十四回サヨナラ勝ち。大阪・履正社高との決勝戦に敗れて準優勝に終わったが、一躍世代のトップとして注目された。6月14日のオリックス戦(京セラ)で復活勝利を果たしてから、登板前まで2戦2勝。この日は5回93球を投げ3安打2失点と力投したが、1点リードを許した段階で降板したため3戦3勝はならず。それでも、新たな積んだ経験は必ずや次戦以降につながる。(赤尾裕希)

◆先発した阪神・大竹耕太郎投手(29)は6回5安打1失点で降板した。一回に村上の先制の適時打を許したが失点はこれだけ。緩急を駆使し、回を追うごとに安定した投球をみせた。四回無死一塁ではオスナを三ゴロ併殺、六回1死一塁では村上を二ゴロ併殺に打ち取ってガッツポーズ。強力ヤクルト打線を巧みな投球術で手玉に取った。味方が六回までに4点を奪い、大竹は今季6勝目の権利を持って降板。リリーフ陣に後を託した。

◆先発した阪神・大竹耕太郎投手(29)は6回5安打1失点で降板した。一回に村上の先制の適時打を許したが失点はこれだけ。緩急を駆使し、回を追うごとに安定した投球をみせた。四回無死一塁ではオスナを三ゴロ併殺、六回1死一塁では村上を二ゴロ併殺に打ち取ってガッツポーズ。強力ヤクルト打線を巧みな投球術で手玉に取った。味方が六回までに4点を奪い、大竹は今季6勝目の権利を持って降板。リリーフ陣に後を託した。「初回の失点で焦ることがよくないと思っていましたし、二回からスタートというくらいの気持ちで落ち着いて投げることを意識しました。味方打線が追いついてくれて、緩急も使っていきながら抑えることができました。次回はもっと長いイニングを投げていけるように準備したいと思います」とコメントした。

◆阪神がオール逆転勝ちで4連勝。首位巨人に0・5差の2位に浮上した。1点を追う四回2死二塁、「6番・右翼」で初スタメンの野口恭佑外野手(23)の中前適時打で同点。初打点の野口は1点リードの六回には1死一、三塁からの遊ゴロで貴重な3点目を叩き出した。6回1失点の大竹耕太郎投手(29)は6勝目(4敗)。七回から石井大智(26)、ハビー・ゲラ(28)、岩崎優(33)の3投手がゼロを並べた。チームの4連勝は4月14日からの2分挟む7連勝以来。「貯金4」は5月30日以来(成績=40勝36敗5分、観衆4万2575人)。

◆六回。阪神・坂本誠志郎の適時二塁打で両手を広げガッツポーズをする野口恭佑=甲子園球場(撮影・水島啓輔)

◆阪神がオール逆転勝ちで4連勝。首位巨人に0・5差の2位に浮上した。1点を追う四回2死二塁、「6番・右翼」で初スタメンの野口恭佑外野手(23)の中前適時打で同点。初タイムリーの野口は1点リードの六回には1死一、三塁からの遊ゴロで貴重な3点目を叩き出した。6回1失点の大竹耕太郎投手(29)は6勝目(4敗)。七回から石井大智(26)、ハビー・ゲラ(28)、岩崎優(33)の3投手がゼロを並べた。チームの4連勝は4月14日からの2分挟む7連勝以来。「貯金4」は5月30日以来。岡田彰布監督(66)の主な一問一答は以下の通り(成績=40勝36敗5分、観衆4万2575人)。ーー野口のスタメンがハマった「ハマったというか、ちゃんとしたら打てるよ」ーー前の打席で振った球を振らずに(二回無死二塁で空振り三振)「そうそうそうそう。そら、みんな初めての、ええピッチャーやし、なかなか2軍では対戦出来ないようなピッチャーと当たってるわけやから。最初からどんどん打てとは言えないし、キレのいいボールを空振りしたら今度はそれを振らないように、そうして行けばええんよ」ーーショートゴロも強いスイングだからこそ(六回1死一、三塁で遊ゴロで3点目追加)「そうよ、アレ差し込まれたらショート正面ぐらいのゴロでゲッツーなってるかもわからんけど、やっぱり差し込まれてるけど振り切れてるから、ああいう弾む打球いうたらおかしいけど、やっぱり、ボールもスピンかかってるから弾むんやろね。差し込まれて、あんな弾まんよ。振り切ってるから弾むと思うよ」ーー島田の途中交代で守備もハマった(七回2死、浜田の右飛を好捕)「普通やんか。回ったら、出たら代走から行くいうのは普通のことやし」ーーまだ満点ではないけど、つなぎは「出来たやろ。4点も取ってんねやで、お前」ーー4試合連続逆転勝ち「まあ、1点は逆転っていうかな、って思うけどな。先に点取られたらみんな逆転勝ちになるけど、本当やったら、その1点でピッチャーがしのいで。初回1点取られてもピッチャーは打線の援護を待つわけやから。その1点で逆転いうのもどうかなと思うけどな、普通はな」ーーこれまでその1点が重かった「いや、重かった。そら重かったよ、これまではなあ」ーー少し変わって来たか「まあそうやね。ヒットの割に点取れたもんね、今日は」ーー相手のミスも生かして「まあでも、それも野球やで。こっちもミスして点取られるんやからな」ーー野口はまたチャンスが「あるある、全然ある」ーー12日からの中日戦も「そんなんまだ決めてないわ」

◆阪神がオール逆転勝ちで4連勝。首位巨人に0・5差の2位に浮上した。1点を追う四回2死二塁、「6番・右翼」で初スタメンの野口恭佑外野手(23)の中前適時打で同点。初打点の野口は1点リードの六回には1死一、三塁からの遊ゴロで貴重な3点目を叩き出した。6回1失点の大竹耕太郎投手(29)は6勝目(4敗)。七回から石井大智(26)、ハビー・ゲラ(28)、岩崎優(33)の3投手がゼロを並べた。チームの4連勝は4月14日からの2分挟む7連勝以来。「貯金4」は5月30日以来。主な選手のコメントは以下の通り(成績=40勝36敗5分、観衆4万2575人)。2安打で3カード連続勝ち越しに貢献した佐藤輝明 「いい状態がチームも個人的にも続いているので、また頑張っていきたいと思います」六回2死一塁での適時二塁打に坂本誠志郎 「ピッチャーをちょっとでも楽に投げさせてやりたいので、良かったです」坂本の二塁打で生還した島田海吏 「あれは帰れないとダメな当たり」13戦連続安打で途切れた中野拓夢 「別にヒットが止まったからといって何も思ってないので。感覚としてはまだ悪くないんで、別に大丈夫かなと思います」6勝目の大竹耕太郎 「(四、五回の緩急の意図は)適当です。適当が大事なので、僕の中では。100球近く投げるのに全部真面目に投げてたら体力持たないですから」七回に登板した石井大智 「(連投も)それが仕事なので」3点差の八回を締めたハビー・ゲラ 「1点差であれ3点差であれ、同じ気持ちで投げるようにとは思っている」九回を締めて13セーブ目の岩崎優 「(3人で終われて)良かったです。続けていけるようにみんなで頑張ります」

◆現役時代は南海、西武に所属し、引退後は西武、ダイエー、阪神の3球団でヘッドコーチを務めたサンケイスポーツ専属評論家・黒田正宏氏(76)は初スタメンで初適時打の阪神・野口恭佑外野手(23)を絶賛した。好機にタイムリーが生まれるなど、打線が機能し始めた。岡田監督の選手起用が、ようやくハマってきた印象だ。中でもスタメン抜擢の野口は面白い存在。1打席目は奥川の外角へ逃げるスライダーに空振り三振。内容は良くなかった。2打席目は、同じコースへのスライダーを2球見極めて振らなかった。最後は内角寄りの真っすぐを右方向へはじき返した。強引に打っていたら遊ゴロか三ゴロだっただろう。1打席目の反省を生かして、次の打席では結果を残す。この修正能力は見事だ。野口の特性と言ってもいい。同じ球種に引っ掛からないだけでなく、臨機応変の打撃ができる。相手の左右にかかわらずスタメン起用しても、十分に対応できそうな魅力を感じる。代走、守備固めを送られたが、肩は強く、守備も慣れれば及第点になるだろう。島田、植田ら途中出場で力を発揮できるタイプが控えているので、今は試合の頭から思い切って使い続けてもらいたい。森下がうかうか出来ない外野の選手層。競争をあおる岡田監督にとっては、狙い通りだろう。

◆阪神がオール逆転勝ちで4連勝。首位巨人に0・5差の2位に浮上した。1点を追う四回2死二塁、「6番・右翼」で初スタメンの野口恭佑外野手(23)の中前適時打で同点。初タイムリーの野口は1点リードの六回には1死一、三塁からの遊ゴロで貴重な3点目を叩き出した。野口の主な一問一答は以下の通り。ーー四回の適時打は、打つ前のボールを見逃せた「はい、しっかり止まって、しっかり修正出来たのが良かったと思う」ーー1打席目はやられた(二回無死二塁で空振り三振)「まあ、追い込まれるまではゾーンを上げようと意識していた。追い込まれてからは何とかしようと気持ちが強かったので、それがいい結果に結びついたんじゃないかと思います」ーー落ち着いて「1打席目はちょっと緊張もあったが、次は同じことを繰り返さないように、次どう打つかを考えて修正出来たので、そこは良かったと思います」ーー六回1死一、三塁では二遊間が下がっていた。遊ゴロで1点「それこそゾーンを上げて変化球を頭に入れながら打席に立ったので。打点がついたので、いい1点だったんじゃないかと思う」ーー直球に強いが、1軍の変化球は違うか「キレも違うし球種が多いので、今後、課題となって来ると思う。しっかりついて行けたら」ーー応援団からコールされた時は恥ずかしかった「恥ずかしいというか慣れていないので、早く慣れるようにしたい」ーーインタビューは成長「全然成長していないです」ーー打席より緊張「ああ、そうですね。打席は集中出来ているので。ヒーローインタビューは集中出来ていないという言い方はおかしいんですけど、ちょっとダメですね」ーー塁上で派手には喜ばず「いや、普通にうれしかったですよ」ーー遠慮気味「あんまり...やっていいのかなと。でも、他の人がやったらめっちゃ喜ぶので。あまり調子に乗り過ぎたらダメかと思ってちょっと控えています」ーー甲子園で劇的な試合にかかわっている「もう勝った時の喜びがすごいうれしいし、楽しいですし。しかも2試合連続サヨナラですごい楽しかったです。今日もうれしいです」ーースタメンを知ったのは「練習始まる前に、監督に今日先発だからと言われたので。そこで。本当は今日、〝親子〟(2軍との掛け持ち)に行く予定だったんですけど、行かなくなったので、そういうのも頭に入れながら、準備していた。そんなに驚くほどではなかったです」ーー監督から声は「いえ別に、普通に。スタメンだから。頑張れよ...あまり覚えてないです」

◆ヤクルト・奥川恭伸投手は5回で93球を要し、3安打3四死球で2失点。6月には3シーズンぶりの勝利を挙げるなど2連勝したが、復帰後初の黒星となった。石川・星稜高で甲子園大会に4度出場し、最後の夏は準優勝。思い出のマウンドに上がったが「思ったところに投げられないから、苦しい投球になった」。四回は死球で招いたピンチに同点打を浴びた。五回は暴投で勝ち越しを許し「最後の失点はもったいなかった」とため息。高津監督も「出さなくていい走者を出している。修正が必要」と厳しかった。

◆俺を忘れるな-。持ち味を前面に出し、阪神・島田海吏外野手(28)がそのスピードでグラウンドを駆け回る。途中出場ながら、好走塁&好守備で存在感を示した。「あれは(ホームに)かえらないと駄目な当たりなので、かえることができてよかったです」台頭する新戦力・野口にスタメンを譲ったが、その野口に代わって六回2死一塁で代走出場。フルカウントから坂本の打球が右中間で弾んだ。「藤本(三塁ベース)コーチを見ながら、一気に(本塁まで)緩めずにかえることができた」。快足を飛ばし、大きな4点目のホームを踏んだ。見せ場はもう一つ。そのまま守備につくと、七回2死で浜田の痛烈な打球が右翼を襲った。ここでも俊足を生かし、落下地点へと猛進すると、左手を伸ばして白球をグラブへ。「その日その日のできることをしっかりできた」。抜けていれば確実に長打だった打球を平然と処理してみせた。「野口もいいアピールをしているけど、僕は僕。タイプも違うと思うし、僕のアピールできるところで勝負したい」この日は野口にポジションを譲る形で2試合ぶりのベンチスタート。野口が持つ抜群の打力は島田も認めるところだが、走塁&守備面で引けを取るわけにはいかなかった。もちろん、レギュラー定着のために求められるのが走攻守での活躍であることも分かっている。打席に立った八回は空振り三振。好プレーの中でもアピールできなかった〝攻〟の面を悔いた。「外野手なので打てないと試合に出られない。打つ方はまだまだなので、もっとアピールしていきたい」この相乗効果が虎をまた強くする。野口の次は島田が〝うなぎ上り〟に評価を上げる番だ。(原田遼太郎)

◆育成上がりの若虎が大仕事や! 阪神は4-1でヤクルトに逆転勝ちし、今季2度目の4連勝。「6番・右翼」でプロ初スタメンに抜擢された野口恭佑外野手(23)が四回に初タイムリーを放つなど2打点の活躍をみせた。試合が中止になった広島を抜き、首位巨人に0・5ゲーム差の2位に浮上。混セを抜け出す機運が高まってきた。ニューカマーの勢いが止まらない。7日のDeNA戦(甲子園)でプロ初安打を放ったばかりの野口が6試合目で初のスタメン出場。プロ初タイムリーとなる同点打を含む2打点で、またも勝利に導いた。「一生懸命やるだけでした。引きつけて強く振ることを考えて、その前のボールをしっかり足を使って(スイングを)止められた結果が、ヒットにつながったと思う」6月29日に神宮での復活勝利を献上したヤクルト・奥川を攻略した。二回無死二塁の好機ではボール球の変化球に手を出して空振り三振を喫したが、逆襲のチャンスは四回に訪れた。2死二塁の好機での第2打席だ。追い込まれてからが冷静だった。1球ファウルで粘り、1打席目に三振した低めの変化球を我慢。6球目の148キロを一閃した。「次は同じことを繰り返さないように、次どう打つかを考えて修正できた」。ライナーで中堅右に弾ませ、記念すべき初タイムリーで試合を振り出しに戻した。六回にも1死一、三塁から3番手・石山の直球を三遊間深くへ転がし、二塁が封殺される間に大山が生還して、この日2打点。貴重な追加点をもたらし、「いい1点だったんじゃないかな」と仕事を果たした。

◆燕ナインの表情は一様に暗かった。ヤクルトは逆転負けで今季最長の6連敗。借金は今季ワーストを更新する12となった。今季3度目の先発となった奥川恭伸投手(23)は5回93球を投げ3安打2失点。甲子園では2021年10月19日以来995日ぶりの登板だったが、今季初黒星を喫した(2勝)。「練習でできていたことが本番でできなかった。思い通りに投げられなかったので、ああいうピッチングになる。初回から思ったようには投げられなかった」自慢の高い制球力が戻ってこない。最速148キロの直球と変化球をうまく使い分けながら粘り強く投げたが、3四死球を与え「しっかり考えないといけない。今すぐには難しい。どう投げていいか分からない感じなので、振り返って次に向けて調整したい」と現状を分析した。記録につかないミスも失点に直結した。1点リードの四回1死一塁では二塁手・北村拓がゴロ捕球でファンブルし、併殺を取れず。直後、野口に中前適時打とされた。五回も小幡の中前打がイレギュラーして二塁打に。1死三塁から奥川の暴投で決勝点を献上。高津監督は「ミスしている間はなかなか失点を防ぐことは難しい」と断じた。石川・星稜高3年夏には甲子園大会準優勝に導いた奥川。プロでは通算4度目の登板で初めて大歓声を背に投げたが笑顔はなく、「とにかく自分の状態を上げること」と唇をかんだ。(赤尾裕希)

◆阪神・大竹耕太郎投手(29)が凪の心と遊び心を駆使して、また燕打線相手に投げ勝った。悔しさが残る降板も、しっかり白星をつかんだ。「まず1点取られたんですけど、そこで慌てることなく、また二回から試合が始まっていく感覚で落ち着いて投げることができました」一回1死二塁で村上に適時打を浴びて先制を許したが、全く動じなかった。毎回キャラ設定を持って投げる大竹のこの日のテーマは「雑草」だった。「夏休みの、公園に生えている雑草。どんだけ刈ってもすぐに生えてくるので、イメージはそういう感じです」-。1点失っても、雑草のようにすぐに立ち上がる。凡打の山を重ね、五回の北村匠の打席では74キロの超スローボールで中飛に打ち取るなど翻弄。「そういうことをできるのは余裕がある」と遅球を駆使すると、打線が勝ち越した直後の六回は1死一塁で村上を二ゴロ併殺に打ち取った。これで今季はヤクルト相手に3戦全勝。6つの勝ち星のうち半分をリーグトップの54本塁打&275得点を誇る相手から挙げている。ソフトバンク時代から数えるとツバメに8戦7勝負けなしと、完全に〝お得意さま〟にしている。

◆こんなことを言ったら叱られるが、毎日、このコーナーを埋めるのは大変だ。いつも悲壮な顔をして書いている。最近は同情した他社の記者がヒントをくれる。「きょうは『○○の日』です」と。この日もやさしい後輩が教えてくれた。「きょうは『納豆の日』です」-。7月10日だからゴロ合わせで「ナットウ」。ありがとう。ところが悲しいかな、最近、耳が遠くなった。「エッ、ラントウの日?」ラントウ? 乱闘? この世に「乱闘の日」なんてあるのか?プロ野球界から大乱闘が消えて久しい。「最後の大乱闘」として語り継がれているのは、2017年4月4日。くしくもこの夜と同じ、阪神vsヤクルトだった。先発・藤浪晋太郎が大荒れの投球。五回、畠山にぶつけて、ゴングが鳴った。両軍入り乱れての乱闘に。バレンティンが暴れ、一度は吹っ飛ばされた矢野コーチ(後の監督)が立ち上がってキックのお返し。あちこちで小競り合い。金本監督も怒号を発していた。和気あいあいな空気が流れていた球界に起きた大乱闘は衝撃的だった。これをテレビで観ていたのが、当時高校2年生のトラ番・中屋友那。「大の大人が大暴れしているなぁ」と半ば呆れながら、同時に記憶に蘇ったのが、それ以前に聞いたスラッガー清原和博の話だった。「けがをして欠場したらチームの迷惑になる」名門・高知高の投手だった中屋は以来、内角を攻めるには「より慎重に」を心掛けたらしい。「やっぱり当てたらまずいですよね」。と、中屋にいい影響を与えた清原だが、現役時代は間違いなく死球、乱闘の主役だった。

◆違うー! これは阪神じゃなーい!! 今季の虎は先制を許したら白星は果てしなく遠いチームであったはず。追いついても、そこから着実に追加点を重ねて相手チームを諦めさせる試合なんて、まずまずなかったかんね!!ハァハァハァ...。連日の猛暑にやられ、俺はついに別の球団を応援してしまっていたようなのだ...。えっ、別球団じゃない? 阪神で合っている!? そーだったら、勝負はオールスターゲーム明けとふんでいたのに、この段階でこの余裕勝ちができるって、もはやアレンパは決まったようなもんやん!!育成選手からはい上がり、2年目で初スタメンの野口は同点打を含めて2打点。しかもレベルが高~い!! 変化球を見送ったりファウルで対応したりして、得意のストレートを打ち返す! 昨年のレギュラー、森下は2軍に行っている場合とちゃうでー!!先発の大竹は変幻自在の投球で6勝目、オメデトウ!! 最速160キロの時代に74キロの遅球で打者を打ち取る投球を拝見し、来季より最多勝、防御率、奪三振に加え『最遅投球賞』をNPBは発表しましたァ!!(ウソで~す)

<セ・リーグ順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差残試合 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(-)
巨人
40355 0.533
(-)
-
(-)
63238
(-)
208
(-)
45
(-)
38
(-)
0.239
(-)
2.430
(-)
2
(1↑)
阪神
40365 0.526
(↑0.006)
0.5
(↓0.5)
62230
(+4)
218
(+1)
32
(-)
26
(-)
0.224
(-)
2.200
(↑0.01)
3
(1↑)
DeNA
41371 0.526
(↑0.007)
0.5
(↓0.5)
64271
(+3)
265
(-)
51
(+1)
42
(-)
0.251
(-)
2.920
(↑0.04)
4
(2↓)
広島
38354 0.521
(-)
1
(-)
66220
(-)
184
(-)
31
(-)
44
(-)
0.230
(-)
2.110
(-)
5
(-)
中日
35406 0.467
(↓0.006)
5
(↓0.5)
62185
(-)
251
(+3)
33
(-)
25
(-)
0.234
(↓0.001)
2.680
(↓0.01)
6
(-)
ヤクルト
32444 0.421
(↓0.006)
8.5
(↓0.5)
63275
(+1)
287
(+4)
54
(-)
39
(-)
0.235
(↓0.001)
3.380
(↓0.01)