阪神(☆2対1★)ヤクルト =リーグ戦12回戦(2024.07.09)・阪神甲子園球場=
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ヤクルト
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阪神
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勝利投手:石井 大智(2勝1敗0S)
敗戦投手:田口 麗斗(1勝2敗7S)
  DAZN
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◆阪神が劇的なサヨナラ勝利で連勝を3に伸ばした。阪神は0-1で迎えた9回裏、2死満塁の好機から近本の2点適時打が飛び出し、試合を決めた。投げては、3番手・石井が今季2勝目をマーク。敗れたヤクルトは、守備の乱れが失点につながり、痛い逆転負けを喫した。

◆突然の雨にも負けず、阪神才木浩人投手(25)が初回のピンチを切り抜けた。初回、先頭の丸山に中前打を浴びると、続く西川の2球目に二盗を許し、遊ゴロで1死三塁。ここから、突然激しい雨が降ってきた。雨をぬぐいながら、続く長岡を一ゴロに仕留めると、最後は4番村上をフルカウントから133キロスライダーで空振り三振。突然の事態にも動じず、落ち着いた投球でスタートした。

◆阪神佐藤輝明内野手(29)が、痛い見逃し三振を喫した。1点ビハインドの4回無死一塁。3ボール1ストライクと打者有利なカウントをつくった。ここでヤクルト吉村の低めのフォークを空振り。ボール球に手を出し、フルカウントにしてしまう。最後は151キロ直球に手が出ず、見逃し三振。フルカウントでスタートを切っていた一塁走者大山悠輔内野手(29)は、二盗に失敗した。痛恨の「三振ゲッツー」でチャンスをつぶした。

◆阪神佐藤輝明内野手(25)が、痛恨の見逃し三振に倒れた。1点ビハインドの6回1死一、二塁。代わったばかりのヤクルトの変則左腕、山本との対戦だった。その初球、内寄りに入った128キロのスライダーを強振。右翼ポール右への、あわや本塁打の当たりに甲子園がどよめいた。強烈なファウルだった。ただ、2ストライクから最後は外角133キロスライダーに手が出ず、3球で見逃し三振。球場は大きなため息に包まれた。佐藤輝は2打席連続の見逃し三振となった。その後、6番の島田海吏外野手(28)も見逃し三振。左腕に対し、右の代打は使わずに勝負したが、実らなかった。

◆阪神前川右京外野手(21)が、驚異的な粘りを見せるも三振に倒れた。1点ビハインドの8回1死二塁。ヤクルト木沢に3球で追い込まれると、そこからだった。5度のファウル。途中、木沢の暴投で走者は三塁とチャンスは広がった。ただ、最後はフルカウントから151キロの速球に空振り三振。腰に手をやり悔しがった。続く大山悠輔内野手(29)は中飛。甲子園にため息があふれた。

◆阪神近本光司外野手(29)が、サヨナラ打でチームの3連勝を導いた。9回2死満塁で田口から右前の2点打。3試合連続逆転勝ち、2試合連続のサヨナラ勝ちで反発力を見せた。近本のヒーローインタビューでの一問一答は以下の通り。-この歓声「気持ちいいです!」-最高の一打、9回野口が原口が坂本がつないで「うわ、回ってきた! と思いました」-打球が飛んでいる間は「ライトがあんまり前進じゃなかったので、頼む、頼む、落ちろ! と思ってボール見てました」-サヨナラのシーンは確信か「サヨナラ確信というか、フミさん(原口)頼むと思って、必死のパッチで走ってくれたと思います」-去年もサヨナラ「はい、ありがとうございます」-これで3試合連続ひっくり返して「1人1人、自分の仕事やってくれているので、いい波乗っていると思います」-才木は「なんとかね、才木の投げてる間に点取って逆転したかったですけど、最後の最後で逆転できたので、まあ良かったです」-岡田監督と握手も「いや~、そうっすね、あの...何言ってるか聞こえなかったです(笑い)」-大歓声「打席の中でもすごく力もらってるので、今日もありがとうございます!」

◆/またも甲子園でミラクル\チャンスで近本光司は確定演出タイガースが逆転サヨナラ勝利???プロ野球(2024/7/9)??阪神×ヤクルト??Live on DAZN #DAZNプロ野球 pic.twitter.com/RZ5PpK8fU9

◆ヤクルト田口麗斗投手(28)が打たれた。1点リードの9回2死満塁から近本に右前へサヨナラ打。1死から四球を与えた場面を悔い「監督もおっしゃったように四球が全てかなと思いますね。技術不足です」と猛省。現役時代、クローザーとして活躍した高津臣吾監督(55)は「自分から傷口を作っているので、終盤投げるピッチャーは1つのフォアボール、1球は非常にクローズアップされる」と表情は厳しかった。▽ヤクルト北村拓(8回守備から途中出場。9回2死一、二塁で、代打・坂本の三塁線への当たりを取り損ねた)「守っていれば勝ちだったので、本当に申し訳ない」

◆阪神が2戦連続の劇的なサヨナラ勝ちで3連勝を飾った。1点を追う9回、2死一、二塁で、代打坂本誠志郎捕手(30)の三ゴロの当たりを、ヤクルト北村拓がファンブル。2死満塁と好機を広げ、最後は近本光司外野手(29)が、右翼へ安打を放つと2人が返り試合を決めた。阪神岡田監督の一問一答は以下の通り。-結果的に相手のエラーでいやそれもそらお前、いい当たりでも捕られるのもあるんだから、おーん。そらお前前半戦から、前も言うたけど、いい当たり捕られたり、ファインプレーされてな、点ならへんかったのけっこう多かったよ、ほんまに。それもなあ、やっぱりああいうねえ、ミスはあるからなあ、そのミスで点取るのもそれももう野球やそれは、はっきり言うて。-プレッシャーかけることで相手のミスも増えるうん、もうなあ。だからもう、あそこで9回出し惜しんだってしょうがないからな。-代打坂本はいい感じだったからええ感じというか、他行ったらもうお前、延長行ったらおらへんから。もう外野ショートで、大山ライトの用意させとったよ。原口残しとかなあかんからな、ファーストで。そや。大山で代えたらなあ。おーん、あとは豊田1枚しかおらへんようになるから、植田をライトに行かして、熊谷ショートにしたらな。だから12回まであるから、2人残しとかなあかんから。-原口もよく走ったいやいや、もう無理すんな言うとったけどな。まあだから、それが打球判断やろ。あの緩い打球というかな、そういうことやんか。結局は。近本は最後は決めたが、調子はいや、良くないよ、そんなの。良くない、良くない。-才木に白星をつけたいまあそうやな、結局は。-仕掛けるのが早いというのは6回に島田に代打を送らなかったところそうそう。まああそこで2枚使わせても良かったけどな。右きても次9番のピッチャーに回ってくるからなあ。でもまだ早いなと思ったから、野口も豊田も代打いくの。外野が1枚少なくなったからな、そんな無駄遣いできんからな。-四球で走者を出すから、こういう展開にいや、そういうことやろ。結局みんな四球絡んでるんよ、点入るときは。そういうことや。だから、ちゃんとボール振らんで選んでったら、いい結果が出るいうことや。-よく守ったいやあ、普通やろ。守りは普通に守ったらええねん、ファインプレーはいらんねん。

◆阪神が2戦連続の劇的なサヨナラ勝ちで3連勝を飾った。1点を追う9回、2死一、二塁で、代打坂本誠志郎捕手(30)の三ゴロの当たりを、ヤクルト北村拓がファンブル。2死満塁と好機を広げ、最後は近本光司外野手(29)が、右翼へ安打を放つと2人がかえり試合を決めた。阪神岡田監督の一問一答は以下の通り-劇的な勝利だったあー、そうですね。まあ、ね。最後まで諦めずにやった結果じゃないですかね。近本が決めたが、そこまでのつなぎ野口もね。佐藤はね、田口に相性よかったんだけど、1本出るかなと思ったんだけど。野口からね、うまくフォアボールを選んだし、原口もね、前日にいい仕事してるんで。よかったですね。-坂本の打席は相手のミスもあったが、近本まで続いたそうね。ちょっとこっちからみてたらわからなかったんだけど。ああ、これね、ベース踏んだら、終わりのとこだったから。でもね、ボール弾いたのみえたんでね。-試合終盤に阪神がチャンスをつかむとファンも思っていた。岡田監督自身は6回にね、最初チャンスあったんだけど。当然チャンスだから、向こうも左に変えてきたんだけど。まだちょっとね。3イニングあったんでね、1点だし。まだ仕掛けるの早いかなと思って。まだもう1回、チャンスあるかなと思ったんでね。-才木をどう見ていたかそんなに良くなかったけど、その割にね、ずっと...、まああのヒット、あの1点はしょうがないですからね。まあだから、いいピッチングをしてるけど勝ち星が前回もつかなかったし、ちょっとかわいそうですけど、ああいうピッチングをしていると、打線も才木の時に点を取ってくれるでしょう。-桐敷は今シーズンもよく投げ、石井もよく抑えた昨日1日空いていたし、2連戦なんで、今日もだから岩崎とゲラを投げずに済んだのは大きかったですね。-月が変わって粘りが出ていい流れを生み出せているのではヒットは前よりは出るようになってきたので、あとはつなぎでしょうね。まだボール球を振るのと、審判がストライクと言ったらストライクだから、これはしょうがないことなんでね。くさいと思ったらファウルで逃げるとかね。つなぎの面ではまだまだかもわからないですけどね。-3試合連続逆転勝ち、しかもサヨナラ勝ちが続いている。いやいや、まあ、たまたま、ほんとはもっとね、九回裏なしでね、勝たないといけないですけど、もうちょっと早いイニングに点取って、まあでも、今はね、そんな理想的な展開というかね、それを求めるのは今はちょっとね、無理なチーム状況だし、とにかく勝てるゲームをね、勝っていくというか、そっちの方が今は大事かも分からないですね。-この流れを明日につなげていきたい。明日に向けていやいや、いつもね、明日はもっと楽な展開というかね、早く点取るというか、前回奥川ね、神宮でやられてるんでね、みんなも1回見てるんで、打線の奮起をね、奥川が投げてる時にね、2点3点取ってくれればもっと楽な展開になると思うんで、打線の奮起ですね、明日は。

◆阪神中野拓夢内野手(28)が3回2死一塁の中前打で、連続試合安打を13に伸ばした。「ヒットが続けば自分の気持ち的にもいいイメージ持って打席に入れますし、少し余裕持ってボールを見られる。そういった余裕がヒットが続いている要因かなと思います」と分析。二塁守備でも4回無死一塁で一、二塁間を抜けようかという村上の打球をアウトに。才木を助け「そういった守りがあったから、接戦の試合で最後逆転することができた」と笑顔で振り返った。

◆阪神才木浩人投手(25)はニコニコと笑っていた。ベンチ最前列で声を出し、味方の粘りを楽しむように応援した。2試合連続9回2死から逆転サヨナラ勝ちの奇跡に、思い切り喜びを分かち合った。「何とかとりあえず1点取ってくれと思っていました。しんどい試合やなあ~と思っていましたけど、四球からつないで、つないで攻撃してくれた。(自分の)負けを消してくれて良かったです」「奪首」ウイークの先陣。申し分ない働きだった。4回に1点先制されたが、ペースは落ちない。走者を出してからの投げミスがなく、要所を締めた。最後の7回2死三塁も代打青木を遊ゴロに打ち取った。初回にいきなり27球を投げさせられた。突然の通り雨にも見舞われ「今日はしんどいかな」という立ち上がりから、試合を作った。実に7試合連続のハイクオリティースタート(7回以上、自責点2以下)。日曜日から火曜日を任されて3試合目。なぜか援護がまるでなく白星がつかない不運が続く。「気にしていないです。自分のできる範囲をしっかりやるだけなので」。淡々と自分の仕事に徹する姿は「エース」と呼びたくなる風格だ。岡田監督も信頼のまなざしを向ける。「そんなに良くなかったけど、その割にね。あの1点はしょうがない。前回も勝ちがつかなかったし、ちょっとかわいそうですけど。ああいう投球をしていると、打線も点を取ってくれるでしょう」と我慢の投球を認めた。自分の体を完璧にコントロールしている。4キロほど増量して迎えた今季。「それだけ変わっている。今年はトレーニングとか、それに合わせていろいろ、やっていることも変わっている」。自らの映像を見ての研究を欠かさない。より重くなった体、長い手足を持て余さず、不調でも試合を壊さない対応力がある。「この調子でシーズン後半、まだ来週ありますけど、しっかりイニングも投げていきながらやっていけたら」。才木の粘投があってこそ、劇的なフィナーレが待っていた。最後も爽やかな笑顔で締めくくった。【柏原誠】

◆御礼の無失点斬りだ。阪神桐敷拓馬投手(25)が、監督選抜でのオールスター初出場決定後の初登板で1回を0封。9回裏の劇的サヨナラ勝ちにつなげた。1点ビハインドの8回、先発才木の後を受けて登板。ポンポンと2死を取ってから、ヤクルト長岡に遊撃への内野安打を許したが、続く4番村上を空振り三振に斬った。村上には6月30日の対戦(神宮)で適時打を許し、8回に大量5失点して大逆転負けするきっかけとなった。「やり返すってわけじゃないですけど、前回の失敗をしないようにと、意識してやっていました」。苦い経験を生かして、しっかりリベンジを果たした。監督選抜で初の夢舞台出場が決まった。選んでくれた全セの岡田監督に「感謝でいっぱいです」と話す。1点ビハインドでも逆転を信じてマウンドを託されたのも、その指揮官の厚い信頼があるからこそ。「自分はもう任された場面をいくだけなんで。自分の時は点は入らなかったですけど、それでもチャンスはつくっていたし、少しずつですけど流れは持ってこれたのかなと思います」と笑顔で振り返った。登板37試合で防御率2・10の安定感。7日のDeNA戦も1点ビハインドの9回を抑え、その裏2死からの逆転サヨナラを呼び込んだ。この男かいるから、熱いドラマが生まれる。先発才木が踏ん張り、桐敷や石井が耐えた末に、歓喜の瞬間が待っていた。大事な仕事をやり終えた左腕の表情は充実感に満ちていた。【高垣誠】

◆甲子園の奇跡だ! 阪神が球団史上初となる、9回2死から2試合連続逆転サヨナラ勝ちを決めた。敗色濃厚だった0-1の最終回、満塁から1番近本光司外野手(29)が右前に2点タイムリーを放つと甲子園は狂喜乱舞だ。岡田彰布監督(66)が野口、渡辺、原口、坂本とつぎ込んだ異例の4者連続代打の執念が実り、つないでつないで勝ち切った。この日首位を奪った巨人との1ゲーム差をキープ。劇的勝利の勢いそのままに大混セを勝ち抜く。近本は祈った。「頼む、落ちろ!」。思いを込めて走った。飛球が宙に舞ったのは約3秒。右翼前に落ちた。サヨナラだ。それも2試合連続。そして、3試合連続で逆転勝利。歓喜のウオーターシャワーが心地いい。お立ち台で「気持ち良いです!」と破顔した。1点ビハインドの9回2死満塁。土壇場での心境は「うわっ、回ってきた!」。同時に覚悟を決めた。理論派の男は球種を絞らず「アバウト」で打席に入った。「流れだと思っていた。自分その流れに思い切って乗れるかどうか」。田口の130キロスライダーを捉え、プロ3度目のサヨナラ打だ。仲間がつくった勢いが背中を押してくれた。6月は月間打率1割5分7厘。スタメン落ちもあった。不調の時、大切なのは「結局はメンタル」だという。自分との戦い。その過程で周囲に焦りや葛藤を見せるタイプではない。そこには信念がある。「態度に出して発散するものでもないと思う。ヘルメットたたきつけるとか、バットたたきつけるとか、それでは何も解決しないって思う。俺がそもそもそれをしてる人じゃないからな」どんな時も、いつも通り。全体練習前には個別で打ち込む。とことん自分と向き合い、ここまでやってきた。これで2試合連続マルチ安打。浮上のきざしはある。9回のサヨナラ劇は猛虎の意地がにじみ出た。1死から、岡田監督は異例ともいえる4連続で代打を投入。野口、渡辺、原口、坂本を送り込んだ。野口の四球、原口の左前打。今季初代打起用の坂本は、相手三塁手の失策で満塁をつくり、近本につないでいた。「あそこで、9回出し惜しんだってしょうがないからな」と指揮官。さらに延長に突入していた場合は「大山ライトの用意させとったよ」と、4番を右翼に就かせる驚きのプランも用意していた。ベンチ入りしている残り野手の用兵も頭に入れ、最大限に戦力を生かすための準備はできていた。結果的に近本の一打で試合は決まり「最後まで諦めずにやった結果」と岡田監督はうなずいた。2試合連続で9回2死からの逆転サヨナラ勝ちは球団初だ。3連勝で貯金3。2位広島に1ゲーム差、首位巨人に2ゲーム差とピタリとつける。「いい波乗っていると思います」と近本。劇勝から波に乗る。【中野椋】阪神が7日DeNA戦に次いで2試合連続サヨナラ勝ち。阪神の2試合連続サヨナラ勝ちは6月18日日本ハム戦、同21日DeNA戦に次いで今季2度目だが、7日は9回表終了時の4-5→6-5、9日は9回表終了の0-1→2-1で、ともに9回裏に逆転サヨナラ。阪神の2試合連続逆転サヨナラ勝ちは、1リーグ時代の47年7月3日金星戦(9回表1-3→4-3)同4日巨人戦(9回表0-2→3-2)以来、77年ぶり2度目。

◆阪神原口文仁内野手(32)がつなぎの打撃で劇的勝利に貢献した。1点を追う9回、2死一塁から代打で登場。ヤクルト田口から左前へ運び、好機を拡大した。「もう後ろにつなぐだけだったんで、それがヒットになってよかったです」。さらに満塁となって、近本の右前打では二塁から激走。サヨナラのホームにヘッドスライディングで飛び込んだ。「(返球がそれたので)ヘッドじゃなくてもよかったんですけど、そこまで見る余裕なかった」と会心だった。

◆阪神野口恭佑外野手(23)が代打で大逆転への道を切り拓いた。1点を追う9回1死から四球出塁。そこから2死満塁へと好機はふくらみ、近本のサヨナラ打を呼び込んだ。「ゾーンを上げることを意識していたので見極められたと思います。何とかしようと思って塁に出ようと思った結果なので、勝ちにつながってよかったです」と声を弾ませた。7日DeNA戦でプロ初安打、初打点をマークしたばかりの23歳が幸運を呼び込んだ。▽阪神坂本(9回2死一、二塁の代打で、三ゴロが相手失策を呼び出塁)「なんとか塁に出たら、何かコトが起きるかなっていうのもあったし、後ろも近本なので、なんとか回せたらと」

◆阪神佐藤輝明内野手(25)は好機で2三振するなど4打数無安打で蚊帳の外だった。4回無死一塁で、フルカウントから見逃し三振を喫し、スタートを切っていた一塁走者の大山も二盗に失敗し併殺。6回は1死一、二塁で、3球目の外のスライダーで見逃し三振に倒れた。際どいボールもあったが「審判の判定なので、仕方ないです」と受け止めた。大きな飛球で惜しい当たりもあり「最近、ああいう当たりが続いているので」と次戦こそHランプに変えたい。

◆阪神石井大智投手(26)が6月21日DeNA戦以来の2勝目を挙げた。0-1の9回に3番手で登板し、5番オスナから始まる打線をぴしゃり。「テンポよく3人で抑えられたのがよかったと思います」。好投で流れ呼び、その裏のサヨナラ勝ちで白星が転がり込んだ。「気持ち的にはどれだけランナー出してもゼロで帰ってくるところ。岩崎さんともそういう会話があったので、満塁にしても(ゼロで)帰ってこようと」。2試合連続失点後は2試合連続0封と再び上向きだ。

◆2試合連続9回2死からの逆転サヨナラ勝ちのスパイスに、岡田彰布監督(66)の執念采配があった。1点を追う最終回。昨年からの第2次政権で初めて出した勝負手は、球界でも異例の4連続代打だった。「9回出し惜しんだってしょうがないからな」。まず1死から送られた野口が、冷静に田口のボールを見極めて四球出塁。続く渡辺は右飛に倒れたが、3人目の原口が左前打でつないだ。そして4人目は、代打坂本。スライダーを打ち返した当たりは三塁へのゴロとなったが、三塁北村拓がファンブル。甲子園が総立ちになる中、続く近本がサヨナラの2点適時打を決めた。ベンチに残っていた野手は熊谷、豊田の2人だけ。「代打坂本」は、延長戦を見越してのカードだった。「大山ライトの用意させとったよ。原口は残しとかなあかんからな、ファーストで。12回まであるから、2人残しとかなあかんから」。同点止まりなら、最大まだ3イニングある。指揮官の頭にあった就任後初の「右翼大山」プラン。出し惜しみ負けを嫌う指揮官らしい前のめりな采配かつ、1枚も無駄にしない。目まぐるしく変わる戦況を、百戦錬磨の将は冷静に見極めていた。1点を追う6回2死一、二塁の得点機は、6番島田に代打を送らなかった。「まだ早いなと思ったから、野口も豊田も代打いくの。(森下の降格で)外野が1枚少なくなったからな、そんな無駄遣いできんからな。まだもう1回、チャンスあるかなと思ったんでね」。この温存が劇的勝利を呼ぶ代打攻勢につながった。先制されれば14試合連続負けから一転、3試合連続逆転勝ち。しかも2試合連続9回2死からとは劇的だ。「最後まで諦めずにやった結果じゃないですかね」と振り返ったが、ただ喜んだだけではない。「本当はもっと9回裏なしで、勝たないといけない。でも今は、そんな理想的な展開を求めるのは無理なチーム状況だし。とにかく勝てるゲームを勝っていくというか、そっちの方が今は大事かも分からない」2試合連続、あと1死で負けの試合を勝ちにひっくり返した。貯金3。執念の白星がチームに勢いをもたらす。【磯綾乃】

◆甲子園の奇跡だ! 阪神が球団史上初となる、9回2死から2試合連続逆転サヨナラ勝ちを決めた。敗色濃厚だった0-1の最終回、満塁から1番近本光司外野手(29)が右前に2点タイムリーを放つと甲子園は狂喜乱舞。不振で苦しんできた1番が、岡田監督が野口、渡辺、原口、坂本と投入した4者連続代打の執念を結実させた。3戦連続逆転勝ちでこの日首位を奪った巨人との1ゲーム差をキープ。ミラクルの勢いそのまま大混セを勝ち抜く。近本は祈った。「頼む、落ちろ!」。思いを込めて走った。飛球が宙に舞ったのは約3秒。右翼前に落ちた。三走植田がかえる。二塁から原口もかえってきた。阪神の2試合連続で9回2死からの逆転勝ちは、1936年(昭11)の1試合目から、通算1万1270試合目で初のミラクルだ。歴史的瞬間を目撃した超満員の甲子園が揺れた。背番号5は歓喜のウオーターシャワーでずぶぬれ。お立ち台で「気持ち良いです!」と破顔した。1点ビハインドの9回2死満塁。土壇場での心境は「うわっ、回ってきた!」。同時に覚悟を決めた。常に思考を止めない男が、あえて考えるのをやめた。球種を絞らず「アバウト」で打席へ入った。「流れだと思っていたので、何を待つかとか、何をどう打つかよりも、タイミングだけ。自分が流れに思い切って乗れるかどうか」田口の130キロスライダーに詰まりながらも右前に運び、プロ3度目のサヨナラ打。野口、渡辺、原口、坂本。岡田監督が投入した異例の4者連続代打でつくったチャンスを生かし切った。仲間がつくった「流れ」が背中を押してくれた。6月は月間打率1割5分7厘。スタメンから外れ、不動の1番は2度欠場を余儀なくされた。不調の時、大切なのは「結局はメンタル」だと自認する。自分との闘い。そこで打ち勝てるかどうか。焦りや葛藤は見せない。そこには信念がある。「態度に出して発散するものでもないと思う。ヘルメットたたきつけるとか、バットたたきつけるとか、それでは何も解決しないって思う。それで解決する人ならいいと思うけど、俺がそもそも、それをしてる人じゃないからな」悔しさも自分への怒りも、クールな表情の裏にしまい込む。そんな姿を見て周囲は「近本は打てなくても、どんな時でも変わらない」と言い、プロフェッショナルを感じ取る。全体練習前、個別での打ち込みは欠かさない。とことん自分と向き合い、ここまでやってきた。2試合連続マルチ安打。苦しんできた男の劇打に、みんなが万歳した。先制されれば、14連敗から3試合連続逆転勝ち。反発力を発揮し3連勝で貯金3。首位に立った巨人を1ゲーム差で追走する。「いい波乗っていると思います」。劇勝から、ビッグウエーブに乗る。【中野椋】阪神の7日DeNA戦での逆転サヨナラ勝ち 1点を追う9回裏、先頭大山の四球、前川右安、梅野死球などで2死満塁。ここで代打原口が森原から右前打を放ち、ライトゴロを狙った右翼手度会の一塁悪送球で一気に2者が生還。逆転サヨナラ勝ちを収めた。5回表終了時は0-4で、今季最大点差の逆転勝利となった。岡田監督は「(今年)初めての点の取り合いでしょ。それを勝ち切ったのはやっぱり大きい」と喜びを口にした。

◆先発する阪神・才木浩人投手(25)は直近の2戦で8回1失点、7回無失点と好投を続けるも0勝1敗と勝ち星がつかず。三度目の正直で自己最多の9勝目を狙う。打線は前川右京外野手(21)が2試合ぶりに「3番・左翼」に入り、6番には島田が入った。

◆阪神の先発・才木浩人投手(25)が四回に1点先制を許した。先頭の長岡に中前打を許すと、4番・村上とこの日2度目の対戦。カーブを引っかけさせ、一、二塁間へ飛んだゴロを中野が好捕し1死二塁。サンタナも二ゴロに打ち取って2死三塁とするが、宮本にフォークを右前に運ばれた。チームは4日の広島戦(マツダ)から5試合続けて先制を許したことになり、直近の2試合はいずれも逆転勝ち。またも反発力が試される展開になった。

◆久しぶりに甲子園の土を踏み、風を感じた。ヤクルト・奥川は「懐かしいですね」と表情を緩めた。10日の阪神戦で、2021年10月19日以来、995日ぶりに上がる甲子園のマウンド。大観衆の中での登板に向け、素直な思いを明かした。「この球場、この相手が一番ビジターという感じがするので、楽しみではあります」21年シーズンはコロナ禍だったため、声出し応援が禁止されていた。阪神ファンの大歓声と鳴り物応援が響く中での投球は初めて。「そこも楽しめるぐらい余裕を持ってゲームに入れたらいいなと思う」と意気込んだ。「奥川恭伸」の名を全国に知らしめたのが、甲子園球場だった。石川・星稜高時代に2年春から4季連続で甲子園大会に出場。3年夏には3回戦の智弁和歌山高戦で165球、23奪三振の熱投を見せ延長十四回サヨナラ勝ち。大阪・履正社高との決勝に敗れて準優勝に終わったが、一躍世代のトップとして注目を集めた。この日は、登板前日ながらブルペン入り。約10球を投げて投球フォームや指先の感覚を確認し「なるべく自分の中で不安を消してからゲームに臨みたいので、状態の確認というか、フォームの確認であったり、そういった意味で入りました」と明かした。甲子園で勝利を挙げれば21年9月7日以来1037日ぶり。今季は2戦2勝と波に乗るだけに、思い出の地でも歓喜の瞬間を迎えたい。

◆阪神は0―1の六回、同点のチャンスを逃した。先頭の中野が四球で出塁。続く前川は三ゴロに倒れて走者が入れ替わり、4番・大山が左前打でつないで1死一、二塁とした。ここでヤクルトは先発の吉村が降板。佐藤輝は2番手の左腕・山本との対戦となった。ファウル2球で追い込まれ、外角に投じられた3球目を見逃すも判定はストライクで見逃し三振に倒れた。続く島田も三振に。チームは4イニング連続で走者を出すも得点できず。先発の才木はこれで6月16日のソフトバンク戦(みずほペイペイ)の一回に前川が満塁弾を放って以来、27イニング連続援護なしとなった。

◆「6番・左翼」で先発したヤクルト・宮本が、四回2死三塁で先制の右前適時打を放った。阪神先発・才木のスライダーを捉えた打球は、一、二塁間を抜け「コンパクトに打つことができました」と汗をぬぐった。6月28日の昇格直後は3試合連続で複数安打を放つなど好調だったが、この日の第1打席まで9試合連続凡退。10打席ぶりに「H」ランプを灯した。

◆阪神の先発・才木浩人投手(25)は7回1失点でマウンドを降りた。今季9勝目はならなかった。一回から1死三塁のピンチを背負うも、長岡を一ゴロ、村上を直球で空振り三振でしのぐ。しかし四回、先頭の長岡に安打を許すと、2死三塁となって宮本に右前適時打を浴び、1点を失った。それでもその後は追加点を与えず。七回には2死三塁で代打・青木を迎えたが、直球でバットをへし折る遊ゴロで窮地を脱し、大きくほえた。七回の打席で代打が送られ、7回109球6安打4奪三振で交代となった。これで登板7試合連続となるハイクオリティースタート(HQS、7回以上を投げて自責点2以内)を記録。しかしこの日も援護点はなしで6月16日のソフトバンク戦(みずほペイペイ)の一回に前川の満塁弾で得点して以来28イニング援護点ゼロ。3敗目を消すべくナインの奮起が求められる。

◆阪神は0―1の八回、同点の好機をものにできなかった。何度も好機を作るも、1点が遠い。先頭の近本が右前打で出塁し、中野が犠打を決めて1死二塁で打順はクリーンアップへ。3番・前川の打席で暴投もあり、走者が三塁に進んだものの、前川は11球目の直球に空振り三振。続く大山もフルカウントから中飛に倒れた。三回から毎回走者を置きながら、最後の1本が出ないまま八回の攻撃を終えた。

◆阪神は2試合連続のサヨナラ勝ちで3連勝とした。先発の才木浩人投手(25)は7回1失点。序盤からピンチを背負って球数がかさむと、四回2死三塁から宮本にフォークを右前に運ばれ、先制を許した。4日の広島戦(マツダ)から5試合続けて先制点を奪われたが、さらなる失点は防いで試合を作った。援護したい打線は六回1死一、二塁で佐藤輝、島田が三振に倒れるなど、好機を作ってからあと1本が出せず。才木は投球中に28イニング援護なしとなったが、0―1の九回に2死満塁のチャンスを作り、近本光司外野手(29)の右前打でサヨナラを決めた。

◆阪神が2試合連続の逆転サヨナラで3連勝。1点を追う九回、野口恭佑外野手(23)の四球と原口文仁内野手(32)の左前打に敵失が重なり、2死満塁とし、近本光司外野手(29)の右前打で2者が生還した。近本のサヨナラ打は2023年4月1日・DeNA戦(甲子園)以来。サヨナラ勝利は今季5度目。勝ち投手は九回に登板した石井大智投手(26)で2勝目(1敗)。7回1失点の才木浩人投手(25)は登板28イニング連続援護ナシとなった。3戦連続逆転勝利の1点差試合で6月21日以来の「貯金3」とした岡田彰布監督(66)の主な一問一答は以下の通り(成績=39勝36敗5分、観衆=4万2589人)。ーー結果的に相手のエラーが(九回2死一、二塁で代打・坂本のゴロを三塁・北村拓が失策)「そらお前、いい当たりでも捕られるのもあるんだから、前も言うたけど、いい当たり捕られたり、ファインプレーされてな、点ならへんかったの結構多かったよ、ホンマに。やっぱりああいうミスはあるからな。そのミスで点取るのも野球や。はっきり言うて」ーープレッシャーかけることで相手のミスも増える「あそこで九回出し惜しんだってしょうがないからな」ーー代打坂本はいい感じだったから「ええ感じというか、他行ったら、延長行ったらおらへんから。もう外野、ショートで。大山ライトの用意させとったよ。原口残しとかなアカンからな、ファーストで。大山で代えたらなあ。おーん、あとは豊田1枚しかおらへんようになるから、植田をライトに行かして、熊谷ショートにしたらな。だから十二回まであるから、2人残しとかなアカンから」ーー二走の原口もよく走った「もう無理すんな言うとったけどな。それが打球判断やろ。あの緩い打球というかな、そういうことやんか。結局は」ーー近本の調子は「いや、良くないよ、そんなの。良くない、良くない」ーー才木に白星をつけたい「まあそうやな、結局は」ーー六回2死一、二塁で島田に代打を送らなかった(結果は見逃し三振)「そうそう。そこで2枚使わせても良かったけどな。右来ても次9番のピッチャーに回って来るからなあ。でもまだ早いなと思ったから、野口も豊田も代打行くの。外野が1枚少なくなったからな、そんな無駄使い出来んからな」ーー四球で走者を出すから、こういう展開に「そういうことやろ。結局みんな四球絡んでるんよ、点入る時は。そういうことや。だから、ちゃんとボール振らんで選んどったら、いい結果が出るいうことや」ーーよく守った「普通やろ。守りは普通に守ったらええねん、ファインプレーはいらんねん」

◆サヨナラ勝利を喜ぶ阪神ナイン(撮影・根本成)

◆現役時代は阪神、南海で活躍し、引退後は阪神で投手コーチやフロントでも尽力したサンケイスポーツ専属評論家の上田二朗氏(77)は登板28イニング援護ナシに終わった阪神・才木浩人投手(25)に言及すると同時に大山悠輔内野手(29)、佐藤輝明内野手(25)に奮起を促した。粘って勝ったことは価値がある。ただし以前から指摘している得点力不足は、全く解消できていない。一番の不満は、先発した才木に勝ち星がついていないこと。登板日が火曜日になっても、3試合連続で好投を繰り返しながら、勝てていない。救援陣に勝ち星がつくことが悪いとは言わないが、彼らにはセーブ、ホールドという勲章がある。長いシーズンを戦うプロ野球は、やはり先発投手に勝ち星がつくのが自然な形。援護がないから、先発に白星がつかない。この状況が続くと、必死で踏ん張っている投手陣まで調子を落とし、共倒れになり兼ねない。最も奮起を促したいのは大山&佐藤輝の中軸打者。佐藤輝で指摘したいのは四回無死一塁での見逃し三振&大山盗塁死の併殺のシーン。フルカウントから、際どいコースに来るのは分かり切っている話。空振り三振でも責められない。見逃しだけは許されない。振って欲しかった。大山は、凡退した時の元気のない姿が寂しい。俺が4番、俺が引っ張っているーという姿を見せてもらいたい。中軸コンビが復調して初めて、大量点につながるのは言うまでもない。

◆勝利を目前で逃したヤクルトの連敗は5に伸びた。1―0の九回2死一、二塁で三ゴロを北村拓がファンブル。満塁とピンチが広がり、田口がサヨナラ打を打たれた。北村拓は「僕が捕っておけば勝っていた」とぼうぜん。高津監督は「あと1個が難しい」と唇をかんだ。得点も失点もリーグ最多で、最下位に沈む。打率トップのサンタナは下半身の張りで欠場。投手陣が踏ん張ってつないだ試合を落とし、監督は「もう1点でも取れていたら違う展開になった」と悔いた。

◆小幡が8試合連続安打と存在感を発揮。「打てるなら全部打ちたい。そういった気持ちで臨んでいきたい」と頼もしかった。三回先頭は吉村の初球146キロ直球を右前打、五回1死では中前打を放った。「真っすぐに一発目から合わせられたのは良かった」。2試合連続複数安打で三、五回はいずれも二進。九回は代打・原口を送られたが、下位打線からのチャンスメークで燕バッテリーを苦しめた。

◆近本の打球をベンチから身を乗り出して見つめた。先発した才木は7回6安打1失点の粘投。自己最多の9勝目は、またまたお預けとなったが、逆転サヨナラ勝利に満面の笑みを浮かべた。「しんどい試合だなと思っていたけど。(最後は)四球からつないで攻撃して、(自分の)負けを消してくれて、よかったです」直球の制球、切れともにもうひとつだった。初回は丸山和の中前打から2死三塁とされ、無失点発進ながら27球を要した。四回2死三塁では宮本にフォークを右前に運ばれて先制を許す。五回以降も毎回走者を背負ったが、何とか最少失点で踏ん張った。「真っすぐの調子がよくなかったけど、変化球を使いながら抑えられた。今年のピッチングって感じですかね」日曜日から火曜日の先発に変わって3試合目。8回1失点、7回無失点、7回1失点と3試合で22回を投げて2失点ながら、自身は0勝1敗だ。才木がマウンドに上がったイニングでは、6月16日のソフトバンク戦(みずほペイペイ)の二回から28回連続で打線の援護はゼロ。「僕がコントロールできるわけではない。打線とのかみ合いなので、しようがないと思う」と振り返ったが、あまりにも不憫だ。

◆坂本のラッキー打がサヨナラ勝利に結びついた。0-1の九回2死一、二塁で代打起用され、三塁線へのゴロを三塁手の北村拓がファンブル。これで塁が埋まり、続く近本が劇打を放った。岡田監督は「(相手が捕球して三塁)ベース踏んだら、終わりのとこだったから。でもね、ボール弾いたの見えたんでね」と振り返った。

◆セ・リーグ最下位のヤクルトはサヨナラ負けを喫し、今季3度目の5連敗。借金は、今季ワーストタイの11に膨れた。1―0の九回に田口麗斗投手(28)が2点を奪われ、救援失敗。高津臣吾監督(55)は相手に流れを渡した痛恨の四球を指摘した。「やっぱりああいうところでフォアボールを出すのは非常に痛い。自分から傷口を作っているので。終盤に投げるピッチャーは1つのフォアボール、一球が非常にクローズアップされる」先頭・佐藤輝を左飛に打ち取った後、4者連続の代打攻勢。野口に四球を与えたのが響き、2死後には原口に左前打とされ、坂本の三塁へのゴロを北村拓が失策。最後は満塁から近本の右前2点打で万事休した。終盤までロースコアで試合を進めただけに「展開的には非常に良かった。こういうゲームをしていかないといけない」と高津監督。負の連鎖を断ち切る。(赤尾裕希)

◆石井が0-1の九回をピシャリと締め、近本のサヨナラ打で今季2勝目を手にした。先頭のオスナを直球で捕邪飛、岩田はシンカーで遊ゴロ、山田はフォークで空振り三振と完璧な仕事ぶりで「テンポよく3人で抑えられたのがよかった」と胸を張った。ブルペンを出る前に岩崎から「粘れよ」とアドバイスをもらい、好投につなげた。

◆七夕の夜の殊勲者たちが再び輝きを放った。7日のDeNA戦(甲子園)で逆転サヨナラ勝利に貢献した阪神・野口恭佑外野手(23)と原口文仁内野手(32)が、またも劇的な勝利をお膳立て。その口火を切った野口は、達成感たっぷりに声を弾ませた。「もう本当に、勝てばめちゃくちゃうれしい。とにかく何とか塁に出ようと思った結果なので、勝ちにつながってよかったです」がむしゃらな23歳が敗戦を覚悟しはじめた球場の空気を変えた。九回1死から代打攻勢の先陣を切り、守護神田口から四球を選んだ。「落ち着いて打席に入って、集中していた。ゾーンを上げることを意識していたので見極められた」。打ちたい気持ちを抑えつつ、しっかりとボール球を見極めた。6月28日に1軍初昇格した大卒2年目にラッキーボーイの香りがする。7日は4点を追う五回に代打で登場。右前にはじき返してプロ初安打を放つと、相手の失策を呼び込んで反撃ののろしとなる1点を奪った。続く打席では1点差に迫る犠飛。チャンスを何とかものにしようとする必死さが、チームにいい効果を与えている。そんな若武者に続いたのが、7日にサヨナラ勝利を呼び込む右前打を放った原口だ。2死一塁となって代打で登場。変化球を仕留めて三遊間を抜く安打でチャンスを拡大した。「ヒットでもフォアボールでも何でもいいので、後ろにつないでいくだけだった」。その後敵失で満塁となって二塁に進むと、近本の右前に落ちる打球で迷わずホームへ。「打った瞬間『落ちてくれ』と。(三塁ベースコーチの)藤本コーチも思い切り腕を回していたので、もう行くだけだった」。ヘッドスライディングで泥だらけになりながら生還し、ドラマを締めくくった。打って、走って仕事を果たした32歳のベテランに、岡田監督は「もう無理すんな言うとったけどな。まあだから、それが打球判断やろ」とうなずいた。原口は「きょうは1点リードされていたが、序盤から何かいけそうな雰囲気もあった。それが最後、みんなの集中力もあって、また1つ勢いがついた」と力を込めた。しぶとい2人の活躍で、逆境でも勝利の気配が漂うようになってきた。(中屋友那)

◆佐藤輝は2試合続けて無安打だった。二回は吉村の外角高めを捉えるも左飛に倒れ「最近ああいう当たりが続いている」と、あともうひと伸びという打球を悔しがった。四、六回の外角の際どいボールを見送っての見逃し三振については「審判の判定なので、仕方ないです」と振り返った。

◆最後まで信じてたで!! 阪神は最下位のヤクルトに2―1で逆転サヨナラ勝ちして3連勝。近本光司外野手(29)が、1点を追う九回2死満塁で起死回生の右前2点打で劇的な勝利を呼び込んだ。もどかしさは残るが、九回2死満塁で2試合連続の逆転サヨナラ勝利と岡田虎に確かな追い風が吹いている。この機会を逃さずにセ界のトップへと舞い上がる。近本が最後に最高の見せ場をかっさらった。力なく上がった打球が右翼手の前ではずむ。激走する二走の原口を祈る思いで一塁から見つめた。送球が高くそれ、勝利を確信した選手たちが背番号5のもとに駆け寄った。もみくちゃにされたヒーローが笑顔を見せる。土壇場で大きな波を乗りこなし、2試合連続の逆転サヨナラ勝利をもたらした。「勝ってよかったと思います。2アウトから向こうのエラーもありましたけど、本当にみんなすごくいい仕事をしていたなと思います」球場中にたまった得点への渇望が、0―1で迎えた九回にようやく実を結んだ。1死から野口が四球で出塁。渡辺は右飛に倒れたが、原口が左前打、坂本のゴロは三塁手が捕り損ねる失策で2死満塁とチャンスが膨らんだ。野口から坂本まで4連続代打でつなぎ、1番の近本に回ってきた。「ライトとレフトがあまり浅くなかったのは見えていた。だから打った瞬間落ちるかな、というのはありました」2球目、内角高めのスライダーを捉えた。打球はフラフラと右前へ。本塁への送球がそれる間に2人が生還し、零封負け寸前の崖っぷちから白星を手繰り寄せた。

◆中野が今季最長を更新する13試合連続安打をマーク。0-0の三回2死一塁から中前打を放ってチャンスメークし「ヒットが続けば気持ち的にもいいイメージを持って打席に入れます。少し余裕を持って球を見られる。そういった余裕がヒットが続いている要因」とうなずいた。四回は村上の右前へ抜けそうな打球をスライディングキャッチし、守備でも見せ場を作った。岡田監督は「守りは普通に守ったらええねん、ファインプレーはいらんねん」と振り返った。

◆桐敷が0-1の八回から登板して燕の主砲を抑え、劇勝への流れを作った。2死一塁で村上をスライダーで空振り三振に仕留め「前もスライダーを打たれてタイムリーだった。最後の球は本当に今まで以上に意識して投げてました。前回の失敗をしないように」。前回対戦した6月30日の同戦(神宮)は村上に中前適時打を浴びた。「リベンジってまではないですけど」と控えめに喜んだが、5試合連続無失点と安定感が光った。

◆奇跡やー! ミラクルやー! 2試合連続土俵際からの逆転サヨナラの虎!!まずは何あれ、サヨナラ2点タイムリーの近本ありがとう!!...と言いつつ...。俺はこの勝利を手放しで喜べないのだ!! 7回1失点の才木に白星つけたれーや!!雨の中止などがあって『サンデー才木(日曜日に勝つ)』が6月16日、日曜日の8勝目から『チューズデイ才木』になったら6月25日(8回1失点)、7月2日(7回無失点)、そして本日と、大エースがマウンドで快投を演じているのに白星がなーい!ならば岡田さん、ゲン担ぎでもいいから日曜登板のローテーションに戻してやってください!! とボヤキながらも、この連続サヨナラ勝利でアレンパに向かって、セ・リーグの団子レースから一気に抜け出しそうな気配なのだ!! だから考えましょう~打てないのは仕方ない、でも攻撃の点を線にしてくれよ~!四回無死1塁で見逃し三振で大山も盗塁死、六回1死一、二塁でこれまた見逃し三振の佐藤輝...。振らなきゃ『線』はつながらんわ!! ならば、線にあまりかかわらない8番ビックリ箱打者が最適と思うのだ!!

◆対戦した両チームでかつて監督を務めた、どこかの名将がおっしゃっていたっけ。負けに不思議の負けなし。勝ちに不思議の勝ちあり。ヤクルトにすれば九回、しっかり守っていればゲームセットの場面でミスをしたのだから、必然の負けだ。阪神にすれば、どう考えてもゲームセットだと覚悟したところからの逆転サヨナラ。まさしく不思議の勝ちだった。ヤクルト戦だから、つい先日のあの神宮決戦を思い出していた。6月30日の悪夢の逆転負け。岡田監督がコーチ陣を叱責し、「大変な負けやで」と吐き捨てた。あの夜の1敗が「不思議の負けなし」なのかどうかを論じるほど立派な記者ではないが、痛恨だったのは間違いない。指揮官の読み通り、その後も調子に乗り切れない阪神だったが、他球団に抜け出す勢いのあるチーム不在で、超混戦に。そんな状況から、2試合連続で相手のミスによる逆転サヨナラ勝利-。「大変な負け」が、何となくただの1敗になりそうな雰囲気だ。因縁の相手との再戦だから、指揮官のゴキゲンはどうなんだろうか? 試合前は気にしながら、練習を眺めていた。やがて、ヤクルトナインが岡田監督のところへあいさつに出向いてくる。主砲・村上、好守好打の長岡、打撃好調・サンタナ、中継ぎで奮闘する大西の球宴組。ファン投票選出の選手は「よろしくお願いします」。監督推薦の選手たちは「選んでもらってありがとうございます」。この時期の恒例行事ではある。和やかそうだった。心配していたのはこっちだけ?!「そういえば、青木もあいさつに来とったなぁ。あれっ、青木も選んだっけ?と思ってしまったわ」試合前の指揮官からは、ジョークも漏れたそうだ。大ベテラン・青木といえども、早大の大先輩のところに行かないわけにはいかない。球宴不出場でも、あいさつに行くのは当たり前だ。

<セ・リーグ順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差残試合 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(1↑)
巨人
40355 0.533
(↑0.006)
-
(-)
63238
(+5)
208
(+3)
45
(+1)
38
(-)
0.239
(-)
2.430
(-)
2
(1↓)
広島
38354 0.521
(↓0.007)
1
(↓1)
66220
(+3)
184
(+5)
31
(-)
44
(-)
0.230
(↓0.001)
2.110
(↓0.04)
3
(-)
阪神
39365 0.520
(↑0.006)
1
(-)
63226
(+2)
217
(+1)
32
(-)
26
(-)
0.224
(-)
2.210
(↑0.02)
4
(-)
DeNA
40371 0.519
(↑0.006)
1
(-)
65268
(+6)
265
(+5)
50
(+3)
42
(-)
0.251
(-)
2.960
(↓0.02)
5
(-)
中日
35396 0.473
(↓0.006)
4.5
(↓1)
63185
(+5)
248
(+6)
33
(+1)
25
(-)
0.235
(↑0.002)
2.670
(↓0.03)
6
(-)
ヤクルト
32434 0.427
(↓0.005)
8
(↓1)
64274
(+1)
283
(+2)
54
(-)
39
(+2)
0.236
(-)
3.370
(↑0.04)