1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 | 安 | 失 | 本 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
阪神 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 6 | 1 | 0 |
ヤクルト | 3 | 0 | 2 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | X | 6 | 10 | 0 | 1 |
勝利投手:奥川 恭伸(2勝0敗0S) 敗戦投手:伊藤 将司(3勝4敗0S) 本塁打 |
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◆ヤクルトは初回、オスナの適時打などで3点を先制する。その後3回裏にサンタナと長岡の適時打で2点を追加すると、4点リードの5回には村上のソロが飛び出し、試合を優位に進めた。投げては、先発・奥川が5回1失点で今季2勝目。敗れた阪神は、投打ともに振るわなかった。
◆阪神近本光司外野手(29)が2試合連続でスタメンを外れた。27日の中日戦(甲子園)で今季初めて先発を外れ、試合にも出なかった。欠場は昨年9月24日以来だった。チーム事情で6月は4番も任された。だが調子を落とし、6月15日に本来の1番に戻ってからも7試合で3安打と不調に拍車がかかった。この日の試合前練習では岡田彰布監督(66)に呼ばれて会話を交わすシーンもあった。島田海吏外野手(28)が27日に続いて「1番中堅」で先発する。先発は伊藤将司投手(28)。7日にローテ復帰してからは3試合で1勝ながら、内容はいずれも悪くなかった。4勝目をかけてヤクルト奥川恭伸投手(23)と投げ合う。
◆阪神原口文仁内野手(32)が、試合前のフリー打撃中に、珍しく外野で打球を受けた。右翼と左翼をそれぞれ守った。原口は起用の幅を広げるため、21年のオフから外野に挑戦。22年は2軍戦で外野守備に就いていたが、岡田監督が指揮をとった昨季からは再び一塁一本で勝負していた。シートノックでは通常通り一塁を守った。単に運動量を増やすための策とも考えられるが、32歳がハツラツと打球を追う姿が印象的だった。
◆阪神打線が格好のチャンスを逃した。ヤクルト奥川恭伸投手(23)が珍しく制球を乱していた。2回、先頭大山悠輔内野手(29)が四球。前川右京外野手(21)はランエンドヒットを仕掛け、走者を二塁に進めた。佐藤輝明内野手(25)も四球で1死一、二塁となった。明らかに安定感を欠く右腕を一気に攻め落としたいイニングだったが、坂本誠志郎捕手(30)が中飛、小幡竜平内野手(23)が右飛に倒れた。球場の左半分を埋めた東都の阪神ファンからは大きなため息が漏れた。
◆連敗脱出へ。ヤクルト打線が、初回から一挙3点を奪う猛攻を仕掛けた。先頭の丸山和が四球を選ぶと、28日に1軍登録され、スタメン起用となった2番・宮本が期待に応えた。「結果を求められている。やってきたことを出すだけ」と口にしていた男が高めのカットボールを力強く引っ張り右前打を放ち、無死一、三塁とチャンスを広げた。続くオスナの三塁線を抜ける適時二塁打で先制点を奪取。その後村上、サンタナの中軸がきっちり走者をかえし、さらに2点を追加。2年3カ月ぶりに神宮での登板となった先発奥川を援護した。
◆阪神が凡ミスで、痛すぎる追加点をヤクルトに与えた。3回1死一塁からオスナの打球は二塁への併殺コース。中野拓夢内野手(28)がさばいて二塁送球したがカバーの小幡竜平内野手(23)が落球。オールセーフとなった。その後、伊藤将司投手(28)が3連打を食らった。左腕はそこでKOとなった。
◆阪神野口恭佑外野手(23)がデビューを果たした。5回2死から代打で登場。死球で出塁した。創成館(長崎)、九産大をへて22年育成ドラフト1位で入団。1年目は2軍で力を蓄え、秋季キャンプ中に長打力を見込まれて支配下選手登録された。2年目を迎えた今春のキャンプでも1軍でアピールを続けたが、開幕は2軍で迎えていた。前日28日に初めて出場選手登録された。
◆阪神先発の伊藤将司投手(28)が3回途中5安打5失点でKOとなった。初回、先頭丸山和郁外野手(24)に四球。続く宮本丈外野手(29)の右越え打で無死一、三塁となり、3番オスナ内野手(31)に左翼線へ先制の適時二塁打を浴びた。なお二、三塁で4番村上宗隆内野手(24)の二ゴロ間に2点目。さらに犠飛でこの回3失点と、厳しい立ち上がりとなった。さらに3回には1死一塁からオスナの二ゴロで併殺に打ち取ったと思われたが、二塁中野拓夢内野手(28)から送球を受けた遊撃小幡竜平内野手(23)が痛恨の落球。1死一、二塁とピンチは広がり、村上の右前打で満塁となった。さらに5番サンタナ外野手(31)に内角高めの球で詰まらせるも、右前に運ばれ、4点目。6番長岡秀樹内野手(22)にも右前適時打を浴びて5点目を失い、2番手浜地真澄投手(26)に代わった。前日28日の試合が雨天中止となり、先発予定だった西勇輝投手(33)のスライド登板なども考えられた中、予定通りの登板。今季初のヤクルト戦に「(相手の)打線はみんな状態が良いと思うので。自分は自分のピッチングをやれればいいかなと思います」と意気込んでいた。
◆青い空。白い雲。野球日和の神宮に集うファンが待ち望んでいた日が巡ってきた。ヤクルト奥川恭伸投手(23)が、2年3カ月ぶりに神宮に帰ってきた。本拠地での995日(21年10月8日、対阪神)ぶりの勝利を目指して阪神戦に先発した。慣れ親しんだ本拠地のマウンド。その感触を確かめるようにして、阪神1番・島田に投じた注目の初球は147キロの高めの直球。捕手中村のミットにバシッと収まり、ストライク。2球目も直球を投じて遊ゴロに仕留めると、続く中野は左飛、森下も遊ゴロに打ち取り3者凡退。上々のスタートを切った。制球の乱れから2回に1死一、二塁と得点圏に走者を背負うも、坂本、小幡にフライを打たせてしのいだ。3回2死二塁では3番・森下を空振り三振に取り、ベンチに引き揚げる際にグラブを2度たたいた。5回に1点をかえされたが、最少失点に食い止めた。2年ぶりの1軍登板となった14日オリックス戦(京セラドーム大阪)で980日ぶりの勝利を達成。復帰2戦目にして、右肘痛を発症した22年3月29日巨人戦以来となる本拠地での登板機会を得た。登板前日には「チームの状況とかいろいろありますけど、自分らしく自分のできることしっかりやって明日頑張りたい」と意気込んでいた。5回87球を投げ2安打1失点と、4連敗中のチームを救う快投。勝ち投手の権利を得て後続に託した。
◆主砲に待望の1発が飛び出した。ヤクルト村上宗隆内野手(24)が、11試合ぶりとなるアーチを描いた。阪神に1点をかえされた直後の5回2死。カウント1-1から阪神3番手・富田の直球を捉えた。得意の逆方向へと持っていく15号ソロを放ち、貴重な6点目を挙げた。「コースに逆らわず、しっかり押し込めました」とコメントした。村上は初回の第1打席で二ゴロで2点目をもたらし、3回1死一、二塁の第2打席では右前打を放ち満塁とチャンスを広げた。3打席を終えて3打数2安打2打点と、本拠地・神宮で2年3カ月ぶりに登板を果たした先発の奥川恭伸投手(23)を援護した。
◆/ついに帰ってきた\左中間への高い弾道村上宗隆が第15号ホームラン?プロ野球(2024/6/29)??ヤクルト×阪神??Live on DAZN#DAZNプロ野球 #swallows pic.twitter.com/ijZfhYMs6R
◆ヤクルト奥川恭伸投手(23)が、本拠地・神宮で995日ぶりの勝利を飾った。右肘痛で緊急降板した22年3月29日の巨人戦以来、2年3カ月ぶりの神宮に帰還を果たし、阪神打線を5回1失点に抑える粘投を見せた。打線から序盤に5点の大量援護を受け、昨季王者相手に最後まで力強く腕を振った。3度得点圏に背負いながらも最少失点にとどめた。4点リードの5回には1点をかえされるも、2死一、三塁で森下を二ゴロに仕留めて右手で小さくガッツポーズを作った。本拠地での白星は21年10月8日の阪神戦以来。今季2勝目を手にし、チームの連敗ストップに貢献した。
◆阪神がヤクルトに敗れ、3位に転落した。3位DeNAが勝利したため、順位が入れ替わった。首位広島も勝利し、首位広島とのゲーム差は4に広がり、今季最大に並んだ。6月は1試合を残し、月間負け越しが決定。2カ月連続の負け越しとなった。貯金1で30日、ヤクルトとの6月ラストゲームに臨む。先発の伊藤将司投手(28)が誤算だった。3回途中5失点(自責4)で降板。初回に3失点を喫し、3回にも失点を重ねた。これで4敗目。2試合連続で4失点以上と波に乗れていない。近本光司外野手(29)は2試合連続でスタメンから外れた。その打線はヤクルト奥川に5回1失点と抑えられた。奥川には21年10月8日の阪神戦以来、995日ぶりとなる神宮での勝利を献上。中継ぎ陣も打ち崩せなかった。27日の中日戦では8得点を奪っていた打線が、貧打に逆戻り。敵地で決定打を欠いた。
◆阪神がヤクルトに敗れ、3位に転落した。3位DeNAが勝利したため、順位が入れ替わった。首位広島も勝利し、首位広島とのゲーム差は4に広がり、今季最大に並んだ。6月は1試合を残し、月間負け越しが決定。2カ月連続の負け越しとなった。試合後の岡田彰布監督(66)の一問一答は以下の通り。-伊藤はボール高い「高いよもう、なあ。初回もおまえ、全部高かったなあ」-修正しきれず「えっ? いや、2回から低めにいきだしたやんか。あれゲッツーとってたら別にどうってことなかったんや、あのままいっとると思うけどな」-守備のミス出たからこそ踏ん張って欲しい「打順的に一番ミスが出たらアカン打順やんか。なあ。バッターの足と打球の速さ考えたらおまえ、流れでゲッツーをとるケースじゃないやんか。1個ずつぽんぽんとやってもゲッツーとれる打球やろ? バッターの足と考えたら」-3点ならこの球場なら「いや全然、そんなもんおまえ」-奥川も状態はそれほど良くなさそうだった、付け入る隙も「あったよ、それは。2点とってからな。うん、完全に流れがこんわな」-野口の内容は「ええんちゃうの? そら誰が見てもええやろ。悪ないやんか、なんで? 聞く質問ちゃうよ、誰が見てもええやんか。打球を見ても」-初出場だが、積極的にバットも出ていた「だから、ちゃんと打ってるから。ストライクをあないして打てばええだけの話やから。点入れへん時は、みんなボール球やろ、打ってるの。そういうことやろ」-逆に森下は悪かった「そんなん悪いどころちゃうよ。一緒や、ナンボ言うてもあかんわ。昨日のミーティングを聞かせてやりたいわ。ナンボ言うても一緒や」
◆1軍デビューした阪神野口恭佑外野手(23)が、さりげなく隠れた武器をアピールした。5回2死から代打でプロ初出場。死球で出塁し、そのまま右翼の守備に入った。その裏、初の守備機会はサンタナがポール際に放った大飛球。スムーズに処理すると、フェンス前からカットの二塁手まで矢のような送球をして、サンタナを一塁で止めた。パワフルな打撃が最大の売りの野口だが、ネット上のファンは「もしかして肩強い?」「森下かと思ったら野口だった」「めっちゃ肩強いな」と喜んでいた。創成館(長崎)、九産大をへて22年育成ドラフト1位で入団。昨秋のキャンプ中に支配下選手登録され、前日28日に初めて出場選手登録された。
◆打てん守れん...。阪神はヤクルトに敗れ、3位に転落した。首位広島に今季最大に並ぶ4ゲーム差となり、2カ月連続の月間負け越しが決定。岡田彰布監督(66)は3回の小幡竜平内野手(23)の失策を厳しく指摘した。12球団ワーストとなるチーム46失策。27日の中日戦(甲子園)で8得点した打線も1点止まりで、貧打に逆戻りだ。ゲッツーでチェンジ...かと思われた。小幡がはじいた。完全なイージーミスだった。3回1死一塁の守備。オスナの二ゴロを中野が捕球する。併殺を狙って二塁へ送球したが、遊撃小幡のグラブの中には収まらなかった。「打順的に一番ミスが出たらアカン打順やんか」岡田監督の言う通り、相手は中軸を迎える場面。直後、4番村上からの3連打で突き放された。2失点。この時点で5点差。12球団ワーストとなる46失策で序盤に試合の流れを失った。小幡の失策。打者走者はオスナだ。指揮官は厳しく指摘する。「バッターの足と打球の速さを考えたらおまえ、流れで(急いで)ゲッツーをとるケースじゃないやんか。1個ずつ、ぽんぽんとやってもゲッツーとれる打球やろ?」。落ち着きを求められた小幡は「捕るべきだった。(先発の伊藤)将司さんに申し訳ないと思います」と猛省。「全然カバーできる範囲だと思うので、まず捕ってからというのをしっかり、また明日からやっていきたいです」と唇をかんだ。27日の中日戦で8得点した打線は1点止まり。貧打に逆戻りだ。相手先発奥川には21年10月8日の阪神戦以来、995日ぶりとなる神宮での勝利を献上してしまった。制球が不安定な場面もあった右腕に対し、付け入る隙は「あったよ、それは」。ただ「完全に流れがこんわな」と嘆く。スタメンから外した近本は2試合連続の欠場。3打数無安打で途中交代した森下には「そんなん悪いどころちゃうよ。一緒や、ナンボ言うてもあかんわ」とおかんむりだ。打てず守れずDeNAと入れ替わり3位転落。5月に続き、2カ月連続の月間負け越しと波に乗りきれない。首位広島には今季最大に並ぶ4ゲーム差を離され、4位巨人とは0・5ゲーム差。30日の6月ラストゲームは勝って締めたい。【中野椋】
◆阪神伊藤将司投手(28)は悔いの残る立ち上がりだった。初回先頭に四球、長短打、犠飛と浮いた球を打たれて3失点。修正し、軌道に乗りかけていた3回は守備に足を引っ張られた。踏ん張れず途中降板。「初回はボールの高さを修正することができず、ゲームを作れなかった。3回は、走者がいて耐えられなかった」と反省ばかりだった。独特の神宮のマウンドは対応が難しいと言われるが「ずっとやっていた球場なので、そこは関係ない」と理由にはしなかった。再昇格した7日に勝って以来、3戦全敗。先発ローテも安泰ではない。
◆阪神島田海吏外野手(28)がまたマルチ安打だ。不調の近本に代わって2試合連続で「1番中堅」。奥川から右前打と四球、石山から中前打。27日の中日戦に続く3出塁だった。「いい状態をキープできている感覚はある。根性論みたいになっちゃうけど、強い気持ちで打席に入れている」。近本は連続欠場。練習中に岡田監督に呼ばれて会話を交わす場面もあった。今日30日も島田先発の可能性がありそうだ。
◆阪神中野拓夢内野手(28)が唯一の得点をたたき出した。5回2死一、二塁。真ん中に来たフォークをとらえ、左中間にライナーで落とした。「ちょっと苦しい状況だったので早めに点を返すのが大事。2死から回ってきたチャンスだったので、これを生かせばチームも勢いづくかなと思っていた。浮いた変化球をしっかりとらえられたと思う」。打点は9日以来、13試合ぶりだった。制球が不安定だったヤクルト奥川。5回は2死から代打野口、島田の四死球で回ってきた打席だった。奥川については「いい感じに荒れていた。変化球の曲がりもあまり一定ではなく、ちょっと絞りにくかった」と、攻略し切れなかった理由を説明した。中止になった28日が28歳の誕生日だった。「一番はケガなく健康にやること」と抱負を話した1年は、上々のスタートとなった。
◆阪神前川右京外野手(21)はノーヒットに終わり、出場試合の連続安打は4で止まった。互いに高校時代に甲子園準優勝している2学年上のスター奥川との初対決。2回無死一塁ではフルカウントからランエンドヒットのサイン。たたきつける痛烈な一ゴロで走者を進めた。4回もとらえた打球の右飛。「内容じゃなく、結果なので」と不満をあらわにしたが、好調は続いているようだ。
◆阪神岡田監督が復調の兆しを認めた佐藤輝明外野手(25)は、1安打1四球だった。安打は5試合連続。まだミスショットもあるが、6回の右前打は追い込まれてから星のフォークを軽打してとらえた。「ヒットが続いているのはいいこと。もっともっと良くなるように頑張ります」。白星献上の奥川については「すごく球が強くて、すごいいい投球だったと思う」と感想を語った。
◆誰が見てもエエやん。阪神野口恭佑外野手(23)がデビュー戦でいきなり岡田監督に褒められた。5回2死から代打でプロデビュー。9回先頭での第3打席にはヤクルト清水の初球直球を捉えて、痛烈なライナーが一直線で三塁方向へ。三塁手のグラブに収まり、プロ初安打とはならなかったが、球場の左半分を埋め尽くした虎党も大歓声だ。野口は「惜しかったんですけど、次につながると思うので、また切り替えてやっていけたら」と納得の内容。これには岡田監督も「そら誰が見てもええやんか。打球を見ても。ストライクをあないして打てばええだけの話やから」と絶賛だ。初打席も冷静だった。5回に代打でコールされ、打席へ。「緊張もあったんですけど、落ち着いてプレーできた。自分が打てる球を打とうと思っていました」。だが、ヤクルト奥川の3球目、内角高めの変化球が左手首付近に直撃。大事には至らず、死球で出塁した。記念の初打席でいきなり"大当たり"。「違う意味で爪痕残してしまった」と苦笑いだった。それでも2番中野の中前適時打で生還し、初得点。「それもチームに貢献することが大事なので、良かった」と笑みがこぼれた。外野の定位置争いで生き残る。指揮官は試合後、この日3打数無安打1三振に倒れて途中交代した森下に「悪いどころちゃう。ナンボ言うてもあかんわ」と苦言を呈した。森下と同学年で同じポジションの野口。今日30日にスタメン起用される可能性もゼロではない。「チャンスを与えてもらっている中で、結果を残していかないといけない。まずは目の前のことに集中してやっていけたらなと思っています」。岡田監督も認める自慢の打撃で猛アピールを続ける。【村松万里子】○...母和香子さん(51)も球場で観戦し、声援を送った。早朝5時半に自宅を出発。飛行機に乗って息子の晴れ舞台を訪れた。「たくさん打席が回ってきて手に汗握りました。ファンの皆さんの歓声が本当にすごくて、うるっときました」と感激。デビュー戦で躍動する姿に「最後まで落ち着いていたように見えました。1歩ずつ前進していると思います。打席を見ていても次につながっていくんじゃないかな」と活躍を願った。○...野口の大学時代の恩師、九産大の大久保哲也監督(61)もエールを送った。プロ初出場の結果を伝え聞き「1軍初打席がデッドボールというのがまたあいつらしいですね」と教え子の"らしさ"に思わず笑った。今季も指導の合間を縫って野口が出場する2軍戦の映像を見ていた。「ファームの成績も良くて、1軍に呼ばれる予感がしてました。ヒットの内容が良いですよね」と教え子の好調を感じており、プロ初安打へ期待を寄せた。
◆湿っていた打線が復調の兆しを見せた。ヤクルトが阪神に10安打、6点を奪い、連敗を4で止めた。開始早々からエンジン全開だった。初回。先頭の丸山が四球を選ぶと、前日28日に1軍登録され即スタメン起用の2番・宮本が期待に応え右前にはじき返し、無死一、三塁に広げた。3番・オスナは三塁線を抜ける適時二塁打で先制点を奪取。さらに村上、サンタナの中軸がきっちり走者をかえし、2点を追加。3回には1死一、二塁と得点圏から、村上、サンタナ、長岡の3連打で2点を加えリードを広げた。阪神に1点をかえされた直後の5回には、村上が得意の逆方向へと運ぶ15号ソロ。富田の直球をきっちり捉えてアーチを描き「コースに逆らわず、しっかり押し込めました」と阪神を突き放した。2安打2打点と攻撃をけん引した主砲は「今日は打線でカバーできてよかった」と、先発奥川の今季2勝目を後押しできたことを喜んだ。チームは15日に行われた交流戦のオリックス戦(京セラドーム大阪)以来、8試合ぶりの2桁安打を記録した。高津監督は「こういう打線のつながりというのは非常に大事だ」とした上で「つなぐ、出塁することをもう1回徹底してやっていきたい」と戒めた。停滞気味だった打線に明るい兆しが見えてきた。
◆奥川が帰ってきた。ヤクルト奥川恭伸投手(23)が、21年10月8日の阪神戦以来、995日ぶりとなる神宮での勝利を挙げた。右肘痛で緊急降板した22年3月29日の巨人戦以来、823日ぶりの本拠地のマウンド。阪神打線を5回2安打1失点に封じた。チームの連敗を4で止め、自身も復活勝利を挙げた14日オリックス戦(京セラドーム大阪)に続き、2連勝をマークした。忌まわしきサウンドは、心地よい音でかき消された。神宮での声出し応援は初めて。割れんばかりの拍手は懐かしかった。奥川は「すごい力をもらいました」と感謝した。初回、4回以外は毎回得点圏。生命線の制球力は乱れたが、5回1失点。「内容だけ見たらひどい試合でしたけど、でも粘って1点に抑えたのは大きなこと」。あの日、体内で異常音がした。緊急降板した22年3月29日の巨人戦。「プチッて。耳に聞こえる音じゃなくて体の中で」。右肘の筋肉が切れた。靱帯(じんたい)は切れていなかったが、はがれた骨は3ミリ以上。通常であれば、1ミリ程度で手術を打診される異常値。病院でも「ありえない。靱帯断裂しないと取れない数字」と言われた。ただ、右肘の声は気まぐれだった。「肘とずっと会話。でも、痛いと思ったら、痛くない日々が続いて。自分で切ろうと思った。痛いのにブルペン入って、全力で投げた日もあった。切れてしまえば、手術になる。でも、切れなかった。だから『手術やるな』ってメッセージなのかと」。保存療法を選んだ。音も声も覚えている。でも、それ以外は覚えていない。「頭おかしくなっていました。22年の夏ごろから秋ごろの記憶が全くないです。練習してたっけって」。痛んだり、痛まなかったり-。どっちつかずの日々は精神面も、むしばんだ。「立っているのも、座っているのもしんどかった。朝、戸田に行くだけで全体力消耗。昼飯食べて、横になって、気付いたら夜。それぐらい、僕、悩んでいました」。暗闇の中で、自身を導く声は聞こえた。「ずっと僕を待っていてくださった方がたくさんいたと思いますし、そういう思いもすごく僕も感じていた」。それを頼りに、神宮に戻ってきた。「本拠地っていうのは特別」とかみしめた。復活勝利から2連勝。2週間前、お立ち台で見せた涙はもうない。「離脱がないようにこれからしっかり皆さんの期待に応えられるように頑張りたい」。神宮で味わった苦い記憶は、この場所でアップデートしていく。【栗田尚樹】
◆奥川が帰ってきた。ヤクルト奥川恭伸投手(23)が、21年10月8日の阪神戦以来、995日ぶりとなる神宮での勝利を挙げた。右肘痛で緊急降板した22年3月29日の巨人戦以来、823日ぶりの本拠地のマウンド。阪神打線を5回2安打1失点に封じた。チームの連敗を4で止め、自身も復活勝利を挙げた14日オリックス戦(京セラドーム大阪)に続き、2連勝をマークした。けがの功名とは言えないにしても、奥川には新たな特技が身に付いた。右肘痛を発症した際、全国の病院を回った。その日々の中で、見えなかったものが見えるようになった。「エコー写真を見ていると、見方が分かるようになったんです」。靱帯(じんたい)付近の痛みの原因ともなった隙間、緩み、グラつきなど、白黒の写真の中に写し出されるわずかな異変まで判別出来るまでになった。長いリハビリ期間が、そうさせた。それだけではなく、MRI検査で導き出された神経痛、神経の炎症、腫れまでも、分かるようになった。故障しなければ、出合わなかった知見かもしれない。「今は本当に不安なく、出来ているからうれしい。病院の人、リハビリを手伝ってくれた人に感謝です」。エコー写真を見て、がくぜんとした日々とはおさらば。勝利という鮮明で、カラフルな映像を目に焼き付けていく。【ヤクルト担当=栗田尚樹】
◆神宮球場外野スタンドに「ピー」の音が鳴り響いた。試合前の打撃練習。阪神・佐藤輝明内野手(25)は19スイングで柵越え5本。貧打に苦しむ打線に岡田監督は試合前打撃練習で、内野スタンドのスタッフが注意喚起のために鳴らす警笛について、〝内野ピーピー禁止令〟を出していた。そこからこの日が初めてのビジター試合前練習。佐藤輝は内野スタンドの警笛を鳴らすことなく、外野スタンドのピーピーを響かせた。ここまで自己ワーストの109打席連続ノーアーチの大砲だが、神宮に久々の放物線を描きそうだ。
◆阪神は島田海吏外野手(28)が2試合続けて先発する。27日の中日戦(甲子園)で近本光司外野手(29)に代わって先発出場し、3出塁と役割を果たしたリードオフマンがこの日も先頭で活躍を目指す。伊藤将司投手(28)は再昇格後の3登板で防御率1・71と安定した投球をキープ。4勝目を目指す。
◆阪神の先発・伊藤将司投手(28)が一回に3点を失った。4勝目を目指すマウンドでいきなり捕まった。先頭の丸山和を四球で出塁させ、宮本に右翼への安打を許して一、三塁。続くオスナには真ん中低めのツーシームを捉えられ、左翼線へ適時二塁打を許した。続く村上は二ゴロに打ち取るも三塁走者が生還して2失点目。サンタナには粘られて10球目を右翼に運ばれる犠飛で3点目を失った。
◆阪神が好機を逃した。森下翔太外野手(23)がヤクルト先発・奥川の前に空振り三振に倒れた。三回1死から2試合連続で「1番・中堅」に入った島田がチーム初安打となる右前打を放つと、中野の打席で二盗に成功。中野は中飛に倒れたが2死二塁の好機を作った。打席には3番・森下。カウント2-2から5球目、外角のカーブにバットは空を切った。制球に苦しむヤクルトの先発・奥川から二回、三回と好機を作るも無得点。一回の3失点が重くのしかかっている。
◆阪神課題の守備のミスが生まれた。三回1死から先発・伊藤将が宮本に死球を与え、出塁を許す。打席には先制打のオスナ。4球目、完全に打ち取った打球は二塁への平凡なゴロ。打球をさばいた二塁・中野は遊撃・小幡へ送球した。しかし、併殺を焦った小幡がこれを捕球できず。小幡に失策が記録され、1死一、二塁のピンチとなった。ミスをカバーしたい伊藤将は続く4番・村上に右前打を浴びて満塁。サンタナの右前打で痛恨の4点目を失った。さらに長岡にも右前打で0-5。たまらず岡田監督は投手交代を告げた。伊藤将は2回1/3を投げ、5安打5失点(自責4)。試合を作ることができなかった。
◆阪神・野口恭佑外野手(23)が0―5の五回、代打でプロ初打席を迎え、結果は死球だった。浜地に代わって野口がコールされると、神宮球場の阪神ファンから歓声が上がった。カウント1―1からの3球目、奥川の投じた変化球がすっぽ抜けて死球になり、出塁した。野口は2023年に育成ドラフト1位で九産大から入団し、同年秋に支配下昇格をつかんだ2年目の外野手。28日にプロ入り後初めて選手登録されていた。
◆阪神は0―5の五回、中野拓夢内野手(28)の適時打で1点を返した。2死からプロ初打席の代打・野口が死球、島田が四球で一、二塁のチャンスを作り、中野が奥川から放った打球は中前へ。野口が生還して1点を加えた。28日に誕生日を迎えた中野はこれが28歳初安打&初打点。続くチャンスで森下を迎えたが、二ゴロに倒れて得点を重ねることはできなかった。
◆ヤクルト・奥川恭伸投手(23)が先発し、右肘痛の影響で緊急降板した2022年3月29日の巨人戦以来、823日ぶりとなる神宮での登板を迎えた。五回まで87球を投げ、阪神打線を2安打1失点に抑える力投。味方の5点の援護を受け、本拠地では21年10月8日阪神戦以来、995日ぶりとなる勝利投手の権利を手にした。
◆ヤクルト・村上宗隆内野手(24)が「4番・三塁」で出場。5―1の五回に左中間へ、両リーグ単独トップの15号ソロを放った。6月12日のソフトバンク戦以来、自身11試合ぶりの一発を「コースに逆らわず、しっかり押し込めた」と振り返った。この日は、奥川が右肘痛の影響で緊急降板した2022年3月29日の巨人戦以来、823日ぶりの本拠地登板。2年ぶりの復活勝利を挙げた14日のオリックス戦でも先制打を放ち「このチームを代表するエースになれる」とエールを送っていた主砲が、またも後輩右腕を強力援護した。
◆阪神はヤクルトに敗れ、6月の負け越しが決定した。先発の伊藤将司投手(28)は一回無死一、三塁でオスナに左翼線へ適時二塁打を許すなど3失点。三回は1死一塁でオスナの二ゴロを中野が遊撃の小幡へ送球するも、捕球できない失策でピンチが広がり、適時打2本を浴びてこの回途中で降板。5失点(自責4)と試合を作れなかった。打線は五回に野口恭佑外野手(23)が代打でプロ初出場。死球で出塁し、島田も四球でつなぐと、中野拓夢内野手(28)が適時打を放って1点を返したが、この1点止まりだった。これで6月は9勝11敗1分けで、1試合を残して5月の10勝13敗1分けに続く2カ月連続の月間負け越しとなった。
◆三回2死二塁、空振り三振に倒れた阪神・森下翔太=神宮球場(撮影・長尾みなみ)
◆ヤクルトが連敗を4で止めた。一回無死一、三塁から、ホセ・オスナ内野手(31)が左翼線への適時二塁打を放ち1点を先制。なお無死二、三塁で村上の二ゴロの間に1点を加え、続くドミンゴ・サンタナ外野手(31)も右犠飛を放ち、3点を先取。いきなり大きな援護点が入った先発の奥川恭伸投手(23)は五回まで87球を投げ、阪神打線を2安打1失点に抑える力投。右肘痛の影響で緊急降板した2022年3月29日の巨人戦以来、823日ぶりとなる神宮での登板で2勝目を上げ、本拠地では21年10月8日阪神戦以来、995日ぶりとなる勝利となった。奥川のヒーローインタビューは以下の通り。--お立ち台へ来るときに登場曲である「宿命」が流されました。「嬉しいですね」--どんな決意を持ってマウンドに上がった「どんな内容でもチームの勝ちに貢献できるように、相手よりも1点でも少なくというところを思ってマウンドに上がりました」--二、三回に走者を許しながら粘りの投球がみられた「いい内容ではなかったですけど、序盤に大量援護もらったので、ピンチでしたけど、思い切っていけたかなと思います」--五回には、ピンチを切り抜けてガッツポーズが出た「ずっとピンチ続きだったので、ひとまずホッとしましたね」--ファンの熱、拍手を聞いて「満員の神宮球場、僕は初めての経験だったので、今日もたくさん力をもらいました。ありがとうございます」--ファンへ向けて、今の思いを「次の試合もしっかり勝てるように頑張りたいと思います。また応援よろしくお願いします」--明日へ向かって「まだまだ優勝のチャンスはありますし、選手は誰も諦めてないので、これから1つずつ勝って、また優勝できるように一丸となって頑張りたいと思います。また応援よろしくお願いします」
◆ヤクルト先発・奥川恭伸=神宮球場(撮影・長尾みなみ)
◆ヤクルトが連敗を4で止めた。奥川が5回2安打1失点で2勝目。打線は一回にオスナの適時二塁打などで3点を先制した。三回は3連打で2点を追加。五回には村上が15号ソロを放った。阪神は伊藤将が序盤から崩れて4敗目。
◆ヤクルト・西田明央捕手(32)が八回先頭で代打出場。島本から今季11打席目で初安打となる左前打を放ち、2013年から12年連続安打をマークした。
◆ヤクルト・奥川恭伸投手(23)が先発し、5回87球を投げ2安打1失点。右肘痛の影響で緊急降板した2022年3月29日の巨人戦以来の神宮登板で、21年10月8日阪神戦以来、995日ぶりとなる本拠地での勝利投手となった。2万9491人が詰めかけた本拠地でお立ち台に上がった右腕は、プロ入りからコロナ禍による観客制限が続いたこともあり「本当にこの満員の神宮球場、僕は初めての経験だったので、たくさん力をもらいました。ありがとうございます」と感謝。「まだまだ優勝のチャンスはありますし、選手は誰も諦めていないので、これから一つずつ勝って、また優勝できるように、一丸となって頑張りたいと思います。応援よろしくお願いします」と呼びかけ、大きな拍手を浴びた。
◆阪神が完敗。3位に転落し、首位広島とは今季最大タイの4差となった。伊藤将司投手(28)が一回、先頭打者への四球から3点を失い、三回には死球や小幡竜平内野手(23)の失策もあり、さらに2点を奪われた。近本光司外野手(29)が2試合連続で欠場した打線は五回の中野拓夢内野手(28)の適時打による1点のみ。育成入団から初1軍の野口恭佑外野手(23)は五回、代打で死球後、右翼の守備に就き、次打席以降は三ゴロと三直だった。好機で2度凡退の森下翔太外野手(23)は途中交代。佐藤輝明内野手(25)は六回の右前打で5戦連続安打とした。5月に続いて、2カ月連続の月間負け越しが決まった岡田彰布監督(66)の主な一問一答は以下の通り(成績=34勝33敗5分、観衆=2万9491人)。ーー伊藤はボールが高い「高いよもう、なあ。初回もお前、全部高かったなあ」ーー修正しきれず「えっ? いや、二回から低めに行き出したやんか。アレ、ゲッツー取ってたら、別にどうってことなかったんや、あのまま行っとると思うけどな」(三回1死一塁でオスナの二ゴロを処理した中野が二塁に送球したが、小幡が落球)ーー守備のミスが出たからこそ踏ん張ってほしい「打順的に一番ミスが出たらアカン打順やんか。なあ。バッターの足と打球の速さ考えたら、お前、流れでゲッツーを取るケースじゃないやんか。1個ずつ、ポンポンとやっても、ゲッツー取れる打球やろ? バッターの足を考えたら」ーー3点差なら、この球場では「いや全然、そんなもんお前」ーー奥川も付け入るスキはあった「あったよ、それは。2点取ってからな。うん、完全に流れが来んわな」ーー野口の内容は「ええんちゃうの? そら誰が見てもええやろ。悪ないやんか、なんで? 聞く質問ちゃうよ、誰が見てもええやんか。打球を見ても」ーー初出場だが、積極的にバットが出ていた「だから、ちゃんと打ってるから。ストライクを、あないして打てばええだけの話やから。点入れへん時は、みんなボール球やろ、打ってるの。そういうことやろ」ーー逆に森下は悪かった「そんなん悪いどころちゃうよ。一緒や、ナンボ言うてもアカンわ。昨日のミーティングを聞かせてやりたいわ。ナンボ言うても一緒や」
◆ヤクルトは連敗を4で止め、中日と同率の5位に浮上した。先発の奥川恭伸投手(23)が5回2安打1失点。右肘痛の影響で緊急降板した2022年3月29日の巨人戦以来の神宮登板で、21年10月8日の阪神戦以来、995日ぶりとなる本拠地での勝利投手となった。高津臣吾監督(55)の主なコメントは以下の通り。――奥川が3年ぶりの本拠地白星「内容はともかく結果がついてきたというのは、先日の京セラ(今季初勝利)もそうですが、非常によかった。こうやってちょっとずつでも前進していければ、これまでの時間が正解だったという答えを自分が今出してる途中なのでね、よかったと思います」――制球に苦しむ場面も「この前戸田で投げたときとか、戸田のブルペンで投げている球とか、良いかなと思った。やっぱりゲームに入るといろんな感情のコントロールもしなきゃいけないし、ボールのコントロールももちろん、そういうところはまだまだこれからなのかなと」――1失点でまとめた「厳しいところで一踏ん張りできた。ここ、何とか頑張れっていうところもありましたけど、そこでしっかり投げ切ったというところが1失点につながってるんじゃないかなと」――降板の目安「ちょっとバテてきたかなっていう風には思いました。最初から制球が乱れるところはあったけど、その乱れ方というのが後半になって少し違う変化に見えたので、あそこでいいかなと」――連敗が止まった「よかったね。2連戦になり、きょう勝つのと負けるのとでは、すごく明日にかかるプレッシャーというか、そういう緊張とプレッシャーを感じながらグラウンドには立っていると思うので、明日これでまた元気にグラウンドに立てるかなと。これ以上ズルズルいったらちょっと厳しくなるので、止められてよかった」
◆ヤクルト・長岡秀樹内野手(22)が「6番・遊撃」で出場。4―0とした三回1死満塁の第2打席に右前適時打を放ち「僕のエラーで負けた試合もあり、そこから3連敗しているので、何とか食い止めたいという気持ちは正直あった」と明かした。この日は、奥川が右肘痛の影響で緊急降板した2022年3月29日の巨人戦以来、823日ぶりに神宮で登板。同期で同学年入団の長岡が、右腕の3年ぶりとなる本拠地白星を攻守で後押し「いつも思いますけど、同期で同学年は特別な存在。楽に投げさせてあげたい気持ちはあった。高校のときから一番有名で、活躍していた選手。一緒にやれていることは財産だと思うし、うれしいこと」と語った。
◆阪神が完敗。3位に転落し、首位広島とは今季最大タイの4差となった。伊藤将司投手(28)が一回、先頭打者への四球から3点を失い、三回には死球や小幡竜平内野手(23)の失策もあり、さらに2点を奪われた。近本光司外野手(29)が2試合連続で欠場した打線は五回の中野拓夢内野手(28)の適時打による1点のみ。育成入団から初1軍の野口恭佑外野手(23)は五回、代打で死球後、右翼の守備に就き、次打席以降は三ゴロと三直だった。好機で2度凡退の森下翔太外野手(23)は途中交代。佐藤輝明内野手(25)は六回の右前打で5戦連続安打とした。5月に続いて、2カ月連続の月間負け越しが決まった。主な選手のコメントは以下の通り(成績=34勝33敗5分、観衆=2万9491人)。2度の好機で凡退の森下翔太 「不甲斐ないバッティングだったかなと思う」ヤクルト・奥川について佐藤輝明 「すごい球が強くて、すごいいいピッチングだった」ヤクルト・奥川から適時打の中野拓夢 「いい感じに荒れてたというか。逆にちょっと絞りにくい感じではあった」2戦連続スタメンで2安打の島田海吏 「根性論になっちゃいますけど、強い気持ちを持って打席に入れていると思う」三回1死一塁でゴロを処理した中野の二塁送球を落球した小幡竜平 「勢いをつけすぎた分、反応が遅れた」三回途中5失点(自責4)で4敗目(3勝)の伊藤将司 「初回で高めを捉えられていたので、そこですかね」
◆阪神が完敗。3位に転落し、首位広島とは今季最大タイの4差となった。育成入団から初1軍の野口恭佑外野手(23)は五回、代打で死球後、右翼の守備に就き、次打席以降は三ゴロと三直だった。野口の主な一問一答は以下の通り。ーー初出場の感想は「緊張もあったんですけど、全然落ち着いてプレー出来たんじゃないかなと思います」ーー1打席目の気持ちは「とにかくストライクだけというか。自分が打てる球を打とうと思っていました」ーー守備でも「はい。最初のプレーも落ち着いてしっかり出来たんで良かったんじゃないかと思います」ーー九回の三直は「惜しかったんですけど、次に繋がると思うんで、また切り替えて、やって行けたらなと思います」ーー1打席目以降も打席に立った「ホントに、チャンスを与えてもらっていると言いますか、数少ないチャンスですけど、結果を残していかないといけないんですけど、まずは目の前のことに集中してやっていけたらなと思っています」ーー死球で、まさかの初出塁「オープン戦でデッドボール3個くらいあったので。違う意味で爪痕残っちゃったかなと」ーーいきなりホームを踏めたのも持ってる「確かに。初得点ですもんね。それもチームに貢献することは大事なので、良かったんじゃないかなと思います」ーー奥川は「初めてです。高校の時から有名だったので、良いピッチャーだと思います」ーー改めてどういうプレーを見せていきたい「バッティングが一番のアピールポイントなので、バッティングを見せて、守備でも走塁でもしっかり貢献出来るように頑張りたいなと思います」
◆中日、西武、阪神で通算1560安打を放ち、楽天初代監督を務めたサンケイスポーツ専属評論家の田尾安志氏(70)が1軍デビューを果たした阪神・野口恭佑外野手(23)のスタメン起用を岡田彰布監督(66)に求めた。今の阪神は序盤の5失点でジ・エンドという気分になってしまう。そんな中、明るい希望を感じたのは野口だ。2打数無安打1死球だが、中身は素晴らしい。一番の魅力は、一球で仕留められるところ。七回の三ゴロも九回の三直も、狙っていた球を最初のスイングではじき返した。簡単に思えるが、現状の阪神打線では、大山も森下も佐藤輝も、一球で仕留められない打席が多すぎる。この内容を見せられれば次の試合からはスタメンで使いたくなる。というより、使ってもらいたい。スタメンを見渡して、文句なしのレギュラーという成績を残している選手はいない。ならば可能性を秘めた選手で、貧打の流れを変えるのは常套手段だ。1番の島田も、打席で体重移動ができるようになって、いい形で打てている。この2人は大いに期待していい。一方で、一回、先頭に四球を与えて崩れた伊藤将。これは投手のミスだ。三回に雑なプレーで落球し、2失点に直結した小幡。このミスも痛かった。今の阪神は先行されると一気に苦しくなる。ミスからの失点は論外。次は確実に、やり返してもらいたい。
◆阪神・中野拓夢内野手(28)が五回2死一、二塁で中前適時打を放ち、野口のプロ初得点を生んだ。「ツーアウトから回ってきたチャンスだったので、これを生かせばチームも勢いがつくと思っていた。しっかり浮いた変化球を捉えられた」。28日に誕生日を迎え、28歳初安打&初打点。これで5戦連続安打と調子を取り戻してきている。
◆阪神・佐藤輝明内野手(25)は六回に星のフォークを捉えて右前打を放ち、5試合連続安打。「ヒットが続いているのはいいことかなと思います」と手応えをにじませた。先発の奥川からは二回に四球を選ぶも、四回は捕邪飛に倒れ「すごく球が強くて、すごくいいピッチングだった」と相手をたたえた。安打は続いているものの、連続ノーアーチは113打席に伸びた。
◆阪神・小幡竜平内野手(23)が三回の痛恨の失策を反省。「捕るべきだったので。(伊藤)将司さんに申し訳ない」。1死一塁でオスナのゴロを捕球した中野の二塁送球を落球。このエラーを機に、2点を失った。併殺を狙って勢いをつけてベースに入った分、反応が遅れ、送球に対応できなかった。岡田監督は「打順的に一番ミスが出たらあかん打順やんか。バッターの足と打球の速さ考えたら、流れでゲッツーを取るケースじゃないやんか」と苦言を呈した。
◆阪神・前川右京外野手(21)は4打数無安打で、スタメン出場では5試合ぶりのノーヒットに終わった。その中でも1打席目はエンドランで強い打球が一塁手の正面を突いて一ゴロ、2打席目もとらえたライナー性の右飛など、状態の良さを感じさせる打席内容だった。それでも「内容じゃないので、結果なので。(奥川は)いいピッチャーでした」と満足せず、貪欲に結果を求める。
◆阪神・近本光司外野手(29)は2試合連続の出場機会なし。28日の雨天中止と合わせて3日連続の休養となった。試合前には普段通り打撃練習や打球捕などを行い、ベンチで岡田監督と話し込む様子もあった。27日の中日戦(甲子園)に欠場した際には「次、出たときにしっかり準備したところを出すだけ」と話しており、気持ちを切らさずに出番を待つ。
◆阪神・森下翔太外野手(23)は遊ゴロ、空振り三振、二ゴロで終わり、五回の守備からベンチに下がった。「ふがいないバッティングだった。切り替えて頑張るしかない」と反省した。三回2死二塁の2打席目はボール球の変化球に手が出て三振。「結果が出ていないので良くはないと思いますけど、修正したいなと思います」と必死に前を向いた。
◆ヤクルトが連敗を4で止めた。一回無死一、三塁から、ホセ・オスナ内野手(31)が左翼線への適時二塁打を放ち1点を先制。なお無死二、三塁で村上の二ゴロの間に1点を加え、続くドミンゴ・サンタナ外野手(31)も右犠飛を放ち、3点を先取。いきなり大きな援護点が入った先発の奥川恭伸投手(23)は五回まで87球を投げ、阪神打線を2安打1失点に抑える力投。右肘痛の影響で緊急降板した2022年3月29日の巨人戦以来、823日ぶりとなる神宮での登板で2勝目を上げ、本拠地では21年10月8日阪神戦以来、995日ぶりとなる勝利となった。奥川の一問一答は以下の通り。――一、二回は緊張もあった「初回は3人で終わって良かったけど、3点もらって、何とかこの点数を守らないとって思ったのがよくなかった。自分の中で受けに入ってしまったので、腕が縮こまるような形。あそこがよくなかった。しっかり攻めていかないと」――役割は果たせた「本当はもっと長いイニングを投げたいし、投げないといけない。五回も3人で終わっていたら、その後のイニングもあったかもしれない。そこは反省しないといけない。内容だけ見たらひどい試合だけど、それでも粘って、1点に抑えたのは一つの大きなこと」――確実に前進している「はい。なんせ2年も空いているので、なかなかそんな最初からうまくいくとは思っていない。その中でも粘って、こうやって勝ちもつけてもらって。勝つことってすごく大切だと思う。きょうも野手の皆さん、中継ぎの皆さんに感謝です」――神宮のファンの声援「ずっと僕を待っていてくださった方がたくさんいたと思うし、そういう思いもすごく僕も感じていたので、もう離脱がないように、これから皆さんの期待に応えられるように頑張りたい」――高校野球の石川県大会の組み合わせが決まった「今年は僕のふるさとの石川県で震災があったので、僕は野球を通して石川県の皆さんに元気を届けられるように。母校にも頑張ってもらって、本当に野球の力で、少しでも元気を届けられるように。母校の皆さんも少しでも被災地の皆さんに元気を届けられるように頑張ってほしい」
◆ここ一番で巡ってきたチャンスを、がっちり捉えて離さない。阪神・島田海吏外野手(28)が2戦連続で2安打&3出塁と躍動。リードオフマンとしての役割を立派に務めた。「一打席一打席、必死なので。根性論みたいになっちゃいますけど、強い気持ちをもって打席には入れていると思う。そこは継続させていきたいなと思います」27日の中日戦(甲子園)に続いて「1番・中堅」で先発し、的を絞りづらかったヤクルトの先発・奥川から三回にチーム初安打。直球を引っ張って右前にはじき返すと、二盗に成功した。五回2死一塁ではフルカウントから冷静に見極めて四球を選び、続く中野の中前適時打につなげた。七回は2死から中前打を放ってマルチ安打。常に塁上にいるかのような存在感を示した。不振の近本に代わり、27日から出番が回ってきた。同戦は2安打1四球と結果を残し、起用した岡田監督に「これで外したら島田怒りよるやろ、そんなん当たり前やろ」と言わしめた。一夜でつかんだ2試合連続の先発機会でも活躍。島田は「立場的にはレギュラーじゃない。そういう気持ちは毎日もって(試合に)臨みたい」と謙虚に前を向いた。昨季も近本の死球骨折による離脱で一時は1番を務めたが、活躍を続けることはできず。今季は若手の台頭を横目に春季キャンプは2軍で汗を流した。開幕後も出場が限られる中で、年始に立てた「食らいつく。一年間、その気持ちを持ち続けて戦いたい」という言葉通り、昼は2軍、夜は1軍と親子ゲームで汗を流しながら必死に状態を保ってチャンスを待った。巡ってきた機会に思いをぶつけ、着実に結果を積み上げている。「いい状態をキープできているかなという感覚はあるので。引き続き、チャンスをもらったら、こういう野球を続けていきたいと思います」手応えも口にしつつさらなる活躍を見据えた。1番は手放さない。しぶとく強く役割を全うするべく、強い気持ちで夏場の戦いに向かう。(邨田直人)
◆いきなりの四球で、チームの上昇機運に水を差した。阪神・伊藤将司投手(28)が2回?を投げて5安打5失点(自責4)で降板し、今季4敗目(3勝)。3連敗で負け数が勝ち星を上回ってしまった。「立ち上がりからボールの高さを修正することができず、ゲームを作ることができませんでした」一回、先頭の丸山和への四球が炎上への始まりだ。無死一、三塁と傷口を広げると、オスナに左翼線への適時二塁打。村上の二ゴロの間と、サンタナに右犠飛で、いきなり3点を失った。これで虎投の初回先頭打者への四球は4試合目。全て失点し、敗戦につながっている。「二回からちょっと低めにいくようになりましたけど...」後の祭りだった。味方の守備にも足を引っ張られる。三回1死から宮本に死球。続くオスナの二ゴロを捕球した中野が二塁に入った遊撃手・小幡に送球したが、小幡がまさかの落球。4-6-3の併殺でチェンジのはずが、1死一、三塁となり、伊藤将は村上、サンタナに連続適時打、長岡に安打を許し、交代を告げられた。岡田監督は「(球が)高いよもう、なあ。初回もお前、全部高かったなあ」と苦言を呈すと、「二回から低めにいきだしたやんか。ゲッツー取ってたら、あのまま(快調に)いっとると思うけどな」と顔をゆがめた。7日に1軍復帰後、3試合で1勝2敗と勝ち星には恵まれなかったが、制球力を武器に好投を続けていた左腕。しかし、この日は初回先頭打者への四球から崩れた。今季初の神宮のマウンドだったが、「それは関係ない」ときっぱり。次回登板に雪辱を期す。(三木建次)
◆神宮の空に、燕の主砲らしい弾道が戻った。ヤクルト・村上宗隆内野手(24)が5-1の五回、第3打席に両リーグトップの15号ソロ。左腕富田の外角直球を左中間へ運び「コースに逆らわず、しっかり押し込めた。逆方向にいい本塁打が打てたのでよかった」とうなずいた。奥川が2年ぶりの復活勝利を挙げた、14日のオリックス戦(京セラ)でも先制打を放った村上。後輩右腕が823日ぶりの本拠地登板を迎えたこの日も、一発を含む2安打2打点で力強く援護し「どんな投手でも支えたいと思っているし、先発投手に勝ちをつけたいと常に思っている。きょうは打線でカバーできてよかった」と胸を張った。12日のソフトバンク戦以来、自身11試合ぶりの一発。交流戦終了後の練習期間では、全体のフリー打撃終了後も最後まで一人で残って打ち続けるなど、試行錯誤する4番の姿があった。捕手寄りの方向からゴムチューブで引っ張られながら、軸足の左足にしっかりと体重を乗せる下半身の使い方を意識して打撃練習を反復した。復調をアピールする主砲の一発に、高津監督は「きょうの打撃を見ていると、少し良くは見えてきた。苦しみながら少しずつでも前進してくれたら。やっぱり彼が打たないと。もっと状態を上げてほしい」と期待を込めた。村上が打ち、奥川が勝ち、理想的な形で連敗を止めた。主砲は「一試合一試合、しっかり結果を残すことだけ。自分の状態どうこうではなく、勝ちに向けて頑張りたい」と力強く歩みを進めた。(浜浦日向)
◆阪神は第2次岡田政権初となる2カ月連続の月間負け越しが決定。3位に転落し、首位・広島とのゲーム差は今季最大タイの4に広がった。野口恭佑外野手(23)が五回の代打から1軍初出場。2打数無安打に終わったが、岡田彰布監督(66)は「誰が見てもええやろ」と打撃の内容を絶賛した。一方、「3番・右翼」で出場し、3打数無安打で途中交代となった森下翔太外野手(23)については「(内容が)悪いどころちゃうよ」とおかんむりだった。結果は同じ凡打でも中身が全然違う。若虎の〝内容〟が明暗くっきり分かれた。完敗の中、1軍デビューを飾った野口について問われた岡田監督はきっぱりと言い切った。「そら、誰が見てもええやろ。悪ないやんか。聞く質問ちゃうよ。誰が見てもええやんか。打球を見ても」聞くまでもない-。指揮官にそう言わせるほどの内容だった。五回2死。28日に1軍初昇格を果たした野口が代打でコールされる。注目のプロ初打席はまさかの死球。若虎は「違う意味で爪痕が残っちゃったかな」と笑ったが、まだチャンスはあった。五回の守備、野口は右翼へと走った。「とにかくストライクだけ。自分が打てる球を打とうと思っていた」七回の第2打席は石山の初球を引っ張って三ゴロ。九回も清水の初球を引っ張ったが惜しくも三直に終わった。1軍デビュー戦は2打数無安打1死球1得点。ただ、どちらもいい当たりで、ストライクゾーンに来た球を逃すまいとする積極性、豪快に引っ張る打撃を岡田監督は称賛した。「ちゃんと打っているから。ストライクをあないして打てばええだけの話やから」対照的だったのが「3番・右翼」で出場した森下だ。ボール球に手を出しての三振に内角球にどん詰まりの内野ゴロ...。直接指導を敢行し、口酸っぱく修正点を指示しても変わらない。指揮官は「そんなん(内容が)悪いどころちゃうよ。なんぼ言うてもあかんわ。なんぼ言うても一緒や」と苦言を呈した。五回から代わりに野口を右翼の守備につかせたのも、森下の内容があまりにもひどすぎるからだった。DeNAが中日に勝利し、虎は3位に転落。首位・広島も巨人に勝ち、今季最大タイの4ゲーム差に広げられた。6月を9勝11敗1分とし、月間負け越しが決定。2カ月連続の月間負け越しは第2次岡田政権では初だ。27日の中日戦(甲子園)では12試合ぶりの2桁安打で8得点と猛虎をみせたが、再びチームにはびこる貧打の流れ。うだつの上がらない森下のスタメン落ちは濃厚。右翼の先発に野口が起用されることは十分考えられる。野口は力を込めた。「打撃が一番のアピールポイントなので、打撃を見せて、守備でも走塁でもしっかり貢献できるように頑張りたい」打線の起爆剤、そして岡田監督の望む新戦力として-。次は内容ではなく結果で応え、虎の救世主となってみせる。(原田遼太郎)
◆神宮のマウンドに帰ってきた!! ヤクルト・奥川恭伸投手(23)が29日、阪神10回戦(神宮)に先発し、5回2安打1失点で今季2勝目を挙げた。右肘痛を発症して緊急降板した2022年3月29日の巨人戦以来、823日ぶりの本拠地での登板で、21年10月8日の阪神戦以来、995日ぶりに神宮で白星をつかんだ。今年になって奥川は新たな夢を見つけた。高卒5年目の右腕にとって、今季入団した大卒1年目のドラフト1位・西舘(専大)と同3位・石原(明大)は同学年にあたる。奥川とともに2020年に高卒で入団した選手には長岡、武岡がおり、同学年の選手はこれまでもチームにいたが、同じ投手で同学年の選手は西舘と石原が初めてだった。5月下旬。埼玉・戸田球場での練習を終え、奥川と西舘が一緒に引き揚げるときのことだ。奥川が突然、「僕、夢があるんです」と切り出した。耳を傾けると、「優勝して、ハワイへ優勝旅行に行って、そこで同級生の投手対談をやりたいんです」。心に秘める熱い思いを笑顔で打ち明けた。奥川は19年の夏の甲子園大会で石川・星稜高を準優勝に導いた〝世代の星〟。福岡・筑陽学園高出の西舘と広島・広陵高出の石原は、奥川を「僕らの世代のスーパースター」と表現する。入団当初は「びびっていた」との理由で「奥川さん」と呼んでいたというが、いまでは「仲が良い」と口をそろえ、奥川は「一緒に高め合っていきたい」と力を込める。刺激し合う同級生を見て、常夏のハワイでシーズンの活躍を語り合う3投手を取材したいと強く思った。(ヤクルト担当・武田千怜)
◆神宮のマウンドに帰ってきた!! ヤクルト・奥川恭伸投手(23)が29日、阪神10回戦(神宮)に先発し、5回2安打1失点で今季2勝目を挙げた。右肘痛を発症して緊急降板した2022年3月29日の巨人戦以来、823日ぶりの本拠地での登板で、21年10月8日の阪神戦以来、995日ぶりに神宮で白星をつかんだ。満員の本拠地に舞い戻った右腕が、チームの連敗を4で止めた。神宮球場に響く「おかえり」の声が、右腕の帰還を知らせた。先発投手として「奥川恭伸」の名前がコールされると、2万9491人が集まり、満員御礼となった球場が沸き上がった。帰ってきた奥川が、995日ぶりの神宮白星。再び本拠地のマウンドで輝いた。「本拠地は特別。神宮で勝ちがついたのは、すごくうれしい。僕は満員の神宮球場が、初めての経験だった。本当にたくさん力をもらいました」プロワーストとなる4四死球と制球に苦しみながらも、粘り強く投げ抜いた。阪神打線を相手に、5回87球を投げ、2安打1失点。味方打線の援護をもらい「チームの勝ちに貢献できるように。相手よりも1点でも少なくと思ってマウンドに上がった」と息をついた。本拠地での登板は、右肘痛の影響で緊急降板した2022年3月29日の巨人戦以来、823日ぶりだった。9勝を挙げた21年は新型コロナウイルス禍で観客の入場制限があり、声出し応援も禁止されていた。初めて満員の神宮で浴びた歓声を力に変え、「新しいスタート」と語る神宮勝利。止まっていた時計の針を動かした。
◆神宮での何とも悲しいタテジマの完敗から約1時間後、本拠地・甲子園では「阪神タイガース Women」と「読売ジャイアンツ(女子)」のTG決戦がプレーボール。高校野球のようにサイレンが鳴り響いた。バックネット裏、内野席のみの開放だったが、ファンも詰めかけて、一投一打に大盛り上がり。オールドファンが「10番がいるらしいなぁ」「マウンドには23番もおるで」と語り合っていた。本来なら、グラウンドに現れるはずのないタテジマの永久欠番が女子野球で〝復活〟。昨年から、あちこちで話題になってきた。封印されてきた番号が復活して、喜ぶファンがいる一方で、疑問を呈する阪神OBがいるのは事実。なんで、藤村富美男さんや吉田義男さんの番号を背負う選手がいるんや!という不満。どっちでもいいのでは?と楽観的だった虎ソナにとって、複数の阪神OBのモヤモヤぶりは想像以上だった。対する巨人。実は女子の巨人軍には1番(王貞治)、3番(長嶋茂雄)、4番(黒沢俊夫)、14番(沢村栄治)、16番(川上哲治)、34番(金田正一)の永久欠番は誰も付けていない。思い出すのは、1979年、衝撃のトレードで巨人から阪神にやってきた小林繁さんがいきなり発した言葉。「阪神には歴史はあるが伝統はない。巨人にはその伝統があるんだ」盟主・巨人と、優勝回数で大きく差を付けられた阪神。痛いところを突かれた〝名言〟だ。小林繁さんが永久欠番の復活まで思い描いて発言したのではないのは分かり切っている。が、ついつい永久欠番の扱い方と「伝統」という言葉を結びつけて考えてしまう。OBにとっては「守ってほしいもの」があるのだ。と、偉そうに「伝統」を語ってきたが、スポーツ新聞記者には「伝統」はない。いや、一度だけ「伝統」を強調されたことがあった。若き日。バース、掛布、岡田のフリー打撃のホームランの数を数えろ!と大先輩から命じられた。
◆虎の先発伊藤将の立ち上がり。初回3失点の背信マウンドに貧打阪神だし、「もうダメや~」と試合開始20分で嘆いた虎党も多かろう...。伊藤将の前回(22日のDeNA戦)の敗戦に対してオレここで言ったよね~! キレもコントロールもないから、ローテを一回飛ばして調整すべし!! と...。しかし、その手は打たず、本日も本来の投球には程遠いぶざまな姿を...。伊藤ちゃん、気合やでェ! 『弱気は最大の敵』。少々甘くなっても開き直って腕振ったれ~!!そして、前の試合で8得点と大爆発の猛虎打線。わずか1試合でお家芸(?)の貧打に戻ってどないすんねん!! 6安打だけど5四死球合わせたら11安打と同じなのに、1得点はないでしょう~。30日はこちらも気合やー!!最後に告知で~す。本日30日、池袋シネマ・ロサで俺の主演映画『遺品整理~広島屋』の舞台あいさつやるよー! 11時50分の上映後なのでみんな来てね!!
◆奥川にはもともと、ストライクを取るコツ、ピッチングをするコツが備わっている。持って生まれた資質だろう。相手打線が不振だったとはいえ、2試合続けて5回1失点。いいリスタートは切れたよね。問題は、ストライクゾーンの中でボールが散らばらず、狙った所にしっかり決められるかどうか。それができるようになれば、もっと安定して、長いイニングを投げられる。残る4イニングを他の投手に任せているようでは、まだまだ物足りないし、ヤクルトにとっても、1試合を託せる投手は喉から手が出るほど欲しいわけだから。したがって奥川には、目標を高く設定してもらいたい。故障を怖がらず。体を強くしてもらいたい。そのためには、プロの世界で長く生きた先人が何をやっていたのか、研究も必要になる。くれぐれも、球数がどうとか、投げ込みがどうとかいった、外野の悪いささやきには、耳を貸さないことだ。(サンケイスポーツ専属評論家)
◆今年のプロ野球ドラフト会議は10月24日に開催される。阪神は6月27日に第2回スカウト会議を行い、上位候補の報告と確認を行った。当然、地元・関大の最速151キロ左腕・金丸夢斗投手もリストアップされている。そんな中、他球団関係者から漏れ伝わるのは「今年の阪神さんは、間違いなく即戦力の野手をターゲットにしている」だった。1位候補として、10日から開催された全日本大学選手権で、青学大の2連覇に貢献し、MVPに輝いた右打ちの大型三塁手、佐々木泰内野手や3月の侍ジャパンの強化試合で活躍した青学大・西川史礁(みしょう)外野手、同大会に出場しなかった明大の遊撃手・宗山塁内野手ら。その背景にあるのは、今年露呈された攻撃力不足だ。あるスカウトも「複数球団が競合する投手は打者と違い、投手は1年目から活躍できる可能性が高いが、野手の補強を最優先すべきでしょう。ただ、現場の意向もあるから。最後の最後まで投手か、野手かの方針は決まらないでしょうね」と明かす。昨季は38年ぶりの日本一を達成。「投手力もあるし、レギュラーもまだまだ伸びしろがある。黄金期を迎えるのでは」とも言われていたが、大山や佐藤輝らが一流プレーヤーになるための壁を乗り越えられず、苦しんでいる。昨季、遊撃の定位置を奪い返し、ベストナインを初受賞した木浪も精彩をかき、左肩甲骨骨折で離脱中だ。代わって遊撃を守る高卒6年目の小幡は打率2割に届かず、課題の打撃力は今年も解消されていない。「中長期的にみれば、近本(29歳)の後継者も育成しなければいけない」と編成幹部。捕手問題もある。昨年9月のドラフトで捕手は指名しなかったが、梅野(33歳)、坂本(30歳)の後継者探しは急務だろう。振り返れば、21年は佐藤輝(近大)、23年は森下(中大)を1位指名した。両年とも1位は野手一本という方針だった。次回のスカウト会議は都市対抗野球大会を視察後の8月上旬に行われるという。高卒3年目の前川がレギュラーになりつつある。新たに育成出身で、パワーが魅力の大卒2年目・野口も28日に1軍初昇格。彼らの活躍も今秋のドラフト戦略を大きく左右するのは間違いない。(三木建次)
<セ・リーグ順位表推移>
順位 | チーム名 | 勝数 | 負数 | 引分 | 勝率 | 首位差 | 残試合 | 得点 | 失点 | 本塁打 | 盗塁 | 打率 | 防御率 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 (-) |
広島 |
37 | 28 | 4 | 0.569 (↑0.006) | - (-) |
74 | 205 (+2) | 160 (+1) | 31 (+1) | 39 (+1) |
0.235 (↓0.002) | 2.040 (↑0.01) |
2 (1↑) |
DeNA |
36 | 33 | 1 | 0.522 (↑0.007) | 3 (-) |
73 | 242 (+5) | 239 (+1) | 45 (+3) | 37 (-) |
0.251 (↑0.001) | 3.050 (↑0.03) |
3 (1↓) |
阪神 |
34 | 33 | 5 | 0.507 (↓0.008) | 4 (↓1) |
71 | 200 (+1) | 194 (+6) | 28 (-) | 23 (+1) |
0.219 (↓0.001) | 2.170 (↓0.04) |
4 (-) |
巨人 |
34 | 34 | 5 | 0.500 (↓0.007) | 4.5 (↓1) |
70 | 202 (+1) | 193 (+2) | 37 (-) | 36 (-) |
0.234 (-) | 2.480 (↑0.01) |
5 (1↑) |
ヤクルト |
30 | 37 | 4 | 0.448 (↑0.009) | 8 (-) |
72 | 251 (+6) | 243 (+1) | 51 (+1) | 34 (+1) |
0.236 (↑0.001) | 3.210 (↑0.04) |
5 (-) |
中日 |
30 | 37 | 6 | 0.448 (↓0.007) | 8 (↓1) |
70 | 168 (+1) | 233 (+5) | 30 (-) | 24 (-) |
0.230 (-) | 2.740 (↓0.03) |
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