広島(☆5対1★)ヤクルト =リーグ戦8回戦(2024.06.26)・MAZDA Zoom-Zoom スタジアム広島=
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ヤクルト
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広島
20012000X5711
勝利投手:九里 亜蓮(4勝4敗0S)
敗戦投手:小川 泰弘(2勝3敗0S)

本塁打
【広島】坂倉 将吾(4号・4回裏ソロ)

  DAZN
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◆広島は初回、上本の適時打と小園の犠飛で2点を先制する。その後1点差となって迎えた4回裏に坂倉のソロで加点すると、続く5回には上本の適時打などでリードを広げた。投げては、先発・九里が7回5安打1失点の力投で今季4勝目。敗れたヤクルトは、投打ともに振るわなかった。

◆日本プロ野球機構から26日、公示が発表され、広島末包昇大外野手(28)の出場選手登録が抹消された。末包は22日中日戦(バンテリンドーム)の左翼守備で滑り込んだ際に左太もも裏を痛めて途中交代した。その後は病院へは行かず回復を待った。前日25日はトレーナーとともにジョグやウオーキングを行い、打撃練習にも加わった。だが、患部の状態が良化しないことで出場選手登録を抹消することことを決断した。新井監督は「無理をさせても(いけない)。先はまだ長いので、またしっかり治してもらいたい」と説明。広島市内の病院で検査を受け、復帰へ向けたプランを練る。途中交代となった試合でも決勝2ランを放つなど、ここまでチーム最多6本塁打の大砲の離脱はチームにとっても痛い。ただ、新井監督は「オールスターブレークもあるし、万全にして戻って来てもらいたい」と急がせるつもりはない。代わって、中村健人外野手(27)が1軍に昇格する。

◆大砲不在を小兵が救った。今季チーム最多6本塁打の末包に代わって、先発入りした通算3本塁打の広島上本崇司内野手(33)が打線をけん引した。1回無死一、三塁では追い込まれながらヤクルト小川の外角スライダーに食らいつき、左前に落として先制点をもたらした。2点リードの5回には、2死二塁からフォークを引っ張って三塁線を破る適時二塁打とした。3戦連続3番起用に、プロ12年目で初の1試合2本の適時打で応えた。22日中日戦で末包が負傷交代してから、左翼を守る。6回には先頭青木の左中間のライナーをダイビングで阻止。2回は届かなかったもの、ファウルフライにも飛び込んだ。「必死こいてやらないと。みんなも頑張っているので、助け合いだと思います」。ケガから復帰したばかりの上本が大砲離脱の不安を払拭(ふっしょく)し、貯金を今季最多タイの8とした。

◆広島の先発九里亜蓮投手(32)が7回1失点(自責0)で4勝目を手にした。立ち上がりからストライクを先行させた。球数を要しながら、走者を出しても粘り強い投球で味方の失策が絡んだ3回の1失点にしのいだ。自身4連勝に「全体的にそんなに良くなかったと思いますけど、坂倉がうまくいろんな球を使ってリードしてくれて、粘り強くいけたかなと思います」とバッテリーを組んだ女房役に感謝した。

◆序盤から主導権を握った広島がヤクルトに連勝し、貯金を今季最多タイの8とした。1回に上位3人の3連打などで2点を先制。4回に坂倉のソロで加点し、5回にも上本の適時二塁打などで2点を加えた。先発九里は3回に味方の失策から1点を失うものの、7回1失点で自身4連勝。4勝目を手にした。試合後の新井貴浩監督(47)の談話は以下の通り。-上位打線がつながった新井監督 つながっていますね。アキ(秋山)もよく出てくれましたし、タカシ(上本)がね、本当に今日は"タカシさん"でした。-上本選手は守備でも好プレーあり新井監督 彼は外野でも内野でも。守備もさることながら、バッティングでも勝負強いですし、本当にチームに欠かせない頼りになる選手ですね。本当に今日は"タカシさん"だったと思います。-"タカシ"と"タカシささん"はちょっと違うのか新井監督 そうですね、今日は攻守、走るのもそうですけど、すべてにおいて"タカシささん"らしい、素晴らしいプレーだったと思います。-九里投手について新井監督 登板間隔が空いて、立ち上がりを見ると、体が重そうだと思ったんですけど、そのあとはさすがですね。粘り強く投げて、今日もいいピッチングだったと思います。-坂倉選手は今日も早出特打から見ていた新井監督 今日、早出のバッティング、いい感じでいいバランスで振っているなと見えていました。-何か言葉をかけたのか新井監督 いや。そこはバッティングコーチと一緒にやってくれているので、自分は何も話してはないです。でも、あの高さのあのコースの球をポール際、切れずにホームランに持っていくというのは、だいぶいい形で振れていると思います。-試行錯誤しながらが続く新井監督 彼も初めてじゃないですか、これだけバッティングで苦労しているのは。でも、この先のことを考えたら、必ずいい経験になっていると思うし、彼がもうひとつ上のレベルの選手になるためには、こういう試練は絶対必要だと思う。こっちは目の前の試合をもちろん全力で戦うんですけど、そればかり見ていない。先のことも見ているのでね。後半戦、彼の力というのは必ず必要だと思っているので、そういう目で見ています。-末包選手が離脱した中で1、2番が機能。得点力は落ちていない新井監督 その通りだと思います。やっぱりタカシが帰って来てくれて、タカシの存在というのは、すごく大きいですね。全部できるので。チャンスメークも、つなげることもできるし、勝負強い。-当面はこの3選手が上位に並ぶか新井監督 そうですね。でも、いろいろ考えながらやりたいなとは思っています。体調的なものもマネジメントしないといけないと思っているので。タカシもケガから帰ってきたことだし、野間もそう。基本的にこういう感じでいければいいなと思ってますけど、その都度その都度、体調面も考えながら、また相手のことも考えながら。こっちのゲームプラン、先発ピッチャーは誰なのかとか、いろんなことを複合的に考えながら決めていきたいなと思いますけど、この形というのは、いい形だと思います。-初回から走者を積極的にスタートを切らせた新井監督 相手の小川くんは、どんどんストライク先行で来るし、コントロールもいいピッチャー。ストライク率の高いピッチャーなので、ゲームプランではどんどんそういう機会があったら仕掛けていこうと思っていました。でも選手がよく、こちらのサインに応えてくれたと思います。

◆ヤクルト小川泰弘投手(34)が、3週間ぶりの1軍マウンドで苦しんだ。4回2/3、81球を投げ7安打5失点で3敗目を喫し「ゲームをつくることができず申し訳ないです」と肩を落とした。初回からリズムに乗れなかった。広島先頭の秋山、2番野間、3番・上本に左翼への集中打を受け、1死も取れずに先制点を与えた。4番小園の左犠飛で2点目を献上。打線が3回に長岡の適時打で1点差に詰め寄るも、ここで踏ん張れなかった。悔やまれたのは4回。坂倉に高めの直球を右翼席に運ばれるソロを浴び「3点目のホームランをすごく反省してます」と猛省した。5回にはさらに2点を奪われ広島に突き放され、清水にマウンドを譲った。体調を不良を訴えて12日のソフトバンク戦を登板回避し、5日の西武戦(神宮)以来の登板だった。試合前日には「走り込みもしましたし、ノックを受けたりとか、プールトレーニングをやったりとか」と充実した調整ができたと強調したが、この日はその成果を出すことができなかった。ベンチで見守った高津監督は「立ち上がりは体が重そうだった。疲れていたのか、そのままズルズルいってしまった感じ。1回ファームで投げさせれば良かった」と登板間隔が空いた影響を指摘したが、小川本人はそこについて一切言及しなかった。言い訳はしない。プロとして任された仕事を全うする。期待に応えられなかった自分を責め「しっかりやり返したいと思います」と前を向いた。

◆広島・末包昇大外野手(28)は左太もも裏の張りが改善しないため出場選手登録抹消となった。試合前に新井貴浩監督(47)は「ハムストリングの張りがなかなか取れないということで、一回抹消して病院に行って検査をしてもらう。オールスターブレークもあるし、万全にして戻ってきてもらいたい」と説明した。ここまで首位に立つチームでトップの6本塁打を放っている末包は22日の中日戦(バンテリンドーム)の左翼守備でスライディングキャッチした際に負傷交代した。翌23日以降も1軍に残って調整を続けたが、23日の中日戦と25日のヤクルト戦(マツダ)を欠場していた。

◆広島・アドゥワ誠投手(25)が試合前練習に参加し、先発する27日のヤクルト戦に向けキャッチボールなどで調整した。自己最多タイの6勝目を狙う右腕は「どのチームも打力はある。自分のやることをやれたら試合はつくれると思うし、やれなかったらやられる」とコメントした。前回登板16日の楽天戦(楽天モバイル)は6回5安打5失点(自責3)で敗戦投手となったが、ここまで10試合に先発し5勝2敗、防御率3・15で奮闘している。

◆27日の広島戦に先発するヤクルト・石川は、短距離ダッシュなどで調整した。1軍での前回登板、6月2日の楽天戦(楽天モバイルパーク)では五回降雨コールドとなり、5回4安打無失点の完封勝利で23年連続勝利を達成。その後、後輩の山野や奥川らが勝利を挙げており「彼らが頑張ると僕もより一層『頑張らなきゃ』と思う。刺激になっているので、負けないようにやりたい」と力を込めた。

◆広島・九里亜蓮投手(32)が7回5安打1失点で自身4連勝(4敗)をマークした。九里は最速142キロの真っすぐと多彩な変化球でヤクルト打線を翻弄。2点リードの三回に1点を失ったが、その後は追加点を許さない好投を見せ、七回の攻撃で代打を送られ降板した。打線は一回無死一、三塁から上本の左前適時打などで2点を先制すると、1点差に迫られた四回は坂倉が4号ソロ。五回には上本が二死二塁から左へ適時二塁打を放つなど2点を奪い右腕を援護した。ヒーローの九里は「(チームは前日も快勝したので)いい流れをそのまま繋げられるようにマウンドに上がりました。リズムのいいピッチングをして、攻撃につながるように心がけました」と振り返ると、「気持ち的に楽にしっかり攻めていきながら投げることができた」と打線の援護に感謝した。これで自身4連勝となった右腕は「野手の皆さんに助けられて勝ててると思うので、自分が投げる試合はもっと自分のピッチングでも貢献できるように頑張りたい」と気を引き締めた。

◆選手の交代を告げベンチにさがるヤクルト・高津臣吾監督(撮影・渋井君夫)

◆九里が7回5安打1失点(自責0)で4勝目を挙げた。25日の同カードでマダックス(100球未満での完封勝利)を達成した森下の続く力投に「いい流れをそのままつなげられるようにと思ってマウンドに上がった」と喜んだ。2─0の三回に遊撃・矢野の失策から1点を失ったが、追加点は許さなかった。開幕4連敗から4連勝で星を五分に戻した。

◆〝末包ショック〟を振り払った。先制打を含む適時打2本と美技の広島・上本が自虐交じりに振り返った。「仕事は穴埋め。スエが帰って来るまで頑張ります」試合前にチーム最多6本塁打の末包が左太もも裏の張りで出場選手登録を抹消された。貧打の打線に追い打ちをかけたが、代役で左翼に入る33歳が躍動した。一回無死一、三塁で小川のスライダーに食らいつき、左前へ落とした。さらに五回2死二塁では4点目となる左翼線への適時二塁打。左翼守備では4点リードの六回に左中間への打球に飛びつき、反撃の芽を摘み取った。けがから復活した。5月1日の阪神戦で左太もも裏を痛め、翌2日に抹消。リハビリ中は焦りで「(1軍の)試合は見ていなかった」と回想するが、6月21日に再昇格すると内外野こなせる守備力と粘り強い打撃で存在感は増している。チームは2カードぶりに勝ち越し、2位阪神とのゲーム差は3・5。新井監督は「スエ(末包)が抹消になったけど、そこを感じさせないきょうの攻撃だった」とうなずいた。大砲は不在となったが、頼れる仕事人がいる。(柏村翔)

◆今季もまだ〝鬼門〟のままなのか。セ・リーグ最下位のヤクルトは、首位・広島に敵地で敗れて3連敗を喫した。3カードぶりの負け越しでゲーム差は7・5に。高津臣吾監督(55)は村上宗隆内野手(24)を2019年9月25日以来5年ぶりの5番で起用したが、打線は5安打1得点と沈黙し、嘆き節だった。「つながらないというか、出塁がない。2日で(安打が計)7本だとなかなかね。点ももちろん取れないし、先に点を取られて重い展開でゲームが進んでいった」広島先発・九里を攻めあぐねた。二、五、七回に先頭が出塁したが、ホームに帰れず。得点は敵失が絡んだ三回2死三塁から長岡が右前適時打を放った1点のみだった。2試合、18イニングで三者凡退は12度。指揮官は「打って出塁して、つないでと言うのは簡単だけど、そこをなんとかしていかないと。今のままでは駄目」と厳しい言葉を並べた。体調不良で12日のソフトバンク戦の登板を回避した先発の小川も五回途中5失点と試合をつくれなかった。マツダスタジアムでは今季4戦4敗。昨季も1勝11敗1分けと大きく負け越しているだけに、負の連鎖を止めたい。(赤尾裕希)

◆一回の2失点で、試合は決まった感がある。3週間ぶりの復帰となった先発・小川は先頭の秋山と2番・野間に、追い込んでから楽々と逆(左)方向へ打ち返された。真っすぐが走らず、変化球に切れがない。フォークボールはストンと落ちるのではなく、ダラン。これでは、いいコースに投げたとしてもついてこられる。ファームで登板せず、1軍の〝慣らし運転〟もナシ。さすがに無理があったか。一回で決まった...という理由はもうひとつ。もちろん、打線だ。広島・九里は真っすぐをほとんど投げず、スライダー系が目立った。そこに狙いを絞ることができず、敵失で出た走者による1得点だけ。村上とサンタナの4、5番を入れ替えても、さほど変化は感じなかった。なにより、狙い球や打順を語る以前に覇気がない。広島、阪神と続く6連戦をともに「2勝1敗」で乗り切れば面白くなる、と期待したが、いきなり逆の星勘定とは。今が踏ん張りどころだ。(サンケイスポーツ専属評論家)

<セ・リーグ順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差残試合 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(-)
広島
35274 0.565
(↑0.008)
-
(-)
77197
(+5)
153
(+1)
28
(+1)
38
(-)
0.238
(-)
2.070
(↑0.03)
2
(-)
阪神
33325 0.508
(-)
3.5
(↓0.5)
73191
(+1)
187
(+1)
28
(-)
22
(-)
0.218
(-)
2.140
(↑0.03)
2
(-)
巨人
33325 0.508
(-)
3.5
(↓0.5)
73194
(-)
184
(-)
34
(-)
36
(-)
0.232
(-)
2.470
(-)
4
(-)
DeNA
33331 0.500
(-)
4
(↓0.5)
76227
(-)
233
(-)
38
(-)
37
(-)
0.249
(-)
3.110
(-)
5
(-)
中日
30346 0.469
(-)
6
(↓0.5)
73165
(+1)
215
(+1)
30
(+1)
24
(+1)
0.232
(↑0.001)
2.620
(↑0.04)
6
(-)
ヤクルト
29364 0.446
(↓0.007)
7.5
(↓1)
74242
(+1)
238
(+5)
50
(-)
33
(-)
0.235
(↓0.001)
3.250
(↓0.02)