阪神(★2対3☆)楽天 =交流戦2回戦(2024.06.05)・阪神甲子園球場=
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楽天
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阪神
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勝利投手:渡辺 翔太(3勝0敗0S)
(セーブ:則本 昂大(1勝0敗13S))
敗戦投手:岩崎 優(2勝3敗8S)

本塁打
【楽天】小郷 裕哉(3号・9回表2ラン)

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◆楽天は2点を追う8回表、1死三塁から阿部の内野ゴロの間に1点を返す。続く9回には小郷の2ランが飛び出し、試合をひっくり返した。投げては、先発・内が6回2失点の好投。3番手・渡辺翔が今季3勝目を挙げた。敗れた阪神は、6番手・岩崎が痛恨の一発を浴びた。

◆両軍のスタメンが発表された。阪神は主軸を張っていた大山悠輔内野手(29)とダブルストッパーの一翼を担っていたハビー・ゲラ投手(28)が5日に出場選手登録を抹消。交流戦では1勝5敗で単独最下位に沈む。高卒3年目の前川右京外野手(21)がプロ入り後初の2番で先発出場。4番には4試合連続で近本光司外野手(29)が入り、森下翔太外野手(23)は3番に座った。先発の大竹耕太郎投手(28)は通算4試合で防御率1・50と好相性の楽天を相手に勝利を呼ぶ投球ができるか。

◆3年目で初めて「2番」で先発した阪神前川右京外野手(21)が「大根切り」で沸かせた。初回無死二塁。2番打者としては進塁打がノルマになる場面。カウント1-1から思い切りたたきつけるスイングで、高いバウンドの二ゴロを放った。もちろん二塁走者はゆうゆうと三塁に進んだ。明らかに通常のスイングとは違う、意図の見えるチーム打撃。甲子園の観客も「おお~」とリアクションするほどだった。

◆阪神が珍しく円陣を組んだ。楽天内星龍投手(22)に対して、初回は10球、2回はわずか5球で攻撃終了した。3回の攻撃前、ベンチ前にナインが集まり、水口栄二打撃コーチ(55)がハッパをかけるように指示を飛ばした。簡単に2死を取られたが、1番中野拓夢内野手(27)が右前打で出塁。続くプロ初2番の前川右京外野手(21)が右中間を破る二塁打を放ち、先制の1点をつかんだ。

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◆阪神近本光司外野手(29)が超美技&大遠投の会心プレーで併殺を奪った。2-0の6回1死一塁で、楽天渡辺佳明外野手(27)が右中間に大飛球を放った。中堅の近本は全速力で追いかけ、フェンス手前でランニング捕球。抜けると判断していた一塁走者は二塁を回った位置から帰塁を試みたが、近本は右中間最深部から一塁まで2バウンドの大遠投。送球が走者より先に到達し、併殺になった。

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◆阪神が執念の3人連続継投でリードを守り抜いた。2点リードで迎えた7回、先発の大竹耕太郎が2死一塁で代打浅村を迎えるところで右腕の石井大智にスイッチ。しかし石井が中前打を浴び1死一、三塁とピンチを広げると、次は左腕島本浩也に交代。島本も小郷にストレートの四球を与えて2死満塁とされると、再び今度は右腕の漆原大晟にスイッチ。この大きなピンチで漆原は村林を中飛に打ち取った。1イニング4人の継投でリードを守り抜くと、ベンチの岡田彰布監督(66)も手をたたいた。

◆楽天浅村栄斗内野手(33)が長い長いトンネルから抜けた。打撃不振から2試合連続でベンチスタート。7回2死一塁から代打で登場すると、1ボールから阪神石井の152キロ直球を中前に運んだ。5月24日の日本ハム戦(楽天モバイルパーク)の第4打席で右前打を放って以来、32打席ぶりにHランプをともした。試合前、今江監督は浅村について「彼がスタメンを外れるって相当なことなので、それを1日外したら『じゃあ行こうか』ってそんなふうになるなら外さないです。それも含めてかなり大きな決断なので、正解が分からないですけど、彼にとってベストな方向に行けるようにいつスタメンで行くかは分からないです」と話していた。

◆阪神大竹耕太郎投手(28)が6回2/3を8安打無失点に抑え、ファンの拍手に包まれながら降板した。85球を投げて四死球は0だった。今季5勝目、阪神移籍後初となる交流戦白星がかかった登板。3回をのぞいて毎回走者を出し8安打を浴びたが、5つの見逃し三振を奪うなど、粘りの投球で勝利投手の権利を得た。5回には2死一、二塁のピンチを背負ったが、糸原が好捕し三直。チームメートに感謝する姿もあった。打撃では二塁への内野安打で出塁し2試合連続安打。打率も1割9分とバットでも気合を見せた。

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◆阪神岩崎優投手(32)が9回のマウンドに上がったが、2戦連続終盤に逆転弾を献上した。4日に延長で4戦連続で黒星を喫した阪神は、岩崎とともに、ダブル守護神を務めてきたが、ゲラ投手(28)が、1-1の10回に決勝打を浴びて5日に登録抹消され2軍に降格し、勝利の方程式が崩壊した。2-1で迎えた9回は、先頭の7番小深田には7球目の直球を左前に運ばれ、8番太田の犠打で走者が二塁に進んだ。9番に渡辺翔から代打石原に告げられるも空振り三振に抑えた。しかし、2死二塁で1番小郷が岩崎の140キロ直球を右翼へ運び、2点本塁打を放った。2夜連続の終盤での失点劇に、甲子園の虎党は言葉を失った。

◆阪神が悪夢の逆転負けを食らった。1点リードの9回。守護神・岩崎優(32)が2死二塁から小郷裕哉外野手(27)に逆転2ランを打たれた。その裏のチャンスも0点に終わり、楽天戦2連敗でカード負け越しが決まった。この日からダブル守護神のハビー・ゲラ投手(28)が不調のため2軍調整になった。今年初めての「1人守護神」となった岩崎だったが期待に応えられなかった。得点力不足に苦しむ打線がこの日も低調。だがプロ3年目で初めて2番に入った前川右京外野手(21)が3回に右中間への適時二塁打を放って1点を先制。先発の大竹耕太郎投手(28)は走者を毎回のように背負いながらも連打は許さず後続を断った。大竹は7回途中無失点。7回の2死一塁で、石井にマウンドを譲った。だが石井が安打されると、すかさず島本へ。島本も四球を出すと、今度は漆原を送り込んだ。同一イニングに4投手が投げるのは今季初。2死満塁で登板した漆原は、村林を中飛に打ち取ると、強く右こぶしを握った。岡田監督の執念継投だったが、無情の9回逆転負けとなった。

◆阪神が悪夢の逆転負けを食らった。1点リードの9回。守護神・岩崎優(32)が2死二塁から小郷裕哉外野手(27)に逆転2ランを打たれた。その裏のチャンスも0点に終わり、楽天戦2連敗でカード負け越しが決まった。阪神岡田彰布監督(66)は岩崎を責めず、打線に苦言。「ふっふっふっ。それは結果やろ。それまで2点じゃあかんていうね」と苦言を呈した。阪神岡田監督の一問一答は以下の通り-岩崎はまさかふっふっふっ。それは結果やろ。それまで2点じゃあかんていうね。-1点取った後、なかなかいや、それはなかなかて、ずーっとやんか。-甲子園でも勝てない。打線かそうそう、そういうことやろ。-中継ぎにも負担がいや、2点やからやんか。-前川の2番は点取るためやろ。いやいや、それは見たら分かるやんか。だからバッターが、どういう気持ちでね。俺5回から言うてた、2点じゃ絶対にやられるでって言うてるんよ。-その中で前川君が1本うーん、そんなんよりも、2点で終わる打線があかんって言うてるやん。打順何番に入れるとかそんなん、メンバー今おれへんねんから、なんとか点とるためにこっちは、やってるだけであってお前。-なかなか複数得点ところにつながらないいやいや、それは見たら分かるやんか。だからバッターが、どういう気持ちでね。俺5回から言うてた、2点じゃ絶対にやられるでって言うてるんよ。-3回の円陣は監督の指示か知らん知らん、俺は知らん。-本当に打者は奮起しないといや、そらもうずうっとやんか。バッターが奮起って、そんなのもっと早い時期に書かんとあかんわ。今ごろ言ってもしゃあない。そんなもん、1点2点ばかりでのう。いまさら言うても。

◆あと1人コールの土壇場で、試合をひっくり返した。楽天小郷裕哉外野手(27)が、阪神戦に「1番右翼」で出場。1点を追う9回2死二塁、今季3号となる逆転2ランを右翼席に突き刺し、勝利を確信していた甲子園の虎党を静まりかえらせた。この1勝で、球団史上初の交流戦3カード連続勝ち越しを達成。ソフトバンクと並んで、交流戦首位タイをキープした。小郷が「あと1人」コールを力に変えた。1-2の9回2死二塁。右翼席の阪神ファンのボルテージは最高潮だった。カウント3-1から岩崎の140キロ直球を捉える。打球は風にも乗り、ぐんぐん伸びていく。右翼席最前列へ今季3号の逆転2ランをたたき込んだ。「試合がひっくり返ったのでいいところで打てたなと思います」。ベンチの今江監督も思わず頭を抱えるほど劇的な1発だった。甲子園に縁がある。少年時代は阪神ファン。主力選手だった鳥谷敬氏が同じ右投げ左打ちということもあって、憧れの存在だった。背番号「1」のユニホームや下敷きも持っていたという。甲子園を訪れ、試合を観戦したこともある。「僕も言ってたんで。『あと1人って』。それを力に変えて頑張りました」とさわやかに笑った。初戦敗退となったものの、14年夏の甲子園に関西(岡山)の一員として出場。当時は無安打に終わったが、この日はプロアマ通じて聖地1号という最高の結果を残した。「子どもに一生言えますね」と、おどけてみせた。阪神戦には、苦い記憶がある。昨年6月8日、楽天モバイルパーク。2点リードの8回無死一塁。右翼線に上がった飛球をグラブの土手に当てて落球した。それがきっかけで一時逆転を許したが、チームは9回に小深田がサヨナラ3ランを放って劇的勝利。小郷は自身のふがいなさから号泣した。だからこそ、阪神戦には特別な思いがあった。「今日はできすぎですけど、いい形で、去年は救ってもらっていたので、今日は試合を決められたんで良かったかなと思います」。チームは球団史上初の交流戦3カード連続勝ち越しに成功。神様、仏様、小郷様-。楽天ファンからそう呼ばれるような起死回生の一撃だった。【山田愛斗】

◆楽天浅村栄斗内野手(33)が長い長いトンネルから抜けた。打撃不振から2試合連続でベンチスタート。7回2死一塁から代打で登場すると、1ボールから阪神石井の152キロ直球を中前に運んだ。5月24日の日本ハム戦(楽天モバイルパーク)の第4打席で右前打を放って以来、32打席ぶりにHランプをともした。「良かったですね。久しぶりに1本出て」と淡々とした表情で振り返った。

◆岡田阪神が連日の悲劇に見舞われた。楽天との「日本生命セ・パ交流戦」で1点リードの9回2死二塁。甲子園に「あと1人」コールが沸き起こる中、岩崎優投手(32)が小郷に逆転2ランを被弾した。前日4日はもう1人の守護神ハビー・ゲラ投手(28)が延長10回に決勝打を浴びてこの日から2軍に降格。単独守護神になった左腕にかかる期待は大きかっただけに、ショッキングな敗戦になった。2夜連続、虎党は悪夢を見た。1点リードで迎えた9回2死二塁。守護神岩崎が、小郷に逆転2ランを右翼席に放り込まれた。あと1アウト、勝利を目前での敗戦...。何度も白星を守ってきた左腕は「申し訳ないです」と2度繰り返した。もう1人の守護神ゲラが2軍再調整となり、より期待がのしかかった一戦だっただけに、責任を背負った。開幕から26試合に登板して8セーブ、9ホールドと奮闘を続けてきたが、ここ1カ月で3敗目。5月1日まで防御率0・00を誇ってきたリリーバーの苦闘が続く。岡田監督は「岩崎はまさかだった」の問いに「ふっふっふっ...」と複雑な笑いを漏らしたがキッパリ否定した、「それは結果やろ。それまで2点じゃあかんていうね」。敗因の矛先に向けたのは岩崎ではなく、"2点打線"だった。3回に2死から2番前川らの3連打で先制したが、たたみかけられず1点止まり。5回も森下が2点目の適時打を放ったが、続く好機で複数得点を奪えなかった。「だからバッターが、どういう気持ちでね。俺、5回から言うてた。2点じゃ絶対にやられるで、って言うてるんよ」。3回には水口打撃コーチを中心に円陣も組んだが、打線爆発にはつながらなかった。直近5カードは、13試合中11試合で2得点以下の貧打が続く。それでも何とかリードを守り抜こうと、指揮官は執念を見せた。7回2死一塁で、代打浅村が出たところで0封してきた先発左腕の大竹から右腕石井にスイッチ。中前打を浴び2死一、三塁で小郷を迎えると、左腕島本に交代。四球を与えて2死満塁のピンチを招くと、右の村林に対し右腕漆原を送って中飛でしのいだ。必死の継投リレーで最後を岩崎に託した。前夜に7カード連続で初戦負けを喫し、この日は4カード連続のカード負け越しが決定。長らく4番に座ってきた大山がこの日から戦列を離れ、打線の並びも試行錯誤を続ける。「2点で終わる打線があかんって言うてるやん。打順何番に入れるとか、メンバー今おれへんねんから、なんとか点取るために、こっちはやってるだけであって」。交流戦は1勝6敗で最下位だが、セでは首位巨人とは1・5差の3位で貯金1。岩崎ら投手陣を楽にする2点打線を早く打開したい。【磯綾乃】▽阪神安藤投手コーチ(現状で守護神を任せられるのは岩崎だけかの問いに)「まあ、そうね」岩崎またはゲラが登板した試合で、阪神は5連敗となった。5月26日巨人戦は岩崎が丸に決勝犠飛を浴び敗北。5月31日ロッテ戦は9回にゲラが高部に同点犠飛を許し、10回サヨナラ負け。6月1日ロッテ戦では、岩崎が9回に友杉に二塁打を浴びて追いつかれ、その後2試合連続サヨナラ負け。4日楽天戦では、ゲラが10回に茂木に勝ち越し三塁打を喫した。シーズン序盤に鉄壁のリリーフを続けてきた2人の不調が、阪神の苦戦に直結している。

◆阪神の3番森下翔太外野手(23)が適時打を含む2安打で3試合連続打点をマークした。初対戦の内は「思ったより身長が(190センチと)高くて、リリースはすごく高い位置」と第1打席は高めの初球で捕邪飛。だがその反省を生かし、第2打席は低めを遊撃内野安打、第3打席の5回1死満塁では138キロのスプリットを中前に運び2点目を呼び込んだ。「大山さんと輝さんが帰ってきた時に打ちやすい環境をつくる方が、大山さん、輝さんも結果が残る。その一部となれば」と好調維持を誓った。

◆阪神中野拓夢内野手(27)が今季4度目の猛打賞で気を吐いた。2試合連続、今季3度目の1番で出場し、初回先頭でにいきなり右翼線へ二塁打。3回2死からは右前打で出塁し、続く前川の二塁打で2戦続けて先制のホームイン。5回も右前打で3安打とした。「チームの勝ちが一番だと思うので、まずはチームが勝てるように役割をするだけ。明日気持ちを切り替えて頑張っていきます」と冷静に答えた。

◆阪神が悪夢の逆転負けを食らった。1点リードの9回。守護神・岩崎優(32)が2死二塁から小郷裕哉外野手(27)に逆転2ランを打たれた。その裏のチャンスも0点に終わり、楽天戦2連敗でカード負け越しが決まった。阪神岡田監督一問一答-1点取った後、なかなかいや、それはなかなかて、ずーっとやんか。-甲子園でも勝てない。打線かそうそう、そういうことやろ。-中継ぎにも負担がいや、2点やからやんか。-前川の2番は点取るためやろ。-3回の円陣は監督の指示か知らん知らん、俺は知らん。-本当に打者は奮起しないといや、そらもうずうっとやんか。バッターが奮起って、そんなのもっと早い時期に書かんとあかんわ。今ごろ言ってもしゃあない。そんなもん、1点2点ばかりでのう。いまさら言うても。

◆阪神大竹耕太郎投手の5勝目がスルリと消えた。7回途中8安打を浴びながら無失点と好投。勝利投手の権利を持って降板したが、9回に岩崎が逆転を許して、阪神移籍後は交流戦5度目の先発も白星はつかめなかった。先発9人中6人が左打者で風も左翼から右翼へと吹く普段と逆の風。「長打にさせない。風も風だったので、単打OKでやりました」と内角をうまく使い、長打は1本も許さず好投に結びつけた。相性の良さも発揮し、楽天戦は通算5試合の登板で防御率1・09。味方の好守にも恵まれて、先発の役割を果たした。

◆阪神前川右京外野手(21)が敗戦の中で光り輝いた。主砲の大山がこの日から2軍に降格する非常事態で、プロ初の2番で出場。先制二塁打で起用に応えた。0-0の3回、イニング前に円陣を組んで迎えた2死一塁のフルカウント。「ゾーンにきた球は思い切って」と積極的な姿勢は崩さなかった。楽天先発・内の151キロ直球を強振。右中間を深く破り、一塁走者中野を悠々生還させた。「追い込まれていましたが、強くスイングすることができましたし、先制点を取ることができてよかったです」日本一になった昨年、最も多い61試合で中軸を組んだ佐藤輝、大山、ノイジーが2軍調整中で、日々試行錯誤を続ける虎打線。前川にかかる期待は大きい。昨季の55試合目は22通りのオーダーだったが、今季は早くも35通り目。背番号58はつなぎも求められる2番を託されたが、高い適応力を発揮した。試合前には中野に同打順での役割を質問するなど準備も欠かさなかった。そして初回無死二塁の第1打席目は"大根切り"のような打法で二ゴロを転がす進塁打で1死三塁の好機を演出。5回には四球出塁でチャンスを広げた。「また同じ打順になっても、ちゃんと仕事ができるように頑張ります」と鼻息は荒い。岡田監督は「点取るためやろ」と2番起用の意図を明かしたが、交流戦はこれでチーム最多の5打点。超満員4万2615人で埋まった甲子園で、虎党に希望を見せた。【波部俊之介】

◆甲子園の歓喜-。楽天内星龍投手(22)の力投が、劇勝を呼び込んだ。「日本生命セ・パ交流戦」の阪神戦に先発し、6回8安打2失点(自責1)。自身に勝利はつかなかったものの、9回に小郷の逆転2ランが飛び出し、球団史上初の交流戦3カード連続勝ち越しを飾った。内は「今日は先制点を与えてしまい、リズムをなかなかつくれなかったんですけど、最後粘ったことで報われたという思いはあります」とうなずいた。プロ入り後、初の甲子園で気合が入っていた。だが、3回に連続三振で2死を奪った直後、中野と前川の連打で先制点を献上。5回1死満塁から森下に中前適時打を許したが「中継ぎでのピンチの場面が生きているかなと思います」。昨年、リリーフとして何度も修羅場をくぐり抜けてきた経験を存分に発揮。いずれも最少失点でしのいだ。履正社(大阪)3年時の20年、コロナ禍により春夏の甲子園が中止になった。高校球児にアピールの場を提供するため、同年8月に甲子園で行われた「プロ志望高校生合同練習会」に参加。シート打撃で打者5人に無安打1四球と好投し「人生の分岐点になったところもありました」。練習会以来の聖地で奮闘。今季3勝目は逃したが、交流戦首位タイを死守する原動力となった。【山田愛斗】

◆阪神・前川右京外野手(21)がプロ初の「2番・左翼」で先発する。ここまで38試合の出場で打率・259、10打点。5月31日のロッテ戦(ZOZOマリン)では待望のプロ1号を放った。チームはこの日、大山悠輔内野手(29)が不振で2軍落ちするなど苦しい状況が続く。期待の若虎が自慢の打棒で暗雲を吹き飛ばす。阪神の先発は大竹耕太郎投手(28)。楽天との対決はソフトバンク時代の2022年以来2年ぶりで、19年以来の白星を狙う。

◆プロ野球歴代6位となる1215試合連続出場中の楽天・浅村栄斗内野手(33)が2試合続けてスタメンから外れた。同選手は5月25日の日本ハム戦から31打席連続無安打で、ここまで打率・204、4本塁打、25打点だった。今江敏晃監督(40)は試合前、「正解は僕にも分からないが、かなり大きな決断なので。彼が代打で出てくると、相手に与えるプレッシャーは相当なものがある。『おっー』と相手チームに思わせるのは、彼がこれまで作ってきた(実績による)もの。今、調子は悪いですけど、これはこちらの大きな戦力」と、終盤の勝負どころの代打として期待した。

◆阪神・前川右京外野手(21)が、プロ3年目で初めてとなる「2番・左翼」で先発した。今季の岡田虎では5人目の2番打者で、先発で最多出場は中野の51試合で打率・243。植田、梅野が1試合ずつでともに同・250。小幡は1試合で同・000。梅野が起用された試合では勝利したが、他の2人が入った試合はいずれも敗れた。またチームとしては今季55試合目で、36通り目の打順となった。

◆阪神・大山悠輔内野手(29)、ハビー・ゲラ投手(28)=前レイズ=が5日、出場選手登録を抹消された。大山は4番で迎えた今季、開幕から状態が上がらず、53試合の出場で打率・199、3本塁打、19打点だった。ゲラは4日の楽天戦(甲子園)で?回を3安打2失点。3試合連続失点で今季3敗目を喫していた。代わって5月27日に2軍降格となったシェルドン・ノイジー外野手(29)が再登録が可能となる6日に昇格する。また、同じく5月27日に抹消された井上広大外野手(22)も再昇格となる見通し。

◆阪神が最初の好機を逃した。一回先頭の中野が右翼線へ二塁打を放つと、プロ初の2番に座った前川が叩きつけるような強引な進塁打。二ゴロで1死三塁と先制機を演出した。しかし、3番・森下は初球を打ち上げて捕邪飛。さらに4番・近本が一ゴロに倒れて無得点に終わった。低調な打線を活性化させるため、岡田監督が決断した2番・前川。好機は作るも、クリーンアップが仕事を果たせなかった。

◆阪神が三回の攻撃前に円陣を組んだ。打順が一回りする前に円陣が行われるのは異例。水口栄二打撃コーチ(55)が指示を送り、平田勝男ヘッドコーチ(64)も加わった。阪神は4日の試合でわずか1得点。この日も一回に中野の二塁打と前川の進塁打で1死三塁の好機を作るも、森下が捕邪飛、近本が一ゴロで得点を奪えず。二回には糸原、渡辺、木浪がわずか5球で打ち取られていたが、この円陣の直後に前川に適時打が飛び出し、先制に成功した。

◆阪神・前川右京外野手(21)が先制の適時二塁打を放った。三回2死から1番・中野が右前打を放つと、プロ初の2番起用された前川が打席へ。フルカウントとし、内の151キロ直球を振り抜いた。打球は右中間を破る。スタートを切っていた中野が一気にホームへ。出場3試合ぶりの安打に、塁上で喜びを爆発させた。先制打を放った阪神・前川 「打ったのはストレート。チャンスの場面だったので、ゾーンにきた球は思い切ってスイングしていこうと思っていました。追い込まれていましたが、強くスイングすることができましたし、先制点を取ることができてよかったです」

◆阪神の好守が光った。1点を先行して迎えた四回。先発の大竹が辰己にヒットを許して無死一塁。続く鈴木大の強烈なライナーを一塁・渡辺が手をめいっぱい伸ばして捕球した。そのまま流れるように一塁ベースを踏んで飛び出した一走・辰己もアウトにし、ダブルプレーを完成させた。さらに五回は2死一、二塁と一打同点のピンチ。村林が鋭い打球を放つも、三塁・糸原がジャンプして好捕。好守連発で先発の大竹をもり立てた。

◆1-0で迎えた五回。先頭の坂本が三ゴロ失策で出塁する。大竹のバント失敗で走者が入れ替わって1死一塁から中野がこの日3本目の安打となる右前打でチャンスを拡大。前川も四球を選んで1死満塁となり、3番・森下が1ストライクから2球目の変化球に詰まりながらも中前に運んだ。森下はこれで2試合連続となる適時打。1点を追加し、5月25日の巨人戦(甲子園、○3-0)以来、8試合ぶりに2点のリードを奪った。五回に中前適時打を放った阪神・森下 「打ったのはフォーク。前の2打席ともチャンスでランナーをかえすことができていなかったので、どんな形でもランナーをかえしたいと思っていました。その中でも、まずは自分らしいスイングをしようと意識できたことが、いい結果につながったと思います」

◆阪神・近本光司外野手(29)が守備で甲子園を沸かせた。六回一死一塁で渡辺佳が中堅右への大飛球を放つ。虎党から悲鳴が上がったが、背走した近本が好捕。一走・鈴木大は二塁ベースを回っており、素早く一塁に送球してダブルプレーに。名手に大きな拍手が送られた。

◆阪神の先発・大竹耕太郎投手(28)は七回途中8安打無失点だった。走者を背負っても失点は防いだ。安打を許さなかったのは三回のみ。それでも表情を変えず、淡々とアウトを重ねた。四回は無死一塁で渡辺が一塁への痛烈ライナーを腕を伸ばして捕球し、飛び出した一走・辰己もアウトにしてダブルプレーを完成。六回1死一塁では渡辺佳の中堅への大飛球に近本が快足を飛ばして追いつくファインプレーで、こちらも飛び出した一塁走者をアウトにするなど守備にも助けられた。七回は1死から小深田に左前打を許し、2死を奪って代打・浅村が告げられたところで降板。5勝目の権利を持ってマウンドを降りると、ベンチから大きな声を出して救援陣を鼓舞した。先発の阪神・大竹 「相手投手のここまでの成績を見て、先制点を与えない投球を意識しました。左打者も多く、風はいつもとは逆でしたが、思い切ってインコースも使っていけました。いい守備に助けてもらって何とか無得点で抑えることができました」

◆阪神が2-0の七回、救援3人をつぎ込む継投策でリードを守った。先発の大竹はが1死から小深田に安打を浴びる。続く太田から見逃し三振を奪って2死一塁となったところで、楽天は代打・浅村をコール。ここで岡田監督は右の石井にスイッチした。しかし、右腕が中前打を浴びて2死一、三塁のピンチを招くと、左の1番・小郷のところで今度は左腕の島本にスイッチ。だが、四球で満塁としてしまうと、続く右の村林に対しては右腕の漆原をコールした。一打逆転の場面での登板となったが、カウント2-2から中飛に打ち取った。2死から3人が登板する執念の継投策で何とか無失点で切り抜けた。

◆阪神・岩崎優投手(32)が九回2死二塁で小郷に逆転2ランを浴びた。カウント3―1から投じた真っすぐは、坂本が外角に構えたミットとは反対のインコースへ。快音を残した白球が右翼席に吸い込まれると、虎党の悲鳴と怒号が甲子園に響いた。まさかの展開にベンチの岡田監督も?然(あぜん)とした表情を浮かべた。

◆阪神は守護神・岩崎優投手(32)が打たれ、楽天に逆転負けを喫した。プロ初の2番で出場した前川右京外野手(21)が三回2死一塁で中堅へ先制の適時二塁打。五回は1死満塁で森下翔太外野手(23)が中前適時打を放った。大山が登録抹消となったこの日、打順を組み替えて臨んだ一戦で6月に入って初めて2点のリードを奪った。先発の大竹耕太郎投手(28)は8安打を浴びるも七回途中まで無失点で5勝目。七回は中継ぎ3人をつぎ込み、最後は漆原が2死満塁のピンチを断って後続につないだ。だが、5番手の桐敷が八回に1点を失い、ゲラの登録抹消で唯一の守護神となった岩崎が九回に登板。2死二塁から小郷に逆転の2ラン本塁打を浴びた。これで2021年以来3年ぶりの甲子園5連敗となり、4カード連続の負け越しが決まった。

◆楽天が逆転勝ち。0―2の八回に内野ゴロの間に1点を返し、九回2死二塁から小郷が3号2ランを放って試合をひっくり返した。3番手の渡辺翔が3勝目、則本が13セーブ目。阪神は抑えの岩崎が痛恨の一打を浴びた。

◆阪神は2-3で逆転負けを喫し、4カード連続の負け越しとなった。甲子園では3年ぶりの5連敗だ。九回、楽天・小郷裕哉(奥)に逆転2点本塁打を許した阪神・岩崎優(手前)=甲子園球場(撮影・安部光翁)

◆阪神が逆転負けで、4カード連続負け越し。1点リードの九回2死二塁、岩崎優投手(32)が小郷裕哉外野手(27)に2ランを右翼席に運ばれた。前川右京外野手(21)、森下翔太外野手(23)の適時打で2点を先取したが、桐敷拓馬投手(24)が八回に1点を失い、岩崎が被弾した。最後は1死一、二塁としたが島田海吏外野手(28)が二ゴロ併殺に倒れた。2019年6月19日巨人戦ー6月27日DeNA戦以来、5年ぶり甲子園5連敗のチームは13戦4得点以下。大山悠輔内野手(29)、ハビー・ゲラ投手(28)のダブル抹消の中、4月19日以来の「貯金1」。岡田彰布監督(66)の主な一問一答は以下の通り(成績=26勝25敗4分、観衆=4万2615人)。ーー岩崎はまさか「ふっふっふっ。それは結果やろ。それまで2点じゃアカンていうね」ーー1点取った後、なかなか「いや、それはなかなかて、ずーっとやんか」ーー甲子園でも勝てない。打線か「そうそう、そういうことやろ」ーー中継ぎにも負担が「いや、2点やからやんか」ーー前川の2番は「点取るためやろ。いやいや、それは見たら分かるやんか。だからバッターが、どういう気持ちでね。俺、五回から言うてた。2点じゃ絶対にやられるでって言うてるんよ」ーーその中で前川が一本「うーん、そんなんよりも、2点で終わる打線がアカンって言うてるやん。打順何番に入れるとかそんなん、メンバー今おれへんねんから、なんとか点取るために、こっちは、やってるだけであって、お前」ーー三回の円陣は監督の指示か「知らん知らん、俺は知らん」ーー打者は奮起しないと「いや、そらもうずっとやんか。バッターが奮起って、そんなのもっと早い時期に書かんとアカンわ。今ごろ言ってもしゃあない。そんなもん、1点2点ばかりでのう。今さら言うても」

◆阪神は逆転負けで4カード連続負け越しとなった。甲子園では3年ぶりの5連敗だ。守護神の岩崎優投手(32)が1点リードの九回2死二塁で小郷に痛恨の逆転2ランを浴びた。三回にプロ初の2番に入った前川右京外野手(21)の適時二塁打で先制し、五回には森下翔太外野手(23)の適時打で6月に入って初めて2点のリードを奪った。だが、その後は追加点を奪えず、七回途中無失点で降板した先発の大竹耕太郎投手(28)の後を継いだ救援陣が踏ん張りきれなかった。(成績=26勝25敗4分、観衆=4万2615人)。プロ初の2番起用で先制の適時二塁打を放った前川「久しぶりに割り切っていけたかな、と思います。(中野に)『どんな感じの仕事をしたらいいですか?』みたいに聞いて、『普通に思い切って振ったらいいんちゃう』って感じやったんで」九回に逆転2ランを浴びた岩崎「申し訳ないです」先発して6回?を8安打無失点の大竹「長打にさせないというか、追い風だったので単打OKで投げました」七回二死満塁で登板し、ピンチを切り抜けた漆原「すごい声援だったので、勇気ももらいました」八回に1失点した桐敷「ザキさん(岩崎)にいい流れを渡せなかったので、そこは自分の反省するところ」五回に適時打を放った森下「自分が引っ張るっていうより、ほんとチーム全体で底上げしないといけないと思う」1番に入って3安打を記録した中野「まずはチームが勝てるような役割をするだけ」六回に飛球を好捕した近本「捕ることは捕ったので。走者がどれだけ出ているかなんて分かっていない。パッと見たときにすごく出ていたので、もうちょっと余裕を持っても良かったかな」

◆阪神で1994年に新人王に輝き、米大リーグのアスレチックス、ジャイアンツ、楽天と渡り歩き、日米通算91勝をマークしたサンケイスポーツ専属評論家の藪恵壹氏(55)がハビー・ゲラ投手(28)が不在、岩崎優投手(32)が不調の阪神投手陣に言及し、石井大智投手(26)の「八回の男固定プラン」を提案した。悔やまれる敗戦だ。九回に小郷に逆転2ランを浴びた場面。風はいつもの浜風とは違って、左から右に吹いていた。しかもカウント3-1になるまで、小郷は極端にかかとに重心をかけており、明らかに引っ張りの態勢。そこへ、岩崎は内角へ投げてしまった。完全な失投。それまでの投球は、調子の良さも感じていたが、あの一球はあまりにも、もったいない。抑えの失敗が目立っているので、苦しいだろうが、岩崎らしくない一球だった。しかも、2枚守護神の1人、ゲラを2軍に落とした直後の試合。何が何でも岩崎が抑えて勝たなければいけない試合だった。そういう意味でのショックは大きい。今年は、ショッキングな負け方が多すぎる気がする。現状で、岩崎の次に頼れるのは石井だと思っている。その石井を七回2死から投入(結果は代打・浅村に中前打)。4アウトセットアッパー(イニングまたぎ)だと見ていたが、〝一人一殺〟の決死の継投に突入したのも意外だった。岡田監督としては勝負をかけた、七回の継投だったのだろう。でも、この展開になってしまうと「もったいない」という印象になる。連投している投手が多く、そのしわ寄せが不安だ。今後に関しては、今すぐの岩崎の守護神交代は考えにくい。やはり頼らざるを得ない。とりあえず、一番力のある球を投げている石井を八回に固定すべきだろう。八回・石井、九回・岩崎は固定だ。さらに、ファームから1人、元気な中継ぎを昇格させて、残りの救援陣で踏ん張るしかない。岩崎も次、失敗すれば...という状況になっている。何とか、踏ん張ってもらいたい。ただ本当に問題なのは得点力不足。点を取って、ここまでチームを支えてきた投手陣を助けてほしい。

◆阪神・大竹耕太郎投手(28)はチームがあと1死で逆転されて白星を逃すも、6回?を投げて無失点と粘投した。「長打にさせないというか、風も(左打者への)追い風だったので、単打OKで投げました」。8安打を浴びるも連打は許さず。打球が野手の正面を突いたり、味方の好守もあり「いい守備に助けてもらって、何とか無失点で抑えることができました」と感謝した。

◆2戦続けて1番で出場した阪神・中野拓夢内野手(27)が今季4度目の猛打賞。一回に右翼への二塁打を放つと、三回は右前打で節目の通算500安打を達成した。続く前川の右中間への当たりで一塁から生還。五回にも安打を放って直近2戦で5安打と結果を残すリードオフマンは「自分の状態がどうこうというよりもチームの勝ちが一番なので、まずはチームが勝てるような役割をするだけ。またあした(6日)切り替えてやっていきます」と勝利への貢献を誓った。

◆4番の阪神・近本光司外野手(29)は五回1死満塁で一ゴロなど3度の得点圏で凡退。4打数ノーヒットで2試合連続無無安打だったが、中堅の守備ではさすがのプレーを見せた。2-0の六回1死一塁で渡辺佳の右中間深くの当たりを好捕。「パッと見たときにすごく出ていた」と一走・鈴木大が二塁ベースを回っていたことを確認し、すぐさま一塁へ返球して〝併殺〟に。それでも「もうちょっと余裕を持ってもよかったかなというのはありますね」とさらに高いレベルを追い求める。

◆阪神・森下翔太外野手(23)が3戦連続打点を記録した。五回1死満塁から、詰まりながらも中前に運ぶ適時打で2点目を加えた。一回1死三塁で捕邪飛に倒れており「思ったより高めのボールに手を出してしまった。反省を生かして2打席目以降、入りました」と修正力を発揮して2安打。それでも「1、2点だとピッチャーの負担がすごく大きい。点差があった方が投げやすいと思うので、そこは野手陣がしっかりとやっていきたい」と責任を背負った。

◆阪神・漆原大晟投手(27)が七回のピンチを断った。大竹の降板後、2死一塁で石井が代打・浅村に中前打、続く島本が小郷に四球を与えて2死満塁となったところで登板。「本当に気持ちで負けないように。自分をしっかり信じて」と強い気迫を持ってマウンドに上がり、村林を146キロ直球で中飛に打ち取って雄たけびを上げた。大歓声を受けて「勇気をもらいましたし力になった。これからも継続して、もっと応援してもらえる選手になっていけたら」と決意を新たにした。

◆阪神・石井大智投手(26)は2-0の七回2死一塁から、楽天が代打・浅村をコールしたところで2番手のマウンドへ。連投となった中、2球目の直球を中前打され、一、三塁とピンチが拡大したところで、左腕・島本に交代が告げられた。ただ、四球で2死満塁から登板した漆原が後続を断って得点を与えず、石井の連続無失点は12試合に伸びた。

◆悪夢は続くよ、どこまでも-。阪神は楽天に2-3で敗れた。ゲラが再調整で2軍落ちの中、岩崎優投手(32)が1点リードの九回2死二塁で小郷に逆転2ランを献上。4カード連続負け越しで甲子園では5連敗となった。貯金は1。貧打が投手陣を圧迫し、守りの岡田野球が崩壊。狂った歯車は戻らない。4万2615人を詰め込んだ甲子園に響く「あと一人」コールは悲鳴に変わった。漆黒の下に小郷の放物線が描かれる。また訪れた九回の悪夢。ただ一人の守護神となった岩崎もつかまった。「ふっふっふっ」岡田監督は試合後の会見で岩崎のことを問われると、?を緩めることなく、薄い笑みを浮かべていた。その矛先は2-1で迎えた九回2死二塁で逆転2ランを許した左腕に対して、ではない。「それ(岩崎)は結果やろ。それまで2点じゃアカンっていうね。俺、五回から言うてた、『2点じゃ絶対にやられるで』って」悪い予感は的中。坂本の外角要求に対し、内角球を投じた岩崎も失投だが、敗因はそこではない。

◆何番であろうとも、やるべきことは変わらない。プロ3年目、通算72試合目で初めて2番を任された。阪神・前川右京外野手(21)は役目を果たして、連夜の逆転負けの中でも意地を見せた。「チャンスの場面だったので、ゾーンにきた球は思い切ってスイングしていこうと思っていた。久しぶりに割り切っていけたかなと思います」水口打撃コーチを中心に円陣を組んだ三回。2死からの先制劇だった。この日2本目の安打で出塁した中野を一塁に置いて打席へ。フルカウントからの6球目。内角の直球を力強く右中間へ弾き返した。スタートを切っていた中野は悠々ホームイン。二塁に到達した前川は左拳を突き上げた。交流戦の打率は・278となった。チームは7試合で12得点しか挙げられていないが、そのうち5打点を前川が稼いでいる。昨年も6月にプロ初ヒット、初打点を挙げた交流戦男は健在だった。求められる役割は大きかった。岡田監督は2番起用について「点取るためやろ。いやいや、それは見たら分かるやんか」と説明。主に4番でチームを支えてきた大山を不振で欠く中で、いかに得点を奪うか―。考えられた末に中野、梅野、植田、小幡に続く今季5人目の2番打者として前川に白羽の矢が立った。

◆あれから1年...。涙は笑顔に変わった。楽天・小郷裕哉外野手(27)が1-2の九回2死二塁から右翼席に逆転の3号2ランを放った。「去年の阪神戦で悔しい思いをしていたので、何とか自分で決めるつもりだった。去年から成長した姿を見せられるようにと気合を入れてやっています。甲子園でのホームランは初めてで感慨深いし、これで子供に一生言えますね」昨年6月8日の阪神戦(楽天モバイルパーク)。八回に自身の落球をきっかけに逆転を許した。最後は小深田の逆転サヨナラ弾に救われたが、歓喜の輪の中で一人号泣する小郷の姿があった。岡山県出身ながら熱烈な虎党で、同じ右投げ左打ちの鳥谷敬の下敷きが宝物だった。倉敷マスカットスタジアムでの阪神主催試合は必ず観戦。『あと一人コール』の中での劇弾に、「僕も言っていたので(笑)、それを力に変えて打ちました」と胸を張った。ソフトバンクと並んで交流戦6勝2敗で首位を堅守した今江監督も「想像していなかった。ホームランはさすがに...」と驚きを隠せなかった。昨季は3番にも座った小郷だが、全国的な知名度はまだまだ。だからこそ、「セ・リーグ相手に活躍して、少しでも名前を覚えられるように」と話す。楽天は過去18回の交流戦で優勝もなく、MVP選手も輩出していない。その中、「自分が1番目に歴史に名を刻みたい」ときっぱり。涙の数だけ強くなれる。(東山貴実)

◆38年ぶりのアレ(日本一)に輝いた猛虎軍団がそのわずか半年後、先の見えない暗黒の闇に、もがき苦しむことになると誰が想像しただろう...。佐藤輝、大山、ノイジーのクリーンアップ全てが2軍落ち...。いや、それだけにとどまらずクローザーの外国人投手ゲラまでも下へ...。俺は60年プロ野球を見ているが、これほどまでに短期間に天国から地獄となった球団をかつて目にしたことがないのだ!! さすがわが阪神タイガース、アハハハハ...と涙にじませながら笑うしかねーよ!九回マウンドに上がればやられっぱなしなのに、岩崎を送り、小郷に逆転2ランを浴びた岡田采配...。「なんでや岩崎!」「岩崎はもーアカンやろ!!」と責める声があっていいよ! でも、俺は何度となくチームに勝利をもたらしてくれた岩崎をマウンドに送り出す岡田さんの気持ち(復活も込めて)は重々分かるだけに責められないのだ!! 満塁のチャンスに打線が打ってれば? それも分かり過ぎる程分かるけど...。それが阪神だから。その中で若虎前川、森下のタイムリーが闇にともるかすかな光と信じ前を向くしかねーんだよ!!

◆トラ番・中屋友那が大急ぎで甲子園に向かっていた。すでに阪神の練習が始まっている時間帯。といっても、遅刻ではない。ご心配なく。野球大好き、品行方正、時間厳守の超マジメな中屋が遅刻をするはずがない。2軍の残留練習(2軍本隊は広島戦のため、由宇に遠征中)を取材してから、甲子園に駆け付けてきたのだった。「大山さんを見守ってきました。2軍にはノイジーやサトテルさんもいます。昨年の日本一を支えたメンバーが、まさかのファームに...。ゲラもいて、青柳さん、岩貞さんも。このメンバーが一日も早く戻ってほしい、と祈りながら取材してきました」並んだ名前を聞きながら、岡田構想が崩壊していることを痛感した。不調、志願、調整...。理由は多種多様だが、この顔ぶれが鳴尾浜で練習していることは非常事態だ。セ・リーグのチームにとっては、最大の難所ともいえるセ・パ交流戦の時期に、この惨状が襲ってきているところにも、ことしの阪神の辛さがある。逆に言えば、指揮官の腕の見せどころではあるのだが。交流戦が始まったのが2005年。球史に残る画期的改革がスタートして20周年を迎えた。トラ番記者たちに「20年の思い出は?」と尋ねて歩いていたら、野球小僧がそのまま成長したような男、須藤佳裕に指摘されてしまった。「20年はコロナの影響で交流戦は開催されていません。よって、20周年ですが、19回目です」これは失礼。さすが、須藤記者! ほんの4年前のことを、もう失念していた。コロナ禍の思い出したくない記憶とともに〝消去〟していたのかも-。と、言い訳をした。始まった頃は、セ・パの対戦成績は拮抗していたが、10年頃から、パが一方的に勝ち始めた。ダルビッシュ、中田翔が日本ハムへ、田中将大が楽天へ...。各年度のドラフトの目玉が軒並みにパの球団へ入団したことも理由に挙げられた。

<交流戦順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差残試合 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(-)
ソフトバンク
620 0.750
(↑0.036)
-
(-)
1024
(+5)
14
(+1)
3
(-)
6
(-)
0.232
(-)
1.570
(↑0.08)
1
(-)
楽天
620 0.750
(↑0.036)
0
(-)
1030
(+3)
23
(+2)
5
(+1)
5
(-)
0.271
(↑0.011
2.730
(↑0.27)
3
(2↑)
ロッテ
422 0.667
(↑0.067)
1
(-)
1025
(+4)
37
(+3)
4
(+1)
3
(+1)
0.256
(↓0.008)
4.380
(↑0.19)
4
(3↓)
巨人
530 0.625
(↓0.089)
1
(↓1)
1042
(+3)
19
(+4)
3
(-)
6
(+1)
0.285
(↓0.008)
2.290
(↓0.23)
5
(1↓)
日本ハム
430 0.571
(↓0.096)
1.5
(↓1)
1134
(-)
18
(+6)
6
(-)
1
(-)
0.307
(↓0.016)
2.290
(↓0.33)
6
(-)
DeNA
440 0.500
(↓0.071)
2
(↓1)
1025
(+1)
29
(+2)
7
(+1)
2
(+1)
0.256
(↑0.001)
3.360
(↑0.2)
7
(2↑)
ヤクルト
332 0.500
(↑0.1)
2
(-)
1029
(+7)
29
(+2)
6
(+2)
5
(+1)
0.233
(↑0.006)
3.500
(↑0.23)
8
(2↑)
ORIX
350 0.375
(↑0.089)
3
(-)
1016
(+2)
27
(+1)
1
(+1)
5
(-)
0.218
(↓0.006)
3.130
(↑0.3)
8
(2↑)
広島
350 0.375
(↑0.089)
3
(-)
1028
(+6)
23
(-)
4
(+1)
3
(-)
0.238
(↑0.002)
2.290
(↑0.34)
8
(1↓)
中日
350 0.375
(↓0.054)
3
(↓1)
1011
(+1)
16
(+5)
2
(-)
4
(-)
0.194
(↓0.001)
1.210
(↑0.02)
8
(1↓)
西武
350 0.375
(↓0.054)
3
(↓1)
1015
(+2)
28
(+7)
4
(-)
2
(+1)
0.188
(↑0.003)
3.210
(↓0.6)
12
(-)
阪神
160 0.143
(↓0.024)
4.5
(↓1)
1112
(+2)
28
(+3)
2
(-)
2
(-)
0.206
(↑0.006
3.120
(↑0.02)

<セ・リーグ順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差残試合 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(-)
巨人
28244 0.538
(↓0.011)
-
(-)
87155
(+3)
137
(+4)
24
(-)
31
(+1)
0.238
(-)
2.300
(↓0.03)
2
(-)
広島
25224 0.532
(↑0.01)
0.5
(↓1)
92158
(+6)
129
(-)
24
(+1)
27
(-)
0.241
(-)
2.320
(↑0.04)
3
(-)
阪神
26254 0.510
(↓0.01)
1.5
(-)
88161
(+2)
156
(+3)
25
(-)
17
(-)
0.221
(↑0.001
2.290
(↓0.01)
4
(-)
DeNA
25281 0.472
(↓0.009)
3.5
(-)
89173
(+1)
199
(+2)
28
(+1)
32
(+1)
0.246
(-)
3.330
(↑0.02)
5
(-)
中日
23275 0.460
(↓0.009)
4
(-)
88137
(+1)
164
(+5)
22
(-)
17
(-)
0.234
(↓0.001)
2.590
(↑0.03)
6
(-)
ヤクルト
21294 0.420
(↑0.012)
6
(↑1)
89190
(+7)
186
(+2)
38
(+2)
25
(+1)
0.237
(↑0.001)
3.290
(↑0.03)

<パ・リーグ順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差残試合 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(-)
ソフトバンク
35152 0.700
(↑0.006)
-
(-)
91221
(+5)
116
(+1)
34
(-)
40
(-)
0.257
(-)
1.980
(↑0.02)
2
(1↑)
ロッテ
28205 0.583
(↑0.009)
6
(-)
90164
(+4)
174
(+3)
25
(+1)
19
(+1)
0.245
(↓0.001)
3.020
(-)
3
(1↓)
日本ハム
29212 0.580
(↓0.012)
6
(↓1)
91186
(-)
158
(+6)
27
(-)
45
(-)
0.250
(↓0.001)
2.700
(↓0.03)
4
(-)
楽天
24281 0.462
(↑0.011)
12
(-)
90171
(+3)
220
(+2)
19
(+1)
36
(-)
0.241
(↑0.002
3.880
(↑0.06)
5
(-)
ORIX
22302 0.423
(↑0.011)
14
(-)
89160
(+2)
175
(+1)
18
(+1)
24
(-)
0.240
(↓0.001)
2.880
(↑0.03)
6
(-)
西武
18350 0.340
(↓0.006)
18.5
(↓1)
90133
(+2)
195
(+7)
27
(-)
25
(+1)
0.210
(-)
3.280
(↓0.08)