ロッテ(☆5対4★)阪神 =交流戦1回戦(2024.05.31)・ZOZOマリンスタジアム=
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阪神
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ロッテ
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勝利投手:鈴木 昭汰(1勝0敗3S)
敗戦投手:漆原 大晟(0勝2敗0S)

本塁打
【阪神】前川 右京(1号・6回表2ラン)

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◆ロッテがサヨナラ勝利で連勝を10に伸ばした。ロッテは3-4で迎えた9回裏、高部の犠飛で同点とする。続く延長10回には、2死満塁から小川が押し出し四球を選び、試合を決めた。投げては、4番手・鈴木が今季初勝利。敗れた阪神は、救援陣が踏ん張りきれなかった。

◆阪神が左打者を並べたオーダーで連敗ストップを狙う。8番左翼で島田海吏外野手(28)が今季初の先発出場。5番三塁で糸原、6番DHに前川、7番遊撃で木浪が出場。打者9人中6人が左打者のオーダーで、ロッテ先発右腕の美馬攻略へ向かう。阪神は青柳晃洋投手(30)が先発。17日ヤクルト戦(甲子園)以来、2週間ぶりの1軍戦で今季2勝目を目指す。

◆阪神が泥臭く先制した。2回2死二、三塁で坂本誠志郎捕手(30)が三塁への適時内野安打。ボテボテの当たりに全力疾走し1点をもぎ取った。チームは8試合連続で3得点以下と打線が湿り気味。貴重な得点を必死でつかんだ。

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◆阪神青柳晃洋投手(30)が場内のロッテファンからブーイングを浴びた。3回、先頭打者・友杉に中前打、続く和田に四球を与えると、塁上の走者へけん制するそぶりを見せた青柳は、場内のロッテファンからブーイングを浴びた。昨年甲子園で行われたロッテとの交流戦でも、けん制を行う阪神の加治屋蓮投手(32)に対し、左翼席のロッテファンからブーイングを浴びていた。

◆阪神前川右京外野手(21)が、待望のプロ1号アーチを放った。2点ビハインドの6回無死一塁。ロッテ美馬からZOZOマリンの右翼席へ飛び込む同点2ランを決めた。プロ通算69試合、196打席目での初本塁打。若武者の貴重な一撃で、試合を振り出しに戻した。「打ったのはストレート。もうとにかく必死にくらいついて、後ろにつないでいく気持ちでした。前の打席からいい形でスイングできていましたし、チームに貢献することができてうれしいです。次の打席も打てるように頑張ります」とコメントした。高卒3年目の阪神前川がプロ1号。阪神で交流戦でプロ1号を放った生え抜き選手は07年庄田隆弘、13年柴田講平、14年緒方凌介、17年岡崎太一に次いで5人目。高卒選手が交流戦でプロ1号を記録するのは球団初だ。前川は智弁学園(奈良)出身で、庄田と岡崎も同校から大学や社会人を経由してプロ入りした。前川右京(まえがわ・うきょう)2003年(平15)5月18日生まれ、三重県津市出身。智弁学園では甲子園に3度出場し、3年夏は6試合通算22打数10安打(打率4割5分5厘)、2本塁打、7打点で準優勝に貢献した。21年ドラフト4位で阪神入団。昨年5月30日西武戦で1軍初出場。176センチ、83キロ。左投げ左打ち。今季推定年俸850万円。

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◆阪神前川右京外野手(21)が、しぶとく勝ち越しの一打を決めた。3-3で同点の7回2死二塁。ロッテ菊地の146キロ直球にバットを折られながらも右前適時打。これで1点の勝ち越しに成功した。前川は4回に二塁打、6回には同点のプロ1号2ランアーチを放っており、これで三塁打が出ればサイクル安打となる。プロ3年目の若武者が、今季チーム初となったDH起用に応えて見せた。

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◆阪神大山悠輔内野手(29)に、久しぶりに長打が出た。同点の7回1死、ロッテ菊地から右中間を破る二塁打を放った。11日DeNA戦以来、自身65打席ぶりとなる長打。この日も2つの三振を喫するなど苦しんでいるが、打開の一打となるか。

◆阪神坂本誠志郎捕手(30)が、珍しくお手玉した。8回無死、ロッテ愛斗のファウルゾーンへの飛球をファンブル。ボールはその後、バックネットに当たり、判定はファウルとなった。キャッチしていればアウトだっただけに、痛いプレー。それでも直後に左腕岩崎が空振り三振に仕留め、事なきをえた。

◆阪神ハビー・ゲラ投手(28)が、またも精彩を欠いた。1点リードの9回に登板。1死満塁で高部に左犠飛を浴び、土壇場で同点に追いつかれた。ゲラは26日巨人戦に続き、来日初の2試合連続の失点。試合は延長戦へ突入した。

◆阪神がまさかのサヨナラ負けを喫し、今季ワーストの4連敗となった。交流戦は開幕からこれで3連敗。巨人が勝利したため、4月19日以来の3位転落となった。1点リードで迎えた9回、ダブル守護神の一角、ハビー・ゲラ投手(28)が先頭の友杉に中前打を許すと、連続四球を与えるなど制球定まらず、左犠飛で同点。延長戦にもつれ込むと、そのまま力尽き、これで引き分けを挟んで10連勝となったロッテの勢いにのみ込まれた。プロ3年目の前川右京外野手(21)がヒーローになるはずだった。2点を追う6回無死一塁。ロッテ美馬の直球を捉えて、ZOZOマリンスタジアムの右翼席へ飛び込む同点2ランを決めた。プロ通算69試合、196打席目での初本塁打。記念の1号で、試合を振り出しに戻すと、さらに7回2死二塁、ロッテ菊池の直球に詰まりながらも右前に運び一時勝ち越し打を放ったが、幻の決勝打となった。中13日で先発した阪神青柳晃洋投手(30)は、4回8安打3失点で88球を要す苦しい投球。1点リードの3回先頭の友杉に中前打、和田に四球を与えると、2死三塁から小川に三塁線へセーフティーバントを決められ同点。4回は先頭のポランコに左翼フェンス直撃の二塁打を浴びると、左翼島田の悪送球もあり無死三塁のピンチを招き、この回2点を失った。2番手島本から石井、桐敷、岩崎とリリーフ陣が無失点リレーしたが、最後にあと1歩及ばなかった。

◆ロッテが3夜連続となる延長戦を制し、19年ぶりの10連勝(4分け挟む)に到達した。4-4の同点で迎えた延長10回、2死満塁とし小川がサヨナラ押し出しを選んだ。土壇場で追いついた。1点ビハインドで敗戦目前だった9回、先頭の友杉が中前打で出塁すると、和田が犠打を成功させて1死二塁。代打ソトと小川が連続四球で塁を埋め、高部が阪神ゲラの直球を高々と左翼へ打ち上げた。犠飛には十分な深さで三走の友杉が生還した。序盤から、リードされては追いついてのしぶとさを発揮した。1点を追う3回には、今季初めて2番起用された小川が2死三塁からセーフティースクイズを敢行。青柳の外角球を三塁線に転がし「何とか最善の策を考えて、とにかく同点に追い付くことだけ考えました!」と、気合のヘッドスライディングで一塁に滑り込んだ。10連勝は日本一に上り詰めた05年以来。貯金は今季最多の8となった。ロッテが14日オリックス戦から4分けを挟んで10連勝。ロッテの10連勝はバレンタイン監督で日本一になった05年の4月19日から5月4日までに12連勝して以来、19年ぶり。12年に巨人が3分けを挟んで10連勝したが、4分けを挟んでの2桁連勝はプロ野球史上初。ロッテの2桁連勝は通算9度目だが、過去8度はいずれも最終順位で3位以内に入っている。ZOZOマリンでは10年以来14年ぶりの8連勝。球団の本拠地最多連勝記録(05年の10連勝)まであと2勝に迫った。

◆阪神がロッテにサヨナラ負けで今季最長の4連敗となった。昨年日本一チームの阪神が交流戦初戦から3連敗。両リーグともに交流戦で初戦から3連敗したチームのリーグ優勝はなく、V率は0%。過去のリーグ優勝チームの交流戦初戦からの連敗は2が最長だった。

◆阪神漆原大晟投手(27)が、サヨナラの押し出し四球を与えた。4-4で同点の延長10回に登板。2死までは簡単にとったが、安打と四球で満塁のピンチをつくり、最後は小川に四球を与えた。「見ての通りです。結果がすべてなので、しっかり次は...」とうつむきながら、球場を後にした。漆原は自身8試合ぶりの失点。今季2敗目は、痛い黒星となった。▽阪神青柳(4回8安打3失点)「特にないです。すみません」▽阪神漆原(延長10回に押し出し四球でサヨナラ負け)「見ての通りです。結果がすべてなので、しっかり次は...」▽阪神ゲラ(9回に登板し1点リードを守り切れず)「ゾーンに投げきれなかったと思います」

◆阪神岡田彰布監督(66)は試合後、「もうええわ」と静かに吐き捨て、取材に応じなかった。サヨナラ負けで4連敗を喫した。ゲラが、またも精彩を欠いた。1点リードの9回に登板。先頭の友杉に中前打を許すと、そこからなかなかストライクが入らない。9番和田は3ボールとしながら、なんとか粘って犠打を決めさせた。代打ソト、2番小川には連続四球。簡単に1死満塁のピンチをつくってしまった。3番高部には左翼への飛球を打ち上げられた。犠牲フライには十分な距離。左犠飛で同点に追いつかれた。助っ人右腕は26日巨人戦に続き、来日初となる2試合連続での失点。前川の2ラン&一時勝ち越しとなる適時打などでつくったリードを守り切ることができなかった。4月は13試合に登板し防御率1・38。安定感抜群で岩崎とのダブル守護神の一角を担ってきた。ただ、5月はこれで3度失点。「体に疲労がたまっているんでしょうけど、それも当然のこと。覚悟していることなので、問題はありません」と、これまでも語ってきた。来日1年目。ここが前半戦の踏ん張りどころだろう。先発青柳が4回3失点で降板した後、島本、石井、桐敷、岩崎とブルペン陣で無失点リレーをつないできたが、頼みの右腕が崩れた。最後は7番手漆原が4-4の延長10回に押し出し四球を与えてジ・エンド。前回登板で失点していた岩崎が無失点投球だったのは明るい材料だが、接戦をものにするにはゲラの復調も欠かせない。昨年日本一チームの阪神が交流戦初戦から3連敗。両リーグともに交流戦で初戦から3連敗したチームのリーグ優勝はなく、V率は0%。過去のリーグ優勝チームの交流戦初戦からの連敗は2が最長だった。阪神が26日巨人戦から今季最長の4連敗。4月10日広島戦から同13日中日戦にかけての3連敗(1分けはさむ)を上回った。阪神は5月最後の試合に敗れ、10勝13敗1分けの勝率4割3分5厘で終えた。昨年は球団月間最多タイ19勝を記録するなど勝ち星を稼いだが今年は借金3となった。昨年の5月は1試合平均4・4得点だったが今年は2・7得点と得点力不足が響いた。

◆ロッテが3夜連続となる延長戦を制し、19年ぶりの10連勝(4分け挟む)に到達した。4-4の同点で迎えた延長10回、2死満塁とし小川がサヨナラ押し出しを選んだ。土壇場で追いついた。1点ビハインドで敗戦目前だった9回、先頭の友杉が中前打で出塁すると、和田が犠打を成功させて1死二塁。代打ソトと小川が連続四球で塁を埋め、高部が阪神ゲラの直球を高々と左翼へ打ち上げた。犠飛には十分な深さで三走の友杉が生還した。ロッテが14日オリックス戦から4分けを挟んで10連勝。ロッテの10連勝はバレンタイン監督で日本一になった05年の4月19日から5月4日までに12連勝して以来、19年ぶり。12年に巨人が3分けを挟んで10連勝したが、4分けを挟んでの2桁連勝はプロ野球史上初。ロッテの2桁連勝は通算9度目だが、過去8度はいずれも最終順位で3位以内に入っている。ZOZOマリンでは10年以来14年ぶりの8連勝。球団の本拠地最多連勝記録(05年の10連勝)まであと2勝に迫った。

◆虎に希望のアーチだ! 「日本生命セ・パ交流戦」のロッテ戦(ZOZOマリン)で阪神の若武者が躍動した。6番DHで出場した高卒3年目の前川右京外野手(21)が6回にプロ1号となる2ランを右中間席に運んだ。前日30日まで8戦連続3得点以下だったチームに4点目を刻んだ。4回に二塁打を放ち、7回にも右安打。試合は延長10回4-5でサヨナラ負けを喫したが、未来の大砲と期待される男が覚醒の猛打賞だ。絶対に投手に胸は見せない-。阪神前川は強い気持ちで「ツイスト打法」に挑戦している。智弁学園時代に興味を持ち、年ごとに本格化。練習では極端なほど逆方向に腰をひねる動作を入れる時もある。「習慣づけです。捻転差を自然に作れるようにしたい。直球も変化球にも対応できるようにと思ってやっています。ちょっとずつできてきているので、去年に比べたら成長しているのかな」。追い込まれても、食らいつける技術は弱冠21歳にしてハイレベルだ。現役時代の巨人阿部監督や巨人丸で有名な打法。もちろん前川も知っているが「全然あそこまでではないです」と頭をかく。強い下半身がないと実現できないが、オフからの綿密な体作りと合わせ、技術の取り組みがかみ合ってきた。あつかうバットも特長的。昨年まで阪神にいた小柄な中日山本のバットを昨年、そっくりそのままコピー。豪快なスラッガータイプと思いきや、軽くて振り抜きやすいタイプをあえて選び、確実なコンタクトを目指す。前川を支えるフォームと道具。「右京の相棒」は3年目の飛躍に欠かせない。【阪神担当 柏原誠】

◆苦しいサヨナラ負けを喫し、阪神岡田彰布監督(66)は試合後、報道陣の取材に応じなかった。「もうええわ」。感情を押し殺すように、静かな口調で一言だけ。そう言い残して、球場を後にした。まさかの形で今季ワースト4連敗を喫した。1点リードのまま迎えた9回。マウンドに上がったのは、ダブル守護神の一角ゲラ。しかし、先頭の友杉に中前打を浴びると、犠打のあとに連続四球を出して1死満塁。犠飛で同点に追いつかれると、流れはロッテに渡ってしまった。延長10回に登板したのは漆原。2死まで奪った後、2本の安打と四球で満塁のピンチを招くと、フルカウントから小川に押し出し四球。これで引き分けを挟んで10連勝としたロッテの歓喜を、横目で見るしかなかった。連敗ストップまであと1歩だった。プロ1号を放った前川が、7回に一時勝ち越し打をマークし4点目。30日の日本ハム戦(甲子園)まで、8戦連続3得点以下だった低空飛行を抜け出した。9回には1死から代打渡辺、原口と連続で送り、原口が左前打を放つとすかさず代走熊谷を出した。しかし、好機はここで止まり追加点とはならなかった。これで交流戦開幕から3戦白星なし。この試合前まで3位だった巨人が勝利したため、4月19日以来の3位転落となった。勝ちきれない阪神に、負のデータがつきまとう。両リーグともに、交流戦で初戦から3連敗したチームのリーグ優勝はなく、これまでのV率は0%。覆すには、勝つしかない。連勝街道を突き進むパ2位に浮上したロッテの食い止めることはできるか。ここで負の流れを断ち切って、連勝ロードに戻りたい。【磯綾乃】

◆虎に希望のアーチだ! 「日本生命セ・パ交流戦」のロッテ戦(ZOZOマリン)で阪神の若武者が躍動した。6番DHで出場した高卒3年目の前川右京外野手(21)が6回にプロ1号となる2ランを右中間席に運んだ。前日30日まで8戦連続3得点以下だったチームに4点目を刻んだ。4回に二塁打を放ち、7回にも右安打。試合は延長10回4-5でサヨナラ負けを喫したが、未来の大砲と期待される男が覚醒の猛打賞だ。打球は大きな弧を描いて右中間スタンドに吸い込まれた。一塁を駆け抜けたところで右手人さし指を空へと突き上げた。ベンチに戻ると待ち構えた先輩に頭をポンポンとたたかれ、白い歯をキラリと光らせた。前川がプロ1号2ランを決めた。完璧に捉えた。「6番DH」でスタメン出場。2点ビハインドの6回無死一塁。ロッテ美馬の7球目、高めの直球をフルスイング。右翼席へ飛び込む同点2ランを決めた。貴重な一撃で、試合を振り出しに戻した。「ワンチャンかなって感じでした。結構入ってくれ!って感じで、ギリギリかなと思って。入ってくれたのでよかったです」プロ通算69試合、196打席目で待望のプロ初アーチだ。「長すぎましたね。ホームランバッターじゃないのでなんとも言えないですけど、やっと打てたかな」と胸をなで下ろした。今季は高卒3年目で初めて開幕スタメンを勝ち取った。だが、東京ドームでのビジター開催。家族へのチケットを準備できなかった。開幕2戦目、3月30日巨人戦のチケットをプレゼント。家族は父・栄二さんが運転する車で三重から約6時間かけ東京ドームへ応援に駆けつけた。しかし出場機会はなし。それでも父は「姿を見られてよかった」と喜んだ。母とは今オフに毎年恒例のイチゴ狩りに出かけた。一緒にランチに出かけるほど仲が良く、自ら店を選んでサンドイッチをほおばった。プロ入り後に財布をプレゼントし、喜んでくれたこともあった。「これからは僕が恩返しできるように」。21歳が豪快な1発で親孝行。ホームランボールは「家族に渡したいなと思います」と思いを込めた。虎打線の救世主になった。前日30日まで8戦連続3得点以下だったチームに4点目を刻んだ。4回に二塁打を放ち、6回に1号2ラン、7回には一時勝ち越しの右適時打で、三塁打が出ればサイクル安打という活躍。今季チーム初のDH起用に応えた。だが、延長10回にサヨナラ負け。試合後真っ先に口にしたのは「勝ちたかった」。近い将来の主砲として期待される背番号58が、勝利に導くアーチを重ねる覚悟だ。【村松万里子】▽阪神前川の恩師、智弁学園・小坂将商監督 196打席目の1本、うれしいですね(笑い)。右京はシーズン中も「また頑張ります」などこまめに連絡をくれる、かわいいやつです。開幕スタメンの時は、緊張すると思い「143試合のうちの1試合だと思って」と送りました。本人が一番打ちたかったと思う。これでコツをつかんで、どんどん打ってほしいです。高卒3年目の阪神前川がプロ1号。阪神で交流戦でプロ1号を放った生え抜き選手は07年庄田隆弘、13年柴田講平、14年緒方凌介、17年岡崎太一に次いで5人目。高卒選手が交流戦でプロ1号を記録するのは球団初だ。前川は智弁学園(奈良)出身で、庄田と岡崎も同校から大学や社会人を経由してプロ入りした。前川右京(まえがわ・うきょう)2003年(平15)5月18日生まれ、三重県津市出身。智弁学園では甲子園に3度出場し、3年夏は6試合通算22打数10安打(打率4割5分5厘)、2本塁打、7打点で準優勝に貢献した。21年ドラフト4位で阪神入団。昨年5月30日西武戦で1軍初出場。176センチ、83キロ。左投げ左打ち。今季推定年俸850万円。

◆中13日で先発した阪神青柳晃洋投手は、4回8安打3失点で88球を要す苦しい投球となり、出場選手登録を抹消される方向となった。代わって、西純がロングリリーフ要員として1軍昇格することが濃厚だ。青柳は1-0の3回2死三塁で、セーフティーバントを決められ同点に追いつかれると、4回は先頭のポランコに左翼フェンス直撃の二塁打を浴び、味方の悪送球もからみ2失点。「試合のリズムを作ることができず、4イニングで交代となってしまい悔しいです」。今季は開幕投手を務めるも、ここまで8試合の先発で1勝3敗、防御率3・83。代わって先発候補として、1番手に伊藤将が挙がる。

◆虎に希望のアーチだ! 「日本生命セ・パ交流戦」のロッテ戦(ZOZOマリン)で阪神の若武者が躍動した。6番DHで出場した高卒3年目の前川右京外野手(21)が6回にプロ1号となる2ランを右中間席に運んだ。前日30日まで8戦連続3得点以下だったチームに4点目を刻んだ。4回に二塁打を放ち、7回にも右安打。試合は延長10回4-5でサヨナラ負けを喫したが、未来の大砲と期待される男が覚醒の猛打賞だ。両親もプロ初本塁打をテレビで観戦していた。父・栄二さんは「いい形で振れとったし、昨日(30日)凡退したけどスイングが良くなっていた気がした。打った瞬間、いくかなという感じで見ていたけど、入ってよかったです」と喜んだ。5月16日の栄二さんの誕生日には中日戦(バンテリンドーム)で安打を放ち、「ヒットプレゼントっていう感じで(メッセージを)送ってくれた」という孝行息子。プロ3年目で飛躍する愛息に「今まで通り、ノビノビとやってくれたら。1人の右京のファンとして応援したい」と思いを寄せた。

◆阪神の4番大山悠輔内野手(29)が65打席ぶりの長打で、後輩の一打をお膳立てした。無安打で迎えた、同点の7回1死。カウント2-2から菊地の133キロ変化球を捉え、右中間を破る二塁打を放った。5月11日DeNA戦(横浜)以来の長打。その後、前川の右前適時打につながった。5月は月間打率1割8分2厘と苦しんだが、6月に持ち越すことなくトンネルを抜けた。試合後は「明日があるので。頑張ります」と話し、球場を後にした。

◆しぶとく粘って19年ぶりの10連勝を飾った。ロッテが5月31日、「日本生命セ・パ交流戦」阪神1回戦(ZOZOマリン)で、延長10回2死満塁から小川龍成内野手(26)が押し出し四球を選んでサヨナラ勝ちした。前カードのヤクルト戦から3夜連続で土壇場の9回に追いつき、延長戦に持ち込む熱戦を展開。5月は14日以降、4引き分けを挟んで14試合負けなし。貯金を今季最多の8として2位に浮上し、交流戦では単独首位に立った。いつもかける側だったバケツの水を、かけられる側のヒーローになった。ロッテ小川は笑った。「初めての経験でしたけど、めちゃくちゃ冷たかったです」。10回2死一、二塁から岡が左前打でつないでくれ、満塁でこの日6度目の打席に立った。6球目が外角低めに外れるのを落ち着いて見極めた。押し出し四球。力強くこぶしを握り締めた。またも土壇場で追いついた。敗戦目前だった9回、先頭の友杉が中前打で出塁すると、和田が犠打を決めて1死二塁。代打ソトと小川が連続四球で塁を埋めると、高部が同点の左犠飛を放った。3日連続の延長戦へと突入。小川は「投手、野手一丸となって粘り強く戦っていると思います」と充実感をにじませる。序盤から、リードされては追いついた。しぶとさを発揮したのが小川だった。1点を追う3回2死三塁でセーフティースクイズを敢行。「2死だったんで、自分がかえすしかない。できることは何だろうと考えた時に、サードの守備位置も見て勝負できるなと思いました」。自ら判断し、阪神青柳の外角球を三塁線に転がして頭から一塁に滑り込んだ。藤岡が右肩痛で離脱してから、11試合連続で二塁定位置に就いている。9番、8番と下位から打線を支えてきたが、今季初めて2番に"格上げ"された。「キャンプの時から『おれの出番はまだかー!』っていうのがにじみ出るくらい練習してた。おれを使えっていうオーラが出てた」と吉井監督。これで自身6試合連続安打、マルチ安打も5試合連続。全6打席出塁と起用に応えるガッツを見せている。チームは14日以降、10勝4分けの負けなしで5月を締めた。貯金は8にのびた。日本一に上り詰めた05年以来となる破竹の10連勝にも、吉井監督は「そうですか。よかったです」とひょうひょう。3日連続の延長戦はしんどい。心も体も疲弊する。それでもやっぱり、勝利の余韻は心地よい。【鎌田良美】ロッテが14日オリックス戦から4分けを挟んで10連勝。ロッテの10連勝はバレンタイン監督で日本一になった05年の4月19日から5月4日までに12連勝して以来、19年ぶり。12年に巨人が3分けを挟んで10連勝したが、4分けを挟んでの2桁連勝はプロ野球史上初。ロッテの2桁連勝は通算9度目だが、過去8度はいずれも最終順位で3位以内に入っている。ZOZOマリンでは10年以来14年ぶりの8連勝。球団の本拠地最多連勝記録(05年の10連勝)まであと2勝に迫った。

◆ロッテの19年ぶり10連勝の要因を、担当記者が投打で分析した。

◆ロッテ・田中晴也投手(19)が1日の阪神戦でプロ初先発する。キャッチボールや走り込みをして調整し「自分としても待ってた日。2軍で良い準備ができていると思うので、明日は自分らしいピッチングができればいい」と闘志を燃やした。新潟・日本文理高から2023年にドラフト3位で入団。186センチ、94キロと分厚い体をダイナミックに使った力感のないフォームから繰り出す伸びのある直球を武器とする本格派右腕だ。最速は151キロ。今季はイースタン・リーグで6試合に登板し1勝1敗、2・87。前回21日のイースタンリーグ、日本ハム戦では5回7安打1失点と力投をみせていた。阪神とは今季のオープン戦で対戦。2回3安打2失点だった。それでも「自分も初先発ですし、逆に相手もこっちもあまり情報がない中だと思う。まずはしっかり自分のボールを投げるってことをしっかりとやって、その中で1人1人のバッターと対戦していければいい」と見据えた。同じく高卒2年目の5月にプロ初先発は果たした佐々木からは「頑張れよ」とエールを送られた。29日の練習でブルペン投球をした際に吉井監督からは「しっかりと変化球の高さは気を付けながら投げてほしい」と助言ももらった。田中晴は「ここからがやっぱ勝負の世界にやっと入れたと思う。うれしい気持ちと、やってやるぞという気持ちです」と力を込めた。

◆阪神は30日の日本ハム戦(甲子園)でマルチ安打の森下翔太外野手(23)が1試合で3番に復帰。5番に糸原が入り、「6番・DH」で前川右京外野手(20)が先発。「8番・左翼」の島田海吏外野手(28)が今季初スタメンとなった。青柳晃洋投手(30)は17日のヤクルト戦(甲子園)以来2週間ぶりの先発で今季2勝目を目指す。

◆阪神・森下翔太外野手(23)が試合前練習でフェンス際の打球を入念に確認。ラバーに足をかければフェンス上部の球でも届くため、試合に入れば「ザ・キャッチ」が実現するかもしれない!?ZOZOマリンは海沿いにあり、強風で有名。守る側としては神経を使うが、攻守で貢献しようという必死さがうかがえた。

◆阪神は二回、坂本誠志郎捕手(29)の内野安打で先制した。泥臭く先手を奪った。2死二、三塁でこの日最初の打席を迎え、スライダーを引っかけてボテボテの当たりが三塁手の前を転がった。26日の巨人戦(甲子園)以来3試合ぶりの先制点で、坂本は14日の中日戦(豊橋)以来の打点を記録。続く近本が四球を選んで2死満塁と好機が続いたが、中野は二ゴロに倒れた。

◆阪神・青柳晃洋投手(30)は1―1の四回に勝ち越しを許した。1点を争う展開で先手を奪われた。1―0の三回は2死三塁から小川にセーフティースクイズを決められて同点に追いつかれ、四回は先頭のポランコが左翼フェンス直撃の二塁打。さらに送球が乱れる間に三塁進塁を許すと、続く安田が犠飛を放って2点目を奪われた。なお2本の安打を浴びて2死一、二塁のピンチを招き、和田に右翼への適時打を浴びて3点目を失った。17日のヤクルト戦(甲子園)に先発して6回4失点で負け投手となり、出場選手登録を抹消されて以来の登板だったが、粘りのロッテ打線を相手に四回まで88球を投じて8安打を浴びるなど苦しいピッチングとなり、五回から島本にマウンドを譲った。

◆阪神・前川右京外野手(20)が1―3の六回、プロ1号2ランを放って同点に追いついた。「打ったのはストレート。もうとにかく必死に食らいついて、後ろにつないでいく気持ちでした。前の打席からいい形でスイングできていましたし、チームに貢献することができて嬉しいです。次の打席も打てるように頑張ります」期待の若虎に待望の第1号が飛び出した。この回先頭の糸原が中前打で出塁し、迎えた前川の第3打席。直球を捉えて右翼スタンドへ運んだ。昨季1軍デビューを果たし、高卒3年目を迎えた今季、通算196打席目で値千金の一発。試合を振り出しに戻した。

◆阪神・前川右京外野手(20)が3―3の七回、勝ち越しの適時打を放った。また打った。同点弾の直後、今度はリードを奪った。1死から大山が右翼への二塁打で出塁し、2死二塁で迎えた第4打席。菊池の直球にバットを折られ、詰まりながらも右前へ飛ばした。前の打席でプロ入りから196打席目にして待望の1号同点2ランを放った若虎が、チームを勝利にぐっと近づける一打でさらに結果を残した。

◆千葉の夜空に、虎を背負う若虎の第一歩の快音が響いた。打球が上がった瞬間に大きな歓声が上がる。スタンドへ飛び込むのを確認した阪神・前川はプロ3年目で初めて、ゆっくりと、ダイヤモンドを一周した。「打ったのはストレート。もうとにかく必死に食らいついて、後ろにつないでいく気持ちでした。前の打席からいい形でスイングできていましたし、チームに貢献することができてうれしいです」1―3の六回だった。先頭の糸原が中前打で出塁し、無死一塁でこの日DHで起用された前川が打席に立った。フルカウントから直球を一振り。鮮やかにバットを放り投げた。右中間のホームランテラスに一直線で飛び込む。プロ通算69試合、196打席目で同点にする起死回生の2ラン。試合前まで8試合連続3得点以下と打線は冷え切っていたが、21歳が虎を呼び覚ました。二回には坂本の適時内野安打で先制。つないでつないで得点を生んだ。2死二、三塁からボテボテの打球が三塁前に転がり、一塁を駆け抜け、「いいところに転がってくれた」と喜んだ。昨年までの虎の交流戦通算成績は195勝199敗14分。勝率・495と負け越しており、今年も厳しいスタートになった。甲子園で新庄監督率いる日本ハムを迎え撃とうとしたが、2連敗。広島に首位を受け渡した。5月30日には零封負けを喫し、岡田監督も「つながりってヒット何本打ってんねん。そんなつながりじゃないやんか、どうやってつながんのお前」と嘆いていた。そんな中、千葉で流れを変えるきっかけの一発が生まれた。2007年6月16日の交流戦では2―7で迎えた九回に打線が爆発。一挙9点を奪う神がかり的な大逆転勝利は「幕張の奇跡」として語り継がれる。前川は3-3の七回2死二塁でバットを折られながらも右前適時打。虎の未来を背負う大砲が一歩を踏み出した歴史的な一日。連覇に向けて立ちはだかる、鬼門のパ・リーグも、前川がいれば大丈夫だ。(中屋友那)

◆執念をみせた。ロッテは1点を追う九回に同点に追いつき、3試合連続で延長戦に突入した。3試合ともすべて九回に同点に追いついており、驚異的な粘りをみせた。九回は先頭の友杉が中前打で出塁すると、和田は犠打。代打・ソトと小川は四球で1死満塁とすると、高部が同点となる左犠飛を放った。続くポランコは申告敬遠でまたも2死満塁としたが、代打・大下は捕飛に終わった。チームは2006年以来18年ぶりの9連勝中。14日のオリックス戦(那覇)から13試合連続の負けなしとなっている。粘り強い戦いを続けており、この日も熱戦となった。

◆阪神は前川右京外野手(21)がプロ1号弾を含む3打点の活躍を見せるも、ロッテにサヨナラ負けを喫した。前川は1―3の六回、無死一塁で迎えた第3打席で右翼スタンドへ第1号本塁打。プロ入りから196打席目で記念すべき初弾を放って試合を振り出しに戻すと、七回2死二塁で迎えた第4打席では右前へ勝ち越しの適時打を放った。先発した青柳晃洋投手(30)が四回3失点(自責2)と苦しんだ中、救援陣が無失点でつないでいたが、九回のマウンドに上がったゲラが1死満塁で高部に犠飛を許して同点に追いつかれた。延長十回に登板した漆原も捕まり、小川にサヨナラの押し出し四球を与えて敗戦。4連敗となった。

◆ロッテが延長戦を制し、19年ぶりの10連勝を果たした。3試合ともすべて九回に同点に追いついており、驚異的な粘りをみせた。1点を追う九回、先頭の友杉が中前打で出塁すると、和田は犠打。代打・ソトと小川は四球で1死満塁とすると、高部が同点となる左犠飛を放った。さらに延長十回、二死から友杉が左前打で出塁すると、和田が四球。岡の左前打で満塁とすると、最後は2本のヒットと3つの四球で全打席出塁していた小川が押し出しの四球を選んだ。

◆阪神が今季2度目のサヨナラ負けで初の4連敗。4月19日以来の3位に転落した岡田彰布監督(66)は「もう、ええわ」と語っただけで、引き揚げた。延長十回2死満塁、漆原大晟投手(27)が小川龍成内野手(26)に押し出し四球を与えて、ジ・エンド。攻撃では前川右京外野手(21)が六回、通算69試合&196打席目でプロ初本塁打。七回の右前勝ち越し打でチームに9戦ぶりの4得点をもたらした。しかし1点リードの九回、ハビー・ゲラ投手(28)が安打と犠打、連続四球で招いた満塁の窮地で犠飛を許し、26日の巨人戦(甲子園)に続いて、2戦連続で逃げ切りに失敗した。延長戦成績は3勝3敗4分。5月は10勝13敗1分で終わった(成績=25勝22敗4分、観衆=2万8411人)。

◆六回、プロ1号となる同点2ランを放つ阪神・前川右京=ZOZOマリンスタジアム(撮影・水島啓輔)

◆近鉄、西武で主砲として465本塁打&2452安打をマークし、西武コーチ時代には清原和博らを育てたサンケイスポーツ専属評論家・土井正博氏(80)は九回に3安打3打点の阪神・前川右京外野手(21)に代打を送った岡田彰布監督(66)の采配に疑問を呈した。連敗中が影響したのか、岡田監督のさい配もらしくなかった。一番の疑問は九回の前川への代打(原口が代打で左前打)だ。同点2ランと決勝打となるはずだった適時打を含めて3安打。九回は左腕・高野脩汰に代わっていたとはいえ、打席に立たせてほしかった。リードの場面だから、経験を積ませるには絶好の機会だった。実戦で、いろんな投手を対戦させるべき。左対左も、経験をしていかないと、いつまでもクリアはできない。今の前川には「失敗しても打たせたい」と思わせる、たまらない魅力が秘められている。DHだから、守備固めの必要がない。打席に立たせ続けるべき。DHのある交流戦は、前川のようなタイプの選手を育てるには格好の舞台でもある。フルカウントからの本塁打。2ボールからの真っすぐを躊躇なくフルスイングで右前に運んだ打撃。どちらも絶賛するしかない。低めの球も拾えるし、粘っこい打撃もできる。チャンスを与えて育ててもらいたい。結局、十回にサヨナラ負けになったが、延長戦が続いたケースも、ミエセスはいたが切り札になる選手が手薄となってしまった。そういう意味でも、九回の代打攻勢は無駄遣いに映った。ゲラは少し心配だ。際どいコースにさえ行けば、打者は手を出すしかない球威を持っているのだが、その際どいコースに行っていない。こうなると、打者は余裕を持って見逃せる。岩崎との配置を入れ替えるなど、当面の配慮は必要だろう。

◆阪神・坂本が泥臭く先制打を放った。二回2死二、三塁で美馬のスライダーを引っかけて三塁へのボテボテの当たりが内野安打に。「いいところに転がってくれてよかった」。4月30日の広島戦(マツダ)以来となる適時打で、5月26日の巨人戦(甲子園)以来3試合ぶりの先制点をもたらした。

◆ロッテ・小川は今季台頭した〝絶好調男〟だ。国学院大から2021年にドラフト3位で入団。今季は正二塁手の藤岡が右肩痛で離脱すると、5月18日の日本ハム戦から12試合連続で先発出場。この日はプロ初の2番で起用されると、三回2死三塁からセーフティーバントで打点を挙げるなど2安打2打点、3四球と全打席で出塁した。普段は送りバントや次の打者につなぐような伏兵としての役割を徹底しているが、私生活では主役が好きだ。遠征先への移動中はアニメを鑑賞することが多く、「ONE PIECE」は主人公のルフィ、視聴が3周目に突入した「NARUTO」も主人公のうずまきナルトが一番好きなキャラ。「やっぱり、主役の人たちはかっこいいですよね」と魅力を語る。それでも野球になると「僕はヒーローたちのお膳立てができればいい」と謙虚に話す。普段は屋台骨としてとして支える小川が、今夜はスポットライトを独占した。(ロッテ担当・森祥太郎)

◆阪神・岩崎優投手(32)が5日ぶりの登板で好投を見せた。八回に5番手で登板し、愛斗を直球で空振り三振。中村を遊ゴロ、佐藤をスライダーで空振り三振に仕留めて三者凡退とした。5月26日の巨人戦(甲子園)で失点し敗戦投手となって以来のマウンド。29日の日本ハム戦(甲子園)ではベンチを外れるなど調整を重ねてきた中で、きっちり結果を残した。

◆鈴木が延長十回に4番手で登板し、1安打無得点に抑えて今季初勝利を手にした。今季は21試合に登板し、防御率0・00をキープ。お立ち台で「出来すぎですね」と笑みを浮かべた。2021年に法大からドラフト1位で入団した左腕は、サヨナラの押し出し四球を選んだ小川と同期入団で同学年。チームの大型連勝に「マリーンズは強いなと思った。小川もすごかった」と声を弾ませた。

◆ゲラは4―3の九回に登板し、安打と2つの四球を与えて1死満塁のピンチを招くと、高部に左犠飛を浴びて同点に追いつかれた。「ゾーンに投げ切れていなかったところが悔しいし、反省点」。5月26日の巨人戦(甲子園)から2試合連続でセーブ失敗。苦しい投球が続いている。

◆天国から地獄へと叩き落された一戦を終えた岡田監督は会見を行わなかった。球団広報が会見スペースで待ち受ける報道陣に向かって、囲み取材を行わないことをジェスチャーで伝えてきた。「もうええわ」球場内で記者に視線を送りながら、虎将は一言だけ話し、チームバスへと向かった。4-3の九回、左投げの高野に対して右打ちの渡辺、原口の代打攻勢。原口が安打を放つと熊谷を代走で送ったが、けん制に誘い出された。その熊谷を三塁に入れ、DHを解除したが、追いつかれたことで苦しくなった。九回はゲラが四球も絡んだ1死満塁から同点犠飛を許し、最後は延長十回に漆原が押し出し四球でサヨナラ負け。大阪からは杉山健博オーナーが観戦に訪れていた。2年契約最終年。今季初の4連敗で3位に転落し、重苦しい空気に包まれた。

◆執念のサヨナラ勝ちだ!!ロッテは31日、「日本生命セ・パ交流戦」の阪神1回戦(ZOZOマリン)に延長十回、5―4でサヨナラ勝ち。日本一となった2005年以来、19年ぶりに10連勝(4分けを挟む)を飾った。3試合連続で1点を追う九回に追いつくと、十回に小川龍成内野手(26)が押し出し四球を選んだ。5月14日のオリックス戦(那覇)から14試合連続で負けなし。パ・リーグ2位と交流戦首位に浮上した。両手を大きく挙げて、初めてのウオーターシャワーを歓迎した。十回2死満塁。小川が押し出し四球を選んでサヨナラ勝ち。12連勝した2005年以来、19年ぶりの10連勝に導いた。「みんながあきらめず、最後までこういった形があると思っていた。いつも通りで、欲を捨てて後ろにつなぐ意識でいた」驚異の粘りだ。1点を追う九回は先頭の友杉が中前打で出て、犠打と2四球で1死満塁。高部がきっちりと左犠飛を放った。5月29日のヤクルト戦(神宮)から3試合連続で1点差の九回に同点とし、延長戦に突入した。5月29、30日は2夜連続で引き分けに終わったが、この日は違った。十回は2死から塁を埋めて小川が打席へ。「自分のできることに集中した。相手も四球があるのは嫌だったと思う」。ボールを見極めて勝利への扉を開き、拳を力強く突き上げた。

◆阪神・漆原大晟投手(27)が悔しいサヨナラ負けを許した。延長十回に登板し、2死後、友杉に左前打。和田に四球、岡に左前打を浴びて満塁のピンチを招くと、小川には2ストライクから4連続ボールで痛恨の押し出し四球。8試合ぶりの失点で2敗目を喫し「見ての通りです。結果がすべてなので、しっかり次は...」と悔しさをあらわにした。

◆阪神・糸原が5月24日の巨人戦(甲子園)以来、5試合ぶりのスタメンで結果を残した。二回の先頭で左前打を放つと、六回先頭でも中前打を放ってマルチ安打。続く前川のプロ1号を演出した。ここ4試合は三塁先発の座を渡辺に譲る形になっていたが、巡ってきたチャンスで存在感を示した。

◆阪神・大山が前川の一時勝ち越し打をお膳立てした。七回1死で菊地のスライダーを捉え、右翼への二塁打。2死から前川の右前打で激走し、ホームを踏んだ。5月11日のDeNA戦(横浜)以来、17試合ぶりの長打で4番がチャンスメークするも勝利には結びつかず「明日(も試合)があるので、頑張ります」と言い残して球場を後にした。

◆失速の虎に光-。阪神はロッテに延長十回の末、4-5でサヨナラ負け。今季最長の4連敗で3位に転落した。プロ3年目の前川右京外野手(21)は「6番・DH」で先発出場し、六回に一時同点の2ラン。通算69試合、196打席目でプロ1号を放った。9試合ぶりの4得点以上も白星につながらず。期待の若虎よ、救ってくれ!幕張の夜空に、虎の未来を担う快音が響いた。待望の放物線が、ようやくスタンドに届く。前川は初めてゆっくりとダイヤモンドを一周したが、延長十回の末のサヨナラ負けに、試合後、勝利への執念が漏れた。「勝ちたかった...。(本塁打の手応えは)『入ってくれ!』って感じで、ギリギリかなと思って。入ってくれたのでよかった」1―3の六回だった。先頭・糸原の中前打に続いて打席に立つと、美馬の直球をひと振り。投げられたバットが美しく宙を舞う。打球は右中間へ上がり、ホームランテラスへ飛び込んだ。プロ通算69試合、196打席での初アーチだった。智弁学園高時代は通算37本塁打を記録。左の大砲候補として2022年ドラフト4位で虎の一員になったが、定着には時間がかかった。2年目の春季キャンプで1軍に抜てきされるも、本隊合流の前日に故障離脱した。シーズンが開幕すると交流戦のタイミングで初めて1軍に昇格。プロ初安打を記録し、3番を務めてチームを引っ張ったが、体調不良に見舞われて夏場に戦線離脱。38年ぶりの歓喜の輪の中に背番号58の姿はなかった。「やっぱり悔しい。こういう気持ちを忘れずにやりたい」覚悟を決め、オフを過ごした。秋季キャンプが終わると、前川は「一旦ゼロにして、スイングを一から作る」とバットを置いた。全てをリセットして勝負の3年目へ。20歳を超えて帰省をした際には祖父と「出世男」という酒を飲み交わした。

◆舞台は千葉へ。難攻不落の佐々木朗希が戦線離脱したロッテとの3連戦だ。えっ、投げてほしかった? 強がりはやめましょう。美馬なら...と思ったアナタ。それも甘かったですね。長い試合ばかりしているロッテに、まさか延長で付き合わされるとは。ロッテの本拠地は、タテジマが天国あり、地獄あり、数々のドラマを演じてきた因縁のスタジアムでもある。嫌な思い出は、やっぱり2005年の日本シリーズ。1-10、0-10。詳しく書くのがはばかられる屈辱的な連敗を喫した。甲子園に戻っても連敗して、ストレートの4連敗でジ・エンド。指揮官は岡田監督だった。いい思い出は07年。2-7で敗色濃厚の九回、イッキ9点を奪っての大逆転。「幕張の奇跡」と語り継がれる劇勝だった。翌日のヒーロー金本の1面原稿は現デスク・川端亮平が、2面の桜井初打点の原稿は現運動部長・堀啓介が担当していた。この試合も、もちろん岡田監督だ。「もし負けたら借金が10になる崖っぷち。黒星、即、緊急連載をスタートさせると会社から通達されていて、九回は祈るように見守っていました」堀の記憶は鮮明だ。「緊急連載」というのは、チームの負けが込むと、原因はこうだ! アイツが悪い! コイツも期待を裏切った! フロントは何をしていたんや!と敗因を並べる。トラ番にとっては、最も書きたくない原稿だ。あの年は、ミラクル勝利で最悪の事態を回避。その後も猛然と勝ち進み、シーズン終盤まで優勝を争った。名物マリンの風を感じながら、岡田監督の脳裏にはどんな千葉の記憶がよみがえっていたのだろうか。目の前の死闘で、それどころではなかったかも。

◆虎の『新・暗黒時代』の始まりやー!!(涙)1980、90年代。くる日もくる日も負け続けた猛虎伝説の暗黒時代は、冷静に振り返ったら選手がいなかったんだからしゃーないわ!!ただ、今回はそこそこ戦える戦力(少なくとも投手陣は一級と言っても良し!!)。課題は打線や!! その打線で六回、3年目の若虎、前川右京のプロ初ホームランで同点! さらに七回二死から勝ち越しタイムリーを放ったから、まず間違いなく今夜は『前川祭り』のヒーローとして燦然(さんぜん)と輝いたはずなのに...。それが延長十回、最もプロ野球として恥ずかしい押し出し四球でかき消されるTHE ENDとなるんだから...。もう何にも阪神にはなくなっちまったんだよー!!その屈辱の中でも、ゲラは小心者すぎてクローザーはムリ!! と、なると登板過多になると3、4回に1回はやられるかも知れないけど、虎の締めは岩崎に託すしかないのだ!! と分かったのがせめてもの救いだと俺は感じたのだった。それとは別に、先発の青柳ヒデー!!(怒)CSに向けて下で調整してくれたらええよー!!

◆阪神・前川右京外野手(21)のプロ初本塁打に智弁学園高時代、エースとして前川とともにチームを引っ張った西村王雅投手(20)=東芝=が手記を寄せた。右京、プロ初ホームランおめでとう!高3の夏の甲子園、横浜高との試合で打った甲子園初ホームランを思い出しました。プロ1号もあの日と同じように一直線でスタンドに飛んだ、右京らしい一本でした。智弁学園高に入学して出会ったときに、大きな体と鋭いスイングを見て、こんなやつがプロに行くんだろうなと思っていました。とにかく結果にこだわる選手で、誰よりも練習して。全体練習が終わって、他の選手がお風呂に入ったりしても一人でバットを振り続けていたことを覚えています。プロに入ってからもずっと活躍は見ていました。昨年定着できずにもがいていた右京を見て、今年はやるだろうなと感じました。高校の時も選抜大会で注目されながらなかなか打てなくて、隠しきれないほど悔しがっていた。その姿を見たときに、僕は「こいつはもっとすごくなるんだろうな」と確信しました。その悔しさを夏の大会にぶつけて大活躍したように、今年は飛躍の一年にしてくれると思います。

<交流戦順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差残試合 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(1↑)
ロッテ
202 1.000
(-)
-
(↓0.5)
1416
(+5)
13
(+4)
3
(-)
1
(+1)
0.318
(↑0.008
3.000
(↓0.21)
2
(1↑)
巨人
310 0.750
(↑0.083)
0
(↓0.5)
1411
(+4)
8
(+1)
2
(-)
4
(+1)
0.218
(↑0.034)
1.850
(↑0.25)
2
(1↑)
楽天
310 0.750
(↑0.083)
0
(↓0.5)
1416
(+5)
14
(+3)
3
(+1)
3
(+1)
0.248
(↑0.015)
3.270
(↑0.86)
4
(3↓)
日本ハム
210 0.667
(↓0.333)
0.5
(↑0.5)
1517
(+3)
6
(+4)
3
(+2)
1
(-)
0.313
(↓0.02)
1.930
(↓0.93)
5
(2↑)
DeNA
220 0.500
(↑0.167)
1
(↑0.5)
1415
(+4)
14
(+3)
4
(+2)
0
(-)
0.258
(↓0.012)
3.380
(↑0.63)
5
(2↑)
ソフトバンク
220 0.500
(↑0.167)
1
(↑0.5)
149
(+2)
8
(+1)
1
(-)
2
(+1)
0.212
(↑0.008)
1.690
(↑0.22)
5
(2↑)
ORIX
220 0.500
(↑0.167)
1
(↑0.5)
1411
(+2)
19
(+1)
0
(-)
1
(+1)
0.232
(↑0.008)
4.500
(↑1.62)
5
(2↓)
広島
220 0.500
(↓0.167)
1
(↓0.5)
1419
(+1)
11
(+2)
2
(+1)
3
(+2)
0.269
(↓0.038)
2.310
(↑0.36)
5
(2↓)
西武
220 0.500
(↓0.167)
1
(↓0.5)
145
(+1)
7
(+4)
1
(+1)
0
(-)
0.176
(↓0.024)
1.290
(↓0.94)
10
(3↓)
中日
130 0.250
(↓0.083)
2
(↓0.5)
144
(+1)
6
(+2)
1
(-)
3
(+2)
0.153
(↓0.029)
1.260
(↑0.07)
11
(-)
ヤクルト
022 0.000
(-)
2
(↓0.5)
1412
(+3)
16
(+5)
3
(-)
3
(+2)
0.236
(↑0.015)
3.860
(↓0.45)
11
(-)
阪神
030 0.000
(-)
2.5
(↓0.5)
156
(+4)
19
(+5)
1
(+1)
0
(-)
0.243
(↑0.04
4.550
(↑0.45)

<セ・リーグ順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差残試合 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(-)
広島
24194 0.558
(↓0.013)
-
(-)
96149
(+1)
117
(+2)
22
(+1)
27
(+2)
0.244
(↓0.002)
2.320
(↑0.02)
2
(1↑)
巨人
26224 0.542
(↑0.01)
0.5
(↓1)
91124
(+4)
126
(+1)
23
(-)
29
(+1)
0.228
(↑0.002)
2.260
(↑0.03)
3
(1↓)
阪神
25224 0.532
(↓0.011)
1
(-)
92155
(+4)
147
(+5)
24
(+1)
15
(-)
0.224
(↑0.002
2.310
(↓0.03)
4
(1↑)
DeNA
23261 0.469
(↑0.011)
4
(↑1)
93163
(+4)
184
(+3)
25
(+2)
30
(-)
0.245
(↓0.001)
3.320
(↑0.04)
5
(1↓)
中日
21255 0.457
(↓0.01)
4.5
(-)
92130
(+1)
154
(+2)
21
(-)
16
(+2)
0.234
(↓0.003)
2.710
(↑0.04)
6
(-)
ヤクルト
18284 0.391
(↓0.009)
7.5
(-)
93173
(+3)
173
(+5)
35
(-)
23
(+2)
0.237
(↑0.001)
3.300
(↓0.03)

<パ・リーグ順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差残試合 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(-)
ソフトバンク
31152 0.674
(↑0.007)
-
(-)
95206
(+2)
110
(+1)
32
(-)
36
(+1)
0.257
(-)
2.030
(↑0.02)
2
(1↑)
ロッテ
26185 0.591
(↑0.01)
4
(-)
94155
(+5)
150
(+4)
24
(-)
17
(+1)
0.249
(↑0.002
2.790
(↓0.02)
3
(1↓)
日本ハム
27192 0.587
(↓0.013)
4
(↓1)
95169
(+3)
146
(+4)
24
(+2)
45
(-)
0.245
(-)
2.710
(↓0.02)
4
(-)
ORIX
21272 0.438
(↑0.012)
11
(-)
93155
(+2)
167
(+1)
17
(-)
20
(+1)
0.243
(-)
2.960
(↑0.07)
4
(-)
楽天
21271 0.438
(↑0.012)
11
(-)
94157
(+5)
211
(+3)
17
(+1)
34
(+1)
0.237
(↑0.001)
4.010
(↑0.06)
6
(-)
西武
17320 0.347
(↓0.007)
15.5
(↓1)
94123
(+1)
174
(+4)
24
(+1)
23
(-)
0.211
(↓0.002)
3.130
(↓0.02)