阪神(★1対2☆)巨人 =リーグ戦12回戦(2024.05.26)・阪神甲子園球場=
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巨人
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阪神
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勝利投手:西舘 勇陽(1勝2敗0S)
(セーブ:バルドナード(1勝0敗4S))
敗戦投手:岩崎 優(2勝2敗8S)

本塁打
【巨人】岡本 和真(9号・9回表ソロ)

  DAZN
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◆巨人は1点を追う9回表、岡本和のソロが飛び出し、試合を振り出しに戻す。続く延長10回には、1死一三塁から丸が犠飛を放ち、リードを奪った。投げては、4番手・西舘がうれしいプロ初勝利。敗れた阪神は、先発・才木が力投を見せるも、救援陣が精彩を欠いた。

◆女子レスリング五輪3連覇の吉田沙保里さん(41)が伝統の一戦で始球式を行った。現役時代は「霊長類最強女子」と呼ばれた元アスリートは背中に「YOSHIDA」と名前の沙保里からとった「30」の特製ユニホームで登場。ノーバウンドのストライク投球を披露すると大きな拍手に包まれた。ベンチで始球式を見守った岡田彰布監督(66)も笑顔で拍手を送った。始球式を終えて吉田は「甲子園球場では初めての始球式だったので緊張もあった。成功して、今までの中で一番良かった」と振り返り、「100点です」と笑顔だった。現役時代には世界大会16連覇の偉業を打ち立ててきた。阪神は今季球団史上初のリーグ連覇を狙っており、連覇の秘訣(ひけつ)を問われると「1人1人の気持ちとか、勝ちたい負けたくないという気持ちが1つになれば勝てるんじゃないかと思う。私は最後は気持ちだと思う」と団結の重要性を強調。「絶対私の方が練習してきたという気持ちで常にマットに上がっていました。それが勝ちにつながっていたかな」と振り返った。吉田と同じく三重県津市出身の阪神前川右京外野手(21)には「ふるさとが同じというだけで応援したくなりますし、頑張ってほしい」とエールを送った。

◆甲子園球場に悪夢がちらついた。巨人菅野智之投手(34)は絶好調。立ち上がりから阪神打線を圧倒した。2回に1四球を出したが、4回は2番からの上位打線を簡単に3人で片付けた。このあたりから、ファンがざわつき始めた。阪神は今カード初戦の24日に巨人戸郷翔征投手(24)に無安打無得点試合を許している。

◆阪神森下翔太内野手(23)がまた突破口を開いた。0-0の7回1死で、巨人巨人菅野智之(34)からチーム初安打となる右中間二塁打を放った。阪神は2日前の24日に戸郷翔征投手(24)に無安打無得点試合をやられている。嫌なムードがあった前日25日は初回に森下がチーム初安打。さらに適時打も放って勝利に貢献していた。大山悠輔内野手(29)も左前打で続き、渡辺諒内野手()の右前打で待望の先制点を手にした。この3連打で菅野をKOした。プロ野球スコア詳細'});">プロ野球スコア詳細

◆阪神才木浩人投手(25)は8回途中7安打無失点で降板。両リーグトップの6勝目の権利を手にしてマウンドを降りた。それでも1点リードの9回にハビー・ゲラ投手(28)が岡本和にソロ本塁打を浴びて6勝目はお預けとなった。自身5連勝中でリーグトップタイの5勝を挙げている右腕はこの日も快投。2回は1死から連打を食らったが併殺打。6回は連打で2死一、二塁としたが岡本和を右飛に仕留めて右拳を握りしめた。1点の援護をもらった直後の8回には1死二塁のピンチでマウンドを譲った。それでも7回1/3を7安打無失点。ベンチ前では観客から大きな拍手を送られた。後を受けた救援陣はこの回を無失点で切り抜けた。しかし、1-0の9回にゲラが1死から岡本和にソロ本塁打を被弾。才木はじっとベンチからグラウンドを見つめた。1-1の同点で延長戦にもつれ込む展開となった。

◆阪神岡田彰布監督(66)が執念の「1人一殺」継投を繰り出した。先発才木浩人投手(25)が7回まで無失点。8回も続投し、1死二塁とされたところで左の桐敷拓馬投手(24)にスイッチ。桐敷が丸佳浩外野手(35)を二ゴロに打ち取ると、今度は右の石井大智投手(26)をマウンドに送った。石井は坂本勇人内野手(35)を三ゴロに仕留めた。左右の両セットアッパーをぜいたくに使った継投で、1点を守りにいった。

◆阪神は6回の攻撃前、平田勝男ヘッドコーチ(64)を中心に珍しく円陣を組んだ。巨人菅野智之投手(34)に手も足も出ず、無安打ピッチングをされていた。岡田彰布監督(66)は試合中の円陣をあまり好まない。2日前には戸郷翔征投手(24)に無安打無得点試合を達成されており、危機感がにじむシーンだった。円陣を組んだ6回も安打は放てなかったが、7回に1死から3連打で先制の1点を奪い、菅野をKOした。

◆阪神が誇るダブルストッパーのハビー・ゲラ投手(28)と岩崎優投手(32)が初めてそろって失点した。ゲラは1点リードの9回に岡本和真内野手(27)からソロ本塁打を被弾。同点の10回に登板した岩崎が1死、一、三塁から丸佳浩外野手(35)に犠飛を許してともに失点した。ともに登板した19試合目で初めてそろって失点した。

◆巨人岡本和真内野手(27)が起死回生の同点弾でドラ1ルーキー西舘勇陽投手(22)の記念星につなげた。1点ビハインドの9回1死、ゲラの初球157キロ直球を左中間へ9号ソロとした。5月12日ヤクルト戦以来10試合ぶりの1発。「チャンスで打ててなかったので、打てて良かった。今日は感じ良く打てる気はしていた。最後に本塁打が出てくれてよかった」と復調の手応えをつかみ、昨季MVPの交流戦に突入する。

◆巨人バッテリーは阪神森下に打たれた1球が悔やまれる。7回1死走者なし、2ボールからの3球目だった。外の真っすぐ149キロを右中間へ運ばれ、二塁打にされた。続く大山の左前打、さらに渡辺の先制打は、得点圏に走者を抱えた状況で、いろいろと球種を使い抑えにいった結果。しょうがない。それよりも、森下への1球だ。打ち取るためには、スライダーでも良かったと思う。菅野はそれまで1本もヒットを打たれていなかった。見ている人たちの頭には、2日前の戸郷に続くノーヒットノーランがちらついていたはず。そこで小林のキャッチャー心理を想像すると、打者有利のカウントでかわしにいって打たれるより、真っすぐで勝負と思ったのではないか。それまでの2打席は、いずれも真っすぐで抑えていた。しっかり投げ切れば、ファウルか、ライトフライに打ち取れると考えのだろう。スライダーを引っかけて、左前に落とされるのを嫌ったのかもしれない。確かに、この日の菅野はアウトローの真っすぐに力があった。私は初回、先頭近本への初球真っすぐを見て、ここ数年で一番いいと感じたほどだ。フォームのバランスが良く、リリースポイントが安定していた。2ボールから真っすぐを選んだこと自体、間違いではない。だが、森下が上回った。選択の背景にはノーヒットが続いていたこともあるが、それ以上に巨人の得点が0だったことが大きいだろう。スライダーを見送られて3ボールとなり、そのまま四球にしたくない心理も働いたのではないか。もし2点差があれば、スライダーの可能性はあったと思う。両リーグ最少のチーム得点が示すように、巨人が勝ちを重ねるには、もっと点を取る必要がある。9回に岡本和が同点ソロを打ち、菅野の負けが消えた。やはり、岡本和にかかっている。だが、6回2死一、二塁では右飛。5月の得点圏打率は16打数1安打の6分3厘と苦しむ。28日からの交流戦に向けて、ホームランをいいきっかけにしたい。もっとも、1人だけに背負わせるのは負担が大きい。交流戦から合流する新外国人ヘルナンデスを筆頭に、打線の起爆剤となる選手が待たれる。戸郷、菅野、山崎伊と先発3枚はしっかりしているだけに、打線次第で上昇する気配は十分ある。(日刊スポーツ評論家)

◆巨人菅野智之投手(34)が7回1死まで無安打無得点の投球を演じた。戸郷のノーヒットノーランから中1日の快挙まで残り8人から3連打で1点を失ったが、先発の役目を十分に果たした。体調不良で中14日となった登板で快投。「7回は一番難しいイニングだと思う。3巡目の中軸ってところで、いい勉強になりました。ピッチャーみんなで助け合って頑張れている」とチームの勝利を喜んだ。

◆巨人が延長10回の接戦を制し、鬼門の甲子園で勝ち越した。先発菅野智之投手が7回1死まで無安打に抑えると、1点を追う9回に岡本和真内野手のソロで追いついた。延長10回は丸の犠飛で決勝点を奪った。交流戦前最終戦を制した阿部慎之助監督は「勝ててうれしいです」と言った。「菅野も病み上がりだったけどよく投げてくれたし、やっぱり岡本の1本というのも流れをこっちに持ってきてくれたなと思います。(菅野は)スライダー、カットの制球もよかったし、要所で真っすぐもゾーン内でしっかり勝負できていた」と評した。4番の1発は「打った瞬間に入ると思いましたし、チームも4番が打つというのはすごく試合を左右すると思ってますから。苦しんでもがいていたのは見てたので、本人にとってもスッキリした1発になったんじゃないかと思います」と喜んだ。

◆8セーブずつを挙げている阪神のダブル守護神が初めてそろって失点した。1-0の8回に登板したハビアー・ゲラ投手(28)は、直球を岡本和に左中間席まで運ばれた。延長10回は、岩崎優投手(32)が2安打でピンチを招いて丸に決勝犠飛を許した。ともに痛恨の失点となった。2人がそろって登板した試合は14勝4引き分けと不敗だったが、19試合目で初黒星。ともに調子を落としており「次、頑張ります」と言葉少なに球場をあとにした。岡田監督は「いつもいつも1点差で投げとって、それはもう言うのが酷よ。はっきり言うて」と、かばった。

◆阪神森下翔太外野手(23)がまた突破口を開いた。打線は6回まで巨人菅野を前に無安打無得点。7回1死から149キロ外角低めを右中間に運び、二塁へヘッドスライディング。前日25日にもチーム初安打を放ち、2日連続の口火打を放った。「ワンチャンスをものにしないと菅野さんから(点を)取れないと思った。後ろに大山さんがいて良い打順だったので、結果的に二塁打になってよかった」とうなずいた。

◆阪神の才木浩人投手(25)が両リーグ単独トップ6勝目を逃した。救援陣が踏ん張れず白星はつかなかったが、8回途中7安打無失点。「カウントもずっと悪くしてるわけでもなく、しっかり攻めながらの感じでいけてますし、まあまあよかった。あの展開でしっかりゼロでいけたのがよかった」と役割は果たした。白熱した投手戦だった。相手先発の巨人菅野は6回までノーヒットピッチングと快投。対する才木は7安打を許しながらも粘った。2回は1死から連打を食らったが併殺打。6回は連打で2死一、二塁としたが岡本和を右飛に仕留めて右拳を握りしめた。1点の援護をもらった直後の8回は安打と犠打で1死二塁として降板。「投げきりたかったですね、正直」と表情はすっきりしなかったが、観客からは大きな拍手で迎えられた。菅野との投げ合いには「守備でリズムを渡さないようにと思っていた。そういう意味でも先制点あげなかったのはよかった」と自ら及第点を与えた。岡田彰布監督(66)も「粘った、粘った。もう十分よ」とチームの勝ち頭をねぎらった。オールスターファン投票の中間発表後は初登板。24日発表分では先発投手部門1位に入っており、好投を続ければ選出の可能性はどんどん高まる。交流戦ではパ・リーグとの対戦となるが、「変わらずでいいかな。どんどん自分のピッチングができたら」と好投の継続を誓った。【林亮佑】

◆阪神4番大山悠輔内野手(29)はつなぎの打撃で先制点をお膳立てした。7回、1死から森下がチーム初安打の二塁打を放った直後に打席が回った。カウント1-1から巨人菅野の浮いたスライダーを引っ張り込んで左前打。一、三塁と好機を拡大させて続く渡辺の先制打につなげた。勝利に直結する打撃にはならず、「勝ち負けなので」と敗戦に言葉少なだった。

◆阪神5番渡辺諒内野手(29)がこの日唯一の得点を生んだ。「5番三塁」で先発。0-0の7回1死一、三塁で巨人菅野の3球連続となるツーシームを詰まりながらも右前へ。待望の先制点を奪った。「(森下)翔太と大山さんがつないでくれて、何とかかえせてよかった。うまく体が反応してくれていいところに落ちてくれた」と納得。15日に1軍昇格後、10試合の出場で3割8厘と好調を維持している。

◆阪神が延長10回の末に逆転負けを喫し、交流戦前最後に5カードぶりのカード負け越しとなった。7回1死まで巨人菅野智之投手(34)に無安打に抑え込まれた打線に岡田彰布監督(66)も怒りモード。「何にもせえへんのやもんなあ」とぼやき節が止まらない。2位広島がDeNAに勝利してゲーム差は0・5差。28日の日本ハム戦(甲子園)から始まる交流戦は、打線が奮起するしかない。7戦負けなしと無敵を誇る昼の甲子園で、今年初めて六甲おろしは流れなかった。1点リードの9回1死、ゲラが岡本和に同点ソロを許し、延長10回に岩崎が丸に決勝犠飛を浴びた。今季12球団最多の4万2613人が詰めかけた聖地が静まりかえる。「いや、そら打たれるよお。そんな1年間打たれんことはないわけやからなあ」。岡田監督は2人の守護神を責めなかった。怒りの矛先は、巨人菅野を前に7回1死まで無安打だった打線だ。「打線よ、そんなもん。何にもせえへんのやもんなあ」。初戦に戸郷から喫したノーヒットノーランもよぎる沈黙ぶり。6回の攻撃前にはしびれをきらし、ベンチ前で円陣を組むことを促した。「なんにもせえへんから、俺が言うたんやで。こんなんやってたら、またやられるでって」。その効果もあって7回に森下のチーム初安打から3連打で先制したが、得点はこの1点のみだった。強い直球に差し込まれ、振り遅れる。「水口(打撃コーチ)もミーティングで前行って打ってって言うてるけど、誰1人前行って打ってないやろ」。快音の出ない選手たちへぼやきは止まらない。「技術がないんやろな。差されるのはずーっとやんか。およげ言うてんのにな」と口調に怒気を含ませた。前日25日の勝利後は打線について「(まだ)奮起まではいかん。明日点取ったら奮起と言えるな」と話していただけにガックリだ。今季の1点差以内の試合は、12球団で2番目に多い22試合。「1-0で勝とうと思う方が間違いよ。ピッチャーもたんよ。そらこんなんで勝ったらあかんということやろ。失礼やいうことよ」。接戦が続けば、楽な展開は減り、投手陣に負担がかかる。報いることのできない打線へ、苦言をいとわなかった。2年連続リーグ首位、貯金6で交流戦スタートも「そら不思議よ、はっきりいうて」と首をかしげるほどのチーム状態。「パ・リーグのピッチャーなんか、強いストレートくるよ。もっと点入らんわ、交流戦なったらな、今の状態じゃな」。最後まで止まらないぼやき節。指揮官を笑顔にするには打つしかない。【磯綾乃】

◆こびりつく甲子園の苦い記憶を塗り替えた。巨人のドラフト1位、西舘勇陽投手(22)がプロ初勝利を挙げた。同点の9回に登板し、3者凡退。直後の延長10回に丸が勝ち越し犠飛を放ち、記念の1勝をつかんだ。開幕から勝ちパターンの中継ぎを担い、18試合目での記念星となった。チームは昨季3勝10敗と苦しんだ甲子園で、カード勝ち越しに成功。逆転勝ちの貯金2で交流戦に突入する。苦い記憶ばかりだったあの浜風が、黒土が心地よかった。9回先頭、西舘は中大の先輩森下を力で押した。プロ最速、自己最速タイの155キロ直球で左飛。大山、熊谷も封じ、流れをたぐり寄せ初勝利。「阪神ファンの方もいますし、どう喜んでいいのか分からなかったけど...。高校の時はまったく力がなくて力通りの結果になった。少し成長できたのかな」と謙虚に喜びつつ岩手・花巻東時代を思い返した。甲子園は2年春夏、3年夏と3度出場も計8イニングで13失点(自責9)と涙に暮れた場所だった。花巻東は伝統的に聖地の土を持って帰らない。最後の夏も同じ。その意味を「ここで満足せず、次のステージで頑張れ。僕の場合はプロになれってことかな」と受け止め、中大を経て、実現させた。寮生活の花巻東では"エースの部屋"で育った。入学すると、2階の一番端が割り当てられた。過去にはブルージェイズ菊池、ドジャース大谷が過ごした同じ部屋。半年に1度、部屋替えもある中、西舘は最後まで同じ。机、ベッドなど偉大な先輩の軌跡が残る空間で日常を過ごしてきた。「期待していただき、すごくうれしかった。でもその分、高校からプロにも行けず、日本代表も入れず結果で返せなかった。それは悔しかったんです」。怪物を道しるべに汗を流した。練習を止められてもトイレ裏で隠れてトレーニングしていた菊池。150メートル級の場外弾を飛ばし、寮では体が大きすぎて、点呼の際には挙手で天井の照明を破壊してしまった大谷。耳にする逸話の1つ1つに成長意欲をくすぐられた。今、寮生活は5階の端が自らの部屋となった右腕。ベッドには大谷も使用するマットレスを敷く。グラウンドでは僅差の終盤が居場所。忘れられない1勝をつかんだ。【上田悠太】○...巨人阿部監督(プロ初勝利の西舘に)「好リリーフして、おまけみたいなものだから、この1勝を忘れないでほしいなと思いますね」

◆こびりつく甲子園の苦い記憶を塗り替えた。巨人のドラフト1位、西舘勇陽投手(22)がプロ初勝利を挙げた。同点の9回に登板し、3者凡退。直後の延長10回に丸が勝ち越し犠飛を放ち、記念の1勝をつかんだ。開幕から勝ちパターンの中継ぎを担い、18試合目での記念星となった。チームは昨季3勝10敗と苦しんだ甲子園で、カード勝ち越しに成功。逆転勝ちの貯金2で交流戦に突入する。西舘は甘い物に目がない。中大4年の夏。夏雲に覆われた青空の下、秋季リーグ戦に向けた決起バーベキューがあった。香ばしい肉にはほとんど目もくれず...。西舘はディスカウント店「ドン・キホーテ」で購入したマシュマロを網の上に焼いては、ひたすら口の中に詰め込んだ。「甘い物、大好きなんですよ。あの時は肉より食べたくて」と少し照れくさそうに笑う。大の甘党だが、体作りのためにも糖質の取り過ぎは控えたい。今、コンビニに寄ると、スイーツに手を伸ばしたくなる欲を抑えながら、よく買うのが「いちご味の飲むヨーグルト」。ほどよい甘さに幸せをかみしめる。腸内環境も整え、疲れをためないように心がけ、18試合目でプロ入り後最速の155キロを計測。苦味でいっぱいだった高校時代の甲子園の記憶に甘~い1勝が加わった。【巨人担当=上田悠太】

◆阪神は才木浩人投手(25)が先発する。3連勝中の右腕は本拠地甲子園では今季3試合に登板して2勝負けなしと好相性。対巨人戦も防御率1・64と抑えている。力強い直球を軸に両リーグトップの6勝目を狙う。

◆阪神がピンチを無失点でしのいだ。二回、1死から先発才木が長野、泉口に連打を浴びて一、二塁のピンチを背負う。迎えるは7番・小林。その初球、直球に差し込まれた打球は一、二塁間へ。二塁・中野が捕球から素早く反転し、二塁へ送球すると、遊撃・木浪が一塁へ軽やかに送って併殺完成。虎が誇る鉄壁の二遊間コンビが先発の才木を盛り立てた。

◆元女子レスリング日本代表の吉田沙保里さん(41)が始球式を行った。「J:COM 超速ネット光デー」として開催され、そのイベントのひとつとして登場。自身の名前にちなんだ背番号「30」のユニホームを着用し、拍手を受けてマウンドへ。ノーバウンドのストライク投球を披露し、スタンドからはどよめきが起こった。「多分今までの中で一番良かったんじゃないかなっていうぐらい綺麗なボールがいってよかった。(点数は)100点かもしれない」と喜んだ。3大会連続で五輪の金メダルを獲得し、世界大会16連覇など輝かしい実績を誇る吉田さんは、連覇を目指す阪神に向け「1人1人の気持ちがひとつになれば強いし、勝ちたい、負けたくないという気持ちになれば、勝てるんじゃないかなと。私は最後は気持ちだと思っていたので。もちろん普段の練習があってこそですけど、これだけやってきたんだから絶対負けないっていう気持ちだったので。プラス思考で、ポジティブに、気持ちを切り替えて」とエールを送った。

◆阪神は巨人の先発・菅野の前に五回まで無安打に倒れた。24日の10回戦で戸郷にノーヒットノーランを達成されてからわずか2日で再び快音が止まった。出塁も二回のノイジーの四球のみで、攻略の糸口を見つけられていない。阪神の先発・才木もここまで無失点で投げており、試合前時点で、五回終了時に0―0だった試合は今季2勝2敗。先制に成功した試合は今季18勝4敗1分け、12球団トップの勝率・818と白星が先行している。好投の才木のためにも先に得点を奪いたいところだ。

◆六回の攻撃開始を前に、阪神ナインがベンチ前で円陣を組んだ。直前の守備で2死一、二塁のピンチを才木が脱したのち、選手が平田勝男ヘッドコーチ(64)の話に耳を傾けた。チームは巨人の先発・菅野の前に五回まで無安打。24日の同戦で戸郷にノーヒットノーランを喫しており、岡田監督が就任した昨季以降では珍しい円陣で奮起が促されたが、六回の攻撃は三者凡退に倒れた。

◆阪神・森下翔太外野手(23)が七回の第3打席でチーム初安打を放った。七回1死まで巨人先発・菅野の前に無安打に抑えられていた阪神打線。異様な空気を若虎がかき消した。149キロ直球を振り抜くと、打球は右中間を破る二塁打。戸郷の前にノーヒットノーランを喫し、一夜明けた25日も、一回にチーム初安打で球場の空気を変えた男が今季最多4万2613人の観衆から大歓声を浴びた。

◆阪神は七回に渡辺諒内野手(29)の適時打で先制に成功した。ついに均衡を破った。1死から森下がこの日チーム初安打となる中堅への二塁打で出塁し、大山が左前打で続いて一、三塁の絶好機を作る。渡辺は先発・菅野が4球目に投じた149キロツーシームを捉えると、打球は右前へ。森下が生還し1点を加えた。六回まで無安打と抑え込まれていた打線が3連打で先制し、七回まで無失点の先発・才木の好投に応えた。25日に1号ソロを放った渡辺の活躍で、球場のボルテージも最高潮に達した。

◆巨人・菅野智之投手(34)が七回途中3安打1失点で降板した。最速151キロの直球とスライダーを駆使し、六回まで無安打投球を披露。だが、七回1死から森下に、この日初安打となる中越え二塁打で出塁を許すと流れが一気に阪神に傾いた。1死二塁から4番・大山に左前打。1死一、三塁とされ、前日25日に1号ソロを放っている渡辺に右前適時打を浴びるなど、3連打で先制点を献上した。24日の阪神戦(甲子園)では戸郷が史上89人目となる無安打無得点投球を達成。菅野も六回まで無安打投球を続けていただけに、2日ぶりの偉業をファンは期待する展開となったが、一度勢いに乗った阪神打線につかまった。

◆巨人・立岡宗一郎外野手(34)が717日ぶりの安打をマークした。左膝前十字靭帯再建手術、育成契約を経て今月21日に支配下登録に復帰した俊足の左打者は0-1の八回先頭で代打として登場し、才木の内角直球を右前へ運んだ。守備中に左膝のけがを負った2022年6月9日の西武戦(ベルーナドーム)以来717日ぶりの1軍戦での安打となり、復帰後13打席目で待望のHランプを灯した。

◆巨人・岡本和真内野手(27)が9号ソロを放った。0ー1の九回1死。阪神・ゲラの投じた初球、157キロを完璧にとらえて、バックスクリーン左へたたき込んだ。12日のヤクルト戦(神宮)以来、10試合ぶりのアーチ。土壇場で頼れる主砲のバットに快音が戻った。

◆阪神は1―0の九回にストッパーのハビー・ゲラ投手(28)が巨人・岡本和真内野手(27)に痛恨の同点ソロを被弾した。九回先頭の吉川は二ゴロに封じたが、続いて打席に入った巨人の主砲に初球を完璧に捉えられ、左中間スタンドへと運ばれた。この瞬間に、八回途中無失点で降板していた才木の6勝目も幻に。今季最多4万2613人が詰めかけた甲子園が、悲鳴とため息に包まれた。ゲラはここまで岩崎とともにダブルストッパーの一角を担い、0勝2敗8セーブ、12ホールドだった。同点の八、九回に失点し敗戦投手となったことはあったが、セーブ失敗は来日初となった。被本塁打は4月27日のヤクルト戦(甲子園)で武岡に右越えソロを浴びて以来、2本目となった。ゲラは後続を断ったが、チームはその裏の攻撃で無得点に終わり、延長戦に突入した。

◆阪神・岩崎優投手(32)が1―1の延長十回にマウンドに上がり、勝ち越しを許した。先頭の小林に中前打を浴び、立岡が犠打を決めて代打・岸田が右前打。1死一、三塁とピンチを招き、丸の打球は中堅へ。近本が捕球し三塁走者がタッチアップし、返球よりわずかに早く生還した。岩崎は22日の広島戦(マツダ)以来の失点。2死一塁となったところでマウンドを降り、代わって漆原が登板した。今季の阪神はここまで延長戦で3勝1敗4分けと勝ち越しているが、先に劣勢に追い込まれた。

◆阪神は巨人に接戦の末黒星を喫した。先発の才木浩人投手(25)が八回途中7安打無失点の好投。威力ある直球と変化球を織り交ぜて100球を超えても崩れず。走者を出した八回は桐敷、石井がそれぞれ打者1人を抑えて無失点で切り抜けた。打線は六回まで無安打と先発・菅野の攻略に苦しんだが、七回1死で森下がチーム初安打となる二塁打。大山も左前打で続き、渡辺諒内野手(29)の右前適時打で先制に成功した。九回はゲラがマウンドに上がったが、1死から岡本にソロ本塁打を許して同点に追いつかれた。延長十回は岩崎が登板。1死一、三塁とピンチを招き、丸に中堅への犠飛を許して勝ち越された。チームは交流戦前最後の試合を白星で締めることができず、5カード連続の勝ち越しを逃した。

◆延長十回、巨人・丸佳浩に勝ち越し犠飛を許した阪神・岩崎優=甲子園球場(撮影・松永渉平)

◆巨人は0―1の九回に岡本和の本塁打で追い付き、延長十回に丸の犠飛で勝ち越した。菅野が6回1/3を1失点と好投し、4番手の西舘がプロ初勝利。打線不振の阪神は才木が7回1/3無失点と力投したが抑えのゲラ、岩崎が打たれた。

◆現役時代は南海、西武に所属し、引退後は西武、ダイエー、阪神の3球団でヘッドコーチを務めたサンケイスポーツ専属評論家・黒田正宏氏(76)は九回に巨人・岡本和真内野手(27)に同点弾を浴びた阪神ハビー・ゲラ投手(28)、延長十回に勝ち越しを許した岩崎優投手(32)の2人について言及した。絶対的な信頼を寄せていたゲラ、岩崎の2枚ストッパーがそろって失点。これは誤算だ。ゲラの被弾は明らかな失投。初球がど真ん中に入ってしまった。巨人打線で唯一、本塁打警戒しなければいけない岡本和に対して、真っすぐで入ること自体が悪いとは思わない。でも、いくら力がある球でも、ど真ん中は見逃してもらえない。ゲラ自身が一番分かってるはずだ。岩崎は1死二塁から岸田に浴びた右前打がもったいない。カウント0-2と追い込んで、高めにボール球で誘ったのだろう。ところが、ボールにするはずが、バットが届くコースに行き、うまく打たれた。低めにワンバウンドするようなボール球で誘う配球を得意とする岩崎が、あの場面で、どういう思惑で高めを選んだのか、分からない。否定もしない。が、ゲラ同様にこれも失投だ。守護神2人がともに大事な場面での投げミス。ベンチにとって、この1敗はショックだ。ただ、幸いにして28日からは交流戦。今までとは違うチーム、打者との対戦になる。切り替えやすい環境は整っている。そういう意味で、2人の次の登板に注目だ。

◆阪神が逆転負け。ハビー・ゲラ投手(28)、岩崎優投手(32)がともに失点を喫し、2人の同日登板は19戦目で初黒星(14勝4分)を喫した。九回にゲラが岡本和真内野手(27)に同点ソロを浴び、延長十回1死一、三塁では岩崎が丸佳浩外野手(35)に勝ち越しの犠飛を許した。菅野智之投手(34)の前に無安打に抑えられていた打線は七回1死から森下翔太外野手(23)、大山悠輔内野手(29)、渡辺諒内野手(29)の3連打で均衡を破ったが、逃げ切りに失敗し、5カード連続勝ち越しを逃した。甲子園デーゲームでの連勝も「7」で止まり、延長戦成績は3勝2敗4分。28日の日本ハム戦(甲子園)から2年連続セ界首位として交流戦に挑む岡田彰布監督(66)の主な一問一答は以下の通り(成績=25勝19敗4分、観衆=4万2613人)ーー後ろの投手より打線か「打線よ、そんなもん。何にもせえへんのやもんなあ」ーー各自が考えて「まあなあ、初めてのピッチャーちゃうからなあ」ーー三回で30球を投げさせ、中盤からという感じに見えた「いやあ、そうでもないわ」ーー六回の攻撃の前に円陣を組んだ「何にもせえへんから、俺が言うたんやで。こんなんやってたら、またやられるでって」ーー円陣は好きじゃない「ああ。でもお前、同じことばっかり繰り返しているわけやから」ーー状態という問題ではない「ないよ、そうじゃないよ。きれいなヒットなんか出えへんで」ーー打席での考え方で思うところは「そらあるよ、いっぱい」ーー才木は粘った(八回途中無失点)「粘った、粘った。もう十分よ。1点じゃのお。1ー0で勝とうと思う方が間違いよ。ピッチャーもたんよ。あんなんしとったら。それをバッターが分かるかどうかやろうな」ーー点が取れないことがしわ寄せに「まず点を取るよりヒットを打つことよ。こんなんで勝ったらアカンということやろ。失礼やいうことよ」ーー野球の神様が...「野球の神様、そんなん知らんけど。そういうことやろ。勝っただけで終わってしまうからのお、野手の方は。毎日やから、ピッチャーは。中6とかでなんとか0点に抑えようと思って投げとるわけやから。そらもう打つ方があまりにも酷すぎるよな。これから交流戦やから余計やで。真っすぐが打てんから。ちょっと考えなアカンわな。だからパ・リーグのピッチャーなんか強いストレート来るよ。もっと点入らんわ、交流戦なったらな、今の状態じゃな」ーー頭が痛い「頭痛いって、お前。打席に行くのも選手やねんから、なんぼ言うてもしゃあないやん。真っすぐ遅れるんやから。水口(打撃コーチ)もミーティングで前行って打ってって言うてるけど、誰ひとり、前行って打ってないやろ」ーーやろうと思っても出来ない「技術がないんやろな。差されるのはずーっとやんか。ずーっと速いボール打てんみたいやな」ーー変化球を空振りするのが嫌なのか「いや、知らん。それはお前、個々の選手の感覚やろ。泳げ言うてんのにな」ーー交流戦前できれいに勝っておきたかった「きれいにって言うかお前、今日1―0で勝って、それがきれいかどうかわからんで。勝ち負けだけでやったら、そら勝っとくのに越したことはないけど、やっぱりこんな勝ちばっかりな。わからんかな、そらバッター陣はな。こんな点な、点言うかヒットが出ないって、お前」ーーここまでの戦い「(貯金)6いうてもそんな...。そら不思議よ、はっきり言うて。そやろ? 数字見たら不思議やんか」ーー後ろもたまには打たれる「そら打たれるよ。そんな1年間打たれんことはないわけやからなぁ。岩崎はちょっとボール行ってない、調子悪いなぁ。広島ぐらいからなぁ。だらも今日は九回は最初からゲラのつもりやったけどなぁ。不用意やったよなぁ、初球が。もっと丁寧に入っとけばっていうのがあるけど。でも、いつもいつも1点差で投げとって、それは、もう言うのが酷よ、はっきり言うて。昨日の3点ぐらいあれば楽に投げれるけ、毎試合毎試合こういう展開じゃ、そら交流戦で点入らんぞ。ホンマ入らんよ」

◆巨人は1点を追う九回に岡本和の9号ソロで追いつき、延長十回に丸の中犠飛で勝ち越した。阿部慎之助監督(45)は試合後、延長十回の先頭で中前打を放った小林誠司捕手(34)に、打席に向かう前にゲキを飛ばしていたことを明かした。「『根性で出ろ、なんでもいいから』って言ったら、打ってきた」5試合ぶりにスタメンマスクを被った小林は打率・170、この日は3打数無安打だったが、同点の十回、阪神・岩崎に追い込まれながらもチェンジアップに食らいついて中前に転がした。代走・重信と交代し、その後、丸の中犠飛で重信が決勝のホームを踏んだ。逆転勝利を呼び込む一打を放った小林に、指揮官は「毎打席、ああやっていってほしいですね。毎回言おうかな」と笑顔で語った。交流戦前最後の試合で逆転勝ち。阿部監督は「菅野も病み上がりだったけどよく投げてくれた。やっぱり岡本の一本というのも流れをこっちに持ってきてくれた」と、七回途中3安打1失点の菅野や九回に同点弾を放った岡本和をたたえ、九回を1回無失点に封じたドラフト1位・西舘(中大)のプロ初勝利には「好リリーフをして、オマケみたいなものだから。この1勝を忘れないでほしい」とうれしそうだった。

◆阪神が逆転負け。ハビー・ゲラ投手(28)、岩崎優投手(32)がともに失点を喫し、2人の同日登板では19戦目で初黒星(14勝4分)を喫した。九回にゲラが岡本和真内野手(27)に同点ソロを浴び、延長十回1死一、三塁では岩崎が丸佳浩外野手(35)に勝ち越しの犠飛を許した。菅野智之投手(34)の前に無安打に抑えられていた打線は七回1死から森下翔太外野手(23)、大山悠輔内野手(29)、渡辺諒内野手(29)の3連打で均衡を破ったが、逃げ切りに失敗し、5カード連続勝ち越しを逃した。甲子園デーゲームでの連勝も「7」で止まり、延長戦成績は3勝2敗4分。28日の日本ハム戦(甲子園)から2年連続セ界首位として交流戦に挑む。主な選手とコーチのコメントは以下の通り成績=25勝19敗4分、観衆=4万2613人)六回に円陣について平田勝男ヘッドコーチ 「焦ることはないっちゅうことで。詳しいことはな、それ以上は」七回の適時打について渡辺諒 「うまく体が反応してくれて、いいところに落ちてくれたのでよかったです」七回、チーム初安打の二塁打を放った森下翔太 「(二塁へのヘッドスライディングは)ワンチャンスをモノにしないと菅野さんから取れないと思ったんで。気持ちが出ました」7回1/3を投げ無失点の才木浩人 「中継ぎの方に負担をかけたのは申し訳ないかなと。あの展開でゼロで行けたのは良かった」九回同点被弾のハビー・ゲラ、延長十回、勝ち越し犠飛を許した岩崎優 「(2人とも)「次、頑張ります」

◆阪神・森下翔太外野手(23)が2日続けてチーム初安打。「なんとかランナー出れば、後ろに大山さんがいて、いい打順だったんで、結果的にツーベースになったんでよかったなと思います」。七回1死で菅野の直球を捉えて中堅へ-。ヘッドスライディングで二塁に到達し「ああいうワンチャンスをモノにしないと菅野さんから(点が)取れないと思ったんで。気持ちが出ました」と振り返った。25日は一回2死で中前打を放ち、24日に戸郷にやられた無安打無得点投球の悪夢を払拭した。主砲大山が不振から抜け出せない今、2年目のスラッガーにかかる期待は大きい。

◆阪神の唯一の得点を生み出したのは「5番・三塁」の渡辺諒内野手(29)のバットだった。0-0の七回に森下、大山の連打で1死一、三塁となり、しぶとく右前へ適時打を運んだ。「気持ちだけです。うまく体が反応して、いいところに落ちてくれた」。25日の1号ソロに続いて、2試合連続打点。得点圏では今季6打席目で初安打だった。佐藤輝や糸原に代わって三塁を任される中、好調をキープしている。

◆阪神・大山悠輔内野手(29)は七回1死二塁で左前打。森下の二塁打に続き、一、三塁と好機を広げ、渡辺の適時打につなげた。しかし、同点に追いつかれた直後の九回は三ゴロに倒れるなど、一発で仕留めた岡本和とは雲泥の差。3日の巨人戦(東京ドーム)から出場19試合連続でノーアーチと、貧打から抜け出せない要因となっている。試合後は「勝ち負けなので」と唇をかんだ。

◆笛吹けど踊らず...。阪神は交流戦前最後の試合となった巨人戦で敗北。5カードぶりの負け越しとなった。岡田彰布監督(66)は七回1死まで無安打だった打線に「ひどすぎるよな」とブチ切れ。2位広島に0・5ゲーム差と詰められて28日から日本ハムを甲子園に迎える。攻守で不振の佐藤輝明内野手(25)の交流戦2軍スタートも決定的。真夏の失速劇だけは勘弁して!悪夢がよぎった。それでも、げきを飛ばして、振り払ったはずだった。あと少しで手が届いていた勝ち星は遠のき、浮き彫りになったのは貧打。無念の逆転負けに岡田監督の言葉は鋭っていた。「打つ方があまりにもひどすぎるよな。これから交流戦やから余計やで。真っすぐが打てんから。パ・リーグのピッチャーなんか強いストレートがくるよ。もっと点入らんわ、交流戦なったらな、今の状態じゃ」菅野の前に七回1死まで無安打。森下が二塁打を放ち、24日に戸郷にやられたノーヒットノーランの屈辱の再現はまぬがれたが、今季最多4万2613人が詰めかけた甲子園はフラストレーションの塊と化していた。「なんにもせえへんから、俺が言うたんやで。『こんなんやってたら、またやられるで』って」

◆不敗神話が悲鳴とともに崩れた。ダブルストッパーの岩崎優投手(32)とハビー・ゲラ投手(28)がそろって失点し、交流戦前最後の一戦で虎の子の1点を守り切れなかった。「次、頑張ります」岩崎の短い言葉に無念さがにじんだ。延長に入って十回のマウンドへ上がったが、2本の安打と犠打で1死一、三塁のピンチを招き、丸に中堅へ運ばれた。勝ち越しを許す犠飛を浴びて、ここで降板。1点を争う展開でリードを奪われた。先に捕まったのはゲラだった。1―0の九回に登板し、1死から岡本和と対戦。初球の157キロ直球を捉えられ、その瞬間にうなだれた。打球は左中間スタンドへ一直線の同点ソロ。セーブ機会時の登板では初失点となる一発を浴び、試合が振り出しに戻った。この試合まで2人がそろって登板した試合は18試合で14勝4分けと負け知らずだったが崩れてしまった。「いや、そら打たれるよ。そんな一年間、打たれんことはないわけやからな」岡田監督は「岩崎はちょっとボールがいってない、調子悪いなあ。こないだ(22日の)広島(戦)ぐらいからなあ」と分析。ゲラで逃げ切り、岩崎を休ませるプランだったことを明かした。「いつもいつも1点差で投げとって、それは、もう(注文を)言うのが酷よ、はっきり言うて」と指揮官。貧打の影響は確実に出てきている。(邨田直人)

◆聖地で初白星だ!! 巨人のドラフト1位・西舘勇陽投手(22)=中大=が26日、阪神12回戦(甲子園)で同点の九回に登板し、中軸を三者凡退に抑えた。延長十回に味方が勝ち越してプロ初勝利を手にした。黄金ルーキーの好投で逆転勝利し、カード勝ち越しを決めた。セは昨季日本一の阪神、パは4年ぶりのリーグ制覇を狙うソフトバンクが首位で交流戦前最後の試合を終えた。交流戦は28日に巨人―ソフトバンク(東京ドーム)、阪神―日本ハム(甲子園)など6試合で開幕する。阿部監督との記念撮影で、ウイニングボールを手にすると表情が一気に和らいだ。ドラフト1位・西舘が通算18試合目で念願のプロ初白星。敵地でのヒーローインタビューで虎党からの〝愛あるヤジ〟を浴びながらも初々しく喜んだ。「ビジターなので、どう喜んでいいのかよく分からなかった。(初勝利の)実感はあんまりないですけど、クリーンアップを抑えられたのがよかった」岡本和の一発で追いついた直後の九回に登板。最速155キロの直球とカットボールを駆使し、中大の1学年先輩の森下からの上位打線を三者凡退。十回に味方が勝ち越し、岩手・花巻東高3年夏に初戦敗退と悔しい思い出を残した聖地で大きな1勝を刻んだ。花巻東での3年間があるから今がある。米大リーグで活躍する大谷翔平(ドジャース)、菊池雄星(ブルージェイズ)も歩んだ母校では、目標設定の大切さ、野球に対する考え方を学んだ。入学当初は体の線も細く、今の姿にはほど遠かった。菊池、大谷も過ごした211号室で偉大な先輩の〝残香〟を道しるべに成長を続けて、甲子園での勝利。「高校のときはまったく力がなかったけど、少し成長できた」。たくましくなって戻ってきた。中大の後輩でもある西舘に阿部監督は「この1勝を忘れないでほしい」とさらなる活躍を期待した。ルーキーの好投でカードを勝ち越しを決め、貯金2で28日からの交流戦を迎える。「1勝目は記憶に残る。これからも自分の投球を続けていきたい」と西舘。甲子園でまた新たな思い出を刻んだ。(樋口航)

◆巨人のドラフト1位・西舘勇陽投手(22)=中大=が26日、阪神12回戦(甲子園)で同点の九回に登板し、中軸を三者凡退に抑えた。延長十回に味方が勝ち越してプロ初勝利を手にした。西舘の恩師、中大・清水達也監督(59)が試合後、電話取材に応じ、喜びを語った。28日にも東都大学野球春季リーグで優勝の可能性があるチームの練習のため、試合を見てはいなかったが、「早く1勝を、と思っていました。初勝利の瞬間を見られなかったのは残念ですけど、慎之助が大事に使ってくれているので、プロでうまくスタートできたと思う」と中大の教え子でもある巨人・阿部監督にも感謝した。岩手・花巻東高から入学した西舘は大学4年間で急成長。大学入学当初の右腕について「高校時代から結構投げ込んでいると聞いて、肘の状態があまりよくないことも小耳に挟んでいた。最終的には上(プロ)でやらせたいと思っていたので、最初から球数を投げさせることは控えよう」と救援での起用からスタートさせた。初先発は3年春の入れ替え戦が初めてだった。先発に専念した同年秋にリーグトップの5勝を挙げ、ベストナインを受賞。清水監督が見込んだ通り、2球団競合のドラ1右腕へと成長した。(原田優介)

◆阪神・才木浩人投手(25)は八回途中7安打無失点と好投したが、ハビー・ゲラ(28)、岩崎優(32)両投手がつかまり、ハーラー単独トップとなる6勝目はお預けとなった。防御率1・54はリーグ3位。球宴のファン投票で最も人気を集める若きエースよ、次も頼むぞ~!勝ち星がスルリと消えた。才木は九回に同点弾を許したゲラの背中をなでて、ねぎらった。打線は菅野の前にヒットを打つのもやっと-。それでも才木が投げているからという安心感を与えた。「きょうは悪くはなかった。しっかりゼロで抑えられ、先制点を与えなかったのもよかった」最速151キロの速球にフォーク、スライダー、カーブを織り交ぜ、的を絞らせない。一回は三者凡退。わずか9球で終わらせた。六回2死一、二塁で岡本和を右飛に打ち取ると、右拳を突き上げてガッツポーズ。梅野に近寄って満面の笑みで「変化球を(うまく)配球してくれた」と感謝した。八回途中まで7安打されながらも無失点。「守備でリズムを渡さないように」と、菅野との投げ合いを意識した。八回先頭の代打・立岡に右前打を許し、その後、1死二塁とされたところで降板したことについて「イニングは最後まで投げ切りたいと思っていた。中継ぎの方に負担をかけちゃったのは申し訳ない」と悔しさをにじませたが、106球の熱投に今季最多4万2613人のスタンドからは大きな拍手が降り注いだ。

◆巨人もなかなか、しぶといではないの。3連戦は面白い展開で、伝統の一戦にふさわしく、力が入ったよ。とはいえ、一歩下がって、違う角度からながめると、その実態は-。この日を迎えた段階のチーム打率は、巨人が・228、阪神が・225。リーグ5位VS6位だから、こういう試合になるのも無理はないか...。ノーヒット・ピッチングだった菅野も、七回に入るともう、球が上ずっていた。6回でラインを引かれるのが現状か...。阪神ご自慢のリリーフ陣にしたって、ゲラはコントロールが甘く、どうも信頼が置けない。岩崎はシンプルに、調子が悪い。石井をうしろに持っていく手もあるか...。そして、起死回生の同点ホームランを打ち込んだ岡本和。これぞ主砲の働き...と、うなずく一方で、そういえば4番にいたっけ...と、首をかしげてもいた。「...」の連続で申し訳ないけど、ここでいったん、チクリと締めておいた。28日からは、ちょっと目を離すとリーグ内の順位が大きく変動する、交流戦だからね。(サンケイスポーツ専属評論家)

◆まだ三回裏の攻撃が終わったばかりなのに、隣で試合を見ていた阪神・川藤幸三OB会長から指令が飛んできた。「過去に3連戦で2度、ノーヒットノーランを食らったチームはあるか?」そんな悲劇的なチームは聞いたことがない。調べ始めたが、同時に文句も言った。まだ、三回ですよ...と。「見て分からんか? きょうの菅野の切れは戸郷の切れと一緒や。またノーノーをやられても、何の不思議もない」そういうものか?と思って調査を継続した結果〝悲劇的チーム〟は存在しなかった。「年間で2度ノーノーされたチームは?」こちらは何例も見つかった。最近では2年前に西武が2度、やられていた。さすがに年間3度、は存在しなかった。結局、屈辱を逃れて、一時は完全に勝ちパターンに持ち込んだが、自慢のダブルストッパーが失点して負けるという何とも悔しい試合になってしまった。戸郷の快挙で始まった今回のTG3連戦。甲子園に向かう阪神電車の中で「才木クンにやり返してほしいなぁ」と語り合うTORACOを見かけた。3日間は、あちこちでずっとノーノーの話題で花盛り。2戦目(25日)の試合前のイベント「桧山進次郎VS斎藤雅樹」の1打席勝負を眺めながら、すぐに思い出したのは1996年4月5日の開幕戦。ミスター完投・斎藤の快刀乱麻の投球に阪神打線は沈黙。終わってみれば桧山の1安打のみで完封負けを食らった。

◆クヤシ~!! だけど、交流戦前首位を牽引してきた虎投の切り札セットアッパーと、クローザーのゲラ、岩崎でやられたんじゃ、しゃ~ね~わ! キッパリ諦め、気持ちを切り替え、『鬼が出るか、蛇が出るか』の何とも怖~い交流戦に、全戦闘能力を傾けようやないの!!てか、あとアウト2つで阪神勝利の九回、一振りで同点にした岡本和、さすが大巨人軍の4番や!! 恐れ入りました。あの瞬間、「一振りで試合を決めるのが4番やボソボソ...」と事あるごとに言っていたノムさん(野村克也氏)の声が俺、確かに聞こえました...。六回が終わって阪神はヒットなし...。ゲゲゲ~。第1戦の戸郷に続き、本日もノーノーを食らうんじゃねーだろうなぁ!! と冷や汗タラタラだったが、七回に渡辺がしぶとく先制タイムリー! さあ、ここでクイズです。この一打に一番悔しがったのは誰? 答えは巨人&巨人ファン...。ブーッ!! 正解は、現在2軍にいる佐藤輝(であってほしい!!)。自分の代役サードの活躍を妬むというのではもちろんなく、「名前の通り、輝くのは自分や! よーし見とけよ!!」と、悔しがったと信じるぜ!!

DAZN

<セ・リーグ順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差残試合 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(-)
阪神
25194 0.568
(↓0.013)
-
(-)
95149
(+1)
128
(+2)
23
(-)
15
(-)
0.223
(↓0.002)
2.170
(-)
2
(-)
広島
22174 0.564
(↑0.011)
0.5
(↓1)
100130
(+4)
106
(+2)
20
(-)
24
(+3)
0.242
(-)
2.320
(↑0.01)
3
(-)
巨人
23214 0.523
(↑0.011)
2
(↑1)
95113
(+2)
118
(+1)
21
(+1)
25
(-)
0.229
(↑0.001
2.300
(↑0.04)
4
(1↑)
中日
20225 0.476
(↑0.013)
4
(↑1)
96126
(+5)
148
(-)
20
(-)
13
(+1)
0.240
(↑0.002)
2.830
(↑0.06)
5
(1↓)
DeNA
21241 0.467
(↓0.01)
4.5
(-)
97148
(+2)
170
(+4)
21
(+1)
30
(+2)
0.244
(↑0.001)
3.320
(↓0.01)
6
(-)
ヤクルト
18262 0.409
(↓0.01)
7
(-)
97161
(-)
157
(+5)
32
(-)
20
(+1)
0.237
(↓0.003)
3.250
(↓0.04)