阪神(★1対3☆)広島 =リーグ戦7回戦(2024.05.08)・阪神甲子園球場=
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広島
0010000203601
阪神
0010000001400
勝利投手:大瀬良 大地(1勝0敗0S)
(セーブ:栗林 良吏(0勝1敗9S))
敗戦投手:ゲラ(0勝2敗5S)

本塁打
【広島】中村 健人(1号・3回表ソロ)

  DAZN
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◆広島は3回表、中村健のソロで先制する。その後同点とされるも、8回に小園と末包の適時打が飛び出し、再びリードを奪った。投げては、先発・大瀬良が7回1失点の力投。通算1000奪三振を達成し、今季初勝利を挙げた。敗れた阪神は、打線が5回以降無安打と振るわなかった。

◆スタメンが発表された。前日7日から変更はなく、ノイジー、大山悠輔、佐藤輝明のクリーンアップで広島先発の大瀬良から得点を奪い、2試合連続完封負けを阻止する。阪神先発の大竹耕太郎投手(28)は広島戦を得意とする。通算7試合の対戦で6勝0敗、防御率0・57で今季は初対戦。好投で勝利を呼び込みたい。

◆広島の3年目・末包昇大外野手(27)が8日、今季初めて1軍に昇格し即「5番右翼」でスタメン入りした。末包は今年1月下旬に左膝を痛めて、2軍で調整を行っていた。2軍戦には23試合出場し、2割1分8厘、1本塁打をマークしている。前日5番の坂倉将吾捕手(25)は先発を外れた。また、2番に20年育成1位入団の高卒4年目・二俣翔一内野手(21)、8番には3年目の中村健人外野手(26)が名を連ねた。若手右打者の積極起用で、昨季7戦6敗と苦手左腕・阪神大竹攻略を目指す。

◆珍しい「フェンス直撃」本塁打を浴びた。3回、大竹耕太郎投手(28)が広島中村健人外野手(26)に左翼に大きな飛球を打たれた。フェンスオーバーするかどうかギリギリの飛距離だったが、フェンス最上部に当たって、バウンドしてそのままスタンドに飛び込んだ。グラウンドに戻ってくればもちろんインプレー。数センチ単位の打球に、ネット上では「もうちょっと下に当たってれば...」「これって本塁打になるの?」と悔しそうな虎党の声が相次いだ。

◆7日の広島戦(甲子園)で阪神中野拓夢内野手(27)が2失策した。ともにやや不規則なバウンドだった。「普通にバウンドが変わったりしなかったら捕れる打球。ホームグラウンドだから、対応していかないといけない。跳ねた、跳ねてないを言い訳にはしない。練習するしかない」と反省した。昨季、ゴールデングラブ賞に輝いた名手の珍しいミス連発を受け、岡田彰布監督(66)は「シートかぶせた後は気いつけなあかんねん」とだけ話した。「シート」とは、内野にかぶせられる防水シートのこと。前日6日は早々に雨天中止。雨が降り続けたため、シートは長時間、かぶせられたままだった。この巨大なシートは防水性が極めて高い。土が乾いた状態で敷くと、一切の水も通さない。すぐれものではあるが、逆に、土は「水不足」の状態に陥る。整備を担当する阪神園芸はシートを敷く前に土を固める。シートをはがしたあとに整備カーが走るので、わだちが出来ないようにしている。つまり、あらかじめ固めた土が、さらに水不足で深部まで硬くなってしまう。通常よりバウンドが高くなり、イレギュラーも増える。岡田監督や平田ヘッドコーチを含め、阪神の歴代内野手はこの事情をよく知っている。かつては「シートを敷かないで」と要望する選手もいたとか。内野手にとっては、水をしっかりと含んでいる土がベスト。クッション性が高まり、バウンドが安定する。ただ、その状態を常にキープできるわけではない。中野が言うように、土のグラウンドを本拠地としている球団の宿命といえる。7日は広島の遊撃矢野も微妙なイレギュラーバウンドをつかめず失策がついた。馬場内野守備走塁コーチは「本当に難しい。だから毎日、練習でノックを打って、その日のグラウンドがどんなものかを確認しているんだよ」と説明した。試合前、バウンドを見極めるように何度もノックを受ける中野の姿があった。

◆/2年ぶりの一発\去年一軍出場なしからの復活中村健人がソロホームラン?プロ野球(2024/5/8)??阪神×広島??Live on DAZN#DAZNプロ野球#carp pic.twitter.com/vWLtm58cBI

◆/Acrobatic or Dynamic?\広島流忍者が飛ぶ菊池涼介が好プレー?プロ野球(2024/5/8)??阪神×広島??Live on DAZN#DAZNプロ野球#carp pic.twitter.com/kS6MyXgH9A

◆阪神が"忍者守備"にチャン拡大を阻まれた。同点に追いついた3回無死一塁。3番シェルドン・ノイジー外野手(29)の当たりを広島小園が逆シングルでキャッチ。素早く二塁へ送球した。これをベースカバーに入った菊池が体勢を崩しながらも捕球すると、そのまま一塁へクイックスロー。見事な併殺を完成された。岡田彰布監督(66)はリクエストを要求したが、判定は覆らなかった。

◆盗塁リーグトップの阪神近本光司外野手(29)が足で得点をもたらした。3回先頭で右前打で出塁。中野拓夢内野手(27)の4球目にスタート。外角に外していた会沢翼捕手(36)の送球はワンバウンドになり、近本の足が速くベースに到達した。今季6個目の盗塁。前日まで巨人門脇誠内野手(23)とリーグトップ5個で並んでいた。その後、中野の右前打で同点のホームを踏んだ。

◆広島の中村健人外野手(26)が今季1軍初安打となる先制のソロ本塁打を放った。3回1死で阪神大竹の121キロのチェンジアップを捉えた。打球は左翼フェンス最上部に当たり、バウンドしてスタンドイン。中村健はダイヤモンドを1周すると、ベンチ前で拳を握って喜んだ。3日に1軍に昇格し、2試合に先発出場も無安打だっただけに「追い込まれていたので、コンパクトに打ちにいきました。高く浮いたところをがむしゃらについていったら最高の結果になりました」とコメントした。

◆広島・菊池涼介内野手(34)が"忍者守備"で阪神のチャンス拡大を阻止した。阪神が中野の適時打で1-1の同点に追い付いた直後の3回無死一塁。3番ノイジーの強烈な打球を小園海斗内野手(23)が逆シングルで捕球し、二塁へ送球した。ベースカバーに入った菊池は、捕球し二塁ベースを踏むと、前方へ倒れ込みながら一塁へクイックスロー。ストライク送球で打者走者も刺した。この超の字がつくファインプレーに、阪神ファンも含めスタンドの観客も沸いた。阪神岡田監督がリクエストを要求したが、判定は覆らなかった。完璧な併殺で相手の流れを断ち切った。

◆今季4勝目を目指す阪神大竹耕太郎投手(28)が6回4安打1失点で降板した。広島戦は試合前まで通算7試合の対戦で6勝0敗、防御率0・57と好相性だった。今季初対戦となったこの日も、2回まで無安打。だが、3回1死から広島中村健人外野手(26)が放った打球は左翼フェンス最上部に当たり、バウンドしてスタンドに入る不運な本塁打。1点を先制された。その裏すぐさま打線が援護し、1-1の同点に。そして6回、四球と安打に自らの暴投が絡み、2死二、三塁のピンチ。今季初昇格の5番末包昇大外野手(27)への6球目、内角への140キロ直球で左飛に仕留めると、左腕を突き上げ、ほえた。6回97球の粘投で2番手、桐敷拓馬投手(24)に託した。

◆広島大瀬良大地投手(32)がプロ野球史上157人目となる通算1000奪三振を記録した。残り4奪三振で迎え、6回2死、佐藤輝を137キロフォークで空振り三振に仕留め、通算256試合目で到達した。達成後、3アウトを取ってベンチへ帰ると、記念のボードを受け取り、堂林翔太内野手(32)から花束を手渡された。1000奪三振は昨年9月13日に当時DeNAのカブス今永が中日戦で記録して以来で、広島在籍時の達成者では、14年の前田(現タイガース)以来。「1軍で数多く投げることができれば、いずれは達成できるものかなとは思うので、気にすることはないですけど、いつか達成できれば」と話していた節目をクリアした。通算1000奪三振=大瀬良(広島) 8日の阪神7回戦(甲子園)の6回、佐藤輝を空振り三振に仕留めて達成。プロ野球157人目。初奪三振は14年4月2日のヤクルト2回戦(マツダスタジアム)で古野から。

◆7回に2番手で登板した桐敷拓馬投手(25)が、球場のどよめきをものともせず、無失点で切り抜けた。1-1の7回、2死三塁で9番大瀬良大地投手(32)が打席へ。ここまで95球を投げている先発右腕の続投に球場全体から「え~」とどよめきが起きた。それでも桐敷は冷静だった。142キロのフォークで空振り三振を奪い、役目を果たした。

◆阪神が痛恨の勝ち越し点を献上した。1-1で同点の8回2死二塁。3番手ゲラが広島4番の小園に右前適時打を許した。右翼森下がバックホームも、送球がそれる。捕手坂本は二塁走者二俣と激突するような形で本塁生還を許した。その後、坂本は問題なくプレーを続行した。ゲラは4月27日ヤクルト戦以来の失点。続く末包にも左前適時打を浴び、ここで降板した。ゲラが1イニングを完了できなかったのは、来日初となった。

◆阪神が開幕直後以来の2カード連続負け越しで、2位巨人に0・5ゲーム差に迫られた。最短で10日にも首位陥落する危機だ。打線は2試合で1得点。岡田彰布監督(66)も「力負け」と認めざるをえなかった。試合後の一問一答は以下の通り。-序盤でもっと点が欲しかった「そら、(打線の)真ん中がヒットでえへんのやから。お前、そら1点って入らへんやん」-大瀬良は中盤以降立ち直った「おお、ちょっとよおなったけどな。最初ちょっとボール多かったしな、そんなええことなかったやろうな」-3度目の対戦で組み立ても変えてきた「そんなん変えへんよ。そんな変わってないと思うよ」-打者の問題「ずっと言うてるよ。そんな低めに来ないってな。みんな高めやろ、打ちとってるの。もう複数回言うてるよ。ミーティングでも」-相手チームは去年を見て「そうそうそうそう、いやだから開幕前から言うてるよ。そら、攻め方を変えてくるって。でも力負けやで、高めのまっすぐを。力負けのストレート空振りやで。いやほんまそうやで」-1人2人状態いいバッターが出てくれば。「状態ええって、ええことないんやからしゃあないやん。毎日そないして上がるようにやってるけど、上がらへんのはしゃあないわ、これは」-高めのまっすぐを対応するのに必要なことは?「前で打ったらええやん。簡単なことや。当たり前やんか。遅れているから空振りするんやろ。ファウルにもならんやろ? バットの軌道が合うてないんやろな、下から出てな」-大竹は相変わらず向こうは嫌そう「まあ球数もな、ちょっと、捉えられかけたけどな、何とかな、1点で抑えたけど、5回、6回ぐらいはなあ。まあ、あそこまで投げたら先発としては十分やけどなあ」-石井は「久しぶりに投げさせたけどな、ファームでもよかったから。そら、石井のこと言うてもしゃあないやろ」-ゲラは広島にまた。嫌なイメージがあるか。「どうかな。今日はボールいってなかったやろ、コントロール悪かったしな。あそこ打たせたらいいバッターやのにな、それがフォアボールなるんやからな。コントロール悪かったし、今日はボール走ってないなと思っていたよ」-今日も新井監督は粘り強く「そら知らんけど、新井のことを俺が言うのもあれやけど。でも、あそこまで投げさせるやろ。向こうも2枚おるわけやから、7回まで投げたらいける、それは当たり前やから。1イニング減らしたら誰かが投げなアカンわけやから」-クリーンアップに奮起してほしい「え? クリーンアップっていうか、4人やんか。真ん中の4人がノーヒットか。そら点入らんわな。ヒットが出るとかよりも内容が悪すぎるよな、打ち取られ方のな。そら点入らんわ。こんなんで勝つのは無理やわ、ハッキリ言うて」

◆阪神は広島に1-3で敗れた。広島先発の大瀬良に白星を献上したのは、21年8月27日(マツダスタジアム)以来3シーズンぶり。昨年のCSファイナルステージを含め、対戦11試合ぶりとなった。甲子園に限れば、18年6月22日以来6シーズンぶり、前述のCSと合わせ7試合ぶりとなった。

◆阪神が広島に連敗し、2カード連続の負け越しとなった。これは開幕カードの3月29~31日巨人戦●●○、4月2~4日DeNA戦●○●以来今季2度目。5月は1勝4敗1分けで、勝率2割。リーグ最下位に沈んでいる。阪神はこれで2位巨人と0・5差。10日に阪神●巨人○なら、首位が入れ替わる。

◆阪神桐敷拓馬投手(25)が自己最長の12試合連続無失点をマークした。7回から2番手で登板。先頭会沢に死球を与え、犠打で1死二塁と勝ち越しのピンチを背負った。それでも落ち着いて後続を断ち、「粘り強く1人ずつ切れたのでそこは良かった」とホッとした表情。無失点継続については「そこは気にせずに1人1人というところ」と冷静に役割を果たす。

◆ミスター・メイだ。阪神中野拓夢内野手(27)が唯一の得点をたたき出した。5月は全6試合でヒットを放ち、25打数8安打の打率3割2分。連続試合安打を8に伸ばし、眠れる猛虎打線の2番打者として懸命な働きを続けている。0-1の3回。先頭近本が安打&二盗。中野は大瀬良の内角球を狙いすまして右前に強くライナーを飛ばした。「チカナカ」コンビの電光石火の攻撃で試合を振り出しに戻した。「際どいところをファウルにしながら、最後に来た甘い球をしっかり仕留められた。そういう打席をもっともっと増やせば率は上がると思う。簡単にアウトにならないように、やっていきたい」。手応えのある打席内容だった。汚名返上の1日だった。前日7日の試合で失点につながる2失策。ともにやや不規則なバウンドだったとはいえ、昨季ゴールデングラブ賞の男には屈辱。「言い訳はしない」と切り替え、試合前のノックで丁寧にグラウンド状態を確認。「昨日のことは引きずらず、切り替えて集中することだけを考えていた。自分がやるべきことをしっかりとやった結果です」。5月の計8安打のうち、得意の左前への安打はない。オフから強い打球を打つスイングに取り組んだ。打撃の幅は広がっているのは間違いない。ただ今回は「あの場面は何とか近本さんを次の塁に進めようという意識があった。その中で強く引っ張ってヒットを打てた」と役割に徹した中での引っ張りと強調した。昨年も5月は月別最高の打率3割1分3厘。チームの快進撃の中心にいた。選手会長を務める背番号51は低空飛行の打線について、ナインを鼓舞するように言った。「なかなかつながらない時に自分がかえそうと思い過ぎると重圧がかかってしまう。もう1回全員が、後ろの打者につなぐ意識を持って、打線を線としてつなげられるようにやっていきたい」。原点に返り、10日からのDeNA3連戦(横浜)で立て直す。【柏原誠】

◆阪神近本光司外野手が単独リーグトップとなる6個目の盗塁で中野の同点打をお膳立てした。1点を先制された直後の3回、先頭で右前打を放つと、2番中野の4球目で二盗に成功。スタートは「全然です」と振り返ったが持ち前の脚力で好機を拡大した。その後、中野の右前打で本塁に生還し、一時同点のホームイン。「どの打席も変わらない気持ち」と打って走って1番打者の役割をこなした。

◆阪神坂本誠志郎捕手(30)がチーム唯一のマルチ安打で気を吐いた。2回に広島大瀬良から三遊間を破る安打を放つと、4回は中前打で今季3度目の複数安打とした。ヒットは5試合連続で、同期間では打率4割7分1厘と好調だ。リード面でも大竹の投球に「良かったです」と振り返り、相性通りの好投を引き出した。だが勝利を導くことはできず、笑顔はなかった。

◆広島大瀬良大地投手(32)が、甲子園で18年6月22日以来、6年ぶりに勝った。7回106球、4安打4奪三振1失点の力投で今季初勝利。阪神打線の3番から6番の中軸に安打を許さなかった。「信頼に欠ける投球が続いていた。(3回に連打された)近本くんや中野くんとの相性はよくなかったけど、これからも対策を練って1、2番を打ち取りたい」と謙虚に次を見据えた。6回2死、佐藤輝から空振り三振を奪い、通算1000奪三振も達成。残り1個になり、ベンチで「頑張れ」と激励を受けていた。右腕は「狙って取ったわけじゃない」と笑ったが、プロ11年目で節目の記録に到達した。直後の7回2死三塁で打順が回ったが、新井監督は白星後押しのため「当然。野手もそう思っていたと思います」と代打を出さなかった。大瀬良は空振り三振に倒れたが、続投指令に応え、その裏を3人で抑えた。打線も呼応し、8回に勝ち越しの2点を取った。指揮官は「素晴らしいピッチング」とたたえた。首位阪神に連勝し勝率5割に復帰。4月5日以来のAクラス入りで3位に浮上し、首位と1・5差に接近した。エースの白星とともに、さらに上を目指す。【中島麗】通算1000奪三振=大瀬良(広島) 8日の阪神7回戦(甲子園)の6回、佐藤輝を空振り三振に仕留めて達成。プロ野球157人目。初奪三振は14年4月2日のヤクルト2回戦(マツダスタジアム)で古野から。▽広島二俣(2番起用で8回、捕手の阪神坂本と衝突しながら決勝のホームイン)「走路に捕手が入って来たので、意地でもホームベースを触りたいっていう思いで。体が勝手に反応した」

◆阪神石井大智投手(26)が1軍復帰初戦を3者三振で仕留めた。2点ビハインドの9回に登板。会沢、矢野、堂林を全て空振り三振で仕留めた。今季は開幕1軍入りも、4月3日に出場選手登録を抹消。4日に1軍再昇格してから初の登板だった。「1試合目はすごく大事にしないといけない。この1試合にかけるというか。そこで結果を出さないと1軍に残れないと思っていた。まずはしっかりゼロで抑えられたことが良かった」と振り返った。

◆2戦連続4番の広島小園海斗内野手が、2夜連続決勝打を放った。同点の8回2死二塁、ゲラのスライダーを右前に運んだ。「(大瀬良)大地さんが頑張っていたんで、勝ちをつけることができてよかったです」。甲子園で6年ぶりの勝利をつかんだ右腕へ、4番の打棒で華を添えた。次戦へも「しっかり後ろにつなぐだけ」と意気込んだ。

◆阪神が広島に連敗し、2位巨人に0・5差に迫られた。連日の貧打で4安打1得点に抑えられ、大瀬良に6年ぶりの甲子園勝利を献上。この日は球運にも見放された。<1>3回表に左翼フェンスを直撃した中村健の打球がそのままスタンドイン <2>3回裏に二塁菊池の"忍者送球"でまさかの併殺 <3>8回表は際どいタイミングの本塁返球で捕手坂本と走者が交錯して決勝点を献上。5回以降無安打の岡田監督は「こんなんで勝つのは無理」とあきれ、苦い甲子園ナイトになった。数センチが命運を分けた。3回、大竹が中村健に先制ソロを被弾。フェンス最上部に当たり、バウンドしてスタンドインする「フェンス直撃」本塁打だった。同点に追いつき、なおも3回裏無死一塁の攻撃。ノイジーの三ゴロ併殺打も紙一重のプレーだった。送球を受け取った二塁菊池が、体勢を崩しながらも一塁送球。岡田監督はリクエストを要求するも判定は覆らず、"忍者守備"でゲッツーをくらった。8回2死二塁では、小園の右前打に二俣が本塁突入。タイミングは微妙も返球がそれると、坂本と交錯しながら生還を許し、勝ち越された。あと少しズレていれば...。虎が球際の運に見放された。打線は2試合18イニングで1得点。とりわけ、ノイジー、大山、佐藤輝、森下の3~6番がそろって無安打に終わった。岡田監督は「真ん中の4人がノーヒットか。そら点入らんわな」と嘆き「ヒットが出るとかよりも内容が悪すぎるよな、打ち取られ方のな」と指摘。「そら点入らんわ。こんなんで勝つのは無理やわ、ハッキリ言うて」とまで言った。Hランプが灯らなければ、事を起こすことすらできない。大瀬良には7回1失点に封じられ21年8月以来、3年ぶりに白星を献上。「ずっと言うてるよ、低めに来ないってな。みんな高めやろ。そら、(昨年とは)攻め方を変えてくるって」。ミーティングでも開幕前から複数回、指揮官は伝えてきたという。昨季日本一打線に、相手も研究を欠かすわけはない。「でも、力負けやで、高めの真っすぐを。力負けのストレート空振りやで。ほんまそうやで」そう認めざるをえなかった。指揮官は「前で打ったらええやん。簡単なことや。当たり前やんか」と言うが、対策を実行できず得意としていた右腕にねじ伏せられた。昨季から甲子園での広島戦はポストシーズンを含め11連勝も、直近は4連敗。開幕直後以来となる2カード連続負け越しで、2位巨人に0・5ゲーム差に迫られた。10日にも首位陥落の危機だ。「状態ええってええことないんやから。毎日上がるようにやってるけど、上がらへんのはしゃあないわ」。5月は1勝4分けでリーグ最下位。貧打脱却へ、もがくしかない。【中野椋】

◆昇格即スタメン出場の広島末包昇大外野手が、終盤に追加点をたたき出した。1点を勝ち越した8回2死二塁で、ゲラの155キロを左前へ運んだ。「小園がいい状態で回してくれて、流れに乗っていけた。まっすぐ狙いでバットを短く持った」。4月下旬に「2軍で全然打てなかったので、それの戒め」と髪を刈り上げていた。打席ではヘルメットに隠れていたものの、丸刈り頭で起用に応えた。

◆阪神ハビー・ゲラ投手(28)がまたも広島戦で黒星を喫した。同点の8回から登板したが2死二塁から小園、末包に連打を浴びて逆転を許して降板。リーグ最多タイ17試合目の登板だったが「ダメな試合になってしまいましたね。悔しい」と唇をかんだ。岡田監督も「今日はボールいってなかったやろ、コントロール悪かったしな」と話した。来日初黒星も11日の広島戦で、同カードは防御率7・36と断トツで相性が悪い。

◆今年もコイキラーだ! 阪神大竹耕太郎投手(28)が、得意の広島打線に立ちはだかった。先発で6回4安打1失点、7奪三振の粘投。広島戦は通算8試合で無傷の6勝0敗と不敗神話を継続した。岡田監督が「広島も嫌がってるしな」とローテを変えてあえてぶつけた一戦に、しっかり結果で応えた。今季初対戦は、2回まで緩い変化球を効果的に使って無安打。だが、3回1死、広島中村健に121キロのチェンジアップで左翼に大きな飛球を上げられた。フェンス最上部に当たってそのままスタンドに入り、不運な先制点を与えた。広島戦はプロ初被弾だった。やられたらやり返す。5回1死での中村健との再戦。2球で追い込むと、4球目に選んだのはスタンドに運ばれたチェンジアップだった。「やられた球種でやり返したというのが大きい。サインは違ったんすけど、自分で打たれたボールを選びました」。外角への117キロで空を切らせた。「あれで抑えられたので、チェンジアップに対して変な恐怖心もない状態でまた来週上がれる。打たれたボールを消さないことはすごく大事にしています」。打線の援護に恵まれず白星はならなかったが、次戦も見据えた投球が光った。岡田監督は「あそこまで投げたら先発としては十分やけどな」と評価した。2週間後、21日からの広島3連戦(マツダスタジアム)で、再びマウンドに上がる可能性は十分。今度は敵地でもキラーぶりを発揮する。【村松万里子】

◆【日刊スポーツ西日本写真映像チームのとっておき映像プレイバック】8日の阪神対広島戦には広島の忍者がたくさん現れました。菊池涼介、大瀬良大地、二俣翔一、小園海斗。派手なアクションプレーをいろいろな角度でどうぞ。

◆阪神は大竹耕太郎投手(28)が先発する。前回登板は4月27日のヤクルト戦(甲子園)で雨天中止などもあって中10日のマウンド。広島とは今季初対戦だが、昨季は7度対戦し、6勝0敗、防御率0・57と無類の強さを誇った。連敗阻止へ、左腕が得意の鯉斬りでチームを勢いづける。

◆阪神の先発・大竹耕太郎投手(28)が痛恨の先制点を献上した。三回1死。8番・中村健にフルカウントから投じた6球目だった。121キロチェンジアップで体勢を崩すも、打球は伸びて左翼フェンス最上部のラバーにあたり、そのままスタンドへ。大竹は中村健まで一人の走者も許さない完璧な投球も、広島打線に浴びたこの日初安打が先制点となる一発となった。2死から秋山に安打を許した大竹だったが、二俣を三振に斬り、最少失点で切り抜けた。

◆阪神がすぐさま同点に追いついた。1点を先行された直後の三回。先頭・近本光司外野手(29)が右前打を放って出塁すると、続く中野拓夢内野手(27)の4球目に今季6個目の盗塁に成功。無死二塁と好機を作った。中野は8球目、147キロ直球を引っ張って右前適時打。「打ったのはストレート。取られたあとで早く追いつきたかったです。近本さんのヒット、盗塁とチャンスを広げてくれたいい流れで打つことができました。まずは追いつくことができてよかったです」。8試合連続安打となる一打で試合を振り出しに戻した。

◆遊撃手の阪神・木浪聖也内野手(29)が華麗なグラブさばきをみせた。二回2死から会沢の鋭い打球をワンバウンドで逆シングルキャッチ。そのまま一塁への正確な送球でアウトにした。今季はここまで4失策。4月26日のヤクルト戦(甲子園)では、まさかの1試合3失策を喫したが、この日は昨季ゴールデングラブ賞を獲得した守備力を発揮した。

◆阪神の先発・大竹耕太郎投手(28)は6回4安打1失点で降板した。ピンチを作られながらも踏ん張った。0―0の三回、中村健に左翼へソロ本塁打を許して1点を献上。今季初対戦の広島にリードを許すも、味方が直後に追いつくとそこからは失点を防いだ。六回2死二、三塁のピンチも末包を左飛に打ち取り、空に向かってガッツポーズ。試合を作って2番手・桐敷にマウンドを託した。

◆広島・大瀬良大地投手(32)が先発し、通算1000奪三振を達成した。記録まであと4に迫っていた右腕は1-1の六回2死で佐藤輝を変化球で空振り三振に仕留め大台に到達。ベンチ前で堂林から受け取った記念パネルを掲げるとスタンドから拍手が降り注いだ。プロ野球では昨年9月の今永昇太(DeNA)以来157人目、球団では2014年8月の前田健太以来、16人目の快挙となる。プロ初奪三振は14年4月2日のヤクルト戦(マツダ)の三回に古野正人から。

◆七回のマウンドに上がった阪神・桐敷拓馬投手(24)が1回無失点で、登板12試合連続無失点とした。〝スペードのエース〟が安定感抜群だ。6回1失点の大竹に代わって2番手で登板。先頭の会沢に死球を与え、矢野の犠打、中村健の二ゴロで2死三塁と走者を背負うも大瀬良を空振り三振に仕留めた。これで4月7日のヤクルト戦(神宮)から12試合連続無失点。昨季の8月30日から10月1日にかけて記録したシーズンの11試合連続無失点を上回った。

◆阪神は1―1の八回、3番手のハビー・ゲラ投手(28)が勝ち越しを許した。勝利の方程式を担う一角が打ち崩された。1死から二俣に四球を与え、菊池の犠打で2死二塁を作られ4番・小園の打球は右前へ。バックホームを試みた森下の返球は三塁側に逸れ、二塁走者の生還を許した。続く末包にも左前適時打を浴び、来日初の複数失点。ここで漆原にマウンドを譲り、登板17試合目で初めてイニング途中の降板となった。

◆阪神・坂本誠志郎捕手(30)が走者と激突し、ヒヤリとする場面があった。1-1の八回2死二塁、小園の打球は右前へ。右翼手・森下の返球がやや三塁側にそれ、坂本は捕球できず。本塁に突っ込んできた二走・二俣と激突し、倒れ込んだ。甲子園は騒然としたが、坂本はすぐに立ち上がる。勝ち越しを許したが、体を張ったプレーをみせた。

◆伏兵の一撃に甲子園のスタンドは一瞬、静まり返った。広島・中村健人内野手(26)が先制の今季1号ソロを放った。「追い込まれていたのでコンパクトに打ちにいきました。高く浮いたところをがむしゃらについていったら最高の結果になりました」「8番・一塁」で出場し、0─0の三回1死で打席へ。今季は初対戦ながら昨季は7試合で0勝6敗の難敵左腕、大竹のフルカウントからの6球目、低めのチェンジアップに反応。体勢を崩されながら食らいつくと、高く上がった打球は甲子園特有の浜風に乗り、左翼席前列に着弾した。今季初安打が、2022年7月17日の巨人戦(東京ドーム)以来、661日ぶりの一発となった。22年にトヨタ自動車からドラフト3位で入団し、63試合に出場したが、昨季は1軍出場なし。今季は5月3日に初昇格したが、試合前時点で2試合で7打数無安打。4日のDeNA戦(マツダ)以来、3度目のスタメン出場でようやく結果を残した。昨オフは西武時代に4度の最多安打に輝いた同僚の秋山に弟子入りし、1月には静岡・伊豆下田で打撃フォームの改造に着手した。「投げるような感覚で打ちたい」と通算404本塁打の中村紀洋(元近鉄など)を参考にヒッチ打法に挑戦。パワフルなスイングで1軍定着をつかみ取る。

◆阪神は終盤の失点で広島に連敗を喫した。先発の大竹は6回4安打1失点と好投。三回、中村健に左翼へソロ本塁打を許して1点を献上。今季初対戦の広島にリードを許すも、味方が直後に追いつくとそこからは失点を防いだ。七回も桐敷が抑えたが、八回のマウンドに上がったゲラが2本の適時打を浴びてリードを許した。打線は先制を許した直後に中野の適時打で同点に追いつくも、その後はつながりを欠いた。零封負けを喫した7日に続いて4安打の拙攻でリードを奪えなかった。

◆八回、小園海斗の打球で本塁に生還する二俣翔一(右)と交錯する阪神・坂本誠志郎=甲子園球場(撮影・水島啓輔)

◆阪神は0-1の三回に中野拓夢内野手(27)が一時同点となる右前適時打を放ったが、打線が4安打に終わり、2連敗となった。先発の大竹耕太郎投手(28)は6回1失点。1-1の八回に3番手のハビー・ゲラ投手(28)が勝ち越しを許した。主な選手のコメントは以下の通り(成績=16勝13敗4分、観衆=4万2588人)八回に来日初の2失点を喫したゲラ 「本当にきょうは自分のせいだけど、早く切り替えて次に頑張りたい」九回に2死から四球で出塁した森下 「2点差があったので、走者が1人でないと同点にならないので、そういう意識で打席に立ちました」七回に2番手で登板し、自己最長となる12試合連続無失点の桐敷 「ゼロで行くっていうところがチームに貢献するっていうところかなと思うので、気にせずやっていきたい」九回に1軍昇格後初登板し、三者三振の石井 「昇格してから1試合目というのは、すごく大事にしなきゃいけないというか。この1試合にかけるというか。そこで結果を出さないと1軍に残れないと思っていたんで」

◆阪神が2連敗。開幕2カード以来の連続負け越しを喫した。同点の八回2死二塁、3番手のハビー・ゲラ投手(28)が小園海斗内野手(23)、末包昇大外野手(27)に連続適時打を浴びた。2/3回で降板し、2敗目(5S)。打線は三回1死二塁からの中野拓夢内野手(27)の8戦連続安打による1点のみ。2試合連続で3番からノイジー、大山、佐藤輝、森下が並び、4人合わせて14打数無安打5三振2四球だった。2戦1得点で、首位に立った4月21日以来、2位と0・5差になった岡田彰布監督(66)の主な一問一答は以下の通り(成績=16勝13敗4分、観衆=4万2588人)。ーー序盤でもっと点がほしかった「そら、真ん中でヒット出えへんのやから」ーー大瀬良は中盤以降立ち直った「おお、ちょっと、よおなったけどな。最初ちょっとボール多かったしな、そんなええことなかったやろうな」ーー3度目の対戦で組み立ても変えてきた「そんなん変えへんよ。そんな変わってないと思うよ」ーー打者の問題「ずっと言うてるよ。そんな低めに来ないってな。みんな高めやろ、打ち取ってるの。もう複数回言うてるよ。ミーティングでも」ーー相手チームは去年を見て「そうそうそうそう。いやだから開幕前から言うてるよ。そら、攻め方を変えてくるって。でも力負けやで、高めの真っすぐを。力負けのストレート空振りやで。いやホンマそうやで」ーー状態いいバッターが出てくれば「状態ええって、ええことないんやから、しゃあないやん。毎日そないして上がるようにやってるけど、上がらへんのは、しゃあないわ、これは」ーー高めの真っすぐを対応するのに必要なことは「前で打ったらええやん。簡単なことや。当たり前やんか。遅れているから空振りするんやろ。ファウルにもならんやろ? バットの軌道が合うてないんやろな、下から出てな」ーー広島は大竹(6回97球1失点)を嫌がっていた「まあ球数もな、ちょっと、とらえかけたけどな、何とかな、1点で抑えたけど、五回、六回ぐらいはなあ。あそこまで投げたら先発としては十分やけどな」ーー石井は(1回無失点)「久しぶりに投げさせたけどな、ファームでも良かったから。そら、石井のこと言うても、しゃあないやろ」ーーゲラは広島に2敗目。嫌なイメージがある「どうかな。今日はボール行ってなかったやろ、コントロール悪かったしな。あそこ打たせたらいいバッターやのにな、それがフォアボール(一死後に2番・二俣に四球)なるんやからな。コントロール悪かったし、今日はボール走ってないなと思っていたよ。ーー新井監督は粘り強く「そら知らんけど、新井のことを俺が言うのもアレやけど。でも、あそこまで投げさせるやろ(大瀬良が7回1失点で今季初勝利)。向こうも2枚おるわけやから、7回まで投げたら行ける、それは当たり前やから。1イニング減らしたら、誰かが投げなアカンわけやから」ーークリーンアップに奮起してほしい「え? クリーンアップっていうか、4人やんか。真ん中の4人がノーヒットか。そら点入らんわな。ヒットが出るとかよりも内容が悪過ぎるよな、打ち取られ方のな。そら点入らんわ。こんなんで勝つのは無理やわ、ハッキリ言うて」

◆広島・大瀬良大地投手(32)が通算1000奪三振を達成した。7回4安打1失点で今季初勝利を挙げたヒーローインタビューでは感謝を示した。「三振を取るタイプではない。こだわりはないが、たくさんの人に支えられてここまで来ることができた」試合前まであと4と迫っていた右腕は、1-1の六回2死で佐藤輝をフォークで空振り三振に仕留め大台に到達。ベンチ前で同学年の堂林から受け取った記念パネルを掲げるとスタンドから拍手が降り注いだ。プロ野球では昨年9月の今永昇太(DeNA)以来157人目、球団では2014年8月の前田健太以来、16人目の快挙となる。プロ初奪三振は14年4月2日のヤクルト戦(マツダ)の三回に古野正人から。

◆近鉄、西武で主砲として465本塁打&2452安打をマークし、西武コーチ時代には清原和博らを育てたサンケイスポーツ専属評論家・土井正博氏(80)は連日、併殺打を放った阪神のシェルドン・ノイジー外野手(29)に言及した。立ち上がりの大瀬良を見て、三回までに攻略できると思った。それを助けてしまったのがノイジーだ。打撃内容を見る限り、3番打者の器ではない。3番に入って、長打で走者を返さなければいけないと勘違いしたのか、極端に引っ張りに入っている。本来のセンターから右方向を意識すればいいのに、強引さばかりが目立つ。その結果が、三回の併殺で連日のゲッツー。引っ張りのゴロが3つに見逃し三振で、1、2番とクリーンアップを完全に寸断してしまった。調子がいいと判断して3番に据えたのかもしれないが、ホームランバッターでもないのに、併殺打を量産されたら、ベンチはたまったものではない。元々、阪神はホームランバッターがいなくても勝ってきたチーム。つなぎの野球ができていたから。12球団でも屈指の打線で1、2番から始まり、粘って、つないで、得点を重ねてきた。去年の日本一は、その積み重ねの結晶だった。この試合を見る限り、つなぎの意識では広島が上回っていた気がする。スタメンに抜てきされた若い選手がファウル、ファウルで粘って出塁する姿は、去年の阪神だ。お手本とまでは言わないが、思い出すきっかけにしてもらいたい。とりあえず、ノイジーが今の引っ張りが改まらないのなら、3番からは下げた方がいい。3番を代えすぎるのも気になっていた。打者というのは、ある程度、同じ打順で日々戦う方が、気持ち的に楽。前の打者、次の打者が決まっている方がありがたい。力のある選手が揃っている。今は我慢の時期かもしれない。ジックリ戦って、2024年の固定打線を見つけてもらいたい。

◆阪神・坂本誠志郎捕手(30)は大瀬良から二回に左前打、四回に中前打を放ってチームで唯一マルチ安打をマークすると、先発・大竹のリードも緩急を使って打者をゆさぶり6回1失点に導いて投手戦を演出。「大竹は良かったですよ」と好投をねぎらったが、八回は本塁生還を狙った二俣と交錯してヒヤリとするシーンもあり、終盤に競り負けた悔しい試合に「すみません」と言葉少なだった。

◆阪神の先発・大竹耕太郎投手(28)は6回4安打1失点。白星こそつかなかったが、昨季7試合で6勝無敗だった広島相手に再び好投した。三回に中村健にソロ本塁打で先制を許すも、五回に打たれた球と同じチェンジアップで空振り三振を奪った。「今後を考えても打たれたボールで勝負するのは大事なこと。あれで抑えられたので、チェンジアップに恐怖心がない状態で来週上がれる」と先も見据えたアウトで手応えをつかんでいた。

◆阪神・石井大智投手(26)が九回に5番手で登板。4日に1軍昇格してから初めての登板で会沢、矢野、堂林から3者連続で空振り三振を奪う好投をみせた。「この1試合にかけるというか、結果を出さないと1軍に残れないと思っていた。しっかりゼロで抑えられたことがすごくよかった」。課題だったフォークの制球も狙ったところに決まり「今日は実力以上の投球だった」とうなずいた。

◆阪神・桐敷拓馬投手(24)は1-1の七回に2番手で登板。先頭への死球と犠打で1死二塁を招いたが、中村健を二ゴロ、大瀬良は空振り三振に仕留めて自己最長となる12試合連続無失点とした。「先頭を出してしまったが、後続を1人ずつ切れた。ゼロ(無失点)でいくのがチームに貢献するということと思う」と、今後もリリーフの役割を全うしていく覚悟だ。

◆阪神・近本光司外野手(29)が三回の同点劇を演出した。先制された直後の攻撃で先頭打者として打席に入り、右前打。前戦まで今季打率・600と得意にした大瀬良から快音を残すと、二盗も成功させ、中野の右前同点打につなげた。「(点を)取られたからとかじゃない。どの打席も変わらない気持ちでやっています」と平常心を貫いたリードオフマンは、これで6試合連続安打だ。

◆「6番・右翼」で先発した阪神・森下翔太外野手(23)は、3打数無安打。九回2死の第4打席で四球を選んで出塁したものの、5試合ぶりに快音なしに終わった。2試合続けて打線が投手を援護できずに黒星を喫する形となり「次は野手が頑張って勝てるようにしたい。やれることをしっかりやっていきたい」と奮起を誓った。

◆2試合続けて「3番・左翼」で先発した阪神・シェルドン・ノイジー外野手(29)は1-1の同点に追いついてなお三回無死一塁の場面で三ゴロ併殺打に倒れるなど、4打数無安打。この日も来日中の親族が大勢スタンドで観戦したが、いいところは見せられなかった。4月に3割をキープしていた打率は・267まで降下。打線の中でなかなか機能できず、苦しくなってきた。

◆貧打の虎に起爆剤! 阪神は広島に1-3で敗戦。貧打線に刺激を与えるべく、井上広大外野手(22)が近日中に1軍昇格することが8日、分かった。高卒5年目の若虎はウエスタン・リーグで打率・344、4本塁打、17打点と絶好調。岡田彰布監督(66)も注視してきた期待の大砲がカンフルとなり、猛虎打線を覚醒させる。スコアボードに刻まれた4安打1得点という数字が、貧打の虎を物語る。打てない、つながらない。特に主軸に快音が響かない。2位どころか、最下位の足音が迫る混セの現状に、岡田監督の嘆き節が止まらない。「真ん中の4人がノーヒットか。そら点入らんわな。ヒットが出るとかよりも内容が悪すぎるよな、打ち取られ方のな。そら点入らんわ。こんなんで勝つのは無理やわ、ハッキリ言うて」経験豊富な岡田監督といえど、ここまで貧打では勝ちへの道筋を示せない。5月はチーム打率・207と低迷、6試合で13得点と1試合平均約2得点しかない。この日もノイジー、大山、佐藤輝、そして森下の3-6番がいずれも無安打に終わった。そんな中軸に刺激を与えるべく、白羽の矢が立ったのが井上だ。大阪・履正社高では2019年夏に甲子園初優勝に導いたスラッガー。過去4年は1軍定着に至らず、5年目を迎えた今季は、2月の春季キャンプを1軍スタートするも、実戦で思うような結果を残せず、3月中旬に左肩の肉離れで戦列を離れた。

◆しびれる終盤戦で勝利へのバトンパスを何度も成功させてきた助っ人に待っていた、悲劇。1―1の八回を託された阪神・ゲラが立て続けに痛打を浴び、マウンドを去った。「自分にとってはダメな試合になってしまった。悔しい」六回まで大竹が1失点と粘投し、七回は桐敷が無失点。リリーフ勝負に本腰を入れたところだったが、1死で二俣をフルカウントからの四球で歩かせ、菊池のバントで2死二塁。続く4番・小園にはスライダーをとらえられた。打球は二塁・中野のダイブをかいくぐって右前に抜け、森下の本塁へのダイレクト返球も及ばず、勝ち越し点を許した。4試合ぶり失点の1点でしのいでおきたいところだったが、なおも2死二塁で末包には、詰まらせながらも左前に運ばれ、1―3。岡田監督はたまらず交代をコールした。両リーグトップタイとなる17試合目の登板は、来日初の複数失点&イニング途中での降板。4月11日(甲子園)と今回で黒星はともに広島戦だ。指揮官は「あそこ、打たせたらいいバッター(二俣)やのにな。それがフォアボールなるんやからな。コントロール悪かったし、今日はボール走ってないなと思っていたよ」と首をかしげた。ゲラにとって屈辱の2安打1四球2失点。ただ、ダブルストッパーの一角を託される男には、うつむいている暇などない。「本当に今日は自分のせいだけど、早く切り替えて次に頑張りたい」ふがいなさをかみ殺し、ロッカーへと消えていった。この日渦巻いた悲鳴は、次こそ歓声に変える。(須藤佳裕)

◆甲子園で取材していると、阪神の古いOBや、プロ野球実況でおなじみのアナウンサーさんから声を掛けられた。「サンスポのあの甲子園の写真の連載はいいですね。毎日、楽しみに見てますよ」虎ソナは全く貢献していないが、ホメられて伸びるタイプ(還暦オーバーですが)なので、心の中で大喜びした。甲子園球場の開場100周年記念日(8月1日)に向けて、阪神はもちろん、高校野球、アメリカンフットボール...。数々の甲子園の歴史的ワンショットをカラー化して、連日紙面でお届けしている。本日はゴジラこと松井秀喜が星稜高時代、選抜大会の開幕試合直後に2本塁打した懐かしのシーンだ。この写真の数日前のこと。甲子園球場そばで松井は、その年、大阪桐蔭高からドラフト1位で阪神に入団した萩原誠と偶然、バッタリ。前年の高校日本代表メンバーとして仲良しの先輩と後輩だったが...。「萩原さん、ずるいですよ! 背番号31は僕が阪神に入団して、もらおうと思っていたのに」ミスタータイガース掛布雅之の引退以降、誰もつけていなかった栄光の番号を、1年早くプロ入りした先輩に奪われてしまい、不満をあらわにしていた。正真正銘の阪神ファンだったなぁ。先日の「長嶋茂雄DAY」翌日のこの欄でもつづったが、阪神に入ってくれていたらなぁ。いつまで書いているんだ!と叱られそうだが、一生、書き続けたい。トラ番代表で、屈指の虎党・須藤佳裕に甲子園の名場面を尋ねると-。

◆何で小園と勝負やねん!? 同点の八回2死二塁で打席は4番の小園。ゲラが右前に勝ち越し打を許してしまうのだが、小園はホームランバッターでもないのになぜ4番に起用されているのか? 答えは単純明快!! 打撃の調子がいいからに他ならないのだ!! 野球で「たられば」は後の祭りだけど、小園との勝負は避け、次の末包(あるいは代打)との勝負を選択していれば...と全国の虎党は苦渋の思いだったろう。ちゅ~か、広島との2試合でわずか1得点じゃさ。ちゅ~か、本日4安打、おまけに五回以降無安打じゃ、岡田さんだってイライラがたまって、小園の場面で沈着冷静な判断が鈍ってもしゃ~ないわ!! あー! ムカムカムカ~! 俺も頭に血が上ってきたわ! どーしてゲッツーばかりのノイジーが3番? 佐藤輝、森下の力づくなスイングの2人を並べんなよー!! いや、どーせ打てないならいっそ全員が四球を狙っとけー!!

DAZN

<セ・リーグ順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差残試合 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(-)
阪神
16134 0.552
(↓0.019)
-
(-)
110103
(+1)
89
(+3)
19
(-)
10
(+1)
0.229
(↓0.003)
2.090
(↓0.03)
2
(-)
巨人
17153 0.531
(↑0.015)
0.5
(↓1)
10888
(+4)
86
(+1)
12
(-)
19
(+1)
0.228
(↑0.001)
2.320
(↑0.04)
3
(2↑)
広島
13134 0.500
(↑0.02)
1.5
(↑1)
11381
(+3)
74
(+1)
12
(+1)
12
(-)
0.226
(↓0.001)
2.390
(↑0.04)
4
(1↓)
DeNA
15161 0.484
(↓0.016)
2
(-)
111102
(+2)
122
(+6)
12
(-)
19
(-)
0.242
(↓0.001)
3.360
(↓0.09)
5
(1↑)
ヤクルト
14162 0.467
(↑0.019)
2.5
(↑1)
111136
(+6)
116
(+2)
24
(+1)
13
(-)
0.249
(↑0.001)
3.490
(↑0.08)
5
(1↓)
中日
14164 0.467
(↓0.016)
2.5
(-)
10992
(+1)
115
(+4)
16
(-)
3
(-)
0.245
(↑0.001)
3.060
(↓0.03)