中日(★1対2☆)阪神 =リーグ戦3回戦(2024.04.14)・バンテリンドーム=
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阪神
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中日
0100000001500
勝利投手:才木 浩人(1勝1敗0S)
(セーブ:ゲラ(0勝1敗2S))
敗戦投手:梅津 晃大(0勝2敗0S)
  DAZN
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◆阪神は1点を先制された直後の3回表、梅野の適時打で同点とする。そのまま迎えた7回には、2死二塁から中野の適時打が飛び出し、勝ち越しに成功した。投げては、先発・才木が7回4安打1失点の力投で今季初勝利。敗れた中日は、打線が終盤の好機を生かせなかった。

◆阪神がサプライズに出た。スタメンを大胆に変えてきた。不動のオーダーを完全解体。1番には木浪聖也内野手(29)を置き、2番には捕手の梅野隆太郎(32)。近本光司外野手(29)を3番にして、4番には佐藤輝明内野手(25)を据えた。2番だった中野拓夢内野手(27)は8番に下げた。阪神はここ4試合で引き分けをはさんで3連敗と調子に乗れていない。阪神の先発は今季初勝利を狙う才木浩人投手(25)。岡田彰布監督(66)は阪神の指揮官として現在通算483勝。あと1勝で吉田義男氏(90=日刊スポーツ客員評論家)と並んで球団歴代2位になる。ここ4試合は3敗1引き分けと足踏み。5試合ぶりの勝利を目指す。

◆場内にスタメン発表があると、左翼席の阪神ファンからざわついた。突然、打順を大胆に変えてきた。「1番遊撃」には木浪聖也内野手(29)、さらに「2番捕手」に梅野隆太郎(32)と続けざまに意表を突く名前がコールされた。木浪の「1番」は19年9月22日DeNA戦(甲子園)以来5季ぶり。梅野の「2番」は昨年も4月26日巨人戦(甲子園)で1試合ある。近本光司外野手(29)の「3番」は22年10月2日ヤクルト戦(甲子園)以来2季ぶり。中野拓夢内野手(27)の「8番」は21年7月14日DeNA戦(甲子園)以来3季ぶり。昨年から4番で全試合に出場してきた大山悠輔内野手(29)は5番に下がった。阪神はここまで5勝8敗1分けの4位タイ。今週は1勝3敗1引き分け。主力に当たりが出ず、得点は1、2、0、2、2と低調だった。

◆大改造した打順が見事にはまった。1番木浪聖也内野手(29)、2番には梅野隆太郎捕手(32)、近本光司外野手(29)を3番にして、4番佐藤輝明内野手(25)、8番中野拓夢内野手(27)と打順を大きく変えた岡田阪神。スタメン発表では左翼スタンドからざわめきが起きた。1点を先制された直後の3回。1死から8番中野がこの日チーム初安打となる左前打で出塁。9番才木浩人投手(25)が送り、1番木浪が四球で2死一、二塁の好機を迎えた。昨年4月26日巨人戦(甲子園)以来となる2番で起用された梅野が中日の先発、梅津の4球目、146キロをすくい上げ、中前に運ぶ同点打。二塁走者の中野が全力疾走で生還すると、梅野は一塁上で両手を挙げて喜んだ。「相手が勢いのあるチームなので、取られたあとすぐに追いつくことができてよかったです。この球場は粘り強く守っていくことも大事なのでここからも頑張ります」とコメントした。

◆阪神佐藤輝明内野手(25)が致命傷につながりかねない失策を犯した。2-1の7回2死二塁。力投を続ける才木浩人投手(25)が中日木下拓哉捕手(32)を平凡な三塁へのゴロに打ち取った。落ち着いて捕球した佐藤輝だったが、一塁への送球がハーフバウンドになった。一塁手の大山悠輔内野手(29)がうまくすくい上げて、いったんは捕球。ただ、ミットの中に完全には収まらず、一瞬、宙に浮いたボールをつかみ直した。塁審の判定はセーフ。岡田彰布監督(66)がすかさずリクエストを要求したが、リプレーではボールが宙に浮いている間に木下が一塁ベースを踏んでいた。判定は変わらなかった。2死一、三塁とピンチが広がったが、才木は好調の山本泰寛内野手(30)を空振り三振に打ち取り、危機脱出。右腕は大きくガッツポーズした。

◆阪神が敵地での接戦を制し、5試合ぶりの白星を挙げた。岡田彰布監督(66)は虎の監督通算歴代勝利数で、吉田義男氏(90=日刊スポーツ客員評論家)が挙げた歴代2位の484勝に並んだ。ここ4試合は3敗1分けと足踏みが続いていたが、連敗ストップで節目の白星となった。試合前から動いた。前日13日のスタメンから全打順を変更。「1番遊撃」には木浪聖也内野手(29)、「2番捕手」に梅野隆太郎(32)、近本光司外野手(29)を「3番中堅」、中野拓夢内野手(27)を「8番二塁」に据えた。大幅に変更した打順が的中。1点を先制された直後の3回、1死から8番中野がこの日チーム初安打となる左前打で出塁すると、9番才木が犠打を決め、1番木浪が四球で2死一、二塁の好機。昨年4月26日巨人戦(甲子園)以来となる2番で起用された梅野が、中前に運ぶ同点打を放った。1-1のまま迎えた7回には前川の右翼への二塁打でつくった2死二塁の好機で、8番中野が初球のフォークに食らいつき、右中間へ落ちる勝ち越しの適時打。打線が懸命に1点をもぎ取った。先発の才木浩人投手(25)は7回4安打1失点、116球の力投。7回には先頭の中田に二塁打を浴び、味方の失策もからんで2死一、三塁のピンチを招いたが、最後は山本を149キロ直球で空振り三振。今季先発3試合目で初勝利を挙げ、チームを救う白星となった。

◆動画は下記X(エックス)のロゴをクリックすると見られます/大幅な打順変更でさっそく結果\今日は"2番"で出場梅野隆太郎が同点打?プロ野球 (2024/4/14)??中日×阪神??Live on DAZN#DAZNプロ野球 #hanshin"野球一本" 新プラン登場「DAZN BASEBALL」 月々2,300円 (年間プラン・月々払い)初月無料!4/17まで pic.twitter.com/iYwJ9wLtr4

◆中日の観客動員もスタートダッシュを決めた。この日の阪神3回戦の入場者は3万6220人。これで本拠地開幕戦の4月2日巨人戦から6試合連続で動員3万人超えを達成した。開幕から6試合連続は10年以来14年ぶりで、同年は落合監督の下、リーグ制覇を成し遂げている。また、入場者実数発表になった05年以降では、08年に開幕から18試合連続(最終順位3位)、09年も開幕から10試合連続(最終順位2位)が記録されていて、すべてAクラスフィニッシュだ。チーム成績も13日時点で6連勝、貯金5の首位。営業担当者は「気を引き締めていきたい」と、話していた。

◆虎初代日本一監督の吉田義男氏(90=日刊スポーツ客員評論家)が14日、教え子でもある阪神岡田彰布監督(66)が監督通算484勝で球団歴代2位の同氏に並んだことを受け、特別寄稿した。【取材・構成=寺尾博和】後輩にあたる岡田が、私の監督通算勝利数に並び、そして越えていくのは大変うれしいことです。プロ野球界を支えた先人たちの歴代記録をたどれば、私の数字など取るに足りません。「記録は破られるためにある」と申しますが、まったく同感です。ただ抜き去っていくのが岡田だったことが琴線に触れたのは間違いありません。彼は、私が2度目の監督だった1985年のリーグ優勝、初の日本一を遂げた際の主力選手で、腹をくくって決断した二塁転向で見事に復活し、私を男にしてくれた。人生のはざまで苦楽を学び、リーダーに必要な条件を身につけた。そして阪神監督に復帰し、再び日本一の頂点に立ちました。そこにたどり着くプロセスでは、事あるごとに岡田の胸の内を推し量った思いがあるだけに、私自身もかねての念願を遂げた心境になったものです。阪神で監督として戦うことがいかに困難かは、その座に就いた本人にしか分からないものがある。今では考えにくいが、私が率いた当時は、チームが敗れると、自宅に何件もの抗議電話がかかった。うちの嫁が座布団を受話器の上に置いて休むほどでした。初めて監督になった最終年は、辞める気がないのにマスコミも騒がしくなって、結果引きずり下ろされました。2度目は村山がやるものと思ったら、"何か"が動いてお鉢が回ってきた。3度目の就任に白羽の矢が立ったのも、まさかでした。過去を振り返ると、阪神の監督交代劇には、常に見えない力が働いたように思います。その意味では、監督に対する「本社」「球団」のバックアップが必要不可欠なのは、今も昔も変わりません。また家庭の安らぎは心の支えで助けられた覚えもあります。歴代監督の勝利数でトップの藤本定義さんは「伊予の古だぬき」の異名をとった名将でした。村山、小山を育てながら、当時は珍しかったローテーションを組んだ。いつも先発ローテーションを書いた長い巻紙を後ろポケットに突っ込んでいたのを覚えています。先日、甲子園球場で岡田と語り合ったばかりです。平田とも会い、今岡にも声をかけました。水口もあいさつに来てくれた。いつかまた岡田が現場復帰し、阪神を強くしてくれると願っていた。岡田が吉田を抜き、藤本さんを超えるのは、もはや時間の問題で、本望です。監督は孤独です。時代は変わったと言われます。でも変わってはいけないものもあると、私自身は思っています。タイガースの歴史と伝統を継承し、常勝球団を築いてほしい。連続優勝のかかった年は一戦必勝で戦い抜くこと。岡田にとっては、あくまでも通過点に過ぎません。

◆阪神才木浩人投手(25)が今季初勝利を挙げた。7回4安打1失点。今季最多116球の力投で接戦をものにした。22年7月3日には、トミー・ジョン手術後、初勝利を挙げたバンテリンドーム。思い出の地でチームの連敗を3で止め、中日の引き分けを挟んでの連勝を6で止めた。ヒーローインタビューでの一問一答は以下の通り。-今季初勝利「やっと勝てました、フフフ(笑い)」-3試合目で。相手は6連勝中だった「一番のっているチームだったので、なんとか、自分で断ち切りたい気持ちで投げました」-トミー・ジョン手術した梅津と投げ合い「梅津さんも、今日すごいピッチングをしていたので、自分も負けずにというか、気持ちで押していけるようにと投げました」-緩急も使った。7回は「先頭中田さんにツーベース打たれて、やっべえと思ったんですけど、なんとかゼロに抑えることができてよかったですね」-2死一、三塁となって元阪神山本との対決は気合が入っていた「そうですね、まあ、けっこうほえていたので、気持ちは入りましたし、ずっと打たれていたので、ここでなんとか切りたいという気持ちでいきました」-116球目、こん身のストレート、梅野とガッツポーズも「梅野さんもどんとこいというか、そういう感じで構えてくれたので、自分も思いきっていった結果、三振がとれたので、よかったと思います」-チームの悪い流れも切れた「ここから、どんどん勝っていって。次火曜日、誰だ? 村上なんで。多分良いピッチングをしてくれると思うので、どんどん良いリズムでいってほしいなと思います」-球団監督歴代2位タイとなる通算484勝目を岡田監督にプレゼント。才木もどんどん勝っていきたい「そうですね、負けずに頑張りたいと思います」-同じカードで、次は甲子園での可能性も「来週、自分はやっとホームの甲子園で投げられるので、たくさんの人に見に来てもらって、良いピッチングができるように頑張ります」

◆阪神岩崎優投手がレジェンド左腕を超えた。1点リードの8回に登板し1回無失点。これで通算155ホールドポイントとなり、かつて勝利の方程式「JFK」の一角を担ったウィリアムス(現阪神駐米スカウト)を抜き、球団歴代2位となった。「よかったです。また次も頑張ります」と短い言葉に実感を込めた。これで通算450試合登板となった。

◆阪神梅野隆太郎捕手(32)が2番起用で快音を響かせた。昨年4月26日の巨人戦以来、約1年ぶりとなる「2番捕手」で先発。「監督が言ったことにしっかり従って自分たちは期待に応えられるような準備をして、結果を出していくしかない」と気合が入っていた。1点ビハインドの3回2死一、二塁で梅津から中前への適時打。「しっかり甘い球を捉えられた」とうなずいた。大改造された打線の中で、しっかり結果を残してみせた。4連敗を阻止し「今日は本当に肌で感じました。勝つ時って、こういうくらい守り勝つ、追いつかれないように逃げ切る、というビジターでの大変さを感じました」と言葉に実感を込めた。守っては先発才木を粘り強くリード。「チームの流れは、辛抱していたら絶対、いい方向に向いてくると思う。辛抱強くシーズンを戦っていく中で、こういう1勝を大切にしていきたい」。経験豊富な男は、簡単にはブレない。

◆3季ぶりに8番でスタメン出場した中野拓夢内野手(27)が、決勝打を含むマルチ安打で5試合ぶり勝利を呼び込んだ。1-1の7回、2死二塁では梅津の初球、フォークをすくい上げ、打球は二塁手と中堅、右翼の間にポトリ。ラッキーな右前打が決勝打となった。「才木が粘りながら、頑張って投げていたので、何とか点を取ってあげたい気持ちがあった。当たりとしては良くなかったですけど、初球を積極的に振りにいけた結果」とうなずいた。同点打をお膳立てしたのも背番号51だった。1点を先制された直後の3回。1死で迎えた第1打席、中日梅津の2球目スライダーを左前に運んだ。11日広島戦(甲子園)の第3打席以来、11打席ぶりの安打はこの日のチーム初安打。反撃の口火を切った。9番才木が送り、1番木浪が四球で2死一、二塁。2番梅野の中前打で二塁から全力疾走し、同点のホームを踏んだ。8番での出場は21年7月14日のDeNA戦(甲子園)以来。3年ぶりの打順を聞くも「あんまりなんとも思わなかったです」と冷静だった。「打順がどうであれ、自分のやるべきことは変わらないですし、ちょっとうまくいかなかった打席が続いていたので、気分転換になったと思います」とプラスにとらえた。頼れる選手会長の2安打1打点で連敗がストップした。「接戦をものにできたところからチームの雰囲気もよくなってくると思いますし、何とか打撃陣がピッチャーを楽にして投げさせてあげられる展開を作っていきたい」。15日からは甲子園での伝統の一戦。虎の安打製造機が今度は連勝街道へとけん引する。【村松万里子】

◆動画は下記X(エックス)のロゴをクリックすると見られます/接戦を制し連敗を3でストップ\才木浩人、岩崎優、ゲラの継投策打順変更初戦をものに?プロ野球 (2024/4/14)??中日×阪神??Live on DAZN#DAZNプロ野球 #hanshin"野球一本" 新プラン登場「DAZN BASEBALL」 月々2,300円 (年間プラン・月々払い)初月無料!4/17まで pic.twitter.com/5wyVv58yQn

◆阪神ハビアー・ゲラ投手(28)が1点リードを守り、2セーブ目を挙げた。9回に登板し4番中田翔から始まるタフな流れで3者凡退無失点。細川、上林を連続で3球三振に仕留め、試合を締めた。岩崎とのダブルストッパー構想は継続しており、この日は岩崎からのバトンを受け取る「IGリレー」だった。「自分がやることはとにかく、どんなバッターであれアウトを取ること」とどんな持ち場でもフル回転する覚悟だ。

◆阪神木浪聖也が5年ぶりの「1番」に入り、得点へのつなぎ役を果たした。安打で出なかったが、2回2死二塁から四球を選び、梅野の同点打を呼び込んだ。「別に、やることは変わらないと思っていたので、あまり1番だからという思いはなかったです。つなぐことはずっと意識してること。つないで点を取れたことはよかったです」と、ホッとした表情だった。

◆中日の連勝は「6」で止まった。先発梅津晃大投手(27)が8回2失点と好投。打線では2試合連続スタメンの山本泰寛内野手(30=阪神)が、2回に古巣から2試合連続打点となる先制適時打を放つなど、好守で連勝ムードをもり立てた。打線は7、8回に得点圏に走者を進めたがあと1本が出ず。阪神の先発才木、岩崎、ゲラの継投を崩せなかった。「向こうの投手(才木)も力のあるいい投手。先制はできたが、その後がなかなか。7回まで粘られてしまった。(阪神は)8、9回と安定した投手がいるので、そこまでで追い付いたり、勝ち越せなかったということ」。立浪監督はサバサバと振り返った。先発梅津は2戦2敗になったが立浪監督は秘蔵っ子を称賛。「梅津は非常にいいピッチングをしてくれた。前回よりも球の質、威力は良かった。早く勝ちをつけてあげられるように頑張りたい」と、次戦以降への期待値の高さを言葉で示した。また、2試合連続の遊撃スタメンで結果を残した山本についても「守備も打撃も非常にしぶといものを持っている。これからもうまく使っていきたい」。センターラインを重視する立浪竜ではロドリゲス、村松に続くキーマンとして重用されそうだ。連勝は止まり、巨人が6連勝。ゲーム差なしで単独首位をキープした。「ずっと勝てるわけではないが、いいプレーもたくさんあった。明日は試合がないが、切り替えて次に向かうしかない」と、16日からの今季未勝利のヤクルト3連戦(バンテリンドーム)へ、照準を合わせた。【伊東大介】

◆阪神前川右京外野手(20)がスタメン起用に応え、決勝点に結びつく一打を放った。同点の7回1死、梅津から右翼への二塁打で出塁。その後、中野の適時打でホーム生還した。試合中には水口1軍打撃コーチに「始動が遅れている」と指摘され、すぐさま修正。「早め早めに準備ができた。チャンスメークできたのでよかったと思います」。2試合ぶりの出場で結果を残した。

◆阪神佐藤輝明が岡田監督のもとでは初の「代役4番」を務めた。打順がコールされると驚きのあとに大歓声が沸いた。安打は出なかったが、2回の遊ゴロ、9回の右飛と力強いスイングも見せた。4番に座るのは矢野監督時代の22年9月以来。昨季は5番と6番に入っていた。「とくに何の変化もない。別にいつもと変わらないんじゃないですか」と冷静に話した。

◆阪神大山悠輔がついに4番の座を降りた。昨年、岡田監督になってからは全試合で4番を務めていた。2回に粘って四球を選んだが、残り3打席は凡退。打率は1割6分7厘。「勝てたことが1番だし、打順は変わりましたけど試合に出ている以上は準備をして1試合1試合やるだけ。結果を出すのは自分なので、貢献できるようにやっていきたい」と口元を引き締めた。

◆阪神岡田彰布監督(66)が、全打順入れ替えで5試合ぶりの白星をたぐり寄せた。昨年全試合で4番を務めた大山悠輔内野手(29)を5番に下げるなど1~8番まで全打順をシャッフル。オリックス時代、第1次政権でもなかった大胆な打順変更で引き分けを挟んでの連敗を3で止めた。球団の監督通算勝利数は吉田義男氏(90=日刊スポーツ客員評論家)に並ぶ2位タイの484勝目となった。試合前のアナウンスにバンテリンドームが騒然となった。1番ショート木浪、2番キャッチャー梅野、3番センター近本、4番サード佐藤輝...。投手を除く全打順が前日までとまるで違うオーダー。38年ぶりに日本一に輝いたオーダーを「解体」。6戦連続で2得点以下と、苦境を抜け出せない打線の大幅組み替え。開幕15試合目に待っていた打順はサプライズとも言える並びだった。岡田監督にとってオリックス指揮官時代も含め、スタメンの全打順入れ替えは初めての出来事。なかでも驚きは4番の変更だった。指揮官が「みんなが認めとる」と話す不動の4番を5番に下げた。昨年全試合で4番を務めた大山は打率1割台と苦しんでいたことは間違いない。ただ、岡田監督はこれまでの第1次政権では金本、第2次政権では大山を全試合で4番に起用してきた。それだけに大きな決断だったに違いない。21年7月14日DeNA戦以来となる「8番」に座った中野は「監督も何かを変えないといけないと思って、打順を入れ替えたわけなので、みんな打順が変わっても、やるべきことは変わらないと思っていた」とチームの思いを代弁した。その選手会長が7回の決勝打を含むマルチ安打。梅野も、約1年ぶりの2番で同点打をマークした。試合は2-1の辛勝。4安打2得点とまだ大爆発とはいかないが、執念でつかんだ1点差の勝利だ。岡田監督にとっては、吉田義男氏に並ぶ球団監督歴代2位タイの484勝目だった。阪神初の日本一に85年、指揮官と選手としてともに戦った間柄。恩師が掲げた「守りで攻める」を受け継ぐからこそ、接戦をものにできる。一昨年までの評論家時代も、スタンドから選手たちの守備をじっと見ていた。「ちょっとやり方を変えるとね、改善できるんじゃないかというのは思っていた」。中野を二塁にコンバートするなど動き、守備の基本を徹底した。セ5球団との対戦が一巡して6勝8敗1分けのリーグ4位。昨季の王者が壁にぶち当たっていることは間違いない。だが、虎のベンチには百戦錬磨の指揮官がいる。基本に忠実に、時に大胆に。岡田野球でここから上昇をはかる。【磯綾乃】阪神は前日13日と全打順を入れ替えた。岡田監督が全打順を入れ替えるのは、阪神での1次政権時とオリックス監督時も含めて1299試合目で初めて。また、4番に佐藤輝を抜てき。岡田監督が阪神監督時に4番を変更したのは初めて。04~08年は金本知憲が、23年と24年の前試合までは大山悠輔がすべての試合で4番に固定されていた。

◆阪神才木浩人は開幕前からある切り替えに取り組んでいる。1月下旬に体調を崩し、オープン戦開始後にも喉の痛みなどによる発熱で、登板を回避した。鼻炎などで元々「口呼吸になりやすい」体質。特に睡眠時などは喉の乾燥につながりやすい。今回の体調不良も原因のひとつはそこだと分析し、現在は「鼻呼吸生活」を心がけている。「口呼吸は、呼吸機能的にも良くない。最近は、すごく気を使ってますね」加湿器などを使った室内保湿は必須。鼻孔拡張テープは就寝時のお供だ。ふとした日常から、鼻呼吸を意識して過ごしている。これまでも腹圧などの関係で、呼吸法からこだわってトレーニングなどを行ってきた。「呼吸はどのみち、すごく大事。口呼吸と鼻呼吸ですごく変わるから。鼻呼吸にするだけで、おなかの周りの機能的にも多分すごく変わってくる。良い方向に行くんじゃないかな」才木にとっては、ただの体調管理にとどまらない。呼吸法をマスターし、元気にシーズン完走を目指す。【阪神担当=波部俊之介】

◆右こぶしを振り、思い切り吠(ほ)えた。阪神才木浩人投手(25)は、最大のヤマ場で最高の1球を投げきった。7回2死一、三塁。リードはわずか1点。好調の元阪神山本を追い込むと、気持ちを乗せた149キロで空振り三振を奪った。7回1失点で投手戦を制し、三度目の正直で今季初白星。打線が不調でなかなか勝てない阪神に、5試合ぶりの勝利をもたらした。「先頭の中田さんに二塁打を打たれてから気持ちが入った。久々のピンチで、ここでなんとか、と。点が入ったあとだったので気持ちで負けないように投げました」。山本には2回に先制適時打を許していた。7回のピンチは2死二塁から佐藤輝の悪送球で広がったもの。直前にはようやく勝ち越しの1点をつかんだいた。仲間のミスを消し、チームの危機も救う、迫力満点のマウンドだった。負けるわけにいかなかった。投げ合う相手は梅津だ。同じく右肘のトミー・ジョン手術から復活を果たした。「めちゃくちゃいい投手。点が入りづらい展開になると思っていた。梅津さんもすごい投球をしていたので、自分も負けずに、気持ちで押していけるようにと投げました」。バンテリンドームは約2年前、自身が手術から1159日ぶりの復帰星をつかんだ場所だ。当時、うれし涙を流したが、それももう過去のこと。今は「特に思い入れはないです。普通に投げやすい球場」ときっぱり。とっくに、新しい野球人生を力強く歩んでいる。2人の投手戦は、後輩の希望になるはずだ。ドラフト1位下村がトミー・ジョン手術を受けたばかり。先輩たちがアドバイスを送る中、才木の活躍も下村の決断を後押しした。「ドラ1とか関係なく、もう早いうちにやった方がいい。絶対に」と大賛成した。今は苦しくても、必ず笑える日が来る。「ここからいい雰囲気で甲子園に行ってくれたらいいかなと思います」。バンテリンドームの虎党に、才木は満面の笑みで手を振った。【柏原誠】

◆1分挟んで3連覇中の阪神は13日から打順を全員入れ替え、「4番・三塁」に佐藤輝明内野手(25)が入った。3番・近本、5番・大山とクリーンアップを形成し、1番には木浪、2番は先発マスクの梅野。中野は「8番・二塁」で出場する。先発の才木浩人投手(25)はここまで2登板で計12回を投げて防御率1・50と試合を作るも、自身に白星はつかず。昨季の先発3試合で防御率0・86と相性のいいバンテリンドームで今季初勝利を目指す。

◆阪神・佐藤輝明内野手(25)が「4番・三塁」で先発する。4番は2022年9月4日の巨人戦(甲子園)以来。昨季は5番と6番のみでの先発出場だった。13日の同戦では一回に先制の2点二塁打を放っており、この日の活躍にも期待が懸かる。木浪聖也内野手(29)はルーキーイヤーの2019年9月22日のDeNA戦(甲子園)以来となる1番での出場となる。昨季全試合で「4番・一塁」だった大山悠輔内野手(29)は5番に入った。岡田監督の指揮官復帰以降初で、大きな決断となった。

◆阪神の先発・才木浩人投手(25)が二回に先制を許した。連日の「恩返し」を食らった。2本の安打で2死一、二塁とされ、昨季まで阪神に在籍した山本泰寛内野手(30)が打席へ。追い込んだ後のフォークを狙い打たれ、先制の左前適時打となった。戦力外通告を受けて阪神から中日への加入となった山本は、13日の同戦でも3安打1打点と活躍。この日も結果を残された。

◆中日が二回に山本泰寛内野手(30)の左前適時打で1点を先制した。「8番・遊撃」で13日に続き2戦連続でスタメン出場した山本は2死一二塁で迎えた第1打席でカウント1ー2から才木のフォークボールを左前に運んだ。二走の上林が生還して1点を先制した。山本は初スタメンだった13日は3安打1打点と大暴れし、チームの6連勝に貢献。この日もまず自らのバットでチームを勢いづけて、昨季まで所属していた古巣を相手に存在感を示した。

◆阪神は0―1の二回、梅野隆太郎捕手(32)の適時打で同点に追いついた。〝新2番〟が結果を残した。1死から、8番に入った中野が左前打で出塁し、才木の犠打、木浪の四球で2死一、二塁の好機。梅野は梅津の低め直球を捉え、一、二塁間を破る中前適時打とした。昨年4月26日の巨人戦(甲子園)以来となる2番起用に応え、リードする才木を援護した。「打ったのはストレート。相手が勢いのあるチームなので、取られたあとすぐに追いつくことができてよかったです。この球場は粘り強く守っていくことも大事なのでここからも頑張ります」とコメントした。

◆阪神は1―1の七回、中野拓夢内野手(27)の適時打で勝ち越した。1死から前川が右翼へ二塁打を放つも、森下が捕邪飛に倒れて2死二塁。ここで中野が役割を果たした。中日の先発・梅津が初球に投じた変化球を捉え、ふらふらと上がった打球は右翼手の目の前でポトリ。二塁から前川が生還した。この日3年ぶりに8番で出場した中野は三回にも梅野の同点打の起点となる適時打を放っており、マルチ安打で奮起した。

◆阪神は2―1と勝ち越した直後の七回にピンチを背負ったが、才木浩人投手(25)が力投で切り抜けた。先頭の中田に右翼へ二塁打を浴び、細川を左飛、上林を左邪飛に打ち取って2死二塁で迎えた木下との対戦。三ゴロに打ち取ったものの佐藤輝の送球がワンバウンドとなり、大山のミットからわずかに飛び出した間に打者が一塁へ到達。リクエストを経てもセーフとなり(記録は三塁の失策)、一、三塁とされた。それでも才木は負けなかった。先制の適時打を許した山本を149キロの直球で空振り三振に仕留めてリベンジ。大きなガッツポーズを見せた。7回まで116球の熱投で4安打1失点。リードを守った。

◆阪神は1―1の七回、中野拓夢内野手(27)の適時打で勝ち越した。1死から前川が右翼へ二塁打を放つも、森下が捕邪飛に倒れて2死二塁。ここで中野が役割を果たした。中日の先発・梅津が初球に投じた変化球を捉え、ふらふらと上がった打球は右翼手の目の前でポトリ。二塁から前川が生還した。この日3年ぶりに8番で出場した中野は三回にも梅野の同点打の起点となる適時打を放っており、マルチ安打で奮起した。「打ったのはフォークかな。才木が頑張ってくれていたので、どんな形でもいいので勝ち越したいという気持ちでした。積極的にスイングした結果、いいところに飛んでくれてよかったです」とコメントした。

◆今季2度目の先発マウンドに臨んだ中日・梅津晃大投手(27)が8回117球を投げて自己最多の13奪三振、4安打2失点の力投をみせた。最速151キロの直球とフォークボールで押す攻めの投球で阪神の各打者のバットに空を切らせ、二回以外は毎イニング三振を奪った。1点リードの三回に梅野にタイムリーを許して追いつかれ、七回に中野に勝ち越しのタイムリーを打たれたが、堂々のクオリティースタート。1-2で1点を追う八回の攻撃で代打を送られて降板した。

◆阪神は中日に逆転勝ちで引き分けを挟んでの連敗を3で止めた。大幅に打線を組み替えて臨み、クリーンアップを近本、佐藤輝、大山で形成。大山は2年ぶりに4番を外れた。0―1の三回、3年ぶりに8番に入った中野が左前打で出塁し、2死二塁で「2番・捕手」の梅野が中前に同点の適時打。七回には2死二塁から中野が右前に適時打を放って勝ち越した。投げては先発の才木が7回4安打1失点と好投。序盤は直球が高めに浮く場面も見られたが、カーブやスライダーを駆使して凡打の山を築いた。116球の力投で今季初白星をつかんだ。この1勝で岡田監督は阪神での通算勝利数を484に伸ばし、吉田義男氏と並ぶ球団歴代2位の記録となった。

◆中日、西武、阪神で通算1560安打を放ち、楽天初代監督を務めたサンケイスポーツ専属評論家の田尾安志氏(70)が打線の大改造で1分挟む連敗を「3」で止めた阪神打線に言及した。このまま同じように臨んでも何も変わらないという岡田監督のメッセージだったのだろう。三回には2番に置いた梅野が同点打を放ち、七回には8番・中野が勝ち越し打。この打順はカンフル剤という意味でこの日限りだろうが、チーム4安打で勝てたのは大きい。大山は膝にサポーターを巻いているような気がする。打撃の状態からいえばベンチスタートで休養させるという手も選択肢だったはずだ。大山自身、連続試合出場をやりがいの一つにしており、首脳陣がその気持ちを酌んだのか。少なくとも、チームに逆風が吹く中で、それに誰が立ち向かえるのかというと、やはり大山だと私は思う。仮に大山を外した場合、代わりに出る選手のレベルも寂しい。近本の状態が落ちているのは気になるが、すべての〝風よけ〟になれる大山が5番であろうとも出続けるのは意義深いことだ。阪神はすべての球団との対戦を終えた。どん底の状態で6勝8敗1分けは御の字。1点をもぎとり、守る野球がやっとできた。ここから上昇気流を描くだろう。

◆阪神が1分を挟む連敗を「3」で止めた。22年9月6日のヤクルト戦(神宮)から4番に座り続けた大山悠輔内野手(29)が5番に入るなど、打線を大幅に改造。三回、昨年4月26日の巨人戦(甲子園)以来の「2番」に入った梅野隆太郎捕手(32)の中前打で追いつき、七回には21年7月14日のDeNA戦(甲子園)以来の「8番」を務めた中野拓夢内野手(27)の右前打で勝ち越した。7回1失点の才木浩人投手(25)の後は、八回に岩崎優投手(32)、九回にはハビー・ゲラ投手(28)が締めた(成績=6勝8敗1分、観衆=3万6220人)。2番で同点打の梅野隆太郎 「監督が試行錯誤しながら考えた中で、勝てたことはいいこと」8番で決勝打の中野拓夢 「監督も何かを変えないといけないと思って、打順を入れ替えたわけなんで...」22年9月4日以来の4番で無安打の佐藤輝明 「(4番には)別に特に何の変化もないですけど」19年9月22日の1番で、三回には四球で得点にからんだ木浪聖也 「つないで、点を取れたのがよかったと思います」七回の二塁打で勝ち越しを演出した前川右京 「1打席目終わってから、水口さん(打撃コーチ)に始動が遅れてるって言ってもらって。早めにタイミングを取っていけた」7番で無安打の森下翔太 「もう切り替えてやるしかないんじゃないですかね」7回2失点で今季初勝利の才木浩人 「いい雰囲気で甲子園に行ってくれたらいいかなと思います」八回に登板した岩崎優 「また次頑張ります」九回に登板し、2S目のハビー・ゲラ 「役割が変わったのは監督が決めること。自分がやることはとにかく、どんなバッターであれアウトを取ること」

◆阪神・佐藤輝明内野手(25)が大山悠輔内野手(29)に代わって2022年9月4日の巨人戦(甲子園)以来の4番に座った。588日ぶりの4番出場にも「別にいつもと変わらないんじゃないですか」と平常心。4打数無安打に終わり守備では七回にピンチを広げる送球ミスもあったが、同学年の先発・才木の粘投に救われた。休養日を挟んで迎える甲子園6連戦は、バットで上昇気流に乗せる。

◆阪神・森下翔太外野手(23)は2試合連続のノーヒットで、打率・157(51打数8安打)と状態が上がってこない。「チームが勝てば次につながるのでよかった。もう切り替えてやるしかない。明日はゆっくり休んでまた甲子園でやりたい」と必死で前を向く。開幕は3番で迎えたが、昨年6月1日の西武戦(ベルーナ)以来プロ2度目の7番でのスタメン出場となった。気持ちをリセットし、ホームで復活の快音を放つ。

◆2試合ぶりの先発で「6番・左翼」に入った阪神・前川右京外野手(20)が連敗脱出への扉をこじ開けた。1―1の七回1死から、好投を続けていた梅津の初球をはじき返して右翼線二塁打。「1打席目が終わって水口さん(打撃コーチ)に始動が遅れているといってもらって、早めにタイミングを取った」。4日のDeNA戦(京セラ)での左中間二塁打以来となる長打を記録し、中野の右前適時打で決勝のホームイン。「チャンスメークができてよかった」と喜んだ。

◆阪神・木浪聖也内野手(29)がルーキーイヤーの2019年9月22日のDeNA戦(甲子園)以来の「1番」で出場。3打数無安打だったが、0―1の三回には2死一塁から四球を選び、梅野の同点打につないだ。「やることは変わらないので、1番だからというのはなかった。つなぐことはずっと意識しているので、つないで点を取れたのがよかった」と連敗ストップに胸を張った。

◆昨季の日本一打線が〝解体〟される中、23年4月26日の巨人戦(甲子園)以来、「2番」を務めた阪神・梅野隆太郎捕手(32)は三回に同点打を中前に運ぶなど、勝利に貢献した。梅野の主な一問一答は以下の通り。ーー試合を振り返って「先制されましたけど、粘って行くぞというとこで。バンテリンは僅差のゲームが多いので、何とか粘り強く投げていこうと言いながら、本当に結果粘り強く、いろんなピンチを耐えながら、よう頑張ってくれたんじゃないかな」ーー才木は「結果押し込めた感じはありますけど、それまでは、いろんな過程の中で、いろんな球を使いながら出来たので、相手も打ったボールとかケアする中で、ああいうピンチを最後乗り切った(七回2死一、三塁で山本から空振り三振)のも、球種だけじゃなくて、いろんなコースも使いながら出来たのは大きかったし、あいつもそれに応えてくれたことが大きかったと思う。ピンチだけじゃなく、粘り強く投げるために、3人で帰ったりも今後大事になってくるので、いろんな話し合いをしながらゲームで感じるものをバッテリーでやっていきたい。才木は粘り強く投げてくれて、ナイスピッチングだったんじゃないかな」ーーひとつ勝つ難しさ「今日はホント、肌に感じました。勝つ時って、こういうくらい守り勝つ、追いつかれないように逃げ切るというビジターでの大変さを感じましたし。とは言え、1勝つかめたので、いい1勝だったんじゃないかな」ーーストレートが続いてる中で同点打「聖也がつないでくれて、相手も丁寧に行く中だったので、しっかり絞ってどっかで勝負してくると思うので、しっかり甘い球を捉えられた。点を取られてからすぐだったので、そこが一番、才木と自分たちバッテリーにとって大きい。たまたま自分でしたけど、チームの流れは辛抱してたら、絶対いい方向に向いてくると思うので。辛抱強くシーズン戦っていく中で、こういう1勝を大切にしていきたいですね」ーー大きく打順が変わった「監督が試行錯誤しながら考えた中で、どういう形であれ勝てたことはいいこと。前を向いて、いい反省も出来るんじゃないかなと思うので。打順に関してガラッと変わりましたし、個々でいろんな思う部分はあると思うんですけど、監督が言ったことに、しっかり従って自分たちは期待に応えられるような準備をして、結果を出していくしかないので。そこに関しては、いろんなところに対応できる準備を、これからもしていきたい」ーー去年も1度あった2番。難しさも「入り方はもちろんありますけど、どこにしても状況によったバッティングだったり、作戦だったり、キャッチャーしてるので、どういうことがあるかなって準備はしっかりして、今後もどうなるか分からないので、いい意味でやりやすいと思えるように自分で前向きに捉えながら、打順の組み替えも今日みたいなことは、なきにしもあらずなので、対応できるようにやっていきたいなと思います」

◆己を信じ、最後は力でねじ伏せた。阪神・才木浩人投手(25)の右腕から放たれたボールが、真っすぐ梅野のミットに収まる。空を切ったバットを見届け、グラブをバシッとたたいて雄たけびを上げた。116球の熱投でリードを守り、今季初白星を挙げた。「一番乗っているチームだったので、なんとか自分で断ち切りたいという気持ちで投げました」2―1と勝ち越した直後の七回。先頭の中田に二塁打を浴び、2死をとって迎えた木下との対戦。三塁へのゴロに打ち取ったものの佐藤輝の送球がバウンドし、大山のミットからわずかに飛び出した間に打者が一塁へ到達。リクエストを経てもセーフは変わらず(記録は三塁の失策)一、三塁とピンチが広がった。それでも崩れないのが才木だ。「久々のピンチ。気持ちで負けないように」と二回に先制の適時打を許した山本を149キロの直球で空振り三振に仕留めてリベンジ。7回4安打1失点と投げ抜き「梅野さんも『どんとこい』と構えてくれたので思い切っていった。三振が取れたのでよかった」と喜んだ。未来ある後輩のためにも負けられない。今月11日にD1位・下村(青学大)が右肘内側側副靱帯(じんたい)再建術(通称トミー・ジョン手術)を受けたことを公表。才木の助言が、難しい決断の後押しとなっていたことを明かしていた。「やって後悔はないと言われましたし、絶対やるなら早い方がいいといわれていた。そういう言葉もあって、自分もやろうと思いました」才木も2020年に同じ手術を受け、1年半をかけて実戦に復帰。1軍で1159日ぶりに復活星をつかんだのがバンテリンドームだった。活躍を続けることが下村を勇気づける。序盤は直球が高めに浮いたが、カーブやスライダーを駆使してアウトを重ねるうちに修正。期待にたがわぬ投球でチームに5試合ぶりの勝利をもたらし、次戦は4戦目にして初の甲子園のマウンドに上がる。「来週はホームの甲子園で投げられる。たくさんの方に見に来てもらって、いいピッチングができるように頑張っていきたい」力強い投球でチームの悪い流れを断ち切った。次は大歓声の後押しも受け、さらに勢いに乗る。(邨田直人)

◆師匠に並んだ!! 阪神・岡田彰布監督(66)が、中日戦に勝利し、阪神監督として球団歴代2位の吉田義男氏(90)に並ぶ通算484勝目をマークした。吉田氏は1985年の日本一監督。当時、岡田監督は選手会長でディフェンス重視の吉田野球をたたき込まれた一員だった。この日は〝吉田の教え〟の一つでもある「挟殺」が、試合の流れを変えるワンプレーとなった。ベンチでほくそ笑んだはずだ。0-0の二回2死一、二塁で中日・山本が左前へ。先制点を献上し、さらにピンチ拡大となるところだったが、左翼・前川がカットの三塁・佐藤輝に正確に送球。そして、一塁から三塁を狙った木下を二、三塁間で挟んだ。あのワンプレーこそが、岡田監督自身もたたき込まれてきたものだった。「1点は仕方ない。2点、3点と取られることが一番アカンことやからな」守備練習で阪神の外野手がホームにダイレクトに送球することはない。必ず内野手がカットに入るのが岡田野球の決めごと。その手本になった人物こそが吉田氏だった。「現役時代に『牛若丸』と呼ばれた守備の名人。85年は、打力のイメージが強いけど、吉田さんは守備に厳しかった。俺もカットプレーで外野まで走ったり...。チーム全体に守備の意識がものすごく高かったよ」日本一となった85年はバース、掛布雅之、岡田の〝伝説のバックスクリーン3連発〟など強力打線のイメージが強い。「俺も含めてゴールデングラブ(当時ダイヤモンドグラブ賞)をいっぱいとったんやで」。その言葉通り、二塁の岡田、遊撃の平田勝男(現ヘッドコーチ)、三塁の掛布、捕手の木戸克彦(現阪神プロスカウト部長)の4人が同時受賞した。

◆岡田采配は、継投でも変幻自在だ。リードした場面での「セットアッパー岩崎-守護神ゲラ」のつなぎが初お披露目された。両投手ともきっちりと仕事を果たし、助っ人右腕は声を弾ませた。「最後、役割が変わったのは監督が決めることですし、いい結果につながったので。自分がやることは、どんな打者であれアウトを取ること」2-1の九回に登場。先頭の中田を153キロ直球で中飛に打ち取った場面は「ちょっといい当たりをされて、ヒヤッとした」と振り返ったが、その後も冷静に熱く投げていった。細川は155キロの高め直球で、上林はスライダーで2連続三振に仕留め、延長十回に投げた5日のヤクルト戦(神宮)以来となる来日2セーブ目をマークした。岩崎は1点リードの八回に登板し、見事に今季2ホールド目。岡田監督は守護神について、開幕前から「シーズン入っても右左の関係でもええわけやから別にな。形いうのは、開幕からピタッと形なんか作られへんよ」と語ってきた。岩崎に左の大島や高橋周を、ゲラに右の中田、細川らを斬らせる策が、ここでズバリはまった。岩崎も「また次、頑張ります」と涼しげだ。虎ブルペンの〝二枚看板〟は、相手打線を柔軟に封じ込めていく。

◆試合開始に合わせて「サンテレビボックス席」が始まり、いつもの曲が流れる。スポンサー名がモニター画面に映っているときに、1番・木浪が渋い顔をしながら二ゴロに倒れている。一回の攻撃は3分で終了。もうちょっと楽しませてくれぃとは思ったが、誰もがびっくりするような打順を組み、1点差勝利。岡田マジックさまさま!2005年9月7日のナゴヤドーム(現バンテリンドーム)。2点リードの九回、守護神・久保田が無死二、三塁のピンチを招くと谷繁の二ゴロで三走・アレックスが本塁へ突っ込んできた。微妙なタイミングも判定はセーフ。岡田監督が猛抗議も覆らない。その後、同点とされ、1死満塁。マウンドに向かった岡田監督は「打たれろ! メチャクチャやったれ!!」。そして延長戦、中村豊の勝ち越し弾-。それから19年。誰もが想像もつかないメチャクチャな打順?で虎将として吉田義男監督に並んだのだ。ホンモノか、それとも-。13日夜、名古屋市内の居酒屋「旨たつ家」で真がん論争が行われていた。ノルウェーにあるオスロ国立美術館に収蔵されているフィンセント・ファン・ゴッホの自画像は...という話ではない。テーマは中日ドラゴンズの強さについて。2017年から3年間中日担当を務め、現虎番のビヤ樽三木建次が眉間にしわを寄せながら、店主の清水治美さんを取材していた。「昨年まで打撃投手を務めていたから、いろいろ聞いてみたんや」62歳の清水さんは左投げ左打ちの元中日投手だ。1985年に日本通運から6位入団(83年秋のドラフト会議で指名されるも諸事情に入団は1年後)し、1軍登板なしで86年で現役引退。その後、裏方としてチームを支え、立浪監督からも絶大な信頼を受けていた。

◆弱い阪神から逃避行してロスに大谷でも見に行こうかと企てていたが、円安でラーメン1杯5000円近くすると聞き、即断念...。英会話もコツコツ学んでいたのにグスン(涙)。となると、やはり阪神しか俺にはないか~ということで本日の中日戦。ところが、スタメンを耳にして愕然(がくぜん)! 前日と同じ打順の先発が一人もいない大バクチを岡田監督が仕掛けた!! 思わずロスに後ろ髪を引かれてる俺は英語で叫んだ。You've got to give up gambling once and for all(ギャンブルはきっぱりとやめなさい)!!中野の幸運なポテンヒットで連敗は止まったけどさ~、結局4安打じゃないの...。まだ序盤戦だし、昨年覇者となった打線復活を腰を据えて待つべきではあるまいか? 投手が耐えて、打線がしぶとく得点を奪う昨年の形がアレンパにつながる道だと俺は思う!!

◆動いた、勝った!! 阪神は2-1で中日に勝利し、1分けを挟んでの連敗を3で止めた。岡田彰布監督(66)が第2次政権では〝最大級〟の打線改造を断行し、8番起用した中野拓夢内野手(27)が決勝打で応えた。貧打にあえぐなか采配で競り勝ち、岡田監督の阪神での通算勝利数は484に。ついに吉田義男氏(90)と並び、球団歴代2位だ。誰一人、前日と同じ打順で先発出場した者はいなかった。あまりにも激しい〝岡田の断〟だったが、それで勝った-。2番から8番となった中野は、V打を絞り出すとナインの思いを代弁した。「自分の状態もありましたし、監督も何かを変えないといけないと思って、打順を入れ替えたわけなので。みんな打順が変わっても、やるべきことは個人個人、変わらないと思っていたので」日本一オーダーの跡形もないラインアップがアナウンスされていき、バンテリンドームは試合前からどよめきが収まらなかった。昨季から体に染みついたそれぞれの役割があったはずだが、ここで一旦解体だ。1番には木浪が、2番には捕手の梅野が約1年ぶりに入った。近本は3番に回り、4番は佐藤輝-。第2次岡田政権で4番に座り続けてきた大山は、ここでついに5番に下がった。選手らとすれば、メンバー表を通じて頬を張られたようなもの。岡田流の、メンバー表を通じたハッパに違いなかった。そして、2021年7月以来の8番に入った中野が、意地を見せるかのように機能した。中日の先発・梅津を打ちあぐねたが、1-1の七回1死で6番・前川が右翼線二塁打を放つと、2死から選手会長が右前適時打。気持ちが乗り移った、右翼、中堅、二塁手の間にポトリと落とす一打で勝ち越しに成功した。

DAZN

<セ・リーグ順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差残試合 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(-)
中日
842 0.667
(↓0.06)
-
(-)
12939
(+1)
28
(+2)
5
(-)
1
(-)
0.234
(↓0.006)
1.840
(↓0.01)
2
(-)
巨人
950 0.643
(↑0.028)
0
(↓1)
12946
(+2)
30
(+1)
8
(+1)
6
(-)
0.251
(↓0.002)
1.880
(↑0.07)
3
(-)
DeNA
770 0.500
(↓0.038)
2
(-)
12936
(-)
51
(+9)
3
(-)
8
(-)
0.248
(-)
2.830
(↓0.01)
4
(-)
阪神
681 0.429
(↑0.044)
3
(↑1)
12836
(+2)
46
(+1)
10
(-)
5
(-)
0.206
(↓0.004)
2.600
(↑0.11)
5
(1↑)
ヤクルト
571 0.417
(↑0.053)
3
(↑1)
13045
(+9)
40
(-)
4
(+1)
9
(-)
0.237
(↑0.002)
2.820
(↑0.24)
6
(2↓)
広島
590 0.357
(↓0.028)
4
(-)
12931
(+1)
38
(+2)
2
(-)
6
(+1)
0.217
(↓0.007)
2.700
(↑0.03)