阪神(☆1対0★)広島 =リーグ戦1回戦(2024.04.09)・阪神甲子園球場=
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広島
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阪神
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勝利投手:村上 頌樹(1勝1敗0S)
(セーブ:岩崎 優(1勝0敗3S))
敗戦投手:床田 寛樹(0勝1敗0S)
  DAZN
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◆阪神が投手戦を制した。阪神は両軍無得点で迎えた5回裏、近本の適時打で先制に成功する。投げては、先発・村上が7回2安打無失点の力投。その後はゲラ、岩崎の継投でリードを守り、村上は今季初勝利を挙げた。敗れた広島は、打線が3安打無得点と沈黙した。

◆開場100周年を迎えた甲子園で今年のプロ野球公式戦がスタートする。阪神電鉄は「KOSHIEN CLASSIC ~感謝を、伝統を、次の100年へ~」と銘打って、さまざまな記念事業を展開する。記念サイト 甲子園にまつわるエピソード、トリビアや歴史を一挙紹介。ファンから寄せられた写真も取り込んで作るデジタルアルバムも公開中。コラボ 「巨人の星」「ドカベン」「タッチ」など甲子園にゆかりのある名作漫画9作とコラボ。ムービーやポスター、阪神電車のラッピングトレインも走っている。甲子園歴史館 企画展「阪神甲子園球場100年とタイガースの歴史」を8月4日まで開催。装飾 球場正面や甲子園駅前広場のゲートに100周年オリジナルの装飾が登場。球場内ではデジタルサイネージ(電飾広告)や大型タペストリーも。TG戦 開場記念日の8月1日に合わせて7月30日~8月1日に巨人との「伝統の一戦」を開催。この3日間は一、三塁側アルプススタンドの座席販売数を拡大する。対局 「100周年記念対局 藤井聡太8冠×羽生善治九段」を12月8日に球場で開催する。ビール 甲子園でしか飲めないアサヒビール「アサヒクラシック」を今季限定発売。100年前の味わいを再現した。伝統、特別感、100の数字にこだわった記念グルメも販売。甲子園文字 スコアボードで使用してきた伝統の「甲子園文字」を受け継ぎ「甲子園フォント」としてデジタルフォント化。日本を代表するフォントメーカー「株式会社モリサワ(本社・大阪市)が手がける。ブラバン 昨年に続き、高校生による「甲子園ブラスバンドフェスティバル」を6月16日に開催。

◆阪神は甲子園開幕に合わせて公式Xで「観戦マナーに関するお願い」と題して、ファンに注意喚起を行った。「今シーズンもご来場のお客さまひとりひとりが観戦マナーを順守し、すべての皆さまが楽しく快適に観戦できる環境を作り上げ、健全な応援でチーム・選手を鼓舞していただきますよう、心よりお願いいたします」とツイート。球団OBの能見篤史氏(44)を起用したムービーでは「STOP 誹謗中傷 侮辱的な替え歌」として、能見氏が「その言葉、あなたが言われたらどんな気持ちですか。忘れないでほしい。選手もチームも野球も好きで応援していることを。全ての選手に愛のある声援を」とメッセージを伝えている。

◆両軍のスタメンが発表された。8月1日で開場100周年を迎える今季甲子園の初戦。チケットは前売りで完売している。阪神は昨季セ・リーグMVPの村上頌樹投手(25)が、広島は昨季チームトップ11勝の床田寛樹投手(29)が先発する。阪神岡田彰布監督(66)は勝てば阪神監督通算勝利数で歴代2位の吉田義男氏(90=日刊スポーツ評論家)の484勝に、あと1勝に迫る。

◆歌手で俳優の山崎育三郎(38)が君が代独唱と始球式を行った。君が代独唱ではブラウンにチェック柄の入ったスーツに身を包み、本塁後ろから美声を響き渡らせた。その後、始球式では背番号19を着け、「IKUSABURO」と名前が刻まれた特製の阪神のユニホームに着替えて登場。ストライクゾーンに投げこむと球場はドッと沸き、阪神岡田彰布監督(66)からも笑顔で拍手が送られた。始球式を終えて「久しぶりにちょっと震えましたね」と興奮を抑えられないようす。「120点。今日できるすべてをかけて投げられたので良かった。ミュージカル俳優になるときに野球への夢をあきらめてミュージカルの道に行ったので、こういう形でマウンドに立てるのはグッとくるものがあった。割といいボールがいって安心しました」とやりきった表情を見せた。最後に「記念すべき100周年という節目の年に参加させていただいて本当に光栄に思いますし、ここから本拠地からスタートするということで、もう1回流れが変わって、タイガースが連勝していくことを僕も祈ってますし応援しています」と阪神にエールを送った。

◆阪神近本光司外野手(29)がいきなりのビッグプレーを披露した。今季初の甲子園。その初回先頭、野間峻祥外野手(31)の左中間への詰まった飛球に全力チャージ。ダイビングキャッチして、転がりながらもボールを離さなかった。右ひざなどを地面に打ったもようで、一瞬、うずくまり甲子園をざわつかせたが、駆けつけた遊撃木浪聖也内野手(29)がベンチに向かって両手でマルを作ると、大きな拍手が起きた。甲子園開場100周年のメモリアルイヤーが始まり、最初のプレーを超美技で飾った。2死からは小園のファウルフライを坂本がスライディングしながらキャッチ。初回から好守が続いた。

◆阪神大山悠輔内野手(29)の新しいチャンステーマが初回さっそくお披露目された。2死三塁の先制チャンスで打席が回ると、耳慣れないファンファーレが流れた。通常の応援歌のあとに、新たに加えられた「さあここで見せてくれ さあ主砲の一打を 勝利に導け われらの大山」と続き、右翼席の応援団も大合唱した。打席結果は四球だった。開幕前に「阪神タイガースヒッティングマーチ委員会」が発表。甲子園初戦となるこの日から運用されることが決まっていた。

◆甲子園100周年イヤーの初得点は阪神近本光司外野手(29)がたたき出した。0-0の5回1死二塁から右翼線にライナーではじき返し、先制の1点を奪った。ノンストップで狙った二塁は惜しくもアウトの判定。リクエストでも覆らなかったが、快足ぶりで沸かせた。近本は初回の守備で先頭打者の左中間への飛球をダイビングで好捕。ただその際に足などを強く打ちつけ、しばらく起き上がれなかったがプレー続行していた。貴重な適時打で、痛めた足も問題のないところを示した。

◆阪神佐藤輝明内野手(25)が反省を生かした。7回1死での三塁守備。堂林翔太内野手(32)の強い打球にバウンドが合わなかったが、体をしっかりと入れ、ボールを1度こぼしながらも冷静に一塁に送球してアウトにした。甲子園のファンからも大きな拍手が起こった。7日のヤクルト戦(神宮)で手痛い適時失策をおかしていた。速い打球に対して体を横向きにして、後ろにそらしていた。馬場内野守備走塁コーチも「必死さがないというか、どうにかしてという姿がなかったなと思う」と苦言を呈していた。この日の練習中には、平田ヘッドコーチと守備について話し込む場面もあった。

◆阪神が投手戦をものにして勝率を5割に戻した。甲子園開場100周年イヤーの初戦をしっかりと勝ち切り、甲子園開幕を待ちわびたファンを喜ばせた。村上頌樹投手(25)と床田寛樹投手(29)の投げ合い。先制点は阪神だった。5回、1死二塁から近本光司外野手(29)が右翼線に快打を放ち、1点をもぎ取った。前回は初回4失点と乱調だった村上は要所を締めた。直球の走り、フォークの制球がよく、2回、5回と得点圏の走者を帰さなかった。昨季MVPに輝いた右腕はリズムよく7回を投げて2安打無失点と本領を発揮。今季初勝利を挙げた。8回はハビー・ゲラ(28)、9回は岩崎優(32)とダブル守護神が抑えた。甲子園での広島戦に限ると、昨年5月20日から1引き分けを挟んで8連勝となった。CSファイナルステージでも3連勝しているため計11連勝。打線に元気がない広島を、データ通りに封じ込めた。

◆阪神岡田彰布監督(66)が、虎の監督通算歴代勝利数2位に王手をかけた。今季の甲子園初戦を制し、これで自身の阪神監督通算勝利数を483勝に伸ばした。早ければ10日にも、恩師でもある吉田義男氏(90=日刊スポーツ客員評論家)が挙げた歴代2位の484勝に並ぶことになった。「岡田野球」を体現するような試合になった。初回先頭、広島野間の左中間への詰まった飛球に、中堅手の近本光司外野手(29)が全力チャージ。ダイビングキャッチして、転がりながらもボールを離さなかった。先発した昨季MVP男の村上頌樹投手(25)は粘りの投球で、7回2安打無失点で今季初勝利。5回に近本の適時打で先制した1点を守り抜いた。この日は阪神の初代日本一監督でもある吉田氏が甲子園を訪れ、岡田監督を始めチームを激励。ベンチ内で話し込む姿もあった。これで阪神は甲子園での広島戦で、CSの含めて昨年5月20日から11連勝。甲子園で3連勝すれば、単独2位に躍り出る。大勢のファンを沸かせ、聖地で節目を飾りたい。

◆最下位広島の貧打拙攻が露呈し、セ・リーグワーストタイ記録の4試合連続完封負けで4連敗を喫した。阪神の先発村上を相手に打線が抑えられ、36イニング連続無得点で、これは56年の36イニングと並び球団ワースト4位。リーグワースト記録でもある11年の50イニングにジワリジワリと迫ってきている。借金は今季最多の「3」に膨れ上がった。先発した床田寛樹投手(29)は7回8安打1失点の好投も、見殺しとなった。5回1死二塁から近本に右翼線への適時打を浴び先制点を献上したが、その後は味方の援護を待ちマウンドに立ち続けた。打線は2回と5回に得点圏に走者を進めたが、あと1本が出なかった。甲子園の泥沼からも抜け出せない。昨季5月20日の阪神戦からシーズンをまたいで8連敗で、これは1968年以来56年ぶりの屈辱だ。また、CSファイナルステージを含めれば11連敗と敵地で苦しい戦いが続いている。

◆阪神村上頌樹投手(25)が今季初勝利を挙げた。近本光司外野手(29)が決勝打。「淡路島コンビ」が躍動した。お立ち台での一問一答は以下の通り。--7回無失点村上 ありがとうございます。--気持ちは前回、いいピッチングができなかったので、貢献できるようにと思ってマウンド上がりました。--初勝利が甲子園開幕戦村上 先頭、近本さんがいきなりファインプレーしてくれて乗って行けたと思います。--甲子園100周年、どんな場所か村上 え~、そうですね...いい場所です!--大歓声を受けて村上 ファンのみなさん、あったかい声援ありがとうございます。--5回には村上が犠打、近本が適時打村上 打つだろうなと思って見てました。--今季も頼りになる村上 とても頼りにしてるので、次の試合もお願いしたいです。--村上犠打の後近本 セイヤ(木浪)が出て、村上がバント決めたんで、ここは打たないとなと思っていました。--気持ちは近本 絶対二塁いってやると思って走ってました。--守備は近本 芝生ね、もうちょっとじゃないですね、昨日の雨で柔らかかったんで、そこも考慮してスライディング練習します。--2人でお立ち台近本 試合前にロッカーで、そろそろ2人でお立ち台、立とうかと話してたんで、よかったですね。--甲子園は近本 憧れの場所です。--阪神ファンは村上 最高です!--ひと言村上 明日からもすごい声援、よろしくお願いします!近本 今日ちょっと早く終わったので、みなさん楽しんでください!

◆阪神近本光司外野手(29)がいきなりのビッグプレーを披露した。今季初の甲子園。その初回先頭、野間峻祥外野手(31)の左中間への詰まった飛球に全力でチャージ。ダイビングキャッチして、転がりながらもボールを離さなかった。右ひざなどを地面に打ったもようで、一瞬、うずくまり甲子園をざわつかせたが、駆けつけた遊撃木浪聖也内野手(29)がベンチに向かって両手でマルを作ると、大きな拍手が起きた。甲子園開場100周年のメモリアルイヤーが始まり、最初のプレーを超美技で飾った。「ビビって前出れないのが一番怖いことだったので」と回想。「この前の神宮もそうですけど、前に出れたっていうのが。エラーするのも怖いけど出れないことの方が怖いので」と振り返った。

◆最下位広島の貧打拙攻が露呈し、セ・リーグワーストタイ記録の4試合連続完封負けで4連敗を喫した。阪神の先発村上を相手に打線が抑えられ、36イニング連続無得点で、これは56年の36イニングと並び球団ワースト4位。リーグワースト記録でもある11年の50イニングにジワリジワリと迫ってきている。借金は今季最多の「3」に膨れ上がった。また、甲子園は昨季のCSを含めて11連敗と負の連鎖から抜け出せなかった。新井貴浩監督(47)の一問一答は以下の通り。--床田は持ち味を発揮「前回に続いてね、今回もほんとナイスピッチングだったと思います。野手もね、なんとか援護してあげたいっていう風に思ってるんだけどね、なかなかうまくかみ合わない、かみ合ってこない状況ですけどね。起用してるのは自分なんで。また、なんとかしたい、なんとかしようっていう気持ちはね、みんな野手のね、気持ちは伝わってくるんで、そこらへんはまた明日、また1日1日ね、断ち切って、また明日に向けていい準備をしてもらいたいです」--今日監督は野手の方になんか声をかけたりしたんですかミーティングで。「してないです。野手ももちろんね、得点がないっていうのは、4試合、それは十分わかってるし、なんとかしたいっていう気持ちはすごく伝わってくるんで」--それは例えばスイングの力みになったりっていう部分は見受けたりは「ちょっとしたところだと思うんで。ピッチャーはすごいね、踏ん張ってくれてるんで、頑張ってくれてるんで、そこを何かこうね、点が入ったら、やっぱりちょっと、そういう重苦しい雰囲気っていうのも晴れてくると思うので。いずれにせよね、起用してるのは私なんで、また選手、野手のみんなもね、明日こそはと思って、またいい準備をしてもらいたいなと、それだけ」--序盤は各打者が粘って球数投げさせたりするところもありましたけど、きっかけ1つで何か変わる兆しみたいなものは「そういうのはね、あると思うし、またね、明日も今日こそはと思って、またいい準備をして臨んでもらいたいと思います」--例えば、スタメンに好調というか、勝負強い松山を入れるとかって、そういうこともいろいろプランを練りながら「もちろん、もちろん、もちろん。いろんなことを想定しながら、考えながら、臨んではいるんですけどね。そこはなかなかうまくいかないっていうのも、それも全部自分のあれは自分が起用してるので。また選手はね、明日こそはと思ってね、今日も今日こそだと思ってね、今日こそは何とか点を取って勝ちたいと思って球場入ったと思うので、また明日もね、その同じ気持ちでね、入ってもらえたらと思います」

◆最下位広島の貧打拙攻が露呈し、セ・リーグワーストタイ記録の4試合連続完封負けで4連敗を喫した。阪神の先発村上を相手に打線が抑えられ、36イニング連続無得点で、これは56年の36イニングと並び球団ワースト4位。リーグワースト記録でもある11年の50イニングにジワリジワリと迫ってきている。広島が5日中日戦から4試合連続完封負け。連続完封負けのプロ野球記録は53年大映の5試合連続だが、セ・リーグで4試合連続は12年DeNA以来10度目のワーストタイ。広島では59、10、11年に次いで4度目で、4度も記録するのはヤクルトの3度を抜く最多回数だ。また、5日中日戦の1回からは36イニング連続無得点。連続イニング無得点は53年大映の59イニングがワースト記録で、セ・リーグは11年広島の50イニングが最長。こちらも記録が迫ってきている。

◆阪神が投手戦をものにして勝率を5割に戻した。甲子園開場100周年イヤーの初戦をしっかりと勝ち切り、甲子園開幕を待ちわびたファンを喜ばせた。先発した昨季MVP男の村上頌樹投手(25)は粘りの投球で、7回2安打無失点で今季初勝利。5回に近本光司外野手(29)の適時打で先制した1点を守り抜いた。阪神岡田彰布監督(66)は、これで自身の阪神監督通算勝利数を483勝に伸ばし、早ければ10日にも、吉田義男氏(90=日刊スポーツ客員評論家)が挙げた歴代2位の484勝に並ぶことになった。阪神岡田監督の一問一答は以下の通り-接戦を勝ちきったありがとうございます。-近本のスーパープレーから始まったおお、ね。2回までちょっとね、よくなかったですね。村上もね。2回のゲッツーも大きかったんで。そこからですね。-村上はストライク先行だった。3回くらいからですね。やっと思っているところに投げられるようになったというか。近本のプレーは本当に大きかったですよ。初回、塁に出ていたらね。前回も初回に点を取られていたのでね。あのプレーは本当に大きかったですね。-(広島野間に)先頭にフルカウントまで粘られた後に生まれたプレーでしたねああ、そうですね。はい。-回を追うごとにらしさが出た。昨季の姿を思い出したファンも多いのではいやいや、3回からは思い出しましたよ。打順の巡り合わせでね、シーズン中なら完封させていたかもわかりませんね。-あの場面は追加点を狙いにいくそうですね。まあね、前回の件があるし、まずやっぱりね、先発は1勝つけてやるというかね。-火曜日に7回を投げ抜いてくれたそうですね。だから6連戦の頭ということでね、当然相手もね、いいピッチャーあたると思うんですけど、そこでね、勝ちきるというのはすごい大きいですね。-先制は5回。この場面、昨年を思い出したファンもあーねえ、まあ8番からの打順で、村上も1球でバント決めて、やっぱり流れが良かったですよねえ、うん。(広島)床田もすごい良かったんでね、だからなかなかねえ、まあまあヒットはなんかちょっと出てたけど、なかなかつながりもなかったしね、ほんとワンチャンスですね、やっぱりね。-8回から継投、ゲラは今日も安定いやいや、ずーっとねえ、あの2人(ゲラと岩崎)がいいんで、まあ、ねえ、この点差だったし、あの2人に託さないとしょうがないですよね。-8回いやな流れもそう、あのー、もともと(村上は)続投するつもりやったんですけどね、普通に3者凡退とかならね、行くつもりでキャッチボールさせてたんですけど、先頭が出たんでねえ、その時点で代えたんですけどね。ああいうふうになるとは思ってなかったから。そこからまた代えるのもね、気持ちも変わると思うので、もうその点差のでもいきましたけどね。-岩崎もしっかり仕事をいやいや、もう普段通りですね、やっぱり。-甲子園の初戦の雰囲気は本当、久しぶりでね。やっぱり、やっと帰ってきたなあって感じですね。-あすに向けてちょっとまだまだ先発に勝ってないピッチャーいてるんでね。どんどん勝てるように。まだ打つ方もなかなかタイムリーとかつながりもないんだけど、そんなよくないんだけど、なんとかみんなでしのいで。まあ初戦とったので、勝ち越せるようにやっていきたいですね。

◆広島は「歴史的な貧打」で4連敗に沈んだ。阪神村上を打ちあぐねて、今季最少の3安打でセ・リーグワーストタイ記録の4試合連続完封負け。「0行進」は36イニングにまで伸び、借金は今季最多の3に膨らんだ。この日は田中広輔に代えて好調の矢野雅哉を2番で起用も、3タコと不発。新井監督は「起用しているのは私なので。1日1日(流れを)断ち切って、明日に向けていい準備をしてもらいたい」と懸命に前を向いた。甲子園では昨年から8連敗。これは68年以来56年ぶりの屈辱で、ポストシーズンを含めれば11連敗と泥沼から抜け出せずにいる。

◆阪神は24年の虎が誇るダブル守護神「GI」コンビのお披露目に甲子園が沸いた。まずはゲラだ。1-0のしびれる展開で先発村上から8回にバトンを受けた助っ人右腕。田村にワンバウンドのカットボールを振らせ、坂倉は二ゴロ、菊池は詰まらせて遊ゴロと圧倒した。公式戦初見参の甲子園で大歓声を浴び「気持ち良かった。いい投球で、いい試合ができて勝ったので本当に最高」とクールに笑った。9回を抑えた岩崎も2死から1安打を許したが、危なげなく3セーブ目。岡田監督も左腕の姿に「もう普段通り」と頼もしげだった。

◆阪神中野拓夢内野手が守備で村上の背中を押した。2回1死一、二塁で、二-遊-一の併殺を完成。平田ヘッドコーチが「あれがよかった。村上が3回以降立ち直ってくれた」と守備での貢献を評価。初回の二塁打など2安打も放った2番打者は「エラーしちゃいけない、点が絡む場面。まず捕ってからと意識して、しっかり併殺でしのげた。明日からも投手を助ける守備をしたい」と振り返った。

◆阪神坂本誠志郎捕手が村上の復調をサポートした。立ち上がりやや不安定だった右腕に、89キロのスローカーブを要求するなど工夫。3回以降は安定感を取り戻した。「最初は逆球とかもあったけど、だんだんいつもの村上になったというか。いろいろなことをやって相手を抑えるのはこれからも大事。1-0で勝ち切れたのはチームとして大きい」。会心の1-0勝利をかみしめた。

◆ハプニングも何のその。今年の阪神が誇るハビー・ゲラ(28)岩崎優(32)のダブル守護神「GIリレー」が最終2回をしっかり抑え込んだ。公式戦で初めて甲子園に登場した新助っ人は、なぜかリリーフカーを使わずにマウンドに向かった。実はリリーフカーが1台壊れていた。同様に、9回に登板した岩崎も"自力"だった。さらに、この日はヒーローが近本光司外野手(29)、村上頌樹投手(25)の2人。通常は2台使って、ファンへのあいさつを行うが、この日は1台しか出動できず、近本はリリーフカーに乗らずにファンのもとに駆けつけた。

◆阪神佐藤輝明内野手が今季初、プロ通算100度目のマルチ安打を決めた。まずは0-0の4回2死一塁。広島床田の138キロを三塁線へと転がしてヘルメットを飛ばすほどの激走で沸かせた。「同時くらいだったので祈っていました」と一塁セーフ判定に広島ベンチからのリクエスト要求も覆らず笑顔だ。7回には再び床田から右前へはじき返した。床田にはここ2年で10打数6安打の好相性だ。「もっといい当たり出せるように頑張ります。満員のファンの前で勝てたのでよかった」。打率は1割8分9厘まで上昇。輝も波に乗る。

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◆阪神「恐怖の8番」がチャンスメークした。木浪が5回の先頭で一、二塁を抜き、村上の犠打を経て近本の決勝打を呼び込んだ。岡田監督は「8番からの打順で、村上も1球でバント決めて、やっぱり流れが良かったですよね」と笑顔で振り返った。木浪は7回にも中前にはじき返して2度目のマルチ安打。開幕6試合で1安打だったが、4試合連続安打と乗ってきた。

◆阪神岡田彰布監督(66)が、虎の監督通算勝利でよっさんに王手だ。今季の甲子園初戦を制し、阪神監督通算勝利数は483。10日にも、初代日本一監督の吉田義男氏(90=日刊スポーツ客員評論家)が挙げた歴代2位の484勝に並ぶ。「本当、久しぶりでね。やっぱり、やっと帰ってきたなあって感じですね」。戦い慣れた聖地での24年の1勝目をかみしめた。昨季日本一に輝いた「岡田野球」を象徴するような一戦だった。5回の先制は8番木浪から。広島床田のスライダーを右翼へ運ぶと、村上が初球で犠打を決めて近本の決勝打につなげた。「8番からの打順で、村上も1球でバント決めて、やっぱり流れが良かったですよね。ほんとワンチャンスですね、やっぱりね」。昨年打率2割6分7厘、41打点を挙げ「恐怖の8番」として躍動した男からチャンスメーク。これまで何度も得点を奪った攻撃の形を甲子園の初戦で体現した。先発村上も粘り、回を追うごとに安定感を増して今季初勝利をつかんだ。「6連戦の頭ということでね、当然相手も、いいピッチャー当たると思うんですけど、そこでね、勝ちきるというのはすごい大きいですね」。床田との投げ合いを制した昨季のMVPを頼もしげに見つめた。この日は、甲子園を訪れた吉田氏から激励を受けた。現役時代に選手と監督として戦い、初の日本一を分かち合った間柄。ベンチ内で話し込むなど、力を授かっての広島戦だった。だが、満足はしていない。9安打で1得点の打線に注文を忘れなかった。「まだ打つ方もなかなかタイムリーとか、つながりもないんだけど、なんとかみんなでしのいで。初戦を取ったので、勝ち越せるようにやっていきたいですね」。甲子園でよっさん超えの3連勝を果たせば、単独2位に躍り出る。まずは10日、恩師に並んで貯金生活に入る。【磯綾乃】

◆最下位広島の先発床田寛樹投手(29)が7回1失点の力投も、打線は散発3安打とつながりを欠いて援護なく、今季初黒星を喫した。両軍無得点の5回1死二塁で近本に初球を右翼右に運ばれる適時打を浴び、これが決勝打に。「あっち(右翼側)に打たれると思っていなかった。もったいない1球になった」と悔やんだ。この日は117球を要し、次戦への課題について、「無駄なフォアボールと球数を減らさないと、長いイニングは投げられない。7回なら100球ぐらいでいけるようにしたい」と引き締めた。

◆甲子園の24年開幕投手を任された阪神村上頌樹投手(25)が、堂々の快投で今季初勝利をつかんだ。聖地での今季初戦。超満員の虎党が視線を注ぐ中、広島打線を圧倒した。「ファンの皆さんもたくさん来ていたので。勝ちたいなと思って(マウンドに)上がりました」序盤こそ「硬さもあった」というが、すぐに落ち着いた。100キロ前後のスローカーブも織り交ぜながら、打者を翻弄(ほんろう)。4回先頭の矢野には11球粘られたが、最後は104キロカーブで見逃し三振に仕留めた。「速い球と緩い球というのは、いろいろ分けながら投げていたので。そこらへんが、うまくハマったのかなと思います」終わってみれば、7回を2安打8奪三振で無失点。昨季からの甲子園での先発は、CSを含めて9試合連続QS(6回以上自責3以下)の好相性だ。お立ち台には兵庫・淡路島の先輩近本とともに上がった。村上にとっては、帰郷の度に大きさを実感させられる先輩だ。昨年末、セ・リーグMVPの勲章を引っさげ、故郷へ凱旋(がいせん)。2年前までなら、近本が圧倒的人気。今年こそは俺も...。ひそかに期待していたが、甘かった。「子どもたちはやっぱり『近本さんがいい!』と...(笑い)。活躍し続けないと、僕のことは忘れられてしまいますね」"一発屋"では終わらない-。不動の1番打者の絶大な存在感が、そう思わせてくれた。この日も初回は中堅近本のビッグプレーに助けられ、自らが犠打を決めた直後の先制打で勝利を運んでくれた。「あそこがツーベースとアウトでは全然違うので。本当に助けられましたし、あそこ(のプレー)で無失点に抑えることができたのかなと思います」前回2日のDeNA戦は3回5失点で降板。今季2戦目で、即不安を払拭した。勝ち投手村上、勝利打点近本。今季も「淡路島コンビ」健在を示す甲子園1勝目になった。「自分に勝ちがつくというよりチームが勝ったのが一番。そこで貢献できたのがよかった」。大事な週頭を任された新火曜日の男。背番号41が白星量産体制に入る。【波部俊之介】

◆阪神に今季育成入団したドミニカ共和国出身の右腕、ホセ・ベタンセス投手(24)が、10日に鳴尾浜で初の実戦形式となるシート打撃に登板する予定となった。6日に来日後初めて打者に投球し、高浜を相手に27球を投じた。「前回と同じくストライクで勝負したいよ。持っている球は明日で試したいね」と意気込んだ。この日は鳴尾浜でキャッチボールなどを行い調整した。

◆阪神が8月に100周年を迎える甲子園の今季開幕戦を1-0快勝で飾り、勝率を5割に戻した。0-0の5回に、近本光司外野手(29)が広島床田から均衡を破る先制決勝のタイムリー。初回には先頭野間の長打性の当たりをスライディングで好捕するなど、淡路島出身の後輩で昨季のMVP右腕、村上頌樹投手(25)の初勝利を攻守でアシストした。昨季の日本一軍団が満員札止めのホームで"快幕"、一気の逆襲に転じる。やっぱり甲子園は最高だ。4万2601人の大歓声が心地いい。近本は村上と並んだヒーローインタビューで、いきなり裏話を明かした。「試合前にロッカーで『そろそろ2人でお立ち台に立とうか』と話していたんで。よかったですね」有言実行。今季初勝利の後輩の隣で、先制&決勝打の先輩がほほえんだ。虎の「淡路島コンビ」でつかんだ24年の甲子園開幕星だ。アグレッシブだった。0-0の5回1死二塁。9番村上が犠打を決め「ここは打たないとな、と思っていました」と集中した。床田の初球を捉え右翼へ適時打。「自分のスイングができるかどうかだった」と己を貫き、3試合連続安打で虎の子の1点をもぎ取った。甲子園は8月1日に開場100周年を迎える。メモリアルイヤーの初戦。その初回、守備で流れを引き寄せたのも、近本だった。1番野間の左中間への飛球に全力チャージ。スライディングキャッチして転がりながらも白球を離さない。雨の影響で「芝生ね、柔らかかったので」と右膝を打ち付けるも問題なしだ。「エラーするのも怖いけど、ビビって前に出れないのが一番怖いことなので」昨季守備率10割で3年連続ゴールデングラブ賞を獲得した名手は、5日のヤクルト戦で失策をおかしたが、それを取り返す美技で波に乗った。社(兵庫)で甲子園出場がかなわず「憧れの場所」と表現するホームグラウンドで走り回った。甲子園のファンはいつでも力をくれる。ただ、近本は意外なところで"楽しみ"も見つけているという。「守っている時は、『あの人、今日もおるな』とか、目立つ人を見つけたりする時もあるなあ。話しかけてくる人もおるし」。視野の広さは、心に余裕がある証しだろう。この夜も「守備の時寒かったので、お客さんも寒かったんやろな」と思いつつ、熱い一打で沸かせてみせた。チームは6連戦の頭を取り、10試合終えて5勝5敗の勝率5割に戻した。「今日はちょっと早く終わったので、みなさんこの後も楽しんでください!」。試合終了は午後8時31分。今年初の「六甲おろし」が響いた痛快な甲子園ナイト。今夜も連勝で、初の貯金生活といきたい。【中野椋】阪神が甲子園のシーズン初戦で1-0勝利を飾るのは1959年(昭34)、1964年(昭39)に続き60年ぶり3度目。対戦相手はいずれも、今回と同じ広島。59年4月11日は浅越桂一のソロ本塁打を小山正明が、64年は吉田義男のソロ本塁打を村山実が、いずれも完封で守り抜いた。

◆阪神が8月に100周年を迎える甲子園の今季開幕戦を1-0快勝で飾り、勝率を5割に戻した。0-0の5回に近本光司外野手(29)が広島先発床田から均衡を破る先制決勝のタイムリー。初回には先頭野間の長打性の当たりをダイビングで好捕するなど、淡路島出身の後輩で昨季のMVP右腕、村上頌樹投手(25)の初勝利を攻守でアシストした。昨季の日本一軍団がホームで上昇気流をつかみ、波乗りで逆襲に転じる。村上はこのオフ、意外なところで自身の飛躍を実感していた。それはハワイへの優勝旅行でも、イベントや表彰式への出席でも、幾度となく受けた取材でもなかった。「知り合いから写真が送られてきたんですよね。『頌樹、なんかおったぞ!』って」。阪神梅田駅付近に掲出された阪神球団の特大ポスター。そこには、近本や大山ら不動の主力とともに村上の姿もあった。兵庫・淡路島の中学時代の友人が大阪に出向いた際、思わずパシャリと写真に撮り、すぐさま報告してくれたというわけだ。「そんなん出てるん!」と返信した。自身も幼少期からの阪神ファン。「たまに関西に来る友人が見てくれたら『頑張ってよかったな~』と思います」と照れ笑いだ。ちなみに、村上自身はそのポスターを発見できなかったようで...。「ちょうど梅田にいるタイミングがあって。でも、どこにあるか分からなくて断念しました」。24年もこの1勝から大活躍し、どでかいポスターを占領する。【阪神担当=中野椋】

◆阪神が8月に100周年を迎える甲子園の今季開幕戦を1-0快勝で飾り、勝率を5割に戻した。0-0の5回に近本光司外野手(29)が広島先発床田から均衡を破る先制決勝のタイムリー。初回には先頭野間の長打性の当たりをダイビングで好捕するなど、淡路島出身の後輩で昨季のMVP右腕、村上頌樹投手(25)の初勝利を攻守でアシストした。昨季の日本一軍団がホームで上昇気流をつかみ、波乗りで逆襲に転じる。近本は今年の11月9日で30歳を迎える。「今年で30歳ですが...」といったたぐいの質問は、できれば避けたいのだという。「30歳って思わないようにしてるからな。でもみんな(記者)聞いてくるから、言うなよ~と思ってる(笑い)。そう思わされる方が嫌やから」と苦笑い。「というか、今は29歳やし! 今シーズンは29歳でやっていくよ。(まだ29歳なのに)30歳って言われたらつらいわ」。とにかく「29歳」を強調する。ただ、「動物的には絶対変わっていくものやから」と肉体的な変化があることも認める。「別にそれをマイナスだとは思ってないかな。それ以上のプラスのことで補っていったらいいから」。日々の練習を大切にしつつも「このトレーニングは今よりも3年後に生きてくる」と意識して取り組むメニューもある。20代ラストイヤーは上々のスタート。いや、飽くなき探究心で、いつまでも20代のようなプレーを期待したくなる。【阪神担当=中野椋】

◆虎ナインが甲子園に帰ってきた。阪神は午後1時30分頃からグラウンド入り。各自アップを行うと、午後2時ごろから全体練習が始まった。森下、前川、小野寺は右翼付近で入念にフライ捕球を繰り返し、中野ら内野陣も久々の本拠地のグラウンドでノックを行い、黒土を確認した。阪神はこの試合が今季の本拠地甲子園開幕戦。今年8月に開場100周年を迎える甲子園のメモリアルイヤー、その初戦を勝利で飾る。

◆今季の甲子園開幕戦。阪神は村上頌樹投手(25)が先発する。シーズン初登板だった2日のDeNA戦(京セラ)は3回7安打5失点で黒星。課題を修正して臨む本拠地初戦で勝利に導く。打線は森下翔太外野手(23)が「3番・右翼」で2試合ぶりにスタメン復帰した。昨季、森下は甲子園でポストシーズンも含めて5本塁打を放ち、チームは5戦全勝。広島先発・床田からも一発を放っている。満員のスタンドへ〝不敗神話〟継続の一発を放つ。

◆俳優の山崎育三郎(38)が試合前に国歌独唱と始球式を行った。両チームの監督、選手、マスコットがライン沿いに整列する中、スタイリッシュなダークスーツ姿でホームベース後方に立ち、気持ちを込めた歌声を披露。歌い終えると深々と一礼して、ベンチ裏へと戻った。その後、阪神ナインが守備位置につくと、今度は背番号19のタテジマのユニホーム姿で再び登場してマウンドへ。ゆったりとしたフォームからノーバウンドで捕手のミットに投げ込み、スタンドから大きな拍手が上がった。本拠地開幕戦で大きな役目を果たし「久しぶりにちょっと震えた。(始球式は)100点、120点記念すべき甲子園100周年という節目の年に僕も参加させていただいたことは本当に光栄に思う」と声を弾ませた。連覇を狙う阪神に「ここから本拠地でのスタートということで、もう1回流れが変わって連勝していくことを僕も祈っている」とエールを送った。

◆新たなチャンステーマが甲子園に鳴り響いた。一回、1死から中野が二塁打を放つと、森下の遊ゴロで2死三塁。4番・大山悠輔内野手(29)が打席に向かった。スタンドから、この日解禁となった大山の新チャンステーマが響く。2球で追い込まれたが、ボール球を見極めて四球。4番が好機をつないだ阪神打線だったが、続くノイジーが見逃し三振に倒れ、先制とはならなかった。

◆阪神・佐藤輝明内野手(25)が意地の激走で内野安打をもぎ取った。四回2死一塁の第2打席。カウント2-1から床田の138キロカットボールにバットを合わせた。打球は三塁線へ。ヘルメットを飛ばして激走すると判定はセーフ。広島ベンチがリクエストを要求も判定は覆らず、2死一、二塁と好機を作った。一回以来の得点圏に走者を進めた打線だったが、坂本が空振り三振で先制とはならなかった。

◆阪神が先制した。0-0の五回。先頭の8番・木浪が一、二塁間をしぶとく破る右前打で出塁すると、9番の村上が1球で犠打を決めて1死二塁の好機。勝負強い1番・近本が打席に向かった。その初球。床田の142キロ直球を引っ張ると、打球は右翼線に弾む適時打。恐怖の8番・木浪が出塁し、好機で1番・近本がかえす。昨季、何度もチームを勝利に導いた王道パターンで阪神が先手を奪った。二塁を狙った近本だが、右翼からの好返球もあって判定はアウト。岡田監督はリプレー検証を要求も判定は変わらなかった。近本は一回の中堅守備でも野間の打球にダイビングキャッチ。体が3回転半しながらも、グラブから白球をこぼさないスーパープレーを魅せた。

◆節目を迎える甲子園での戦いの幕開けも、この男に託された。温かい拍手に背中を押され、阪神・村上頌樹投手(25)が美しく整備されたマウンドへ。笑顔が消えた今季初登板から中6日、その右腕で100周年イヤーの時計を動かした。「声援はすごいので、それをしっかりと力に変えられるように、頑張っていきたい」登板前日の8日は充満する熱気を想像し、意気込んでいた。序盤から直球でグイグイと攻め、ときには87キロも計測した超スローカーブも織り交ぜるなど、緩急を駆使しながら赤ヘル打線と相対した。まずは一回を三者凡退で好発進。二回は先頭・堂林を四球で歩かせたが、笑顔も見せるなど落ち着いていた。1死から田村に左前に運ばれ一、二塁とされても、坂倉はカットボールで二ゴロ併殺に仕留めて無失点で切り抜けた。三回以降はペースを握り、五回2死二塁のピンチも菊池をフォークで三振に斬り、先制点を与えなかった。

◆阪神・近本光司外野手(29)が五回1死二塁の好機で右前への先制打を放った。「打ったのはストレート。いい流れで回ってきた打席だったので、初球から積極的に打ちにいきました。(村上)頌樹も頑張って投げてくれていたので、先に点を取ることができてよかったです」。床田の初球、142キロ直球をはじき返した。この日の先発は同郷・淡路島出身の村上頌樹。五回までスコアボードにゼロを並べる後輩右腕の力投にバットで応えた。近本は昨季のレギュラーシーズンでも、村上が登板した試合は打率・304(79打数24安打)、9打点、1本塁打と好成績。〝アレ〟に貢献した淡路島コンビは今年も頼もしい。

◆100周年を迎えた阪神甲子園球場に、セ・リーグ連覇を目指す阪神が帰ってきた。歴史の今を突き進むチームに欠かせない象徴が、投手戦の均衡を打ち破った。近本が芯で捉えた当たりは右翼線へ転がり、先制の適時打となった。「いい流れで回ってきた打席だったので、初球から積極的に打ちにいきました」五回に岡田阪神の〝黄金パターン〟がばっちり機能した。先頭の8番・木浪が先発の床田から右前打を放って出塁。続く投手の村上は1球で犠打を成功させ、1死二塁として近本がこの日の第3打席を迎えた。床田が初球に投じた直球を迷わず狙い打ち、鋭いライナーが右翼線を襲った。木浪は悠々生還。二塁を狙った近本はリプレー検証の末にアウトとなったが、スコアボードに貴重な「1」を刻んだ。四回まで2度得点圏に走者を置くも無得点と、停滞した雰囲気をひと振りで脱出。下位でチャンスを作り、上位で得点を加える攻撃で今季も相手を苦しめた。1924年3月に起工式が行われ、同年8月1日に竣工(しゅんこう)式を実施。「甲子園大運動場」と命名された球場が、球団よりも長い歴史を紡いできた。そんな甲子園100周年のレギュラーシーズン初戦。試合前日から当日のチケット販売なしがアナウンスされ、席を埋め尽くしたファンが選手に声援を送った。メモリアルな聖地の芝の上に立ち、近本は一回のファーストプレーからエンジン全開だった。先頭の野間の打球は詰まりながらも左中間方向へ。中堅手の近本が猛ダッシュで追いかけ、ダイビングキャッチ。右足が芝生に引っかかったような形で体を回転させて倒れ込んだが、白球はつかんで離さなかった。駆け寄った木浪が両手でベンチに無事のサインを送り、心配した虎党から大歓声。ファインプレーで同郷・淡路島の後輩である村上を救った。守備にとどまらず、バットでもきっちり役割を果たした。「(村上)頌樹も頑張って投げてくれていたので、先に点を取ることができてよかったです」〝淡路島コンビ〟が投打で甲子園を沸かせた。(邨田直人)

◆先発した阪神・村上頌樹投手(25)は7回2安打無失点の好投でマウンドを降りた。「前回登板が不甲斐ない投球をしてしまったので一週間強い気持ちを持って準備してきました。今日も安藤コーチと低めに投げていくことを再確認しながら7回を無失点で投げ切ることができました」。一回は先頭・野間の打球を中堅・近本が好捕。三者凡退の立ち上がりを見せると二回は1死一、二塁のピンチは坂倉を二ゴロ併殺に仕留めて切り抜けた。回を追うごとに安定感を増す右腕は、三回、四回と三者凡退。五回は2死から坂倉に二塁打を許したが、菊池を空振り三振に斬った。六回、七回も三者凡退に斬って、8奪三振の力投。今季初勝利の権利を持って、ブルペン陣に後を託した。

◆阪神が接戦を制し、今季甲子園初戦を勝利で飾った。先発の村上は7回2安打無失点の力投。シーズン初登板だった2日のDeNA戦(京セラ)は3回7安打5失点で敗戦投手となっていたが、見事に修正し、8奪三振を奪うなど広島打線を寄せ付けなかった。打線は五回1死二塁の好機で近本が決勝の右前適時打。8番・木浪の出塁を足がかりに得点する、昨年の王道パターンで1点をもぎ取った。八回からはゲラ、岩崎とつないで、無失点リレー。本拠地開幕戦に詰めかけた4万2601人のファンに勝利を届け、勝率5割に戻した。

◆阪神の新外国人、ハビー・ゲラ投手(28)が八回に登板し、3人で片づけた。今季登板5試合連続無失点。4ホールド目を挙げた。160キロ超の速球が武器の右腕。メジャー5年間で通算61試合に登板しており、春季キャンプから岡田監督ら首脳陣の評判は高かった。球団関係者は日本野球にすぐに溶け込めた理由にゲラの考え方にあるという。「学ぼうという姿勢がすごい」。たとえばクラブハウスからグラウンドに向かうとき、報道陣が「グッドモーニング」と英語で言えば、必ずといっていいほど「オハヨウゴザイマス」と日本語で返す。逆に「おはようございます」と報道陣が言えば「グッドモーニング」-。米球界時代は2018年までは内野手としてプレーしていたが、頭の回転も速く、器用さを兼ね備えた助っ人といえる。

◆阪神が甲子園開幕を白星で飾り、再び勝率5割とした。村上頌樹投手(25)が7回109球を投げ、2安打1四球8三振で今季初勝利。八、九回はハビー・ゲラ(28)、岩崎優(32)の両投手が締めた。打線は五回、床田寛樹投手(29)から安打と犠打で1死二塁とし、近本光司外野手(29)の右前打で挙げた1点が決勝点となった。昨年5月20日から続くチームの甲子園での広島戦連勝(CS含む)は「11」となった。1安打の大山悠輔内野手(29)は開幕から10試合&40打席、本塁打ナシ。岡田彰布監督(66)のテレビインタビューは以下の通り(成績=5勝5敗、観衆=4万2601人)。ーー近本のスーパープレーから試合が始まった(一回、先頭・野間の左中間への飛球を好捕)「二回までちょっとね、良くなかったですね、村上もね。二回のゲッツー(1死一、二塁で坂倉を二ゴロ併殺)も大きかったですね。そこからですね、村上も」ーー村上は「三回くらいですかね。やっと思い通りの所に投げられるようになって、近本のプレーはホント大きかったですよ。前回も初回に点を取られていたんで、あのプレーはホント大きかったですね」ーー村上は昨季の姿を思い出すような内容「三回から思い出しましたよ。(七回2死一塁で代打原口は)まず、先発には1勝をつけさせるというか。後ろのピッチャーがすごくいいんでね」ーー火曜日の試合で7回を投げた「6連戦の頭ということで、当然、相手もいいピッチャーと当たると思うんですけど、そこで勝ち切るのは大きいですね」ーー攻撃でも昨季を思い出した「8番からの打順で、村上も1球でバントを決めて流れも良かったしね。床田も良かったんで、ヒットは出ていましたけど、つながりもなかったですし、ホント、ワンチャンスですね」ーーゲラが安定している「ずっと、あの2人いいんで。この点差だったら、あの2人に託さないとしょうがないですね。(七回は)続投のつもりやったんですけどね。三者凡退やったら...先頭が出たんでね。その時点で代えたんですけどね。まあ、ああいうのになるとは思ってなかった(佐藤輝が先頭で右前打を放つも、投手からのけん制死)。そこから変えるのも、気持ちも変わると思うので、そのまま行きました」ーー九回は岩崎「普段通りですね」ーー甲子園開幕。ファンの雰囲気は「久しぶりでね。やっと帰って来た感じですね」ーー明日以降に向けて「先発勝ってないピッチャーいてるんでね。何とか勝てるように。打つ方はなかなかタイムリーもつながりもないんだけど、何とかみんなでしのいで、初戦取ったんで、勝ち越せるようにやっていきたいですね」

◆阪神の甲子園開幕星の背景でハプニングが起きていた。先発した村上が7回無失点で降板。八回からゲラ、岩崎で零封リレーを完成させたが、なぜか救援コンビはリリーフカーに乗らず、自力でマウンドに向かっていた。球場関係者は試合前から故障していたことを明かした。10日には復旧するというが、球団初のセ・リーグ連覇を目指すため、虎投は〝通常運転〟ができたようだ。

◆阪神は甲子園開幕となった広島戦に1-0で勝利。一回、野間の打球を阪神・近本光司が好捕。勝率5割に戻した=甲子園球場(撮影・林俊志)

◆阪神が今季の本拠地開幕戦を勝利で飾り、勝率を5割に戻した。五回に近本光司外野手(29)の適時打で挙げた1点を守り切った。村上頌樹投手(25)が7回2安打無失点の快投で今季初白星を挙げた。八回はハビー・ゲラ投手(28)=前レイズ=が抑え、九回を締めた岩崎優投手(32)は3セーブ目を挙げた。主な選手のコメントは以下の通り(成績=5勝5敗、観衆=4万2601人)。7回無失点で今季初勝利を挙げた村上頌樹「自分に勝ちがつくというよりはチームが勝ったことが一番なので、そこで貢献できたことが良かった。去年はホームグラウンドであまり投げなかったので、『ファンの声援はすげえな』と思いながら投げていた。自分が相手だったら嫌だな、と思いながら見ていました」八回を三者凡退に抑えたハビー・ゲラ「(甲子園での公式戦初登板は)気持ち良かったです。いい投球もできたし、いい勝ち方、いい試合ができて、チームが勝ったんで本当に最高です」九回を締めて3セーブ目の岩崎優「抑えられてよかったです。ゼロならなんでもいいんじゃないですか。いい意味でいつもの甲子園でした」五回に先制適時打を放った近本光司「甘いところきたらとにかく打とうと思っていた。床田なんで、イメージしても関係ないんで、自分のスイングできるかどうかと思っていた。試合前にロッカーで『そろそろ(村上と)2人でお立ち台立とうか』と話をしていたので、実現できてよかったです。守備の時寒かったので、お客さんも寒かったんやろなと」先制点の起点となる右前打を放った木浪聖也「自分が二塁にいると近本がよく打ってくれるんで、何とか出なきゃな、出るぞという気持ちをすごく持っている」2安打を放った佐藤輝明「もっといい当たり出せるように頑張ります。満員のファンの前で勝てたので良かったです」甲子園の開幕戦勝利について中野拓夢「守りからリズムを作って勝てたのはチームとしても大きなことです。初戦を取れたので、このいい流れのままあしたもしっかりと取れるようにやっていきたい」

◆現役時代は南海、西武に所属し、引退後は西武、ダイエー、阪神の3球団でヘッドコーチを務めたサンケイスポーツ専属評論家・黒田正宏氏(76)は今季初勝利を挙げた阪神・村上頌樹投手(25)に言及した。村上は真っすぐの切れが良かった。本来のコントロールが戻り、追い込むのも早かったし、1週間、しっかりと調整したのと同時に坂本と話をして、考えてきたのだろう。印象的だったのはカーブだ。一回の小園への初球は87キロと球速差があった。緩急を駆使して相手のリズムを崩していた。前回(2日のDeNA戦、3回5失点)もカーブは投げていたが、4点を取られた一回は、ほとんど投げていなかった。この日は相手に印象づけていたし、フォークやカットボールなど球種を使えるのが強み。それを可能にしたのも、真っすぐに本来の切れが戻ったからだ。今年は相手も研究してくるだろうと意識し過ぎて、これを狙ってくるんじゃないか、と考えながらの投球に映った前回とは違って「自分の投球」に徹していた。坂本も村上の良さを意識したリードをしていた。これで落ち着くし、もう大丈夫だ。悪い流れをすぐに止めた2番手のゲラも、いい仕事だった。七回無死一塁で佐藤輝がけん制死し、無得点。相手に流れが傾きかねないシーンだった。準備はしていただろうが、岡田監督も、流れを断ち切るために継投に入ったのかもしれない。それだけの分岐点だったが、ゲラが抑え、九回は岩崎。後ろに信頼できる投手が2人いる阪神の強さが出た試合でもあった。

◆阪神は10日の広島戦の入場券が完売したと発表した。甲子園開幕となったこの日は4万2601人の観衆が詰めかけた中、近本の先制打で挙げた1点を村上、ゲラ、岩崎のリレーで守り切り、勝率5割に戻した。

◆阪神は今季の本拠地開幕戦で1-0で勝利した。五回1死二塁で近本光司外野手(29)が右翼への適時打を放って先制。村上頌樹投手(25)が7回無失点で今季初勝利を挙げた。岡田彰布監督(66)は阪神監督として通算483勝で、吉田義男監督の484勝に1勝に迫った(球団最多は藤本定義監督の514勝)。一回表 先頭の野間が放った左中間寄りの飛球を中堅・近本が滑り込みながら捕球。スパイクが芝に引っかかるような形になって回転しながら転倒し、球場が騒然となった。だが、ベンチから飛び出したトレーナーを制止すると、虎党から歓声が上がった。先発・村上は兵庫・淡路島の先輩のアシストもあり、三者凡退に抑えた。一回裏 1死から2番・中野が左中間への二塁打で出塁。2死三塁となって4番・大山が打席に向かうと、この日から通常の応援歌にファンファーレが加わり、チャンスの場面に合わせた歌詞になった大山の新応援歌がいきなりお披露目された。四球を選んでつないだが、5番・ノイジーが見逃し三振。広島の先発・床田が無失点で切り抜けた。四回裏 2死から5番・ノイジーが右前打で出塁すると、佐藤輝は三塁内野安打で一、二塁とした(広島のリクエストでリプレー検証も判定変わらず)。だが、続く坂本が空振り三振に倒れた。五回表 2死から坂倉が左翼線二塁打を放ったが、菊池が空振り三振。3戦連続零封負け中のチームは32イニング連続無得点となった。五回裏 先頭の木浪が一、二塁間をしぶとく破る安打で出塁。村上が初球に投犠打を決めて1死二塁とした。続く近本も初球を捉えて右翼にはじき返し、1点を先制した。二塁に滑り込んだ近本はリプレー検証の結果、判定変わらずアウトになった(記録は右前打)。神1-広0五回に先制適時打を放ち、3試合連続打点をマークした近本「打ったのはストレート。いい流れで回ってきた打席だったので、初球から積極的に打ちにいきました。(村上)頌樹も頑張って投げてくれていたので、先に点を取ることができてよかったです」八回表 2番手・ゲラがリリーフカーを使わずに小走りでマウンドへ上がる。先頭の田村から空振り三振を奪うなど、三者凡退に仕留めた。神1-広0九回表 3番手・岩崎が登板。2死から代打・会沢に左前打を許したが、小園を二ゴロに打ち取ってゲームセット。1-0で開場100周年の甲子園開幕戦を勝利で飾った。広島は4試合連続の零封負け。

◆阪神・中野拓夢(27)は一回に左中間へ二塁打を放つと、八回にも左前打を放って3試合ぶりの複数安打。打率・306とした。今季の本拠地初戦に新選手会長は「声援をすごく感じました」と改めてファンに感謝。二回1死一、二塁のピンチでは坂倉の打球をしっかりと二ゴロ併殺に仕留め、「守りからリズムを作って勝てたというのはチームとしても大きなこと」とうなずいた。

◆阪神・佐藤輝明内野手(25)は七回に右前打で出塁した直後に床田の一塁けん制で刺される場面もあったが、今季初のマルチ安打をマーク。四回の安打はボテボテの三塁内野安打だっただけに「もっといい当たり出せるように頑張ります」と力を込めた。試合前は全体練習後にブルペンへ向かって素振りを敢行。入念な準備を結果につなげ「満員のファンの前で勝てたのでよかったです」と笑顔だった。

◆2試合ぶりスタメンマスクの阪神・坂本誠志郎捕手(30)は、相手の打ち気をそらすスローカーブを交えて緩急をつけながら村上を巧みにリード。「投げられる器用さがあるから僕もサインを出せる。いろんなことをやって抑えるのはこれからも大事」とうなずいた。自身も邪飛をスライディングキャッチするなど好守で盛り立てての無失点ゲームに「みんなでカバーして1-0で勝ち切れたのはチームにとっても大きい」と接戦の勝利を喜んだ。

◆阪神・木浪聖也内野手(29)は五回先頭で右前打を放ち決勝点につながる攻撃の起点となった。出塁後に村上のバントで二塁に進み、近本の適時打で生還。「自分が二塁にいると近本がすごく打ってくれるので、『出るぞ』という気持ちをもっている」と下位打線からの得点に胸を張った。七回にも中前に運び、5日のヤクルト戦(神宮)以来となる今季2度目のマルチ安打。「ここからもっと上げていって、上位につなげられる打者になりたい」とさらなる上昇を目指す。

◆阪神・岡田彰布監督(66)が阪神の監督通算勝利数を483まで積み上げ、球団歴代2位の吉田義男氏の勝利数484にあと1勝に迫った。「ちょっと、まだまだ先発に勝ってないピッチャーいてるんでね。どんどん勝てるように。まだ打つ方も、なかなかタイムリーとかつながりもないんだけど。そんなよくないんだけど、何とかみんなでしのいで」先発の村上の力投に応えるため、打線がワンチャンスをものにして得点し、ゲラ、岩崎のリレーも盤石だ。投手力と個々の選手が自身の役割を果たす岡田野球で、甲子園での開幕戦を制した。チームの〝操縦法〟で参考にしたという師の勝利数に本拠地甲子園で並ぶべく「初戦とったので、勝ち越せるようにやっていきたい」と力を込めた。

◆メモリアルイヤー、快幕! 阪神は1-0で広島に勝利し、8月1日に100周年を迎える甲子園の今季開幕戦を白星で飾った。先発した村上頌樹投手(25)は、7回をわずか2安打に封じ今季初勝利。昨季、最優秀新人賞と最優秀選手賞を同時受賞して大ブレークを果たした右腕が本拠地で本領を発揮し、最高の形で勝率5割に戻した。大声援に背中を押されてマウンドに上がり、できあがっていた熱気をその右腕で膨らませた。MVP右腕の村上が貫禄を示す7回2安打零封での今季初勝利。100周年のメモリアルイヤーを迎える甲子園の開幕戦で、祝福代わりの1勝だ。「前回の投球があったので、序盤は硬さもあったんですけど、三回からは落ちついてしっかりと投げられたのは良かったかなと思います」一回先頭で野間に左中間方向へはじき返された打球は、近本が身を投げ出すようにしてダイビングキャッチしてくれた。同郷・淡路島の先輩の大ファインプレーに「あそこが二塁打なのとアウトなのは全然違う。本当に助けられた」と奮い立った。五回2死二塁では菊池からフォークで三振を奪い、ピンチ脱出。床田との投手戦で一歩も引かず、打席では五回に近本のV打につなぐ犠打を決めた。今季初登板だった前回2日のDeNA戦(京セラ)ではともに自己ワーストタイの7安打5失点(自責1)。無念の3回降板となったが、その面影は全くなかった。岡田監督も「打順の巡り合わせで(代えたけど)ね。完封させていたかも分かりませんね」とうなるほどの好投だった。ブレークを遂げた選手には、翌年に「2年目のジンクス」という言葉がついて回る。だが、右腕は「何も考えていないですね。また一から、という感じ」と冷静だった。成功を収めた昨季のスタイルをベースとし、「全部の面でレベルアップをするという感じでやってきた」と大胆なモデルチェンジはしなかった。

◆緊迫した場面で助っ人の名前がコールされる。満員の虎党が見つめるグラウンドに、新外国人のハビー・ゲラ投手(28)が小走りで駆け出した。あれ、リリーフカーは?! まさかのアクシデントにも動じず、甲子園初登板を笑顔で振り返った。「気持ちよかったよ。いい投球もできたし、いい勝ち方、いい試合ができて最高だね」1点リードの八回に登板。田村をスライダーで空振り三振に斬ると、坂倉も切れ味鋭いスライダーで二ゴロ。菊池は155キロ直球で遊ゴロに仕留めて、危なげなく広島打線をゼロに封じた。1点差のまま九回のマウンドに向かったのは岩崎優(32)だ。こちらもゲラ同様、一塁内野席とアルプス席の間にある通路から走ってマウンドへ。またも、リリーフカーに乗っていない...。実は、阪神サイドのリリーフカーはこの日、試合前の準備段階で車両故障が発覚。原因は不明だが、まさかのアクシデントに見舞われていた。ただ、ポーカーフェースの左腕も一切動じない。先頭の代打・上本を直球で空振り三振。2死から代打・会沢に左前打を浴びたが、最後は小園を1球で二ゴロに仕留めて今季3セーブ目。「抑えられてよかったです。ゼロならなんでもいい」と締めた。本拠地開幕戦を〝欠場〟したリリーフカーだが、10日からは元通り稼働予定。アクシデントをかき消す大歓声に、ゲラが「たくさんの声援が聞こえるのは力になりますし、また応援してもらえるように頑張っていきたい」と目を輝かせれば、岩崎は「いい意味でいつもの甲子園でした」と振り返った。まさかの状況に陥っても心配はいらない。虎が誇るW守護神は故障なくフル稼働でスコアボードにゼロを刻む。(原田遼太郎)

◆頼もしい村上の姿に、阪神・近本光司外野手(29)の気持ちも突き動かされた。勝負は迷いなく初球で決める―。振り抜いたバットから放たれた打球が右翼線へ転がる。誓いは果たされた。〝淡路島コンビ〟の先輩が後輩を勝たせる美技&決勝打で、試合前の会話通りにそろってお立ち台に上がった。「あいつが本当にいいピッチングしてくれていたので、なんとか1点を早めにというか、すぐ決めないとな、と」スコアボードに「0」が並ぶ投手戦を五回に動かした。先頭の木浪が中前打で出塁し、村上が1球で犠打を決める。後は任せますと、言葉は交わさずとも伝わった。先発・床田が初球に投じた直球を狙い打った。一塁を回ると加速し二塁を狙ったが判定はアウト。リプレー検証を経ても判定は覆らなかったが、ひと振りでこの日唯一の得点「1」を生みだした。「試合前にロッカーで『2人でお立ち台に立とうか』という話をしていたので、実現できてよかったです」

◆2024年、阪神の甲子園開幕戦。前日から降り続いた雨の影響で、ここ数日に比べて気温は一気に下がった。もう夏が近いのかなと思ってしまうほどだったのが、寒いのなんの...。まあ、これくらいが4月上旬らしいのだけれど。そんな中、試合前の練習中から震えているヤツがいた。トラ番2年目の邨田直人だ。「寒いです...。風もきつくて...。コートを着てこなかったんですが、今年も格好を間違えてしまいました」邨田が羽織っていたのはウインドブレーカー。鳴尾浜球場で2軍を取材していた日中はそれでも何とかなったのだけれど、日が暮れるにつれてブルブルときた。「以前の選抜取材の時も感じたんですけど、甲子園での取材って思いの外寒いんですよね。でも、暖かい日もあるので...。あんばいが難しい時期ですね」おいおい、本拠地開幕でいきなり風邪をひかないでくれよ。そんな邨田を涼しい顔、いや、暖かい格好で見つめていたのがベテランの遊軍・上阪正人だ。こちらは万全の態勢で甲子園初戦に備えてきた。「上着は冬にラグビーの花園取材でも活躍したジャケットを着てきたよ。裏地がアルミ加工になっていて、体温を反射するから蓄熱効果があってね。4000円くらいで買ったんだけど、コスパがいいね」邨田がうらやましそうな視線を送る中、上阪の言葉は熱を帯びる。

◆今年1月に静岡・沼津市で行われた阪神・青柳晃洋投手(30)を中心とした合同自主トレで、トレーナーとして村上頌樹投手(25)を指導した内田幸一氏(48)=日本工学院教員=が、村上の今季初勝利に祝福メッセージを寄せた。接するなかで感じる村上の人柄も明かし、今季の活躍に期待した。頌樹、今季初勝利おめでとう!! 試合はネット中継で見ていました。前回ダメだったところも自分で気付いて修正したと思うし、去年みたいに力のあるボールも投げていて、バッチリでした。青柳と自主トレをともにし、初めて接したのは昨年1月。もともとしっかりとした性格だけど、昨年あれだけの活躍をしても偉ぶるようすはなく、いたって謙虚。ただ、今年は心の余裕みたいなものを感じました。結果を残したことが大きな自信になっているんだろうと思います。目上の人への気配りや配慮もできる本当にいい子だけど、マウンドに立つと別人です。それは昨シーズン中から感じていて、投球も強気。自分がやってきたことに対して信頼があるんだと思います。だから堂々としていますよね。青柳とは同じチームで長い時間接しているので、青柳が考えていることを一番理解しているのは頌樹だと思います。自主トレには他に若い投手もいる中で、今年は頌樹が他の子に、青柳が考えていることなどを伝える、教えるということをやってくれました。伝えたいことを言語化する力もしっかりと持っていますね。接していて驚くのは「ここまでできるプロ野球選手が、ここまで真面目に話を聞いてくれるの?」ということです。プロ野球選手が、動作に関する一つ一つの話であれ日常の話であれ、こんな〝一般のおじさん〟の話を、目を見て真剣に聞いてくれる。感心させられてばかりです。ホーム開幕戦も含めてこの2試合、いいボールを投げていたし、今年は青柳も結果を残してくれると思っています。秋には青柳と村上、2人でタイトル争いをしてほしい、そう願っています。

◆一回、広島先頭の野間の打球を近本が大ファインプレー! その近本が五回、広島投手陣の大黒柱・床田から先制タイムリー(終わってみれば決勝打)。その追い風に乗り、昨季のMVP&新人王の村上が尻上がりに調子を上げて7回2安打無失点で今季初勝利を飾ったのだ~!! いや~ホントにおめでとう!!ちゅ~か近本も村上も淡路島出身やろ~!! 何か淡路島をPRするための政治的裏工作でもあったんとちゃうか~ってウソウソ冗談。俺は、本日この偉大なる2人の淡路島の虎に敬意を表し高らかに宣言するのだ。「タマネギ(淡路島の名産)は生涯、淡路島産しか食わ~ん!」と。ホント虎党は単純なんです...。一方で「?」もあるのだ。7回109球の村上の完投は駄目ですか? いや、俺が気になるのは開幕10試合目での守護神・岩崎の5登板。勝ってもなお不安の虎党の春でした...。

DAZN

<セ・リーグ順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差残試合 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(1↑)
中日
631 0.667
(↑0.042)
-
(↓0.5)
13325
(+3)
21
(+1)
5
(-)
1
(-)
0.217
(↓0.005)
1.940
(↑0.1)
2
(1↓)
DeNA
640 0.600
(↓0.067)
0.5
(↑0.5)
13330
(+1)
30
(+3)
3
(-)
4
(-)
0.248
(↓0.009)
2.450
(↓0.06)
3
(-)
阪神
550 0.500
(↑0.056)
1.5
(↑0.5)
13328
(+1)
31
(-)
9
(-)
4
(-)
0.227
(↑0.01
2.450
(↑0.28)
3
(-)
巨人
550 0.500
(↑0.056)
1.5
(↑0.5)
13327
(+3)
23
(+1)
5
(+1)
3
(+1)
0.246
(↑0.006)
2.000
(↑0.11)
5
(-)
ヤクルト
351 0.375
(↓0.054)
2.5
(↓0.5)
13430
(+1)
30
(+3)
3
(-)
6
(-)
0.244
(↑0.001)
3.040
(-)
6
(-)
広島
360 0.333
(↓0.042)
3
(↓0.5)
13417
(-)
22
(+1)
1
(-)
4
(-)
0.213
(↓0.012)
2.420
(↑0.15)