ヤクルト(★6対7☆)阪神 =リーグ戦1回戦(2024.04.05)・明治神宮野球場=
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阪神
020010012171212
ヤクルト
02100021006711
勝利投手:岩崎 優(1勝0敗1S)
(セーブ:ゲラ(0勝0敗1S))
敗戦投手:木澤 尚文(1勝1敗0S)

本塁打
【阪神】ノイジー(1号・2回表2ラン),佐藤 輝明(1号・10回表ソロ)
【ヤクルト】長岡 秀樹(1号・8回裏ソロ)

  DAZN
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◆阪神が延長戦を制した。阪神は2点を追う9回表、中野の押し出し四球と森下の適時打で試合を振り出しに戻す。そのまま迎えた延長10回には佐藤輝がソロを放ち、勝ち越しに成功した。投げては、4番手・岩崎が今季初勝利。敗れたヤクルトは、救援陣がリードを守りきれなかった。

◆阪神浜地真澄投手(25)が今季初昇格する。ヤクルト戦が行われる神宮球場に姿を見せた。この2年の防御率が0・91、1・37と抜群の実績を誇る中継ぎ右腕。今季ほキャンプから状態が上がらず開幕はメンバーから外れたが、2軍で調整を続けていた。阪神救援陣は、先発のスペアの門別啓人投手(19)が暫定的に開幕6試合のブルペンに入った。このカードからは出場選手登録を外れ、2軍で先発調整に戻ることが決まっていた。

◆ヤクルトとの今季初対戦へ、阪神のスタメンが発表された。「5番左翼」では、シェルドン・ノイジー外野手(29)が出場。今季はここまで2割8分6厘。前日4日のDeNA戦(京セラドーム大阪)でも、代打で右前打を放った。また、2戦連続で「6番三塁」には佐藤輝明内野手(25)が名を連ねた。先発は、青柳晃洋投手(30)。開幕戦以来の登板で、今季白星を狙う。

◆阪神大竹耕太郎投手(28)が6日のヤクルト戦(神宮)に先発する。開幕2戦目を託された3月30日の巨人戦(東京ドーム)は6回途中3失点で負け投手。今季初勝利を目指し、この日は神宮のマウンドに立って感覚を確かめた。ヤクルトの印象について「長打打てるバッター多いですけど、長打打たれないように窮屈に投げてしまって、長打食らうケースが多い」と語り、「打たれたらしょうがないぐらいで、開き直って勝負できるかどうか」と力を込めた。

◆元ヤクルト監督で15年にセ・リーグ優勝し、現在は解説者として活躍する真中満氏(53)が、球団55周年企画のレジェンドOBファーストピッチに登板した。背番号は監督時代の背番号77番。球団が用意したピンクベースの鮮やかなグラブで、山なりのボールを投じ、ノーバウンドでの投球に成功。「ストライク取りたかったですけど、まぁまぁぜいたく言わず」と言い「僕アイドルじゃないんで、ノーバン投球って書いといてください」と笑った。練習はしていないと言い「あれが、練習した球か!(笑い)」と切れ味鋭い突っ込みをいれていた。

◆阪神岡田彰布監督(66)の采配が当たった。前日4日のDeNA戦(京セラドーム大阪)に続いて佐藤輝明内野手(25)を5番ではなく6番に下げ、シェルドン・ノイジー外野手(29)を今季初めて5番で起用した。すると2回。四球の大山悠輔内野手(29)を一塁に置いて、ノイジーはカーブをすくい上げて左翼席に先制の1号2ランを放った。「緩いボールにいい感覚でコンタクトできたね。この調子で次の打席も頑張るよ」。左翼は開幕から左打ちの前川右京外野手(20)と右打ちのノイジーの併用。基本的に、投手の左右で使い分けられていた。この日は右投手のサイスニードが先発だったが、ノイジーを指名した。阪神は前日までチーム別単独最多の5本塁打で、これが6本目となった。昨年はリーグ5位の84本塁打だったが、大きく上回るペースでアーチが飛び出している。

◆阪神近本光司外野手(29)がめずらしい失策をおかした。2回1死二、三塁で中村悠平捕手(33)が放った中堅手前へのライナー性の打球に追いついたが、グラブからボールがこぼれ落ちた。三塁走者の村上宗隆内野手(24)が生還した。近本に今季初失策が記録されたが、落球がなくてもホームインしていたとして、中村には打点がついた。二塁走者の三塁進塁と、打者走者の一塁到達は失策によるものと発表された。この失策が響き、続く1死二、三塁から併殺崩れの間にもう1点与え、2-2と追いつかれた。近本は昨季、自身初の守備率10割を達成。3年連続3度目のゴールデングラブ賞を受賞していた。

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◆ビジターでも、本拠地並みに熱いファンが神宮に押し寄せた。三塁ベンチ裏から左翼スタンドにかけて、黄色の阪神ファンでびっしり埋め尽くされた。右翼のヤクルトファンは空席も目立っている。迫力ある大声援で虎を後押しする。

◆阪神大山悠輔内野手(29)が珍しいプレーでファインプレーを完結させた。4回先頭の中村悠平捕手(33)が放った三塁線を抜こうかという打球を佐藤輝明内野手(25)が逆シングルで好捕。素早く一塁に送球した。だが送球がやや短く、地面すれすれで捕球を試みた一塁大山のミットからボールがこぼれた。一塁塁審はセーフと判定したが、大山はベンチにアピール。岡田彰布監督(66)がリクエスト要求した結果、アウトに覆った。大山はこぼしたボールをすかさず素手で拾い上げていた。場内にリプレー映像が流れたが、大山の素早い「拾い上げ」にファンも納得。リクエストの結果が出る前に、大きな拍手が沸いた。

◆阪神大山悠輔内野手(29)がアクシデントに見舞われた。5回の一塁守備。一、二塁間への打球を処理した中野拓夢内野手(27)からの送球を待ったが、送球が走路側にそれ、打者走者の西川遥輝外野手(31)と激しく交錯した。背中にタックルされるような格好になった。2人とも顔をしかめてうずくまった。ストレッチャー2台がすぐに用意された。西川が先に立ち上がったが、大山はしばらく座り込み、心配された。だが、その後に大山も「大丈夫」といったしぐさで起き上がった。記録は二塁内野安打。2人は塁上で言葉を交わして、無事にプレー再開。場内から拍手が送られた。

◆ヤクルト21年育成ドラフト1位の岩田幸宏外野手(26)が「1番中堅」でプロ初スタメンを飾り、初安打を放った。2-2の3回先頭。阪神青柳の外角低め直球を左前へ。東洋大姫路、ミキハウス、BC・信濃からNPBの扉を開き、3月31日に支配下登録された26歳。前日4日までの広島戦は024で出場し、この日から新たな背番号64のユニホームで登場。記念球もベンチで受け取り、仲間から祝福された。

◆阪神中野拓夢内野手(27)が美技でチームを救った。5回無死一塁。3番オスナの二遊間へ安打性の打球に対し、逆シングルでダイビングキャッチ。グラブトスで遊撃木浪に送り、フォースアウトを奪った。直後にも4番村上の二ゴロをさばき、4-6-3の併殺を完成させた。

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◆輝が決めた! 阪神佐藤輝明内野手(25)が待望の1号決勝ソロで4日ぶりの最下位脱出を導いた。9回に2点ビハインドを追いつき、迎えた今季初の延長10回。6番手木沢から右中間席に運んだ。打率1割台に低迷して2試合続けて6番に下がった大砲が、ここ一番で起死回生弾。昨年の日本一軍団が今季3カード目で初めて初戦を取り、佐藤輝の復調とともに逆襲に転じる。弾丸と化した打球はどこまでも伸びた。これが佐藤輝だ。同点の延長10回。木沢のカットボールをとらえ、右中間最深部に一直線。くるりとバットを投げ、ゆっくり歩き出した。「やりました! 最高です! 打った瞬間、完璧でした」。神宮でのヒーローインタビューで絶叫した。どちらに転ぶか分からない展開。驚異の粘りで9回に2点差を追いつき、今季初の延長戦へ。負けるわけにいかなかった。苦しんだ。オープン戦の最後に復調して開幕を迎えたが、再び泥沼に沈んだ。タイミングが取れず、中途半端なスイングも連発した。開幕カードは1安打。3日には岡田監督の指示で、初めて早出特打に臨んだ。それでも前日4日まで打率1割4分3厘。前日から2日連続で5番から「6番」に降格していた。「もっとしっかり、打たないといけない立場なので...」と責任を痛感している。試行錯誤の毎日。この日は練習で大山のバットを手にした。最初2打席は大山の白木バットでフライ2本。4打席目からは今度は黒い大山バットに持ち替え、延長で渾身の一振りを決めた。キャンプ中にも試していたバットだった。「そんなに差はないけど、ちょっと変わるかなと思って。打ててなかったので、何か、きっかけになればと思って」。必死だった。昨年は絶不調時に2軍落ちという荒療治をされたが、今年は違う。首脳陣はどんなに悪くても、試合から外すつもりはない。昨年はあくまで特例措置。「真の主力」になるための1年と位置づけられている。苦しんでも逃げる場所はない。打つしかなかった。本塁打は自分のアイデンティティー。「ベストの本塁打」を問われると、昨年の優勝を決定づけた1発を挙げる。しかし「入るかは分からなかった」という手応えだった。「あれはファンの声援が後押ししてくれたと思う。僕の人生で一番最高の1日でした」。ファンを喜ばせる1本こそが、スラッガーにとって最上の喜びだ。「寒い中、応援してくださって力になりました」と虎党に直接、感謝の言葉を届けた。佐藤輝は「これをきっかけに、もっとどんどん勝っていけるようにしたいです」と久しぶりに笑顔を見せた。まだ開幕直後ながら"最下位"の不名誉からも脱出。役者がそろってきた阪神が、王者らしさを取り戻してきた。【柏原誠】佐藤輝が今季29打席目で1号を放った。過去最速は1年目の21年5打席目。22年は40打席目で、昨季は75打席かかっていた。

◆終盤に粘りを見せ、阪神が接戦を制した。2点ビハインドの9回、代打攻勢で1死満塁を演出。2番中野が押し出しで1点差に追い上げると、続く3番森下の左前適時打で同点に追いついた。延長10回には、6番佐藤輝が右腕木沢から中堅右に飛び込む第1号決勝ソロ。勝負を決めた。最終回のマウンドには新助っ人ハビー・ゲラ投手(28=レイズ)が登板。先頭打者に安打を浴びたものの、後続を3人で斬り、来日初セーブとなった。

◆阪神青柳晃洋投手(30)が制球に苦しみながらも6回3安打3失点(自責点2)と粘投した。2回、2者連続四球などで1死二、三塁。7番中村が放ったセンターへのライナーを近本が落球し、失点した。その後も併殺崩れの間に追加点を献上。無安打で2点を失った。3回にも2死一、二塁から5番サンタナの左前適時打で、3失点目を喫した。序盤から制球に苦しみ、計6四死球。それでも4回以降は毎イニング得点圏に走者を置きながらも、要所で粘りを見せた。開幕戦以来となる、今季2戦目の登板。追加点を許さず、計105球を投げきった。

◆ヤクルト高津臣吾監督(55)が、中継ぎ陣へ奮起を求めた。2点リードの9回。4番手で登板した星が先頭に四球を与え、1死一塁から右前打で1死一、二塁とし、次打者に再び四球で1死満塁としたところで降板。後を継いだ大西は押し出し四球、次打者に左前適時打を許し、痛恨の同点となった。守護神・田口が2軍調整中で日替わりでクローザーが変わる中、9回に3四球というもったいない内容だった。結果的に延長戦までもつれた試合は、6番手で登板した木沢が6-6の延長10回に佐藤輝へ決勝弾を浴びた。高津監督は「技術的なところではないので、ちょっと教えようがないですよね。やっぱりこう、何て言うんかな、怖がってしまっているので、ミスを恐れてしまっているので、ストライク入れる、入れないっていうのはね、教えられるかもしれないですけども。そこなのか、精神的なものなのか。ほぼ精神的なものだと思いますけどね。そこはもう経験するとかしかないと思いますけどね。あそこまで、こうね、こう、怖がってるとは思わなかったですね」と厳しかった。特に、この日は「怖がっている」と感じたと言い「9回投げた2人(星、大西)は。あれだけストライク入らないのは普段なかなかないことなので。間違いなく、打たれることを怖がっているんじゃないかなと思いますけど」と表情は曇っていた。▽ヤクルト木沢(延長10回に阪神佐藤輝に被弾)「1発だけは避けたい場面だったので、もったいなかったです。次に同じ失敗をしないようにしっかり反省してやっていきたい」

◆ヤクルト岩田幸宏外野手が、「1番中堅」でプロ初スタメンを果たした。3回には左前へプロ初安打、7回無死一塁からバントを失敗したが、直後にプロ初盗塁を決めた。そのままプロ初得点もマーク。東洋大姫路-ミキハウス-BC信濃から21年育成ドラフト1位でNPBの扉を開いた。3月31日に支配下登録されたばかりの26歳。前日4日の広島戦までは育成時代の背番号024で出場していたが、この日から新しい64番のユニホームが届いた。「ヒットは出たのは良かったんですけど、バントとか9回の先頭で三振とか、そういうのはなくしていくというか、そこはあかんかなと思いますけど、まずはヒットが出て良かったと思います」と初々しく振り返った。

◆3時間51分の激闘を締めくくった。阪神新外国人のハビー・ゲラ投手(28=レイズ)が、1点リードの最終回を無失点に抑え、来日初セーブを挙げた。岡田監督から岩崎とのダブルストッパーを期待される最速160キロ超を誇る右腕。この日は9回を0に抑えた左腕からバトンを受けた。「どんな状況であれ、キャッチャーを信じて、味方を信じて、自分を信じて投げることは変わらない。そこはできたと思うよ」先頭長岡にいきなり右前打を浴び、犠打で1死二塁のピンチを招いた。それでも動じなかった。代打川端に対し、得意のスライダーで一ゴロに仕留めた。2死三塁では丸山和を1-2と追い込み、最後は自慢の剛球で二ゴロに仕留めた。「ブルペンのみんなで粘ってゲームがつくれた。本当にいい試合で、勝てたことが何よりうれしいよ」マウンド上にできたナインの輪でうれしそうにハイタッチ。緊張から解放され、クールな表情は完全に砕けていた。元々内野手の新助っ人は、19年に当時のGMから話を持ちかけれ投手へ転向した。野球人生を左右する大きな決断。それでも当時の心境については「覚えてないよ」と笑い飛ばした。「意外とあっさりというか。それよりも、今こうして投手としてプレーできているから。いい決断だったね。もう1回野球人生をやり直せるなら、二刀流がしたい。チャンスがあるならね」「野手」でも「投手」でもない。すんなり決断できたのは「ベースボール」を愛していたからだった。置かれた場所で輝き、ここまで来た。今季は登板3試合全てで無失点。防御率は0・00を継続し、ブルペンでの信頼は日に日に高まっている。神宮の虎党へ、あいさつ代わりの1セーブ目となった。【波部俊之介】

◆ここで打つのはやっぱりこの男! 阪神森下翔太外野手(23)が9回に同点打を放ち、今季初の延長戦&勝利を呼び込んだ。振り抜いた打球が左前に落ちると、虎党の大歓声に包まれた。森下は一塁上で右手を振り下ろし、喜びを爆発。3月31日の巨人戦で決勝打、3日DeNA戦でも逆転決勝2ランを放った背番号1が、またも勝負強さを発揮した。「(打ちに行く迷いは)全くなかったですね。もう変化球見えてたので、まっすぐ系で、もうどんどん行こうと思いました」5-6の9回。1死満塁で打席が回った。ヤクルトの5番手大西は2球続けて大きく外れ、3球目だ。真ん中に入ったストレートを狙い撃ち。打率1割5分4厘と低いがここ一番の打棒が光る。8回の第4打席、無死一塁では三遊間を抜けたかと思われた打球を三塁村上が好捕。今度は痛烈な打球を左前に見せつけた。「自分の持ち味って、ああいうところで1本出せたりするところ」とにっこりだ。9回は攻撃陣が一丸になった。4-6で敗色濃厚も誰も諦めない。先頭の代打小幡が四球を選ぶと、1死後、代打糸原がガッツポーズの右前打。続く1番近本も四球を選び、2番中野が5球目で押し出し。3番森下の同点打、さらには延長10回の6番佐藤輝の決勝弾とつながった。中野はオープン戦の不振から完全復調を示す今季初の3安打。2-3の5回には1死一、三塁で右前に運ぶ一時同点打も決めた。チームは今季最多の12安打&7得点で3時間51分の熱闘を制した。打ち出したら止まらない猛虎打線に火がついた。【村松万里子】

◆輝が決めた! 阪神佐藤輝明内野手(25)が待望の1号決勝ソロで4日ぶりの最下位脱出を導いた。9回に2点ビハインドを追いつき、迎えた今季初の延長10回。6番手木沢から右中間席に豪快アーチを運んだ。打率1割台に低迷する主砲がここ一番で起死回生の劇的弾。21年にプロ1号を放った思い出の神宮で復調を予感させた。今季3カード目で初めて初戦を取り、佐藤輝とともに昨年の日本一軍団も逆襲に転じる。佐藤輝明はいつまでも成長期なのかもしれない。今季からスパイクのサイズを変更した。昨季までは29・5センチを使用していたが、アンバサダー契約を結ぶミズノ社に依頼し、5ミリ大きい30センチの相棒を新たに採用した。25歳でも、まだ足は大きくなり続けているのか? そんな冗談とともに理由をたずねたことがある。「今までは少し窮屈さを感じていたんですよね。足の指を動かせるくらい、余裕があってほしい。その方がしっかり踏ん張れるし、力も伝わると思うんです」 ミリ単位のサイズアップは、数字以上に大きな効果をもたらせてくれるというわけだ。入団前からクッション性のある一足を求め、毎年アップデートを繰り返してきた。187センチのビッグマンは143試合を戦い抜くため、土台となる足元にもこだわり抜く。スパイク同様、スケールもまだまだ大きくなる。【阪神担当=中野椋】

◆3時間51分の激闘を締めた。阪神新外国人のハビー・ゲラ投手(28=レイズ)が、1点リードの最終回を無失点に抑え、来日初セーブを挙げた。岡田監督から岩崎とのダブルストッパーを期待される最速160キロ超を誇る右腕。この日は9回を0に抑えた左腕からバトンを受けた。★ゲラという男生まれ 1995年9月25日生まれ、パナマ出身。球歴 12年にレッドソックスと契約し、18年にパドレスでメジャーデビュー。23年WBCパナマ代表。投手転向 当初は内野手も、19年のスプリングトレーニングで当時のGMから提案を受けて投手に。「僕も彼を信頼していたし、何か新しい試みをしたかった」。今春の沖縄・宜野座キャンプのフリー打撃で柵越えを披露するなど打撃は健在。シェフ 故郷のパナマ料理が得意。「メキシコ料理に近いのかな。米を使ったりチキンを使ったりいろいろ作っているよ」。日本語 取材陣に対し「そうですね」「はい」など、通訳を介さずに直接回答する場面も多い。「スターバックスで注文したんですけど、『ここ』とか『ありがとう』は日本語で伝えました」。サイズ 体重183センチ、身長86キロ。右投げ左打ち。

◆阪神代打前川右京外野手(20)がまた安打を放った。7回1死で登場し、サイスニードから一、二塁間を破る右前打。これで今季は11打数5安打、打率4割5分5厘と好調な船出だ。この日は相手先発が右投手ながら左翼はノイジーがスタメンとなったが、途中出場でも集中力をみなぎらせ、結果を残した。

◆阪神開幕投手を務めた青柳晃洋投手(30)が今季2戦目で粘りを見せた。6回3失点。105球を要しながら最低限の仕事を果たした。「ボール先行で四球も多くリズムを作ることができなかったので、守ってくれている野手に申し訳なかった。なんとか6回を投げ切ることができました」。2点を先制した直後の2回には連続四球で走者をため、その後無安打で2失点。序盤から制球に苦しみ、計6四死球を与えたが、味方の好守にも支えられながら尻上がりに調子を上げた。要所で踏ん張り、今季初のクオリティースタート(6回以上、自責点3以内)を達成。次戦は今季初白星をつかみたい。

◆阪神浜地真澄投手(25)が今季初めて出場選手登録された。キャンプから状態が上がらず開幕メンバーから外れたが、2軍で調整を続けていた。さっそく8回に登板。いきなり長岡に右越えソロを浴びたが、あとの3人は落ち着いて打ち取った。開幕から6試合は門別が暫定的にブルペンに入った。このカードから出場選手登録を外れ、2軍で先発調整に戻ることが決まっていた。

◆3時間51分の激闘を締めた。阪神新外国人のハビー・ゲラ投手(28=レイズ)が、1点リードの最終回を無失点に抑え、来日初セーブを挙げた。岡田監督から岩崎とのダブルストッパーを期待される最速160キロ超を誇る右腕。この日は9回を0に抑えた左腕からバトンを受けた。阪神でセーブを挙げた外国人投手は17人目。最多は16~19年に在籍したドリスで96セーブ。なお球団初の助っ人セーブは、83年10月24日ヤクルト戦でのオルセン。

◆阪神岩崎優投手(32)に今季初白星が転がり込んだ。味方が同点に追いついた9回に登板。2死一、二塁のサヨナラ機を招いたが、最後は代打塩見を右飛に仕留めた。今季3試合目の登板で、無失点ピッチを継続。岡田監督がダブルストッパー構想を抱くゲラにつないだ。「(今日の勝利に)助けられたメンバーもいると思うので。今度はそういう人たちが頑張ってくれたら」とさわやかだった。

◆昨季守備率10割の阪神近本光司外野手(29)が珍しい失策をおかした。2回1死二、三塁で中村が放った中堅手前へのライナー性の打球に追いついたが、グラブからボールがこぼれ落ちた。三塁走者の村上が生還した。近本に今季初失策が記録されたが、落球がなくてもホームインしていたとして、中村に打点がついた(犠飛は成立)。二塁走者の三塁進塁と、打者走者の一塁到達は失策によるものと発表された。試合後は「勝ったからよかった。本当にそれだけ。みんなに感謝したい。シーズンに1回あるかないかの難しい打球。僕にしか分からないので」と反省を込めた。

◆阪神糸原健斗内野手(31)が劇的展開をお膳立てした。2点を追う9回1死一塁で代打で登場。星の落ちるボールにしぶとく右前へ。同点劇を呼び込んだ。「人のいないところに打てて良かったです」と笑顔だ。オール代打で5打席目に奏でた今季初安打。3月31日の巨人戦では打点つきの二ゴロなど、内容ある一振りを続ける。

◆阪神シェルドン・ノイジー外野手(29)が「5番」の仕事をした。岡田監督は2日続けて佐藤輝明内野手(25)を6番に下げ、中軸に上がったのがノイジーだ。2回無死一塁で、サイスニードのカーブを豪快にすくい上げて左翼席に先制1号2ラン。昨年日本シリーズ第7戦で日本一を呼び込む決勝3ランを放って以来のアーチに「緩いボールにいい感覚でコンタクトできたね」と喜んだ。8回にも一時1点差に詰める犠飛を放ち計3打点。「佐藤を聞いてください」と決勝弾の佐藤輝を立てつつ「チームのために打ててうれしい」と喜んだ。左翼は開幕から左打ちの前川との併用。投手の左右で使い分けられていたが先発サイスニード、石山の両右腕から結果を出した。前川に1歩も譲っていない。「いい感覚で振ることができている。自分の役割を果たしていきたい」と力を込めた。ノイジーと佐藤輝のアベック弾が出た阪神の今季チーム7本塁打は12球団最多。昨季18度だった1試合2本塁打以上は早くも3度目となった(ほかに3月31日巨人戦森下、小幡、4月3日DeNA戦森下、近本)。

◆阪神・浜地真澄投手(25)が試合前練習に合流した。昨季は30試合に登板して3勝1敗6H、防御率は5・86だった右腕。岡田監督は4日に、開幕から中継ぎとしてベンチ入りしていた門別啓人投手(19)の2軍戦先発を明言しており、空いた1枠を使っての1軍昇格となる見込み。

◆阪神・近本光司外野手(29)が周囲を驚かせた。パーカのフードをかぶり、ネックウォーマーは鼻まで上げる。周りからは目だけしか見えない服装で練習を開始した。阪神は開幕からドーム球場が2カード続き、今季初の屋外ナイター。1日に甲子園でナイター練習をしたが、体調管理を徹底する近本らしい行動となった。東京都は17時時点で気温12度。岡田監督、コーチもジャンパーを着て練習を見守っていた。

◆阪神は青柳晃洋投手(30)が今季2度目の先発のマウンドへ上がる。3月29日の巨人との開幕戦(東京)では5回3失点で敗戦を喫しており、「一つ勝ちがつくまでは緊張感はあると思うので、まず勝てればいい」と意気込んだ。「5番・左翼」にシェルドン・ノイジー外野手(29)が入り、佐藤輝明内野手(25)は2試合連続で「6番・三塁」で最下位脱出を目指す。

◆阪神・大竹耕太郎投手(28)が試合前練習に参加し、先発する6日の2回戦に向けてダッシュ、キャッチボールなどで調整した。開幕2戦目の3月30日の巨人戦(東京ドーム)は五回まで無失点ピッチングも六回に2被弾を喫し、3失点で1敗目。「いい意味でも悪い意味でも先を考えてしまうというか、試合の展開だったり流れだったり、もちろん自分が出さなきゃいけない結果とか、そういう先を読みすぎてしまう部分をすごく前回の登板で感じた」と振り返った。2度目をの登板で初勝利をつかむべく、心身ともに調整してきた。「原点に立ち返って1イニングずつ、それ以上に1アウトずつ、目の前のバッターとしっかり向き合って、集中力を保って投げていく積み重ねで長いイニングを投げていきたい」と力を込めた。

◆阪神は二回、シェルドン・ノイジー外野手(29)の2ランで先制した。この回先頭の大山が四球で出塁し、「5番・左翼」で先発したノイジーが迎えた第1打席。サイスニードが2球目に投じたカーブを捉え、打球はライナーで左翼スタンドに飛び込んだ。オープン戦は12試合で一度も長打がなかったが、この日までの4安打のうち2本が二塁打。シーズン5安打目が本塁打になった。「打ったのはカーブ。緩いボールにいい感覚でコンタクトできたね。この調子で次の打席も頑張るよ」とコメントした。

◆2試合続けて「6番・三塁」での出場となった阪神・佐藤輝明内野手(25)はいつもと違うバットで試合に挑んだ。4日まで使用していた茶色&黒のバットではなく、白いバットを持って打席へ。バットのグリップには大山の背番号である「3」の刻印が入っていた。佐藤輝は試合前まで打率・143と不調。岡田監督も「どん底やろ」と話していただけに、主砲にあやかって状態を上げたいところだ。第1打席はとらえて強い打球を放ったが、中飛に倒れた。

◆阪神は2―0の二回、近本光司外野手(29)の失策で失点を喫した。昨季守備率10割の近本がまさかのミスだ。四球と犠打で先発の青柳が1死二、三塁のピンチを招いて、中村が初球を中堅へ。ライナーで正面に飛んだ打球を近本がグラブに当ててはじいた。三塁走者が生還し、失点。3年連続でゴールデングラブを受賞している名手だが、2022年9月6日のヤクルト戦(甲子園)以来となる失策が記録された。続く武岡の二ゴロの間にさらに走者ひとりが生還し、この回無安打で同点に追いつかれた。

◆ヤクルト球団が設立55周年を迎えたことを記念し、「球団設立55周年企画 レジェンドOBファーストピッチ」が行われた。第1回は、監督として2015年にリーグ制覇を果たした真中満氏(53)が登場。ノーワインドアップからノーバウンド投球を披露した。「ストライクを取りたかったですけどね。まあまあぜいたく言わずに、ホームまで届いたので。ファーストピッチをやらせていただいて、感謝しかないです」球団が用意した、シュア・プレイのピンク色グラブで投球。試合前に会場を沸かせた。

◆阪神の先発・青柳晃洋投手(30)が2―2の三回に勝ち越しを許した。先頭の岩田に左前打を許し、2死から村上にこの日3つ目の四球を与えて一、二塁と走者を背負った。サンタナにフルカウントから投じた内角のツーシームを捉えられ、打球は左前へ。二塁から走者が生還する適時打で3点目を失った。制球に苦しみ、3回終了時点で56球と球数がかさんでいる。

◆阪神は2―3の五回、中野拓夢内野手(27)の適時打で同点に追いついた。この回先頭の木浪が右翼フェンス直撃の二塁打で出塁すると、続く青柳は犠打を試みて打球は先発・サイスニードの前へ。一塁への送球がそれて一、三塁とチャンスが拡大した。近本は左飛に倒れたが、中野が芯では捉えられずも右前にポトリと落とす当たりで三塁走者が生還した。続く森下が四球を選んで満塁とするも、4番・大山が遊ゴロ併殺で勝ち越しはならなかった。

◆阪神・大山悠輔内野手(29)が守備時に交錯し、プレーを中断する場面があった。五回先頭の西川の打球は一、二塁間へ転がり、これを処理した中野が一塁へ送球。タイミングはセーフだったが送球がそれ、捕球を試みた大山が西川と交錯。ベンチからトレーナーが飛び出したが、大山はしばらく仰向けで足を挙げたまま立ち上がれず。担架も用意された。それでもゆっくりと伸脚をしながらをしながら立ち上がり、無事プレーを続行。大山は開幕前にも下半身の張りでオープン戦を欠場していただけに、ヒヤリとするプレーだった。

◆阪神は2―3の五回、中野拓夢内野手(27)の適時打で同点に追いついた。この回先頭の木浪が右翼フェンス直撃の二塁打で出塁すると、続く青柳は犠打を試みて打球は先発・サイスニードの前へ。一塁への送球がそれて一、三塁とチャンスが拡大した。近本は左飛に倒れたが、中野が芯では捉えられずも右前にポトリと落とす当たりで三塁走者が生還した。続く森下が四球を選んで満塁とするも、4番・大山が遊ゴロ併殺で勝ち越しはならなかった。中野は「「打ったのはチェンジアップ。なんとかまずは追いつきたいという場面でしたし、積極的にスイングしていった結果、いいところに飛んでくれてよかったです」とコメントした。

◆阪神の先発・青柳晃洋投手(30)は6回3失点だった。制球難に守備のミスもあった中でなんとか踏ん張った。二回は四球と犠打で1死二、三塁のピンチを招き、中村のライナー性の中飛を近本がグラブに当てるもはじく失策。三塁走者が生還して失点すると、続く武岡の二ゴロの間にさらに走者ひとりが生還し、無安打で2点を失った。三回は安打と四球で一、二塁と走者を背負い、サンタナにフルカウントから投じた内角のツーシームを捉えられ、打球は左前へ。二塁から走者が生還する適時打で3点目を失った。6四死球と制球に苦しみ、毎回走者を背負うもなんとか3失点でとどめて後続にマウンドを託した。

◆阪神の先発・青柳晃洋投手(30)は6回3失点だった。制球難に守備のミスもあった中でなんとか踏ん張った。二回は四球と犠打で1死二、三塁のピンチを招き、中村のライナー性の中飛を近本がグラブに当てるもはじく失策。三塁走者が生還して失点すると、続く武岡の二ゴロの間にさらに走者ひとりが生還し、無安打で2点を失った。三回は安打と四球で一、二塁と走者を背負い、サンタナにフルカウントから投じた内角のツーシームを捉えられ、打球は左前へ。二塁から走者が生還する適時打で3点目を失った。6四死球と制球に苦しみ、毎回走者を背負うもなんとか3失点でとどめて後続にマウンドを託した。「ボール先行で四球も多くリズムを作ることができなかったので、守ってくれている野手に申し訳なかったです。そんな中でもいいプレーでアウトにしてくてれて、なんとか6回を投げ切ることができました。あとはチームの勝利を信じてベンチから応援します」とコメントした。

◆阪神は3―3で迎えた七回に勝ち越しを許した。この回から2番手でマウンドに上がった桐敷拓馬投手(24)が先頭の代打・北村に振り逃げ(記録は三振と暴投)で出塁を許すと、西川、村上に四球を与えて2死満塁。ここでサンタナの打球は勢いこそなかったものの、きれいに二遊間を破って2点中前適時打となった。セットアッパーの一角として送り出された左腕が防ぎきれず、終盤に重い2点がのしかかった。

◆2点を勝ち越されて3-5となった直後の八回、阪神がすぐさま反撃する。先頭の中野がこの日3本目の安打となる左前打で出塁すると、1死一塁から大山が三塁線を破る二塁打で1死二、三塁とチャンスを拡大。続くノイジーは右犠飛を放ち、二回の2ランと併せて3打点目を挙げた。なおも2死二塁となって佐藤輝だったが、ヤクルトはサウスポーの山本にスイッチ。直球に手を出すも二ゴロに倒れ、一挙同点とはならなかった。

◆阪神が延長戦の末に競り勝ち、開幕から初めてカード初戦をものにした。二回、シェルドン・ノイジー外野手(29)が左越えに1号2ランを放って先制した。二回に守備の乱れが絡んで2―2と追いつかれると、三回には1点を勝ち越される。しかし五回1死一、三塁から中野拓夢内野手(27)の適時打で3ー3とし、同点で試合を折り返した。先発・青柳晃洋投手(30)は6四死球と制球に苦しみながら6回3失点。七回に登板した2番手・桐敷拓馬投手(24)は1死満塁を招くとサンタナに勝ち越しの2点打を許して3ー5とされた。打線は八回1死二、三塁からノイジーの犠飛で1点差に迫ったが、その裏は1軍初昇格したばかりの3番手・浜地真澄投手(25)が長岡に右越えソロを被弾して4ー6と再び2点差とされた。2点を追った九回、打線が粘りを見せる。代打・糸原健斗内野手(31)の右前打と2四球でなどで1死満塁のチャンスを作ると中野が代わった相手5番手・大西から押し出し四球を選んで1点差。森下翔太外野手(23)が左前に同点適時打を放って6ー6とした。九回にマウンドに上がった岩崎優投手(32)は走者を出しながらもゼロに抑えて今季初の延長戦に突入。十回1死、佐藤輝明内野手(25)が木沢から今季7試合目で初アーチとなる値千金の勝ち越しソロ本塁打を右中間へ放った。最後はハビアー・ゲラ投手(28)が締めて初セーブを挙げた。

◆延長十回、本塁打を放つ阪神・佐藤輝明=神宮球場(撮影・渡辺大樹)

◆プロ初安打を放ち、コーチとタッチを交わすヤクルト・岩田

◆阪神が今季初の延長戦を制した。十回1死、佐藤輝明内野手(25)が開幕から7試合目&29打席目にして放った1号ソロで勝ち越した。その裏を締めたハビー・ゲラ投手(28)が初セーブを挙げ、勝利投手は岩崎優投手(32)。2点を追う九回は中野拓夢内野手(27)の押し出し四球、森下翔太外野手(23)の左前打で同点に追いついた。チームは今季初の2桁安打で、初のカード初戦白星で単独最下位から4位タイに浮上した。主な選手のコメントは以下の通り(成績=3勝4敗、観衆=2万6682人)。バットを変えて決勝弾の佐藤輝明 「打ててなかったんで、何かきっかけになればと思って」二回に飛球落球の近本光司 「勝ったからよかった。本当にそれだけ。みんなに感謝したい。シーズンに一回あるかないかの難しい打球なんで。僕にしから分からないんで」九回に登板し、今季初勝利の岩崎優 「(準備が難しい?)いや、もう慣れてるんで、はい」延長十回に登板し、来日初セーブのハビー・ゲラ 「どんな状況であれ、キャッチャーを信じて、味方を信じて、自分を信じて投げることは変わりない」

◆現役時代は阪神、南海で活躍し、引退後は阪神で投手コーチやフロントでも尽力したサンケイスポーツ専属評論家の上田二朗氏(76)は5四球1死球で6回3失点(自責2)の阪神・青柳晃洋投手(30)に言及した。久しぶりに荒れる青柳を見た。ブレークする前は、こんな投球をしていたと懐かしく思ったほど。オープン戦から開幕戦にかけても、ここまで逆球が多い内容ではなかった。自分の思ったコースに投げらないからなのか、走者を出した時の間合いが長かった。意図的に長くして、打者と駆け引きしをていたのかもしれないが...。こうなると坂本も四苦八苦していた。守りのリズムも乱れるし、攻撃もリズムもおかしくなる。昨年は制球のいい投手を目指そうとして、失敗した。今季は最多勝などのタイトルを独占した、一番いい時の青柳に戻りつつあっただけに、「まさか」の内容だった。とはいえ、投げている球は、真っすぐも力があったし、変化球の曲がりも合格点。つまり突然、荒れてしまったということになる。四回あたりからは本来の投球に近づいたので、次回は修正して、元の青柳に戻ってくれると信じている。制球に関してはアバウトなタイプ。だから、相手も嫌がる。アバウトでいいと考えたら、すんなり復調できるのではないか。

◆試合終盤から降り出した冷たい雨が、恨めしかった。ヤクルトは延長十回の末、2試合連続逆転負けで3連敗。最下位に転落し、借金生活がスタートした。崩れた救援陣に対し、高津臣吾監督(55)は恐怖心の克服を求めた。「怖がってしまっている。ミスを恐れてしまっている。精神的なものだと思いますけど、そこはもう経験するしかない。あそこまで怖がっているとは思わなかった」2点リードの九回。マウンドに上がった星が期待に応えられなかった。2四球と1安打で1死満塁とされ、大西に交代。高津監督は「星よりストライクが入ると思って投げさせた」と緊迫した場面での制球力を期待したが、中野に押し出し四球、森下に左前適時打を打たれて追いつかれた。十回は木沢が佐藤輝に決勝被弾。オープン戦好調だった救援陣が、本来の姿を見せられずにいる。守護神の田口が2軍で再調整、セットアッパーの清水が2連敗中と苦しい状況が続く。「経験のなさもある。慣れとか、九回の考え方は非常に大事」と高津監督。まだ序盤戦。選手の奮起を促しつつ、立て直しを図りたい。(赤尾裕希)

◆「5番・左翼」の阪神シェルドン・ノイジー外野手(29)は二回無死一塁から、サイスニードの変化球を一閃。左翼へ今季1号となる2ランを放った。「先制だったので、チームのために打ててうれしい。いい感覚で振ることができているので、継続していきたい」。八回には犠飛で3打点目。それでもグラウンドを引き揚げる際には「佐藤輝を取材してくれよ」とヒーローをたたえていた。

◆阪神・青柳晃洋投手(30)は6回3失点(自責2)。2点を先制した直後の二回に連続四球や味方のミスで追いつかれると、五回にもサンタナに適時打を浴びて勝ち越し点を献上。制球に苦しみ6つの四死球を与え、毎回走者を背負う投球だったが、なんとか6回まで粘った。「ボール自体コントロールできなかった。結果としてあれだけピンチを作ってという形だったので、野手に申し訳ないと思いますし、勝ってくれて感謝しかない」。次回こそ今季初白星をつかむ。

◆阪神・大山悠輔内野手(29)は2安打を放ったが、五回、九回と同点で打席に立った1死満塁の絶好機で、いずれも併殺打。それだけに「きょうは勝てたことが一番。チームのみんなに感謝してという試合なので、本当に勝ててよかった」と価値ある1勝を喜んだ。五回の一塁の守備では送球がそれた際に打者走者と交錯し、一時立ち上がれず。オープン戦終盤を下半身の張りで欠場するなど体調は万全ではないだけに心配されたが、そのまま立ち上がり、最後までプレーした。

◆阪神・森下翔太外野手(23)がまた勝負強さを発揮した。ノーヒットで迎えた九回の第5打席。5-6と1点差に迫り、なお1死満塁で打席に立つと、2ボールから大西の3球目を振り抜いた。左前へチームを救う同点打。「迷いはなかった。自分の持ち味はああいう場面で一本出せるところだと思っている。そこにはこだわってやりたい」。打率は・154も、セ・リーグトップタイの7打点。「初戦をとれたのは本当に大きい。アドバンテージにして戦える」と勢いに乗っていく。

◆最後の最後までどちらに転ぶかわからないゲームのラストは、ゲラが剛腕ぶりを発揮してビシッと締めた。雨が降る神宮でピンチを乗り越え、1回1安打無失点で来日初セーブを記録。普段は淡々とした助っ人も、笑顔があふれた。「ゲーム展開上、そう(来日初セーブ)なったが、ブルペンみんなで粘ってゲームを作れました。いい試合で、勝てたことがなによりうれしい」同点の九回は岩崎が抑え、佐藤輝の勝ち越し弾が飛び出した直後、7-6の延長十回にマウンドへ。先頭の長岡に右前打を許し、犠打で1死二塁。それでも代打・川端はスライダーで一ゴロに仕留め、最後は丸山和を渾身(こんしん)の外角直球で二ゴロ。虎党の大歓声に祝福された。「どんな状況であれ、キャッチャーを信じて、味方を信じて、自分を信じて投げることは変わりない。そこはできた。とにかく勝ててよかった」抑えを固定しない〝ダブルストッパー〟でスタートした今季の阪神。これまで「八回の男」として2ホールドを挙げていたゲラが来日3試合目で守護神としての適性も見せつけ、虎は今季初めてカード頭をとった。(新里公章)

◆打って、守って、土壇場でも冷静に後ろにつないだ。中野が適時打を含む3安打に押し出し四球で、2番打者の役割を最大限に果たした。逆転勝利に貢献し、神宮の雨に打たれながら笑顔で適時打を振り返った。「積極的にいけた分、納得いく打球ではなかったけれど、いいところに飛んでくれました」攻守両面で大きな存在感を発揮した。2―3の五回1死一、三塁、芯で捉えられずも、右前にポトリと落とす当たりで同点に追いついた。その裏の守備では無死一塁でオスナの二遊間へ安打性の打球を逆シングルでダイビングキャッチ。グラブトスで素早く遊撃手の木浪に送り、アウトとした。

◆やりました! 阪神は7-6でヤクルトに勝利。延長十回に佐藤輝明内野手(25)が右中間に1号ソロを放ち、両軍合わせて14四死球&2失策の荒れた試合に決着をつけた。今季7試合29打席目での待望の一発が劇弾となり、虎は今季初めてカード初戦に勝利。単独最下位を脱して4位タイに浮上した。お目覚め弾だ!! 雨が降り出した神宮球場の上空に鋭い放物線が描かれる。6-6の延長十回、開幕から攻守に精彩を欠いていた佐藤輝が右中間へ決勝アーチ。今季7試合29打席目での待望の一発が劇弾となった。「やりました! しっかり強い当たりを打って、最低でも塁に出るという意識でバッターボックスいきました。いや、もう打った瞬間、完璧でした。サイコーです!!」左翼席の虎党からは「テルコール」が響き渡った。まさに起死回生の一発だった。2点ビハインドの九回、中野の押し出し四球と森下の左前打で追いつき、今季初めて延長戦に突入。延長十回1死走者なし。6番手・木沢のカットボールをとらえた。「最低でも塁に出る。そんな中でしっかり強く振るという意識はしていました」

◆終盤をいかにしのぐかというヤクルトのテーマが、ますますクローズアップされてしまった。星も大西も、ボール先行で苦しいカウントになり、ストライクを打たれるパターン。球の強さはあるのだから、初球から厳しいコースを狙いすぎず、臆することなく投げ、打者を追い込んでもらいたい。田口が戻るまで八、九回の投手起用は固定できないだろう。それぞれが与えられた役割を果たすしかない。もちろん、援護もなおさら求められる。その意味で、今の打線は心配ない。3番・オスナと5番・サンタナが好調。2番・西川の出塁能力も高い。1番に抜てきされた岩田も足が速く、外野争いも活性化するはずだ。ただ、七回の村上の走塁はもったいない。サンタナが中前タイムリーを放ったとき、一塁から三塁を狙ってアウト。前の走者2人は十分に生還できるタイミングで、本塁へ返球させないための〝おとり〟になる必要はなかった。次の1点を大事にする姿勢も、忘れてはならない。(サンケイスポーツ専属評論家)

◆サトテルが打ったんだから、喜びたいが、なんとも奇妙な試合だった。青柳がしっかり投げていたら。近本がしっかり捕っていたら。大山がキッチリ九回に決めていたら。でも、まあ、粘って勝ったんだから、素直に喜びますか。死闘決着の8時間ぐらい前。トラ番最年少、入社2年目に突入したばかりの中屋友那が神宮球場に到着すると、初々しいスーツ姿の一団に遭遇した。ちょうどヤクルトの練習時間。阪神が到着する前の三塁側ベンチに座って、楽しそうにグラウンドを眺めていた。「〇〇選手だ!」「□□投手だ!」「つば九郎だ!」至近距離で見るプロ野球界の人や鳥たちに、歓声をあげている。これを見ていた中屋はピーンと来た。「これって、産経新聞グループの新入社員に違いない」と。同時に、1年前の自分を思い出していた。「実は僕も新入社員研修で東京に来ました。その際、研修のない夜に、『神宮球場に野球を見に行かない?』と同期メンバーで盛り上がって。結局、19人中18人が、ヤクルト対DeNA戦をスタンドから観戦しました。その話を知った会社の人事の方が『研修メニューに入れても面白い』と興味を持って下さったという噂を聞いていて。だから、すぐに気付いたんです。あいさつに出向いたら、サンケイスポーツに配属される新入社員もあいさつに来てくれました」〝中屋世代〟が新人研修の内容を変えたということ? 一行は高津監督や主砲・村上の前まで行ってご対面する、スペシャルな時間もあったらしい。

◆延長十回、眠れる虎の大砲、佐藤輝の今季初アーチが猛虎に勝利をもたらしたァ!! よっしゃ、ドジャースの大谷超えや!! いくら何でも持ち上げ過ぎ? アホか!! 大谷は開幕から初ホーマーまで41打席かかったやんか!! 一方、サトテルちゃんは29打席目でのホームランや!! 何も間違ってません!!まだ開幕間もないとはいえ、借金3になるのと借金1は大違いなのでこの一勝は大きい!! だけど、冷静に見たら九回の3四球などヤクルト投手陣の自滅によるラッキーな白星なんだよなあ...。我が阪神だって先発の青柳が6回で6四死球、近本のエラーあり、七回先頭の北村拓を三振に仕留めながら振り逃げを許し、そこから2失点。一歩間違えれば負けていたミスのオンパレードだったのだ。昨年の覇者のおごり? 無意識に守りに入ってる? 日本一に憧れるのはやめましょう!! 挑戦あるのみ!!

DAZN

<セ・リーグ順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差残試合 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(-)
DeNA
520 0.714
(↑0.047)
-
(-)
13623
(+2)
20
(+1)
3
(-)
4
(+1)
0.279
(↓0.006)
2.470
(↑0.25)
2
(-)
広島
330 0.500
(↓0.1)
1.5
(↓1)
13717
(-)
16
(+1)
1
(-)
3
(-)
0.225
(↓0.009)
2.600
(↑0.54)
2
(3↑)
中日
331 0.500
(↑0.1)
1.5
(-)
13617
(+1)
20
(-)
4
(-)
1
(-)
0.228
(↑0.001)
2.590
(↑0.41)
4
(2↑)
阪神
340 0.429
(↑0.096)
2
(-)
13622
(+7)
25
(+6)
7
(+2)
2
(-)
0.225
(↑0.019
2.760
(↓0.34)
4
(1↓)
巨人
340 0.429
(↓0.071)
2
(↓1)
13617
(+1)
16
(+2)
4
(-)
1
(-)
0.246
(↓0.006)
2.290
(↑0.04)
6
(2↓)
ヤクルト
231 0.400
(↓0.1)
2
(↓1)
13723
(+6)
22
(+7)
2
(+1)
5
(+1)
0.266
(↓0.009)
3.210
(↓0.67)