巨人(☆4対0★)阪神 =リーグ戦1回戦(2024.03.29)・東京ドーム=
このエントリーをはてなブックマークに追加

 123456789
阪神
0000000000400
巨人
00003001X41011
勝利投手:戸郷 翔征(1勝0敗0S)
敗戦投手:青柳 晃洋(0勝1敗0S)

本塁打
【巨人】梶谷 隆幸(1号・5回裏2ラン)

  DAZN
チケットぴあ 巨人戦チケット予約 阪神戦チケット予約
◆巨人は5回裏、1死三塁から佐々木の野選出塁の間に先制する。さらに梶谷の2ランで加点すると、8回には丸の適時打でリードを広げた。投げては、先発・戸郷が6回無失点の好投で今季1勝目。敗れた阪神は先発・青柳が試合をつくるも、打線が4安打と沈黙した。

◆まさかのダブルプレーで球場が騒然となった。3回1死一、二塁。阪神は今試合両軍合わせて初めて得点圏に走者を置いた。打者は3番森下翔太外野手(23)。巨人戸郷から右中間への長打コースの飛球を放ったが、右翼梶谷が寸分狂わぬダイビングキャッチを決めて右飛。一塁走者中野は二塁ベースを回っており、慌てて帰塁したが、送球が素早く一塁へ転送されてダブルプレーとなった。抜けていれば確実に1点は入っていた場面。一気に主導権を握るチャンスでもあったが、梶谷のスーパープレーに阻まれた。

◆巨人梶谷隆幸外野手(35)が、スーパープレーで"2点"を防いだ。3回1死一、二塁で、森下の打席。右中間へぐんぐん伸びていく打球に、右翼・梶谷が横っ跳びでジャンピングキャッチした。すぐさま、吉川の中継プレーで帰塁できなかった一走・中野をアウトにし併殺に陥れた。抜けていれば2点を失う場面で、好守を見せたベテランに、ベンチの阿部慎之助監督も帽子を脱いで最敬礼。長嶋茂雄終身名誉監督もスタンドに駆けつけ、緊迫の"伝統の開幕戦"で、いぶし銀に輝いた。

◆阪神の開幕戦で初めて実現した「ドラフト1位クリーンアップ」にファンから感激の声が相次いだ。9人全員が生え抜き日本人の開幕ラインアップも52年ぶり。その中でも、3番は22年ドラフト1位の森下翔太外野手(22)、4番は16年1位の大山悠輔内野手(29)、5番は20年1位の佐藤輝明内野手(24)と最上位指名が並んだ。いずれも大卒で指名を受けた。ドラフト時の監督が違うというのも特徴的だ。ネット上では「夢みたい」「ロマンしかない」「後世に語り継がれるべき」「チーム強化方針がぶれていない」など、絶賛の声が上がった。なお、1番の近本光司外野手(29)も18年のドラフト1位だ。

◆巨人の開幕戦セレモニアルピッチに"ジャイアンツファミリー"が勢ぞろいした。今季から新設したU-15ジュニアユースの関蓮太郎君がマウンドに立ち、捕手には女子野球の金満梨々那、そして打席にはOB会長の中畑清氏が入った。超満員のスタンドに囲まれる中、関君は剛速球を胸元をえぐるインハイに投げ込んだ。のけぞりながらよけた中畑氏は「危なかったよ。でも度胸があるね」と、その将来性に太鼓判。チームにも「阿部采配に期待が膨らむ」とエールを送った。

◆巨人長嶋茂雄終身名誉監督(88)が、東京ドームで行われた開幕戦の観戦に訪れた。昨年11月23日の「ジャイアンツ・ファンフェスタ2023」以来の公の場。1回裏の攻撃前、大型ビジョンに姿が映し出され、笑顔を見せた。球場から歓声が湧きおこった。開幕戦のセレモニーのため訪れた巨人OBの中畑清さんは、握手をしたり記念写真を撮ったりしたことを明らかにした上で「元気な顔を見られた」と話した。

◆阪神青柳晃洋投手(30)がボークでピンチを広げ、そこから先制点を献上した。両軍無得点の5回無死二塁。9番の投手戸郷に初球を投じる前だった。モーションに入ろうと右手を動かしたように見えたが、これをとりやめたことで、ボークをとられたとみられる。青柳は納得のいかない表情で両手を軽く上げた。その後、1死三塁となり、1番佐々木が遊撃へのゴロを放った。前進守備を敷いていた木浪が懸命に本塁へ送球するも間に合わず(記録は野選)。岡田監督は今季初のリクエストを要求したが、判定は覆らなかった。阪神が先制点を献上した。さらに2死二塁から3番梶谷に右翼への2ランを浴びた。打った瞬間にスタンドインと分かる当たりで、青柳は肩を落とした。この回一挙3点を奪われた。

◆/守備にバットに大活躍!\梶谷隆幸が貴重な追加点??起用に応える第1号2ランホームラン???プロ野球(2024/3/29)??巨人×阪神??Live on #DAZN #DAZNプロ野球"野球一本" 新プラン登場「DAZN BASEBALL」 月々2,300円 (年間プラン・月々払い)初月無料!4/17まで pic.twitter.com/VPOMpiHP7z

◆巨人梶谷隆幸外野手(35)が、守っても打ってもいぶし銀に輝いた。1点リードの5回2死二塁。カウント3-2から内に入った142キロ直球を右翼席へ運んだ。3点リードに突き放すチーム1号となる2ラン。ベンチを指さし、ダイヤモンドを1周すると阿部監督とハイタッチを交わし「もう必死です! 必死に食らいついていきましたの一言です」と繰り返した。スーパープレーで"2点"を防ぎ流れを引き寄せた。3回1死一、二塁で森下の打席。右中間へぐんぐん伸びていく打球に、右翼の位置から猛ダッシュして横っ跳びでダイビングキャッチした。すぐさま、吉川の中継プレーで帰塁できなかった一走・中野をアウトにし併殺。抜けていれば2点を失う場面で見せたプレーに、ベンチの阿部監督も帽子を脱いで最敬礼した。スタンドには、長嶋茂雄終身名誉監督が駆けつけた、緊迫の"伝統の開幕戦"だった。キャンプは2軍スタートも3月に1軍合流すると、オープン戦初出場のソフトバンク戦(13日)で右越え本塁打をマーク。「やることをしっかりやるしかない。その中で使いたいと思われるように、1日1日頑張って割り込めるようにするだけです」。オープン戦打率3割5分7厘と好調を維持して勝ち取った開幕スタメンだった。

◆阪神森下翔太外野手(23)が、今季初本塁打へ惜しい"2発"を放った。3点ビハインドの6回1死。戸郷の3球目を捉え、打球は左翼最上段のバルコニー席へ飛び込む特大ファウル。飛距離十分な当たりだっただけに、球場が大きなどよめきに包まれた。7球も捉えたが、左翼ポールわずかに左へのファウル。いずれも本塁打級の当たりだったが、惜しくもファウルゾーンだった。この打席は四球を選んだが、大山悠輔内野手(29)、佐藤輝明内野手(25)が続けなかった。

◆巨人ドラフト1位ルーキー西舘勇陽投手(22=中大)がプロ初登板し、3者凡退に抑えた。3点リードの7回から2番手で出番が巡ってきた。六甲おろしが流れる中、小走りでマウンドに向かった。初球は152キロ直球で阪神前川からファウルを奪った。カウント1-2から122キロカーブで捕邪飛に抑えた。坂本は151キロ直球で空振り三振、木浪は150キロ直球で三ゴロに封じた。テンポよくわずか9球で抑えた。グラブタッチを交わしながら、「7回の男」の仕事を果たし、笑顔でベンチに戻った。

◆2年連続の開幕投手となった阪神青柳晃洋投手(30)は、5回5安打3失点、91球で降板した。「開幕戦の独特な緊張感を感じながら、気持ちとボールもコントロールして投げることはできました。今シーズンのスタートで勝ちにこだわって臨んだ登板だっただけに、先に失点を許してしまった5回の投球が悔しいです」4回まで無失点を続け、5回に巨人打線につかまった。右二塁打で出た先頭の8番吉川をボークで三塁に進めてしまい、1死から遊ゴロ野選の間に先制点を許した。その後は2死二塁で3番梶谷に右翼中段への2ランを浴びた。6回からは2番手で島本が登板した。

◆球団初のセ・リーグ連覇を目指す岡田阪神が、開幕戦を落とした。勝敗の分かれ目は5回だった。要所を締めてきた青柳晃洋投手(30)が無死二塁から、打者戸郷の初球を投げる前に痛恨のボーク。1死後、佐々木の遊ゴロで先制のホームを踏まれ、さらに梶谷に痛恨の先制2ランを浴びた。2年連続の開幕投手に指名された青柳は5回3失点で降板した。打線はもう1歩で巨人戸郷を打ち崩せなかった。初回、2回と1死から安打が出た。3回は1死一、二塁としたが右翼梶谷の大ファインプレーでまさかの併殺。球場のムードも巨人にもっていかれた。新時代、黄金時代を告げるような開幕だった。日本人の生え抜き選手を9人そろえたスタメンは72年以来、52年ぶりだった。クリーンアップの3人はいずれもドラフト1位。球団の編成、チーム力の充実を示すフ船出だった。阪神が巨人との「伝統の一戦」で開幕戦を戦ったのは16度目。過去は7勝7敗1分けと互角だったが、1つ負け越しとなった。

◆巨人阿部慎之助新監督(45)が初白星を挙げた。"伝統の開幕戦"で快勝した。5回に1死三塁から佐々木の遊ゴロの間に先制した。さらに3番梶谷が1号2ランで追加点を挙げた。電撃退団したオドーアが抜けた右翼でスタメンとなったベテラン。キャンプは2軍スタートだった梶谷の起用がピタリはまった。5回に3点を先行し、8回にも1死一、三塁から丸の左前適時打で1点追加し、流れを渡さなかった。投げては初の開幕投手を務めた戸郷が6回4安打無失点。7回はドラフト1位西舘がプロ初登板で3者凡退に抑えた。8回は中川、4点リードの9回は大勢が試合を締めた。長嶋茂雄終身名誉監督が見守る中での一戦であり、阿部監督の初陣を飾った。

◆開幕戦黒星を喫した阪神は、5回に青柳晃洋投手(30)が犯したボークが痛かった。0-0の5回無死二塁。巨人戸郷に初球を投じる前に、球審がボークを宣告。一瞬、投球動作に移るようなモーションをしながら、すぐに止めていた。走者は三塁に進み、1死後、佐々木の遊撃へのゴロで先制点を奪われた。試合後、笠原球審は「(動いたのは)体全体ですね。投球動作の中断という判断です」と説明した。

◆巨人阿部慎之助新監督が白星発進。開幕戦を白星で飾った巨人の新人監督は16年高橋監督以来5人目で、完封勝ちは50年水原監督以来、74年ぶり3人目。これまで開幕戦の相手が阪神だった巨人の新人監督は43年中島、02年原、04年堀内と敗れており、勝ったのは阿部監督が初めて。

◆巨人ドラフト3位ルーキー佐々木俊輔外野手(24=日立製作所)の内野ゴロが決勝点。開幕戦でV打点を記録した新人は22年末包(広島)以来で、巨人では1リーグ時代の38年春の三田以来86年ぶり2人目。三田は先制の押し出し四球がV打点だった。また、巨人は同じ新人の西舘と泉口も出場。開幕戦に巨人の新人が3人出場は38年秋の千葉、川上、吉原以来。▽巨人佐々木(5回1死三塁で遊ゴロの間に三走が生還し先制。プロ初打点)「(吉川)尚輝さんがいい走塁をしてくれて打点につながりました。尚輝さんに感謝です」

◆巨人阿部慎之助新監督(45)が初白星を挙げた。"伝統の開幕戦"で快勝した。【阿部語録】23年10月6日監督交代会見で「本年度アレで盛り上がっています。来年度はアレではなく"アベ"でいきたいと思います」(阪神優勝を意味するアレを強く意識した)同10月26日ドラフト会議で「壇上に上がった時、下からズァーッとくる緊張感がありました」(日本ハム新庄監督と一騎打ちのクジを制して西舘の交渉権を獲得)同10月27日ドラ1西舘の指名あいさつで母校中大を訪れ「先ほど100メートルくらい(キャンパス内を歩いて)一瞬だけ学生時代に戻らさせてもらって、やっぱり僕には似合ってないなと」(中大多摩キャンパスを"凱旋(がいせん)訪問"した)同11月6日阪神の日本一決定に「強かったですね。こちらはチャレンジャー。チャレンジしてトライしていきますよ。日本一のタイガースに」(挑戦者としての立場を明確にした)同11月8日開幕カードが本拠地での阪神戦に決まり「地の利を生かしてと、よく言うけど(スタンドを)黄色じゃなくてオレンジで染めてもらって。事業部の方が頑張ってくれるんじゃないかなと思います」(球団職員を含むチーム一丸を呼びかけた)同11月10日秋季キャンプで投手陣に「困ったらど真ん中投げろと言った。そういう気持ちも大事だよと」(恐れずに度胸を持って投げることの重要性を説いた)同11月23日ファンフェスタでサプライズで登場したミスターに「お忙しい中、長嶋終身名誉監督が来ていただき、あの言葉をいただきたい」("勝つ、勝つ、勝~つ!"をリクエストして盛り上げた)同12月14日日刊スポーツのインタビューで「もう1回、打率3割に挑戦してほしい。十分に狙えると思うし、勇人の打率がチームの成績に直結する」(愛弟子の坂本を思ってのひと言)同12月16日日刊スポーツのインタビューで「長さんは『どうサボるか』という部分は天才だった。それがダメだとは思わない。結果を出せばいい。プロですからね」(愛弟子の長野に「まだまだこれから」のメッセージを添えた)1月16日12球団監督会議で「全力疾走でピッチャー交代の時はマウンド行こうかなと思っています。肉離れしないように走りたいと思います」(試合進行のスピードアップに一役!?)1月19日スタッフ会議で「物々しい雰囲気の中で行われるミーティングですので、みんなカミカミで、僕もかんじゃった。すごく実りのあったミーティングだった」(緊張感が漂う中でチーム方針を再確認した)1月31日宮崎神宮を参拝し「神様にお願いし過ぎると怒っちゃうんで、感謝の念だけは持って無になっていました」(キャンプインを翌日に控えた必勝祈願では感謝することに重きを置いた)2月1日春季キャンプ練習前の円陣で「絶対に優勝できる。周りでつべこべ言うやつを黙らすぞ。やってやろうじゃないか」(気迫の訓示)春季キャンプ初日を終え「大谷くんがね『野球しようぜ』って。そうだよ、やりたいなと思ってますね」(長いオフを経て球春到来を待ちわびた)2月3日節分の豆まきイベントに参加し「それを、言わせたかったんでしょ? 鬼退治からの虎退治だな(笑い)」(阪神を意識したサービスコメント)2月12日2、3軍合同紅白戦で活躍した育成ティマに「ホームラン打ったらと約束してしたので『今日はみそラーメンのグランデを食べてこい』と言ってお小遣いをあげました」("特別監督賞"として3000円をプレゼントした)2月22日阪神とのオープン戦開幕戦を前に「信号無視をしない暴走族をつくっていこうかなと。ブンブンうるさいけど、ちゃんと信号守っている。そういう暴走族をね」(積極的な走塁改革を打ち出した)2月23日阪神とのオープン戦で1安打の秋広に「1本打って満足しちゃったのか。ああいうのは野球知らないんじゃないかと思います」(失点直後の攻撃での打席で初球を簡単に打ち上げたことを叱る)グリフィンが開幕最後の試合で好投し「精神的に楽になる言葉をかけただけなんですけど。打たれちゃえって。それだけです」2月25日ヤクルトとのオープン戦に登板した西舘に「フォークを投げたら地球の裏側の人がびっくりしちゃう。ブラジルの人がびっくりしちゃう感じだけどね(笑い)」(ホームベース手前でワンバウンドした光景に思わず苦笑い)最後の打者として見逃し三振に倒れた秋広に「何か変なお告げがきてたんでしょうね。最後の打者は...。そう思います」(ほぼど真ん中の直球の見逃しを叱る)2月27日日本ハムとのオープン戦で死球を与えた泉と田中千に「(カウント)3-2からデッドボールが2つもあった。レベル低いなと思って。3-2でど真ん中に投げろと言ってるのにデッドボールというね」(2死球を理路整然と説明した)3月10日阪神とのオープン戦でオコエが見せた好守に「あれ、最高でーす! だよね」3月14日ソフトバンクとのオープン戦でここまで打率5分6厘のオドーアに「時差ぼけじゃない!?」(助っ人の状態が上がらず、ぼやくしかなかった)

◆阪神漆原大晟投手(27)が移籍初登板を無失点で飾った。7回に3番手で登板。1死から門脇に中前打を許したが、続く梶谷を三ゴロ併殺に打ち取った。現役ドラフトでオリックスから加入した右腕は「移籍してきて初登板でゼロで抑えられたのはプラス。開幕戦は毎年緊張するもの。まずは先頭をと思っていた。ずっとブルペンで待機するよりは1戦目に投げられて良かったです」とホッとした表情だった。

◆阪神の坂本誠志郎捕手(30)は初の開幕スタメンマスクを終え「始まったなと思いました」とほっとした様子を見せた。青柳が5回にボークも絡んで失点した点には「一連の動きで入らないといけないところだった」と分析。「ボールはよかった。防ぐことができたところもあるので、また明日、あさってと勝てるようにやっていきたい」と切り替えた。

◆阪神中野拓夢内野手が開幕戦で完全復活を印象づけた。2年ぶりの開幕戦安打を含む2安打。オープン戦は34打席連続無安打など苦しむ期間もあったが、ラスト2戦はともにマルチ安打で復調気配を見せていた。昨季の最多安打男がきっちりとオープニングゲームに間に合わせてきた。開幕黒星発進に、選手会長は「結局はチームが勝たないといけない。個人の状態がどうというよりは勝利が一番だと思う。そこを考えながらやりたい」と前を向いた。初回に巨人戸郷から右前打。これが今季のチーム初安打となった。さらに3回1死一塁では三塁側へセーフティーバント。捕手大城が捕球するも一塁へ駆け抜け内野安打とした。ベンチからのサインとは「ちょっと違う形だった」と"アドリブ"を利かせてチャンスを拡大。「うまく決まったので良かったと思います」とうなずいた。

◆阪神の近本光司外野手(29)が2シーズンぶりに開幕戦で安打を放った。3回の第2打席で戸郷から右前打。「今日は開幕戦の緊張もある中で、ヒットどうこうじゃなくて自分がどうしたいかに意識を持っていた。そういう面ではよかったかなと思います」と冷静に振り返った。チームの黒星発進には「1勝しないと楽にならないので」と受け止め、2戦目も快音を響かせてみせる。

◆阪神の開幕戦黒星は22年ヤクルト戦8-10以来。完封負けは吉田義男監督時代の98年横浜戦以来26年ぶり6度目(いずれも2リーグ分立後)。なお阪神が完封負け発進の年は88、96年、98年と3シーズン続けて最下位に終わっている。過去5度の年にリーグ優勝はないが、今季はどうなるか。

◆球団初のセ・リーグ連覇を目指す岡田阪神が、開幕戦を落とした。要所を締めてきた青柳晃洋投手(30)が無死二塁から、打者戸郷の初球を投げる前に痛恨のボーク。1死後、佐々木の遊ゴロで先制のホームを踏まれ、さらに梶谷に痛恨の先制2ランを浴びた。2年連続の開幕投手に指名された青柳は5回3失点で降板した。打線はもう1歩で巨人戸郷を打ち崩せなかった。初回、2回と1死から安打が出た。3回は1死一、二塁としたが右翼梶谷の大ファインプレーでまさかの併殺。球場のムードも巨人にもっていかれた。阪神岡田彰布監督(66)はコンディション不安の中、4番で出場し、ノーヒットだった大山悠輔内野手(29)の状態を心配した。一問一答は以下の通り-紙一重の試合「なあ。流れ変わったな、梶谷のところな」-あれが抜けていたら「そら、大違いやろ」-青柳は球は走っていた「おお、そんな悪なかったと思うけどな。ちょっとボークもなあ。あれなあ。もったいなかったけど」-その後も集中力を切らさず投げた「まあな、結局、梶谷になったからのお。あのホームラン痛かったけどなあ。1点じゃのお、ぜんぜんな、そら分からんかったけどな」-次の1点を防ぐために、木浪のバックホームの判断は「いやいや、そらバックホーム態勢やから。そら当たり前やから」-2点目をとりに巨人が走者を進めてきた「だからそれ言うてるやん、走るメンバーがあるから、やってくるいうのはだいたいのお」-中盤以降、戸郷も立ち直った「全然立ち直ってないやろ、おーん。そんなええことないと思ったけどな。まあでもな、あっこからやったけどな、ホームランが大きかったよな、おーん。まあ100(球)いっとったからな、6回までやな思っとったからな。1点と3点の違いやわな、投げんのも」-西館を含めて巨人の勝ちパターンは手ごわそうか「いや、そらない。まだそんなん、1試合でお前(笑い)」-大山と佐藤輝が打たないと「大山はちょっとなあ。踏ん張れてないなあ」-突貫的に出場した。「どっしり振れてないもんな。ストレートにな」-センターフライもスタンドまで行ってもおかしくなかった「そら万全じゃないなあ。今日のスイングを見とったら、万全じゃないよな。そら、フリーバッティングのボールと違うからのう。まあでも、今日に合わせてたわけやからのう」-前川はいいものを見せてくれた「だってええものっていうか、打つと思っているから右ピッチャーで使うって言うてるんやから。ええもんじゃない。それは。普通。そうやろ?」-大山は使いながら「ちょっと明日の状態見な分からへんなあ。もう最後もちょっとなあ」-そんな悪いか「そらあ試合出てなかったんやから」

◆"ジョージロー"の異名を持つ巨人ドラフト3位ルーキー佐々木俊輔外野手(24=日立製作所)がプロ初安打&初打点をマークした。「1番中堅」で01年阿部監督以来、球団23年ぶりの新人野手として開幕スタメンに名を連ねた。3回2死二塁からバットが折れる投手前への内野安打で出塁。「折れてくれたからヒットになったと思う。バットに感謝したい」と記念の1本を泥くさく出した。5回1死三塁では遊ゴロで先制点をもたらし、打線を勢いづけた。

◆阪神は、巨人との開幕戦は史上16度目で7勝8敗1分けと負けが先行(予定の開幕日の降雨中止を経て巨人のみシーズン初戦となった72年を含む)。なお開幕戦で対戦した両軍の先発メンバーが全員日本人だったのは、1978年(昭53)以来46年ぶりとなった。

◆阪神大山悠輔内野手は本来の打撃が影を潜めた。下半身の不調を訴え、オープン戦最後の4試合を欠場。満を持して開幕戦で復帰したが4打数で3三振。6回に初球を狙った中飛も失速した。試合後は「負けているので、明日しっかり勝てるようにやっていくしかない。反省と準備をしっかりして明日を迎えたい」と言葉に力を込めた。

◆阪神森下翔太外野手(23)の"長打コース"の一撃がもぎ取られた。3回1死一、二塁。戸郷から右中間への安打性の当たりを放ったものの、右翼梶谷がダイビングキャッチし右飛となった。一塁走者中野は二塁ベースを回っており、慌てて帰塁もダブルプレーとなった。「あれは梶谷さんが上手だったと認めるしかない」と脱帽。6回の第3打席では左翼ポール左に本塁打級の特大飛球2本を放ったが、ともにファウル。開幕戦は2年連続で無安打発進となった。

◆阪神前川右京外野手(20)は巧みな流し打ちを決めると、右手をベンチに突き上げた。自身初の開幕スタメン。2回1死で迎えた第1打席、巨人戸郷の5球目だ。カウント2ー2から127キロ外角低めのカーブを泳がされながらもミートし、ライナーで左前に運んだ。「追い込まれて、ちゃんと反対方向に対応できた。結構緊張してたんですけど、その中で少しは結果が出てよかった」。今季初安打。一塁ベースを回ると、頭上で手をたたいた。1番近本から8番木浪まで昨季の日本一メンバーが大半を占める中、唯一スタメンに割って入ったのが前川だ。4回2死走者なしでの第2打席では8球粘り、9球目で四球。「追い込まれて、なんとか食らいつこうという感じで選べたので、内容のある打席だったかなと思います」。今季から本格的に入った左翼の守備では2回、智弁学園(奈良)の先輩、4番岡本の左中間への打球をフェンスにぶつかりながらつかんだ。攻守で存在感を示し、岡田監督のスタメン起用に応えた。春季キャンプでは野手MVPに選ばれ、オープン戦では右投手相手に3割5分9厘と結果を残した。球団の高卒3年目での開幕スタメンは16年の横田慎太郎氏以来8年ぶり。指揮官も「打つと思っているから右ピッチャーで使うって言うてるんやから。ええもんじゃない。それは。普通。そうやろ?」と実力を評価した。自らつかんだチャンスで、昨季4打数2安打と好相性を誇る戸郷を打った。ただ、30日の開幕2戦目は左投手相手で左翼ノイジーの先発が濃厚。激しいレギュラー争いはまだまだ続く。「今日は今日で明日は明日。良かったこと、悪かったこと、ホテルに帰ってちゃんと考え直して、また明日に入りたいと思います」。新猛虎打線の一員として、若武者が力強く24年シーズンを走り出した。【村松万里子】

◆巨人ドラフト1位西舘勇陽投手がプロ初登板で「7回の男」の最高の仕事をした。六甲おろしが流れる中、7回から2番手でマウンドに上がった。テンポよく9球で1奪三振を含む3者凡退。登板後は初アウトと初三振のボールをプレゼントされた。阿部監督と同じ中大出身の右腕は「登板前はすごく緊張したが、マウンドに上がってからはしっかり投げられた。何とか3人で終わらせることができ、自分の仕事を果たせてよかった」とかみしめた。

◆巨人戸郷翔征投手が開幕投手の大役を全うした。6回4安打無失点で1勝目。1回2死一塁、3ボールからは大山を3球直球勝負で空振り三振に切り、グラブをたたいた。「143試合の中の1イニングだが、僕としてはすごく価値のある1イニング目のアウトだった。やっと肩の荷が下りたなという感じがあります」と安堵(あんど)の表情。朝食はタイを食べて、験を担ぎ「めでたい」結果を出した。

◆巨人梶谷隆幸外野手(35)が、守っても打ってもいぶし銀に輝いた。1点リードの5回2死二塁。カウント3-2から内に入った142キロ直球を右翼席へ運んだ。3点差に突き放すチーム1号となる2ラン。ベンチを指さし、ダイヤモンドを1周すると阿部監督とハイタッチを交わし「考えて考えてやった結果が出た。打ってなんぼだと思うので、僕は」と食らい付いた。ビッグプレーで"2点"を防ぎ流れを引き寄せた。3回1死一、二塁で森下の打席、右中間へぐんぐん伸びていく打球に、右翼の位置から猛ダッシュしながら横っ跳び。右斜め後ろへダイビングキャッチでグラブに収めた。すぐさま、吉川の中継プレーで帰塁できなかった一走・中野をアウトにし併殺。抜けていれば2点を失う場面で見せたプレーに、ベンチの阿部監督も帽子を脱いで最敬礼した。夏場になると攻撃の間、グラブは冷蔵庫に入れる。「ぐにゃぐにゃになるのが嫌で。特に屋外球場だと夏は革が柔らかくなっちゃうんですよ」。DeNA時代から取り入れているこだわりだった。元々は遊撃出身の守備の人。12年前の初開幕戦は「1番遊撃」で同じ阪神戦だった。プロ入り1年目のキャンプは打撃投手の球が速すぎて「選手だと思った。これは無理だ」とプロへ足を踏み入れてからプロ18年目。島根で過ごした18年と同じ年数を弱肉強食の世界で過ごしてきた。巨人にきて4年契約最終年。新外国人で開幕3日前に電撃退団したオドーアが入るはずだった右翼で、3年ぶりの開幕スタメンをいわれたのは前日だった。2軍キャンプ中、阿部監督から「どこかではチャンスを与えるから」といわれ臨戦態勢を整えてきた。「やるかやられるかの立場。しびれますね。ダメだったら去らないといけないというのは誰もがあること。なんとか食らい付いていって。自分次第かなと思う」。職人気質の男が渋く、光った。【栗田成芳】

◆春の嵐に"新風"を吹き込んだ。巨人阿部慎之助監督(45)が阪神との開幕戦で監督初勝利を挙げた。3番右翼に抜てきしたベテラン梶谷が攻守で大活躍。3回に右中間の打球をスーパーダイビングキャッチで併殺に仕留めると、5回には1号2ランを放った。先発戸郷は6回無失点の好投。西舘、中川、大勢の新方程式で危なげなく逃げ切った。開幕戦当日の早朝、暴風雨の中、8キロ走を敢行した新指揮官がペナントレースを白星発進した。プレーボールの12時間前の午前6時15分だった。阿部監督が激しい雨風の音で目を覚ました。「6時45分出発でいつもよりは少し遅いかな。雨ニモマケズ、風ニモマケズの精神ですよ」。ランニングウエアに着替えて、自宅を飛び出した。験担ぎでもなんでもない。いつも通りの通常運転で日課は日課。暴風雨の中、8キロを走破した。信念を貫いた大抜てきが監督初勝利をたぐり寄せた。「プロだから結果が大事。でも、プロセスはもっと大事だと思っている。取り組む姿勢をしっかりと見ていきたい」と固く誓う。開幕3日前の26日、新外国人のオドーアが電撃退団。メジャー178発の実績もオープン戦では明らかな調整遅れを露呈した。遅れを取り戻すために早出や居残りで練習する姿は1度もなかった。一方で守備のビッグプレーと1号2ランで開幕戦のヒーローを勝ち取った梶谷は、2月のキャンプは2軍調整も若手とともにやるべきことを地道に続けてきた。3月中旬からのオープン戦で1軍合流させ準備してきたことを結果で示した。挑戦者として昨季王者に立ち向かい、開幕戦を白星で発進した。試合直後にマイクを向けられ「最高ですね。いや、最高ですよ」のフレーズは現役時代から健在だった。自信を持ってスタメンに起用した梶谷には「状態のいい選手を使っていこうと。やっぱり場数が違うなと、さすがだなと思いながら見ていた。素晴らしい」とたたえた。第20代巨人軍監督の肩書と、その重責はとてつもない。大歓声を横目に「今日は今日ですからね。この1試合に勝つためだけにやっていないので。最後、優勝するためにやっている。その通過点かなと思います」と真顔で締めた。雨が降ろうと、風が吹こうと、明日もまた当たり前のように走る。今季はアレじゃなくてアベ。春の嵐に"新風"が吹き込んだ。【為田聡史】

◆阪神青柳晃洋投手(30)がまさかのボークでピンチを広げ、2年連続開幕勝利を逃した。初回から無失点投球を重ねる中、5回に落とし穴が待っていた。先頭8番吉川の二塁打で無死二塁を招いた直後。9番戸郷への初球を投じる直前、球審から投球動作の中断によるボークを宣告された。青柳は納得のいかない表情を浮かべながら両手を上げた。「なぜ取られたか、僕はよく分からないですけど。まあ、あれがボークというならボーク。結局、あそこはバントで送られたのと一緒なので。その後しっかり抑えられなかった、自分の実力不足だと思います」無死三塁とピンチを広げ、1死三塁から遊ゴロ野選の間に先制点を献上。本塁は際どいタイミングのクロスプレーとなり、岡田監督もリクエスト検証を要求したが、判定は覆らなかった。その後は2死二塁から3番梶谷に2ランを被弾。5回5安打3失点で24年初黒星を喫した。4回までは走者を出しながらも無失点投球。相手先発戸郷と投手戦を繰り広げた。昨季に続き、2年連続で任された開幕戦。5三振を奪うなど調子は悪くなかったから余計に、悔しさが残る。「立ち上がりから悪くはなかった。打たれた回も、別に悪いわけではない。任せてもらった開幕戦で先制点を与えてしまったというのが一番の反省。チームがゼロの時は、ゼロで粘らないといけない」岡田監督は「ちょっとボークもなあ。あれなあ。もったいなかったけど」と悔やんだが、「そんな悪なかったと思うけどな」とボール自体は評価した。24年は始まったばかり。反省は次戦の快投につなげる。【波部俊之介】

◆巨人丸佳浩外野手(34)が3安打1打点と固め打った。3回先頭で右前打を放つと、6回2死一塁からも右前打でチャンスを拡大させた。8回1死一、三塁からは左前適時打で追加点をもたらした。開幕戦での猛打賞は17年目で自身初。「1打席目に1本出た流れでいけた。勝ったのでそれがすべて。今日はもう終わった。まずしっかり明日(30日)の試合を取れるように」と気を引き締め直した。

◆あれれっ、自慢のドラ1クリーンアップが...。球団初のセ・リーグ連覇を目指す阪神が29日、巨人戦(東京ドーム)で球団6度目の開幕戦完封負けを喫した。開幕戦では球団史上初めてドラフト1位トリオをクリーンアップに並べたが、この日は3人そろって無安打。岡田彰布監督(66)は下半身に不調を抱える4番大山悠輔内野手(29)の状態を気遣い、次戦以降の起用について「ちょっと明日の状態を見な分からへん」と表現した。昨季全試合に4番先発した不動の主砲だけに、状態が心配される。勝敗のポイントとなったワンプレーを、岡田監督は淡々と振り返った。「なあ。流れ変わったな、梶谷のところな」。3回1死一、二塁、両軍合わせて初めてつくった得点機で打者は3番森下。巨人戸郷の初球を捉えた打球は右中間への長打になるかと思われたが、右翼梶谷にダイビングキャッチされた。一塁走者の中野が戻れず、ダブルプレーでチャンスはついえた。5回にリードを広げる2ランを浴びた打者も巨人3番梶谷だった。「結局、梶谷になったからのお。あっこからやったけどな、ホームランが大きかったよな。1点と3点の違いやわな、投げんのも」。両チームの3番が放った打球の行方が試合の展開を左右した。森下、大山、佐藤輝と並んだクリーンアップ。開幕戦で生え抜きドラフト1位選手が並ぶのは、阪神では史上初の快挙だった。しかし、自慢の主軸がこの日は振るわず。森下は6回にも特大ファウルを放つなど、紙一重の打球もありながら3打数無安打。佐藤輝も2三振を含む4打数無安打。そして、指揮官が頭を悩ませたのが4番大山だった。「大山はちょっとなあ。踏ん張れてないなあ。どっしり振れてないもんな。ストレートにな」。初回2死一塁では戸郷を前に3ボールから直球2球を見逃し、最後は147キロ直球で空振り三振。計3三振を喫し4打数無安打と快音は響かなかった。「今日のスイングを見とったら万全じゃないよな。そら、フリーバッティングのボールと違うからのう。まあでも、今日に合わせてたわけやからのう」。大山は下半身の張りでオープン戦の終盤を欠場しており、本来の調子ではなかった。2戦目以降の起用を問われた指揮官は「ちょっと明日の状態見な分からへんなあ。もう最後もちょっとなあ」と思案した。大山は日本一に輝いた昨季、全試合4番スタメンを達成。次戦は当日の状態を見ての判断となるが、先発を外れる可能性もゼロではなさそうだ。まだ143試合のうちの1試合。球団初のセ・リーグ連覇を目指すシーズンは黒星スタートも、長い戦いはここからだ。ただ、少しばかり不安が募る船出となった。【磯綾乃】

◆チーム宿舎で行った出陣式で、阪神岡田彰布監督は訓示に険しい道に挑む覚悟を込めた。「いよいよ開幕。とにかく長いシーズン、昨年はいい結果だったけど、そんなにうまくいかない。今年は山あり谷あり。みんなの力を信じて俺もやる。選手も、力を信じて戦って欲しい」。オーダー順に名前を読み上げると、1人1人とハイタッチ。昼食会場には毎年恒例となった尾頭付きのタイと赤飯が並び、チーム一丸でシーズンに臨んだ。

◆巨人が新・勝利の方程式で虎に反撃のスキを与えなかった。7回西館勇陽投手、8回中川皓太投手、9回大勢投手が危なげなくリードを守った。3点リードの7回はドラフト1位西舘が9球で3者凡退で締めた。プロ初登板は前川を捕邪飛、坂本を空振り三振、木浪を三ゴロ。プロ初三振に初ホールドがついた。「登板前はすごく緊張したが、マウンドに上がってからはしっかり投げられた。何とか3人で終わらせることができ、自分の仕事を果たせてよかった」とかみしめた。8回は中川が8球で終わらせた。1死から味方の失策で走者を出したものの、後続を断ち、その裏の追加点を呼んだ。0-4とリードを広げて迎えた9回は、オープン戦最終盤で戦列復帰した大勢が悠々と締めた。4番大山、5番佐藤輝を連続三振に斬って圧倒。振り逃げで前川に出塁を許したが、続く坂本を三ゴロに仕留めて反撃を許さなかった。大勢は「セーブシチュエーションではなかったが、そこで行く意味に阿部監督から開幕戦にかける思いが伝わってきた。最高の結果で、ベストを尽くしたいという思いで(マウンドに)上がった」と話した。ガッチガチの救援陣で逃げ切り、阿部監督は「そういうのがあればあるほど強いチームだと思っている」と、満足げ。「しっかり休養を取らせながら。今は全員が調子がいいので、そこに誰を入れるか」と長い戦いを見据えた。【上田悠太】

◆プロ野球は29日にセ・パ両リーグが同時に開幕する。昨季、阪神を38年ぶりに日本一に導いた岡田彰布監督(66)は28日、開幕戦の相手となる巨人・阿部慎之助監督(45)とともに東京ドームで前日会見に出席。気になる相手戦力を問われ、退団が決まった新外国人のルーグネッド・オドーア内野手(30)=前パドレス=にあえて触れるなど、岡田節で〝かまして〟みせた。不安なく踏み出せる余裕がにじみ出て、阿部Gに強烈な先制パンチだ!ピリつく空気を、たった一言でガラリと変えた。日本一監督の余裕と引き出しの多さで、いきなり会見場の空間を支配してみせ、前哨戦に完勝だ。前日会見を終えて部屋を出てくると、岡田監督は「ちょっと一発かましたったわ」とニヤリ。巨人・阿部監督の苦笑いが、先制パンチの〝重み〟を物語っていた。「ほんとは2月のキャンプからね、当然一番、今年はライバルは巨人になると思ってたんですけど。一番注意してたんは、新外国人だったんですけどね。ちょっとなんかね、ちょっとねえ、拍子抜けして」相手チームの気になる戦力を問われた場面で、この返答だ。〝岡田節〟に報道陣からも笑いが起こり、隣に立つ阿部監督にも反撃の余地はなかった。具体名こそ口にしなかったが、〝新外国人〟とは2軍での調整を拒否し、開幕前に退団するオドーア。ナイター練習を終え「一発かましましたね」と報道陣に水を向けられた虎将は、真意を語った。「一番の新戦力は外国人やったんやから。ほんまの話やから別に」メジャー通算178本塁打の新助っ人の分析を進めてきたが、結果的に取り越し苦労に終わった。ただでさえ、昨季の虎は巨人に18勝6敗1分けと大きく勝ち越した。他の巨人の野手陣も、昨季まで在籍していた選手なら傾向と対策に問題はない。「それはある程度、分かっている選手になってくると思うからなあ。それは一番、未知の新戦力が外国人やったわけやからなあ」。阿部巨人の誤算を追い風に変え、スタートダッシュを決める。

◆開幕戦を前に阪神投手陣が粋なサプライズだ。岩崎優投手(32)を先頭に中継ぎ陣が向かったのは昨季まで阪神に所属し、今季から巨人に加入したケラーのもと。岩崎から手渡されたのは日本一に輝いたことを記念して作られた「チャンピオンリング」だった。ケラーは昨季、阪神で27試合に登板し、8ホールドで防御率1・71をマークするも8月に家庭の事情で帰国して、そのまま退団となっていた。かつてのチームメイトからの粋なサプライズに笑顔でリングを受け取ったケラーは各選手とハグ。開幕戦を前に、互いの健闘を誓った。

◆試合前のフリー打撃で阪神の左右の大砲がアーチを量産した。大山悠輔内野手(29)は21スイングで柵越え8本。オープン戦のラスト4試合は下半身の張りで欠場していたが、状態に問題はなさそうだ。開門となった午後4時15分に打撃ケージへと入った佐藤輝明内野手(25)は21スイングで柵越え7本。引っ張ったアーチだけでなく、左翼席へ1本、左中間席へ2本の柵越えを放つなど、逆方向への長打も目立ち、こちらも調子は上々だ。

◆巨人のドラフト3位・佐々木俊輔外野手(24)=日立製作所=が「1番・中堅」でスタメンに名を連ねた。新人の開幕1番は1996年の仁志敏久以来28年ぶりの快挙。また、新人野手の開幕スタメンは阿部監督以来23年ぶりとなった。

◆両軍のスターティングメンバーが発表。阪神打線は1978年以来となる開幕戦の国産打線、また72年以来52年ぶりの生え抜き打線を組んだ。「3番・右翼」は2023年ドラ1位の森下翔太外野手(23)、「4番・一塁」には17年ドラ1位の大山悠輔内野手(29)、そして「5番・三塁」に21年ドラ1の佐藤輝明内野手(25)が入り、球団史上初の開幕戦で生え抜きドラ1クリーンアップを形成。期待の前川右京外野手(20)は「6番・左翼」に入った。先発は2年連続で青柳晃洋投手(30)が開幕投手を務める。昨季8勝6敗と不本意な結果に終わった虎のエースが再起の2024年シーズンへ好スタートを切る。

◆昨季38年ぶりの日本一に輝いた阪神は29日、東京ドームで巨人との開幕戦を迎える。過去、岡田彰布監督(66)が阪神で戦った開幕戦(3勝3敗)を振り返る。★2004年4月2日(対巨人、東京ドーム、○8-3) 新人・鳥谷を「8番・遊撃」で起用。八回に打線が6点を奪い、安藤、ウィリアムスのリレーで逃げ切った。★05年4月1日(対ヤクルト、大阪D、●1-6) 赤星を1番、広島から加わったシーツが3番に座った。四回に金本が同点弾も六回、井川が岩村に勝ち越し打を許した。★06年3月31日(対ヤクルト、神宮、●3-4) 二回に井川がラミレスに先制弾を献上。六回に今岡の2ランなどで追い上げるも届かず。★07年3月30日(対広島、京セラ、●1-4)下柳剛が2リーグ分立後、球団最高齢となる38歳10カ月で開幕投手を務め、6回2失点。打線は黒田を攻略できず。★08年3月28日(対横浜、京セラ、○4-2) オリックスからトレードで獲得した平野が2番、広島からFA加入した新井が3番に入った。自身初の開幕投手を務めた安藤は5回2失点で勝利投手。チームは開幕5連勝、7カード連続勝ち越しと好発進した。★2023年3月31日(対DeNA、京セラ、○6-3) 二回に大山、佐藤輝の連打から3得点し、四回は青柳がスクイズ成功。15年ぶりにタテジマ復帰した指揮官の采配が的中した。

◆阪神・中野拓夢内野手(27)が一回1死、今季のチーム初安打を放った。カウント1-1から戸郷の147キロ直球を強振。詰まりながらも打球は右前で弾んだ。中野はオープン戦で34打席連続無安打を喫するなど一時は絶不調。それでも今季から選手会長に就任した男が開幕戦でしっかりと状態を上げてきた。

◆阪神の開幕投手、青柳晃洋投手(30)が三者凡退で走り出した。先頭のD3位・佐々木(日立製作所)を初球のツーシームで二ゴロに仕留めて最初のアウトを奪うと、続く門脇にはフルカウントから直球で押し込んで左飛。梶谷には外角へズバリと146キロの直球で見逃し三振に斬り、走者を許さない完璧な立ち上がりを見せた。

◆巨人・長嶋茂雄終身名誉監督(88)が開幕戦の観戦に訪れた。一回表の攻撃が終わると、場内アナウンスで紹介され、オーロラビジョンに映し出されると球場から大歓声が沸き起こった。長嶋氏は2022年9月に自宅で転倒した際に後頭部を打ち、脳内に出血があったものの、早期に処置したため重篤な状態ではなかった。1月に行われたスタッフ会議で山口寿一オーナー(67)は「マイナス方向のことは何もない。お元気だということは間違いないです」と話していた。ミスターは昨年11月のファン感謝デー以来に本拠地に足を運んだ。

◆高卒3年目で自身初の開幕スタメンに名を連ねた阪神・前川右京外野手(20)が、第1打席で安打を放った。二回1死で巨人の先発・戸郷と向かい合い、カウント2-2からの緩いカーブにうまく合わせると、打球は三遊間を抜けて左前に弾み、いきなり今季初安打をマークした。1軍では昨年7月29日の広島戦(甲子園)以来となる「H」のランプをともした。

◆巨人・梶谷隆幸外野手(35)が超ファインプレーで球場を沸かせた。0|0の三回1死一、二塁。阪神の3番・森下がとらえた右中間への打球をダイビングキャッチ。捕球後すぐに二塁手の吉川に返球し、飛び出した一塁走者の中野もアウトにした。抜ければ先制点を献上していた先発の戸郷を救うビックプレーだった。これには、阿部監督もベンチで笑みを浮かべて脱帽。「3番・右翼」で先発した35歳のベテランが守備でファンを魅了した。

◆阪神・青柳晃洋投手(30)がピンチを招いたが、三振で切り抜けた。0-0の三回。先頭の丸に右前打を浴び、この日初めて走者を背負う。その後2死二塁からD3位・佐々木(日立製作所)のボテボテの打球が投手への内野安打となり、続く門脇には四球を与えて2死満塁。ここで梶谷を迎えたが、簡単に追い込むと、最後は外角へのスライダーで空振り三振を奪い、ピンチを脱した。受ける坂本も大きくガッツポーズ。先制点をめぐる激しい攻防が続く。

◆自身初の開幕投手を務めた巨人・戸郷翔征投手(23)は、開幕2日前の27日に親子丼を食した。26日の激励会では壇上で「カツ丼とかを食べたい」と話していたが、菅野から「カツはちょっと重いからやめておいた方がいい」とツッコミを受けたこともあり変更。「なんで親子丼にしたかは分からないけど、栄養が欲しかったので」と大役に向けてエネルギーをチャージした。

◆「1番・中堅」で先発した巨人・佐々木俊輔外野手(24)=日立製作所=が先制点をたたきだした。0―0の五回1死三塁、カウント1-2から低めのシンカーを打つと、遊撃の阪神・木浪が捕球して本塁へ送球したが間に合わずセーフ。これがこの試合の先制点となり、今季から指揮を執る阿部慎之助監督(45)の初得点を生み出した。佐々木は三回の第2打席にピッチャーへの内野安打を放ち、プロ初安打を記録していた。

◆阪神の先発・青柳晃洋投手(30)が先制点を献上した。0-0の五回先頭で吉川に右翼フェンス直撃の二塁打を浴び、無死二塁のピンチを背負う。そして続く戸郷への初球を投げる前に、サイン交換をしてセットポジションに入りかけたところでボークを宣告されて走者が三進。マウンドで青柳はあ然の表情を浮かべた。この後1死三塁となってD3位・佐々木(日立製作所)の遊ゴロを木浪が本塁送球するもセーフとなり、野選で先制の1点を失う。さらに2死二塁となって、この日2三振だった梶谷にフルカウントから右翼への2点本塁打を浴び、この回一挙3点を失った。

◆巨人・梶谷隆幸外野手(35)が今季チーム1号となる2ランを放った。1|0と先制した五回2死二塁。フルカウントから阪神先発・青柳が投じた142キロの直球を一閃。高々と舞い上がり、大きな放物線を描いた打球は右翼席へと着弾した。先発の戸郷に貴重な援護点をプレゼントする値千金の一発。三回1死一、二塁では、右翼の守備でチームを救う超ファインプレーを見せたベテランが、今度はバットで結果を示した。

◆巨人のドラフト1位・西舘勇陽投手(21)=中大=が七回にプロ初登板し、三者凡退で無失点に抑えた。3ー0とリードし、勝ちパターン一角としてプロ初のマウンドへ。先頭の6番・前川に対し、初球はこの日最速となった152キロの直球でファウル。変化球で捕邪飛に打ち取った。続く坂本をカウント1-2から151キロの直球で空振り三振。木浪を三ゴロに打ち取って三者凡退に抑えた。

◆2度目の開幕投手を務めた阪神・青柳晃洋投手(30)は5回91球3失点でマウンドを降りた。二回までパーフェクトに抑え、三回の2死満塁のピンチも空振り三振で切り抜けるなど、序盤は堂々の投球を見せた。しかし五回、先頭の吉川に二塁打を浴び自身のボークで三塁に走者を置くと、佐々木の遊ゴロ野戦で先制点を献上する。なおも2死二塁から梶谷に2点本塁打を浴び、被安打5、3失点でマウンドを降りた。登板後、「開幕戦の独特な緊張感を感じながら、気持ちとボールもコントロールして投げることはできました。今シーズンのスタートで勝ちにこだわって臨んだ登板だっただけに、「先に失点を許してしまった五回の投球が悔しいです。」とコメントした。

◆阪神は巨人に敗れ開幕戦を落とした。先発は2年連続の開幕投手となった青柳晃洋投手(30)。一回、二回は完璧に抑えた右腕だったが、三回に2死満塁のピンチを背負う。ここは梶谷を三振で無失点。しかし、五回だった。先頭の吉川に二塁打を浴びると、続く戸郷の打席でまさかのボーク。戸郷は投ゴロで1死三塁としたが、佐々木の遊ゴロで先制点を許した(記録は遊ゴロ野選)。さらに2死二塁から梶谷に2ランを浴びて3失点で降板した。打線は戸郷から安打を放ちながらも、続かない。三回は近本、中野の連打で1死一、二塁の好機を作り、森下の打球は右中間へ。しかし、梶谷のスーパーキャッチに阻まれて、一走・中野も塁に戻れずダブルプレー。四回以降は安打を放てず、4安打でゼロ封負け。連覇を目指すチームの中で、課題の残る幕開けとなった。

◆昨季38年ぶりの日本一に輝いた阪神は、巨人との開幕戦に0-4で敗れ、黒星発進となった。2年連続の開幕投手を託された青柳晃洋投手(30)は五回に自身のボークが響き先制点を献上すると、梶谷隆幸にも2ランを浴び3失点。5回3失点での降板となった。八回には4番手で登板した加治屋蓮投手(32)が巨人・丸佳浩外野手(34)にこの日3安打目となる左前適時打を浴び、0-4と突き放された。開幕戦では球団52年ぶりとなる生え抜きオーダーで臨んだが、打線は四回以降無安打と沈黙。一方で投手陣は巨人打線に2桁安打を許し、阿部慎之助監督(45)に初白星を献上してしまった。試合前の円陣で声出し役を務めた阪神・原口 「待ちに待った開幕です。ファンの人たちはもっと、待ちに待っていたと思います。タイガースの球団史に、ここにいる全員で名を刻むためにやるべきこと。それは〝普通の積み重ね〟。去年もそうでしたけど、自分たちのできること、自分の仕事に徹すること。その積み重ねが、連覇に、目標にたどり着くと思います。まずきょう一つ、全員で、つないでつないで、チームを盛り上げて、まず一つ全員で勝ち取りましょう。今年も全員で、あれよろしくお願いします。今日は絶対勝つぞ、さあ行こう!バモス!!」一回表 阪神の先頭、近本は7球目を打って遊飛に倒れる。1死から中野がチームの今季初安打となる右前打を放つも、3番の森下は見逃し三振、4番の大山も空振り三振に倒れ攻撃終了。一回裏 2年連続で開幕戦のマウンドに上がった青柳は、1番のD3位・佐々木(日立製作所)を二ゴロに打ち取る。続く門脇も左飛。3番・梶谷は見逃し三振に斬り、抜群の立ち上がりを見せる。二回表 先頭の佐藤輝の今季初打席は二ゴロ。1死から、初の開幕スタメンとなった20歳の前川が左前打を放つ。1死一塁から坂本、木浪が続けて右飛に倒れ無得点に終わる。二回裏 先頭の岡本和が放った左中間フェンス際への大きな当たりを、左翼・前川がフェンスを恐れずキャッチ。1死とする。続く坂本は空振り三振。大城卓は一飛に打ち取り、青柳は順調な投球を続ける。三回表 先頭の青柳は左飛。1死から近本は右前打を放つ。中野の捕前バント内野安打で一、二塁としたが、続く森下が放った右中間への飛球を、右翼・梶谷がダイビングキャッチ。大きく飛び出していた一走の中野が戻れず、ダブルプレーで攻撃終了。三回裏 先頭の丸が巨人の今季チーム初安打となる右前打。吉川の二ゴロで1死二塁となり、青柳はこの試合初めて得点圏に走者を背負う。戸郷からは空振り三振を奪ったが、続くD3位・佐々木(日立製作所)に投手への内野安打を許し2死一、三塁とされる。門脇にも四球を与えて2死満塁。ここで安藤投手コーチがマウンドへ向かい、間合いを取る。梶谷と向かい合った青柳は、カウント1-2から空振り三振に斬ってピンチを脱した。四回表 大山は見逃し三振、佐藤輝は空振り三振で2死となる。続く前川が四球を選ぶが、坂本が中飛に倒れる。四回裏 先頭の岡本和を右飛に打ち取り、続く坂本も空振り三振。2死から大城卓に左前打を許すが、続く丸を一ゴロに打ち取る。五回表 先頭の木浪は右飛、青柳も空振り三振に倒れる。続く近本はカウント2-0から7球連続ファウルで粘るも、10球目を打って右飛に終わる。阪神は五回まで4安打を放つも無得点。五回裏 先頭の吉川に右翼フェンス直撃の二塁打を許す。続く戸郷への初球を投じる前に、青柳がボークを宣告され無死三塁となる。戸郷は投ゴロで1死三塁となるが、続くD3位・佐々木(日立製作所)の遊ゴロ間に三走・吉川が本塁へ突入。セーフと判定され、岡田監督はリクエストを行う。だが、判定は変わらず、巨人が1点を先制する(記録は遊ゴロ野選)。なおも1死一塁で門脇は投ゴロ。2死二塁となるが、ここで青柳は梶谷に右越え2ランを浴びる。0-3と点差を広げられ、2死走者なしで岡本和は左飛に打ち取る。六回表 ここまで2安打を放っている中野だったが、先頭で左飛に倒れる。続く森下は左翼ポール際への大きなファウルを2度放つと、9球目を選んで四球をもぎ取る。1死一塁とするが、続く大山は中飛、佐藤輝は三邪飛に倒れ反撃ならず。先発し5回5安打3失点だった阪神・青柳 「開幕戦の独特な緊張感を感じながら気持ちとボールもコントロールして投げることはできました。今シーズンのスタートで勝ちにこだわって臨んだ登板だっただけに、先に失点を許してしまった五回の投球が悔しいです」六回裏 阪神は2番手の島本がマウンドへ。坂本は中飛、大城卓は左飛に打ち取る。2死から丸に右前打を許すと、さらに吉川も右前打で続いて一、三塁とされるが、続く代打・長野を遊ゴロに打ち取りピンチを脱する。六回を終え0-3。七回表 巨人は2番手でD1位・西舘(中大)が登板。阪神は先頭の前川が捕邪飛、続く坂本も空振り三振に倒れる。木浪も三ゴロに終わり三者凡退で攻撃終了。阪神打線は四回以降無安打。七回裏 阪神は3番手で、現役ドラフトでオリックスから加入した漆原がマウンドに上がる。先頭のD3位・佐々木(日立製作所)は二ゴロに打ち取る。門脇に中前打を許すが、続く梶谷を三ゴロ併殺に打ち取る。八回表 巨人は3番手で中川がマウンドに上がる。阪神は先頭で代打・ノイジーが二ゴロに倒れる。近本が遊ゴロ失策で出塁するが、続く中野は中飛、森下は二飛に倒れ反撃ならず。八回裏 阪神は4番手で加治屋が登板。先頭の岡本和に死球を与えると、坂本にも右前打を許し無死一、三塁とされる。大城卓は遊飛に打ち取るが、続く丸にこの日3安打目となる左前適時打を許し、0-4とされる。巨人はこの安打で2桁安打。なおも1死一、二塁で吉川は左飛に打ち取り、代打のD4位・泉口(NTT西日本)は空振り三振に斬る。九回表 巨人は4番手で大勢がマウンドへ。阪神は先頭の大山、続く佐藤輝が連続三振。続く前川は振り逃げで一塁に生きたが、続く坂本が三ゴロに倒れゲームセット。?...阪神が助っ人選手なしのオーダーで開幕戦に臨むのは、1978年4月1日の巨人戦(●6ー7、後楽園)以来。生え抜き選手のみの開幕オーダーは72年4月9日の中日戦(●3ー6、中日)以来で52年ぶり?...阪神が開幕戦で生え抜きのドラフト1位入団選手(森下、大山、佐藤輝)でクリーンアップを組むのは球団史上初

◆超満員に膨れ上がったスタンドからの大歓声を浴びながら、2024年シーズンの第1球に力を込めて投じた。巨人・戸郷翔征投手(23)がプロ6年目で自身初の開幕投手として、阪神戦(東京ドーム)の先発マウンドに上がった。一回、阪神の1番・近本に対する1球目は、外角低めへ147キロの直球を投げ込んで見逃しのストライク。球界屈指のリードオフマンはあるテレビ番組に出演した際に1打席目での初球攻撃を宣言していたが、バットは動かなかった。開幕1週間前から初球の球種を決めていたという戸郷。28日の全体練習の際には「独特な雰囲気の中での初球なので、いろいろ考えましたけど気持ちを出して投げます。この1年のジャイアンツの成績を占うファーストゲームだと思うので、それにふさわしい投球ができれば」と語っており、力強い直球で幸先よくストライクを奪った。昨年11月に阿部慎之助監督(45)から開幕投手に指名された。オープン戦では4試合に登板して1勝3敗、防御率5・68と振るわず、「短いようで長かったですし、いろんな苦労もありました」と話していた。三回1死一、二塁では右翼手・梶谷の好捕が飛び出し、併殺に。戸郷も手をたたいて喜んだ。6回をジャスト100球で4安打無失点の好投。開幕戦で今季1勝目をマークした。

◆八回、二飛に倒れた阪神・森下翔太=東京ドーム(撮影・松永渉平)

◆阪神が開幕戦で4安打零敗。1972年以来の生え抜きオーダーを組んだ打線が沈黙した。2023年・森下翔太外野手(23)、17年・大山悠輔内野手(29)、21年・佐藤輝明内野手(25)による球団初の開幕戦での生え抜きドラフト1位クリーンアップが無安打6三振に終わるなど、チームは四回以降無安打だった。青柳晃洋投手(30)は五回無死二塁でボークを取られ、次打者の遊ゴロ野選で先制点を献上。さらに2死二塁から梶谷隆幸外野手(35)に2ランを浴びた。八回に登板した4番手の加治屋蓮投手(32)が与えた4点目がダメ押しとなった。主な選手のコメントは以下の通り。2打席目に右前打を放つなど、4打数1安打だった阪神・近本 「きょうは開幕戦の緊張もある中で、ヒットどうこうじゃなくて自分がどうしたいかに意識を持っていたから、そういう面ではよかったかなと思います」バント内野安打など2安打発進となった阪神・中野 「結局はチームが勝たなきゃ、個人が打ってもというところはあるので。しっかりと、個人の状態がどうというよりはチームの勝利が一番だと思うのでそこを考えながらやりたいなと思います」0-0の三回1死一、二塁で放った右中間への当たりを梶谷の好捕に阻まれた阪神・森下 「あれは梶谷さんが上手(うわて)だったという感じで、認めるしかないですね。長いシーズンの最初が始まっただけなんで、切り替えて明日頑張って勝てればいいかなと思います」「4番・一塁」で3三振に終わった阪神・大山  「負けているので、あしたしっかり勝てるようにやっていくしかないと思うので、あしたに向けて反省と準備をしっかりしてあしたを迎えたいと思います」4打数無安打2三振に終わった阪神・佐藤輝 「負けてしまったので切り替えてまたあしたからやっていきたいと思います」自身初の開幕スタメンで、第1打席に左前打を放った阪神・前川 「「追い込まれて、ちゃんと反対方向に対応できたのでよかったかなと思います。結構緊張していたんですけど、その中で少しは結果が出てよかった」五回に青柳がボークを宣告された場面について阪神・坂本 「サイン交換して、ヤギ(青柳)がちょっと動いちゃって、一連の動きで入らないといけないとこを、ちょっと動いちゃったのが、一連じゃないっていうふうに取られて、ボークになったんで。そこはちゃんと確認してやらないといけないなと思います」ボークと宣告を受けた場面について阪神・青柳 「「そこは関係ないんじゃないですかね。 僕は何で取られたかよくわかんないですけど。まあ、あれがボークっていうならボークだと思いますし。結局あそこは(無死二塁から無死三塁となったが、その後1死を奪って)バントで送られたのと一緒なんで。その後しっかり抑えれなかった自分の実力不足かなと思います」」

◆阪神が開幕戦で4安打零敗。1972年以来の生え抜きオーダーを組んだ打線が沈黙した。2023年・森下翔太外野手(23)、17年・大山悠輔内野手(29)、21年・佐藤輝明内野手(25)による球団初の開幕戦での生え抜きドラフト1位クリーンアップが無安打6三振に終わるなど、チームは四回以降ノーヒットだった。「6番・左翼」の前川右京外野手(20)は1安打だった。青柳晃洋投手(30)は五回無死二塁でボークを取られ、次打者の遊ゴロ野選で先制点を献上。さらに2死二塁から梶谷隆幸外野手(35)に2ランを浴びた。八回に登板した4番手の加治屋蓮投手(32)が与えた4点目がダメ押しとなった。岡田彰布監督(66)の主な一問一答は以下の通り。(観衆=4万2071人)ーー紙一重の試合「なあ。流れ変わったな、梶谷のところな」(三回1死一、二塁で森下の右中間への飛球を右翼・梶谷が好捕。一走・中野が帰塁出来ずに併殺)ーーあれが抜けていたら大違い「そら、大違いやろ」ーー青柳は球は走っていた「おお、そんな悪なかったと思うけどな。自分でボークもなあ。もったいなかったけど」ーーその後も集中力を切らさず投げた「結局、梶谷になったからのお。あのホームラン痛かったけどなあ。1点じゃのお、全然な、そらわからんかったけどな」ーー木浪のバックホームの判断は(五回1死三塁で遊ゴロ処理後の本塁送球が野選)「そらバックホーム態勢やから、そら当たり前やから」ーー2点目を取りに巨人が走者を進めて来たが「ああ、だからそれ言うてるやん。走るメンバーがあるからやって来るいうのはだいたいのお」ーー中盤以降、戸郷も立ち直った「全然立ち直ってないやろ、おーん。そんなええことないと思ったけどな、おーん。まあでもな、あっこからやったけどな、ホームランが大きかったよな、おーん。(球数は)100行っとったからな、六回までやな思っとったからな。1点と3点の違いやわな、投げんのも」ーー西舘を含めて、巨人の勝ちパターンは手ごわそうか「いや、そらない。まだそんなん1試合で、お前」ーー大山と佐藤輝が打たないと「大山(3三振)はちょっとなあ。踏ん張れてないなあ」ーー突貫出場「どっしり振れてないもんな。ストレートにな」ーー六回の中飛もスタンドまで行っても、おかしくなかった「そら万全じゃないなあ。今日のスイングを見とったら、万全じゃないよな。フリーバッティングのボールと違うからのう。まあでも、今日に合わせてたわけやからのう」ーー前川はいいモノを見せてくれた「だってええモノっていうか、打つと思っているから右ピッチャーで使うって言うてるんやから。ええもんじゃない。それは。普通。そうやろ?」ーー大山は使いながら「ちょっと明日の状態見な分からへんなあ。もう最後もちょっとなあ」ーーそんなに悪いか「そらあ、試合出てなかったんやから」

◆「5番・三塁」で4年連続の開幕スタメンとなった阪神・佐藤輝明内野手(25)だが、九回は大勢の157キロに空振り三振に倒れるなど4打数無安打。「開幕戦なので選手もファンもより熱かったと思う。負けてしまったので、切り替えてまた明日からやっていきたい」。2024年シーズンの幕開けは悔しい結果も「いつも通りを意識してやりたい」と、冷静に次戦を見据えた。

◆現役時代は南海、西武に所属し、引退後は西武、ダイエー、阪神の3球団でヘッドコーチを務めたサンケイスポーツ専属評論家・黒田正宏氏(76)が五回に巨人・梶谷隆幸外野手(35)に2ランを浴びた場面での阪神の青柳晃洋投手(30)ー坂本誠志郎捕手(30)のバッテリーの配球に言及した。四回まで好投していた青柳が五回に先制され、特に2死二塁からの梶谷の2ランは重くのしかかった。三回の守備でダイビングキャッチを見せ、勢いに乗っていた存在であるだけに、より慎重にならなければならない勝負だった。バッテリーは梶谷に対し、1、2打席目で外角攻めを徹底し、ともに三振を奪っていた。その結果があるから、「第3打席は外角を狙ってくる」と読み、裏をかいて内角を突いたのだろうか。梶谷という打者はDeNA時代から内角を長打にすることができる打者だ。狭い東京ドームという球場の特性を考えても、長打を警戒する中では、それまでと同じように外角で勝負しても良かったのではないか、と思う。次に控えているのが岡本和という場面で判断は難しいが、フルカウントだったことを考えれば、ボールゾーンで勝負するという選択もあった。梶谷に打たれたとしてもゴロヒットでいい、と割り切っていかないといけない場面。1点で防ぐところでの3点は痛かった。打線では大山と佐藤輝が打てなかった。大山は昨年、見極めることができていたボールに手を出していたし、下半身が踏ん張れていない。張りがあったことや、オープン戦のラスト4試合に出られず打席数が足りていないことも影響しているだろう。佐藤輝は九回に三球三振をしたが、4点差を追いかける展開で簡単にボール球を振るのは主力らしくない。自分の打てる球を待つしかないが、オープン戦で調子を上げることができたときのように、我慢が必要だ。

◆巨人・大勢投手(24)が4-0の九回に登板し、無失点に抑えた。先頭から2者連続三振を奪い、2死から前川を振り逃げで塁に置いたが、最後は坂本を三ゴロに打ち取った。最速は158キロを記録し、「4点差でセーブシチュエーションではなかったんですけど、そこで行く意味というか。開幕戦でしたし、阿部さんから開幕戦への伝わってくる思いがあったので、最高の結果でしっかり自分のベストを尽くしたいなという思いで(マウンド)に上がりました」と語った。

◆巨人・阿部慎之助監督(45)が初陣で初勝利を挙げた。先発した戸郷が6回無失点と試合をつくり、「3番・右翼」に抜擢したプロ18年目の梶谷がファインプレーと値千金の1号2ランなどと攻守がかみ合った。昨季のリーグ覇者・阪神に快勝。指揮官は「今日は今日。この1試合に勝つためだけにやっていないので。最後、優勝するためにやっている。その通過点と思います」と勝利の余韻をかみしめつつ長いシーズンを見つめた。この日は、長嶋茂雄終身名誉監督(88)が本拠地に足を運び生観戦。ミスターの見守る前で最高の滑りだしを切った新監督は「この勝ちがミスターの元気につながればいい」と話した。

◆阪神・近本光司外野手(29)は、三回1死の第2打席で戸郷の144キロ直球を捉えて右前打。4打席全てで3球以内にスイングをかけ「開幕戦の緊張もある中で、ヒットどうこうじゃなくて自分がどうしたいかに意識を持っていた。そういう面ではよかった」とうなずいた。得点には結びつかず「1勝しないと楽にはならないので」とチームの勝敗に目を向けた。

◆阪神・森下翔太外野手(23)は、抜ければ先制という一打を好守に阻まれた。三回1死一、二塁で戸郷の初球を捉え、打球は右翼へ。これを梶谷にダイビングキャッチされ、一塁を飛び出した中野も戻れずチャンスがついえた。「あれは梶谷さんが上手(うわて)だったという感じで、認めるしかない」。次の打席では左翼に大飛球のファウルを2度飛ばすなど状態の良さを示し「長いシーズンの最初が始まっただけ。切り替えて明日頑張って勝てれば」と前を向いた。

◆阪神・中野拓夢内野手(27)は、一回1死でチーム初安打となる右前打を放つと、三回1死一塁では三塁線にセーフティーバント。内野安打とし、ただ一人のマルチ安打だった。「結局はチームが勝たなきゃ、個人が打ってもというところはある」。オープン戦終盤で34打席連続無安打を味わった選手会長は「次々、試合はくる。きょうの負けを引きずらないように明日勝つことを考えながらやっていきたい」と前を向いた。

◆?就任1年目の巨人・阿部監督が初陣を白星で飾った。巨人の新人監督が開幕戦で勝利したのは、2016年の高橋由伸以来8年ぶり5人目。無失点勝利だったのは1944年の藤本英雄(○2-0産業)、50年の水原茂(○4-0松竹)に次いで74年ぶり3人目。?巨人が開幕戦に勝利したのは22年(○4-2中日)以来2年ぶり。36年秋(○4-0金鯱)に初めて開幕戦に勝利してから通算50勝目(38敗3分け)となった。無失点勝利したのは96年(○9-0阪神、東京ドーム)以来28年ぶり14度目。?戸郷が開幕戦勝利投手(6回無失点)。2リーグ制(50年)以降、巨人の投手が23歳11カ月以下で開幕戦先発勝利を挙げたのは、64年の高橋明(完投、21歳9カ月)、89年の桑田真澄(完投、21歳0カ月)に次いで35年ぶり3人目。

◆阪神・前川右京外野手(20)の父、栄二さん(51)は三重・津市内の自宅でテレビ観戦。サンケイスポーツを通じ、頼もしくなった愛息にメッセージを送った。右京、開幕スタメンお疲れさま! 実はスタメン発表がされるまで全然実感がなくて。28日、1軍登録選手の発表があったときはひとまずホッとしたけど、けがに泣かされてきたこれまでのプロ野球人生。最後までどんなアクシデントがあるか分からないと、ドキドキしながら、この日を迎えました。プロ3年目。去年、実家から自主トレに向かう右京の姿を見て、今年にかける思いというのは伝わってきました。自分でやらなくてはいけないことを考えて行動する。プロ野球選手になったんだなと実感したのを思い出します。そんなプロ野球選手になった右京が一番成長したなと思うところは人への気配りです。今まで以上に優しさにあふれ、愛情を感じるようになった。ちょっとしたことですが、家族や友達、そしてお世話になった人たちに、感謝の言葉と、ちょっとした気持ち。それを形にしてお渡しする。気遣いができる素晴らしい大人になったな、20歳を迎えて、社会人として成長したなとうれしく思います。久々に前川家全員が集合した今年のお正月。「買い物いこうや!」と誘ってくれて、右京に靴を買ってもらいました。本当にうれしかった。ありがとう。まずはスタートラインの開幕1軍、そしてスタメンにもなってくれました。開幕戦の結果は残念だったけど、とにかくチームの勝利に貢献することが第一。開幕前日も伝えたけど、一年間戦う体力をつけて、ぼちぼち頑張ってくれたらそれで十分です。結果は後からついてくるもんやから。私も右京に買ってもらった靴を履いて何度も球場に応援に行こうと思います。(談)

◆最高の初陣だ!! 巨人は阪神1回戦(東京ドーム)に4―0で快勝し、就任1年目の阿部慎之助監督(45)が2016年の高橋由伸以来球団5人目となる新人監督の開幕戦勝利を飾った。口を真一文字に結んだ固い表情は、勝利後のインタビューでようやく緩んだ。「最高ですね。すごくいい緊張感でやらせていただいた。選手には、『僕が勝つために考えるから、選手は思う存分、グラウンドでプレーしてください』と言ったから。うまくハマってできたかな」球団初の捕手出身監督は、時にベンチから大城卓にサインを送り、試合を操った。26日に電撃退団したオドーアに代えて「3番・右翼」で起用した梶谷が2ラン。0-0の1死三塁のD3位・佐々木の打席では、遊ゴロの間に三走・吉川が〝ギャンブルスタート〟で生還。昨秋から浸透させてきた足を絡めた攻撃で、初得点を刻んだ。約束事を決めて、周囲に示す。指揮官の生き方はチーム作りにも表れた。就任後すぐに取り掛かったのが、チーム全員に配布したクレドカードの作成。全国にゴルフ場を展開する「太平洋クラブ」の経営者をまねて、9カ条のルールや「自己犠牲のできる選手を起用する」など方針を記した。組織全体の意思統一が、常勝軍団再建の手始めだった。昔から、決めごとを大事にした。小学生時代のティー打撃も自分で決めた習慣だ。安田学園高時代は、他の部員が乗る午後8時出発の送迎バスには乗らず、11時台の終電までグラウンドで自主練習し、浦安市の自宅に帰るというマイ・ルールがあった。

◆虎の未来を背負う20歳が、歴史に残る一打を刻んだ。覚悟を乗せた打球が左前に弾む。初戦を落とした中でも、初めての開幕スタメンに名を連ねた阪神・前川右京外野手が気を吐いた。「追い込まれて、ちゃんと反対方向に対応できたのでよかった。緊張していたんですけど、その中で少しは結果が出てよかったです」二回1死、追い込まれてから戸郷のカーブにうまく合わせて技ありの左前打。阪神の高卒3年目以内の野手が開幕スタメンで安打を放ったのは1968年の藤田平以来56年ぶりで、偉大なレジェンドに肩を並べた。その裏の左翼守備では智弁学園高の先輩・岡本和の大飛球をフェンスに体をぶつけながらキャッチ。第2打席では9球粘って四球を選び「内容のある打席だった」と攻守に際立つ、納得の開幕戦デビューを果たした。2年目の昨季は1軍初出場、初安打を記録して打率・255(94打数24安打)を残したが、夏場に体調不良で1軍を離脱。歓喜の輪に加わることはできなかった。

◆春爛漫どころか...。プロ野球は29日、セ、パ両リーグの公式戦が開幕した。球団初のセ・リーグ連覇を狙う阪神は巨人に0-4で敗れ、1998年以来となる零敗発進となった。岡田彰布監督(66)は3三振を喫した4番・大山悠輔内野手(29)の体の状態について「万全じゃない」と心配顔。昨季の不動の4番が、いきなり欠場危機に見舞われた。東京ドームのスコアボードにむなしく「0」が並ぶ。四回以降、無安打で阿部巨人の前に敗れ去った。球団初のセ・リーグ連覇を目指す戦いは屈辱からスタート。1998年以来26年ぶりの零封負け発進以上の緊急事態に見舞われた。「(大山は)万全じゃない」。岡田監督が眉根を寄せた。「大山はちょっとなあ。踏ん張れてないなあ。ちょっと明日の状態見な分からへんなあ。もう最後もちょっとなあ」4打席で3三振。打席で踏ん張れず、バットが止まらない。一回は戸郷の外角直球に空を切り、勢いに乗せてしまう。九回は大勢の速球に押されっぱなし。昨季、球団では2009年の金本知憲以来となる4番全試合出場を果たし、22年9月6日のヤクルト戦から160試合連続で主砲の座を任されている背番号3に迫力がない。指揮官は「どっしり振れてないもんな。ストレートにな」と首をひねってばかり。開幕2戦目で早くも欠場危機だ。やはり、下半身の状態が悪いのか。開幕を迎えるにあたり、暗雲が垂れ込めていた。オープン戦を4試合連続欠場でフィニッシュ。ウオーミングアップから別メニューのときも多かった。昨季は打率・288、19本塁打、78打点。グラウンドに出ている以上は痛いかゆいは言っていられないというプロ根性の持ち主だが、左膝に古傷を抱えているのも事実。開幕戦に向けて急ピッチで調整させたが...。山下1軍チーフトレーナーは「試合に出ているからね。また(宿舎に)帰ってチェックします」と話すにとどめたが、深刻なのか-。

◆球審のボークの宣告に、阪神・青柳晃洋投手(30)はマウンド上で両手を広げて〝抗議〟した。2年連続開幕勝利を狙ったが、一気に3失点。痛恨のジャッジとなった。「僕は何で取られたかよくわかんないですけど。まあ、あれがボークっていうならボークだと思いますし」0-0で迎えた五回。先頭の吉川に右越えの二塁打を浴び、戸郷に初球を投げる直前。セットポジションに入ろうとしたところで一度止まったとみられたのか、ボークとされ、無死三塁に。安藤投手コーチがあわててマウンドに駆け寄った。続く戸郷は投ゴロに抑えたが、D3位・佐々木(日立製作所)の遊ゴロが野選となり、三走が生還。岡田監督のリクエストも実らず2死二塁から梶谷に勝負を決定づけられる2ランを献上した。「結局、あそこはバントで送られたのと一緒。その後、しっかり抑えれなかった自分の実力不足」と青柳は猛省。梶谷への被弾については「ベストボールだと思うので、打ったバッターがうまかったと思います」と冷静に振り返った。岡田監督は「そんな悪なかったと思うけどな。ちょっとボークもなあ。あれなあ。もったいなかった」と苦虫をかんだ。次回登板は4月5日のヤクルト戦(神宮)が有力。「任せてもらった開幕で先制点を与えてしまったのが一番の反省。チームが(得点)ゼロのときはゼロで粘らなきゃいけない」。エースは同じ過ちは繰り返さない。(三木建次)プロ9年目で初の開幕マスクを務め、青柳をリードした阪神・坂本 「(失点を)防げるところもあったと思う。また反省して、次に勝てるように」

◆やるね、阿部監督。2軍監督、1軍コーチと経験を積んだだけのことはある。新監督とは思えない動きだった。着目すべきは五回、梶谷の2ランが出る前だ。1死三塁で佐々木がファーストストライクをセーフティースクイズ(ファウル)。野選で先制点が入ると続く門脇も初球、セーフティーバント(ファウル)。ただでさえ、ボークで走者を三進させていた青柳を「何を仕掛けてくるか、分からん」と疑心暗鬼にさせ、梶谷への集中力を削らせたとみるね。監督ともなると1球1球、ボールカウントごとにサインを変えなくてはならない。考える時間は少ない。迷うことなく、瞬時に決断できるあたり、見事だよ。継投でもスッキリさせてくれた。「鬼門」とされた七回を西舘、八回を中川がポンポンと抑え、九回は復帰した大勢がすんなり締めた。今年は違うかな、という感触を受けた。4点差で大勢を出せたのも展開的にツキがあったし、本人も感謝しきりだろうね。もちろん岡田監督も、日本一監督らしい姿だった。こういう日もあるわな...といわんばかりの、ジタバタしないオーソドックスな采配は、さすが。開幕戦から、いいモノを見せてもらったよ。(サンケイスポーツ専属評論家)

◆何しとんね~ん! 阪神タイガース!!(怒) 何がアレンパや!! 開幕戦、宿敵巨人に完封負けくらってよく言うわー!!開幕を迎え、今季の俺は鬼となり悪魔となり阿修羅にもなり阪神に叱咤(しった)、罵声の愛のムチを雨嵐のごとく浴びせることを宣言しておくのだ!! 何故かといえば...。それは1985年にバース、掛布、岡田で圧倒的な強さを見せたのに、その2年後には最下位に急降下。そこから虎の暗黒時代に突入...。気付けば次の日本一まで38年の歳月が過ぎていた...。あの二の舞いはもーイヤだ!! なのだ。先制された五回、青柳のボークに木浪の野選、ともに微妙なシーンだったけど、王者ならさらにその上の冷静、慎重、繊細さを厳しいけど求めたーい。そして、それ以上に悪いのは4番大山、5番佐藤輝!! 2人が打たんで誰が巨人のエース戸郷を沈めるんや!!でも一番の戦犯は開幕直前に帰国した巨人のオドーア!! もう少し頑張ってくれていたら、代わりに出た梶谷の大ファインプレーも2ランもなかったのに...。オドーア、カムバーック!! ま、たかが143分の1、阿部新監督オメデトウと言っとくわ!!

◆高々と打ち上がった飛球を左翼のノイジーがキャッチすると、三塁ベンチの岡田監督が満面の笑みで握手攻めを受け止める。阪神タイガース、38年ぶりの日本一―。京セラドームのマウンドに猛虎戦士たちが歓喜の輪を作り、一歩ずつ歩みを進めた指揮官が宙に舞った。虎党にとって最高のエンディングを迎えた2023年11月5日。あれからあっという間だった気もするけど、待ち遠しかった24年シーズンの開幕を迎えた。胸が高鳴るのは記者も同じだ。東京ドームで開幕戦を取材した前虎番キャップで、今季は編集委員としてチームを追い掛ける三木建次からの報告も鼻息が荒かった。「練習前にドームの喫煙スペースに行ったら、たまたま岡田監督と一緒になったんや。今季からドームの喫煙場所が変わって狭くなってなあ。新幹線も今月16日に車内喫煙ルームが廃止になったし、愛煙家のたばこ談義で盛り上がったわ」生まれてこのかた、たばこを吸ったことがない虎ソナには何の影響もないニュース。だけど、喫煙者にとっては一大事なんだろう。生きづらくなっていそうだけど、モヤモヤしたとき、イライラしたとき、一服できれば気が紛れるんだろうなあと、ちょっとうらやましくなるときもある。喫煙タイムを終えた三木の口は滑らかだ。「そんな新幹線の話の流れから、27日に東京に移動したときの話になってな。大相撲の春場所で優勝した尊富士と同じ便やったらしいわ。『大銀杏やなかったけど、まげは結ってたなあ』って」

◆巨人のドラフト1位・西舘勇陽投手(22)=中大=が2試合連続で好救援を見せた。先発のグリフィンの後を受け、3点リードの七回1死一、三塁で登板。代打・糸原を左飛、近本を右飛に仕留め、ピンチをしのいだ。ルーキーが無失点に抑えるとベンチで見守ったグリフィンも絶叫。〝七回の男〟として勝利の方程式に加わる剛腕が開幕戦から2試合続けて躍動した。

DAZN

<セ・リーグ順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差残試合 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
DeNA
100 1.000- 1424310 0.3133.000
1
巨人
100 1.0000 1424010 0.2940.000
1
ヤクルト
100 1.0000 1427401 0.3444.000
4
阪神
010 0.0001 1420400 0.1254.500
4
広島
010 0.0001 1423400 0.2784.500
4
中日
010 0.0001 1424710 0.3242.250