◆西武は両軍無得点で迎えた8回表、外崎の適時三塁打で試合の均衡を破る。投げては、先発・今井が7回無失点11奪三振の力投。その後は甲斐野、アブレイユの継投で完封リレーを展開し、今井は今季1勝目を挙げた。敗れた楽天は先発・早川が好投を見せるも、打線が沈黙した。

◆楽天の創設20周年アンバサダーを務める人気お笑いコンビ、サンドウィッチマンの伊達みきお（49）が始球式を行った。マウンドに立ち、大きく振りかぶって投げたボールは、太田光捕手（27）の構えるミットから大きく左にそれるスピードボール。打席に立った金子侑司外野手（33）の空振りを誘った。伊達は投球を振り返って「開幕戦の雰囲気であがってしまいました。バスンといきたかったんですけどね」。事前練習で則本昂大投手（33）とキャッチボールをしたことも明かし「楽しくていっぱい投げちゃった。そしたら今めちゃくちゃ肩痛いですね」と笑いを誘った。練習の成果は出せなかったが「楽しかったです！」と満足げに振り返った。球団創設20周年に、伊達は「もう本気で楽天イーグルスを応援します！」。富澤たけし（49）は「今まで以上にズブズブに行きたいなと思います。皆さんスタジアムに来てくださいね！」と呼びかけた。

◆／エースの風格！＼今井達也が5回までで毎回奪三振で8個目！?#プロ野球(2024/3/29)??楽天×西武??Live on DAZN #DAZNプロ野球 #RakutenEagles #seibulions"野球一本" 新プラン登場「DAZN BASEBALL」 月々2,300円 （年間プラン・月々払い）初月無料！4/17まで pic.twitter.com/rpDPx2Io0P

◆西武今井達也投手（25）が、自身初となる開幕戦のマウンドに上がった。昨季6勝、防御率0・87と抑え込んだ楽天打線相手に序盤から真っ向勝負した。1回先頭の茂木から157キロの速球で空振り三振を奪うなど2奪三振。2回先頭の4番浅村からスライダーで空振り三振を奪うなど、7回まで毎回となる11個の三振で無失点に抑える奪三振ショーを披露した。相手の先発左腕早川と、同学年同士の投げ合いとなった。作新学院時代の16年夏の甲子園準々決勝で、早川擁する木更津総合と対戦経験がある。当時は3－1で作新学院が勝利。勢いに乗り、その後全国制覇まで駆け上がった。開幕戦前日には「相手よりもちろん失点を少なく終わりたい。開幕戦なのでお互い、両チームまず勝って、シーズンをスタートしたいというのが第一だと思う。そういう面でも投げ負けないという気持ちを、相手以上に強く持ちたいと思う」と意気込んでいた。プロ8年目。初めて託された大役をしっかりと全うした。「チームを代表して投げるので、責任感を強く持ってマウンドに立ちたい」と口にした右腕の24年シーズンが幕を開けた。【山崎純一】

◆西武は今井達也投手、甲斐野央投手、アブレイユ投手のリレーで1－0勝利。開幕戦の1－0勝利は15年西武以来22度目。西武では67、88、99、15年に次いで5度目で、回数では阪神の4度を上回って単独最多。また、今井は11奪三振。西武の開幕投手が2桁奪三振は、02、03、05年の3度記録した松坂、10年涌井に次いで14年ぶり3人目（5度目）。

◆楽天今江敏晃監督が好投した早川隆久投手をたたえた。球団20周年の節目となる今季。開幕投手として20年のドラフト1位左腕を送り出した。「早川は本当にいいピッチングをしてくれて、強い気持ちを持って最後まで投げてくれた」。自身にとって昨年10月の監督就任後初の公式戦。大観衆のホームで指揮を執り「非常に力になりましたし、その期待に応えられなかったのは申し訳ないです」と話した。

◆自身初の開幕投手を務めた西武今井達也投手（25）が、楽天打線を7回2安打無失点11奪三振に抑える好投で今季初勝利を挙げた。21年10月から続く楽天戦の連勝を「10」に伸ばし、チームに3年ぶりの開幕戦白星をもたらした。「本当にやってやろうという気持ちの一心だったので、いいスタートが切れた」と振り返った。この日最速157キロの直球とスライダーなどの変化球を使い、毎回の奪三振ショーを披露した。打者24人から11奪三振。4番浅村からは3打席連続で三振を奪った。「初回から飛ばしていこうと、いけるところまでいこうという話をしていた。よく古賀がリードしてくれた」と後輩捕手をたたえた。相手の先発左腕早川と、同学年同士の投げ合いになった。作新学院時代の16年夏の甲子園準々決勝で、早川擁する木更津総合と対戦し勝利した。8年後、互いに開幕の舞台でぶつかり再び勝った。「先にマウンドを降りることはしたくなかった。絶対に投げ勝ってやるという気持ちで、絶対に勝つんだという気持ちで投げた」と言葉通りの姿をみせた右腕が、最高のスタートを切った。【山崎純一】

◆リリーフ登板した西武甲斐野央投手が1回を無失点に抑えた。1点リードの8回から2番手で登板。2死から村林に中前打、茂木に四球を与え、一、二塁のピンチを招いたが、小深田を空振り三振に抑え得点を許さなかった。ソフトバンクから移籍後初の公式戦のマウンドに「いいスタートが切れたのかなと思う。シーズンに入れば本当に結果だけ」と次戦以降を見据えた。

◆4年目で初の開幕投手を務めた楽天早川隆久投手（25）が、1点に泣いた。0－0の8回2死二塁。カウント2－1から西武外崎に134キロフォークを捉えられて、左中間へ先制三塁打を浴びた。8回途中6安打1失点8奪三振。試合をつくったが「普通に悔しいです」と唇をかんだ。同学年の西武今井と投げ合った。初回は先頭金子を左邪飛、若林を三ゴロ、外崎を左飛と、わずか6球で料理。7回まではともに無失点と譲らなかった。「点を取られなければ負けないですし、点を取られれば負けるので、その結果がこの結果かなというふうに思います」。木更津総合（千葉）時代の16年夏、甲子園準々決勝で今井擁する作新学院（栃木）に惜敗。8年越しのリベンジはならなかった。本来なら7回で降板する予定だったという。永井投手コーチは「本人のやっぱり白黒つけたいってところで『8回投げさせてください』というところで、監督とも相談しながら行かせるって判断だったんですけど、そういった面ですごく頼もしく見えました」と評価。「相手ピッチャーもいい中でなんとか粘り強く投球はしてくれたんで、次に期待したいと思います」と話した。今江監督も「本当にいいピッチングをしてくれました」とたたえた。

◆支配下に復帰した西武ブランドン内野手（25）が、「6番三塁」で初の開幕スタメンで出場し、2安打を放った。楽天の先発左腕、早川隆久投手（25）に対し、第1打席で中飛、第2打席で見逃し三振と凡退したが「もう割り切って積極的にいこうと思って。三振してもいいや、ぐらいの気持ちで割り切っていきました」とめげなかった。7回1死一塁の第3打席で右前打、9回1死の第4打席では左前打と、マルチ安打を記録し「今日は積極的にいってよかったなと思いました」と笑みをこぼした。東農大北海道から20年ドラフト6位で入団。1年目に32試合に出場したが、内転筋痛などのケガもあり、昨オフ戦力外通告を受け、育成選手として再契約していた。オープン戦では打率3割3分3厘と持ち味の打撃で結果を残し、開幕を目前に支配下復帰を決めた。「66」のユニホームを身にまとい、開幕戦の大舞台で結果を残した。「やってやろうという思いが一番強かった。本当に3年ぶりにこうやって出られて、1軍の舞台でヒットが打てて、本当にうれしかった」と喜んだ。【山崎純一】

◆楽天・岡島豪郎外野手（３４）は開幕戦の前夜２９日、家族との夕食で〝出陣式〟を行った。料理が得意な夫人の真由さんの多彩な手料理が食卓に並び、英気を養った。岡島のリクエストで、カツ丼、鯛の尾頭付きも用意され、「いよいよシーズンが始まるので、気持ちが引き締まります」と背筋を伸ばした。一夜明け、競馬好きの男は「僕は２枠が好き。２枠の色といえば黒色！」とおろしたての漆黒の〝勝負パンツ〟を履いて球場入りした。

◆開幕戦を迎え、監督就任１年目のシーズンが始まった。楽天・今江敏晃新監督（４０）は改めて所信表明した。「球団創設２０周年という節目の年に、本拠地で開幕を迎えられるのは、きょうしかない。東北の皆さんに喜んでもらえるように頑張ります」球場の正面玄関には、今江監督のロッテ時代の恩師、ボビー・バレンタイン氏（７３）から贈られた、２段スタンドの花が並んだ。「当時の通訳が、とにかく僕が監督になったことを喜んでくれたという話をしてくれた」と目尻を下げた。朝食は、いつも通り自炊。半分ずつ配合した玄米と白米を炊き、目玉焼き３つとソーセージに納豆、定番の朝食を食べた。「僕は昔から節目節目で特別感を出すと変に意識する。普段通りの力を出そうと思ったら普段通りのルーティンをしなくては」と明かした。今江流は試合前にも。多くのチームは練習後、開幕戦に向けてミーティングを行うが、今季はなし。指揮官は「昨日（２８日）のうちに全体ミーティングで、もう話をさせてもらった。全員が自然に入っていくために今日は一切しない」と〝自然体〟を強調した。試合前セレモニーでは、宮城県育ちの歌手、さとう宗幸が国歌独唱し、始球式は仙台市出身の人気お笑いコンビ、サンドウィッチマンの伊達みきおが務め、指揮官の初陣に花を添えた。試合は早川―今井の息詰まる投手戦。早川は八回、外崎に適時三塁打を浴び均衡を破られた。早川は八回途中まで６安打１失点の力投。ただ打線が散発４安打でホームが遠く...。今江新監督の初陣は完封負け、白星で飾ることはできなかった。

◆西武が３年ぶりの開幕戦白星を飾った。今井が７回を２安打無失点、１１三振の力投で勝利投手。０―０の八回に外崎が先制三塁打を放ち、九回はアブレイユが締めた。楽天は三塁を踏めず、７回２／３を１失点の早川を援護できなかった。

◆８年目で初の開幕投手を任された西武・今井達也投手（２５）が〝お得意さま〟相手に躍動した。栃木・作新学院高３年時に、夏の甲子園準々決勝で投げ勝った同学年の左腕・早川（千葉・木更津総合高）とのプロ初の投げ合いで意地を見せた。「とにかく強気、強気で攻めてチームを勢いづける投球をしたい」。そう意気込んで上がった敵地での開幕マウンド。２０２１年から負けなし９連勝中の楽天相手にこの日も立ち上がりからアウトの山を築いた。一回先頭・茂木をカウント２－２から１５７キロの高めで真っすぐで空振り三振に仕留めると、２死から迎えた小郷もフルカウントからスライダーで空振り三振を奪った。二回は１死から島内を四球で歩かせたが、後続を難なく退けると七回まで２安打無失点、１１三振を奪う圧巻の投球を披露した。開幕戦で今季初勝利をつかんだ。昨年１２月は平良とともに１０日間ほど渡米し、現地で最新のトレーニング技術を学んだ。２月の宮崎・南郷キャンプ中に松井監督から大役を言い渡されると、オープン戦は３試合登板で計１２回を１失点、１４奪三振と期待に応えた。２６日に必勝祈願で訪れた本拠地近くの狭山山不動寺では絵馬に「最多奪三振」と書き込んだ右腕。その目標に向けて、この上ないスタートを切った。

◆西武に加入の甲斐野央投手が１回を無得点に抑え、接戦勝利に貢献。八回から登板して２死から安打を浴びて四球も与えたが「すぐ切り替えて次の打者」と慌てず、小深田を低めのフォークボールで空振り三振とした。ソフトバンクにフリーエージェント移籍した山川の人的補償として加わった。セットアッパー役をこなし「本当にいいスタートが切れた」とほっとしたように言った。

◆８年目で初の開幕投手を務めた西武・今井達也投手（２５）が２９日、楽天との開幕戦（楽天モバイルパーク）で７回２安打無失点、毎回の１１奪三振の投球で初勝利をマーク。楽天戦で２０２１年１０月から続く自身の連勝を１０に伸ばした。「（開幕投手に）指名されたときは本当にやってやろうという気持ちの一心だった」気温１３度のナイター。獅子のたてがみのような長髪をなびかせ、半袖姿の今井が躍動した。一回先頭・茂木をこの日最速の１５７キロ真っすぐで空振り三振に斬ると、そこから三振の山を築いた。真っ向勝負で挑んだ４番・浅村を３打席全て空振り三振に仕留め「基本的に全員三振にとりたいと思っている」と鼻息を荒くした。この日は栃木・作新学院高３年時に、夏の甲子園準々決勝で投げ勝った同学年の左腕・早川（千葉・木更津総合高）とプロで初の投げ合い。最高の舞台でライバルに再び投げ勝ち「絶対勝つんだという気持ちで投げた」とうなずいた。投打がかみ合った理想の形で就任２年目の開幕戦を白星で飾り、松井監督は「（今井は）期待通りの投球だった」と目を細めた。「本当にいいスタートが切れた」と今井。初の大役を最高の形で全うし、チームに勢いをつけた。（石井孝尚）

◆楽天・早川隆久投手（２５）が２９日、西武との開幕戦に先発し、７回?を６安打１失点、８奪三振と好投したが、１敗目を喫した。「普通に悔しい。点を取られなければ負けないし、点を取られたら負ける。その結果です」七回まで無失点に封じた。八回２死二塁。外崎に左中間適時三塁打を喫したところで降板した。最速１４６キロ、１０９球。味方の援護に恵まれなかった。早大からＤ１位で入団して４年目で初の大役を務めた。同学年の西武・今井について「プロを目指すきっかけになった。世代を代表する投手で背中を追ってきた」と敬意を表し、臨んでいた。就任１年目の今江監督はファンの声援に「非常に力になったが、期待に応えられなくて申し訳ない」。左腕を「強い気持ちが入った素晴らしい投球だった」とたたえた。（広岡浩二）