阪神(★4対5☆)巨人 =オープン戦2回戦(2024.03.10)・阪神甲子園球場=
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巨人
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阪神
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勝利投手:高橋礼(1勝0敗0S)
(セーブ:堀田 賢慎(0勝0敗1S))
敗戦投手:石井 大智(0勝2敗0S)
  DAZN
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◆阪神は、3年目の前川が2安打をマーク。開幕スタメンの座を狙う若武者が、持ち前の打棒を発揮した。対する巨人は、先発・高橋礼が4回無失点の好投。開幕ローテーション入りを目指す右腕が、アピールに成功した。

◆スタメンが発表された。 阪神はオープン戦8戦全敗。満員が予想される開幕前最後の甲子園で、ベストメンバーに近い形で臨む。ローテ候補の投手は投げない「ブルペンデー」で、先発は岡留英貴投手(25)が務める。森下翔太外野手(23)が3番右翼、シェルドン・ノイジー外野手(29)が6番左翼。指名打者には前川右京外野手(20)が入った。

◆開幕前最後の甲子園で、日曜日の巨人戦。オープン戦としては異例の売れ行きだった一戦は、プレーボール30分前の午後0時30分に全席完売が発表された。当日券は左翼席の一部が売り出されていた。

◆開幕前、ラストの甲子園でのオープン戦で、試合前に阪神の新入団選手紹介が行われた。昨秋のドラフト会議で指名を受けた全8選手と、現役ドラフトで加入した漆原大晟投手(27)、新助っ人のハビー・ゲラ投手(28=レイズ)がグラウンドに登場。2月29日に育成契約を発表した、ドミニカ共和国出身のアンソニー・マルティネス投手(24)、ホセ・ベタンセス投手(24)は名前のみコールされた。オープン戦では異例の全席完売。満員となった甲子園に下村は「やっぱり、1軍はすごいなと思いました。早く、ああいう所で投げたいなと思います」と刺激を口にした。この日はブルペンデーとなっており、ドラフト5位石黒佑弥投手(22=JR西日本)、ドラフト6位津田淳哉投手(22=大経大)は登板予定となっている。

◆試合前に「チャンピオンリング贈呈式」が行われ、昨季日本一チームの阪神にチャンピオンリングが贈られた。日本一までのVTRがオーロラビジョンに流れ、選手会長の中野拓夢内野手(27)が粟井一夫球団社長から代表でリングを受け取った。

◆巨人高橋礼投手(28)が4回2安打無失点と先発ローテーション入りをアピ-ルした。4回は先頭森下に二塁打を浴び、無死二塁となってかた粘った。大山を遊ゴロ、佐藤輝を投ゴロ、ノイジーを見逃し三振に仕留めた。球数65で1四球。ホームを踏ませなかった。ここ2年は未勝利のサブマリン。オフにトレードでソフトバンクから移籍してきた。2月27日の練習試合日本ハム戦の2回完全投球に続き無失点の投球となった。

◆観衆が4万1129人と発表された。甲子園のオープン戦では実数発表となった05年以降で最多。初めて4万人を超えた。開幕前最後の甲子園で、日曜日の巨人戦、しかも晴天と条件に恵まれた。これまでは10年3月14日の巨人戦での3万2741人が最多だった。当時も日曜日の巨人戦という同条件だった。当日券は左翼席の一部が売り出され、試合開始前に全席完売が発表された。球場関係者は「オープン戦で完売すること自体が珍しい」と驚いていた。

◆「キナナカ」コンビが好守で観客を沸かせた。2点を追う7回表の守備。左中間へ抜けそうな当たりを遊撃手の木浪聖也内野手(29)が飛びつき、二塁手の中野拓夢内野手(27)にグラブトス。送球が高めにそれたが、中野がジャンプし素手キャッチ。すぐさま二塁ベースを踏むと一塁へ素早く送球した。一塁はセーフとなったが、曲芸のような2人の息の合ったプレーに、4万1129人が集まった甲子園が沸いた。SNSでも「何あれ。サーカスか」「木浪と中野息ぴったり」などの声が上がっていた。

◆馬場皐輔投手(28)が古巣の本拠地・甲子園のマウンドで粘った。5回から2番手で登板。現役ドラフトで阪神から移籍後、初の甲子園での登板だった。名前がコールされると、阪神ファンからも拍手が注がれた。2死から連打と四球を許し、満塁となったが、最後は森下を三ゴロに封じた。1回を無失点に抑えた。

◆/甲子園を沸かせる漢\虎のドラ1戦士が満員の聖地で対峙馬場皐輔は2死満塁のピンチで...?#プロ野球(2024/3/10)??阪神×巨人??Live on DAZN#DAZNプロ野球"野球一本" 新プラン登場「DAZN BASEBALL」月々2,300円(年間プラン・月々払い)でプロ野球だけを、このプライスで。 pic.twitter.com/AaIQDk0Ple

◆阪神はシーズン前の甲子園最終戦で敗れ、オープン戦開幕から9連敗となった。オープン戦での9連敗は、65年以降で球団ワーストとなった。先発投手の調整の兼ね合いもあり、この日の阪神はブルペンデー。先発は岡留英貴投手(23)。先頭の巨人吉川尚に中前打を許すも、続くオコエを147キロ直球で二直に仕留め、飛び出していた吉川尚も刺して併殺を奪った。2回は4番岡本、5番オドーアの主軸も危なげなく抑えて2回1安打無失点。今春キャンプの投手MVPが、この日もしっかりアピールした。2番手で3回に登板した守護神候補の岩崎優投手(32)も1回1安打無失点に抑えたが、4回に登板した石井大智投手(26)が連打を浴び2死二、三塁から大城に2点先制の右前適時打を献上した。打線も5回に2死満塁、6回に2死一、二塁と好機をつくるも後続が倒れて無得点。7回1死一、二塁から敵失と大山悠輔内野手(29)の適時打で1点差とするも、その直後の8回にマウンドに上がった浜地真澄投手(25)が先頭に四球。2死一塁から、佐藤輝の失策と適時打で再び2点を失った。その直後に植田海内野手(27)の適時打から再び1点差に詰め寄ったが、追いつくことはできなかった。この日はオープン戦では実数発表となった05年以降で初の4万人超えとなる4万1129人が来場。大勢のファンが駆けつけたが今季初白星はならなかった。阪神がオープン戦開幕9連敗。開幕から9連敗は球団ワーストを更新中。球界でも記録の残る65年以降では85年中日13連敗、同年近鉄11連敗に次ぐワースト3位。阪神のオープン戦9連敗は「開幕から」を除いても球団ワースト。8連敗時点で09年に並び球団ワーストタイだったが、この日敗れて単独で最長となった。オープン戦9試合を消化して0勝9敗。阪神は現日程でオープン戦は残り10試合。次戦に敗れれば勝利数が敗戦数を上回る可能性がなくなるため、オープン戦負け越しにリーチがかかる状況となった。

◆阪神はオープン戦開幕から9連敗。「開幕から」を除いても球団ワーストのオープン戦9連敗にX(旧ツイッター)では「オープン戦9連敗」がトレンド入りした。ファンは落胆かと思いきや「公式戦で勝てばいい」、「オープン戦でよかった」、「開幕から爆発するためのカムフラージュ」など前向きに捉えるファンの投稿も多く見られた。オープン戦開幕からの連敗は記録が残る65年以降では85年中日の13連敗が最長。3月中旬に入る中で早く白星をつかみたいところ。次戦は12日ロッテ戦(ZOZO)だ。阪神がオープン戦開幕9連敗。開幕から9連敗は球団ワーストを更新中。球界でも記録の残る65年以降では85年中日13連敗、同年近鉄11連敗に次ぐワースト3位。阪神のオープン戦9連敗は「開幕から」を除いても球団ワースト。8連敗時点で09年に並び球団ワーストタイだったが、この日敗れて単独で最長となった。オープン戦9試合を消化して0勝9敗。阪神は現日程でオープン戦は残り10試合。次戦に敗れれば勝利数が敗戦数を上回る可能性がなくなるため、オープン戦負け越しにリーチがかかる状況となった。

◆オープン戦9戦全敗となった阪神岡田彰布監督(66)は淡々としていた。「これ、1カ月、甲子園帰ってけえへんからな。クリーンアップだけは最後残しとこうとうな。お客さん用にな」と話した。「済んだことは仕方ない」という質問には「別にそんな(笑い)」と気にするそぶりは見せなかった。開幕カードを戦う巨人との対戦。甲子園では開幕前最後となる一戦で、実数発表では初めて4万人を超える4万1129人の観客を集めた。ミスも絡んで接戦をものにできなかった。阪神がオープン戦開幕9連敗。開幕から9連敗は球団ワーストを更新中。球界でも記録の残る65年以降では85年中日13連敗、同年近鉄11連敗に次ぐワースト3位。阪神のオープン戦9連敗は「開幕から」を除いても球団ワースト。8連敗時点で09年に並び球団ワーストタイだったが、この日敗れて単独で最長となった。オープン戦9試合を消化して0勝9敗。阪神は現日程でオープン戦は残り10試合。次戦に敗れれば勝利数が敗戦数を上回る可能性がなくなるため、オープン戦負け越しにリーチがかかる状況となった。

◆阪神は開幕カードを戦う巨人との接戦を落とし、オープン戦9戦全敗となった。実数発表では初めて4万人を超える4万1129人の観客を集めたが、今季初勝利を届けられなかった。球団関係者は日本一の効果を実感。一方、岡田彰布監督(66)はレアケースの大入りにも「営業の話やん。俺らになんにも返ってけえへん」と、気にかけていなかった。

◆適時失策を喫した阪神佐藤輝明内野手(24)が再特訓を誓った。1点ビハインドの8回2死一塁。5番佐々木が放った三ゴロを前に出て捕球。しかし送球は一塁手大山のグラブ側にそれ、一気に走者生還。「もう練習するしかないので。頑張ります」と前を向いた。沖縄キャンプでは計515分の特守を敢行。守備を磨いてきただけに、悔しいミスとなった。馬場内野守備走塁コーチは「ベースより前にいった打球に対して、ちゃんと腰を切って、こっち側(外野側)に投げようとしないと真ん中に飛ばない。前に行くという勢いがあるとどうしても」と要因を分析。続けて、「やり直し。練習ではうまくいっても試合で出ないと。本人は反省していると思うので、また練習していかないと」と再度練習でのレベルアップをうながした。

◆阪神は開幕カードを戦う巨人との接戦を落とし、オープン戦9戦全敗となった。実数発表では初めて4万人を超える4万1129人の観客を集めたが、今季初勝利を届けられなかった。阪神岡田彰布監督(66)の一問一投は以下の通り。-先発した岡留はよかった「おーん。まあ、あんなもんやろ」-投げるたびに評価も「今日は桐敷が投げられへんかったからな。だから2イニングいかしたけと、まあ、よかったんちゃう」-回またぎのテストができたのでは「それはないよ、おーん。まあ、そりゃシーズン入ったら分からへんけどな。まずは1イニングやから」-ポジションも上がっていく「いや、順番は決めてないよ。まあ、ゲラ、岩崎は最後の方になると思うけど、それまでは決めてない、決めてない。そんな、まだ決められへんよ、まだ10試合残ってるのに。順番とかはもっと後よ」-岩崎は緩いボールも。どのように見ていた「どのようにって、普通やろ」-新人も2人投げた。石黒は好投「投げさせて良かったよ。そんなん、いい、悪いも、明日から千葉に連れて行くよ。そんなん、当たり前やん。今そういう段階やって言うてるんやん。誰か行かれへんようになるわけやからな。ある程度絞っていかなあかんから。時期的にそういうことやからな。先頭に四球とかな、昨日も言うてるやんか。ブルペンの投球と、その通りやって」-石黒は開幕1軍に近づいた「いやいや、まあ、ああいうの見せてもらったらのう、やっぱり、おーん。木浪が『エグいフォークです』言うとったわ。(今まで)そんな見てなかったからな、結局。投げさせて良かったよ、ほんまに」-これだけ観客が入った中で投げる経験は彼らも少ない「そらみんなやで(笑い)。新人なんかはな、おーん。石黒は良かったし、津田にしても、なんであの武器のカーブを使わへんの。途中言うたんや。キャッチャー何してんや言うて。1球ボールになったらもう使わへんやん、だからアカンねん、はっきり言うて。最後なんかベンチから言うたんやで、カーブ投げ言うて。分かるやろと思うけどな。ピッチャーつぶしたらアカンよ、ほんまに」-そのあたりの捕手の課題は口酸っぱく「いや、だからなんて言うか、ゲーム入る時から、巨人のバッターなんか分かっとるわけやからな。スコアラーも入っとんのに、やっぱりもうちょっと準備せなあかんと思うで、俺は。そらパリーグの分からん選手やったらそらなあ。ええ球がカーブやのに、なんでカーブ投げへんねやろって。言うまで1球しか投げへんやん。それも高めボールなったら、もう使わへんやろ。キャッチャーがストライクとれるリードやないんや、ピッチャーのいい球を引き出してやらなあかんねんからな。それで消してしもたらあかんわなあ」-オープン戦2試合を戦った巨人の印象「まあでも、寒うてなあ。半分しか出てないなあ、そら分からへんわ、はっきり言うて」-オドーアも2打席だけ「まあ2打席、こっちもそら見てるからなあ、おーん。だから今日はいろんな、もうあれやん、京セラでは低めのストレートをうまいことライトに打っとったから、低めが強いんちゃうかとか、まだ探っている状況やんか。まだスコアラーから報告来てないよ。特長というか。そんなん何にも関係なしで、こっちでゲームの中で探るということやからな」-中野が死球「大丈夫やろ」-甲子園で大入り「営業の話やん。俺らになんにも返ってけえへん」-最後勝って終わりたかった。「これ1カ月、甲子園帰ってけえへんからな。クリーンアップだけは最後残しとこうとな。お客さん用にな」-済んだことは仕方ない「別にそんな...(笑い)」-8回に佐藤が失策。「エラーはそら、送球ミスやんか。それだけやん」

◆巨人代役守護神候補の堀田賢慎投手が、中1日で最終回を封じた。1点差の9回、セーブシチュエーションで、阪神大山、佐藤輝、ミエセスと好打者を抑え3者凡退。オープン戦3試合連続無失点を継続しており、大勢の状況次第では代役候補となる右腕は「自分では『あるな』って思いながら準備をしている。まだ1回抑えただけなんで、これから積み重ねていきたい」と結果で示していく。

◆阪神岡田彰布監督(66)が、試合後にドラフト5位石黒佑弥投手(22=JR西日本)を12日からのロッテとのオープン戦(ZOZOマリン)に帯同させる方針を明かした。6回に登板し3者凡退の好投。最速150キロを計測し、最後の打者萩尾には鋭く落ちる135キロフォークで空振り三振を奪った。岡田監督は「投げさせて良かったよ。そんなんええ、悪いもクソも明日から連れて行くよ千葉に」と明言。「ああいうの見せてもらったらのお、やっぱり、おーん。木浪が『エグいフォークです』言うとったわ最後は。そんな見てなかったからな、結局。投げさせて良かったよ、ほんまに」と評価した。

◆巨人ABEがAREを破り、伝統の前哨戦第2ラウンドをまたしても制した。敵地・甲子園で、一時1点差に迫られながら相手守備のミスを突き、最後は逃げ切った。オープン戦2度目の阪神戦で2連勝を飾り、開幕戦に弾みをつけた阿部監督は「シーズン入ったら向こうもスイッチ入るでしょうから、全然違うチームだと思って戦いますよ」と気を引き締めた。

◆巨人ドラフト4位・泉口友汰内野手(24=NTT西日本)がユーティリティーぶりを発揮した。三塁で先発すると途中から二塁へ。前日オリックス戦では遊撃と一塁を守っており、内野すべてを守りながらオープン戦無失策を継続中。打っても2安打をマークし、阿部監督は「(吉川)尚輝が打てないようならそういうことも考えられる」と激しい二塁争いを促した。大阪桐蔭で17年センバツを制した甲子園で躍動した泉口は「言われたところで、どこでもいけるように準備するだけ」と攻守でアピールを続ける。

◆途中出場の阪神植田海内野手がバットでアピールした。8回1死一、二塁。京本の内角変化球をうまくさばき、一塁線を鋭く抜く適時二塁打。1点差に詰め寄った。「とりあえずバットに当てようと思いました。いいところに飛んでくれたのでよかった。打席は少ないですけど1打席1打席、無駄にしないように頑張りたい」とバイプレーヤーとして存在感を示した。

◆阪神大山悠輔内野手が4番の仕事をした。3打席凡退で迎えた7回。制球難と敵失でもらった1死一、二塁から三遊間を抜く当たりで1点を奪った。一気呵成(かせい)のムードを作り、数少ない見せ場となった。森下、佐藤輝とともに5打席ずつ立ってフル出場。安打はこの1本だけだったが「しっかり反省して、次に向けて準備したいです」と、変わらず状態向上に専念する。

◆阪神ドラフト6位の津田淳哉投手(22=大経大)は緊張の甲子園デビューで1回1失点だった。7回に5番手で登板。単打3本を許し、粘り切れなかった。「こんなお客さんの前で投げたことがなかったので不思議な感じでした。悔しいの一言。もっと押せる直球を身につけないと通用しない。いつも通りに投げられたので、ただ力不足」とレベルアップを誓った。

◆「リリーフデー」の先発を務めた阪神岡留英貴投手が、2回無失点と好投した。初回先頭に安打されたが二直併殺で切り抜け、2回は外野フライ3本。6人で片付けた。「直球も変化球も意図したところに投げられました。(先発で)緊張しましたけど、普通に大丈夫でした。球数もそこまで多くないですし、ストライク先行で投げられた」と胸を張った。激戦の中継ぎ陣の中で、高い評価は不動だ。

◆阪神森下翔太外野手(23)が、巨人高橋礼を攻略した。打線全体で打ちあぐねていた下手投げ右腕に対し、初回に四球を選び、4回の先頭では左越え二塁打を放った。タイミングをやや外されながらバットを振り切って、打球を上げた。ソフトバンクから移籍した高橋礼はシーズンで何度も対戦が予想される。4回2安打無失点に抑え込まれたが天敵にするわけにはいかない。「追い込まれていたので食らいついた形です。右のサイドやアンダースローは不得意ではないので、苦手意識もなく打席には入れたと思います」と頼もしかった。構えでバットを寝かせてから打ちにいくフォームにも好感触だ。「バットが遠回りせず一直線に出ているし、(投球の)ラインに入っている印象がある。それを寝かせなくも出せるように。立たせた方が打球の角度は出る。そこを調整しながらやっていきたい」。開幕に向けてベストを探り続ける。【柏原誠】

◆岩崎優投手(32)がスローボールを連発した。3回に登板し1安打無失点。いつも通り、どの球種も精度が高かったが、この日は100キロ前後のスローカーブを多投。「ちょっとまあ、試す感じでした」と話し、手応えについては明言を避けた。安定感を示し続ける昨季セーブ王は、甲子園の大観衆に「すごかったですね。気持ちの入りが変わってくる」と感謝した。

◆阪神木浪聖也内野手と中野拓夢内野手が好連係で沸かせた。7回無死一塁、二遊間の打球に木浪が追いつき、二塁にグラブトス。高めにそれたが、中野がジャンプして素手でつかみ、すぐ二塁ベースを踏んでアウトにした。グラブ→素手という通常と逆のアクロバティックなプレー。中野は「(木浪が)あまり角度がない体勢だったので。どこでも来てもいいように準備していた」。7回に右脚に死球を受け代走を出されたが「全然大丈夫です」と笑顔だった。

◆あぁ~。4万超の観客がため息だ。阪神が開幕前最後の甲子園で宿敵巨人に敗れ、オープン戦開幕から9戦9敗となった。9連敗は記録が残る65年以降で球団ワースト。甲子園のオープン戦全敗は07年の2戦2敗以来17年ぶりだ。岡田彰布監督(66)は「別にそんな...」と勝敗を気にするそぶりは見せなかったが、先頭打者に四球を与える投手の姿や、長所を引き出しきれない捕手のリードにイライラを募らせた。オープン戦では虎史上最多となる4万1129人の大観衆。シーズンさながらの盛り上がりの中で、1点差に詰め寄りながら9連敗。宿敵に敗れた。また勝てない。岡田監督の表情は明らかに曇っていた。いつもなら感謝を口にする大入りのファンについても「営業の話やん。俺らになんにも返ってけえへん」と素っ気ない。オープン戦で勝てないチームに話が及ぶと「別にそんな...」と笑うしかなかった。試合内容にフラストレーションがたまっていた。7回表、マウンドに上がったのはドラ6ルーキーの津田。我慢できなかったのは、捕手長坂のリードだった。「ええ球がカーブやのに、なんでカーブ投げへんねやろって。最後なんかベンチから言うたんやで『カーブ投げ』言うて。分かるやろと思うけどな。ピッチャーつぶしたらアカンよ、ほんまに」4人目の泉口の初球に、この日初めて投じたカーブが高めに浮いてボール。そこから直球を連打されて1点を失うと、指揮官は気持ちを抑えられなかった。続く湯浅にはカーブ4球を投げさせ三ゴロ。「言うまで1球しか投げへんやん」。女房役の物足りなさに、言わずにはいられなかった。1点ビハインドの8回には、この回から登板した浜地が先頭にストレートの四球。前日9日のヤクルト戦で投手陣が計9四死球を出していただけに、再び不満が募った。「先頭にフォアボールとかな、昨日も言うてるやんか。だからその通りよ。ブルペンの投球とその通りやって」。さらに2死一塁から三塁手の佐藤輝に悪送球が出て、リードを広げられる展開。「そら送球ミスやんか。それだけやん」と論ずるに値せずだ。ため息の黒星となったが、主力野手を最後まで出場させたのはせめてものファンサービス。「1カ月甲子園帰ってけえへんからな。クリーンアップだけは最後残しとこうとな。お客さん用にな」。スカッとした快勝も、甲子園の歓声も、シーズン開幕後にとっておく。【磯綾乃】阪神がオープン戦開幕9連敗。開幕から9連敗は球団ワーストを更新中。球界でも記録の残る65年以降では85年中日13連敗、同年近鉄11連敗に次ぐワースト3位。阪神のオープン戦9連敗は「開幕から」を除いても球団ワースト。8連敗時点で09年に並び球団ワーストタイだったが、この日敗れて単独で最長となった。オープン戦9試合を消化して0勝9敗。阪神は現日程でオープン戦は残り10試合。次戦に敗れれば勝利数が敗戦数を上回る可能性がなくなるため、オープン戦負け越しにリーチがかかる状況となった。

◆巨人高橋礼投手(28)が開幕ローテーション入りを"当確"させた。昨季日本一の阪神に、4回2安打無失点。唯一得点圏だった4回2死三塁、ノイジーを115キロスライダーで見逃し三振に打ち取った。4万1129人に埋め尽くされた甲子園で、虎党の大歓声をため息に変え「今日できることはすべてやった」。阿部監督がローテ入りを「入るかもしれないですね」と示唆する好投だった。凝視する虎打線に、慎重さよりも大胆さで攻めた。2回までは打者8人中7人に初球ボールも、3回以降は7人全員にストライク先行。「初球のスイングをかけてこないのは肌で感じた。当ててくるのがうまいので、早いカウントからでも勝負できるようなボールを投げられれば」と立ち会った感覚を大事にした上で作戦を変更。経験値と技術の高さを物語る65球だった。昨季負け続けた甲子園で新戦力のサブマリンが波に乗ったことは、チームにとって大きな収穫だった。昨季チーム防御率4・96と打ち込まれ3勝10敗と大きく負け越した甲子園。1軍ではプロ入り初の甲子園で完全アウェーを味わっても「意識はいかなかった」と意に介さず切って落とした。2回完全投球だった2月27日の日本ハム戦に続くアピールに、杉内投手チーフコーチからも「5、6回とイニング数が増えても今日のような投球ができれば」と試合ごとに信頼は右肩上がり。次回は2軍戦で先発予定で「ひたすらその作業を10月まで続けることが大事なので、一喜一憂しないようにやっていきたい」と開幕ローテよりも、その先を見据えた。【上田悠太】

◆阪神ドラフト5位石黒佑弥投手(22=JR西日本)が開幕1軍入りに急浮上だ。6回にオープン戦初登板。超満員の甲子園デビュー戦を危なげない投球で3者凡退に締めくくった。「緊張で制球良く投げることはできなかったんですけど。力で押すじゃないけど、新人らしい勝負はできたと思います」2死からは代打萩尾に鋭く落ちる135キロフォークで空振り三振。1回計10球を投じ、最速は150キロを計測した。岡田監督は「ええ、悪いもクソも明日から連れて行くよ。千葉に」と12日からのロッテ戦(ZOZOマリン)の1軍同行を明言。さらに「木浪が『エグいフォークです』言うとったわ」とナインの証言を披露した。キャンプは2軍で過ごしただけにこのタイミングで「投げさせて良かったよ、ホンマに」と収穫アリだ。開幕ブルペンに滑り込む余地はある。先頭打者に四球を与えるなど1回2失点(自責点0)の浜地、前日9日のヤクルト戦で3四死球と乱れた岩貞、無失点ながら調子の上がらないドラフト2位椎葉はロッテ戦には同行せず、2軍で再調整することになった。今後のアピール次第では、一気にリリーフ陣に割って入る可能性も十分だ。石黒は「チャンスをもらえる分には、そこでいい成績を残して評価してもらえるように。準備を怠らずにやっていきたい」と力を込めた。超満員の中で果たした甲子園初登板。「お客さんとかを見て『わ!すごいな』という方が勝って。気楽じゃないけど、いい緊張感を持ったまま投げられました」とさわやかに振り返った。チャンスをつなげた一戦。好投を重ね、一気に開幕切符をつかむ。

◆10日の阪神-巨人(甲子園)がオープン戦としては極めて異例の「大入り」となる見込みであることが9日、分かった。甲子園球場関係者が「4万人を超える」と説明。左翼外野席、左翼ビジター席の当日券は発売される予定だが、週末に開催される伝統の一戦とあって、多くの虎党が本拠地に足を運ぶことになる。この日のヤクルト戦では、球団ワースト記録を更新するオープン戦開幕8連敗を喫した。岡田監督は「勝利って、オープン戦やんか。そら勝ったらええけどバントされても無防備やしな、まだ。『別にさせといたらええや』って、こっちは何にもな。サインないから、シフトも敷かれへんやん」と語り、調整の場だという姿勢を崩していないが、スタンドを満員の虎党が埋め尽くすのであればなんとしても勝利で飾りたいところだ。3月29日の開幕戦の前哨戦であるだけでなく、開幕前最後の甲子園でのゲームともなる「伝統の一戦」。ファンが待ち望む今季初勝利をつかむ。

◆巨人は秋広優人内野手(21)が「9番・一塁」でスタメン入り。昨オフソフトバンクからトレードで加入したサブマリン、高橋礼投手(28)が先発マウンドに上がる。

◆試合開始に先立ち、2023年シーズンで日本一に輝いたことを記念した「チャンピオンリング贈呈式」が行われた。昨季を振り返る約1分間の映像がバックスクリーンに映し出され、選手会長の中野が粟井球団社長からチャンピオンリングを受け取った。チャンピオンリングの関連商品は阪神タイガース公式オンラインショップT-SHOPにて受注販売されている。

◆巨人・オコエ瑠偉外野手(26)がスーパープレーで魅せた。「2番・中堅」でスタメン起用されたオコエは三回1死での守備で、阪神・近本が放った右中間寄りの浅めのライナーをダイビングキャッチ。猛チャージして迷いなく飛び込むスーパープレーで、マウンド上の高橋礼を救った。阿部監督も両手で手をたたいて賛辞を送った。春季キャンプ途中から1軍に昇格し、対外試合で2本塁打を放つなど打力でアピールを続ける男が、持ち前の身体能力と思い切りの良さを守りで披露した。

◆昨オフの現役ドラフトで阪神から加入した巨人・馬場皐輔投手(28)が、昨季まで6年間在籍していた古巣を相手にピンチを招きながらも1回無失点の投球を見せた。2点リードの五回、昨季まで本拠地としていた甲子園のマウンドへ。先頭の前川を一邪飛、木浪を左飛に打ち取ったが、2死から坂本、近本に連打を浴びて一、三塁に。続く中野にストレートの四球を与えて満塁としたが、最後は森下を三ゴロに打ち取って無失点。味方に迎えられながら、笑顔で三塁側ベンチへ戻った。

◆阪神のドラフト5位・石黒佑弥投手(22)=JR西日本=が六回に登板し、1回無失点で上々の甲子園デビューを果たした。小気味いいフォームから力強いボールを投げ込んだ。先頭のオコエを詰まらせて遊飛で打ち取り、続く増田はボテボテの投ゴロで仕留めた。最後は代打・萩尾に対してこの日最速となる150キロの直球で追い込むと、最後は135キロのフォークで空振り三振。完璧な投球を披露し、ファンの大きな拍手に包まれた。

◆この日の阪神―巨人の観客数が、チームのオープン戦史上最高の4万1129人と発表された。今年に入って初めての「伝統の一戦」で、100周年を迎える甲子園がファンで埋め尽くされた。左翼側の外野席、ビジター席など、わずかに残されていた当日券も午後0時30分に完売。シーズン開幕を前に異例の盛り上がりとなった。

◆阪神のドラフト6位・津田淳哉投手(22)=大経大=が七回に登板し、1回3安打1失点だった。先頭のD3位・佐々木に中前にポトリと落とされる安打を許し、続く岸田の当たりは二遊間へ。木浪が捕球してトスし、これを中野が素手でつかむ美技でアウトをひとつ取った。守備に助けられた津田だったが、2死から泉口に右前打を浴び、さらに秋広に左前へ運ばれ1失点。なお一、三塁のピンチで湯浅は三ゴロに打ち取り切り抜けた。

◆「9番・一塁」で先発した秋広優人内野手(21)が第3打席で左前適時打を放ち、追加点をたたき出した。2-0の七回2死一、二塁のチャンスで打席に立つと、カウント1-0から高めの141キロの直球を逆方向へ弾き返した。打球はイレギュラーして遊撃手の左を抜けて適時打となった。この日ここまで空振り三振、右飛に倒れていたが、3打席目で結果を出した。秋広は五回の守備から左翼に入っていた。

◆阪神は2―3で迎えた八回、ミスも重なって2点を失った。また守備のほころびが失点につながった。この回マウンドに上がった浜地が先頭のオコエに四球を与えると、2死から佐々木の打球は三塁へ。これをさばいた佐藤輝が一塁に悪送球し、走者が生還して1点を失った。浜地は続く岸田に右前適時打を浴びさらに1失点。七回に2点を返した直後、ミスからすぐに突き放された。

◆阪神は巨人に敗れ、オープン戦開幕から9連敗を喫した。打線は0―3の七回に「4番・一塁」で出場した大山悠輔内野手(29)の適時打などで2点を返し、2―5とされた八回にも2点を追加したが、逆転まであと1本が遠かった。投手は先発した岡留から7投手が継投するブルペンデーとなり、ドラフト5位・石黒佑弥投手(22)=JR西日本=が1回無安打無失点に抑えるなどアピール。それでも終盤に失策が重なって点差を広げられるなど、不安定な戦いが続いた。今季最後の甲子園でのオープン戦で4万1129人が来場するも、白星をつかむことはできなかった。

◆満員の甲子園球場での阪神のラッキーセブン(撮影・水島啓輔)

◆巨人・坂本勇人内野手(35)が阪神戦でベンチを外れたことについて、阿部慎之助監督(44)は「予定通り」と説明した。この日は試合前練習を終えてチームを離れた。 35歳の正三塁手は春季キャンプを完走後、台湾遠征に帯同。8、9日のオリックス戦(京セラ)にも出場するなど、チームとともに多忙な日程で活動した。指揮官は「鹿児島もいない。福岡から合流します」と、12日に鹿児島で開催されるソフトバンク戦には帯同せず、13日のPayPayドームでの同戦から再合流する予定を明かした。

◆巨人・阿部慎之助監督(44)が試合後、オコエ瑠偉外野手(26)が中堅で見せたスーパープレーを称賛した。三回1死、阪神・近本が放った右中間寄りの浅めのライナーに対し、オコエが猛チャージしてダイビングキャッチ。ベンチで両手をたたいて賛辞を送っていた指揮官は「あれは『最高でーす!』だよ」とたたえた。「2番・中堅」で先発したオコエはこの日、3打数無安打。快音こそ聞かれなかったが、2四球と好守で外野の定位置奪取へアピールした。

◆阪神が4万1129人を集めた甲子園でオープン戦開幕9連敗。観衆が実数発表になった2005年以降のOP戦球団最多を更新したが、8勝9敗だった昨季敗戦数に並んだ。西武が勝ったため、12球団唯一の未勝利。先発の岡留英貴投手(24)が2回無失点、3番手の石井大智投手(26)が四回に2点を失った。D5位・石黒佑弥投手(22)=JR西日本=が1回を三者凡退、D6位・津田淳哉投手(22)=大経大=は七回に3点目を奪われた。八回には浜地真澄投手(25)が先頭打者に四球を与え、佐藤輝明内野手(24)の一塁悪送球などで2点を奪われた。OP戦開幕9連敗は1985年の中日(13連敗)、近鉄(11連敗)以来、39年ぶり。岡田彰布監督(66)の主な一問一答は以下の通り。ーー岡留はよかった「あんなもんやろ。桐敷が投げられへんかったからな。(8日のヤクルト戦での1回46球で)球数増えたからな。2イニング行かしたけど、良かったんちゃう?」ーーポジションも上がっていく「いや、ポジションて順番は決めてないよ。ゲラ、岩崎は最後の方になると思うけど、それまでは決めてない。まだ10試合以上残ってるのに。順番とかは、もっと後よ」ーー岩崎は緩いボールも。どのように見ていた「どのようにって普通やろ」ーー2人の新人が投げた。石黒は「投げさせて良かったよ。悪いもクソも明日から連れて行くよ千葉に。当たり前やん。今そういう段階やん。誰か行かれへんようになるわけやからな。先頭にフォアボールとかな、昨日も言うてるやんか。だからその通りよ。ブルペンの投球とその通りやって」ーー石黒は開幕1軍に近づいた「木浪がエグいフォークです言うとったわ、最後は。そんな見てなかったからな。投げさせて良かったよ、ホンマに」ーーこれだけの観衆で投げる経験はなかった「そらみんなやで。津田にしても、なんであの武器のカーブを使わへんの。最後に言うたんや。武器はカーブやのにな。キャッチャー(長坂)、何してんや。1球ボールになったらもう使わへんやん。だからアカンねん、はっきり言うて。最後なんかベンチから言うたんやで、カーブ投げ言うて。ピッチャーつぶしたらアカンよ、ホンマ」ーー捕手の課題は直らない「もうちょっと準備せなアカンと思うで、俺は。ええ球がカーブやのに、なんでカーブ投げへんねやろって。言うまで1球しか投げへんやん。それも高めボールなったら、もう使わへんやろ。キャッチャーがストライク取れるリードやないんや。ピッチャーのいい球を引き出してやらなアカンねんからな。ボールなる時もあるやんか。それで消してしもたらアカンわなあ」ーー巨人の印象「寒うて、半分しか出てない。分からへんわ、はっきり言うて」ーーオドーアは?「2打席、こっちも見てるからな。低めが強いんちゃうかとか、まだ探っている状況やんか。まだスコアラーから報告来てないよ。関係なしで、こっちでゲームの中で探るということやからな」ーー甲子園で大入り「営業の話やん。俺らになんにも返ってけーへん」ーー最後勝って終わりたかった「1カ月、甲子園帰ってけーへんからな。クリーンアップだけは残しとこうとうな。お客さん用にな」ーー済んだことは仕方がない「別にそんな...」ーー八回の佐藤輝のエラー「そら送球ミスやんか。それだけやん」

◆阪神のドラフト5位新人、石黒(JR西日本)が六回にオープン戦初登板を果たし、1イニングを3人で抑えた。持ち味の直球は150キロを記録し、三つ目のアウトはフォークボールでの空振り三振。満員の甲子園で歓声を浴び「いい緊張感を持って投げられた。アドレナリンも出ていた」と初々しく話した。岡田監督は「投げさせてよかったよ。明日から(遠征に)連れてくよ」と満足そう。次のチャンスをつかんだ22歳のルーキーは「いい評価をしてもらえるように、準備を怠らずやりたい」と言葉に力を込めた。

◆現役時代は南海、西武に所属し、引退後は西武、ダイエー、阪神の3球団でヘッドコーチを務めたサンケイスポーツ専属評論家・黒田正宏氏(76)がオープン戦開幕9連敗を喫したナインに「守りの姿勢に入るな」と説いた。オープン戦の勝ち負けは関係ない。ファンは心配だろうが、連覇を目指す阪神が何をやっているかをもう一度考えてほしい。昨季の優勝メンバーの実力は分かっている。近本、大山らは実績があり、大きく崩れることは考えにくい。5点差を逆転されるなどてる試合もあったが、若手を育て、1軍戦力かどうかの見極めを行っている段階だ。気になるのは選手が守りに入っていないか、ということだ。負けが続いていると勝ちたくなるし、首脳陣にアピールをしなければいけないという思いが強くなる。岡田監督はミスをしても次の試合で必ず使ってくれる。8日のヤクルト戦で2失策を犯した小幡も、中堅で落球した森下も汚名返上のチャンスを与えた。首脳陣の立場からすれば一つのプレーが積極的か消極的かはすぐに分かる。消極的な動きは評価は下がり、積極的であれば使ってやろうとなる。それがオープン戦。だから選手全員には守りに入るな、と言いたい。ギャンブル的なプレーもできなくなってしまう。佐藤輝は八回に一塁へ悪送球したが、どちらかといえば、うまく捕った。昨年までなら追いつけずに打球は抜けていた。ランエンドヒットもかかっていたし、プレッシャーにはなっただろう。急いで投げないと間に合わないし、シーズン本番に向けて反省するだけだ。ブルペン陣の整備は課題ではあるが、石黒も社会人から入団しただけあってマウンドさばきも落ち着いていて、中継ぎの戦力になりそうだ。大山も森下も打球に角度が出てきたし、ここから状態が上がってくることは間違いない。だからこそ、選手は守りに入らないこと。試合を重ねるほど、〝普通〟の戦いに戻っていくだろう。

◆阪神は試合前、今季の新加入12選手の紹介を行った。選手は名前を呼ばれてマウンドに整列した。ドラフト1位・下村海翔投手(21)=青学大=は満員になった甲子園に「やっぱり1軍はすごいと思いました。早くああいうところで投げたいとすごく思いました」と感慨深い様子だった。また昨季の日本一を記念した「チャンピオンリング贈呈式」も行われ、選手会長の中野が粟井球団社長からチャンピオンリングを受け取った。D3位・山田脩也内野手(18)=仙台育英高 「いろいろな意味で新鮮。早く甲子園で野球できるように頑張りたい」育成D2位・福島圭音外野手(22)=白?大 「雰囲気のある球場だとすごく思った。一日でも早く支配下になって、戻って来られるように頑張りたい」

◆「7番・DH」で出場した阪神・前川右京外野手(20)が満員の甲子園で躍動した。2試合連続のマルチ安打で、開幕スタメン左翼を猛烈アピールだ。「結果が出ているというのは、一つステップアップしているかなとは思います」。二回2死から高橋礼のスライダーを中前へ。六回の第3打席は船迫の146キロ直球を右前に運んだ。9日のヤクルト戦(甲子園)も2安打1打点をマーク。昨季左翼レギュラーのノイジーに守備力では負けるが、得意の打撃力で勝負している。オープン戦は残り10試合。「(2試合連続で)2安打を打てたのはよかったけど、課題もあるので、満足せずにいきたい」と決意を新たにした。左翼のレギュラーを勝ち取るために奮闘する。(三木建次)

◆阪神・森下翔太外野手(23)は四回先頭で左翼に二塁打を放ち、3試合連続安打。打席ではこれまでバットを立てて構えていたが、8日のヤクルト戦(甲子園)の試合途中から体の後ろに寝かせている。「寝かせてみたらいい形でバットが出ていた。寝かせなくてもきょうのような形でバットが出れば。バットを立てた方が(打球に角度がつく)」と試行錯誤。「(開幕まで)時間はあるので、試せることを今のうちに試してシーズンを万全な状態でいきたい」と本番に備えていく。

◆ブルペンデーの先発を託された阪神・岡留英貴投手(24)が2回1安打無失点の好投。二回先頭で岡本をツーシームで左飛、新外国人のオドーアを148キロの直球で中飛に仕留めた。「どんどん当たって投げていくと思うので。これからも頑張ります」。春季キャンプの投手MVPに選ばれ、実戦では5試合連続無失点。開幕1軍入りをほぼ手中に収め、「真っすぐと変化球の精度をもっと上げていきたい」と意気込んだ。

◆3番手で登板した阪神・石井大智投手(26)は2回3安打2失点。代わった四回に1死から丸、岡本に連打されるなど2死二、三塁のピンチを招くと、大城に右翼へ先制の2点打を許した。五回は泉口から見逃し三振を奪うなど三者凡退に抑えたが「全部直球を打たれている。結果は結果なんで受け止めて。次があったら頑張りたい」と反省した。

◆阪神D6位・津田淳哉投手(22)=大経大=は七回に甲子園初登板。1回3安打1失点だった。2死一塁から泉口、秋広に連打されての失点に「点を取られたこと、ピンチで粘り切れなかったのは悔しかった」と唇をかんだ。4万人を超える観衆の前で投球を披露し「今までこんな人数のお客さんの中で投げたことがなかったので不思議な感じだった。とてもいい経験になった。また早くあの舞台で投げたい」と前を向いた。

◆阪神・中野拓夢内野手(27)は七回の第4打席で菊地の初球を右足脛に受け、一塁へ歩いた後、代走を送られた。試合後は「全然大丈夫です」と問題なしを強調。直前、七回の守備では好守をみせた。無死一塁でゴロをさばいた遊撃・木浪のグラブトスが高く浮いたがジャンプして右手でつかむと、右足で二塁封殺。「どこにトスが来てもいいように準備していた。うまく対応できた」とうなずいた。

◆右肩の肉離れで2軍調整中の阪神・梅野隆太郎捕手(32)が10日、鳴尾浜で屋外キャッチボールを9日までの30メートルから50メートルまで距離を伸ばして行った。「いい感じで投げられたので順調」と振り返った。岡田監督は「開幕から行くつもり」と開幕1軍を示唆しており、「自分ができることをしっかりやって、(けがの前と)遜色なくできるように」と気持ちを高めた。

◆七回から代走で途中出場した阪神・植田海内野手(27)は八回1死一、二塁で右翼線への適時二塁打を放った。カウント1-2と追い込まれ「とりあえずバットに当てようと思って打った。いいところに飛んでくれたんでよかった」。昨季は1軍で28試合に出場したが、わずか3打席で1打数無安打に終わっただけに「打つこともアピールしたい。打席は少ないが、一打席一打席無駄にしないように頑張る」と力を込めた。

◆阪神・佐藤輝明内野手(24)は八回の守備で適時失策。2-3の八回2死一塁で佐々木の三塁線へのゴロを捕球したが、一塁へ悪送球となり、一走の生還を許した。2月の春季キャンプでは特守を受け、スローイングや足の運びの上達に取り組んできただけに悔しいミスとなり「練習するしかないんで頑張ります」と猛省した。

◆「4番・一塁」でフル出場した阪神・大山悠輔内野手(29)は4万人超の虎党に勝利をプレゼントできず「しっかり反省して、次(の試合)に向けて準備したいです」と話した。七回に1点差に迫る左前適時打を放ったが、4-5の九回先頭では空振り三振。スタンドはため息に包まれた。4番がバットで、まずはチームを初勝利に導く。

◆巨人・阿部慎之助監督(44)は10日、阪神戦(甲子園)を欠場した坂本勇人内野手(35)について「予定通り。福岡から合流します」と休養を与えたと説明した。この日も試合前練習を行うなど状態に問題はない。12日のソフトバンク戦(鹿児島)には帯同させず、13日の同カード(ペイペイドーム)で再合流させる。また、オープン戦で2軍選手の〝テスト参加〟が続く中、12日はベテラン捕手の小林、右腕の直江が1軍へ、岸田、近藤、菊地らが2軍へ合流する。

◆あるぞ、開幕1軍切符! 阪神は球団ワーストをさらに更新する開幕9連敗となったが、ドラフト5位・石黒佑弥投手(22)=JR西日本=がオープン戦初登板で1回無安打無失点と好投。オープン戦では甲子園史上最多となる4万1129人が詰めかけた〝お披露目登板〟でチャンスをつかみ、岡田彰布監督(66)は1軍帯同を明言した。スタンドを埋めつくした虎党の視線がマウンドに注がれる。消えるように落ちた白球に相手のバットは空を斬った。〝お披露目〟だけで終わらない。大歓声を背に小走りでベンチへ戻った石黒に待っていたのは1軍への〝座席〟だった。「緊張しながら入ったんですけど、お客さんを見て、『わっ、すごいな』って。気楽じゃないですけど、いい緊張感を持ったまま投げられました」オープン戦では甲子園史上最多4万1129人が詰めかけた開幕カードとなる伝統の一戦。六回、ルーキー右腕の名前が場内にコールされる。わき起こる拍手に心地よさを感じながらマウンドへと向かった。「最初2ボールになって、焦りもあったんですけど、そこから修正して、結果抑えられたのでよかった」先頭のオコエはカウント2-1から145キロ直球で詰まらせ遊飛。続く増田陸は「岩崎さんから『なるべく投手付近は自分でさばいた方がいい』といわれた」と先輩の助言を生かし、華麗なフィールディングで投ゴロに仕留めた。最後は代打・萩尾をフォークで空振り三振。オープン戦&甲子園初登板は虎党にその名を刻むには十分すぎる内容だ。圧巻の投球でその心を射貫いたのはもう一人。岡田監督は「投げさせてよかったよ。木浪が『エグいフォークです』と言うとったわ」と手放しでほめたたえた。この日の試合前には甲子園で新入団選手紹介が行われ、その流れで決まった1軍マウンド。もともとは〝お披露目登板〟だけの予定だったが、輝く原石を見た指揮官は「明日から連れて行くよ、千葉に。そんなん当たり前やん」と12日からのロッテ戦(ZOZOマリン)での1軍帯同を明言した。開幕1軍メンバー選定へ、ふるいにかける意味合いも強かった甲子園でのオープン戦4試合。球団ワーストの9連敗が象徴するように中継ぎ陣は精彩を欠き、シーズンへの不安を露呈させた。そんな中、さっそうと現れ、ワンチャンスをつかんだ若虎は希望の光-。石黒は2月の春季キャンプは2軍具志川スタートも、ファーム首脳陣から高い評価を得ていた。

◆試合の最終盤に聞き慣れた阪神・岩崎の登場曲が、真っ昼間の三回に響いた。頼れる守護神が投じたのは、球速100キロを切って大きな弧を描く変化球。昨季ほとんど見せなかった〝新球〟の一端を明かした。「カーブみたいなものですね。昨シーズンもたまにやっていましたけど、ちょっとまあ試す感じで」三回に2番手で登板。先頭の門脇への2球目に投じたスローカーブは93キロを記録。続く泉口への初球も大きく沈むカーブで、球速は計測されなかった。秋広にも101キロと98キロのカーブを見せ、この日は130キロ台後半だった直球との緩急を駆使。三者凡退に抑え、これでオープン戦は2戦続けて無失点だ。昨季は140キロ中盤の直球と130キロ前後のスライダー、チェンジアップを中心に投げ、最多セーブ(35S)のタイトルを獲得。実績十分の左腕は、今季の開幕カードでも対戦する巨人を相手に違う顔をのぞかせた。2月の春季キャンプは中盤まで2軍で過ごすなど、調整を任された立場だったが、実戦での結果は上々。岡田監督は「ゲラ、岩崎は最後の方になると思うけど、それ(順番)までは決めてない」と話した。この時期ですでに150キロ中盤の直球を投げるゲラと、変化球を試しながら投球の幅を広げる岩崎。試合の最終盤に剛と柔を操る2人が並び立つ。岩崎はオープン戦ながら4万人を超える大観衆に「ちょっと気持ちの入りが変わってくるので、ありがとうございます」と感謝を語った。存在感を示した守護神がシーズンでも相手を手玉に取り、満員の甲子園で白星を届ける。(邨田直人)

◆〝虎キラー〟になる。巨人・高橋礼投手(28)が10日、開幕カードで激突する阪神とのオープン戦(甲子園)に先発し、4回2安打無失点に封じた。「真っすぐをしっかり強く、変化球は低めに、と意識した。結果を出してローテーションに入ることが大前提。きょうできることは、すべてやったという感じです」オープン戦では異例といえる4万1129人の大観衆の前で、昨オフにソフトバンクからトレードで加入したサブマリンが快投を演じた。四死球も1つだけ。110キロ前後のスライダーで打者のタイミングを外し、昨季日本一に輝いた阪神打線を苦しめた。2月27日の日本ハムとの練習試合(那覇)での2回完全投球に続く好投で、開幕ローテ入りに近づいた。開幕投手の戸郷、山崎伊ら当確している投手を含め、8人の候補がいる。杉内投手チーフコーチは「最後の最後までなかなか確定とはいえない」としつつ、高橋礼が〝リーチ〟の状態にあることを示唆した。「もう1度(試合で)続けてやってくれると、こっち(首脳陣)も心強い。5、6イニングでも、きょうみたいな投球ができるとよりローテに入ってきますよね」次回は2軍戦で先発する予定。今後も好投を続ければ開幕ローテ入り、さらには好相性を示した阪神との3月29~31日の開幕カード(東京ドーム)で先発する可能性も出てきた。(谷川直之)

◆甲子園のロビーに立っていると、虎番の三木建次が球団関係者に取材していた。身ぶり手ぶりで妙に熱心だなぁと思って聞き耳を立てた。「出る?」「出ない?」球団関係者は「出ると聞いていますけど、ちょっと詳しいことは分かりません」とやや困ったような表情を浮かべていた。「出るんや! すごいな。今まで、そんなんある?」朝からナニかと思ったら、この日の巨人戦で「大入り袋」が配られるのかどうか、という話だった。チケットは午後0時半に完売。実数発表となってからは阪神主催のオープン戦として史上最多の観衆となった。甲子園の外周は開門前から長蛇の列ができ、それを見たビヤ樽はビビッと頭の中でソロバンを弾き「大入り袋」の有無を確認していた。寄席や歌舞伎などと同じように多くの人が集まった際、報道陣らに配られるご祝儀ものだが、甲子園の場合、100円玉入り。これがビヤ樽は大好物なのである。球場関係者に聞くと、オープン戦で「大入り袋」が配られたのは初めてで、神整備で知られる阪神園芸・金沢健児甲子園施設部長も「記憶にない」という。しかも、阪神、巨人ともに担当記者は多いだけに500人に配るとしても、単純計算で球団は5万円の出費。天下の阪神タイガースは何という太っ腹なのだ。

DAZN

<オープン戦順位表推移>

順位チーム名 勝数負数引分勝率首位差 得点失点本塁打盗塁打率防御率
1
(2↑)
ORIX
411 0.800
(↑0.133)
-
(↓1.5)
19
(+9)
17
(+5)
0
(-)
6
(+1)
0.281
(↓0.008)
2.830
(↑0.17)
1
(-)
日本ハム
413 0.800
(↓0.2)
0
(-)
32
(+6)
29
(+12)
2
(-)
9
(+3)
0.270
(↓0.007)
3.550
(↓0.72)
1
(1↑)
ソフトバンク
411 0.800
(↑0.05)
0
(↓1)
24
(+9)
18
(+6)
6
(+2)
4
(+3)
0.260
(↓0.019)
3.060
(↑0.03)
4
(1↓)
ヤクルト
531 0.625
(↓0.042)
0.5
(↓0.5)
28
(+6)
24
(+5)
3
(+1)
5
(+1)
0.216
(↓0.006)
2.630
(-)
5
(-)
中日
433 0.571
(↑0.071)
1
(↑1)
28
(+5)
28
(+2)
3
(+1)
4
(+4)
0.215
(↑0.002)
2.600
(↑0.65)
5
(-)
楽天
431 0.571
(↑0.071)
1
(↑1)
29
(+12)
20
(+6)
1
(-)
4
(-)
0.292
(↑0.024)
2.150
(↑0.06)
7
(2↓)
巨人
330 0.500
(-)
1.5
(↑0.5)
29
(+9)
20
(+10)
1
(+1)
4
(-)
0.235
(↑0.015
2.770
(↓0.71)
7
(4↑)
西武
111 0.500
(↑0.5)
1.5
(↑1)
6
(+5)
10
(+3)
3
(+2)
1
(+1)
0.208
(↑0.02)
3.460
(↑4.42)
9
(4↓)
DeNA
234 0.400
(↓0.1)
2
(-)
27
(+3)
25
(+5)
6
(+2)
15
(+2)
0.246
(↓0.012)
2.850
(↑0.1)
10
(-)
広島
351 0.375
(↓0.054)
2.5
(-)
23
(+2)
29
(+5)
2
(-)
3
(+1)
0.195
(↓0.021)
2.610
(↑0.18)
11
(6↓)
ロッテ
122 0.333
(↓0.167)
2
(-)
13
(+6)
19
(+9)
1
(+1)
3
(+1)
0.220
(↓0.007)
3.890
(↓0.43)
12
(1↓)
阪神
090 0.000
(-)
6
(↓0.5)
25
(+6)
44
(+10)
2
(-)
3
(-)
0.205
(↑0.011
3.550
(↑0.02)