オリックス(☆5対1★)阪神 =日本シリーズ6回戦(2023.11.04)・京セラドーム大阪=
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阪神
0100000001901
ORIX
02002001X5802
勝利投手:山本 由伸(1勝1敗0S)
敗戦投手:村上 頌樹(1勝1敗0S)

本塁打
【阪神】ノイジー(1号・2回表ソロ)
【オリックス】紅林 弘太郎(1号・5回裏2ラン),頓宮 裕真(2号・8回裏ソロ)

  DAZN
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◆オリックスが日本一に逆王手をかけた。オリックスは1点を先制された直後の2回裏、若月の適時打と中川圭の犠飛で逆転に成功する。その後は、5回に紅林の2ラン、8回には頓宮のソロが飛び出し、リードを広げた。投げては、先発・山本が9回1失点14奪三振で完投。敗れた阪神は、投打ともに精彩を欠いた。

◆そら、一気よ-。阪神岡田彰布監督(65)が4日の第6戦(京セラドーム大阪)で38年ぶりの日本一を決めにかかる。3勝2敗で王手をかけ、まだ一つ負けられる状況だが「もう、そら明日よ」と必勝を期す。オリックス先発山本は第1戦で10安打を浴びせ、7失点でKOした相手。3年連続沢村賞右腕の再攻略にも自信たっぷりだ。先発にはエース格の村上を中6日で指名。ベテラン西勇らもブルペン待機させる総力戦で、歓喜の瞬間へ突き進む。岡田監督に迷いはなかった。「もうそら、明日よ」。第6戦で日本一を決めにかかる。1勝2敗から第4戦は大山のサヨナラ打で劇勝。第5戦は8回一挙6得点で大逆転劇を完成させた。この勢いのまま突き抜ける。オリックス先発はエース山本だ。「向こうもな、そら必死でくると思うし。何とかせなあかんわ。点取らなあかんいうことや」。第1戦では10安打を浴びせ、7失点でKOしている。今回も崖っぷちの相手が本拠地で息を吹き返す前に得点を重ねたいところだ。「前の(第)1戦に比べたらだいぶ楽なってるわ、打つ方も。あれは初戦の緊張感ていうかな。1回当たってるし、点取ってるし、だいぶ楽ちゃうか」状態や傾向は第1戦で把握済み。3年連続パ・リーグ4冠、3年連続沢村賞右腕とて恐れることはない。全試合本塁打0でシリーズを制すれば史上初。つなぎを重視する猛虎打線が新たに歴史をつくる可能性は十分ある。阪神先発は村上。岡田タイガースの象徴でもあるシンデレラ・ボーイに重責を託す。一方で第2戦先発の西勇をブルペン待機させ、場合によっては第3戦で先発して5回83球を投げた伊藤将も中3日でベンチ入りさせる。激闘が続いた5試合でブルペン陣は疲弊している。右の石井が3連投、流れを変えた湯浅も連投。3、4戦目連投の桐敷も第5戦では延長戦での登板に備えていた。安藤投手コーチが「最後なんでね。準備だけはみんなしてくれとは言っている」と話す通り、総力戦で必勝を期す。この日は村上ら4投手が甲子園で調整。野手、ブルペン陣は休養日として疲労回復を優先した。59年ぶりの関西シリーズで移動がないメリットを最大限に生かした形だ。指揮官は選手時代の85年日本シリーズも甲子園の第5戦で王手をかけ、敵地西武球場(現ベルーナドーム)の第6戦で日本一を成し遂げた。今季リーグ開幕戦から負けなし8連勝、日本シリーズを含めて9勝1敗の京セラドーム大阪で、丸い天井に向かって高々と舞い上がる。【石橋隆雄】

◆阪神伊藤将司投手もブルペン待機に入る。第3戦に先発し、5回83球を投げて4失点。この日、中継ぎ起用の可能性を伝えられた。「(ベンチ入りは)7戦目じゃないですかね。6戦目でも入る可能性もあると言われたので、どうなるかわからないですけど」。登板間隔は空いていないが「(中継ぎは)1年目で経験があるので慌てることはない。出番があったら全力で投げるだけ」と力を込めた。

◆阪神佐藤輝明内野手が大逆襲の一撃で日本一をたぐり寄せる。日本シリーズはここまで19打数3安打で打率1割台。第4戦では3三振に加え失策を犯し、途中交代も経験した。第6戦の相手先発山本は同学年のライバルで「向こうも気合を入れてくると思う。それに負けないように頑張りたい」ときっぱり。「いい流れできているので目の前のことに集中したい」。豪快な1発で1年を締めくくる。

◆3勝2敗で38年ぶりの日本一に王手をかけている阪神が4日、オリックスとの日本シリーズ第6戦を京セラドーム大阪で戦う。日本シリーズで2勝2敗から王手をかけた過去28チーム中、ちょうど半数の14チームが次戦ですんなりと日本一を決めている(3勝2敗1分けから、第7戦でのV決定を含む)。ほかに●○でのV決定が6度、△○が1度。先に3勝2敗とした21チームが優勝しており、確率は75%に達する。●●でV逸は7例しかない。近年の3勝2敗チームは、09年巨人から7球団連続して日本一に。16年日本ハム、22年オリックスと、2チームが続けて次戦も○でVを決めている。

◆4日に行われるオリックス-阪神の日本シリーズ第6戦の予告先発が3日に発表され、オリックスは山本由伸投手(25)、阪神は村上頌樹投手(25)が先発する。交流戦=6月13日(甲子園)村上は4回に守備の乱れから先制され、7回にゴンザレスのソロ本塁打で2失点目。山本は毎回の11三振を奪う好投で、8回2安打無失点。村上は打席で見た同学年山本の投球に「真っすぐの質であったり、変化のキレは体感できた。あんな球を投げられるように」と前を向いた。日本シリーズ第1戦=10月28日(京セラドーム大阪)村上は4回までパーフェクトの立ち上がりを見せ、7回2安打無失点の好投を見せた。一方の山本は自己ワーストタイの7失点で、6回途中降板。ライバルに投げ勝った村上は「まだ及ばないけど、あれ(交流戦)から4カ月で僕も成長してきた」と手ごたえを感じた。

◆阪神が3勝2敗で38年ぶりの日本一に王手をかけている、オリックスとの日本シリーズは舞台をオリックスの本拠地京セラドーム大阪に移し、第6戦が行われる。第6戦のスタメン、第6戦以降の先発ローテーションを予想した。

◆阪神梅野隆太郎捕手(32)が、日本一へ王手をかけた一戦でベンチ入りした。左手首付近に死球を受け骨折の診断を受けた8月13日のヤクルト戦(京セラドーム大阪)以来、約3カ月ぶりの1軍ベンチ。歓喜の瞬間へ向け、岡田彰布監督(65)がサプライズを用意した。梅野は左尺骨骨折で2軍調整を続けてきた。レギュラーシーズンでは31人までだった登録枠が、日本シリーズでは40人まで拡大したことで、1軍へ招集。ここまで5戦はベンチ入りすることはなかったが、試合前にはダッシュをこなすなど、メンバーとともに汗を流してきた。岡田監督は第4戦で左脇腹筋挫傷から復活した湯浅京己投手(24)を電撃起用。「1球火消し」成功を導き、その後のサヨナラ劇につなげている。指揮官はその際「ムードが変わると思った」と話しており、梅野の"起爆剤起用"もあるか、注目される。

◆第6戦の両チームのスタメンが発表された。阪神の先発は村上頌樹投手(25)。2勝3敗ともう後がないオリックスは、3年連続リーグ投手4冠の絶対エース山本由伸投手(25)で必勝を期す。第1戦で投げ合った2人が再び相まみえる。初戦は山本が6回途中7失点で降板。村上は7回無失点と明暗を分けた。山本が再戦でリベンジできるか注目される。打線は打撃好調の紅林弘太郎内野手(21)を3番に、4番には森友哉捕手(28)を据え、左足首痛から復帰した杉本裕太郎外野手(32)が、第5戦に続き先発。「7番左翼」での出場となった。両軍のスターティングメンバーは以下の通り。

◆38年ぶりの日本一へ、阪神のスタメンが発表された。「7番DH」では糸原健斗内野手(30)が出場。日本シリーズでは5打数2安打。2日の第5戦では、8回に代打で出場し、大逆転劇を呼び込むチャンス拡大の左前打を放っていた。先発マウンドに上がるのは村上頌樹投手(25)。オリックス先発山本とは今年3度目の対決となる。シーズン中は6月13日の交流戦で惜敗したが、同シリーズの初戦では7回無失点で勝利している。球団通算3人目となる日本シリーズ2勝目を狙う。

◆日本一をかけた一戦で、阪神はブルペンに強力な補強をかけた。先発の西勇輝と伊藤将司をベンチ入りさせた。西勇は第2戦に先発し4回途中4失点。伊藤将は第3戦に先発し5回4失点。ともに悔いの残る投球となっていた。中継ぎに回り、先発村上をいつでも助けられるようスタンバイする。

◆ファンも五分五分の勝負だ。阪神が日本一に王手をかけた一戦。中堅から左翼は阪神ファン、右翼側はオリックスファンで京セラドーム大阪が埋め尽くされた。オリックスがチャンスの時には大音量の声援が響き、阪神先発村上がストライクを入れるたびに、虎党から拍手が起こった。関西のファンの魂と魂のぶつかり合いでもある頂上決戦。勝利の女神はどちらにほほえむのか。

◆阪神木浪聖也内野手(29)が、先制のピンチを豪快なダイビングキャッチで救った。0-0の初回2死一、三塁。5番頓宮の三遊間へのライナーに飛びついた。抜けていれば先制点の大ピンチ。初回から集中力を発揮した。阪神先発の村上頌樹投手(25)はポストシーズンも含めて、今季24試合目の先発。ここまで全ての試合で初回無失点に抑えており、この試合でもゼロ発進となった。

◆<日本シリーズ:オリックス-阪神>第6戦4日京セラドーム大阪猛虎に待望の1発が飛び出した。日本一をかけた一戦で、阪神が先制した。2回1死からシェルドン・ノイジー外野手(28)が、初球のストレートを右へ。打球はぐんぐん伸びて、右翼スタンドに届いた。打たれた山本がぼうぜんとするなか、ノイジーはベースを回りながら、シーズン中も見せたことがないような派手なガッツポーズを繰り出した。レギュラーシーズンではなかった右方向への1発だった。ノイジーは「打ったのはツーシームかな。しっかり振り切ることができたし、最高の結果になってくれてうれしいよ。大事な一戦で先に得点が欲しいと思っていたし、チームに貢献することができてうれしいね」とコメントした。阪神は日本シリーズでは05年から今回の第6戦まで14試合連続で本塁打がなかった。チーム本塁打ゼロのまま日本一となれば、史上初の珍事になるところだった。阪神助っ人の日本シリーズでの本塁打は、85年第3戦でのバース以来だった。その85年以来の日本一へ、まずはノイジーが先陣を切った。

◆オリックスがまた天井に本塁打を阻まれた?2回無死一塁から杉本裕太郎外野手(32)が放った飛球は左翼線上に打ち上がり、通称「スーパーリング」に吸い込まれた。線審はエンタイトル二塁打とジャッジ。審判団で協議もしたが判定は変わらなかった。天井がなければ左翼席まで届いていたかもしれない大飛球。二塁打判定に、両軍ファンはともに何とも言えない声を漏らした。場内には「フェア地域の2枚目の天井に入りましたので、グラウンドルールでツーベースで試合再開します」とアナウンスされた。オリックスは第1戦でも森友哉捕手(28)の大飛球が天井に吸い込まれ、エンタイトル二塁打になっていた。京セラドーム大阪独自ルール 打球がフェア地域内にあるスーパーリングの内側に入り落下しない場合はボールデッドとして、打者及び走者には投球当時を基準にして2個の安全進塁権が与えられる。また打球がフェア地域上にある一番外側のスーパーリングと次のスーパーリングの間に当たった場合は本塁打とする。

◆阪神村上頌樹投手(25)が、日本シリーズ初失点を喫した。2回にシェルドン・ノイジー外野手(28)のソロ本塁打で先制した直後の2回裏、先頭のゴンザレスに中前打され、続く杉本の打球は、左翼フェア地域の天井(スーパーリング)の中に入った。ローカルルールで二塁打となり、無死二、三塁のピンチ。セデーニョは見逃し三振に取ったが、9番若月に、自己最速154キロの直球を痛打された。打球が一、二塁間を抜け、ゴンザレスがホームイン。村上は第1戦は7回無失点だったため、日本シリーズ初失点となった。さらに中川圭にも左翼フェンスぎりぎりの犠飛を打たれ、逆転を許した。

◆捕手が本職のオリックス森友哉(28)が右翼守備でチームを救った。4回2死一、三塁で近本光司外野手(28)が放った大飛球に背走。フェンスに背中をつけてジャンプ一番、キャッチした。森はダイレクト捕球を確信して、軽快な足取りでベンチに走ったが、阪神からリクエストがあったため足止め。リプレー検証の結果、判定は変わらなかった。TBS系列のテレビ中継で解説していた槙原寛己氏(60)と佐々木主浩氏(55)は「(打球が先に)当たったように見えましたね。これでフェンスに当たっていたら演技うまいですよね」などと、判定がくつがえる可能性を指摘していたが、検証結果が出ると「これは申し訳ない」「ナイスキャッチ!」と声をそろえて謝罪し、森のビッグプレーをたたえていた。

◆オリックスの紅林弘太郎内野手(21)が3番起用に応える日本シリーズ1号を放った。1点リードの5回。1死二塁から阪神村上のフォークを捉えた。打球は中堅左へと届く2ランとなり、リードを広げた。紅林は日本シリーズ3年連続出場だが、本塁打は初めて。第2戦から5試合連続安打で、第6戦の試合前時点では打率4割と好調をキープ。今シリーズ初の3番起用に一発回答だ。

◆阪神が球団公式インスタグラムで、7月18日に脳腫瘍のため28歳の若さで亡くなったOB横田慎太郎さんの背番号24のユニホームを、三塁ベンチ裏に掲げている様子を投稿した。写真とともに「さぁいこう! 共に!」とつづった。横田さんのユニホームは、同期入団の岩貞が中心となって鹿児島の実家から拝借したもの。9月14日にリーグ優勝を決めた際に、胴上げ投手となった同じく同期入団の岩崎がユニホームを握りしめ一緒に3度宙に舞った。

◆阪神村上頌樹投手(25)の日本シリーズ大一番でのマウンドは5回6安打4失点で降板となった。1点リードの2回1死二、三塁。若月に1ストライクから自己最速を2キロ更新する154キロ直球を投じたが、前進守備の一、二塁間を抜く同点の右前適時打を浴びた。日本シリーズ初失点となった。この回に中川圭の左犠飛で勝ち越し点を献上。その後、1点ビハインドの5回には紅林に2ランを浴びて4失点で降板となった。日本シリーズでは10月28日の初戦でも先発。7回2安打無失点で白星を挙げていた。この試合は3点ビハインドでの交代となり、球団3人目の同一シリーズ2勝目はならなかった。

◆阪神岡田彰布監督(65)が、2番手に西勇輝投手(32)を起用する勝負手に出た。先発の村上頌樹投手(25)が紅林に2ランを浴びるなど5回4失点で降板。1-4の6回から先発陣でベンチ入りしていた西勇を送った。レギュラーシーズンでは、プロ野球史上4位で現役最長の276試合連続、ポストシーズンを加えると281試合連続で先発登板を続けていた西勇は、12年ぶりの救援登板となった。今シリーズは第2戦で先発し、4回途中4失点で負け投手になっていたが、ベテラン右腕がチームの勝利のためにリリーフのマウンドに立った。

◆阪神の38年ぶり日本一は、最終第7戦に持ち越された。オリックスに敗れ、3勝3敗のタイとなった。阪神はオリックスのエース山本を攻略できなかった。第1戦では7点を奪ったが、この日は2回にシェルドン・ノイジー外野手(28)の今シリーズチーム初アーチとなるソロ本塁打で先制したものの、その後の2死満塁のチャンスを生かせず、追加点を奪えなかった。先発村上頌樹投手(25)は、2回に逆転を許し、5回には紅林に2ランを浴びて5回4失点。「最後なんでね、準備だけはみんなしてくれとは言っている」と話していた岡田監督は、先発の西勇輝投手(32)を2番手で送るなど執念の采配を見せたが、西勇も8回に頓宮にソロ本塁打を浴びた。仕切り直し、最終戦で勝利を、頂点をつかみに行く。

◆日本シリーズ第6戦のパブリックビューイングが4日、兵庫・西宮市の甲子園球場で行われている。午後5時時点で甲子園周辺は試合日かと思わせるような人だかりで、午後5時半の開門と同時に内野席を虎党が埋めた。無料開放ながら事前登録が必要とされ、チケットが高額転売もされたが、空席が目立つエリアはなく、多くのファンが試合を見守っている。試合開始前には阪神OBの今成亮太氏(36)がゲストで登場。「タイガース強いなと見てました。ここ近年で、今年の日本シリーズが一番おもしろい」と話し、内野席を埋める観衆から大きな歓声を受けた。中継映像に切り替わる前には、六甲おろしの大合唱。プレーボールするとスタンド全体で応援歌が歌われ、現地さながらの盛り上がりを見せている。観衆は1万3463人と発表された。目の前で試合が行われているわけでなく、開放されているのは内野席のみにもかかわらず、甲子園が揺れている。シェルドン・ノイジー外野手(28)の先制ソロ本塁打の場面では、観衆総立ちとなるなど試合さながらの盛り上がり。応援を先導するリーダーはいないが、自然発生的に応援歌が歌われ、広まっていく光景は鳥肌ものだ。1球ごとに歓声とため息が入り交じり、5回に本塁打を打たれて1-4となった際には悲鳴も響いたが、それでも阪神の逆転を信じるファンの熱気はまったく落ちていない。

◆オリックスが逆転勝ち。山本由伸投手(25)が1失点完投、14奪三振の好投を見せ日本一へ逆王手をかけた。エースがリベンジを果たした。第1戦で6回途中を自己ワーストタイの7失点で黒星。この日も2回に先制ソロを許したが粘った。直後に連打などから2死満塁とされたが三振。4回には1死一、三塁とされたが0に抑えた。5回からは2イニング連続の3者凡退で復調。7回は2死一、二塁から後続を断った。打線も先制点を失った直後に若月健矢捕手(28)の適時打で同点とすると、中川圭太内野手(27)の犠飛で勝ち越して試合をひっくり返した。5回には紅林弘太郎内野手(21)に2ラン、8回に頓宮裕真捕手(26)のソロ本塁打が生まれてリードを広げた。山本は日本シリーズ通算5試合目にして初白星。崖っぷちから3勝3敗のタイに戻して逆王手をかけた。

◆オリックスが逆転勝ち。山本由伸投手(25)が1失点完投、14奪三振の好投を見せ日本一へ逆王手をかけた。

◆オリックスの山本由伸投手(25)が14奪三振。日本シリーズ最多となる1試合最多奪三振を奪った。9回先頭の糸原から空振り三振でこの日13奪三振とすると、1死一塁から渡辺諒を見逃し三振として、新記録となる14個目の三振を奪った。これまで日本シリーズでは1試合13奪三振が最多。99年<1>戦の工藤公康(ダイエー)と07年<1>戦のダルビッシュ有(日本ハム)を越して、最多の14奪三振を奪って1失点完投勝ちとなった。

◆阪神シェルドン・ノイジー外野手が待望の日本シリーズ「虎1号」となる先制ソロをかました。両軍無得点の2回1死からオリックス山本の初球だった。高めの156キロをぶったき、打球は右翼ポール際へスタンドイン。「真っすぐに振り負けないように、しっかり強い打球を意識して振り抜きました」。一塁ベースを回ると、普段クールな助っ人はド派手なガッツポーズを繰り出し、ベンチでは仲間と激しくハイタッチして喜びを爆発させた。阪神の同シリーズでの本塁打は、03年第7戦で広沢克実が放って以来20年ぶり。助っ人に限れば、85年第3戦でレジェンド助っ人バースが記録して以来38年ぶりだった。また、レギュラーシーズンの本塁打は9本中で8本が左方向、1本が中堅方向で右側の1発がなかった。大舞台で来日初の右越えアーチを刻んだ。同シリーズ史上初の「ノーアーチ日本一」の可能性はなくなったが、第7戦への追い風になりそうだ。

◆2年連続日本一を懸けて第7戦のオリックス先発マウンドは宮城大弥投手(22)に託された。第2戦では6回無失点で快勝を呼んだ。前回対戦の印象は「本当に強いチームと感じましたし、しっかりいいところを出していかないと抑えきれないような打線」だった。22歳にして日本シリーズ5戦目となる左腕は「気負いすぎず自分らしさを出せたら」と意気込んだ。

◆阪神西勇輝投手の12年ぶりの救援登板は3回2安打1失点に終わった。3点ビハインドの6回から2番手で登板。最初の2イニングは0を並べたが、8回先頭の頓宮に4点差に広げられる左越えソロを浴びた。11年オリックス時代以来のリリーフ登板に「中継ぎのしんどさというのを久しぶりに経験した」。今回の日本シリーズは第2戦で先発。レギュラーシーズンではプロ野球史上4位で現役最長の276試合連続、ポストシーズンを加えると281試合連続で先発登板を続けていた。

◆オリックス中嶋聡監督(54)がファンへ珍指令を出した。勝利監督インタビューで両チームが王手をかけたと振られると、「この日本シリーズ、2チームしかない。どうしても勝ち負けがついちゃう。ここまでいいゲームができています。明日決戦になりますので皆さん大きい声で、声からして、のどあめ持ってしっかり応援してください」とのどあめ持参を要望した。阪神岡田彰布監督(65)はパインあめを食べていることを意識してか、笑いを誘ってファンに呼びかけた。

◆オリックスが逆転勝ち。山本由伸投手(25)が1失点完投、14奪三振の好投を見せ日本一へ逆王手をかけた。山本が14三振を奪って完投勝利。1試合14奪三振は99年<1>戦工藤(ダイエー)07年<1>戦ダルビッシュ(日本ハム)の13三振を抜くシリーズ新記録だ(延長戦では75年<4>戦外木場も13奪三振)。オリックスの完投勝利は阪急時代の78年<6>戦白石以来、45年ぶり。2桁奪三振の完投勝利は13年<2>戦田中(楽天)以来で、オリックスでは初めてだ。シリーズ通算5試合目で初勝利の山本だが、2桁奪三振は21年<6>戦に次いで2度目。シリーズで2度の2桁奪三振は97年<1>戦、01年<1>戦石井一(ヤクルト)07年<1>、<5>戦ダルビッシュ、17年<2>、<6>戦今永(DeNA)に次いで4人目のタイ記録となった。

◆阪神青柳晃洋投手(29)が、38年ぶり日本一へ、シリーズ初登板初先発で決める。オリックスに敗れ、3勝3敗のタイとなったが、5日の予告先発が発表された青柳は「回ってきたんで、最後、しっかりやるだけかなと思います。自分のピッチングがしっかりできたら、結果はついてくると思うんで」と意気込んだ。京セラドーム大阪は、今季3月31日の開幕戦で投げて以来。通算8試合で5勝1敗&防御率1・66、オリックス戦は過去2試合1勝0敗で12回無失点でダブルの相性を買われたもよう。オリックスは左腕宮城だ。「まあ本当に勝つことしか考えてないんで、どんな結果になろうと最後の最後なので、本当に1年間の集大成じゃないですけど、やりきれたらいいかなと」と勝利だけを見すえて腕を振る。

◆阪神の38年ぶり日本一は、最終第7戦に持ち越された。オリックスに敗れ、3勝3敗のタイとなった。岡田彰布監督(65)の一問一答は以下の通り。-山本は尻上がりに良くなった印象か「最初はようなかったみたいやからなあ。ようなかったやろ? まあ、あのあとやな。ホームランのあとやな」-逆に序盤はチャンスをつくれていた「まあ良くなかったからやろ。結局は」-采配で積極的に動いていった「いや、別に動いてないよ、そんなんは」-山本は2回目は違いますね「だから最初に崩したいよな」-決定打は出なかったが攻撃は機能した「まあそんなん今更言うてもしゃあないよ。今頃言うても。明日また山本が投げるんやったらのう、対策を練らなあかんけど、またピッチャーが変わるんやから、別にもうお前、1年ぐらい会えへんわ」-村上は「ああ、今日悪かったなあ。コントロールが、ボール高かったもんなあ。ブルペンでは良かった言うてたんやけどなあ。普通通り言うてたんやけどなあ」-西勇がリリーフを休ませる活躍「いや、休ますんじゃない、勝負にいってんねん。何を言うてんねん、短期決戦で休ますことなんてあるわけないやろ」-明日も総動員「総動員てベンチ入ってるもんはそら使うよ」-明日ラストバトル「まあしょうがないやんか、そんなもん、お前、3勝3敗なったんやから」-開幕もここで最後もここ「そんなん分かってることやんか、最後京セラいうのは。ピッチャーも一緒やからいいやんか」-青柳にはどんな期待を「いや、期待っていうか、もうそれは、お前、投げる以上は全力で、そらお前、抑えにいくだけやんか。期待て、お前、1年間途中抜けたけど投げとったピッチャーやから。登板が明日になったいうだけやろ。うん。ま、よかったやん投げれて」-明日は宮城「まだ決まってない、宮城は。まだ聞いてないから分からへん」-結果的に村上と西勇で終われたのは「いやいや、普通にいったらなあ、勝ちゲームでものう、最後違うピッチャーになったかも分からんけど、勝ちゲームじゃ。まあ、そのために入れてるわけやからさ」-西勇の起用は中盤を想定していたのか「いや、そうやん。別に使うところはどこでも、そんなん俺が考えることやから。結果あそこで使っただけで。もう1イニング早かったらなと思うよ。紅林だけだったからなあ」-森下が3三振「そんなん分かってるやん、いつものことやん。

◆阪神糸原健斗内野手がマルチ安打で起用に応えた。「7番DH」で日本シリーズで初の先発出場。相手先発山本に対し、2回の第1打席から154キロ直球を中前打。4回にも二遊間へしぶとく返す二塁内野安打を放った。代打など途中出場での出番が多い中、今シリーズはここまで9打数4安打。勝負強い打撃で存在感を見せている。「チームが負けてしまったので。切り替えて、全員で一丸となって戦えるように頑張ります」と球場を後にした。

◆オリックスが逆王手をかけた。3勝3敗となったシリーズは13年楽天-巨人戦以来、10年ぶり22度目。過去21度は逆王手チームの優勝が11度、追い付かれたチームの優勝が10度とほぼ互角。オリックスの3勝3敗は阪急時代の76、78、84年に次いで4度目。追い付かれた76年は日本一も、今回と同じく逆王手をかけた78、84年はV逸だった。一方、阪神の3勝3敗は64、03年に次いで3度目。過去2度とも3勝3敗に追い付かれ、<7>戦でも敗れて日本一を逃した。4勝3敗で日本一になればオリックスは47年ぶり、阪神は初めてだが、結果は?

◆捕手が本職のオリックス森友哉捕手が、右翼守備でチームを救った。4回2死一、三塁で近本の大飛球をフェンスに背中をつけてジャンプ。ダイレクト捕球を確信してベンチに走ったが、阪神からリクエストがあったため足止め。覆れば再逆転される重要なプレーだが確信はあった。「自分でもうまいこといったなと思います。よかったです。フェンスにも全然当たっていないなと思っていました」。リプレー検証の結果、判定は変わらず、最高の笑みを浮かべた。「もう、全力でいつも通りでできたら。ここまで来たからには勝って終わりたいです」と移籍1年目での日本一へ全力投球を誓った。

◆阪神中野拓夢内野手が今シリーズ3度目のマルチ安打をマークした。「前回京セラの時に自分としてもいいイメージで打席を送れていた」と第2戦までの好相性を持ち込み、3回に先頭で中前打、7回は三塁への内野安打。第1戦と合わせて山本には7打数4安打、京セラドーム大阪で12打数7安打とした。第7戦先発の宮城からも第2戦で2安打を浴びせており、今シリーズ3割8分1厘の2番打者が最終決戦のキーマンの1人だ。

◆リーグ首位打者のオリックス頓宮裕真捕手がダメ押し弾を放った。3点リードの8回、先頭で打席に入ると、阪神西勇の甘く入ったシュートを左翼スタンドで放り込んだ。「何とか先頭で塁に出ることを意識した。それがいい結果につながった」。故郷岡山の「おとなりさん」の山本を援護し、第7戦に持ち込む1発。「最後なので明るく楽しくやりたい」と決戦を見据えた。

◆阪神村上頌樹投手(25)がうなだれた。三塁側ベンチで、タオルで顔を覆い、うつむいた。5回を投げ今季ワーストタイの4失点。第1戦では7回無失点でオリックス山本に投げ勝ったが、ここ一番で「差」を見せつけられた。「やっぱり、投げる球とかすごい。(自分と山本は)全然違う」。足りないところは「全部」と即答した。こん身の1球が痛打された。1点を先制してもらった直後の2回。若月に自己最速154キロを適時打にされるなど2失点。5回には紅林に2ランを被弾。球団史上3人目となるシリーズ2勝目とはならず、38年ぶりの日本一をこの試合で決めることはできなかった。立ち止まる気はさらさらない。「スライダーくらい投げられたらいいなって思うんです」。同じ横変化のカットボールを持つが、直球に合わせてくる打者に拾われる。そんなシーンが今季たびたびあった。「そういう時に曲がりの大きなスライダーがあれば」。目指すは大きく横滑りし、120キロ台後半で相手のバットから逃げるように変化するボール。今オフにも新たにチャレンジする覚悟だ。進化し続けてみせる。今後の成長につながる試合か? と問われると「それは今後の自分次第なので。この気持ちをしっかり持って練習できるかだと思います」と言った。まだ終わっていない。あとは仲間に託すのみだが、気持ちを切らすわけには行かない。「しっかり応援して勝ってもらいたい」。願いは仲間がかなえてくれる。【中野椋】

◆日本シリーズ2連覇を示すように、2本指で力強くVの字を作った。オリックス杉本裕太郎外野手(32)の「天井打」が反撃の合図になった。「怖さもだんだんなくなっている。もう覚悟決めてやるだけだと思う。もうやるだけなんで」。そう話して迎えた崖っぷちの第6戦だった。1点を追う2回無死一塁。村上の高めを強振すると打球は左翼線上に高々と打ち上がり、天井の通称「スーパーリング」に吸い込まれた。線審はエンタイトル二塁打とジャッジ。好感触だった杉本は、二塁塁上で「本塁打じゃないの?」とアピールしたがリプレー検証の結果は変わらない。初戦の森に続いて本塁打性の打球を天井に阻まれたが、好機は二、三塁と広がった。杉本のVサインから逆転劇へとつながった。戦列復帰後、2試合目での初安打が大きな一打になった。CSファイナルステージ第4戦で左足首を負傷。シリーズ全欠場も心配されるほどの重傷だった。チーム一の長距離砲。かなりの痛手だったが、焦りを抑えて第4戦まではベンチ外。治療に専念した。復帰は想定より早い甲子園での第5戦で即先発だった。首脳陣も絶対負けられない一戦で左翼に送り出した。昨季日本シリーズMVPで、今季CSファイナルのMVP。短期決戦には欠かせないシリーズ男がやっと帰ってきた。さあ、運命の第7戦。ラオウはそのバットに一片の悔いも残すつもりはない。【柏原誠】

◆「X JAPAN」のYOSHIKIのドラムの余韻が残る場内に、オリックスの勝利を決定づける打球音が響いた。紅林弘太郎内野手の打球が、左中間スタンドに向かって伸びる。2-1の5回1死二塁。得点圏に走者を置いたときの登場曲「紅」に送られ、23年の頂上決戦を最終戦に持ち込む2ランを放った。「後ろに森さん、頓宮さんというすごいバッターがいる。ぼくはつなげるという意識で打席に入りました。すごくいい感触で捉えられました」21歳8カ月での日本シリーズ本塁打は、球団最年少タイ記録。昨年第7戦(対ヤクルト)の太田と並んだ。今シリーズ初のスタメン3番起用に、中押し2ランで応えた。阪神に王手をかけられて迎えた第6戦。中嶋聡監督は「3番・遊撃・紅林」という勝負手を打った。ロッテとのCSファイナルステージで左手首を痛めた。今も防具や試合後のケアは欠かせない。だが第2戦から4試合連続安打をマークし、打率を4割まで上げてきた紅林を3番に抜てき。その起用がはまった。「期待して出したんですけど、まさかのホームランでびっくりしました」。監督の期待を超えた。巨人坂本のように攻守の活躍を期待され、19年ドラフト2位でオリックスの一員に。打撃は華々しく、堅守も代名詞。今年の球宴で、西武源田と話す機会に恵まれた。侍ジャパンの守備の要に「投げるのも足で、捕るのも全部足で、腕でやっちゃいけないというのを聞けました。グラブさばきは最後の手段、基本足でと聞いたので、足を使って、若いんで、やっていきたいです」と守備の意識をいっそう高めた。この日も堅守で山本を助け「日本シリーズ初戦もああいう感じだったんで、今日はやってくれるだろうと思って後ろから見ていました」と大エースいじりも忘れなかった。チームを勢いづけ、和ませた活躍。新たなシリーズ男が誕生した。【堀まどか】21歳8カ月の紅林が5回にシリーズ初本塁打。オリックスでは昨年<7>戦太田の21歳8カ月に並び、球団最年少での本塁打となった。また、シリーズに3年続けて出場している紅林の安打数は、21年7本、22年8本、23年7本で通算22安打。21歳までのシリーズ通算安打では、86~88年清原(西武)の22安打に並ぶ最多となった。清原は19歳の86年が11本で、87年5本、88年6本の計22本。

◆阪神佐藤輝明内野手は山本からの一打をかみしめた。2回1死、ノイジーに先制弾が生まれた直後の第1打席。カウント1-2から125キロカーブを右中間へ運んで二塁打とした。「いいボール。日本一の投手なので」。好投手からの1本をプラスに捉え、第7戦に向け「最後なんで、はい。しっかり頑張ります」と意欲を燃やした。

◆これぞエースの投球だ! オリックスが山本由伸投手(25)の快投で、3勝3敗のタイに持ち込み、2年連続日本一へ逆王手をかけた。第1戦で6回途中7失点で降板したが、きっちりと修正。今季最多138球で日本シリーズ新記録となる14奪三振で1失点完投。今オフにポスティングシステムを使ってのメジャー挑戦が有力視されており、日本での「ラスト先発」で日本シリーズ初勝利を挙げた。失った1点を味方が取り返した瞬間、山本はベンチ後方から飛び出し、手をたたいた。ともに戦う味方のために、1球1球に思いを込めた。「先制点を与えてしまったんですけど、調子は良かったのでしっかり落ち着いて投げることができたと思います」。2回1死からノイジーに先制ソロを献上。そこからは堂々としたいつものエースの姿だった。佐藤輝、糸原に連打を浴び1死一、三塁のピンチを招いたが、木浪、近本の巧打者を三振。終わってみれば、日本シリーズ新記録の14奪三振。「みんな心配しているのかなと思ってマウンドに上がりました」。お立ち台では周囲の思いを見透かしたように、さわやかに笑った。10月28日の第1戦(京セラドーム大阪)に先発したが、自己ワーストタイ7失点を喫し6回途中で降板し敗戦。今シリーズ2度目となった阪神村上とのマッチアップで、もう負けるわけにはいかなかった。7回終了後、球数を数えていた山本に「球数制限ないよ」と声がかかった。声の主は中嶋監督。そんな冗談も聞きながら、今季最多138球を投げての完投。5度目の先発で日本シリーズ初勝利を挙げた。シーズン開幕直前、侍ジャパンの一員として頂点に輝いた。学んだのは一流の技術だけではない。「WBCでは毎試合、大事になる試合を戦えた。1試合に対してしっかり入りこむという部分はすごく勉強になりました」。全てが負けられない1試合。オリックスのユニホームに戻っても、思いはより強くなった。世界一に輝いた夜。「来る?」。ダルビッシュが自分の部屋へと、山本ら投手陣を誘ってくれた。「印象に残ったシーンはどこ?」。熱い時間をともにした誰もが話は尽きない。ジュースを片手に朝方まで語り合い、濃密な日々を振り返った時間。再びそれぞれの進化を目指すためのスタートラインになった。エースがつないだ逆王手。2年連続の日本一へ勢いはついた。「明日しっかり決めて中嶋監督を日本一の監督にしましょう!」。エースの大号令だ。【磯綾乃】山本由伸(やまもと・よしのぶ)1998年(平10)8月17日、岡山県生まれ。都城では甲子園出場なし。16年ドラフト4位でオリックス入団。22年6月18日西武戦、今年9月9日ロッテ戦でノーヒットノーラン。21~23年に史上初めて3年連続4冠(勝利、勝率、奪三振、防御率)を達成し、3年連続沢村賞。21、22年最優秀選手。19年プレミア12、21年東京五輪、23年WBCで優勝。今季推定年俸6億5000万円。178センチ、80キロ。右投げ右打ち。ポスティングシステム 海外FA権取得前に大リーグへ移籍できる制度。申請期間は今月1日に始まり、12月15日まで。申請手続き後、交渉期間が45日間ある。日本球団への譲渡金は、選手の契約で保証される額によって変動する。

◆オリックスが逆転勝ち。山本由伸投手(25)が1失点完投、14奪三振の好投を見せ日本一へ逆王手をかけた。今シリーズの得点はオリックス23点、阪神23点と6試合を終えて同点。3勝3敗時点で両軍とも得失点差0は、64年阪神-南海以来2度目。この時はともに<6>戦まで19得点(19失点)で、59年ぶりの関西対決は今回も互角のまま<7>戦を迎えることになった。

◆オリックスが3勝3敗のタイに戻した。山本由伸投手(25)がシリーズ記録の14奪三振で1失点完投。打線も奮起した。オリックス中嶋聡監督(54)が勝利監督インタビューでファンに向けて発した「のどあめ持って、しっかり応援してください」がSNSでも話題になった。「のどアメ対パインアメやん!」「オリックスがパインアメに対抗しようとしてる」「大阪といえばアメちゃん」と両軍ファンが書き込んだ。中嶋監督が阪神岡田彰布監督(65)の好物パインアメを意識したかは不明だが、運命の第7戦が意外すぎる「アメちゃん論争」で盛り上がってきた。

◆オリックスが逆転勝ちし、2年連続の日本一へ逆王手をかけた。山本由伸投手(25)が9回9安打1失点完投勝ち。第1戦では自己ワーストタイの7失点でKO。お立ち台では「みんなは心配しているだろうなと思ってマウンドに上がりました」と話したが、不安を吹き飛ばす快投。日本シリーズ1試合最多となる14奪三振の新記録をたたき出した。山本のヒーローインタビュー一問一答は以下の通り-声援を聞いて皆さんの声援に背中を押されて最後まで投げることができました。-第6戦の先発マウンドはどんな思いで調子もしっかり上げてこれたんで、みんなは心配しているだろうなと思ってマウンドに上がりました。-心配を吹き飛ばした先制点を与えてしまったんですが調子よかったのでしっかり落ち着いて投げることができたと思います。-14Kは新記録本当に若月さんのおかげですね(隣の若月の肩をポンとたたく)。-新記録は気づいていたか三振をとれているのは気付いていましたが、とにかく1イニングに集中して、気にしないように投げました。-若月の同点タイムリーで追いついた4戦目にすごい悔しい思いをしているのを見ていたのでやってくれると思っていました。

◆オリックス中嶋聡監督(54)が日本シリーズ記録の14奪三振で完投した山本由伸投手(25)を絶賛した。勝利監督インタビューでは「今日はリミットないよ」と試合終盤に伝え、1試合を託していたことを明かした。さらに第1戦で7失点KOされたことで、フォーム修正を加えていたことも明かした。「微調整で、テクニック的なものだと思うんですけど。(報道陣に)分からない? 足の上げ方ちょっと変わっていたけど。初回から『おっ』て思いましたけどね。いろいろ試行錯誤しながらずっとやっていますから。ぴったりハマったと思いますね」と、修正能力の高さに舌を巻いた。

◆オリックスが2年連続の日本一へ逆王手をかけた。紅林弘太郎内野手(21)の5回2ランは、球団最年少タイの21歳8カ月で日本シリーズ弾。3番起用はいつ告げられたか問われ、「監督からは言われなかった」と返答し、場内笑いが起こった。紅林のヒーローインタビュー一問一答は以下のとおり-相手が王手をかけた状態。どんな気持ちで試合に今日は3番に入ったんですけど、そこは気にせず、いつも通り求められたところで求められた仕事をしようと思って打席に入りました。-3番でいくぞといつ言われた(質問2回聞き返し笑い起こる)その...監督からは言われなかったんですけど...。まあ、そう、うっす(笑い)。-5回は走者二塁での打席もう後ろに森さん頓宮さんというすごい打者がいる。そこにつなげるという気持ちで打席に入りました。-スタンド一直線すごいいい感触でとらえられました。-CSで由伸さんがああいう感じだったと日本シリーズ初戦もああいう感じだったので、今日はやってくれるだろうと思って後ろから見ていました。

◆オリックスが逆転勝ち。山本由伸投手(25)が1失点完投、14奪三振の好投を見せ日本一へ逆王手をかけた。オリックス厚沢投手コーチ(山本について)「今日は由伸で決着をつけるというのを決めていた。(第5戦の中継ぎは)禁じ手かもしれないけども、おとといはおとといで大事な試合だった。スイッチを切り替えてもらって。難しかったと思いますけど。

◆8月に死球で左尺骨を骨折した阪神梅野隆太郎捕手が、今シリーズ初めてベンチ入りした。レギュラーシーズンでは31人までの登録枠が40人に拡大され、1軍に合流していた。出場機会はなかったが「ベンチに入れてよかった。しっかり準備して入りたい」と語り、ベンチ入りは不透明ながら第7戦に向けて集中力を高めた。試合前練習ではダッシュをこなしたが、フリー打撃を行わず、シートノックではノッカーに球を渡す"ボールボーイ"で仲間を支えた。

◆日本シリーズ2連覇を示すように、2本指で力強くVの字を作った。オリックス杉本裕太郎外野手(32)の「天井打」が反撃の合図になった。「本塁打と思ったので残念でした。でもそのあと2点入ったので、もういいやと思いました」。1点を追う2回無死一塁。村上の高めを強振すると左翼線上に高々と打ち上がり、天井の通称「スーパーリング」に吸い込まれた。線審はエンタイトル二塁打とジャッジ。初戦の森に続いて本塁打性の打球を天井に阻まれたが、笑顔満面のVサインから逆転劇へとつながっていった。弾道測定器トラックマンによると120メートル飛んでいたという。この事実も長距離砲にとってはうれしいオマケとなった。戦列復帰後、2試合目での初安打が大きな一打になった。CSファイナルの第4戦で左足首を負傷。シリーズ全欠場も心配されるほどの重傷だった。焦りを抑えて第4戦まではベンチ外。治療に専念した。復帰は想定より早い甲子園での第5戦。即先発だった。首脳陣は絶対負けられない一戦で左翼に送り出した。「感覚が良くなってきて、球の見え方もよくなってきている。ケガしているから打てない、では言い訳になる。試合に出る以上は忘れてやっています。ラスト1試合なので頑張ります」と頼もしい。昨季日本シリーズMVPで、今季CSファイナルのMVP。短期決戦に欠かせないラオウは、そのバットに一片の悔いも残すつもりはない。【柏原誠】

◆オリックスの女房役がバットでエースを援護した。1点を先制された直後の2回。1死二、三塁から若月健矢捕手が阪神村上の154キロを右前へ運び、同点とした。「このシリーズはバットで貢献できていなかった。由伸の気持ちも切らしたくなかったですから良かった」。捕手としては山本を好リードし、攻守でチームを支えた。お立ち台では「泣いても笑ってもあと1試合。明日も全員で勝ちましょう」と呼びかけた。

◆オリックスが逆転勝ち。山本由伸投手(25)が1失点完投、14奪三振の好投を見せ日本一へ逆王手をかけた。▽オリックス若月健矢捕手(山本について)「気持ちも含めて前回と違った。今日はコースも間違いなかった。2回はホームランを打たれて動揺した感じがありましたけど、それ以外はほとんど完璧。

◆オリックス中川圭太内野手が勝ち越しの犠飛を放った。2回に若月の適時打で追いつき、なおも1死一、三塁で阪神村上の142キロ直球を捉えて左翼フェンスぎりぎりまで飛ばす犠飛。この1点が決勝点になった。三塁走者は左足首に不安を抱えた杉本。痛みと闘いながら試合に出続ける姿を目の当たりにしているだけに「ラオウさんの覚悟を知っているので。なんとかラオウさんに楽にホームにかえってきてもらえる打球を、と思って打ちました」と殊勲の犠飛を振り返った。

◆オリックスの若月健矢捕手(28)が試合終了直後に山本由伸投手(25)と熱い抱擁を交わした。試合後に報道陣から話を振られると、「ほんといろんな感情がありますよね。まあ、いろんな感情がある。なにとは言えませんけど、いろんな感情があります」と話した。山本は今オフにポスティングシステムでのメジャー挑戦が有力視されている。若月は山本の専属捕手として戦ってきており、この日のマウンドが「日本ラストバッテリー」となる可能性が高い。

◆阪神3番森下翔太外野手は山本に4打数無安打、3打席連続の空振り三振に倒れた。8回2死一、二塁の好機では内角高め153キロに詰まらされて二飛。「低めに集める能力と、簡単にカウント取ってくる時と、制球するのがいいなっていうのはすごく感じました」。第5戦では逆転の2点三塁打を放ったが、3年連続リーグ4冠のエースに脱帽。山本には第1戦と合わせて7打数無安打、5三振と完敗した。

◆オリックス山本由伸投手(25)が日本シリーズ記録の14奪三振で1失点完投勝利を挙げた。日本一の行方を最終戦に持ち越す、大エースの力投だった。その姿と状況に、一部の野球ファンの間では「第7戦でマー君の再現あるか」と話題になっている。「これはもしかして...」「何かが起こりそうな気がする」「まさに10年前と同じ」と当時を知るファンは色めき立った。3勝3敗になったのは13年の楽天-巨人以来10年ぶり。第6戦で楽天田中将大が160球を投げながら完投負け。翌日の第7戦の最終回に抑えとして登場し、初日本一の胴上げ投手となった。星野仙一監督が球審に顔を近づけ「田中!」と叫んだシーンは有名だ。田中は、今年の山本と同じように翌年からのメジャー移籍が濃厚とされる状況だった。今回、山本の球数は138球。オリックスの9回は通算250セーブに到達した守護神・平野佳寿(39)が控える。山本が第7戦でベンチ入りする可能性は低いようだが、中嶋聡監督が「山本!」と叫ぶドラマを期待するほど、山本の投球は熱かった。

◆2年連続の日本一に逆王手をかけたオリックスは、エース山本由伸投手(25)が第7戦のベンチ入りメンバーから外れる見込みとなった。第6戦では138球で1失点完投し、日本シリーズ初勝利を挙げた。第7戦は宮城大弥投手(22)が先発。第2戦でも6回無失点と好投するなど抜群の安定感を誇っているが、厚沢和幸投手コーチ(51)は「明日は宮城をはじめ、それこそもう全員で」と語り、他の先発陣もバックアップでベンチ入りする見通し。ただ、山本はベンチの外から仲間の奮闘を見守ることになりそうだ。

◆これぞエースの投球だ! オリックスが山本由伸投手(25)の快投で、3勝3敗のタイに持ち込み、2年連続日本一へ逆王手をかけた。第1戦で6回途中7失点で降板したが、きっちりと修正。今季最多138球で日本シリーズ新記録となる14奪三振で1失点完投。今オフにポスティングシステムを使ってのメジャー挑戦が有力視されており、日本での「ラスト登板」で日本シリーズ初勝利を挙げた。最後まで守り抜く。これが正真正銘の山本だ。「やっと終わったと。最後出し切っていたので、すごく良かったです」。メジャー挑戦が有力視されるエースにとって"ラストマウンド"。138球に気持ちを込めると、託してくれた指揮官と固く手を握った。「みんな心配しているのかなと思ってマウンドに上がりました」。お立ち台では周囲の思いを見透かしたように、さわやかに笑った。2回にノイジーに先制ソロを献上したが、すぐに堂々とした姿に。さらに連打を浴び1死一、三塁のピンチを招いたが、木浪、近本の巧打者に2三振。7回終了後、ベンチ裏で球数を数えていると「制限ないよ」と声がかかった。声の主は中嶋監督。そんな冗談も聞きながら、日本シリーズ新記録の14奪三振。5度目の先発での初勝利だった。10月28日の第1戦(京セラドーム大阪)に先発したが、自己ワーストタイ7失点を喫し敗戦。「6戦目まではもう1回まわってくるだろうなと思ったんで、とにかく集中した」。仲間を信じ、次の1戦だけに思いをかけた。シーズン開幕直前、侍ジャパンの一員として頂点に輝いた。学んだのは一流の技術だけではない。「WBCでは毎試合、大事になる試合を戦えた。1試合に対してしっかり入りこむという部分はすごく勉強になりました」。全てが負けられない1試合。オリックスのユニホームに戻っても、思いはより強くなった。世界一に輝いた夜。「来る?」。ダルビッシュが自分の部屋へと、山本ら投手陣を誘ってくれた。「印象に残ったシーンはどこ?」。熱い時間をともにした誰もが話は尽きない。ジュースを片手に朝方まで語り合い、濃密な日々を振り返った時間。再びそれぞれの戦いに向かうスタートラインになった。熱投がつないだ逆王手。2年連続の日本一へ勢いはついた。「明日はなんとかみんなで勝っていい締めくくりにしたいです」。第7戦はベンチ入りメンバーから外れる方向。それでもともに戦う気持ちは変わらない。「明日しっかり決めて中嶋監督を日本一の監督にしましょう!」。エースの大号令だ。【磯綾乃】山本由伸(やまもと・よしのぶ)1998年(平10)8月17日、岡山県生まれ。都城では甲子園出場なし。16年ドラフト4位でオリックス入団。22年6月18日西武戦、今年9月9日ロッテ戦でノーヒットノーラン。21~23年に史上初めて3年連続4冠(勝利、勝率、奪三振、防御率)を達成し、3年連続沢村賞。21、22年最優秀選手。19年プレミア12、21年東京五輪、23年WBCで優勝。今季推定年俸6億5000万円。178センチ、80キロ。右投げ右打ち。ポスティングシステム 海外FA権取得前に大リーグへ移籍できる制度。申請期間は今月1日に始まり、12月15日まで。申請手続き後、交渉期間が45日間ある。日本球団への譲渡金は、選手の契約で保証される額によって変動する。

◆決戦の日曜日よ。岡田阪神がオリックスに逆王手をかけられた。エース山本由伸投手(25)に日本シリーズ記録の14三振を献上して9回1得点の完投負け。3勝3敗のタイに持ち込まれた。泣いても笑って今年ラストゲームとなる第7戦。岡田彰布監督(65)は改めて総動員で大一番に臨む決意を語った。逆王手をオリックスにかけられた岡田監督はサバサバとした表情だった。「まあしょうがないやんか、そんなもん。3勝3敗になったんやから」。勝った方が日本一の第7戦、先発は今季開幕投手の青柳に託す。 「期待っていうか、投げる以上は全力で抑えにいくだけやんか。1年間途中抜けたけど投げとったピッチャーやから。ま、よかったやん。投げれて」今季8勝6敗。昨季まで2年連続セ投手3冠だけに物足りない数字だが、経験豊富な変則右腕が先陣を切る。京セラドーム大阪は今季の開幕戦勝利を含め通算8試合で5勝1敗。防御率1・66と得意にしている。オリックス戦は過去2戦1勝0敗で12回無失点と好相性を買った。この日もベンチ入りした伊藤将もロングリリーフで待機。登板のなかったブルペン陣も2日間休養と万全の態勢でそろう。「総動員てベンチ入ってるもんは、そら使うよ」と総力戦で挑む。決めにいった第6戦は4失点の先発村上を5回で諦め、6回からは第2戦で先発した西勇を投入。ラスト第7戦も短期決戦モードのスペシャル起用法で挑む。打線は来季メジャー挑戦が有力視されている山本に9回1得点。9安打は放ったが、シリーズ記録の14奪三振を食らった。「最初はようなかったみたいやろ。ホームランのあとやな。最初に崩したいよな」と歯がゆさをにじませ、2回ノイジーの先制ソロのあと1死一、三塁の好機を生かせなかったことを悔やんだ。球団では過去3勝3敗となったシリーズで2度とも負けている。64年の御堂筋シリーズではスタンカに2試合連続完封を許して南海に敗れた。03年の星野阪神はダイエーの新人左腕和田に完投負けしている。いずれも第6戦で逆王手をかけられた試合だ。オリックス先発は第2戦で6回無失点と抑えられた左腕宮城。運命を握るラストゲーム。岡田阪神が球団史を塗り替える。【石橋隆雄】

◆阪神中野拓夢内野手がシリーズ3度目のマルチ安打で気を吐いた。「前回京セラの時に自分としてもいいイメージで打席を送れていた」。第2戦までの好相性を持ち込み、3回に先頭で中前打、7回は三塁への内野安打。第1戦と合わせて山本には7打数4安打、京セラドーム大阪で12打数7安打とした。「泣いても笑ってもあと1試合。チームのために最後まで頑張りたい」。第7戦先発の宮城にも第2戦で2安打を浴びせるなど、今シリーズは打率3割8分1厘。好調の2番が最終決戦でも気を吐く。

◆オリックスが逆転勝ち。山本由伸投手(25)が1失点完投、14奪三振の好投を見せ日本一へ逆王手をかけた。日本シリーズ・ニッカンMVP査定 オリックスはシリーズ新の14奪三振で完投のエース山本が文句なしの最高評価。価値ある2ランの紅林は56年豊田泰光、58年稲尾和久(ともに西鉄)に次ぐ21歳でのMVPもある。

◆【日刊スポーツ西日本写真映像チームのとっておき映像プレイバック】京セラドーム大阪に戻った日本シリーズ第6戦。おそらく日本最終登板となるオリックス山本由伸が、シリーズ記録となる14奪三振で完投勝利。阪神なんば線シリーズもいよいよ最終決戦です。

◆先発登板する阪神・村上頌樹投手(25)は試合前練習でキャッチボール、ショートダッシュなどで調整。オリックス・山本とのシリーズ2度目の投げ合いを前に「いつも通り自分の仕事をしたい」と意気込んでいた右腕は午後4時50分に練習を終え、準備を完了させた。野手では森下翔太外野手(23)がフリー打撃で17スイング中、1本の柵越えで調整。左翼フェンス直撃の打球も放つなど、力強い打球を連発した。第3戦から3試合連続打点中と勢いに乗るルーキーが、日本一に導く一打に向けて精力的に体を動かした。

◆阪神・佐藤輝明内野手(24)が試合前フリー打撃で快音を響かせた。4スイング目を右翼5階席に着弾させると、3連発。京セラのファンから大きなどよめきとともに拍手がわきおこった。11スイング目にも5階席へ運ぶとまたも拍手。最終19スイング目にもアーチをかけ、柵越え6本で締めた。佐藤輝は日本シリーズで打率・158と不振。優勝に王手をかけた大一番で勝利につながる一発をかける。

◆阪神が38年ぶりの日本一に王手をかけて臨む4日の日本シリーズ第6戦(4日、京セラ)に合わせて本拠地・甲子園球場でパブリックビューイングが開催される。開門時間が迫り、虎党が球場周辺に続々と駆け付けた。入場無料券(全席指定)は前日3日、ローソンチケットで配布したところ、15分で予定枚数終了となった。全席指定だが、開門前には約200メートルの列ができ、通常開催時のような熱気に包まれた。開門は予定時刻を15分繰り上げられた。場外のグッズ売り場も大盛況で長蛇の列ができた。球場外の看板には「阪神タイガースの応援のみに制限し、阪神以外の応援行為及び他球団の帽子、服装の着用、他球団の応援グッズの使用を禁じる」と掲示されている。観覧エリアは内野スタンドのみでバックスクリーンのビジョンに試合中継が放映される。当日は入場者全員に応援メッセージポスターがプレゼントされ、阪神OBの今成亮太氏がゲストで登場。球場内ではグッズや飲食物も販売される。

◆阪神が試合前の練習を終えると、虎党から拍手が沸き起こった。また午後5時45分にシートノックを終えたときにも拍手が送られ、ベンチ前の円陣でナインが士気を高めると、再び拍手が起こった。阪神はここまで3勝2敗とリードしており、38年ぶりの日本一に王手をかけている。甲子園では第6戦のパブリックビューイングが行われるなど、ファンの日本一への期待は高まっている。

◆両チームの先発メンバーが発表され、阪神は村上頌樹投手(25)が日本一まであと1勝の先発マウンドに上がる。オリックス・山本との投げ合いはレギュラーシーズンを含め今季3度目。同世代の沢村賞投手に投げ勝って頂点を目指す。打線では「7番・DH」に糸原健斗内野手(30)が名を連ねた。

◆両チームのベンチ入りメンバーが発表され、阪神は梅野隆太郎捕手(32)、伊藤将司投手(27)、西勇輝投手(32)がベンチ入りした。梅野は8月13日のヤクルト戦(京セラ)で左手首付近に死球を受け、戦線を離脱。懸命にリハビリを続け、日本シリーズ出場の40人枠に名を連ねていた。シリーズでは初のベンチ入りとなる。第2戦で先発した西勇、第3戦で先発した伊藤将はブルペン待機し、盤石の布陣で日本一に向けた残りひとつの白星をつかみにいく。

◆両チームのスタメンが発表され、対戦成績2勝3敗で負けられないオリックスは第1戦で登板した山本由伸投手(25)が先発。対戦成績をタイに戻すため、快投を目指す。早い段階で山本を援護したい打線は「4番・右翼」に森友哉捕手(28)が座る。今シリーズは22打数6安打で打率・273だが、打点はまだ挙げられていない。走者をかえす一打に期待がかかる。右翼の守備にまわっているスラッガーにとっては意地の見せ所だ。また、今シリーズで初めてマーウィン・ゴンザレス内野手(34)、レアンドロ・セデーニョ内野手(25)の両助っ人が同時にスタメンに名を連ねた。

◆オリックスはこの日、今シリーズで初めてマーウィン・ゴンザレス内野手(34)、レアンドロ・セデーニョ内野手(25)の両助っ人が同時にスタメンに名を連ねた。中嶋聡監督(54)の日替わり打線はSNSでも話題となり、タレント、アンミカ(51)の「白って200色あんねん」をもじった「聡のオーダーって200種類あんねん」といった声も上がった。

◆阪神・村上頌樹投手(25)が一回にピンチを招いたが、木浪聖也内野手(29)が好守備で救った。先頭の中川圭に左前打、宗の犠打で1死二塁。紅林の四球と森の中飛で一、三塁とピンチが広がったが、バックが右腕を助けた。頓宮の痛烈な打球を遊撃・木浪が半身になりながらジャンプして腕を伸ばし好捕。遊直にして村上を救い、相手に先制のホームは踏ませなかった。

◆阪神のシェルドン・ノイジー外野手(28)が値千金の一発を放った。0-0の二回1死。山本の初球156キロ直球を捉えた。高々と舞い上がった白球はドームの天井をなぞるようにグングン伸びる。右翼席への着弾を見届けた助っ人は一塁ベースを周ったところで大きくガッツポーズ。レギュラーシーズンの9月23日、ヤクルト戦(神宮)で放って以来の一発は、今シリーズの阪神第1号となった。

◆阪神のシェルドン・ノイジー外野手(28)が二回、オリックスの先発・山本由伸投手(25)から右方向へ先制本塁打を放った。阪神はこれがこのシリーズのチーム初本塁打。ポスティング制度によるメジャー移籍が実現すれば、この日がNPB最終登板になる山本からの一発にSNSの虎党は「ノイジーがメジャーのスカウトに見つかってまう」と大はしゃぎ。ドジャース、アスレチックスで3シーズンプレーし、今季阪神入りしたノイジーはレギュラーシーズンでは打率・240、9本塁打の成績だったが、かつてのサイヤング賞投手のDeNA・バウアーからは9打数4安打1本塁打で打率・444。SNSでは「バウアーからも打ってるし、メジャー級しか打てないのか」といった声も上がった。

◆阪神・佐藤輝明内野手(24)が気迫のプレーでチャンスを演出した。二回、ノイジーの先制弾が飛び出すと、打線に火が付いた。直後の佐藤輝がオリックス・山本のカーブをとらえ、右中間前方へ。佐藤輝は一塁ベースを迷いなく蹴り、二塁にヘッドスライディングして二塁打とした。続く糸原も中前打で続いて一、三塁。木浪は見逃し三振に倒れるも、坂本は死球で満塁に。しかし、近本が空振り三振に倒れて、追加点を挙げることができなかった。

◆二回に先制ソロを放った阪神のシェルドン・ノイジー外野手(28)が球団広報を通じてコメントを出した。「打ったのはツーシームかな。しっかり振り切ることができたし、最高の結果になってくれてうれしいよ。大事な一戦で先に得点が欲しいと思っていたし、チームに貢献することができて嬉しいね。次の打席も打てるように頑張るよ」0-0の二回1死。山本の初球156キロ直球を捉えた。レギュラーシーズンの9月23日、ヤクルト戦(神宮)で放って以来の一発は、今シリーズの阪神第1号となった。

◆阪神・村上頌樹投手(25)が連打でピンチを招き、逆転を許した。二回先頭のゴンザレスに中前へはじき返されると、杉本の高々と上がった打球は京セラドーム天井にあるリング2枚目に入り、二塁打の判定に。無死二、三塁とされた。セデーニョを内角の直球で見逃し三振に仕留めが、若月に右前へ同点打を許して試合を振り出しに戻された。なおも一、三塁で中川圭の左翼への犠飛で勝ち越し点を献上した。

◆阪神が好機を逃した。1-2の四回。1死から糸原が二塁内野安打を放つと、木浪の打席でエンドラン。木浪が左前打を放って1死一、三塁と好機を作った。しかし坂本が空振り三振で2死。1番・近本が打席に向かう。その初球、157キロ直球を捉えると白球は右翼フェンスへ。右翼・森がジャンプしてキャッチし判定はアウト。岡田監督はリプレー検証を要求したが判定は覆らなかった。

◆阪神が38年ぶりの日本一に王手をかけて臨む4日の日本シリーズ第6戦(4日、京セラ)に合わせて本拠地・甲子園球場でパブリックビューイングが開催された。球団マスコットが粋な出塁で球場を盛り上げた。1点を追う四回、阪神の攻撃で、1死から糸原が二塁への内野安打で出塁すると、ラッキーが無人のグラウンドに現れ、一塁ベースへ。さらに木浪が左前打を放つと、一気に三塁まで出塁し、キー太が一塁ベースに立った。球団マスコットが京セラドームと同じ、一、三塁の状況を甲子園球場で作り、得点を願ったが、坂本は三振、近本は右飛に倒れて無得点。2者残塁に終わった。

◆「4番・右翼」で先発したオリックス・森友哉捕手(28)が四回、本職ではない右翼の守りで京セラドームを沸かせた。2-1の四回、2死一、三塁のピンチで阪神・近本が放ったフェンス際の大飛球をジャンプ一番で好捕。キャッチした際にグラブがフェンスのクッション部分が大きくへこんで見えたことで、フェンス直撃安打を主張した三塁ベンチの阪神・岡田監督はリクエストを要求した。リプレイ映像には森がダイレクトキャッチをしている場面がはっきりと映っており、判定はアウトのまま覆らず。1点差の緊迫したゲームで阪神の貴重なリクエスト1を削った。

◆「遅れてきた男」がチームに活を入れた。「7番・左翼」で第5戦に続き今シリーズ2試合目のスタメン出場となったオリックス・杉本が1点を先制された二回に奮起。今シリーズ初安打を放ち、逆転につながるチャンスメークをしてみせた。先頭のゴンザレスが中前打で出塁して迎えたこの日の初打席。1-1から内角高め直球を思い切り振り抜いた。高々と打ち上げられた打球は京セラドームのフェアゾーンの天井のリング内側に飛び込んだ。審判団による協議の上、球場ルールにより二塁打となった。今シリーズ初安打で無死二、三塁とチャンスをつくった。さらに1死後、若月が1ボールから外角への154キロ直球を右前にはじき返して1-1の同点。続く中川圭が左翼フェンス手前への犠飛を上げて2-1と勝ち越した。チームきっての長距離砲が遅ればせながらのパワー発揮だ。日本シリーズ進出を決めたロッテとのクライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージ第4戦の打席で左足首を痛めて、今シリーズは第4戦まで欠場。2日の第5戦で「5番・左翼」のスタメンで初出場にこぎつけたが、3打数無安打で七回には代打が送られ試合も敗れた。それでも「トレーナーさんもずっと治療してくれました。感謝しています。まだやり返すチャンスはある。2勝したらいいんで」と努めて明るくふるまい、負ければ2年連続日本一の夢がついえてしまう崖っぷちで存在感をみせた。

◆王手をかけた虎の背中を大きく押す1点が、スコアボードに刻まれる。ノイジーが貴重な先制点を生み出した。力勝負で白球をスタンドに届かせた助っ人は、ベンチに戻るともみくちゃにされて祝福を受けた。「しっかり振り切ることができたし、最高の結果になってくれてうれしいよ。大事な一戦で先に得点が欲しいと思っていたし、チームに貢献することができてうれしいね」オリックスの先発は第1戦と同じ山本。前回対戦では7点を奪ってKOしたとはいえ、パ・リーグ3年連続4冠の好投手。村上と最優秀防御率同士の投げ合いは、どちらが先に得点を奪うかが重要だった。二回1死まで走者を許さず、順調に飛ばしていた山本を背番号7がたたいた。初球の156キロツーシームにアジャスト。右方向に高々と舞い上がり、オリックスの右翼・森がゆっくりと下がってフェンスにつく。白球はその上を越え、スタンド最前列に吸い込まれた。逆方向も何のその。レギュラーシーズンではわずか9本塁打だった男が、9月23日のヤクルト戦(神宮)以来の一打を放ち、頂上決戦でその真価を発揮した。日本シリーズもレギュラーシーズン同様6番で開幕したが、第3戦からは打順を上げて5番に座る。5試合を終えて19打数4安打で打率・211。ハイアベレージではないながらも、つなぎの打撃で打線を回してきた。これまで打点は挙げていなかったが、ひと振りで得点を刻んだ。ノイジーの一発が、阪神の今シリーズ初本塁打。球団では2003年第7戦の広沢克実以来、実に20年ぶりの日本シリーズ弾が第6戦にやっと記録された。虎の外国人選手だと1985年第3戦のバース以来となる一発だった。3勝2敗と王手をかけて迎えた第6戦。1勝1敗で甲子園に映ったチームは初戦こそ接戦で落としたものの、第4戦を劇的サヨナラ勝利、第5戦を0―2の八回に一挙6得点を奪う大逆転勝利で王手をかけ、京セラに乗り込んだ。岡田監督は王手をかけた2日の試合後、「もうそら、あしたよ」と足踏みナシでの日本一達成を宣言していた。1985年以来38年ぶりの日本一まであと一つ。すぐそこに迫った頂を手にするため、頼れる助っ人が口火を切った。(中屋友那)

◆阪神・村上頌樹投手(25)が痛恨の2ランを被弾した。1―2の五回だ。先頭の中川圭に中前打、宗の犠打で1死二塁。ここで打席には2打席連続で四球で歩かせている紅林を迎える。そして2球目の甘く入ったフォークをとらえられ、左中間に運ばれた。一発を浴びた右腕は腰に両手を当てながら悔しそうな表情を浮かべた。村上は五回までで3四球。レギュラーシーズンの最多は1試合2四球だった男が、勝負所での制球に苦しんだ。

◆オリックスは2-1の五回、「3番・遊撃」で先発した紅林弘太郎内野手(21)に左中間越え2ランが飛び出し、4-1とリードを広げた。この回先頭の中川圭太内野手(27)の中前打と犠打でつくった1死二塁で、前の2打席はともに四球を選んでいた迎紅林は村上の1ストライクから真ん中フォークボールを振り抜いた。快音を残し、打球は左中間のフェンスを越えた。「なんとか後ろにつないでいこうと思って打席に入っていましたし、それがいい結果につないでくれてよかったです!」今シリーズは第2戦から4試合連続安打と好調を継続し、日本一に向けて負けられない一戦で初めて3番に昇格。試合の流れを自軍に呼び込む一発で起用に応えた。

◆阪神・村上頌樹投手(25)は今季ワーストタイとなる5回6安打4失点で降板した。立ち上がりから苦しんだ。一回に2死一、三塁のピンチを招くも、味方の好守に助けられて無失点。しかし、先制点をもらった直後の二回にタイムリーと犠飛で逆転を許した。五回には1死二塁で紅林に2ランを被弾。レギュラーシーズンを含めてワーストタイの3四球と制球に苦しんだ。六回から2番手として西勇が登板した。救援登板は2011年以来となった。

◆阪神・森下翔太外野手(23)が好機で凡退した。1-4の七回。2死から近本、中野の連打で一、二塁の好機を作る。一発出れば同点の場面で3試合連続打点のルーキーが打席へ。虎党がこの日一番の歓声に包まれた。しかし、山本の153キロ直球に力ない二飛。好機を生かせずがっくりと肩を落とした。

◆阪神が38年ぶりの日本一に王手をかけて臨む4日の日本シリーズ第6戦(4日、京セラ)に合わせて本拠地・甲子園球場でパブリックビューイングが開催された。阪神の七回の攻撃が終わった時点で、観衆が1万3463人と発表された。バックスクリーンのビジョンで試合映像を見るには、一、三塁のアルプス席や外野席からは見えにくいため、応援エリアを内野席に限定したが、空席が見当たらないぐらいぎっしり。飲食店ブースも盛況でビールの売り子も稼働していた。ゲストの阪神OB今成亮太氏は「試合やってないのに...」と阪神ファンの応援熱に改めて脱帽していた。

◆オリックスが4-1でリードの八回に「5番・一塁」の頓宮裕真捕手(26)が左越えソロを放って1点を加え、点差を4に広げた。この回先頭でカウント1-1から阪神2番手西勇の高めシュートを左翼席中段に放り込んだ。今シリーズ2本目のアーチとなるソロで1点を加え、ダメを押した。今季のパ・リーグ首位打者は日本一を目指す決戦でも勝負づよさを発揮。本拠地のスタンドでオリックスファンが大きく沸き返った。

◆阪神はオリックスに敗れ、6戦を終えて3勝3敗のタイとなった。一度は攻略したエースが、虎の前に立ちはだかった。オリックスの先発・山本に対し、二回にシェルドン・ノイジー外野手(28)が右翼へソロ本塁打を放って先制。なお2死満塁のチャンスを作ったが、近本が空振り三振に抑えられた。三回以降は立ちはだかった山本を捉えられず。138球の力投を許して完投負けとなった。第1戦では山本と投げ合って勝利した先発の村上頌樹投手(25)は5回4失点で降板。先制直後の二回に2点を失い逆転を許すと、五回には紅林に2ラン本塁打を浴びてベンチでうなだれた。王手をかけた直後の一戦で勝つことができず、38年ぶりの日本一の目前で足踏み。勝負は勝った方が日本一の第7戦に突入する。

◆王手をかけた虎の背中を大きく押す1点が、スコアボードに刻まれる。ノイジーが貴重な先制点を生み出した。力勝負で白球をスタンドに届かせた助っ人は、ベンチに戻るともみくちゃにされて祝福を受けた。「しっかり振り切ることができたし、最高の結果になってくれてうれしいよ。大事な一戦で先に得点が欲しいと思っていたし、チームに貢献することができてうれしいね」オリックスの先発は第1戦と同じ山本。前回対戦では7点を奪ってKOしたとはいえ、パ・リーグ3年連続4冠の好投手。村上と最優秀防御率同士の投げ合いは、どちらが先に得点を奪うかが重要だった。二回1死まで走者を許さず、順調に飛ばしていた山本を背番号7がたたいた。初球の156キロツーシームにアジャスト。右方向に高々と舞い上がり、オリックスの右翼・森がゆっくりと下がってフェンスにつく。白球はその上を越え、スタンド最前列に吸い込まれた。逆方向も何のその。レギュラーシーズンではわずか9本塁打だった男が、9月23日のヤクルト戦(神宮)以来の一打を放ち、頂上決戦でその真価を発揮した。日本シリーズもレギュラーシーズン同様6番で開幕したが、第3戦からは打順を上げて5番に座る。5試合を終えて19打数4安打で打率・211。ハイアベレージではないながらも、つなぎの打撃で打線を回してきた。これまで打点は挙げていなかったが、ひと振りで得点を刻んだ。ノイジーの一発が、阪神の今シリーズ初本塁打。球団では2003年第7戦の広沢克実以来、実に20年ぶりの日本シリーズ弾が第6戦にやっと記録された。虎の外国人選手だと1985年第3戦のバース以来となる一発だった。3勝2敗と王手をかけて迎えた第6戦。1勝1敗で甲子園に映ったチームは初戦こそ接戦で落としたものの、第4戦を劇的サヨナラ勝利、第5戦を0―2の八回に一挙6得点を奪う大逆転勝利で王手をかけ、京セラに乗り込んだ。岡田監督は王手をかけた2日の試合後、「もうそら、あしたよ」と足踏みナシでの日本一達成を宣言していた。だが、オリックス打線に逆転を許すと、打線は山本由伸の前に沈黙。9安打を放ったが、ノイジーの一発のみで、山本に日本シリーズ最多となる14三振を献上し、完投を許した。3勝3敗のタイとされ、いよいよ第7戦。決戦だ。

◆オリックスが阪神を5-1で下し、対戦成績を3勝3敗の五分に戻し、2年連続の日本シリーズ制覇に「逆王手」をかけた。1点先制された二回に若月健矢捕手(28)の右前適時打と中川圭太内野手(27)の犠飛で逆転。五回には紅林弘太郎内野手(21)が左中間越え2ランを放って4-1とリードを拡大。八回にも頓宮裕真捕手(26)が左越えソロを放ってつきはなした。山本由伸投手(25)は日本シリーズ最多を更新する14奪三振の快投。9回を投げ切り9安打1失点で阪神打線を抑えた。オリックスは5日に行われる第7戦に勝利すれば昨年に続く2年連続の日本一が決まる。

◆オリックスが5―1で快勝し、対戦成績を3勝3敗として第7戦に持ち込んだ。エース・山本由伸投手(25)が1失点完投、シリーズ新記録の1試合14奪三振の力投で日本シリーズ初白星を挙げた。第7戦は5日に京セラドーム大阪で開催。先発はオリックスが宮城、阪神が青柳と発表された。3勝3敗で第7戦を迎えるのは、楽天が巨人を破って日本一に輝いた2013年以来で10年ぶり。以下、オリックス・中嶋聡監督(54)の一問一答。--3勝3敗のタイに戻した「もう完全に追い込まれてましたので、今日勝ってなんとかタイにできてよかったです」--山本由伸が完投「前回やられましたけど、山本由伸が2回連続でやられる訳がないと思って信頼して出しました。球数もいってましたけど、この試合、全部由伸にかけました」--二回に先制された後にすぐに逆転できた「すぐ取り返してくれたのは非常に大きいことですし、あれは勇気の出る得点だと思いますし、それこそ由伸を楽にしたのかなと思います」--3番起用の紅林が本塁打「期待して出したんですけど、まさかのホームランでちょっとびっくりしました」--八回には頓宮がダメ押しの本塁打「まあ痛いところあるんですけれども、それでも頑張ってやってる選手、ほんとにすごいなと思います」--九回は山本に託した「もう今日はリミットはないよっていうのを伝えてましたし、本人もだんだん力が抜けていい感じになったって言ってましたので、行きました」--明日は大一番「この日本シリーズ、タイガースとオリックスと2チームしかないんで、勝ち負けとどうしてもついちゃうんですけれども、本当にここまでいいゲームできてると思ってます。明日、決戦となりますので、皆さん、大きい声で声枯らしてのど飴持ってしっかり応援してください」

◆阪神が完敗。対戦成績は3勝3敗となり、5日の第7戦で雌雄を決することになった。二回、今シリーズでチーム初本塁打をシェルドン・ノイジー外野手(28)が右越えに運んで先制。しかし村上頌樹投手(25)が直後に適時打と犠飛で逆転され、五回には紅林弘太郎内野手(21)に2ランを浴びた。2番手で六回から登板した西勇輝投手(32)が八回、頓宮裕真捕手(26)に許した2号ソロがダメ押しとなった。打線は10月28日の第1戦で10安打7得点を奪った山本由伸投手(25)から9安打を記録しながらも、七回2死一、二塁で森下翔太外野手(23)が二飛で倒れるなど、好機を逃し、シリーズワーストの1試合14三振を喫した。第7戦は阪神が青柳晃洋投手(29)、オリックスは宮城大弥投手(21)が先発。6戦終えて「23得点ー23失点」で運命の大一番に挑む岡田彰布監督(65)の主な一問一答は以下の通り(観衆=3万3633人)。ーー山本はしり上がりに良くなった「最初は良うなかったみたいやからな。良うなかったやろ? あの後やな。ホームランの後や」ーー序盤はチャンスを作った「良くなかったからやろ。結局は」ーー采配で積極的に動いた「いや、別に動いてないよ、そんなんは」ーー2度目の対戦で山本は違った「だから最初に崩したいよな」ーー決定打は出なかったが攻撃は機能した「まあ、そんなん今さら言うても、しゃあないよ。今頃言うても。明日また山本が投げるんやったら、対策を練らなアカンけど、またピッチャーが代わるんやから、別にもうお前、1年ぐらい会えへんわ」ーー村上は「今日悪かったな。コントロールが。ボール高かったもんな。ブルペンでは良かった言うてたんやけどな。普通通り言うてたんやけどなあ」ーー3回を投げた西勇がリリーフを休ませた「いや、休ますんじゃない、勝負に行ってんねん。何を言うてんねん。短期決戦で休ますことなんてあるわけないやろ」ーー5日も総動員「総動員って、ベンチ入ってるもんは、そら使うよ」ーー明日ラストバトル「まあ、しょうがないやんか、そんなもん、お前、3勝3敗なったんやから」ーー開幕も最後も京セラ「そんなん分かってることやんか、最後京セラいうのは。おーん。ピッチャーも一緒やからいいやんか」ーー青柳にはどんな期待を「期待っていうか、もうそれは、お前、投げる以上は全力で、そらお前、抑えに行くだけやんか。期待って、お前、1年間途中抜けたけど、投げとったピッチャーやから。登板が明日になったいうだけやろ。うん。ま、良かったやん、投げれて」ーー向こうは宮城「まだ決まってない、宮城は。まだ聞いてないから分からへん」ーー結果的に村上と西勇で終われたのは「普通に行ったらな、勝ちゲームでものう、最後違うピッチャーになったかもわからんけど、勝ちゲームじゃ。まあ、そのために入れてるわけやからさ」ーー西勇の起用は中盤を想定していたのか「そうやん。別に使うところはどこでも、そんなん俺が考えることやから。結果あそこで使っただけで。もう1イニング早かったらと思うよ。紅林だけだったからなあ」ーー森下が3三振「そんなん分かってるやん、いつものことやん。毎回言わすなよ、明日、1試合で終わりやからエエやないか」

◆オリックスが5-1で勝利し、3勝3敗のタイに戻した。山本由伸投手(25)が138球で1失点完投。日本シリーズ新記録の14三振を奪い、自身の日本シリーズ初勝利も挙げた。若月健矢捕手(28)、紅林弘太郎内野手(21)と上がったお立ち台での、山本の主な一問一答は、以下の通り。--みんな待っていた。声援を聞いて「ほんとに、皆さんの声援に背中を押されて、最後まで投げることができました。ありがとうございます」--第6戦。どんな思いでマウンドに上がった「調子もしっかり上げてこられていたので、みんなは心配しているだろうと思いながら、マウンドに上がりました」--心配を吹き飛ばすような素晴らしいピッチング「先制点を与えてしまったんですけど、調子は良かったのでしっかり落ち着いて投げることができたと思います」--日本シリーズ新記録となる14奪三振「もうほんとに、若月さんのおかげですね(笑)」--新記録は気づいていた「三振は取れているのは気づいていたんですけど、とにかく1イニングに集中して、気にしないように投げていました」--いよいよ第7戦「明日(5日)しっかり決めて、中嶋監督を日本一の監督にしましょう。応援よろしくお願いします。ありがとうございました」

◆オリックスが5-1で勝利し、3勝3敗のタイに戻した。五回に1号2ランを放った紅林弘太郎内野手(21)が、14奪三振完投の山本由伸投手(25)、若月健矢捕手(28)と、お立ち台へ上がった。10月18日のロッテとのCSファイナルステージ第1戦でのヒーローインタビューで、勝ち投手ながら7回5失点だった山本について「由伸さんが〝ああいう感じ〟だったので...」と話した紅林。そのことをインタビュアーから振られると「日本シリーズ初戦(同28日、六回途中7失点)も〝ああいう感じ〟だったので。今日はやってくれるだろうと思って、後ろから見ていました」とニヤリ。これに、先輩の山本が「はい。ありがたいお言葉、ありがとうございます」と返し、ファンを沸かせていた。

◆オリックスが5-1で勝利し、3勝3敗のタイに戻した。山本由伸投手(25)が138球で1失点完投。日本シリーズ新記録の14三振を奪い、自身の日本シリーズ初勝利も挙げた。山本はシリーズ終了後にポスティングシステムでの米大リーグ移籍を表明する可能性があり、その投球は海の向こうでも注目を浴びた。MLBネットワークのジョン・モロシ記者はニューヨーク時間の朝9時に当たる日本時間午後10時に自身のXを更新し、「ヤマモト日本で最後の先発で傑作を披露し、MLB各球団にセンセーショナルな印象を与えた」と伝えた。メッツ、ヤンキース、ドジャース、フィリーズ、レンジャーズ、カージナルス、ジャイアンツ、レッドソックス、カブスなどが山本を熱心に視察しており、契約総額は、7年2億1100万ドル(約317億4000万円)と予想されるなど、田中が2014年にヤンキースと結んだ7年1億5500万ドル(当時のレートで約161億円)を超え、日本選手の米球界移籍時の最高額を更新することが確実視されている。

◆近鉄、西武で主砲として465本塁打&2452安打をマークし、西武コーチ時代には清原和博らを育てたサンケイスポーツ専属評論家・土井正博氏(79)はオリックス・宮城大弥投手(21)が先発する第7戦のキーマンに大山悠輔内野手(28)と森下翔太外野手(23)の名を挙げた。阪神の敗因は序盤でオリックス先・山本を崩しきれなかったこと、に尽きる。CS、シリーズ初戦に続いて、本来の投球とはほど遠く、懸命にストライクを取っている状態だった。それが五回の紅林の一発の援護で気持ちが吹っ切れたのか、突然のようにテンポよく投げだした。こうなると日本一の投手だ。攻略は至難の業になってしまった。中盤以降は完全に力負けだ。対する阪神・村上はシーズンから考えられない内容。球が高めに浮いて、ボール球になったり、狙い打たれたり。低めに決まってこその投手だけに残念だった。結果として3勝3敗で7戦目へ。私の予想通りではあるが、阪神としてはもっとも厄介な投手が先発してくる。宮城は右打者の内角へ投げ込んでくる上に、左打者への内角へもチェンジアップを投げる技術、度胸を持ち合わせている。左右を問わず打者に内角を意識させる配球だ。左打者はかなり苦しむだろう。キーマンは右打者。大山と森下だ。特に大山がガツンと打たなければ、阪神打線は厳しくなる。私なら、思い切りベースに近づいて、内角を投げさせにくくする指示を出す。当たってもいい、ぐらいの気迫でベースに近づき、決め球の外の変化球を少しでも真ん中にして打ちたい。阪神先発の青柳が警戒すべきは森だろう。ここ2試合は完全に阪神投手陣が封じ切っているが、一本出ると一気に乗ってしまうタイプ。「第1打席の森」は、勝敗の分岐点になるかもしれない。他に警戒したいのがゴンザレス。メジャーで大舞台を経験している打者らしく、動きに余裕を感じる。両投手が本来の投球をすれば、点が入らない、息詰まる展開が予想される。

◆オリックスが5-1で勝利し、3勝3敗のタイに戻した。二回に同点打を放った若月健矢捕手(28)が、山本由伸投手(25)、紅林弘太郎内野手(21)とお立ち台へ。3年連続で最優秀バッテリー賞に輝いている山本-若月のコンビだが、今年のポストシーズンではCSを含めて〝三度目の正直〟で、文句なしの結果。14奪三振での完投勝利に導き「2回失敗してしまって、ほんとにチームに迷惑をかけてしまったんですけど、さすが由伸ですね」と相棒を絶賛した。

◆阪神の青柳が3勝3敗で迎える大一番の先発を託された。「最後の試合になる。自分の投球ができたら、結果はついてくる」と静かな口調に闘志をにじませた。今季は京セラドーム大阪で行われた開幕戦で登板し、六回途中まで1失点で白星をつかんだ。その後は不調の時期が続き、8勝6敗で防御率4・57と不本意な成績に終わった。「一年間の集大成。やり切りたい」と自らを奮い立たせるように言った。

◆オリックスの山本が14三振を奪い、シリーズ新記録を樹立した。これまでの1試合最多奪三振の記録は1999年の工藤(ダイエー=現ソフトバンク)、2007年のダルビッシュ(日本ハム)がマークした13だった。山本は21年の第6戦で11個の三振を奪っており、2桁奪三振2度は今永(DeNA)に続いて史上4人目。

◆重圧のかかる一戦を任されたが、結果は振るわず。5回で6安打を浴びて今季ワーストタイの4失点だった村上は肩を落とした。「しっかりと投げ切れなかったことが(この結果の)原因。それだけです」二回、1点を先制してもらった直後に逆転を許すと、五回には紅林に「真ん中に入った。打たれるべくして打たれた」と甘くなったフォークをとらえられて2ランを献上。3点差とされ、投げ合う山本にも心理的余裕を与えてしまう痛恨の1球だった。3四死球も今季ワーストタイだった。山本とは3度目のマッチアップ。6月13日の交流戦(甲子園)では村上が8回2失点で黒星(山本は8回無失点)。7回無失点と好投した今シリーズ第1戦に続いて返り討ちにしたかったが、14奪三振完投の前に投げ負け「この時期であんなに球数を、スピードも落とさずに投げられるのはすごい」と脱帽だった。足りない部分を問われると「それはもう全部」と唇をかむ。この敗戦から得るものは確かにあった。「しっかりと応援する。勝ってもらいたい」。自らの手で導けなかった頂点を信じて待つ。(須藤佳裕)

◆捲土重来を期する。阪神が1985年以来2度目の日本一へ、青柳が先発マウンドに向かう。「勝つことしか考えていない。どんな結果になろうと最後の試合。1年間の集大成じゃないですけど、やり切れたら」59年ぶりの関西ダービーは3勝3敗となり、第7戦にまでもつれこんだ。胸突き八丁の一戦。キャッチボールなどで調整した右腕はすべてを出し切ることを約束した。昨季は2年連続の最多勝、最高勝率、最優秀防御率の投手三冠に輝いた右腕だが、自身初の開幕投手を任された今季は不安定な投球が続き、5月に2軍降格を経験。約1カ月半に及ぶ再調整を経て夏場に1軍に復帰し、最終的に8勝(6敗)をマークしたが、防御率は4・57と不完全燃焼でシーズンを終えた。広島とのクライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージでの出番はなし。みやざきフェニックス・リーグで登板しながら出番に備えた。岡田監督は「ま、よかったやん、投げられて」と厳しいジョーク?で背中を押しながら「投げる以上は全力で抑えにいくだけやんか。途中抜けたけど、1年間、投げとったピッチャーやから」と意地を見せるよう厳命した。もちろん、総力戦だ。この日は西勇が中継ぎ登板し、伊藤将もベンチ入りしたが、それ以上に細かな継投になる。逆にいえば青柳は立ち上がりから球数などを気にすることなくフルスロットルで投げられることになる。「ゼロで帰れたらベストですけど、自分のピッチングができたら結果はついてくる。全力で1イニングずつやるだけ」と青柳。背水の覚悟で臨む。歯がゆい思いをすべてぶつけてみせる。(織原祥平)

◆もう後がない試合で、中嶋監督が若い力に中軸を託す大胆な起用をみせて勝利をもぎ取った。星を五分に戻して第7戦に持ち込み、胸をなでおろした。「完全に追い込まれてました。(対戦成績で)タイにできてよかったです」信じてグラウンドに送り出した選手がそれぞれに呼応した。紅林を3度目の日本シリーズで初めて3番に起用。2-1の五回に左中間越えの2ランを放って期待に応えた21歳の若武者に「『やっちゃいけないことやったのかな』と思いましたけど、なかなかいい仕事しましたよね」と目を細めた。9月中旬に左足甲を疲労骨折した頓宮も、一貫してクリーンアップに据え続けた起用が実り、八回に今シリーズ2号となるソロ本塁打を放った。そして、固く信じて先発のマウンドに送り出した山本も、日本シリーズ最多記録を更新する14奪三振で1失点完投。第1戦は六回途中10安打7失点と振るわなかったエースに「前回やられたけど、『山本由伸が2回連続でやられるわけがない』と信頼して出しました」と信じ抜いた思いが通じた。「『今日はリミットないよ』と伝えていましたし、本人もだんだん力が抜けて良い感じになったと言っていましたので(九回も)行きました」さあ、勝負を決する大一番・第7戦へ-。お立ち台から、本拠地のファンに呼びかけた。「本当にここまでですけど、いいゲームできていると思っています。明日、決戦となりますので、みなさん大きい声で、声枯らして、のど飴持って、しっかり応援してください!」2年連続の日本一で王手をかけた。最終決戦でも堂々とタクトを振るうのみだ。(上阪正人)?...オリックスが勝利し、3勝3敗のタイとし、シリーズ連覇に王手をかけた。シリーズで3勝3敗となったケース(引き分けを含む)は2013年の楽天-巨人以来10年ぶり22度目。過去21度のうち、先に王手をかけた球団の日本一が10度、逆王手の球団が11度とほぼ互角?...本拠地で3勝3敗に追いついたケースは03年のダイエー-阪神以来20年ぶり10度目。過去9度のうち、本拠地球団の日本一は、1980年の広島、83年と91年の西武、03年のダイエーの4度

◆プロ野球の日本一を決める「SMBC日本シリーズ2023」は4日、京セラドーム大阪で第6戦が行われ、オリックスが5-1で阪神を破り、対戦成績を3勝3敗として第7戦に持ち込んだ。エースの山本由伸投手(25)が〝日本ラスト登板〟でシリーズ新記録の14三振を奪い、138球で完投勝利。5日の第7戦で、オリックスは2年連続6度目の日本一へ、阪神は1985年以来38年ぶり2度目の頂点に挑む。負けられない重圧の中、これぞエースの投球でチームを〝最終決戦〟へ導いた。オリックス・山本は王手をかけていた虎を黙らせる完投勝利。魂を込めて138球を投げ終えると、拳を突き上げた。「やっと終わった。最後は出し切っていたので、すごくよかったです」7日前の第1戦では、10安打を浴びて六回途中7失点でKOされた。「みんなは心配しているだろうな、と思いながらマウンドに上がりました」。3年連続で投手4冠を獲得しているエースに、2度の失敗は許されなかった。リベンジを期し、投球フォームに微調整を施した。今季から左足をほとんど上げないフォームに変更していたが、この日は左足をやや高めに上げ、タイミングを変えた。中嶋監督も「初回から足の上げ方がちょっと変わってた。ぴったりハマッたと思いますね」とうなる、修正力だった。二回にノイジーに先制弾を許し、なお2死満塁とピンチを背負ったが、近本を鋭く落ちるフォークで三振に斬る。この回を最少失点でしのぐと、三回以降は立て直し、ギアが上がった。奪った三振の数は14。日本シリーズ新記録を打ち立て、またひとつ伝説を作った。「調子が途中からよくなったので、大胆にいけました」と振り返り、「九回まで行かせてくれるという、やさしさですね」と完投させてくれた中嶋監督に感謝した。

◆きょうは決めるよ-。〝待った〟をかけられても、阪神・岡田監督は威風堂々としていた。山本には14三振を喫し、確かに完敗した。もう、それも終わったこと。泣いても笑っても今年は残り1試合。すべてを懸ける。「まあ、そんなん、今さら言うてもしゃあないよ。今頃言うても。明日、また山本が投げるんやったらのう、対策を練らなあかんけど。またピッチャーが変わるんやから」日本一に王手をかけて京セラドームに乗り込んだ。試合のなかった3日は選手の疲労を考慮し、練習は投手指名のみ。野手陣を充電させて頂点に立つことをもくろんだ。第1戦で山本には六回途中10安打を浴びせて7得点。攻略したが、この日の得点は二回のノイジーのソロのみ。虎党が沸いたのは序盤だけだった。先発の村上も1-2の五回に紅林に2ランを被弾。5回4失点で降板となり指揮官は「ブルペンではよかったと言うてたんやけどなぁ」と首をひねるばかりだった。1964年、史上初の関西対決となった阪神-南海は第7戦までもつれこんで屈した。5日のオリックス先発は宮城。今季10勝4敗、防御率2・27と抜群の安定感を誇った左腕には第2戦で対決し、6回で4安打無得点だった。山本が阪神にリベンジしたように、今度は宮城にやり返す番だ。

◆虎党の執念に後押しされた打球は滞空時間を伸ばし、フェンスオーバーした。ノイジーが日本シリーズ虎1号の先制ソロを放ち、先手を奪った。「大事な一戦で先に得点が欲しいと思っていたし、チームに貢献することができてうれしいね」普段は寡黙な助っ人が声を弾ませた。0-0の二回1死から山本が投じた初球、高め156キロを逆方向へ弾き返し、右翼ポール際へ白球をほうり込んだ。一塁を蹴ると右こぶしを突き上げ、珍しく喜びを爆発させた。阪神選手による日本シリーズでの本塁打は2003年(対ダイエー)第7戦(福岡ドーム)九回の広沢克実以来、20年ぶり。外国人に限れば1985年(対西武)のバース(第1、2、3戦)以来、38年ぶり2人目だ。ノイジーは「家族がすべてだよ」と家族愛をあふれさせる。今季レギュラーシーズン最終戦のヤクルト戦(10月4日、神宮)の翌日は、東京で初めて丸一日オフだった。朝から家族とディズニーランドに向かい、スプラッシュ・マウンテンなど名物アトラクションを夕方まで楽しみ、英気を養った。何度も何度も観戦に来てくれた最愛のファミリーのために、頂点に立つ姿をみてもらう。「明日はチームとしてしっかり点をとりたい。何があっても、チームのために勝利に貢献できるようにプレーしたい」攻守にわたる貢献で、日本一に押し上げる。(新里公章)

◆日本一を待ち望む虎党の期待を、紅林がひと振りで打ち砕いた。第1戦でチームがいいように封じ込められた阪神の先発・村上にリベンジ。白球を左中間スタンドに運び、笑顔をみせた。「ランナーを返すのが僕に求められることだと思ったので。最低でも森さんに得点圏で回せればいいなと思って。そういう気持ちで楽には入れたなと思いました」見せ場は2―1の五回1死二塁。135キロのフォークが甘く入ったのを見逃さなかった。「コントロールがすごくいいので、全部追いかけてもしようがない。高い、甘いところを狙った」。完璧に捉え、京セラドームに美しいアーチがかかる。日本シリーズ初本塁打で、先発の山本にとって〝セーフティーリード〟となる3点差をつけた。クライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージで左手首を痛め、日本シリーズ出場が危ぶまれた。それでも患部にテーピングを巻いて練習をこなし、大一番に間に合わせた。第2戦から全試合安打で、この日は3番に抜擢(ばってき)。「3番に入ったんですけど、そこは気にせず、求められたところで求められた仕事をしようと思っていました」。本塁打以外の打席では3四球を選んで、シリーズ通算打率・438(16打数7安打)と絶好調だ。

◆勝利の美酒に酔う準備は進められていた。日本一に王手がかかった第6戦。虎戦士は第1、2戦とは違う手段で京セラドームに入った。午前11時45分。2000年生まれで同級生の仲良しコンビ、小幡と森下は、虎風荘からタクシーに乗り込んだ。普段は小幡の愛車で球場入りするのが日課の2人だが、この日は「勝ったら〝ある〟から」と小幡。もちろん、ビールかけのこと。リーグ優勝に王手をかけた9月14日と同じ手段で寮を出発し、甲子園に向かった。寮生を含む選手の大半が甲子園で合流し、2台のバスで京セラドームへ。岡田監督がリーグ優勝の際に「予行演習」と語った1度目のビールかけ。今度は〝本番〟をつつがなく執り行うために、準備を万全に整えていた。

◆実績の差が少し出た。阪神・村上とオリックス・山本。どちらも打順ひとまわりまでは不安定。トータルの部分で、やはり違いがあったね。村上が4失点した原因のひとつは、セ・リーグの公式戦と違い、打者9人を相手にしなければいけなかったところ。8番にDHのセデーニョがいると、一発がありそうで気持ち悪い。そこに気を取られて、前後の杉本、若月、中川圭に打たれたといえる。それ以前に、シーズンを通じての疲労が出ていた。球が上ずっていたのが、何よりの証拠。5回で四死球を3つ与える投手ではなかったからね。山本はそこへいくと、打者9人を相手に投げ続け、抑えてきたというプライドが感じられた。気合も十分で、まさに集大成のマウンド。9回を投げ切ることで、阪神打線に流れを与えず、黙らせたままで終えたね。それにしても阪神は...。本塁打が持ち味ではないのだから、14三振も喫したらいかん! 9安打で1得点とは、投打とも息切れか? 最終戦は投手総動員の継投でつなぎ、打線も後続へつなぐ。全員野球しかない。(サンケイスポーツ専属評論家)

◆完敗です!! 山本は、さすが日本ナンバーワン投手。日本一に王手をかけられているマウンドで14奪三振のシリーズ記録を達成しての勝利!! 来年からメジャーに挑戦するなら、虎からの餞別(せんべつ)や~。とっとかんかい!!38年ぶりの日本一を決められなかった阪神の敗戦にガックリ...。だけど俺は、日本一のために腹をくくった『岡田彰布、男の采配』とみたのだ!!先発の村上は、「村神様」とたたえられた姿とはほど遠い内容。それでも普段は多投しないカーブを投げ、五回に紅林の2ランを浴びるまでは耐えていたのだ。ifだけど、岡田さんがこの試合で決めるつもりなら、その前に自慢のリリーフ陣を次々と投入していたはずなのだ。しかし、それをせずに敗戦...。岡田監督は「今日の山本は打てんわ!! その代わり、明日は全ての投手を使ってでも勝ったるわ!! だからリリーフを出すかいな!!」という作戦に出たと俺は思ったのだ。その勝負勘で、38年ぶりに虎を頂点に立たせるでェ!!

◆虎のソナタは1年365日、阪神の応援をしなければいけないと知りつつ、終盤はオリックスの背番号18に視線がくぎ付けだった。七回2死一、二塁のピンチ(阪神からすればチャンスか)。ドーム内は大声援を送る阪神ファン、由伸の1球1球に拍手するオリックスファン。息詰まる勝負に酔いしれた。八回に再びマウンドに登場するとオリ党から大拍手。そして九回。場内には「九回、ピッチャーは山本由伸!」。続投の投手にはあり得ないアナウンスがムードを最高潮にしていた。3年連続投手4冠。プロ野球史に残る大投手を、日本で見るのは、もしかしたらこれが最後かも...。そう思いながら眺める九回表の阪神の攻撃は、ちょっと(いや、かなり)複雑だった。59年ぶりに実現した関西同士の対決はついに3勝3敗。名勝負の連続だ。昨夜、あなたはどこで見ましたか? 京セラドームで盛り上がりましたか? 自宅のテレビの前で熱狂しましたか? それとも...。いろんな場所で盛り上がっている歴史的対決。「甲子園」という答えもあるでしょうね。シーズン中のタイガースの試合日。阪神電車の甲子園駅の改札に、ほぼ毎日、黄色い札が掲げられていた。「本日のプロ野球の入場券は完売いたしました」申し訳ありませんが、この先、行っても球場に入れませんよ...というお知らせだ。

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