阪神(☆4対3★)オリックス =日本シリーズ4回戦(2023.11.01)・阪神甲子園球場=
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ORIX
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阪神
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勝利投手:岩崎 優(1勝0敗0S)
敗戦投手:ワゲスパック(0勝1敗0S)
  DAZN
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◆阪神がサヨナラ勝利で対戦成績を2勝2敗のタイに戻した。阪神は初回、森下の適時打で1点を先制する。その後3-3となって迎えた9回裏には、1死満塁から大山の適時打が飛び出し、試合を決めた。敗れたオリックスは、打線が相手を上回る12安打を放つも、つながりを欠いた。

◆日本シリーズ第4戦(甲子園)の先発投手が発表された。オリックスは打撃にも定評がある山崎福也投手(31)がセ・リーグ本拠地のマウンドに上がる。今季11勝左腕は「楽しみな気持ちと、やっぱり優勝(日本一)しないといけないという気持ち。シーズンとは明らかに違う試合なので。いい感覚が結構出ているので、明日しっかりと投げられるようにしたい」と気持ちを高ぶらせた。昨年の日本シリーズ第2戦で右前に先制打を放っている。日大三(東京)のエース兼5番打者として準優勝した10年センバツでは、今も大会タイ記録の13安打をマークした。パ・リーグのため打撃を披露する機会は少ないが、日本シリーズでの「9番・山崎福」はオリックスの大きな武器になる。「去年に続いて打てればうれしいです。1本打ちたいですね」と9人目の打者としても仕事を果たすつもりだ。

◆阪神は正念場の第4戦を迎える。過去のデータから考えると、この試合の結果がシリーズの行方に重大な意味を持つことになりそうだ。阪神○で2勝2敗1勝2敗のチームが追いついたケースは、過去28度。このうち日本一となったのは13度で、確率は46%だ。約半数が逆転で頂点に立っており、可能性は大きく開けてくる。今年の対戦相手オリックスも、昨季は●△●から一気に4連勝し、日本一となった。なお今回の阪神のように、初戦から○●●で、第4戦に○は過去7チーム。63年西鉄 敗退64年南海 日本一83年西武 日本一87年巨人 敗退94年西武 敗退08年西武 日本一13年巨人 敗退日本一3度、敗退4度で確率は43%。阪神●で1勝3敗阪神は非常に苦しい状況に追い込まれる。1勝2敗から王手をかけられた球団は過去25度あるが、そこから3連勝して日本一となったのは55年の巨人だけだ。突破確率はわずか4%で、阪神が勝てば2球団目。歴史的な逆転日本一に数えられるだろう。もっとも、55年の巨人も今回の阪神と同じく、初戦○から●●。4戦目も●だったが、そこから巻き返しに成功している。古巣の南海を相手に、別所毅彦が奮闘。第4戦からの4連投を含む5試合に登板し3勝1敗、防御率1・16でMVPとなった。阪神が奇跡を起こすには、流れを変えるラッキーボーイの登場が必要となりそうだ。

◆左足首を負傷し、日本シリーズベンチ外が続いているオリックスの杉本裕太郎外野手(32)が通常通りの練習メニューをこなした。左翼では中嶋監督と会話する場面もあった。前日31日に屋外での打撃練習を再開。この日の試合前練習でもティー打撃とフリー打撃を実施した。フリー打撃の最後には左翼スタンドへの柵越えも見せるなど、持ち前のパワーは問題なさそうだ。左翼守備では打撃練習の打球を捕る場面も見られ、左翼線への打球も追いかけて動きも確かめた。前日よりも動きは多く、打撃と守備面では元気な姿を見せた。杉本は10月21日に行われたCSファイナル最終戦の最終打席で左足首を負傷。ここまでの日本シリーズは3戦ともにベンチを外れている。

◆10月31日の第3戦をベンチ外となったオリックス山崎颯一郎投手(25)は、2試合連続でベンチを外れた。試合前練習に参加。全体のウオームアップに加わり、約50メートルの距離でのキャッチボールこそ軽めだったが、他の中継ぎ陣と短距離ダッシュ、体幹トレーニングなどほぼ通常メニューをこなしていた。山崎颯は10月29日の第2戦で今シリーズ初登板。1イニングを無失点に抑えていたが、第3戦はベンチから外れた。コンディション不良とみられる。強力救援陣の1人だけに、ベンチ入りできるか注目されたが、まだ登板は難しいと判断されたようだ。

◆左足首を負傷し、日本シリーズベンチ外が続いているオリックスの杉本裕太郎外野手(32)が第4戦もベンチ入りを外れた。試合前練習では通常通りのメニューをこなし、左翼では中嶋監督と会話する場面もあった。前日31日に屋外での打撃練習を再開。この日の試合前練習でもティー打撃とフリー打撃を実施した。フリー打撃の最後には左翼スタンドへの柵越えも見せるなど、持ち前のパワーは健在。左翼守備では打撃練習の打球を捕る場面も見られ、左翼線への打球も追いかけて動きも確かめた。前日よりも動きは多く、打撃と守備面では元気な姿を見せた。走塁面でも、二、三塁間で軽めの走塁練習も行うなど、徐々に強度を上げていた。杉本は10月21日に行われたCSファイナル最終戦の最終打席で左足首を負傷。ここまでの日本シリーズは3戦ともにベンチを外れている。

◆日本シリーズ第4戦の両チームのスタメンが発表された。阪神の先発は右腕才木浩人投手(24)。オリックスは左腕山崎福也投手(31)。打撃にも定評のある山崎福は昨年の日本シリーズでも適時打を放っている。左足首痛の杉本裕太郎外野手(32)は4試合連続、コンディション不良とみられる救援の山崎颯一郎投手(25)も2試合連続でベンチ外となった。

◆オリックスに連勝を許した阪神が、日本一王手を阻止するスタメンを発表した。「4番一塁」大山悠輔内野手(28)は、オリックス先発山崎福也投手(31)との通算成績が5打数4安打2本塁打、打率8割と好相性を誇る。また、「5番左翼」にシェルドン・ノイジー外野手(28)、「6番三塁」に佐藤輝明内野手(24)と5番と6番が入れ替わった。また、湯浅京己投手(24)がベンチメンバーに入り、ブルペン待機する。左脇腹筋挫傷からの完全復活を目指してきた右腕。みやざきフェニックス・リーグ全試合に登板し、全て無失点と状態は上向いている。先発は才木浩人投手(24)が務める。右腕はオリックス戦初登板だ。

◆試合前の甲子園のグラウンドで「侍ジャパン同窓会」が行われた。オリックスのメンバーがグラウンド入りすると、湯浅京己投手(24)がオリックスサイドへ。山本由伸投手(25)、山崎颯一郎投手(25)、宇田川優希投手(24)、宮城大弥投手(22)とじゃれ合い、笑顔も見られた。5人は3月のWBCを戦った侍ジャパンのメンバー。試合前の甲子園に和やかな空気が流れた。

◆阪神森下翔太外野手(23)が先制適時二塁打を放った。初回先頭の近本が左前打で出塁。中野が犠打でつなぎ1死二塁。森下がオリックス山崎福のフォークを捉え、左中間フェンス直撃の二塁打で1点を先制した。「先頭のチカ(近本)さんからいい流れでつないでくれたチャンスでしたし、ランナーを返すことだけを考えて打席に立ちました。しっかり自分のスイングの中で、芯でとらえることができました」と試合中にコメントした。森下は前日10月31日の第3戦でマルチ安打&日本シリーズ初打点を記録。黄金ルーキーが試合を動かした。

◆第4戦の始球式に、ラグビー男子15人制の日本代表で"笑わない男"ことプロップの稲垣啓太(33)が登場した。三井住友銀行(SMBC)のCMにも出演している稲垣は、白と緑色を貴重としたユニホームを身にまとってさっそうと登場。マウンド上で手にしたボールをポトリと落とし、一塁線方向に転がるプチハプニングもあったが、仕切り直してワインドアップからボールを投じ、見事にストライク投球をみせ甲子園をどっと沸かせた。最後まで笑顔はみせなかった。稲垣はNPBを通じて「今回、光栄にもSMBC日本シリーズ2023での始球式の機会をいただき、大変うれしく感じています。プロ野球最高峰の舞台で両球団の選手や大勢の観客の皆さんから大きなエネルギーを貰えたので、僕もラグビーを盛り上げていきたいと思います!」とコメントした。稲垣は9~10月にかけて行われたラグビーW杯フランス大会に3大会連続で出場したばかり。妻はモデルの稲垣(旧姓新居)貴子(32)で、実父は元プロ野球選手で南海や近鉄で活躍し、通算2038安打を記録した新井宏昌氏(71)。稲垣自身も小、中学校で野球部に所属していた。

◆オリックス頓宮裕真捕手(26)が二夜連続で反撃の一打を放った。1点を先制された直後の2回。先頭の頓宮が中堅フェンス直撃の三塁打を放つ。プロ入り後、1軍では初めてとなる三塁打で好機をつくる。1死となった後、6番紅林弘太郎内野手(21)が右前にポトリと落とす安打で同点とした。第3戦でも先制された直後に頓宮のソロ本塁打で追いついており、阪神に傾きかけた流れを再び食い止めた。

◆阪神才木浩人投手(24)が2回に指が出血するアクシデントが発生した。2回にマウンドへ上り、1死三塁での紅林の打席時には右腕の右親指から出血し、拭き取ったユニホーム太もも付近に血がにじんだ。紅林には同点の右前適時打を許した。

◆打撃に定評があるオリックス山崎福也投手(31)が期待通りのパフォーマンスで沸かせた。2回2死一、二塁の勝ち越しチャンスで第1打席が回ってきた。「9番、ピッチャー、山崎福也」のコールに阪神側の応援席からも拍手が起きた。初球の148キロをフルスイングでファウルにすると球場全体がどよめき。2球目のフォークは悠然と見送った。3球目のフォークもファウル。最後はカウント1-2からの変化球に崩されたが、食らいついて右翼定位置まで運んだ。アウトにはなったが、再び大きなどよめきが起こった。SNSでも「これがパ・リーグの投手のスイングか?」「二刀流にしか見えない」と驚きの声が上がった。昨年の日本シリーズ第2戦で右前に先制打を放っている。日大三(東京)のエース兼5番打者として10年センバツで準優勝。今も大会タイ記録に残る13安打をマークしたほどの打撃センスの持ち主だ。パ・リーグのため打撃を披露する機会は少ないが「去年に続いて打てればうれしい」と意気込んでいた。

◆阪神近本光司外野手(28)が、チームに流れを引き戻す勝ち越しタイムリーを放った。1-1の同点に追いつかれた直後の2回、2死から木浪が二塁へのボテボテの内野ゴロで決死のヘッドスライディングをみせ、内野安打で出塁。投手才木が四球を選び、2死一、二塁からオリックス山崎福の外角直球に逆らわず三遊間にはじき返し、左前打で再びリードした。"キナチカ"コンビの執念で1点をもぎ取った。

◆阪神才木浩人投手(24)が5回5安打1失点で降板した。1点リードの2回先頭にオリックス頓宮に中堅フェンス直撃の三塁打を許す。続く、紅林に同点の右前打適時打を献上。右腕は右親指から出血するアクシデントが発生するも、中断することなく投球を続行した。1点リードの5回2死三塁では、2回に長打を許した頓宮と対峙(たいじ)し、3-1と打者有利カウントになったが、渾身(こんしん)の151キロ直球を投じ、一邪飛。ガッツポーズで勝ち越しを死守した。右腕はオリックス戦プロ初登板。2回~5回は得点圏に走者を進めたが、要所で打者を抑えて頼もしい投球で試合をつくった。

◆阪神佐藤輝明内野手(24)が、3打席連続三振に倒れた。打順を1つ落とし、「6番三塁」で出場。2回先頭ではオリックス山崎福の低めのスライダーに空振り三振。3回2死一塁でも同左腕の変化球にバットが回り、空振り三振。6回先頭では3番手阿部の外角低め147キロ直球に手が出ず、見逃し三振となり、球場がため息に包まれた。日本シリーズはこれで15打席中7三振。10月31日から4打席連続三振と苦戦が続いている。7回には三塁守備でも広岡のゴロを取り損ねる失策もあった。

◆阪神桐敷拓馬投手(24)がオリックス宗に同点適時打を食らった。佐藤輝明内野手(24)の失策が響いた。7回先頭の広岡の打球を三塁手佐藤輝が捕球できず、出塁を許す。続く代打セデーニョに左前打、中川圭に犠打を許し、1死二、三塁。そして、宗に同点の中前2点適時打を献上した。左腕は試合前まで、レギュラーシーズンから14試合連続無失点を記録していたが、失策から安打が止まらなかった。

◆オリックスの先発、山崎福也投手(31)は5回途中で降板した。「先発投手としての役割を果たせなかったことが申し訳ないですし、悔しいです」1-2で迎えたこの回、無死一塁からのバント処理で一塁に悪送球。傷口を広げたところで比嘉幹貴投手(40)の救援を仰いだ。比嘉は力投したが併殺崩れで1人が生還。山崎福の成績は4回0/3で3失点(自責2)になった。打撃のいいことでも知られ、大きな拍手を浴びた打席では2回2死一、二塁で右飛。4回も2死一、二塁で空振り三振。積極的に振りにいったが安打は出なかった。

◆阪神佐藤輝明内野手(24)が「懲罰交代」となった。2点リードの7回1死二、三塁から桐敷が宗に中前への同点の2点適時打を許したところで、佐藤輝に代わって投手に石井が起用され、途中交代となった。三塁には糸原が就いた。佐藤輝は7回の三塁守備で先頭広岡のゴロを取り損ねるエラー。チームはその後、同点まで追いつかれた。打席でも精彩を欠いた。この試合3打席連続三振。打順を1つ落とし、「6番三塁」で出場したが、2回先頭ではオリックス山崎福の低めのスライダーに空振り三振。3回2死一塁でも同左腕の変化球にバットが回り、空振り三振。6回先頭では3番手阿部の外角低め147キロ直球に手が出ず、見逃し三振となり、球場がため息に包まれた。日本シリーズはこれで15打席中7三振。10月31日から4打席連続三振と苦戦が続いている。

◆阪神桐敷拓馬投手(24)は不運な安打で降板となった。7回、2番宗に同点打を浴びた直後の1死一塁。3番森に対し、147キロ速球を内角に投げ込んだ。バットをへし折る力強いボールとなったが、打球とともに折れたバットがマウンドへ飛んだ。かわしながら打球処理を試みたが捕球できず、不運な内野安打となった。2死一、二塁となって右の4番頓宮を迎えたところで、右腕の石井大智投手(26)に交代となった。

◆オリックス宗佑磨内野手(27)が7回に2試合連続適時打となる2点適時打を放ち、再び3-3の同点に追いついた。1-3の7回。敵失と代打セデーニョの安打などで1死二、三塁とし、宗が中前への二塁打で走者を一掃した。宗は第3戦で今シリーズ初安打となる適時打を放っており、連夜の勝負強さを発揮した。

◆浜風のいたずら?も味方にできず...。阪神打線が無死一、二塁の絶好機で得点を奪えなかった。7回先頭、スタメンの佐藤輝が3三振&失策で途中交代。代わりに三塁に入った糸原が遊撃への内野安打で出塁。さらに、近本の中堅への飛球を中堅手中川圭が落下地点を見誤り、痛恨の落球。甲子園独特の浜風が吹く中、阪神に勝ち越しのチャンスが訪れた。だが、中野が送りバントを試みるも、三塁でアウトを取られ、失敗。森下も一飛、大山はオリックス小木田の外角カットボールに空振り三振と絶好機を逃した。

◆左脇腹筋挫傷から復活した阪神湯浅京己投手(24)が、絶体絶命のピンチを切り抜けた。3-3の同点の8回、2死一、三塁から登板。「ピッチャー湯浅」がコールされると、場内はどよめきに包まれた。中川圭への初球、149キロ直球で二飛に仕留め、右拳で渾身(こんしん)のガッツポーズを決め、甲子園はお祭り騒ぎで盛り上がった。湯浅にとっては6月15日のオリックス戦(甲子園)以来の1軍戦登板。同ゲームでは頓宮、杉本に2発を食らっていた。同じ舞台で、屈辱を晴らした。

◆オリックスが粘りきれず、サヨナラ負けを喫した。これで2勝2敗となった。3-3の9回。6番手のワゲスパックが1死一塁から中野に対して2つの暴投で三塁に走者を置いた。そこで中嶋監督は中野、続く森下を申告敬遠で歩かせて満塁策に。1死満塁から4番大山との勝負を選択したが、なかなかストライクが入らず。最後は左前にはじき返され、サヨナラ負けとなった。序盤から先行される苦しい展開も、粘り強く追いついた。0-1の2回は紅林弘太郎内野手(21)の適時打、1-3の7回には宗佑磨内野手(27)の2点適時打で2度追いつく。救援陣も踏ん張った。セットアッパーの山崎颯一郎投手(25)を欠く中で、無失点でつないで野手陣の反撃を待った。だが、8、9回と得点圏に走者を置きながらもあと1本が出ず。最後は9回に登板したワゲスパックがこらえきれなかった。これで今シリーズの対戦成績は2勝2敗に。セ・パ両リーグの王者同士の対決は、1歩も引かない戦いとなっている。▽オリックス・ワゲスパック(サヨナラ打を浴び)「とにかく、2人目の打者に四球を与えてしまったのは自分なので。最後は彼(大山)にうまく打たれてしまった。監督がおっしゃるように準備するしかないと思う」

◆オリックスの宇田川優希投手(24)がピンチで2者連続3球三振と圧倒する投球で無失点に抑えた。3-3の8回。先頭を失策、次打者に犠打で1死二塁とされた直後だった。7番坂本を151キロの直球で追い込むと、最後は152キロ直球で空振り三振。さらに8番木浪も150キロ超えの直球2球で追い込むと、3球目は高めに152キロを投じて空を切らせた。ピンチを脱してグラブをポンとたたいた。得点圏に走者を置いてからすべて150キロ超えのストレートで2者連続3球三振。宝刀フォークをちらつかせながら投じず、裏をかいてオール直球で役割を果たした。

◆4番が決めた!! 阪神が死闘の末に劇的サヨナラ勝利を飾り、2勝2敗で五分に戻した。日本シリーズでのサヨナラ勝ちは03年ダイエー戦の第4戦の金本の本塁打以来、20年ぶり球団4度目だ。3-3の同点の9回、1死から近本が四球で出塁。続く中野の打席でワゲスパックの暴投により一走・近本が二塁に進塁。さらに暴投で三塁に進塁した。中野はそのまま申告敬遠。続く森下も申告敬遠で球場が異様な空気に包まれる中、4番大山悠輔が満塁でフルカウントから左前へのサヨナラタイムリーを放ち、右拳を一塁側ベンチへ突き上げた。球場はスタンディングオベーションでお祭り騒ぎとなった。先発した才木は本調子ではない中で踏ん張り、5回1失点と力投した。初回は難なく3人で片付け、1点リードの2回は先頭の頓宮にいきなり左中間への三塁打を浴び、1死三塁から紅林に右前へのポテンヒットで同点に追いつかれた。3回は無死一、二塁のピンチを背負うも、森を遊ゴロ併殺打、頓宮を空振り三振に斬って無失点。4、5回もピンチを背負ったが、粘りの投球で得点を許さなかった。打線は初回に1死二塁から3番森下が左中間への適時二塁打を放ち先制。2回に同点に追いつかれたが、その裏2死一、二塁から近本が左前への勝ち越しタイムリーをマークした。1点リードの5回には1死一、三塁から4番大山の遊ゴロでの併殺崩れの間に1点を追加した。2点リードの7回には2番手桐敷が1死二、三塁から宗に中前への同点適時打を許し、相手に流れが傾きかけた。8回には2死一、三塁の絶体絶命のピンチで左脇腹筋挫傷から復活した湯浅が6月15日オリックス戦以来の1軍戦に登板し、わずか1球で中川圭を二飛に仕留めてチームに流れを引き寄せた。総力戦で絶対に負けられないゲームをものした。4番大山悠輔がサヨナラ安打。シリーズのサヨナラ勝ちは22年5戦のオリックス(吉田正のサヨナラ本塁打)以来42度目で、阪神では62年1戦吉田(二塁打)03年3戦藤本(犠飛)同4戦金本(本塁打)に次いで20年ぶり4度目となった。4番打者のサヨナラ打は前記吉田正以来7人目で、阪神の選手では初めてだ。

◆オリックス宗佑磨内野手(27)が甲子園で「シリーズ男」に変身した。7回に中前に同点の2点タイムリーを放つなど2安打2打点。日本シリーズ2戦目までは8打数無安打と「逆シリーズ男」の不振ぶりだったが、敵地で2戦連続安打&打点と復調。チームはサヨナラ負けを喫し、対戦成績は2勝2敗となったが、宗が力強くチームを引っ張る。シリーズ男に、オレはなる! 宗が2戦連続の大暴れだ。2点を追う7回、敵失と代打セデーニョの安打などで1死二、三塁のチャンス。阪神の左腕桐敷のストレートを、宗がセンター前へ運ぶ。2人の走者が生還する2点適時打。試合を振り出しに戻した。「チャンスの場面でしたし、とにかく必死に打ちにいきました!」。宗は第3戦で2点適時二塁打を放っており、甲子園で連夜の活躍。3回に四球で出塁し、5回には右中間への二塁打。そして2点打。勝負強い打撃で"シリーズ男"になりそうなムードが漂ってきた。守っていても「やばいです。服揺れるんちゃうかぐらい、びりびりと来ます」と話す敵地での大声援にも負けず、バットでその声を沈黙させた。序盤からチャンスは多かった。先頭打者が出塁すること8回まで6度。2回に1点は奪ったものの、阪神投手陣の粘りで得点に結びつかなかった。ようやく実を結んだのが7回だった。8回には1死二、三塁の好機に双方のベンチがめまぐるしく動いた。代打T-岡田に対し左の島本が出てくると、中嶋監督は右の安達を代打の代打で送った。それでも勝ち越し点は奪えない。そんな究極の戦いで、宗は存在感を放った。2戦目までは「逆シリーズ男」になりかねなかった。2試合連続ノーヒット(8打数無安打)で、バットは湿っていた。「焦りというか、いい感じでヒットが出ないとバッターって、あれって思うので」。それが、前夜いい場面で1本出たことで波に乗った。それでも「チームが勝つことが最優先なので。1本のヒットよりも進塁打の方がいいこともありますし」とフォア・ザ・チームの精神を強調する。チームはサヨナラ負けを喫し、2勝2敗となったが、宗は攻守に全力を尽くす。

◆オリックス田嶋大樹投手(27)が第5戦の先発に臨む。舞台が敵地・甲子園で阪神ファンの応援のすさまじさは認識した上で「挑む気持ちは一緒で、いつも通りいきたいなと」と平常心でマウンドに立つ。日本シリーズはヤクルトとの21年第3戦、22年第5戦に先発も、田嶋自身の勝ち星はなし。過去に11連勝を記録するなど屋外球場と好相性を誇る左腕は「明日やれることをしっかりできたらいいなという感じです。リリーフ陣もいいピッチャーもそろっていますし、そこは思い切って行ける。後ろを信じて。はい。いけるところまで頑張ろうかなと思います」と語った。

◆4番が決めた!! 阪神が死闘の末に劇的サヨナラ勝利を飾り、2勝2敗で五分に戻した。日本シリーズでのサヨナラ勝ちは03年ダイエー戦の第4戦の金本の本塁打以来、20年ぶり球団4度目。阪神が2勝2敗のタイに戻した。引き分けを含め2勝2敗になったシリーズは2年連続29度目。過去28度のうち、阪神のように追い付いたチームの優勝は13度あり、V確率46%。今年と同じ関西対決となった64年阪神-南海戦は、南海が<4>戦にサヨナラ勝ちし、今回と同じ星取りの○●●○で2勝2敗に追い付いて日本一に。64年とそっくりの展開になったが、阪神はどうなるか。

◆オリックス中嶋聡監督(54)が執念の采配も実らなかった。9回1死三塁のピンチで、2者連続で申告敬遠を指示。満塁策で阪神4番大山悠輔との勝負を選んだが、サヨナラ打を浴びた。指揮官は攻めの継投策を取った。1点を追う5回の守備。先発の山崎福は先頭の近本に136キロ直球を捉えられ中前打を浴びると、中野に犠打を許し、さらに一塁へ悪送球。勝負どころの無死一、二塁、汗を拭う左腕に交代のカードを切った。第1、2戦は互いに8-0で勝利も第3戦は1点差を争う戦い。甲子園に場所を移す前、指揮官は「こんな展開になるのは昨日も今日も本当に珍しいと思う。僅差のゲームになってくるという考えしかない」と冷静に予想。後手に回るわけにはいかなかった。1点が勝敗を左右する中で、山崎福の後を受けて登板したのはベテラン比嘉。森下を遊ゴロに打ち取り、続く大山の遊ゴロ間に1点は失ったものの、3人を抑えて見事に火消し。最少失点で切り抜けた。6回に登板した阿部が3者凡退で終わらせると、直後に味方が2点を奪って同点に。4番手でマウンドに上がったのは小木田だった。移動日を挟みながら、3戦連続登板となる右腕を迷わず投入。内野安打と味方の失策で無死一、二塁のピンチから、後続3人を抑え込みガッツポーズ。必死の継投が実った。レギュラーシーズンから中継ぎの一角をになってきた山崎颯が、2戦連続でベンチ外。不測の事態にも全員でカバーし合い、全力を尽くした。【磯綾乃】▽オリックス・ワゲスパック(サヨナラ打を浴び)「とにかく、2人目の打者に四球を与えてしまったのは自分なので。最後は彼(大山)にうまく打たれてしまった。監督がおっしゃるように準備するしかないと思う」

◆リリーフ失敗した阪神桐敷拓馬投手(24)がサヨナラ勝ちの直後に涙を流した。3-1の6回に2番手で登板。イニングをまたいだ7回は先頭広岡の打球を佐藤輝が取り損ねる失策も絡んで1死二、三塁を招き、宗に同点の2点適時打を浴びた。なお1死一塁で森に内野安打を浴びたところで降板。1回1/3を2失点(自責1)と15試合ぶりの失点で悔いを残した。試合終了直後、サヨナラ打を決めた大山悠輔内野手(28)にグラウンド上で頭をなでられた桐敷は目に涙を浮かべてうなずいた。「本当にカバーしきれなくて、申し訳なかった。この結果を受け止めて、次のチャンスでカバーできる機会があるので次はやっていきたい」とリベンジを誓った。

◆オリックスはサヨナラ負けを喫した。3失策に9回は四球に2暴投がからんでの痛恨の失点。中嶋聡監督(54)は反省を促しながらも前を向いた。「ミスはありますし、フォアボールももちろんあるんですけど。これだけ絡んで、よく本当にこの点差ですんだなっていう感じの内容だったんでね、大いに反省しなきゃいけない部分もいっぱいある」と話した。さらに、「もう自分らが一番分かってるんで、それを取り返そうとする期間が短いんで、それを本当に明日、なんとかやっていきたい」と次戦に目を向けた。9回は1死三塁から2者連続で申告敬遠。4番大山との勝負を選び、「本当はね、ためたくなかったんですけど、ボールを扱えてないといいますか。ストライクゾーンに入らないっていうのが不安材料に出ちゃったのかなと思うし。まあでも、球自体はいいです」と胸中を明かした。▽オリックス・ワゲスパック(サヨナラ打を浴び)「とにかく、2人目の打者に四球を与えてしまったのは自分なので。最後は彼(大山)にうまく打たれてしまった。監督がおっしゃるように準備するしかないと思う」

◆4番が決めた!! 阪神が死闘の末に劇的サヨナラ勝利を飾り、2勝2敗で五分に戻した。3-3の同点の9回1死満塁から4番大山悠輔内野手(28)が左前打を放ち、貴重な1勝をもぎ取った。日本シリーズでのサヨナラ勝ちは03年ダイエー戦の第4戦の金本の本塁打以来、20年ぶり球団4度目だ。試合後の岡田彰布監督(65)のお立ち台での一問一答は以下の通り。-すさまじい試合でした。見事に制しました「遅くまですみませんでした。もう少しね、すんなりと早く終わらないといけないんですけど、まあこれがシリーズかなと思っているので・まあ最後、前の2人が敬遠されて、まあちょっとチャンスで打てなかったんですけどね、最後は4番が決めてくれましたね」-1点をめぐる攻防で、1点の重みを感じたか「そうですね、まあ同じようなチームなんでね、リリーフ陣が勝負になると思っているんですけど。今日はね、島本と湯浅にかけましたね」-湯浅にこれ以上ない大歓声が注がれた。どのような判断から湯浅を投入したのか「いや、誰も湯浅は言わなかったんですけどね。まあ湯浅は6月以来ですかね、1軍のゲーム。まあ2日前に宮崎から帰ってきたばっかりだったんですけど、ほんとぶっつけ本番だったんですけどね、ここは湯浅にかけるしかないと。湯浅が出てくるとファンの声援でね、ガラッとムードが変わると思ったんでね。だから湯浅にかけましたね」-頼もしい右腕がベンチに加わった「明日からはね、普通に湯浅いけると思うんでね」-才木が途中で右手の親指から出血もあったがよく5回を粘った「球数もね、これはしょうがないんですけどね、ちょうど100球近くで。まあ何とか5回を1点で抑えてくれたので、役割を果たしてくれましたね」-森下も初回で3番らしい仕事をしてくれた「森下はちょっと怒らないといけないですね、やっぱりね。怒るとちょっと発奮しますね」-8番の木浪から今季の強みの攻撃があった「昨日もそうですけど、木浪がすごく機能しているので。だからまあ今日はちょっと打順の巡り合わせが悪くてね、ちょっと入れ替えとかはあったんですけど、みんながね、役割分担でね、きっちり仕事してくれたので、それで勝ちきれたと思いますね」-日本シリーズ甲子園でお立ち台は初めて。虎党のみなさんは「すごい声援をもらって選手もすごく奮い立っているので。明日でね、甲子園は終わるんですけど、今日の勝ちを無駄にしないように、明日はまた全員でね、最後の甲子園絶対勝ちたいと思いますね」

◆4番が決めた!! 阪神が死闘の末に劇的サヨナラ勝利を飾り、2勝2敗で五分に戻した。日本シリーズでのサヨナラ勝ちは03年ダイエー戦の第4戦の金本の本塁打以来、20年ぶり球団4度目だ。▽阪神湯浅京己投手(139日ぶりの1軍登板。8回2死一、三塁のピンチを1球で抑え、日本シリーズデビューで初ホールド)「久しぶりでしたけど、ファンの歓声もすごくて、自分の投球ができた。みんなでつないで、0で押さえたら流れくると思っていた。全ての自分の力を出しました」

◆4番が決めた!! 阪神が死闘の末に劇的サヨナラ勝利を飾り、2勝2敗で五分に戻した。日本シリーズでのサヨナラ勝ちは03年ダイエー戦の第4戦の金本の本塁打以来、20年ぶり球団4度目だ。阪神湯浅京己投手が投球1球でホールドをマーク。日本シリーズの1球ホールドは、17年<6>戦で嘉弥真新也(ソフトバンク)、砂田毅樹、パットン(ともにDeNA)の3人が記録して以来、通算4人目。

◆4番が決めた!! 阪神が死闘の末に劇的サヨナラ勝利を飾り、2勝2敗で五分に戻した。日本シリーズでのサヨナラ勝ちは03年ダイエー戦の第4戦の金本の本塁打以来、20年ぶり球団4度目だ。森下が初回に先制打を放って<3>戦に続いて打点をマーク。シリーズで新人の2試合連続打点は86年<6>、<7>戦清原(西武)以来、37年ぶり。阪神の新人では62年<6>、<7>戦藤井に次いで2人目だ。過去に3試合以上続けたのは62年<3>~<6>戦岩下(東映=4試合)81年<4>~<6>戦原(巨人)の2人しかいないが、森下は<5>戦でも打点を挙げられるか。

◆4番が決めた!! 阪神が死闘の末に劇的サヨナラ勝利を飾り、2勝2敗で五分に戻した。3-3の同点の9回1死満塁から4番大山悠輔内野手(28)が左前打を放ち、貴重な1勝をもぎ取った。日本シリーズでのサヨナラ勝ちは03年ダイエー戦の第4戦の金本の本塁打以来、20年ぶり球団4度目だ。試合後の岡田彰布監督(65)の囲み取材での一問一答は以下の通り。-湯浅の登板は球場のムードが変わると「おーん、その通りやったな」-いつからいけると「いやいや、西純と2人でな、もう呼ぶのは決まってたし。昨日は西純でロングいきたかったけどな。でまあ、今日あれや。ブルワーと代えて。湯浅はね」-状態も上がっていると「いやいや、フェニックス(リーグ)でずっと抑えてたからな。状態とか、そんなん関係ないよ。ここまできたら」-湯浅にかけた「ちょうどね。ツーアウトで、左続いて、右やったからな。あそこな」-9回は岩崎。仮に同点だったら、その後は加治屋と2人で「そうなったら西純や」-申告敬遠連発してきた「いやいや、フォアボールはあると思ったけどな」-大山に声かけは「そんなのはしてないしてない。そんなのはみんなわかってるやん」-しびれる展開。負けたら崖っぷちだった「そうやなあ。エラーからの点やったからなあ。結局は。そらすんなりいけへんのはな。あそこ(7回)で入れ替えやなあかんようになったからな。ピッチャー使うのにな。12回まであるから最低3人は残さなあかんから」-佐藤輝の交代は一番遠い打順だからか「もうイニングまたぎになるからな、次ピッチャーからやかな。しゃあないよな。シーズンやったら普通にいけるけど、短期決戦やからな、やっぱりな」-今日勝ったことで明日は甲子園最後「そうやな、おーん。それは今日勝つんと負けるんとえらい違いやけど。まあな、これでまたな、五分だし、1つ余裕ができたからな、おーん。明日の大竹も良かったやろな。がけっぷちで投げるのと、ちょっとリラックスして投げられるやろ」-才木の指は大丈夫か「大丈夫、もう悪かってもええやん。もう投げへんやん、そんなんもう投げへんやん(笑い)。そういう問題じゃないよ、どんなんか知らんよ、だから。聞いてないよ(笑い)」-四球が絡むとこういう結果になる「まあ、中野を(申告敬遠)やった時には、もう森下も敬遠と思たけどな。まあ、1点勝負やからな結局はな。でも(ワゲスパックは)フォアボールのあるピッチャーやからな。それはちょっとどうかなと思たよ。逆にな。おーん。フォアボールあるのにな」-佐藤輝は奮起を待たないと仕方がないか「え、奮起待つて、もうあんまり試合ないで。そんなもん、もうあれへんやん。あと2つか2つしかないんやから。あっても3試合やで、あと」-大山もこういう形で「まあ、そらもう昨日も最後チャンスで、今日もチャンスで打てんかったからな。最後、あそこでもう打たんとあかんやろ。はっきり言って。1年間、4番はってたわけやからな、それは」-采配合戦もあった「采配てねえ、外れた時の大きさの方を考えたら、なかなか出せんよ。そんな簡単に、サードやからスクイズとかね、できないって、そんなの。短期決戦で余計に。それで一気に流れもいってしまうわけやからな。それほど、サインの1つゆうたら、怖いことやから。そんな簡単にね、一、三塁やからセーフティースクイズとかって、そらできへんて。口で言うのは簡単やけど、見てる方は簡単やけど、そんなん、できないって。1つのミスが流れ変えてしまうんやから。今日のゲーム見たら、わかるやんか。1つのミスで、こんだけゲーム変わるわけやからな。そういうことや。そんなん、簡単にサイン出されへんて」熱戦!日本シリーズ スコア速報

◆阪神森下翔太外野手が2試合連続安打で先制点を奪った。初回先頭の近本が左前打で出塁。中野が犠打でつなぎ1死二塁のチャンスで打席が巡った。「先頭のチカさん(近本)から、いい流れでつないでくれたチャンスでしたし、ランナーを返すことだけを考えて打席に立ちました」。カウント1-1から、オリックス山崎福のフォークを捉え、左中間まで豪快に飛ばした。フェンス直撃の二塁打で1点を先制し、二塁上で両手を突き上げた。前日10月31日の第3戦でマルチ安打&日本シリーズ初打点を記録。日本シリーズ初戦と第2戦は苦戦したが、即修正。勢いそのままで2試合連続でHランプをともした。森下は「左ピッチャーを課題にしていたのでしっかり芯でとらえることができてよかった。甲子園でもう1試合できるので明日勝って京セラに臨みたい」と力を込めた。

◆阪神中野拓夢内野手がつなぎ役を果たした。初回、5回は犠打を決めて得点につなげた。9回は荒れるワゲスパックに対して冷静にカウント有利をつくり、申告敬遠に持ち込んだ。3得点に絡んだ2番打者は「チームとしてこういう試合を勝ち切れたので、いい流れで明日に入れると思う。明日は甲子園でいい形で次にいけるように頑張りたいです」と手応えを口にした。

◆重苦しい敗戦の中で、宗佑磨内野手(27)の復調がオリックスの希望の光だ。2戦連続で大仕事をした。2点を追う7回、敵失と代打セデーニョの安打などで1死二、三塁のチャンス。阪神の左腕桐敷のストレートを、センター前へ。2人の走者が生還する2点適時打。一時試合を振り出しに戻した。「チャンスの場面でしたし、とにかく必死に打ちにいきました」。第3戦で2点適時二塁打を放っており、連夜の活躍。5回には右中間への二塁打も放っていた。勝負強い打撃で"シリーズ男"になりそうなムードも漂ってきた。甲子園の大声援には「最後、楽器なくなってたのに、すごかったですね」と驚くが、オリックスファンも「頑張って、声出してくれてるので」と、その期待に応えた。2戦目までは「逆シリーズ男」になりかねなかった。2試合連続ノーヒット(8打数無安打)で、バットは湿っていたが、乗ってきた。それでも宗は「そういうのはあんまりなくて、もういかにチームに貢献するかってそれだけなので、ヒットとか別にどうでもいいです」とフォア・ザ・チームの精神を強調する。チームは手痛いサヨナラ負けを喫したが「短期決戦なのでそれだけですね」と切り替えを強調。宗は次の試合も勝利だけを見すえ、攻守に全力を尽くす。

◆阪神3番森下翔太外野手が2試合連続安打で先制点をもたらせた。初回1死二塁。オリックス山崎福のフォークを捉え、左中間フェンス直撃の適時二塁打。ベースで両手を突き上げた。前日10月31日の第3戦で、マルチ安打&日本シリーズ初打点を記録。「左投手が課題だったので、芯でとらえることができてよかった。甲子園であと1試合できるので、明日勝って京セラに臨みたい」と力を込めた。叱咤(しった)激励を続けてきた岡田監督も「森下はちょっと怒らないといけない。怒るとちょっと発奮しますね」としてやったりだった。

◆「三塁・糸原」が光った。阪神糸原健斗内野手は「7回途中の投手交代にともなって三塁へ。7月12日DeNA戦(甲子園)以来の守備だったが8回1死二、三塁でゴロをさばき、本塁に走った走者を刺した。「準備はできていたので、すんなり入れました。めちゃくちゃいい勝ち方ができた。明日が大事なので、また大歓声の中で一丸になって勝ちを届けたい」と誓った。

◆日本シリーズ初登板の阪神守護神岩崎優投手が劇的サヨナラ勝利を呼び込んだ。3-3の9回に登場。1死から森に中前打を許し、代打石川の犠打で得点圏に走者を進められたが、最後はゴンザレスを外角低めのチェンジアップで二ゴロに斬り、攻撃に流れをもたらした。「みんなが何とかゼロでしのいでくれていたので」と汗を拭った。これでサヨナラ勝ちした10月19日の広島とのCSファイナルステージに続く勝ち星を挙げ、ポストシーズン2勝目を手にした。

◆オリックス中嶋聡監督(54)の執念の采配は実らず、2勝2敗のタイとなった。先発山崎福也投手(31)を5回途中で降板させる早めの継投策。9回1死三塁のピンチで、2者連続で申告敬遠を指示。満塁策で阪神4番大山との勝負を選んだが、サヨナラ打を浴びた。オリックス中嶋監督一問一答-それぞれが出し尽くしての最後まあ、ミスはね、ありますし。フォアボールももちろんあるんですけど。これだけ絡んで、よく本当にこの点差ですんだなっていう感じの内容だったんでね、大いに反省しなきゃいけない部分もいっぱいあると思うんですけど。-誰がどうとかはないそうです。もう自分らが一番分かってるので、それを取り返そうとする期間が短いので、それを本当に明日、なんとかやっていきたいと思います。-攻撃は粘り強くですね。まあでも1回も追い越せなかったのがあれなのかなと思いますし、どこも本当にいい抑えられ方してますし、こういう戦いなのかなって思いますし、はい。-山崎福は踏ん張りながらもんー。一番ね。(抜いた)プレーじゃないと思うんですけどね。あの送球だけはちょっと良くはないですよね。-最後に勝負を懸けた。ワゲスパックの粘りは本当はね、(走者を)ためたくなかったんですけど、ボールを扱えてないといいますか。ストライクゾーンに入らないっていうのが不安材料に出ちゃったのかなと思うし。まあでも、球自体はいいです。球自体は。-リリーフはやりくりしながらそうですね、やっていくしかないので。

◆オリックス宇田川優希投手(24)が気迫の投球でピンチを脱した。同点の8回からマウンドに上がると、1死二塁を招いたが、坂本、木浪をそれぞれ3球で空振り三振。得点圏に走者を置いてからはすべて150キロ超えの直球で2者連続3球三振。ピンチを脱してポンとグラブをたたいた。「あそこはストレートでごり押しした。イチかバチかで力で勝負しにいって、勝てたのでうれしかった」。しびれる展開で0を刻んだ。

◆オリックス森友哉捕手(28)が最終回の守備を悔やんだ。変化球が荒れるワゲスパックのワンバウンド投球を2度そらして暴投でピンチが拡大。サヨナラ負けにつながり、「自分が止めてればというところなんで、申し訳ない」と悔やんだ。勝てば日本一に王手だったがタイとなり、「勝っても負けても切り替えが一番大事だと思うので、明日に向けてしっかり準備していきます」と前を向いた。

◆阪神島本浩也投手がワンポイントリリーフを全うした。3-3の8回1死一、三塁のピンチ。小田の代打で左のTー岡田が出てきたところで、石井に代わって登板。直後に代打の代打で右の安達が送られたが、外角低めフォークで三ゴロに打ち取った。第2戦ではゴンザレスに走者一掃の3点打を浴びただけに「しっかり1人抑えてつなげることをを考えていた。やり返せたと思うので、また明日も頑張りたい」と力を込めた。

◆阪神が同点の9回、大山悠輔内野手(28)の劇的サヨナラ打で2勝2敗のタイに戻した。負ければ王手を掛けられた日本シリース第4戦。執念を体現したのは岡田彰布監督(65)の超大胆タクトだ。7回に失策で同点のきっかけをつくった佐藤輝明内野手(24)を懲罰交代。8回は左脇腹筋挫傷で離脱していた湯浅克己投手(24)を投入してピンチを断った。接戦で6番打者を代え、4カ月半ぶりの登板の投手をここ一番で送り込む大勝負がズバリ。超満員札止めの虎党は歓喜の六甲おろしに酔いしれた。○...85年阪神日本一監督・吉田義男氏(90=日刊スポーツ客員評論家)も、劇的な勝利を見届けた。三井住友フィナンシャルグループ名誉顧問・奥正之氏、ロイヤルホテル会長・蔭山秀一氏ら経済界トップと生観戦。「やはり短期決戦は難しい。最後は継投の勝負になったが、3対3の同点でも、岡田は9回に岩崎をつぎ込んで勝負をかけるだろうと思ってみていた」。シリーズ前から「第5戦がカギ」と語っていたレジェンドは「オリックスも地力があるが、阪神ペースになった。明日(2日)勝てば一気にいくだろう」と見通した。

◆阪神佐藤輝明内野手が痛恨失策を反省した。2点リードの7回、三塁守備で先頭広岡のゴロを捕り損ね、失策。1死二、三塁から桐敷が宗に同点の中前2点適時打を浴び、その後、糸原との交代を告げられ、ベンチで戦況を見守った。打撃でも無安打3三振と振るわず「切り替えて頑張ります。(失策した打球は)捕らないといけなかった」と前を向いた。

◆血染めの粘投だ。阪神才木浩人投手(24)が初の日本シリーズで持ち味を貫いた。初回は3者凡退の立ち上がりだったが、2回に親指から出血。「マメではなくて、ひっかきました」。拭ったユニホームの太もも付近には血がにじんでいた。それでも、マウンドでは一切弱みを見せない。1点リードの5回2死三塁では4番頓宮を151キロ直球で一邪飛。固く拳を握り、5回5安打1失点で粘投を締めた。「シンプルに、まとまりが悪い日だった。その中でしっかり球数使いながら、粘りながらいけました」5回95球と球数がかさんだが「今日は粘る日だな!」と割り切って投げた。右肘のトミー・ジョン手術から復帰した、昨年7月の復活星から約1年。育成経験者では球団初となった日本シリーズ先発で、堂々たる投球だ。今季、甲子園では8試合で防御率1・33。「傾斜、マウンドの感じもすごく好き。真っすぐとかフォークの感触も1番いい」と最も得意にする球場だ。自ら「自分フライピー(ピッチャー)なんで」と語る才木。ホップする直球に、打者はボールの下をたたくフライが上がりやすい。それだけに、広く浜風が吹く甲子園は味方になるという。「打たせても風で戻ってきたりする。思い切っていけるところが大きい」。得意な聖地が投球を後押ししている。先発陣には10勝左腕の大竹も控える中、前倒しで第4戦先発に抜てきされた。岡田監督も「役割を果たしてくれましたね」と評価。超満員の聖地で、期待に応える好投だった。【波部俊之介】

◆「湯浅の1球」が流れを変えた。阪神湯浅京己投手(24)が左脇腹筋挫傷から復活し、絶体絶命のピンチを救った。3-3で同点の8回2死一、三塁で登板。オリックス中川圭を149キロ直球で二飛に仕留め、1球で火消しに成功した。6月15日オリックス戦以来、139日ぶりの1軍登板でぴしゃり。負傷に苦しんだ男が、38年ぶり日本一への最後のピースになる。甲子園の空気が変わった。湯浅の名前がコールされると、地鳴りのような大歓声が響いた。同点の8回2死一、三塁で登板。覚悟を決めた。「ゼロで抑えたら流れはくると思っていた。絶対に抑えようと」。中川圭を初球149キロ直球で二飛に仕留めた。打球が甲子園の夜空に打ち上がると大きく飛びはねた。6月15日オリックス戦以来、139日ぶりの1軍登板で1球に魂を込めた。「湯浅コール」を全身に浴びた。「甲子園でしか感じられない、ファンの力を借りて投げられた。全ての自分の力を出しました」伊勢志摩ボーイズで硬式野球を始めた中学時代。内野手としてのセンスは光るものがあったが、打撃練習ではチームメートと比較して、ボールがなかなか飛ばなかった。悔しくてたまらなかった湯浅少年は、父栄一さんから「京己、成長期は人それぞれ違うんや。心配せんでええ」と口酸っぱく言われ続けた。父は、筋肉が発達していくのは、まだ先のことだと確信していた。母衣子さんは睡眠、食事の管理を徹底。不摂生な生活は成長期を早めてしまう可能性があることを、独学で学んでいた。わが子に、いかに「伸びしろ」を残してやれるか。それが、湯浅家の子育てのテーマの1つだった。そのかいもあり? 湯浅は「僕、体毛はえてくるの遅かったんですよ」と笑う。「体もまだまだ強くなると思うし、球速もまだまだ上がると思うんですよね」。そう思えるから、リハビリもパワーアップする期間だと捉えられた。湯浅の成長期は中学時代でも高校時代でもない。「今」だ。183センチに無限の可能性を秘める。みやざきフェニックス・リーグで5試合に登板し、全て無失点。とはいえ、日本シリーズでの登板は、ほぼ「ぶっつけ本番」と言えるが、岡田監督は背番号65を起用した。「ファンの声援でね、ガラッとムードが変わると思ったんでね。だから湯浅にかけましたね」。さらに「明日からはね、普通に湯浅いけると思う」と認めた。苦しんだ男が、38年ぶり日本一へのラストピースとなる。【中野椋】

◆選手会長は日本シリーズ男だ。阪神近本光司外野手(28)が快音を連発し、サヨナラのホームを踏んだ。3-3で同点の9回1死、四球で出塁。その後1死満塁となると、最後は同学年大山のサヨナラ打で生還した。「悠輔(大山)が決めたのも大きい。チームとしても良かった」。本塁付近で待ち構えていた原口と熱く抱き合った。「ヒットもそうですけど、結果的にエラーでチャンスをつくったりっていうのも大事。勝てばいいですし、(塁に)出ればいいですし、勝てて良かったです」初回にオリックス山崎福から左前打で出塁。森下の適時打で先制のホームを踏んだ。同点に追いつかれた直後の2回2死一、二塁では、山崎福の142キロ直球をしぶとく左前へ。一時勝ち越しのタイムリーに「どんな形でもランナーをかえしたいという気持ちでした」と力を込めた。5回には中前打を放ち、日本シリーズ初戦に続く2度目の猛打賞をマーク。4試合を終え打率4割6分7厘と打ちまくる。「別に状態とかは気にしていないです。ただ、結果さえ出ればいいので」。一戦必勝の思いを胸に、次の戦いへ向かう。【中野椋】

◆ナカジマジックが裏目に出た-。オリックス中嶋聡監督(54)の執念の采配は実らず、2勝2敗のタイとなった。先発山崎福也投手(31)を5回途中で降板させる早めの継投策。9回1死三塁のピンチで、2者連続で申告敬遠を指示。満塁策で阪神4番大山との勝負を選んだが、サヨナラ打を浴びた。2日の第5戦では2戦連続ベンチ外だった山崎颯一郎投手(25)がブルペンに入る見込み。総力戦で今度こそ2年連続の日本一へ王手をかける。中嶋監督は最後に勝負に出た。同点で迎えた9回1死三塁、マウンドには6番手のワゲスパック。中野、森下に2者連続で申告敬遠を指示、4番大山との対決を選んだ。「本当はね、(走者を)ためたくなかったんですけど、ボールを扱えてないといいますか。ストライクゾーンに入らないっていうのが不安材料に出ちゃったのかなと思う」。観客もどよめく中、満塁からボールが先行すると、最後はフルカウントから内角高めの直球を捉えられ、サヨナラ適時打を許した。日本シリーズでも勝利を導いてきたナカジマジックが不発に終わった。「ミスはね、ありますし。フォアボールももちろんあるんですけど。これだけ絡んで、よく本当にこの点差ですんだなっていう感じの内容だったんでね」。5回には先発の山崎福が犠打の処理から悪送球。中堅の中川圭や三塁の宗と主力にもエラーが出た。9回のピンチも、2つの暴投から招いたものだった。「大いに反省しなきゃいけない部分もいっぱいあると思うんですけど。もう自分らが一番分かっている。それを取り返そうとする期間が短いので、それを本当に明日、なんとかやっていきたいと思います」。王手はかけられなかったが、2勝に追いつかれただけ。短期決戦で落ち込んでいる暇はない。5回無死一、二塁で先発山崎福に代えて比嘉を投入するなど、6人を使う継投策。やりくりが必要な中で、明るい材料もある。2戦連続でベンチを外れていた山崎颯が、2日の第5戦からベンチ入りする見込みとなった。ここまで来たら、もちろん総力戦。厚沢投手コーチは「(レギュラー)シーズンは3連投はなかったですけど、日本シリーズは当日の状態を見ながら」と3連投も辞さない構えを見せた。2年連続の日本一へ。立ち止まらず、全員が最善を尽くす。【磯綾乃】▽オリックス・ワゲスパック(サヨナラ打を浴び)「とにかく、2人目の打者に四球を与えてしまったのは自分なので。最後は彼(大山)にうまく打たれてしまった。監督がおっしゃるように準備するしかないと思う」

◆阪神が同点の9回、大山悠輔内野手(28)の劇的サヨナラ打で2勝2敗のタイに戻した。負ければ王手を掛けられた日本シリース第4戦。執念を体現したのは岡田彰布監督(65)の超大胆タクトだ。7回に失策で同点のきっかけをつくった佐藤輝明内野手(24)を懲罰交代。8回は左脇腹筋挫傷で離脱していた湯浅克己投手(24)を投入してピンチを断った。接戦で6番打者を代え、4カ月半ぶりの登板の投手をここ一番で送り込む大勝負がズバリ。超満員札止めの虎党は歓喜の六甲おろしに酔いしれた。4番大山は打席に入る瞬間、揺れ動く感情のスイッチをあえて切った。同点で迎えた9回裏1死満塁。2つの暴投で1死三塁フルカウントとなった直後、2番中野と3番森下が迷わず申告敬遠された。甲子園全体がどよめく中、悔しさや怒りの類いは「別に何もなかった」。打てば神様。打てなければ戦犯。プロ1年目から虎の4番を任された経験値が生きた。「プレッシャーなんて、毎日あります。いつも通りでした。これまで力んで失敗してきた。『より冷静に』と思って入りました」マウンド上には右腕ワゲスパック。低めのボール球を丁寧に3球見逃す。最後はフルカウントからの7球目、内角高め148キロ直球を強引に押し返した。前進守備の三遊間をしぶとく抜くと、ようやく感情のスイッチをオンに変換した。右拳を夜空に突き上げる。木浪らに抱きつかれると、目尻が一気に緩んだ。前夜の第3戦は1点を追う9回裏2死一、二塁、守護神平野佳との対決に敗れた。低めに沈むフォークで空振り三振。「人生で一番すごいフォークでした。でも、あれだけのフォークを見られて幸せだったと考えるようにします」。短期決戦。落ち込んでいる暇はない。懸命に心の切り替えを図った。「試合後の体の張りが全然違うんです」。日本シリーズ特有の重圧と疲労を痛感できるのは2チームの選手だけ。もう最後まで走り抜くだけだ。この日は1回1死二塁で空振り三振に倒れた。それでも5回1死一、三塁では遊ゴロで代名詞の全力疾走を貫き、併殺崩れの間に貴重な追加点をもぎ取った。同点とされた直後の7回2死一、二塁では再び空振り三振。最後に意地を見せた4番の姿に、岡田監督は「昨日も最後のチャンスで、今日もチャンスで打てんかったからな。最後、あそこでもう打たんとあかんやろ。1年間4番張ってきたわけやから」と納得顔だ。大山は激闘の直後、すでに表情を引き締め直していた。「1人1人必死ですし、勝つために1つになってやっている。とにかくどんな形でも勝ったことが一番です。先のことより明日の試合に勝つだけ。またチーム一丸で頑張ります」。4番が息を吹き返した。猛虎打線に再び芯が通った。【佐井陽介】

◆阪神が死闘の末に劇的サヨナラ勝利を飾り、2勝2敗で五分に戻した。日本シリーズでのサヨナラ勝ちは03年ダイエー戦の第4戦の金本の本塁打以来、20年ぶり球団4度目だ。日本シリーズ・ニッカンMVP査定 阪神はサヨナラ打の大山、3安打で3得点の近本にそれぞれ3ポイント。近本は今シリーズ2度目の猛打賞で15打数7安打、打率4割6分7厘となった。

◆巨人が新しい打撃マシンを導入する可能性が出てきた。宮崎秋季キャンプが1日、スタート。キャンプ初日から、「トーアスポーツマシーン社」の機器が3台、室内練習場に設置された。通常のタイプに加え、スローボール専用、リリースポイントが高さ約180センチのマシンを、今キャンプ中にテストする。阿部新監督は「良ければ春に取り入れる」。

◆【日刊スポーツ西日本写真映像チームのとっておき映像プレイバック】日本シリーズ第4戦、激闘で迎えた9回に大山悠輔のサヨナラ打で阪神が勝利! 2勝2敗とオリックスとの対戦成績をタイに持ち込みました。

◆阪神・佐藤輝明内野手(24)が1日、「SMBC 日本シリーズ2023」第4戦・オリックス戦(甲子園)に向け、予告先発されている山崎福也投手(31)の攻略に意気込んだ。「しっかりと自分のスイングをして打っていきたいと思います」今季11勝を挙げた左腕とは交流戦での対戦はなかったが、オープン戦では3月25日(京セラ)に対戦し、3打数2安打1打点。四回に左中間ソロを放ち、パワーを見せつけた。ちなみに、7月19日のオールスターゲーム(バンテリンドーム)では右前打を放っている。公式戦では新人年の2021年6月3日にこの甲子園で右中間ソロを見舞い、〝通算2本塁打〟だ。今回の日本シリーズでの佐藤輝は3試合を戦い終えて打率・167(12打数2安打)、0本塁打、1打点で、第3戦は3三振と悔しい結果に終わった。だが、昨年の日本シリーズで優秀選手賞を受賞した山崎福から快音を響かせて、復調のきっかけをつかむ。

◆オリックスは山崎福也投手(31)が先発登板。今季プロ9年目で自身初の2桁勝利となる11勝(5敗)を挙げて防御率3・25。日本シリーズでは昨年も2試合に投げて計9イニングを無失点と好投を続けた。アウエーの舞台でも持ち前の粘り強い投球を身上に打者に向かう。日大三高時代には選抜大会最多タイ記録となる1大会13安打の記録をマークした強打者だった。昨年も日本シリーズで安打を放っており、甲子園で「1本打ちたいですね」と投打に気合を入れて試合に臨む。前夜は右翼で先発した森友哉捕手(28)が「3番・捕手」でスタメンマスクをかぶる。

◆阪神・湯浅京己投手(24)がベンチに入った。1軍でベンチに入るのは6月15日のオリックス戦(甲子園)以来。同戦では2-1の九回にマウンドに上がったが、2本のソロ本塁打を浴びて負け投手となった。そこから右前腕筋挫傷、左脇腹筋挫傷を乗り越えての1軍復帰となる。10月30日のみやざきフェニックス・リーグ韓国選抜①戦では1回無失点の投球を披露。日本シリーズは1勝2敗でリードを許すが、世界を知る右腕の投球で流れを引き寄せ、リベンジを果たす。及川雅貴投手(22)とヨハン・ミエセス外野手(28)もベンチに入った。

◆阪神の先発・才木浩人投手(24)が立ち上がりを無失点で抑えた。先頭の中川圭にはオール直球勝負。フルカウントから最後は152キロ直球で二ゴロに仕留めた。続く宗には2球連続直球で追い込む。これでプレーボールから9球連続で直球勝負。フォークを挟んで宗も151キロ直球で左飛に抑えた。最後は3番・森。変化球を交えながらフルカウントとすると、とどめは151キロ直球で空振り三振。一回に投じた全21球のうち17球が直球と、力技でねじ伏せ、最高の立ち上がりをみせた。

◆阪神が電光石火の攻撃で先制。3番・森下翔太外野手(23)が左中間へ適時二塁打を放った。一回先頭の近本が左前打を放つと、続く中野が手堅く犠打で1死二塁。10月31日の第3戦で2安打2打点の森下が打席に向かった。カウント1-1からの3球目、127キロフォークを捉えると、打球は左中間を突き破る二塁打。若虎は塁上で両手を高々と突き上げた。森下は「打ったのはフォーク。先頭の(近本)チカさんからいい流れでつないでくれたチャンスでしたし、ランナーを還すことだけを考えて打席に立ちました。しっかり自分のスイングの中で、芯でとらえることができました」とコメント。阪神攻撃開始からわずか8球、電光石火の先制劇で序盤の主導権を奪った。

◆試合に先立ち、ラグビー日本代表の稲垣啓太(33)が始球式に登場した。笑わない男・稲垣は表情を引き締めてマウンドへ向かったが、名前をコールされた際にボールをこぼし、球場から笑いを誘った。それでもマウンドに立てば力強いノーバウンド投球を披露し、大観衆をどよめかせた。大役を果たし、捕手の坂本からボールを受け取る際には、ほんの少し表情をやわらげた。

◆阪神・岡田彰布監督(65)が試合前練習中、球場を訪れたソフトバンク・和田毅投手(42)と談笑した。ともに早大出身という間柄で、今季は6月16日(甲子園)に対戦があった。和田は今季、オリックス戦に4度先発して1勝1敗、防御率2・01。指揮官はベテラン左腕に猛牛打線攻略法を聞いた? のか、話に花を咲かせていた。なお、この日の試合前練習後のクラブハウスへの移動には、エレベーターを使用せず。18年ぶりのリーグ優勝を果たした9月14日の巨人戦前や勝利したクライマックスシリーズファイナルステージの1、2戦目同様に、10月31日の今シリーズ第3戦前は通常経路の階段ではなくエレベーターを使って移動してゲンを担いでいたが、同戦は4―5で敗戦。1勝2敗から星を戻すための一戦を控え、報道陣に向けて「お前が乗っとけ」とつぶやいて笑いを誘い、階段をのぼって戻っていった。

◆阪神・大竹耕太郎投手(28)は先発予定の2日の第5戦に向けてキャッチボールやトレーニングなどで調整した。「(緊張は)気持ち的にはあまり感じてはいないですけど、体はいつもよりも力みやすかったりとか、無意識で緊張しているのかなみたいなのはあります」今季は21試合に先発し、チームトップの12勝(2敗)、防御率は2・26と好成績を残した左腕。10月31日までの3戦を観戦し、「いいボールもファウルにして粘ってくる打者が多いので、簡単にはいかない。これだけは投げちゃいけないという球をどれだけ投げないかというところがすごく大事」と好調のオリックス打線を分析した。重要な試合への取り組み方としては「いいイメージをできるだけたくさん持って試合に入る、というのは今年一年意識してきた」と明かす。レギュラーシーズンでも、いい投球をした試合やヒーローインタビューなどの映像を見ることで、ネガティブなイメージを払拭して好成績を収めてきた。甲子園の大歓声も味方につけ、大事な一戦でも虎に勝利をもたらす。

◆西武ドラフト6位・村田怜音(れおん)内野手(22)=皇学館大=が1日、三重県伊勢市の同大で前田俊郎・球団本部編成グループ育成アマチュア担当チーフらから指名あいさつを受けた。〝伊勢の怪物〟との異名を取るパワーヒッターーの村田は「ドラフト当日、自分の名前が呼ばれる瞬間だけ、時がゆっくり流れたような不思議な感覚だったのを覚えています。指名を受けて、うれしい気持ちと安心した気持ちと半々でした」と振り返った。その上で、「僕は圧倒的な長打力と打球の速さには自信があります。これまでは自分が試合に出られる環境にいたので、自分のやりたい野球をしてきましたが、プロになってからは、たくさんの方の教えをいただいて、結果を出すことに執着していきたいと思います」と、プロとしての自覚をにじませた。

◆両軍のオーダーが発表された。1勝2敗と負け越している阪神は「3番・右翼」に入った森下翔太外野手(23)に注目。日本シリーズでは不振に苦しんでいたが10月31日の第3戦は2安打2打点と復調の気配を漂わせている。打てばチームが勢いづくルーキーが連敗の流れを変える。阪神の先発は才木浩人投手(24)。今季甲子園で4勝1敗、防御率1・33と好成績を残している右腕が快投で勝利に導く。オリックス先発は左腕の山崎福。

◆オリックスの2勝1敗で迎える31日の日本シリーズ第4戦は、阪神・才木浩人、オリックス・山崎福也がそれぞれ先発予定。X(旧ツイッター)では試合前から「バッター福也」がトレンド入りし、投げ合いだけでなく、東京・日大三高時代に選抜大会最多タイの13安打をマークした山崎福也のバットにも注目が集まっている。普段は打席に立つことがない山崎福だが、第4戦の舞台はDH制がない甲子園。山崎福は昨年のヤクルトとの日本シリーズでバットでも活躍し、優秀選手賞を受賞。今季の交流戦でも5打数2安打1打点で打率・400をマークし、通算の打撃成績は22打席6安打1打点で打率・273と野手顔負けの打撃力を誇っている。Xでは「今日の注目はバッター山崎福也しかない」「さあ、昨年の再現を!」「福也さんの打席がたくさん見られますように」「福也さんのヒット見れるかな?」「オリックス先発山崎福也か、自援護頑張ってくれ」などとファンから期待の声が寄せられた。

◆第4戦のスタメンが発表された。阪神は前日、4打数無安打3三振に終わり、シリーズ打率・167の佐藤輝明内野手(24)が5番から6番へ。佐藤輝の6番は8月27日の巨人戦(東京D)以来、約2カ月ぶり。代わってノイジーが5番になった。

◆阪神・才木浩人投手(24)が二回に同点を許した。一回は三者凡退に抑えたが、先頭の4番・頓宮に直球を痛打され打球は中堅左のフェンスに直撃。跳ね返る間に一気に三塁へ進まれ、無死三塁とされる。5番のゴンザレスは内角への直球で見逃し三振のあと、6番の紅林にカウント2-2から打ち取った当たりを前進守備の内野を越えて右前に落とされ、試合は1-1の振り出しに戻った。なおも2死一、二塁とピンチを迎えたが、9番の投手・山崎福を右飛に抑え、最少失点で切り抜けた。

◆オリックスが0ー1の二回に同点に追いついた。一回に先制された直後のこの回、先頭の頓宮裕真捕手(26)が阪神先発才木の直球をとらえた打球はバックスクリーン方向に鋭く伸びて中堅フェンスに直撃。中堅の近本がクッションボールの処理にもたつきボールが転々とする間に、頓宮は9月中旬に疲労骨折した左足甲の影響も感じさせない激走をみせてヘッドスライディングで三塁を陥れた。ゴンザレスが見逃し三振を喫して1死三塁。ここで6番の紅林弘太郎内野手(21)がカウント2-2から直球を強振。詰まった当たりとなったが右前にポトリと落ちる安打となり、頓宮が生還。1-1の同点とした。その後も広岡大志内野手(26)の安打で2死一、二塁のチャンスをつくり、勝ち越しの好機で投手の山崎福が打席に。低めのフォークを救い上げたが、右飛に倒れた。

◆阪神が勝ち越した。1-1の同点に追いつかれた直後の二回。2死からまずは木浪が二塁へボテボテの打球を放つと、激走&ヘッドスライディングで内野安打をもぎ取る。続く才木は四球でつないで2死一、二塁。1番・近本が打席に向かった。カウント0-1から2球目。142キロ直球を振り抜くと、打球は左前へ。二走・木浪が再び激走で勝ち越しのホームへとかえってきた。「打ったのはストレート。どんな形でもランナーを還したいという気持ちでした。追いつかれた後のイニングだったので、試合展開的にも、すぐに得点を返すことができてよかったです」と近本。恐怖の8番を最強1番がかえす。シーズンさながらの得点パターンを〝キナチカ〟コンビがもたらした。

◆阪神・才木浩人投手(24)がピンチを脱した。近本の適時打で勝ち越した直後の三回。先頭の中川に左前、宗を四球で歩かせ無死一、二塁のピンチを背負う。それでも森を遊ゴロ併殺とすると、2死三塁となって二回にフェンス直撃の三塁打を浴びた頓宮には、フルカウントからのフォークで三振に斬った。オリックスの強力3、4番を抑えてリードを守った。

◆阪神が泥臭く執念で追加点をもぎ取った。2-1の五回。先頭・近本がこの試合3本目の安打となる中前打で出塁すると、続く中野の犠打をオリックス・山崎福が悪送球。無死一、二塁の好機を作った。相手ベンチはここで2番手・比嘉にスイッチ。打席には先制打を放った森下が向かった。三遊間を抜けそうかという打球に、まずは若虎が全力疾走。何とか併殺をのがれ、1死一、三塁とつなぐと、続く4番・大山の打球も遊撃へ。4番も持ち味の全力疾走で併殺を免れると、三走・近本が3点目のホームを踏んだ。

◆阪神・才木浩人投手(24)が先発し、5回95球、5安打1失点で降板した。一回は三者凡退でスタートを切るも、味方が先制した直後の二回に紅林の右前打で同点を許す。それでも二回の攻撃では2死一塁から四球を選んでチャンスを拡大し、近本の勝ち越し打につなげた。走塁でも捕手がはじく間に三塁を陥れる好走塁を見せ、左膝を真っ黒に汚してマウンドへ。以降は粘りの投球を見せ、三回無死一、二塁のピンチは森を併殺打、頓宮を三振でしのぐと、四回にも1死一、二塁から広岡を中飛、山崎福を三振と追加点を与えず。五回にも2死三塁から頓宮を一邪飛に仕留めてガッツポーズ。六回に2番手・桐敷が送られ、お役御免となった。好調のオリックス打線を最速153キロの直球とフォークでねじ伏せ、6奪三振の好投で試合を作った。二回途中からは右手親指の付け根付近から流血し、ユニホームを赤く染めながらの力投。読売テレビで解説を務めたソフトバンク・和田毅(42)は「僕も力が入ったときにたまに爪でひっかいてしまうことがあります」と説明していた。

◆オリックスの先発・山崎福也投手(32)は五回無死一、二塁としたところで降板。五回途中6安打3失点(自責点は2)だった。立ち上がりの一回、1死二塁で森下に左中間を破られ、先制点を許した。打線が1-1と追いついた直後の二回も、2死から木浪の内野安打から四球で一、二塁のピンチを背負うと、近本に左前タイムリーを許して1-2と再び勝ち越される。三回、四回とゼロで抑えて迎えた五回は、先頭の近本に中前打で出塁させると、中野の投前への送りバントを処理する際に一塁へ悪送球。無死一、二塁のピンチを招いた。ここで2番手・比嘉幹貴投手(40)にリリーフを仰ぎ、75球で降板となった。この後、森下が遊ゴロで1死一、三塁。大山が遊ゴロの間に三走の生還を許し、1-3とリードを広げられた。

◆〝令和の怪物〟の背中を追う。ロッテにドラフト3位指名された茨城・霞ケ浦高の木村優人投手(18)は1日、茨城県稲敷郡阿見町の同校で榎アマスカウトディレクターらから指名あいさつを受けた。「スカウトの方たちと話をして、ワクワクした気持ちから活躍したい、やってやるぞという気持ちに変わった」プロの舞台へ、準備を進める。「(最速165キロの)佐々木朗希投手に追いつけるように、という意味で最終的には160キロを目標に」。最速150キロ右腕は、2022年4月に完全試合を達成したチームの先輩に「ピッチングの全体的な部分をいろいろ聞いてみたい」と目を輝かせた。現在体重が77キロで「まだ全然足りていない」という木村。「80キロを目標に体づくりをして(プロに)入りたい」とウエートトレーニングや食事での肉体強化に励む。榎アマスカウトディレクターは「まだまだスピードも速くなる。将来的にローテの一角を任せたい」と期待を込めた。もう一度、世界の舞台へ。U18日本代表として、9月のW杯で世界一に輝いた右腕は「プロの世界に入って日本一を達成して、もう一回、日の丸を背負って世界一に」と青写真を描いた。(原田優介)

◆阪神・桐敷拓馬投手(24)が3-1で迎えた七回に同点打を浴びた。六回に続いて回跨ぎで七回のマウンドへ。しかし先頭・広岡の打球を三塁手・佐藤輝がファンブルし、出塁を許す。続く代打・セデーニョは左前打、1番にかえって中川圭は犠打で1死二、三塁と一打同点のピンチを背負った。打席には宗。フルカウントからの6球目、150キロ直球をはじき返され、走者2人が生還。痛恨の一球にがっくりと肩を落とした。さらに続く森は打ち取った打球も、折れたバットが足に当たり、投手内野安打に。1死一、二塁としたところで不運も重なり、交代が告げられた。

◆阪神・佐藤輝明内野手(24)が無念の途中交代を告げられた。同点に追いつかれ、なおも七回1死一、二塁のピンチ。桐敷から石井への投手交代に伴って、七回の阪神の攻撃が9番・投手ということもあって9番・三塁で糸原が入った。代わって佐藤輝の打順に投手。佐藤輝はこの回、先頭の広岡の打球をファンブルし、結果的に同点を許す失策を喫していた。打席では3打数3三振と精彩を欠いていた。

◆オリックスは1-3で2点ビハインドの七回、宗佑磨内野手(27)が2点タイムリーを放って同点に追いついた。先頭の広岡大志内野手(26)が佐藤輝の失策で出塁すると代打レアンドロ・セデーニョ内野手(25)が左前打で続き、中川圭太内野手(27)の犠打で走者を進めた1死二、三塁。六回からのイニングまたぎで七回もマウンドに立った桐敷を攻めた。このチャンスで宗はフルカウントから直球を中前にはじき返した。二者が生還して3-3の同点に。前夜の第3戦でも五回に2点打を放って勝利に貢献した男がチームの劣勢を盛り返した。

◆阪神が七回のチャンスを逃した。この回先頭の糸原が遊撃内野安打で出塁すると、続く近本の打球をオリックスの中堅手・中川圭が落球。相手のミスも絡んで無死一、二塁の好機を作ったが、中野が犠打失敗で1死一、二塁。森下が一飛、4番・大山が空振り三振に倒れた。勝ち越しの好機に甲子園のボルテージは最高潮だったが、悲痛なため息が球場を包んだ。

◆阪神が絶体絶命のピンチをしのいだ。3-3の八回。七回途中から登板した3番手・石井が先頭の紅林に中前打、野口は犠打失敗で1死を奪うも、広岡に中前打とつながれて1死一、三塁のピンチを背負った。オリックスベンチは代打・T-岡田を告げる。一方で阪神・岡田監督も動く。石井に代わって、島本を投入。すると、オリックスは代打の代打・安達を打席に送った。島本は安達を三ゴロに。守備から途中交代した糸原がホームに送球し、ホームクロスプレーでアウトに仕留めた。2死一、三塁とし、岡田監督はこの日初めてベンチ入りした湯浅をマウンドに送り出す。この日一番の歓声に包まれた甲子園。その初球、149キロ直球で中川圭を二飛に仕留め、力強くガッツポーズ。島本、湯浅が最大のピンチをしのいだ。

◆オリックスは3-3の八回、絶好の勝ち越し機をつくりながらチャンスを逸した。七回から1死から登板し、イニングまたぎで八回もマウンドに立った石井を攻めた。先頭の紅林弘太郎内野手(21)が中前打で出塁。無死一塁で野口智哉内野手(24)がスリーバント失敗で三振。1死一塁で広岡大志内野手(26)が中前にはじき返して一、三塁にチャンスを拡大。この場面で一旦、途中出場の小田に代わり代打・Tー岡田がコールされたが、阪神が石井に代わり左腕の島本にスイッチ。ここでオリックスベンチは代打の代打・安達了一内野手(35)を打席に送った。しかし安達はフルカウントから三ゴロで三走が本塁タッチアウト。続く中川圭太内野手(28)も代わった5番手の湯浅に二飛に打ち取られ、得点を奪えなかった。

◆阪神はサヨナラ勝ちでオリックスを破り、今シリーズを2勝2敗のタイに戻した。六回まで3―1とリードしたが、七回に宗に中前2点打を打たれて試合を振り出しに戻された。終盤は互いに好機を作るもリリーフ陣が粘り合い、迎えた九回裏だ。1死から近本が四球で出塁すると、ワゲスパックの2度の暴投で二進、そして三進。そこから中野と森下が連続申告敬遠で歩かされ、第3戦では九回2死一、二塁のチャンスで空振り三振に倒れていた大山が勝負を挑まれた。燃える4番はフルカウントからインハイ直球に食らいついて三遊間を破り、試合を決めた。スタンドは狂喜乱舞。大山はウオーターシャワーの中で笑顔をはじけさせた。

◆阪神はサヨナラ勝ちでオリックスを破り、今シリーズを2勝2敗のタイに戻した。阪神のデータは以下の通り。?阪神が勝利し、対戦成績を2勝2敗に戻した。シリーズで2勝2敗に追いついたケースは昨年のオリックスに続いて通算29度目。過去28度のうち、阪神のように追いついた球団の日本一は13度で優勝確率は46・4%。阪神は2003年に2勝2敗と追いつき、第5戦も勝利し、シリーズ制覇に王手をかけたが、敵地での第6、7戦と落とし日本一を逃した。?阪神のように○●●○で追いついたケースは13年の巨人以来10年ぶり8度目。過去7度中、日本一になったのが1964年の南海、83年と08年の西武の3度でいずれもパ・リーグ球団。?シリーズでのサヨナラ試合は昨年第5戦(オリックス6-4ヤクルト、九回に吉田正尚の本塁打)以来、通算42度目。阪神のサヨナラ勝ちは62年第1戦(6-5東映、十回に吉田義男の二塁打)、03年第3戦(2-1ダイエー、九回に藤本敦士の犠飛)、同第4戦(6-5同、十回に金本知憲の本塁打)に次いで20年ぶり4度目。

◆阪神が九回、大山悠輔内野手(28)のサヨナラ打で、対戦成績を2勝2敗とした。同点の九回、ジェイコブ・ワゲスパック投手(29)を攻め、1死後に四球で出塁した近本光司外野手(28)が2つの暴投で三進すると中野拓夢内野手(27)、森下翔太外野手(23)が連続して申告敬遠で歩き、最後は大山が左前打で決めた。2点リードの七回、佐藤輝明内野手(24)の失策を機に追いつかれ、八回2死一、三塁では6月15日のオリックス戦(甲子園)以来の登板となった湯浅京己投手(24)が1球で窮地を脱出した。日本Sのサヨナラ勝利は2003年のダイエーとの第4戦の金本知憲の本塁打以来、球団4度目。3三振の佐藤輝は失策の七回に途中交代。岡田彰布監督(65)の勝利監督インタビューは以下の通り(観衆=4万1050人)。ーーすさまじい試合を制した「遅くまですいませんでした(大歓声)。もう少しね、すんなりと早く終わらないといけないんですけどね、これがシリーズかなと思っているので。最後あの、前の2人がね、敬遠されて。ちょっとチャンスで打てなかったですけど、4番がね、最後は決めてくれましたね」ーー日本シリーズの1点の重みを戦いながら感じたのでは「そうですね。同じようなチームなのでね、リリーフ陣が勝負になると思っているんですけど。今日は島本と湯浅に懸けましたね」ーーあの場面で湯浅の名がコールされ、大歓声が「いや誰も湯浅言わなかったんですけどね。湯浅は本当に6月以来ですかね、1軍のゲーム、2日前に宮崎から帰ってきたばっかりなんですけど、本当にぶっつけ本番だったんですけど。でもここは湯浅に懸けるしかないと。湯浅が出てくるとファンの方の声援で、ガラッとムードが変わると思ったので、だから湯浅に懸けましたね」ーーこれでまた頼もしい味方が加わった「もう明日からはね、普通に湯浅行けると思うんでね」ーー才木はよく5回をしのいだ「球数もね、これはしょうがないんですけどね、ちょうど100球近くで、なんとか5回を1点に抑えてくれたので。役割を果たしたと思いますね」ーー森下がらしい仕事をしてくれた「怒るとちょっと発奮しますね」ーー二回は木浪が起点。今季の攻撃パターンという強みを見せた「昨日もそうですけど木浪が機能しているので。今日は打順の巡り合わせが悪くて、入れ替えとかになったんですけど。みんなが結構その役割分担で、きっちり仕事をしているので。それで勝ち切れたと思いますね」ーー初の甲子園でのお立ち台、ファンの存在は心強いのでは「すごい声援をもらって、選手もすごく奮い立っているので、明日で甲子園は終わりになるんですけど、今日の勝ちを無駄にしないように、明日はまた全員で最後の甲子園、絶対に勝ちたいと思いますね」

◆阪神はサヨナラ勝ちでオリックスを破り、2勝2敗のタイに戻した。3-3の九回1死三塁から中野、森下が連続の申告敬遠で満塁。勝負を挑まれた4番・大山悠輔内野手(28)がワゲスパックから左前打を放ち、試合を決めた。お立ち台に上がった大山は「冷静にいこうと思いましたが...ファンのみなさんの歓声が力になりました!」と感謝。「本当に一試合一試合勝つだけなんで。追いつかれましたが全員で勝ち取った勝利だと思います。(日本シリーズの)独特な雰囲気は僕たちは初めてなので、難しい部分もありますが、このすごい歓声のおかげで、力を発揮できています!」。八回2死一、三塁の大ピンチでは湯浅が6月以来となる1軍での復活登板。1球で中川圭を一邪飛に抑えた。殊勲の大山も「あの湯浅の登場で流れが変わると思いましたし、そのときの歓声が勝利を呼んでくれました」と笑みが弾けた。

◆オリックス、阪神で176勝を挙げ、引退後も両チームでコーチを務めたサンケイスポーツ専属評論家の星野伸之氏(57)は阪神にとって価値ある1勝と評価すると同時に3三振で途中交代を強いられた佐藤輝明内野手(24)の第5戦のスタメン落ちも視野にいれて言及した。阪神にとっては価値ある白星だ。近本、中野、森下、木浪ら、マークすべき選手が多く、オリックス投手陣も苦しい。そんな中、心配なのは佐藤輝。ボール気味のインハイに手を出し、低めのフォークを空振りしてしまう、一番悪い時の状態に逆戻りしている。1、2戦目で詰まりながらヒットを打ったが、その後、オリックスのうまい攻めで、打てそうな気配がない。岡田監督もそう判断して6番に下げたのだろうし、さらに打席内容を見て、ベンチに下げたのも当然に映った。短期決戦で今後、どう起用するかがポイントになる。第5戦のオリックス先発は田嶋。左腕だからという理由で引っ込めやすい状況ではある。私も左投手には外した方がいいと思う。ここまで阪神・村上、オリックス・宮城以外の先発はみんな五回前後で交代している。中継ぎ勝負に。ところが、その中継ぎもイニングまたぎ、連投などで疲弊してきている。阪神的には湯浅がアウトを取れたという事実は大きい。両監督の継投での手腕が勝敗を分けそうな気がする。

◆阪神が九回、大山悠輔内野手(28)のサヨナラ打で、対戦成績を2勝2敗とした。同点の九回、ジェイコブ・ワゲスパック投手(29)を攻め、1死後に四球で出塁した近本光司外野手(28)が2つの暴投で三進すると中野拓夢内野手(27)、森下翔太外野手(23)が連続して申告敬遠で歩き、最後は大山が左前打で決めた。2点リードの七回、佐藤輝明内野手(24)の失策を機に追いつかれ、八回2死一、三塁では6月15日のオリックス戦(甲子園)以来の登板となった湯浅京己投手(24)が1球で窮地を脱出した。日本Sのサヨナラ勝利は2003年のダイエーとの第4戦の金本知憲の本塁打以来、球団4度目。3三振の佐藤輝は失策の七回に途中交代。岡田彰布監督(65)の主な一問一答は以下の通り(観衆=4万1050人)。ーー湯浅の登板は球場のムードが変わると「おーん、その通りやったな」ーーいつから行けると「西純と2人でな、もう呼ぶのは決まってたし。昨日は西純でロング行きたかったけどな。きょうアレや。ブルワーと代えて。湯浅はね」ーー状態も上がっていると「フェニックスでずっと抑えてたからな。状態とか、そんなん関係ないよ。ここまできたら」ーー湯浅にかけた「ちょうどね。ツーアウトで、左続いて、右やったからな。あそこな」ーー九回は岩崎。仮に同点だったら、その後は加治屋と2人で「そうなったら西純や」ーー九回は連続して申告敬遠「いやいや、フォアボールはあると思ったけどな」ーー大山に声かけは「そんなのはしてないしてない。みんなわかってるやん」

◆阪神・佐藤輝明内野手(24)が七回、広岡大志内野手(26)の平凡なゴロを後逸。この失策を機に追いつかれ、途中交代となった。打撃でも「6番」に降格し、3三振。試合後は「(チームに救われた?)そうですね。切り替えて頑張ります。(失策した打球は)捕らないといけなかった」と語った。

◆やはり猛虎打線のカギは森下だった。1、2番が作ったチャンスを仕留めるのがこの男の役目。流れに身を任せて快音を響かせ、一直線に左中間フェンスへぶち当てた。二塁で上げた雄たけびが、虎の逆襲を告げる合図だった。「左ピッチャーを課題にしていて、しっかり捉えられてよかった。1本昨日出していたので、その流れはあった」一振りで試合の流れを引き寄せた。近本が左前打、中野が犠打で送って1死二塁から、山崎福のフォークを完璧にとらえた。もう少しで本塁打という打球は音を立ててフェンスに跳ね返る二塁打。自身今シリーズで初めてとなる長打で先制した。10月31日には七回に1点差に迫る2点打でシリーズ初打点。阪神の新人の2戦連続打点は1962年の藤井栄治以来2人目となり、61年ぶりに虎史に名を刻んだ。激戦の中で、自身の役割とチームに与える影響をひしひしと感じていた。第2戦まで9打数1安打に抑えられ、打線にストップをかけていたが、第3戦では3度の出塁で塁上をにぎわした。「3番を打っているので、前後にランナーを出してくれる場面だったり、自分が出してチャンスで返してくれる場面が増えてくる打順。出塁することでコトが起きるかなと感じました」出塁率が高い近本と中野とが前を行き、後ろには勝負強い大山がどっしりと構える。その間を打つ森下が打てば勝利に近づく。1死一、三塁で回った最終打席は敬遠を申告させ、大山のサヨナラ打を呼び込んでみせた。 「軸となる選手になんとか回せば、なにか起きる。今日はすごく価値のある勝利。甲子園でもう1試合できるので、勝って京セラに臨みたい」38年ぶりの日本一まであと2勝。打線の要としての宿命を背負い、勝利に導いていく。(中屋友那)

◆勝負どころとにらみ、三塁ベンチから大歓声が降り注ぐグラウンドに飛び出した。そして迷いなく、2者連続の申告敬遠を告げて4番との勝負を選んだ。土壇場で策を講じながらもサヨナラ負けを喫したオリックス・中嶋監督は苦虫をかんだ。「本当は(走者を)ためたくなかったんですけど。ストライクゾーンに入らないっていうのが、不安材料になったかな」3-3の九回、6番手・ワゲスパックがマウンドへ。1死から近本に四球を許し、続く中野の打席で2度の暴投で三塁まで進まれた。カウント3-2から申告敬遠を告げ、続く森下も歩かせて満塁策を取ると、球場全体がどよめいた。迎えた相手の4番は前打席まで無安打で、今シリーズを通じても2安打。〝勝機〟はあったが、はまらなかった。これまで幾度となくチームを白星に導いてきた中嶋マジックを、今シリーズでも発揮。第2戦では先発を大幅に入れ替えて大勝し、第3戦でも得点が欲しい場面でエンドランを決めて2連勝につなげた。だからこそ、この日も...という期待感は膨らんだ。だが、この日は厳しい事情があった。今年のレギュラーシーズンで27ホールド、9セーブを挙げた山崎颯が、第3戦に続いてベンチ入りメンバーから外れた。同点に追い付いた七回は小木田、八回は宇田川が前日に続いて零封。勝ちパターンの一角を欠きながら何とかつないだものの、最後は今季防御率が5・77の助っ人右腕に頼らざるを得なかった。「ミスや四球ももちろんあるけど、よく本当にこの点差で済んだなという感じの内容だった。反省しないといけない部分がいっぱいある。自分たちが一番分かっている。あしたは何とかやっていきたい」六甲おろしの大合唱が響く中、中嶋監督は必死に前を向いた。敗れても、2勝2敗の五分になっただけ。気持ちを切り替え、全員で目の前の1勝をつかみ取りにいく。(北池良輔)

◆阪神・桐敷が度重なる不運に見舞われた。3-1の六回から登板し、七回もマウンドへ。先頭・広岡を佐藤輝の失策で出塁させると、1死二、三塁から宗に同点打を浴びた。続く森の打球は完全に打ち取った投ゴロ。しかし、折れたバットが足を直撃し、結果的に内野安打となった。「あそこは自分がカバーしないといけないところ。次はカバーできるように。足は大丈夫です」。1死一、二塁とした時点で岡田監督から交代が告げられた。

◆ナカジマジックを打ち破った! 「SMBC日本シリーズ2023」は1日、甲子園で第4戦が行われ、阪神がオリックスに4―3でサヨナラ勝ちした。九回1死三塁から2連続申告敬遠で満塁策をとられた4番・大山悠輔内野手(28)が左前にサヨナラ打。敵将・中嶋監督のタクトをはね返し、対戦成績を2勝2敗の五分に戻した。1985年以来の日本一へ、絶対に負けない!快音を残し、白球は三遊間を抜けた。甲子園が嵐のような大歓声に包まれる。勝利の女神はどちらに微笑んでもおかしくなかった。日本シリーズにふさわしい白熱の熱戦を4番・大山が決めた。「一人一人、必死ですし、勝つために一つになってやっている。とにかくどんな形でも勝ったことが一番。チームみんなでつかみ取った」3-3で迎えた九回。1死から四球で出塁した近本が2度の暴投で三塁まで進んだ。中野はフルカウントとしたところで申告敬遠。さらに、オリックス・中嶋監督は先制打を放った森下も歩かせ満塁策をとった。どよめく甲子園。ただ、ネクストバッターズサークルでじっと戦況を見つめた虎の4番は冷静だった。「ランナーをかえせば勝ちだったので、それしか考えていなかった」

◆阪神・島本が3-3の八回1死一、三塁と絶体絶命のピンチでマウンドを託された。代打の代打・安達と対戦。初球で二盗を決められて二、三塁とされたが、落ち着いて三ゴロに仕留め、勝ち越しを許さなかった。10月29日の第2戦(京セラ)では走者一掃の3点二塁打を浴びたが、今季何度も虎を救った〝火消し役〟がリベンジし「しっかり1人抑えてつなげることを考えていた。やり返せたと思う」と胸を張った。

◆捉えた当たりが三遊間を貫く。阪神・近本は表情を変えず、本塁に突っ込む木浪に視線を送った。セーフ! 勝ち越しの2点目が入って、わずかに口元を緩めた。「勝てばいいですし、塁に出ればいいですし。勝ててよかったです」1―1の三回2死から木浪の内野安打、才木が四球で続いて一、二塁。ここで近本が逆らわずに左前へ流し打った。下位が作って、近本でかえす。鉄板パターンを、この大一番でも成就させた。今季両リーグトップの得点圏打率・374を誇る男が日本シリーズでも大仕事だ。一回は左前打で森下の先制打を呼び込み、五回は中前打を放って大山の遊ゴロで生還。九回も四球で出塁し、大山のサヨナラ打でホームを踏んで笑顔をみせた。「悠輔が決めたっていうのが本当に大きい。それも打って決めたっていうのが」。日本シリーズ打率・467のリードオフマンは、同学年の4番をねぎらった。(邨田直人)

◆第5戦に先発するオリックス・田嶋は1日、外野でのキャッチボールなどで調整した。3月のオープン戦でも甲子園のマウンドに立っているが「1本1本、ヒットが出る中で、阪神の声援とかすごいので」と大舞台の独特の雰囲気を語る。盤石の救援陣を信じ「いけるところまで頑張ろうかなと思います」とフルスロットル宣言だ。

◆ヤクルト・高橋奎二投手(26)が1日、4勝9敗、防御率4・60に終わった今季を振り返り「悔しさだらけです。全然、シーズン前に思い描いた姿ではなかった」と心境を吐露。巻き返しの鍵に「右脚」を挙げた。レギュラーシーズン終了後、関東近郊の施設で投球フォームの動作解析を行った。今季中は軸足である左脚に体重を乗せ、骨盤を縦回転するよう試行錯誤し「いい感じにできている段階にはあった」と徐々に改善。ただ、体重移動した際に右脚に乗り切らず、力が逃げてしまう投げ方になっていた。「加速は良かった。今年は全部流れてしまっていたので、それを止める動作が大事だと。反発力でスピードも出るし、変化球も良くなると思う」と高橋。オフは投球フォームを見直し、〝ブレーキ力〟を発揮できるよう理想を追い求める。「今年は皆さんの期待を裏切ったと思う。そこは自分自身が一番分かっているので、これをしっかり受け止めて、ここから上がるか上がらないかは自分次第。『左のエース』と言われるぐらいの成績を残していきたい」「右脚」をテーマに、投手陣の柱となるべく進化を求める。(赤尾裕希)

◆阪神・才木は5回5安打1失点。6奪三振、95球の力投で劇勝につなげた。1-0の二回1死三塁で紅林に151キロ直球を右前へ弾き返され、同点とされたが、勝ち越しは許さなかった。試合中に右手親指から出血したが「ぜんぜん大丈夫。ひっかいた感じです」と話し「何とか球数を使って粘れた」とうなずいた。岡田監督は才木について「(親指の負傷は)大丈夫、もう悪かってもええやん。そんなんもう投げへんやん」と笑顔だった。

◆阪神・糸原が七回途中から佐藤輝に代わって、7月12日のDeNA戦(甲子園)以来となる三塁の守備に就いた。八回1死二、三塁のピンチでは安達の三ゴロを難なく処理してバックホーム。三走をアウトにし、失点を防いだ。「緊張はしましたけど、日頃から準備はしていたので。明日が大事。大歓声に応えられるように勝ちたい」。七回の打席では遊撃への内野安打を記録。久しぶりに守備に就いた頼れる代打の切り札が攻守に貢献した。

◆負ければ1勝3敗と崖っぷちにたたされるところで踏ん張った。大山のサヨナラ打が飛び出した瞬間、白い歯を見せて喜んだ岡田監督は、大歓声を浴びたお立ち台で、まずは虎党にザンゲした。「(午後10時を過ぎ)遅くまですいませんでした。もう少しすんなり、早く終わらないといけないのに。でも、これが(日本)シリーズかなと思っているので」非情のタクトをふるった。宗の2点打で3-3とされた七回1死一、二塁。頓宮の打席で石井を投入。5番から6番に下げながらも3打席連続三振を喫し七回先頭では広岡の打球をファンブルした佐藤輝を引っ込めた。「え、奮起待つって? もうあんまり試合ないで。そんなもん、もうあれへんやん。あと2つしかないんやから。あっても3試合やで、あと」前日と合わせて2試合で6三振では使えない。佐藤輝は試合後、失策について「捕らないといけない。(ミスを)取り返すというか、また切り替えて頑張ります」と前を向いたが...。一つのほころびさえ許されないのが、プロの頂上決戦だ。岡田監督は2番・中野には一回から計3打席で犠打のサインを出す徹底ぶり。「今日のゲーム見たら分かるやんか。一つのミスで、こんだけゲームが変わるわけやからな。采配ってね、外れたときの大きさの方を考えたら、なかなか出せんよ」。球団として甲子園ではソフトバンクと対戦した2014年10月25日以来、3294日ぶりの日本シリーズ勝利。短期決戦でサインを出すことを指揮官は「怖いこと」とも言う。その一手に虎党がしびれる。勝負の鬼に徹した名将が、日本一に導いてくれるはずだ。(三木建次)

◆阪神・岩崎が今シリーズ初登板で勝ち投手になった。同点の九回に6番手で登板し、安打と犠打で2死二塁のピンチを招くも、ゴンザレスを1球で二ゴロに抑えた。その裏の大山のサヨナラ打につなげた守護神は「みんながつないでくれたので、いつも通り入れました。こういう時こそ普通に入りました」と投手陣の粘りを力に変えて笑顔をみせた。

◆阪神・石井は3-3の七回1死一、二塁で好救援。頓宮を右飛、ゴンザレスを空振り三振に斬り、ガッツポーズでほえた。八回も回またぎで登板したが2本のヒットを許し、1死一、三塁としたところで降板。このピンチを無失点で切り抜けた島本&湯浅をベンチで出迎えた右腕は「まだ戦いは続く。また投げる機会があったら自分の仕事をするだけ」と力を込めた。

◆甲子園に響き渡った復活のコールに大ピンチに直面しているはずの虎党が沸いた。4万1050人を詰め込んだ甲子園が揺れるなか、139日ぶりの1軍登板となった阪神・湯浅は1球に力を込めた。「みんなでつないで、あそこをゼロで抑えたら流れがくると思っていたので、どんな形でもいいから絶対に抑えようと思って投げました。自分の力の全てを出しました」八回1死一、三塁で石井から島本へ。安達を三ゴロ(本塁封殺)に仕留め、再び一、三塁で、岡田監督が動いた。みやざきフェニックス・リーグから帰って10月31日に1軍合流したばかり。「ここは湯浅に懸けるしかない、と。湯浅が出てくるとガラッとムードが変わる」と指揮官。勝負は一瞬だった。湯浅は中川圭に対して投じた渾身の149キロ。力ない飛球は二塁・中野のグラブに収まった。大歓声の真ん中で何度もガッツポーズ。感情むき出しでほえた。甲子園でのオリックス戦は湯浅にとっては苦い記憶の残るシチュエーションだった。6月15日、九回に頓宮と杉本のソロ2発で試合をひっくり返されてKOを食らった。「見たら、もっと眠れなくなるから」と、映像と距離を置いた悔しい一戦。翌16日から2軍降格となり、度重なるけがにも苦しんだ。ただ、長いトンネルの入り口と出口はつながっていた。日本シリーズでの1球ホールドは2017年の第6戦でソフトバンク・嘉弥真、DeNA・砂田、パットンが記録して以来。日本シリーズのベンチ入りがこの日が初めてだったが、岡田監督は「明日(第5戦)からはね、普通に湯浅いける」と明言した。

◆攻守に渡って、同じ展開の繰り返し。最後の最後に、オリックスがヘタを打って、阪神は生き返らせてもらったね。四球、暴投、暴投、敬遠、敬遠ときて、大山のタイムリーだもの。といって、単純な他力本願とは訳が違う。岡田監督の勝負手が、サヨナラ勝ちを引き寄せたといっていい。同点の九回表、岩崎投入だよ。延長も十分に考えられる〝綱引き〟のような状況で、先にリリーフエース。ここを封じて、裏の攻撃で決着をつける!そんな意気込みが聞こえてきそうだった。守るのではなく、実は強気の、攻めの采配だった。まして、前日にエモトが論じたように、切羽詰まった阪神には、総力戦しか残されていなかった。細かい継投で、しのいで、しのいで、岩崎へ。総力戦の総仕上げが、九回に集約されていたよ。逆にオリックスは九回、シーズン防御率5・77で、ボールがどこへ行くのかわからないワゲスパックを起用した。先に2勝して余裕を持ったのか、それとも阪神を甘く見たのか...。いずれにしても、シリーズ前に予想した通り、最終戦までもつれる流れに戻りそうだね。(サンケイスポーツ専属評論家)

◆カレンダーを1枚めくって、「あぁ、ことしももう11月か」と思った方も多いでしょう。プロ野球担当記者が1月の自主トレ、2月のキャンプを密着取材し、開幕戦を緊張の面持ちで取材したのはずいぶん前の印象だ。シーズンに入ると、日々に原稿に追われ、気がついたら交流戦。気がついたらオールスター。そして、2023年のトラ番記者たちは夢のような独走Vを体感した。クライマックスシリーズを一気に勝ち抜き、いま、日本シリーズを取材している。11月に入っても球場の記者席で、最高レベルの戦いを間近で取材できるのは、記者冥利だと思う。2チームの担当記者の特権だ。弱い弱いタイガースを見て〝育った〟虎ソナ筆者にとって、11月は秋季キャンプしか記憶がない。毎年、10月下旬に高知へ飛んで、朝から安芸市営球場で来年に向けての練習取材。大急ぎで仕事を終わらせ、夜の街でカツオのタタキ、塩タタキを食べまくるのが無上の喜び。原稿に、何度も何度も「来年こそ屈辱を晴らす」「土台作りだ」とワンパターンのように書きながら。あの頃は、ほとんど報われない記事だった。ことし、日本シリーズの裏で、阪神の2軍は安芸でキャンプをスタートさせた。甲子園の記者席の隣にいたトラ番・原田遼太郎が、パソコンの画面でキャンプインしたタイガースの様子を伝えるニュース映像を見せてくれた。高知のテレビ局の制作だから、主役は森木。地元のヒーローが「帰ってきた!」と大々的に紹介されていた。

◆甲子園球場に駐車場はアリマヘン-。元阪神のトーマス・オマリー氏が昔、出演していたCMじゃないが、甲子園には電車など公共交通機関を使うのが〝常識〟。これを一生懸命?守ろうとしていた人物がいる。「(甲子園は)渋滞したら嫌やから、電車で行こうかな」声の主は中嶋監督。阪神との日本シリーズが決まった際、まさかの阪神電車利用を宣言した。オリックスの選手たちは今、自宅から自家用車を使って甲子園入りしている。ところが...。「こっち?」「こっちで合っていますよね?」顔見知りの記者らを見つけると、SOS! 交流戦でも2年に1度しかこないからこそ、迷子になる。試合後も虎党からの洗礼が-。外周の人だかりで規制され、なかなか帰ることができないのだ。オリックスの選手が球場を後にできるのは1時間ほどたってから。バファローズだけに牛歩を強いられる!?(良)

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