オリックス(★0対8☆)阪神 =日本シリーズ1回戦(2023.10.28)・京セラドーム大阪=
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阪神
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ORIX
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勝利投手:村上 頌樹(1勝0敗0S)
敗戦投手:山本 由伸(0勝1敗0S)
  DAZN
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◆阪神が日本シリーズ初戦を制した。阪神は0-0で迎えた5回表、渡邉諒の適時打などで4点を先制する。続く6回には、木浪と坂本の連続適時打などで3点を加え、リードを広げた。投げては、先発・村上が7回2安打無失点の快投。敗れたオリックスは、先発・山本が中盤でつかまり、打線も振るわなかった。

◆日本シリーズが28日、京セラドーム大阪で開幕する。オリックス、阪神、両チームのスタメンを予想した。

◆日本シリーズが28日、京セラドーム大阪で開幕する。オリックス、阪神、両チームの先発ローテーションを予想した。

◆阪神は9年ぶり7度目の日本シリーズに臨む。85年に西武を倒し初の日本一となって以降、03年ダイエー戦、05年ロッテ戦、14年ソフトバンク戦と敗退を続けてきた。今回は日本一奪回とともに、シリーズでの負の歴史を清算する戦いともなる。アウェー勝利 阪神が日本シリーズで敵地の試合に勝ったのは初の日本一を決めた85年11月2日、西武球場(現ベルーナドーム)での西武戦第6戦。初回に長崎啓二が満塁本塁打を放ち、ゲイルが完投勝利を飾った。これ以降は以下の通り現在9連敗中だ。・03年福岡ドーム(対ダイエー)第1戦 4●5第2戦 0●13第6戦 1●5第7戦 2●6・05戦千葉マリン(対ロッテ)第1戦 1●10第2戦 0●10・14年ヤフオクドーム(対ソフトバンク)第3戦 1●5第4戦 2●5第5戦 0●1阪神が今回のシリーズ第1戦、京セラドーム大阪でのオリックス戦に勝てば、1万3874日ぶりの日本シリーズ敵地勝利となる。本塁打阪神打者による直近の日本シリーズ本塁打は03年10月27日ダイエー第7戦、9回に広沢克実が放った代打本塁打。05年の対ロッテ4試合、14年対ソフトバンク5試合と9試合連続ノーアーチを継続中。阪神打者に本塁打が出れば、7306日ぶり。先発勝利投手阪神の予告先発は村上頌樹。日本シリーズで阪神の先発投手に白星がつけば、14年10月25日対ソフトバンク第1戦メッセンジャー以来。日本人では、03年10月24日対ダイエー第5戦の下柳剛(前日本ハム)以来。生え抜き投手の先発勝利は62年10月14日の対東映第2戦・村山実、85年10月26日の対西武第1戦・池田親興以来、1万3881日ぶり3人目となる。

◆オリックス杉本裕太郎外野手(32)が試合前練習でグラウンドに姿を現した。患部の左足首はテーピングでしっかりと固定されていたが、外野で打撃練習の打球キャッチを行った。また、軽いジョギングも実施して試合に備えた。杉本はCSファイナルステージ第4戦の最終打席で負傷。27日の練習ではグラウンドに姿を見せず、室内で調整を行っていた。

◆59年ぶりの「関西シリーズ」の試合前練習では、和やかな雰囲気が見られた。阪神梅野隆太郎捕手(32)とオリックス杉本裕太郎外野手(32)の同学年同士は談笑。阪神佐藤輝明内野手(24)、宗佑磨内野手(27)はグータッチで健闘を誓い合った。関西のチーム同士、公私ともに交流のある選手もおり、「関西シリーズ」ならではの交流にも注目だ。

◆38年ぶりの日本一を目指す阪神が、初戦から動いた。「7番DH」で渡辺諒内野手(28)を起用。オリックス先発の右腕山本由伸投手(25)に対して右打ちの内野手をぶつけた。今季は6月13日の交流戦(甲子園)でも「6番三塁」で出場し、山本と対戦。しかし3打数無安打に倒れており、約4カ月半ぶりのリベンジマッチとなる。先発はセ・リーグ最優秀防御率のタイトルを獲得した村上頌樹投手(25)。8回2失点ながら惜敗した、6月13日の同戦以来となる山本との投げ合いに臨む。

◆第1戦のオリックスのベンチ入りメンバーが発表され、左足首痛の杉本裕太郎外野手(32)はベンチ外となった。試合前練習ではグラウンドに姿を現し、患部の左足首はテーピングでしっかりと固定されていたが、外野で打撃練習の打球キャッチを実施。軽いジョギングも行っていた。

◆試合前、阪神ヨハン・ミエセス外野手(28)がライバルへのあいさつで場を和ませた。糸原健斗内野手(30)を交えながらオリックス山崎福と交流。両手で帽子を取り、ペコリと頭を下げた。 59年ぶりの関西シリーズ。試合前から両チームの親交の深い選手らで交流する姿も見られ、和やかな空気が流れた。

◆阪神コルテン・ブルワー投手(30)がベンチを外れた。前日27日まで体調不良で別メニュー調整だった影響もあり、メンバーを外れたものとみられる。CSファイナルステージでは3戦全てでベンチ入り。19日の第2戦では、同点の8回2死一、二塁で登板し、代打松山を空振り三振に打ち取る好救援をみせていた。中継ぎ右腕では加治屋蓮投手(31)、石井大智投手(26)、岡留英貴投手(23)、ジェレミー・ビーズリー投手(27)の4投手がベンチ入りとなった。

◆日本シリーズ第1戦の両チームのスタメンが発表された。シリーズ連覇を目指すオリックスの先発はエース山本由伸投手(25)。過去2年で日本シリーズは3度の登板があったが、勝利投手はなく、初勝利をかけてマウンドに上がる。左足首痛の杉本裕太郎外野手(32)の代役で「1番左翼」に高卒2年目の若手、池田陵真外野手(20)が抜てきされた。日本シリーズ初出場で初スタメンだ。また、CS第4戦で左手首の違和感からベンチ外だった紅林弘太郎内野手(21)は6番遊撃で先発起用された。

◆ファンも「五分五分」の戦いだ。オリックスがホーム球場として開催される同戦だが、三塁側から左翼スタンド一帯を阪神ファンが埋め尽くした。両チームのファンが、およそ半分半分の構図となっている。同シリーズでオリックスは一塁側のシートを「バファローズシート」として販売されており、オリ党のシートを死守していた。熱戦!日本シリーズ スコア速報

◆昨年までオリックスに在籍し、今季からレッドソックスでプレーする吉田正尚外野手(30)が日本シリーズが放送されているNHKBS1に登場。第1戦で解説を務める。21、22年と日本シリーズを経験。「日本シリーズは特別な舞台。緊張感がある」と違いを説明。短期決戦での「攻める気持ちが大事。引いたら終わりくらいの気持ちでやっていました」と振り返った。オリックス、阪神ともにリーグを制したチーム同士の日本シリーズに「シーズン断トツのチーム。楽しみ」と話した。

◆オリックス杉本裕太郎がベンチを外れた。CSファイナルステージ最終戦(対ロッテ)となった21日の最終打席で、左足首を負傷。「トキに秘孔突いてもらっています」と人気漫画「北斗の拳」の人気キャラクターにたとえ、さまざまな手段で回復に努めてきた。この日の試合前練習は外野で打球を受け、軽いジョグも行った。自身同様に故障からの復帰途上の梅野と談笑する場面も。ただこの日はベンチ外で、第2戦以降の復帰を目指すことになった。

◆オリックスの山本由伸投手(25)が自己最速タイの159キロを計測した。2回2死走者なしから6番ノイジーの5球目に159キロを計測。直後の6球目に129キロカーブで見逃し三振に取った。30キロの球速差にSNSでも「バケモン」「どうやって打つの」「えぐすぎる」と絶望するファンの声が見られた。

◆阪神村上頌樹投手(25)が自己最速を1キロ更新する152キロを計測した。0-0の2回2死。カウント2-2から紅林に投じた7球目だった。外角寄り低めに決まった直球で空振り三振。2三振目を奪い、無得点に抑えた。直前の回には、オリックス先発山本も自己最速タイとなる159キロを計測。両先発、フルスロットルの序盤戦となっている。熱戦!日本シリーズ スコア速報

◆「7番DH」でスタメン入りしている阪神渡辺諒内野手(28)がオリックス山本に3球三振を食らった。両軍無得点での3回先頭。右腕に2球で追い込まれると、最後は144キロのフォークで空を切った。渡辺は今季は6月13日の交流戦(甲子園)でも「6番三塁」で先発出場し、山本と対戦も3打数無安打。約4カ月半ぶりのリベンジの打席だったが、第1打席は快音は響かなかった。

◆阪神先発村上頌樹投手(25)がパーフェクトな立ち上がりを見せた。3回まで1人の走者も許さない完璧な投球。2回には自己最速を1キロ更新する152キロを計測するなど、序盤からエンジンは全開だ。同学年のオリックス先発山本に1歩も引かない快投。3回で打者9人に無安打2三振と、最高の立ち上がりとなった。熱戦!日本シリーズ スコア速報

◆オリックスの山本由伸投手(25)が4回の先制のピンチを0で抑えた。先頭の近本に遊撃内野安打で出塁を許し、2番中野の一ゴロを中川圭太内野手(27)の失策で無死一、二塁とピンチを招いた。しかし山本は冷静だった。3番森下を遊ゴロ併殺に仕留めるとガッツポーズ。2死三塁となり、4番大山にはフォークが高めに抜けたが見逃し三振。先制のピンチを抑えて笑顔を見せた。SNSでも「これぞエース」や「味方のエラーに動揺なくなげられる。すごい」とたたえる声が上がっていた。熱戦!日本シリーズ スコア速報

◆阪神佐藤輝明内野手(24)が打って走ってのハッスルプレーで先制機を演出した。5回、先頭として打席に立った同学年のオリックス山本との2打席目。ヘルメットが落ちるほどのフルスイングで応戦した。カウント1-1となった3球目、152キロの高め直球を振り抜き、二遊間を抜く中前打で出塁した。直後のノイジーの打席では、ヘルメットを吹き飛ばしながらのヘッドスライディングで二盗に成功。右飛の間にタッチアップで三塁へ進塁し、7番渡辺諒の適時中前打で先制のホームを踏んだ。

◆昨年までオリックスに在籍し、今季からレッドソックスでプレーする吉田正尚外野手(30)が日本シリーズが放送されているNHKBS1に登場。阪神渡辺諒内野手(28)のあだ名をうらやんだ。5回に渡辺がオリックス山本から先制打を放った。吉田氏も「直球破壊王子ですか。誰がつけたんですか?」とあだ名に反応。直球破壊王子とは渡辺が日本ハム時代に直球に強いことから日刊スポーツが命名した。吉田氏は続けて「僕も王子つけたいですね」と続けた。直球破壊王子 渡辺諒が日本ハム時代、直球に抜群の強さを誇ったことから、日刊スポーツが20年開幕前に命名した。18年7月に、速球派のソフトバンク・バンデンハークから2打席連発でブレークの足掛かりをつかんだ。20年8月は西武ギャレットの160キロ前後の剛速球攻めに打ち勝ち、左前へ2点適時打を記録。「直球破壊王子」がツイッターでトレンド入りした。

◆オリックス森友哉捕手(28)が特大の飛球で天井のスーパーリングに入り、京セラドーム大阪の規定により二塁打となった。0-4の4回。先頭の森がフルスイングした打球は右翼へ大きな弧を描いた。打球はそのまま京セラドーム大阪の2番目のスーパーリングに入った。審判から「ただいま、打球が2枚目のリングに入りました。グラウンドルールにより、ツーベース、ボールデッドでツーベースで再開します」とアナウンス。無死二塁で再開された。京セラドーム大阪にはドーム球場ならではの特別ルールも存在する。12年オールスターでは、日本ハム中田の打球が天井に当たって落下せず。「打球がフェア地域内にあるスーパーリングの内側に入り落下しない場合はボールデッドとして、打者及び走者には投球当時を基準にして二個の安全進塁権が与えられる」という特別ルールから二塁打となったケースがある。他にも、20年7月18日にはソフトバンク柳田が放った打球が「スーパーリング」と呼ばれる白い円状の構造物の照明付近を直撃。右翼フェンス手前に落下した。球場ルールで、打球がフェア地域上にある一番外側のスーパーリングか次のスーパーリングの間に当たった場合は本塁打のため、判定は本塁打に。推定150メートルの特大弾となった。ただ、外側から2番目のスーパーリングに当たった場合はインプレーとなる。同年10月2日には楽天ロメロが本塁打と勘違い。ゆっくり走っていたところを三塁手前でタッチされアウトとなる場面もあった。

◆「キナチカナカ」で阪神がリードを広げた。5回、渡辺諒内野手(28)の中前打で先制した直後の1死一塁。木浪聖也内野手(29)が154キロの速球を右翼へはじき返し、一、二塁のチャンスを演出した。2死一、二塁となり、1番近本光司外野手(28)が走者一掃の適時三塁打でさらに2点を追加。その後、中野拓夢内野手(27)にもタイムリーが生まれて一挙4得点に成功した。オリックス山本からの貴重な大量得点となった。

◆ラッキーボーイが先制打! 阪神渡辺諒内野手(28)が先制打を放った。5回に先頭佐藤輝が中前打で出塁し、直後に二盗を成功させた。なおも続く1死三塁、渡辺諒はオリックス山本のシュートを初球打ち。詰まりながらも中前に落とし、執念の適時打で先制点をもぎ取った。「(佐藤)テルとシェル(ノイジー)がつないで最高の形を作ってくれたので、三振だけはしないように、とにかく初球から思い切って打ちにいきました。どんな形でも先制点を取りたいと思っていたので、完璧にとらえた打球ではなかったですが、タイムリーになってよかった」と試合中にコメントした。日本シリーズ第1戦は右投手の山本を相手に「7番DH」で先発出場。第1打席は3球三振に倒れたが、2打席目で岡田監督ら首脳陣の期待に応えた。

◆オリックス頓宮裕真捕手(26)が、ボストンレッドソックスの吉田正尚外野手(30)がオリックス時代に使用したチャンステーマ「境地バージョン」を背に打席に入った。左足薬指の骨折から、「5番指名打者」でスタメン復帰。5回無死二塁で、阪神の村上頌樹投手(25)と対戦。フルカウントの後、2球続けてファウルで粘りを見せたが、8球目の真ん中低めを見逃し三振。頓宮は、苦い表情でベンチへ戻った。NHKの中継で解説者として試合を見つめた吉田は「この応援歌は僕のチャンステーマで。解説席で聞けて光栄です」と反応。SNSでは、「境地チャンテいいな」「正尚も気づいていてうれしい」と盛り上がりを見せた。

◆阪神打線が、オリックス先発山本にトドメを刺した。4点リードで迎えた6回2死一、三塁。8番木浪聖也内野手(29)が左前適時打を放ち5点リード。なおも一、二塁から9番坂本誠志郎捕手(29)が三塁線を破る適時二塁打を放ち、6点リードを奪ったところで、山本は降板となった。2桁10安打を浴びせ6得点。その後、2番中野にも適時打が飛び出し、虎が山本に今季ワーストの7失点をつけた。猛虎打線が爆発し、敵地京セラドームのオリックスファンを黙らせた。

◆オリックス山本由伸投手(25)は自己ワーストタイの7失点でKOされた。5回に今季ワーストの1イニング4失点で先制を許すと、6回も立ち直せず。9番坂本に二塁打を打たれて、この日6点目を失ってイニング途中で降板した。2番手の山田も1点を失い、この回3点の追加を許した。5回2/3を投げて10安打浴び、自己ワーストの7失点。自責7は自己ワーストで、失点と自責のワーストはともに昨年5月3日ソフトバンク戦で7失点(自責6)。CSファイナルでは7回10安打5失点と打ち込まれており、2戦続けて本来のピッチングが見せられなかった。過去2年の日本シリーズも3戦に登板し、白星なし。3年連続の4冠を達成した球界を代表する右腕がまたもシリーズ初勝利を逃した。

◆阪神打線が、オリックス山本に10安打を浴びせ、6回途中7失点で降板させた。5、6回に集中打でマウンドから引きずり降ろした。岡田彰布監督(65)は有言実行だ。23日には投手4冠の右腕について「そんなええと思てない。『第1戦に投げるピッチャー』としか思てないよ。何でそんな山本、山本って言うんやろなあ。それが俺は不思議よなあ」と攻略可能な投手という認識を示していた。山本はCSでもロッテに7回10安打5失点と打ち込まれていた。「そんなええピッチャーやったらそんな取られへんやろ? 初回から3点も。何かそら取れる可能性があるいうことやろ?」と話していた指揮官。猛虎がオリックスのエースを襲った。

◆阪神村上頌樹投手(25)がヒヤリとする中前打を浴びた。7点の大量リードで迎えた6回。先頭の9番野口の打球は自身の左足付近に鋭くはじき返され、ピッチャー返しの中前打となった。村上は即座に大丈夫と合図を送り、マウンドに戻った。問題無く続投し、直後の1番池田を二併殺。2番宗も右飛で料理し、危なげなく、無失点投球を継続した。

◆オリックス野口智哉内野手(24)は、野球解説者の坂口智隆氏(39)がオリックス時代に使用した応援歌を背に打席に入った。坂口の在籍時と同じ背番号9を背負う野口は、昨年の日本シリーズには2試合出場したが代打のみ。今年は「9番中堅」で初のスタメン出場を果たした。6回無死で、阪神の村上頌樹投手(25)の7球目真ん中の直球を投手強襲の内野安打を放った。SNSでは、「坂口さんの応援歌が復活していいね」「坂口の応援歌で野口が打つのはうれしい」と喜びの声が上がった。

◆阪神は打線が爆発し、「逆33-4」がX(旧ツイッター)のトレンド入りを果たした。5回に4点を先制すると、6回には3点を追加してオリックス山本由伸投手(25)を攻略。一方の阪神先発村上頌樹投手(25)は4回まで完全投球を続けるなど快投を続ける。Xには「逆33-4」がトレンド入り。前回出場した2005年(平17)のロッテとの日本シリーズの合計スコアが阪神から「4-33」。ファンの間では「334」として語り継がれている。悪夢払拭に向け、快打快投にファンも沸いた。

◆阪神大山悠輔内野手(28)が守備で魅せた。7点リードした、7回の守備だ。3番中川圭のフラッと上がった、一塁後方ファウルゾーンのフェンス付近への打球。懸命に追いかけ、最後は後ろ向きにスライディング。大事につかみ取り、クリーンアップと対峙(たいじ)する大事なイニングの先頭を打ち取った。ここまで大山は無安打ながら2四球を選び、生還も果たした。快音が響かずとも、守備や四球での貢献が光っている。

◆阪神村上頌樹投手(25)が7回2安打無失点で、オリックス打線を封じる快投を見せた。4回まで1人の走者も許さないパーフェクトピッチング。5回以降も連打を許さず、危なげない投球で打線を封じ込んだ。味方も奮起し、大量7得点を援護。7回で球数がちょうど100球に達し、8回からは2番手加治屋蓮投手(31)に交代となった。2回には自己最速を1キロ更新する152キロの直球も計測。相手先発のオリックス山本とは、8回2失点で惜敗した6月13日の交流戦以来の投げ合いだった。リベンジをかけたマウンドで、気迫の100球となった。

◆オリックスは投打かみあわず、日本シリーズ初戦を落とした。先発の山本由伸投手(25)が予想外の乱調だった。5回に今季ワーストの1イニング4失点で先制を許すと、6回も立ち直せず。9番坂本に二塁打を打たれて、この日6点目を失ってKO。2番手の山田も1点を失い、この回3点の追加を許した。5回2/3を投げて10安打浴び、自己ワーストタイの7失点。自責7は自己ワーストと本来のピッチングが見せられなかった。打線も4回まで阪神先発村上の前に完全投球を許すなど抑え込まれた。森友哉捕手(28)が5回にチーム初安打となる天井直撃の二塁打を放ったが、得点にはつながらず。山本の7失点が大きく響いた。中嶋聡監督(54)が指揮を執ったこれまでの日本シリーズではワーストタイの7失点。本拠地・京セラドーム大阪で黒星発進となった。それでも昨年は2敗1分けから4連勝し、日本一に立った。第2戦以降の巻き返しを図る。

◆阪神が快勝で白星発進を決めた。投打がかみ合い、日本シリーズでは敵地で9連敗と苦戦が続いていたが、日本一を決めた85年11月2日の西武球場(現ベルーナドーム)以来、1万3874日ぶりの敵地勝利を飾った。第1戦の先発を託された村上頌樹投手(25)が、見事に大役を全うした。2回2死の紅林の打席で自己最速を1キロ更新する外角高めの152キロ直球を記録するなど、気合のこもった投球で4回までパーフェクト投球。5回は先頭森にドーム天井の隙間にボールが吸い込まれるエンタイトル二塁打で出塁を許したが、後続を寄せ付けなかった。7回2安打無失点。圧巻の投球内容で勝利をもたらした。打線は"岡田マジック"がハマり、難敵オリックス山本を攻略した。両軍無得点の5回、先頭佐藤輝が中前打で出塁。続くノイジーの打席の初球で今季7盗塁の佐藤輝が二盗を成功させ、ヘッドスライディングで二塁を陥れた。意表を突く形でチャンスメークし、「7番DH」に抜てきされた渡辺諒が続いた。1死三塁から山本の内寄り155キロツーシームを振り、打球はつまりながらも中前にポトリ。待望の先制点を奪取。木浪が右前打でつなぎ、2死一、二塁から近本が右中間をぶち破る走者一掃の適時三塁打でさらに2点を追加。なおも2死三塁から中野が外角低めのカーブに食らいつき、技ありの左前適時打で4点目をゲットした。攻撃の手を止めなかった。6回は先頭大山が四球で出塁し、ノイジーが左前打でつないで2死一、三塁から木浪が左前適時打をマーク。なおも一、二塁から坂本が左翼線への二塁打で6点目を奪い、山本をKO。難敵右腕に10安打を浴びせて7得点を奪取。指揮官の策がハマり、見事に打ち崩した。

◆オリックスのエースが、まさかの乱調だ。山本由伸投手(25)が5回に阪神渡辺諒に先制タイムリーを浴びるなど、自己ワーストタイ7失点で6回途中で降板。過去2年の日本シリーズも3戦に登板し、白星なし。3年連続の4冠を達成した球界を代表する右腕がまたもシリーズ初勝利を逃した。「関西シリーズ」の初戦を落としたが、日本一に輝いた昨年も黒星スタート。粘りのチームが逆襲する。3年連続シリーズ<1>戦に先発の山本が7失点で敗戦投手。公式戦を含め7失点は22年5月3日ソフトバンク戦に並ぶ自身ワーストで、7自責点は初。シリーズ開幕投手の7失点は17年井納(DeNA)に並ぶワースト記録だ。シリーズで開幕投手を3度以上は10人目で、3年以上連続は69~72年堀内(巨人)76~78年山田(阪急)17~20年千賀(ソフトバンク)に次いで4人目。結果は21年勝敗なし、22年●、23年●で、2年続けて<1>戦黒星は97、98年西口(西武)以来となり、開幕投手3度以上で白星なしは山本だけだ。

◆阪神木浪聖也内野手が2安打1打点でチームの勝利に貢献した。1点リードの5回1死一塁でオリックス山本の直球を引っ張って右前打。続く、近本の中堅への2点三塁打生還した。さらに、4点リードの6回2死一、三塁でも右腕の直球を捉えて左前へタイムリー。「追加点が欲しい場面でしたし、追い込まれてからも泥臭く、自分らしい安打が打てた」と納得顔だった。

◆阪神近本光司外野手(28)、中野拓夢内野手(27)がそろって3安打。シリーズで阪神選手の猛打賞は03年<7>戦の今岡以来。同じチームの1、2番打者がそろって猛打賞は、67年<4>戦のウインディ、阪本(阪急)83年<4>戦の石毛、立花(西武)94年<4>戦の辻、大塚(西武)に次いで29年ぶり4度目。セ・リーグのチームで記録したのは初めてだ。

◆オリックスのエースが、まさかの乱調だ。山本由伸投手(25)が5回に阪神渡辺諒に先制タイムリーを浴びるなど、自己ワーストタイ7失点で6回途中で降板。過去2年の日本シリーズも3戦に登板し、白星なし。3年連続の4冠を達成した球界を代表する右腕がまたもシリーズ初勝利を逃した。「関西シリーズ」の初戦を落としたが、日本一に輝いた昨年も黒星スタート。粘りのチームが逆襲する。黄色に染まったレフトスタンドの大歓声が起こる中、山本は打球を見送るしかなかった。「大事な初戦のマウンドを任せていただいた中で、役割を果たせなかったことが悔しいです」。日本シリーズのマウンドは、今年もエースへ試練を与えた。0-0で迎えた5回。先頭佐藤輝の中前打から猛攻を受けた。1死三塁で渡辺諒に先制適時打を浴びると、木浪に連打を許し平井投手コーチがマウンドへ。迎えた坂本の送りバントを阻止し、流れを止めたかに見えたが、続く近本、中野に連続適時打を浴び一挙4失点。6回も勢いは止められず、坂本に6点目の適時打を浴びたところで、中嶋監督が自ら山本のもとへ。無念の降板となった。前回登板の18日のロッテとのCSファイナルステージ第1戦では、7回10安打5失点と苦戦。打線の援護に助けられ「感謝しています」と味方への思いを何度も口にした。開幕前には敵将の岡田監督から「そんなええと思てない」と"口撃"を受けた。なんとしても勝ちたかった開幕戦。2回2死で迎えたノイジーの5球目に、自身最速タイ159キロを計測するなど、気合は数字にも表れたが、白星だけが遠かった。レギュラーシーズンでは3年連続の4冠達成と今年もライバルを圧倒。しかし、日本シリーズではなぜか勝ち運に恵まれない。21年は第1戦、第6戦を任されるも勝敗つかず。昨年は第1戦の5回途中で左脇腹を痛めて降板。「こういう大事な試合なんで、この負けはすごく大きいなと感じています」。責任を一身に背負った。今季終了後にポスティングシステムでのメジャー移籍が有力視される。第6戦までもつれなかった場合、これがラストマウンドとなる可能性もあるが、目標を信じるだけだ。「日本一になるのがチームの目標なので。もう1試合あるかもしれないですし、ないかもしれないですけど、しっかり準備しておきたい」。思いはぶれない。【磯綾乃】3年連続シリーズ<1>戦に先発の山本が7失点で敗戦投手。公式戦を含め7失点は22年5月3日ソフトバンク戦に並ぶ自身ワーストで、7自責点は初。シリーズ開幕投手の7失点は17年井納(DeNA)に並ぶワースト記録だ。シリーズで開幕投手を3度以上は10人目で、3年以上連続は69~72年堀内(巨人)76~78年山田(阪急)17~20年千賀(ソフトバンク)に次いで4人目。結果は21年勝敗なし、22年●、23年●で、2年続けて<1>戦黒星は97、98年西口(西武)以来となり、開幕投手3度以上で白星なしは山本だけだ。

◆阪神が快勝で白星発進を決めた。投打がかみ合い、日本シリーズでは敵地で9連敗と苦戦が続いていたが、日本一を決めた85年11月2日の西武球場(現ベルーナドーム)以来、1万3874日ぶりの敵地勝利を飾った。阪神が、日本シリーズにおける敵地での連敗を9で止めた。ビジターでの白星は、日本一を決めた85年11月2日西武<6>戦以来、38年ぶり。この試合では初回に長崎啓二が満塁本塁打を放ち、ゲイルが完投勝利を飾って日本一に花を添えた。以後03年福岡ドーム(対ダイエー)4試合、05年千葉マリン(対ロッテ)2試合、14年ヤフオクドーム(対ソフトバンク)3試合で全敗していた。阪神がこの試合に負けていたら、西武が94年巨人第<2>戦~02年巨人第<2>戦にマークした、敵地10連敗のワースト記録に並ぶところだった。

◆阪神が快勝で白星発進を決めた。投打がかみ合い、日本シリーズでは敵地で9連敗と苦戦が続いていたが、日本一を決めた85年11月2日の西武球場(現ベルーナドーム)以来、1万3874日ぶりの敵地勝利を飾った。阪神が8-0で<1>戦を勝利。05年以来の指揮となった岡田監督は、シリーズ通算5戦目にして監督初勝利を挙げた。阪神の<1>戦勝利は62、85、14年に次いで4度目。敵地の<1>戦で勝利は85年以来で、<1>戦を完封勝ちも85年だけ。球団唯一の日本一となった85年と似たスタートを切ったが、今年はどうか。なお、過去73度のシリーズで先勝チーム(△○を含む)は45度優勝し、V確率は62%。阪神の日本シリーズ完封勝利は、62年東映戦<2>戦5-0、85年西武戦<1>戦3-0以来38年ぶり3度目。過去2度はそれぞれ村山実、池田親興が完投しており、継投でのシリーズ完封勝利は球団初となった。阪神がシリーズで挙げた8得点は、日本一を決めた85年西武戦<6>戦での9得点に次ぎ球団2位。この試合では3失点したため、8点差勝利はシリーズ最大得点差勝利となった。阪神が大阪市内で行われた日本シリーズの試合で勝ったのは、大阪球場での64年南海(現ソフトバンク)戦<5>戦以来、59年ぶり。先発バーンサイドが7回0/3を3失点と粘り、6-3で勝った。

◆本拠地・京セラドーム大阪で、阪神ファンの大歓声を聞く結果になった。3年連続パの4冠エース山本由伸投手(25)を先発に立てた初戦で、完敗。中嶋聡監督(54)は「ちょっとカーブが入らなかったのかな」と投球の幅を狭めた要因を挙げた上で「1年間の最後ですからね。いろんなところで疲れとかもありますし、打たれることもありますし」と振り返った。0-8敗戦は、中嶋オリックスの日本シリーズでは最多失点で最大点差負け。序盤は山本と阪神村上の白熱の投手戦が続いたが、中盤に山本が相手打線につかまると点差は開いた。逆に自軍は、村上にほんろうされた、6月の交流戦で土をつけた右腕に逆襲され「低めは頑張って見逃してたんですけどね、それも野球です」と唇をかんだ。フルメンバーで来た阪神に対し、CSファイナルステージMVPなど短期決戦で無類の勝負強さを発揮する杉本を開幕戦で使えなかった。左足首に故障を抱えたラオウをこの日はベンチから外し、1番左翼にプロ2年目の池田を抜てきした。今季のウエスタン・リーグの首位打者。攻守の潜在能力からすれば、23年日本シリーズ男になる可能性を秘めた20歳だったが、無安打に終わった。それでも中嶋監督は「(シリーズ男の活躍を)期待してますよ」と今後に目を向ける。昨年の日本シリーズも2敗1分けから4連勝で一気に日本一に登り詰めた。短期決戦の切り替えも戦い方もすべて経験して、今がある。第2戦から巻き返す。【堀まどか】

◆阪神近本光司外野手(28)が、中押し打を含む3安打2打点の活躍で初戦白星発進に導いた。1点を先制した直後の5回2死一、二塁。オリックス山本の甘い156キロ直球を見逃さず強振。打球は右中間をぶち破り快足を飛ばして一気に三塁へ。走者一掃の2点打でリードを拡大させた。「先制してチームもいい雰囲気でしたし、自分自身もそのいい流れに乗ることができたと思います」広島とのCSファイナルステージ3試合は通算11打数1安打2打点と本領を発揮できずにいた。「チームが勝てばなんでもいい。特に気にすることなく熱くいきたい」と前向きに挑み、宣言通りの熱いプレー完全復活を印象づけた。近本はボールを最後まで見送らない。際どいコースを突かれても、捕手のミットに収まるまでボールを見届けることはない。「できるだけ判断が早い方がいい。(投手と打者の)真ん中くらいからストライクゾーンができているので」。投手のリリースポイントから中間の9メートル付近までの間に「打つ」か「見送る」かの判断を下す。「(ホーム付近まで)見る必要もないし、見たところでそこから打てるかというのがある」。岡田監督も過去に「打つポイント過ぎたら見る必要はない。ええバッターは大体そこで見切っとるよ」と話していた。プロでの経験を経て身につけた思考法で、難敵攻略につなげた。4回先頭では遊撃への内野安打、9回にはセンター右への二塁打で猛打賞。サイクルヒットまであと本塁打のみ残す暴れっぷり。自身初の日本シリーズは最高の船出となった。【古財稜明】

◆阪神中野拓夢内野手が猛打賞&2打点で快勝に貢献した。初回1死からオリックス山本の157キロ直球を左前打。3点リードの5回2死三塁では、追い込まれながらフォークを左前に運ぶ適時打で貴重な追加点をもたらした。「甘く浮いてきた球だけを打つことを考えて。いい投手なので、ゾーンを上げて浮いてくる球を一発で仕留める気持ちで打席に入っていた。いい安打が出たかなと思います」と胸を張った。CSファイナルステージでは、3試合で11打数1安打、打率9分1厘。リベンジに燃えていた。「本当にCSファイナルでチームに貢献できなかった分、日本シリーズで何とかチームのためということを考えていた」。6点リードの6回の満塁機も2番手山田左腕のスライダーに反応し、左前適時打で猛打賞。有言実行で打線を勢いづけた。

◆左第4中足骨を疲労骨折していたオリックス頓宮裕真捕手(26)が、9月13日の日本ハム戦(エスコンフィールド)以来の先発に名を連ねた。「5番DH」でスタメン出場し3打数無安打。厳しい判定も見えたが「いいピッチングをされました」と言い訳はなかった。CSファイナルステージ第3戦では、代打で適時打をマーク。「0-1で負けても同じ。切り替えていきたい」と前を向いた。

◆オリックス森友哉捕手が天井直撃打で阪神村上の完全試合を阻止した。チームが1人の走者も出せず、5回先頭で打席に入った。初球の143キロをフルスイング。「上がりすぎたかなと思いました」と打球は右翼へ高々と舞い上がり、打球は天井のリングに入り、そのまま落ちてこなかった。中嶋監督も説明を求め、球審からは「ただいま、打球が2枚目のリングに入りました。グラウンドルールにより、ツーベース、ボールデッドでツーベースで再開します」とアナウンス。京セラドーム大阪の規定で二塁打となり、無死二塁で再開された。村上について「映像で見ていても失投がなくて、変化球が多彩で、真っすぐがきていた」。プロ10年目で初の日本シリーズで初安打は衝撃的な一打となった。

◆阪神が快勝で白星発進を決めた。投打がかみ合い、日本シリーズでは敵地で9連敗と苦戦が続いていたが、日本一を決めた85年11月2日の西武球場(現ベルーナドーム)以来、1万3874日ぶりの敵地勝利を飾った。岡田彰布監督(65)のお立ち台でのインタビューは以下の通り。-試合を振り返って「いや、もうやっぱり相当プレッシャーもあったと思うんですけど。今日は本当に村上はね、いつも通りのピッチングしてくれたんですけど。打つ方がね、今日はすごく奮起しましたね」-山本から10安打「6月の交流戦でね、完封(8回無失点)されているんで。みんなね、そういう気持ちで今日はね。まあ一周り目はちょっとね、やっぱり差し込まれているというか抑えられてたんですけど、やっぱり二周り目でね、みんなまあ工夫して、攻略してくれましたね」-チームとして対策は「いや、まあ対策というかビデオとかはね、みたんですけど。これはあとはもうね、打席の中でね、個人個人がね、打っていくしか無いと。だからまあ個人個人がね、自分の役割を果たしてくれたと思いますね」-佐藤輝の単独スチールはサインか「いやいや、まだ試合あるんでまだ言えないですけどね。まあ、シーズンもね、走ったりしてましたから。まああの、ノーアウトからだったんでね。本当に非常に、まして初球ということで。勢いつける盗塁だったですね」-村上が好投「そうですね、あのークライマックスの初戦も村上だったんですけどね。あの時の方がちょっとプレッシャーかかったみたいで。今日はね、ブルペンからもうピッチングコーチからすごくいい話を受けていたので。もうね、やってくれると信じていました、今日は」-監督として日本シリーズ初勝利「まあ前回4連敗してるんでね。まあでもあの、まあそうですね。久しぶりにね、こういう舞台で立てたいうのは非常に光栄に思うし。まあね、今日初戦でこういう勝ち方をしたんでね。まあ明日からね、ゲーム続くので。まあこの勢いでね、ゲームやっていきたいと思います」-全国のファンへ「えっと、今日も京セラドーム、たくさんのタイガースファンの人、応援くださって本当ありがとうございました。まあ明日もう1試合ありますけどね、その後は甲子園に帰れるので。明日はもう1度ね、気を引き締めて。明日ゲームしたいと思うので、明日もよろしくお願いします」

◆阪神先発の村上頌樹投手(25)が"史上初"の快挙を達成した。7回2安打無失点でオリックス打線を翻弄(ほんろう)。打線の大量援護も呼び込み、リードを保った。同学年の相手先発山本に投げ勝った100球の熱投で、日本シリーズ初勝利となった。今季のレギュラーシーズンで、プロ3年目での初勝利を手にした右腕。新人と外国人を除くと、前年まで0勝投手が日本シリーズの開幕投手を務めたのは21年のヤクルト奥川恭伸以来史上2人目。同戦で奥川は勝敗がついておらず、同条件での白星はプロ野球史上初となった。歴史的な快投を見せ、38年ぶりの日本一へ開幕ダッシュに貢献した。村上が日本シリーズ<1>戦で先発し、勝利投手となった。前年まで通算0勝の投手が日本シリーズに先発したのは阪神では初。前年まで0勝の投手が日本シリーズ開幕投手を務めたのは21年ヤクルト奥川恭伸以来、史上2人目。この試合でヤクルトはオリックスに敗れ、奥川は勝敗無関係。前年まで0勝の日本シリーズ開幕投手の白星は、日本人ではプロ野球初の快挙となった。なお95年には、ヤクルトの新外国人ブロスがオリックス<1>戦で勝利を挙げた例がある。日本シリーズで阪神の先発投手に白星がついたのは14年ソフトバンク戦<1>戦メッセンジャー以来。日本人では03年ダイエー<5>戦の下柳剛(前日本ハム)以来。生え抜き投手に限ると、62年東映戦<2>戦村山実、85年西武戦<1>戦池田親興に次ぎ、38年ぶり3人目となった。

◆阪神岡田彰布監督(65)が試合後のテレビインタビューで、先制機につながった佐藤輝明内野手(24)の二盗について言及した。大量4点を先制した5回の先頭で、中前打で出塁した佐藤輝が直後の初球で二盗に成功。渡辺諒の先制打を呼び込み、ビッグイニングにつながった。サインプレーかと問われると「いやいや、まだ試合あるんでまだ言えないですけどね」とキッパリ。「まあ、シーズンも走ったりしてましたから、まあノーアウトからだったんでね。本当非常にね、まして初球ということで。勢いつける盗塁だったですね」とたたえた。▽阪神佐藤輝 (二盗について)頭から(滑って)いこうと思っていました。(初球決めたのは)できるだけ早く走った方がいいと思うので。成功すると思って走りました。

◆阪神佐藤輝明内野手が打って走っての活躍で打線に火をつけた。0-0の5回先頭。オリックスの同学年右腕山本の152キロ直球を捉えて中前打を放つと、直後にノイジーの打席で初球に二盗を敢行。ヘルメットを吹き飛ばしながらのヘッドスライディングで決めた。「頭から行こうと。できるだけ早く走った方がいいと思うので(初球から)。成功すると思って走りました」。その後は渡辺諒の先制打で生還。4得点を挙げたビッグイニングの口火を切った。

◆岡田マジックさく裂! 阪神岡田彰布監督(65)が日本シリーズ第1戦から仕掛け、難敵のオリックス山本に10安打を浴びせて7得点で攻略した。5回、佐藤輝に初球二盗を指令し、右投手相手に「7番DH」で先発させた右打者の渡辺諒が先制打を決めた。59年ぶりの関西シリーズ初戦で指揮官にとっての日本シリーズ初星をゲット。38年ぶりの同シリーズアウェー星を飾り、38年ぶり日本一へロケットスタートだ。阪神岡田監督が宣言通り、難敵の山本由伸を攻略した。23日の練習後に「そんなええと思てない。何でそんな山本、山本って言うんやろなあ」と先制"口撃"。パ・リーグ3年連続投手4冠の相手に対してナインに暗示をかけ、10安打を浴びせて7失点KOした。「普通通りなんかでけへん」。日本シリーズ第1戦、いきなり「7番DH渡辺諒」で驚かせた。右投手の山本を相手に、左の糸原ではなく今季打率1割7分7厘の右を起用。「何か打つと思ったから。(練習の)打撃が昨日よかったからな」。日本ハム時代の対山本も19年5打数1安打だった「直球破壊王子」にかけ、先制点をたたき出した。"岡田マジック"がさく裂したのは両軍無得点の5回だ。先頭佐藤輝が山本の内角直球を捉え、中前打で出塁。続くノイジーの打席の初球、今季7盗塁の一塁走者の佐藤輝を盗塁させた。ヘッドスライディングで二盗に成功。指揮官は「まだ試合があるので言えないが、佐藤輝は初球からいけるからな」と納得顔だ。1死三塁、渡辺諒は初球の内側に食い込む155キロ速球に詰まりながらも、中前にしぶとく落とし先制。さらに2死一、二塁から近本が156キロ直球をとらえて右中間へ2点適時三塁打。中野は変化球に食らいつき、左前適時打で一挙4得点を決めた。6回も8番木浪、9番坂本の連続適時打などで3点。山本から衝撃の7得点だ。岡田監督は試合前のミーティングでも山本の真っすぐを打つように指示。正攻法で直球に打ち勝った。59年ぶりの関西シリーズ。敵地の京セラドーム大阪も左半分は虎党の黄色で染まった。快勝で日本シリーズは白星発進。「前回は忘れた」。05年はロッテに計4-33で4連敗した岡田監督にとっては日本シリーズ初勝利。チームとしても日本一となった85年の西武との第6戦以来38年ぶりのアウェー1勝だ。CSから無傷の4連勝。短期決戦に弱かったのは、もう過去の話だ。38年ぶりの日本一へ、最高のスタートを切った。【石橋隆雄】阪神が8-0で<1>戦を勝利。05年以来の指揮となった岡田監督は、シリーズ通算5戦目にして監督初勝利を挙げた。阪神の<1>戦勝利は62、85、14年に次いで4度目。敵地の<1>戦で勝利は85年以来で、<1>戦を完封勝ちも85年だけ。球団唯一の日本一となった85年と似たスタートを切ったが、今年はどうか。なお、過去73度のシリーズで先勝チーム(△○を含む)は45度優勝し、V確率は62%。阪神の日本シリーズ完封勝利は、62年東映戦<2>戦5-0、85年西武戦<1>戦3-0以来38年ぶり3度目。過去2度はそれぞれ村山実、池田親興が完投しており、継投でのシリーズ完封勝利は球団初となった。阪神がシリーズで挙げた8得点は、日本一を決めた85年西武戦<6>戦での9得点に次ぎ球団2位。この試合では3失点したため、8点差勝利はシリーズ最大得点差勝利となった。阪神が大阪市内で行われた日本シリーズの試合で勝ったのは、大阪球場での64年南海(現ソフトバンク)戦<5>戦以来、59年ぶり。先発バーンサイドが7回0/3を3失点と粘り、6-3で勝った。

◆オリックス2年目の池田陵真外野手(20)が1番左翼で日本シリーズ初出場初先発も、無安打に終わった。今季1軍で12試合の出場も、2軍では打率3割1厘で首位打者を獲得。だが4打席でノーヒットに終わり「積極的に振っていくことはできたんですけど、結果がついてこなかった」と唇をかんだ。ただ試合前に中嶋監督から「残りあっても7、8試合なんだから楽しんでいけ」と励まされ、杉本からも「思いきっていけよ」と激励された。残り試合に全力を尽くす。

◆大勝発進の中、阪神岡田彰布監督(65)は森下翔太外野手(23)にチクリとくぎを刺した。初回1死一塁。1ボール2ストライクから一塁走者中野がスタート。ただ、森下は低めの直球を見送り「三振ゲッツー」でチェンジとなった。試合後、岡田監督は「(サインは)盗塁、盗塁。振らんからや、森下が」と説明。追い込まれていたシーンでスイングをかけなかったことに、あきれた表情だった。森下は、その後の3打席も凡退し、5打席目でシリーズ初安打となる中前打。「ボールばっかり振ってるやつも最後1本出たしな。ストライク見逃してボールばっか振って。あんだけ言うたのに、1人なあ」と指揮官。「3打席目で代えたろうか思った。またな、泣いたらあかんから。きょうは辛抱したよ、初戦やから」と奮起を促した。森下は9月29日のDeNA戦(横浜)でチャンスで凡退すると、ベンチで涙を流すシーンがあった。

◆阪神が快勝で白星発進だ。難敵オリックス山本由伸から10安打7点を奪いKO。投げては先発村上が7回無失点。リリーフ陣も得点を許さなかった。05年ロッテに計4-33で4連敗した岡田彰布監督(65)にとって日本シリーズ初勝利となった。試合後の記者囲みの一問一答は以下の通り。(囲み)-先発村上は立ち上がりからよかった「今日の報告もよかったからな。ブルペンから。クライマックスのときは、めちゃくちゃ緊張してる言うてたけど、今日はいつも通りに、ブルペンでも投げてたみたいだし」-球速も自己最多152キロと、初回から飛ばしている印象だったが「いや、ここはスピードでるやろ? ここは。球場によって数字違うから。それは」-7番に渡辺諒を起用した。意図は「いやいや、まあ、最初から、昨日の段階で決めとったから。うん」-山本に相性がいい「由伸にそれほどよくない。なんか。いや打つと思ったから。バッティングが昨日(の練習で)よかったからな。変化球もな」。-見事にはまった「まあ、誰かいれやなあかんからなあ。明日もう1回(指名打者が)あるけど、明日は左みたいやから、宮城か。それは今の段階では誰かわかんけどな」-佐藤輝の盗塁は球種を絞ってサインを出したのか「いやいや、読むっていうか、中野がその前(1回)にアウトになっているから。あれで来ないと思うやんか。あれは初球からいけるからな。思い切りがいいからな佐藤は、走塁ていうか、盗塁に関してな、ほんまに初球から行きよったと思たけどな」-1回1死一塁での中野の盗塁はエンドランか。「違う違う。盗塁、盗塁」-ベンチで怒っていた「振らんからや、森下が」-見逃し(三振し)たことに「おーん」-山本を打つために「真っすぐを狙う」と話していたが、みんな速い球を打ち返した「そうやろ、その通りやったやんか。別にみんながそないしてすごいすごい言うからほんまに。しゃあないから言うただけやんか」-分析通りか。「分析なんかそんなしてないよ。してないしてない。そんなんシンプルにそんなん、そこまで分析して打てるもん違うよ。でも。野球いうのは。シンプルに真っすぐをと、そういうことやんか。それを打てるようにな、いつも練習してるんやから。そんな対策で打たれへんって、そんな」-打線がよかった「そら、思ってる以上にな。2点取れたらいいかなと思ってたけどな。1巡目見てもな。ひとまわり見て」-近本、中野も打った「そうや。あそこが打てばなあ。3本、3本か。今日。なあ。あそこが出たらもう、足があるし向こうも警戒心というか全然違ってくると思うしな。それで得点になるよな」-シンプルにと言うが、何か対山本を伝えた「いや、真っすぐ打てしか言うてないよ。だってフォークの打ち方なんか教えてないもん。そやろ。誰もフォークの打ち方教えるバッティングコーチいてないやん、そういうことやん。だから、そんな分析とか、そんな難しいことなんかできへんて」-150キロを超える球を「それを打つんやから、しゃあないやん。150キロ超したから打たれへんとか、そういう問題じゃないやん、おかしいやんか」-指示が徹底できた「そうそうそう。まっすぐ打てしか言うてないもん」-打席で実行できた「うん。まっすぐ打ってフォーク見送れって言っただけやもん」-ミーティングで「うん、ミーティングで。それはもうずっと言ってることやもん。基本よな、やっぱりな。変化球そんな当たらへんよ」-ひとつ勝って楽に「そらみんなああやってヒットでたから、そら楽になってるよ。そらだいぶ明日のゲームの入り方はだいぶ楽に入れる。全然違うよ。ボールばっかり振ってるやつ(森下)も最後に1本出たしな。ストライク見逃してボールばっか振って。あんだけ言うたのに、1人なあ」-途中で代えようと思ったのでは「3打席目で代えたろうか思った。またな、泣いたらあかんから。今日は辛抱したよ、初戦やから(笑い)」

◆阪神森下翔太外野手が9回、2戦目につながる安打を放った。4打数無安打3三振と快音は出なかったが、7点リードの9回2死二塁でオリックス阿部のスプリットを強振。中前に日本シリーズ初安打を決めた。「相手の投手陣が良いので、低めのボールを振ってやられていた。でも最後に1本出ましたし、チームも勝ったので、次につながると思います」と前を向いた。

◆阪神坂本誠志郎捕手がトドメの一撃でオリックス先発山本を降板させた。6回2死一、二塁。134キロスライダーを捉えた打球は三塁線を抜く左適時二塁打。6得点目を上げて山本をKOした。守備でも先発村上を終始リードでけん引。「先に点をやらないようにというか、村上の一番いいボールからいこうと思った。全然負けてないというか、それぐらいのいい立ち上がりをしてくれた」とたたえた。

◆本拠地・京セラドーム大阪で、阪神ファンの大歓声を聞く結果になった。3年連続パの4冠エース山本由伸投手を先発に立てた初戦で、完敗。中嶋聡監督は「ちょっとカーブが入らなかったのかな」と投球の幅を狭めた要因を挙げた上で「1年間の最後ですからね。いろんなところで疲れとかもありますし、打たれることもありますし」と振り返った。0-8敗戦は、中嶋オリックスの日本シリーズでは最多失点で最大点差負け。序盤は山本と阪神村上の白熱の投手戦が続いたが、中盤に山本が相手打線につかまると点差は開いた。逆に自軍は、村上にほんろうされた、6月の交流戦で土をつけた右腕に逆襲され「低めは頑張って見逃してたんですけどね、それも野球です」と唇をかんだ。フルメンバーで来た阪神に対し、CSファイナルステージMVPなど短期決戦で無類の勝負強さを発揮する杉本を開幕戦で使えなかった。左足首に故障を抱えたラオウをこの日はベンチから外し、1番左翼にプロ2年目の池田を抜てきした。今季のウエスタン・リーグの首位打者。23年日本シリーズ男になる可能性を秘めた20歳だったが、無安打に終わった。それでも中嶋監督は「(シリーズ男の活躍を)期待してますよ」と今後に目を向ける。昨年の日本シリーズも2敗1分けから4連勝で日本一に登り詰めた。短期決戦の切り替えを経験し、今がある。「やられ方としたらアレかもしれないですけど、切り替えやすいのかもしれないですし。明日は明日です」。第2戦から巻き返す。【堀まどか】

◆阪神ファンで知られるフリーアナウンサーの有働由美子が日本シリーズ第1戦を生観戦した。「家族総出でチケット獲得合戦に乗り出しましたけれど、入手できたのは一塁、オリックス側でした。正直、阪神に頑張ってほしいです」。笑顔でビール片手に気合を入れていた。

◆阪神近本光司外野手(28)が、中押し打を含む3安打2打点の活躍で白星発進に導いた。1点を先制した直後の5回2死一、二塁。オリックス山本の甘い156キロ直球を強振。打球は右中間をぶち破り、快足を飛ばして一気に三塁へ。クールに三塁ベンチに左手の人さし指を向けると、敵地はお祭り騒ぎに包まれた。「(先制して)気持ち的にはすごい楽でした。自分自身もいい流れに乗ることができたと思います」リベンジを決めた。3月の侍ジャパンの強化試合では山本から右越えの1発を放ったが、6月13日の交流戦では4の0でチームも完敗した。そして迎えたこの日の再戦。広島とのCSファイナルステージ3試合は通算11打数1安打2打点で、低調な打撃も心配されたがそんな不安も一掃した。近本はボールを最後まで見送らない。際どいコースを突かれても、捕手のミットに収まるまでボールを見届けることはない。「できるだけ判断が早い方がいい。(投手と打者の)真ん中くらいからストライクゾーンができているので。(ホーム付近まで)見る必要はない」。投手のリリースポイントから中間の9メートル付近までの間に判断を下す。岡田監督も過去に「打つポイントを過ぎたら見る必要はない。ええバッターは大体そこで見切っとるよ」と話していた。プロでの経験で身につけただけきスタイルで、難敵攻略につなげた。4回先頭では遊撃への内野安打、9回にはセンター右への二塁打で猛打賞。サイクルヒットまであと本塁打のみを残す暴れっぷりだ。自身初出場の日本シリーズは最高の船出となった。【古財稜明】

◆阪神村上頌樹投手(25)が、充実の汗をぬぐった。4回までパーフェクト投球で7回2安打無失点。オリックス山本に投げ勝った。前年まで0勝の投手が日本シリーズ開幕投手を務めて勝利を挙げたのは新人、外国人投手を除けば、プロ野球初の快挙だ。「交流戦のリベンジがしたいと思っていた。いい緊張が力に変わりました」2回、紅林を自己最速更新の152キロ直球で空振り三振。初球からストライクを奪い、昨年の覇者を攻めた。唯一得点圏に走者を背負った5回2死一、二塁では若月を三ゴロ。大役を任され、燃えに燃えた。あの日、村上は笑っていた。6月13日、本拠地甲子園でのオリックス戦。山本と投げ合い、8回2失点で負け投手となった。3回に見逃し三振に倒れた時、思わず白い歯をこぼした。「ああいう変化球投げられたら、俺ももっと楽やろな~って」カーブだった。目線を1度上にやった瞬間、ボールゾーンから鋭く変化してきた。「うわっ...すっげ~...って。手を動かそうと思っても動かなかった」。空振り三振か、見逃し三振か。理想を問われると後者を選ぶタイプ。バットを出させなければ、リスクは一切ない。ライバルの宝刀は、究極の理想だった。「まだまだ及ばない。だけど、僕もあれから4カ月たって成長してきたので」 同学年の山本の存在は、スターダムを駆け上がる中、明確な道しるべとなった。レギュラーシーズンを10勝、防御率1・75でフィニッシュ。強力な自信を身にまとい、「楽しむことができた」と大一番でリベンジした。交流戦で3試合戦ったとはいえ、オリックスは未知の相手。岡田監督からは「探りを入れるには一番いい投手やで」と抜群のコントロールを生かした"探偵役"にも任命されていた。指令通りの100球に「やってくれると信じていました」と指揮官。虎が村上で先勝だ。【中野椋】▽阪神加治屋(2番手で1回無失点)「初戦で投げられて、感覚自体もよかった。初戦を取れたのはすごく大きいですし、明日も勝って甲子園に戻りたいと思います」▽阪神岩貞(9回に登板し、1イニングを無安打無失点3奪三振)「いい投球ができた。練習からやってきたことをこういう局面でできたので、しっかり継続していきたいです」

◆阪神大山悠輔内野手が好守と四球で日本シリーズ開幕星に貢献した。7回の一塁守備だ。3番中川圭が打ち上げた一塁後方ファウルゾーンへのフライを懸命に背走。最後はフェンス際への後ろ向きスライディングキャッチでつかみとった。攻撃面でも5打席で無安打ながら3四球を選び、再三の好機を演出。「チームが勝ったことが一番。明日もしっかり頑張ります」。次戦を見据えて球場を後にした。

◆岡田マジックさく裂! 阪神岡田彰布監督(65)が日本シリーズ第1戦から仕掛け、難敵のオリックス山本に10安打を浴びせて7得点で攻略した。5回、佐藤輝に初球二盗を指令し、右投手相手に「7番DH」で先発させた右打者の渡辺諒が先制打を決めた。59年ぶりの関西シリーズ初戦で指揮官にとっての日本シリーズ初星をゲット。38年ぶりの同シリーズアウェー星を飾り、38年ぶり日本一へロケットスタートだ。関西ダービー白星発進。大歓声を浴びながらベンチから引き揚げてきた岡田監督は「その通りやったやんか」とドヤ顔を見せた。難敵の山本由伸を10安打7得点で攻略。「みんながすごいすごい言うから。しゃあないから言うただけやんか」。23日の練習後に「そんなええと思てない」と先制"口撃"していた理由を苦笑いで説明した。直球を狙うようナインに指示。山本からの5本の適時打のうち3本は直球をとらえた。3年連続パ・リーグ4冠を宣言通り攻略した。5回はまさに"岡田マジック"だった。先頭の佐藤輝が中安で出塁すると、続くノイジーの打席の初球フォークに二盗をしかけ、ヘッドスライディングで成功した。指揮官は「まだ試合があるんで言えないですけど」とはぐらかしつつ「(佐藤輝は)初球からいけるから」と今季7盗塁の大砲を走らせた。ノイジーの右飛で1死三塁とすると、今度はサプライズ起用の「7番DH」渡辺諒が初球の内側に食い込む155キロ速球に詰まりながらも、中前にしぶとく落として先制した。「何か打つと思ったから。打撃(練習)が昨日よかったからな」。右投手の山本を相手に、左の糸原ではなく今季打率1割7分7厘、日本ハム時代の対山本も19年5打数1安打だった「直球破壊王子」にかけ、見事にハマった。近本が右中間へ2点適時三塁打。中野も左前適時打で一挙4得点。6回も8番木浪、9番坂本の連続適時打などで3点を挙げ、山本から衝撃の7得点だ。終わってみれば13安打の大勝。初回1死一塁から見逃しで三振ゲッツーに倒れ「振らんからや」と激怒した森下も9回の5打席目で初安打を記録した。「3打席目で代えたろうか思った。また泣いたらあかんから。辛抱したよ」。シーズン中、途中交代で悔し泣きしたことを引き合いにチクリと再び苦笑いだ。05年ロッテに計4-33で4連敗して以来の日本シリーズ。指揮官も緊張感を隠せないのか、練習中は普段のように動き回らなかった。岡田監督にとっては日本シリーズ初勝利。チームも日本一を決めた85年西武との第6戦以来38年ぶりのアウェー1勝だ。CSから無傷の4連勝。短期決戦に弱かったのは、もう過去の話。日本一へ、最高のスタートを切った。【石橋隆雄】阪神が8-0で<1>戦を勝利。05年以来の指揮となった岡田監督は、シリーズ通算5戦目にして監督初勝利を挙げた。阪神の<1>戦勝利は62、85、14年に次いで4度目。敵地の<1>戦で勝利は85年以来で、<1>戦を完封勝ちも85年だけ。球団唯一の日本一となった85年と似たスタートを切ったが、今年はどうか。なお、過去73度のシリーズで先勝チーム(△○を含む)は45度優勝し、V確率は62%。阪神の日本シリーズ完封勝利は、62年東映戦<2>戦5-0、85年西武戦<1>戦3-0以来38年ぶり3度目。過去2度はそれぞれ村山実、池田親興が完投しており、継投でのシリーズ完封勝利は球団初となった。阪神がシリーズで挙げた8得点は、日本一を決めた85年西武戦<6>戦での9得点に次ぎ球団2位。この試合では3失点したため、8点差勝利はシリーズ最大得点差勝利となった。阪神が大阪市内で行われた日本シリーズの試合で勝ったのは、大阪球場での64年南海(現ソフトバンク)戦<5>戦以来、59年ぶり。先発バーンサイドが7回0/3を3失点と粘り、6-3で勝った。

◆オリックスのエースが、まさかの乱調だ。山本由伸投手(25)が5回に阪神渡辺諒に先制タイムリーを浴びるなど、自己ワーストタイ7失点で6回途中で降板。過去2年の日本シリーズも3戦に登板し、白星なし。3年連続の4冠を達成した球界を代表する右腕がまたもシリーズ初勝利を逃した。「関西シリーズ」の初戦を落としたが、日本一に輝いた昨年も黒星スタート。粘りのチームが逆襲する。黄色に染まったレフトスタンドの大歓声が起こる中、山本は打球を見送るしかなかった。「大事な初戦のマウンドを任せていただいた中で、役割を果たせなかったことが悔しいです」。日本シリーズのマウンドは、今年もエースへ試練を与えた。0-0で迎えた5回。同学年の先頭佐藤輝に152キロ直球を捉えられ、そこから猛攻を受けた。3本の適時打を許して一挙4失点。6回も勢いは止められず、坂本に6点目の適時打を浴びたところで、中嶋監督が自ら山本のもとへ。慣れ親しんだ京セラドーム大阪で、まさかのワースト7失点。無念の降板となった。18日のロッテとのCSファイナルステージ第1戦では、7回10安打5失点と苦戦。打線の援護に助けられ、味方への感謝を何度も口にした。開幕前には敵将の岡田監督から「そんなええと思てない」と"口撃"を受けた。なんとしても勝ちたかった開幕戦。2回に自身最速タイ159キロを計測するなど、気合は数字にも表れていた。「立ち上がりはいい調子で入れたんですけど、途中ちょっと、失点してしまったので。こういう大事な試合なので、この負けはすごく大きいなと感じています」。レギュラーシーズンでは3年連続の4冠達成と今年もライバルを圧倒。しかし、日本シリーズではなぜか勝ち運に恵まれない。21年は第1戦、第6戦を任されるも勝敗つかず。昨年は第1戦の5回途中で左脇腹を痛めて降板。4戦目でも白星は遠かった。今季終了後にポスティングシステムでのメジャー移籍が有力視される。第6戦までもつれなかった場合、これがラストマウンドとなる可能性もあるが、目標を信じるだけだ。「日本一になるのがチームの目標なので。もう1試合あるかもしれないですし、ないかもしれないですけど、しっかり準備しておきたい」。思いはぶれない。【磯綾乃】3年連続シリーズ<1>戦に先発の山本が7失点で敗戦投手。公式戦を含め7失点は22年5月3日ソフトバンク戦に並ぶ自身ワーストで、7自責点は初。シリーズ開幕投手の7失点は17年井納(DeNA)に並ぶワースト記録だ。シリーズで開幕投手を3度以上は10人目で、3年以上連続は69~72年堀内(巨人)76~78年山田(阪急)17~20年千賀(ソフトバンク)に次いで4人目。結果は21年勝敗なし、22年●、23年●で、2年続けて<1>戦黒星は97、98年西口(西武)以来となり、開幕投手3度以上で白星なしは山本だけだ。

◆【日刊スポーツ西日本写真映像チームのとっておき映像プレイバック】日本シリーズ開幕。オリックス-阪神の関西シリーズ第1戦は山本由伸を攻略した阪神が勝利。岡田彰布監督も初勝利に笑顔をみせました!

◆岡田マジックさく裂! 阪神岡田彰布監督(65)が日本シリーズ第1戦から仕掛け、難敵のオリックス山本に10安打を浴びせて7得点で攻略した。5回、佐藤輝に初球二盗を指令し、右投手相手に「7番DH」で先発させた右打者の渡辺諒が先制打を決めた。59年ぶりの関西シリーズ初戦で指揮官にとっての日本シリーズ初星をゲット。38年ぶりの同シリーズアウェー星を飾り、38年ぶり日本一へロケットスタートだ。日本シリーズ・ニッカンMVP査定 貢献ポイントは先発勝利や、打者では殊勲安打、複数打点が高くなる。第1戦はオリックス山本に投げ勝った村上が4ポイントでリードした。

◆工藤公康氏と槙原寛己氏が29日、TBS系テレビ「サンデーモーニング」にご意見番として出演。阪神がオリックスに快勝で白星発進を決めた日本シリーズについて語った。工藤氏は「(先制点の起点になった佐藤輝明の盗塁に)サインだと思う。サインじゃないと、なかなかスタートは切れない。間違いなく研究をすごくしていたと思う。意表ではなくデータに基づいた盗塁のサインだと思う。バッテリーからすると意表を突かれた形になったので、動揺はあったと思う。(山本は)崩れたではなく、崩されたと思っている。阪神バッターがデータを集めていたと思う」と分析。槙原氏は「山本は前の週にロッテとやったときも打たれている。どうしても後半に球が高くなる。昨日はフォークの精度も悪かった。ほとんど点が取れないピッチャーは変わらないと思うが、阪神が研究してきて、『そんなに打てない投手じゃない』と岡田監督が言っていて、選手が『そうだよな』ということで戦った結果じゃないかと」とコメントした。工藤氏は「昔は1戦目より2戦目が大事と言われていたが、僕が監督をしているときは1戦目を大事にしていたので、2戦目に勝った方が精神的にも圧倒的に優位にたつというのがいえるんではないかと思う」と話した。槙原氏は「山本投手で勝っていたらオリックスは優位になっていたと思うが、阪神村上投手のピッチングは見逃せない。素晴らしかった。次は優勝を決めるゲームで投げると思うが、あのピッチングができたというのがアドバンテージになったと思う」と話した。28日のシリーズ初戦、阪神は阪神近本光司外野手(28)、中野拓夢内野手(27)がそろって3安打猛打賞。難敵右腕・オリックス山本由伸投手に10安打を浴びせて7得点を奪取。先発の村上頌樹投手(25)が7回2安打無失点の圧巻の投球内容でオリックス打線を寄せ付けず。投打がかみ合い、日本シリーズでは敵地で9連敗と苦戦が続いていたが、日本一を決めた85年11月2日の西武球場(現ベルーナドーム)以来、1万3874日ぶりの敵地勝利を飾った。

◆阪神村上頌樹投手(25)が、"歴史的"1勝を挙げた。交流戦で投げ負けた同学年のオリックス山本との投げ合いで、7回無失点と試合を作った。前年まで0勝の投手が日本シリーズ開幕投手を務めたのは、新人と外国人投手を除けば21年ヤクルト奥川恭伸に次ぎ史上2人目。同条件での白星はプロ野球初の快挙。満点投球でチームを勢いづけた。村上は「普通」という言葉を好まない。ブレークした今でこそ、直球が意図せずカット気味に変化する「真っスラ」が代名詞として知られるようになったが、野球を始めた幼少期から「普通じゃない。きれいなストレートを投げなさい」と指導されてきた。今はそれが、唯一無二の武器。だからこそ、使命感がある。「アマチュアの選手は、せっかくの武器を矯正されてしまう。僕はむしろ、いかに『普通からズレるか』が大切だと思うんです。真っスラだって『普通』の軌道じゃないから打ちにくい。僕が活躍して『普通じゃなくていい』っていうことを証明したい」個性を伸ばした先にたどり着いた大舞台での1勝だ。「本当は藤川球児さんみたいな、きれいにホップする真っすぐを投げたかった」と言う顔は、少し照れくさそうで、誇らしげだった。【阪神担当 中野椋】

◆「SMBC日本シリーズ2023」は28日、京セラドームで開幕する。38年ぶりの日本一を狙うセ・リーグ覇者の阪神は27日、会場で前日調整。第1戦の先発を務める阪神・村上はキャッチボールなどで汗を流した。「大事な初戦、そこを任されるので、チームを勢いづけられるように、勝ちを持ってこられるように頑張りたい」。今季は最優秀防御率(1・75)のタイトルを獲得したが、オリックス先発・山本もパの同タイトル獲得者(1・21)。至高のロースコアゲームも予想される中で「先制点が大事。そこをあげないように粘り強く投げたい」と気合をみなぎらせた。

◆プロ野球の「SMBC日本シリーズ2023」は28日に京セラドーム大阪で開幕。2年連続日本一を目指すオリックスと、1985年以来、38年ぶりの頂点を目指す阪神との対決。1964年以来の阪神-南海以来の関西決戦となる。試合前には京セラドーム大阪にある球団直営店「Bs SHOP」では、両チームのコラボグッズなどの販売が開始された。開店前から約400人が並んだことで開店時間が約30分早まり、午前10時30分にオープン。開店と同時に、ファンは両チームのコラボしたタオルやキーホルダーなどの限定グッズの棚へ一目散にかけていった。店内への入場制限がかかるなど59年ぶりの関西対決へ試合前から熱は高まっている。

◆ビジターで戦う阪神が全体練習をスタートさせた。阪神ナインは午後3時30分頃からグラウンド入り。選手らはオリックス選手やコーチにあいさつを行うなどし、時折笑顔をのぞかせるなど、終始和やかなムード。午後3時43分から全体アップをスタートさせた。

◆阪神・佐藤輝明内野手(24)が試合前フリー打撃を行った。森下や中野らと談笑するなど、リラックスした表情で打撃ケージへと向かった大砲は快音を連発する。2スイング目に右中間スタンドへアーチをかけると、フルスイングで何度もスタンドイン。21スイングで8本の柵越えをマークした。27日の全体練習後は「(状態は)120%」と自信。絶好調の佐藤輝が、いよいよ始まる日本シリーズを盛り上げる。

◆日本シリーズに出場できる40人の出場選手登録メンバーに入っているオリックス・杉本裕太郎外野手(32)がグラウンドに姿を現した。オリックスの打撃練習中、スパイクは履かずに、黄色のシューズでグラウンドに登場すると、グラブを片手に左翼の位置へ。味方の放った打球を追った。練習終了間際、入れ替わる阪神との選手と会話をするなど、表情は明るかった。杉本は、21日のクライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージのロッテ戦で左足首を負傷し、途中交代。チームが再始動した23日は姿を見せず、「トキに秘孔を突いてもらっています」と話し、27日の前日練習にも姿を見せていなかった。

◆阪神・西勇輝投手(32)が先発する29日の日本シリーズ第2戦に向けて、キャッチボールやショートダッシュなどで調整した。右腕にとって初となる日本シリーズ登板に向け「ひとつのプレーだったり、1球1球を大切にして、なおかつ自分の中で記憶に残るようにしっかりとプレーできたら」と力を込めた。投げ合うのはオリックスの左腕・宮城が濃厚で「いいピッチャーなので、隙を与えないように。自分のことをするだけ」と気合。古巣との頂上決戦を前に「仲のいい人も多いのですごくワクワクした気持ちがある」と気持ちを高ぶらせた。

◆両チームのスターティングメンバーが発表され、阪神は村上頌樹投手(25)が先発する。オリックス・山本とは今季の交流戦で投げ合い、8回2失点で敗戦投手に。大一番でリベンジを目指す。打線では渡辺諒内野手(28)が「7番・DH」でスタメンに名を連ねた。

◆阪神の先発・村上頌樹投手(25)が快投。一回の立ち上がりを三者凡退で抑えると、二回2死から紅林を自己最速を更新する152キロで空振り三振に斬った。三回も三者凡退に仕留め、打者一巡をパーフェクト。オリックス・山本と白熱の投手戦を繰り広げている。

◆阪神・佐藤輝明内野手(24)が執念の激走だ。五回先頭の第2打席、同世代・山本の152キロを捉え、中前打を放つと、続くノイジーの打席の初球でスタート。ヘッドスライディングで二盗を成功させ、先制の好機を作った。ノイジーは右飛でこの間に三進。そして、渡辺諒の中前打で先制のホームへ。虎の大砲がバットと足と執念で打線を勢いづけ、喉から手が出るほど欲しかった先制点をもたらした。

◆阪神は五回、渡辺諒内野手(28)の適時打で1点を先制した。抜擢された伏兵が均衡を破った。この回先頭の佐藤輝が中前打で出塁すると、続くノイジーの初球で二盗に成功。ノイジーは右飛で1死三塁とすると、渡辺諒は山本が初球に投じた155キロシュートにバットを合わせた。打球は中前にポトリと落ちて佐藤輝が生還。渡辺諒は一塁ベースを回ったところでガッツポーズした。今季6月13日の交流戦では山本の前に3打数無安打だった背番号25が、岡田監督のDH起用に応えて結果を出した。

◆阪神・近本光司外野手(28)が五回、2点三塁打を放った。得点圏の鬼が大一番でも輝いた。この回1点を先制し、なお2死一、二塁で打席へ。山本の156キロ速球を捉えると、打球は右中間を鋭く破った。走者2人が生還し、近本は三塁ベンチに向かって指さしでアピール。両リーグトップの得点圏打率・374のリードオフマンが力を発揮した。続く中野拓夢内野手(27)も左前に適時打を放って五回に一挙4得点とリードを広げた。

◆阪神・木浪聖也内野手(29)が4―0の六回に適時打を放った。山本攻略の勢いが止まらない。大山の四球とノイジーの左前打で2死一、三塁のチャンスを作ると、木浪が4球目の153キロ直球を捉えた。左前に飛ばして三走が生還。クライマックスシリーズファイナルステージでサヨナラ打を含む打率・500の結果を残してMVPに輝いた恐怖の8番が、日本シリーズでも躍動した。

◆阪神・坂本誠志郎捕手(29)が5-0の六回2死一、二塁で左翼線へ適時二塁打を放った。オリックス・山本の134キロスライダーを捉えた。この一打で山本は降板。阪神打線はこの日、7番に入った渡辺諒が先制の中前適時打を放つと、8番・木浪が六回に5点目となる左前適時打、そして9番の坂本が適時二塁打と下位打線で計3打点をマーク。恐怖の下位打線が球界のエースを攻略した。

◆阪神・中野拓夢内野手(27)が六回、適時打を放った。山本ノックアウト後も勢いを緩めなかった。2死満塁で2番手・山田との対戦。低めのスライダーを捉えて左前に飛ばし、三塁走者が生還した。続いて本塁を狙った二塁走者はタッチアウトになったが、この回、3点を加えた。シリーズ開幕前の27日に「お祭り男になりたいなと思っている。チームにいい影響を与えられるように、思い切って楽しんでやりたい」と意気込んでいた男が、五回に続く2打席連続の適時打。宣言通りの大暴れをみせた。

◆オリックス・山本由伸投手(25)は六回途中7失点でKOとなった。二回2死からノイジーの5球目、自己最速の159キロを計測するなど、立ち上がりからアクセルは全開。四回まで0-0と阪神・村上との投手戦を繰り広げた。ところが五回。先頭の佐藤輝の中前打を機に1死三塁から7番・渡辺諒の中前打で先制点を献上。なおも2死一、二塁から近本に2点三塁打、中野に左前打で4失点。六回にも2死一、三塁とされると木浪に左前打、坂本にも左翼線を破る適時二塁打と相手打線を止められず。近本に四球を出し、2死満塁となったところで中嶋監督に交代を告げられた。3年連続で日本シリーズでの初陣のマウンドに上がったが、2021年は7回1失点、昨年も五回途中4失点とつかめなかった白星。3年連続投手4冠の実力を大舞台で示すことはできなかった。「大事な初戦のマウンドを任せていただいた中で、役割を果たせなかったことが悔しいです」とコメントした。

◆阪神・大山悠輔内野手(28)が好守で村上を助けた。七回の先頭で中川圭の打球は一塁側エキサイトシート付近へ。これに大山が反応し、後ろ向きで走りながらスライディングして捕球した。4番のスーパーキャッチに球場の阪神ファンからは大歓声が起こった。

◆阪神・村上頌樹投手(25)が7回2安打無失点と快投した。四回まで打者を一人も出さない完全投球。五回に二塁打と四球などで1死一、二塁と初めてピンチを背負うも、ゴンザレス、若月を打ち取り無失点で乗り切った。六、七回も危なげなく抑えてお役御免となった。投げ合う山本とはレギュラーシーズンの6月13日に甲子園で投げ合い、8回2失点(自責1)の好投を見せるも、黒星(山本は8回無失点で白星)を喫していた。今年2度目となった対決で山本は六回途中7失点で降板。日本シリーズ初戦という大舞台では村上に軍配が上がった。

◆阪神が大勝で日本シリーズ初戦を制した。交流戦では8回無失点と抑えられたオリックス・山本に対し、打線は五回に佐藤輝明外野手(24)が中前打で出塁すると、初球で盗塁を成功。1死三塁として、この日スタメンに抜てきされた渡辺諒内野手(28)が中前へ適時打を放って先制した。その後近本、中野にも適時打が飛び出して4点を先行。六回にも木浪、坂本、中野に適時打が飛び出し、山本から大量7得点を奪った。投げては先発・村上頌樹投手(25)が7回2安打無失点と圧巻の投球を披露。交流戦では敗れた山本に投げ勝ち、岡田監督に日本シリーズ初勝利をプレゼントした。13安打8得点で大事な初戦を先勝し、1985年以来の日本一に向けて踏み出した。

◆阪神が13安打8得点で快勝。チームの日本シリーズ連敗を「4」で止めた。両軍無得点で迎えた五回、山本由伸投手(25)から中前打を放った佐藤輝明内野手(24)の二盗成功を機に、「7番・DH」渡辺諒内野手(28)、近本光司外野手(28)、中野拓夢内野手(27)の3本の適時打で一気に4点を奪った。六回は木浪聖也内野手(29)、坂本誠志郎捕手(29)、中野の適時打で3点を加え、九回は佐藤輝の内野ゴロで8点目を挙げた。村上頌樹投手(25)は7回2安打無失点。チームの日本Sゼロ封勝利は日本一に輝いた1985年の西武との第1戦以来。5戦目にしてシリーズ初勝利の岡田彰布監督(65)の勝利監督インタビューは以下の通り(観衆=3万3701人)。ーーおめでとうございます「ありがとうございます」ーー選手が見事に躍動しました「相当プレッシャーがあったと思いますが、今日は本当に村上はいつも通りのピッチングしてくれたんですけど、打つ方が、今日はすごく奮起したですね」ーー山本から10安打。見事な集中打でした「6月、交流戦で完封されているんで(山本は8回ゼロ封)、みんな、そういう気持ちで今日はね。一回り目はちょっと差し込まれているというか抑えられたというか。二回り目は、みんな工夫して攻略してくれましたね」ーーチームとしての対策は「対策と言うか、ビデオとか見たんですけど、あとはもう打席の中で、個人個人が打っていくしかないと...。個人個人が自分の役割を果たしてくれましたね」ーー五回、ヒットで口火を切った佐藤輝が単独スチール。球場の雰囲気が変わった。あれは監督のサインですか「いやいや、また試合あるんで、ちょっと言えないんですけどね(場内爆笑)。シーズンも走ったりしてましたから、ノーアウトからだったんで、非常にね。まして初球だったんで、勢いつける盗塁だったですね」ーー村上は頼もしいピッチングでした「クライマックスの初戦も村上だったですけど、あの時の方がプレッシャーかかったみたいで、今日はブルペンから、ピッチングコーチからいい報告を受けていたんで、やってくれると信じていました」ーー監督として日本シリーズ初勝利です「ああ、そうですか。まあ前回4連敗しているんでね。でも、久しぶりに、こういう舞台に立てたのは、非常に光栄に思うし、初戦で、こういう勝ち方したんで、明日からゲーム続くんで、この勢いでゲームをやっていきたいと思います」ーー全国の阪神ファンに「今日も京セラドームにたくさんのタイガースファンの人に応援下さって、本当にありがとうございました。明日、もう一試合ありますけど、その後は甲子園に帰れるんで、明日、もう一度、みんな気を引き締めて、明日ゲームしたいと思います。明日も、よろしくお願いします」

◆現役時代は南海、西武に所属し、引退後は西武、ダイエー、阪神の3球団でヘッドコーチを務めたサンケイスポーツ専属評論家・黒田正宏氏(75)は五回無死一塁からの阪神・佐藤輝明内野手(24)の二盗成功が勝利を呼び込んだと分析。岡田彰布監督(65)の思い切った采配を高く評価した。五回の佐藤輝の二盗がこの試合のすべて。無死一塁からノイジーの初球だった。盗塁か、エンドランかは分からないが、佐藤輝のスタートが素晴らしかった。これが単なる二盗ではなく、相手バッテリーを完全に動揺させる効果があった。難攻不落の大エース・山本も「まさか初球から走るとは」と思ったはず。岡田監督の絶妙な采配だ。尾を引いているのは適時打を浴びた渡辺諒への配球でも分かる。前の打席に変化球で三球三振の渡辺諒に対して、初球、真っすぐを打たれた。裏をかいたつもりだったのだろうが、バッテリーはさらに悔いが残ったのではないか。作戦的にも、シーズンと同じように強気の攻めを貫いた岡田采配が光った。四回は先頭の近本が出塁すると、バントで1点を取りにいく野球ではなく、強攻を繰り返した。普段着の野球を貫こうという指揮官に選手が呼応。1、2番が塁に出る、8番・木浪が好打する。まさにシーズン中の野球だった。シリーズは初戦が一番重要。何度もシリーズを経験した私の持論だ。その大事な試合を最高の形で勝利した。2戦目の難敵・宮城を攻略すれば、阪神が一気に頂点に輝くシナリオが見えてくる。

◆阪神が大勝で日本シリーズ初戦を制した。交流戦では8回無失点と抑えられたオリックス・山本から大量7得点を奪った。投げては先発・村上頌樹投手(25)が7回2安打無失点と圧巻の投球を披露。交流戦では敗れた山本に投げ勝ち、岡田監督に日本シリーズ初勝利をプレゼントした。13安打8得点で大事な初戦を先勝し、1985年以来の日本一に向けて踏み出した。チームのデータは以下の通り。?阪神がシリーズ第1戦に勝利。シリーズ初戦に勝った過去70度(引き分けの3度を除く)のうち、日本一が44度。優勝確率は62・9%。敵地での白星発進は2020年のソフトバンク以来3年ぶり31度目。過去30度のうち、日本一が22度。優勝確率は73・3%。?岡田監督はシリーズ5試合目で初勝利(05年はロッテに0勝4敗)。阪神がシリーズで白星を挙げたのは14年第1戦(○6-2ソフトバンク)以来。敵地で白星を挙げたのは1985年第6戦(○9-3西武、西武球場)以来38年ぶりで、2003年第1戦(●4-5ダイエー、福岡ドーム)から続いていた敵地での連敗を9で止めた。?五回にイニング5安打で4得点。1イニング5安打以上は20年第2戦のソフトバンク(七回に5安打)以来3年ぶりで、阪神はシリーズ37試合目で初。阪神の1試合8得点以上は1985年第6戦(9点)以来38年ぶり2度目。

◆阪神が大勝で日本シリーズ初戦を制した。交流戦では8回無失点と抑えられたオリックス・山本から大量7得点を奪った。投げては先発・村上頌樹投手(25)が7回2安打無失点と圧巻の投球を披露。交流戦では敗れた山本に投げ勝ち、岡田監督に日本シリーズ初勝利をプレゼントした。13安打8得点で大事な初戦を先勝し、1985年以来の日本一に向けて踏み出した。投手陣のデータは以下の通り。?シリーズでの無失点勝利は昨年第6戦のオリックス(○3-0ヤクルト、山崎福-宇田川-平野佳-山崎颯-ワゲスパックの継投)以来。第1戦では2013年の巨人(○2-0楽天、内海-マシソン-山口-西村の継投)以来10年ぶり。?阪神の無失点勝利は1962年第2戦(○5-0東映、村山実の完封)、85年第1戦(○3-0西武、池田親興の完封)に次いで38年ぶり3度目で、継投は初。?シリーズ初先発の村上が7回2安打無失点で勝利投手。シリーズで先発投手が7回以上を投げて被安打2以下の無失点に抑えて白星を挙げたのは、2017年第4戦のDeNA・浜口遥大(7回?、被安打2)以来6年ぶり。阪神では1962年第2戦の村山(9回完封、被安打2)以来61年ぶり2人目。

◆阪神が13安打8得点で快勝。チームの日本シリーズ連敗を「4」で止めた。両軍無得点で迎えた五回、山本由伸投手(25)から中前打を放った佐藤輝明内野手(24)の二盗成功を機に、「7番・DH」渡辺諒内野手(28)、近本光司外野手(28)、中野拓夢内野手(27)の3本の適時打で一気に4点を奪った。六回は木浪聖也内野手(29)、坂本誠志郎捕手(29)、中野の適時打で3点を加え、九回は佐藤輝の内野ゴロで8点目を挙げた。村上頌樹投手(25)は7回2安打無失点。チームの日本Sゼロ封勝利は日本一に輝いた1985年の西武との第1戦以来。5戦目にしてシリーズ初勝利の岡田彰布監督(65)の主な一問一答は以下の通り(観衆=3万3701人)。ーー村上は立ち上がりから良かった「今日の報告も良かったからな。ブルペンから。クライマックスの時は、めちゃくちゃ緊張してるゆうてたけど、今日はいつも通りに、ブルペンでも投げてたみたい」ーー球速を見ると一回から飛ばした印象「いや、ここはスピード出るやろ? ここは。球場によって数字違うから。それは。ここは出るよ。そんなの」ーー7番に渡辺諒を起用した意図は「最初から、昨日の段階で決めとったから」ーー山本との相性?「由伸にそれほどよくない。いや打つと思ったから。バッティングが昨日良かったからな。変化球もな」ーーハマった「誰か入れなあかんからな。明日もう(DHが)1回あるけど、左みたいやから、宮城か。今の段階では誰かわかんけどな」ーー佐藤輝の盗塁は球種を絞ってサインを出した「読むっていうか、中野がその前にアウトになっているから(一回の二盗失敗)、アレで来ないと思うやんか。アレは初球から行けるからな。思い切りがいいからな佐藤は。走塁ていうか、盗塁に関してな、ホンマに初球から行きよったと思たけどな」ーー中野の盗塁はエンドランか「違う違う。盗塁盗塁」ーー怒っていた「(三振を喫した森下が)振らんからや」ーー見逃したことに「おーん」

◆阪神が13安打8得点で快勝。チームの日本シリーズ連敗を「4」で止めた。両軍無得点で迎えた五回、山本由伸投手(25)から中前打を放った佐藤輝明内野手(24)の二盗成功を機に、「7番・DH」渡辺諒内野手(28)、近本光司外野手(28)、中野拓夢内野手(27)の3本の適時打で一気に4点を奪って主導権を握った。試合後、佐藤輝はヘッドスライディングでの成功に「そうですね。頭から行こうとは思ってました」とコメント。「走る、成功すると思って走りました」と振り返っていた。

◆阪神が13安打8得点で快勝。チームの日本シリーズ連敗を「4」で止めた。両軍無得点で迎えた五回、山本由伸投手(25)から中前打を放った佐藤輝明内野手(24)の二盗成功を起点に訪れた1死三塁の先制機に「7番・DH」に入った渡辺諒内野手(28)が先制の中前打。「初球から思い切って。詰まりましたけど、いいところに落ちてくれたんで、良かったかなと思います」とコメント。「(スタメンは)今日のミーティングの時に言われて、少し緊張しましたけど、スムーズに入れたかなと思いますし、そこは良かったかなと思います」と話した。

◆勢いづく猛虎軍団を横目に、背番号「18」は肩を落とすしかなかった。誰もが予期しなかった出来事。エースですら日本シリーズには勝てないのか-。オリックスのエース山本は六回途中7失点でまさかのKOとなり、責任をかぶった。「大事な初戦のマウンドを任せていただいた中で、役割を果たせなかったことが悔しいです」二回には自己最速タイとなる159キロを計測するなど、交流戦で投げ勝った阪神・村上と四回まで白熱の投手戦を繰り広げた。ところが、五回。先頭の佐藤輝に中前打を許してから次々と打ち込まれて4失点。六回にも3失点と悪い流れを止められなかった。2死二、三塁で近本に四球で満塁となったところで中嶋監督が直接マウンドへ行き、交代が告げられた。昨年の5月3日のソフトバンク戦(ペイペイドーム)以来となる悪夢の自己ワーストタイの7失点。乱れた歯車は最後までかみ合わなかった。3年連続で投手4冠を達成した右腕だが、日本シリーズでは勝てない。一昨年は2試合登板も白星ならず。昨年は第1戦で左脇腹をつるアクシデントに見舞われ、五回途中4失点で黒星。4度目の登板では炎上し、中嶋監督は「カーブが入らず、苦しくなったのかな。一年間の最後ですから、いろんなところで疲れもある。打たれることもある」と山本をかばった。18日のロッテとのクライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージ初戦でも7回5失点。ここ3シーズンは、3失点以上を2試合続けた例はなかった。「もう1試合あるかもしれない。準備したい」と懸命に前を向いた山本。リベンジの機会を信じて、気持ちを切り替えるしかない。(北池良輔)

◆最高峰の舞台で、また木浪スマイルが輝いた。難攻不落の山本から2安打1打点で、ポストシーズン男にふさわしい活躍を披露した。「あまり甘いボールはない中で、1球で仕留めるところをすごく意識して入りました。みんながつないでいった結果が、今日のゲームになったと思う」4―0の六回に見せ場を作った。2死一、三塁で山本の153キロ直球を捉え、左前に流し打ち。三走の生還を見届け、一塁ベース上で笑顔がはじけた。CSファイナルステージでは、第2戦のサヨナラ打を含む打率・500(10打数5安打)の活躍でMVPを獲得。五回にも2本の適時打を呼び込むつなぎの右前打を放っており、マルチ安打でポストシーズン打率・500をキープする。最後は気持ち―。大一番を前に、指揮官と木浪の考えが重なった。開幕前日の27日、岡田監督は「普通」を捨て「チャンスになったら気持ちも高ぶるだろうし、そこでどんな形でも結果出すことやろ。そういう奴がシリーズ男みたいになるんちゃう」と語った。CSの大活躍から「リセット」を強調した木浪も、同じ思考で短期決戦に入っていた。「気持ちがしっかり準備できているのと、そこでしっかり打つという気持ち。気持ちが大事かなと思いますね」。将のもとで今季不動の遊撃手となり、勝負の勘どころを〝シンクロ〟させて爆発。日本一を決める舞台にも動じない精神力が恐怖の8番を突き動かした。「初戦が一番大事だと思っていたので。お互いいいピッチャーでどういう展開になるかという中で、打てたというのが良かったです」価値ある1勝に確かな手応えをにじませた。残り3つの白星も、木浪が気持ちで手繰り寄せる。(邨田直人)

◆セ界最強の1、2番が、難敵・山本由伸を撃ち砕く。止まらない連続パンチが猛虎打線の強さだ。快音響かせ、さっそうと三塁に到達した1番・近本が胸を張った。「一本出たのもそうですけど、チームが勝てたのが一番良かった。それだけです」1点を先制して迎えた五回2死一、二塁。直前の犠打失敗で球場に広がった虎党のため息を、近本がひと振りでかき消した。山本の156キロ直球を一閃。右中間を深々と破る2点三塁打に歓喜の渦が巻き起こった。波状攻撃は終わらない。なおも2死三塁。今度は2番・中野が山本の142キロフォークを捉える。左前に運ぶ技あり打でこの回一挙4得点。オリックスの絶対的エースを1、2番が中心となって攻略だ。セ・リーグ覇者として迎えたクライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージ。3連勝で日本シリーズ進出を決めたチームの影で、岡田監督からキーマンに挙げられていた近本は11打数1安打と苦しんだ。中野も同じく11打数1安打と不調。38年ぶりの頂に立つためには、この2人の復調が鍵であることは間違いなかった。

◆プロ野球の日本一を決める「SMBC日本シリーズ2023」は28日、京セラドームで開幕し、38年ぶり2度目の頂点を目指す阪神が、2年連続6度目の制覇を狙うオリックスに8―0で快勝。五回に佐藤輝明内野手(24)が中前打と意表を突く初球盗塁で口火を切り、3年連続パ・リーグ投手4冠の山本から7点を奪ってKOした。岡田彰布監督(65)の采配も的中し、1985年以来の日本一に向けて好発進だ。打って、走って、佐藤輝が躍動した。抱きかかえるようにもぎ取った二塁ベースが、喉から手が出るほど欲しかった先制点を呼び込む。相手の意表を突く盗塁が起点となった大きな一勝。土まみれになった虎の大砲は誇らしげだった。「成功すると思って走りました。(二塁には)もう頭からいこうと思っていました」0-0の五回先頭。パ投手4冠を誇る山本の152キロ直球を捉え、日本シリーズ初安打となる中前打を放った。ただ、この日の見せ場はここからだ。続くノイジーの初球でスタートを切る。頭から滑り込んで二盗を決めると、ノイジーの右飛で三進。「7番・DH」で先発した渡辺諒の中前適時打でホームを駆け抜けた。この回、5安打を集めて一挙4得点。レギュラーシーズン7盗塁の佐藤輝が、同学年の難敵を足で揺さぶって攻略につなげた。タクトを振るった岡田監督はしてやったりだ。初回1死一塁。一走・中野が二盗を刺され、打席の森下は見逃し三振でチャンスがついえた。だが、それを布石にした。サインか?と問われた指揮官は「まだ試合あるんでちょっと言えないですけどね」とかわしつつも「中野がその前にアウトになっているからあれで(盗塁は)こないと思うやんか」とニヤリ。「思い切りがいいからな、盗塁に関してな。勢いつける盗塁だった」と、佐藤輝をたたえた。

◆熱戦の幕開けを、その右腕で華々しく飾った。これがセ界を圧倒した、虎が誇る村上だ。許した安打はわずかに2本。ジャスト100球で7つのゼロを並べ、同学年のオリックス・山本には4カ月ぶりの直接対決でリベンジ成功。堂々たる投球で快勝発進に導いた。「(山本には)交流戦で投げ合って負けていたので、リベンジをしたいと思って(マウンドに)上がりました。いい緊張感が力に変わったのでよかった」クライマックスシリーズ(CS)で高鳴っていた鼓動は思いのほか、落ち着いていた。プレーボールから真っ向勝負で挑み、二回2死では自己最速を1キロ更新する152キロで紅林を空振り三振。四回までパーフェクト投球だった。その後も上から目線の投球で三塁すら踏ませず圧倒し、6月13日(甲子園)の交流戦では8回4安打2失点(自責1)で投げ負けた山本に、一歩も引かないどころかペースを握り、大舞台で借りを返した。岡田監督も「きょうはブルペンから、投手コーチにすごくいい報告を受けてたんで。やってくれると信じてました」とチルドレンの好投に笑顔だった。交流戦は日本を代表するエースの投球を間近で見つめた貴重な機会だった。山本がピンチでギアチェンジし、いとも簡単に抑えていく姿を見て「圧倒されたという感覚がある。自分はまだまだ実力が足りないなと思いました」と痛感。何よりもマウンドに立つだけで軍配が上がっているかのような雰囲気には驚いた。あの一戦を通して抱いた「『村上がマウンドに立つから今日は勝てる』という雰囲気を出せるような投手になりたい」との思い。いまや虎党はその信頼を置いている。そんな期待に応えた価値ある先勝だ。「まず初戦を取りましたけど、厳しい戦いが続くと思うので、またファンのみなさんの力を貸してください!!」スタンドのファンとともに戦い、38年ぶりの頂点をつかむ。村上が作り出した道を、虎は歩む。(須藤佳裕)

◆大山は2打数無安打も3四球で存在感を示した。九回1死一、三塁ではしぶとく四球を選び、とどめの8点目につなげた。「チームが勝ったことが一番です。明日もしっかり頑張ります」。試合後は言葉少なだったが、一塁の守備ではハッスルプレーで勢いづけた。七回、中川圭の一塁ファウルゾーンへの飛球を背走しながら追い、フェンス際で滑るようにしながら好捕した。

◆森下は5打数1安打。三振、併殺打、三振、三振とタイミングが合っていなかったが、九回に阿部のフォークに食らいついて中前へ。「1本出てチームも勝ったので次につながる」と前を向いた。特に見逃し三振に倒れた第1打席は一走・中野が走っていた(盗塁失敗)だけに岡田監督からベンチで激怒された。「3打席目で代えたろうか思った。また泣いたらあかんからきょうは辛抱したよ、初戦やから」と指揮官は〝泣き虫新人〟!?をイジりながら「ボールばっかり振ってるヤツも最後、一本出たしな」と第2戦以降に期待した。

◆6月のオリ姫デーやCS突破時など、節目に合わせてグッズを展開しているオリックス。本拠地で日本シリーズが開幕したこの日、球団直営店「Bs SHOP」ではシリーズ公式グッズなど新たに113種類の商品が販売された。開店前に約400人の行列ができたため、開店時間を午前10時30分と30分間、前倒し。先頭の女性ファンは、午前6時から並び始める熱の入れようだった。来店客は開店と同時に、両チームの限定コラボグッズの棚を目掛けて一目散。入場制限がかかるほどの熱狂ぶりで、オリックスファンのみならず、阪神のユニホームを来たファンも商品を買い求めた。(良)

◆これぞ今年の野球の集大成。阪神は、他のチームとは違いますぜ、といわんばかりだったね。実は事前にYouTubeで、パ投手4冠の山本といえども、こういう結果になるかも...と、ささやいておいた。理由は、日頃戦ってきた相手との差だ。リーグ全体で3割打者は、オリックス・頓宮とソフトバンク・近藤の2人だけ。低調なパの打者には、そうそう打たれない。こと阪神打線となると、そうはいかない、ということだ。特に五回、中野に喫したタイムリーはガックリきたはず。外角低めのフォークボール。それも落ち切ったところを、しっかり引き付けられて、左前に運ばれた。その後は明らかに、ただ投げるだけの状態になっていた。要するに、各打者の質の高さを認識するのが遅い。ハードルを1段も2段も上げて、臨むべき相手だったね。それにしても阪神打線は、シーズンそのままの好調さ。いつも言うように、肝は1番近本、2番中野、4番大山、8番木浪。そのうち1、2、8番で、山本に計7安打も浴びせれば、勝つのは必定。4番が打たなくても済む試合になるとは、さすがに思わなかったね。(サンケイスポーツ専属評論家)

◆JR環状線の大正駅を降りて改札を出たら、紙のボードを持った若者が立っていた。「きょうのチケットを譲ってください!」どうしても見たいんだろうなぁ。59年ぶりに実現した関西ダービー。第7戦まで、一瞬で売り切れたチケットは、まさに「プラチナ」。法外な金額で買ったらアカンで...と心の中でつぶやきながら京セラドームへ。球場の周辺ではテレビ局があちこちで両チームのファンをインタビューしている。夕方のテレビに映るんだろうか。プレスルームも、記者席も、報道陣でごった返していた。30年以上前から日本シリーズの取材をしてきたが、過去のシリーズと大きく違うのは、90%以上が顔見知り、というか、関西の記者だということ。関西のチーム同士だから、担当記者も関西在住ばかり。当たり前の話だが、改めて「関西決戦」を実感。あと、感じたのは在京キー局の女子アナを見かけなかったことぐらいか。「ゲスト解説に元メジャーの黒田博樹さん(元広島)や、現役メジャーの吉田正尚選手(レッドソックス)がいて、雰囲気はすごいですねぇ」日本シリーズ取材は初めてというトラ番・織原祥平が感嘆の声をあげていた。「ことしは3月にWBCの取材をしてフロリダで世界一を目撃しました。阪神のリーグ優勝を見て、最後に阪神の日本一で締めくくれたら最高ですね」野球記者なら誰もがうらやむ夢を語っていた織原の隣の席にいたのは、織原の同期入社でもあるトラ番・邨田直人。「ボクも昨年の12月にサッカーW杯で日本代表の快進撃や決勝を間近で見て、ことしトラ番1年目で阪神の優勝を体感できました。しかも、関西人のボクにとっても夢のようなオリックスとの関西決戦。いきなり、こんなモノを見せてもらったら、あとは何があるんでしょうか」

◆万歳!! 万歳!! 万歳!! われらが阪神タイガース、日本選手権シリーズの開幕試合で、日本一を決定させてもらいましたー!!まだ1勝? 気が早い? アホかあ!? オリックス先発の山本由伸って言ったら、3年連続4冠の超超超日本一の投手やろー!! その山本を5回?、10安打7得点と大撃沈させた猛虎打線!! 2戦目以降、山本以上の投手なんていないんだから、もう日本一は決定ということで...。お疲れさまでした。さて、その日本一決定の決め手...。それはやっぱり岡田采配やー!! 0-0の五回、ヒットで出た佐藤輝が初球で盗塁成功!! 一回に森下の打席で中野を走らせ、三振ゲッツーだったのに、勇気ある采配や!! ムフフ...。あれ、岡田はんのサインとちゃうよね。虎の先発村上は、立ち上がりにボールの切れはないわ、高めにいくわ、ひどかった~!! だけど、それを修正した村神様、いや坂本の神リードの恐ろしさ。その打者のアウトを考えると同時に、シリーズ全体で誰を殺せばいいか? 例えば、インコース好きの森にあえて厳しいインコース攻めをやってたのだ!! 日本一、いただきましたァ!!

◆「1番・左翼」でスタメン起用された池田だったが、4打数無安打に終わった。試合前の練習後に先発出場を言われ、「緊張はありました」。今季1軍で12試合の出場だったが、ウエスタンでは首位打者と最高出塁率のタイトルを獲得し、メキメキ実力をつけてきた。「やってきたことを信じてやるだけ」と前を向いた。

◆左手首の違和感を訴えていた紅林が「6番・遊撃」でフル出場。2打数無安打だったが、「問題なくできています」と胸をなでおろした。CSファイナルステージでも勝負強い打撃を見せ、2年連続の日本一には欠かせない戦力。大敗にも「いい意味で切り替えられると思う」と話した。

◆右足甲の骨折で日本シリーズ出場は微妙かと思われていた頓宮が、「5番・DH」でスタメンに名を連ねた。だが、結果は3打数ノーヒット。3打席目の左飛は良い感じの打球に思えたが「まあ、アウトはアウトです」。回復具合が気になるところだが、「(試合に)出たからには痛いとかないんで」と、次戦以降の巻き返しを誓った。

◆プロ10年目で初の日本シリーズ出場を果たした森だったが、初戦はまさかの大敗。「(村上は)変化球が多彩で丁寧というイメージでしたが、きょうは真っすぐがきていたかな」。五回には天井のスーパーリングに乗って打球が落ちてこない認定二塁打。これがチーム初安打だったが、点には結びつかず。「やる前から、楽しくやろうとは決めていました。結果は残念ですが、明日に向けて切り替えます」と暗さはなかった。

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