阪神(☆2対1★)広島 =クライマックスシリーズ2回戦(2023.10.19)・阪神甲子園球場=
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広島
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阪神
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勝利投手:岩崎 優(1勝0敗1S)
敗戦投手:栗林 良吏(0勝1敗0S)
  DAZN
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◆阪神が日本シリーズ進出に王手をかけた。阪神は1点を追う2回裏、ノイジーの安打に相手失策が絡み同点とする。そのまま迎えた9回には、2死満塁から木浪が適時打を放ち、サヨナラ勝利を収めた。投げては、先発・伊藤将が7回1失点の好投。敗れた広島は、打線が中盤以降の好機を生かせなかった。

◆前日18日に6回1失点で勝利に導いた村上頌樹投手(25)が、岡田監督とのやりとりを明かした。この日の練習後に取材対応。前夜の試合後、最初は「ナイスピッチ」と褒められたが、「ナイスピッチじゃないな、ナイスバッティングやな。(ピッチングは)あんまりやったな」と打撃を称賛されたという。村上は同点の5回に勝ち越しの適時二塁打。代打を送らず続投させてくれた指揮官の采配に応える一打で勝利に導いていた。この日の練習ではバント練習に時間を割き「苦手なんでやっとかないと」と力を込めた。

◆CS連勝を目指す阪神のスタメンが発表された。前日18日の第1戦では4-1の逆転勝利。野手陣はメンバーの変更なく、ベストメンバーで臨む。先発は伊藤将司投手(27)。今季の対広島戦は2勝0敗、防御率1・17と得意にしてきた相手だ。前夜、投打の活躍を見せた村上に続く。現在、1位チームに与えられるアドバンテージと合わせて2勝。勢いそのままにCS突破王手を決める。対して広島は堂林、上本、末包らを先発で起用。右打者を多く並べたオーダーで連敗阻止を狙う。

◆/技ありのレフト前\CSで3試合連続ヒット好調な小園海斗が先制タイムリー?プロ野球クライマックスシリーズ(2023/10/19)??阪神×広島??Live on DAZN#DAZNプロ野球#carp pic.twitter.com/Zfz76VxZrQ

◆広島が先制した。阪神先発伊藤将に対し、1回、菊池涼介内野手(33)が左翼線を破る二塁打でチャンスメーク。野間の二ゴロで三塁へ進むと、小園海斗内野手(23)が外角の球を左前へうまく運び、菊池をホームへ迎え入れた。小園は「粘り強く食らいついていきました。初回に良い先制点を取ることが出来てよかったです」とコメントした。

◆阪神シェルドン・ノイジー外野手(28)の右前打が広島の痛恨失策を誘い、ラッキーな形で同点に追いついた。1点ビハインドの2回1死から佐藤輝が右前打。1死一塁、ノイジーが広島先発大瀬良の145キロ直球をライナーで右前に運ぶと、右翼手の末包がまさかの後逸。一走佐藤輝が本塁に生還した。記録は安打と右翼手の失策。打点がつかなかったが、先発伊藤将司投手(27)をバットで援護した。

◆広島が痛恨の失策で同点に追いつかれた。初回に1点を先制したが、2回1死一塁から、阪神の6番ノイジーの右前への強い打球を、右翼でスタメン起用された末包昇大外野手(27)が捕球できなかった。打球がフェンスへ転々とする間に、一塁走者の佐藤輝がホームイン。あっという間に同点となった。試合前には「昨日は(阪神の東洋大の)後輩村上と(大阪ガスの)先輩近本さんが活躍されたので、今日は僕が活躍できれば」と話していたが、思わぬ形で目立つことになってしまった。

◆虎党でレゲエグループ「湘南乃風」メンバーの若旦那こと新羅慎二(47)が始球式に登場した。阪神をモチーフにしたワッペンでアレンジした全身黒のつなぎで登板。「球団OBの小林繁さんを意識した」という横手投げでノーバウンド投球を決めた。「今日も勝ちたいんで」と場内の虎党に、恒例となった原口が試合前円陣で発する合言葉「バモス」と呼びかけた。憧れの聖地に踏み入れ「阪神園芸さんの大事にしている土をぎゅっと踏むわけにはいかない」と丁寧な足取りでグラウンドを後にした。

◆阪神勝ち越しのチャンスながら、甲子園に大きな嘆きが発生した。2回、同点の2死三塁だ。8番木浪の打順を迎えたところで、広島バッテリーは申告敬遠を選択。9番伊藤将との勝負を選んだ。1点ビハインドを追いついた直後の得点機。一気に勝ち越しムードも高まっていた中、虎党からは「え~!?」と声が響いた。その後、伊藤将が2球で2ボールを選ぶと、球場からは大歓声もわいた。前日18日の第1戦では、先発村上が決勝打。2戦連続の投手による打点も期待されたが、最後は空振り三振に倒れた。

◆阪神森下翔太外野手(23)が初球を捉えた大飛球を放ったが、ひと伸び足りず左飛に終わった。同点の3回2死。大瀬良の142キロの速球を初球から振り抜いた。角度のついた伸びる打球に、スタンドの虎党も大絶叫。しかし、あと1歩のフェンス際で捕球され、3アウトとなった。森下は前日18日の第1戦でも、4回に1点差を追いつく同点弾を放っている。

◆福笹の次はバモス! 阪神の4回攻撃前にファンがバモスポスターを掲げ、球場の虎党が一体となった。19、20日は観客に黄色の「応援メッセージポスター」を配布。原口が円陣で発する合言葉「バモス」をモチーフとして、「ファイナルステージ駆け上がれ! VAMOS!!」と印刷されている。球場全体は黄色一色。ファンも「バモス!」と声をあげて声援を送った。前日18日の同戦では黄色の福笹を観客に配って応援。4回の攻撃前に福笹を揺らし、応援した直後に森下が同点弾を放つなど、限定配布物の応援が効果絶大だった。

◆阪神がこの日2度目の申告敬遠で、勝ち越し機を封じられた。1-1で同点の5回2死二塁。今季得点圏打率3割7分4厘でリーグトップの近本に打席が回ったが、広島バッテリーは申告敬遠を選択。虎党からの嘆きが甲子園に響いた。直後、2番中野は空振り三振で凡退。勝ち越し点は奪えなかった。2回にも申告敬遠で8番木浪との勝負を避けられ、無得点。再三の得点機を策で封じられ、ファンからはため息がもれていた。

◆阪神伊藤将司投手(27)が7回5安打1失点と好投した。今季レギュラーシーズン2戦2勝と得意とする広島戦。初回は先頭の菊池に左翼線二塁打を浴び、1死三塁から小園に先制の左前適時打を献上した。それでもその後は崩れず、ゴロアウトを量産した。1-1の6回では2死一、二塁のピンチを背負うも、西川をカットボールで遊直に打ち取った。7回も先頭打者を許しながら、続く末包の痛烈な投直に反応して好捕。一塁走者の上本も封殺し、併殺プレーで難を逃れた。同点の状況で降板。勝ち負けはつかなかったが、今季10勝の実力を存分に発揮した。

◆新助っ人の阪神コルテン・ブルワー投手(30)がピンチの場面で見事な火消しを披露した。8回2死から石井に代わって島本が登板したが、2連打を浴びて2死一、二塁。ここで助っ人右腕が登場した。広島も代打松山で勝負に出たが、153キロ直球で空振り三振。右腕はガッツポーズを決め、指揮官の起用に応えた。CSデビュー戦で重大な局面で託された助っ人が、完璧な甲子園を盛り上げた。

◆阪神がCSでは球団初となるサヨナラ勝ちで2連勝を飾り、アドバンテージ1勝を含む3勝で日本シリーズ進出へ王手をかけた。過去のプレーオフとCSで無傷で王手をかけた22チームは、すべて日本シリーズに出場しているだけに、進出する確率は100%だ。1-1の同点の9回、1死から4番大山が今CS初ヒットとなる右中間への二塁打でチャンスメーク。2死からノイジーが申告敬遠で出塁し、一、二塁から坂本が四球を選び満塁。8番木浪が追い込まれてからファウルで粘り、広島栗林から右前打を放って劇的なサヨナラ勝利を決めた。先発した伊藤将司投手(27)は、本調子ではない中で踏ん張った。初回先頭の菊池に左翼線への二塁打を許し、1死三塁から小園の左前適時打で先制を許した。2、3回も先頭打者の出塁を許したが無失点。4、5回は3人ずつで片付けた。6、7回も先頭打者にヒットで出塁を許したが、無失点で切り抜けた。勝ち負けつかずも、7回5安打1失点で試合をつくった。セ界王者が接戦をものにした。阪神がアドバンテージの1勝を含め3勝0敗。無傷で王手をかけ、20日に○か△で日本シリーズ進出が決まる。シリーズ出場をかけたプレーオフ、CSで、先に王手をかけたチームは昨年まで42チームのうち39チームが進出。77年ロッテ、10年ソフトバンク、12年中日以外は全て勝ち上がり、突破確率93%。無傷の王手(81年日本ハムの○△○を含む)は、22チーム全て突破している。阪神がシリーズ進出なら14年以来9年ぶりとなる。

◆広島がサヨナラ負けを喫し、CS敗退の瀬戸際に追い込まれた。先発大瀬良大地投手(32)は、立ち上がりからフルパワーで力投。1回、阪神の3番森下を150キロの速球で空振り三振に取りほえた。3回には森下に左翼フェンスギリギリの大飛球を打たれた瞬間、マウンドでしゃがみ込んだ。5回2死一、二塁のピンチに中野を三振に打ち取ると拳を力強く握った。2回に味方失策で1点を失ったが、感情をあらわにする熱投ぶりで、7回5安打1失点(自責0)と先発の仕事を果たした。打線は1回に小園海斗内野手(23)の適時打で先制したが、その後は阪神投手陣を攻略できなかった。

◆/恐怖の8番はCSでも健在\木浪聖也がサヨナラタイムリー阪神が日本シリーズへ王手?プロ野球クライマックスシリーズ(2023/10/19)??阪神×広島??Live on DAZN#DAZNプロ野球#hanshin pic.twitter.com/ZnmMoodyNK

◆/恐怖の8番はCSでも健在\木浪聖也がサヨナラタイムリー阪神が日本シリーズへ王手?プロ野球クライマックスシリーズ(2023/10/19)??阪神×広島??Live on DAZN#DAZNプロ野球#hanshin pic.twitter.com/ZnmMoodyNK

◆阪神がCSでは球団初となるサヨナラ勝ちで2連勝を飾り、アドバンテージ1勝を含む3勝で日本シリーズ進出へ王手をかけた。阪神岡田監督が日本シリーズ進出へ王手。同監督のポストシーズン(PS)は05年日本シリーズ、07、08年のCS1Sに次いで4度目。08年に中日とのCS1Sで1勝1敗に追いつく逆王手はあったが、無傷で王手をかけたのは初めて。アドバンテージの1勝を除くと、PSでの連勝も初めてとなった。

◆広島栗林良吏投手7(27)は9回、阪神木浪聖也内野手にサヨナラ打を浴びた。「最後の1球(フォーク)も低め狙って投げた球が高めにいってしまいました。坂本さんの四球じゃなくて木浪さんをアウト取れれば別になんともなかった。自分が投げたいところに投げられなかった」

◆広島は阪神にサヨナラ負けし、連敗となった。リーグ王者の阪神に1勝のアドバンテージがあり、20日の第3戦で引き分けでも敗退となる。ガケっぷちからの巻き返しを誓った新井貴浩監督(46)の一問一答は次の通り。-サヨナラ負けの結果に新井監督 しょうがない。-木浪の前の坂本への四球が響いた新井監督 まあまあ。最後の9回は栗林でそういうときもある。うちはもう納得です。-先発の大瀬良は気持ちが入った投球だった新井監督 ねえ。これが大瀬良大地だっていうね、ピッチングを見せてくれたと思います。本当に素晴らしいピッチングだったと思います。-打線が応えられなかった新井監督 結果的に1点かな。でもヒットは出ているし、今日はいい当たりをしても捉えた当たりをしても、それが正面に行ったというのがすごく多かった。これは勝負の運。そういうところだと思う。みんな捉えていたと思うし、何回もね。(西川)龍馬にしてもスエ(末包)にしてもドウ(堂林)にしても野間にしても、捉えたのが正面を突いたと。今日はそういう日だったと思います。-(2回の)失点の場面は打球の反応が難しかった新井監督 あれは何とかランナーを三塁に行かせたくないという、そのスエの気持ちは買います。ですけど、よく大地があそこを抑えたと思いますよ。味方のミスをカバーする素晴らしいピッチングだったと思います。-末包は7回無死一塁でバントもなく代打もなくいかせた新井監督 もちろん。行ってこいという。そういうことです。-送る選択は新井監督 考えなかった。スエに行ってこい。それだけ。-末包がベンチに戻るとき監督の横にいた新井監督 スエの横にいました。そこはちょっと意識してなかったです。-短期決戦は1つのミスが新井監督 そうやね。それも含めてだと思う。今日はみんな結果的に最後ああいう形になったけど、みんなよくやったと思いますよ、はい。-残り試合を全勝新井監督 まずは明日。全勝というより、明日ね、もう後がないわけですからね。楽しみじゃないですか。逆にどういう姿でプレーをしてくれるのか。もう負けたら終わりなので逆に楽しみです。

◆阪神守護神の岩崎優投手が1回ピシャリで劇的サヨナラ勝利を呼び込んだ。1-1の9回に登場。先頭西川を外角スライダーで見逃し三振に斬ると、上本は右翼線への飛球に打ち取り、二塁手中野が好捕。最後は末包を外角低めのチェンジアップで空振り三振に仕留めた。攻撃に流れをもたらし、木浪のサヨナラ打でCS初白星をゲット。お立ち台では「本当にナイスゲームだと思います。いつも通り、抑えたくてうずうずしてました」と岩貞の決まり文句を引用して場内を沸かせた。先発伊藤将の後を受けた石井、島本、ブルワーが無失点でバトンをつなぎ、前夜に続いてブルペン陣で無失点リレーを決めた。「みんながいい仕事をしてくれたので、そこに自分もいい流れで入っていくことができた」。日本シリーズ進出へ王手をかけ、最後は早口で「明日も勝つばい」とサラリ。左尺骨骨折で離脱している同学年梅野の決めゼリフで、お立ち台の最後を締めくくった。▽阪神石井(8回から2番手で登板して打者2人を打ち取る)「昨日より落ち着いて入ることができた。(連投は)短期決戦なので関係ない。登板があれば自分の仕事をしたい」

◆広島大瀬良大地投手が7回1失点と熱投した。1回から3番森下を150キロ速球で空振り三振に仕留めるなどエンジン全開。2回に味方の適時失策で1点を失ったが、その後も阪神打線を封じ込めた。5回2死一、二塁では2番中野から空振り三振を奪ってガッツポーズ。「行けるところまでと、出し惜しみせずしっかり投げました」。CS敗退の危機にも「また明日勝てるように。その気持ちだけで朝、元気に試合に向けて球場に来たい」と前を向いた。

◆広島末包昇大外野手(27)が、右翼守備のミスを悔やんだ。1点リードで迎えた2回1死一塁で、阪神ノイジーの打球を捕りきれず同点打にしてしまった。なおも2死一、三塁とピンチは続いたが、先発の大瀬良が粘って追加点を許さず。大瀬良は三塁側ベンチに戻りながらも右翼の守備位置から末包が戻ってくるのを待ち受け、ポンと腰をたたいた。エースの"激励"に打撃で報いようとしたが、4打数無安打。7回無死一塁では痛烈なライナーを放ったが、阪神伊藤将の好守に阻まれて投直に。一塁走者も飛び出しており、併殺に終わった。試合後の末包は「今日は完全に僕のせいなので。打った打たないじゃなくて、短期決戦でミスを出した。それが結局負けにつながったと思う。(大瀬良)大地さんとか、投手陣が粘ってたにも関わらず、大きいミスをした。結局それが最後の展開にしてしまった」と自分を責めた。「やっぱり右バッターのスライスする打球に対して、一塁ランナーを気にしてしまって追い方を間違った。滑るような状況もあったのに頭に入れられてなかった」と悔やんだ。

◆阪神岡田彰布監督(65)は、サヨナラの好機をつくた9回も冷静だった。2死満塁で木浪聖也内野手(29)が打席に向かっても「いやまあ、打つ打たんとかは考えてないよ」。頭では次を見据えていた。「だって次ね、桐敷いくしか。そんなん一喜一憂しとったらもたんから。もう10回表しか考えてなかった」と延長戦の投手起用について思考をめぐらせていたことを明かした。「ノイジーのところに入れて(桐敷を)2イニングいかそかなとか。そんなことしか考えてなかった。バッターが打つ打たん考えてたら身が持たんよ。そういうことやで」。劇勝にも指揮官に緩みはない。

◆サヨナラ劇は主砲のバットから始まった。9回1死で4番大山悠輔内野手(28)が今CS初安打となる二塁打で出塁。木浪聖也内野手(29)のサヨナラ打につながった。岡田監督は試合後、「なあ、初ヒットか」とぽつり。「『センターに打て』て、水口に言いにいかしたんや、ネクストまで」と続けた。「ほんまに引っ張ってばっかでなあ。全部アウトコースやで、今日。だから、そういうなあ、インコースでやられているのは知ってるから、シーズンではね。それはちょっと違ったね、攻め方してくるよな、短期決戦やしな」とし「だから『センターに打て』言うたんや。大山には」とアドバイスを授けたことを明かした。「勝ってるから、切り替えできるやんか。負けてたら焦るけどな。そら打席の中でもな」とし、4番の今後の爆発に期待を寄せた。

◆阪神がサヨナラ勝ちでファイナルステージ突破へ王手をかけた。劇勝の裏にブルペン陣の踏ん張りがあった。1-1で同点の8回2死一、二塁で島本に代わり送り込んだのは、今季途中から加入したコルテン・ブルワー投手だった。右打者の堂林の場面だったが、広島新井監督は、左打者の松山を代打で起用。ブルワーはこん身の153キロで空振り三振を奪い、ピンチを切り抜けた。試合後、岡田監督は「迷わずブルワー行くつもりやった。松山が出てくるのは分かってたんですけど。まあでも、(ブルワーが広島にとって)一番分からないピッチャーだと思うし、ブルワーに任せましたけど」と説明。ブルワーはレギュラーシーズンで広島との対戦が3度のみで、まさに秘密兵器を送り込み火消しに成功した。

◆阪神がCSでは球団初となるサヨナラ勝ちで2連勝を飾り、アドバンテージ1勝を含む3勝で日本シリーズ進出へ王手をかけた。過去のプレーオフとCSで無傷で王手をかけた22チームは、すべて日本シリーズに出場しているだけに、進出する確率は100%だ。阪神木浪聖也内野手がサヨナラ安打。プレーオフ、CSのサヨナラ勝ちは今年1Sのロッテ以来16度目で、阪神は初めて。阪神のポストシーズンでのサヨナラ勝ちは、日本シリーズで62年の対東映<1>戦(吉田義男の二塁打)、03年の対ダイエー<3>戦(藤本敦士の犠飛)、同<4>戦(金本知憲の本塁打)に次ぎ4度目。

◆阪神がCSでは球団初となるサヨナラ勝ちで2連勝を飾り、アドバンテージ1勝を含めて3勝として日本シリーズ進出へ王手をかけた。岡田彰布監督(65)の試合後の一問一答は以下の通り。(テレビインタビュー)-見事な連勝「えーっ。結果的にねえ」-最後、サヨナラ勝ちの瞬間は「いや、もうねえ、(木浪が)2ストライク目、高めのボールを振って、いや、これはちょっとまずいなと思っていたんですけどねえ。まあ、ねえ、ずっと1年間、8番で木浪がキーポイントになっていたんだけど。まあ、ここにきてほんと、よく打ちましたよね」-広島投手陣に苦しんだが、サヨナラの場面はしっかりと生かした「いやいや、もうねえ。今年、伊藤(将)も一番悪かったんじゃないかな。まあ、ブルペンでよくない、いうのは聞いていたんで。ブルペンから。まあ本当によくなかったんでね。でも、まあ7回までか、1点でね。ほんとにね、なんというか、しのいでしのいで、1点でしのぐことしか考えてなかったですね。点を入れることは考えてなかった。はっきり言うて」-ブルワー含めて3人のリレーで8回をしのいだ「まあね、昨日もそうやったんですけど、左2人、どっちか1人を抑えると思ったけど、2人とも出したので、迷わずブルワー行くつもりやった。(代打で)松山が出てくるのは分かってたんですけど。まあでも、(今季途中加入で)一番分からないピッチャーだと思うし、ブルワーに任せましたけど」-この2日間、最少失点「昨日も今日もシーズンのピッチングじゃなかったと思うけど、本当にしのいでしのいでのピッチングだったですけど、やっぱりね、初回の1点だけに抑えて大したもんですね」-明日、王手で迎える「いやいや、もうちょっと打つ方がね、ヒットというか、どんどんストライク来るんで四球も選べないので、そういう意味でどんどん早打ちでストライクいったんですけどね。まあ、ヒット出ないもんがね、たくさんいてるんで、そのへんが力みにつながってるのかもしれないけど、もうこれでね、あと1つなんで、まあ思い切っていってくれるでしょう、野手は、明日ね」(囲み取材)-先発の伊藤将は「もうホントになあ、4、5点とられてるような内容やなあ」-それでも7回まで投げた「うん、まあ、あそこ打順回ってこんかったけどな、あそこまでやな。おーん。まあ、だから途中でも投げてるあいだに、高めばっかりいってたからな、2回、3回ぐらいまで。まあまあ、それでも1点にしのいどってくれたから。投げる最中にまた低めになるわとは、話したんやけどね」-今年一番出来が悪い中で結果を残した「いやいや、もう初回の最初の菊池から、小園のボールでも高めばっかりいってたもんなあ。こら、今日はちょっとやばいなあと思ったけどね」-9回は同点で岩崎を投入「いやいや、もう先ね、9回まず0点に抑えることやからね。おーん。あとはもう桐敷がおったからね。そら、迷わず岩崎行ったんだけども」-9回、大山の二塁打からだった「うん。なあ、初ヒットか。『センターに打て』て、水口(打撃コーチ)に言いにいかしたんや、ネクスト(バッタースボックス)まで。ほんまに引っ張ってばっかでなあ。全部アウトコースやで、今日。だから、そういうなあ、インコース目でやられているのは知ってるからシーズンではね。それはちょっと違ったね、攻め方してくるよな。短期決戦やしな。だから『センターに打て』言うたんや。大山には」-あそこで1本出て。打てなければ明日にも影響が「いや、短期決戦では影響出えへんよ。もう、そんなん切り替えて。でも勝ってるから、余計切り替えできるやんか。負けてたら焦るけどな。そら打席の中でもな」-阪神が強いという印象を広島に与えた「まあ昨日も今日も1点に抑えてるからやろ。ピッチャーが頑張ってるからやで。そら打つ方が打たんけどな。でもピッチャーがそないして最少得点に抑えてるから」-木浪の勝負強さは「いやまあ、打つ打たんとかは考えてないよ。だって次ね、桐敷いくしか。そんなん一喜一憂しとったらもたんから。もう10回表しか考えてなかった。だからノイジーのところに入れて2イニングいかそかなとか。そんなことしか考えてなかった。バッターが打つ打たん考えてたら身が持たんよ。そういうことやで」-決めたのが木浪というのも今年の象徴「まあそういうことやろな、結局」

◆阪神坂本誠志郎捕手がサヨナラ勝ちをお膳立てした。9回2死一、二塁で四球を選ぶと、次打者席の木浪へ「頼む決めてくれ」と指をさし一塁へ。「満塁でよく打つし、今年サヨナラ打を打っているのは、分かっていた。かっこよかったですね」。守っては、2日連続で最少失点に導き「向こうも集中力が高いし、勝ち越すまで投手と頑張れたのは大きい。こういう野球が今年1年やってきた野球だと思う」と納得顔だった。

◆阪神佐藤輝明内野手(24)が今CSファイナルステージで初ヒットをマークした。2回1死から大瀬良の甘い変化球を初球打ちし、右前打で出塁。続くノイジーの一打で同点のホームを踏んだ。1-1の同点の9回1死二塁、サヨナラのチャンスで迎えた打席では空振り三振に倒れただけに、「しっかり切り替えて、1試合に集中していきたいと思います」と日本シリーズ進出をかけた次戦に気持ちを向けた。

◆阪急阪神ホールディングスの角和夫代表取締役会長・グループCEO(74)も甲子園で劇的なサヨナラ勝ちを見届けた。6月29日に中日に8-0で快勝して以来の生観戦。リーグ制覇を果たしたスタンドの熱気に触れ、試合後は「最初はどうなることかと思いましたが、最高の形になりましたね」とご満悦だった。同席した85年の阪神日本一監督の吉田義男氏(90=日刊スポーツ客員評論家)も「いつも通りのことをやって勝った試合でした。阪急阪神グループが岡田に全幅の信頼を寄せていることが十分に伝わってきました。20日は近本、中野の1、2番が打って決めるはずです」と先読みしていた。

◆広島がサヨナラ負けを喫し、CS敗退の瀬戸際に追い込まれた。1-1同点の9回2死満塁で、守護神栗林良吏投手(27)が阪神木浪に右前適時打を浴びた。アドバンテージ含め、広島は0勝3敗となった。栗林は「最後の1球(フォーク)もワンバウンドというか低めに狙って投げた球が高めにいってしまいましたし、そういうところでしっかり投げられない」と首をひねった。9回は1死から大山に二塁打、佐藤輝は三振に打ち取り、ノイジーを申告敬遠。2死一、二塁から坂本をストレートの四球で出し満塁とピンチがふくらんだ。「坂本さんの四球じゃなくて木浪さんをアウト取れれば別になんともなかった。自分が投げたいところに投げられなかったところかなと思います」と悔やんだ。先発大瀬良大地投手(32)は、立ち上がりからフルパワーで力投。1回、阪神の3番森下を150キロの速球で空振り三振に取りほえた。3回には森下に左翼フェンスギリギリの大飛球を打たれた瞬間、マウンドでしゃがみ込んだ。5回2死一、二塁のピンチに中野を三振に打ち取ると拳を力強く握った。2回に味方失策で1点を失ったが、感情をあらわにする熱投ぶりで、7回5安打1失点(自責0)と先発の仕事を果たした。「腕も振れてたし、体自体もよく動いてくれてたので、真っすぐも良かったと思いますし、その分、他の球種もうまく使えたのかなと思います」。気持ちが出ていたことには「もう持ってるものを全部出して、ねじ伏せてやろうという気持ちでマウンドに立ってたので、そういう気持ちの、表情だったり、姿だったり、出たのかなと思います」。打線は1回に小園海斗内野手(23)の適時打で先制したが、その後は阪神投手陣を攻略できなかった。選手会長でもある大瀬良は「土俵際追い詰められた感じであるかとは思うんですけど、監督が最初話してくれたように、失うものもないし、本当にぶつかっていくだけだと思うので、いろんなことをあれこれ考えずにまた明日勝てるように、その気持ちだけで朝、元気に試合に向けて戦う姿勢で球場に来たいなと、みんなで」と前を向いた。

◆阪神コルテン・ブルワー投手がCS初登板で火消し役を務めた。8回に2死から島本が連打を浴びて一、二塁を招いたところで登場。4番堂林の代打松山を迎え、カウント2-2から153キロ高め直球で空振り三振に仕留めた。ガッツポーズでほえた右腕は「アウトにとった瞬間の球場全体が盛り上がる感じが最高」と興奮を隠せなかった。今季途中に加入して1軍合流は8月中旬。広島戦の登板は3試合と相手からすれば情報は少なく、岡田監督は「(相手から)一番分からないピッチャーだと思う」と説明した。

◆阪神がCSでは球団初となるサヨナラ勝ちで2連勝を飾り、アドバンテージ1勝を含む3勝で日本シリーズ進出へ王手をかけた。過去のプレーオフとCSで無傷で王手をかけた22チームは、すべて日本シリーズに出場しているだけに、進出する確率は100%だ。サヨナラ打を放った木浪聖也内野手(29)とCS初勝利を挙げた岩崎優投手(32)のヒーローインタビューは以下の通り。【岩崎】-サヨナラ勝利で締めくくりました「本当にナイスゲームだと思います。ありがとうございます」-木浪のサヨナラ打は「早く決めてくれって感じで。よかったです、ナイスバッティングでした」-どんな気持ちでマウンドに上がったのか「いつも通り、抑えたくてうずうずしてました」-この雰囲気は「ファイナル、甲子園で戦うのは初めてなんですけど、最高の雰囲気でやらせてもらってるので、なんとか勝ててよかったです」-投手陣は昨日も今日もしっかり抑えた「みんながいい流れをつくってくれてるので、そこに入っていくだけなので、本当にいい仕事をしてくれてます」-明日勝てば日本シリーズ。ファンへ「明日も勝つばい」【木浪】-今の気持ち「最高でーーす」-満塁で回ってきた。どんな気持ちで「前の坂本さんがフォアボールで出てくれて、『任せたぞ』っていう合図を出してくれたので、なんとかここで決めようと思いました」-追い込まれたがどんな意識で「2球目ボール球に手を出してしまったので、ちょっと『やばいな』と思ったんですけど、なんとか自分らしく食らいついて、最後あっやって打ててよかったです」-抜けた瞬間は「『よっしゃー』って思いました」-今シーズン満塁に強い「そうですね。はい。打てる気がします(笑い)」-ピッチャー陣「本当に守っていて最高の投手陣ですし、なんとか野手で今日は助けられたので、明日も野手で助けて、ピッチャーを楽に投げさせたいと思います」-明日勝てば日本シリーズ。最後締めてください「まあ、明日で決まりますけど...(大歓声)、とにかく自分たちの野球をしっかりやって、今日みたいな足の震える応援をよろしくお願いします!」

◆「お目覚め打」でもう安心! 阪神大山悠輔内野手(28)が9回に口火を切る二塁打を放ち、サヨナラ劇を呼び込んだ。同点で迎えた1死無走者。カウント1-1から広島栗林の143キロの浮いた外角高めカットボールに反応した。右中間にライナーを飛ばし、激走して二塁へスライディング。木浪のサヨナラ劇へとつなげた。「勝つことが大事なので、勝ちきれたことが一番、良かったと思います」前日18日の同戦では3打数無安打。第2戦も8回まで安打が出ていなかったが、大事な局面で仕事を果たした。今季レギュラーシーズンでは栗林に対して4打数3安打。好相性を誇る相手の失投につけ込んだ。実は岡田監督から魔法の言葉を送られていた。打席に立つ直前、水口1軍打撃コーチを通じて指揮官から助言が届いた。「センターに打て」。ネクストバッタースボックスでささやかれた一言が効いた。将いわく、レギュラーシーズンの内角攻めからCSでは外角中心の配球に変わったため、外角をさばきやすくするために意識を変えさせたのだという。「ほんまに引っ張ってばっかでなあ。全部アウトコースやで、今日」と説明。金言にすぐさまアジャストした4番に「そんなん、切り替えて」とニヤリだ。チームは2連勝で、日本シリーズ進出へ王手をかけた。主砲は「この勢いのまま、全員で戦っていきたい。後ろにつなげていけるように、また明日も頑張ります」と力を込めた。日本一行きの切符をつかむため、第3戦も変わらず全力を尽くす。【三宅ひとみ】

◆阪神が2回にラッキーな形で同点に追い付いた。1死一塁でシェルドン・ノイジー外野手が大瀬良の145キロ直球をライナーで右前に運んだ。球足が速く右翼線側へ切れていく当たりで、これを右翼手の末包が後逸。白球が外野フェンスまで転がる間に一走の佐藤輝が本塁に生還した。記録は安打と末包の適時失策で打点はつかなかったが、CS初安打が貴重な一打となった。

◆粘り抜いた先発の阪神伊藤将司投手(27)が、歓喜のウオーターシャワーに加わった。「いつかまざりたいと思っていたけど、CSでまさか...。良かったです!」。7回を5安打1失点で粘り、1-1の状況で降板。相手先発大瀬良との投げ合いで一歩も引かず、サヨナラ劇につなげた。初回1死三塁で小園に左前適時打を許した。高めのボールを痛打され、岡田監督が「今年、一番悪かったんじゃないか。4、5点取られてるような内容やなあ」と振り返る出来。それでもレギュラーシーズンの広島戦で2戦2勝、防御率1・17の「コイキラー」は健在だった。「なんとか1点で抑えようと思っていた」と立て直し、指揮官は「たいしたもん」と称賛。今季10勝の左腕エースが短期決戦でも力を示した。先輩の意地を1球1球に込めた。「初戦取ったら楽やなあ」。前日18日の第1戦先発を託された村上には、登板数日前からひそかに必勝指令で圧をかけていた。それが右腕の登板当日、試合開始前にマッサージを受けている姿を見つけると「まあ、負けても俺に任せとけよ!」と温かい言葉に変えた。伊藤将なりの"ツンデレ"作戦で、CS初登板の村上の心を軽くさせた。後輩が好投したことで「逆にプレッシャーを与えられて、やべえな」とも思っていたが、さすが先輩だ。ぶざまな投球を見せるわけにはいかない。本調子でなくとも貫禄を示した99球だった。5回1死では8番会沢の三塁側に高くはずんだ打球を猛ダッシュで捕球。素早く一塁へ転送してアウトをもぎ取った。7回無死一塁では末包の強烈なライナーに反応してキャッチ。投直に仕留め、ダブルプレーを完成させた。「うまく入りましたね、(グラブを)出したら捕れました」。いつも通り淡々としのぎ続けた。3連勝での突破へ、バトンをつないだ。【中野椋】▽阪神岡田監督(先発の伊藤将について)「今年、一番悪かったんじゃないかな。ブルペンから。でも、まあ7回までか、1点でね、しのいでしのいで。今日はちょっとヤバイなあと思ったけどね」

◆虎党でレゲエグループ「湘南乃風」メンバーの若旦那こと新羅慎二(47)が始球式に登場した。阪神をモチーフにしたワッペンでアレンジした全身黒のつなぎで登板。「球団OBの小林繁さんを意識した」というサイドスローでノーバウンドでミットに収めた。「今日も勝ちたいんで」と場内の虎党に、恒例となった原口が試合前円陣で発する合言葉「バモス」と呼びかけた。同グループの「Joker」を登場曲として使用するドラフト1位の森下翔太外野手(23)へ「最高です。ありがとうございます。森下選手の目の前で歌いたい」と喜んだ。試合後は六甲おろしを熱唱し、勝利を祝った。今季は、球場内で流れる『みんなで六甲おろし』にも登場し「次は歌での参加ではなくて、来年はトランペッターで」と異例の逆オファーをした。小学生時代に、神宮で阪神の私設応援団としてラッパ演奏していた過去もあり「(実は)今、練習しています。応援団に復帰しようかなと。"隠れ練(習)しています"」。私設応援団入りを熱望した。【中島麗】

◆「恐怖の8番」が決めた! 阪神が「2023JERAクライマックスシリーズ セ」のファイナルステージ第2戦で球団初のCSサヨナラ勝利を飾り、通算3勝で日本シリーズ進出に王手をかけた。1-1の9回裏2死満塁。「満塁男」の8番木浪聖也内野手(29)が一、二塁間を破り、熱戦に終止符を打った。プレーオフ、CSで無傷の王手をかけたチームの突破率は100%。9年ぶりの日本シリーズはもう目前だ。8番木浪が熱く、それでいて丁寧に引っ張った。1-1で迎えた9回裏2死満塁。痛烈なゴロで一、二塁間を真っ二つに破った。耳をつんざく大歓声が甲子園を覆う。球団史上初のCSサヨナラだ。右翼手が捕球した頃には、すでにベンチから仲間が駆け寄ってきていた。歓喜のウオーターシャワーを全身で浴び、直前の打者坂本と抱き合った。「みんながつないで自分に回してくれた。みんなのために、チームのために...。そう思えた。だから受け身になることなく攻めていけた」打席に入る直前、闘志に火がついた。9回2死一、二塁から7番坂本がストレートの四球を選び、次打者席に控える木浪に指をさしてほえた。「任せた!」の言葉に「よしっ!」と返した。「フォアボールになった瞬間、ここで絶対決めようと思いました」。2死満塁、広島守護神栗林の6球目。カウント1-2から142キロの高め半速球を振り抜き、歓喜を呼び込んだ。今季レギュラーシーズン満塁時は打率4割4分4厘。「満塁男」はお立ち台でも「(満塁で)打てる気がします」と笑った。前日18日の第1戦でも坂本の気迫を間近で感じていた。先輩は同点の5回1死から死球を受けると、痛みに苦しむどころかバットを投げて気を吐いた。「デッドボールが当たってからもああいう表情で。なんとか生かそうと、つなぐイメージがより強くなった」。気迫に応え、直後に右前打で好機拡大。一挙3得点の勝ち越し劇を呼んだ。普段から「緊張しやすい」性格。ひときわ大きな重圧を感じたCS初戦で「ああいうプレーができたのは大きな成長」。確かな手応えをこの日も結果につなげた。岡田監督も「ずっと1年間、8番木浪がキーポイントになっていたんだけど。ここにきて本当、よく打ちましたよね」と絶賛。チームはアドバンテージを合わせて3勝となり、日本シリーズ進出に王手をかけた。プレーオフ、CSで無傷の王手をかけたチームのCS突破率は100%。お立ち台では虎党へ言い切った。「まあ明日で決まりますけど...。今日みたいな足の震える応援をよろしくお願いします!」9年ぶりの日本シリーズ進出を、3連勝で決めてみせる。【波部俊之介】阪神木浪聖也内野手がサヨナラ安打。プレーオフ、CSのサヨナラ勝ちは今年1Sのロッテ以来16度目で、阪神は初めて。阪神のポストシーズンでのサヨナラ勝ちは、日本シリーズで62年の対東映<1>戦(吉田義男の二塁打)、03年の対ダイエー<3>戦(藤本敦士の犠飛)、同<4>戦(金本知憲の本塁打)に次ぎ4度目。阪神がアドバンテージの1勝を含め3勝0敗。無傷で王手をかけ、20日に○か△で日本シリーズ進出が決まる。シリーズ出場をかけたプレーオフ、CSで、先に王手をかけたチームは昨年まで42チームのうち39チームが進出。77年ロッテ、10年ソフトバンク、12年中日以外は全て勝ち上がり、突破確率93%。無傷の王手(81年日本ハムの○△○を含む)は、22チーム全て突破している。阪神がシリーズ進出なら14年以来9年ぶりとなる。▽阪神ミエセス(8回代打で登場し、CS初打席で一邪飛)「準備をしっかりしていたので、いい結果が出ればよかったんですけど、チームが勝ったんでよかったです」▽阪神島本(3番手で登板も2連打を浴びて1死も取れず降板)「明日も続くので、しっかり投げ返したいなと思います」

◆広島がサヨナラ負けを喫し、連敗で阪神に王手をかけられた。同点の9回。抑え栗林良吏投手が大山の二塁打などで2死満塁とすると、木浪に投じたフォークが落ちきらずに一、二塁間を破られた。先発大瀬良大地投手が好投し、勝ちパターンを投入する得意の展開に持っていきながら、勝ち切ることができなかった。崖っぷちに立たされてもなお、新井貴浩監督は前を向き、不敵な笑みすら浮かべた。「もう後がないわけですからね。楽しみじゃないですか、逆に。どういう姿でプレーをしてくれるのか。もう負けたら終わりなので、逆に楽しみです」指揮官は、選手の反発力に期待する。ファイナルステージは2試合とも1得点止まり。第2戦は前日に犠飛を記録した秋山を外し、末包を先発で起用した。2打席無安打で迎えた同点の7回無死一塁も、ピンチバンターを送らず、犠打のサインも出さなかった。「(代打策などは)考えなかった。スエに行って来いと。それだけ」。2球目を捉えるも、ライナーで伊藤将のグラブに収まり、一塁に送られ併殺に終わった。末包昇大外野手は守備でも2回1死一塁からノイジーの打球を後逸。失点につながった。流れを変えたミスにも「何とかランナーを三塁に行かせたくないという、そのスエの気持ちは買います」と責めることはしない。やられたらやり返せばいい。失敗を恐れず、積極的なプレーを求める。それが新井流。最後まで新井流を貫き、戦うだけだ。【前原淳】

◆【日刊スポーツ西日本写真映像チームのとっておき映像プレイバック】セCSファイナル2戦目は9回、木浪聖也のサヨナラ適時打で阪神が王手。四球を選んで託した坂本誠志郎と抱き合い、激しく飛び散る水しぶき!ナインもファンも大興奮な甲子園です。

◆両軍のスターティングメンバーが発表された。阪神は伊藤将司投手(27)が登板する。今季は広島戦2試合に登板し、2勝、防御率1・17と好相性の左腕がチームを連勝に導き、日本シリーズ進出に王手をかけられるか注目だ。打線では「3番・右翼」で出場する森下翔太外野手(23)の2試合連続本塁打に期待がかかる。18日の第1戦では四回に同点ソロを放って流れを変えた。広島先発の大瀬良に対し、今季は打率6割(5打数3安打)、2本塁打と好成績を残している。

◆広島・床田寛樹投手(28)が試合前練習に参加し、先発する20日の第3戦に向けてキャッチボールなどで調整した。5回1/3を2失点だった14日のファーストステージ第1戦の先発から中5日での登板。左腕は「全然問題ない。(阪神打線が)思ったより積極的に振ってくる印象がある」と相手の早打ちを警戒した。今季はチームトップの11勝(7敗)を挙げ、防御率2・19とブレークした男が虎退治に挑む。

◆阪神・伊藤将司投手(27)が先制点を献上した。一回にレギュラーシーズン通算で被打率・409(22打数9安打)と苦手としている先頭の菊池に右翼線二塁打を許してピンチを招く。続く野間の二ゴロが進塁打となり、1死三塁とされ、小園に外角のカットボールを左翼手前に落とされて適時打とされた。それでも4番・堂林は三ゴロ併殺に仕留めて追加点は許さず。最少失点で乗り切った。

◆広島・矢崎拓也投手(28)は体調不良が治り再び1軍に合流した。「体調が悪くなったのは自分のせい。言い訳しないようにしたい。病み上がりとか相手は関係ない」と独特の言い回しで意気込んだ。14日のファーストステージ第1戦で登板し1回無安打無失点。翌15日に体調不良のため新型コロナウイルス感染拡大防止特例の対象選手として出場選手登録を外れたが、ファイナルステージに間に合った。

◆阪神・佐藤輝明内野手(24)が同点の口火を切った。0-1の二回1死で打席へ。大瀬良の投じた初球、120キロカーブを捉えた。右前に運ぶチーム初安打で勢いをつけると、続くノイジーの右前打を右翼手・末包が後逸。佐藤輝が一塁から一気に同点のホームへとかえってきた。さらに1死三塁の好機が続いたが、坂本が三振、木浪が申告敬遠の後、伊藤将が空振り三振に倒れ勝ち越しとはならなかった。

◆広島は1―1の五回、得点圏にランナーを背負ったが無失点で切り抜けた。新井監督の采配が的中した。先発の大瀬良が1死から木浪に中前打を許し、投手の伊藤将が犠打を決めて2死二塁。ここで指揮官は、近本を申告敬遠で勝負を避ける決断をした。今季の得点圏打率12球団トップで、18日に2点適時打を喫した近本を歩かせると、大瀬良は続く中野を空振り三振に打ち取り、失点を防いだ。

◆阪神・伊藤将司投手(27)が中盤に招いた再三のピンチを乗り切り、7回5安打1失点と力投した。1―1の六回、先頭の菊池に右前に運ばれて走者を背負うと、野間の犠打で1死二塁。小園は遊ゴロに仕留めるも、堂林にはボールが先行し、ベンチは申告敬遠を選択した。続く4番・西川にフルカウントまで粘られながらも最後は遊直に打ち取り、左腕は静かにガッツポーズした。七回には先頭の上本に中前打。直後の末包の投手強襲の打球を好捕し、飛び出していた一走もアウトにして併殺とした。レギュラーシーズンでは2戦2勝、防御率1・17と得意としていた広島にこの日は5安打を浴びながらも7回1失点にまとめてゲームメークした。

◆阪神のコルテン・ブルワー投手(30)が1-1の八回2死一、二塁のピンチで登板した。代打・松山と対峙。カウント2-2から5球目、153キロ直球で空振り三振に抑えた。この回は2番手の石井が登板。代打・田中を空振り三振、菊池を遊飛に仕留めたところで、左腕・島本にスイッチした。しかし、島本が野間に中前打、小園に左前打を許してピンチを招く。それでも、CS初登板となった助っ人が見事な火消し。3投手の継投で八回を無失点でしのいだ。

◆阪神が球団初のCSサヨナラ勝利で連勝。アドバンテージを含む対戦成績を3勝0敗とし、ファーストSから勝ち上がった2014年以来の日本シリーズ進出に王手をかけた。同点の九回2死満塁で木浪聖也内野手(29)が右前打を放ち、投手戦に終止符を打った。伊藤将司投手(28)は四、五回を除く5イニングで先頭打者の出塁を許しながらも7回99球を投げ、5安打1失点の粘投。八回からの2イニングを石井大智(25)、島本浩也(30)、コルテン・ブルワー(30)、岩崎優(32)の4投手による継投で無失点に抑えた。

◆プロ野球のクライマックスシリーズ(CS)は19日、セ、パ両リーグのファイナルステージ(6試合制)第2戦が行われ、18年ぶり優勝の阪神が広島に2―1でサヨナラ勝ちし、2連勝を飾った。1勝のアドバンテージを含め3勝0敗とし、20日の第3戦で勝つか引き分ければ9年ぶりの日本シリーズ進出が決まる。パはロッテが3連覇のオリックスに6―5で逆転勝ち。対戦成績はアドバンテージを含めてオリックスの2勝1敗。セは甲子園球場で行われ、阪神が1―1の九回に木浪が適時打を放った。パは京セラドーム大阪が舞台で、ロッテが4―5の九回に安田の適時二塁打などで2点を奪った。第3戦の先発は、セは阪神が大竹、広島が床田、パはオリックスが東、ロッテが沢村と発表された。日本シリーズは28日にパの本拠地球場で開幕する。阪神・岡田監督 「1年間ずっと『8番・木浪』がキーポイントだった。ここにきてよく打った。伊藤将は今年一番悪いくらいだったけど、初回の1点だけに抑えたのは大したもんや」広島・新井監督 「しょうがない。九回は栗林に任せている。そういう日もある。大瀬良は気迫がみなぎっていた。攻撃はいい当たりをしても野手の正面にいったのがすごく多かった」オリックス・中嶋監督 「山岡はプレーオフの難しさがあった。どうしても慎重に入って四球というのが、どの投手にもあった。打線はいいつながりだと思います」

◆阪神が球団初のCSサヨナラ勝利で連勝。アドバンテージを含む対戦成績を3勝0敗とし、ファーストSから勝ち上がった2014年以来の日本シリーズ進出に王手をかけた。20日の第3戦でドロー以上で突破が決まる。同点の九回2死満塁で木浪聖也内野手(29)が右前打を放ち、投手戦に終止符を打った。伊藤将司投手(28)は四、五回を除く5イニングで先頭打者の出塁を許しながらも7回99球を投げ、5安打1失点の粘投。八回からの2イニングを石井大智(25)、島本浩也(30)、コルテン・ブルワー(30)、岩崎優(32)の4投手による継投で無失点に抑えた。岡田彰布監督(65)の主な一問一答は以下の通り(観衆=4万2630人)。ーーサヨナラの打球が抜けて行った瞬間は「ツーストライク目の高目のボールを振って、ちょっとまずいなと思ったんですけどね。ずっと1年間、8番で木浪がキーポイントだったけども、ホント、よく打ちましたね」ーー広島投手陣に苦しんだ「今年、伊藤も一番悪かったんじゃないかな。ブルペンで、よくないと聞いていたけども、ホントによくなかったんで...まあ七回までは1点で...。ホントにもう、何と言うか、しのいで、しのいで...。しのぐ事しか考えてなかった。点を入れる事は考えてなかった。はっきり言って」ーー八回は3投手のリレー「昨日(18日)もそうだけども、2人(野間と小園)、どっちか抑えると思ったけども(島本が)、2人とも出して、迷わずブルワー行くつもりで、(代打で)松山が出て来るのはわかっていたんですが、(ブルワーは)一番わからないピッチャーと思うし、任せました」ーー投手陣は見事「昨日も今日もシーズンのピッチングじゃなかったけども、何とか、しのいで、しのいでのピッチングだったけども、初回の1点だけに抑えたんだから、大したものですね」ーー日本シリーズに王手「もうちょっと打つ方がね。どんどんストライク来るので、フォアボール選べないし、結構早打ちで行ったんですけど...ヒット打てない者がたくさんいてるんで、力みにつながっているかもわからんけど、これで、あと一つなんで、もっと思い切って行ってくれるでしょ、野手は」

◆オリックス、阪神で176勝を挙げ、引退後も両チームでコーチを務めたサンケイスポーツ専属評論家の星野伸之氏(57)は伊藤将司投手(28)、坂本誠志郎捕手(29)の阪神バッテリーの勝利だと指摘。紙一重のプレーが白星につながったと力説した。先発投手の出来は広島・大瀬良の方がよかったが伊藤将と坂本の阪神バッテリーが紙一重の勝負をものにした。ポイントは1-1の六回1死二塁のシーン。小園に対して外角、外角と攻めてカウント2-2からインコースを突いて遊ゴロに打ち取った。坂本の配球は勇気のいる攻め方でバッテリーの勝利だった。七回無死一塁で末包のライナーを好捕して併殺にした伊藤将のキャッチングも素晴らしかった。センターへ抜けていたら大ピンチになっていただけに、まさに紙一重のプレーだった。フェニックス・リーグで調整登板したとはいえ、レギュラーシーズンから登板間隔が空いていたせいもあっただろう、伊藤将は力んで球が高かったが、悪いなりに7回を1失点でしのぐあたりは、さすがローテーションを守った投手である。四球も申告敬遠を除けば1個だけだった。紙一重のプレーをものにしていた結果、九回のサヨナラにつながったと言える。クリーンアップでチャンスをつくって8番・木浪が決める、というのは今季の阪神が何度も見せてきた得点パターンだ。木浪は粘り勝ちで最後のフォークをよく打った。阪神は各打者の役割がはっきりしているのが強みだ。第1戦でノーヒットだった4番・大山と5番・佐藤輝にも安打が出たし、3番・森下の調子がいい。アドバンテージを含めて3勝とし、圧倒的に優位に立った。

◆阪神が球団初のCSサヨナラ勝利で連勝。アドバンテージを含む対戦成績を3勝0敗とし、ファーストSから勝ち上がった2014年以来の日本シリーズ進出に王手をかけた。?レギュラーシーズン1位の阪神が2連勝。アドバンテージの1勝を含めて対戦成績を3勝0敗とし、日本シリーズ(S)進出に王手をかけた。日本S出場をかけたプレーオフ、CSで先に王手をかけたケースは過去42度中、日本S進出が39度(敗退は1977年のロッテ、2010年のソフトバンク、12年の中日)、突破率は92・9%。今回のように無敗で王手をかけたケースは過去22度全て日本Sに進出し、突破率は100%(セ8度、パ14度)。?阪神がプレーオフ、CSでサヨナラ勝ちを収めたのは初で、今年のファーストステージ第3戦のロッテ(○4-3ソフトバンク、十回=安田尚憲の二塁打)に次いで通算16度目。日本Sを含めたポストシーズンでは03年の日本S第4戦(○6-5ダイエー、十回=金本知憲の本塁打)以来20年ぶり4度目で、九回でのサヨナラ勝ちは初。

◆阪神・岩崎が圧巻の投球でサヨナラの流れを作った。九回に登板し、先頭の西川を3球で見逃し三振。上本は二飛、末包は130キロチェンジアップで空振り三振に仕留めた。「抑えられたので良かったです」。木浪とともにお立ち台に上がった守護神は「あしたも勝つばい」とサラリ。けがで2軍調整中の同期・梅野の決めせりふを拝借し、スタンドのファンを盛り上げた。

◆崖っぷちに追い込まれた。広島が逆転のサヨナラ負け。初戦から2連敗でCSファイナルステージ敗退の危機に立たされた新井監督だったが、豪快に笑い飛ばした。「楽しみじゃないですか。逆にどういう姿でプレーをしてくれるのか」一回に小園の適時打で1点を先制したが、得点はこれだけ。二回に右翼・末包の失策が絡み、追いつかれると、1─1の九回に3番手で登板した守護神・栗林が2死満塁から木浪にサヨナラ打を浴び力尽きた。ファーストステージを2連勝で突破したが、11・5ゲーム差でリーグ優勝した阪神に対して2試合連続逆転負け。これで相手の1勝のアドバンテージを含め0勝3敗。日本シリーズ進出を争う同ステージで過去にレギュラーシーズン2位以下のチームが突破した例はセ・リーグで3度あるが、開幕2連敗から逆転したケースは1度もない。「もう負けたら終わりなので逆に楽しみ」と指揮官。5年ぶりの日本シリーズ進出の条件は4連勝のみ。突破確率0%から奇跡を起こす。(柏村翔)

◆白球が右中間で弾む。大歓声に背中を押された大山は一塁を蹴り、勢いよく二塁に滑り込んだ。攻撃の口火を切った頼れる主砲が、最後は両手を挙げてサヨナラのホームを踏んだ。「勝つことが大事なので、個人の結果じゃないですし、最後に勝ち切れたというのが一番いいと思う」初戦から7打席連続無安打で迎えた九回1死だ。守護神・栗林の甘く入ったカットボールを捉え、二塁打でチャンスメーク。ファンも仲間も心待ちにしていた今シリーズ初の快音を響かせ、木浪のサヨナラ打につなげた。二回の第1打席は初球に反応して遊ゴロ、四回はカットボールに二ゴロ、六回も初球を打ち上げて一邪飛に凡退。3打席すべて2球以内に打ち取られ、その度に甲子園から大きなため息が漏れた。18日の第1戦も3打数無安打。快音が出ずに苦しむ4番をベンチで見守っていた岡田監督が、九回に動いた。ネクストバッターズサークルに立つ大山のもとへ水口打撃コーチを送り込み、「センターに打て」と指示を出した。前の3打席はすべて外角球を打たされていたことに気付いていた指揮官は「引っ張ってばっかでなあ。シーズンではインコースでやられているのは知ってるからね。ちょっと違った攻め方してくるよな。短期決戦やしな。だから、『センターに打て』言うたんや」と明かした。レギュラーシーズンなら内角を攻められることが多かったが、短期決戦では相手バッテリーが裏をかいて外角を攻めてきた。だから、打撃の基本であるセンター返しを命じて目を覚まさせた。レギュラーシーズン中にもピンポイントで助言を受けていた大山もすぐさま呼応し、今年のCS初安打をマーク。これまでの短期決戦で示してきた勝負強さを発揮し、連勝での日本シリーズ王手への道を切り開いた。「この勢いのまま全員で戦っていきたい。チームが勝つことが大事なので、少しでも後ろにつなげていけるように頑張ります」泥臭くても、どんな形でもいい。大山は勝利のために闘志を燃やし、全力を尽くす。(織原祥平)?...大山はCS通算19試合出場で、打率・311(61打数19安打)、2本塁打、7打点。昨季まではCS通算打率・333、ファイナルステージに限れば・429と勝負強い

◆阪神・ノイジーが同点を呼び込む一打を放った。0―1の二回1死一塁で右前打。これを右翼手が後ろにそらし、一走の佐藤輝が生還した。「強い打球を意識して打席に向かいました。早い段階で点を取り返せたので良かった」。勝利に貢献した助っ人砲は虎党の声援に「1年間ファンの声援を聞いていたんですけど、それよりもさらに大きい声援で。ここ以外にプレーする場所はない」と心を打たれていた。

◆阪神・佐藤輝が二回1死の第1打席で大瀬良の120キロカーブを捉えて右前打を放った。今シリーズ初安打で同点劇を導き「良かったです」とうなずいた。しかし、九回1死二塁で迎えた好機では、栗林の150キロ直球に空振り三振。悔しさをにじませてベンチへと引き揚げた大砲は「しっかり切り替えて試合に集中して、あしたも頑張ります」と前を向いた。

◆阪神・ブルワーは1-1の八回2死一、二塁のピンチで登板。代打・松山を153キロ直球で空振り三振に仕留めて、見事に火消しした。「アウトを取った瞬間の球場全体が盛り上がる感じは最高だった。いい仕事ができて良かった」。シーズン途中の8月に来日し、13試合登板で防御率2・38。広島戦は3試合で松山とは1度対戦し、二塁打を浴びていた。それでも岡田監督は「(代打で)松山が出てくるのはわかってたけど。迷わなかった。(対戦数が少なく)一番分からないピッチャーだと思うし、ブルワーに任せた」としてやったりの表情だった。

◆苦しみながらも粘りに粘って赤ヘルの攻勢をねじ伏せるのは、さすが実力派だ。第2戦を任された阪神・伊藤将は99球での7回5安打1失点にまとめ、汗をぬぐった。「先制点を取られてしまったが、何とか最少失点で踏ん張りたいと思っていた。辛抱強く、低めに丁寧に投げることを心掛けた」序盤から緩急ともにボールは高めに浮き、それを痛打されるシーンが目立った。岡田監督は「(今年)一番悪かったんじゃないかな。ブルペンでよくない、いうのは聞いていたんで。しのいでしのいで、1点でしのぐことしか考えてなかったですね」と心配そうに見つめたほど。だが、一回に先制点を与えたあとは低めの意識を徹底した。七回無死一塁では末包の鋭いライナーを好捕。「(グラブを)出したら捕れました」と併殺打でピンチを切り抜けた。今シリーズ前、第1戦先発の村上の緊張をほぐそうと「負けても俺に任せておけ!!」と声をかけた。この日の練習中には年下の同期右腕に「2勝0敗になったら楽っすね」と返されたが、しっかりと応えた。「いつか混ざりたいなと思っていた。いい思い出になりました」登板した試合がサヨナラで決するのは初めて。待ちわびた瞬間に飛び込むと仲間にペットボトルの水をぶちまけ、日本シリーズ王手を喜んだ。(須藤佳裕)

◆虎の満塁男、ここにあり!! 「2023 JERA クライマックスシリーズ(CS) セ」は第2戦が行われ、阪神は広島に2―1でサヨナラ勝ち。九回2死満塁で木浪聖也内野手(29)が、右前にはじき返して熱戦にけりをつけた。CSでは球団初のサヨナラ勝ちで1勝のアドバンテージを含めて3勝0敗とし、20日の第3戦で勝つか引き分ければ9年ぶりの日本シリーズ進出が決まる。さあ、一気にいくでー!!すべての塁が埋まり、甲子園に4万2630人の地鳴りのような大歓声が降り注ぐ。木浪が恐怖の8番打者&満塁男の異名通りの劇打を放ち、日本シリーズ進出に王手をかけた。阪神史上初となるCSでのサヨナラ勝利。ナインにもみくちゃにされたヒーローは、笑顔で胸を張った。「投手の方も頑張って抑えてくれてて、あと一本というところでチャンスが回ってきた。(前打者で四球を選んだ)坂本さんが(人さし指を差して)『任せた』といってくれたので、何とかそれに自分も応えようと。サヨナラになって良かった」1-1で迎えた九回だ。4番大山が二塁打で口火を切り、2死二塁から6番ノイジーは申告敬遠、7番坂本も四球をもぎとって満塁に。〝タスキ〟を受け取った木浪が、カウント1-2から守護神・栗林が投じた高めのフォークを捉え、一、二塁間を破るタイムリーで決着をつけた。2球目の見逃せばボールかという高め直球をファウルし、追い込まれた。岡田監督は「(木浪が)2ストライク目、高めのボールを振って、これはちょっとまずいなと思っていたんですけどねえ」と延長戦突入を覚悟したと言うが、今年のレギュラーシーズンで満塁時に打率・444(18打数8安打)、19打点の勝負強さを発揮。渾身(こんしん)のひと振りで指揮官の嫌な予感を裏切ってみせた。

◆木浪~! 日本中の虎党が大興奮のサヨナラヒット、ありがとう!! お立ち台では「明日、決まりますけど!」なんつって舌も滑らかなのだ。そーか、そーか! 20日に日本シリーズが決まる台本が阪神、広島の両チームに届いてんのね? 良かった、良かった(届いていないよ~)。王手といえば、いよいよ阪神タイガースは将棋の藤井聡太八冠に並ぶ日が近づいているのだね~!ペナントレースで巨人、DeNA、ヤクルト、広島、中日に勝ち越して5冠! アレ(リーグ優勝)で6冠。さらにCSで勝つ台本がある?ので7冠。仕上げは1985年以来、38年ぶりの日本一で8冠やー!!にしても本日の試合、今年の阪神を象徴するような投手力だったのだ!! 第1戦の村上同様、伊藤将も緊張からか、本来の投球ではなかったと思う。だけど、両投手は自分の状態の悪さを受け入れた上での冷静な投球(捕手坂本との危機管理もスゲー)。大人な投手陣がいれば、日本一にならんはずないわー!!

◆本当に実現しそうな情勢になってきました。何がって? 「阪神なんば線シリーズ」です。日本シリーズ進出を懸けたクライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージはセ・パ両リーグとも1位チームが先勝し、阪神は第2戦も勝利。1勝のアドバンテージがあるから、阪神、オリックスとも優位に立っています。セ・リーグ覇者の阪神とパ・リーグ覇者のオリックスとの日本シリーズが実現した場合、両球団の本拠地を電車1本で結んでいるのが、阪神なんば線。2009年3月の開業から15年目にして、待ちに待った瞬間が訪れようとしているのです。関西以外の方にも説明しておきますと、阪神なんば線は大阪難波駅からオリックスのホーム・京セラドーム大阪の最寄りのドーム前駅を経由し、尼崎駅で阪神本線に接続。そして甲子園駅の目の前にあるのが阪神のホーム・阪神甲子園球場です。ドーム前から甲子園まで直通電車なら16分で行けるのだ。その阪神なんば線を使って大阪難波駅近くのサンスポまで通勤している運動部デスクの牧慈が驚いていた。「車内はすでに『プレ・日本シリーズ』といった感じだよ。開門を待ちきれない阪神ファンとオリックスファンが早くから大勢乗車している。ユニホームやグッズを身に着けているから、すぐ分かる。それぞれ、甲子園駅とドーム前駅で下車していった。日本シリーズで対戦することになったら、なんば線は猛ラッシュになるんだろうな」

◆試合をトータルでみると、やはり阪神の強さが表れたね。七回までは、やはりこうなるか...と苦笑いしていた。エモトが前日の評論の締めで「(4-1快勝は)うまくいきすぎた感もあるので、くれぐれも油断しないように」と忠告したら、まさに的中? 俺が俺が、という空気が出た。大振り、早打ちのオンパレードで、攻撃は淡泊。守ってはピンチの連続だった。その展開を断ったのは、岡田監督だよ。「いつも通りの野球」を宣言しつつ、さすがに短期決戦となると、微妙に手の打ち方が変わる。八回以降のリリーフの代えどきが、実にうまい。1点勝負となれば、なおさら。流れに応じて、惜しみない。1点もやらないぞ、という先手先手の継投で、広島にプレッシャーを与え続けた。同じく強力といわれた広島のリリーフ陣から、最後の最後に、きっちり1点を取るわけだから、いかに岡田のプレッシャーが効いたか、わかるよね。いうまでもなく、このまま一気にいかないと。勝負は下駄をはくまで、わからない。もう一度、言おうか。くれぐれも、油断だけはしないように。(サンケイスポーツ専属評論家)

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