1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 | 安 | 失 | 本 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
ロッテ | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 3 | 0 | 0 | 2 | 6 | 5 | 0 | 0 |
ORIX | 3 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 2 | 0 | 0 | 5 | 9 | 0 | 1 |
勝利投手:東條 大樹(1勝0敗0S) (セーブ:益田 直也(0勝0敗1S)) 敗戦投手:山岡 泰輔(0勝1敗0S) 本塁打 |
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◆ロッテがシーソーゲームを制して対戦成績を1勝2敗とした。ロッテは2点を追う6回表、岡と安田の適時打で3点を挙げ逆転する。その後4-5となって迎えた9回には、安田の適時打と山口の犠飛で2点を挙げ、リードを奪った。敗れたオリックスは7回にセデーニョの2ランで逆転するも、4番手・山岡が踏ん張りきれなかった。
◆侍ジャパンの井端弘和監督(48)が19日、パ・リーグCSファイナルステージの行われている京セラドーム大阪を訪れ、オリックス中嶋聡監督(54)とロッテ吉井理人監督(58)に就任のあいさつを行った。オリックス中嶋監督とは約3分間会話。来月11月に開催される「カーネクスト アジアプロ野球チャンピオンシップ2023」で内野守備・走塁コーチを務めるオリックス梵英心コーチ(43)と話す場面もあった。また、宮城大弥投手(22)とも笑顔で言葉を交わした。
◆第1戦はオリックスが逆転勝ちし、アドバンテージを含めて2勝0敗とした。第2戦はオリックス田嶋大樹投手(27)が、ロッテはC・C・メルセデス投手(29)が先発マウンドに上がる。両先発ともに今季は対戦相手から勝ち星がない。どちらがチームを勝利に導けるか。
◆ロッテのスタメンとベンチ入りメンバーが発表され、沢村拓一投手(35)がベンチ入りメンバーから外れた。また、第1戦で6回に登板した中村稔弥投手(27)は出場選手登録を抹消。同じく6回に決勝打を浴びた東妻勇輔投手(27)はベンチ入りから外れ、この日から出場選手登録された東條大樹投手(32)と国吉佑樹投手(32)がベンチ入りした。CSファーストステージでは3連戦3連投だった沢村は18日のCSファイナルステージ第1戦では出番がなかった。この日の試合前練習は通常通りに参加するなど、アクシデントはないもよう。レギュラーシーズンでは6日オリックス戦(ZOZOマリン)でブルペンデーの先発を託され、初回を3者凡退で打ち取り、チームの勝利に貢献した。あえてベンチ入りからベテラン右腕を外した首脳陣は、CSファイナルステージ第3戦以降で同様の起用法でオリックス撃破の再現も見据えている可能性がある。
◆伝説の10・19に「バファローズ」と「ロッテ」が再戦する。この日にこのチーム名の両球団が対戦するのは1988年(昭63)以来、35年ぶりだ。この年の近鉄バファローズはシーズン最終日の10月19日を2位で迎えた。首位西武とのゲーム差は0・5。逆転優勝は、川崎でのロッテ戦ダブルヘッダー連勝のみという厳しい条件だった。第1試合は3-3の同点で迎えた9回、既に引退を決めていた代打の梨田昌孝が決勝タイムリーを放ち4-3で辛勝。優勝へ夢をつないだ。第2試合は8回表にブライアントが勝ち越しソロを放ち、Vへ大きく前進。ところが救援の阿波野秀幸が8回裏、高沢秀昭に同点ソロを浴び、試合は振り出しに戻った。9回裏ロッテの攻撃で、阿波野の二塁へのけん制でのタッチプレーを巡り、ロッテ有藤監督が9分間の猛抗議。当時は試合時間が4時間を過ぎると新しいイニングに入らない規定があったため、これが遠因となり試合は延長10回4-4の引き分け。近鉄は目前にしていた逆転優勝を逃した。試合を中継していたテレビ朝日は、報道番組「ニュースステーション」の枠内でも急きょ放送を続けるなど、異例の対応を取った。当時のパ・リーグの中継では異例の視聴率38・6%を記録。「昭和プロ野球最後の名勝負」として、ファンに語り継がれている。近鉄は04年限りでオリックス・ブルーウェーブと合併し消滅したが、新球団「オリックス・バファローズ」としてその名を残す。一方のロッテは92年に千葉へ移転し、愛称を「マリーンズ」と改めて現在に至る。平成を経て令和となり、日本シリーズ出場を懸けてのリターンマッチだ。バファローズが昭和の敵討ちを遂げ、王手をかけるか。あるいはロッテが返り討ちを果たし、1勝をあげるのか。【記録室=高野勲】(22年3月のテレビ東京系「なんでもクイズスタジアム プロ野球王決定戦」準優勝)
◆ロッテが2戦連続で初回に先制点を挙げた。先頭の荻野貴司外野手(37)がストレートの四球で出塁。3番石川慎吾外野手(30)が右前打でチャンスを広げ、1死一、三塁で4番ポランコ外野手(32)の二ゴロの間に荻野が先制のホームを踏んだ。CSファイナルステージの第1戦では、ロッテが初回に3点を先制していた。
◆/このシリーズはよくスコアが動く\これが王者の底力??初回からさっそく逆転成功セデーニョと杉本裕太郎が連続タイムリー???プロ野球クライマックスシリーズ(2023/10/19)??オリックス×ロッテ??Live on DAZN#DAZNプロ野球 pic.twitter.com/qhpu9W5EZc
◆ロッテが6回にオリックスを逆転した。初回に1点を先制するも、その直後に先発メルセデス(29)が3失点し、劣勢で前半戦を終えていた。2点を追う6回。オリックス先発の田嶋大樹投手に簡単に2死を取られた後だった。石川慎吾外野手(30)、4番ポランコ外野手(32)が連続で四球を選ぶ。続く岡大海外野手(32)が1ボールからチェンジアップをしぶとく左前に落とす適時打で1点を返す。「2アウトでしたがチャンスで回ってきたので、なんとか流れを引き寄せられるようにと打席に入りました」と語った。この当たりで自身も二塁に進塁する好走塁。これが逆転につながる。そして、前2打席凡退していた安田尚憲内野手(24)が打席に。2ボールからカットボールを右前へ2点適時打を放ち、逆転に成功した。「逆転のチャンスで回ってきたので、とにかく何とかしたかった。ランナーをかえせて良かったです」と話した。
◆/今年のパリーグはあまりにも面白い\これが王者のプライド??4番セデーニョが逆転2ランホームラン???プロ野球クライマックスシリーズ(2023/10/19)??オリックス×ロッテ??Live on DAZN#DAZNプロ野球 pic.twitter.com/Fgh4oXColw
◆オリックス森友哉捕手(28)が冷や汗をかいた。8回、3番手で宇田川優希投手(24)が登板。先頭の藤岡裕大内野手(30)を渾身(こんしん)の157キロで空振り三振に仕留めた。ただ、これがバッテリー間のサイン違いだった。捕手の森は落ちる軌道に備えてミットを逆向きに下げていたが、ボールはうなりを上げるようにそのまま直進。森はギリギリで手首を戻して捕球したが、球の勢いに押されて後ろに倒れ込んだ。大けがにつながりかねないサインミスだった。
◆パ・リーグ首位打者の頓宮裕真捕手(26)が骨折から復帰を果たした。1点リードの8回、2死二塁から代打で起用。登場曲が球場に流れると観客から拍手が沸き起こった。1-1からロッテ東條の3球目を右方向に鋭い当たりを飛ばしたが、一塁手の正面を突くライナーに倒れた。それでも観客からは温かい拍手が送られた。頓宮は9月16日に「左第4中足骨疲労骨折」で登録を抹消。前日18に1軍選手登録されていたが第1戦では起用がなかった。今シーズンは自身初タイトルの首位打者を獲得。CSでも活躍が期待される。
◆/ドラマはまだ終わっていなかった\諦めないのがマリーンズの信条外に食らいついた山口航輝が勝ち越し犠牲フライ???プロ野球クライマックスシリーズ(2023/10/19)??オリックス×ロッテ??Live on DAZN#DAZNプロ野球 pic.twitter.com/rTyQu3YNCS
◆ロッテが崖っぷちに立たされながらも、シーソーゲームを制した。2度逆転を許し、1点ビハインドの9回にドラマが待っていた。先頭の代打角中勝也外野手(36)が四球で出塁し、代走の和田康士朗外野手(24)が二盗に成功。そして、打席の安田尚憲内野手(24)が6球ファウルで粘った後、オリックス4番手の山岡泰輔投手から右翼線へ適時打を放ち、同点に追いついた。続く1死三塁では、代打山口航輝外野手(23)が中犠飛を放ち、勝ち越しに成功した。前夜に続き、初回に先制点を奪うも、その直後に先発メルセデス(29)が3失点し、劣勢で前半戦を終えた。それでも2点を追う6回に逆転を演じる。オリックス先発の田嶋大樹投手に簡単に2死を取られた後だった。石川慎吾外野手(30)、4番ポランコ外野手(32)が連続で四球を選ぶ。続く岡大海外野手(32)が1ボールからチェンジアップをしぶとく左前に落とす適時打で1点を返した。「2アウトでしたがチャンスで回ってきたので、なんとか流れを引き寄せられるようにと打席に入りました」と語った。この当たりで自身も二塁に進塁する好走塁。これが逆転につながった。前2打席凡退していた安田尚憲内野手(24)が打席に。2ボールからカットボールを右前へ2点適時打を放ち、逆転に成功した。「逆転のチャンスで回ってきたので、とにかく何とかしたかった。ランナーをかえせて良かったです」と話した。しかし7回、2死から死球で出した一塁走者を置いて3番手沢田圭佑投手(29)がセデーニョ内野手に逆転2ランを左翼席に運ばれた。オリックスの本拠地でもあり、ムードは完全に敵軍にあったが、土壇場でドラマを作る粘り強さはシーズン、CSファーストステージを通じて、完全にマリーンズの代名詞となった。
◆オリックスが逆転負けを喫して、今ステージ初黒星。2勝1敗となった。7回に4番レアンドロ・セデーニョ内野手(25)が逆転2ランをレフトスタンドにたたき込み、この日2度目のリードを奪った。8回は宇田川優希投手(24)が無失点でつないだが、9回に山岡泰輔投手(28)がつかまった。先頭を四球で歩かすと、安田に同点の適時二塁打を浴びる。さらに、1死三塁とされて代打山口に犠飛を許して勝ち越された。1点ビハインドとなった9回裏の攻撃では1番中川圭太内野手(27)からの好打順だったが、ロッテ抑え益田の前に得点を奪えず。ファイナルステージ初黒星で対戦成績を2勝1敗とした。
◆オリックス先発田嶋大樹投手が突然乱れた。2回以降持ち直したが、6回2死から2連続四球で走者をため、さらに連続適時打で3-4と逆転を許して降板。背信の左腕は「チームが初回から逆転してくれましたし、なんとか粘り強く投げていきたかったのですが...最後のところで逆転を許してしまったことが悔しいです」と肩を落とした。
◆オリックス杉本裕太郎外野手が連日の打点で好調ぶりを示した。初回、セデーニョの一打で追いついた直後のチャンスで、おっつけるように軽くバットを出した。打球は広く空いた一、二塁間にはずみ、一時勝ち越し打となった。「いいところに打球が飛んでくれた。なんとかタイムリーになってくれてよかったです」。21年ファイナルステージと昨年の日本シリーでMVP。10月の存在感は相変わらずだ。
◆崖っぷちのロッテが、また試合をひっくり返した。1点を追う9回、安田尚憲内野手(24)の一塁線を破る右翼線適時二塁打で同点に追いつくと、さらに1死三塁で代打・山口航輝外野手(23)が決勝中犠飛。延長戦で3点差を逆転勝利したファーストステージ第3戦同様、土壇場でドラマを作り、対戦成績を1勝2敗(オリックスのアドバンテージ含む)とした。ロッテがシーソーゲームを制した。リードを奪った回数はロッテが3度、オリックスが2度。逆転劇が4度ある形勢5転(先制を1転とする)の試合はプレーオフ、CSで史上初。日本シリーズでも形勢5転以上は92年ヤクルトが対西武<6>戦で逆転5度の形勢6転試合に勝った1度だけだ。ロッテがアドバンテージの1敗を含め1勝2敗とした。日本シリーズ出場をかけたプレーオフ、CSで、0勝2敗(81年ロッテの●△●を含む)の劣勢から1勝したのは、17年DeNA(対広島)以来10度目。過去9度のうち、17年DeNAだけが突破している。05年ソフトバンク、08年日本ハム、11年ヤクルト、14年日本ハム、17年DeNAは2勝2敗のタイに持ち込んだが、ロッテはどうか。
◆オリックスがシーソーゲームに敗れた。対戦成績はアドバンテージの1勝を含め2勝1敗となった。初回に3点、7回に2点と2度逆転したが、9回に再びひっくり返された。中嶋聡監督(54)は先発した田嶋大樹投手(27)の交代機を悔やんだ。「まあ、引っ張りすぎましたね。あそこでスパッといっていれば(交代していれば)展開もまた違っていたと思いますし。こちらの、俺のミスですね」場面を明言はしなかったが、6回を指していたのは明らかだ。田嶋は2回以降持ち直していたが、6回2死から連続四球と突如乱れた。だがベンチは動かず、先発左腕は連打を浴びて3失点した。7回、レアンドロ・セデーニョ内野手(25)の2ランで再逆転に成功。1点を守り切る態勢に入った。8回は宇田川優希投手(24)が抑え、9回は山岡泰輔投手(28)に託した。しかし、山岡は先頭への四球から再逆転を許した。初戦で9回を抑えた守護神の平野佳寿投手(39)はベンチ外。今季途中に中継ぎに転向し、3セーブを挙げていた山岡への信頼感は厚かったが、思うような結果にならなかった。同監督は「やっぱり難しいのですかね。プレーオフの難しさといいますか。どうしても慎重に入って、今日に限って言えば、どの投手も四球が増えたっていうのもありますけどね」と振り返った。初回も含め、失点した3イニングはすべて最初の走者が与四球だった。21年、22年とポストシーズンを経験してきても、短期決戦の厳しさがあらためて浮き彫りになる一戦だった。
◆オリックスのレアンドロ・セデーニョ内野手の連夜の奮闘は実らなかった。2試合続けて4番に座った。1点を先行された直後の初回1死一、二塁で「初球から積極的にスイングすることができた」と中前に同点の適時打を放った。さらに球場を沸かせたのは3-4の7回だった。2死から森が死球で出塁。1ストライクから沢田の2球目を振り抜き、左翼へ一時逆転の2ランを運んだ。「インコース高めの真っすぐにうまく反応することができたし、何とかスタンドまで届いてくれてよかったよ」。第1戦では6回に一塁から激走して同点のホームを踏むなど2得点と足で沸かせた。空砲に終わったものの第2戦は2安打3打点とバットで貢献と存在感を増している。【林亮佑】オリックスは4番セデーニ内野手が7回に一時逆転となる1発も敗戦。プレーオフ、CSで4番打者の逆転弾は22年ファイナルS<2>戦村上(ヤクルト)以来10度目だが、試合に敗れたのは今回が初めてだ。 日本シリーズを含めると、71年<2>戦の王(巨人)以来2度目。王は阪急戦の4回に逆転2ランを打つも、6-8で敗戦。ポストシーズンでは52年ぶりに4番の逆転弾が勝利につながらなかった。
◆オリックスは4番レアンドロ・セデーニョ内野手が7回に一時逆転となる1発も敗戦。プレーオフ、CSで4番打者の逆転弾は22年ファイナルS<2>戦村上(ヤクルト)以来10度目だが、試合に敗れたのは今回が初めてだ。日本シリーズを含めると、71年<2>戦の王(巨人)以来2度目。王は阪急戦の4回に逆転2ランを打つも、6-8で敗戦。ポストシーズンでは52年ぶりに4番の逆転弾が勝利につながらなかった。
◆ロッテ吉井理人監督が9回に勝負強さを見せた安田尚憲内野手と山口航輝外野手をたたえた。「やっぱ若い子に頑張ってもらいたいので今日は良かった」と笑顔。同点打の安田に代走を起用して勝負をかけた采配について「ウチの今の投手事情を考えると延長になると絶対無理。あそこで決めなきゃという感じ」と振り返ったように、20日の第3戦はブルペンデー。「みんな自分の投球をしてくれたら。野手は引き続き、高い集中力でハッスルプレーしてほしい」と話した。
◆ロッテが崖っぷちから、また試合をひっくり返した。パ・リーグCSファイナルステージ第2戦は、1点を追う9回、安田尚憲内野手(24)の右翼線適時二塁打で同点に追いつくと、さらに1死三塁で代打・山口航輝外野手(23)が決勝中犠飛。延長戦で3点差を逆転サヨナラ勝ちしたファーストステージ第3戦同様、土壇場でドラマを作り、対戦成績を1勝2敗(オリックスのアドバンテージ含む)とした。ファーストステージ突破を決めるサヨナラ打を放った"スーパー安田"が、再び難敵に一撃を見舞った。4-5で迎えたロッテのラストバトル。9回無死二塁。ファウルで6球。ボール球にも手を出さない。オリックス山岡の10球目。決め球の縦スライダーを力強く捉えた。打球は一塁ベースに当たって大きく跳ね、右翼線へ。「最後まで粘って粘って勝ち抜けた試合。良いところで打てて良かった」。喜び以上に、戦い続ける鋭い表情のままだった。二走・和田の本塁生還を見届けると、力強くガッツポーズ。小川を代走に送られ、お役御免。「チーム一丸で、こういう試合が出来ることを自信に。まだリードされている立場は変わらない。明日勝って五分に」。ベンチに戻り、仲間の手荒い祝福を浴びた。茶谷の犠打で1死三塁。スタメンを外れ、用意周到に剣を磨いていた山口が登場だ。今季は30本塁打を目標に掲げたが、14発。「シーズンはしょうもない成績」と強い責任感から悩みに悩み中。追い込まれてもスライダーに食らい付き決勝の中犠飛。「自分のやるべきことは出来た」と安堵(あんど)した。ロッテの未来も担う2人。期待に応えようと必死にもがいた努力が結実した。安田は10月に入り、福浦ヘッド兼打撃コーチの助言で腕と体にゴムチューブを巻いて打撃練習。"スーパー安田"養成ギプスだ。「上半身の力を抜いて振れるようになった」と手応えを得つつある。山口も村田打撃コーチから「遊び心で」と助言を受け、この日はフリー打撃の1セット5スイング中、最初の4スイングは脱力で振り、体も心も力みを消した。山口は「若手がしっかり勢いつけていかないと。厳しい戦いは乗り越えてきたと思うので、そういう力はロッテのほうがあるんじゃないかと思う。ずっと1つになって戦っている」。若き主砲2人が、オリックスにまだまだ食らい付く。【鎌田直秀】ロッテがシーソーゲームを制した。リードを奪った回数はロッテが3度、オリックスが2度。逆転劇が4度ある形勢5転(先制を1転とする)の試合はプレーオフ、CSで史上初。日本シリーズでも形勢5転以上は92年ヤクルトが対西武<6>戦で逆転5度の形勢6転試合に勝った1度だけだ。ロッテがアドバンテージの1敗を含め1勝2敗とした。日本シリーズ出場をかけたプレーオフ、CSで、0勝2敗(81年ロッテの●△●を含む)の劣勢から1勝したのは、17年DeNA(対広島)以来10度目。過去9度のうち、17年DeNAだけが突破している。05年ソフトバンク、08年日本ハム、11年ヤクルト、14年日本ハム、17年DeNAは2勝2敗のタイに持ち込んだが、ロッテはどうか。▽ロッテ村田打撃コーチ(2安打3打点と大活躍の安田に)「そのまま続けていってほしいし、来年は開幕戦から"よろしく"って言っている」▽ロッテ益田(1点差の9回を締め)「いつも通り先頭だけをしっかり取っていこうと思ったので、初球から良い球を投げられた。ソフトバンク戦の逆転から勢いがついてきている」▽ロッテ岡(6回2死一、二塁、左前への当たりで二塁打にした走塁について)「(送球が)二塁直送だったら戻る、中継だったらそのまま行くというイメージだった。(判断は)弾む球場なのでワンバウンドしてヒットになった瞬間です」
◆崖っぷちのロッテが、また試合をひっくり返した。1点を追う9回、安田尚憲内野手(24)の一塁線を破る右翼線適時二塁打で同点に追いつくと、さらに1死三塁で代打・山口航輝外野手(23)が決勝中犠飛。延長戦で3点差を逆転勝利したファーストステージ第3戦同様、土壇場でドラマを作り、対戦成績を1勝2敗(オリックスのアドバンテージ含む)とした。-安田選手が6回と9回に適時打を放った「いいところで本当、回ってくるので、そこで結果出してくれて良かったです」-CSファーストステージを終わった後に声出し役を指名したが、彼にかける思いは?「特にないんですけども、あの、やっぱ若い子に頑張ってもらいたいんで、今日は良かったです。山口も、いいところで犠牲フライ打ったんで良かったと思っています」-9回に同点打を放った安田に、延長戦も想定される中で代走を起用「ウチの今の投手事情を考えると、もう延長になると絶対無理なんで、あそこで決めなきゃっていう感じでしたね」-9回に和田が二盗成功。シーズン中はあまり盗塁を積極的にサインとして出していなかったが、やっぱり後がないっていうところでの選択?「あれはでもディスボールの盗塁じゃなくて、グリーンライトなんで。彼が確率よく行けると思ったら行けのサインだったんで。まあ、よく走ってくれました」-和田はCSでスタメン起用がないが、勝負どころの切り札にしたかった?「そうですね。あの終盤の和田のスピードっていうのは相手にとって脅威になるんで。スタメンよりも、そういう大事なところで使いたいなっていうふうに考えていました」-試合全体としてフォアボールを生かして少ないチャンスをものにするなど、全体的に粘りが出てきたと思うが「CSファーストの最終戦ぐらいから、すごい野手たちが集中力が高くなってきて。たぶんシーズン中でもやろうと思えば出来たと思うんですけれども、そのやり方が彼らは分からなかったのかな。ということで、チームは少し前に進んだんじゃないかなっていうふうに思います」-リーグ終盤に厳しい戦いを経たことが、そういう結果につながってきている?「そうですね。でも、これが来年につながらないと意味はないんですけどもね」-明日はブルペンデー「みんな、その場面で、自分のピッチングしてくれたら。ピッチャーの方はですね。野手は引き続き高い集中力で積極的にハッスルプレーしてほしいと思っています」-10月19日は88年にロッテとバファローズで伝説のダブルヘッダーを戦った日。今日も熱戦だったが、何か思うところは?「いやぁ特にないです。もう自分にとっては...まあ、あの頃はこれ以上の興奮ないなと思ったんですけども、今となれば、もう若気の至りで、もっと真面目にやれば良かったなっていうふうに、そういう反省でしかないんで。特に、特別な日っていう思いはないです」-今の選手たちが、そういう試合をしてくれたほうがという、監督としても思うものがある「そうですね。日本の、このシステム上、CSっていうのが、アメリカのポストシーズン、プレーオフのような重みが、あんまり感じられないんですけども、でも実はすごく大事な...。ここでプレーするために春から頑張っているっていうところがあるんでね。そういうのを、みんな本当分かった上で、しかもそういう重みを感じながらプレーしてくれたらいいなっていうふうに。当時の自分はもう本当若かったんで、日本シリーズも、もうおまけみたいなつもりで投げて3連勝、4連敗したんですけども。そういうことにならないように。また今度いつ来るか分からないチャンスなんで、こういうのはね。楽しんでプレーしてほしいなと思います」
◆ロッテ村田修一打撃コーチ(42)がCSで打撃好調の安田尚憲内野手(24)にユーモアたっぷりの"お願い"をしていることを明かした。安田は6回に一時逆転打、9回に同点打と2安打3打点でCSファイナルステージ1勝目に大貢献。村田コーチは「あの(レギュラーシーズンの)143試合目のホームランから徐々に本当に良くなってきていると思います。いろんなことを考えながら彼もやっていると思います」と、まずは活躍ぶりをたたえた。安田はCSファーストステージでも打率4割、3打点と好調をキープしている。ポストシーズンで頼もしさが増しているだけに、村田コーチは「責任感もあるだろうし。まあ、彼にとってはふがいないシーズンだったはずなんで、そこを取り返したいっていう気持ちは今すごく持っていると思いますから、そのまま続けていってほしい」とした上で、最近は「『来年は開幕戦からヨロシク!』って言ってるんですけどね」とニヤリ。シーズンを通しての大活躍にも期待していた。
◆ロッテが試合前半の劣勢をはね返した起点は、村田修一打撃コーチ(42)の声かけだった。2点を追う6回の攻撃前に三塁側ベンチ前では野手陣が円陣を組み、村田コーチの話に耳を傾けていた。その円陣も含め、試合中に選手たちに伝えていた内容について、試合後に問われた村田コーチは「『まだ2点差だし、まだまだこれからや。チャンスあるし、2点差は本当に1イニングで返せる点数。相手も低めに投げているけど、こっちもなんとか我慢して攻めていこうよ』って話はしたんですけど」と明かした。6回の攻撃で一時逆転に成功。その後、再逆転を許したが、1点を追う9回にまたまた逆転と、打線がここ一番で奮起した。CSで粘り強さが出てきている打線に、村田コーチは「みんな積極的にいきながら、ボール球をあんまり振らないっていうのは、ウチのチームのすごくいいところが出ていると思う。それは継続してやってほしいなと思います。ピッチャーも143試合を戦って、またファーストステージからファイナルステージで疲れてきているはずなんで、そこはバッターができる限り助けてあげれればいいと思います。なんとか1点でも。5点取られたら6点取るし、7点取られたら8点取るぐらいのつもりで攻撃していってもらえればいいと思いますけど。諦めない気持ちはすごく、なんか成長しているように感じますけどね。(レギュラーシーズンの)143試合目の試合から、いい戦いが出来ているなとは思います」と打線に手応えを感じていた。
◆オリックスがシーソーゲームに敗れた。対戦成績はアドバンテージの1勝を含め2勝1敗となった。9回は山岡泰輔投手(28)に託した。しかし、山岡は先頭への四球から再逆転を許した。オリックス山岡「入りですね。悪いところが出た感じです。技術不足です。切り替えたい」。
◆巨人内海哲也投手コーチ(41)が菅野智之投手の輝きを取りもどす。19日、川崎・ジャイアンツ球場での秋季練習に合流。5年ぶりに古巣復帰し、「身の引き締まる思い。まだまだ41歳で若い。元気を出して。コミュニケーションを大事にやっていきたい」と所信表明した。▽巨人菅野(内海投手コーチについて)「背中を追い続けた人。今でも内海さんはこういう風にやってたなと思い出す時もある。内海さんの現役の姿を見てない選手がほとんどだと思うが、指導を受けたり、聞いたりするのは、絶対にチームのプラスになると思う」essional/team/buffaloes/https://www.nikkansports.com/baseball/professional/team/giants/news/--
◆「10・19」に、またも悲劇が待っていた。1点リードで迎えた9回、山岡泰輔投手は先頭に四球を与えると、続く安田に同点の適時二塁打を献上。最後は代打山口に決勝の中犠飛を許した。試合後、中嶋監督は静かに話した。「やっぱり難しいのですかね。プレーオフの難しさといいますかね、どうしても慎重に入ってフォアボールというのが、今日に限って言えばどのピッチャーもちょっと増えた」。リーグ後半戦に安定した投球で、何度も白星へつないでくれた右腕。レギュラーシーズンと同じようにはいかなかった。指揮官の脳裏には悔いが残る場面があった。6回、先発田嶋が2死から2四球を与え岡、安田に連続適時打を浴び、逆転を許した。「あそこでスパッと行っていれば、展開もまた違っていたと思います。本当に、俺のミスですね」。敗戦の責任を一身に背負った。「10・19」。この日は昭和プロ野球史に残る名勝負から、ちょうど35年。88年10月19日、ダブルヘッダーで行われたロッテ-近鉄戦は、近鉄が連勝すれば逆転優勝がかかる試合。第1試合は競り勝つも、第2試合で延長10回末に引き分け、あと1歩のところで涙をのんだ。「バファローズ」と「ロッテ」が10月19日に対戦するのは、あの伝説の日以来だった。しかし、当時とオリックスの立場は違う。リーグ3連覇を成し遂げ、2年連続の日本一に挑む王者。ここで立ち止まるわけにはいかない。連勝とはならなかったが、集中打とセデーニョの1発で2度逆転し、はね返す姿は見せた。第3戦は笑顔で終われる1日にする。【磯綾乃】伝説の10・19 近鉄バファローズは1988年(昭63)10月19日のシーズン最終戦を首位西武と0・5差の2位で迎えた。逆転優勝の条件はロッテとのダブルヘッダー連勝のみ。第1戦は9回、代打梨田昌孝の決勝打で先勝。第2戦は1点を勝ち越した直後の8回裏、阿波野秀幸が高沢秀昭に同点ソロを献上。9回裏のロッテ攻撃中、二塁けん制のタッチプレーを巡ってロッテ有藤監督が9分間の猛抗議。当時は4時間を過ぎると新イニングに入らない規定があったため、この抗議が遠因となり試合は延長10回引き分け。近鉄は逆転Vを逃した。テレビ朝日による中継が視聴率38・6%を記録するなど、壮絶な戦いは「昭和最後の名勝負」として語り継がれた。オリックスが初回に2番宗から6番紅林まで5者連続安打。プレーオフ、CSで四死球や犠打を挟まない5者連続安打は、19年1SのDeNAが阪神<1>戦の初回にマークして以来、7度目のタイ記録。パでは07年2Sのロッテが日本ハム<4>戦の9回に記録して以来5度目で、オリックスは初めて。
◆第2戦の先発を託されたオリックス・田嶋大樹投手(27)が一回に先制を許した。先頭の荻野にストレートの四球。1死後、3番・石川には右前打。このとき、送球間に打者走者にも進塁を許して二、三塁のピンチを招いた。ここで4番・ポランコの二ゴロの間に1点を奪われた。さらに続いた2死三塁は抑え、最少失点で切り抜けた。18日の第1戦では山本が一回から3失点。2戦続けて一回に先制点を許し、追いかける展開となった。
◆取られたら取り返す。オリックスが逆転に成功した。一回に1点を先制されたその裏。1死からの宗の右前打から森、セデ―ニョ、杉本、紅林の5連打で2得点。1死満塁から7番・ゴンザレスの中犠飛で3点を奪い、試合をひっくり返した、1戦目に山本の乱調をカバーした打線がこの日も火を噴き、立ち上がりからロッテに襲い掛かった。
◆オリックスの先発・田嶋大樹投手(27)が3─1の六回、2死から3失点を喫し、逆転を許した。ロッテの1番からの攻撃で簡単に2死を取ったあと、石川慎、ポランコを連続四球。一、二塁のピンチを招くと、5番・岡に左前への適時二塁打を浴びて1点差に。さらに2死二、三塁から6番・安田に2点右前打を許し、3─4と試合をひっくり返された。
◆ロッテ・安田尚憲内野手(24)が1点差に詰め寄った直後の六回2死二、三塁で逆転の右前適時打を放った。「逆転のチャンスで回ってきたので、とにかく何とかしたかった。ランナーをかえせて良かったです」と声を弾ませた。しかし、七回に3番手・沢田が2死から森に死球、続くセデーニョに左翼席に運ばれて逆転を許した。5回3失点のロッテ・メルセデス 「初回に失点してしまったが、その後は修正して、何とか五回まで粘り強く投げることができた」
◆オリックスが再び試合をひっくり返した。六回に3点を奪われ、3─4で迎えた七回。2死から3番・森友哉捕手(28)が死球で出塁すると、その直後だった。4番のレアンドロ・セデーニョ内野手(24)がカウント0─1から内角の直球を強振。高々と舞い上がった打球が左翼への逆転2ランとなった。試合は1点リードで終盤の攻防へ。この試合に勝利すれば、アドバンテージの1勝を含めて3勝となり、日本シリーズ進出に王手となる。
◆レギュラーシーズン最終盤を左足薬指の疲労骨折で離脱していたオリックス・頓宮裕真捕手(26)が代打で登場した。5─4の八回、2死二塁で9番の広岡に代わって打席に立った。カウント1─1からロッテの4番手・東條の直球を捉えたが、打球は一塁手の正面。一直で追加点とはならなかった。首位打者の復帰によって、会場のボルテージは最高潮に達した。ポストシーズンの切り札として、頼れる首位打者のバットに今後も注目が集まる。
◆ロッテが接戦を制した。安田尚憲内野手(24)は六回に一時逆転となるタイムリーを放ち、1点を追う九回に同点となる適時二塁打。4打数2安打3打点と勝負強さを見せ、チームの勝利に貢献した。安田のヒーローインタビューは以下の通り。--六回、九回と2度の逆転に貢献「最後まで粘って粘って取れた試合だと思うので、いいところで打てて良かった」--九回の同点打を振り返って「ランナーが和田さんだったので、なんとか返したいっていう気持ちで打席に立ちました」--ファーストベースに当たって抜けていった「フェアかファウルか分からないところだったので、本当にラッキーな当たりでしたけどうれしかったです」--山口の犠牲フライで勝ち越し。6点目が入ったときの心境は「チーム一丸となって勝てた試合だと思うので、こういう試合ができることを自信にして、また明日からも頑張っていきたいと思います」--ファーストステージでも決勝サヨナラタイムリーを放った「本当に毎打席必死にやってる結果。明日からも続くので、貢献できるように頑張っていきたい」--明日以降の戦いに向けてメッセージを「今日勝ったんですけど、まだリードされてる立場なのは変わらない。まず明日勝って、五分に戻して頑張っていきたいなと思います」
◆ミラクルロッテだ!! パ・リーグ2位のロッテが19日、3連覇のオリックスに6―5で逆転勝ち。対戦成績をオリックスのアドバンテージを含めて1勝2敗とした。ロッテは4―5の九回、安田尚憲内野手(24)の右翼線への適時二塁打などで2点を奪った。16日のクライマックスシリーズ(CS)ファーストステージ第3戦でサヨナラ安打を放った主砲が、2安打3打点と活躍。下克上へ、チームをけん引する。これが〝ミラクルロッテ〟の底力だ。3万3634人が集結した敵地、大阪で逆転に次ぐ逆転で勝利をつかんだ。リードを許してもしつこく食らいつき、リーグ3連覇の王者に一矢報いた。2安打3打点と勝利の立役者となった安田はうれしそうに胸を張った。「最後まで粘って粘って、チーム一丸で勝てた試合。こういう試合ができることを自信にしていきたい。いいところで打ててよかったです!」ここぞの場面で「スーパー安田」に変身した。まずは2-3の六回2死二、三塁。「とにかく何とかしたかった」と田嶋の変化球を引っ張り、右前へ逆転の2点打をマークした。次は4-5で迎えた九回無死二塁だ。山岡に3球で追い込まれたが、驚異の粘りを見せる。10球目のスライダーに食らいつき、一塁ベースを直撃する同点の適時二塁打を放った。二塁ベースに到達すると、人さし指を突き立てて、ベンチに向かってガッツポーズ。「無心になって打席に立った。ベースにも当たってラッキーな形になったのでよかった」と笑った。
◆白星まであと1回。勝利の雰囲気がプンプン漂ってきたが...。最後の最後に落とし穴にはまってしまった。オリックスは九回に痛恨の逆転負け。中嶋監督は責任を一身に受け止めた。「やっぱりプレーオフの難しさ。(田嶋が六回に3失点した場面は)引っぱりすぎた。俺のミスですね」5-4の九回。4番手に山岡が上がった。シーズンで29セーブを挙げ抑えを担った平野佳は連投を避けるためベンチを外れた。左腸腰筋の筋損傷から復帰した山崎颯は18日の初戦では投げたが、無理をさせられない。その選択は裏目だった。先頭の代打・角中を四球で歩かせ、その後、無死二塁から安田に同点二塁打を献上。さらに1死三塁とされ、代打・山口の中犠飛で勝ち越された。開幕は先発で始まった山岡だったが、白星に恵まれず。7月中旬に救援に配置転換されると、18試合に登板し、許した失点はわずかに3。プロ初セーブもマークし、明るい好材料がそろい、指揮官も「本当にいいハマり方をした」と語っていたが...。1回2失点。まさかまさかの光景がグラウンドに広がっていた。殴り殴られのシーソーゲームに敗れた。ただ、アドバンテージの1勝を含め、2勝1敗となったが、リードしていることには変わりない。王者は王者らしく戦う。ロッテの挑戦をはねのけ、2年連続の日本一を目指す。(北池良輔)
◆九回。同点打を放った安田に迷うことなく代走・小川を起用したロッテ・吉井理人監督(58)は「ウチの今の投手事情を考えると、延長戦になると絶対に無理なので、〝ここで決めなきゃ〟という感じでした」と攻撃的タクトの意図を説明。小川は送りバントで三進、中犠飛で決勝のホームを踏んだ。この日のベンチ入り投手は9人。同点止まりで九回の攻撃を終えて守護神・益田を投入すれば、延長の最大3イニングで第1戦に続く連投となる中森、鈴木、坂本と国吉しか残っていなかった。シーソーゲームの死闘を制しての1勝。この日は10月19日。1988年のロッテ-近鉄の伝説のダブルヘッダーから35年がたった。当時23歳で近鉄の守護神を務め、第1試合の八回から登板した吉井監督は球審のボール判定に平静を保てず降板したこともあり、「あの頃は若気の至りで、もっと真面目にやればよかったなという反省しかない。日本シリーズも〝おまけ〟のつもりで投げていた」と回顧した上で、「今の選手には(ポストシーズンの)重みをかみしめながら楽しんでプレーしてほしい」と続けた。種市、カスティーヨの故障離脱で、第3戦は沢村を先発に指名。救援陣で継投するブルペンデーで臨む。ファーストステージからのCS5試合でマウンドに上がったのはのべ28投手。ブルペンも疲弊しているが、ここを踏ん張れば第4戦以降で佐々木朗にバトンをつなげる。今季のオリックス戦では5月18日、10月6日にブルペンデーで2戦2勝。沢村は「思い切っていくだけ!」と短い言葉に決意を込めた。(東山貴実)
◆ロッテファンの期待は当然、レギュラーシーズン3位から日本一へと駆け上がった〝史上最大の下克上〟(2010年)の再現だろう。レギュラーシーズンの最終戦に勝って2位を決め、CSファーストステージ第3戦では延長で3点差を逆転して勝ち上がった。これはファイナルステージで待つオリックスにはない、勢いといえる。だが、勢いだけでは勝てない。オリックスの壁は、これまで乗り越えてきた壁とは比べものにならないほど厚い。近年のポストシーズンは乱打戦が少なく、投手が試合の主導権を握っている。先発は立ち上がりから飛ばすので、本当の勝負は七回以降。信頼できる救援陣を1枚でも多く持つチームが有利だ。メジャーのポストシーズンでも、同じことがいえる。今季は地区優勝した6チームのうち、5チームが地区シリーズまでに敗退。レギュラーシーズンで104勝を挙げたブレーブス(ナ・リーグ東地区優勝)は14ゲーム離したフィリーズに、100勝のドジャース(同西地区優勝)は16ゲーム差をつけたダイヤモンドバックスに、地区シリーズで完敗した。得点だけみると、フィリーズはブレーブスに打ち勝ったイメージがあるが、勝ち試合はいずれも5人以上の継投で相手の強力打線を封じ込めた。長丁場ではどうしても総合力の差がゲーム差に表れてしまうが、短期決戦は違う。リーグ優勝決定シリーズでも好調なフィリーズ打線をもってしても、今の自軍の投手陣は打ち崩せないだろう。オリックスのストロングポイントも、先発、リリーフともに豊富な投手陣。加えて、リーグ優勝によるアドバンテージの1勝がある。私がロッテに不安を感じていたのは、戦力的な差はもちろん、負けたら終わりのプレッシャーに打ち勝ったことで、〝よくファイナルステージまできたな〟という達成感や満足感が生まれはしないかということだった。短期決戦のラッキーボーイは点を取る野手と思われがちだが、投手であってもいい。下克上のためには、試合の流れを持ってくる投球ができるラッキーボーイ的な投手が出現する必要があると思う。(サンケイスポーツ専属評論家)
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